JP2004036847A - 摩擦係合装置の変化状態判定装置および制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】摩擦係合装置の劣化など特性の変化の状態を精度良く判定し、また判定結果を制御に反映できる装置を提供する。
【解決手段】摩擦力によってトルクを伝達するクラッチにおける状態変化を判定するクラッチの状態変化判定装置において、クラッチの出力側に連結されている所定の回転部材の回転速度変化率が予め定めた所定範囲以内であることを検出する回転速度変化率検出手段(ステップS3)と、回転部材の回転速度変化率が所定範囲以内であることが回転速度変化率検出手段(ステップS3)によって検出されている場合に、クラッチの係合状態の変更制御に対する係合状態の変化の程度を検出する係合状態検出手段(ステップS10)と、その係合状態検出手段(ステップS10)で検出された係合状態の変化の程度に基づいてクラッチの変化の状態を判定する変化状態判定手段(ステップS14)とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】摩擦力によってトルクを伝達するクラッチにおける状態変化を判定するクラッチの状態変化判定装置において、クラッチの出力側に連結されている所定の回転部材の回転速度変化率が予め定めた所定範囲以内であることを検出する回転速度変化率検出手段(ステップS3)と、回転部材の回転速度変化率が所定範囲以内であることが回転速度変化率検出手段(ステップS3)によって検出されている場合に、クラッチの係合状態の変更制御に対する係合状態の変化の程度を検出する係合状態検出手段(ステップS10)と、その係合状態検出手段(ステップS10)で検出された係合状態の変化の程度に基づいてクラッチの変化の状態を判定する変化状態判定手段(ステップS14)とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、二つの部材の間で選択的にトルクを伝達するクラッチなどの摩擦係合装置の特性変化を判定する装置およびその判定の結果に基づいてその係合装置の制御内容を変更する装置に関し、特に無段変速機に対して直列に配列された摩擦式クラッチを対象とする装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば車両用の変速機には、各種の摩擦式の係合装置が用いられており、その例を挙げると、エンジンなどの動力源のトルクを変速機に入力する発進クラッチ、トルクコンバータに内蔵されたロックアップクラッチ、動力の伝達系路を変更して所定の変速状態を設定するシフトクラッチ、所定の回転部材をケーシングなどの固定部分に連結してその回転を止めるブレーキなどが知られている。また、これらの係合装置の形式は、単板式、多板式、乾式、湿式、バンド式など各種のものが存在する。
【0003】
これらの摩擦係合装置で伝達される動力は、その摩擦面で生じる摩擦力に応じた動力であり、またその摩擦力は、摩擦係数と摩擦面に作用する垂直荷重(係合力)によって決まる。したがって一般的には、摩擦係合装置に作用するトルクに対してトルク容量が過不足を生じないよう係合圧を制御している。また、過渡的な状態として摩擦係合装置に滑りを生じさせつつトルクを伝達させるいわゆるスリップ制御もおこなわれている。これは、入力側あるいは出力側のトルクの変動を、摩擦係合装置の滑りとして吸収させ、しかもトルクを伝達させるためである。
【0004】
このように摩擦係合装置を係合させ、あるいは滑り制御する場合、係合圧とトルク容量(伝達トルク)とに、摩擦係数をパラメータとした所定の関係が成立していることを前提に係合圧の制御がおこなわれている。したがって摩擦係数が想定した値からずれていれば、所期のトルク容量を設定できないので、出力側に現れるトルクが不足したり、あるいは滑り制御を実行できなくなるなどの事態が生じる。また、スティックスリップやジャダーなどの自励振動が発生することもある。なお、このような不測の事態は、摩擦係数に異常がなくても、係合圧の制御に異常がある場合にも同様に生じる。
【0005】
そこで従来、摩擦係合装置の劣化の状態を検出する装置が、特開平9−42440号公報で提案されている。この公報に記載された発明は、摩擦材やオイルの劣化を検出することを目的とした発明であり、クラッチの入力回転数と出力回転数との差であるスリップ量を連続的に変化させ、その間における入力回転数などスリップ量変化に関連して変化する物理量を検出し、その物理量の変化に基づいて摩擦材やオイルの劣化を判定するように構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の公報に記載された発明では、クラッチをスリップ状態に制御し、かつそのスリップ量を変化させるから、クラッチのスリップ制御が可能なことが前提条件となる。また、上記の公報の記載によれば、スロットル開度およびその変化率がそれぞれ所定範囲以内であること、変速中でないことを条件としてスリップ量を変更し、かつそれに伴う物理量の変化に基づいて劣化を判定している。
【0007】
しかしながら、車両の変速機に使用されている摩擦係合装置は、走行のための動力を伝達し、あるいはそのための反力を与えるために係合する装置であるから、エンジンなどの動力源から加わるトルク以外に、走行路面の変化に伴って駆動輪側から入力されるトルクもその摩擦係合装置に作用する。そのため、上記の公報に記載されている条件の成立をもって劣化の判定をおこなうとすれば、その過程で出力側から入力されたトルクによる摩擦係合装置の滑りもスリップ量の変化として検出されてしまい、その結果、劣化の判定精度が低下する可能性がある。
【0008】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、摩擦材や潤滑油の劣化を含む各種の要因による摩擦係合装置の特性の変化を正確に検出する装置およびその検出結果に基づいて摩擦係合装置の制御内容を変更する制御装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、係合・解放制御されかつ係合時には摩擦力によってトルクを伝達する摩擦係合装置における状態変化を判定する摩擦係合装置の状態変化判定装置において、前記摩擦係合装置の出力側に連結されている所定の回転部材の回転速度変化率が予め定めた所定範囲以内であることを検出する回転速度変化率検出手段と、前記回転部材の回転速度変化率が所定範囲以内であることが前記回転速度変化率検出手段によって検出されている場合に、前記摩擦係合装置の係合状態の変更制御に対する係合状態の変化の程度を検出する係合状態検出手段と、その係合状態検出手段で検出された前記係合状態の変化の程度に基づいて前記摩擦係合装置の変化の状態を判定する変化状態判定手段とを備えていることを特徴とする装置である。
【0010】
したがって請求項1の発明では、摩擦係合装置に対して出力側の所定の回転部材の回転速度変化率が所定範囲以内であることが検出された場合に、摩擦係合装置の係合状態を変化させる制御が実行され、その制御に対する摩擦係合装置の係合状態の変化の程度が検出され、さらにその検出された係合状態の変化の程度に基づいて、摩擦係合装置の変化状態が判定される。すなわち、摩擦係合装置に対する入力側からのトルクおよび出力側から入力されるトルクのいずれもか所定範囲内に入っているいわゆる安定的な状態で摩擦係合装置の変化状態が判定され、その結果、判定精度が良好になる。
【0011】
また、請求項2の発明は、係合・解放制御されかつ係合時には摩擦力によってトルクを伝達することにより所定の変速状態を設定する摩擦係合装置の制御装置において、前記摩擦係合装置の出力側に連結されている所定の回転部材の回転速度変化率が予め定めた所定範囲以内であることを検出する回転速度変化率検出手段と、前記回転部材の回転速度変化率が所定範囲以内であることが前記回転速度変化率検出手段によって検出されている場合に、前記摩擦係合装置の係合状態の変更制御に対する係合状態の変化の程度を検出する係合状態検出手段と、その係合状態検出手段で検出された前記係合状態の変化の程度に基づいて前記摩擦係合装置を係合・解放制御する制御手段とを備えていることを特徴とする制御装置である。
