JP2004039393A - 電源プラグ - Google Patents
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Abstract
【課題】トラッキング現象を抑制することができる可動式の電源プラグを提供する。
【解決手段】コンセントの差込穴に差込まれる少なくとも2つの端子刃1を有する可動ケース2と、前記可動ケース2を保持し、線材に接続された本体ケース4とから構成され、前記可動ケース2が前記端子刃1と直交する軸7を中心として本体ケース4に所定角回転自在に支持された電源プラグPにおいて、前記本体ケース4の前記可動ケース2の下面2cと対向する面4cに、少なくとも1つの溝5を設け、当該溝5を挟んだ両側の部分に堆積した塵埃及び/又は当該部分に停留した水をそれぞれの部分で独立させ、電気的導通を断つようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】コンセントの差込穴に差込まれる少なくとも2つの端子刃1を有する可動ケース2と、前記可動ケース2を保持し、線材に接続された本体ケース4とから構成され、前記可動ケース2が前記端子刃1と直交する軸7を中心として本体ケース4に所定角回転自在に支持された電源プラグPにおいて、前記本体ケース4の前記可動ケース2の下面2cと対向する面4cに、少なくとも1つの溝5を設け、当該溝5を挟んだ両側の部分に堆積した塵埃及び/又は当該部分に停留した水をそれぞれの部分で独立させ、電気的導通を断つようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気機器の電源コードや延長コード等に用いられる電源プラグに係り、特に端子刃部が回転可能な可動式の電源プラグに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、家庭内の電気機器の数が増えるに伴ってコンセントに差しっぱなしの電源プラグの端子間に埃などが付着し、その埃が湿気を吸収して端子間がショートするトラッキング現象による火災が増加しており、その対策が急務になっている。電気機器の電源コードや延長コード等に用いられる電源プラグは、端子刃と本体部が一体成形された一体式電源プラグが主流で、この形式のプラグは、本体が単一樹脂で端子刃と一体成形されていて本体内部でショートすることがないため、端子刃間のショートにのみトラッキング対策を実施すればよい。具体的には特開平08−255649号記載の技術のように端子刃間に溝を設けたり、特開平12−58183号記載の技術のように端子刃根元に薄肉部材を被覆する技術などが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、最近、可動式電源プラグが急速に普及している。これは、可動式電源プラグが、コンセント部の省スペース化が図れ、コードの引き回しに有利であるためである。しかし、このような可動式電源プラグにおいては、端子刃間に溝を設けたり、端子刃根元に薄肉部材を被覆する特開平08−255649号公報や特開平12−58183号公報に記載のトラッキング対策だけでは十分安全とは言えない。
【0004】
端子刃部が回転可能な可動式電源プラグに関してトラッキングが発生する要因は2つある。1つの要因は、端子刃がある可動部と本体部の間にできる隙間に埃や湿気が溜まりトラッキングを発生するというものである。他の要因は、端子刃がある可動部と本体部が分離しているため双方を一体成形することができず、可動部と本体部のどちらか一方を2つの樹脂成形品で挟み込む構造とすることが必要となり、その2つの樹脂成形品の隙間に埃や湿気が溜まりトラッキングを発生するというものである。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、その目的は、トラッキング現象を抑制することができる可動式の電源プラグを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、第1の手段は、コンセントの差込穴に差込まれる少なくとも2つの端子刃を有する可動部と、前記可動部を保持し、線材に接続された本体部とから構成され、前記可動部が前記端子刃と直交する軸を中心として本体部に所定角回転自在に支持された電源プラグにおいて、前記本体部の前記可動部と対向する部分に、少なくとも1つの溝を設け、当該溝を挟んだ両側の部分に堆積した塵埃及び/又は当該部分に停留した水をそれぞれの部分で独立させたことを特徴とする。このように構成すると、前記溝によって前記本体部の前記可動部と対向する部分に堆積した塵埃及び/または当該部分に停留した水の電気的導通を断ち切るので、トラッキング現象を抑制することが可能になる。
【0007】
第2の手段は、第1の手段において、前記可動部は端子刃を挟み込む2つの樹脂成形品で構成され、前記樹脂成形品内部にそれぞれの樹脂成型品に突設されたリブを有し、それぞれのリブが前記端子刃の間に位置するように互い違いに組み合わせて2つの樹脂成形品を一体化したことを特徴とする。このように構成すると、沿面距離を長くすることができるので、その分、トラッキング現象を抑制することができる。
【0008】
第3の手段は、第1の手段において、前記本体部は端子刃から繋がっている金具または線材を挟み込む2つの樹脂成形品で構成され、前記樹脂成形品内部にそれぞれの樹脂成形品に突設されたリブを有し、それぞれのリブが前記端子刃から繋がっている金具または線材間に位置するように互い違いに組み合わせて2つの樹脂成形品を一体化したことを特徴とする。このように構成すると、沿面距離を長くすることができるので、その分、トラッキング現象を抑制することができる。
【0009】
第4の手段は、第2または第3の手段において、前記リブの先端側の対向面から前記リブよりも小寸かつ小幅の第2のリブを突出させ、前記リブと前記第2のリブで段差をもって付き当てて一体化したことを特徴とする。このようにいわゆるいんろう構造とすることによりさらに沿面距離を長くすることができるので、トラッキング現象の抑制機能をさらに発揮させることができる。
【0010】
第5の手段は、第2または第3の手段において、前記可動部の前記端子刃を保持する部分の外周側に前記本体部側に突出した環状の突起が設けられていることを特徴とする。
【0011】
第6の手段は、第5の手段において、前記環状の突起の内周に沿って前記突起の内部に進出するように前記本体部から突出した突部を備えていることを特徴とする。
【0012】
第5及び第6の手段においても、前記突起や突部によって沿面距離が長くなるので、その分トラッキング現象を抑制することができる。
