JP2004042226A - コアドリルワンタッチ取着構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】充分な大きさの回転力を伝達可能であり、ブレの極めて少ないワンタッチ着脱式のコアドリル取着構造を提供する。
【解決手段】コアドリル取着部１２に出没自在に収納された落ち止めボール１９が、突出時にシャンク取着部４の落ち止めボール受容溝６に係合してコアドリル１とシャンク２とを固着状態とし、シャンクカバー体９をバネ１０に抗して後端側に引っ張ったときに落ち止めボール制御フランジ２１によって没入可能となることで両者が摺動可能となるワンタッチ着脱式のコアドリル取着構造である。また、シャンク側の係合突起とコアドリル側の係合突起受容溝との係合・摺動によりコアドリルとシャンクとの着脱が行われるワンタッチ着脱式のコアドリル取着構造であって、シャンクカバー体をバネに抗して前方側に引き寄せることによって、係合突起が係合突起受容溝の内の円周に沿って設けられた部分を摺動移動可能となるものも別に提供する。
【選択図】 図１
【解決手段】コアドリル取着部１２に出没自在に収納された落ち止めボール１９が、突出時にシャンク取着部４の落ち止めボール受容溝６に係合してコアドリル１とシャンク２とを固着状態とし、シャンクカバー体９をバネ１０に抗して後端側に引っ張ったときに落ち止めボール制御フランジ２１によって没入可能となることで両者が摺動可能となるワンタッチ着脱式のコアドリル取着構造である。また、シャンク側の係合突起とコアドリル側の係合突起受容溝との係合・摺動によりコアドリルとシャンクとの着脱が行われるワンタッチ着脱式のコアドリル取着構造であって、シャンクカバー体をバネに抗して前方側に引き寄せることによって、係合突起が係合突起受容溝の内の円周に沿って設けられた部分を摺動移動可能となるものも別に提供する。
【選択図】 図１
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コアドリルのシャンクへの着脱に関し、特には、コアドリルのシャンクへのワンタッチ着脱に関する。
【０００２】
【従来の技術】
コンクリート建築物や構築体に穴を開けるに際して、コアドリルが用いられる。コアドリルは、穿設する穴の外径近傍を削り取り、穴の中央部にコアを残してコアドリル内に収納して纏めて排出する穿孔工具である。
コアドリルは、シャンクを介して回転駆動源に接続される。コアドリルとシャンクとの接続は、ワンタッチで取着されることが好ましい。
従来のワンタッチ取着構造には、例えば、特開平９−１１００７号公報に記載されるような、図９に示すものがある。
【０００３】
図９において、図示しないシャンクの内周面に設けられた、シャンクの径方向に移動自在にバネで押圧保持されているボールを第１挿着溝６１に沿ってシャンクをコアドリル６２に向かって進行させ、第１挿着溝６１に直交する無端状の第２挿着溝６３に沿わせて回転進行させて、第２挿着溝６３内に設けた、部分球状穴の一部を構成する係止部６４に、ボールを係合させて取着する。
ボールは、ガスあるいは水道等のワンタッチ式の接続部分に採用されている係止・保持機構によって保持されているので、解除部材（ボールの後退を許容する部材）を操作しない限り、コアドリルとシャンクとは切り外されない。
なお、６８は、切り屑排出溝である。
【０００４】
図９に示すものでは、刃体６５で切り取られたコアは、コア収納部６６内に一時的に収納されるが、コアが傾いたり横にずれたりして、刃体６５に邪魔されて取り出し難い等の問題がある。
コアドリル６２の貫通孔６７の孔径が、図示のように、絞られているので、コアドリル６２をシャンクから取り外しても、コアを、貫通孔６７を通して取り出すことはできない。
【０００５】
別のワンタッチ式の取着機構に、図１０に示すようなものもある。
図１０において、シャンク７１の外周面に突出させた係合ピン７２を、先端にビット７３を有するコアドリル７４の後端に設けたシャンク取着部７５の内周面に軸方向に形成された第１挿着溝７６に沿わせて圧縮バネ７９の弾発力に抗して進行させ、さらに、第１挿着溝７６の終端から直交して円周方向に形成された第２挿着溝７７に沿わせて進行・回転させて、シャンク７１とコアドリル７４とを取着する。圧縮バネ７９は、回転連結部８０と係合リング８１との間に位置し、係合リング８１とシャンク取着部７５とが面接触する。
【０００６】
シャンク７１とコアドリル７４とを切り離す場合には、第２挿着溝７７に沿わせて進行・回転させて、係合ピン７２を第１挿着溝７６の位置に合わせることによって、係合ピン７２を第１挿着溝７６に沿わせて進行させることができる状態とする。第２挿着溝７７内に設けた動力伝達ピン７８が係合ピン７２と係合することによって、回転駆動力が伝達される。なお、８３は、通水孔８２から流される切削水等を止水するＯリングで、Ｏリング溝８４に嵌込まれる。
【０００７】
図１０に示す従来のワンタッチ取着機構においては、コアドリル７４内に収納されたコアが刃体側から取り出し難い場合には、シャンク７１とコアドリル７４とを切り離すことによって、刃体と反対側から容易に取り出すことができる様になっている。しかし、係合ピン７２と第２挿着溝７７との遊びに対して、常時は、圧縮バネ７９でコアドリル７４をシャンク７１から遠ざける方向に押しており、係合ピン７２は第２挿着溝７７の駆動連結側の壁に押圧されている。穿孔操作が開始される際にはコアドリルが被穿孔体に押されてシャンク７１側に押圧されるので、係合ピン７２は第２挿着溝７７のコアドリル７４側の壁に押圧されることになる。その結果、係合ピン７２と第２挿着溝７７の幅との遊びの範囲内で、ブレが発生し易い難がある。
【０００８】
取着時に相対回転の向きを間違えると、係合ピン７２と動力伝達ピン７８とが係合するために第１挿着溝７６を越えて移動する必要が生じ、コアドリル７４とシャンク７１との取着が解かれる危険性が生じ得るという難点もある。
さらに、シャンク７１とコアドリル７４との係合は、基本的にシャンク７１の外周面とコアドリル７４のシャンク取着部７５の内周面との一面接触でなされており、面接触によるブレ止め効果は少ない。シャンク取着部７５の後端面が係合する係合リング８１は、係合リング８１の他端が圧縮バネ７９に係合しているので、ブレ止め効果は発揮されない。
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の難点に鑑み、充分な大きさの回転力を伝達可能であり、ブレの極めて少ないワンタッチ着脱式のコアドリル取着構造を提供することを課題とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項１に係る発明のコアドリルワンタッチ取着構造は、
先端にビット３を有し後端にシャンク取着部４を有するコアドリル１と、回転駆動源に連結されるシャンク２とからなり、
前記シャンク取着部４は、基本的に中空体であって、外径がシャンク２のコアドリル取着凹部１１の径に対応し、外周面の先端部近傍に落ち止めボール受容溝６を有し、シャンク側端部に回転伝達ピン受容凹部７を有し、
前記シャンク２は、シャンク本体８とシャンクカバー体９と前記シャンク本体８と前記シャンクカバー体９とを離間させる方向に弾発するバネ１０とからなり、
前記シャンク本体８は、基本的に中空体であって、前端が軸部にコアドリル取着凹部１１を有するコアドリル取着部１２、後端が軸部に回転駆動源と連結される回転連結部１３となっており、
前記コアドリル取着部１２は、外周面前端にシャンクカバー体係止フランジ１４を有し、外周面後端近傍にバネ止め具１５が位置決めされ、前端近傍に前記コアドリル取着部１２の壁を貫いて落ち止めボール収納孔１８が形成され、前記落ち止めボール収納孔１８内に落ち止めボール１９が収納され、前記コアドリル取着凹部１１の底に接するようにして回転伝達ピン２０が設置されており、
前記シャンクカバー体９は、基本的に中空体であって、内周面前端に落ち止めボール制御フランジ２１が形成され、前記落ち止めボール制御フランジ２１の内周面は、前記落ち止めボール１９の前記コアドリル取着凹部１１への出没量を制御するカム形状をなしており、
前記バネ１０は、その両端を前記落ち止めボール制御フランジ２１の後端面２２と前記バネ止め具１５とに規制されるように配置されていることを特徴とする。
前記バネ止め具１５が、コアドリル取着部１２の外周部に摺接され、Ｃリング１６を用いて位置決めされるものであることが好ましい。
【００１１】
請求項３に係る発明のワンタッチ着脱式のコアドリル取着構造は、
先端にビット３３を有し後端にシャンク取着部３４を有するコアドリル３１と、回転駆動源に連結されるシャンク３２とからなり、
