JP2004037204A - X線検出器及びこれを備えた検査システム - Google Patents
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Abstract
【課題】長期にわたりX線を照射されても検出器の感度の低下を充分に防止することができる構成を有しており、X線源から出射されるX線のX線量率が変動しても該X線量率を反映した強度を正確に測定することができるX線検出器及びこれを備えた検査システムの提供。
【解決手段】X線検出器1は、ケース2とこの開口部H2を塞ぐX線透過性蓋体3とパネル4とフォトダイオード5とコネクタ8を有する。パネル4はX線を蛍光に波長変換する蛍光体層42と合成石英製支持基板44とを有する。ダイオード5はケース58とこの開口部H5を塞ぐ合成石英製蓋体59と光電変換部51とを有し、パネル4から出射される蛍光を光電変換し蛍光体層に照射されたX線のX線量率を反映した電気信号を出力する。パネル4及びダイオード5は支持基板44の下面F44と蓋体59の上面F59との間に所定の間隔を設けるための空間が画成されるようにケース2内に各々位置決めされ配置されている。
【選択図】 図1
【解決手段】X線検出器1は、ケース2とこの開口部H2を塞ぐX線透過性蓋体3とパネル4とフォトダイオード5とコネクタ8を有する。パネル4はX線を蛍光に波長変換する蛍光体層42と合成石英製支持基板44とを有する。ダイオード5はケース58とこの開口部H5を塞ぐ合成石英製蓋体59と光電変換部51とを有し、パネル4から出射される蛍光を光電変換し蛍光体層に照射されたX線のX線量率を反映した電気信号を出力する。パネル4及びダイオード5は支持基板44の下面F44と蓋体59の上面F59との間に所定の間隔を設けるための空間が画成されるようにケース2内に各々位置決めされ配置されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はX線源から出射されるX線のX線量率を測定するためのX線検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
被検査物に対してX線管を備えたX線発生装置から出射させたX線を照射させ、この被検査物を透過してくるX線のX線量率を測定するための検査システムに使用されるX線検出器(X線量率モニタ)として、低エネルギー領域のX線量率を測定するためのサーベーメーター等の検出器(例えば、医療分野における用途や放射線漏れ検出を必要とする分野における用途等の検出器)が従来から知られている。
【0003】
また、例えば、工業製品(被検査物)の製造過程における非破壊検査(例えば、インライン検査等)を必要とする分野におけるX線量率を測定するためのX線検出器としては、図4に示す構造を有するシンチレータパネルとシリコンフォトダイオードを備えたタイプのX線検出器(例えば、特開平9−54162号公報に記載のX線検出器)が従来から知られている。このようなX線検出器は、例えば、X線断層撮影等のX線透過率を測定してフィルム等の製品の厚さを測定するために使用されている。
【0004】
すなわち、図4に示すX線検出器100は、開口部H200を有する略直方体の有底ケース200と、この開口部H200を塞ぐX線透過性の平板状蓋体300と、ケース200内に収容されており平板状蓋体300を透過して外部からケース200内に入射するX線L1000を蛍光に波長変換するシンチレータパネル400と、ケース200内に収容されておりシンチレータパネル400から出射される蛍光を光電変換し電気信号を出力するフォトダイオード500とを有し、シンチレータパネル400とフォトダイオード500とは、シンチレータパネル400の受光面F400の反対側の裏面とフォトダイオード500の受光面F500との間に合成樹脂製の接着剤からなる層900を配置することにより、互いに接着されている。
【0005】
シンチレータパネル400は、X線透過性の基板(図示せず)と、この基板(図示せず)の一方の面上に隣接して配置される蛍光体層(図示せず)とを有する構成のものが知られている。
【0006】
なお、フォトダイオード500は、例えば、n型半導体層560と、p型半導体層540と、n型半導体層560に電気的に接続される電極(図示せず)と、p型半導体層に電気的に接続される電極(図示せず)と、を少なくとも有する光電変換部(例えば、PNフォトダイオード、PINフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード等の構造を有する)と、この光電変換部500を収容するための開口部を有する略直方体のケース580とからなる。
【0007】
そして、フォトダイオード500は、上記の各電極がそれぞれワイヤ820及び840によりケース200に固定されたコネクタ800に電気的に接続されており、フォトダイオード500から出力される電気信号はケース200外部に出力される。
【0008】
更に、上記と同じ分野で工業製品に対する信頼性をさらに向上させるため、製品(被検査物)を透過してくるX線に基づく画像を取得し、製品の内部構造の情報を観察できるX線画像検出器が従来から知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のX線検出器を使用する検査システムは長期にわたり使用するにつれてX線発生装置から発生するX線のX線量率が変動するという問題があった。特に、X線発生装置から発生するX線のうち低エネルギー領域(例えば、30eV未満)のX線のX線量率が低下してしまう問題があった。
【0010】
X線発生装置から発生するX線のX線量率が変動すること自体を防止できなくても、X線検出器によりX線発生装置からのX線のX線量率の変動量を正確に測定することができれば、その変動量に基づいてX線管の出力を調節することやX線検出器により検出されるX線量率のデータを補正することにより問題を解決することができる可能性があるが、上記従来のX線検出器の場合には、長期にわたり使用されると照射されるX線の影響によりX線検出器自体の感度も同時に低下してしまい、正確な被検査物の検査ができなくなることを本発明者らは見出した。
【0011】
すなわち、図4に示した構造を有するX線検出器は、シンチレータ400で波長変換されずに透過してくるX線の影響によりシンチレータ400とフォトダイオード500とを接着している接着剤からなる層900が徐々に変色(着色)し、シンチレータ400から出射される蛍光の一部がこの接着剤からなる層900中で吸収されるためX線量率を正確に測定できなくなることを本発明者らは見出した。
【0012】
また、先に述べた製品(被検査物)を透過してくるX線画像を取得するX線エリアセンサ(X線画像検出器)を使用する検査システムの場合、X線発生装置から発生するX線のX線量率の変動と、X線画像検出器の検出感度(出力される電気信号強度)の変動(低下)が同時に起こるという問題があった。
【0013】
この場合、例えば、小型化の容易な図4に示した構造を有するX線検出器を被検査物とX線エリアセンサとの間に更に配置させてX線発生装置からのX線のX線量率の変動量を測定することにより、X線量率の変動量とX線エリアセンサの感度の変動量(低下量)とをそれぞれ分離して補正し、正確な被検査物の検査を試みることができる可能性がある。しかし、この場合にも、先に述べた接着剤の着色の影響により図4に示した従来のX線検出器自体の検出感度が低下するためX線量率の変動量とX線エリアセンサの感度低下量とを正確に分離して把握することができず、正確な被検査物の検査を行うには未だ不充分であることを本発明者らは見出した。
【0014】
更に、後述するように本発明者らの検討結果によれば、上述したX線画像検出器を用いた検査システムにX線のX線量率を測定するためのX線検出器を更に別途備える場合、X線発生装置から出射されるX線のX線量率を反映した強度の変動量をより正確に測定する観点からはシンチレータの厚さを従来の厚さ(例えば、3mm〜1cm)よりも薄くすること(例えば、数百μm程度にすること)が有効であるが、この場合、シンチレータに吸収されずにこれを透過するX線量が多くなることになるため、上記従来の図4に示した構造を有するX線検出器を使用すると上述した接着剤からなる層900の着色による問題がより顕著に起こることになる。
【0015】
本発明は以上の問題を鑑みてなされたものであり、長期にわたりX線を照射されても検出器の感度の低下を充分に防止することができる構成を有しており、X線源から出射されるX線のX線量率が変動しても該X線量率を反映した強度を正確に測定することができるX線検出器及びこれを備えた検査システムを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、開口部を有する第1の有底ケースと、
第1の有底ケースの開口部を塞ぐX線透過性の第1の平板状蓋体と、
第1の有底ケース内に収容されており、第1の平板状蓋体を透過して第1の有底ケース外部から該ケース内に入射するX線を蛍光に波長変換する蛍光体層と、蛍光体層に隣接して配置されており蛍光体層を支持する合成石英製の支持基板とを少なくとも有し、かつ、蛍光体層の側を第1の平板状蓋体の側に向けて配置されるシンチレータパネルと、
第1の有底ケース内に収容されており、シンチレータパネルから出射される蛍光を光電変換して蛍光体層に照射されたX線のX線量率を反映した電気信号を出力するフォトダイオードと、
を少なくとも有しており、
フォトダイオードは、
開口部を有する第2の有底ケースと、
第2の有底ケースの開口部を塞ぐ合成石英製の第2の平板状蓋体と、
第2の有底ケース内に収容されており、蛍光を受光する受光面を有し、かつ、n型半導体層と、p型半導体層と、n型半導体層に電気的に接続される電極と、p型半導体層に電気的に接続される電極と、を少なくとも有する光電変換部と、を少なくとも有しており、
シンチレータパネル及びフォトダイオードは、支持基板の第2の平板状蓋体側に向く下面と第2の平板状蓋体の支持基板側に向く上面との間に、該上面と該下面との接触を防止する所定の間隔を設けるための空間が画成されるように、第1のケース内にそれぞれ位置決めされて配置されていること、
を特徴とするX線検出器を提供する。
【0017】
本発明のX線検出器は、上記のようにシンチレータパネルとフォトダイオードとの間に両者の接触を防止する空間が画成されているので、X線量率を測定するうえで先に述べた従来のX線検出器ような接着剤の変色(着色)の影響が無くなる。そのため、本発明のX線検出器は、長期にわたりX線を照射されても検出器の感度の低下を充分に防止することができる。
【0018】
なお、上記の空間は、シンチレータパネルの外縁部と第1の有底ケースの底面パネルに垂直な側面パネルの内壁面とを接着剤或いはその他の接着加工を用いて接続し、さらに、フォトダイオードの外縁部と第1の有底ケースの底面に直交する側面パネルの内壁面とを接着剤或いはその他の接着加工により接続することにより容易に画成することができる。
【0019】
例えば上記のようにシンチレータパネルとフォトダイオードとの間の空間を画成する際に接着剤を使用しても、接着剤を波長変換に寄与しないシンチレータパネルの外縁部及び光電変換に寄与しないフォトダイオードの外縁部のみに使用すればX線線量率の計測に対する接着剤の変色(着色)の影響を容易に防止することができる。また、第1のケース内におけるシンチレータパネルとフォトダイオードとの位置決めのために、接着剤のみの固定を行うだけでなく、例えば、該内壁面の法線方向にのびる突起部分等の位置決め部材をシンチレータパネル及びフォトダイオード毎に設けて、これらにそれぞれの外縁部の全部又は一部を接着させて固定してもよい。
【0020】
また、本発明のX線検出器によれば、シンチレータパネル及びフォトダイオードが接触しないように所定の間隔を充分に確保することができ、その結果、特に支持基板と第2の平板状蓋体の密着時に生じる干渉縞が振動などのためにずれることに起因する検出光量の変化のおそれを充分に低減することも容易にできる。
【0021】
このように本発明のX線検出器は長期にわたりX線の照射を受けても検出器の感度の低下が充分に防止されるので、X線を被検査物に照射しこの被検査物を透過するX線を検出することにより被検査物の検査すべき内部状態を検査する検査システムに使用した場合、X線源から出射されるX線のX線量率が使用中に変動しても、その変動量を正確に把握できる。そのため、その変動量を考慮したデータ補正が容易にできるようになり、被検査物の正確な検査ができる。
【0022】
特に、X線発生装置と、X線画像検出器と、X線発生装置とX線画像検出器との間に被検査物を配置する検査システムにおいて、X線発生装置から出力されるX線のX線量率と、X線画像検出器の検出感度(出力される電気信号強度)が共に変動しても、本発明のX線検出器を用いれば、上記の2つの変動量のうちX線発生装置から出力されるX線のX線量率を反映した強度の変動量を正確に把握することができるので、結果的に上記の2つの変動量を容易に分離して把握することができ、X線量率の変動量を考慮したデータ補正を行うと共に、例えば、X線画像検出器から出力される電気信号強度のゲインを変化させる補正を行うことが容易に可能になる。そのため、長期にわたりX線を照射して使用しつづけても被検査物を正確に検査することができる。