【0013】
第7の手段は、第1、第4、第5及び第6の手段において、前記可動部の端子刃と、前記本体部の線材が接続された金具との間であって前記可動部と前記本体部の間の回転軸周囲に、成形時に前記可動部側への樹脂の侵入を防止する部材が設けられていることを特徴とする。このように構成すると、前記部材により隙間の発生が防止され、樹脂の侵入を防ぐと共に、隙間がなくなるので、トラッキング現象を抑制することができる。
【0014】
なお、以下の実施形態において、端子刃は端子刃1に、可動部は可動ケース2,15に、本体部は本体ケース4,16に、軸は回転軸7,20に、可動部と対向する部分は面4c,16cに、溝は溝5,19に、リブはリブ2a−1,2b−1、24a,24bに、第2のリブは短いリブ2a−3,2b−3に、環状の突起は25に、突部は円盤状の突起4dに、樹脂の侵入を防止する部材は金属部材8にそれぞれ対応する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1ないし図4は本発明の第1の実施形態を図1から図3に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明の第1の実施形態に係る可動式電源プラグの外観を示す斜視図、図2は図1におけるA−A線断面図、図3は図1におけるB−B線断面図(長手方向に断面し、矢印B方向に見た図)、図4は図2の変形例を示す図である。
【0018】
図1ないし図3において、可動式電源プラグPは、本体ケース4と端子刃1を備えた可動ケース2とからなる。本体ケース4には、図3に示すように正面視U字状の可動ケース2の取り付け用の凹部4aが設けられ、この凹部4aを挟んで対向するように一対の支持部4bが設けられ、後述するようにこの支持部4b間に可動ケース2が可動に設けられる。
【0019】
可動ケース2は可動ウエケース2aと可動シタケース2bから構成され、熱硬化性樹脂で成形した可動ウエケース2aと可動シタケース2bで端子刃1を挟み込み、固定用金属部材3で可動ウエケース2aと可動シタケース2bを相互に固定している。可動ケース2には端子刃1の一部を貫通し、本体ケース4と係合する回転軸7が設けられ、前記回転軸7を中心として可動ケース2は本体ケース4に対して少なくとも90度の回転が可能である。このようにして可動ケース2が前記凹部4a内で揺動可能に保持される。
【0020】
本体ケース4は塩化ビニールなどの熱可塑性樹脂で一体成形したもので、図2及び図3に示すように端子刃1とかしめ部材10によりかしめて接合されている金具9や線材11を一体に包み込んで成形されている。このように成形することにより本体ケース4内には埃や湿気が入り込むことはない。
【0021】
本体ケース4の前記凹部4aの前記支持部4bに挟まれる面4cは、可動ケース2の図3において下側の面2cに対向し、前記回転軸7に平行に形成され、前記面4cの一部に、前記回転軸7に直交する面を含む溝5が設けられている。前記本体ケース4の可動ケース2に対向する前記面4cと、可動ケース2の前記面2cによって形成される隙間6は、可動ケース2が回転軸7を中心として回転するために必要なものであり、全体の寸法を抑える目的で、前記隙間6に面する可動ケース2の面2cは、回転軸7を中心とする円筒面の一部となっている。
【0022】
また、端子刃1と金属部材8および金具9はかしめ部材10によってかしめられ、このかしめ部材10の軸部分が回転軸7となっている。従って、回転軸7は各端子刃1ごとに同軸に2軸設けられている。金具9は本体ケース4内部でタップ側に繋がっている線材11とかしめ部9aでかしめることにより接合され、線材11と一体となって本体ケース4内に保持されている。
【0023】
図2に示すように、可動ウエケース2aの内側と可動シタケース2bの内側には、先端部が対向するケースの内面と接触するリブ2a−1、2b−1をそれぞれ一体に突設する。すなわち、可動ウエケース2aの図2において左の端子側から、可動シタケース2bの内面まで伸びるリブ2a−1を設け、可動シタケース2bの図2において右側の端子側から可動ウエケース2aの内面まで伸びるリブ2b−1を設け、それぞれのリブ2a−1,2b−1の側面には、図3からも分かるように端子刃1の内側の側面が当接し、端子間距離L1を規定している。また、端子刃1に当接するリブ2a−4、2b−4をそれぞれ可動ウエケース2aと可動シタケース2bに設けている。前記端子刃1の幅H1寸法は、前記リブ2a−1、2b−1の突出高さH2寸法以下、好適にはH1<H2に設定され、回転軸7の軸方向から見た時、可動ウエケース2aと可動シタケース2bの範囲内では端子刃1同士が直接見通せない大きさになっている。
【0024】
このように前記幅H1突出高さH2を設定すると、図2に示すようにリブ2a−1、2b−1と端子刃11との間に
H3=(H2−H1)/2
で示されるような幅H3の差が存在する。このように幅H3が存在すると、端子刃1が水平に指し込まれた状態の時、塵埃あるいは埃が少し侵入しても、下に蓄積された塵埃あるいは水は前記幅H3分内側に入り込むことはないのでトラッキングを生じない。このようにH3を設定することによりリブ2a−1とリブ2b−1は、両端子刃1間を遮断し、且つ、沿面距離を長くして可動ケース2内における塵埃や湿気による端子刃1間のショートを防止している。
【0025】
図2に示したように、突出する部材が異なるリブ2a−1,2b−1の組み合わせで、互い違いになるようにすると、可動ウエケース2aと可動シタケース2bの結合部以外は同じ形状にすることができる。図2に示す第1の実施形態では前記結合部は金属製のタッピングねじ2a−2を対向側の樹脂製可動シタケース2bに設けた下穴2b−2にねじ込んで結合する。前記可動ウエケース2aと可動シタケース2bの2つのケースの結合をねじとナットによって行なえば、可動ウエケース2aと可動シタケース2bを同じ形状にすることも可能である。また、図4に示したように前記各リブ2a−1,2b−1の先端と、他方のケース2b,2aの面から立ち上げた短いリブ2a−3,2b−3がいんろう構造になっていてもよい。このように構成すると、さらに沿面距離が長くなる。
【0026】
本実施形態においては、構造を簡素にするために本体ケース4内の金具9は線材11との結合部まで、基本的には一平面であり、その一部は隙間6に直接面している。そのため、塵埃が隙間6周辺に堆積すると、金具9に塵埃が接し、塵埃が湿気を帯びると両端子刃1間が塵埃中の湿気を通して導通し、短絡する可能性がある。そこで、このような短絡が発生しないように本体ケース4の可動部に対向する面4cの一部に溝5を設けるようにした。このように溝5を設けると、前記面4cと溝5の境目に稜(角部)が生じ、堆積する塵埃が前記稜あるいは溝の窪みによって切断され、堆積しにくくなる。そして、たとえ塵埃が堆積し、塵埃が湿気を帯びたとしても、前記溝5を境にして両側に存在する塵埃がそれぞれ独立し、電気的導通が生じることはない。すなわち、溝5によって塵埃が切断され、端子刃1間に短絡が生じることはない。