【0012】
したがって請求項2の発明では、摩擦係合装置に対して出力側の所定の回転部材の回転速度変化率が所定範囲以内であることが検出された場合に、摩擦係合装置の係合状態を変化させる制御が実行され、その制御に対する摩擦係合装置の係合状態の変化の程度が検出され、さらにその検出された係合状態の変化の程度に基づいて、摩擦係合装置が制御される。そのため、摩擦係合装置に対する入力側からのトルクおよび出力側から入力されるトルクのいずれもか所定範囲内に入っているいわゆる安定的な状態で摩擦係合装置の変化の状態が検出され、この検出結果が制御に反映されるので、摩擦係合装置の係合・解放制御の制御精度が良好になる。
【0013】
さらに、請求項3の発明は、トルク容量が連続的に変化する摩擦係合装置が無段変速機に対して直列に連結され、その摩擦係合装置および無段変速機に作用するトルクが所定範囲以内でありかつ前記摩擦係合装置および無段変速機に対して出力側の所定の回転部材の回転速度変化率が予め定めた所定範囲以内である状態において、その摩擦係合装置を解放側に制御して滑りを生じさせるとともにその後に再係合させることにより、その再係合時のトルク容量に基づいて前記摩擦係合装置のトルク容量を、その摩擦係合装置が前記無段変速機よりも先に滑るように、無段変速機のトルク容量より相対的に小さく設定する摩擦係合装置の制御装置であって、前記摩擦係合装置を解放側に制御するとともにその後に再係合させる過程における前記摩擦係合装置の係合状態の変更制御に対する係合状態の変化の程度を検出する係合状態検出手段と、その係合状態検出手段で検出された前記係合状態の変化の程度に基づいて前記摩擦係合装置の変化の状態を判定し、もしくは係合・解放制御する手段とを備えていることを特徴とする制御装置である。
【0014】
したがって請求項3の発明では、作用するトルクおよび出力側の回転部材の回転速度変化率がそれぞれ所定範囲内にある場合に、摩擦係合装置が解放側に制御されて滑りが生じ、かつその後に係合側に制御されて再係合し、その再係合時のトルク容量に基づいて摩擦係合装置のトルク容量が、無段変速機に対して摩擦係合装置に先に滑りが生じるように無段変速機のトルク容量より相対的に小さく設定される。摩擦係合装置を上記のように解放側に制御した後、係合側に制御して再係合させる過程で、その係合状態の変更制御に対する摩擦係合装置の係合状態の変化の程度が検出され、その検出結果に基づいて摩擦係合装置の変化の状態が判定され、もしくは係合・解放制御される。そのため、摩擦係合装置の変化の状態が正確に判定され、あるいは摩擦係合装置の制御精度が良好になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とする車両の駆動機構およびその制御系統について説明すると、図5は、ベルト式無段変速機1を変速機として含む駆動機構を模式的に示しており、その無段変速機1は、前後進切換機構2およびロックアップクラッチ3付きの流体伝動機構4を介して動力源5に連結されている。
【0016】
その動力源5は、内燃機関、あるいは内燃機関と電動機、もしくは電動機などによって構成され、要は、走行のための動力を発生する駆動部材である。なお、以下の説明では、動力源5をエンジン5と記す。また、流体伝動機構4は、例えば従来のトルクコンバータと同様の構成であって、エンジン5によって回転させられるポンプインペラとこれに対向させて配置したタービンランナーと、これらの間に配置したステータとを有し、ポンプインペラで発生させたフルードの螺旋流をタービンランナーに供給することよりタービンランナーを回転させ、トルクを伝達するように構成されている。
【0017】
このような流体を介したトルクの伝達では、ポンプインペラとタービンランナーとの間に不可避的な滑りが生じ、これが動力伝達効率の低下要因となるので、ポンプインペラなどの入力側の部材とタービンランナーなどの出力側の部材とを直接連結するロックアップクラッチ3が設けられている。なお、このロックアップクラッチ3は、油圧によって制御するように構成され、完全係合状態および完全解放状態、ならびにこれらの中間の状態であるスリップ状態に制御され、さらにそのスリップ回転数を適宜に制御できるようになっている。
【0018】
前後進切換機構2は、エンジン5の回転方向が一方向に限られていることに伴って採用されている機構であって、入力されたトルクをそのまま出力し、また反転して出力するように構成されている。図5に示す例では、前後進切換機構2としてダブルピニオン型の遊星歯車機構が採用されている。すなわち、サンギヤ6と同心円上にリングギヤ7が配置され、これらのサンギヤ6とリングギヤ7との間に、サンギヤ6に噛合したピニオンギヤ8とそのピニオンギヤ8およびリングギヤ7に噛合した他のピニオンギヤ9とが配置され、これらのピニオンギヤ8,9がキャリヤ10によって自転かつ公転自在に保持されている。そして、二つの回転要素(具体的にはサンギヤ6とキャリヤ10と)を一体的に連結する前進用クラッチ11が設けられ、またリングギヤ7を選択的に固定することにより、出力されるトルクの方向を反転する後進用ブレーキ12が設けられている。
【0019】
無段変速機1は、従来知られているベルト式無段変速機と同じ構成であって、互いに平行に配置された駆動プーリ13と従動プーリ14とのそれぞれが、固定シーブと、油圧式のアクチュエータ15,16によって軸線方向に前後動させられる可動シーブとによって構成されている。したがって各プーリ13,14の溝幅が、可動シーブを軸線方向に移動させることにより変化し、それに伴って各プーリ13,14に巻掛けたベルト17の巻掛け半径(プーリ13,14の有効径)が連続的に変化し、変速比が無段階に変化するようになっている。そして、上記の駆動プーリ13が前後進切換機構2における出力要素であるキャリヤ10に連結されている。
【0020】
なお、従動プーリ14における油圧アクチュエータ16には、無段変速機1に入力されるトルクに応じた油圧(ライン圧もしくはその補正圧)が、図示しない油圧ポンプおよび油圧制御装置を介して供給されている。したがって、従動プーリ14における各シーブがベルト17を挟み付けることにより、ベルト17に張力が付与され、各プーリ13,14とベルト17との挟圧力(接触圧力)が確保されるようになっている。これに対して駆動プーリ13における油圧アクチュエータ15には、設定するべき変速比に応じた圧油が供給され、目標とする変速比に応じた溝幅(有効径)に設定するようになっている。
【0021】
上記の従動プーリ14が、ギヤ対18を介してディファレンシャル19に連結され、このディファレンシャル19から駆動輪20にトルクを出力するようになっている。したがって上記の駆動機構では、エンジン5と駆動輪20との間に、この発明におけるクラッチに相当するロックアップクラッチ3と無段変速機1とが直列に配列されている。
【0022】
上記の無段変速機1およびエンジン5を搭載した車両の動作状態(走行状態)を検出するために各種のセンサーが設けられている。すなわち、無段変速機1に対する入力回転数(前記タービンランナーの回転数)を検出して信号を出力するタービン回転数センサー21、駆動プーリ13の回転数を検出して信号を出力する入力回転数センサー22、従動プーリ14の回転数を検出して信号を出力する出力回転数センサー23、駆動輪20の回転数を検出して信号を出力する車輪速センサー24が設けられている。また、特には図示しないが、アクセルペダルの踏み込み量を検出して信号を出力するアクセル開度センサー、スロットルバルブの開度を検出して信号を出力するスロットル開度センサー、ブレーキペダルが踏み込まれた場合に信号を出力するブレーキセンサーなどが設けられている。
