JP2004037324A - レーザプラズマx線発生装置 - Google Patents

レーザプラズマx線発生装置 Download PDF

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Fumio Wake
和気 史男
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    • H05G2/00Apparatus or processes specially adapted for producing X-rays, not involving X-ray tubes, e.g. involving generation of a plasma
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Abstract

【課題】液体窒素により極低温に保持したドラム表面のクライオターゲット層を速やかに修復できるレーザプラズマX線発生装置を提供する。
【解決手段】シャフト121の下端にドラム122を固定し、そのドラム122をクライオ化カバー106の内部に回転方向および軸方向に移動可能に配置する。そして、シャフト121に液体窒素供給パイプ131を挿入し、クライオ化カバー106にターゲットガス供給用の配管144を接続する。また、クライオ化カバー106の周囲にジャケット171を配置し、配管144の周りにパイプ185を配置して熱交換器を形成する。そして、シャフト121と液体窒素供給パイプ131との隙間Sから液体窒素のベーパガスを取り出して、配管144とパイプ185の間に導き、さらにジャケット171内に導いて、ターゲットガスを冷却し、ターゲット材の付着効率を向上させる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、高尖頭パワーを有し所定の周波数で繰り返し出力されるパルスレーザ光を、固体標的物質をターゲットとして集光照射することにより、高温高密度プラズマを生成し、該高温高密度プラズマからパルスX線(レーザプラズマX線)を連続的に繰り返し発生させるレーザプラズマX線発生装置に関し、特に、化学的に不活性で室温ではガス状態であるターゲット材を液体窒素等により極低温に冷却された回転体の表面に接触させ、冷却することにより回転体表面に固定化して堆積したクライオターゲット層をパルスレーザ光照射のターゲットとするレーザプラズマX線発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高尖頭パワーを有し所定の周波数で繰り返し出力されるパルスレーザ光を、直径100μm以下の点に集光して、固体標的物質をターゲットとして集光照射することにより、高温高密度プラズマを生成し、該高温高密度プラズマから高輝度のパルスX線を発生させ、発生したパルスX線をX線リソグラフィーやX線顕微鏡等の光源として利用するレーザプラズマX線発生装置において、化学的に不活性で室温ではガス状態である物質、例えば、クリプトン、キセノン、アルゴン等の希ガスを液体化または固体化したものをターゲット材として連続的に供給し、回転体表面に堆積させ、パルスレーザ光の集光照射点にクライオターゲット層を形成する手段として、例えば特開平1−6349号公報(特許番号第2614457号)に開示されているような、回転無端ベルトを利用した装置が従来から知られている。
【0003】
特開平1−6349号公報に開示された装置は、図5に示すように、真空チャンバー1の内部に、連続移動する回転無端ベルト2を備えたベルトコンベア3が設けられ、液体化または固体化したクライオターゲット材4が、ターゲット材供給装置5から供給路6を介して回転無端ベルト2の表面上に連続供給され、回転無端ベルト2の表面に付着して、クライオターゲット層7を形成するよう構成されている。そして、真空チャンバー1側壁の入射口8から、レーザ集光レンズ9を通してパルスレーザ発生装置10からのパルスレーザ光11が入射され、回転無端ベルト2の表面の集光照射点12においてクライオターゲット層7のクライオ材をプラズマ化してパルスX線13を放射させ、そのパルスX線13がX線出射口14から外部へ取り出される。また、パルスレーザ光11の集光照射によりプラズマ化してクレータ穴が残ったクライオターゲット層7は、回転無端ベルト2と共に移動し、その移動する回転無端ベルト2の表面上にクライオターゲット材が連続して供給されることにより、修復される。
【0004】
