JP2004039523A - 電源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池寿命の増加が可能な電源装置を提供する。
【解決手段】比較的低温側から良好な出力特性が得られる低温型の電解液リチウム電池LBと比較的高温側で良好な出力特性が得られる高温型の全固体リチウム電池SBとを並列に接続し、前記電解液リチウム電池LBに流れる電流を用いて前記全固体リチウム電池SBを加熱するようにした。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、種類の異なる電池を並列に接続して構成した電源装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
種類の異なる電池を並列に接続して構成した電源装置としては、特開平11−332023に開示されたものが知られている。
【0003】
この電源装置では、高出力密度型の電池と高エネルギー型の電池とを並列に接続しており、高出力特性を長時間維持することが可能となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般的に高出力密度型電池の出力特性は比較的低温側でも良好であり、高エネルギー型電池は低温側での出力特性が特に悪い。また、高出力密度型電池は高エネルギー型電池よりも寿命特性で劣る場合が多い。
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、出力密度特性とエネルギー特性のみに着目して電池を組み合わせており、電池の温度特性と寿命特性は考慮されていないものであった。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、電池寿命の増加が可能な電源装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、比較的低温側から良好な出力特性が得られる低温型電池と比較的高温側で良好な出力特性が得られる高温型電池とを並列に接続し、前記低温型電池に流れる電流を用いて前記高温型電池を加熱するようにした。
【0008】
【発明の効果】
したがって、本発明では、低温型電池と高温型電池とを並列に接続し、低温型電池に流れている電流を用いて高温型電池を加熱するので、短時間で高温型電池の出力特性を向上できる。
【0009】
しかも、しかも、高温型電池を加熱することにより、寿命特性が優れている高温型電池の作動範囲を拡大して寿命特性が相対的に低い低温型電池の作動を抑制し、電源装置全体の寿命特性を向上できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による電源装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1、2は、本発明の電源装置の第1実施形態を示し、図1は電源装置の概略構成図、図2は電源装置の具体的構成を示す斜視図である。
【0012】
前記電源装置1は、高温型電池としての全固体リチウム電池SBと低温型電池としての電解液リチウム電池LBとを並列に接続して構成する。
【0013】
前記全固体リチウム電池SBは、例えば、PEO(ポリエチレンオキサイド)にリチウム塩を溶かしてなる高分子固体電解質のみを使用した電池である。この全固体リチウム電池SBは、低温では十分な出力特性が得られないが、高温では十分な出力特性が得られる高温型電池であり、しかも、寿命特性が優れている。
【0014】
前記電解液リチウム電池LBは、例えば、PC(プロピレンカーボネート)にリチウム塩を溶かしてなる電解液を使用した電池である。電解液リチウム電池LBは、高温では十分な出力特性が得られないが、低温では十分な出力特性を得られる低温型電池であり、全固体リチウム電池SBよりも寿命特性が劣る。
【0015】
前記2種類の電池SB、LBは、いずれもシート型電池であり、厚み方向に積層されて互いに密着している。即ち、2枚の全固体リチウム電池SBを2枚の電解液リチウム電池LBで挟み込むようにしている。
【0016】
図2に示すように、シート型電池は、ラミネート式とも称され、板状にした電池要素(電池本体)を2枚のラミネートフィルム10、11の間に挟み、周囲を溶着して密封したものであり、正極および負極の端子12、13はラミネートフィルム10、11の間から外部へ引き出される。このようなシート型電池を厚み方向に積層して電池同士の接触面積を非常に大きくしている。
【0017】
以上の構成の電源装置においては、車両の始動時等の低温の条件で使用した場合、低温型である電解液リチウム電池LBの負荷分担が大きくなり、電解液リチウム電池LBに大きな電流が流れる。この電流による内部発熱で電解液リチウム電池LBの温度が上昇し、この熱が隣り合って接触している全固体リチウム電池SBに伝わり全固体リチウム電池SBの温度を上昇させる。このため、2種類の電池を単に並列接続しただけで熱の移動がない電源装置と比較した場合、この電源装置1は低温時の放電容量特性が良好となる。特に、シート型電池を厚み方向に積層して2種類の電池を接触させているので、伝熱面積が大きくなり、電解液リチウム電池LBから全固体リチウム電池SBへ効率よく熱を伝えることができる。
【0018】
また、電源装置1は、高温では、低温型の電解液リチウム電池LBに代わり、寿命特性の優れた高温型の全固体リチウム電池SBが電源装置の放電容量特性を良好とする。