【0027】
また、水がかかった場合には、前記溝5によって前記隙間6に水が溜まることを防止することができる。すなわち、溝5がない場合、水が掛かると前記隙間6に表面張力により水が溜まるが、溝5があると、この部分で表面張力によって水を保持することが不可能となり、溝5の部分でトラッキングが断ち切られる。また、たとえ前記隙間6に水が溜まったとしても、前記溝5の境にそれぞれ独立して存在することになるので、この隙間6でトラッキングが生じることはない。このため、トラッキングを切ることができる寸法に、溝5の幅と深さは設定される。その観点からは、溝5を複数設けることによって1つ1つの溝の寸法が小さくなりすぎないように留意しなければならない。また、前記溝寸法を満足すれば図5(a)及び(b)に示すように溝5の形状がV形、U形であってもよく、溝形状は問わない。
【0028】
このように第1の実施形態では、リブ2a−1,2b−1の形状を規定することにより可動ケース2における端子刃1間のトラッキングの発生を防止し、本体ケース4の面4cに溝5を設けることにより本体ケース4における端子刃1間のトラッキングの発生を防止することができる。
【0029】
<第2の実施形態>
図6ないし図9は本発明の第2の実施形態に係る可動式電源プラグを説明するための図である。
【0030】
図6は第2の実施形態に係る可動式電源プラグの斜視図、図7は図6におけるC−C線断面図(長手方向に断面し、矢印C方向に見た図)、図8は本体ケースを成形した時の回転軸部分を内側から端子刃を除いて見た図、図9可動シタケースを回転軸7の方向から見た図である。なお、以下の説明において、前述の第1の実施形態と同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0031】
この第2の実施形態は、図6に示すように回転軸7の周囲を可動ウエケース2aと可動シタケース2bに設けられた環状の突起25によって覆って回転軸7近傍の両金具9間のトラッキングを防止するようにしたものである。
【0032】
本実施形態では、図7からも分かるように可動ケース2の回転軸7を構成するかしめ部材10から所定距離離れた部分に、本体ケース4の支持部4b側に突出した突起25を環状に設け、回転軸7の軸部分の金具9と端子刃1の周囲を覆うようにしている。この実施形態においても前述の第1の実施形態と同様に、端子刃1を熱硬化性樹脂で成形した可動ウエケース2aと可動シタケース2bで挟み込み、固定用金属部材3で可動ウエケース2aと可動シタケース2bを相互に固定している。本体ケース4は塩化ビニールなどの熱可塑性樹脂で、端子刃1とかしめ部材10を介して接続されている金具9や線材11を一体成形して包み込む。
【0033】
本体ケース4を成形した時の回転軸7部分を内側から端子刃1を除いて見た図を図7に示す。かしめ部材10および金具9の外周部は円盤状の突起4dが形成されている。前記円盤状突起4dを成形で形成するために、金具9は図5及び図6に示すようにクランク状に曲げられている。前記形状を成形するには、第1の実施形態と同様に、図7の紙面直交方向の中央で割った型を用いることにより可能である。成形時には端子刃1のかしめ平面部1aを型によって押さえる必要があり、図7及び図8に示すようにワッシャ作用を持つ金属部材8が金具9と端子刃1の間に入る場合は、金属部材8の外形は端子刃1のかしめ平面部1aと同じかあるいはそれより大きくすることにより成形時のばりの発生を抑えることができる。
【0034】
図9は可動シタケース2bを回転軸7の方向から見た図である。可動シタケース2bには前記円盤状突起4dと隙間を持って嵌まり合うフランジ25の半周分が形成されている。フランジ25の内側には平面2dが続いており、前記フランジ25の中心部には角孔2cが設けられている。前記角孔2cには組み立て時に端子刃1の前記かしめ平面部1aが嵌め込まれる。可動シタケース2aは内部の結合部を除き、可動シタケース2bと同じ外形である。
【0035】
以上、説明したような形状になっているため、可動ウエケース2aと可動シタケース2bを合わせた時に出来る合わせ面の隙間は、回転軸7の周囲においては本体4に設けた円盤状突起4dのために塞がれ、隙間を通って真っ直ぐに内部の金属部分に埃等が侵入することはない。
【0036】
その他、特に説明しない各部は前述の第1の実施形態と同等に構成され、同等に機能する。
【0037】
<第3の実施形態>
図10ないし図12は本発明の第3の実施形態に係る可動式電源プラグを説明するための図である。
【0038】
図10は第3の実施形態に係る電源プラグの外観を示す斜視図、図11は図10のD−D線断面図、図12は図11のE−E線断面図である。この実施形態は、第1及び第2の実施形態が可動ケース側が2分割され、本体ケース側が一体であったのに対し、可動ケース側が一体で本外ケース側が2分割されて形成したものである。
【0039】
図10ないし図12において、可動式電源プラグPは、本体ケース16と端子刃14を備えた可動ケース15とからなる。本体ケース16には、図9及び図10に示すように正面視U字状の可動ケース15の取り付け用の凹部16dが設けられ、この凹部16dを挟んで対向するように一対の支持部16eが設けられ、後述するようにこの支持部16e間に可動ケース15が可動に設けられる。
【0040】
可動部は端子刃14と可動ケース15から構成されている。本体ケース16は本体ウエケース16aと本体シタケース16bから構成され、その各々に前述のように一対の支持部16eが設けられている。そして、熱硬化性樹脂で成形した可動ケース15を平板状の端子刃14で挟み込み、それらを熱硬化性樹脂で成形した本体ウエケース16aと本体シタケース16bの支持部16eで挟み込んだ後、それを塩化ビニールの本体カバー17で一体成形した構造になっている。成形の際のばりを防止するため、本体カバー17は可動部と対向している境界部から少し離れた部分までしかカバーしていない。可動部は端子刃14の一部を貫通する本体部共通の回転軸20を持ち、前記回転軸20を中心として少なくとも90度の回転が可能である。
【0041】