【0023】
この場合、本発明のX線検出器はX線発生装置と被検査物との間又は被検査物とX線画像検出器との間に配置すればよい。また、本発明のX線検出器の検出するX線量率は、上記の何れの位置に配置する場合であっても、被検体を透過したX線のものであってもよく、被検体に照射されないX線のものであってもよい。
【0024】
また、本発明は、開口部を有する第1の有底ケースと、
第1の有底ケースの開口部を塞ぐX線透過性の第1の平板状蓋体と、
第1の有底ケース内に収容されており、第1の平板状蓋体を透過して第1の有底ケース外部から該ケース内に入射するX線を蛍光に波長変換する蛍光体層と、
第1の有底ケース内に収容されており、蛍光体層から出射される蛍光を光電変換して蛍光体層に照射されたX線のX線量率を反映した電気信号を出力するフォトダイオードと、
を少なくとも有しており、
フォトダイオードは、
開口部を有する第2の有底ケースと、
第2の有底ケースの開口部を塞ぐ合成石英製の第2の平板状蓋体と、
第2の有底ケース内に収容されており、蛍光を受光する受光面を有し、かつ、n型半導体層と、p型半導体層と、n型半導体層に電気的に接続される電極と、p型半導体層に電気的に接続される電極と、を少なくとも有する光電変換部と、を少なくとも有しており、
蛍光体層は、第2の平板状蓋体の第1の平板状蓋体側に向く上面に隣接して配置されていること、
を特徴とするX線検出器を提供する。
【0025】
上記構成を有するX線検出器の場合も、フォトダイオードの第2の平板状蓋体の上面に蛍光体層が隣接して配置されているので、先に述べたX線検出器と同様に、X線量率を測定するうえで先に述べた従来のX線検出器ような接着剤の変色(着色)の影響が無くなる。そのため、本発明のX線検出器は、長期にわたりX線を照射されても検出器の感度の低下を充分に防止することができる。また、このX線検出器は、上記構成を有するため先に述べたX線検出器よりもコンパクトに構成できる。
【0026】
また、フォトダイオードは、その外縁部と第1の有底ケースの底面に直交する側面パネルの内壁面とを接着剤或いはその他の接着加工により接続することにより第1の有底ケース内に容易に配置することができる。この場合にも第1のケース内におけるフォトダイオードの位置決めのために、例えば、該内平面の法線方向にのびる突起部分等の位置決め部材を設けて、これにフォトダイオードの外縁部の全部又は一部を接着させて固定してもよい。
【0027】
更に、このX線検出器の場合にも、フォトダイオードにおいて、第2の平板状蓋体のフォトダイオード側を向く下面と光電変換部の受光面との距離を充分に確保できるように第2の有底ケースを設計することにより、先に述べた干渉縞の形成による検出光量の変化のおそれを充分に低減することが容易にできる。
【0028】
また、このX線検出器も長期にわたりX線の照射を受けても検出器の感度の低下が充分に防止されるので、X線を被検査物に照射しこの被検査物を透過するX線を検出することにより被検査物の検査すべき内部状態を検査する検査システムに使用した場合、X線源から出射されるX線のX線量率が使用中に変動しても、その変動量を正確に把握できる。そのため、その変動量を考慮したデータ補正が容易にできるようになる。そのため、被検査物の正確な検査ができる。
【0029】
更に、本発明は、X線を被検査物に照射し、被検査物を透過するX線を検出することにより被検査物の検査すべき内部状態を検査する検査システムであって、
X線を発生させ、被検査物に向けて出射するX線発生装置と、
X線の出射方向であって被検査物を挟んでX線発生装置と対向する位置に配置され、被検査物を透過するX線を検出することにより被検査物の検査すべき内部状態を反映したX線の全体像を撮像可能にするX線画像検出器と、
X線の出射方向であってX線発生装置と被検査物との間又は被検査物とX線画像検出器との間に配置され、X線発生装置から出射されたX線の一部を取得し、そのX線量率を測定するためのX線検出器と、
を少なくとも有しており、
X線検出器が先に述べた本発明のX線検出器であること、
を特徴とする検査システムを提供する。
【0030】
本発明の検査システムは、先に述べた本発明のX線検出器の何れかを備えているので、長期にわたる使用によりX線発生装置から出力されるX線のX線量率と、X線画像検出器の検出感度(出力される電気信号強度)が共に変動する場合であっても、被検査物の検査すべき内部状態の情報を正確に得ることがきる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明によるX線像撮像装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0032】
先ず、本発明のX線検出器の第一実施形態について説明する。図1は本発明のX線検出器の第一実施形態の基本構成を示す模式的断面図である。
【0033】
図1に示すX線検出器1は、主として、開口部H2を有する略直方体の有底ケース2(第1の有底ケース)と、上記開口部H2を塞ぐX線透過性の平板状蓋体3(第1の平板状蓋体)と、ケース2内に収容されたシンチレータパネル4と、ケース2内に収容されたフォトダイオード5と、ケース2に固定されかつフォトダイオード5と電気的に接続されたコネクタ8とから構成されている。
【0034】
以下、図1に基づき上記X線検出器1の各構成要素について説明する。
【0035】
シンチレータパネル4は、蓋体3を透過してケース2外部から該ケース2内に入射するX線を蛍光に波長変換する蛍光体層42と、この蛍光体層42に隣接して配置されており該蛍光体層42を支持する合成石英製の支持基板44とを少なくとも有して構成されている。そしてシンチレータパネル4は、蛍光体層42の側を蓋体3の側に向けて配置されている。
【0036】
シンチレータパネル4の支持基板44は、先に述べたように合成石英製の基板であり、X線の照射により着色する不純物を含まない基板であることが好ましい。例えば、溶融石英は上記のような不純物が含まれており、然もその含有量が一定でないので好ましくない。
【0037】
シンチレータパネル4の蛍光体層42は支持基板44の片側の面に均一に堆積された結晶性のX線蛍光体からなる層である。蛍光体層42により外部X線源(図3のX線発生装置94参照)より入射するX線L1が波長変換され十分な感度を有する蛍光となり、これがフォトダイオード5内の光電変換部51に照射される。
【0038】
蛍光体層42を構成するX線蛍光体としては、X線L1を蛍光に波長変換できるものであれば特に限定されず、使用する光電変換部51に応じて最適の蛍光体が適宜選択されるが、特に、入射するX線による劣化がほとんど無く、発光量の温度に対する依存性が小さい(約−1.0%/10℃,なお、この値は20℃における発光量を基準とし温度を変化させた場合の発光量の変化率を百分率で表示した値を示す。)という利点を有することから、TbをドープしたGd2O2S蛍光体(以下、「GOS」という)が好ましい。なお、TbはGd2O2SにX線蛍光体としての機能を発現させるために必要な付活剤である。
【0039】
通常、X線管などのX線源のX線出射窓付近の温度は、X線出射開始から約2時間経過すると約70℃となるので、X線検出器1をX線源付近に配置する際にはX線検出器1の温度は、室温以上(例えば30℃以上)に上昇することが予想されるが、上記のGOSを使用することにより、このような作動環境の温度変化が大きな場合でも波長変換特性の低下が充分に防止された蛍光体層42を形成することができる。また、GOS以外の蛍光体としては、GdSiO(以下、「GSO」という)が挙げられる。
【0040】
ここで、X線発生装置と、X線画像検出器と、X線発生装置とX線画像検出器との間に被検査物を配置する検査システム(例えば、図3を用いて説明する後述の検査システム1B)において、X線検出器1を、X線発生装置と被検査物との間又は被検査物とX線画像検出器との間に配置して用いる場合、X線発生装置から出力されるX線のX線量率の変動量をより正確に把握し、かつ、X線画像検出器の検出感度の変動量をより正確に把握する観点から、X線検出器1のX線分光感度とX線画像検出器のX線分光感度とをほぼ等しくすること(X線検出器1の信号強度変化率とX線画像検出器の信号強度変化率とをほぼ等しくすること)が有効であり、具体的には、蛍光体層42の厚さを以下の範囲に調節するか又は蛍光体層42の単位面積当りの質量W1を以下のように調節することが好ましいことを本発明者らは見出した。なお、この場合、X線画像検出器にも、蛍光体層42と同様の蛍光体層(以下、便宜上、「蛍光体層X」という)と、この蛍光体層Xから出射される蛍光からなる像を光電変換する光電変換手段)とを有しているものとする。
【0041】
なお、本発明においては、X線画像検出器には蛍光体を使用したものだけでなく、半導体を用いたものも使用されていてもよい。以下に記載するX線画像検出器の説明においては蛍光体層を使用した構成のものについて説明するが、蛍光体層のみならず蛍光体層を半導体層に置き換えた構成を有する場合にもあてはまるものである。
【0042】
実用上では、X線検出器1の分光感度とX線画像検出器の分光感度とをほぼ等しくするために、蛍光体層42の層厚はX線画像検出器における蛍光体層Xの厚さと同程度の厚さの蛍光体層が使われているが、特に30〜300μmであることが好ましいことを本発明者らは見出した。蛍光体層42の層厚が30μm未満であると、X線による発光量が低くなる傾向が大きくなる。また、蛍光体層42の層厚が300μmを超えると特にX線が低エネルギーの場合に、光の伝達効率が低下し、信号強度が低くなる傾向が大きくなる。
【0043】
また、X線のエネルギー別吸収率は物質の原子番号と密度の積に比例することがわかっており、X線検出器1の分光感度とX線画像検出器の分光感度とをほぼ等しくするために、X線検出器1における蛍光体層42の単位面積当りの質量W1と、X線画像検出器における蛍光体層Xの単位面積当りの質量W2との比(W1/W2)が0.3〜3.0であることが好ましい。
【0044】
比(W1/W2)が0.3未満であると、X線検出器1における、高X線エネルギー領域の感度が、X線画像検出器に比べて低くなるため、X線画像検出器のX線分光感度と、X線検出器1の分光感度が大きく食い違ってくる傾向が大きくなる。また、比(W1/W2)が3.0を超えると、X線検出器1における、高X線エネルギー領域の感度が、X線画像検出器に比べて高くなるため、X線画像検出器のX線分光感度と、X線検出器1の分光感度が大きく食い違ってくる傾向が大きくなる。
【0045】
更に、良好な画像を長期に渡り得る観点から、X線検出器1における蛍光体層42を構成する蛍光体がTbをドープしたGd2O2Sである場合には、該Gd2O2Sの平均粒子径R1と、X線画像検出器における蛍光体層Xを構成する蛍光体粒子の短径の平均粒子径R2との比(R1/R2)が0.5〜4.0であることが好ましい。
【0046】
ここで、比(R1/R2)が0.5未満であると、X線検出器1における、高X線エネルギー領域の感度が、X線画像検出器に比べて低くなるため、X線画像検出器のX線分光感度と、X線検出器1の分光感度が大きく食い違ってくる傾向が大きくなる。また、比(R1/R2)が4.0を超えると、X線検出器1における、高X線エネルギー領域の感度が、X線画像検出器に比べて高くなるため、X線画像検出器のX線分光感度と、X線検出器1の分光感度が大きく食い違ってくる傾向が大きくなる。
【0047】
このシンチレータパネル4の製造は特に限定されず公知のシンチレータパネルの製造技術により製造することができ、例えば、以下の方法により製造することができる。すなわち、先ず、所定の厚さ(例えば、1mm)を有する合成石英製の支持基板44にGOS蛍光体(例えば、日亜化学工業社製,商品名「Gd2O2S:Tb」蛍光体)を、所定の液(例えば、東京応化工業社製,商品名「オーカシール」の水溶液)中に分散させる。
【0048】
次に、得られる分散液と遠心器とを用いて支持基板44の一方の面上に分散液中のGOS蛍光体を沈降堆積させる。ここで、次に、上澄み液を取り除き、更に、支持基板44の面上の堆積物を乾燥させることにより、支持基板44の面上に蛍光体層42を形成することができる。
【0049】
フォトダイオード5は、X線L1の入射方向からみてケース2内のシンチレータパネル4よりも奥の位置に収容されており、シンチレータパネル4から出射される蛍光を光電変換して蛍光体層42に照射されたX線のX線量率を反映した電気信号を出力する。
【0050】
このフォトダイオード5は、開口部H5を有する略直方体の有底ケース58(第2の有底ケース)と、上記開口部H5を塞ぐ合成石英製の平板状蓋体59(第2の平板状蓋体)と、ケース58内に収容された光電変換部51とから構成されている。
【0051】
フォトダイオード5の蓋体59は、先に述べたシンチレータパネル4の支持基板44と同様の合成石英製の平板である。この蓋体59もシンチレータパネル4の支持基板44と同様の観点からX線の照射により着色する不純物を含まない基板であることが好ましい。
【0052】
