JP2004039388A - 光学部材及びこれを用いたelディスプレイ表示装置 - Google Patents

光学部材及びこれを用いたelディスプレイ表示装置 Download PDF

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中村 年孝
Kazutaka Hara
原 和孝
Minoru Miyatake
宮武 稔
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Abstract

【課題】ELディスプレイ表示装置のコントラストや解像度等の表示品位を損なうことなく、本来なら導波光としてEL素子の内部に閉じ込められている光を効率良く外部に取り出すことを可能にする光学部材及びこれを用いたELディスプレイ表示装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るELディスプレイ表示装置100は、陽極5と陰極3とを介して発光層2から発光を取り出す複数のEL素子10のそれぞれが各画素に配置されている。本発明に係る光学部材は、EL素子10の発光層2とEL素子10の出射面との間に形成された光拡散層4を備え、光拡散層4は、各EL素子10の発光層2のそれぞれ(2a、2b、2c)の配置に対応して配置されている。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気的に発光層から発光を取り出すエレクトロルミネッセンス(EL)素子を配置したELディスプレイ表示装置に用いる光学部材及びこれを用いたELディスプレイ表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電極間に発光層を設け、これに電圧を印加して発光を生じるEL素子は、平面型照明、光ファイバー用光源、液晶ディスプレイ用バックライト、液晶プロジェクタ用バックライト、ディスプレイ表示装置等の各種光源として盛んに研究、開発が進められている。その中でも、特に、有機EL素子は、発光効率、低電圧駆動、軽量、低コストという点で優れており、近年極めて注目を浴びている素子である。
【0003】
しかしながら、EL素子のように発光層自体から発光を取り出す固体内発光素子においては、発光した光の内、発光層の屈折率と、出射媒質(例えば、空気層)の屈折率とによって決まる臨界角以上の入射角を有する光が、発光層と出射媒質との界面で全反射し、発光層の内部に閉じ込められ、外部に取り出すことができない場合がある。ここで、発光層の屈折率をnとすると、発光層で発生した光の内、外部に取り出される光の取り出し効率ηは、η=1/(2・n)で近似されることが知られている。例えば、発光層の屈折率が1.7である場合、η≒17%程度となり、1/5以上の光は損失光として失われていることになる。
【0004】
また、有機EL素子の場合、電極から注入された電子及び正孔の再結合によって生成する励起子の内、発光に寄与する1重項励起子の生成する確率は1/4であり、これを考慮するだけでも、全体の発光効率は5%以下と極めて低いものとなってしまう。しかしながら、近年、発光層自体の発光効率(量子効率)を高める方法として、例えば、特開2001−313178号公報に記載されているように、3重項励起子を利用した燐光からも発光が生じる発光材料の開発も進んでおり、飛躍的に量子効率が高まる可能性が見出されている。
【0005】
しかしながら、仮に発光層自体の発光効率(量子効率)が向上したとしても、取り出し効率が低ければ、量子効率に取り出し効率を乗じた全体の発光効率としては低下するという問題がある。換言すれば、取り出し効率が改善されれば、相乗効果として飛躍的に発光効率を向上できる余地があるということになる。
【0006】
前記取り出し効率を改善する方法としては、例えば、特開昭63−314795号公報に記載されているように、EL素子を構成する基板自体が集光性を有するようにして取り出し効率を向上させる方法や、特開平10−321371号公報に記載されているように、発光層をディスコチック液晶で形成することにより、発光する光線自体の正面指向性を向上させる方法、特開平11−214162号公報に記載されているように、EL素子を構成する電極を凹面形状に形成する方法、特開平11−214163号公報に記載されているように、EL素子を構成する電極に傾斜面を形成する方法、特開平11−283751号公報に記載されているように、EL素子を構成する電極に回折格子等を形成する方法など、種々の方法が提案されている。しかしながら、これらの提案は、EL素子が複雑な構成になってしまったり、発光層自体の発光効率が悪くなってしまう等の問題がある。
【0007】
また、前記取り出し効率を改善するための比較的簡単な方法としては、EL素子に光拡散層を形成することにより、光を拡散し、全反射条件を満たす光を低減する方法を挙げることができる。斯かる方法には、例えば、特開平6−347617号公報に記載のように、内部と表面で屈折率の異なる屈折率分布構造を有する粒子を透明基材中に分散含有させた拡散板や、特開2001−356207号公報に記載のように、透光性基体上に単粒子層状に並べられた透光性粒子を含む光拡散層が設けられた拡散部材を使用することができる他、特開平6−151061号公報に記載のように、EL素子の発光層と同じ材質中に散乱粒子を分散させる方法など、種々の提案がなされている。これらの提案は、散乱粒子の特性、分散マトリックスとの屈折率差、粒子の分散形態、光拡散層の形成場所等に特徴を有するものである。
【0008】
また、上記提案以外にも、例えば、特開平8−83688号公報には、有機EL素子用の種々の光拡散層(光散乱部)の例が開示されている。さらに、特開2001−167889号公報には、透光性基板及び介在層の屈折率を適切に選択することにより、発光層の乱反射構造の乱反射能力を向上させる発明が開示されている。
