JP2004041093A - 細胞培養装置および細胞培養方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】細胞に効果的に酸素を供給することができる細胞培養装置および細胞培養方法を提供する。
【解決手段】液体培地を用いる細胞培養装置および細胞培養方法であって、該液体培地を収納するとともに酸素含有ガスを流通させる培養槽1と、該培養槽1内を2つの空間に分けるように設置され、液体培地およびガスを透過させる網目状の仕切り板2とを含み、該仕切り板2によって形成された一方の空間が培養物を収納する培養物収納部16であることを特徴とする細胞培養装置および該細胞培養装置を用いる細胞培養方法を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】液体培地を用いる細胞培養装置および細胞培養方法であって、該液体培地を収納するとともに酸素含有ガスを流通させる培養槽1と、該培養槽1内を2つの空間に分けるように設置され、液体培地およびガスを透過させる網目状の仕切り板2とを含み、該仕切り板2によって形成された一方の空間が培養物を収納する培養物収納部16であることを特徴とする細胞培養装置および該細胞培養装置を用いる細胞培養方法を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体培地を用いる細胞培養方法および培養装置に関し、特に、培養物へ効率的に酸素を供給することができる細胞培養装置および細胞培養方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1970年代に米国で起こり、やがて日本を含む先進国に広がっていった所謂バイオテクノロジーは、細胞の培養技術をその基盤のひとつとしている。例えば、タンパク質や代謝産物を生産するために、遺伝子組換えされた微生物や動植物の細胞が工業的な規模で培養されている。あるいは、組織や器官、時には個体そのものを得る目的で、種々の細胞や組織が培養されている。このような産業上の細胞の培養において、細胞をより効果的に培養するために、あるいは、スケールアップして培養するために様々な細胞培養方法が考案されてきている。
【0003】
ここで、培養物への栄養源の供給や培養物からの老廃物の除去を容易にするため、このような培養は一般的に液体培地が用いられている。また、培養物は呼吸をしているため、このような培養には酸素の供給が必須である。このため、従来、培養物への酸素供給は液体培地に酸素を溶解させることにより行なわれている。しかし、水に対する酸素の溶解度は極めて低い(例えば、25℃のとき約8ppm)ので、効果的に培養するためには、培養物へ酸素を効率良く供給することが必要である。
【0004】
特に、植物の細胞および/または組織から医薬などの有用な物質が得られる場合があるため、これら植物の細胞等を工業的に培養し、有用な二次代謝産物を得ようとする試みが盛んになされている。
【0005】
従来、醗酵分野等におけるように微生物を大量に培養する装置としては撹拌羽根を備えた通気培養槽が使用されており、植物の細胞等を大量に培養する場合にも同様に撹拌装置を備えた通気培養層を使用する試みがなされた。この場合の撹拌は主として細胞等の沈殿を防ぎ、細胞等が増殖するために必要な栄養源や酸素と充分に接触させるために行われるものである。しかし、微生物の培養の場合と異なり、植物の細胞等の培養は撹拌の影響を受け易く、撹拌の強度が強すぎると増殖の低下や停止が起こる場合があり、その結果、二次代謝産物の生産を効率よく行えない場合等があった。
【0006】
これに代わる培養装置として、植物の細胞等の培養に回転式円筒型培養装置を使用する細胞培養方法が提案されている。特に、酸素をより効果的に供給することで植物の細胞等を大規模にかつ効率良く製造するために、培養液の内部に多孔中空体を設置し、この多孔中空体を通して酸素含む気体を供拾する回転式円筒型培養装置が提案されている。しかし、条件によっては、このような培養装置でも培養物に充分な酸素を供給できているとは言えないことがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、培養物に効果的に酸素を供給することができる細胞培養装置および細胞培養方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液体培地を用いる細胞培養装置であって、該液体培地を収納するとともに酸素含有ガスを流通させる培養槽と、該培養槽内を2つの空間に分けるように設置され、液体培地およびガスを透過させる網目状の仕切り板とを含み、該仕切り板によって形成された一方の空間が培養物を収納する培養物収納部であることを特徴とする。該細胞培養装置は、培養条件等に応じて前記培養槽内に、酸素含有ガスを流通させる酸素供給手段を備える。また、該細胞培養装置は、前記培養槽が回転もしくは揺動することで、液体培地が該仕切り板の両側に移動し、培養物が液体培地に間歇的に浸るとさらに好ましい。