【0019】
以上説明した本実施形態においては、以下に記載した効果を奏することができる。
【0020】
(ア)低温型電池としての電解液リチウム電池LBと高温型電池としての全固体リチウム電池SBとを並列に接続し、低温型の電解液リチウム電池LBに流れている電流を用いて高温型の全固体リチウム電池SBを加熱するので、短時間で高温型の全固体リチウム電池SBの出力特性を向上できる。
【0021】
(イ)しかも、高温型の全固体リチウム電池SBの加熱により、寿命特性が優れている高温型の全固体リチウム電池SBの作動範囲を拡大して寿命特性が相対的に低い低温型の電解液リチウム電池LBの作動を抑制し、電源装置1全体の寿命特性を向上できる。
【0022】
(ウ)また、高温型の全固体リチウム電池SBと低温型の電解液リチウム電池LBとを積層等によって接触させる等、隣接させているので、特に低温時に、電解液リチウム電池LBの熱が全固体リチウム電池SBに移り、短時間で全固体リチウム電池SBを昇温させることが可能である。
【0023】
(エ)高温型の全固体リチウム電池SBは、電源装置1として積層される電池間に挟んで内側に配置するため、全固体リチウム電池SBの加熱が容易となり、より一層短時間で電池の出力特性が向上する。
【0024】
(オ)高温型の全固体リチウム電池SBおよび低温型の電解液リチウム電池LBは、セルの外包体がラミネートフィルム10、11なので、外部との熱のやり取りが容易となり、全固体リチウム電池SBを早期に加熱することが可能となる。
【0025】
(カ)高温型電池および低温型電池が、全固体および電解液を用いたリチウム電池SB、LBであることで、上記した効果の有効性が向上する。
【0026】
図3は、本発明の電源装置の第2の実施形態を示す概略構成図を示し、全固体リチウム電池SBを低温時に加熱するに際して、電解液リチウム電池LBの内部発熱によるものに代えて加熱手段により加熱するようにしたものである。
【0027】
図3において、全固体リチウム電池SBと電解液リチウム電池LBとは、第1実施形態と同様に、並列に接続されている。電解液リチウム電池LBは、電力制御手段2、および、ヒータ5を直列接続して備え、これら電力制御手段2およびヒータ5は、全固体リチウム電池SBに対しては並列に位置する。前記ヒータ5は全固体リチウム電池SBに接触させて配置している。
【0028】
前記電力制御手段2は、電解液リチウム電池LBの入出力電力をオンオフするリレー、あるいは、入出力電力を調整する可変抵抗器により構成している。電力制御手段2は、電源装置1を制御するコントローラ3からの制御信号に応じて電解液リチウム電池LBの入出力電力を制御する。ヒータ5は直列に接続されている電力制御手段2により制御される電解液リチウム電池LBの入出力電力に応じて加熱作動する。
【0029】
前記コントローラ3は、全固体リチウム電池SBに近接して配置された温度センサ4の出力信号に基づいて電力制御手段2に対する制御信号を生成する。具体的には、全固体リチウム電池SBの温度が低い場合に、リレーを接続状態とする制御信号を送ったり可変抵抗器の抵抗値を小さくする制御信号を送ったりして、電解液リチウム電池LBの入出力電力を使用する、若しくは、増加させるよう電力制御手段2を制御する。前記温度センサ4は、全固体リチウム電池SBの温度を測定してコントローラ3に入力する。温度センサ4は全固体リチウム電池SBの温度と相関のある信号を出力すればよく、必ずしも全固体リチウム電池SBに密接させて配置する必要はない。
【0030】
以上の構成になる電源装置1においては、車両の始動時等の低温の条件で使用した場合、コントローラ3は温度センサ4により全固体リチウム電池SBの温度が低いことを判定して、電解液リチウム電池LBを使用するよう電力制御手段2を制御する。即ち、コントローラ3は、リレーを接続状態とする制御信号を送ったり可変抵抗器の抵抗値を小さくする制御信号を送ったりする。これにより、全固体リチウム電池SBだけでは十分な出力特性が得られない温度以下のときにおいても、電源装置1の出力特性を十分に確保することができる。
【0031】
上記の作動により、電解液リチウム電池LBの入出力電力は、ヒータ5にも通電されて加熱され、全固体リチウム電池SBの温度を上昇させる。この作動が継続されると、雰囲気温度が低い場合でも、全固体リチウム電池SBの温度が十分な出力特性が得られる温度条件に達し、温度センサ4により検出され、コントローラ3に入力される。コントローラ3は電力制御手段2を制御して電解液リチウム電池LBの使用を制限し、全固体リチウム電池SBの入出力電力を負荷に供給する。
【0032】
また、全固体リチウム電池SBだけで十分な出力特性が得られる温度条件では、前記と同様に、電解液リチウム電池LBの使用を制限し、全固体リチウム電池SBよりも寿命特性が劣る電解液リチウム電池LBの使用時間をできるだけ抑制する。
【0033】
前記電解液リチウム電池LBとヒータ5とは、使用すべき条件が、全固体リチウム電池SBが作動温度以下の場合であるので、単一の電力制御手段2を共通に使用することができる。
【0034】
図4は、第2実施形態の電源装置の変形例を示し、加熱手段としてPTC素子を用いた電源装置である。
【0035】
PTC素子Pは、チタン酸バリウム(BaTiO)を主成分とした半導体セラミックスであり、材料組成を調整することで任意にキュリー温度(電気抵抗が急変する温度)を設定できる。
【0036】