【0023】
上記の前進用クラッチ11および後進用ブレーキ12の係合・解放の制御、および前記ベルト17の挟圧力の制御、ならびに変速比の制御、さらにはロックアップクラッチ3の制御をおこなうために、変速機用電子制御装置(CVT−ECU)25が設けられている。この電子制御装置25は、一例としてマイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータおよび予め記憶しているデータに基づいて所定のプログラムに従って演算をおこない、前進や後進あるいはニュートラルなどの各種の状態、および要求される挟圧力の設定、ならびに変速比の設定、ロックアップクラッチ3の係合・解放ならびにスリップ回転数などの制御を実行するように構成されている。
【0024】
ここで、変速機用電子制御装置25に入力されているデータ(信号)の例を示すと、無段変速機1の入力回転数Ninの信号、無段変速機1の出力回転数No の信号が、それぞれに対応するセンサ(図示せず)から入力されている。また、エンジン5を制御するエンジン用電子制御装置(E/G−ECU)26からは、エンジン回転数Ne の信号、エンジン(E/G)負荷の信号、スロットル開度信号、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量であるアクセル開度信号などが入力されている。さらに、上記の無段変速機1は、パーキングやリバース、ニュートラル、ドライブなどの走行ポジションをシフト装置27によって選択するように構成されており、そのシフト装置27によって選択されたポジションの信号が、変速機用電子制御装置25に入力されている。
【0025】
無段変速機1によれば、入力回転数であるエンジン回転数を無段階に(言い換えれば、連続的に)制御できるので、これを搭載した車両の燃費を向上できる。例えば、アクセル開度などによって表される要求駆動量と車速とに基づいて目標駆動力が求められ、その目標駆動力を得るために必要な目標出力が目標駆動力と車速とに基づいて求められ、その目標出力を最適燃費で得るためのエンジン回転数が予め用意したマップに基づいて求められ、そして、そのエンジン回転数となるように変速比が制御される。
【0026】
そのような燃費向上の利点を損なわないために、無段変速機1における動力の伝達効率が良好な状態に制御される。具体的には、無段変速機1のトルク容量すなわちベルト挟圧力が、エンジントルクに基づいて決まる目標トルクを伝達でき、かつベルト17の滑りが生じない範囲で可及的に低いベルト挟圧力に制御される。これは、定常状態もしくは準定常状態での制御である。
【0027】
これに対して、急制動や急加速、あるいは落下物や段差などに乗り上げた場合など、無段変速機1を含む駆動機構に掛かるトルクが急変する場合には、無段変速機1のトルク容量が相対的に不足してベルト17の滑りが生じる可能性が高くなる。前述したように無段変速機1に滑りが生じて部分的な摩耗などが生じると、これが無段変速機1の損傷になる場合があり、そこで、この発明の装置は、無段変速機1と直列に配列されているロックアップクラッチ3で滑りを生じさせて無段変速機1に作用するトルクを抑制し、ベルト滑りを防止するように制御する。その制御は、ロックアップクラッチ3を無段変速機1に対していわゆるトルクヒューズとして機能させる制御である。
【0028】
その場合、ロックアップクラッチ3のトルク容量(伝達トルク)は、エンジン5の出力トルクを確実に伝達でき、かつトルク変動が生じた場合には無段変速機1よりは先に滑りが生じるべく無段変速機1のトルク容量よりは小さいトルク容量である必要がある。また、この制御は、無段変速機1のトルク容量(挟圧力)を可及的に下げて動力の伝達効率を向上させるための制御であって、ロックアップクラッチ3のトルク容量が無段変速機1のトルク容量(挟圧力)の下限を規制することになるから、ロックアップクラッチ3のトルク容量は限られた狭い範囲内の値に設定することになる。
【0029】
したがって上記のいわゆるトルクヒューズ制御をおこなうにあたっては、ロックアップクラッチ3の特性の経時変化や制御のいわゆる乱れなどの変化状態が大きく影響を及ぼす。そこで、この発明の装置では、摩擦係合装置の一例であるロックアップクラッチ3の変化の状態を以下に説明するように検出かつ判定し、あるいは制御に反映させるように構成されている。
【0030】
図1はその制御の一例を説明するためのフローチャートを示しており、このフローチャートで示されるルーチンは所定の短時間毎に繰り返し実行される。先ず、ロックアップクラッチ3の変化の状態を所定期間毎に実行するために、予め定めたトリップ数に達したか否か、すなわち所定トリップ走行したか否かが判断される(ステップS1)。この判断は、例えばイグニッションスイッチやメインスイッチのON操作回数、走行距離、走行時間などによって判断することができる。
【0031】
したがってステップS1で否定的に判断された場合には、特に制御をおこなうことなくこのルーチンを抜け、図示しない他のルーチンによってトリップ数のカウントを継続する。これとは反対に所定トリップ走行してステップS1で肯定的に判断された場合には、ロックアップクラッチ3が係合状態か否か、すなわちロックアップ状態か否かが判断される(ステップS2)。この「ロックアップ状態」とは、ロックアップクラッチ3がトルク容量を保持している状態であり、したがって完全係合状態に限らず、所定の滑り(スリップ)を伴ってトルクを伝達しているいわゆるスリップ状態も含む。
【0032】
ロックアップクラッチ3が完全解放状態であることによりステップS2で否定的に判断された場合には、特に制御をおこなうことなくこのルーチンから抜ける。これに対してステップS2で肯定的に判断された場合には、ロックアップクラッチ3および無段変速機1の動作状態あるいは車両の駆動状態が判断される。言い換えれば、車両が定常走行状態もしくは準定常走行状態か否かが判断される。例えば、先ず、出力軸回転加速度ΔNo が所定の基準値ΔNo1以下か否かが判断される(ステップS3)。ここで、出力軸回転加速度とは、前述した従動プーリ14の回転速度変化率あるいは駆動輪20の回転速度変化率である。
【0033】
また、アクセルペダル開度変化量ΔPa が所定の基準値ΔPa1以下か否かが判断される(ステップS4)。このステップS4は、動力源の出力の変動状態を判断するためのものであり、したがってスロットル開度やその指令信号など、アクセルペダル開度以外の物理量の変化を判断することとしてもよい。さらに、変速比の時間変化率Δγが所定の基準値Δγ1 以下か否かが判断される(ステップS5)。要は、変速中ではないか否かが判断される。
【0034】
これらステップS3ないしステップS5のいずれでも肯定的に判断された場合には、車両が定常走行状態もしくは準定常走行状態にあることになり、その場合は、ロックアップクラッチ3の変化状態を検出し、また判定する制御に入る。具体的には、後述する所定時間の経過を示すフラグFについて判断される(ステップS6)。このフラグFは、所定時間が経過していない状態では“1”にセットされるフラグであり、したがって当初は“0”にセットされているので、制御の開始時点では、ステップS7に進み、ロックアップクラッチ(L/C)の作用圧(係合させるために供給される圧力)が予め定めた所定値、低下させられる。すなわちロックアップクラッチ3を解放側に制御する。
【0035】
ついで、ロックアップクラッチ3に滑りが生じたか否かが判断される(ステップS8)。ロックアップクラッチ3の滑りは、ロックアップクラッチ3の入力側の回転数と出力側の回転数とを対比することにより判断することができる。なお、ロックアップクラッチ3を既にスリップ制御している状態の場合には、滑り量が増大したか否かを判断することになる。
【0036】