本発明は、別の側面において前記細胞培養装置を用いる細胞培養方法であって、培養物を液体培地に浸す工程と、培養物を酸素含有ガス中にさらす工程とを交互に繰り返す。
【0009】
本明細書において「培養物」として「細胞」あるいは「細胞等」と記載したとき、これらは同義であり、特に限定されるものではないが、あらゆる微生物、または動植物の細胞、組織、器官もしくは個体等を意味し、これらはさらに遺伝子組換え等の処理をしたものも含む。
また、「酸素含有ガス」とは酸素を含むガスを意味し、特に限定されるものではないが、酸素含有ガスとして、空気や、必要に応じて酸素ガスを付加した空気、あるいは酸素ガス等が利用できる。すなわち酸素含有ガスは、約20〜100%の酸素を含むと好ましい。なお酸素とは重酸素も含み、目的によって重酸素を利用することもできる。
【0010】
本発明によれば、液体培地およびガスは、網目状の仕切り板を通り抜けるが、培養物はこれを通り抜けることができないため、培養物を液体培地に浸す工程と、培養物を酸素含有ガスにさらす工程とを交互に繰り返すことができる。このため、培養物を液体培地に浸すことにより、従来通り培養物に栄養源の吸収および老廃物の排出等を行わせ、さらに、培養物を酸素含有ガスに直接さらすことにより、効果的に培養物は酸素の吸収等を行わせることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して、本発明にかかる細胞培養装置の第1の実施の形態である回転式円筒型培養装置を説明する。
図1および図2に示すように、この回転式円筒型培養装置は、円筒型の培養槽1と、仕切り板2と、ガス拡散筒3とを主要な構成要素とする。
【0012】
培養槽1はその中心軸のまわりに回転できるように設置されている。なお、中心軸はほぼ水平になるように設置されると好ましい。
培養槽1の容積は特に限定されるものではないが、5〜10Lの培養槽が扱いやすく好ましい。また、培養槽1の材質は特に限定されるものではないが、ガラス、アクリル、塩化ビニール等が利用できる。
【0013】
この培養槽1の側面の少なくとも一方の中央に開口部4があり、ここに封止装置5を設ける。封止装置5は培養槽1と共に回転しないように台座6に固定されて設置されている。封止装置5は、培養槽1からの培養液の漏れを防止することができ、しかも雑菌の汚染を防止することができ、かつ、培養層1の回転が円滑に実施できるものならばどのようなタイプのものでもよい。特に限定されるものではないが、例えば、Oリングシール、グランドシール、メカニカルシール等が利用できる。
【0014】
封止装置5は、通気口7、排気口8を備え、さらに、必要選択的に薬液注入口、サンプリング口、センサ口等を備える。但し、簡略化のため図1および図2には通気口と排気口のみを記した。
通気口7には、培養槽1内部に向かってガス拡散筒3が接続される。ガス拡散筒3は、培養槽1内、好ましくは液体培地中に酸素含有ガスを供給する。このため、ガス拡散筒3は、仕切り板と接触しない範囲で(後述)可能な限り下方に設置するとさらに好ましい。
【0015】
酸素ガスの液体培地中への溶解を促進するために、酸素ガスをより細かい気泡状態として供給すると好ましい。例えばガス拡散筒3を多孔質の中空構造とすることで、酸素ガスをより細かい気泡状態とできる。なお、培地1Lに対して、好ましくは10〜1000mL/分の酸素ガスを供給する。
【0016】
また、排気口8には、培養槽1内部に向かって排気管9が接続される。排気管9は、培養槽1内の、培養液の液面の上部の空間から外部にガスを排出する。
【0017】
培養液に薬液を注入する、または培養液をサンプリングする必要等がある場合には、封止装置に薬液注入口、またはサンプリング口を設け、ここを通じて各操作を行う。さらに、培地の温度、pH、DO(溶存酸素)等を測定または制御する必要がある場合は、封止装置5にセンサ口を設け、ここを通じて各測定等に必要なセンサ等を培養槽1内に入れる。
【0018】
さらに、培養槽1内に網目状の仕切り板2を設ける。この仕切り板2により、培養槽1は2つの空間に区切られ、その一方が培養物を収納する培養物収納部16となる。仕切り板2の材質は特に限定されるものではない。しかし、少なくとも滅菌のための加熱処理(通常120℃以上)に耐えて、しかも培養中に不純物(例えばポリスチレン等の合成樹脂それ自体あるいはモノマー、合資樹脂の可塑剤、金属酸化物等)の溶出のないものが望ましい。このような要件を満足するものとして、例えば、ステンレス等の金属、ナイロン、ポリプロピレン等の繊維、合成樹脂、ガラス等を挙げることができる。
