JP2004037394A - 超低非特異シグナル固相による迅速超高感度固相測定法 - Google Patents

超低非特異シグナル固相による迅速超高感度固相測定法 Download PDF

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Abstract

【課題】被検物質とその特異結合物質(修飾あるいは標識された特異結合物質を含む)との複合体を固相上に形成、固定した後、該複合体を測定することにより被検物質を測定する測定法および被検物質とその特異結合物質(修飾あるは標識された特異結合物質を含む)との複合体を固相(第一固相)上に形成させた後、該複合体を溶出して別の固相(第二固相)に移しかえ、第二固相上の該複合体を測定することにより被検物質を測定する測定法において、非特異シグナルを低減させ高感度・迅速・非競合的固相測定法を提供することを課題とする。
【解決手段】1アッセイ当たりに使用する測定用に加工するための材料が、1×10−19〜1×10−18molの測定用標識物質の示すシグナル以下の非特異シグナルを示すように、該材料の選別と調製の方法を改良することにより上記課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明はヒトの臨床検査、獣医検査、食品衛生検査など多くの分野で利用される技術に関する。詳しくは、被検物質を特異結合物質と多量、大表面積または高濃度の小粒子状または微小粒子状の非磁性または磁性の固相を用いて迅速超高感度で測定する新規な測定法、さらに詳しくは、被検物質とその特異結合物質(修飾あるいは標識された特異結合物質を含む)との複合体を固相上に形成、固定した後、該複合体を測定することにより被検物質を測定する新規な測定法(以下非競合的非転移固相測定法と記載)、被検物質とその特異結合物質(修師あるいは標識された特異結合物質を含む)との複合体を固相(第一固相)上に形成させた後、該複合体を溶出して別の固相(第二固相)に移しかえ、第二固相上の該複合体を測定することにより被検物質を測定する新規な測定法(以下非競合的転移固相測定法と記載)、該測定法のために使用しうる少なくとも1の固相あるいは/および試薬を含む測定キットならびにそのための固相、試薬および自動化ソフトを含む測定システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ヒトの臨床検査をはじめとして、獣医検査、食品検査など多くの分野で、被検物質に対する特異結合物質と固相を用いて実施する測定法が広く普及している。例えば、抗原、抗体、DNA、生理作用物質などの被検物質に対して、それぞれ抗体、抗原、被検DNAとハイブリダイズするDNA断片、受容体などの特異結合物質との複合体を固相上に形成させて、固相上の複合体を測定する測定法が広く使われている。
【0003】
特異結合物質と固相を使用する測定法を高感度化する方法も開発されている(E. Ishikawa, Ultrasensitive and Rapid Enzyme Immunoassay, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology Vol.27, S. Pillai, P.C. van der Vliet eds.,Elsevier, Amsterdam, pp.141−176, 1999)。つまり、被検物質と特異結合物質との複合体を固相(第一固相)上に形成させた後、複合体を第一固相から別の固相(第二固相)へ移しかえて、第二固相上の複合体を測定することにより被検物質を測定する方法(以下非競合的転移固相測定法と記載)である。
いずれの測定法においても、被検物質の測定感度を低下させる最大の要因の1つは非特異シグナルである。この非特異シグナルの発生原因を2つに分けることができる。その1つは、被検物質の測定操作をはじめる以前から存在する原因である。つまり、被検物質の測定に使用する固相材料、結合物質標品例えば抗体、抗原、ストレプトアビジン、アビジンなどの標品、試薬等にすでに原因がある場合である。他の1つは、被検物質の測定操作中に生ずる原因であり、測定操作の誤りによる原因を除けば、測定用標識物質結合体の固相への非特異吸着が最大の原因である。
いずれの原因であっても、従来実施されてきたように1アッセイ当たりに使用する固相の量、表面積または濃度が少ない、小さいまたは低い場合には問題とならなかったが、測定時間を短縮するために、多量、大表面積または高濃度の固相を使用する測定法(特願2001−140417、特願2002−035065、特願2002−132007)においては高感度測定法を妨害するより大きな原因となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、被検物質とその特異結合物質(修飾あるいは標識された特異結合物質を含む)との複合体を固相上に形成、固定した後、該複合体を測定することにより被検物質を測定する測定法(以下非競合的非転移固相測定法と記載)、および被検物質とその特異結合物質(修飾あるは標識された特異結合物質を含む)との複合体を固相(第一固相)上に形成させた後、該複合体を溶出して別の固相(第二固相)に移しかえ、第二固相上の該複合体を測定することにより被検物質を測定する測定法(以下非競合的転移固相測定法と記載)において、非特異シグナルを低減させ迅速高感度測定法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
被検物質の測定操作をはじめる以前の固相を調製する段階で生ずる非特異シグナルを上昇させる原因を最小限にして課題を解決する。1アッセイ当たりに使用する測定用に加工するための材料が、1×10−19〜1×10−18molの測定用標識物質の示すシグナル以下の非特異シグナルを示すように、該材料の選別と調製の方法を改良することにより課題を解決する。
すなわは、本発明は、
1. 1アッセイ当たりに使用する測定操作前の固相が示す非特異シグナルが、1×10−18molの測定用標識物質が示すシグナル以下であることを特徴とする、以下に記載のA工程およびB工程により被検物質を測定する非競合的非転移固相測定法。
A工程:被検物質とその特異結合物質(修飾または標識された特異結合物質を含む)との複合体を小粒子状または微小粒子状の非磁性または磁性の0.5〜30mg/mLの濃度の固相上に形成させる工程。