前記シャンク取着部３４は、基本的に中空体であって、内側にシャンク係合部４２を受け入れる中央凹部３６を有し、外側面に、軸方向に伸び最奥部で周方向に沿って曲がる係合突起受容溝３７を有し、シャンク側先端に回転伝達ピン受容凹部３８を有しており、
前記シャンク３２は、シャンク本体３９と、シャンクカバー体４０と、前記シャンク本体３９と前記シャンクカバー体４０とを離間させる方向に弾発するバネ４１とからなり、
前記シャンク本体３９は、前方にシャンク係合部４２、中央部にフランジ部４３、後方にシャンク太径部４４が一体に形成されており、このフランジ部４３の外径周面は、前記コアドリル３１のシャンク取着部３４の外径と一致しており、
前記シャンク係合部４２の前記フランジ部４３近傍の外周面には、回転伝達ピン４５が設けられ、
前記フランジ部４３の外周にはシャンクカバー体４０を止着する係合突起４７用の係合突起受容凹部４６が形成されており、
前記シャンク太径部４４の軸部には回転駆動源との連結部４８が形成されており、
前記シャンクカバー体４０は、前記コアドリル３１のシャンク取着部３４とシャンク本体３９のフランジ部４３の外径に対応する内径の中央孔４９を有し、後端には、前記シャンク太径部４４の外径に対応する内側フランジ部５０が形成され、先端側には係合突起４７が内側に向かって取付られており、
前記バネ４１は、前記シャンク本体３９のフランジ部４３とシャンクカバー体４０の内側フランジ部５０との間に配置されていることを特徴とする。
前記フランジ部４３に形成される前記係合突起受容凹部４６が、回転駆動源側に壁面ａを有し、コアドリル側が切欠かれた形状であること、前記係合突起４７が、シャンクカバー体４０の先端側に、着脱自在に取付られていること、前記係合突起４７が、Ｃリング５２をシャンクカバー体４０の外周に沿って設けたＣリング受容溝５３に嵌入させることにより抜け止めされていること、前記シャンク係合部４２の外周部に、周方向にシーリング用のＯリング５４用のＯリング溝５５が形成されていることが、それぞれ好ましい。
【００１２】
【発明の実施の形態】
本発明のコアドリルワンタッチ取着構造は、シャンクとコアドリルとの係合が、シャンク側に収納された出没可能な落ち止めボールとコアドリル側の設けられた落ち止めボール受容溝とでなされるタイプと、シャンク側の係合突起とコアドリル側の設けられた係合突起受容溝とでなされるタイプとに大別される。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図１は、本発明に係るコアドリルワンタッチ取着構造の一実施の形態を説明するための、コアドリルとシャンクとの分解説明図であり、上半分は断面を、下半分は正面を示す。図２は図１のＡ−Ａ部断面図、図３は図１のＢ−Ｂ部断面図、図４は図１のＣ−Ｃ部断面図を示す。
図５は、本発明に係るコアドリルワンタッチ取着構造の他の実施の形態を説明するための、コアドリルとシャンクとの分解説明図である。図６は、図５のＤ−Ｄ線の模式的断面図であり、図７は、図５のＥ−Ｅ矢視線からみた模式的断面図である。また、図８は、図５のＦ−Ｆ線の模式的断面図である。
【００１３】
請求項１に係る発明のコアドリルワンタッチ取着構造は、図１に示すように、コアドリル１とシャンク２とからなる。
コアドリル１は、先端にビット３、後端にシャンク取着部４をそれぞれ設けた筒状部５からなる。筒状部５の径と長さは、コンクリート等に穿孔する穴の太さと深さに適応させて、任意のものとなし得る。
ビット３は、超硬合金層を筒状部５の先端部全周に積層してもよいし、その積層先端部に適宜の数の切り欠きを設けたものでもよいし、筒状部５の先端部に超硬チップ等を鑞付け等で複数個設けるものであってもよい。
シャンク取着部４は、基本的に中空体であり、外径がシャンク２のコアドリル取着凹部１１の径に対応し、外周面の先端部近傍に落ち止めボール受容溝６を有し、シャンク側端面に回転伝達ピン受容凹部７を有する。
落ち止めボール受容溝６は、断面が截頭円錐台形状をしている。
また、回転伝達ピン受容凹部７の深さを回転伝達ピン２０の直径よりも若干量大きくすることで、シャンク取着部４の後端面２２とコアドリル取着凹部１１の底面とが当接する。
【００１４】
シャンク２は、シャンク本体８と、シャンクカバー体９と、シャンク本体８とシャンクカバー体９とを離間させる方向に弾発するバネ１０（圧縮バネ）とからなる。
シャンク本体８は、基本的に中空体であって、前端が軸部にコアドリル取着凹部１１を有するコアドリル取着部１２、後端が軸部に回転駆動源と連結される回転連結部１３となっている。コアドリル取着凹部１１の内径は、コアドリル１のシャンク取着部４の外径に対応している。回転連結部１３の内径には、常法通り、回転駆動源と連結される雌ネジが形成されている常法通りのものであり得るが、回転駆動源と連結され得れば、雌ネジ式連結に限らず、適宜の他の連結形式でも差し支えない。
【００１５】
コアドリル取着部１２は、外周面前端にシャンクカバー体係止フランジ１４が形成されており、外周面後端近傍にバネ止め具１５が位置決めされる。コアドリル取着部１２へのバネ止め具１５の位置決めは、図示例では、コアドリル取着部１２の外径とバネ止め具１５の内径とが対応する径として摺接される態様として示されているが、摺接に代えて、コアドリル取着部１２とバネ止め具１５とは、相互にねじ止めするタイプ等、適宜の形態とすることができる。
バネ止め具１５の位置決めが摺接タイプの態様の場合には、バネ止め具１５の位置決めされる部分に続いて外周にＣリング１６を受容するＣリング受容溝１７が形成されて、バネ止め具１５がシャンク２から離脱しないようにＣリング１６を用いて位置決めされる。
【００１６】
コアドリル取着部１２の前端近傍には、コアドリル取着部１２の壁を貫いて落ち止めボール収納孔１８が形成され、落ち止めボール１９が収納される。落ち止めボール１９は、円周に均等に複数個配置されることが好ましい。より好ましい例として、落ち止めボール１９が配置されたものが図３に示されている。
落ち止めボール収納孔１８は、落ち止めボール１９がコアドリル取着部１２の内径側に抜け落ちないような形状をなしている。
コアドリル取着凹部１１の底に接するようにして、コアドリル取着部１２には回転伝達ピン２０が設けられる。回転伝達ピン２０は、コアドリル取着部１２の直径の両端に通し孔（回転伝達ピン挿通孔２３）を形成し、回転伝達ピン２０を挿通させた後、適宜の抜け止め措置がなされる。図示例では、バネ止め具１５によって回転伝達ピン挿通孔２３が蓋されている。抜け止め措置としては、他に、例えばかしめ等の措置を行うこともできる。
【００１７】
シャンクカバー体９は、基本的に中空体であって、その内周面前端に落ち止めボール制御フランジ２１が形成される。落ち止めボール制御フランジ２１の内周面は、落ち止めボール１９の前記コアドリル取着凹部１１への出没量を制御するカム形状をなしている。制御するカム形状は、前端側で内径が大きく、後端側で内径が小さい。図示例では、内径が小さい部分で幅の狭い円筒形状をなし、外側に向かって２段の截頭円錐台形状をしている例が示されているが、カム形状は図示例に限られない。このようなカム形状によって、円筒形状をなす部分で落ち止めボール１９はシャンク２の内面側に最も突出した状態に規制され、他の截頭円錐台形状の径に従って、落ち止めボール１９はシャンク２のコアドリル取着部１２の壁内（肉厚内）に没入することができるように規制される。
【００１８】
落ち止めボール制御フランジ２１の後端面２２は、バネ１０と係合する。図示例では、シャンク２の軸に垂直な平面とされている例として示すが、この平面の態様に限られるものではない。
シャンクカバー体９に設けられる落ち止めボール制御フランジ２１のカム形状の中間径部分がコアドリル取着部１２に設けられたシャンクカバー体係止フランジ１４に当接することにより、シャンクカバー体９の前端方向への移動が規制される。
【００１９】
バネ１０は、その両端を落ち止めボール制御フランジ２１の後端面２２とバネ止め具１５とに規制されるように配置されている。バネ１０は、前述の通り、シャンク本体８とシャンクカバー体９とを離間させる方向に弾発する圧縮バネであり、常時は、シャンク本体８のコアドリル取着部１２に位置決めされたバネ止め具１５とシャンクカバー体９に設けられている落ち止めボール制御フランジ２１の後端面２２とを離間させる方向に弾発して、シャンクカバー体９を先端側に押圧移動させている。
なお、図示例のバネ１０は断面が円形のものとして示してあるが、断面が矩形のもの等、適宜のものであり得る。
【００２０】
湿式のコアドリルは、通水孔を介して切削水ないし冷却水等を流して穿孔する。切削水等をシャンク取着部４の外面等に回らないように止水するために、Ｏリング２４をＯリング溝２５に嵌めて用いる。Ｏリング２４を痛めないように、シャンク取着部４の後端側外周面を減肉しておくことが好ましい。