【0019】
また、仕切り板2は網目状であり、その孔径は培養物に対して適宜定めるべきものである。すなわち、孔径は、培養物が通り抜けない程度に小さく、液体培地が容易に通り抜ける程度に大きい必要がある。もっとも、これを満たしていれば、任意の大きさでよい。なお、孔径が小さすぎる場合、仕切り板が目詰まりを起こす可能性が高くなると考えられるため、孔径は培養物が通り抜けない範囲で大きいほうが好ましい場合がある。なお、限定されるものではないが、動植物の細胞を培養する場合の孔径は好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmであり、微生物を培養する場合の孔径は好ましくは0.1〜2μmである。
なお、仕切り板2を設ける位置は、培養槽1が回転してもガス拡散筒3や排気管9にぶつからない位置であればよく、特に限定されるものではない。また、仕切り板2は必ずしも平面である必要はなく、曲面でもよい。
【0020】
さらに、培養槽1の中心軸と平行に並べられた複数のローラー10を備えた台座6の上に培養槽1を設置する。モーター等(図示しない)により制御したローラー10の回転により培養槽1を回転させる。培養槽1の回転速度は、培養物や培地、培養の目的等の諸条件に応じて適宜決められるべきものであればよく、一般的には0.1〜30rpmである。
【0021】
次に、図3を参照して、本発明にかかる細胞培養装置を含む細胞培養システムの一実施の形態を示す。
図3に示すように、本細胞培養システムは、本発明にかかる細胞培養装置と、培養槽1に酸素含有ガスを供給するためのエアレーションユニット11を主要な構成要素とする。
【0022】
本細胞培養システムは、エアレーションユニット11から細胞培養槽1に供給されるガスを滅菌するフィルター12a、および、このガスの湿度を高める加湿ユニット13をさらに含む。加湿ユニット13により、ガスの湿度を高めることで、液体培地の蒸発をおさえることができる。
また、コントローラー14は細胞培養装置に設けたpHセンサ、DOセンサにより、培養液のpH、DO等をモニターするための装置である。
また、本細胞培養システムは、培養槽1より排出されるガスを通すフィルター12bを含む。さらに、条件によっては培養槽1より排出するガスから水滴がでるので、水滴トラップユニット15を設け、これにより水滴を捕集する。
【0023】
図1、2の細胞培養装置を含む図3に示した実施の形態にかかる本細胞培養システムによると、エアレーションユニット11により、空気等の酸素含有ガスを細胞培養装置に送ることができる。細胞培養装置において、酸素含有ガスは、ガス拡散筒3により細かい気泡とされ液体培地中へと供給される。後述するように、培養物収納部16に収納された培養物は培養槽1の回転に伴い、液体培地に浸る工程と、酸素含有ガスにさらされる工程とを交互に繰り返し、それぞれの工程で、栄養源あるいは酸素の吸収等を行うことができる。
【0024】
培養物としては、特に植物の細胞、組織、器官等が好ましいが、これらに限定されるものではない。また、液体培地は該培養物およびその培養目的等に応じて適宜決められるべきものである。さらに、培養物や培地、培養の目的等の諸条件に応じて、液体培地の量や培養槽の回転速度等を調節し、培養物を酸素含有ガスにさらす時間を調節することができる。
【0025】
図4を参照して、培養槽1の回転に伴う細胞等の培養物の動きをさらに詳細に示す。
液体培地20は仕切り板2を通り抜けるため、常に培養槽1の下部に存在する。しかし、培養物21は仕切り板2を通り抜けることができないため、培養槽1の回転に伴い、仕切り板2と共に培養槽1内を移動する。つまり、培養槽1の下部の培養物21(図4(a))は培養槽1の動きに伴い、仕切り板2に持ち上げられる(図4(b))。さらに、培養槽1が回転することで、培養物21は液体培地20の上部まで持ち上げられ、酸素含有ガスに直接接する(図4(c))。さらに、培養槽1が回転すると、培養物21は再び液体培地20中へと入る(図4(d))。このサイクルを繰り返すことで、培養物21は液体培地20および酸素含有ガスに交互に触れる。
【0026】
上述した本発明の第1の実施の形態である回転式円筒型培養装置では、さらに、
液体培地と培養槽1の壁面とが接触し、培養槽1は常に回転しているため、培養槽1の壁面に細胞が付着しにくく、培養終了後に培養物と液体培地の分離が容易という利点がある。
