JP2004038869A - 文章表示変換装置 - Google Patents

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風巻 貴
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Abstract

【課題】この発明は、文章表示変換装置に関し、固定記憶された漢字かな交じり文をひらがなのみを含む文に変換する場合に、辞書を用いることにより、記憶する文の記憶容量を少なくすることを課題とする。
【解決手段】文字情報を表示する表示部と、表示部に表示するための表示情報が固定記憶された第1記憶部と、漢字をかなに変換するための変換情報が記憶された第2記憶部と、前記表示情報に含まれる漢字をかなに変換して表示する表示変換処理を実行する制御部とを備え、前記制御部が、前記第1記憶部に記憶された表示情報の中の漢字部分を順次抽出し、抽出された漢字部分を、前記第2記憶部に記憶された変換情報に基づいて、その漢字の読みがなに変換した後、前記表示部に変換後の表示情報を表示させることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、文章表示変換装置に関し、特に、保存された文章を表示する場合に、文章の表示形式を変換する文章変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、日本語の文章の中の漢字を仮名に変換する技術として、次のようなものがある。
特開平9−153038号公報には、仮名を漢字に変換する処理(変換処理)と、漢字を読みに変換する処理(逆変換処理)とを、同一の変換辞書を用いて行うとともに、漢字を一意の平仮名に変換する法則を定めた漢字変換テーブルを設けて漢字データを一意の平仮名に変換する処理を行う文書作成装置が記載されている。
【0003】
また、特開平9−282316号公報には、漢字仮名変換辞書を用いて漢字を仮名に戻す場合に、いくつかの候補がある場合には、頻度情報や用例辞書を用いて第1候補を決定する漢字仮名変換装置が記載されている。
これらは、ユーザが入力した文章を再表示する際に、その文章の中に含まれる漢字を仮名に戻すために、仮名と漢字とを対応づけて記憶した辞書を利用するものである。
【0004】
今日、電子辞書に代表されるように、日本語の漢字かな交じり文を記憶,表示する機能を持つ情報機器が、市販されている。特に、安価かつ小型の携帯型装置として提供されることにより、利用するユーザの年齢層や知識レベルも多岐にわたり、日本人以外の者にも利用されている。
【0005】
日本語辞書を内蔵した電子辞書では、ある見出し語を入力すると、その意味が漢字かな交じり文で表示されるが、日本語をあまり知らない外国人にとって、その漢字かな交じり文の中に知らない漢字があるために、その文章を読むことができない場合があった。また、漢字が読めないために、結局表示された文章の意味が理解できないという事態が発生していた。
さらに、小学生や外国人が利用する場合と、一般社会人が利用する場合とでは、読める漢字のレベルが異なるので、多くのユーザに利用してもらうためにはどのレベルの漢字まで表示するかを考慮して、難しい漢字はひらがなに直して文章を表示する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の電子辞書等の情報機器では、見出し語入力による検索をした場合、単にROM等に固定記憶されている文書情報をそのまま表示するだけであり、ユーザ層に対応させて、漢字をかなに変換して表示し直すことはできなかった。
種々のユーザ層に対応するために、漢字のレベルを設定し、一つの漢字かな交じり文に対して、漢字の全くないひらがなのみの文や、ある漢字水準のレベルの漢字のみを含む漢字かな交じり文をすべて辞書に予め記憶しておくことが考えられる。
【0007】
また、辞書に登録されたすべての漢字,熟語あるいは用例文ごとに、ひらがなあるいはかたかなの読みデータを予め付加して記憶させておくことも考えられる。
しかし、どちらの場合も、多量の情報を予め記憶しておく必要があり、大容量のメモリが必要となるので、コストアップと装置の大型化につながり、好ましくない。
また、ユーザ層ごとに対応した製品を作るとした場合、多品種少量生産による開発効率の低下とコストアップにつながる。そこで、安価,小型化の要求を保持したまま、どのようなユーザ層であっても、有効に利用可能な情報機器が望ましい。
【0008】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、ROM等に固定記憶された漢字かな交じりの文章を、漢字を含まないひらがなのみを用いた文章に変換して表示することのできる文章表示変換装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、文字情報を表示する表示部と、表示部に表示するための表示情報が固定記憶された第1記憶部と、漢字をかなに変換するための変換情報が記憶された第2記憶部と、前記表示情報に含まれる漢字をかなに変換して表示する表示変換処理を実行する制御部とを備え、前記制御部が、前記第1記憶部に記憶された表示情報の中の漢字部分を順次抽出し、抽出された漢字部分を、前記第2記憶部に記憶された変換情報に基づいて、その漢字の読みがなに変換した後、前記表示部に変換後の表示情報を表示させることを特徴とする文章表示変換装置を提供するものである。
これによれば、漢字かな交じり文の読みと一致するかなのみからなる文を予め記憶しておく必要はないので、記憶容量を抑制することができ、固定記憶された漢字かな交じり文を漢字を含まないひらがなのみの文に変換することができる。
【0010】
この発明において、第1記憶部、第2記憶部とも情報を固定記憶する読み出し専用のメモリ、たとえばROMなどの半導体メモリ、CD−ROMなどの記憶媒体を用いることが好ましい。
ただし、利用者ごとに表示情報や変換情報を追加、変更できるように、書き換え可能なフラッシュメモリやハードディスクに、第1記憶部および第2記憶部に相当する領域を設けてもよい。
【0011】
表示部は、通常利用することのできる表示装置を利用すればよいが、特に装置の小型、軽量化のためには、LCDやEL素子を利用することが好ましい。制御部は、CPUを中心とし、内蔵RAM、内蔵ROM、I/Oコントローラ、タイマー等からなるマイクロコンピュータを用いることができる。
【0012】
制御部の処理は、ROM等のメモリに記憶された制御プログラムに基づいてハードウェアを動作させることにより実現される。また、制御部の処理を機能ごとに分類したとき、その各機能ブロックは前記制御プログラムを機能ごとに分割した機能モジュールプログラムに基づいてハードウェアを動作させることにより実現される。たとえば、後述する「漢字抽出部」、「かな変換部」、「準漢字抽出部」、「難易度判定部」などは、それぞれ制御部の中の一つの機能ブロックである。
【0013】