PTC素子Pは、電解液リチウム電池LBに対し直列に接続され、全固体リチウム電池SBに隣接配置し、全固体リチウム電池SBだけでは十分な出力特性が得られなくなる温度にPTC素子のキュリー温度を一致させてある。
【0037】
従って、全固体リチウム電池SBだけでは十分な出力特性が得られない低温時はPTC素子Pの抵抗が小さくなって電解液リチウム電池LBの入出力電力が使用され、高温時はPTC素子Pの抵抗が大きくなって電解液リチウム電池LBの使用が制限される。
【0038】
また、低温時に電解液リチウム電池LBが使用される場合、PTC素子Pの抵抗によってPTC素子P自体が発熱し、この熱によって全固体リチウム電池SBを加熱する。
【0039】
以上のように、PTC素子Pは、図3に示す電源装置1の電力制御手段2、温度センサ4、コントローラ3、および、ヒータ5の各機能を兼備えている。
【0040】
本実施形態においては、第1実施形態における(ア)、(イ)、(オ)、(カ)の効果に加えて以下に記載する効果を奏することができる。
【0041】
(キ)低温型の電解液リチウム電池LBは、高温型の全固体リチウム電池SBを加熱する加熱手段としてのヒータ5若しくは半導体セラミックPTC素子Pを直列に接続して備えるため、低温時に電解液リチウム電池LBを使用中に全固体リチウム電池SBの加熱ができ、短時間で出力特性を向上できる。
【0042】
(ク)図3の電源装置1では、低温型の電解液リチウム電池LBは直列にその入出力電力を制御する電力制御手段2を備えているため、全固体リチウム電池SBが暖まった時に電解液リチウム電池LBの電力を制限することができ、電解液リチウム電池LBの寿命を増加させることができる。
【0043】
(ケ)図3の電源装置1では、低温型電池は前記加熱手段と直列にその入出力電力を制御する電力制御手段2を備えているため、全固体リチウム電池SBが暖まった時に電解液リチウム電池LBの電力を制限することができ、電解液リチウム電池LBの寿命を増加させることができる。また無駄な加熱を防ぎ、エネルギー効率を向上することが可能となる。
【0044】
(コ)図4の電源装置1では、加熱手段を温度が高くなると抵抗が大きくなる素子、例えば、PTC素子Pで形成したため、電解液リチウム電池LBの電力制御と全固体リチウム電池SBの加熱の各機能を兼ね備え、構造を簡単化できる。
【0045】
(サ)図4の電源装置1のPTC素子PがセラミックPTC素子であることにより、PTC素子Pの発熱が大きく、全固体リチウム電池SBの加熱が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す電源装置の概略構成図。
【図2】同じく電源装置の具体的構成を示す斜視図。
【図3】本発明の第2実施形態を示す電源装置の概略構成図。
【図4】第2実施形態の変形例の電源装置の概略構成図。
【符号の説明】
SB 高温型電池としての全固体リチウム電池
LB 低温型電池としての電解液リチウム電池
P PTC素子としてのセラミックPTC素子
1 電源装置
2 電力制御手段
3 コントローラ
4 温度センサ
5 加熱手段としてのヒータ
10,11 ラミネートフィルム

Claims (10)

  1. 比較的低温側から良好な出力特性が得られる低温型電池と比較的高温側で良好な出力特性が得られる高温型電池とを並列に接続するとともに、前記低温型電池に流れる電流を用いて前記高温型電池を加熱するようにしたことを特徴とする電源装置。
  2. 前記高温型電池と低温型電池とは、隣接して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
  3. 前記高温型電池は、電源装置として積層される電池間に挟んで内側に配置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電源装置。
  4. 前記低温型電池は、直列にその入出力電力を制御する電力制御手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の電源装置。
  5. 前記低温型電池は、高温型電池を加熱する加熱手段を直列に接続して備えることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
  6. 前記低温型電池は、前記加熱手段と直列にその入出力電力を制御する電力制御手段を設けたことを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
  7. 前記加熱手段は、温度が高くなると抵抗が大きくなる素子を用いることを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
  8. 前記温度が高くなると抵抗が大きくなる素子は、セラミックPTC素子であることを特徴とする請求項7に記載の電源装置。
  9. 前記高温型電池および低温型電池は、ラミネートフィルムによりセルが外包されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一つに記載の電源装置。
  10. 前記高温型電池および低温型電池は、リチウム電池であることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一つに記載の電源装置。
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