このステップS8で否定的に判断された場合には、特に新たな制御をおこなうことなくこのルーチンから抜け、再度ステップS1から実行される。したがって、ロックアップクラッチ3に滑りが生じ、あるいはその滑り量が増大するまで、ステップS7までの制御が繰り返されることになる。その結果、ロックアップクラッチ3に滑りが生じてステップS8で肯定的に判断されると、上記のステップS7で実行されていた油圧の低下が中止される(ステップS9)。そして、その間における油圧の低下制御(この発明における係合状態の変更制御に相当する)に対する係合状態の変化の程度として、ロックアップクラッチ3の入力回転数であるエンジン回転数の時間変化率最大値ΔNemaxが更新される(ステップS10)。
【0037】
上記のステップS9で油圧の低下を中止した時点から所定時間が経過したか否かが判断される(ステップS11)。これは、制御状態が安定するのを待つためであり、したがって否定的に判断された場合には、フラグFが“1”にセットされ(ステップS12)、その後、このルーチンを一旦抜ける。そして、再度、ステップS1からの制御が繰り返されるので、上記の所定時間が経過するまでの間、エンジン回転数の時間変化率最大値ΔNemaxが更新され続ける。したがって車両が定常走行状態あるいは準定常走行状態にある場合には、ロックアップクラッチ3の係合圧を徐々に(準静的に)低下させ、その係合状態の変更制御に伴うロックアップクラッチ3の解放特性が検出される。その場合、検出過程でトルクなどの動作状態が変化することが殆どないので、精度よくロックアップクラッチ3の動作特性を検出することができる。
【0038】
所定時間が経過することによりステップS11で肯定的に判断された場合、ロックアップクラッチ3を再係合させる処理、およびロックアップクラッチ3を無段変速機1に対していわゆるトルクヒューズとして機能させるための係合圧の補正が実行される(ステップS13)。そのロックアップクラッチ3を再係合させる処理は、一例として、滑り状態にあるロックアップクラッチ3の係合圧を緩い勾配で増大させ、その過程におけるロックアップクラッチ3の入力側の回転数と出力側の回転数との比較によって再係合を判定することによりおこなわれる。こうしていわゆる滑りがゼロの係合圧が求められ、その係合圧に対して所定の余裕圧を付与(付加)した圧力が、いわゆるトルクヒューズとしての係合圧とされる。このように係合圧を設定する処理が、上記の係合圧の補正に相当する。
【0039】
図1には特には示していないが、ロックアップクラッチ3の係合圧を上記のようにして設定した後に、無段変速機1における挟圧力の低下制御が実行される。その挟圧力は、ロックアップクラッチ3をいわゆるトルクヒューズとして有効に機能させるために、滑りが生じるトルク容量に対する余裕圧が、ロックアップクラッチ3で無段変速機1よりも小さくなる挟圧力である。
【0040】
ついで、ロックアップクラッチ3の変化の状態が判定される。具体的には、前述したエンジン回転数の時間変化率最大値ΔNemaxが予め定めた判定基準値ΔNemax1 以上か否かが判断される(ステップS14)。例えば摩擦面が劣化したり、摩擦面を湿潤しているオイルが劣化したりすると、摩擦係数μと滑り速度Vとの関係で決まるμ−V特性が悪化して、滑り速度の増大と共に摩擦係数が低下する特性となる。したがって上述したように係合圧を低下させた場合、劣化が進行している場合には、滑り速度すなわちエンジン回転数の変化量が、劣化が進行していない場合より大きくなる。したがってエンジン回転数の時間変化率最大値ΔNemaxを評価することにより、ロックアップクラッチ3の劣化の程度(変化の状態の程度)を判定することができる。
【0041】
したがってステップS14で肯定的に判断された場合には、ロックアップクラッチ3あるいはオイルの劣化が進行していてロックアップクラッチ3を所期どおりに制御できない可能性があるので、例えばオイルの交換の指示が出力され、また無段変速機1における挟圧力を低下させる制御が実行されていた場合にその挟圧力低下制御が中止される(ステップS15)。その後、前記フラグFおよびトリップカウンタをクリアーした後(ステップS16)、このルーチンを終了する。
【0042】
一方、ステップS14で否定的に判断された場合には、ロックアップクラッチ3あるいはオイルの劣化が特には進行しておらず、ロックアップクラッチ3を所期どおりに制御できるので、それ以上の制御を特におこなうことなく、このルーチンを抜ける。すなわち、ロックアップクラッチ3が無段変速機1に対するいわゆるトルクヒューズとなるように制御され、同時に無段変速機1の挟圧力の低下制御が継続される。
【0043】
なお、上記のステップS15の制御は、ダイアグノーシスによって電気的なアクチュエータのフェールが診断されていないことを条件として実行することとしてもよい。あるいはオイルの交換指示は、所定の走行基準を超えたことを条件として実行することとしてもよい。また、劣化が判定された場合、上記のステップS15の制御と併せて、ロックアップクラッチ3の通常の解放時の解放特性を解放速度が上がるように変更することとしてもよい。
【0044】
ところで、車両が定常走行状態および準定常走行状態にない場合、すなわち上記のステップS3ないしステップS5のいずれかで否定的に判断された場合、それぞれの状況に対応した処理が実行され(ステップS17)、その後、図1のルーチンから抜ける。このステップS17は、図1のフローチャートで示す制御がある程度進行した後に、ステップS3ないしステップS5のいずれかの条件が不成立になった場合の処理をおこなうためのものであり、したがってその処理の内容は、各種のカウンタや記憶値などの初期化あるいはフラグFのクリア、ロックアップクラッチ3の再係合処理などを含む。
【0045】
したがって図1に示すルーチンを実行するように構成したこの発明の装置によれば、出力軸回転速度の変化率が所定範囲以内であって安定している状態(ステップS3で肯定的に判断された場合)において、ロックアップクラッチ3の劣化などの変化の状態を検出し(ステップS10)、その検出した結果に基づいて変化の状態を判定する(ステップS14)ので、路面からのいわゆる外乱のない状態で検出および判定をおこなうことができ、その結果、ロックアップクラッチ3の変化の状態を精度よく判定することができる。また、上記のステップS13の制御は、ステップS10で検出された変化の状態に基づく制御となる。そのため、ロックアップクラッチ3の実際の動作特性を加味した変速機の制御(特に係合・解放圧の制御)が可能になり、変速機の制御精度を向上させることができる。さらに、図1に示す例では、ロックアップクラッチ3を解放側に制御した後、再係合させ、かつその再係合時の係合圧に所定の余裕圧を付与した係合圧でロックアップクラッチ3を係合させ、その余裕圧に対して無段変速機1の挟圧力の余裕圧が小さくなるように制御するいわゆるトルクヒューズ制御の過程でロックアップクラッチ3の変化の状態(例えば劣化)を検出もしくは判定することができる。
【0046】
なお、図1に示す例では、今回検出されたエンジン回転数の時間変化率最大値ΔNemaxを所定の判定基準値ΔNemax1 と比較することによりロックアップクラッチ3の変化の状態を判定するように構成したが、これに替えて、図2に示すように、前回の値ΔNemax(n−1) と今回の値ΔNemax(n) との差の絶対値が、所定の判定基準値ΔNemax1 以上か否かを判断することとしてもよい。あるいは直近の数回の値の平均値と過去数回の値の平均値との差の絶対値を評価することにより、ロックアップクラッチ3の変化の状態を判定することとしてもよい。
【0047】
ロックアップクラッチ3の動作特性の変化は、所定の滑り状態もしくは係合状態を設定するのに必要とする係合圧の変化として現れることがあるので、上記の図1に示すステップS14は図3に示すように変更してもよい。すなわち図3に示すステップS14では、ロックアップクラッチ3の滑り判定時における油圧指令値の当初設定値からの低下量ΔPL/C が所定の判断基準値ΔPL/C1以上か否かが判断される。そして、肯定的に判断された場合には、ロックアップクラッチ3の変化の状態が大きいとして前述したステップS15およびステップS16の制御が実行される。