【0009】
ここで、上記のように取り出し効率を改善するために光拡散層を用いる従来技術では、複数のEL素子のそれぞれを画素ごとに配置したELディスプレイ表示装置において、光拡散層は連続的に形成したものとされている。以下に、光拡散層による取り出し効率の改善と、前記連続的に形成された光拡散層に起因して生じる問題について、より詳細に説明する。
【0010】
通常、EL素子のような自己発光型素子の固体内部で発生した光は、全方位に放射状に広がった光となる。例えば、図2に示すように、透光性基板1、発光層2、反射電極3等を具備するEL素子10において、発光層2内の任意の1点が発光した場合を考える(図2では、便宜上、EL素子10を構成する透明電極やキャリア輸送層等は図示を省略し、発光した光の左半分のみの軌跡を矢符で示している。また、反射電極3方向に発光した光の軌跡も図示を省略している)。図2に示すように、例えば、透光性基板1がガラスで、透光性基板1に接する出射媒質Mが空気である場合、それらの屈折率差で決まる臨界角以上の光(図2のL2)は、透光性基板1と出射媒質Mとの界面で全反射され、EL素子10の内部に閉じ込められ、損失光となる。ガラスの屈折率を1.52とすれば、前記臨界角は約41度である。
【0011】
ここで、前記発光点の大きさが無視できるほど小さいとした場合に、透光性基板1の厚みが1mmであるとすれば、透光性基板1上で観測される発光部(図2のL1)は、半径がおよそ0.87mm(=tan41°)の円に相当する。また、例えば、透光性基板1の厚みが0.1mmであるとすれば、発光部は半径がおよそ0.087mmの円に相当する。
【0012】
次に、図3に示すように、透光性基板1の表面に光拡散層4を形成した場合、前記臨界角以上の光も出射媒質(空気層)に導かれることになるため、発光部の面積は大きくなり、その大きさや輝度分布は、光拡散層4の特性に応じて決まることになる。なお、実際には、発光点は1点ではなく、発光層2内の複数の発光点を集合した平面状である為、各発光点の発光を、発光層2の横断面の全面積に亘って積分したものが、実際の発光部として観測されることになる。このようにして、光拡散層4を形成することにより、光の取り出し効率を向上させることが可能である。
【0013】
図4は、連続的に形成された光拡散層をELディスプレイ表示装置に設置した場合の様子を説明する説明図である。図4に示すように、ELディスプレイ表示装置100が、フルカラーディスプレイ表示装置である場合、赤色の発光層2a、緑色の発光層2b、青色の発光層2cがそれぞれ配列される。これらの発光層2から生じた光を、透光性基板1の表面に光拡散層4を連続的に形成して外部に取り出す場合を考える。図4に示すように、緑色の文字を表示させる場合(緑色の発光層2bを発光させる)、発光層2bのサイズや透光性基板1の厚みによっては、本来発光すべきでない隣接する青色若しくは赤色の部分が緑色に発光して視認されることになる(図4では、便宜上、赤色の発光層2aの直上に漏れる光のみを矢符で示している)。すなわち、本来なら黒表示されるべき部分にも光が漏れてしまい、しかもその周辺部がぼやけた像を表示することになってしまう。
【0014】
ここで、光拡散層4を発光層2に近接して形成すれば、前記のような問題を幾分軽減することは可能である。つまり、図4に示すように、光拡散層4と発光層2とが近接していない場合、出射光L4は、光拡散層4が無いとした場合の光路(図4に破線で示す)を辿って、本来の発光点ではない発光層2aの点Dで発光したと視認されるが、光拡散層4と発光層2とを近接させれば、前記点Dが本来の発光点に近づくため、像のぼやけを軽減することができる。しかしながら、EL素子において、電極3表面の表面平滑性は、電界の集中などによる素子劣化抑制の観点から極めて重要とされており、表面平滑性を維持したままで発光層2に近接した光拡散層4を形成するのは容易なことではない。また、光拡散層4を発光層2に近接して形成したとしても、光拡散層4の内部で複数回の光散乱が生じることにより、結局のところ、視認される発光点が本来の発光点と大きなずれを生じる結果、像のぼやけによる解像度の低下やコントラストの低下などを引き起こしてしまう場合があるという問題がある。このように、取り出し効率を改善するために光拡散層を用いる従来技術においては、光拡散層が連続的に形成されたものであることに起因して、ELディスプレイ表示装置のコントラストや解像度等の表示品位が低下するという問題があった。
【0015】
ところで、有機EL素子において、その発光層の形成方法は、真空蒸着法に代表されるドライブロセスを用いる場合と、スピンコーティングやスクリーン印刷などのウエットプロセスを用いる場合とに大別される。
【0016】
スピンコーティングは、比較的大きな面積(横断面の面積)の発光層を形成するには有利であるものの、ELディスプレイ表示装置のように画素毎にパターニングする必要がある場合への適用は困難である。また、真空蒸着法で発光層を形成する場合には、画素サイズ、画素ピッチに対応したマスクを用いてパターニングするが、特にフルカラーディスプレイ表示装置とする場合、RGB3色を正確に形成するには高精度なマスクの位置合わせが必要であり、これは容易なことではない。さらに、スクリーン印刷法のようなウエットプロセスでは、RGB3色を塗り分けることは無論のこと、高い解像度を維持するべく、正確に矩形の画素をパターニングするには極めて高度な製造プロセスが要求される。
【0017】
また、有機EL素子は、量子効率を高めるために、発光層とは別に正孔輸送層や電子輸送層などのキャリア輸送層を形成したり、さらには仕事関数を最適化して、キャリアの注入効率を高めるべく、正孔注入層や電子注入層なども形成される場合が多く、実際には最低でも2層、多くは5層以上もの有機層を積層した構成とされる。従って、前述したパターニングの要求精度は、さらに厳しくなるという問題がある。