B工程:A工程において固相上に形成させた複合体を測定する工程。
2. 以下の(1)、(2)に記載の少なくとも1の固相を使用することを特徴とする以下に記載のC、DおよびEの3つの工程からなる被検物質の非競合的転移固相測定法。
C工程:被検物質とその特異結合物質(修飾または標識された特異結合物質を含む)との複合体を固相(第一固相)上に形成させる工程。
D工程:C工程において形成させた複合体を第一固相から溶出して別の固相(第二固相)へ移しかえる工程。
E工程:D工程おいて第二固相に移しかえた複合体を測定する工程。
(1)1アッセイ当たりに使用する測定操作前の量が1×10−18molの測定用標識物質が示すシグナル以下の非特異シグナルを示す小粒子状または微小粒子状の非磁性または磁性の0.5〜30mg/mLの濃度の第一固相。
(2)1アッセイ当たりに使用する測定操作前の量が1×10−19molの測定用標識物質が示すシグナル以下の非特異シグナルを示す小粒子状または微小粒子状の非磁性または磁性の0.5〜30mg/mLの濃度の第二固相。
3. 前記1に記載の非競合的非転移固相測定法の固相または前記2に記載の非競合的転移固相測定法における第一固相のために加工する前の、1アッセイ当たりに使用する量が1×10−18molの測定用標識物質が示すシグナル以下の非特異シグナルを示す小粒子状または微小粒子状の非磁性または磁性の固相材料。
4. 前記1に記載の非競合的非転移固相測定法における固相または前記2に記載の非競合的転移固相測定法における小粒子状または微小粒子状の非磁性または磁性の第一固相を調製するための、2〜150pmolが示す非特異シグナルが1×10−18molの測定用標識物質が示すシグナル以下であることを特徴とする固相調製用物質。
5. 前記2に記載の非競合的転移固相測定法のために加工する前の、1アッセイ当たりに使用する量が1×10−19molの測定用標識物質が示すシグナル以下の非特異シグナルを示す第二固相の小粒子状または微小粒子状の非磁性または磁性の固相材料。
6. 前記2に記載の非競合的転移固相測定法における小粒子状また微小粒子状の非磁性または磁性の第二固相を調製するための、2〜150pmolが示す非特異シグナルが1×10−19molの測定用標識物質が示すシグナル以下である固相調製用物質。
7. 前記3または5に記載の性能を有する固相材料としての小粒子状または微小粒子状の非磁性または磁性のビーズ。
8. 前記4または6に記載の性能を有する固相調製用物質としての抗体、抗原、DNA、アビジン、ストレプトアビジン、ゼラチン、アルブミンまたはカゼイン。
9. 前記4または6に記載の性能を有する固相調製用物質としてのモノクローナル抗体。
10. 前記3〜9に記載の固相材料、固相調製用物質の少なくとも1を用いて調製した固相を使用して実施する前記1または2に記載の測定法。
11. 小粒子状または微小粒子状の固相の大きさが直径0.5〜10μmまたは、これと同等であることを特徴とする前記1〜10のいずれか1に記載の測定法、固相材料または固相調製用物質。
12. 測定用標識物質としてアルカリホスファターゼを使用する前記1〜11のいずれか1に記載の測定法、固相材料または固相調製用物質。
13. 前記1、2、10〜12のいずれか1に記載の測定法に使用しうる少なくとも1の固相または/および試薬を含む測定キット。
14. 前記1、2、10〜12のいずれか1に記載の測定法に使用しうる固相、試薬および自動化ソフトを含む測定システム。
からなる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、被検物質とその特異結合物質(修飾あるいは標識された特異結合物質を含む)との複合体を固相上に形成、固定化した後、該複合体を測定することにより被検物質を測定する測定法(以下非競合的非転移固相測定法と記載)、および被検物質とその特異結合物質(修飾あるいは標識された特異結合物質を含む)との複合体を固相(第一固相)上に形成させた後、該複合体を溶出して別の固相(第二固相)に移しかえ、第二固相上の該複合体を測定することにより被検物質を測定する測定法(以下非競合的転移固相測定法と記載)に適用することができる。
【0007】
本発明における被検物質は、特異結合物質が存在しうる全ての物質である。その特異結合物質の種類によって分類すると、被検物質は、抗原、抗体、レセプター、リガンド、レクチン、糖鎖化合物、RNA、DNA、ハプテンなどが挙げられる。被検物質の機能から分類すると、ホルモン、イムノグロブリン、凝固因子、酵素、薬剤などと呼ばれるものを含む。物質名では、血清アルブミン、マクログロブリン、フェリチン、α−フェトプロテイン、CEA、前立腺特異抗原(PSA)、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)、HIV−1p24などが被検物質の例として挙げられる。これらの被検物質は、血液、唾液、尿、鼻汁、涙液、糞便、組織抽出液、培養液などに含まれる場合も多い。被検物質は、天然物、人工合成物、遺伝子組換産物などのいずれでもよく、その由来、存在状態などにより限定されるものではないと同時に例示によっても限定されない。
【0008】
本発明における特異結合物質は、被検物質と特異的に結合する物質をいう。抗原に対しては、抗体、抗体に対しては抗原、ハプテンに対しては抗ハプテン抗体、抗ハプテン抗体に対してはハプテン、DNAに対してはハイブリダイズすることができるDNA、ビオチンに対してはアビジンあるいはストレプトアビジン、アビジンあるいはストレプトアビジンに対してはビオチンあるいはビオチン化タンバク、ホルモン受容体(例えばインスリン受容体)に対してはホルモン(例えばインスリン)、ホルモン(例えばインスリン)に対してはホルモン受容体(例えばインスリン受容体)、レクチンに対しては対応する糖鎖、糖鎖に対しては対応するレクチンなどがそれぞれ特異結合物質の例として挙げられる。また、特異結合物質は、特異的結合能を有するそれらのフラグメントあるいはサブユニット、修飾あるいは標識された特異結合物質、修飾あるいは標識された特異的結合能を有するそれらのフラグメントあるいはサブユニットなども含む。例えば、ビオチン化抗原、ビオチン化抗体、ビオチン化Fab’、酵素標識抗原、酵素標識抗体、酵素標識Fab’、ハプテン化抗原、ハプテン化抗体、ハプテン化Fab’、ビオチン化レセプター、ビオチン化ホルモン、ビオチン化ホルモン受容体、酵素標識ホルモンレセプターなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0009】