本体ウエケース16a、本体シタケース16bの前記支持部16eは可動ケース15に対向し、U字形の凹部16dの前記支持部16eをつなぐ面16cは可動ケース15の図10及び図11において下側の面15aに対向し、前記回転軸20に平行に設けられている。また、前記面16cの一部には、可動ケース15の揺動方向に平行に(前記回転軸20に直交するように)溝19が設けられている。この溝19は第1の実施形態における溝5と同等であり、前記面16cは第1の実施形態における面4cと同等である。但し、前記面16c及び溝19は本体ウエケース16a、本体シタケース16bに連なって1つの面を構成し、また、1つの溝を構成している。
【0042】
前記面16cの可動ケース15の前記下面15aとで構成される隙間18は、可動ケース15が回転軸20を中心として回転するために必要なものであり、全体の寸法を抑える目的で、前記第1の実施形態と同様に、前記下面15aが回転軸20を中心とする円筒面の一部となっている。また、前記溝19は第1の実施形態の溝5と同様の機能を有している。なお、溝19は埃や湿気がこの隙間に溜まるのを防止できる寸法を確保できれば前記隙間18に2つ以上あってもよく、前述の図5のようにU字状でもV字状でもよい。
【0043】
前述のように可動ケース15は端子刃14で挟み込まれ、端子刃14と金具21はかしめ部材22によってかしめられ、このかしめ部の軸部が回転軸20として機能している。金具21は本体ケース16と本体カバー17内部でタップ側に繋がっている線材23を前記かしめ部材22のかしめにより固定している。
【0044】
なお、この実施形態においても沿面距離を長くするために図12に示すような構造が取られている。すなわち、本体ウエケース16aにリブ24a、本体シタケース16bにリブ24bを設け、それぞれのリブを図のように食い違うように組み合わせて端子刃14から繋がっている金具21間を遮断し、且つ、沿面距離を長くして本体ケース16内における埃や湿気による端子刃14間のショートを防止するようにしている。なお、この場合も図4に示した前述の第1の実施形態のように所謂いんろう構造とすることもできる。
【0045】
このように第1及び第2の実施形態では、可動部を2つ割りに、本体部を一体に構成し、第3の実施形態では可動部を一体に、本体部を2つ割りに構成して、それぞれ可動部と本体部を連結して1つの可動式電源プラグとし、いずれも本体ケース4,16側の凹部4aあるいは16dの可動ケース2,15に対向する面4c,16cに溝5,19を設けている。これにより、前記面4c,16cに堆積した塵埃を前記溝5,19によって裁ち切り、また、表面張力による水の停留を排除してトラッキングが生じないようにすることができる。
【0046】
その他、特に説明しない各部は前述の第1の実施形態と同等に構成されている。
【0047】
なお、第1ないし第3の実施形態では、端子刃1,14は可動ケース2,15からそのまま突設されているが、図13に示すように端子刃1の根元に絶縁性の薄肉部材26によって被覆する従来技術と組み合わせると、本発明による可動ケースや本体ケース内部の端子刃または金具間、そして可動部と本体部にできる隙間部の金具間における2つのトラッキングの発生防止効果と合わせて、安全性を大幅に向上させた電源プラグを実現できる。
【0048】
さらに、本発明に係る可動式電源プラグは、家庭用の電気製品、パーソナルコンピュータの電源プラグや携帯電話やPDAなどの充電を要する機器を含め、全ての電気製品の電源プラグに適用することができる。
【0049】
また、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば第1の実施形態のように可動部を2つ割りにするとともに、また、第3の実施形態のように本体部を2つ割りにした構造を組み合わせるというように、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能であることはいうまでもない。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、本体部の可動部と対向する部分に、少なくとも1つの溝を設け、当該溝を挟んだ両側の部分に堆積した塵埃及び/又は当該部分に停留した水をそれぞれの部分で独立させたので、当該部分に堆積した塵埃及び/または当該部分に停留した水の電気的導通を前記溝によって断ち切ることが可能になり、可動式電源プラグで起こり得るトラッキング現象の発生を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る可動式電源プラグの外観を示す斜視図である。
【図2】図3のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】第1の実施形態の変形例を示す断面図である。
【図5】第1の実施形態における溝形状の他の例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る可動式電源プラグの外観を示す斜視図である。
【図7】図6のC−C線断面図である。
【図8】第2の実施形態に係る可動式電源プラグの本体ケースの回転軸周辺の形状を示す説明図である。
【図9】第2の実施形態に係る可動式電源プラグの可動ケースの回転軸周辺の形状を示す説明図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る可動式電源プラグの外観を示す斜視図である。
【図11】図10のD−D線断面図である。
【図12】図11のE−E線断面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る可動式電源プラグの端子刃の基部を絶縁材料で被覆した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,14 端子刃
1a かしめ平面部
2,15 可動ケース
2a 可動ウエケース
2a−1,2b−1 リブ
2a−3,2b−3 短いリブ
2b 可動シタケース
2c 角孔
4,16 本体ケース
4a,16d 凹部
4b,16e 支持部
4c,16c 面
4d 円盤状突起
5,19 溝
6,18 隙間
7,20 回転軸
8 金属部材
9,21 金具
10,22 かしめ部材
11,23 線材
16a 本体ウエケース
16b 本体シタケース
17 本体カバー
24a,24bリブ
25 突起
26 薄肉部材
P 可動式電源プラグ