【0018】
さらに、有機ELディスプレイ表示装置の駆動方法には、大別してパッシブマトリクス駆動方式とアクティブマトリクス駆動方式がある。パッシブマトリクス駆動方式は、構成が単純であるという利点を有するものの、走査線が数百本から数千本も必要とする大容量ディスプレイへの適応が困難であり、特に、電流駆動型の有機EL素子を使用する場合には、大型ディスプレイへの適応が困難であるという問題がある。また、アクティブマトリックス駆動方式において、電流駆動型である有機EL素子を使用する場合には、薄膜トランジスタ(TFT)を用いた駆動回路を形成する必要があり、ディスプレイの大型化に伴う十分な開口率を維持するのが難しくなるため、同様にして大型化が困難であるという問題がある。
【0019】
以上に説明したように、導波光としてEL素子の内部に閉じ込められている光を効率良く外部に取り出し得ると共に、ELディスプレイ表示装置のコントラストや解像度等の表示品位を損なわない手段が切望されている。また、ELディスプレイ表示装置において、EL素子を画素毎にパターニングする際に、ある程度EL素子の寸法や位置がずれた場合であっても、解像度の高い良好な表示を可能とする手段は、ELディスプレイ表示装置の製造歩留まり向上に重要であり、生産コストの低減の観点から切望されている。さらには、ELディスプレイ表示装置の大型化を比較的簡易に実現できる手段も切望されている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、複数のEL素子のそれぞれを各画素に配置したELディスプレイ表示装置に用いる光学部材であって、ELディスプレイ表示装置のコントラストや解像度等の表示品位を損なうことなく、本来なら導波光としてEL素子の内部に閉じ込められている光を効率良く外部に取り出すことを可能にする光学部材及びこれを用いたELディスプレイ表示装置を提供することを第1の課題とする。
【0021】
また、本発明は、EL素子を画素毎にパターニングする際に、ある程度EL素子の寸法や位置がずれた場合であっても、解像度の高い良好な表示を可能とすると共に、比較的簡易に大型化を実現できるELディスプレイ表示装置を提供することを第2の課題とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記第1の課題を解決するべく、本発明は、請求項1に記載の如く、陽極と陰極とを介して発光層から発光を取り出す複数のEL素子のそれぞれを各画素に配置したELディスプレイ表示装置に用いる光学部材であって、前記EL素子の発光層と前記EL素子の出射面との間に形成された光拡散層を備え、前記光拡散層は、前記各EL素子の発光層のそれぞれの配置に対応して配置されていることを特徴とする光学部材を提供するものである。
【0023】
請求項1に係る光学部材は、EL素子の内部に閉じ込められた導波光を取り出すための光拡散層を備えると共に、当該光拡散層が従来のように連続的に形成されたものではなく、各EL素子の発光層のそれぞれの配置に対応して配置されている。従って、請求項1に係る光学部材をELディスプレイ表示装置に適用すれば、従来であれば光拡散層に入射されていた大きな入射角を有する光や、光拡散層内を導波して本来発光すべきでない部分に漏れる光を、各光拡散層の端部で遮断することができる。これにより、ELディスプレイ表示装置の解像度、色再現性、コントラスト低下の原因となる、にじみ、混色(クロストーク)を抑え、表示品位を損なわずに輝度を向上させることが可能である。
【0024】
好ましくは、請求項2に記載の如く、前記配置された各光拡散層は、カラーフィルタとして機能する材料を具備するように構成される。
【0025】
請求項2に係る発明によれば、光拡散層が、カラーフィルタとして機能する材料(染料や顔料など)を具備するため、取り出し効率の向上(輝度の向上)機能と、カラーフィルタとしての機能を兼ね備えた光学部材が提供される。また、当該光学部材を適用するELディスプレイ表示装置自体がフルカラー表示可能な構成である場合、請求項2に係る光学部材のカラーフィルタ機能により、色純度を高め、色再現性を向上させることができると共に、カラーフィルタ機能材料での光吸収損失分を、光拡散層の取り出し効率向上機能によって補うことができる。さらに、ELディスプレイ表示装置自体が白色表示の構成である場合には、請求項2に係る光学部材が、前記ELディスプレイ表示装置のカラーフィルタとして機能すると共に、前述の場合と同様に、光吸収損失分を、光拡散層の取り出し効率向上機能によって補うことが可能である。
【0026】
また、本発明は、請求項3に記載の如く、請求項1又は請求項2に記載の光学部材を備えることを特徴とするELディスプレイ表示装置としても提供され得る。
【0027】
さらに、前記第1及び第2の課題を解決するべく、本発明は、請求項4に記載の如く、前記各発光層の横断面の面積よりも、前記各光拡散層の横断面の面積が大きくなるように構成される。
【0028】
請求項4に係る発明によれば、各発光層の横断面の面積よりも各光拡散層の横断面の面積が大きいため、発光層から出射した光の内、発光面の垂直方向となす角度の大きな光が、当該発光層に対応する光拡散層に入射する一方、隣接する他の光拡散層には入射し難くなるので、表示品位をより効果的に維持することができる。
【0029】
また、請求項4に係る発明において、発光層の横断面の面積(発光面積)を小さくすれば、発光層から出射した光の内、発光面の垂直方向となす角度の大きな光を、当該発光層に対応する光拡散層に入射させることができ、より一層の輝度向上効果を奏することが期待できる。
【0030】