本発明の測定法において使用する少なくとも1の固相は、小粒子状または微小粒状の非磁性または磁性の固相である。固相の大きさは、直径0.5〜10μmまたは、これと同等であることが好ましい。また使用する固相の濃度は0.5〜30mg/mLが好ましい。これ以外の固相は、従来の固相測定法で使用されてきたものでも、あるいは新しいものでもよく、材質、形状、大きさなどによって限定されない。例えば種々の大きさのポリスチレン球、ナイロン球、ガラス球、ポリスチレン試験管内面、ポリスチレンマイクロプレート、ラテックス粒子、各種磁性粒子などいずれでもよい。
【0010】
固相調製用物質は、被検物質を測定するために使用する固相を調製するために用いる全ての物質である。その中でも抗原、抗体、DNA、アビジン、ストレプトアビジン、ゼラチン、アルブミンまたは/およびカゼインが重要である。さらにはモノクローナル抗体が重要である。
【0011】
本発明において固相上に形成、固定あるいはトラップされる、あるいは固相から溶出される被検物質とその特異結合物質(修飾あるいは標識された特異結合物質を含む)との複合体は、両者の特異結合により形成される。複合体の形成方法は限定されないので、種々の方法あるいは種々の反応順序で複合体を形成させることができる。つまり、固相、特異結合物質、被検物質を種々の順序で反応させてもよく、また、これらの一部あるいはすべてを同時に反応させてもよい。また、複合体に含まれる両者の分子数は、限定されるものではないが、それぞれ1分子以上多くの場合数分子以下である。複合体に含まれる両者の分子数の比も限定されるものではないが、1以上で10以下のことが多い。
【0012】
被検物質とその特異結合物質(修飾あるいは標識された特異結合物質を含む)の複合体を固相上に形成させた後、固相上の両者を含む複合体を測定することにより被検物質を測定する測定法においては、特異結合物質は必ずしも修飾される必要はない。つまり、特異結合物質を物理的吸着または共有結合により固相上に不溶化し、被検物質、測定用標識特異結合物質、例えば酵素標識特異結合物質を反応させて固相上に複合体を形成させる方法が典型的である。固相上に形成させた複合体を固定したまま測定しても、複合体の一部あるいは全てを溶出して測定してもよい。いわゆるサンドイッチ法である。固相上に形成させた両者を含む複合体を溶出する工程を含む測定法においても、上記のように固相上に形成、固定あるいはトラップされる、あるいは固相から溶出される複合体を構成する特異結合物質は、必ずしも修飾あるいは標識される必要はない。例えば、物理的吸着により固相上に固定した特異結合物質に被検物質と酵素標識特異結合物質を結合して固相上に複合体を形成させ、該複合体を界面活性剤により固相から溶出することができる。しかし、特異結合物質は修飾あるいは標識されることが多い。
【0013】
このように特異結合物質を修飾あるいは標識する目的は2つである。その1つは、両者を含む複合体を固相上に固定あるいはトラップあるいは固相から溶出するためであり、他の1つは、両者を含む複合体を測定するためである。
上記のような両者を含む複合体を固相上に固定あるいはトラップあるいは固相から溶出することができる限り、あるいは迅速に高感度で測定ができる限り、修飾あるいは標識の方法、そのために使用する物質の種類、特異結合物質分子に導入する分子数などに制限はない。
【0014】
両者を含む複合体を固相上に固定あるいはトラップあるいは固相から溶出するために、例えば、ハプテン、抗ハプテン抗体、荷電物質、DNA、チオール基を含む物質、チオピリジール基を含む物質、リガンド、レセプター、レクチン、糖鎖、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジンなどが、修飾あるいは標識に便用されるが、このように修飾あるいは標識された物質を含む複合体は、それぞれ、抗ハプテン抗体、ハプテン、荷電物質、DNA、チオピリジール基を含む物質、チオール基を含む物質、レセプター、リガンド、糖鎖、レクチンなどを不溶化した固相上に、ハプテン−抗ハプテン抗体結合、イオン結合、DNAハイブリッド結合、ジスルフィド結合、リガンド−レセプター結合、レクチン−糖鎖結合、ビオチン−アビジン結合、ビオチン−ストレプトアビジン結合などを介して固定あるいはトラップされ、ハプテン、イオン、高温、還元剤、リガンド、糖質、ビオチンなどにより固相から溶出される。これらの2以上の結合を固相と複合体の間に介在させて、複合体を固相に固定あるいはトラップし、2以上の物質あるいは/および方法を組み合わせて複合体を溶出することもできる。ただし、ビオチン−アビジン結合、ビオチン−ストレプトアビジンは複合体の溶出のためには使われることは殆どない。
【0015】
上記のような両者を含む複合体の高感度測定法のために、より高感度でより迅速に測定しうる物質が測定用修飾物質あるいは測定用標識物質として使われる。例えば、酵素、ラジオアイソトープ、蛍光物質、発光物質、金属など、具体的には、アルカリホスファターゼ、ぺルオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、I135、I125、フルオレセイン、エクオリン、アクリジニウム、ユーロピューム、金コロイドが測定用修飾物質あるいは測定用標識物質として使われる。
上記のように、種々に修飾あるいは標識され、両者の複合体が種々に形成、固定されるので、両者を含む複合体の構成は様々であるが、具体例として、次のような例を挙げることができる。2,4−ジニトロフェニル化ビオチン化特異結合物質−被検物質−酵素標識特異結合物質、2,4−ジニトロフェニル化特異結合物質−被検物質−酵素標識特異結合物質などである。2,4−ジニトロフェニル基、ビオチンは、上記の荷電物質、DNA、チオール基などで、また酵素は、上記のラジオアイソトープ、蛍光物質、発光物質、金属などで、それぞれ置きかえることができる。
【0016】
A工程とC工程における複合体の形成の違いは、A工程の複合体は、固相から溶出できても、できなくても良いのに対し、C工程の複合体は、多くの場合解離することなく第一固相から溶出できることが必要である。