【0027】
次に、添付図面を参照して、本発明にかかる細胞培養装置の第2の実施の形態である揺動式培養装置を説明する。
図5に示すように、この細胞培養装置は、培養槽1と、仕切り板2と、ガス拡散筒3とを主要な構成要素とし、培養槽1が揺動する点で、第1の実施の形態と相違する。
【0028】
第2の実施の形態にかかる培養槽1の形は特に限定されるものではないが、例えば直方体の培養槽1が利用できる。さらに、第1の実施の形態と同様に、培養槽1内に網目状の仕切り板2を設ける。この仕切り板2により、培養槽1は2つの空間に区切られ、その一方が培養物を収納する培養物収納部16となる。また、培養槽1は、通気口7、排気口8を備え、さらに、必要選択的に薬液注入口、サンプリング口、センサ口等を備える。但し、図5には簡略化のため通気口7と排気口8のみを記した。なお、仕切り板2、通気口7、排気口8等に関しては、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0029】
第1の実施の形態と同様に、本第2の実施の形態にかかる細胞培養装置に、エアレーションユニット11、フィルター12、加湿ユニット13、コントローラー14等を接続することにより、細胞培養システムを構成することができる。
このような細胞培養システムの場合、培養槽1を揺動させるためには、培養槽1を単に既存の揺動装置に乗せるだけでもいいし、または培養槽1にシーソー型の駆動装置を設けてもよい。これらの場合、スピードや角度等、揺動の条件を制御できると好ましい。
なお、液体培地の量は第1に培養物、培養の目的等に応じて適宜決める必要がある。さらに、培養物収納部16が最も上がったときに、全ての培地が培養物のない方の空間に含まれる量である必要がある。また、揺動させる角度および速さは、5〜80°、20〜150回/分であると好ましい。
【0030】
第1の本細胞培養システムと同様に、エアレーションユニット11により、空気等の酸素含有ガスを細胞培養装置に送ることができ、細胞培養装置において、酸素含有ガスは、ガス拡散筒3により細かい気泡とされ液体培地中へと供給される。後述するように、培養物収納部16に収納された培養物は培養槽1の揺動に伴い、液体培地に浸る工程と、酸素含有ガスにさらされる工程とを交互に繰り返し、それぞれの工程で、栄養源あるいは酸素の吸収等を行うことができる。
【0031】
ここでさらに、図6を参照して、第2の実施の形態における培養槽1の揺動に伴う培養物21の動きを詳細に示す。
液体培地20は仕切り板2を通り抜けるため、培養槽1の揺動に伴い、2つの空間を交互に移動する。しかし、培養物21は仕切り板2を通り抜けることができない。このため、培養物収納部16が下がっているときは(図6(a))は、培養物21は液体培地20に浸り、培養物21は栄養源の吸収ならびに老廃物の排出を行うことができる。また、培養物収納部16が上がっているときは(図6(b))は、培養物21は酸素含有ガスに直接接し、培養物21は酸素の吸収を効果的に行うことができる。
【0032】
上述した本発明の第2の実施の形態である揺動式培養装置では、さらに、培養終了後に培養物と液体培地の分離が容易という利点がある。
【0033】
【発明の効果】
上記したところから明らかなように、本発明によれば、細胞に効果的に酸素を供給することができる細胞培養装置および細胞培養方法が提供される。本発明によると、従来のような撹拌羽根等による培養物の損傷なしに、細胞の培養環境を改善することができるため、細胞の増殖速度、有用な二次代謝産物の生成速度等を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかる細胞培養装置の培養槽を表す模式的な斜視図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる細胞培養装置の模式的な側面図である。
【図3】第1の実施の形態にかかる細胞培養装置を使用するシステムの模式図である。
【図4】第1の実施の形態にかかる細胞培養装置における培養物の移動を表した模式図である。
【図5】第2の実施の形態にかかる細胞培養装置を表す模式的な斜視図である。
【図6】第2の実施の形態にかかる細胞培養装置における培養物の移動を表した模式図である。
【符号の説明】
1 培養槽
2 仕切り板
3 ガス拡散筒
4 開口部
5 封止装置
6 台座
7 通気口
8 排気口
9 排気管
10 ローラー
11 エアレーションユニット
12a,b フィルター
13 加湿ユニット
14 コントローラー
15 水滴トラップユニット
16 培養物収納部
20 液体培地
21 培養物