以上の内容を、前述した図3を参照して、より詳細に説明する。図3に示すように、発光層2と光拡散層4との距離(間隙長)に応じて決まる所定の角度(発光層2の発光面の垂直方向となす角度であり、前記間隙長が大きい程、当該角度は小さくなる)以上の光(図3のL3)は、光拡散層4に入射せず、そのまま透光性基板1の側面から出射する。つまり、前記所定の角度よりも大きい角度の光は、原理的に、光拡散層4を形成しても外部に取り出すことができない。請求項4に係る発明によれば、発光層の発光面積よりも光拡散層の横断面の面積が大きいため、発光層から出射した光の内、発光面の垂直方向となす角度の大きな光をも取り出すことが可能である。ここで、発光点から全方位に光が発せられる場合、光束の本数(光量)は、前記角度の大きい光ほど多くなることが知られている。これは、立体角の考え方から明らかであり、また、前述したように、EL素子の光取り出し効率が17%程度と近似されるのも、この事実を支持するものである。従って、光拡散層を用いた輝度向上効果をより一層高めるには、大きな角度の光まで、光拡散層に導く(ひいては、出射媒質に導く)ように構成することが肝要であるが、請求項4に係る発明によれば、これを実現することが可能である。
【0031】
また、請求項4に係る発明において、各発光層の発光面積を小さくすれば、EL素子に流れる実質的な電流が当該発光面積に比例して減少し、消責電力を低減することができる。さらに、各光拡散層の横断面の面積が、あたかも発光面積であるかのように視認される。従って、少ない消費電力によって、各光拡散層と同じ発光面積の発光層を発光させた場合と同等又はそれ以上の輝度を得ることが可能になる。
【0032】
さらに、請求項4に係る発明によれば、真空蒸着やスクリーン印刷によってEL素子をパターニングする際、各EL素子(発光層)間の間隔を大きくすることができるため、高精度な位置合わせ等の製造上の制約を緩和することができる。また、発光層で発光した光は、光拡散層で散乱されるため、EL素子の形状自体が、多少バラツキを有していたり、正確に矩形でなくても視認されず、前記と同様に製造上の制約が緩和し、ひいては製造歩留まりの向上を期待できる。また、小さな発光面積で表示が可能となる(開口率を小さくすることができる)ため、比較的簡易に大型化を実現可能である。
【0033】
前述したように、各発光層の発光面積よりも各光拡散層の横断面の面積を大きくすれば、発光層から出射した光の内、発光面の垂直方向となす角度の大きな光を、当該発光層に対応する光拡散層に入射させることができ、より一層の輝度向上効果を奏すること等が期待できるが、発光層と光拡散層との間隙長を小さくすることによっても同様の効果を奏することができる。実際のELディスプレイ表示装置の画素寸法(発光層寸法)は0.3mm×0.3mm程度乃至それ以下であるため、好ましくは、請求項5に記載の如く、前記発光層と前記光拡散層との間隙長は、100μm以下とされ、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは10μm以下とされる。
【0034】
なお、本発明は、請求項6に記載の如く、前記各画素が、前記複数のEL素子のそれぞれを駆動する複数の薄膜トランジスタを備えたアクティブ型素子で構成されているELディスプレイ表示装置に最も好適に適用され、大型で且つ高精細なELディスプレイ表示装置を提供することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に係るELディスプレイ表示装置の一部分を概略的に示す縦断面図である。図1に示すように、本実施形態に係るELディスプレイ表示装置100は、複数のEL素子10(各発光層2a、2b、2c毎にEL素子が形成されていると考えることができる)を備え、EL素子10内に光拡散層4からなる光学部材が形成されている。
【0037】
EL素子10は、基板1と、陽極としての透明電極5と、陰極としての反射電極3と、両電極3、5間に形成された発光層2(2a、2b、2c)とを備え、透明電極5と反射電極3とを介して各発光層2から発光を取り出すように構成されている。なお、発光層2aは赤色の光を、発光層2bは緑色の光を、発光層2cは青色の光をそれぞれ発光する。また、本実施形態に係るEL素子10には、透明電極5と光拡散層4との間に保護層6が、光拡散層4の表面にバリアシート7が、それぞれ形成されている。ELディスプレイ表示装置100は、斯かる構成を有する複数のEL素子10のそれぞれを各画素に配置して形成されている。
【0038】
光拡散層4は、EL素子10の発光層2と、EL素子10の出射面(本実施形態ではバリアシート7の上端面)との間に形成されており、発光層2のそれぞれ(2a、2b、2c)の配置に対応して配置されている。つまり、発光層2aに対応して光拡散層4aが、発光層2bに対応して光拡散層4bが、発光層2cに対応して光拡散層4cが、それぞれ配置されている。
【0039】
なお、本実施形態に係るEL素子10は、図6に示すように、基板1の逆面から発光を取り出す(取り出し方向を矢符で示す)所謂上面光取り出し構造となっているが、図7に示すように、基板(透光性基板)1側から発光を取り出す構造とすることも可能である。斯かる場合には、図7に示すように、反射電極3と透明電極5との位置が反転すると共に、光拡散層(図示せず)は、発光層2と出射面との間に配置されることになる。
【0040】
ここで、図1に示す光拡散層4が仮に無い場合を考えると、各発光層2から出射した光の内、バリアシート7の屈折率と、出射媒質(空気層)Mとの屈折率差によって決まる臨界角以上の角度(発光面の垂直方向となす角度)で出射された光は、バリアシート7と出射媒質Mとの界面で全反射し、内部に閉じ込められて、損失光(無効発光)となる。
【0041】
また、図5に示すように、発光層2と空気層Mとの間に光拡散層4を形成した場合、光拡散層4に入射した光は散乱し、その伝送角(発光面の垂直方向となす角度)がランダムに変化する。当該散乱した光のうち、前記臨界角より小さい角度に伝送角が変化した光は、空気層Mとの界面を通過し、観測者側、つまり空気層Mに出射する。このようにして、本来なら内部に閉じ込められる光を効率良く外部に取り出すことができ、出射光量を増加させることが可能である。