【0048】
ロックアップクラッチ3の係合圧は、エンジン5側から入力されるトルクに応じて高くなるのが一般的である。したがってエンジントルクを複数の領域(ゾーン)に区分し、その区分された領域毎にロックアップクラッチ3の係合圧の設定制御や低下制御などを実行するのが実用的である。そのような領域分けをおこなっている場合には、上述した油圧の低下量ΔPL/C をトルク領域毎に検出し、検出された低下量ΔPL/C を隣接する領域について既に検出されている低下量ΔPL/C に基づいて評価することにより、図1ないし図3に示すステップS14での判定に替えることとしてもよい。
【0049】
図4はその具体例を示しており、所定のトルク領域について検出された低下量ΔPL/C(Z)と、その領域を挟んだ両側のトルク領域について検出されている低下量ΔPL/C(Z−1),ΔPL/C(Z+1)の平均値との差の絶対値が、所定の判断基準値ΔPL/C1以上か否かが判断される。この図4に示すステップS14で肯定的に判断された場合には、ロックアップクラッチ3の変化の状態が大きいとして前述したステップS15およびステップS16の制御が実行される。
【0050】
上述した具体例では、ロックアップクラッチ3を無段変速機1に対するいわゆるトルクヒューズとして機能させる制御の過程でロックアップクラッチ3の変化の状態(特性の変化)を検出し、かつ判定するように構成してあるので、ロックアップクラッチ3を解放側に制御する場合および係合側に制御する場合のいずれも係合圧の変化勾配を小さく設定してある。ロックアップクラッチ3などの摩擦係合装置の係合圧をこのようにゆっくり変化させた場合、劣化が進行しているとジャダーが発生しやすい。そこで、上述したエンジン回転数の時間変化率最大値ΔNemaxの検出やそれに基づく判定に替えて、ジャダーを検出し、ジャダーの有無によってロックアップクラッチ3の変化の状態の判定をおこなうこととしてもよい。なお、ジャダーは伝達トルクが周期的に変動する自励振動であるから、トルクや回転数の変化として検出することができる。
【0051】
なお、上述したロックアップクラッチなどの油圧によって係合・解放の制御が行われる摩擦係合装置の係合・解放特性は、その摩擦係数の変化あるいは摩擦係数に影響を及ぼすオイルの変化などによって変化するが、これ以外に、係合圧によっても影響を受ける。したがって上述したこの発明に係る装置によれば、油圧の制御系統の異常に起因する状態変化を判定することもできる。
【0052】
また、上記の具体例では、ロックアップクラッチを例に採って説明したが、この発明で対象とする摩擦係合装置は、一般的な摩擦クラッチや摩擦ブレーキであってよく、さらに無段変速機の出力側に配置されている摩擦係合装置であっもよい。さらに、この発明における無段変速機は、ベルト式のもの以外にトラクション式無段変速機であっもよい。
【0053】
ここで、上記の具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、図1に示すステップS3の機能的手段が、この発明の回転速度変化率検出手段に相当し、ステップS10の機能的手段が、この発明の係合状態検出手段に相当し、ステップS14の機能的手段が、この発明の変化状態判定手段に相当し、ステップS13の機能的手段が、この発明の制御手段に相当し、さらにステップS13およびステップS14の機能的手段が、請求項3における「摩擦係合装置の変化の状態を判定し、もしくは係合・解放制御する手段」に相当する。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、摩擦係合装置に対して出力側の所定の回転部材の回転速度変化率が所定範囲以内であることが検出された場合に、摩擦係合装置の係合状態を変化させる制御が実行され、その制御に対する摩擦係合装置の係合状態の変化の程度が検出され、さらにその検出された係合状態の変化の程度に基づいて、摩擦係合装置の変化状態が判定されるから、摩擦係合装置に対する入力側からのトルクおよび出力側から入力されるトルクのいずれもか所定範囲内に入っているいわゆる安定的な状態で摩擦係合装置の変化状態が判定され、その結果、摩擦係合装置の変化の状態を精度良く判定することができる。
【0055】
また、請求項2の発明によれば、摩擦係合装置に対して出力側の所定の回転部材の回転速度変化率が所定範囲以内であることが検出された場合に、摩擦係合装置の係合状態を変化させる制御が実行され、その制御に対する摩擦係合装置の係合状態の変化の程度が検出され、さらにその検出された係合状態の変化の程度に基づいて、摩擦係合装置が制御されるため、摩擦係合装置に対する入力側からのトルクおよび出力側から入力されるトルクのいずれもか所定範囲内に入っているいわゆる安定的な状態で摩擦係合装置の変化の状態が検出され、この検出結果が制御に反映されるので、摩擦係合装置の係合・解放制御の制御精度を向上させることができる。
【0056】
さらに、請求項3の発明によれば、無段変速機での滑りに対するトルク容量の余裕よりも摩擦係合装置における滑りに対するトルク容量の余裕が小さくなるように摩擦係合装置の係合圧を設定する過程で、その係合状態の変更制御に対する摩擦係合装置の係合状態の変化の程度が検出され、その検出結果に基づいて摩擦係合装置の変化の状態が判定され、もしくは係合・解放制御されるため、摩擦係合装置の変化の状態を正確に判定でき、あるいは摩擦係合装置の制御精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の制御装置による制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【図2】そのフローチャートのステップS13の他の例を示す説明図である。
【図3】図1のフローチャートのステップS13の更に他の例を示す説明図である。
【図4】図1のフローチャートのステップS13のまた更に他の例を示す説明図である。
【図5】この発明に係る摩擦係合装置および無段変速機を搭載した車両の駆動機構および制御系統を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…無段変速機、 3…ロックアップクラッチ、 5…エンジン(動力源)、13…駆動プーリ、 14…従動プーリ、 15,16…アクチュエータ、 17…ベルト、 20…駆動輪、 25…変速機用電子制御装置(CVT−ECU)。
【発明の属する技術分野】
この発明は、二つの部材の間で選択的にトルクを伝達するクラッチなどの摩擦係合装置の特性変化を判定する装置およびその判定の結果に基づいてその係合装置の制御内容を変更する装置に関し、特に無段変速機に対して直列に配列された摩擦式クラッチを対象とする装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば車両用の変速機には、各種の摩擦式の係合装置が用いられており、その例を挙げると、エンジンなどの動力源のトルクを変速機に入力する発進クラッチ、トルクコンバータに内蔵されたロックアップクラッチ、動力の伝達系路を変更して所定の変速状態を設定するシフトクラッチ、所定の回転部材をケーシングなどの固定部分に連結してその回転を止めるブレーキなどが知られている。また、これらの係合装置の形式は、単板式、多板式、乾式、湿式、バンド式など各種のものが存在する。
【0003】
これらの摩擦係合装置で伝達される動力は、その摩擦面で生じる摩擦力に応じた動力であり、またその摩擦力は、摩擦係数と摩擦面に作用する垂直荷重(係合力)によって決まる。したがって一般的には、摩擦係合装置に作用するトルクに対してトルク容量が過不足を生じないよう係合圧を制御している。また、過渡的な状態として摩擦係合装置に滑りを生じさせつつトルクを伝達させるいわゆるスリップ制御もおこなわれている。これは、入力側あるいは出力側のトルクの変動を、摩擦係合装置の滑りとして吸収させ、しかもトルクを伝達させるためである。