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体培地を用いる細胞培養方法および培養装置に関し、特に、培養物へ効率的に酸素を供給することができる細胞培養装置および細胞培養方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1970年代に米国で起こり、やがて日本を含む先進国に広がっていった所謂バイオテクノロジーは、細胞の培養技術をその基盤のひとつとしている。例えば、タンパク質や代謝産物を生産するために、遺伝子組換えされた微生物や動植物の細胞が工業的な規模で培養されている。あるいは、組織や器官、時には個体そのものを得る目的で、種々の細胞や組織が培養されている。このような産業上の細胞の培養において、細胞をより効果的に培養するために、あるいは、スケールアップして培養するために様々な細胞培養方法が考案されてきている。
【0003】
ここで、培養物への栄養源の供給や培養物からの老廃物の除去を容易にするため、このような培養は一般的に液体培地が用いられている。また、培養物は呼吸をしているため、このような培養には酸素の供給が必須である。このため、従来、培養物への酸素供給は液体培地に酸素を溶解させることにより行なわれている。しかし、水に対する酸素の溶解度は極めて低い(例えば、25℃のとき約8ppm)ので、効果的に培養するためには、培養物へ酸素を効率良く供給することが必要である。
【0004】
特に、植物の細胞および/または組織から医薬などの有用な物質が得られる場合があるため、これら植物の細胞等を工業的に培養し、有用な二次代謝産物を得ようとする試みが盛んになされている。
【0005】
従来、醗酵分野等におけるように微生物を大量に培養する装置としては撹拌羽根を備えた通気培養槽が使用されており、植物の細胞等を大量に培養する場合にも同様に撹拌装置を備えた通気培養層を使用する試みがなされた。この場合の撹拌は主として細胞等の沈殿を防ぎ、細胞等が増殖するために必要な栄養源や酸素と充分に接触させるために行われるものである。しかし、微生物の培養の場合と異なり、植物の細胞等の培養は撹拌の影響を受け易く、撹拌の強度が強すぎると増殖の低下や停止が起こる場合があり、その結果、二次代謝産物の生産を効率よく行えない場合等があった。
【0006】
これに代わる培養装置として、植物の細胞等の培養に回転式円筒型培養装置を使用する細胞培養方法が提案されている。特に、酸素をより効果的に供給することで植物の細胞等を大規模にかつ効率良く製造するために、培養液の内部に多孔中空体を設置し、この多孔中空体を通して酸素含む気体を供拾する回転式円筒型培養装置が提案されている。しかし、条件によっては、このような培養装置でも培養物に充分な酸素を供給できているとは言えないことがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、培養物に効果的に酸素を供給することができる細胞培養装置および細胞培養方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液体培地を用いる細胞培養装置であって、該液体培地を収納するとともに酸素含有ガスを流通させる培養槽と、該培養槽内を2つの空間に分けるように設置され、液体培地およびガスを透過させる網目状の仕切り板とを含み、該仕切り板によって形成された一方の空間が培養物を収納する培養物収納部であることを特徴とする。該細胞培養装置は、培養条件等に応じて前記培養槽内に、酸素含有ガスを流通させる酸素供給手段を備える。また、該細胞培養装置は、前記培養槽が回転もしくは揺動することで、液体培地が該仕切り板の両側に移動し、培養物が液体培地に間歇的に浸るとさらに好ましい。
本発明は、別の側面において前記細胞培養装置を用いる細胞培養方法であって、培養物を液体培地に浸す工程と、培養物を酸素含有ガス中にさらす工程とを交互に繰り返す。
【0009】
本明細書において「培養物」として「細胞」あるいは「細胞等」と記載したとき、これらは同義であり、特に限定されるものではないが、あらゆる微生物、または動植物の細胞、組織、器官もしくは個体等を意味し、これらはさらに遺伝子組換え等の処理をしたものも含む。
また、「酸素含有ガス」とは酸素を含むガスを意味し、特に限定されるものではないが、酸素含有ガスとして、空気や、必要に応じて酸素ガスを付加した空気、あるいは酸素ガス等が利用できる。すなわち酸素含有ガスは、約20〜100%の酸素を含むと好ましい。なお酸素とは重酸素も含み、目的によって重酸素を利用することもできる。
【0010】