このような制御プログラムおよび機能モジュールプログラムは、ROM等に固定記憶された形態で提供してもよいが、その他CD−ROM、ICカード、FD、MD、MO、DVDなどの記憶媒体という形態で提供してもよい。
また、機能変更や追加に対応して、各種媒体や、通信回線を利用して外部装置からのダウンロードにより、必要なソフトウェアをアップデートできるようにしてもよい。
【0014】
また、前記第2記憶部に記憶された変換情報が、1つの漢字または漢字列からなる漢字表記と、その漢字表記の読みを表わした読みがなとを含み、前記制御部が、前記第1記憶部を検索し、前後がかな文字にはさまれた1つの漢字または複数の漢字が連続した漢字列を1つの漢字部分として抽出する漢字抽出部と、前記第2記憶部を検索し、前記抽出された漢字部分に一致可能な漢字表記がある場合に、その一致可能な漢字表記の読みを表わした読みがなを読み出し、前記抽出された漢字部分を、読み出された読みがなに変換するかな変換部とを備えたことを特徴とする文章表示変換装置を提供するものである。
【0015】
この処理により、たとえば「仮名を漢字に変換する変換処理」という表示情報については、「仮名」、「漢字」、「変換」、「変換処理」という漢字部分が抽出され、それぞれ「かな」、「かんじ」、「へんかん」、「へんかんしょり」という読みがなに変換されて、「かなをかんじにへんかんするへんかんしょり」という文が表示される。
これによれば、表示情報の漢字部分をかなに変換する場合の変換精度を向上させることができる。
【0016】
前記第2記憶部に記憶された変換情報が、1つの漢字または漢字列と、1つまたは複数のかな文字とを組み合わせてなる準漢字表記と、その準漢字表記の読みを表わした読みがなとを含み、前記制御部が、前記第1記憶部を検索し、前記準漢字表記に一致する文字列を1つの漢字部分として抽出する準漢字抽出部と、前記第2記憶部を検索し、前記抽出された漢字部分に一致可能な準漢字表記がある場合に、その一致可能な準漢字表記の読みを表わした読みがなを読み出し、前記抽出された漢字部分を、読み出された読みがなに変換するかな変換部とを備えたことを特徴とする文章表示変換装置を提供するものである。
【0017】
ここで、「準漢字表記」とは、たとえば、「新た」、「下り」などのように、漢字とかな文字が組み合わされた表記であり、漢字とかな文字を少なくともそれぞれ1文字以上含む表記をいう。この処理により、たとえば、「新たな処理」という文章においては、準漢字表記として「新た」が抽出され、「あらたなしょり」という表示がされる。
これによれば、登録された準漢字表記について正しい読みに変換できるので、かな変換の精度を上げることができる。
【0018】
また、かな変換を実行すべき基準となる難易度設定値を記憶した第3記憶部をさらに備え、前記第2記憶部に記憶された変換情報が、1つの漢字あるいは漢字列からなる漢字表記、または、1つの漢字あるいは漢字列と1つあるいは複数のかな文字とを組み合わせてなる準漢字表記と、前記漢字表記または準漢字表記の難易度とその読みを表した読みがなとを含み、前記制御部が、前記抽出された漢字部分に一致する漢字表記または準漢字表記の難易度を、前記第2記憶部から読み出し、読み出された難易度と前記難易度設定値とを比較してかな変換すべき漢字部分であるか否かを判定する難易度判定部と、かな変換すべきと判定された漢字部分のみを、この漢字部分に対応する読みがなに変換するかな変換部とを備えたことを特徴とする文章表示変換装置を提供するものである。
【0019】
第3記憶部は、RAM等の書き換え可能なメモリを用いることができるが、固定値として記憶しておきたい場合は、ROM等の読み出し専用メモリを用いてもよい。
また、難易度は、第2記憶部に記憶された変換情報ごとに数値として記憶されることが好ましい。この難易度が、難易度設定値と比較されることにより、難しいと判断されたときは、対応するその変換情報の表記を読みがなに変換し、易しいと判断されたときに、その表記は読みがなに変換しないようにすればよい。
【0020】
たとえば、難易度設定値が“3”で、「格納」という漢字表記の難易度が“5”の場合、この「格納」という漢字表記は「かくのう」という読みがなに変換され、表示される。
また、難易度設定値が“2”で、「一日」という漢字表記の難易度が“1”の場合、この漢字表記は変換されずに、そのまま「一日」という表示がされる。
これによれば、利用者の漢字習得度のレベルに対応したかな変換および表示ができる。
【0021】
ここで、前記第2記憶部は、少なくとも、漢字、その読みがなおよび意味内容が記憶された辞書を用いてもよい。
また、前記制御部は、前記抽出された漢字部分に一致可能な変換情報が第2記憶部に存在しないために、前記抽出された漢字部分をその読みがなに変換できない場合、その抽出された漢字部分を、特定の記号に変換した後、前記表示部に表示させるようにしてもよい。
これによれば、読みがなに変換できなかった難しい漢字が、特定の記号の位置に存在することを知らせることができる。
【0022】
さらに、前記表示部に、第1記憶部に記憶された表示情報をそのままの形態で表示するか、または、第1記憶部に記憶された表示情報をかな変換した後の形態で表示するかを指示する表示切替部をさらに備え、表示切替部によってかな変換後の形態による表示が指示された場合にのみ、前記制御部が前記表示変換処理を実行するようにしてもよい。
また、より読みやすい表示とするために、前記制御部が、変換された読みがなの部分を、視覚的に区別することが可能な形態で表示部に表示させることが好ましい。
【0023】
また、この発明は、表示情報が記憶された第1記憶部から、1つの漢字または漢字列からなる漢字部分を順次抽出し、漢字をかなに変換するための変換情報が記憶された第2記憶部を検索し、前記抽出された漢字部分に一致可能な情報を含む変換情報に基づいて、前記抽出された漢字部分をその対応する読みがなに変換し、変換後の表示情報を表示部に表示させることを特徴とする文章表示変換装置のかな変換方法を提供するものである。
【0024】
さらに、表示情報が記憶された第1記憶部から、1つの漢字または漢字列からなる漢字部分を順次抽出する機能、漢字をかなに変換するための変換情報が記憶された第2記憶部を検索する機能、前記抽出された漢字部分に一致可能な情報を含む変換情報に基づいて、前記抽出された漢字部分をその漢字の読みがなに変換する機能、変換後の表示情報を表示部に表示させる機能を、コンピュータに実現させるためのプログラムを提供するものである。また、このようなプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳述する。なお、これによってこの発明が限定されるものではない。
図1に、この発明の文章表示変換装置の一実施例の概略構成ブロック図を示す。
この発明の文章表示変換装置は、主として図1に示すように、制御部1、表示部2、固定記憶部3、可変記憶部4、入力部5とから構成される。
【0026】