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気機器の電源コードや延長コード等に用いられる電源プラグに係り、特に端子刃部が回転可能な可動式の電源プラグに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、家庭内の電気機器の数が増えるに伴ってコンセントに差しっぱなしの電源プラグの端子間に埃などが付着し、その埃が湿気を吸収して端子間がショートするトラッキング現象による火災が増加しており、その対策が急務になっている。電気機器の電源コードや延長コード等に用いられる電源プラグは、端子刃と本体部が一体成形された一体式電源プラグが主流で、この形式のプラグは、本体が単一樹脂で端子刃と一体成形されていて本体内部でショートすることがないため、端子刃間のショートにのみトラッキング対策を実施すればよい。具体的には特開平08−255649号記載の技術のように端子刃間に溝を設けたり、特開平12−58183号記載の技術のように端子刃根元に薄肉部材を被覆する技術などが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、最近、可動式電源プラグが急速に普及している。これは、可動式電源プラグが、コンセント部の省スペース化が図れ、コードの引き回しに有利であるためである。しかし、このような可動式電源プラグにおいては、端子刃間に溝を設けたり、端子刃根元に薄肉部材を被覆する特開平08−255649号公報や特開平12−58183号公報に記載のトラッキング対策だけでは十分安全とは言えない。
【0004】
端子刃部が回転可能な可動式電源プラグに関してトラッキングが発生する要因は2つある。1つの要因は、端子刃がある可動部と本体部の間にできる隙間に埃や湿気が溜まりトラッキングを発生するというものである。他の要因は、端子刃がある可動部と本体部が分離しているため双方を一体成形することができず、可動部と本体部のどちらか一方を2つの樹脂成形品で挟み込む構造とすることが必要となり、その2つの樹脂成形品の隙間に埃や湿気が溜まりトラッキングを発生するというものである。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、その目的は、トラッキング現象を抑制することができる可動式の電源プラグを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、第1の手段は、コンセントの差込穴に差込まれる少なくとも2つの端子刃を有する可動部と、前記可動部を保持し、線材に接続された本体部とから構成され、前記可動部が前記端子刃と直交する軸を中心として本体部に所定角回転自在に支持された電源プラグにおいて、前記本体部の前記可動部と対向する部分に、少なくとも1つの溝を設け、当該溝を挟んだ両側の部分に堆積した塵埃及び/又は当該部分に停留した水をそれぞれの部分で独立させたことを特徴とする。このように構成すると、前記溝によって前記本体部の前記可動部と対向する部分に堆積した塵埃及び/または当該部分に停留した水の電気的導通を断ち切るので、トラッキング現象を抑制することが可能になる。
【0007】
第2の手段は、第1の手段において、前記可動部は端子刃を挟み込む2つの樹脂成形品で構成され、前記樹脂成形品内部にそれぞれの樹脂成型品に突設されたリブを有し、それぞれのリブが前記端子刃の間に位置するように互い違いに組み合わせて2つの樹脂成形品を一体化したことを特徴とする。このように構成すると、沿面距離を長くすることができるので、その分、トラッキング現象を抑制することができる。
【0008】
第3の手段は、第1の手段において、前記本体部は端子刃から繋がっている金具または線材を挟み込む2つの樹脂成形品で構成され、前記樹脂成形品内部にそれぞれの樹脂成形品に突設されたリブを有し、それぞれのリブが前記端子刃から繋がっている金具または線材間に位置するように互い違いに組み合わせて2つの樹脂成形品を一体化したことを特徴とする。このように構成すると、沿面距離を長くすることができるので、その分、トラッキング現象を抑制することができる。
【0009】
第4の手段は、第2または第3の手段において、前記リブの先端側の対向面から前記リブよりも小寸かつ小幅の第2のリブを突出させ、前記リブと前記第2のリブで段差をもって付き当てて一体化したことを特徴とする。このようにいわゆるいんろう構造とすることによりさらに沿面距離を長くすることができるので、トラッキング現象の抑制機能をさらに発揮させることができる。
【0010】
第5の手段は、第2または第3の手段において、前記可動部の前記端子刃を保持する部分の外周側に前記本体部側に突出した環状の突起が設けられていることを特徴とする。
【0011】
第6の手段は、第5の手段において、前記環状の突起の内周に沿って前記突起の内部に進出するように前記本体部から突出した突部を備えていることを特徴とする。
【0012】
第5及び第6の手段においても、前記突起や突部によって沿面距離が長くなるので、その分トラッキング現象を抑制することができる。
【0013】
第7の手段は、第1、第4、第5及び第6の手段において、前記可動部の端子刃と、前記本体部の線材が接続された金具との間であって前記可動部と前記本体部の間の回転軸周囲に、成形時に前記可動部側への樹脂の侵入を防止する部材が設けられていることを特徴とする。このように構成すると、前記部材により隙間の発生が防止され、樹脂の侵入を防ぐと共に、隙間がなくなるので、トラッキング現象を抑制することができる。
【0014】
なお、以下の実施形態において、端子刃は端子刃1に、可動部は可動ケース2,15に、本体部は本体ケース4,16に、軸は回転軸7,20に、可動部と対向する部分は面4c,16cに、溝は溝5,19に、リブはリブ2a−1,2b−1、24a,24bに、第2のリブは短いリブ2a−3,2b−3に、環状の突起は25に、突部は円盤状の突起4dに、樹脂の侵入を防止する部材は金属部材8にそれぞれ対応する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1ないし図4は本発明の第1の実施形態を図1から図3に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明の第1の実施形態に係る可動式電源プラグの外観を示す斜視図、図2は図1におけるA−A線断面図、図3は図1におけるB−B線断面図(長手方向に断面し、矢印B方向に見た図)、図4は図2の変形例を示す図である。
【0018】
図1ないし図3において、可動式電源プラグPは、本体ケース4と端子刃1を備えた可動ケース2とからなる。本体ケース4には、図3に示すように正面視U字状の可動ケース2の取り付け用の凹部4aが設けられ、この凹部4aを挟んで対向するように一対の支持部4bが設けられ、後述するようにこの支持部4b間に可動ケース2が可動に設けられる。