ケース58は、光電変換部51を後述する配置条件のもとで収容しかつ固定できる内部空間と、光電変換部51の受光面F51にシンチレータパネル4から出射される蛍光を垂直入射させるための開口部H5とを有するものである。ケース58の構成材料は絶縁性材料であれば特に限定されないが、耐熱性及び機械的強度に優れた材料であることが好ましく、このような材料としては、例えば、セラミクス材料が挙げられる。
【0053】
また、蓋体59は、ケース58の開口部H5において接着剤からなる層B2を用いてケース58に接着され、空気等の外部流体のケース58内への流入を遮断するように開口部H5を塞ぐ。
【0054】
蓋体59はケース2の底面パネル28に平行となるように配置され、蓋体3の上面の略法線方向からX線が照射される。
【0055】
光電変換部51は、pn接合(pn接合面)を有するPNフォトダイオード(例えば、Siフォトダイオード)の構造を有している。すなわち、ケース58の底部の面F56上に配置されるn型半導体層56と、n型半導体層56上に配置されるp型半導体層54と、p型半導体層54上に配置される絶縁膜52と、前記n型半導体層56に電気的に接続される電極(図示せず)と、p型半導体層54に電気的に接続される電極(図示せず)とから構成されている。
【0056】
なお、図1に示す光電変換部51の場合には、n型半導体層56はケース58と同様の開口部を有する断面コの字形の形状を有しており、その内部にp型半導体層54が形成されている。そのため、p型半導体層54の周縁部は蛍光体層42に対するX線L1の入射方向に略平行となるように鍔状に延びたn型半導体層56の縁部により覆われている。また、絶縁膜52は、p型半導体層54の上面とこの鍔状に延びたn型半導体層56の縁部を覆っている。この絶縁膜52の上面(X線L1の入射側の面)が光電変換部51の受光面F51となる。
【0057】
そして、図1に示す光電変換部51の場合、n型半導体層56とp型半導体層54とは、これらの接合面(pn接合面)の法線方向が蛍光体層42に対するX線L1の入射方向に略平行となるように形成されている。
【0058】
更に、このX線検出器1の場合、シンチレータパネル4及びフォトダイオード5のケース2内における配置条件を以下のようにすることにより、長期にわたるX線の照射による検出感度低下の防止が図られており、ケース2内に入射するX線量の相対値を正確に測定することができる。
【0059】
すなわち、支持基板44の下面F44の法線方向、及び、光電変換部51の受光面F51の法線方向が、蛍光体層42に対するX線L1の入射方向に対してそれぞれ略平行となり、かつ、支持基板の蓋体59側に向く下面F44と蓋体59の支持基板44側に向く上面F59との間に、該上面F59と該下面F44との接触を防止する所定の間隔を設けるための空間が画成されるように、ケース2内にそれぞれ位置決めされて配置されている。
【0060】
ここで、間隔は、シンチレータパネル4の支持基板44の第2の蓋体59側に向く下面F44とフォトダイオード5の光電変換部51の受光面F51との距離が100〜5000μmとなるように調節されていることが好ましい。下面F44と受光面F51との距離が100μm未満となると、蛍光体層42から出射される蛍光の干渉縞が形成され、この干渉縞が長期使用中に振動などによりずれて、フォトダイオード5への蛍光の入射光量が変動してしまう傾向が大きくなる。また、5000μmより大きくなると、フォトダイオード5への蛍光の入射光量が少なくなり、またX線検出器1のコンパクト化の妨げともなる。
【0061】
ケース2は略直方体の形状を有し、底面パネル28と、底面パネル28の外縁部に底面パネル28に垂直となるように接続された側面パネル26とから構成されている。そして、ケース2の開口部H2はケース2の底面パネル28に対向する上面に相当する部分に形成されている。また、ケース2には、シンチレータパネル4とフォトダイオード5とが上記の配置条件をそれぞれ満たして配置されるための、シンチレータパネル4用の位置決め部22と、フォトダイオード5用の位置決め部24とが側面パネル26の内壁面にそれぞれ形成されている。これら位置決め部22及び位置決め部24はそれぞれ側面パネル26の内壁面の法線方向にのびる突起部分である。
【0062】
側面パネル26の内壁面から突出する位置決め部22には、底面パネル28の内壁面に平行な面が後述の蓋体3の側を向くように形成されており、この面にシンチレータパネル4が載置される。その際、位置決め部22の上記の面とシンチレータパネル4の支持基板44の下面F44の外縁部(被検査物の検査に必要なX線の波長変換に寄与しない領域部分)とが接着剤からなる層B1で接着される。この接着剤からなる層B1に使用される接着剤としては、蛍光体層42中にしみ込まないものであれば特に限定されない。このような接着剤としては、例えば、シリコーン樹脂KE45B(商品名,信越化学工業社製)が挙げられる。
【0063】
また、側面パネル26の内壁面から突出する位置決め部24には、底面パネル28の内壁面に平行な面が該内壁面の側を向くように形成されており、この面を利用してフォトダイオード5がケース2に固定される。その際、位置決め部24の上記の面とフォトダイオード5のケース58の開口部H5の外縁部分の上面(底面パネル28の内壁面に平行な面)とが接着剤からなる層B3で接着される。この接着剤からなる層B3に使用される接着剤としては、蛍光体層42中にしみ込まないものであれば特に限定されない。このような接着剤としては、例えば、シリコーン樹脂KE45B(商品名,信越化学工業社製)のような着色樹脂でもよくその他の透明樹脂でもよい。
【0064】
また、ケース2の構成材料は、導電性材料であれば特に限定されないが、軽量で、耐熱性及び機械的強度に優れた材料であることが好ましく、このような材料としては、例えば、アルミニウムが挙げられる。ケース2は例えば、アルミニウムブロックを、切削加工することにより製造することができる。
【0065】
蓋体3は、ケース2の開口部H2を塞ぐ部材であり、ケース2内のシンチレータパネル4を保護するための電磁シールド、物理シールド(外部からケース2内への異物の混入等を防ぐシールド)、光学シールド及び外気シールド(外部からケース2内への湿気の混入を防ぐシールド)として機能する。そのため、蓋体3の構成材料は、アルミニウム、カーボン、ベリリウム等の硬質材料が検出するべきX線のエネルギーにあわせて適宜好ましく選択される。また、蓋体3は、ケース2の開口部H2の外縁部分の上面(底面パネル28の内壁面に平行な面)とが接着剤からなる層B4を用いてケース2に接着され、空気等の外部流体の流入を遮断するように開口部H2を塞ぐ。
【0066】
そして、蓋体3はケース2の底面パネル28に平行となるように配置され、蓋体3の上面の略法線方向からX線が照射される。接着剤からなる層B4に使用される接着剤としては、例えば、シリコーン樹脂KE45B(商品名,信越化学工業社製)が挙げられる。
【0067】
また、蓋体3、シンチレータパネル4及びケース2により画成される空間内の相対湿度は、蛍光体層42の良好なX線波長変換機能を保持するために50%以下、好ましくは0%に調節される。更に、この空間内を占める流体としては、上記の相対湿度の条件を満たしており、かつ、X線の照射により蓋体3、シンチレータパネル4及びケース2の構成材料と反応するような化学種を発生させない流体であれば特に限定されず、例えば、空気であってもよく窒素であってもよい。
【0068】
更に、フォトダイオード5、シンチレータパネル4及びケース2により画成される空間、フォトダイオード5及びケース2の底面パネル28の側の領域により画成される空間、及び、フォトダイオード5内に画成される空間内をそれぞれ占める流体も、上記蓋体3、シンチレータパネル4及びケース2により画成される空間と同様に、先に述べた相対湿度の条件を満たしており、かつ、X線の照射により蓋体3、シンチレータパネル4及びケース2の構成材料と反応するような化学種を発生させない流体であることが好ましい。例えば、空気であってもよく窒素であってもよい。
【0069】
図1に示すコネクタ8は、ケース2の底部に設けられた貫通口H22に嵌め込まれて固定されている。そして、コネクタ8には導電性のワイヤ82及びワイヤ84のそれぞれの一端が電気的に接続されており、ワイヤ82の他端はフォトダイオード5のn型半導体層56に接続された電極(図示せず)に電気的に接続されており、ワイヤ84の他端はフォトダイオード5のp型半導体層54に接続された電極(図示せず)に電気的に接続されている。このコネクタ8により、フォトダイオード5の光電変換部51から出力される電気信号はケース2の外部に出力される。
【0070】
このコネクタ8は光電変換部51から出力される電気信号をケース2の外部に出力できるものであれば特に限定されないが、外来ノイズのシールドの観点から、BNCコネクタやトライアキシャルコネクタ等が好ましい。
【0071】
次に、本発明のX線検出器の第二実施形態について説明する。図2は本発明のX線検出器の第二実施形態の基本構成を示す模式的断面図である。
【0072】
図2に示すX線検出器1Aは、主として、開口部H2を有する略直方体の有底ケース2(第1の有底ケース)と、上記開口部H2を塞ぐX線透過性の平板状蓋体3(第1の平板状蓋体)と、ケース2内に収容された蛍光体層42及びフォトダイオード5と、ケース2に固定されかつフォトダイオード5と電気的に接続されたコネクタ8とから構成されている。そして、図2に示すX線検出器1Aは、以下に説明する部分以外の構成条件は、図1に示したX線検出器1と同様の構成を有する。
【0073】
すなわち、図2に示すX線検出器1Aは、図1に示したX線検出器1に比較して、X線検出器1におけるシンチレータパネル4を設けず、蛍光体層42をX線検出器1の場合のフォトダイオード5の蓋体59(第2の平板状蓋体)の蓋体3(第1の平板状蓋体)側に向く上面に隣接して配置した構成を有している。これに伴い、図2に示すX線検出器1AはX線検出器1におけるケース2の位置決め部22を設けず、位置決め部24のみを設けた構成を有する。そして、X線検出器1Aのケース2の側面パネル26の内壁面から突出するこの位置決め部24に、底面パネル28の内壁面に平行な面が蓋体3の側を向くように形成されており、この面にフォトダイオード5が載置される。
【0074】
図2に示すX線検出器1Aの場合にも、蓋体59のフォトダイオード側を向く下面F59aとフォトダイオード5の光電変換部51の受光面F51との距離が100μm以上5000μm以下となるように調節されていることが好ましい。
【0075】
更に、図2に示すX線検出器1Aの場合にも図1に示したX線検出器1と同様の観点から、X線発生装置と、X線画像検出器と、X線発生装置とX線画像検出器との間に被検査物を配置する検査システム(例えば、図3を用いて説明する後述の検査システム1B)において、X線検出器1Aを、X線発生装置と被検査物との間又は被検査物とX線画像検出器との間に配置して用いる場合には、蛍光体層42の層厚は30〜300μmであることが好ましい。また、この場合、X線検出器1Aにおける蛍光体層42の単位面積当りの質量W1と、X線画像検出器における蛍光体層Xの単位面積当りの質量W2との比(W1/W2)が0.3〜3.0であることが好ましい。
【0076】
更に、図2に示すX線検出器1Aの場合にも、図1に示したX線検出器1と同様の観点から、X線検出器1Aにおける蛍光体層42を構成する蛍光体がTbをドープしたGd2O2Sである場合には、該Gd2O2Sの平均粒子径R1と、X線画像検出器における蛍光体層Xを構成する蛍光体粒子の短径の平均粒子径R2との比(R1/R2)が0.5〜4.0であることが好ましい。
【0077】
次に、本発明の検査システムの好適な一実施形態について説明する。図3は、図1又は図2に示したX線検出器を用いた本発明の検査システムの好適な一実施形態の基本構成を示す説明図である。
【0078】
図3に示す検査システム1Bは、X線を被検査物93に照射し、被検査物93を透過するX線を検出することにより被検査物の93内部状態を検査する検査システムである。この図3に示す検査システム1Bは、主として、X線を発生させ被検査物93に向けて出射するX線発生装置94と、X線の出射方向であって被検査物93を挟んでX線発生装置と対向する位置に配置され、被検査物93を透過するX線を検出することにより被検査物の検査すべき内部状態を反映したX線の全体像を撮像可能にするX線画像検出器96と、X線の出射方向であって被検査物93とX線画像検出器96との間に配置され、X線発生装置94から出射されたX線の一部を取得し、そのX線量率を測定するためのX線検出器1(又はX線検出器1A)とから構成されている。
【0079】
更に、図3に示す検査システム1Bには、X線画像検出器96から得られる画像を処理する画像処理装置97と、X線検出器1(又はX線検出器1A)から得られるX線発生装置94から出射されたX線のX線量率に関するデータに基づいてX線発生装置94の作動制御を行うX線コントローラ91と、X線コントローラ91とX線検出器1(又はX線検出器1A)との間に配置される電流電圧変換器95と、X線コントローラ91と画像処理装置97を制御する中央制御装置92と、X線画像検出器96から得られる画像を表示するモニタ98が備えられている。
【0080】