【0042】
しかしながら、図5に示す光拡散層4は連続的に形成されているため、一の発光層2から出射した光の内、大きな入射角で光拡散層4に入射した光が、隣接する他の発光層2上に位置する光拡散層4の領域に入り、その後、光拡散層4によって前記臨界角より小さい伝送角に変化した光が空気層Mに出射する場合がある。この場合、観測者側からは、あたかも隣接する画素、つまり前記隣接する他の発光層が発光しているように視認されることになる。また、比較的小さな入射角で光拡散層4に入射した光であっても、光拡散層4の内部で多重反射しながら横方向に伝搬することにより、最終的に前記臨界角よりも小さい伝送角に変化して空気層Mに出射される場合には、前記と同様に視認されることになる。従って、カラー表示する際に、隣接する画素と混色を生じたり、隣接する画素が黒表示している場合には、ぼやけて発光して視認されるなど、ディスプレイ表示装置としてのコントラストや解像度を著しく損なってしまう問題がある。
【0043】
本実施形態に係るELディスプレイ表示装置100は、図1を参照して前述したように、光拡散層4が、発光層2のそれぞれ(2a、2b、2c)の配置に対応した分割状態で配置されている。換言すれば、光拡散層4が画素毎にパターニングされている。従って、従来の構成(図5)であれば、光拡散層4に入射されていた大きな入射角を有する光や、光拡散層4内を導波して本来発光すべきでない部分に漏れる光を、各光拡散層4の端部で遮断(端部でバリアシート7の方向に出射される)することができる。従って、ELディスプレイ表示装置100の表示品位を損なわずに輝度を向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態に係る光拡散層4は、各発光層2a、2b、2cの横断面の面積(発光面積)よりも、各光拡散層4a、4b、4cの横断面の面積が大きくなるように形成されている。
【0045】
ここで、仮に、各発光層2の発光面積と各光拡散層4の横断面の面積とが同じである場合を考えると、各発光層2と各光拡散層4との距離(図1に示す間隙長L)に応じて、各光拡散層4に入射する光量が変化する。例えば、前記両面積が同じであるという条件下において、各発光層2の発光面積と前記間隙長Lとが同程度である場合には、各光拡散層4に入射する光の大部分は、そもそも臨界角より小さく、光拡散層4を配置しなくても外部に出射され得る光である。従って、各光拡散層4を配置することにより、各光拡散層4における後方散乱によって却って輝度が低下してしまう場合もある。逆に、各発光層2と各光拡散層4との間隙長Lを実質的に無視できるほど小さくした場合には、各光拡散層4に各発光層2から出射した光のほぼ全部が入射するため、大きな輝度向上効果を奏することができる。しかしながら、間隙長Lを実質的に零とするのは、透明電極5の平滑性維持等の観点から困難であり、実際には所定の長さ以上の間隙長Lだけ離間して、各発光層2と各光拡散層4とを配置する必要がある。
【0046】
このように、間隙長Lが実質的に零にできないとしても、前述したように、本実施形態に係る光拡散層4は、各発光層2の発光面積よりも、各光拡散層4の横断面の面積が大きくなるように形成されているため、各発光層2から出射した光の内、発光面の垂直方向となす角度の大きな光が、各発光層2に対応する各光拡散層4に入射する一方、隣接する他の光拡散層4には入射し難くなり、表示品位をより効果的に維持することが可能である。
【0047】
また、各発光層2の発光面積を小さくすれば、各発光層2から出射した光の内、発光面の垂直方向となす角度の大きな光を、各発光層2に対応する各光拡散層4に入射させることができ、より一層の輝度向上効果を奏することが期待できる。また、各発光層2の発光面積を小さくすれば、EL素子10に流れる実質的な電流が当該発光面積に比例して減少し、消責電力を低減することができると共に、各光拡散層4の横断面の面積が、あたかも発光面積であるかのように視認される。従って、少ない消費電力によって、各光拡散層4の横断面の面積と同じ発光面積の発光層を発光させた場合と同等又はそれ以上の輝度を得ることが可能である。
【0048】
さらに、真空蒸着やスクリーン印刷によってEL素子10をパターニングする際、各EL素子10間の間隔(各発光層2間の間隔)を大きくすることができるため、高精度な位置合わせ等の製造上の制約を緩和することができる。また、各発光層2で発光した光は、各光拡散層4で散乱されるため、各EL素子10の形状(各発光層2の形状等)自体が、多少バラツキを有していたり、正確に矩形でなくても視認されず、前記と同様に製造上の制約が緩和し、ひいては製造歩留まりの向上を期待できる。また、小さな発光面積で表示が可能となる(開口率を小さくすることができる)ため、比較的簡易に大型化を実現可能である。
【0049】
本実施形態に係る光拡散層4は、以上に説明した効果をより一層高めるべく、各発光層2と各光拡散層4との間隙長Lができるだけ小さくなるように配置されている。具体的には、本実施形態に係るELディスプレイ表示装置100の画素寸法(各発光層4の寸法)が0.3mm×0.3mm程度乃至それ以下であることに鑑み、間隙長Lは、100μm以下とされており、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは10μm以下とされる。
【0050】
なお、光拡散層4は、顔料や染料などの材料を添加することにより、カラーフィルタとして機能するように形成することも可能である。なお、添加材料(光吸収材など)の種類や添加量等も含めてその製造方法は、特に限定されるものではなく、従来の液晶ディスプレイ表示装置に用いられているカラーフィルタの製造方法(印刷法、顔料分散法、染色法、電着法など)をそのまま応用することができる。