また、これとは別に、ごく最近では、Proc. SPIE Vol.3886 (1999)に、ベルトコンベアの代わりに、液体窒素で極低温に冷却された回転円筒体の表面に、化学的に不活性で室温ではガス状態である希ガス等のターゲット材をガス状態にて連続的に供給し、凝縮させてクライオターゲット層を形成し、その回転円筒体表面に形成されたクライオターゲット層を、回転円筒体の回転方向および軸方向へ移動させることにより、固体化されたクライオ材を集光照射点に供給する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術のうち、回転無端ベルトの表面に、予め液体化または固体化したターゲット材を供給するの方法では、ターゲット材の付着が不安定で、クライオターゲット層を確実に形成できない。
【0006】
一方、極低温に冷却した回転円筒体の表面に、化学的に不活性で室温ではガス状態である希ガス等のターゲット材をガス状態にて供給し、凝縮させてクライオターゲット層を形成する方法では、ターゲット材の付着が安定し、クライオターゲット層の確実な形成が可能である。しかし、この方法でクライオターゲット層を形成しても、その形成したクライオターゲット層の表面には、パルスレーザー光の集光照射によるプラズマ化によって集光照射点に半球状のクレータ穴が発生し、そのクレータ穴が発生した箇所を再びパルスレーザ光が照射したのでは、集光度の安定性が悪化し、安定した高平均出力のパルスX線を連続的に繰り返し発生することができない。そのため、クレータ穴が発生したクライオターゲット層を速やかに修復できるように、連続的にターゲット材を供給し、その供給したガス状態のターゲット材を、クライオ化カバー等の壁により回転円筒体の周囲に閉じ込めるようにしている。
【0007】
しかし、従来の技術では、極低温に冷却した回転円筒体の表面に凝縮させてクライオターゲット層を形成させるターゲット材は、室温のまま供給されるため、分子エネルギーが大きくて、極低温に冷却された回転円筒体表面のクライオターゲット層への付着の効率が悪く、付着が遅くて、クライオターゲット層を速やかに修復させることができない。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、液体窒素等により極低温に冷却した回転円筒体の表面に、化学的に不活性で室温ではガス状態である希ガス等のターゲット材をガス状態にて供給し、凝縮させて形成するクライオターゲット層の修復を速やかに行うことができるレーザプラズマX線発生装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のレーザプラズマX線発生装置は、化学的に不活性で室温ではガス状態であるターゲット材を、ガス状態にて供給し、液体窒素等の冷媒により極低温に冷却された回転円筒体の外表面に接触させることにより、冷却し、固体化して前記回転円筒体の外表面に堆積したクライオターゲット層を形成させ、該クライオターゲット層の表面に、高尖頭パワーを有し所定の周波数で繰り返し出力されるパルスレーザ光を集光照射するとともに、前記回転円筒体の回転方向または軸方向への移動あるいはそれら2方向への移動の組み合わせにより、空間的に固定されたパルスレーザ光の集光照射点に対して前記クライオターゲット層を有する回転円筒体表面を面方向へ移動させて、該回転円筒体表面上で前記集光照射点を移動させ、前記パルスレーザ光の集光照射により高温高密度プラズマを生成するとともに、該パルスレーザ光の集光照射によるプラズマ化によってクレータ穴が発生したクライオターゲット層を前記ターゲット材の連続的な供給により修復させ、前記高温高密度プラズマからパルスX線を連続的に繰り返し発生させるレーザプラズマX線発生装置において、ガス状態にて前記回転円筒体の外表面に供給するターゲット材を、前記回転円筒体の冷却に使用した冷媒から発生する極低温ガスにより冷却することを特徴とする。
【0010】
このレーザプラズマX線発生装置は、より具体的には、ターゲット材をガス状態にて回転円筒体の外表面に向け移送する配管の周囲に、回転円筒体の冷却に使用した冷媒から発生する極低温ガスを導くことにより、ターゲット材を冷却するようにでき、また、移送されたガス状態のターゲット材を回転円筒体の周囲に閉じ込める壁の周囲に、回転円筒体の冷却に使用した冷媒から発生する極低温ガスを導くことにより、ターゲット材を冷却するようにできる。
【0011】