本発明によれば、液体培地およびガスは、網目状の仕切り板を通り抜けるが、培養物はこれを通り抜けることができないため、培養物を液体培地に浸す工程と、培養物を酸素含有ガスにさらす工程とを交互に繰り返すことができる。このため、培養物を液体培地に浸すことにより、従来通り培養物に栄養源の吸収および老廃物の排出等を行わせ、さらに、培養物を酸素含有ガスに直接さらすことにより、効果的に培養物は酸素の吸収等を行わせることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して、本発明にかかる細胞培養装置の第1の実施の形態である回転式円筒型培養装置を説明する。
図1および図2に示すように、この回転式円筒型培養装置は、円筒型の培養槽1と、仕切り板2と、ガス拡散筒3とを主要な構成要素とする。
【0012】
培養槽1はその中心軸のまわりに回転できるように設置されている。なお、中心軸はほぼ水平になるように設置されると好ましい。
培養槽1の容積は特に限定されるものではないが、5〜10Lの培養槽が扱いやすく好ましい。また、培養槽1の材質は特に限定されるものではないが、ガラス、アクリル、塩化ビニール等が利用できる。
【0013】
この培養槽1の側面の少なくとも一方の中央に開口部4があり、ここに封止装置5を設ける。封止装置5は培養槽1と共に回転しないように台座6に固定されて設置されている。封止装置5は、培養槽1からの培養液の漏れを防止することができ、しかも雑菌の汚染を防止することができ、かつ、培養層1の回転が円滑に実施できるものならばどのようなタイプのものでもよい。特に限定されるものではないが、例えば、Oリングシール、グランドシール、メカニカルシール等が利用できる。
【0014】
封止装置5は、通気口7、排気口8を備え、さらに、必要選択的に薬液注入口、サンプリング口、センサ口等を備える。但し、簡略化のため図1および図2には通気口と排気口のみを記した。
通気口7には、培養槽1内部に向かってガス拡散筒3が接続される。ガス拡散筒3は、培養槽1内、好ましくは液体培地中に酸素含有ガスを供給する。このため、ガス拡散筒3は、仕切り板と接触しない範囲で(後述)可能な限り下方に設置するとさらに好ましい。
【0015】
酸素ガスの液体培地中への溶解を促進するために、酸素ガスをより細かい気泡状態として供給すると好ましい。例えばガス拡散筒3を多孔質の中空構造とすることで、酸素ガスをより細かい気泡状態とできる。なお、培地1Lに対して、好ましくは10〜1000mL/分の酸素ガスを供給する。
【0016】
また、排気口8には、培養槽1内部に向かって排気管9が接続される。排気管9は、培養槽1内の、培養液の液面の上部の空間から外部にガスを排出する。
【0017】
培養液に薬液を注入する、または培養液をサンプリングする必要等がある場合には、封止装置に薬液注入口、またはサンプリング口を設け、ここを通じて各操作を行う。さらに、培地の温度、pH、DO(溶存酸素)等を測定または制御する必要がある場合は、封止装置5にセンサ口を設け、ここを通じて各測定等に必要なセンサ等を培養槽1内に入れる。
【0018】
さらに、培養槽1内に網目状の仕切り板2を設ける。この仕切り板2により、培養槽1は2つの空間に区切られ、その一方が培養物を収納する培養物収納部16となる。仕切り板2の材質は特に限定されるものではない。しかし、少なくとも滅菌のための加熱処理(通常120℃以上)に耐えて、しかも培養中に不純物(例えばポリスチレン等の合成樹脂それ自体あるいはモノマー、合資樹脂の可塑剤、金属酸化物等)の溶出のないものが望ましい。このような要件を満足するものとして、例えば、ステンレス等の金属、ナイロン、ポリプロピレン等の繊維、合成樹脂、ガラス等を挙げることができる。
【0019】
また、仕切り板2は網目状であり、その孔径は培養物に対して適宜定めるべきものである。すなわち、孔径は、培養物が通り抜けない程度に小さく、液体培地が容易に通り抜ける程度に大きい必要がある。もっとも、これを満たしていれば、任意の大きさでよい。なお、孔径が小さすぎる場合、仕切り板が目詰まりを起こす可能性が高くなると考えられるため、孔径は培養物が通り抜けない範囲で大きいほうが好ましい場合がある。なお、限定されるものではないが、動植物の細胞を培養する場合の孔径は好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは10〜50μmであり、微生物を培養する場合の孔径は好ましくは0.1〜2μmである。
なお、仕切り板2を設ける位置は、培養槽1が回転してもガス拡散筒3や排気管9にぶつからない位置であればよく、特に限定されるものではない。また、仕切り板2は必ずしも平面である必要はなく、曲面でもよい。
【0020】