制御部1は、CPUを中心とするハードウェアにより構成され、内蔵ROM、内蔵RAM、タイマー、I/Oコントローラ、演算のための各種レジスタ等を含む。
表示部2は、各種情報を視覚的に出力するものであり、通常用いられている各種表示装置を用いることができるが、電子辞書のように携帯性が要求される場合には、LCD、EL素子などを用いることが好ましい。
【0027】
入力部5は、文字、記号の入力の他、この発明の表示変換をするために必要な機能の実行指示を入力するものであり、キーボード、専用ボタン、マウス、タッチパネル等から構成される。たとえば、この発明では、検索文字や設定データを入力するための文字入力ボタン5a、文字等の入力後に次の動作の指示決定を行うための決定ボタン5b、表示部に表示する内容を切り替えるための表示切替ボタン5cなどが備えられる。これらのボタンは物理的に独立したキーとしてもよいが、タッチパネルを利用して表示部2の所定のエリアに表示された部分をタッチすると所定の機能が実行されるようにしてもよい。
【0028】
固定記憶部3は、書き換えることのできない読み出し専用メモリであり、通常、フラッシュROM、マスクROMなどのROM型記憶素子が用いられるが、これに限るものではなく、CD−ROM、DVD−ROMなどのディスク型記憶媒体、ICカードなどのカード媒体を用いることもできる。
【0029】
固定記憶部3には、図1に示したように主として次のようなデータが記憶される。
3a:プログラムデータ
3b:漢字と読みがなを変換するための変換用辞書(第2記憶部)
3c:表示部に表示される情報を記憶した表示用辞書(第1記憶部)
3d:表示用文章データ(第1記憶部)
3e:漢字の難易度を記憶した難易度管理用データ(第2記憶部)
【0030】
ここで、プログラムデータ3aは、この発明の漢字とかなの表示変換機能を実現するためのソフトウェアであり、制御部1がこのプログラムデータ3aに基づいて種々の処理を実行する。プログラムデータ3aは、消去されることのないようROMの形態で提供されることが好ましいが、仕様変換や機能拡張に対応できる様に、ハードディスクやICカードなどの記録媒体や、種々のネットワークを介して外部サーバからのダウンロードによって書き換え可能な形態で提供してもよい。辞書3b,3c、難易度管理用データ3eについては後述する。
【0031】
表示用文章データ3dは、たとえば、漢字を含む任意の日本語文章データ(図2の表示例)であり、必須のデータではなく、オプションとして必要な場合に追加できる形態で提供してもよい。
【0032】
可変記憶部4は、この発明の表示変換処理を実行するときに、作成あるいは利用されるデータを記憶しておくための書き換え可能なメモリである。たとえばDRAMなどの半導体記憶素子、ハードディスク、ICメモリ等を用いることができる。
【0033】
可変記憶部4には、図1に示したように、主として次のようなデータが記憶される。
4a:プログラム用ワークエリア
4b:表示用データ一時記憶エリア
4c:検索対象文字記憶エリア
4d:変換結果一時記憶エリア
4e:難易度設定値記憶エリア(第3記憶部)
【0034】
ここで、プログラム用ワークエリア4aは、プログラムデータ3aの処理実行時に利用される領域であり、表示用データ一時記憶エリア4bは、ROM3から読み出した表示用データを一時的に保持しておくための領域であり、検索対象文字記憶エリア4cは、検索対象とされた文字列を一時的に保持しておくための領域であり、変換結果一時記憶エリア4dは、辞書検索により見つけられた漢字表記を読みがなに変換した結果を一時的に保持しておくための領域であり、難易度設定値記憶エリア4eは、かな変換の基準となる難易度の設定値を記憶した領域である。難易度設定値は、ROM3の中に予め記憶しておいてもよいが、利用者が独自に設定変更できるようにするために、RAM4に記憶することが好ましい。
【0035】
図4に、この発明の漢字かな変換用辞書3bの一実施例の説明図を示す。この辞書3bは、「漢字表記」と、その漢字表記に対応した「読みがな」とが対になって記憶されたものである。ここでは、「読みがな」はひらがなを示しているが、カタカナを含めてもよい。この辞書は、漢字を読みがなに変換する場合に利用される。検索指示された漢字について、この辞書3bを検索すると、一致する漢字表記に対応する読みがなが検索結果として得られる。
【0036】
図5に、この発明の表示用辞書3cの一実施例の説明図を示す。この辞書3cは、ある漢字について、「読みがな」、「漢字表記」および「意味内容」とが一組として記憶されたものである。たとえば、入力されたひらがなに対してこの辞書3cを検索すると、対応する「漢字表記」や「意味内容」が読み出され表示される。なお、図5に示した辞書3cは、図4の漢字かな変換辞書3bを含むものであるので、辞書3cを漢字かな変換辞書3bとして代用してもよい。
【0037】
図6に、この発明の難易度管理用データ3eの一実施例の説明図を示す。難易度管理用データ3eは、漢字表記とその漢字の難易度を表わす数値とを記憶したものである。
この難易度は、漢字をかな変換する際の判断情報として用いられる。たとえば、難易度が「難易度設定値」以上の漢字は、すべてひらがなに変換して表示し、その数値未満の漢字は、そのまま漢字として表示するというような処理が行われる。
【0038】
難易度とは、漢字の日常生活での使用頻度、習得度、使用者のレベル、使用分野等を考慮して付与された順位をいう。たとえば、図6において、「人」という漢字は、日本人ならだれでも使用し知っている漢字なので、その難易度は最も易しいレベル“1”が付与されている。
また、「行政」という漢字は、日常生活ではあまり使用せず、特殊な分野でのみ使用されるものであるので、高い難易度レベル“4”が付与されている。
【0039】
この難易度は、予めROM3の中に漢字あるいは単語ごとに固定記憶される。ただし、使用する者の学習レベル等によって難易度が異なるので、RAMやハードディスクなどの書きかえ可能なメモリに記憶しておき、使用者ごとに設定できるようにしてもよい。
【0040】
図1において、ROM3に記憶される辞書3b、3c、文章データ3d、難易度管理用データ3eはそれぞれ別々に設けてもよいが、図4、図5および図6に示すように「漢字表記」など重複する項目もある。
したがって、ROMの記憶容量を少なくする観点からは、できるだけ項目の重複を避けて記憶しておく方が好ましい。たとえば、漢字かな変換用辞書3bは備えずに、表示用辞書3cを用いて、表示処理と漢字かな変換処理の両方を実行してもよい。漢字かな変換処理では、表示用辞書3cの中の「漢字表記」と「読みがな」を利用すればよい。
【0041】
ここで、表示用辞書3cとしては、図5に示したように3つの項目のみからなるものではなく、用例や品詞などの関連項目も含む国語辞典などの汎用辞書を用いてもよい。今日、多くの辞書がCD−ROMという電子媒体で提供されているので、記憶された情報のうち、漢字表記と読みかなに相当する部分を抜き出すことができれば、種々の電子媒体をこの発明の辞書(3b,3c)として利用することができる。