【0051】
本実施形態に係るEL素子10を形成する材料は、特に限定されるものではなく、通常の材料を用いることが可能である。具体的には、発光層2を無機材料又は有機材料の何れで形成することも可能であり、例えば、EL素子10を、有機材料で発光層2を形成した有機EL素子とする場合には、発光層の量子効率を高めるために、正孔及び電子の輸送層や注入層などを適宜形成することも可能である。このように量子効率を向上させれば、光拡散層4での光の取り出し効率の向上と相俟って、量子効率に取り出し効率を乗じた発光効率を飛躍的に高めることが可能である。
【0052】
また、光拡散層4を形成する材料についても、特に限定されるものではなく、通常の材料を用いることができるが、後方散乱が小さく、効率良く光の伝送角を変え得る特性を有することが好ましい。
【0053】
具体的には、例えば、透明なマトリックス中に、当該マトリックスと屈折率が異なる透明又は不透明の粒子を分散して光拡散層4を形成することができる。前記マトリックスの材料としては、ガラスやポリマーなどを適用することができる。また、前記分散粒子としては、例えば、気泡、SiO粒子、TiO粒子、ZrO粒子、透明プラスチック粒子、液晶粒子の他、カーボン粒子、酸化スズ粒子、硫酸バリウム粒子、炭化チタン粒子、窒化チタン粒子などを適用することができるが、特に制限されるものではない。また、光拡散層4の厚みや、分散粒子の量、マトリックスとの屈折率差、粒径分布及び粒径などは、前述のような特性を有するべく、適宜光学設計されていることが好ましい。また、適宜拡散性に異方性を付与することも可能である。
【0054】
また、所謂レンズシートを光拡散層4の形成材料として用いることも可能である。レンズシートとは、同心円状、互いに平行な複数本の線状、格子状等に配列乃至形成された複数のレンズ、プリズム、∨字溝等によって、直進する光の方向を変化させる薄型板状透明物質を意味する。斯かるレンズシートの具体例としては、レンティキュラーレンズシート、フレネルレンズシート、コーナーキュープレンズシート、ハエの目レンズシート、猫の目レンズシート、二重ハエの目レンズシート、二重レンティキュラーレンズシート、放射状レンティキュラーレンズシート、プリズムレンズフィルム、マイクロプリズムレンズフィルム等の他、これらレンズシートの凸面を凹面に変更したレンズシート、透明球又は半透明球を面状に並べたレンズシート等を挙げることができる。また、これらのレンズシートに適宜∨字溝等の溝を形成することによって光の進行方向を変化させることも可能である。レンズシートの材質としては、ガラスや樹脂を用いることができる。
【0055】
光拡散層4の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは、1μm〜1mm程度とされ、より好ましくは、10μm〜300μm程度とされる。また、前述した発光層2と光拡散層4との間隙長Lとは、発光層2の表面から、光拡散層4の発光層2側の表面までの距離を示すものであり、発光層3の厚み自体は限定されるものではない。また、光拡散層4の拡散効果は、厚み方向について一定である必要はなく、例えば、粒子を分散して光拡散層4を形成する場合には、厚み方向について、粒子量、粒子の屈折率、粒径等を変化させることにより、厚み方向に拡散能力の勾配を付与しても良い。無論、数種類の粒子を混合して分散することにより、拡散能力の勾配を付与することも可能である。
【0056】
隣接する各光拡散層4の間は、空気層としても良いし、光拡散性を有さない適当な材料を充填することも可能である。また、障壁や不透明な吸収性材料等を配置することにより、隣接する各光拡散層4の間を隔離しても良い。また、光拡散層4をパターニングして形成する方法は、特に限定されるものではないが、マスクの上から微粒子を付着させて形成したり、全面に光拡散層を形成した後、適当なエッチング処理を行って形成したり、或いは、予めパターニングした光拡散層を有するフィルムや基板を、接着剤や粘着剤を介して、発光層に対して位置合せしながら貼着することも可能である。また、図8に示すように、予め、光拡散層4の厚みと同等かそれ以上の高さを有し、画素ピッチに適合するリブ等の隔壁41を、保護層6上に形成しておき、その全面に光拡散層4を形成するようにしても良い。この場合、隣接する各光拡散層4は、隔壁41上の一部が連続して形成されることになるが、隔壁41の高さまでは分割(パターン化)されることになるため、本発明に係る光拡散層としての機能を奏する。換言すれば、本発明における「各EL素子の発光層のそれぞれの配置に対応して配置された光拡散層」とは、図8に示す実施形態(隣接する各光拡散層4が、少なくとも光の入射側に連続していない部分を有する形態)を含むものである。
【0057】
また、光拡散層4を予めガスバリアフィルム、保護フィルム、保護板などに形成しておき、その後、各発光層2に対応するように位置合わせしながらラミネートする方法等も有効である。さらに、光拡散層4が形成された光学物品(例えば、光拡散層4とガスバリアフィルムの組み合わせ)に、EL素子を構成する電極を予め形成しておく実施形態を採用することも可能である。
【0058】
なお、本実施形態に係るELディスプレイ表示装置100の光学部材(光拡散層4)は、ELディスプレイ表示装置である限りにおいて、特に制限なく用いることができるが、特に、各画素が所謂アクティブ型素子で構成されたアクティブディスプレイ表示装置に好適に適用可能である。前述した図7に示すように、基板1側から発光を取り出す場合、電極3、5の形成や保護が容易であるものの、大画面化(高精細化)する場合には、TFT等の回路素子の増加に伴い、開口部が小さくなってしまうという問題があり、大画面化には、図6に示すような所謂上面光取り出し構造にする必要があるとされている。しかしながら、本発明によれば、前述したように小さな発光面積で表示が可能となるため、本実施形態で説明した上面光取り出し構造のELディスプレイ表示装置100に限らず、基板側から発光を取り出す構造としても、ある程度パネルサイズの大きいディスプレイ表示装置を提供することが可能である。