このレーザプラズマX線発生装置には、化学的に不活性で室温ではガス状態であるターゲット材が、ガス状態にて供給される。そして、そのガス状態のターゲット材が、極低温に冷却された回転円筒体の外表面に接触し、冷却され、凝縮して回転円筒体の外表面に堆積し、クライオターゲット層を形成する。そして、そのクライオターゲット層の表面に、高尖頭パワーを有するパルスレーザ光が集光照射されることにより、高温高密度プラズマが生成され、該高温高密度プラズマからパルスX線が発生する。
【0012】
また、回転円筒体の回転方向または軸方向への移動あるいはそれら2方向への移動の組み合わせにより、空間的に固定されたパルスレーザ光の集光照射点に対してクライオターゲット層を有する回転円筒体表面が面方向へ移動して、回転円筒体表面上で集光照射点が移動し、その間、ターゲット材が連続的に供給されて、パルスレーザ光の集光照射によるプラズマ化によってクレータ穴が発生したクライオターゲット層は修復される。その際、ガス状態にて回転円筒体の外表面に供給されるターゲット材は、配管や、ターゲット材を回転円筒体の周囲に閉じ込める壁部を介して、回転円筒体の冷却に使用した冷媒から発生する極低温ガスにより冷却され、低温で分子エネルギーの小さいガスとなって供給される。そのため、極低温に冷却された回転円筒体表面のクライオターゲット層へのターゲット材の付着の効率がよくなり、クライオターゲット層は確実かつ速やかに修復される。そして、所定の周波数で繰り返し出力されるパルスレーザ光が、順次、クライオターゲット層表面の修復した箇所へ集光照射され、パルスX線が連続的に繰り返し発生する。
【0013】
こうして、ガス状態にて回転円筒体の外表面に供給するターゲット材を、回転円筒体の冷却に使用した冷媒から発生する極低温ガスにより冷却することにより、クライオターゲット層の修復を確実かつ速やかに行うことができる。また、回転円筒体の冷却に使用した冷媒から発生する極低温ガスを使用してターゲット材を冷却するので、液体窒素等の冷媒を回転円筒体の冷却以外だけに使用するのではなく、有効再利用することができて、省エネルギーとなり、また、装置の構成が簡単で、小型化が可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明の実施の形態のレーザプラズマX線発生装置の一例の縦断面図、図2は図1の一部詳細図である。
【0016】
この図1および図2に示す実施の形態のレーザプラズマX線発生装置は、中央部が開口した水平なフレーム101に、上方からフランジ体102がボルト固定され、そのフランジ体102に、下方から、上下両端にフランジ状の連結部103、104が一体に溶接された連結スリーブ105を介して、概略円筒状のクライオ化カバー106が垂直状態で配設され、ボルト連結されている。
【0017】
そして、クライオ化カバー106の内面に接するよう、概略円筒状の銅リング107が嵌め込まれ、クライオ化カバー106のボス部に取付けられた止めねじで所定位置に保持されている。そして、その銅リング107の下部は、中央が開口した有底円筒状に形成され、その有底円筒状の下部底面に、下方から軸受ホルダー109がボルト固定され、この軸受ホルダー109にジャーナル軸受110が保持されている。
【0018】
また、フランジ体102の上面には、概略円筒状の真空カバー111が垂直状態で配設されて、一体溶接されたフランジ状の連結部120を介してボルト固定され、その真空カバー111に囲まれるよう、概略円筒状で真空カバー111より小径の軸受アセンブリーホルダー112がやはり垂直状態で配置され、ボルト固定されている。
【0019】
そして、軸受アセンブリーホルダー112の内側に、上下2段の配置で転がり軸受113、114が保持され、それら上下の転がり軸受113、114の中間に磁気シール115が配設されている。
【0020】
真空カバー111は、軸受アセンブリーホルダー112の周囲および上方に密閉空間を形成し、その密閉空間を図示しない真空ポンプにより真空に保持するもので、軸受アセンブリーホルダー112の上方において内側に張り出すようリング状の隔壁116が一体溶接され、そのリング状の隔壁116に、上下2段にシール117、118を保持したシールホルダー119が上方から配設され、ボルト固定されている。
【0021】
また、図示しないが、真空カバー111の上方には、回転用および上下用のステッピングモータを備えた駆動機構が配設されている。そして、この駆動機構により上下方向および回転方向へ駆動されるパイプ状のシャフト121が、真空カバー111の内側を貫通して上下に配置され、このシャフト121の下端延設部分に、クライオ化カバー106の内部で銅リング107の内周に一定のギャップを持って回転方向および軸方向に移動する回転円筒体としてのドラム122が一体に溶接されている。