シャンクカバー体９の外周面の少なくとも一部にローレット加工部２６を設けることは、シャンクカバー体９に移動等のための力を掛けるに際して好ましいことである。
シャンク取着部４の先端面とシャンク本体８の先端面とに、回転伝達ピン２０と回転伝達ピン受容凹部７とが対応する位置を示す印、例えば凹溝刻印等を付しておくと、コアドリルとシャンクとの取着時に便利である。
【００２１】
ここで、この実施の形態のコアドリルワンタッチ取着構造における、コアドリルとシャンクとの係合・分離の動作について説明する。
通常の状態では、シャンクカバー体９は、バネ１０により後端側に位置しており、落ち止めボール制御フランジ２１のカム形状の内径が小さい後端側の円筒形状部分が落ち止めボール１９の位置にあり、またはカム形状の内径が比較的小さい部分が落ち止めボール１９の位置にあり、したがって、落ち止めボール１９がシャンク２の内面側に最も突出した状態に規制されている。
【００２２】
バネ１０の弾発力に抗してシャンクカバー体９を後端側に移動させていくと、落ち止めボール１９は、落ち止めボール制御フランジ２１のカム形状の規制範囲内で、コアドリル取着部１２の内径から没入し得る状態になっていく。
圧縮バネであるバネ１０の圧縮限界に規制されてシャンクカバー体９を最も後端側に移動させた位置においては、落ち止めボール１９は完全にコアドリル取着部１２の内径から没入し得る状態になり、シャンク２のコアドリル取着凹部１１とコアドリル１のシャンク取着部４とは摺動可能な状態となり、シャンク取着部４後端の回転伝達ピン受容凹部７とコアドリル取着部１２に設けられている回転伝達ピン２０との位置を合わせてシャンク２にコアドリル１のシャンク取着部４を挿入し、落ち止めボール１９が落ち止めボール受容溝６に落ち込むことによって、コアドリル１とシャンク２とが係合される。
【００２３】
このとき、落ち止めボール１９は落ち止めボール受容溝６の後端側の傾斜面に接し、シャンク２とコアドリル１とが摺動することができない状態となり、コアドリル１は後端側（シャンク２側）に引き寄せられる。
コアドリル１とシャンク２とが係合されている状態から、バネ１０の弾発力に抗してシャンクカバー体９を後端側に移動させると、落ち止めボール制御フランジ２１のカム形状に対応して、落ち止めボール１９が落ち止めボール収納孔１８内に没入し得る状態となり、コアドリル取着凹部１１とシャンク取着部４とが摺動可能な状態となるので、コアドリル１とシャンク２とを引き離す方向に引っ張ることにより、コアドリル１とシャンク２とが分離される。
【００２４】
本発明のコアドリルワンタッチ取着構造のこの実施の形態において、コアドリル１とシャンク２との連結は、コアドリル１のシャンク取着部４の外周面とシャンク２のコアドリル取着凹部１１の内周面、シャンク取着部４のシャンク側先端面とコアドリル取着凹部１１の底面、の二個所（二面）において面接触して係合連結されるため、図１０に示した従来のコアドリル７４とシャンク７１との連結構造で見られたがたつきが一切生じることがなく、また穿孔時のブレも生じない。
【００２５】
請求項３に係る発明のコアドリルワンタッチ取付構造は、図５に示すように、コアドリル３１とシャンク３２とからなる。
コアドリル３１は、先端にビット３３、後端にシャンク取着部３４をそれぞれ設けた筒状部３５からなる。筒状部３５の径と長さは、コンクリート等に穿孔する穴の太さと深さに適応させて、任意のものとなし得る。
ビット３３は、超硬合金層を筒状部３５の先端部全周に、要すれば一部切欠部を設けて、積層してもよいし、超硬チップ等を鑞付け等で複数個設けるものであってもよい。
このシャンク取着部３４は、基本的に中空体であり、後端内側にシャンク本体３９の後述するシャンク係合部４２を摺動的に受け入れる中央凹部３６を有している。
【００２６】
また、円筒状のシャンク取着部３４の外周面には、軸方向に伸び、最奥部で周方向に沿って曲がる係合突起受容溝３７が形成され、シャンク取着部３４のシャンク側である後端には、Ｕ字形の回転伝達ピン受容凹部３８が形成されている。
上記係合突起受容溝３７が最奥部で周方向に曲がる角度は、軸方向に対し直角あるいは回転駆動源側若しくはコアドリル側のいずれかの方向に適宜の角度に傾斜するものであってもよいが、抜け防止の観点から、図に示すように、回転駆動源側に曲がるように形成するのが望ましい。
【００２７】
シャンク３２は、シャンク本体３９とシャンクカバー体４０と、シャンク本体３９とシャンクカバー体４０とを離間させる方向に弾発するバネ４１（圧縮バネ）とからなる。
シャンク本体３９は、基本的に中空体であって、前方にコアドリル３１のシャンク取着部３４の中央凹部３６に挿入係合されるシャンク係合部４２、中央部にフランジ部４３、後方にシャンク太径部４４が一体に形成されている。
シャンク係合部４２の外径は、コアドリル３１のシャンク取着部３４の中央凹部３６の内径に対応しており、フランジ部４３の外径は、コアドリル３１のシャンク取着部３４の外径と一致している。
【００２８】
シャンク係合部４２は、その外周面のフランジ部４３の近傍に回転伝達ピン４５が立設されており、フランジ部４３の外周には、シャンクカバー体４０を止着する係合突起４７を係合する係合突起受容凹部４６が形成されている。
この係合突起受容凹部４６は、回転駆動源側に壁面ａを有し、コアドリル３１側が、係合突起４７を出入可能なように、切欠かれた形状に形成されている。
回転伝達ピン４５は、シャンク係合部４２の外周面に形成した取付穴に螺着等の手段で立設されており、コアドリル３１のシャンク取着部３４の先端に形成された回転伝達ピン受容凹部３８に係合するようになっている。なお、回転伝達ピン４５は、シャンク係合部４２の外周面に溶接若しくは一体成形により立設させるようにしてもよい。
【００２９】
シャンク本体３９のフランジ部４３に形成された係合突起受容凹部４６は、後述するシャンクカバー体４０の先端側に取付けられた係合突起４７の先端部が係合するようになっている。
シャンク太径部４４の軸部には回転駆動源との連結部４８となるネジ穴が形成されている。このネジ穴は、例えば、回転駆動源となるドリルの駆動軸に形成された雄ネジに対応させたサイズに形成されたものである。連結部４８は、必ずしもネジ穴である必要はなく、回転駆動源と強固に連結できれば、適宜の他の連結形式でもよい。
【００３０】
シャンクカバー体４０は、基本的に円筒状で、その内側を形成する中央孔４９の内径が、コアドリル３１のシャンク取着部３４の外径とシャンク本体３９のフランジ部４３の外径に対応しており、シャンクカバー体４０の中央孔４９の内周面に、コアドリル３１のシャンク取着部３４の外周面とシャンク本体３９のフランジ部４３の外周面が摺動できるようになっている。
シャンクカバー体４０の後端には、軸心に向かって伸びるリング状の内側フランジ部５０が一体に形成されており、この内側フランジ部５０の内径が、シャンク太径部４４の外径に対応し、内側フランジ部５０の先端部が、シャンク太径部４４の周面を摺動できるようになっている。
【００３１】
また、シャンクカバー体４０の先端側には、周方向に係合突起４７が内側に向かって取付けられている。この係合突起４７は、シャンクカバー体４０の先端側に設けられた貫通孔５１に螺着等の手段で着脱自在に係合して取付できるようになっており、係合突起４７をシャンクカバー体４０の外側から貫通孔５１に係合させて内側へ突出させることにより、その先端部が、フランジ部４３の係合突起受容凹部４６に係合できるようになっている。
なお、シャンクカバー体４０の係合突起４７用取付部の肉厚を厚くしてフランジ状に形成し、その周面上に貫通孔５１を設けて係合突起４７とシャンクカバー体４０との連結強度を強化するようにするとよい。
また、シャンクカバー体４０の外周に沿って貫通孔５１上を通るＣリング受容溝５３を設け、この溝にＣリング５２を嵌入させて、貫通孔５１に螺合させた係合突起４７の頭部を摺接状に押圧可能とし、貫通孔５１からの係合突起４７の抜けを防止するようにするとよい。
【００３２】
バネ４１は、シャンク太径部４４上でフランジ部４３とシャンクカバー体４０の内側フランジ部５０との間に配置され、シャンクカバー体４０をコアドリル側に移動させてバネ４１を縮めた状態で、シャンクカバー体４０の先端に取付けられた係合突起４７をフランジ部４３の係合突起受容凹部４６に係合させることにより、シャンクカバー体４０がシャンク本体３９に取付けられて、シャンク３２を構成するようになっている。
【００３３】