【0019】
可動ケース2は可動ウエケース2aと可動シタケース2bから構成され、熱硬化性樹脂で成形した可動ウエケース2aと可動シタケース2bで端子刃1を挟み込み、固定用金属部材3で可動ウエケース2aと可動シタケース2bを相互に固定している。可動ケース2には端子刃1の一部を貫通し、本体ケース4と係合する回転軸7が設けられ、前記回転軸7を中心として可動ケース2は本体ケース4に対して少なくとも90度の回転が可能である。このようにして可動ケース2が前記凹部4a内で揺動可能に保持される。
【0020】
本体ケース4は塩化ビニールなどの熱可塑性樹脂で一体成形したもので、図2及び図3に示すように端子刃1とかしめ部材10によりかしめて接合されている金具9や線材11を一体に包み込んで成形されている。このように成形することにより本体ケース4内には埃や湿気が入り込むことはない。
【0021】
本体ケース4の前記凹部4aの前記支持部4bに挟まれる面4cは、可動ケース2の図3において下側の面2cに対向し、前記回転軸7に平行に形成され、前記面4cの一部に、前記回転軸7に直交する面を含む溝5が設けられている。前記本体ケース4の可動ケース2に対向する前記面4cと、可動ケース2の前記面2cによって形成される隙間6は、可動ケース2が回転軸7を中心として回転するために必要なものであり、全体の寸法を抑える目的で、前記隙間6に面する可動ケース2の面2cは、回転軸7を中心とする円筒面の一部となっている。
【0022】
また、端子刃1と金属部材8および金具9はかしめ部材10によってかしめられ、このかしめ部材10の軸部分が回転軸7となっている。従って、回転軸7は各端子刃1ごとに同軸に2軸設けられている。金具9は本体ケース4内部でタップ側に繋がっている線材11とかしめ部9aでかしめることにより接合され、線材11と一体となって本体ケース4内に保持されている。
【0023】
図2に示すように、可動ウエケース2aの内側と可動シタケース2bの内側には、先端部が対向するケースの内面と接触するリブ2a−1、2b−1をそれぞれ一体に突設する。すなわち、可動ウエケース2aの図2において左の端子側から、可動シタケース2bの内面まで伸びるリブ2a−1を設け、可動シタケース2bの図2において右側の端子側から可動ウエケース2aの内面まで伸びるリブ2b−1を設け、それぞれのリブ2a−1,2b−1の側面には、図3からも分かるように端子刃1の内側の側面が当接し、端子間距離L1を規定している。また、端子刃1に当接するリブ2a−4、2b−4をそれぞれ可動ウエケース2aと可動シタケース2bに設けている。前記端子刃1の幅H1寸法は、前記リブ2a−1、2b−1の突出高さH2寸法以下、好適にはH1<H2に設定され、回転軸7の軸方向から見た時、可動ウエケース2aと可動シタケース2bの範囲内では端子刃1同士が直接見通せない大きさになっている。
【0024】
このように前記幅H1突出高さH2を設定すると、図2に示すようにリブ2a−1、2b−1と端子刃11との間に
H3=(H2−H1)/2
で示されるような幅H3の差が存在する。このように幅H3が存在すると、端子刃1が水平に指し込まれた状態の時、塵埃あるいは埃が少し侵入しても、下に蓄積された塵埃あるいは水は前記幅H3分内側に入り込むことはないのでトラッキングを生じない。このようにH3を設定することによりリブ2a−1とリブ2b−1は、両端子刃1間を遮断し、且つ、沿面距離を長くして可動ケース2内における塵埃や湿気による端子刃1間のショートを防止している。
【0025】
図2に示したように、突出する部材が異なるリブ2a−1,2b−1の組み合わせで、互い違いになるようにすると、可動ウエケース2aと可動シタケース2bの結合部以外は同じ形状にすることができる。図2に示す第1の実施形態では前記結合部は金属製のタッピングねじ2a−2を対向側の樹脂製可動シタケース2bに設けた下穴2b−2にねじ込んで結合する。前記可動ウエケース2aと可動シタケース2bの2つのケースの結合をねじとナットによって行なえば、可動ウエケース2aと可動シタケース2bを同じ形状にすることも可能である。また、図4に示したように前記各リブ2a−1,2b−1の先端と、他方のケース2b,2aの面から立ち上げた短いリブ2a−3,2b−3がいんろう構造になっていてもよい。このように構成すると、さらに沿面距離が長くなる。
【0026】
本実施形態においては、構造を簡素にするために本体ケース4内の金具9は線材11との結合部まで、基本的には一平面であり、その一部は隙間6に直接面している。そのため、塵埃が隙間6周辺に堆積すると、金具9に塵埃が接し、塵埃が湿気を帯びると両端子刃1間が塵埃中の湿気を通して導通し、短絡する可能性がある。そこで、このような短絡が発生しないように本体ケース4の可動部に対向する面4cの一部に溝5を設けるようにした。このように溝5を設けると、前記面4cと溝5の境目に稜(角部)が生じ、堆積する塵埃が前記稜あるいは溝の窪みによって切断され、堆積しにくくなる。そして、たとえ塵埃が堆積し、塵埃が湿気を帯びたとしても、前記溝5を境にして両側に存在する塵埃がそれぞれ独立し、電気的導通が生じることはない。すなわち、溝5によって塵埃が切断され、端子刃1間に短絡が生じることはない。
【0027】
また、水がかかった場合には、前記溝5によって前記隙間6に水が溜まることを防止することができる。すなわち、溝5がない場合、水が掛かると前記隙間6に表面張力により水が溜まるが、溝5があると、この部分で表面張力によって水を保持することが不可能となり、溝5の部分でトラッキングが断ち切られる。また、たとえ前記隙間6に水が溜まったとしても、前記溝5の境にそれぞれ独立して存在することになるので、この隙間6でトラッキングが生じることはない。このため、トラッキングを切ることができる寸法に、溝5の幅と深さは設定される。その観点からは、溝5を複数設けることによって1つ1つの溝の寸法が小さくなりすぎないように留意しなければならない。また、前記溝寸法を満足すれば図5(a)及び(b)に示すように溝5の形状がV形、U形であってもよく、溝形状は問わない。
【0028】
このように第1の実施形態では、リブ2a−1,2b−1の形状を規定することにより可動ケース2における端子刃1間のトラッキングの発生を防止し、本体ケース4の面4cに溝5を設けることにより本体ケース4における端子刃1間のトラッキングの発生を防止することができる。
【0029】
<第2の実施形態>
図6ないし図9は本発明の第2の実施形態に係る可動式電源プラグを説明するための図である。
【0030】