【0059】
また、本実施形態に係るELディスプレイ表示装置100において、反射電極3の外光反射による明室コントラスト低下を防止するべく、円偏光フィルタ等の反射防止フィルタをさらに形成することも可能である。ただし、円偏光フィルタを用いる場合、光拡散層4の特性によっては、その多重散乱や後方散乱などによって偏光が解消し、円偏光フィルタの機能が十分に発揮されない場合がある。従って、円偏光フィルタを用いる場合には、偏光解消が小さく、且つ、拡散性を有するように、光拡散層4の特性を設計することが望まれる。このためには、例えば、反射型液晶ディスプレイに用いられている光拡散層などを応用するのも有効な手段である。また、円偏光フィルタを用いる場合、円偏光フィルタと反射電極3との間に用いられる光学部材は、光拡散層4はもちろん、その他の光学部材についても光学的異方性が少ない材料を選択することが重要である。ただし、光拡散層4に、円偏光フィルタで吸収される光を低減するような異方散乱性を付与することは可能である。なお、円偏光フィルタは、例えば、図1に示すバリアシート7の表面上に、透明粘着剤を介して貼着することにより使用することが可能である。
【0060】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示すことにより、本発明の特徴をより一層明らかにする。
【0061】
(実施例1)
(1)光拡散層付き透明基板の作成
アクリル系紫外線硬化型樹脂(大日本インキ社製、商品名UBO6)の25重量%酢酸ブチル溶液に、固形分に対して15重量%のシリコーン微粒子(屈折率1.43、粒子径3μm)を分散させた。その後、紫外線硬化型樹脂の固形分に対して3重量%の光重合開始剤を添加した。次に、この溶液を厚み1mmのガラス基板上にアプリケータを用いて塗布し、自然乾燥させた後、開口部サイズが0.3mm×0.3mmで、開口部間ピッチが0.35mmである開口部が縦横それぞれ20パターン(計400パターン)形成されたマスクAを載置して、1000mJ/cmの紫外線を照射した。その後、非照射部分を酢酸ブチルによって溶解した。
【0062】
次に、紫外線硬化型の透明エポキシ樹脂を少量滴下した後、厚み45μmの超薄板ガラスCを、気泡が入らない様に注意しながら透明エポキシ樹脂上に載置して、透明エポキシ樹脂が均一に広がるまで放置した。その後、更に均一になるようにオートクレーブ処理を施した後、1000mJ/cmの紫外線を照射して、透明エポキシ樹脂を硬化させることにより、パターニングされた光拡散層を有する透明基板を作成した。
【0063】
(2)有機EL素子の作成
前記(1)で作成した透明基板の超薄板ガラスC側に、幅が0.3mm、ピッチが0.35mmの開口部が20パターン形成された長さ20mmのマスクBを、前記透明基板の光拡散層と前記マスクBの開口部とを位置合わせして設置した。次に、この透明基板をスパッタリング装置にセットし、ITOセラミックターゲット(In:SnO=90重量%:10重量%)から、DCスバッタリング法を用いて、厚み120nmのITO透明膜からなる陽極を形成した。その後、超音波洗浄を行った後、紫外線オゾン方式で洗浄した。次に、ITO面上に、抵抗加熱式真空蒸着装置内のモリブデン製ボートに配置したN,N’−ジフェニルーN,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)と、別のモリブデン製加工ボートに配置したトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)を介して、真空チャンバー内を1×10−4Paの減圧状態としてTPDを220℃に加熱し、厚み60nmのTPD膜からなる正孔輸送層を形成後、その上にAlqを275℃に加熱して厚み60nmのAlq膜を形成した。次に、更にその上にモリブデン製ボートに配置したマグネシウムと、別のモリブデン製加工ボートに配置した銀とを介して、真空チャンバー内を2×10−4Paの減圧状態として2元同時蒸着方式により、Mg・Ag合金(Mg/Ag=9/1)からなる厚み100nmの陰極を形成して、緑色(主波長513nm)に発光する有機EL素子を作成した。また、劣化防止の為、陰極側も、配線が隠れない様に、前述したのと同様のエポキシ樹脂とスライドガラスとを用いて封止した。
【0064】
(実施例2)
実施例1のマスクBの代わりに、幅が0.24mm、ピッチが0.35mmの開口部が5パターン形成された長さ20mmのマスクを用いた以外は、実施例1と同様の有機EL素子を作成した。
【0065】
(実施例3)
実施例1の超薄板ガラスCの代わりに、厚み30μmの超薄板ガラスを用い、マスクBの代わりに、幅が0.26mm、ピッチが0.35mmの開口部が5パターン形成された長さ20mmのマスクを用いた以外は、実施例1と同様の有機EL素子を作成した。
【0066】
(比較例1)
実施例1において、マスクAを用いず、光拡散層をパターニングしないで連続面として形成した以外は、実施例1と同様の有機EL素子を作成した。
【0067】
(比較例2)
実施例1において、光拡散層付き透明基板を用いず、厚み1mmのガラス板を基板として用いた以外は、実施例1と同様の有機EL素子を作成した。
【0068】
(評価)
(1)輝度、積算光量及び発光効率の測定
各電極を通じて、有機EL素子に6Vの直流電圧を印加し、有機EL素子の発光面に垂直な一平面に沿って、正面方向から10°毎に80°までの輝度(cd/m)を、輝度計(トプコン社製、BM9)を用いて測定した。さらに、有機EL素子に垂直な他の平面についても、前記測定した平面と同様の輝度分布であると仮定し、前記測定値に基づき、0°から80°までの空間に放射される光の積算光量(lm/m)を算出した。また、有機EL素子全体に流れる電流値を測定し、発光層の総面積と積算光量とから、発光効率(lm/W)を算出した。