このシャンク３２において、シャンクカバー体４０は、係合突起４７が係合突起受容凹部４６の壁面ａに係止した状態で、バネ４１により、常時シャンク本体３９から回転駆動源側に押圧されているが、回転伝達ピン４５をコアドリル３１の回転伝達ピン受容凹部３８に係合させ、シャンクカバー体４０をバネ４１の弾発力に抗してコアドリル３１側に移動させると、係合突起４７は係合突起受容凹部４６の壁面ａおよびその切欠部から離れ、コアドリル３１のシャンク取着部３４の係合突起受容溝３７に導入されるようになっている。
なお、図示例のバネ４１は、断面が円形のものを示してあるが、断面が矩形のもの等、適宜のものを採用してもよい。
【００３４】
次に、上記構成のシャンク３２をコアドリル３１に連結する場合の操作手順について述べる。
まず、シャンクカバー体４０を把持して、シャンク係合部４２の外周面に立設された回転伝達ピン４５を、コアドリル３１の回転伝達ピン受容凹部３８にそれぞれ挿入係合させる。
次いで、上記挿入係合させた状態で、シャンクカバー体４０をさらにコアドリル３１側へ移動させると、シャンクカバー体４０のみがバネ４１の弾発力に抗してコアドリル３１側へ移動し、それとともにシャンクカバー体４０の内側に突出した係合突起４７が、フランジ部４３の係合突起受容凹部４６から離れて移動し、コアドリル３１の係合突起受容溝３７に導入され、この溝の軸方向に伸びる最奥部に突き当たる。
突き当たった状態で、シャンクカバー体４０を周方向に回転させると、係合突起４７が係合突起受容溝３７に形成された周方向に沿って曲がる溝に沿って移動し、溝の最奥部で停止して連結作業は容易に終了する。
連結を解除するには、シャンクカバー体４０を反対の周方向に回転させ、シャンク３２をコアドリル３１から引き離すだけの操作で容易に解除することができる。
【００３５】
本発明のコアドリルワンタッチ取着構造のこの実施の形態において、コアドリル３１とシャンク３２との連結は、コアドリル３１の中央凹部３６の内周面とシャンク係合部４２の外周面、コアドリル３１のシャンク取着部３４のシャンク側先端面とシャンク本体３９のフランジ部４３の側面、コアドリル３１のシャンク取着部３４の外周面およびシャンク３２のシャンク本体３９のフランジ部４３の外周面とシャンクカバー体４０の中央孔４９の内周面、との三個所（三面）において面接触して係合連結されるため、図１０に示した従来のコアドリル７４とシャンク７１との連結構造で見られたがたつきが一切生じることがなく、また穿孔時のブレも生じない。
【００３６】
この実施の形態では、コアドリル３１のシャンク取着部の外周に形成した係合突起受容溝３７と回転伝達ピン受容凹部３８、およびこれらにそれぞれ係合する係合突起４７とシャンク３２に形成した回転伝達ピン４５は、周方向に等間隔に三個形成したものを示したが、これに限定されるものではなく、コアドリル３１およびシャンク３２のサイズや機能に応じて適宜な数に設定される。
コアドリル３１は、通常、軸心に形成された通水孔を介して切削水ないし冷却水等を流して穿孔する。この場合において、切削水等をシャンク取着部３４とシャンク本体３９の間から漏れないようにするために、シーリング用のＯリング５４をシャンク係合部４２の周方向に形成したＯリング溝５５に嵌めて用いる。
【００３７】
また、シャンクカバー体４０の外周面の少なくとも一部、特にフランジ状に形成した部分にローレット加工部（図示せず）を設けることは、シャンクカバー体４０に移動等のための力を掛けるに際して好ましい。
さらに、シャンクカバー体４０の外周面に、係合突起４７の位置を示す印や、回転方向を示す、例えば凹溝刻印等を付しておくと、コアドリル３１とシャンク３２との取着時や取外し時に便利である。
【００３８】
【発明の効果】
本発明によれば、シャンクカバー体をバネの弾発力に抗して移動させることにより、コアドリルとシャンクとをワンタッチで取着・分離が可能である。
また、バネの弾発力によって常時コアドリルがシャンク側に引かれていることにより、穿孔開始に際しても、シャンクとコアドリルとの係合が、落ち止めボールと落ち止めボール受容溝とでなされるタイプの場合に、落ち止めボールと落ち止めボール受容溝との係合が外れることがなく、また、係合突起と係合突起受容溝とでなされるタイプの場合に、コアドリルとシャンクとの連結が緩むことがなく、いずれの場合にも、穿孔開始に際してブレが発生する心配がない。
さらに、コアドリルとシャンクとの連結は、落ち止めボールと落ち止めボール受容溝とでなされるタイプの場合に、二個所（二面）による面接触係合構造であり、係合突起と係合突起受容溝とでなされるタイプの場合に、三個所（三面）における面接触係合構造であるため、がたつきが無く穿孔時のブレも無い。それ故、従来技術に比して精確な穿孔が行なえる。
さらにまた、回転伝達ピンと回転伝達ピン受容凹部との係合によって回転力が伝達されるので、充分な大きさの回転力の伝達が可能である。シャンクカバー体を設けているので、バネをはじめ、取着構造の主要部を覆い、ホコリ等から保護する機能も有する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のコアドリルワンタッチ取着構造の一実施の形態を示す分解説明図であり、上半分は断面を、下半分は正面を示す。
【図２】図１のＡ−Ａ部断面図を示す。
【図３】図１のＢ−Ｂ部断面図を示す。
【図４】図１のＣ−Ｃ部断面図を示す。
【図５】本発明に係るコアドリルワンタッチ取着構造の他の実施の形態を説明するための、コアドリルとシャンクとの分解説明図である。
【図６】図５のＤ−Ｄ線部の模式的断面図である。
【図７】図５のＥ−Ｅ矢視線からみた模式的断面図である。
【図８】図５のＦ−Ｆ線部の模式的断面図である。
【図９】コアドリルとシャンクとをワンタッチ取着する従来技術の一例を示す説明図である。
【図１０】コアドリルとシャンクとをワンタッチ取着する従来技術の別の例を示す説明図であり、（ａ）は分解説明図、（ｂ）はコアドリルの（ａ）で右から見た側面図である。
【符号の説明】
１：コアドリル
２：シャンク
３：ビット
４：シャンク取着部
５：筒状部
６：落ち止めボール受容溝
７：回転伝達ピン受容凹部
８：シャンク本体
９：シャンクカバー体
１０：バネ
１１：コアドリル取着凹部
１２：コアドリル取着部
１３：回転連結部
１４：シャンクカバー体係止フランジ
１５：バネ止め具
１６：Ｃリング
１７：Ｃリング受容溝
１８：落ち止めボール収納孔
１９：落ち止めボール
２０：回転伝達ピン
２１：落ち止めボール制御フランジ
２２：（落ち止めボール制御フランジの）後端面
２３：回転伝達ピン挿通孔
２４：Ｏリング
２５：Ｏリング溝
２６：ローレット加工部
３１：コアドリル
３２：シャンク
３３：ビット
３４：シャンク取着部
３５：筒状部
３６：中央凹部
３７：係合突起受容溝
３８：回転伝達ピン受容凹部
３９：シャンク本体
４０：シャンクカバー体
４１：バネ
４２：シャンク係合部
４３：フランジ部
４４：シャンク太径部
４５：回転伝達ピン
４６：係合突起受容凹部
４７：係合突起
４８：連結部（ネジ穴）
４９：（シャンクカバー体の）中央孔
５０：内側フランジ部
５１：貫通孔
５２：Ｃリング
５３：Ｃリング受容溝
５４：Ｏリング
５５：Ｏリング溝
６１：第１挿着溝
６２：コアドリル
６３：第２挿着溝
６４：係止部
６５：刃体
６６：コア収納部
６７：貫通孔
６８：切り屑排出溝
７１：シャンク
７２：係合ピン
７３：ビット
７４：コアドリル
７５：シャンク取着部
７６：第１挿着溝
７７：第２挿着溝
７８：動力伝達ピン
７９：圧縮バネ
８０：回転連結部
８１：係合リング
８２：通水孔
８３：Ｏリング
８４：Ｏリング溝
ａ：（係合突起受容凹部の回転駆動源側の）壁面
【発明の属する技術分野】
本発明は、コアドリルのシャンクへの着脱に関し、特には、コアドリルのシャンクへのワンタッチ着脱に関する。
【０００２】
【従来の技術】
コンクリート建築物や構築体に穴を開けるに際して、コアドリルが用いられる。コアドリルは、穿設する穴の外径近傍を削り取り、穴の中央部にコアを残してコアドリル内に収納して纏めて排出する穿孔工具である。
コアドリルは、シャンクを介して回転駆動源に接続される。コアドリルとシャンクとの接続は、ワンタッチで取着されることが好ましい。
従来のワンタッチ取着構造には、例えば、特開平９−１１００７号公報に記載されるような、図９に示すものがある。
【０００３】
図９において、図示しないシャンクの内周面に設けられた、シャンクの径方向に移動自在にバネで押圧保持されているボールを第１挿着溝６１に沿ってシャンクをコアドリル６２に向かって進行させ、第１挿着溝６１に直交する無端状の第２挿着溝６３に沿わせて回転進行させて、第２挿着溝６３内に設けた、部分球状穴の一部を構成する係止部６４に、ボールを係合させて取着する。