【0022】
ドラム122は、底部中央に下方へ突設したシャフト部123を有し、このシャフト部123が、軸受ホルダー109に保持されたジャーナル軸受110で支持されている。
【0023】
一方、シャフト121の外周には、軸受アセンブリーホルダー112の内側に保持された転がり軸受113、114のインナーレールと一体に回転するガイドスリーブ124が、軸方向に相対移動可能に装着され、そして、このガイドスリーブ124の下方で、ドラム122の上方に位置する外周上に、フランジ状の突起部125が設けられて、ガイドスリーブ124の下端と、フランジ状の突起部125の上端との間に、シャフト121を囲んでベローズ126が配設され、また、ガイドスリーブ124の上部内周側に、シャフト121を囲んで軸受127が装着されている。
【0024】
シャフト121の内側には、ドラム122の内側下部まで達するよう液体窒素供給パイプ131が挿入されている。この液体窒素供給パイプ131は、装置上部の図示しない液体窒素供給口から供給される液体窒素をドラム122の内部に導入するためのもので、外径がシャフト121の内径より小さく、周囲に隙間Sができるよう配置されている。また、液体窒素供給パイプ131の内部には、液面計138が挿入されている。
【0025】
シャフト121と液体窒素供給パイプ131との隙間Sは、下方にはドラム122内部に開放され、上方には、例えば図示のようにシールホルダー119の上方でシール132により密封されている。
【0026】
シールホルダー119には、上下2段のシール117、118に挟まれた内周部分に環状の溝133が形成されている。また、シャフト121には、このシールホルダー119内周の環状の溝133に液体窒素供給パイプ131周囲の隙間Sを開口させる横穴134が形成されている。そして、シールホルダー119内周の環状の溝133に連通して側方へ延びるようシールホルダー119に連通穴135が形成され、この連通穴135に連通する取出穴136が隔壁116に形成され、この隔壁116の取出穴136に開口する配管挿入口137が真空カバー111に形成されている。
【0027】
クライオ化カバー106には、照射フランジ108を挿嵌する位置とは反対側の上部側方位置に、ターゲットガス導入用の開口141が設けられ、その開口141に連通するよう配管接続用の入口金具142が溶接固定されている。そして、この入口金具142に、接続金具143を介してターゲットガス供給用の配管144が接続されている。
【0028】
また、クライオ化カバー106には、ターゲットガス導入用の開口141の下方に、温度センサ設置用のボス部145が形成され、このボス部145に、装着金具146を介して温度センサ挿入用のパイプ147が接続されている。
【0029】
銅リング107は、上端部分の外周に2段に円周溝151が形成され、それら2段の円周溝151が所定位置で上下に連通するとともに下段の円周溝151に連通して下方に延びるよう、外面に複数本の縦溝152が周方向に所定間隔で形成され、内周側は、外周に円周溝151を有する上端部分の内周面と、照射フランジ108の入出射口160と周方向に並ぶ位置の上下に形成された上下複数段の内周側の環状リブ153とが、ドラム122と一定のギャップ(G)を持っている。それ以外の部位ではドラム122外周との間にギャップ(G)以上の隙間ができる構成で、中段の二つの環状リブ153の間に、外周側の縦溝152を内周側へ連通させる連通穴154が形成されている。
【0030】
また、クライオ化カバー106には、周囲に密封空間を形成するようジャケット171が溶接固定されている。
【0031】
クライオ化カバー106の開口141に連通する入口金具142に接続金具143を介して接続されたターゲットガス供給用の配管144は、フレーム101に固定された三股のニップル181と、その上方に配置された三股のニップル182を貫通して、フレーム101の上方へ延び、各ニップル181、182に接続金具183、184を介して密着固定され、それら上下のニップル181、182の間に、配管144の周りに密閉空間を形成するようパイプ185が取り付けられている。
【0032】
これら上下のニップル181、182の間の配管144と、パイプ185とは、ガス冷却熱交換器を構成するもので、上側のニップル182には、隔壁116の取出穴136に開口する真空カバー111の配管挿入口137との間に、ドラム122内に発生したベーパガスを取り出して上下のニップル181、182の間の配管144とパイプ185との間に導くための配管186が接続されている。
【0033】