また、図3に示す検査システム1Bの場合、ベルトコンベア99上に複数の被検査物93が一定間隔で配置されている。そして、ベルトコンベア99を作動させることにより、複数の被検査物93は、順々にX線発生装置94から出射されたX線の照射を受けて、それぞれの検査すべき内部情報についての検査を受けることになる。
【0081】
被検査物93としては、例えば、ICなどの電子デバイス、アルミダイキャストのほか、金属、ゴム、プラスチック、セラミックスなどからなる各種の製品・部品などが対象となる。
【0082】
X線発生装置94は、X線を出射する装置であって、筐体中にX線を出射するX線管(図示せず)、駆動回路(図示せず)などの構成部品が収容されている。このX線管は、X線を発生させるものであり、電子銃部(図示せず)とX線発生部(図示せず)を備えている。X線管3のX線発生部は、電子銃部からの電子を受けてX線を発生させ出射するためのものである。電子銃部は、電子を発生させX線発生部に向けて放出するものであり、その内部には、外部からの電力供給により発熱するヒータ(図示せず)、ヒータにより熱せられ電子を放出するカソード(図示せず)、カソードから放出された電子を集束させるフォーカスグリッド電極(図示せず)がそれぞれ設けられている。また、X線発生部の内部には、ターゲット(図示せず)が設置されている。ターゲットは、電子銃部からの電子を先端面で受けてX線を発生させるものである。
【0083】
図3に示すように、このX線発生装置94には、X線コントローラ91が接続されている。X線コントローラ91はX線発生装置94の作動制御を行うものである。また、このX線コントローラ91には、中央制御装置92が接続されている。
【0084】
この中央制御装置92は、検査システム1Bの全体の制御を行うものである。この中央制御装置92は、CPU、ROM、及び、RAM(何れも図示せず)を有する。CPUは、マイクロプロセッサ等からなり、各種演算処理を行う。また、ROMには、制御・演算処理のためのプログラム(X線発生装置94から出射されるX線のX線量率を計算するプログラム、X線発生装置94から出射されるX線のX線量率が使用中に変動した場合にX線検出器1から得られるX線のX線量率のデータに基づいて変動量を正確に把握して変動量を考慮したデータ補正をするためのプログラム、及び、X線画像検出器96から出力される電気信号強度が変動した場合に、その変動量を正確に把握して変動量を考慮したデータ補正をするためのプログラムなど)が予め記憶されており、RAMは、制御・演算処理の際に各種データを読み書きするために用いられる。
【0085】
また、中央制御装置92は、例えば、CPUと接続された入出力ポート(図示せず)を有する。この入出力ポートには、X線コントローラ91、画像処理装置97、モニタが接続され、X線検出器1(又はX線検出器1A)が電流電圧変換器95を介して接続されている。従って、X線コントローラ91、画像処理装置97、モニタ98には、入出力ポートを介して、CPUの演算処理によって生成された各種信号等が与えられる。
【0086】
また、中央制御装置92は記憶装置(図示せず)を有し、この記憶装置は、入出力ポートを介してCPUと接続されている。そして、CPUは、この記憶装置にアクセスし、記憶装置に格納されたX線検出器1(又はX線検出器1A)から得られるX線発生装置94から出射されたX線のX線量率に関するデータに基づいて画像補正するのためのデータを必要に応じて用いることによりX線コントローラ91、画像処理装置97の作動を制御する。
【0087】
X線検出器1(又はX線検出器1A)を用いることにより、長期にわたりX線の照射を受けても検出器の感度の低下が充分に防止されるので、X線源から出射されるX線のX線量率の変動量(例えば、良好な画像が得られる条件に最適化した初期値からの変動量)を正確に計測することができる。そして、これによりX線画像検出器96の検出感度(出力される電気信号強度)の変動量も正確に計測できる。
【0088】
そのため、実験や理論計算などにより、1)X線発生装置94から出射されるX線のX線量率の変動した場合、2)X線画像検出器96の検出感度(出力される電気信号強度)が変動した場合、及び3)上記1)と2)が同時に起こる場合の画像補正するのためのデータを予め測定して記憶装置に格納しておき、更に、そのデータに基づいて画像補正するためのプログラム(例えば、X線発生装置94から出力されるX線のX線量率を変化させる補正プログラム、X線画像検出器96から出力される電気信号強度のゲインを変化させる補正プログラム等)を作成してROMに格納しておけば、長期にわたりX線を照射して使用しつづけても被検査物を正確に検査することができる。
【0089】
X線画像検出器96は、X線の出射方向の被検査物93を挟んでX線発生装置と対向する位置に設置されており、イメージインテンシファイア管、半導体などを内蔵しX線を検出するものである。そして、X線画像検出器96に接続された画像処理装置97により被検査物93の拡大透視画像が形成される。画像処理装置97は中央制御装置92に接続されており、被検査物93の拡大透視画像のデータを中央制御装置92に伝送する。そして、中央制御装置92は信号をモニタ98に伝送し、モニタ98はこの信号に基づき被検査物93の拡大透視画像を表示する。
【0090】
この検査システム1Bにおいて、ベルトコンベア99を作動させることにより被検査物93をX線出射位置の前方にセットし、X線発生装置94からX線を出射すると、そのX線は、被検査物93に照射され、被検査物93を透過してX線画像検出器96に入射される。X線は、X線画像検出器96により検出され電気的な信号に変換される。そして、その信号は、画像処理装置97に入力され、被検査物93の拡大透視画像のデータに演算される。拡大透視画像のデータは、中央制御装置92を介してモニタ98に伝送され、その拡大透視画像のデータに基づいてモニタ98に被検査物93の拡大透視画像が表示される。このため、被検査物93の拡大透視画像を見ることにより、被検査物93の検査すべき内部構造などを確認することができる。
【0091】
このとき、中央制御装置92には、X線検出器1(又はX線検出器1A)からX線発生装置94から出射されたX線のX線量率に関するデータが送信されており、X線発生装置94から出射されたX線のX線量率が基準値(例えば、良好な画像が得られる条件に最適化した初期値など)に対して変動している場合、X線画像検出器96の検出感度(出力される電気信号強度)が基準値(例えば、良好な画像が得られる条件に最適化した初期値など)に対して変動している場合、及び上記の2つの変動が同時に起きている場合には、中央制御装置92により適切なデータ補正が行われる。
【0092】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0093】
例えば、上述した実施形態の説明においては何れの場合にもフォトダイオード5の光電変換部51がpn接合(pn接合面)を有するPNフォトダイオードの構造を有している場合について説明したが、本発明のX線検出器に係るを構成するフォトダイオードの光電変換部の構成は、蛍光を受光する受光面を有し、かつ、n型半導体層と、p型半導体層と、n型半導体層に電気的に接続される電極と、p型半導体層に電気的に接続される電極とを少なくとも有していれば特に限定されるものではなく、例えば、いわゆるpin接合(pi接合面及びni接合面)を有するPINフォトダイオードの構造、或いは、いわゆるアバランシェフォトダイオードの構造を有する光電変換部であってもよい。
【0094】
例えば、上述した実施形態の説明においては何れの場合にもX線画像検出器の説明においては蛍光体層を使用した構成のものについて説明したが、本発明においては、X線画像検出器には蛍光体を使用したものだけでなく、半導体を用いた構成を有するものも使用されていてもよい。
【0095】
この場合、X線画像検出器は、被検査物を透過するX線からなる像を電子分布からなる像に光電変換する膜状半導体層と、電子分布からなる像を構成する電子の電荷を読み出す操作回路を少なくとも有する構成を有している。そして、更にこの場合には、「X線検出器」における蛍光体層の単位面積当りの質量W1と、「X線画像検出器」における半導体層の単位面積当りの質量W3との比(W1/W3)が0.3〜3.0であることが好ましい。
【0096】
上記の比(W1/W3)が0.3未満であると、X線検出器における、高X線エネルギー領域の感度が、X線画像検出器に比べて低くなるため、X線画像検出器のX線分光感度と、X線検出器の分光感度が大きく食い違ってくる傾向が大きくなる。また、比(W1/W3)が3.0を超えると、X線検出器における、高X線エネルギー領域の感度が、X線画像検出器に比べて高くなるため、X線画像検出器のX線分光感度と、X線検出器の分光感度が大きく食い違ってくる傾向が大きくなる。
【0097】
【発明の効果】
本発明のX線検出器は、長期にわたりX線を照射されても検出器の感度の低下を充分に防止することができる構成を有しているので、使用中にX線源から出射されるX線のX線量率が変動する場合であっても該X線量率を正確に測定することができる。また、本発明の検査システムは、上記本発明のX線検出器を備えているので、長期にわたる使用によりX線発生装置から出力されるX線のX線量率と、X線画像検出器の検出感度(出力される電気信号強度)が共に変動する場合であっても、被検査物の検査すべき内部状態の情報を正確に得ることがきる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のX線検出器の第一実施形態の基本構成を示す模式的断面図である。
【図2】本発明のX線検出器の第二実施形態の基本構成を示す模式的断面図である。
【図3】図1又は図2に示したX線検出器を用いた本発明の検査システムの好適な一実施形態の基本構成を示す説明図である。
【図4】従来のX線検出器を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
1,1A…X線検出器、2・・・有底ケース、3・・・平板状蓋体、4・・・シンチレータパネル、5・・・フォトダイオード、8・・・コネクタ、22,24・・・位置決め部、26・・・側面パネル、28・・・底面パネル、42・・・蛍光体層、44・・・支持基板、51・・・光電変換部、52・・・絶縁膜、54・・・p型半導体層、56・・・n型半導体層、58・・・有底ケース、59・・・平板状蓋体、82・・・ワイヤ、84・・・ワイヤ、91・・・X線コントローラ、92・・・中央制御装置、93・・・被検査物、94・・・X線発生装置、95・・・電流電圧変換器、96・・・X線画像検出器、97・・・画像処理装置、98・・・モニタ、99・・・ベルトコンベア、B1,B2,B3、B4・・・接着剤からなる層、F42・・・接触面、F44・・・支持基板44の第2の蓋体59側に向く下面、F51・・・受光面、F59a・・・蓋体59のフォトダイオード側を向く下面、H2・・・開口部、H22・・・貫通口、H5・・・開口部、L1・・・X線。
【発明の属する技術分野】
本発明はX線源から出射されるX線のX線量率を測定するためのX線検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
被検査物に対してX線管を備えたX線発生装置から出射させたX線を照射させ、この被検査物を透過してくるX線のX線量率を測定するための検査システムに使用されるX線検出器(X線量率モニタ)として、低エネルギー領域のX線量率を測定するためのサーベーメーター等の検出器(例えば、医療分野における用途や放射線漏れ検出を必要とする分野における用途等の検出器)が従来から知られている。
【0003】
また、例えば、工業製品(被検査物)の製造過程における非破壊検査(例えば、インライン検査等)を必要とする分野におけるX線量率を測定するためのX線検出器としては、図4に示す構造を有するシンチレータパネルとシリコンフォトダイオードを備えたタイプのX線検出器(例えば、特開平9−54162号公報に記載のX線検出器)が従来から知られている。このようなX線検出器は、例えば、X線断層撮影等のX線透過率を測定してフィルム等の製品の厚さを測定するために使用されている。
【0004】
すなわち、図4に示すX線検出器100は、開口部H200を有する略直方体の有底ケース200と、この開口部H200を塞ぐX線透過性の平板状蓋体300と、ケース200内に収容されており平板状蓋体300を透過して外部からケース200内に入射するX線L1000を蛍光に波長変換するシンチレータパネル400と、ケース200内に収容されておりシンチレータパネル400から出射される蛍光を光電変換し電気信号を出力するフォトダイオード500とを有し、シンチレータパネル400とフォトダイオード500とは、シンチレータパネル400の受光面F400の反対側の裏面とフォトダイオード500の受光面F500との間に合成樹脂製の接着剤からなる層900を配置することにより、互いに接着されている。
【0005】
シンチレータパネル400は、X線透過性の基板(図示せず)と、この基板(図示せず)の一方の面上に隣接して配置される蛍光体層(図示せず)とを有する構成のものが知られている。
【0006】