【0004】
このように摩擦係合装置を係合させ、あるいは滑り制御する場合、係合圧とトルク容量(伝達トルク)とに、摩擦係数をパラメータとした所定の関係が成立していることを前提に係合圧の制御がおこなわれている。したがって摩擦係数が想定した値からずれていれば、所期のトルク容量を設定できないので、出力側に現れるトルクが不足したり、あるいは滑り制御を実行できなくなるなどの事態が生じる。また、スティックスリップやジャダーなどの自励振動が発生することもある。なお、このような不測の事態は、摩擦係数に異常がなくても、係合圧の制御に異常がある場合にも同様に生じる。
【0005】
そこで従来、摩擦係合装置の劣化の状態を検出する装置が、特開平9−42440号公報で提案されている。この公報に記載された発明は、摩擦材やオイルの劣化を検出することを目的とした発明であり、クラッチの入力回転数と出力回転数との差であるスリップ量を連続的に変化させ、その間における入力回転数などスリップ量変化に関連して変化する物理量を検出し、その物理量の変化に基づいて摩擦材やオイルの劣化を判定するように構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の公報に記載された発明では、クラッチをスリップ状態に制御し、かつそのスリップ量を変化させるから、クラッチのスリップ制御が可能なことが前提条件となる。また、上記の公報の記載によれば、スロットル開度およびその変化率がそれぞれ所定範囲以内であること、変速中でないことを条件としてスリップ量を変更し、かつそれに伴う物理量の変化に基づいて劣化を判定している。
【0007】
しかしながら、車両の変速機に使用されている摩擦係合装置は、走行のための動力を伝達し、あるいはそのための反力を与えるために係合する装置であるから、エンジンなどの動力源から加わるトルク以外に、走行路面の変化に伴って駆動輪側から入力されるトルクもその摩擦係合装置に作用する。そのため、上記の公報に記載されている条件の成立をもって劣化の判定をおこなうとすれば、その過程で出力側から入力されたトルクによる摩擦係合装置の滑りもスリップ量の変化として検出されてしまい、その結果、劣化の判定精度が低下する可能性がある。
【0008】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、摩擦材や潤滑油の劣化を含む各種の要因による摩擦係合装置の特性の変化を正確に検出する装置およびその検出結果に基づいて摩擦係合装置の制御内容を変更する制御装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、係合・解放制御されかつ係合時には摩擦力によってトルクを伝達する摩擦係合装置における状態変化を判定する摩擦係合装置の状態変化判定装置において、前記摩擦係合装置の出力側に連結されている所定の回転部材の回転速度変化率が予め定めた所定範囲以内であることを検出する回転速度変化率検出手段と、前記回転部材の回転速度変化率が所定範囲以内であることが前記回転速度変化率検出手段によって検出されている場合に、前記摩擦係合装置の係合状態の変更制御に対する係合状態の変化の程度を検出する係合状態検出手段と、その係合状態検出手段で検出された前記係合状態の変化の程度に基づいて前記摩擦係合装置の変化の状態を判定する変化状態判定手段とを備えていることを特徴とする装置である。
【0010】
したがって請求項1の発明では、摩擦係合装置に対して出力側の所定の回転部材の回転速度変化率が所定範囲以内であることが検出された場合に、摩擦係合装置の係合状態を変化させる制御が実行され、その制御に対する摩擦係合装置の係合状態の変化の程度が検出され、さらにその検出された係合状態の変化の程度に基づいて、摩擦係合装置の変化状態が判定される。すなわち、摩擦係合装置に対する入力側からのトルクおよび出力側から入力されるトルクのいずれもか所定範囲内に入っているいわゆる安定的な状態で摩擦係合装置の変化状態が判定され、その結果、判定精度が良好になる。
【0011】
また、請求項2の発明は、係合・解放制御されかつ係合時には摩擦力によってトルクを伝達することにより所定の変速状態を設定する摩擦係合装置の制御装置において、前記摩擦係合装置の出力側に連結されている所定の回転部材の回転速度変化率が予め定めた所定範囲以内であることを検出する回転速度変化率検出手段と、前記回転部材の回転速度変化率が所定範囲以内であることが前記回転速度変化率検出手段によって検出されている場合に、前記摩擦係合装置の係合状態の変更制御に対する係合状態の変化の程度を検出する係合状態検出手段と、その係合状態検出手段で検出された前記係合状態の変化の程度に基づいて前記摩擦係合装置を係合・解放制御する制御手段とを備えていることを特徴とする制御装置である。
【0012】
したがって請求項2の発明では、摩擦係合装置に対して出力側の所定の回転部材の回転速度変化率が所定範囲以内であることが検出された場合に、摩擦係合装置の係合状態を変化させる制御が実行され、その制御に対する摩擦係合装置の係合状態の変化の程度が検出され、さらにその検出された係合状態の変化の程度に基づいて、摩擦係合装置が制御される。そのため、摩擦係合装置に対する入力側からのトルクおよび出力側から入力されるトルクのいずれもか所定範囲内に入っているいわゆる安定的な状態で摩擦係合装置の変化の状態が検出され、この検出結果が制御に反映されるので、摩擦係合装置の係合・解放制御の制御精度が良好になる。
【0013】
さらに、請求項3の発明は、トルク容量が連続的に変化する摩擦係合装置が無段変速機に対して直列に連結され、その摩擦係合装置および無段変速機に作用するトルクが所定範囲以内でありかつ前記摩擦係合装置および無段変速機に対して出力側の所定の回転部材の回転速度変化率が予め定めた所定範囲以内である状態において、その摩擦係合装置を解放側に制御して滑りを生じさせるとともにその後に再係合させることにより、その再係合時のトルク容量に基づいて前記摩擦係合装置のトルク容量を、その摩擦係合装置が前記無段変速機よりも先に滑るように、無段変速機のトルク容量より相対的に小さく設定する摩擦係合装置の制御装置であって、前記摩擦係合装置を解放側に制御するとともにその後に再係合させる過程における前記摩擦係合装置の係合状態の変更制御に対する係合状態の変化の程度を検出する係合状態検出手段と、その係合状態検出手段で検出された前記係合状態の変化の程度に基づいて前記摩擦係合装置の変化の状態を判定し、もしくは係合・解放制御する手段とを備えていることを特徴とする制御装置である。
【0014】
したがって請求項3の発明では、作用するトルクおよび出力側の回転部材の回転速度変化率がそれぞれ所定範囲内にある場合に、摩擦係合装置が解放側に制御されて滑りが生じ、かつその後に係合側に制御されて再係合し、その再係合時のトルク容量に基づいて摩擦係合装置のトルク容量が、無段変速機に対して摩擦係合装置に先に滑りが生じるように無段変速機のトルク容量より相対的に小さく設定される。摩擦係合装置を上記のように解放側に制御した後、係合側に制御して再係合させる過程で、その係合状態の変更制御に対する摩擦係合装置の係合状態の変化の程度が検出され、その検出結果に基づいて摩擦係合装置の変化の状態が判定され、もしくは係合・解放制御される。そのため、摩擦係合装置の変化の状態が正確に判定され、あるいは摩擦係合装置の制御精度が良好になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とする車両の駆動機構およびその制御系統について説明すると、図5は、ベルト式無段変速機1を変速機として含む駆動機構を模式的に示しており、その無段変速機1は、前後進切換機構2およびロックアップクラッチ3付きの流体伝動機構4を介して動力源5に連結されている。