ボールは、ガスあるいは水道等のワンタッチ式の接続部分に採用されている係止・保持機構によって保持されているので、解除部材（ボールの後退を許容する部材）を操作しない限り、コアドリルとシャンクとは切り外されない。
なお、６８は、切り屑排出溝である。
【０００４】
図９に示すものでは、刃体６５で切り取られたコアは、コア収納部６６内に一時的に収納されるが、コアが傾いたり横にずれたりして、刃体６５に邪魔されて取り出し難い等の問題がある。
コアドリル６２の貫通孔６７の孔径が、図示のように、絞られているので、コアドリル６２をシャンクから取り外しても、コアを、貫通孔６７を通して取り出すことはできない。
【０００５】
別のワンタッチ式の取着機構に、図１０に示すようなものもある。
図１０において、シャンク７１の外周面に突出させた係合ピン７２を、先端にビット７３を有するコアドリル７４の後端に設けたシャンク取着部７５の内周面に軸方向に形成された第１挿着溝７６に沿わせて圧縮バネ７９の弾発力に抗して進行させ、さらに、第１挿着溝７６の終端から直交して円周方向に形成された第２挿着溝７７に沿わせて進行・回転させて、シャンク７１とコアドリル７４とを取着する。圧縮バネ７９は、回転連結部８０と係合リング８１との間に位置し、係合リング８１とシャンク取着部７５とが面接触する。
【０００６】
シャンク７１とコアドリル７４とを切り離す場合には、第２挿着溝７７に沿わせて進行・回転させて、係合ピン７２を第１挿着溝７６の位置に合わせることによって、係合ピン７２を第１挿着溝７６に沿わせて進行させることができる状態とする。第２挿着溝７７内に設けた動力伝達ピン７８が係合ピン７２と係合することによって、回転駆動力が伝達される。なお、８３は、通水孔８２から流される切削水等を止水するＯリングで、Ｏリング溝８４に嵌込まれる。
【０００７】
図１０に示す従来のワンタッチ取着機構においては、コアドリル７４内に収納されたコアが刃体側から取り出し難い場合には、シャンク７１とコアドリル７４とを切り離すことによって、刃体と反対側から容易に取り出すことができる様になっている。しかし、係合ピン７２と第２挿着溝７７との遊びに対して、常時は、圧縮バネ７９でコアドリル７４をシャンク７１から遠ざける方向に押しており、係合ピン７２は第２挿着溝７７の駆動連結側の壁に押圧されている。穿孔操作が開始される際にはコアドリルが被穿孔体に押されてシャンク７１側に押圧されるので、係合ピン７２は第２挿着溝７７のコアドリル７４側の壁に押圧されることになる。その結果、係合ピン７２と第２挿着溝７７の幅との遊びの範囲内で、ブレが発生し易い難がある。
【０００８】
取着時に相対回転の向きを間違えると、係合ピン７２と動力伝達ピン７８とが係合するために第１挿着溝７６を越えて移動する必要が生じ、コアドリル７４とシャンク７１との取着が解かれる危険性が生じ得るという難点もある。
さらに、シャンク７１とコアドリル７４との係合は、基本的にシャンク７１の外周面とコアドリル７４のシャンク取着部７５の内周面との一面接触でなされており、面接触によるブレ止め効果は少ない。シャンク取着部７５の後端面が係合する係合リング８１は、係合リング８１の他端が圧縮バネ７９に係合しているので、ブレ止め効果は発揮されない。
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の難点に鑑み、充分な大きさの回転力を伝達可能であり、ブレの極めて少ないワンタッチ着脱式のコアドリル取着構造を提供することを課題とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項１に係る発明のコアドリルワンタッチ取着構造は、
先端にビット３を有し後端にシャンク取着部４を有するコアドリル１と、回転駆動源に連結されるシャンク２とからなり、
前記シャンク取着部４は、基本的に中空体であって、外径がシャンク２のコアドリル取着凹部１１の径に対応し、外周面の先端部近傍に落ち止めボール受容溝６を有し、シャンク側端部に回転伝達ピン受容凹部７を有し、
前記シャンク２は、シャンク本体８とシャンクカバー体９と前記シャンク本体８と前記シャンクカバー体９とを離間させる方向に弾発するバネ１０とからなり、
前記シャンク本体８は、基本的に中空体であって、前端が軸部にコアドリル取着凹部１１を有するコアドリル取着部１２、後端が軸部に回転駆動源と連結される回転連結部１３となっており、
前記コアドリル取着部１２は、外周面前端にシャンクカバー体係止フランジ１４を有し、外周面後端近傍にバネ止め具１５が位置決めされ、前端近傍に前記コアドリル取着部１２の壁を貫いて落ち止めボール収納孔１８が形成され、前記落ち止めボール収納孔１８内に落ち止めボール１９が収納され、前記コアドリル取着凹部１１の底に接するようにして回転伝達ピン２０が設置されており、
前記シャンクカバー体９は、基本的に中空体であって、内周面前端に落ち止めボール制御フランジ２１が形成され、前記落ち止めボール制御フランジ２１の内周面は、前記落ち止めボール１９の前記コアドリル取着凹部１１への出没量を制御するカム形状をなしており、
前記バネ１０は、その両端を前記落ち止めボール制御フランジ２１の後端面２２と前記バネ止め具１５とに規制されるように配置されていることを特徴とする。
前記バネ止め具１５が、コアドリル取着部１２の外周部に摺接され、Ｃリング１６を用いて位置決めされるものであることが好ましい。
【００１１】
請求項３に係る発明のワンタッチ着脱式のコアドリル取着構造は、
先端にビット３３を有し後端にシャンク取着部３４を有するコアドリル３１と、回転駆動源に連結されるシャンク３２とからなり、
前記シャンク取着部３４は、基本的に中空体であって、内側にシャンク係合部４２を受け入れる中央凹部３６を有し、外側面に、軸方向に伸び最奥部で周方向に沿って曲がる係合突起受容溝３７を有し、シャンク側先端に回転伝達ピン受容凹部３８を有しており、
前記シャンク３２は、シャンク本体３９と、シャンクカバー体４０と、前記シャンク本体３９と前記シャンクカバー体４０とを離間させる方向に弾発するバネ４１とからなり、
前記シャンク本体３９は、前方にシャンク係合部４２、中央部にフランジ部４３、後方にシャンク太径部４４が一体に形成されており、このフランジ部４３の外径周面は、前記コアドリル３１のシャンク取着部３４の外径と一致しており、
前記シャンク係合部４２の前記フランジ部４３近傍の外周面には、回転伝達ピン４５が設けられ、
前記フランジ部４３の外周にはシャンクカバー体４０を止着する係合突起４７用の係合突起受容凹部４６が形成されており、
前記シャンク太径部４４の軸部には回転駆動源との連結部４８が形成されており、
前記シャンクカバー体４０は、前記コアドリル３１のシャンク取着部３４とシャンク本体３９のフランジ部４３の外径に対応する内径の中央孔４９を有し、後端には、前記シャンク太径部４４の外径に対応する内側フランジ部５０が形成され、先端側には係合突起４７が内側に向かって取付られており、
前記バネ４１は、前記シャンク本体３９のフランジ部４３とシャンクカバー体４０の内側フランジ部５０との間に配置されていることを特徴とする。
前記フランジ部４３に形成される前記係合突起受容凹部４６が、回転駆動源側に壁面ａを有し、コアドリル側が切欠かれた形状であること、前記係合突起４７が、シャンクカバー体４０の先端側に、着脱自在に取付られていること、前記係合突起４７が、Ｃリング５２をシャンクカバー体４０の外周に沿って設けたＣリング受容溝５３に嵌入させることにより抜け止めされていること、前記シャンク係合部４２の外周部に、周方向にシーリング用のＯリング５４用のＯリング溝５５が形成されていることが、それぞれ好ましい。
【００１２】
【発明の実施の形態】
本発明のコアドリルワンタッチ取着構造は、シャンクとコアドリルとの係合が、シャンク側に収納された出没可能な落ち止めボールとコアドリル側の設けられた落ち止めボール受容溝とでなされるタイプと、シャンク側の係合突起とコアドリル側の設けられた係合突起受容溝とでなされるタイプとに大別される。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図１は、本発明に係るコアドリルワンタッチ取着構造の一実施の形態を説明するための、コアドリルとシャンクとの分解説明図であり、上半分は断面を、下半分は正面を示す。図２は図１のＡ−Ａ部断面図、図３は図１のＢ−Ｂ部断面図、図４は図１のＣ−Ｃ部断面図を示す。
図５は、本発明に係るコアドリルワンタッチ取着構造の他の実施の形態を説明するための、コアドリルとシャンクとの分解説明図である。図６は、図５のＤ−Ｄ線の模式的断面図であり、図７は、図５のＥ−Ｅ矢視線からみた模式的断面図である。また、図８は、図５のＦ−Ｆ線の模式的断面図である。
【００１３】