【0069】
(2)画素の解像度の評価
有機EL素子を発光させた状態で、光学顕徹鏡により、幅0.05mmの画素間の隙間部の状態を観察し視感評価した。また、1対の電極にのみ電圧を印加して、非発光画素への光の滲みを視感評価した。なお、その結果は以下の4段階で評価することにした。
◎:隙間部及び非発光画素の双方で、殆ど光の滲みが視認されない。
○:隙間部には滲みが視認されるが、非発光画素には滲みが視認されない。
△:隙間部に滲みが視認され、非発光画素にも僅かに滲みが視認される。
×:隙間部及び非発光画素の双方で、滲みが視認される。
【0070】
(3)実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例2の有機EL素子について、前記(1)及び(2)の評価試験を実施した結果を表1に示す。
【表1】
Figure 2004039388
【0071】
表1に示すように、光拡散層を有さない比較例2の有機EL素子は、正面輝度が1020(cd/m)、積算光量が3540(lm/m)、発光効率が2.3(lm/W)であった。また、比較例2の有機EL素子は、光拡散層を有さないため、当然ながら解像度評価は良好な結果であった。
【0072】
これに対し、実施例1の有機EL素子は、光拡散層の効果により、比較例2に比べ、光量が増加し、発光効率も4.5(lm/W)に増加した。また、光拡散層が画素毎にパターニングされているため、画素間の隙間部に僅かに光の滲みが視認されるものの、比較的良好な表示が得られることを確認した。
【0073】
また、発光層の発光面積を0.24mm×0.24mmと小さくした実施例2の有機EL素子は、発光面積の減少に伴い、光量自体は実施例よりも小さくなったが、有機EL素子に通電する電流量が、前記発光面積減少分だけ低減されたため、発光効率自体は増加した。実施例3の有機EL素子についても同様の効果が確認された。
【0074】
しかしながら、光拡散層をパターニングしなかった比較例1の有機EL素子は、実施例1よりも発光効率は優れるものの、画素間の隙間部や非発光画素への光の滲みが激しく、ディスプレイ表示装置として好適に用い得るものではなかった。
【0075】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る光学部材は、EL素子の内部に閉じ込められた導波光を取り出すための光拡散層を備えると共に、当該光拡散層が従来のように連続的に形成されたものではなく、各EL素子の発光層のそれぞれの配置に対応して配置されている。従って、本発明に係る光学部材をELディスプレイ表示装置に適用すれば、従来であれば光拡散層に入射されていた大きな入射角を有する光や、光拡散層内を導波して本来発光すべきでない部分に漏れる光を、各光拡散層の端部で遮断することができる。これにより、ELディスプレイ表示装置の解像度、色再現性、コントラスト低下の原因となる、にじみ、混色(クロストーク)を抑え、表示品位を損なわずに輝度を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るELディスプレイ表示装置の一部分を概略的に示す縦断面図である。
【図2】図2は、光拡散層が形成されていないEL素子において、光が閉じ込められる様子を説明する説明図である。
【図3】図3は、EL素子に光拡散層を形成することにより、光の取り出し効率が向上する様子を説明する説明図である。
【図4】図4は、連続的に形成された光拡散層をELディスプレイ表示装置に設置した場合の様子を説明する説明図である。
【図5】図5は、従来のELディスプレイ表示装置の一部分を概略的に示す縦断面図である。
【図6】図6は、基板の逆面から発光を取り出す構造を説明する説明図である。
【図7】図7は、基板側から発光を取り出す構造を説明する説明図である。
【図8】図8は、本発明に係る光拡散層の他の実施形態を概略的に示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…基板 2…発光層 3…反射電極(陰極) 4…光拡散層
5…透明電極(陽極) 6…保護層 7…バリアシート 10…EL素子
100…ELディスプレイ表示装置

Claims (6)

  1. 陽極と陰極とを介して発光層から発光を取り出す複数のEL素子のそれぞれを各画素に配置したELディスプレイ表示装置に用いる光学部材であって、
    前記EL素子の発光層と前記EL素子の出射面との間に形成された光拡散層を備え、
    前記光拡散層は、前記各EL素子の発光層のそれぞれの配置に対応して配置されていることを特徴とする光学部材。
  2. 前記配置された各光拡散層は、カラーフィルタとして機能する材料を具備することを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の光学部材を備えることを特徴とするELディスプレイ表示装置。
  4. 前記各発光層の横断面の面積よりも、前記各光拡散層の横断面の面積が大きいことを特徴とする請求項3に記載のELディスプレイ表示装置。
  5. 前記発光層と前記光拡散層との間隙長が、0より大きく100μm以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載のELディスプレイ表示装置。
  6. 前記各画素が、前記複数のEL素子のそれぞれを駆動する複数の薄膜トランジスタを備えたアクティブ型素子で構成されていることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載のELディスプレイ表示装置。
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