【0016】
その動力源5は、内燃機関、あるいは内燃機関と電動機、もしくは電動機などによって構成され、要は、走行のための動力を発生する駆動部材である。なお、以下の説明では、動力源5をエンジン5と記す。また、流体伝動機構4は、例えば従来のトルクコンバータと同様の構成であって、エンジン5によって回転させられるポンプインペラとこれに対向させて配置したタービンランナーと、これらの間に配置したステータとを有し、ポンプインペラで発生させたフルードの螺旋流をタービンランナーに供給することよりタービンランナーを回転させ、トルクを伝達するように構成されている。
【0017】
このような流体を介したトルクの伝達では、ポンプインペラとタービンランナーとの間に不可避的な滑りが生じ、これが動力伝達効率の低下要因となるので、ポンプインペラなどの入力側の部材とタービンランナーなどの出力側の部材とを直接連結するロックアップクラッチ3が設けられている。なお、このロックアップクラッチ3は、油圧によって制御するように構成され、完全係合状態および完全解放状態、ならびにこれらの中間の状態であるスリップ状態に制御され、さらにそのスリップ回転数を適宜に制御できるようになっている。
【0018】
前後進切換機構2は、エンジン5の回転方向が一方向に限られていることに伴って採用されている機構であって、入力されたトルクをそのまま出力し、また反転して出力するように構成されている。図5に示す例では、前後進切換機構2としてダブルピニオン型の遊星歯車機構が採用されている。すなわち、サンギヤ6と同心円上にリングギヤ7が配置され、これらのサンギヤ6とリングギヤ7との間に、サンギヤ6に噛合したピニオンギヤ8とそのピニオンギヤ8およびリングギヤ7に噛合した他のピニオンギヤ9とが配置され、これらのピニオンギヤ8,9がキャリヤ10によって自転かつ公転自在に保持されている。そして、二つの回転要素(具体的にはサンギヤ6とキャリヤ10と)を一体的に連結する前進用クラッチ11が設けられ、またリングギヤ7を選択的に固定することにより、出力されるトルクの方向を反転する後進用ブレーキ12が設けられている。
【0019】
無段変速機1は、従来知られているベルト式無段変速機と同じ構成であって、互いに平行に配置された駆動プーリ13と従動プーリ14とのそれぞれが、固定シーブと、油圧式のアクチュエータ15,16によって軸線方向に前後動させられる可動シーブとによって構成されている。したがって各プーリ13,14の溝幅が、可動シーブを軸線方向に移動させることにより変化し、それに伴って各プーリ13,14に巻掛けたベルト17の巻掛け半径(プーリ13,14の有効径)が連続的に変化し、変速比が無段階に変化するようになっている。そして、上記の駆動プーリ13が前後進切換機構2における出力要素であるキャリヤ10に連結されている。
【0020】
なお、従動プーリ14における油圧アクチュエータ16には、無段変速機1に入力されるトルクに応じた油圧(ライン圧もしくはその補正圧)が、図示しない油圧ポンプおよび油圧制御装置を介して供給されている。したがって、従動プーリ14における各シーブがベルト17を挟み付けることにより、ベルト17に張力が付与され、各プーリ13,14とベルト17との挟圧力(接触圧力)が確保されるようになっている。これに対して駆動プーリ13における油圧アクチュエータ15には、設定するべき変速比に応じた圧油が供給され、目標とする変速比に応じた溝幅(有効径)に設定するようになっている。
【0021】
上記の従動プーリ14が、ギヤ対18を介してディファレンシャル19に連結され、このディファレンシャル19から駆動輪20にトルクを出力するようになっている。したがって上記の駆動機構では、エンジン5と駆動輪20との間に、この発明におけるクラッチに相当するロックアップクラッチ3と無段変速機1とが直列に配列されている。
【0022】
上記の無段変速機1およびエンジン5を搭載した車両の動作状態(走行状態)を検出するために各種のセンサーが設けられている。すなわち、無段変速機1に対する入力回転数(前記タービンランナーの回転数)を検出して信号を出力するタービン回転数センサー21、駆動プーリ13の回転数を検出して信号を出力する入力回転数センサー22、従動プーリ14の回転数を検出して信号を出力する出力回転数センサー23、駆動輪20の回転数を検出して信号を出力する車輪速センサー24が設けられている。また、特には図示しないが、アクセルペダルの踏み込み量を検出して信号を出力するアクセル開度センサー、スロットルバルブの開度を検出して信号を出力するスロットル開度センサー、ブレーキペダルが踏み込まれた場合に信号を出力するブレーキセンサーなどが設けられている。
【0023】
上記の前進用クラッチ11および後進用ブレーキ12の係合・解放の制御、および前記ベルト17の挟圧力の制御、ならびに変速比の制御、さらにはロックアップクラッチ3の制御をおこなうために、変速機用電子制御装置(CVT−ECU)25が設けられている。この電子制御装置25は、一例としてマイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータおよび予め記憶しているデータに基づいて所定のプログラムに従って演算をおこない、前進や後進あるいはニュートラルなどの各種の状態、および要求される挟圧力の設定、ならびに変速比の設定、ロックアップクラッチ3の係合・解放ならびにスリップ回転数などの制御を実行するように構成されている。
【0024】
ここで、変速機用電子制御装置25に入力されているデータ(信号)の例を示すと、無段変速機1の入力回転数Ninの信号、無段変速機1の出力回転数No の信号が、それぞれに対応するセンサ(図示せず)から入力されている。また、エンジン5を制御するエンジン用電子制御装置(E/G−ECU)26からは、エンジン回転数Ne の信号、エンジン(E/G)負荷の信号、スロットル開度信号、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量であるアクセル開度信号などが入力されている。さらに、上記の無段変速機1は、パーキングやリバース、ニュートラル、ドライブなどの走行ポジションをシフト装置27によって選択するように構成されており、そのシフト装置27によって選択されたポジションの信号が、変速機用電子制御装置25に入力されている。
【0025】
無段変速機1によれば、入力回転数であるエンジン回転数を無段階に(言い換えれば、連続的に)制御できるので、これを搭載した車両の燃費を向上できる。例えば、アクセル開度などによって表される要求駆動量と車速とに基づいて目標駆動力が求められ、その目標駆動力を得るために必要な目標出力が目標駆動力と車速とに基づいて求められ、その目標出力を最適燃費で得るためのエンジン回転数が予め用意したマップに基づいて求められ、そして、そのエンジン回転数となるように変速比が制御される。
【0026】
そのような燃費向上の利点を損なわないために、無段変速機1における動力の伝達効率が良好な状態に制御される。具体的には、無段変速機1のトルク容量すなわちベルト挟圧力が、エンジントルクに基づいて決まる目標トルクを伝達でき、かつベルト17の滑りが生じない範囲で可及的に低いベルト挟圧力に制御される。これは、定常状態もしくは準定常状態での制御である。
【0027】
これに対して、急制動や急加速、あるいは落下物や段差などに乗り上げた場合など、無段変速機1を含む駆動機構に掛かるトルクが急変する場合には、無段変速機1のトルク容量が相対的に不足してベルト17の滑りが生じる可能性が高くなる。前述したように無段変速機1に滑りが生じて部分的な摩耗などが生じると、これが無段変速機1の損傷になる場合があり、そこで、この発明の装置は、無段変速機1と直列に配列されているロックアップクラッチ3で滑りを生じさせて無段変速機1に作用するトルクを抑制し、ベルト滑りを防止するように制御する。その制御は、ロックアップクラッチ3を無段変速機1に対していわゆるトルクヒューズとして機能させる制御である。