請求項１に係る発明のコアドリルワンタッチ取着構造は、図１に示すように、コアドリル１とシャンク２とからなる。
コアドリル１は、先端にビット３、後端にシャンク取着部４をそれぞれ設けた筒状部５からなる。筒状部５の径と長さは、コンクリート等に穿孔する穴の太さと深さに適応させて、任意のものとなし得る。
ビット３は、超硬合金層を筒状部５の先端部全周に積層してもよいし、その積層先端部に適宜の数の切り欠きを設けたものでもよいし、筒状部５の先端部に超硬チップ等を鑞付け等で複数個設けるものであってもよい。
シャンク取着部４は、基本的に中空体であり、外径がシャンク２のコアドリル取着凹部１１の径に対応し、外周面の先端部近傍に落ち止めボール受容溝６を有し、シャンク側端面に回転伝達ピン受容凹部７を有する。
落ち止めボール受容溝６は、断面が截頭円錐台形状をしている。
また、回転伝達ピン受容凹部７の深さを回転伝達ピン２０の直径よりも若干量大きくすることで、シャンク取着部４の後端面２２とコアドリル取着凹部１１の底面とが当接する。
【００１４】
シャンク２は、シャンク本体８と、シャンクカバー体９と、シャンク本体８とシャンクカバー体９とを離間させる方向に弾発するバネ１０（圧縮バネ）とからなる。
シャンク本体８は、基本的に中空体であって、前端が軸部にコアドリル取着凹部１１を有するコアドリル取着部１２、後端が軸部に回転駆動源と連結される回転連結部１３となっている。コアドリル取着凹部１１の内径は、コアドリル１のシャンク取着部４の外径に対応している。回転連結部１３の内径には、常法通り、回転駆動源と連結される雌ネジが形成されている常法通りのものであり得るが、回転駆動源と連結され得れば、雌ネジ式連結に限らず、適宜の他の連結形式でも差し支えない。
【００１５】
コアドリル取着部１２は、外周面前端にシャンクカバー体係止フランジ１４が形成されており、外周面後端近傍にバネ止め具１５が位置決めされる。コアドリル取着部１２へのバネ止め具１５の位置決めは、図示例では、コアドリル取着部１２の外径とバネ止め具１５の内径とが対応する径として摺接される態様として示されているが、摺接に代えて、コアドリル取着部１２とバネ止め具１５とは、相互にねじ止めするタイプ等、適宜の形態とすることができる。
バネ止め具１５の位置決めが摺接タイプの態様の場合には、バネ止め具１５の位置決めされる部分に続いて外周にＣリング１６を受容するＣリング受容溝１７が形成されて、バネ止め具１５がシャンク２から離脱しないようにＣリング１６を用いて位置決めされる。
【００１６】
コアドリル取着部１２の前端近傍には、コアドリル取着部１２の壁を貫いて落ち止めボール収納孔１８が形成され、落ち止めボール１９が収納される。落ち止めボール１９は、円周に均等に複数個配置されることが好ましい。より好ましい例として、落ち止めボール１９が配置されたものが図３に示されている。
落ち止めボール収納孔１８は、落ち止めボール１９がコアドリル取着部１２の内径側に抜け落ちないような形状をなしている。
コアドリル取着凹部１１の底に接するようにして、コアドリル取着部１２には回転伝達ピン２０が設けられる。回転伝達ピン２０は、コアドリル取着部１２の直径の両端に通し孔（回転伝達ピン挿通孔２３）を形成し、回転伝達ピン２０を挿通させた後、適宜の抜け止め措置がなされる。図示例では、バネ止め具１５によって回転伝達ピン挿通孔２３が蓋されている。抜け止め措置としては、他に、例えばかしめ等の措置を行うこともできる。
【００１７】
シャンクカバー体９は、基本的に中空体であって、その内周面前端に落ち止めボール制御フランジ２１が形成される。落ち止めボール制御フランジ２１の内周面は、落ち止めボール１９の前記コアドリル取着凹部１１への出没量を制御するカム形状をなしている。制御するカム形状は、前端側で内径が大きく、後端側で内径が小さい。図示例では、内径が小さい部分で幅の狭い円筒形状をなし、外側に向かって２段の截頭円錐台形状をしている例が示されているが、カム形状は図示例に限られない。このようなカム形状によって、円筒形状をなす部分で落ち止めボール１９はシャンク２の内面側に最も突出した状態に規制され、他の截頭円錐台形状の径に従って、落ち止めボール１９はシャンク２のコアドリル取着部１２の壁内（肉厚内）に没入することができるように規制される。
【００１８】
落ち止めボール制御フランジ２１の後端面２２は、バネ１０と係合する。図示例では、シャンク２の軸に垂直な平面とされている例として示すが、この平面の態様に限られるものではない。
シャンクカバー体９に設けられる落ち止めボール制御フランジ２１のカム形状の中間径部分がコアドリル取着部１２に設けられたシャンクカバー体係止フランジ１４に当接することにより、シャンクカバー体９の前端方向への移動が規制される。
【００１９】
バネ１０は、その両端を落ち止めボール制御フランジ２１の後端面２２とバネ止め具１５とに規制されるように配置されている。バネ１０は、前述の通り、シャンク本体８とシャンクカバー体９とを離間させる方向に弾発する圧縮バネであり、常時は、シャンク本体８のコアドリル取着部１２に位置決めされたバネ止め具１５とシャンクカバー体９に設けられている落ち止めボール制御フランジ２１の後端面２２とを離間させる方向に弾発して、シャンクカバー体９を先端側に押圧移動させている。
なお、図示例のバネ１０は断面が円形のものとして示してあるが、断面が矩形のもの等、適宜のものであり得る。
【００２０】
湿式のコアドリルは、通水孔を介して切削水ないし冷却水等を流して穿孔する。切削水等をシャンク取着部４の外面等に回らないように止水するために、Ｏリング２４をＯリング溝２５に嵌めて用いる。Ｏリング２４を痛めないように、シャンク取着部４の後端側外周面を減肉しておくことが好ましい。
シャンクカバー体９の外周面の少なくとも一部にローレット加工部２６を設けることは、シャンクカバー体９に移動等のための力を掛けるに際して好ましいことである。
シャンク取着部４の先端面とシャンク本体８の先端面とに、回転伝達ピン２０と回転伝達ピン受容凹部７とが対応する位置を示す印、例えば凹溝刻印等を付しておくと、コアドリルとシャンクとの取着時に便利である。
【００２１】
ここで、この実施の形態のコアドリルワンタッチ取着構造における、コアドリルとシャンクとの係合・分離の動作について説明する。
通常の状態では、シャンクカバー体９は、バネ１０により後端側に位置しており、落ち止めボール制御フランジ２１のカム形状の内径が小さい後端側の円筒形状部分が落ち止めボール１９の位置にあり、またはカム形状の内径が比較的小さい部分が落ち止めボール１９の位置にあり、したがって、落ち止めボール１９がシャンク２の内面側に最も突出した状態に規制されている。
【００２２】
バネ１０の弾発力に抗してシャンクカバー体９を後端側に移動させていくと、落ち止めボール１９は、落ち止めボール制御フランジ２１のカム形状の規制範囲内で、コアドリル取着部１２の内径から没入し得る状態になっていく。
圧縮バネであるバネ１０の圧縮限界に規制されてシャンクカバー体９を最も後端側に移動させた位置においては、落ち止めボール１９は完全にコアドリル取着部１２の内径から没入し得る状態になり、シャンク２のコアドリル取着凹部１１とコアドリル１のシャンク取着部４とは摺動可能な状態となり、シャンク取着部４後端の回転伝達ピン受容凹部７とコアドリル取着部１２に設けられている回転伝達ピン２０との位置を合わせてシャンク２にコアドリル１のシャンク取着部４を挿入し、落ち止めボール１９が落ち止めボール受容溝６に落ち込むことによって、コアドリル１とシャンク２とが係合される。
【００２３】
このとき、落ち止めボール１９は落ち止めボール受容溝６の後端側の傾斜面に接し、シャンク２とコアドリル１とが摺動することができない状態となり、コアドリル１は後端側（シャンク２側）に引き寄せられる。
コアドリル１とシャンク２とが係合されている状態から、バネ１０の弾発力に抗してシャンクカバー体９を後端側に移動させると、落ち止めボール制御フランジ２１のカム形状に対応して、落ち止めボール１９が落ち止めボール収納孔１８内に没入し得る状態となり、コアドリル取着凹部１１とシャンク取着部４とが摺動可能な状態となるので、コアドリル１とシャンク２とを引き離す方向に引っ張ることにより、コアドリル１とシャンク２とが分離される。
【００２４】
本発明のコアドリルワンタッチ取着構造のこの実施の形態において、コアドリル１とシャンク２との連結は、コアドリル１のシャンク取着部４の外周面とシャンク２のコアドリル取着凹部１１の内周面、シャンク取着部４のシャンク側先端面とコアドリル取着凹部１１の底面、の二個所（二面）において面接触して係合連結されるため、図１０に示した従来のコアドリル７４とシャンク７１との連結構造で見られたがたつきが一切生じることがなく、また穿孔時のブレも生じない。