なお、フォトダイオード500は、例えば、n型半導体層560と、p型半導体層540と、n型半導体層560に電気的に接続される電極(図示せず)と、p型半導体層に電気的に接続される電極(図示せず)と、を少なくとも有する光電変換部(例えば、PNフォトダイオード、PINフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード等の構造を有する)と、この光電変換部500を収容するための開口部を有する略直方体のケース580とからなる。
【0007】
そして、フォトダイオード500は、上記の各電極がそれぞれワイヤ820及び840によりケース200に固定されたコネクタ800に電気的に接続されており、フォトダイオード500から出力される電気信号はケース200外部に出力される。
【0008】
更に、上記と同じ分野で工業製品に対する信頼性をさらに向上させるため、製品(被検査物)を透過してくるX線に基づく画像を取得し、製品の内部構造の情報を観察できるX線画像検出器が従来から知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のX線検出器を使用する検査システムは長期にわたり使用するにつれてX線発生装置から発生するX線のX線量率が変動するという問題があった。特に、X線発生装置から発生するX線のうち低エネルギー領域(例えば、30eV未満)のX線のX線量率が低下してしまう問題があった。
【0010】
X線発生装置から発生するX線のX線量率が変動すること自体を防止できなくても、X線検出器によりX線発生装置からのX線のX線量率の変動量を正確に測定することができれば、その変動量に基づいてX線管の出力を調節することやX線検出器により検出されるX線量率のデータを補正することにより問題を解決することができる可能性があるが、上記従来のX線検出器の場合には、長期にわたり使用されると照射されるX線の影響によりX線検出器自体の感度も同時に低下してしまい、正確な被検査物の検査ができなくなることを本発明者らは見出した。
【0011】
すなわち、図4に示した構造を有するX線検出器は、シンチレータ400で波長変換されずに透過してくるX線の影響によりシンチレータ400とフォトダイオード500とを接着している接着剤からなる層900が徐々に変色(着色)し、シンチレータ400から出射される蛍光の一部がこの接着剤からなる層900中で吸収されるためX線量率を正確に測定できなくなることを本発明者らは見出した。
【0012】
また、先に述べた製品(被検査物)を透過してくるX線画像を取得するX線エリアセンサ(X線画像検出器)を使用する検査システムの場合、X線発生装置から発生するX線のX線量率の変動と、X線画像検出器の検出感度(出力される電気信号強度)の変動(低下)が同時に起こるという問題があった。
【0013】
この場合、例えば、小型化の容易な図4に示した構造を有するX線検出器を被検査物とX線エリアセンサとの間に更に配置させてX線発生装置からのX線のX線量率の変動量を測定することにより、X線量率の変動量とX線エリアセンサの感度の変動量(低下量)とをそれぞれ分離して補正し、正確な被検査物の検査を試みることができる可能性がある。しかし、この場合にも、先に述べた接着剤の着色の影響により図4に示した従来のX線検出器自体の検出感度が低下するためX線量率の変動量とX線エリアセンサの感度低下量とを正確に分離して把握することができず、正確な被検査物の検査を行うには未だ不充分であることを本発明者らは見出した。
【0014】
更に、後述するように本発明者らの検討結果によれば、上述したX線画像検出器を用いた検査システムにX線のX線量率を測定するためのX線検出器を更に別途備える場合、X線発生装置から出射されるX線のX線量率を反映した強度の変動量をより正確に測定する観点からはシンチレータの厚さを従来の厚さ(例えば、3mm〜1cm)よりも薄くすること(例えば、数百μm程度にすること)が有効であるが、この場合、シンチレータに吸収されずにこれを透過するX線量が多くなることになるため、上記従来の図4に示した構造を有するX線検出器を使用すると上述した接着剤からなる層900の着色による問題がより顕著に起こることになる。
【0015】
本発明は以上の問題を鑑みてなされたものであり、長期にわたりX線を照射されても検出器の感度の低下を充分に防止することができる構成を有しており、X線源から出射されるX線のX線量率が変動しても該X線量率を反映した強度を正確に測定することができるX線検出器及びこれを備えた検査システムを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、開口部を有する第1の有底ケースと、
第1の有底ケースの開口部を塞ぐX線透過性の第1の平板状蓋体と、
第1の有底ケース内に収容されており、第1の平板状蓋体を透過して第1の有底ケース外部から該ケース内に入射するX線を蛍光に波長変換する蛍光体層と、蛍光体層に隣接して配置されており蛍光体層を支持する合成石英製の支持基板とを少なくとも有し、かつ、蛍光体層の側を第1の平板状蓋体の側に向けて配置されるシンチレータパネルと、
第1の有底ケース内に収容されており、シンチレータパネルから出射される蛍光を光電変換して蛍光体層に照射されたX線のX線量率を反映した電気信号を出力するフォトダイオードと、
を少なくとも有しており、
フォトダイオードは、
開口部を有する第2の有底ケースと、
第2の有底ケースの開口部を塞ぐ合成石英製の第2の平板状蓋体と、
第2の有底ケース内に収容されており、蛍光を受光する受光面を有し、かつ、n型半導体層と、p型半導体層と、n型半導体層に電気的に接続される電極と、p型半導体層に電気的に接続される電極と、を少なくとも有する光電変換部と、を少なくとも有しており、
シンチレータパネル及びフォトダイオードは、支持基板の第2の平板状蓋体側に向く下面と第2の平板状蓋体の支持基板側に向く上面との間に、該上面と該下面との接触を防止する所定の間隔を設けるための空間が画成されるように、第1のケース内にそれぞれ位置決めされて配置されていること、
を特徴とするX線検出器を提供する。
【0017】
本発明のX線検出器は、上記のようにシンチレータパネルとフォトダイオードとの間に両者の接触を防止する空間が画成されているので、X線量率を測定するうえで先に述べた従来のX線検出器ような接着剤の変色(着色)の影響が無くなる。そのため、本発明のX線検出器は、長期にわたりX線を照射されても検出器の感度の低下を充分に防止することができる。
【0018】
なお、上記の空間は、シンチレータパネルの外縁部と第1の有底ケースの底面パネルに垂直な側面パネルの内壁面とを接着剤或いはその他の接着加工を用いて接続し、さらに、フォトダイオードの外縁部と第1の有底ケースの底面に直交する側面パネルの内壁面とを接着剤或いはその他の接着加工により接続することにより容易に画成することができる。
【0019】
例えば上記のようにシンチレータパネルとフォトダイオードとの間の空間を画成する際に接着剤を使用しても、接着剤を波長変換に寄与しないシンチレータパネルの外縁部及び光電変換に寄与しないフォトダイオードの外縁部のみに使用すればX線線量率の計測に対する接着剤の変色(着色)の影響を容易に防止することができる。また、第1のケース内におけるシンチレータパネルとフォトダイオードとの位置決めのために、接着剤のみの固定を行うだけでなく、例えば、該内壁面の法線方向にのびる突起部分等の位置決め部材をシンチレータパネル及びフォトダイオード毎に設けて、これらにそれぞれの外縁部の全部又は一部を接着させて固定してもよい。
【0020】
また、本発明のX線検出器によれば、シンチレータパネル及びフォトダイオードが接触しないように所定の間隔を充分に確保することができ、その結果、特に支持基板と第2の平板状蓋体の密着時に生じる干渉縞が振動などのためにずれることに起因する検出光量の変化のおそれを充分に低減することも容易にできる。
【0021】
このように本発明のX線検出器は長期にわたりX線の照射を受けても検出器の感度の低下が充分に防止されるので、X線を被検査物に照射しこの被検査物を透過するX線を検出することにより被検査物の検査すべき内部状態を検査する検査システムに使用した場合、X線源から出射されるX線のX線量率が使用中に変動しても、その変動量を正確に把握できる。そのため、その変動量を考慮したデータ補正が容易にできるようになり、被検査物の正確な検査ができる。
【0022】
特に、X線発生装置と、X線画像検出器と、X線発生装置とX線画像検出器との間に被検査物を配置する検査システムにおいて、X線発生装置から出力されるX線のX線量率と、X線画像検出器の検出感度(出力される電気信号強度)が共に変動しても、本発明のX線検出器を用いれば、上記の2つの変動量のうちX線発生装置から出力されるX線のX線量率を反映した強度の変動量を正確に把握することができるので、結果的に上記の2つの変動量を容易に分離して把握することができ、X線量率の変動量を考慮したデータ補正を行うと共に、例えば、X線画像検出器から出力される電気信号強度のゲインを変化させる補正を行うことが容易に可能になる。そのため、長期にわたりX線を照射して使用しつづけても被検査物を正確に検査することができる。
【0023】
この場合、本発明のX線検出器はX線発生装置と被検査物との間又は被検査物とX線画像検出器との間に配置すればよい。また、本発明のX線検出器の検出するX線量率は、上記の何れの位置に配置する場合であっても、被検体を透過したX線のものであってもよく、被検体に照射されないX線のものであってもよい。
【0024】
また、本発明は、開口部を有する第1の有底ケースと、
第1の有底ケースの開口部を塞ぐX線透過性の第1の平板状蓋体と、
第1の有底ケース内に収容されており、第1の平板状蓋体を透過して第1の有底ケース外部から該ケース内に入射するX線を蛍光に波長変換する蛍光体層と、
第1の有底ケース内に収容されており、蛍光体層から出射される蛍光を光電変換して蛍光体層に照射されたX線のX線量率を反映した電気信号を出力するフォトダイオードと、
を少なくとも有しており、
フォトダイオードは、
開口部を有する第2の有底ケースと、
第2の有底ケースの開口部を塞ぐ合成石英製の第2の平板状蓋体と、
第2の有底ケース内に収容されており、蛍光を受光する受光面を有し、かつ、n型半導体層と、p型半導体層と、n型半導体層に電気的に接続される電極と、p型半導体層に電気的に接続される電極と、を少なくとも有する光電変換部と、を少なくとも有しており、
蛍光体層は、第2の平板状蓋体の第1の平板状蓋体側に向く上面に隣接して配置されていること、
を特徴とするX線検出器を提供する。
【0025】
上記構成を有するX線検出器の場合も、フォトダイオードの第2の平板状蓋体の上面に蛍光体層が隣接して配置されているので、先に述べたX線検出器と同様に、X線量率を測定するうえで先に述べた従来のX線検出器ような接着剤の変色(着色)の影響が無くなる。そのため、本発明のX線検出器は、長期にわたりX線を照射されても検出器の感度の低下を充分に防止することができる。また、このX線検出器は、上記構成を有するため先に述べたX線検出器よりもコンパクトに構成できる。
【0026】
また、フォトダイオードは、その外縁部と第1の有底ケースの底面に直交する側面パネルの内壁面とを接着剤或いはその他の接着加工により接続することにより第1の有底ケース内に容易に配置することができる。この場合にも第1のケース内におけるフォトダイオードの位置決めのために、例えば、該内平面の法線方向にのびる突起部分等の位置決め部材を設けて、これにフォトダイオードの外縁部の全部又は一部を接着させて固定してもよい。
【0027】
更に、このX線検出器の場合にも、フォトダイオードにおいて、第2の平板状蓋体のフォトダイオード側を向く下面と光電変換部の受光面との距離を充分に確保できるように第2の有底ケースを設計することにより、先に述べた干渉縞の形成による検出光量の変化のおそれを充分に低減することが容易にできる。
【0028】
また、このX線検出器も長期にわたりX線の照射を受けても検出器の感度の低下が充分に防止されるので、X線を被検査物に照射しこの被検査物を透過するX線を検出することにより被検査物の検査すべき内部状態を検査する検査システムに使用した場合、X線源から出射されるX線のX線量率が使用中に変動しても、その変動量を正確に把握できる。そのため、その変動量を考慮したデータ補正が容易にできるようになる。そのため、被検査物の正確な検査ができる。
【0029】
更に、本発明は、X線を被検査物に照射し、被検査物を透過するX線を検出することにより被検査物の検査すべき内部状態を検査する検査システムであって、
X線を発生させ、被検査物に向けて出射するX線発生装置と、
X線の出射方向であって被検査物を挟んでX線発生装置と対向する位置に配置され、被検査物を透過するX線を検出することにより被検査物の検査すべき内部状態を反映したX線の全体像を撮像可能にするX線画像検出器と、
X線の出射方向であってX線発生装置と被検査物との間又は被検査物とX線画像検出器との間に配置され、X線発生装置から出射されたX線の一部を取得し、そのX線量率を測定するためのX線検出器と、
を少なくとも有しており、
X線検出器が先に述べた本発明のX線検出器であること、
を特徴とする検査システムを提供する。
【0030】