また、この発明の専用辞書として利用する場合には、図1の3bから3dまでの4つのデータを統合して、項目が重複することのないように記憶しておくことが好ましい。
【0042】
ところで、辞書3b,3cとして、予め提供される電子辞書を用いるよりも、利用者が独自に定義した項目からなる辞書を用いる方が、その利用者自身にとっては好都合な場合もある。この場合、利用者が自ら定義した「漢字表記、読みがな、難易度」、「準漢字表記、読みがな、難易度」からなるユーザ辞書を、RAMまたはハードディスクに作成し、辞書3b,3cの代わりに用いてもよい。
利用者は、自分でこのユーザ辞書の内容を追加、定義していく必要はあるが、辞書内容が充実されていくにつれて、その利用者にとっては、この発明の装置は使いやすいものとなる。
【0043】
次に、この発明の文章表示変換装置の変換処理等の実施例について説明する。<実施例1>
ここでは、漢字を読みがなに変換し表示する処理について説明する。図2に、漢字を読みがなに変換する前の画面表示の一実施例の説明図を示す。図2は、「特許」という漢字に対する意味内容を表示した例であり、図5の辞書3cに示した「読みがな」、「漢字表記」および「その意味内容」を固定記憶された状態のまま表示したものである。したがってその意味内容については、漢字かな交じり文となっている。
【0044】
図3に、漢字を読みがなに変換した後の画面表示の一実施例の説明図を示す。図3においては、図2に示した「意味内容」の中に出てくる漢字がすべてひらがなに変換されて表示されている。
実施例1では、従来なら図2のように漢字かな交じり文としてしか表示されなかった文を、すべてひらがな表記に変えて表示させる処理を行う。
図7に、この発明の実施例1の表示変換処理のフローチャートを示す。この処理は、CPU1がプログラムデータ3aの処理手順に基づいて動作することにより、実行される。
【0045】
まず、利用者が、表示部2に所望のデータを表示させるために、入力部5を操作してかな表示指示の入力をする。たとえば、入力部5から「特許」という文字を入力し、さらにその意味内容を表示させるためにかな表示指示のキー入力を行う。
このとき、CPU1は、表示用辞書3cあるいは表示用文章データ3dを表示させるための入力があるか否かを監視しており(ステップS101)、その入力があればステップS102へ進む。
【0046】
ステップS102において、CPU1は、辞書3cを検索し、入力された漢字に対応する表示すべき意味内容を探し出し、その「読み、漢字表記、意味内容」を読み出して、表示用データ一時記憶エリア4bに格納する。たとえば、「特許」という入力があった場合には、この漢字表記とともに、その「読み」と「意味内容」が読み出され、この記憶エリア4bに格納される。すなわち、図2に示した内容が、格納される。
【0047】
次に、CPU1は、記憶エリア4bに格納したデータの中に漢字が含まれているか否か確認する(ステップS103)。ここで、漢字が含まれているか否かは、記憶エリア4bに記憶されている文字コードによって確認することができる。たとえば、文字コードがJISコードの場合、16進数でいう「3021」以上であれば漢字であると確認できる。
【0048】
漢字が含まれず、すべてひらがなまたはカタカナである場合には、記憶エリア4bに格納されたデータ内容をそのまま表示部2に表示して(ステップS109)、処理を終了する。
【0049】
漢字が含まれている場合は、ステップS104へ進み、記憶エリア4bに格納されているデータの先頭から順に調査し、漢字部分のみを切り出す。ここで、先頭から1文字ごとに、その文字が漢字であるか否かを調べ、漢字でなければ次の文字を調べる。ある文字Aが漢字であれば、その次の文字Bが漢字であるか否か調べ、文字Bが漢字でなければ、文字Aを1つの漢字データとして認識する。
【0050】
文字Bが漢字の場合は、さらにその次の文字Cが漢字かどうかを調べる。そして漢字でない文字mが検出された場合は、文字Aから漢字でない文字mの直前の文字までの連続した文字列(漢字列)を一組の漢字として認識する。
【0051】
たとえば、図2に示したようなデータが記憶エリア4bの中にある場合、この中の「意味内容」に相当する部分「特定の人のために新たに特定の権利を設定する行政行為」について漢字の検索が行われ、まず、「特定」という一組の漢字が認識され、順次「人」、「新」、「特定」、「権利」、「設定」、「行政行為」という漢字が認識される。
【0052】
ステップS104において1組の漢字が認識されると、ステップS105において、その認識された漢字が、検索対象文字記憶エリア4cに格納される。たとえば、図2の実施例では、「特定」という漢字が格納される。
【0053】
次に、ステップS106において、記憶エリア4cに格納された漢字について、漢字かな変換用辞書3bの検索が行われる。この検索により辞書3bの中に、一致する「漢字表記」があれば、それに対応する「読みがな」を抽出し、変換結果一時記憶エリア4dに格納する。
たとえば、「特定」という漢字について検索が行われると、辞書3bの中に一致する漢字表記が見つけられるので、対応する読みがなである「とくてい」という文字列が、記憶エリア4dに格納される。
【0054】
次に、表示用データ一時記憶エリア4bにおいて、今検索対象であった漢字の部分を、変換結果一時記憶エリア4dに格納された文字列に置換する(ステップS107)。たとえば、図2の実施例では、記憶エリア4bの中の「特定」という漢字の部分を、「とくてい」というひらがなの文字列に置換する。
次に、ステップS104で切り出された漢字について、すべて変換されたか否かチェックする(ステップS108)。変換すべき漢字がまだ残っている場合は、ステップS104へ戻り、切り出されたすべての漢字について、ステップS104からS107までの処理を繰り返す。
【0055】
図2の場合、「とくてい」に続いて、切り出された漢字が、すべて「ひと」、「とくてい」、「けんり」などのひらがなに変換される。すべての漢字について変換処理が終了した場合は、ステップS109へ進み、表示用データ一時記憶エリア4bに記憶されているデータを、表示部2に表示する。
なお、利用者が、かな表示指示のキー入力の代わりに、通常の表示を意味する特定キーの入力をした場合は、ステップS102で読み出された漢字かな交じり文を、そのまま表示すればよい。
【0056】
以上のように、表示部2に表示されるデータについて、漢字部分の検索と、辞書3b、3cを利用した読みがなへの置換が行われるので、固定記憶された漢字かな交じりの表示データに対しても、漢字を含まないひらがなのみの文に変換することができる。
【0057】
ここで、漢字をひらがなに変換する際、漢字かな変換用辞書3bを利用しているので、1つの表示データごとに、予め漢字かな交じり文と、漢字を含まないかな文字のみからなる文を別々に記憶する場合よりも記憶容量を削減でき、コストアップを抑制できる。