【００２５】
請求項３に係る発明のコアドリルワンタッチ取付構造は、図５に示すように、コアドリル３１とシャンク３２とからなる。
コアドリル３１は、先端にビット３３、後端にシャンク取着部３４をそれぞれ設けた筒状部３５からなる。筒状部３５の径と長さは、コンクリート等に穿孔する穴の太さと深さに適応させて、任意のものとなし得る。
ビット３３は、超硬合金層を筒状部３５の先端部全周に、要すれば一部切欠部を設けて、積層してもよいし、超硬チップ等を鑞付け等で複数個設けるものであってもよい。
このシャンク取着部３４は、基本的に中空体であり、後端内側にシャンク本体３９の後述するシャンク係合部４２を摺動的に受け入れる中央凹部３６を有している。
【００２６】
また、円筒状のシャンク取着部３４の外周面には、軸方向に伸び、最奥部で周方向に沿って曲がる係合突起受容溝３７が形成され、シャンク取着部３４のシャンク側である後端には、Ｕ字形の回転伝達ピン受容凹部３８が形成されている。
上記係合突起受容溝３７が最奥部で周方向に曲がる角度は、軸方向に対し直角あるいは回転駆動源側若しくはコアドリル側のいずれかの方向に適宜の角度に傾斜するものであってもよいが、抜け防止の観点から、図に示すように、回転駆動源側に曲がるように形成するのが望ましい。
【００２７】
シャンク３２は、シャンク本体３９とシャンクカバー体４０と、シャンク本体３９とシャンクカバー体４０とを離間させる方向に弾発するバネ４１（圧縮バネ）とからなる。
シャンク本体３９は、基本的に中空体であって、前方にコアドリル３１のシャンク取着部３４の中央凹部３６に挿入係合されるシャンク係合部４２、中央部にフランジ部４３、後方にシャンク太径部４４が一体に形成されている。
シャンク係合部４２の外径は、コアドリル３１のシャンク取着部３４の中央凹部３６の内径に対応しており、フランジ部４３の外径は、コアドリル３１のシャンク取着部３４の外径と一致している。
【００２８】
シャンク係合部４２は、その外周面のフランジ部４３の近傍に回転伝達ピン４５が立設されており、フランジ部４３の外周には、シャンクカバー体４０を止着する係合突起４７を係合する係合突起受容凹部４６が形成されている。
この係合突起受容凹部４６は、回転駆動源側に壁面ａを有し、コアドリル３１側が、係合突起４７を出入可能なように、切欠かれた形状に形成されている。
回転伝達ピン４５は、シャンク係合部４２の外周面に形成した取付穴に螺着等の手段で立設されており、コアドリル３１のシャンク取着部３４の先端に形成された回転伝達ピン受容凹部３８に係合するようになっている。なお、回転伝達ピン４５は、シャンク係合部４２の外周面に溶接若しくは一体成形により立設させるようにしてもよい。
【００２９】
シャンク本体３９のフランジ部４３に形成された係合突起受容凹部４６は、後述するシャンクカバー体４０の先端側に取付けられた係合突起４７の先端部が係合するようになっている。
シャンク太径部４４の軸部には回転駆動源との連結部４８となるネジ穴が形成されている。このネジ穴は、例えば、回転駆動源となるドリルの駆動軸に形成された雄ネジに対応させたサイズに形成されたものである。連結部４８は、必ずしもネジ穴である必要はなく、回転駆動源と強固に連結できれば、適宜の他の連結形式でもよい。
【００３０】
シャンクカバー体４０は、基本的に円筒状で、その内側を形成する中央孔４９の内径が、コアドリル３１のシャンク取着部３４の外径とシャンク本体３９のフランジ部４３の外径に対応しており、シャンクカバー体４０の中央孔４９の内周面に、コアドリル３１のシャンク取着部３４の外周面とシャンク本体３９のフランジ部４３の外周面が摺動できるようになっている。
シャンクカバー体４０の後端には、軸心に向かって伸びるリング状の内側フランジ部５０が一体に形成されており、この内側フランジ部５０の内径が、シャンク太径部４４の外径に対応し、内側フランジ部５０の先端部が、シャンク太径部４４の周面を摺動できるようになっている。
【００３１】
また、シャンクカバー体４０の先端側には、周方向に係合突起４７が内側に向かって取付けられている。この係合突起４７は、シャンクカバー体４０の先端側に設けられた貫通孔５１に螺着等の手段で着脱自在に係合して取付できるようになっており、係合突起４７をシャンクカバー体４０の外側から貫通孔５１に係合させて内側へ突出させることにより、その先端部が、フランジ部４３の係合突起受容凹部４６に係合できるようになっている。
なお、シャンクカバー体４０の係合突起４７用取付部の肉厚を厚くしてフランジ状に形成し、その周面上に貫通孔５１を設けて係合突起４７とシャンクカバー体４０との連結強度を強化するようにするとよい。
また、シャンクカバー体４０の外周に沿って貫通孔５１上を通るＣリング受容溝５３を設け、この溝にＣリング５２を嵌入させて、貫通孔５１に螺合させた係合突起４７の頭部を摺接状に押圧可能とし、貫通孔５１からの係合突起４７の抜けを防止するようにするとよい。
【００３２】
バネ４１は、シャンク太径部４４上でフランジ部４３とシャンクカバー体４０の内側フランジ部５０との間に配置され、シャンクカバー体４０をコアドリル側に移動させてバネ４１を縮めた状態で、シャンクカバー体４０の先端に取付けられた係合突起４７をフランジ部４３の係合突起受容凹部４６に係合させることにより、シャンクカバー体４０がシャンク本体３９に取付けられて、シャンク３２を構成するようになっている。
【００３３】
このシャンク３２において、シャンクカバー体４０は、係合突起４７が係合突起受容凹部４６の壁面ａに係止した状態で、バネ４１により、常時シャンク本体３９から回転駆動源側に押圧されているが、回転伝達ピン４５をコアドリル３１の回転伝達ピン受容凹部３８に係合させ、シャンクカバー体４０をバネ４１の弾発力に抗してコアドリル３１側に移動させると、係合突起４７は係合突起受容凹部４６の壁面ａおよびその切欠部から離れ、コアドリル３１のシャンク取着部３４の係合突起受容溝３７に導入されるようになっている。
なお、図示例のバネ４１は、断面が円形のものを示してあるが、断面が矩形のもの等、適宜のものを採用してもよい。
【００３４】
次に、上記構成のシャンク３２をコアドリル３１に連結する場合の操作手順について述べる。
まず、シャンクカバー体４０を把持して、シャンク係合部４２の外周面に立設された回転伝達ピン４５を、コアドリル３１の回転伝達ピン受容凹部３８にそれぞれ挿入係合させる。
次いで、上記挿入係合させた状態で、シャンクカバー体４０をさらにコアドリル３１側へ移動させると、シャンクカバー体４０のみがバネ４１の弾発力に抗してコアドリル３１側へ移動し、それとともにシャンクカバー体４０の内側に突出した係合突起４７が、フランジ部４３の係合突起受容凹部４６から離れて移動し、コアドリル３１の係合突起受容溝３７に導入され、この溝の軸方向に伸びる最奥部に突き当たる。
突き当たった状態で、シャンクカバー体４０を周方向に回転させると、係合突起４７が係合突起受容溝３７に形成された周方向に沿って曲がる溝に沿って移動し、溝の最奥部で停止して連結作業は容易に終了する。
連結を解除するには、シャンクカバー体４０を反対の周方向に回転させ、シャンク３２をコアドリル３１から引き離すだけの操作で容易に解除することができる。
【００３５】
本発明のコアドリルワンタッチ取着構造のこの実施の形態において、コアドリル３１とシャンク３２との連結は、コアドリル３１の中央凹部３６の内周面とシャンク係合部４２の外周面、コアドリル３１のシャンク取着部３４のシャンク側先端面とシャンク本体３９のフランジ部４３の側面、コアドリル３１のシャンク取着部３４の外周面およびシャンク３２のシャンク本体３９のフランジ部４３の外周面とシャンクカバー体４０の中央孔４９の内周面、との三個所（三面）において面接触して係合連結されるため、図１０に示した従来のコアドリル７４とシャンク７１との連結構造で見られたがたつきが一切生じることがなく、また穿孔時のブレも生じない。
【００３６】
この実施の形態では、コアドリル３１のシャンク取着部の外周に形成した係合突起受容溝３７と回転伝達ピン受容凹部３８、およびこれらにそれぞれ係合する係合突起４７とシャンク３２に形成した回転伝達ピン４５は、周方向に等間隔に三個形成したものを示したが、これに限定されるものではなく、コアドリル３１およびシャンク３２のサイズや機能に応じて適宜な数に設定される。
コアドリル３１は、通常、軸心に形成された通水孔を介して切削水ないし冷却水等を流して穿孔する。この場合において、切削水等をシャンク取着部３４とシャンク本体３９の間から漏れないようにするために、シーリング用のＯリング５４をシャンク係合部４２の周方向に形成したＯリング溝５５に嵌めて用いる。
【００３７】