本発明における溶出液とは、上記のような両者を含む複合体を固相から溶出するための溶液である。溶液の組成は、該複合体が固相上に固定されている状態により異なる。例えば、該複合体が固相上に固定されている結合が物理的吸着の場合には、界面活性剤を含む溶液、ハプテン−抗ハプテン抗体の結合の場合には、ハプテンあるいはハプテン誘導体を含む溶液、イオン結合の場合には、イオンを含む溶液、ジスルフィド結合の場合には、還元剤を含む溶液、DNAハイブリッドの場合には、温度の高い液などであるが、これらに限定されない。
本発明における上記のような両者を含む複合体の溶出方法は、種々の方法で実施される。通常は、溶出液と該複合体を固定している固相とを振とうあるいは撹拌などにより接触あるいは混合させ、一定時間後に両者を分離する。両者を分離する方法も公知の種々の方法がある。単なる溶出液の吸引除去をはじめとして、遠心カ、磁気力、フィルターなどによる粒子固相の分離などである。従来の公知方法に限定されない。
【0017】
第一固相から溶出した両者を含む複合体は、第一固相上に固定化するために使用した結合とは異なる種々の結合、例えばハプテン−抗ハプテン抗体結合、DNAハイブリッド結合、イオン結合、ビオチン−アビジンあるいはストレプトアビジン結合などにより第二固相上にトラップすることができる。そのためには、複合体を、第一固相に固定、トラップするために、また、第一固相から溶出するために修飾または標識した特異結合物質をあらかじめ、第一固相上に固定するために使用した修飾物質とは異なる修飾物質、例えばハプテン、DNA、荷電物質、ビオチン、抗ハプテン抗体、アビジン、ストレプトアビジンなどにより修飾しておく必要がある。第二固相には、抗ハプテン抗体、修飾に使用したDNAとハイブリダイズしうるDNA、荷電物質、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチンなどを不溶化しておく必要がある。また、被検物質と結合しうる特異結合物質を第二固相に不溶化しておいて、両者を含む複合体を第二固相上にトラップすることもできる。例えば、被検物質が抗体の場合には、抗イムノグロブリン抗体不溶化第二固相、抗原の場合には抗体不溶化第二固相、DNAの場合は、ハイブリダイズしうるDNA不溶化第二固相などである。
【0018】
第二固相に移しかえた両者を含む複合体は種々の方法で測定することができる。E工程において測定用標識物質で標識した特異結合物質を結合させることもあるが、多くの場合、C工程において、あるいはD工程において、測定用標識特異結合物質が結合させてある。この測定用標識物質を、該複合体が第二固相上に固定された状態で、あるいは、再び該複合体の一部あるいはすべてを溶出して測定すればよい。
【0019】
本発明において第一固相から溶出される複合体は、多くの場合解離しないが、複合体の測定に支障がない限り、複合体の一部が解離してもよい。例えば、ハプテン化抗原−抗体−標識抗原、ハプテン化抗体−抗原−標識抗体のような複合体が、解離して抗体−標識抗原、抗原−標識抗体となっても、抗イムノグロブリン抗体不溶化第二固相、抗体不溶化第二固相にトラップして複合体を測定することができる。
【0020】
本発明における固相の洗浄液は、従来の固相測定法で使用されてきたものでも、新しいものでもよく、組成、pH、温度などによつて限定されない。例えば、各種蛋白質、各種界面活性剤、各種動物血清、各種糖質、各種脂質などを含む、あるいは含まない各種緩衝液、あるいは水などのいずれでもよい。
本発明における固相の洗浄法は、従来の固相測定法で実施されてきた方法でも、新しい方法でもよく、操作、方法、温度、時間などによって限定されない。例えば固相の全表面と洗浄液を撹拌、振とうなどにより接触あるいは混合し、洗浄液を吸引あるいは固相がラテックス、磁性ビーズなどの場合には、遠心、磁気などにより固相から分離、吸引して除去する。本発明の目的が測定時間を短縮して、超迅速超高感度測定法を提供することであることから、固相の洗浄は可及的迅速に実施することが好ましい。
【0021】
上記の測定法、つまり被検物質をその特異結合物質により測定する非競合的固相測定法、詳しくは、被検物質とその特異結合物質の両者を含む複合体を固相上に形成させ、固相上の複合体を測定することにより被検物質を測定する非競合的非転移固相測定法さらには、固相(第一固相)上の両者を含む複合体を溶出して別の固相(第二固相)へ移しかえて、第二固相上の複合体を測定することにより被検物質を測定する非競合的転移固相測定法においては、非特異シグナルつまり、被検物質が存在しない条件下でのシグナルが測定感度を左右する最大の原因の一つである。
この非特異シグナルは、使用する固相の量、表面積または濃度が大きくなれば、大きくなるほど大きくなるので、測定時間を短縮して迅速測定を実施するために、1アッセイ当たりに大表面積、多量または高濃度の固相を使用する測定法においては、この非特異シグナルを低減させることが高感度測定に必要である。
【0022】
この非特異シグナルの原因は、測定操作以前に存在する原因と測定操作開始後に生ずる原因の2つに分けられる。本発明においては、測定操作以前に存在する原因、その中でも、測定用の固相を調製するための材料に起因する非特異シグナルの原因を最小限にして、高感度非競合的非転移固相測定法、超高感度非競合的転移固相測定法を提供する。
【0023】
本発明においては第一に測定操作直前の測定用に加工された1アッセイ当たりに使用する固相が示す非特異シグナルが1×10−19mol〜1×10−18molの測定用標識物質が示すシグナルより低くなるようにすることによって高感度、超高感度な測定を可能にする。
【0024】
そのためには、測定用固相を調製するための材料の非特異シグナルが低くなければならない。したがって、本発明においては、第二に1アッセイ当たりに使用する固相材料そのものが、1×10−19mol〜1×10−18molの測定用標識物質が示すシグナルより低い非特異シグナルを示すように、固相材料を厳選する。殊にラテックス、磁性ビーズなどの固相材料には、非特異シグナルを示すものがあり、厳選が必要である。その中には、加熱により非特異シグナルが低下あるいは消失する場合もある。第三には、測定用固相の調製のために使用する被検物質の特異結合物質、他の結合物質、固相ブロッキング物質などつまり、抗原、抗体、アビジン、ストレプトアビジン、アルブミンなどの1アッセイ当たりに使用する量(2〜150pmol)の示す非特異シグナルが1×10−19mol〜1×10−18molの測定用標識物質が示すシグナルより低くなるように厳選あるいは、精製する。これらの精製は、各種クロマトグラフィーにより可能である。