本発明の検査システムは、先に述べた本発明のX線検出器の何れかを備えているので、長期にわたる使用によりX線発生装置から出力されるX線のX線量率と、X線画像検出器の検出感度(出力される電気信号強度)が共に変動する場合であっても、被検査物の検査すべき内部状態の情報を正確に得ることがきる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明によるX線像撮像装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0032】
先ず、本発明のX線検出器の第一実施形態について説明する。図1は本発明のX線検出器の第一実施形態の基本構成を示す模式的断面図である。
【0033】
図1に示すX線検出器1は、主として、開口部H2を有する略直方体の有底ケース2(第1の有底ケース)と、上記開口部H2を塞ぐX線透過性の平板状蓋体3(第1の平板状蓋体)と、ケース2内に収容されたシンチレータパネル4と、ケース2内に収容されたフォトダイオード5と、ケース2に固定されかつフォトダイオード5と電気的に接続されたコネクタ8とから構成されている。
【0034】
以下、図1に基づき上記X線検出器1の各構成要素について説明する。
【0035】
シンチレータパネル4は、蓋体3を透過してケース2外部から該ケース2内に入射するX線を蛍光に波長変換する蛍光体層42と、この蛍光体層42に隣接して配置されており該蛍光体層42を支持する合成石英製の支持基板44とを少なくとも有して構成されている。そしてシンチレータパネル4は、蛍光体層42の側を蓋体3の側に向けて配置されている。
【0036】
シンチレータパネル4の支持基板44は、先に述べたように合成石英製の基板であり、X線の照射により着色する不純物を含まない基板であることが好ましい。例えば、溶融石英は上記のような不純物が含まれており、然もその含有量が一定でないので好ましくない。
【0037】
シンチレータパネル4の蛍光体層42は支持基板44の片側の面に均一に堆積された結晶性のX線蛍光体からなる層である。蛍光体層42により外部X線源(図3のX線発生装置94参照)より入射するX線L1が波長変換され十分な感度を有する蛍光となり、これがフォトダイオード5内の光電変換部51に照射される。
【0038】
蛍光体層42を構成するX線蛍光体としては、X線L1を蛍光に波長変換できるものであれば特に限定されず、使用する光電変換部51に応じて最適の蛍光体が適宜選択されるが、特に、入射するX線による劣化がほとんど無く、発光量の温度に対する依存性が小さい(約−1.0%/10℃,なお、この値は20℃における発光量を基準とし温度を変化させた場合の発光量の変化率を百分率で表示した値を示す。)という利点を有することから、TbをドープしたGd2O2S蛍光体(以下、「GOS」という)が好ましい。なお、TbはGd2O2SにX線蛍光体としての機能を発現させるために必要な付活剤である。
【0039】
通常、X線管などのX線源のX線出射窓付近の温度は、X線出射開始から約2時間経過すると約70℃となるので、X線検出器1をX線源付近に配置する際にはX線検出器1の温度は、室温以上(例えば30℃以上)に上昇することが予想されるが、上記のGOSを使用することにより、このような作動環境の温度変化が大きな場合でも波長変換特性の低下が充分に防止された蛍光体層42を形成することができる。また、GOS以外の蛍光体としては、GdSiO(以下、「GSO」という)が挙げられる。
【0040】
ここで、X線発生装置と、X線画像検出器と、X線発生装置とX線画像検出器との間に被検査物を配置する検査システム(例えば、図3を用いて説明する後述の検査システム1B)において、X線検出器1を、X線発生装置と被検査物との間又は被検査物とX線画像検出器との間に配置して用いる場合、X線発生装置から出力されるX線のX線量率の変動量をより正確に把握し、かつ、X線画像検出器の検出感度の変動量をより正確に把握する観点から、X線検出器1のX線分光感度とX線画像検出器のX線分光感度とをほぼ等しくすること(X線検出器1の信号強度変化率とX線画像検出器の信号強度変化率とをほぼ等しくすること)が有効であり、具体的には、蛍光体層42の厚さを以下の範囲に調節するか又は蛍光体層42の単位面積当りの質量W1を以下のように調節することが好ましいことを本発明者らは見出した。なお、この場合、X線画像検出器にも、蛍光体層42と同様の蛍光体層(以下、便宜上、「蛍光体層X」という)と、この蛍光体層Xから出射される蛍光からなる像を光電変換する光電変換手段)とを有しているものとする。
【0041】
なお、本発明においては、X線画像検出器には蛍光体を使用したものだけでなく、半導体を用いたものも使用されていてもよい。以下に記載するX線画像検出器の説明においては蛍光体層を使用した構成のものについて説明するが、蛍光体層のみならず蛍光体層を半導体層に置き換えた構成を有する場合にもあてはまるものである。
【0042】
実用上では、X線検出器1の分光感度とX線画像検出器の分光感度とをほぼ等しくするために、蛍光体層42の層厚はX線画像検出器における蛍光体層Xの厚さと同程度の厚さの蛍光体層が使われているが、特に30〜300μmであることが好ましいことを本発明者らは見出した。蛍光体層42の層厚が30μm未満であると、X線による発光量が低くなる傾向が大きくなる。また、蛍光体層42の層厚が300μmを超えると特にX線が低エネルギーの場合に、光の伝達効率が低下し、信号強度が低くなる傾向が大きくなる。
【0043】
また、X線のエネルギー別吸収率は物質の原子番号と密度の積に比例することがわかっており、X線検出器1の分光感度とX線画像検出器の分光感度とをほぼ等しくするために、X線検出器1における蛍光体層42の単位面積当りの質量W1と、X線画像検出器における蛍光体層Xの単位面積当りの質量W2との比(W1/W2)が0.3〜3.0であることが好ましい。
【0044】
比(W1/W2)が0.3未満であると、X線検出器1における、高X線エネルギー領域の感度が、X線画像検出器に比べて低くなるため、X線画像検出器のX線分光感度と、X線検出器1の分光感度が大きく食い違ってくる傾向が大きくなる。また、比(W1/W2)が3.0を超えると、X線検出器1における、高X線エネルギー領域の感度が、X線画像検出器に比べて高くなるため、X線画像検出器のX線分光感度と、X線検出器1の分光感度が大きく食い違ってくる傾向が大きくなる。
【0045】
更に、良好な画像を長期に渡り得る観点から、X線検出器1における蛍光体層42を構成する蛍光体がTbをドープしたGd2O2Sである場合には、該Gd2O2Sの平均粒子径R1と、X線画像検出器における蛍光体層Xを構成する蛍光体粒子の短径の平均粒子径R2との比(R1/R2)が0.5〜4.0であることが好ましい。
【0046】
ここで、比(R1/R2)が0.5未満であると、X線検出器1における、高X線エネルギー領域の感度が、X線画像検出器に比べて低くなるため、X線画像検出器のX線分光感度と、X線検出器1の分光感度が大きく食い違ってくる傾向が大きくなる。また、比(R1/R2)が4.0を超えると、X線検出器1における、高X線エネルギー領域の感度が、X線画像検出器に比べて高くなるため、X線画像検出器のX線分光感度と、X線検出器1の分光感度が大きく食い違ってくる傾向が大きくなる。
【0047】
このシンチレータパネル4の製造は特に限定されず公知のシンチレータパネルの製造技術により製造することができ、例えば、以下の方法により製造することができる。すなわち、先ず、所定の厚さ(例えば、1mm)を有する合成石英製の支持基板44にGOS蛍光体(例えば、日亜化学工業社製,商品名「Gd2O2S:Tb」蛍光体)を、所定の液(例えば、東京応化工業社製,商品名「オーカシール」の水溶液)中に分散させる。
【0048】
次に、得られる分散液と遠心器とを用いて支持基板44の一方の面上に分散液中のGOS蛍光体を沈降堆積させる。ここで、次に、上澄み液を取り除き、更に、支持基板44の面上の堆積物を乾燥させることにより、支持基板44の面上に蛍光体層42を形成することができる。
【0049】
フォトダイオード5は、X線L1の入射方向からみてケース2内のシンチレータパネル4よりも奥の位置に収容されており、シンチレータパネル4から出射される蛍光を光電変換して蛍光体層42に照射されたX線のX線量率を反映した電気信号を出力する。
【0050】
このフォトダイオード5は、開口部H5を有する略直方体の有底ケース58(第2の有底ケース)と、上記開口部H5を塞ぐ合成石英製の平板状蓋体59(第2の平板状蓋体)と、ケース58内に収容された光電変換部51とから構成されている。
【0051】
フォトダイオード5の蓋体59は、先に述べたシンチレータパネル4の支持基板44と同様の合成石英製の平板である。この蓋体59もシンチレータパネル4の支持基板44と同様の観点からX線の照射により着色する不純物を含まない基板であることが好ましい。
【0052】
ケース58は、光電変換部51を後述する配置条件のもとで収容しかつ固定できる内部空間と、光電変換部51の受光面F51にシンチレータパネル4から出射される蛍光を垂直入射させるための開口部H5とを有するものである。ケース58の構成材料は絶縁性材料であれば特に限定されないが、耐熱性及び機械的強度に優れた材料であることが好ましく、このような材料としては、例えば、セラミクス材料が挙げられる。
【0053】
また、蓋体59は、ケース58の開口部H5において接着剤からなる層B2を用いてケース58に接着され、空気等の外部流体のケース58内への流入を遮断するように開口部H5を塞ぐ。
【0054】
蓋体59はケース2の底面パネル28に平行となるように配置され、蓋体3の上面の略法線方向からX線が照射される。
【0055】
光電変換部51は、pn接合(pn接合面)を有するPNフォトダイオード(例えば、Siフォトダイオード)の構造を有している。すなわち、ケース58の底部の面F56上に配置されるn型半導体層56と、n型半導体層56上に配置されるp型半導体層54と、p型半導体層54上に配置される絶縁膜52と、前記n型半導体層56に電気的に接続される電極(図示せず)と、p型半導体層54に電気的に接続される電極(図示せず)とから構成されている。
【0056】
なお、図1に示す光電変換部51の場合には、n型半導体層56はケース58と同様の開口部を有する断面コの字形の形状を有しており、その内部にp型半導体層54が形成されている。そのため、p型半導体層54の周縁部は蛍光体層42に対するX線L1の入射方向に略平行となるように鍔状に延びたn型半導体層56の縁部により覆われている。また、絶縁膜52は、p型半導体層54の上面とこの鍔状に延びたn型半導体層56の縁部を覆っている。この絶縁膜52の上面(X線L1の入射側の面)が光電変換部51の受光面F51となる。
【0057】
そして、図1に示す光電変換部51の場合、n型半導体層56とp型半導体層54とは、これらの接合面(pn接合面)の法線方向が蛍光体層42に対するX線L1の入射方向に略平行となるように形成されている。
【0058】
更に、このX線検出器1の場合、シンチレータパネル4及びフォトダイオード5のケース2内における配置条件を以下のようにすることにより、長期にわたるX線の照射による検出感度低下の防止が図られており、ケース2内に入射するX線量の相対値を正確に測定することができる。
【0059】
すなわち、支持基板44の下面F44の法線方向、及び、光電変換部51の受光面F51の法線方向が、蛍光体層42に対するX線L1の入射方向に対してそれぞれ略平行となり、かつ、支持基板の蓋体59側に向く下面F44と蓋体59の支持基板44側に向く上面F59との間に、該上面F59と該下面F44との接触を防止する所定の間隔を設けるための空間が画成されるように、ケース2内にそれぞれ位置決めされて配置されている。
【0060】
ここで、間隔は、シンチレータパネル4の支持基板44の第2の蓋体59側に向く下面F44とフォトダイオード5の光電変換部51の受光面F51との距離が100〜5000μmとなるように調節されていることが好ましい。下面F44と受光面F51との距離が100μm未満となると、蛍光体層42から出射される蛍光の干渉縞が形成され、この干渉縞が長期使用中に振動などによりずれて、フォトダイオード5への蛍光の入射光量が変動してしまう傾向が大きくなる。また、5000μmより大きくなると、フォトダイオード5への蛍光の入射光量が少なくなり、またX線検出器1のコンパクト化の妨げともなる。
【0061】
ケース2は略直方体の形状を有し、底面パネル28と、底面パネル28の外縁部に底面パネル28に垂直となるように接続された側面パネル26とから構成されている。そして、ケース2の開口部H2はケース2の底面パネル28に対向する上面に相当する部分に形成されている。また、ケース2には、シンチレータパネル4とフォトダイオード5とが上記の配置条件をそれぞれ満たして配置されるための、シンチレータパネル4用の位置決め部22と、フォトダイオード5用の位置決め部24とが側面パネル26の内壁面にそれぞれ形成されている。これら位置決め部22及び位置決め部24はそれぞれ側面パネル26の内壁面の法線方向にのびる突起部分である。
【0062】