また、シャンクカバー体４０の外周面の少なくとも一部、特にフランジ状に形成した部分にローレット加工部（図示せず）を設けることは、シャンクカバー体４０に移動等のための力を掛けるに際して好ましい。
さらに、シャンクカバー体４０の外周面に、係合突起４７の位置を示す印や、回転方向を示す、例えば凹溝刻印等を付しておくと、コアドリル３１とシャンク３２との取着時や取外し時に便利である。
【００３８】
【発明の効果】
本発明によれば、シャンクカバー体をバネの弾発力に抗して移動させることにより、コアドリルとシャンクとをワンタッチで取着・分離が可能である。
また、バネの弾発力によって常時コアドリルがシャンク側に引かれていることにより、穿孔開始に際しても、シャンクとコアドリルとの係合が、落ち止めボールと落ち止めボール受容溝とでなされるタイプの場合に、落ち止めボールと落ち止めボール受容溝との係合が外れることがなく、また、係合突起と係合突起受容溝とでなされるタイプの場合に、コアドリルとシャンクとの連結が緩むことがなく、いずれの場合にも、穿孔開始に際してブレが発生する心配がない。
さらに、コアドリルとシャンクとの連結は、落ち止めボールと落ち止めボール受容溝とでなされるタイプの場合に、二個所（二面）による面接触係合構造であり、係合突起と係合突起受容溝とでなされるタイプの場合に、三個所（三面）における面接触係合構造であるため、がたつきが無く穿孔時のブレも無い。それ故、従来技術に比して精確な穿孔が行なえる。
さらにまた、回転伝達ピンと回転伝達ピン受容凹部との係合によって回転力が伝達されるので、充分な大きさの回転力の伝達が可能である。シャンクカバー体を設けているので、バネをはじめ、取着構造の主要部を覆い、ホコリ等から保護する機能も有する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のコアドリルワンタッチ取着構造の一実施の形態を示す分解説明図であり、上半分は断面を、下半分は正面を示す。
【図２】図１のＡ−Ａ部断面図を示す。
【図３】図１のＢ−Ｂ部断面図を示す。
【図４】図１のＣ−Ｃ部断面図を示す。
【図５】本発明に係るコアドリルワンタッチ取着構造の他の実施の形態を説明するための、コアドリルとシャンクとの分解説明図である。
【図６】図５のＤ−Ｄ線部の模式的断面図である。
【図７】図５のＥ−Ｅ矢視線からみた模式的断面図である。
【図８】図５のＦ−Ｆ線部の模式的断面図である。
【図９】コアドリルとシャンクとをワンタッチ取着する従来技術の一例を示す説明図である。
【図１０】コアドリルとシャンクとをワンタッチ取着する従来技術の別の例を示す説明図であり、（ａ）は分解説明図、（ｂ）はコアドリルの（ａ）で右から見た側面図である。
【符号の説明】
１：コアドリル
２：シャンク
３：ビット
４：シャンク取着部
５：筒状部
６：落ち止めボール受容溝
７：回転伝達ピン受容凹部
８：シャンク本体
９：シャンクカバー体
１０：バネ
１１：コアドリル取着凹部
１２：コアドリル取着部
１３：回転連結部
１４：シャンクカバー体係止フランジ
１５：バネ止め具
１６：Ｃリング
１７：Ｃリング受容溝
１８：落ち止めボール収納孔
１９：落ち止めボール
２０：回転伝達ピン
２１：落ち止めボール制御フランジ
２２：（落ち止めボール制御フランジの）後端面
２３：回転伝達ピン挿通孔
２４：Ｏリング
２５：Ｏリング溝
２６：ローレット加工部
３１：コアドリル
３２：シャンク
３３：ビット
３４：シャンク取着部
３５：筒状部
３６：中央凹部
３７：係合突起受容溝
３８：回転伝達ピン受容凹部
３９：シャンク本体
４０：シャンクカバー体
４１：バネ
４２：シャンク係合部
４３：フランジ部
４４：シャンク太径部
４５：回転伝達ピン
４６：係合突起受容凹部
４７：係合突起
４８：連結部（ネジ穴）
４９：（シャンクカバー体の）中央孔
５０：内側フランジ部
５１：貫通孔
５２：Ｃリング
５３：Ｃリング受容溝
５４：Ｏリング
５５：Ｏリング溝
６１：第１挿着溝
６２：コアドリル
６３：第２挿着溝
６４：係止部
６５：刃体
６６：コア収納部
６７：貫通孔
６８：切り屑排出溝
７１：シャンク
７２：係合ピン
７３：ビット
７４：コアドリル
７５：シャンク取着部
７６：第１挿着溝
７７：第２挿着溝
７８：動力伝達ピン
７９：圧縮バネ
８０：回転連結部
８１：係合リング
８２：通水孔
８３：Ｏリング
８４：Ｏリング溝
ａ：（係合突起受容凹部の回転駆動源側の）壁面
Claims (7)
- 先端にビット３を有し後端にシャンク取着部４を有するコアドリル１と、回転駆動源に連結されるシャンク２とからなり、
前記シャンク取着部４は、基本的に中空体であって、外径がシャンク２のコアドリル取着凹部１１の径に対応し、外周面の先端部近傍に落ち止めボール受容溝６を有し、シャンク側端部に回転伝達ピン受容凹部７を有し、
前記シャンク２は、シャンク本体８とシャンクカバー体９と前記シャンク本体８と前記シャンクカバー体９とを離間させる方向に弾発するバネ１０とからなり、
前記シャンク本体８は、基本的に中空体であって、前端が軸部にコアドリル取着凹部１１を有するコアドリル取着部１２、後端が軸部に回転駆動源と連結される回転連結部１３となっており、
前記コアドリル取着部１２は、外周面前端にシャンクカバー体係止フランジ１４を有し、外周面後端近傍にバネ止め具１５が位置決めされ、前端近傍に前記コアドリル取着部１２の壁を貫いて落ち止めボール収納孔１８が形成され、前記落ち止めボール収納孔１８内に落ち止めボール１９が収納され、前記コアドリル取着凹部１１の底に接するようにして回転伝達ピン２０が設置されており、
前記シャンクカバー体９は、基本的に中空体であって、内周面前端に落ち止めボール制御フランジ２１が形成され、前記落ち止めボール制御フランジ２１の内周面は、前記落ち止めボール１９の前記コアドリル取着凹部１１への出没量を制御するカム形状をなしており、
前記バネ１０は、その両端を前記落ち止めボール制御フランジ２１の後端面２２と前記バネ止め具１５とに規制されるように配置されている
ことを特徴とするコアドリルワンタッチ取着構造。 - 前記バネ止め具１５が、コアドリル取着部１２の外周部に摺接され、Ｃリング１６を用いて位置決めされる請求項１に記載のコアドリルワンタッチ取着構造。
- 先端にビット３３を有し後端にシャンク取着部３４を有するコアドリル３１と、回転駆動源に連結されるシャンク３２とからなり、
前記シャンク取着部３４は、基本的に中空体であって、内側にシャンク係合部４２を受け入れる中央凹部３６を有し、外側面に、軸方向に伸び最奥部で周方向に沿って曲がる係合突起受容溝３７を有し、シャンク側先端に回転伝達ピン受容凹部３８を有しており、
前記シャンク３２は、シャンク本体３９と、シャンクカバー体４０と、前記シャンク本体３９と前記シャンクカバー体４０とを離間させる方向に弾発するバネ４１とからなり、
前記シャンク本体３９は、前方にシャンク係合部４２、中央部にフランジ部４３、後方にシャンク太径部４４が一体に形成されており、このフランジ部４３の外径周面は、前記コアドリル３１のシャンク取着部３４の外径と一致しており、
前記シャンク係合部４２の前記フランジ部４３近傍の外周面には、回転伝達ピン４５が設けられ、
前記フランジ部４３の外周にはシャンクカバー体４０を止着する係合突起４７用の係合突起受容凹部４６が形成されており、
前記シャンク太径部４４の軸部には回転駆動源との連結部４８が形成されており、
前記シャンクカバー体４０は、前記コアドリル３１のシャンク取着部３４とシャンク本体３９のフランジ部４３の外径に対応する内径の中央孔４９を有し、後端には、前記シャンク太径部４４の外径に対応する内側フランジ部５０が形成され、先端側には係合突起４７が内側に向かって取付られており、
前記バネ４１は、前記シャンク本体３９のフランジ部４３とシャンクカバー体４０の内側フランジ部５０との間に配置されている
ことを特徴とするコアドリルワンタッチ取着構造。 - 前記フランジ部４３に形成される前記係合突起受容凹部４６が、回転駆動源側に壁面ａを有し、コアドリル側が切欠かれた形状である請求項３記載のコアドリルワンタッチ取着構造。
- 前記係合突起４７が、シャンクカバー体４０の先端側に、着脱自在に取付られている請求項３記載のコアドリルワンタッチ取着構造。
- 前記係合突起４７が、Ｃリング５２をシャンクカバー体４０の外周に沿って設けたＣリング受容溝５３に嵌入させることにより抜け止めされている請求項３記載のコアドリルワンタッチ取着構造。
- 前記シャンク係合部４２の外周部に、周方向にシーリング用のＯリング５４用のＯリング溝５５が形成されている請求項３記載のコアドリルワンタッチ取着構造。
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