図6は第2の実施形態に係る可動式電源プラグの斜視図、図7は図6におけるC−C線断面図(長手方向に断面し、矢印C方向に見た図)、図8は本体ケースを成形した時の回転軸部分を内側から端子刃を除いて見た図、図9可動シタケースを回転軸7の方向から見た図である。なお、以下の説明において、前述の第1の実施形態と同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0031】
この第2の実施形態は、図6に示すように回転軸7の周囲を可動ウエケース2aと可動シタケース2bに設けられた環状の突起25によって覆って回転軸7近傍の両金具9間のトラッキングを防止するようにしたものである。
【0032】
本実施形態では、図7からも分かるように可動ケース2の回転軸7を構成するかしめ部材10から所定距離離れた部分に、本体ケース4の支持部4b側に突出した突起25を環状に設け、回転軸7の軸部分の金具9と端子刃1の周囲を覆うようにしている。この実施形態においても前述の第1の実施形態と同様に、端子刃1を熱硬化性樹脂で成形した可動ウエケース2aと可動シタケース2bで挟み込み、固定用金属部材3で可動ウエケース2aと可動シタケース2bを相互に固定している。本体ケース4は塩化ビニールなどの熱可塑性樹脂で、端子刃1とかしめ部材10を介して接続されている金具9や線材11を一体成形して包み込む。
【0033】
本体ケース4を成形した時の回転軸7部分を内側から端子刃1を除いて見た図を図7に示す。かしめ部材10および金具9の外周部は円盤状の突起4dが形成されている。前記円盤状突起4dを成形で形成するために、金具9は図5及び図6に示すようにクランク状に曲げられている。前記形状を成形するには、第1の実施形態と同様に、図7の紙面直交方向の中央で割った型を用いることにより可能である。成形時には端子刃1のかしめ平面部1aを型によって押さえる必要があり、図7及び図8に示すようにワッシャ作用を持つ金属部材8が金具9と端子刃1の間に入る場合は、金属部材8の外形は端子刃1のかしめ平面部1aと同じかあるいはそれより大きくすることにより成形時のばりの発生を抑えることができる。
【0034】
図9は可動シタケース2bを回転軸7の方向から見た図である。可動シタケース2bには前記円盤状突起4dと隙間を持って嵌まり合うフランジ25の半周分が形成されている。フランジ25の内側には平面2dが続いており、前記フランジ25の中心部には角孔2cが設けられている。前記角孔2cには組み立て時に端子刃1の前記かしめ平面部1aが嵌め込まれる。可動シタケース2aは内部の結合部を除き、可動シタケース2bと同じ外形である。
【0035】
以上、説明したような形状になっているため、可動ウエケース2aと可動シタケース2bを合わせた時に出来る合わせ面の隙間は、回転軸7の周囲においては本体4に設けた円盤状突起4dのために塞がれ、隙間を通って真っ直ぐに内部の金属部分に埃等が侵入することはない。
【0036】
その他、特に説明しない各部は前述の第1の実施形態と同等に構成され、同等に機能する。
【0037】
<第3の実施形態>
図10ないし図12は本発明の第3の実施形態に係る可動式電源プラグを説明するための図である。
【0038】
図10は第3の実施形態に係る電源プラグの外観を示す斜視図、図11は図10のD−D線断面図、図12は図11のE−E線断面図である。この実施形態は、第1及び第2の実施形態が可動ケース側が2分割され、本体ケース側が一体であったのに対し、可動ケース側が一体で本外ケース側が2分割されて形成したものである。
【0039】
図10ないし図12において、可動式電源プラグPは、本体ケース16と端子刃14を備えた可動ケース15とからなる。本体ケース16には、図9及び図10に示すように正面視U字状の可動ケース15の取り付け用の凹部16dが設けられ、この凹部16dを挟んで対向するように一対の支持部16eが設けられ、後述するようにこの支持部16e間に可動ケース15が可動に設けられる。
【0040】
可動部は端子刃14と可動ケース15から構成されている。本体ケース16は本体ウエケース16aと本体シタケース16bから構成され、その各々に前述のように一対の支持部16eが設けられている。そして、熱硬化性樹脂で成形した可動ケース15を平板状の端子刃14で挟み込み、それらを熱硬化性樹脂で成形した本体ウエケース16aと本体シタケース16bの支持部16eで挟み込んだ後、それを塩化ビニールの本体カバー17で一体成形した構造になっている。成形の際のばりを防止するため、本体カバー17は可動部と対向している境界部から少し離れた部分までしかカバーしていない。可動部は端子刃14の一部を貫通する本体部共通の回転軸20を持ち、前記回転軸20を中心として少なくとも90度の回転が可能である。
【0041】
本体ウエケース16a、本体シタケース16bの前記支持部16eは可動ケース15に対向し、U字形の凹部16dの前記支持部16eをつなぐ面16cは可動ケース15の図10及び図11において下側の面15aに対向し、前記回転軸20に平行に設けられている。また、前記面16cの一部には、可動ケース15の揺動方向に平行に(前記回転軸20に直交するように)溝19が設けられている。この溝19は第1の実施形態における溝5と同等であり、前記面16cは第1の実施形態における面4cと同等である。但し、前記面16c及び溝19は本体ウエケース16a、本体シタケース16bに連なって1つの面を構成し、また、1つの溝を構成している。
【0042】
前記面16cの可動ケース15の前記下面15aとで構成される隙間18は、可動ケース15が回転軸20を中心として回転するために必要なものであり、全体の寸法を抑える目的で、前記第1の実施形態と同様に、前記下面15aが回転軸20を中心とする円筒面の一部となっている。また、前記溝19は第1の実施形態の溝5と同様の機能を有している。なお、溝19は埃や湿気がこの隙間に溜まるのを防止できる寸法を確保できれば前記隙間18に2つ以上あってもよく、前述の図5のようにU字状でもV字状でもよい。
【0043】
前述のように可動ケース15は端子刃14で挟み込まれ、端子刃14と金具21はかしめ部材22によってかしめられ、このかしめ部の軸部が回転軸20として機能している。金具21は本体ケース16と本体カバー17内部でタップ側に繋がっている線材23を前記かしめ部材22のかしめにより固定している。
【0044】
なお、この実施形態においても沿面距離を長くするために図12に示すような構造が取られている。すなわち、本体ウエケース16aにリブ24a、本体シタケース16bにリブ24bを設け、それぞれのリブを図のように食い違うように組み合わせて端子刃14から繋がっている金具21間を遮断し、且つ、沿面距離を長くして本体ケース16内における埃や湿気による端子刃14間のショートを防止するようにしている。なお、この場合も図4に示した前述の第1の実施形態のように所謂いんろう構造とすることもできる。