さらに、培養槽1の中心軸と平行に並べられた複数のローラー10を備えた台座6の上に培養槽1を設置する。モーター等(図示しない)により制御したローラー10の回転により培養槽1を回転させる。培養槽1の回転速度は、培養物や培地、培養の目的等の諸条件に応じて適宜決められるべきものであればよく、一般的には0.1〜30rpmである。
【0021】
次に、図3を参照して、本発明にかかる細胞培養装置を含む細胞培養システムの一実施の形態を示す。
図3に示すように、本細胞培養システムは、本発明にかかる細胞培養装置と、培養槽1に酸素含有ガスを供給するためのエアレーションユニット11を主要な構成要素とする。
【0022】
本細胞培養システムは、エアレーションユニット11から細胞培養槽1に供給されるガスを滅菌するフィルター12a、および、このガスの湿度を高める加湿ユニット13をさらに含む。加湿ユニット13により、ガスの湿度を高めることで、液体培地の蒸発をおさえることができる。
また、コントローラー14は細胞培養装置に設けたpHセンサ、DOセンサにより、培養液のpH、DO等をモニターするための装置である。
また、本細胞培養システムは、培養槽1より排出されるガスを通すフィルター12bを含む。さらに、条件によっては培養槽1より排出するガスから水滴がでるので、水滴トラップユニット15を設け、これにより水滴を捕集する。
【0023】
図1、2の細胞培養装置を含む図3に示した実施の形態にかかる本細胞培養システムによると、エアレーションユニット11により、空気等の酸素含有ガスを細胞培養装置に送ることができる。細胞培養装置において、酸素含有ガスは、ガス拡散筒3により細かい気泡とされ液体培地中へと供給される。後述するように、培養物収納部16に収納された培養物は培養槽1の回転に伴い、液体培地に浸る工程と、酸素含有ガスにさらされる工程とを交互に繰り返し、それぞれの工程で、栄養源あるいは酸素の吸収等を行うことができる。
【0024】
培養物としては、特に植物の細胞、組織、器官等が好ましいが、これらに限定されるものではない。また、液体培地は該培養物およびその培養目的等に応じて適宜決められるべきものである。さらに、培養物や培地、培養の目的等の諸条件に応じて、液体培地の量や培養槽の回転速度等を調節し、培養物を酸素含有ガスにさらす時間を調節することができる。
【0025】
図4を参照して、培養槽1の回転に伴う細胞等の培養物の動きをさらに詳細に示す。
液体培地20は仕切り板2を通り抜けるため、常に培養槽1の下部に存在する。しかし、培養物21は仕切り板2を通り抜けることができないため、培養槽1の回転に伴い、仕切り板2と共に培養槽1内を移動する。つまり、培養槽1の下部の培養物21(図4(a))は培養槽1の動きに伴い、仕切り板2に持ち上げられる(図4(b))。さらに、培養槽1が回転することで、培養物21は液体培地20の上部まで持ち上げられ、酸素含有ガスに直接接する(図4(c))。さらに、培養槽1が回転すると、培養物21は再び液体培地20中へと入る(図4(d))。このサイクルを繰り返すことで、培養物21は液体培地20および酸素含有ガスに交互に触れる。
【0026】
上述した本発明の第1の実施の形態である回転式円筒型培養装置では、さらに、
液体培地と培養槽1の壁面とが接触し、培養槽1は常に回転しているため、培養槽1の壁面に細胞が付着しにくく、培養終了後に培養物と液体培地の分離が容易という利点がある。
【0027】
次に、添付図面を参照して、本発明にかかる細胞培養装置の第2の実施の形態である揺動式培養装置を説明する。
図5に示すように、この細胞培養装置は、培養槽1と、仕切り板2と、ガス拡散筒3とを主要な構成要素とし、培養槽1が揺動する点で、第1の実施の形態と相違する。
【0028】
第2の実施の形態にかかる培養槽1の形は特に限定されるものではないが、例えば直方体の培養槽1が利用できる。さらに、第1の実施の形態と同様に、培養槽1内に網目状の仕切り板2を設ける。この仕切り板2により、培養槽1は2つの空間に区切られ、その一方が培養物を収納する培養物収納部16となる。また、培養槽1は、通気口7、排気口8を備え、さらに、必要選択的に薬液注入口、サンプリング口、センサ口等を備える。但し、図5には簡略化のため通気口7と排気口8のみを記した。なお、仕切り板2、通気口7、排気口8等に関しては、第1の実施の形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0029】
第1の実施の形態と同様に、本第2の実施の形態にかかる細胞培養装置に、エアレーションユニット11、フィルター12、加湿ユニット13、コントローラー14等を接続することにより、細胞培養システムを構成することができる。