また、下側のニップル181には、配管144とパイプ185との間を流れたベーパガスを、ジャケット171内の密封空間に導くための配管187が接続されている。ガス冷却熱交換器の配管144とパイプ185との間を流れたベーパガスは、配管187を通ってジャケット171内の密封空間に導入され、クライオ化カバー106の周囲を流れ、出口側の配管188を通って大気中に放出される。
【0034】
このレーザプラズマX線発生装置では、液体窒素供給パイプ131によりドラム122の内部に冷媒としての液体窒素が導入され、ドラム122が冷却されて、その外表面が極低温に保持される。そして、化学的に不活性で室温でガス状態であるターゲット材(クリプトン、キセノン、アルゴン等の希ガス等)がガス状態でターゲットガスとして配管144により供給され、そのターゲットガスが、クライオ化カバー106の開口141から銅リング107の上段の円周溝151に入り、上下の円周溝151を流れ、縦溝152を流れて、連通穴154からドラム122の外表面に向けて噴出し、それがドラム表面に接触して冷却され、凝縮してドラム122の外表面上に堆積することによりクライオターゲット層が形成される。
【0035】
ドラム122は、シャフト121と一体に、回転方向および軸方向へ移動する。そして、パルスレーザ光発生装置(図示せず)により、高尖頭パワーを有し所定の周波数で繰り返し出力されるパルスレーザ光が、照射フランジ108の穴を通して入射し、ドラム122の外表面近傍に位置する空間的に固定された集光照射点においてクライオターゲット層の表面に集光照射され、そのパルスレーザ光の集光照射により、高温高密度プラズマが生成し、その高温高密度プラズマからパルスX線が発生する。また、ドラム122が回転方向および軸方向へ移動することにより、空間的に固定されたパルスレーザ光の集光照射点に対して、クライオターゲット層が形成されたドラム表面が面方向へ移動し、ドラム122の表面上でパルスレーザ光の集光照射点が所定の軌跡を描いて移動し、その間、ターゲットガスが連続的に供給されて、パルスレーザ光の集光照射によるプラズマ化によってクレータ穴が発生したクライオターゲット層が修復され、所定の周波数で繰り返し出力されるパルスレーザ光の集光照射により、パルスX線が連続的に繰り返し発生する。
【0036】
その際、ドラム122内には、液体窒素のベーパガスが発生し、そのベーパガスが、シャフト121と液体窒素供給パイプ131との間隙Sを上昇し、配管186に取り出されて、ガス冷却熱交換器のパイプ185内に導かれる。そして、配管144を流れるターゲットガスがこの部分でベーパガスとの熱交換によって冷却される。
【0037】
また、ガス冷却熱交換器の配管144とパイプ185との間を流れたベーパガスが、配管187を通ってジャケット171内の密封空間に導入され、クライオ化カバー106の周囲を流れることにより、クライオ化カバー106が冷却され、クライオ化カバー106に接する銅リング107が冷却される。そのため、クライオ化カバー106の開口141から銅リング107の上段の円周溝151に入り、上下の円周溝151を流れ、縦溝152を流れる際に、ターゲットガスは、さらに冷却される。そして、低温で分子エネルギーの小さいガスとなってドラム122の外表面に供給される。そのため、極低温に冷却されたドラム122表面のクライオターゲット層へのターゲット材の付着の効率がよくなり、クライオターゲット層は確実かつ速やかに修復される。
【0038】
以上、実施の形態の一例について説明したが、上記実施の形態のレーザプラズマX線発生装置は、図3および図4に示すように、銅リング107を設けない構成に変更することもできる。図3はレーザプラズマX線発生装置の縦断面図、図4は図3の一部詳細図である。以下、この変更例のレーザプラズマX線発生装置について、図1および図2に示すレーザプラズマX線発生装置と共通する部分については図に同じ符号を付すにとどめ、特有な構成を中心に説明する。
【0039】
この図3および図4に示すレーザプラズマX線発生装置は、ドラム122の外周にクライオ化カバー206の内周の環状リブ253が接するよう構成されたもので、環状リブ253は、照射フランジ108の入出射口160と周方向に並ぶ位置の上下に上下複数段に形成され、中段の二つの環状リブ253の間に、ターゲットガス導入用の開口241が設けられている。そして、その開口241が設けれた部分がボス部245を構成し、このボス部245に、接続金具143を介してターゲットガス供給用の配管144が接続され、ボス部245を跨いでジャケット271が溶接固定されている。また、クライオ化カバー206の下部は軸受ホルダー部を構成し、この部分でジャーナル軸受110を保持している。