また、日本語の通常の読み書きができる者には、予めROM3に記憶されたままの漢字かな交じり文の形態で表示するが、「かな表示指示」の入力がされた場合のみ、図7に示した処理を実行させ、かなのみの文を表示させるようにすれば、本装置は、日本語に精通した者も、日本語にまだ慣れ親しんでいない外国人や小学生なども利用することができる。すなわち、幅広いユーザ層の者が利用することができる。
【0058】
<実施例2>
図8に、漢字の切り出し処理において1文字ずつ処理する場合の詳細なフローチャートを示す。これにより、連続する漢字列のかな変換の精度を上げることができる。
まず、図7のフローチャートと同様に、CPU1はかな表示指示入力の確認後(S101)、表示用辞書3cを検索して、表示すべきデータを記憶エリア4bに記憶させる(ステップS102)。
【0059】
次に、記憶エリア4bに記憶されたデータの先頭の1文字を選択する(ステップS201)。そして、ステップS202において、選択された1文字が漢字であるか否か判断する。漢字であるか否かは図7に示したフローと同じ方法で行う。選択された1文字が漢字でなければ、ステップS203へ進み、次の1文字を処理するための準備をする。たとえば、着目している文字のポインタを+1だけカウントアップする。
【0060】
ステップS202において、選択された1文字が漢字であれば、ステップS204へ進み、この選択された漢字を記憶エリア4cに格納する。
次に、ステップS205において、記憶エリア4bに記憶された表示用データの中の次の1文字を選択する。この選択された1文字が漢字か否か判断する(ステップS206)。漢字ならば、その漢字を記憶エリア4cに追加格納し(ステップS207)、ステップS205へ戻り、さらに次の1文字を調べる。
【0061】
ステップS206において漢字でなければ、記憶エリア4cに格納された漢字列について、変換用辞書3bを検索する(ステップS208)。すなわち、漢字列と一致する漢字表記が、変換用辞書3bの中にあるか否かチェックする。
検索で一致する漢字表記が見つかった場合は(ステップS209)、この漢字表記に対応する読みがなを、記憶エリア4dに格納する(ステップS210)。そして記憶エリア4bの中に格納されている表示データの中で、記憶エリア4cに格納された漢字列の部分を、記憶エリア4dに格納された読みがなに置換し(ステップS211)、ステップS214へ進む。
【0062】
ステップS209において、一致する漢字表記が見つからなかった場合、ステップS212へ進み、記憶エリア4cの漢字列の最後の1文字を削除する。たとえば、図2の実施例において、文字「為」を削除し、記憶エリア4cに「行政行為」という漢字列が格納された場合、この4文字単語と完全一致する漢字表記が辞書3bの中にないとすると、ステップS212の処理によって、記憶エリア4cに記憶された漢字列は「行政行」となる。
【0063】
次に、記憶エリア4cの中に、文字が残っているか否かチェックする(ステップS213)。残っていない場合は、ステップS214へ進むが、残っている場合は、ステップS208へ戻り検索を行う。前記した実施例では、「行政行」に対しても検索が失敗するので、再びステップS212の処理によって、記憶エリア4cに記憶された漢字列は、「行政」となる。そして、「行政」については、辞書3bの検索が成功するので、ステップS210へ進むことになる。
【0064】
ステップS214において、記憶エリア4bに格納された表示用データの中の文字をすべて処理したか否かチェックする。まだ処理していない文字が残っているときは、次の1文字を選択し(ステップS216)、ステップS202へ戻る。すべての文字を処理した場合は、かなへの変換処理が終了したので、ステップS215へ進み、表示用データ一時記憶エリア4bに記憶された内容を表示部2に表示する。
【0065】
以上の処理により、実施例1と同じように、固定記憶された漢字かな交じりの表示データを、漢字を含まないひらがなのみの文に変換することができる。また、いくつかの単語が連続し、辞書の漢字表記に相当する単語が1かたまりの連語(たとえば行政行為)となっている場合でも、漢字表記ごとに分割してひらがなへの変換が可能となり、かな変換の精度を向上させることができる。
【0066】
<実施例3>
ここでは、漢字とかな文字とが組合せられ特別な読みを示す単語に対するかな変換をする場合について説明する。たとえば「新」は、ふつう「しん」という読みがながふられるが、「新」と「た」とが組み合わせられた単語「新た」は、「しんた」とは読まず、「あらた」と読む。
すなわち、「新」には「あら」という読みがなをふるべきであるが、「新」に対して「しん」のみが登録されており、「あら」という読みがなを辞書に登録していない場合は、「新たに」という文字列は「しんたに」と変換されてしまうことになる。
【0067】
一方、「新」を「あら」と読むのは、「しん」と読む場合に比べて非常にまれであり、しかも、「新」のうしろ「た」が付加された場合に限られる。そこで、「新」の読みとして「しん」と「あら」の2つを登録するのではなく、「新」という漢字表記に対して「しん」の読みを登録し、「新た」という準漢字表記に対して「あらた」という読みを登録した方が、かな変換の精度の向上の観点からは好ましいと考えられる。
【0068】
すなわち、この実施例3では、「新た」という準漢字表記と、「あらた」という読みがなを辞書3bに予め登録しておき、表示データの中に存在する「新た」というような漢字とかな文字との組合せからなる準漢字表記の単語が辞書3bの中に見つかったときには、「あらた」という読みに変換しようとするものである。
【0069】
このような漢字とかなとを組み合わせた準漢字表記の単語としては、「新た」のほかに、「下り(くだり)」、「下さい(ください)」、「下げる(さげる)」、「上がる(あがる)」、「上げる(あげる)」、「上す(のぼす)」、「上せる(のぼせる)」、「上る(のぼる)」、「明かす(あかす)」、「明るい(あかるい)」、「正しい(ただしい)」、「正に(まさに)」、「交わす(かわす)」、「交ざる(まざる)」、「交ぜる(まぜる)」、「交える(まじえる)」などがある。以下の説明においては、辞書3bの中に「新た」が漢字表記として登録され、「あらた」がその読みとして登録されているものとする。
【0070】
図9に、この発明の実施例3のかな変換処理のフローチャートを示す。実施例1および2と同じ処理には、同じステップ番号を付与している。図9において、ステップS301からS304が実施例1,2と異なる部分である。
【0071】
まず、ステップS209までは、実施例2と同様にして、選択された漢字列に対して、変換用辞書3bを検索し、検索できたか否かチェックする。検索できた場合は、実施例2に示したステップS210からS216までの処理を行う。
【0072】
一方、ステップS209で検索できなかった場合は、ステップS301へ進む。ステップS301では、記憶エリア4bの表示用データについて、現在記憶エリア4cに格納されている漢字列に相当する文字列の次の1文字が、ひらがなか否かチェックする。