【0025】
測定用固相の調製のために使用する材料の示す非特異シグナルを低減させることは、殊にアルカリホスファターゼを測定用標識として使用する測定法において重要である。アルカリホスファターゼの検出感度が高いと、該酵素活性が全ての生体由来の標品中に存在する可能性があることおよび従って測定用固相の調製を含むヒトが活動する場所のいずれでも存在する可能性があることのために、該酵素活性と同じシグナルを可及的に低減させた固相調製用の材料を用意するものである。
例えば、固相調製用のポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれであっても、生体由来であってもアルカリホスファターゼが混在している。培養によるモノクローナル抗体であっても培地にカーフ血清が添加されており、その中にはアルカリホスファターゼが混在している。
【0026】
ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の標品からアルカリホスファターゼを除去するためには、プロティンA、プロティンG、DEAEセルロースなどを用いるクロマトグラフィーが有効である。殊にDEAEセルロースまたはセファロースのようなイオン交換クロマトグラフィーが有効である。抗体とアルカリホスファターゼは等電点が異なるからである。
【0027】
本発明で使用する非競合的非転移または転移固相測定法の各工程は、公知の種々の方法により実施することができる(E. Ishikawa, Ultrasensitive and Rapid Enzyme Immunoassay, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology Vol.27, S. Pillai, P.C. van der Vliet eds.,Elsevier, Amsterdam, pp.141−176, 1999)。しかし、本発明においては、公知の方法に限定されるものではない。
【0028】
以下非競合的非転移固相測定法と非競合的転移固相測定法の全工程をさらに具体的に説明する。ただし、以下の具体例に限定されない。
【0029】
(被検物質が抗原の場合)
非競合的非転移固相測定法における典型的抗原の測定は、抗体不溶化固相、抗原、酵素標識抗体を順次反応させる。これらの反応順序を変えてもまた、同時に反応させてもよい。ここで1アッセイ当たりに使用する測定操作前の抗体不溶化固相の非特異シグナルを測定用標識、例えばアルカリホスファターゼ(ALP)の1×10−18molの示すシグナル以下に抑制することにより高感度測定を提供する。非競合的転移固相測定法の典型例を以下に記載する。
【0030】
被検物質としての抗原とその特異結合物質の抗体との複合体を例えぱハプテン−抗ハプテン抗体の結合を介して第一固相上に形成させる。まず固相(第一固相)上に抗ハプテン抗体を不溶化して、ハプテン化抗体を結合させる。
ついで、抗原を第一固相上にトラップすることができる。さらに、酵素標識抗体を反応させて、ハプテン化抗体(2)−抗原(3)−酵素標識抗体(4)の3者からなる複合体を抗ハプテン抗体不溶化第一固相(1)の上に形成させる。
抗ハプテン抗体不溶化第一固相(1)、ハプテン化抗体(2)、抗原(3)、酵素標識抗体(4)の反応順序は種々変えることができる。(1)と(2)をあらかじめ反応させたものと、(3)と(4)をあらかじめ反応させたものとを反応させて、複合体を形成させることができる。
また、(2)と(3)をあらかじめ反応させた後、(1)と反応させ、ついで(4)と反応させ、(1)の上に(2)+(3)+(4)の複合体を形成させることができる。
さらには、(2)(3)(4)の順、(3)(4)(2)の順あるいは3者を同時に反応させて、3者の複合体を形成させ、(1)に結合させることができる。
ここで1アッセイ当たりに使用する測定操作前の(1)の示す非特異シグナルを、測定用標識物質の1×10−18molが示すシグナル以下に制御することにより、(1)の一部がE工程に混在したとしても高感度測定を提供することができる。
【0031】
(被検物質が抗体の場合)
非競合的非転移固相測定法による典型的抗体測定例では、抗原不溶化固相、抗体、酵素標識抗原を順次反応させるが、これらを同時に反応させてもよい。
非競合的転移固相測定法による典型的抗体測定例では、被検物質としての抗体とその抗原との複合体を例えばハプテンと抗ハプテン抗体の結合を介して第一固相上に形成させる。抗ハプテン抗体不溶化第一固相(5)、ハプテン化抗原(6)、抗体(7)、酵素標識抗原(8)を順次反応させる。上記の抗原の測定のために(1)、(2)、(3)、(4)を順次反応させた場合の抗原と抗体を置きかえた以外は全く同様である。(8)の代わりに酵素標識抗イムノグロブリン抗体(9)を使っても全く同様である。(6)、(7)、(8)を同時に反応させて3者の複合体を(5)の上に形成させる場合は、上記(2)、(3)、(4)を同時に反応させて(1)の上に3者の複合体を形成させる場合と抗原と抗体を入れかえる以外は全く同様である。(5)の非特異シグナルは(1)と同様に低下させて高感度測定を提供する。
【0032】
(被検物質がRNA,DNAの場合)
被検物質のRNAは、DNAに転換して測定することもできる。
被検物質としてのDNAとトラップ用DNAおよび測定用DNAとの複合体をハプテン−抗ハプテン抗体の結合を介さないで固相上に、または介して第一固相上に形成させる。ハプテン化トラップ用DNA−被検物質DNA−ビオチン化(または酵素標識)測定用DNAの複合体を被検物質が抗原の場合と同様にして第一固相上に形成させることができる。被検物質がDNAの場合は、ハプテン化トラップ用抗体と酵素標識測定用抗体が抗原分子上の異なる2つの部位に結合する抗原の場合と同様である。