【0040】
この図3および図4に示すレーザプラズマX線発生装置では、配管144により供給されるターゲットガスは、クライオ化カバー206の開口241から直接ドラム122の外表面に向けて噴出する。そして、そのターゲットガスは、ガス冷却熱交換器のパイプ185内に導かれた液体窒素のベーパガスとの熱交換によって冷却され、さらに、そのベーパガスが配管187を通ってジャケット271内の密封空間に導入され、クライオ化カバー206が冷却されることにより、クライオ化カバー206のボス部245を流れる際にさらに冷却される。そのため、ターゲットガスはやはり低温で分子エネルギーの小さいガスとなってドラム122の外表面に供給され、それにより、極低温に冷却された回転円筒体表面のクライオターゲット層へのターゲット材の付着の効率がよくなり、クライオターゲット層は確実かつ速やかに修復される。
【0041】
以上、実施の形態の一例およびその変更例を説明したが、本発明はそれらに限定されるものではなく、発明の技術的思想の範囲において適宜構成を変更して実施できることは勿論である。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のレーザプラズマX線発生装置は、ガス状態にて回転円筒体の外表面に供給するターゲット材を、回転円筒体の冷却に使用した冷媒から発生する極低温ガスにより冷却することにより、クライオターゲット層の修復を確実かつ速やかに行うことができ、また、回転円筒体の冷却に使用した冷媒から発生する極低温ガスを使用してターゲット材を冷却するので、液体窒素等の冷媒を回転円筒体の冷却以外だけに使用するのではなく、有効再利用することができて、省エネルギーとなり、また、装置の構成が簡単で、小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のレーザプラズマX線発生装置の一例の縦断面図である。
【図2】図1の一部詳細図である。
【図3】本発明の実施の形態のレーザープラズマX線発生装置の変更例の縦断面図である。
【図4】
図3の一部詳細図である。
【図5】従来のレーザプラズマX線発生装置の概略構成図である。
【符号の説明】
106、206 クライオ化カバー
107 銅リング
121 シャフト
122 ドラム
131 液体窒素供給パイプ
144 配管(ターゲットガス供給用)
171 ジャケット
185 パイプ
186、187、188 配管
S 隙間

Claims (3)

  1. 化学的に不活性で室温ではガス状態であるターゲット材を、ガス状態にて供給し、液体窒素等の冷媒により極低温に冷却された回転円筒体の外表面に接触させることにより、冷却し、固体化して前記回転円筒体の外表面に堆積したクライオターゲット層を形成させ、該クライオターゲット層の表面に、高尖頭パワーを有し所定の周波数で繰り返し出力されるパルスレーザ光を集光照射するとともに、前記回転円筒体の回転方向または軸方向への移動あるいはそれら2方向への移動の組み合わせにより、空間的に固定されたパルスレーザ光の集光照射点に対して前記クライオターゲット層を有する回転円筒体表面を面方向へ移動させて、該回転円筒体表面上で前記集光照射点を移動させ、前記パルスレーザ光の集光照射により高温高密度プラズマを生成するとともに、該パルスレーザ光の集光照射によるプラズマ化によってクレータ穴が発生したクライオターゲット層を前記ターゲット材の連続的な供給により修復させ、前記高温高密度プラズマからパルスX線を連続的に繰り返し発生させるレーザプラズマX線発生装置において、
    ガス状態にて前記回転円筒体の外表面に供給するターゲット材を、前記回転円筒体の冷却に使用した冷媒から発生する極低温ガスにより冷却することを特徴とするレーザープラズマX線発生装置。
  2. 前記ターゲット材をガス状態にて前記回転円筒体の外表面に向け移送する配管の周囲に、前記回転円筒体の冷却に使用した冷媒から発生する極低温ガスを導くことにより、前記ターゲット材を冷却することを特徴とする請求項1記載のレーザープラズマX線発生装置。
  3. 移送されたガス状態のターゲット材を前記回転円筒体の周囲に閉じ込める壁の周囲に、前記回転円筒体の冷却に使用した冷媒から発生する極低温ガスを導くことにより、前記ターゲット材を冷却することを特徴とする請求項1または2記載のレーザープラズマX線発生装置。
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