側面パネル26の内壁面から突出する位置決め部22には、底面パネル28の内壁面に平行な面が後述の蓋体3の側を向くように形成されており、この面にシンチレータパネル4が載置される。その際、位置決め部22の上記の面とシンチレータパネル4の支持基板44の下面F44の外縁部(被検査物の検査に必要なX線の波長変換に寄与しない領域部分)とが接着剤からなる層B1で接着される。この接着剤からなる層B1に使用される接着剤としては、蛍光体層42中にしみ込まないものであれば特に限定されない。このような接着剤としては、例えば、シリコーン樹脂KE45B(商品名,信越化学工業社製)が挙げられる。
【0063】
また、側面パネル26の内壁面から突出する位置決め部24には、底面パネル28の内壁面に平行な面が該内壁面の側を向くように形成されており、この面を利用してフォトダイオード5がケース2に固定される。その際、位置決め部24の上記の面とフォトダイオード5のケース58の開口部H5の外縁部分の上面(底面パネル28の内壁面に平行な面)とが接着剤からなる層B3で接着される。この接着剤からなる層B3に使用される接着剤としては、蛍光体層42中にしみ込まないものであれば特に限定されない。このような接着剤としては、例えば、シリコーン樹脂KE45B(商品名,信越化学工業社製)のような着色樹脂でもよくその他の透明樹脂でもよい。
【0064】
また、ケース2の構成材料は、導電性材料であれば特に限定されないが、軽量で、耐熱性及び機械的強度に優れた材料であることが好ましく、このような材料としては、例えば、アルミニウムが挙げられる。ケース2は例えば、アルミニウムブロックを、切削加工することにより製造することができる。
【0065】
蓋体3は、ケース2の開口部H2を塞ぐ部材であり、ケース2内のシンチレータパネル4を保護するための電磁シールド、物理シールド(外部からケース2内への異物の混入等を防ぐシールド)、光学シールド及び外気シールド(外部からケース2内への湿気の混入を防ぐシールド)として機能する。そのため、蓋体3の構成材料は、アルミニウム、カーボン、ベリリウム等の硬質材料が検出するべきX線のエネルギーにあわせて適宜好ましく選択される。また、蓋体3は、ケース2の開口部H2の外縁部分の上面(底面パネル28の内壁面に平行な面)とが接着剤からなる層B4を用いてケース2に接着され、空気等の外部流体の流入を遮断するように開口部H2を塞ぐ。
【0066】
そして、蓋体3はケース2の底面パネル28に平行となるように配置され、蓋体3の上面の略法線方向からX線が照射される。接着剤からなる層B4に使用される接着剤としては、例えば、シリコーン樹脂KE45B(商品名,信越化学工業社製)が挙げられる。
【0067】
また、蓋体3、シンチレータパネル4及びケース2により画成される空間内の相対湿度は、蛍光体層42の良好なX線波長変換機能を保持するために50%以下、好ましくは0%に調節される。更に、この空間内を占める流体としては、上記の相対湿度の条件を満たしており、かつ、X線の照射により蓋体3、シンチレータパネル4及びケース2の構成材料と反応するような化学種を発生させない流体であれば特に限定されず、例えば、空気であってもよく窒素であってもよい。
【0068】
更に、フォトダイオード5、シンチレータパネル4及びケース2により画成される空間、フォトダイオード5及びケース2の底面パネル28の側の領域により画成される空間、及び、フォトダイオード5内に画成される空間内をそれぞれ占める流体も、上記蓋体3、シンチレータパネル4及びケース2により画成される空間と同様に、先に述べた相対湿度の条件を満たしており、かつ、X線の照射により蓋体3、シンチレータパネル4及びケース2の構成材料と反応するような化学種を発生させない流体であることが好ましい。例えば、空気であってもよく窒素であってもよい。
【0069】
図1に示すコネクタ8は、ケース2の底部に設けられた貫通口H22に嵌め込まれて固定されている。そして、コネクタ8には導電性のワイヤ82及びワイヤ84のそれぞれの一端が電気的に接続されており、ワイヤ82の他端はフォトダイオード5のn型半導体層56に接続された電極(図示せず)に電気的に接続されており、ワイヤ84の他端はフォトダイオード5のp型半導体層54に接続された電極(図示せず)に電気的に接続されている。このコネクタ8により、フォトダイオード5の光電変換部51から出力される電気信号はケース2の外部に出力される。
【0070】
このコネクタ8は光電変換部51から出力される電気信号をケース2の外部に出力できるものであれば特に限定されないが、外来ノイズのシールドの観点から、BNCコネクタやトライアキシャルコネクタ等が好ましい。
【0071】
次に、本発明のX線検出器の第二実施形態について説明する。図2は本発明のX線検出器の第二実施形態の基本構成を示す模式的断面図である。
【0072】
図2に示すX線検出器1Aは、主として、開口部H2を有する略直方体の有底ケース2(第1の有底ケース)と、上記開口部H2を塞ぐX線透過性の平板状蓋体3(第1の平板状蓋体)と、ケース2内に収容された蛍光体層42及びフォトダイオード5と、ケース2に固定されかつフォトダイオード5と電気的に接続されたコネクタ8とから構成されている。そして、図2に示すX線検出器1Aは、以下に説明する部分以外の構成条件は、図1に示したX線検出器1と同様の構成を有する。
【0073】
すなわち、図2に示すX線検出器1Aは、図1に示したX線検出器1に比較して、X線検出器1におけるシンチレータパネル4を設けず、蛍光体層42をX線検出器1の場合のフォトダイオード5の蓋体59(第2の平板状蓋体)の蓋体3(第1の平板状蓋体)側に向く上面に隣接して配置した構成を有している。これに伴い、図2に示すX線検出器1AはX線検出器1におけるケース2の位置決め部22を設けず、位置決め部24のみを設けた構成を有する。そして、X線検出器1Aのケース2の側面パネル26の内壁面から突出するこの位置決め部24に、底面パネル28の内壁面に平行な面が蓋体3の側を向くように形成されており、この面にフォトダイオード5が載置される。
【0074】
図2に示すX線検出器1Aの場合にも、蓋体59のフォトダイオード側を向く下面F59aとフォトダイオード5の光電変換部51の受光面F51との距離が100μm以上5000μm以下となるように調節されていることが好ましい。
【0075】
更に、図2に示すX線検出器1Aの場合にも図1に示したX線検出器1と同様の観点から、X線発生装置と、X線画像検出器と、X線発生装置とX線画像検出器との間に被検査物を配置する検査システム(例えば、図3を用いて説明する後述の検査システム1B)において、X線検出器1Aを、X線発生装置と被検査物との間又は被検査物とX線画像検出器との間に配置して用いる場合には、蛍光体層42の層厚は30〜300μmであることが好ましい。また、この場合、X線検出器1Aにおける蛍光体層42の単位面積当りの質量W1と、X線画像検出器における蛍光体層Xの単位面積当りの質量W2との比(W1/W2)が0.3〜3.0であることが好ましい。
【0076】
更に、図2に示すX線検出器1Aの場合にも、図1に示したX線検出器1と同様の観点から、X線検出器1Aにおける蛍光体層42を構成する蛍光体がTbをドープしたGd2O2Sである場合には、該Gd2O2Sの平均粒子径R1と、X線画像検出器における蛍光体層Xを構成する蛍光体粒子の短径の平均粒子径R2との比(R1/R2)が0.5〜4.0であることが好ましい。
【0077】
次に、本発明の検査システムの好適な一実施形態について説明する。図3は、図1又は図2に示したX線検出器を用いた本発明の検査システムの好適な一実施形態の基本構成を示す説明図である。
【0078】
図3に示す検査システム1Bは、X線を被検査物93に照射し、被検査物93を透過するX線を検出することにより被検査物の93内部状態を検査する検査システムである。この図3に示す検査システム1Bは、主として、X線を発生させ被検査物93に向けて出射するX線発生装置94と、X線の出射方向であって被検査物93を挟んでX線発生装置と対向する位置に配置され、被検査物93を透過するX線を検出することにより被検査物の検査すべき内部状態を反映したX線の全体像を撮像可能にするX線画像検出器96と、X線の出射方向であって被検査物93とX線画像検出器96との間に配置され、X線発生装置94から出射されたX線の一部を取得し、そのX線量率を測定するためのX線検出器1(又はX線検出器1A)とから構成されている。
【0079】
更に、図3に示す検査システム1Bには、X線画像検出器96から得られる画像を処理する画像処理装置97と、X線検出器1(又はX線検出器1A)から得られるX線発生装置94から出射されたX線のX線量率に関するデータに基づいてX線発生装置94の作動制御を行うX線コントローラ91と、X線コントローラ91とX線検出器1(又はX線検出器1A)との間に配置される電流電圧変換器95と、X線コントローラ91と画像処理装置97を制御する中央制御装置92と、X線画像検出器96から得られる画像を表示するモニタ98が備えられている。
【0080】
また、図3に示す検査システム1Bの場合、ベルトコンベア99上に複数の被検査物93が一定間隔で配置されている。そして、ベルトコンベア99を作動させることにより、複数の被検査物93は、順々にX線発生装置94から出射されたX線の照射を受けて、それぞれの検査すべき内部情報についての検査を受けることになる。
【0081】
被検査物93としては、例えば、ICなどの電子デバイス、アルミダイキャストのほか、金属、ゴム、プラスチック、セラミックスなどからなる各種の製品・部品などが対象となる。
【0082】
X線発生装置94は、X線を出射する装置であって、筐体中にX線を出射するX線管(図示せず)、駆動回路(図示せず)などの構成部品が収容されている。このX線管は、X線を発生させるものであり、電子銃部(図示せず)とX線発生部(図示せず)を備えている。X線管3のX線発生部は、電子銃部からの電子を受けてX線を発生させ出射するためのものである。電子銃部は、電子を発生させX線発生部に向けて放出するものであり、その内部には、外部からの電力供給により発熱するヒータ(図示せず)、ヒータにより熱せられ電子を放出するカソード(図示せず)、カソードから放出された電子を集束させるフォーカスグリッド電極(図示せず)がそれぞれ設けられている。また、X線発生部の内部には、ターゲット(図示せず)が設置されている。ターゲットは、電子銃部からの電子を先端面で受けてX線を発生させるものである。
【0083】
図3に示すように、このX線発生装置94には、X線コントローラ91が接続されている。X線コントローラ91はX線発生装置94の作動制御を行うものである。また、このX線コントローラ91には、中央制御装置92が接続されている。
【0084】
この中央制御装置92は、検査システム1Bの全体の制御を行うものである。この中央制御装置92は、CPU、ROM、及び、RAM(何れも図示せず)を有する。CPUは、マイクロプロセッサ等からなり、各種演算処理を行う。また、ROMには、制御・演算処理のためのプログラム(X線発生装置94から出射されるX線のX線量率を計算するプログラム、X線発生装置94から出射されるX線のX線量率が使用中に変動した場合にX線検出器1から得られるX線のX線量率のデータに基づいて変動量を正確に把握して変動量を考慮したデータ補正をするためのプログラム、及び、X線画像検出器96から出力される電気信号強度が変動した場合に、その変動量を正確に把握して変動量を考慮したデータ補正をするためのプログラムなど)が予め記憶されており、RAMは、制御・演算処理の際に各種データを読み書きするために用いられる。
【0085】
また、中央制御装置92は、例えば、CPUと接続された入出力ポート(図示せず)を有する。この入出力ポートには、X線コントローラ91、画像処理装置97、モニタが接続され、X線検出器1(又はX線検出器1A)が電流電圧変換器95を介して接続されている。従って、X線コントローラ91、画像処理装置97、モニタ98には、入出力ポートを介して、CPUの演算処理によって生成された各種信号等が与えられる。
【0086】
また、中央制御装置92は記憶装置(図示せず)を有し、この記憶装置は、入出力ポートを介してCPUと接続されている。そして、CPUは、この記憶装置にアクセスし、記憶装置に格納されたX線検出器1(又はX線検出器1A)から得られるX線発生装置94から出射されたX線のX線量率に関するデータに基づいて画像補正するのためのデータを必要に応じて用いることによりX線コントローラ91、画像処理装置97の作動を制御する。
【0087】
X線検出器1(又はX線検出器1A)を用いることにより、長期にわたりX線の照射を受けても検出器の感度の低下が充分に防止されるので、X線源から出射されるX線のX線量率の変動量(例えば、良好な画像が得られる条件に最適化した初期値からの変動量)を正確に計測することができる。そして、これによりX線画像検出器96の検出感度(出力される電気信号強度)の変動量も正確に計測できる。
【0088】