しかし、被検物質が抗体の場合とは異なる。つまり、ハプテン化トラップ用抗原と酵素標識測定用抗原が抗体分子上の異なる2つの部位に結合するけれども、2つの部位に結合する抗原のエビトープは同一である。もちろん、被検物質DNAが同じ塩基配列の部位を2つ以上もっている場合は、被検物質が抗体である場合と同様となる。
【0033】
(抗ハプテン抗体−ハプテンの結合以外の結合による複合体形成)
ハプテン−抗ハプテン抗体の結合を介する代わりに、ジスルフィド結合(‐S‐S‐)、イオン結合、DNAハイブリッドまたは物理的吸着を介して被検物質とその特異結合物質(修飾または標識された特異結合物質を含む)との複合体を固相(第一固相)上に形成させることができる。ただし、ジスルフィド結合、物理的吸着を介する場合には、被検物質を第一固相上にトラップするための特異結合物質をこれらの結合を介して固定化しておくことが好ましい。
例えば、被検物質が抗原の場合には、第一固相−ウシ血清アルブミン−S−S−抗体、第一固相−物理的吸着抗体、被検物質が抗体の場合には、第一固相−ウシ血清アルブミン−S−S−抗原、第一固相−物理的吸着抗原、被検物質がDNAの場合には第一固相−ウシ血清アルブミン−S−S−DNAなどのように、あらかじめ第一固相を調製することが好ましい。
【0034】
本発明で使う非競合的転移固相測定法のD工程はC工程で第一固相上に複合体を形成させ固定化させた方法に対応した方法で実施する(前出E. Ishikawa, Ultrasensitive and Rapid Enzyme Immunoassay, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology Vol.27, S. Pillai, P.C. van der Vliet eds.,Elsevier, Amsterdam, pp.141−176, 1999)。A工程でハプテン−抗ハプテン抗体結合を介して複合体を第一固相上に形成させた場合は、高濃度のハプテンにより複合体を溶出する。ジスルフィド結合を介して複合体が第一固相上に形成されている場合には、2−メルカプトエチルアミンなどの還元剤により還元して複合体を溶出する。イオン結合を介して複合体が形成されている場合には、高濃度の塩類により溶出する。DNAハイブリッドを介して複合体が第一固相上に形成されている場合には、温度を上昇させて溶出する。物理的吸着を介して複合体が第一固相上に形成されている場合には、界面活性剤により溶出する。複合体が2以上の結合を介して第一固相上に形成されている場合には、2以上の方法により溶出できる。例えば、抗ハプテン抗体が物理的吸着により第一固相上に不溶化され、その上に抗ハプテン抗体−ハプテン結合を介して複合体が形成されている場合には高濃度のハプテンと界面活性剤の両方で溶出することができる(S.Ishikawaら、Ana1.Lett.Vo1.33,No,11,pp.2183−2196,2000)。
【0035】
複合体がハプテン化抗原−抗体−酵素標識抗原の揚合には、抗イムノグロブリン抗体不溶化第二固相に固定化(トラップ)することができる。
複合体が、ハプテン化ビオチン化抗体−抗原−酵素標識抗体、ハプテン化ビオチン化抗原−抗体−酵素標識抗原、HS‐ビオチン化抗体−抗原−酵素標識抗体、ハプテン化ビオチン化抗原−抗体−酵素標識抗イムノグロブリン抗体などのように、あらかじめビオチン化されている場合には、第二固相にアビジンまたはストレプトアビジンを不溶化して、複合体を第二固相上にトラップすることができる。複合体を界面活性剤を用いて溶出する場合には、第二固相に不溶化する抗イムノグロブリン抗体、アビジン、ストレプトアビジンなどは第二固相上に共有結合で固定されている必要がある。
【0036】
以上は、溶出液中の複合体を第二固相にトラップする場合であるが、溶出と同時に第二固相にトラップすることができる。例えば、ハプテン−抗ハプテン抗体の結合によって複合体が第一固相上に形成されている場合には、高濃度のハプテンを含む溶出液の中に第一固相と第二固相を同時に加えてインキュベートすれば複合体が溶出されると同時にトラップされる。
【0037】
ここで1アッセイ当たりに使用する測定操作前の第二固相の非特異シグナルを測定用標識物質の1×10−19molが示すシグナル以下に制御することにより高感度測定を提供する。
【0038】
本発明で使う非競合的非転移または転移固相測定法のB工程またはE工程は、A工程またはD工程で固相上に形成、固定またはトラップされた複合体の状態に対応して公知の方法(前出(E. Ishikawa, Ultrasensitive and Rapid Enzyme Immunoassay, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology Vol.27, S. Pillai, P.C. van der Vliet eds.,Elsevier, Amsterdam, pp.141−176, 1999)により実施することができるが公知の方法に限定されるものではない。固相上の複合体に測定用の標識、例えば酵素が導入されていない場合、例えば、固相−抗ハプテン抗体−ハプテン化抗原−抗体のような場合には、酵素標識抗イムノグロブリン抗体を結合させてから測定を行うが、多くの場合、A工程、C工程またはD工程ですでに測定用の標識が導入されている。これらの標識を、多くの場合固相に固定された状態でそれぞれの測定法により測定すれば、被検物質の測定ができる。しかし、これらの標識の高感度測定法に支障がない限り、標識物質のみを、あるいは標識物質と複合体の一部あるいはすべてを固相から切り離して測定しても被検物質の測定が可能である。測定用標識物質としての酵素は、その活性を比色法、蛍光法、発光法、ESR強度測定法などにより測定する。測定用標識物質としての酵素の中でも、アルカリホスファターゼが好適であり、また、ジオキセタン誘導体がその発光基質として好適である。アルカリホスファターゼの発光基質として市販のCDP−star ready to use with Sapphire II(Tropix Inc.,Bedford,MA)が好適である。蛍光物質はその蛍光強度、発光物質は発光強度を測定するなど公知の方法により測定することができるが、公知の方法に限定されるものではない。
【0039】