たとえば、図2の実施例において、「新」が記憶エリア4cに格納されている場合の次の1文字は「た」であるので、「新た」という単語についての「た」というひらがなが検出されることになる。ただし、ひらがなが検出されなかった場合は、ステップS212へ進む。
【0073】
ステップS301でひらがなが検出された場合には、そのひらがなを記憶エリア4cに追加格納する(ステップS302)。ここで、図2の実施例では、「新た」という単語が、記憶エリア4cに格納される。
【0074】
次に、ステップS303において、記憶エリア4cの文字列(たとえば「新た」)について、変換用辞書3bを検索する。この検索により、記憶エリア4cの文字列に一致する漢字表記があれば(ステップS304)、ステップS210へ進み、漢字表記がなければステップS212へ進み、以降、実施例2に示したのと同様の処理を行う。
【0075】
図2の実施例では、ステップS304で、「新た」に一致する漢字表記が辞書3bの中に見つけられるので、ステップS210およびS211へ進み、対応する読み「あらた」が読み出されて、記憶エリア4bの表示用データの中の「新た」が「あらた」というひらがなに変換されて表示されることになる。
【0076】
以上のように、この実施例3では、漢字とかなが組み合わされた準漢字表記の単語を検出して、この単語をひらがな表記に変換することができる。したがって、特殊な読みの漢字も正しい読みに変換することができるので、かな変換の精度を向上させることができる。
【0077】
<実施例4>
実施例1〜3では、表示すべき表示用データの中に出てくる漢字を、すべてひらがなに変換する実施例を示したが、ここでは、漢字に予め付与された難易度を考慮して漢字をかなに変換する処理について説明する。
すなわち、ある難易度の設定値よりも高い難易度が付与された難しい漢字はひらがなに変換するが、難易度が低い比較的易しい漢字はひらがなに変換せずに、漢字のまま表示するようにする。
【0078】
ここで、「難易度設定値」は、難易度設定記憶エリア4eに格納され、入力部5の操作入力により、利用者が自由に設定できるようにする。利用者により漢字の習得度が異なるので、読みやすい表示をするためには、習得度の低い外国人などは「難易度設定値」を低く設定し、習得度の高い日本人は「難易度設定値」を高く設定することが好ましい。また、実施例では前記したように、難易度は数値で示し、大きい数値ほど難易度が高く、小さい数値ほど難易度が低いものとする。
【0079】
図10に、この発明の実施例4の難易度判定に基づくかな変換処理のフローチャートを示す。実施例1のステップS107、実施例2および3のステップS211の処理内容を、図10に示したステップS401からS407に置きかえれば、各実施例において難易度判定に基づいて、かな変換処理が可能となる。
図10において、まず、現在選択されている漢字を、記憶エリア4cに格納する(ステップS401)。たとえば、図2の実施例では、まず「特定」という単語が記憶エリア4cに格納される。
【0080】
次に、ステップS402において、難易度管理用データ3eを検索して、記憶エリア4cに格納された漢字を探す。難易度管理用データは図6に示したようなものであり、この中に一致可能な漢字表記があるか否かを調べる。
ステップS403において、記憶エリア4cに格納された漢字が、難易度管理用データ3eの中になかった場合は、この難易度判定変換処理を終了し、各実施例の所定の処理へ戻る。
【0081】
一方、記憶エリア4cに格納された漢字が難易度管理用データ3eの中にあった場合は、ステップS404へ進み、難易度管理用データ3eの中から、記憶エリア4cに格納された漢字に対応する難易度d1を読み出す。たとえば、図2の実施例では、「特定」という漢字に対応する難易度として“2”が読み出される。
【0082】
次に、ステップS405において、この読み出された難易度d1と、難易度設定値記憶エリアに記憶されている難易度設定値4eとを比較する。ステップS406において、難易度d1が設定値4eよりも大きいとき、記憶エリア4cに記憶された漢字は難しいと判定されるので、ひらがなに変換するためにステップS407へ進む。
一方、難易度d1≦設定値4eのとき、記憶エリア4cの漢字は易しいと判定されるので、かな変換処理を行わず処理を終了し、各実施例の所定の処理へ戻る。
【0083】
ステップS407では、記憶エリア4bに記憶された表示用データについて、記憶エリア4cの漢字に対応する漢字部分を、記憶エリア4dに格納された読みがなに置換する。
たとえば、設定値4eとして“3”が設定されている場合は、難易度として“2”が付与されている「特定」という漢字に対しては、かな変換は行われず、漢字のまま表示されることになる。また、難易度“4”が設定されている「行政」という漢字に対しては、かな変換が行われ、「ぎょうせい」というひらがなで表示されることになる。
【0084】
図12に、この実施例4において、設定値4eとして“3”が設定されている場合に、図2の表示用データをかな変換した後の表示画面を示す。ここでは、難易度3以上の漢字「設定」、「行政」、「行為」がひらがなに変換されるが、難易度2以下の漢字「特定」などは、漢字のまま表示される。
【0085】
以上のように、実施例4では、予め設定された漢字の難易度に基づいてひらがなに変換するかしないかを決定するので、利用者のレベルに対応させたかな変換処理をすることができる。また、難易度の設定値を利用者が自由に設定することができるので、利用者ごとに読みやすい漢字かな交じり文で表示させることができる。
【0086】
<実施例5>
実施例2では、表示用データの中に存在する漢字をすべてひらがなに変換する処理を示したが、変換用辞書3bの中に漢字列に対応する読みがなが存在しないときは、図8のステップS213の判断において「NO」となり、読みがなが存在しなかった漢字列の部分はもとの表示用データのままとなる。すなわち、ステップS215において、記憶エリア4bの中には漢字列のまま残っており、表示部2に表示するときには、この漢字列を含む文が表示されることになる。
【0087】
このように、かな変換されずに残された漢字列は難しいものが多いと考えられるので、特に漢字をあまり習得していない外国人にこのような難しい漢字を含む文を見せても当然理解できない。
【0088】
また、難しい漢字は、ひらがなに変換することにより文章を読むことができても、その意味を理解するのは、困難な場合が多いと考えられる。そこで、かな変換できなかった漢字列を特定の記号に置換すれば、難しい漢字がここに存在するということを利用者に知らせることができる。
【0089】
具体的には、図8に示したフローチャートに、次の処理を追加すればよい。まず、ステップS206の処理で、「NO」と判断された後、現在の記憶エリア4cに格納されている漢字列kを、プログラム用ワークエリア4aの特定の位置に一時保存し、ステップS208へ進む。
【0090】