【0045】
このように第1及び第2の実施形態では、可動部を2つ割りに、本体部を一体に構成し、第3の実施形態では可動部を一体に、本体部を2つ割りに構成して、それぞれ可動部と本体部を連結して1つの可動式電源プラグとし、いずれも本体ケース4,16側の凹部4aあるいは16dの可動ケース2,15に対向する面4c,16cに溝5,19を設けている。これにより、前記面4c,16cに堆積した塵埃を前記溝5,19によって裁ち切り、また、表面張力による水の停留を排除してトラッキングが生じないようにすることができる。
【0046】
その他、特に説明しない各部は前述の第1の実施形態と同等に構成されている。
【0047】
なお、第1ないし第3の実施形態では、端子刃1,14は可動ケース2,15からそのまま突設されているが、図13に示すように端子刃1の根元に絶縁性の薄肉部材26によって被覆する従来技術と組み合わせると、本発明による可動ケースや本体ケース内部の端子刃または金具間、そして可動部と本体部にできる隙間部の金具間における2つのトラッキングの発生防止効果と合わせて、安全性を大幅に向上させた電源プラグを実現できる。
【0048】
さらに、本発明に係る可動式電源プラグは、家庭用の電気製品、パーソナルコンピュータの電源プラグや携帯電話やPDAなどの充電を要する機器を含め、全ての電気製品の電源プラグに適用することができる。
【0049】
また、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば第1の実施形態のように可動部を2つ割りにするとともに、また、第3の実施形態のように本体部を2つ割りにした構造を組み合わせるというように、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能であることはいうまでもない。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、本体部の可動部と対向する部分に、少なくとも1つの溝を設け、当該溝を挟んだ両側の部分に堆積した塵埃及び/又は当該部分に停留した水をそれぞれの部分で独立させたので、当該部分に堆積した塵埃及び/または当該部分に停留した水の電気的導通を前記溝によって断ち切ることが可能になり、可動式電源プラグで起こり得るトラッキング現象の発生を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る可動式電源プラグの外観を示す斜視図である。
【図2】図3のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】第1の実施形態の変形例を示す断面図である。
【図5】第1の実施形態における溝形状の他の例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る可動式電源プラグの外観を示す斜視図である。
【図7】図6のC−C線断面図である。
【図8】第2の実施形態に係る可動式電源プラグの本体ケースの回転軸周辺の形状を示す説明図である。
【図9】第2の実施形態に係る可動式電源プラグの可動ケースの回転軸周辺の形状を示す説明図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る可動式電源プラグの外観を示す斜視図である。
【図11】図10のD−D線断面図である。
【図12】図11のE−E線断面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る可動式電源プラグの端子刃の基部を絶縁材料で被覆した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,14 端子刃
1a かしめ平面部
2,15 可動ケース
2a 可動ウエケース
2a−1,2b−1 リブ
2a−3,2b−3 短いリブ
2b 可動シタケース
2c 角孔
4,16 本体ケース
4a,16d 凹部
4b,16e 支持部
4c,16c 面
4d 円盤状突起
5,19 溝
6,18 隙間
7,20 回転軸
8 金属部材
9,21 金具
10,22 かしめ部材
11,23 線材
16a 本体ウエケース
16b 本体シタケース
17 本体カバー
24a,24bリブ
25 突起
26 薄肉部材
P 可動式電源プラグ
Claims (7)
- コンセントの差込穴に差込まれる少なくとも2つの端子刃を有する可動部と、前記可動部を保持し、線材に接続された本体部とから構成され、前記可動部が前記端子刃と直交する軸を中心として本体部に所定角回転自在に支持された電源プラグにおいて、
前記本体部の前記可動部と対向する部分に、少なくとも1つの溝を設け、当該溝を挟んだ両側の部分に堆積した塵埃及び/又は当該部分に停留した水をそれぞれの部分で独立させたことを特徴とする電源プラグ。 - 前記可動部は端子刃を挟み込む2つの樹脂成形品で構成され、前記樹脂成形品内部にそれぞれの樹脂成型品に突設されたリブを有し、それぞれのリブが前記端子刃の間に位置するように互い違いに組み合わせて2つの樹脂成形品を一体化したことを特徴とする請求項1記載の電源プラグ。
- 前記本体部は端子刃から繋がっている金具または線材を挟み込む2つの樹脂成形品で構成され、前記樹脂成形品内部にそれぞれの樹脂成形品に突設されたリブを有し、それぞれのリブが前記端子刃から繋がっている金具または線材間に位置するように互い違いに組み合わせて2つの樹脂成形品を一体化したことを特徴とする請求項1記載の電源プラグ。
- 前記リブの先端側の対向面から前記リブよりも小寸かつ小幅の第2のリブを突出させ、前記リブと前記第2のリブで段差をもって付き当てて一体化したことを特徴とする請求項2または3記載の電源プラグ。
- 前記可動部の前記端子刃を保持する部分の外周側に前記本体部側に突出した環状の突起が設けられていることを特徴とする請求項2または3記載の電源プラグ。
- 前記環状の突起の内周に沿って前記突起の内部に進出するように前記本体部から突出した突部を備えていることを特徴とする請求項5記載の電源プラグ。
- 前記可動部の端子刃と、前記本体部の線材が接続された金具との間であって前記可動部と前記本体部の間の回転軸周囲に、成形時に前記可動部側への樹脂の侵入を防止する部材が設けられていることを特徴とする請求項1、4、5及び6のいずれか1項に記載の電源プラグ。
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