本発明は、上記に説明した測定方法の実施のための固相、試薬等におよび、また、該固相および緩衝液、ブロッキング液、洗浄液、基質液、抗体、ハプテン等に例示される本発明に使用する少なくとも1の固相あるいは/および試薬を含む測定キットにもおよぶ。さらに、本発明は、上記に説明した測定方法の実施のための固相、試薬および自動化ソフトを含む測定システムにもおよぶ。
【0040】
以上は例示により説明したが、本発明はこれらの例示により限定されるものではない。
【0041】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
【0042】
【実施例1】
この実施例では、各種の磁性ビーズが示すアルカリホスファターゼ(以下ALPと記載)またはALP様の活性を示す。
【0043】
(材料と方法)
・磁性ビーズ
MG201、MG203〜215、JSR Corporation、Tokyo、Japan
M1−50/20、M1−070/40、M1−180/20、M1−70/60、M1−180/12、
Prolabo、France
Dynabeads M−450、Dynal、A.S. Oslo、Norway
FERRIC SPHERE 100C、日本ペイント、Tokyo、Japan
・アルカリホスファターゼ(ALP)
オリエンタルイースト社製
・ALP発光基質液
CDP−star ready to use with Sapphire II、Tropix社
・発光測定装置
Lumicounter 2500、マイクロテックニチオン社
・分散液
1mM MgCl、0.1M ジエタノラミン・HCl緩衝液、pH9.7
・ALP用洗浄液
0.15MNaCl、0.1%Tween20、1g/LNaNを含む20mMTris−HCl緩衝液pH7.4
・EDTA溶液
1M EDTA pH10.0
・ALP活性の発光測定法
未処理及びオートクレーブ処理を行なった各磁性ビーズ0.5mgをALP用洗浄液400μLで1回、300μLで2回洗浄した後、30μLの分散液中に分散し、30μLのEDTA溶液もしくは超純水を添加した後、200μLのALP発光基質液と25℃で5分間インキュベートした。磁性ビーズを磁気分離した上清全量の0.1秒間の発光量を測定した。
10μL中に溶解した1×10−17molのALPの活性も同様にして測定した。
・ALP活性の表示方法
測定した磁性ビーズのALPまたはALP様の活性をオリエンタルイースト社製ALPのmol数として表示した。
【0044】
(結果)
実施例1の結果を表1に示す。
0.5mg当たりの磁性ビーズのALP活性をテストした結果、21種類のうち2種類が1×10−18mol ALP相当以上のシグナルを示し、10種類は1×10−19〜1×10−18mol ALP活性相当のシグナルを示した。これらのシグナルは、EDTA添加により低下するものもあったが、かえって上昇するものもあった。これらの活性は、ほとんどすべてオートクレーブ処理により低下したが、処理後も1×10−19molALP活性相当以上のシグナルを示す標品も7種類あった。したがって、1アッセイ当たり0.05mg程度の磁性ビーズを使用する従来の非競合的非転移固相測定法では全ての種類を使用しうるが、1アッセイ当たり0.5mgという多量の磁性ビーズを使用する迅速非競合的転移固相測定法の第二固相としては約半数の種類を使用することができないことが示された。このことはオートクレーブ処理により格段に改善されることはなかった。また、1アッセイ当たり0.5mgを使用する非競合的非転移固相測定法の固相としても、非競合的転移固相測定法の第一固相としても、使用することができない種類が市販品の中にはあることも分かった。つまり、市販品の磁性ビーズの厳選が必要であることが示された。
【0045】
【実施例2】
この実施例ではモノクローナル抗体の標品が精製法により異なったALP活性を持つことを示す。
【0046】
(材料と方法)
以下に記載する材料と方法の他は、実施例1のそれらと同じである。
【0047】
・プロテインAカラム、ProteinA HyperDTM M ChromoPrepColumn
3(直径)×1.4cm、日本ガイシ社製
・吸着用緩衝液
1.5M グリシン・NaOH緩衝液、pH8.9
・溶出用緩衝液
0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液、pH5.0
・モノクローナル抗体のプロテインAカラムによる精製
モノクローナル抗2,4−ジニトロフェニル基IgG−1753、19.25mg/mLを含む腹水を吸着用緩衝液で15倍に希釈してプロテインAカラムにアプライし、同緩衝液でカラムを洗浄後、溶出用緩衝液により溶出した。
IgGを含む溶出液は、1Mトリス・HCl緩衝液、pH8.0により中和をした後、20mMトリエタノラアミン・HCl緩衝液、pH7.0により透析した。
・ALP発光測定法
サンプル10μLとALP発光基質液200μLを25℃で5分間インキュベートし0.1秒間の発光量を測定した。
・ALP活性の表示方法
測定した発光量と同じ発光量を示すオリエンタルイースト社製ALPのmol数として表した。
・硫酸ナトリウム分画
モノクローナル抗2,4−ジニトロフェニル基IgG−1753、19.25mg/mLの9.4mLに無水硫酸ナトリウム 1.69gを溶解、10分間撹拌、20分間放置の後、遠心を行い、沈殿を20mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0(0.1%NaNを含む)1mLに溶解、同液にて透析を行った。
・DEAEセルローズカラム
DE52、ワットマン社製
モノクローナル抗体のDEAEイオン交換カラムによる精製
硫酸ナトリウム分画して透析した上記溶液4.65mLをDEAEセルローズカラム(1.435×8.5cm = 13.7mL)にアプライして素通り画分を集めた。
【0048】
実施例2の結果を表2に示す。
非常に広く使われているプロテインAを用いて精製した場合には、モノクローナルIgG 1mol当たり1.70×10−7molという多量のALPに相当するシグナルを示した。つまり、IgG 10pmol当たり1.70×10−18molALP相当のシグナルを示したので1アッセイ当たり10pmol以上を不溶化した、例えば0.2mg以上の多量の磁性ビーズとALPを測定用標識物質として使用する高感度測定法に使用する標品としては適さないことが分かった。これに対し、DEイオン交換カラムにより精製した場合には、モノクローナルIgG 1mol当たりのシグナルが5.76×10−10mol ALP相当となり、IgG 10pmol当たり5.76×10−21molALP相当となった。