また、ステップS213の処理で、「NO」と判断された後、上記のプログラム用ワークエリア4aの特定の位置に記憶された漢字列kを読み出し、記憶エリア4bの中に存在する漢字列kの部分を、特定の記号に置換し、次にステップS214へ進む。特定の記号としては、ひらがなや漢字と区別できるものであればよく、特に限定されるものではない。ここでは「〇」を用いるものとする。
たとえば、図2の実施例において、「行政」という漢字に対応する読みがなが登録されていなかったとすると、図13に示すように、「行政」という部分が、「〇〇」に置換した形態で表示されることになる。
【0091】
このように、かな変換できなかった漢字部分を特定の記号に置換して表示しているので、その部分を読むことはできないが、この部分に難しい漢字が存在していたことを利用者に知らせることができ、特に、難しい漢字を理解できそうにない外国人にとっては、よりフレンドリーな表示ができる。
【0092】
<実施例6>
前記した実施例1などでは、漢字かな交じり文に存在する漢字をかなに変換して表示する処理について説明したが、図1に示した「表示切替ボタン5b」を押下げることにより、表示内容が切り替えられるようにしてもよい。
【0093】
図14は、ROMに固定記憶された漢字かな交じり文そのままを表示した画面の一実施例であり、図15は、すべての漢字をかな変換した後の画面表示の一実施例である。図14、図15において、右上部分の「漢字」または「かな」と表示されている部分が、「表示切替ボタン5b」に相当する。また、図14において、「漢字」と表示されているのは、現在、漢字かな交じり文を表示していることを示し、図15において「かな」と表示されているのは、現在、かな変換後の表示をしていることを示している。
【0094】
たとえば、表示部に図14の表示がされている状態で、「漢字」の部分をタッチすると、図15のかなのみの表示に切替わるようにする。逆に、表示部に図15の表示がされている状態で「かな」の部分をタッチすると、図14の漢字かな交じり文の表示に切替わるようにする。
このような容易な切替操作で、表示内容を切替えることができれば、より利用者の利便性が向上する。漢字を見た方が文章全体の意味を理解できるが、文章を読む場合には、その漢字の読みがわからない、あるいは思い出せない場合もあるので、漢字をよく習得している人でも一時的に漢字の読みを知りたい場合などに便利である。
逆に、ひらがなのみの表示では、意味がわからない場合や読みにくい場合もあるので、漢字かな交じり文にすぐに戻すことができれば利用者にとって都合がよい。
【0095】
また、図14、図15に示すように、右上に「漢字」または「かな」と表示しているので、現在の表示がどのような形態の表示であるかを容易に知ることができるが、この表示はこれに限るものではない。
たとえば、実施例4のように、漢字の難易度を用いて表示している場合には、かな変換後でも漢字が交ざっている場合があるので、「かな」という表示に加えて、難易度の数値を表示部の特定の位置に表示するようにしてもよい。
さらに、設定可能な難易度をすべて表示部に表示し、この各難易度の位置に対応させてタッチパネルを配置し、利用者が難易度の位置をタッチすると、その難易度を設定値として設定し、これを基準としたかな変換をするようにしてもよい。これによれば、利用者が容易な操作で難易度の設定値を切りかえることができるため、利用者の好みあるいは理解度に対応した表示をさせることができる。
【0096】
<実施例7>
この発明のかな変換処理で、漢字をすべてひらがなに変換して表示した場合、図2に示した漢字かな交じり文は、図3のように表示されることになるが、すべてがかな文字であるので、単語の区切りがわかりにくく、発音はできても読みにくい文章となる場合もある。
そこで、図16に示すように、漢字を変換した「かな」と、もとの漢字かな交じり文の中ですでにかなであった「かな」とを区別して表示すれば、比較的ひらがなのみの文章でも読みやすい文章となる。
【0097】
図16では、漢字を変換した「かな」部分に下線を引いた場合の表示例を示している。ただし、漢字を変換した「かな」と、もともと「かな」であった部分とが視覚的に区別できればよいので、図16のような下線表示に限ることはない。たとえば、文字の強調表示(ボールド)、網かけ、拡大縮小、書体変更、色変更、区切り記号(/など)の挿入などをしてもよい。
【0098】
この実施例7の表示を実現するためには、かな変換後の「かな」に対する変換フラグの付与と、変換フラグが付与された「かな」に対する特別な表示処理を行えばよい。
上記したいずれの実施例でも適用可能であるが、たとえば、図7に示した実施例1のフローにおいては、まずステップS107で漢字を読みがなに置換するときに、その読みがな部分がかな変換したものであることを示す変換フラグを、記憶エリア4bの中のかな文字ごとに付与する。
【0099】
たとえば、「と」というかな文字が、かな変換されたものである場合は、「と」という文字を記憶する際に、変換フラグ“1”を対にして記憶する。また、かな変換されていないかな文字は、変換フラグとして“0”を記憶するか、あるいは、変換フラグは記憶しなくてもよい。
【0100】
さらに、ステップS109の処理の中に、図11に示したフローチャートの処理内容を加える。図11は、実施例7の下線付与と表示処理の一実施例のフローチャートである。
【0101】
ステップS501において、表示用データ一時記憶エリア4bに記憶されている内容のうち、1文字をプログラム用ワークエリア4aに読み出す。
次に、読み出した1文字と対にして記憶された変換フラグを読み出す(ステップS502)。読み出された変換フラグが“1”、すなわちかな変換した文字であることを示す場合にはステップS504に進み、変換フラグが“0”すなわちかな変換した文字でない場合にはステップS505へ進む(ステップS503)。
【0102】
ステップS504において、読み出した文字を、下線付きの文字として表示する処理を実行する。
一方、ステップS505において、読み出した文字を、下線を付さないで通常の文字としてそのまま表示する処理を実行する。
【0103】
以上のステップS501からS505までの処理を、記憶エリア4bに記憶されているすべての文字について実行する。この一連の処理を実行すれば、図16に示すような下線付きのかな文字を表示させることができる。
【0104】
【発明の効果】
この発明によれば、ROM等に固定記憶された漢字かな交じり文を表示する場合に、この漢字かな交じり文に対応するひらがなのみからなる文を予め記憶しておかなくても、漢字かな交じり文を、かなのみからなる文に変換し表示することができる。また、記憶すべき表示情報の容量を抑制でき、かな変換の精度の向上と、あらゆるユーザ層が効率的かつ容易に利用できる文章表示変換装置を提供できる。
【0105】
また、かなのみからなる文を表示させることができるので、漢字の習得が十分でない外国人などにとっては日本語の表示文を容易に読むことができるようになり、文の意味を理解するための補助装置としてこの発明の装置を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の表示変換装置の一実施例の構成ブロック図である。