このような細胞培養システムの場合、培養槽1を揺動させるためには、培養槽1を単に既存の揺動装置に乗せるだけでもいいし、または培養槽1にシーソー型の駆動装置を設けてもよい。これらの場合、スピードや角度等、揺動の条件を制御できると好ましい。
なお、液体培地の量は第1に培養物、培養の目的等に応じて適宜決める必要がある。さらに、培養物収納部16が最も上がったときに、全ての培地が培養物のない方の空間に含まれる量である必要がある。また、揺動させる角度および速さは、5〜80°、20〜150回/分であると好ましい。
【0030】
第1の本細胞培養システムと同様に、エアレーションユニット11により、空気等の酸素含有ガスを細胞培養装置に送ることができ、細胞培養装置において、酸素含有ガスは、ガス拡散筒3により細かい気泡とされ液体培地中へと供給される。後述するように、培養物収納部16に収納された培養物は培養槽1の揺動に伴い、液体培地に浸る工程と、酸素含有ガスにさらされる工程とを交互に繰り返し、それぞれの工程で、栄養源あるいは酸素の吸収等を行うことができる。
【0031】
ここでさらに、図6を参照して、第2の実施の形態における培養槽1の揺動に伴う培養物21の動きを詳細に示す。
液体培地20は仕切り板2を通り抜けるため、培養槽1の揺動に伴い、2つの空間を交互に移動する。しかし、培養物21は仕切り板2を通り抜けることができない。このため、培養物収納部16が下がっているときは(図6(a))は、培養物21は液体培地20に浸り、培養物21は栄養源の吸収ならびに老廃物の排出を行うことができる。また、培養物収納部16が上がっているときは(図6(b))は、培養物21は酸素含有ガスに直接接し、培養物21は酸素の吸収を効果的に行うことができる。
【0032】
上述した本発明の第2の実施の形態である揺動式培養装置では、さらに、培養終了後に培養物と液体培地の分離が容易という利点がある。
【0033】
【発明の効果】
上記したところから明らかなように、本発明によれば、細胞に効果的に酸素を供給することができる細胞培養装置および細胞培養方法が提供される。本発明によると、従来のような撹拌羽根等による培養物の損傷なしに、細胞の培養環境を改善することができるため、細胞の増殖速度、有用な二次代謝産物の生成速度等を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかる細胞培養装置の培養槽を表す模式的な斜視図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる細胞培養装置の模式的な側面図である。
【図3】第1の実施の形態にかかる細胞培養装置を使用するシステムの模式図である。
【図4】第1の実施の形態にかかる細胞培養装置における培養物の移動を表した模式図である。
【図5】第2の実施の形態にかかる細胞培養装置を表す模式的な斜視図である。
【図6】第2の実施の形態にかかる細胞培養装置における培養物の移動を表した模式図である。
【符号の説明】
1 培養槽
2 仕切り板
3 ガス拡散筒
4 開口部
5 封止装置
6 台座
7 通気口
8 排気口
9 排気管
10 ローラー
11 エアレーションユニット
12a,b フィルター
13 加湿ユニット
14 コントローラー
15 水滴トラップユニット
16 培養物収納部
20 液体培地
21 培養物
Claims (4)
- 液体培地を用いる細胞培養装置であって、
該液体培地を収納するとともに酸素含有ガスを流通させる培養槽と、
該培養槽内を2つの空間に分けるように設置され、液体培地およびガスを透過させる網目状の仕切り板とを含み、
該仕切り板によって形成された一方の空間が培養物を収納する培養物収納部であることを特徴とする細胞培養装置。 - 前記培養槽内に、酸素含有ガスを流通させる酸素供給手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養装置。
- 前記培養槽が回転もしくは揺動することで、液体培地が該仕切り板の両側に移動し、培養物が液体培地に間歇的に浸る請求項1または2に記載の細胞培養装置。
- 請求項1または2に記載の細胞培養装置を用いる細胞培養方法であって、培養物を液体培地に浸す工程と、培養物を酸素含有ガス中にさらす工程とを交互に繰り返す細胞培養方法。
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- 2002-07-12 JP JP2002203737A patent/JP2004041093A/ja not_active Withdrawn
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