従って100pmolという多量のモノクローナルIgGを不溶化した多量の磁性ビーズを1アッセイ当たりに使用しても高感度測定を提供できることが分かった。
このように、固相調製用物質の精製法を選別し、固相調製用物質の非特異シグナルを低下させることにより、多量の微小粒子固相を使用する高感度測定を可能にすることができることが示された。
【0049】
【実施例3】
この実施例では、プロテインAカラムとDEカラムにより精製したモノクローナル抗体を不溶化した磁性ビーズの示す非特異シグナルとしてのアルカリホスファターゼ活性を示す。
【0050】
(材料と方法)
以下に記す材料と方法の他は、実施例1、2のそれらと同じである。
・磁性ビーズ
MG205、JSR Corporation、Tokyo、Japan
・モノクローナル抗2,4−ジニトロフェニル基(DNP)抗体IgG−1753の磁性ビーズへの不溶化。
JSR社の指示書に従って実施例2のプロテインAカラムとDEカラムによる方法で精製したモノクローナル抗体を不溶化した。
【0051】
(結果)
実施例3の結果を表3に示す。
プロテインAカラムにより精製したモノクローナル抗DNPIgGを不溶化した磁性ビーズ0.5mgは5.1×10−18molのアルカリホスファターゼに相当する活性シグナルを示した。これに対し、DEカラムにより精製したモノクローナル抗DNPIgGを不溶化した磁性ビーズ0.5mgはアルカリホスファターゼ活性を検出することができなかった。
このように、モノクローナル抗体の精製法を選択することにより、高感度測定が可能な固相を調製するためのモノクローナル抗体を調製することができる。
【0052】
Figure 2004037394
【0053】
Figure 2004037394
【0054】
Figure 2004037394

Claims (14)

  1. 1アッセイ当たりに使用する測定操作前の固相が示す非特異シグナルが、1×10−18molの測定用標識物質が示すシグナル以下であることを特徴とする、以下に記載のA工程およびB工程により被検物質を測定する非競合的非転移固相測定法。
    A工程:被検物質とその特異結合物質(修飾または標識された特異結合物質を含む)との複合体を小粒子状または微小粒子状の非磁性または磁性の0.5〜30mg/mLの濃度の固相上に形成させる工程。
    B工程:A工程において固相上に形成させた複合体を測定する工程。
  2. 以下の(1)、(2)に記載の少なくとも1の固相を使用することを特徴とする以下に記載のC、DおよびEの3つの工程からなる被検物質の非競合的転移固相測定法。
    C工程:被検物質とその特異結合物質(修飾または標識された特異結合物質を含む)との複合体を固相(第一固相)上に形成させる工程。
    D工程:C工程において形成させた複合体を第一固相から溶出して別の固相(第二固相)へ移しかえる工程。
    E工程:D工程おいて第二固相に移しかえた複合体を測定する工程。
    (1)1アッセイ当たりに使用する測定操作前の量が1×10−18molの測定用標識物質が示すシグナル以下の非特異シグナルを示す小粒子状または微小粒子状の非磁性または磁性の0.5〜30mg/mLの濃度の第一固相。
    (2)1アッセイ当たりに使用する測定操作前の量が1×10−19molの測定用標識物質が示すシグナル以下の非特異シグナルを示す小粒子状または微小粒子状の非磁性または磁性の0.5〜30mg/mLの濃度の第二固相。
  3. 請求項1に記載の非競合的非転移固相測定法の固相または請求項2に記載の非競合的転移固相測定法における第一固相のために加工する前の、1アッセイ当たりに使用する量が1×10−18molの測定用標識物質が示すシグナル以下の非特異シグナルを示す小粒子状または微小粒子状の非磁性または磁性の固相材料。
  4. 請求項1に記載の非競合的非転移固相測定法における固相または請求項2に記載の非競合的転移固相測定法における小粒子状または微小粒子状の非磁性または磁性の第一固相を調製するための、2〜150pmolが示す非特異シグナルが1×10−18molの測定用標識物質が示すシグナル以下であることを特徴とする固相調製用物質。
  5. 請求項2に記載の非競合的転移固相測定法のために加工する前の、1アッセイ当たりに使用する量が1×10−19molの測定用標識物質が示すシグナル以下の非特異シグナルを示す第二固相の小粒子状または微小粒子状の非磁性または磁性の固相材料。
  6. 請求項2に記載の非競合的転移固相測定法における小粒子状また微小粒子状の非磁性または磁性の第二固相を調製するための、2〜150pmolが示す非特異シグナルが1×10−19molの測定用標識物質が示すシグナル以下である固相調製用物質。
  7. 請求項3または5に記載の性能を有する固相材料としての小粒子状または微小粒子状の非磁性または磁性のビーズ。
  8. 請求項4または6に記載の性能を有する固相調製用物質としての抗体、抗原、DNA、アビジン、ストレプトアビジン、ゼラチン、アルブミンまたはカゼイン。
  9. 請求項4または6に記載の性能を有する固相調製用物質としてのモノクローナル抗体。
  10. 請求項3〜9に記載の固相材料、固相調製用物質の少なくとも1を用いて調製した固相を使用して実施する請求項1または2に記載の測定法。
  11. 小粒子状または微小粒子状の固相の大きさが直径0.5〜10μmまたは、これと同等であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1に記載の測定法、固相材料または固相調製用物質。
  12. 測定用標識物質としてアルカリホスファターゼを使用する請求項1〜11のいずれか1に記載の測定法、固相材料または固相調製用物質。
  13. 請求項1、2、10〜12のいずれか1に記載の測定法に使用しうる少なくとも1の固相または/および試薬を含む測定キット。
  14. 請求項1、2、10〜12のいずれか1に記載の測定法に使用しうる固相、試薬および自動化ソフトを含む測定システム。
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