【図2】この発明の表示変換装置の表示画面の一実施例の説明図である。
【図3】この発明のかな変換後の表示画面の一実施例の説明図である。
【図4】この発明の漢字かな変換用辞書の一実施例の説明図である。
【図5】この発明の表示用辞書の一実施例の説明図である。
【図6】この発明の難易度管理用データの一実施例の説明図である。
【図7】この発明の実施例1のかな変換表示処理のフローチャートである。
【図8】この発明の実施例2のかな変換表示処理のフローチャートである。
【図9】この発明の実施例3のかな変換表示処理のフローチャートである。
【図10】この発明の実施例4の難易度判定変換処理のフローチャートである。
【図11】この発明の実施例7の下線付与処理のフローチャートである。
【図12】この発明の難易度判定に基づくかな変換後の表示画面の一実施例の説明図である。
【図13】この発明の特定記号を用いた変換後の表示画面の一実施例の説明図である。
【図14】この発明の漢字かな交じり文の表示画面の一実施例の説明図である。
【図15】この発明のかな変換後の表示画面の一実施例の説明図である。
【図16】この発明の下線付きかな変換後の表示画面の一実施例の説明図である。
【符号の説明】
1  制御部(CPU)
2  表示部(LCD)
3  固定記憶部(ROM)
3a プログラムデータ
3b 漢字かな変換用辞書
3c 表示用辞書
3d 表示用文章データ
3e 難易度管理用データ
4  可変記憶部(RAM)
4a プログラム用ワークエリア
4b 表示用データ一時記憶エリア
4c 検索対象文字記憶エリア
4d 変換結果一時記憶エリア
4e 難易度設定値記憶エリア
5  入力部(キーボード)
5a 文字入力ボタン
5b 決定ボタン
5c 表示切替ボタン

Claims (11)

  1. 文字情報を表示する表示部と、表示部に表示するための表示情報が固定記憶された第1記憶部と、漢字をかなに変換するための変換情報が記憶された第2記憶部と、前記表示情報に含まれる漢字をかなに変換して表示する表示変換処理を実行する制御部とを備え、前記制御部が、前記第1記憶部に記憶された表示情報の中の漢字部分を順次抽出し、抽出された漢字部分を、前記第2記憶部に記憶された変換情報に基づいて、その漢字の読みがなに変換した後、前記表示部に変換後の表示情報を表示させることを特徴とする文章表示変換装置。
  2. 前記第2記憶部に記憶された変換情報が、1つの漢字または漢字列からなる漢字表記と、その漢字表記の読みを表わした読みがなとを含み、前記制御部が、前記第1記憶部を検索し、前後がかな文字にはさまれた1つの漢字または複数の漢字が連続した漢字列を1つの漢字部分として抽出する漢字抽出部と、前記第2記憶部を検索し、前記抽出された漢字部分に一致可能な漢字表記がある場合に、その一致可能な漢字表記の読みを表わした読みがなを読み出し、前記抽出された漢字部分を、読み出された読みがなに変換するかな変換部とを備えたことを特徴とする請求項1の文章表示変換装置。
  3. 前記第2記憶部に記憶された変換情報が、1つの漢字または漢字列と、1つまたは複数のかな文字とを組み合わせてなる準漢字表記と、その準漢字表記の読みを表わした読みがなとを含み、前記制御部が、前記第1記憶部を検索し、前記準漢字表記に一致する文字列を1つの漢字部分として抽出する準漢字抽出部と、前記第2記憶部を検索し、前記抽出された漢字部分に一致可能な準漢字表記がある場合に、その一致可能な準漢字表記の読みを表わした読みがなを読み出し、前記抽出された漢字部分を、読み出された読みがなに変換するかな変換部とを備えたことを特徴とする請求項1の文章表示変換装置。
  4. かな変換を実行すべき基準となる難易度設定値を記憶した第3記憶部をさらに備え、前記第2記憶部に記憶された変換情報が、1つの漢字あるいは漢字列からなる漢字表記、または、1つの漢字あるいは漢字列と1つあるいは複数のかな文字とを組み合わせてなる準漢字表記と、前記漢字表記または準漢字表記の難易度とその読みを表した読みがなとを含み、前記制御部が、前記第1記憶部を検索し、前記漢字表記または準漢字表記に一致する文字列を1つの漢字部分として抽出する文字列抽出部と、前記抽出された漢字部分に一致する漢字表記または準漢字表記の難易度を、前記第2記憶部から読み出し、読み出された難易度と前記難易度設定値とを比較してかな変換すべき漢字部分であるか否かを判定する難易度判定部と、かな変換すべきと判定された漢字部分のみを、この漢字部分に対応する読みがなに変換するかな変換部とを備えたことを特徴とする請求項1の文章表示変換装置。
  5. 前記第2記憶部が、少なくとも、漢字、その読みがなおよび意味内容が記憶された辞書であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つの文章表示変換装置。
  6. 前記制御部が、前記抽出された漢字部分に一致可能な変換情報が第2記憶部に存在しないために、前記抽出された漢字部分をその読みがなに変換できない場合、その抽出された漢字部分を、特定の記号に変換した後、前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1の文章表示変換装置。
  7. 前記表示部に、第1記憶部に記憶された表示情報をそのままの形態で表示するか、または、第1記憶部に記憶された表示情報をかな変換した後の形態で表示するかを指示する表示切替部をさらに備え、表示切替部によってかな変換後の形態による表示が指示された場合にのみ、前記制御部が前記表示変換処理を実行することを特徴とする請求項1の文章表示変換装置。
  8. 前記制御部が、変換された読みがなの部分を、変換されていないかな文字と視覚的に区別することが可能な形態で表示部に表示させることを特徴とする請求項1の文章表示変換装置。
  9. 表示情報が記憶された第1記憶部から、1つの漢字または漢字列からなる漢字部分を順次抽出し、漢字をかなに変換するための変換情報が記憶された第2記憶部を検索し、前記抽出された漢字部分に一致可能な情報を含む変換情報に基づいて前記抽出された漢字部分をその対応する読みがなに変換し、変換後の表示情報を表示部に表示させることを特徴とする文章表示変換装置のかな変換方法。
  10. 表示情報が記憶された第1記憶部から、1つの漢字または漢字列からなる漢字部分を順次抽出する機能、漢字をかなに変換するための変換情報が記憶された第2記憶部を検索する機能、前記抽出された漢字部分に一致可能な情報を含む変換情報に基づいて、前記抽出された漢字部分をその漢字の読みがなに変換する機能、変換後の表示情報を表示部に表示させる機能を、コンピュータに実現させるためのプログラム。
  11. 前記請求項10のプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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