そのため、実験や理論計算などにより、1)X線発生装置94から出射されるX線のX線量率の変動した場合、2)X線画像検出器96の検出感度(出力される電気信号強度)が変動した場合、及び3)上記1)と2)が同時に起こる場合の画像補正するのためのデータを予め測定して記憶装置に格納しておき、更に、そのデータに基づいて画像補正するためのプログラム(例えば、X線発生装置94から出力されるX線のX線量率を変化させる補正プログラム、X線画像検出器96から出力される電気信号強度のゲインを変化させる補正プログラム等)を作成してROMに格納しておけば、長期にわたりX線を照射して使用しつづけても被検査物を正確に検査することができる。
【0089】
X線画像検出器96は、X線の出射方向の被検査物93を挟んでX線発生装置と対向する位置に設置されており、イメージインテンシファイア管、半導体などを内蔵しX線を検出するものである。そして、X線画像検出器96に接続された画像処理装置97により被検査物93の拡大透視画像が形成される。画像処理装置97は中央制御装置92に接続されており、被検査物93の拡大透視画像のデータを中央制御装置92に伝送する。そして、中央制御装置92は信号をモニタ98に伝送し、モニタ98はこの信号に基づき被検査物93の拡大透視画像を表示する。
【0090】
この検査システム1Bにおいて、ベルトコンベア99を作動させることにより被検査物93をX線出射位置の前方にセットし、X線発生装置94からX線を出射すると、そのX線は、被検査物93に照射され、被検査物93を透過してX線画像検出器96に入射される。X線は、X線画像検出器96により検出され電気的な信号に変換される。そして、その信号は、画像処理装置97に入力され、被検査物93の拡大透視画像のデータに演算される。拡大透視画像のデータは、中央制御装置92を介してモニタ98に伝送され、その拡大透視画像のデータに基づいてモニタ98に被検査物93の拡大透視画像が表示される。このため、被検査物93の拡大透視画像を見ることにより、被検査物93の検査すべき内部構造などを確認することができる。
【0091】
このとき、中央制御装置92には、X線検出器1(又はX線検出器1A)からX線発生装置94から出射されたX線のX線量率に関するデータが送信されており、X線発生装置94から出射されたX線のX線量率が基準値(例えば、良好な画像が得られる条件に最適化した初期値など)に対して変動している場合、X線画像検出器96の検出感度(出力される電気信号強度)が基準値(例えば、良好な画像が得られる条件に最適化した初期値など)に対して変動している場合、及び上記の2つの変動が同時に起きている場合には、中央制御装置92により適切なデータ補正が行われる。
【0092】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0093】
例えば、上述した実施形態の説明においては何れの場合にもフォトダイオード5の光電変換部51がpn接合(pn接合面)を有するPNフォトダイオードの構造を有している場合について説明したが、本発明のX線検出器に係るを構成するフォトダイオードの光電変換部の構成は、蛍光を受光する受光面を有し、かつ、n型半導体層と、p型半導体層と、n型半導体層に電気的に接続される電極と、p型半導体層に電気的に接続される電極とを少なくとも有していれば特に限定されるものではなく、例えば、いわゆるpin接合(pi接合面及びni接合面)を有するPINフォトダイオードの構造、或いは、いわゆるアバランシェフォトダイオードの構造を有する光電変換部であってもよい。
【0094】
例えば、上述した実施形態の説明においては何れの場合にもX線画像検出器の説明においては蛍光体層を使用した構成のものについて説明したが、本発明においては、X線画像検出器には蛍光体を使用したものだけでなく、半導体を用いた構成を有するものも使用されていてもよい。
【0095】
この場合、X線画像検出器は、被検査物を透過するX線からなる像を電子分布からなる像に光電変換する膜状半導体層と、電子分布からなる像を構成する電子の電荷を読み出す操作回路を少なくとも有する構成を有している。そして、更にこの場合には、「X線検出器」における蛍光体層の単位面積当りの質量W1と、「X線画像検出器」における半導体層の単位面積当りの質量W3との比(W1/W3)が0.3〜3.0であることが好ましい。
【0096】
上記の比(W1/W3)が0.3未満であると、X線検出器における、高X線エネルギー領域の感度が、X線画像検出器に比べて低くなるため、X線画像検出器のX線分光感度と、X線検出器の分光感度が大きく食い違ってくる傾向が大きくなる。また、比(W1/W3)が3.0を超えると、X線検出器における、高X線エネルギー領域の感度が、X線画像検出器に比べて高くなるため、X線画像検出器のX線分光感度と、X線検出器の分光感度が大きく食い違ってくる傾向が大きくなる。
【0097】
【発明の効果】
本発明のX線検出器は、長期にわたりX線を照射されても検出器の感度の低下を充分に防止することができる構成を有しているので、使用中にX線源から出射されるX線のX線量率が変動する場合であっても該X線量率を正確に測定することができる。また、本発明の検査システムは、上記本発明のX線検出器を備えているので、長期にわたる使用によりX線発生装置から出力されるX線のX線量率と、X線画像検出器の検出感度(出力される電気信号強度)が共に変動する場合であっても、被検査物の検査すべき内部状態の情報を正確に得ることがきる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のX線検出器の第一実施形態の基本構成を示す模式的断面図である。
【図2】本発明のX線検出器の第二実施形態の基本構成を示す模式的断面図である。
【図3】図1又は図2に示したX線検出器を用いた本発明の検査システムの好適な一実施形態の基本構成を示す説明図である。
【図4】従来のX線検出器を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
1,1A…X線検出器、2・・・有底ケース、3・・・平板状蓋体、4・・・シンチレータパネル、5・・・フォトダイオード、8・・・コネクタ、22,24・・・位置決め部、26・・・側面パネル、28・・・底面パネル、42・・・蛍光体層、44・・・支持基板、51・・・光電変換部、52・・・絶縁膜、54・・・p型半導体層、56・・・n型半導体層、58・・・有底ケース、59・・・平板状蓋体、82・・・ワイヤ、84・・・ワイヤ、91・・・X線コントローラ、92・・・中央制御装置、93・・・被検査物、94・・・X線発生装置、95・・・電流電圧変換器、96・・・X線画像検出器、97・・・画像処理装置、98・・・モニタ、99・・・ベルトコンベア、B1,B2,B3、B4・・・接着剤からなる層、F42・・・接触面、F44・・・支持基板44の第2の蓋体59側に向く下面、F51・・・受光面、F59a・・・蓋体59のフォトダイオード側を向く下面、H2・・・開口部、H22・・・貫通口、H5・・・開口部、L1・・・X線。
Claims (12)
- 開口部を有する第1の有底ケースと、
前記第1の有底ケースの前記開口部を塞ぐX線透過性の第1の平板状蓋体と、
前記第1の有底ケース内に収容されており、前記第1の平板状蓋体を透過して前記第1の有底ケース外部から該ケース内に入射するX線を蛍光に波長変換する蛍光体層と、前記蛍光体層に隣接して配置されており前記蛍光体層を支持する合成石英製の支持基板とを少なくとも有し、かつ、前記蛍光体層の側を前記第1の平板状蓋体の側に向けて配置されるシンチレータパネルと、
前記第1の有底ケース内に収容されており、前記シンチレータパネルから出射される前記蛍光を光電変換して前記蛍光体層に照射された前記X線のX線量率を反映した電気信号を出力するフォトダイオードと、
を少なくとも有しており、
前記フォトダイオードは、
開口部を有する第2の有底ケースと、
前記第2の有底ケースの前記開口部を塞ぐ合成石英製の第2の平板状蓋体と、
前記第2の有底ケース内に収容されており、前記蛍光を受光する受光面を有し、かつ、n型半導体層と、p型半導体層と、前記n型半導体層に電気的に接続される電極と、前記p型半導体層に電気的に接続される電極と、を少なくとも有する光電変換部と、
を少なくとも有しており、
前記シンチレータパネル及び前記フォトダイオードは、前記支持基板の前記第2の平板状蓋体側に向く下面と前記第2の平板状蓋体の前記支持基板側に向く上面との間に、該上面と該下面との接触を防止する所定の間隔を設けるための空間が画成されるように、前記第1のケース内にそれぞれ位置決めされて配置されていること、
を特徴とするX線検出器。 - 前記間隔は、前記シンチレータパネルの前記支持基板の前記第2の平板状蓋体側に向く下面と前記フォトダイオードの前記光電変換部の前記受光面との距離が100〜5000μmとなるように調節されていることを特徴とする請求項1に記載のX線検出器。
- 前記蛍光体層の層厚が30〜300μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のX線検出器。
- 開口部を有する第1の有底ケースと、
前記第1の有底ケースの前記開口部を塞ぐX線透過性の第1の平板状蓋体と、
前記第1の有底ケース内に収容されており、前記第1の平板状蓋体を透過して前記第1の有底ケース外部から該ケース内に入射するX線を蛍光に波長変換する蛍光体層と、
前記第1の有底ケース内に収容されており、前記蛍光体層から出射される前記蛍光を光電変換して前記蛍光体層に照射された前記X線のX線量率を反映した電気信号を出力するフォトダイオードと、
を少なくとも有しており、
前記フォトダイオードは、
開口部を有する第2の有底ケースと、
前記第2の有底ケースの前記開口部を塞ぐ合成石英製の第2の平板状蓋体と、
前記第2の有底ケース内に収容されており、前記蛍光を受光する受光面を有し、かつ、n型半導体層と、p型半導体層と、前記n型半導体層に電気的に接続される電極と、前記p型半導体層に電気的に接続される電極と、を少なくとも有する光電変換部と、
を少なくとも有しており、
前記蛍光体層は、前記第2の平板状蓋体の前記第1の平板状蓋体側に向く上面に隣接して配置されていること、
を特徴とするX線検出器。 - 前記フォトダイオードにおいて、第2の平板状蓋体の前記フォトダイオード側を向く下面と光電変換部の受光面との距離が100〜5000μmとなるように調節されていることを特徴とする請求項4に記載のX線検出器。
- 前記蛍光体層の層厚が30〜300μmであることを特徴とする請求項4又は5に記載のX線検出器。
- X線を被検査物に照射し、前記被検査物を透過するX線を検出することにより前記被検査物の検査すべき内部状態を検査する検査システムであって、
前記X線を発生させ、前記被検査物に向けて出射するX線発生装置と、
前記X線の出射方向であって前記被検査物を挟んでX線発生装置と対向する位置に配置され、前記被検査物を透過する前記X線を検出することにより前記被検査物の検査すべき内部状態を反映したX線透過像を撮像可能にするX線画像検出器と、
前記X線の出射方向であって前記X線発生装置と前記被検査物との間又は前記被検査物とX線画像検出器との間に配置され、前記X線発生装置から出射された前記X線の一部を取得し、そのX線量率を反映した強度を測定するためのX線検出器と、
を少なくとも有しており、
前記X線検出器が請求項1〜6の何れかに記載のX線検出器であること、
を特徴とする検査システム。 - 前記X線画像検出器は、前記被検査物を透過する前記X線からなる像を蛍光からなる像に波長変換する膜状の第2の蛍光体層と、前記第2の蛍光体層から出射される前記蛍光からなる像を光電変換する光電変換手段と、を少なくとも有しており、
前記X線検出器における前記蛍光体層の単位面積当りの質量W1と、前記X線画像検出器における前記第2の蛍光体層の単位面積当りの質量W2との比(W1/W2)が0.3〜3.0であること、
を特徴とする請求項7に記載の検査システム。 - 前記X線画像検出器は、前記被検査物を透過する前記X線からなる像を電子分布からなる像に光電変換する膜状半導体層と、前記電子分布からなる像を構成する電子の電荷を読み出す操作回路を少なくとも有しており、
前記X線検出器における前記蛍光体層の単位面積当りの質量W1と、前記X線画像検出器における前記半導体層の単位面積当りの質量W3との比(W1/W3)が0.3〜3.0であること、
を特徴とする請求項7に記載の検査システム。 - 前記X線検出器における前記蛍光体層を構成する蛍光体がTbをドープしたGd2O2Sであり、該Gd2O2Sの平均粒子径R1と、前記X線画像検出器における前記第2の蛍光体層を構成する蛍光体粒子の短径の平均粒子径R2との比(R1/R2)が0.5〜4.0であること、
を特徴とする請求項8に記載の検査システム。 - 前記X線検出器から得られる前記X線量率を反映した強度の所定の基準値からの変動量を計測し、該変動量に基づいて前記X線発生装置から出射する前記X線の前記X線量率を調節する制御手段を更に有すること、
を特徴とする請求項7〜10の何れかに記載の検査システム。 - 前記制御手段は、前記X線画像検出器の前記光電変換手段から出力される電気信号強度の所定の基準値からの変動量を計測し、該変動量に基づいて前記光電変換手段から出力される前記X線の前記X線量率を更に調節すること、
を特徴とする請求項7〜11の何れかに記載の記載の検査システム。
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