【0028】
その場合、ロックアップクラッチ3のトルク容量(伝達トルク)は、エンジン5の出力トルクを確実に伝達でき、かつトルク変動が生じた場合には無段変速機1よりは先に滑りが生じるべく無段変速機1のトルク容量よりは小さいトルク容量である必要がある。また、この制御は、無段変速機1のトルク容量(挟圧力)を可及的に下げて動力の伝達効率を向上させるための制御であって、ロックアップクラッチ3のトルク容量が無段変速機1のトルク容量(挟圧力)の下限を規制することになるから、ロックアップクラッチ3のトルク容量は限られた狭い範囲内の値に設定することになる。
【0029】
したがって上記のいわゆるトルクヒューズ制御をおこなうにあたっては、ロックアップクラッチ3の特性の経時変化や制御のいわゆる乱れなどの変化状態が大きく影響を及ぼす。そこで、この発明の装置では、摩擦係合装置の一例であるロックアップクラッチ3の変化の状態を以下に説明するように検出かつ判定し、あるいは制御に反映させるように構成されている。
【0030】
図1はその制御の一例を説明するためのフローチャートを示しており、このフローチャートで示されるルーチンは所定の短時間毎に繰り返し実行される。先ず、ロックアップクラッチ3の変化の状態を所定期間毎に実行するために、予め定めたトリップ数に達したか否か、すなわち所定トリップ走行したか否かが判断される(ステップS1)。この判断は、例えばイグニッションスイッチやメインスイッチのON操作回数、走行距離、走行時間などによって判断することができる。
【0031】
したがってステップS1で否定的に判断された場合には、特に制御をおこなうことなくこのルーチンを抜け、図示しない他のルーチンによってトリップ数のカウントを継続する。これとは反対に所定トリップ走行してステップS1で肯定的に判断された場合には、ロックアップクラッチ3が係合状態か否か、すなわちロックアップ状態か否かが判断される(ステップS2)。この「ロックアップ状態」とは、ロックアップクラッチ3がトルク容量を保持している状態であり、したがって完全係合状態に限らず、所定の滑り(スリップ)を伴ってトルクを伝達しているいわゆるスリップ状態も含む。
【0032】
ロックアップクラッチ3が完全解放状態であることによりステップS2で否定的に判断された場合には、特に制御をおこなうことなくこのルーチンから抜ける。これに対してステップS2で肯定的に判断された場合には、ロックアップクラッチ3および無段変速機1の動作状態あるいは車両の駆動状態が判断される。言い換えれば、車両が定常走行状態もしくは準定常走行状態か否かが判断される。例えば、先ず、出力軸回転加速度ΔNo が所定の基準値ΔNo1以下か否かが判断される(ステップS3)。ここで、出力軸回転加速度とは、前述した従動プーリ14の回転速度変化率あるいは駆動輪20の回転速度変化率である。
【0033】
また、アクセルペダル開度変化量ΔPa が所定の基準値ΔPa1以下か否かが判断される(ステップS4)。このステップS4は、動力源の出力の変動状態を判断するためのものであり、したがってスロットル開度やその指令信号など、アクセルペダル開度以外の物理量の変化を判断することとしてもよい。さらに、変速比の時間変化率Δγが所定の基準値Δγ1 以下か否かが判断される(ステップS5)。要は、変速中ではないか否かが判断される。
【0034】
これらステップS3ないしステップS5のいずれでも肯定的に判断された場合には、車両が定常走行状態もしくは準定常走行状態にあることになり、その場合は、ロックアップクラッチ3の変化状態を検出し、また判定する制御に入る。具体的には、後述する所定時間の経過を示すフラグFについて判断される(ステップS6)。このフラグFは、所定時間が経過していない状態では“1”にセットされるフラグであり、したがって当初は“0”にセットされているので、制御の開始時点では、ステップS7に進み、ロックアップクラッチ(L/C)の作用圧(係合させるために供給される圧力)が予め定めた所定値、低下させられる。すなわちロックアップクラッチ3を解放側に制御する。
【0035】
ついで、ロックアップクラッチ3に滑りが生じたか否かが判断される(ステップS8)。ロックアップクラッチ3の滑りは、ロックアップクラッチ3の入力側の回転数と出力側の回転数とを対比することにより判断することができる。なお、ロックアップクラッチ3を既にスリップ制御している状態の場合には、滑り量が増大したか否かを判断することになる。
【0036】
このステップS8で否定的に判断された場合には、特に新たな制御をおこなうことなくこのルーチンから抜け、再度ステップS1から実行される。したがって、ロックアップクラッチ3に滑りが生じ、あるいはその滑り量が増大するまで、ステップS7までの制御が繰り返されることになる。その結果、ロックアップクラッチ3に滑りが生じてステップS8で肯定的に判断されると、上記のステップS7で実行されていた油圧の低下が中止される(ステップS9)。そして、その間における油圧の低下制御(この発明における係合状態の変更制御に相当する)に対する係合状態の変化の程度として、ロックアップクラッチ3の入力回転数であるエンジン回転数の時間変化率最大値ΔNemaxが更新される(ステップS10)。
【0037】
上記のステップS9で油圧の低下を中止した時点から所定時間が経過したか否かが判断される(ステップS11)。これは、制御状態が安定するのを待つためであり、したがって否定的に判断された場合には、フラグFが“1”にセットされ(ステップS12)、その後、このルーチンを一旦抜ける。そして、再度、ステップS1からの制御が繰り返されるので、上記の所定時間が経過するまでの間、エンジン回転数の時間変化率最大値ΔNemaxが更新され続ける。したがって車両が定常走行状態あるいは準定常走行状態にある場合には、ロックアップクラッチ3の係合圧を徐々に(準静的に)低下させ、その係合状態の変更制御に伴うロックアップクラッチ3の解放特性が検出される。その場合、検出過程でトルクなどの動作状態が変化することが殆どないので、精度よくロックアップクラッチ3の動作特性を検出することができる。
【0038】
所定時間が経過することによりステップS11で肯定的に判断された場合、ロックアップクラッチ3を再係合させる処理、およびロックアップクラッチ3を無段変速機1に対していわゆるトルクヒューズとして機能させるための係合圧の補正が実行される(ステップS13)。そのロックアップクラッチ3を再係合させる処理は、一例として、滑り状態にあるロックアップクラッチ3の係合圧を緩い勾配で増大させ、その過程におけるロックアップクラッチ3の入力側の回転数と出力側の回転数との比較によって再係合を判定することによりおこなわれる。こうしていわゆる滑りがゼロの係合圧が求められ、その係合圧に対して所定の余裕圧を付与(付加)した圧力が、いわゆるトルクヒューズとしての係合圧とされる。このように係合圧を設定する処理が、上記の係合圧の補正に相当する。
【0039】
図1には特には示していないが、ロックアップクラッチ3の係合圧を上記のようにして設定した後に、無段変速機1における挟圧力の低下制御が実行される。その挟圧力は、ロックアップクラッチ3をいわゆるトルクヒューズとして有効に機能させるために、滑りが生じるトルク容量に対する余裕圧が、ロックアップクラッチ3で無段変速機1よりも小さくなる挟圧力である。
【0040】
ついで、ロックアップクラッチ3の変化の状態が判定される。具体的には、前述したエンジン回転数の時間変化率最大値ΔNemaxが予め定めた判定基準値ΔNemax1 以上か否かが判断される(ステップS14)。例えば摩擦面が劣化したり、摩擦面を湿潤しているオイルが劣化したりすると、摩擦係数μと滑り速度Vとの関係で決まるμ−V特性が悪化して、滑り速度の増大と共に摩擦係数が低下する特性となる。したがって上述したように係合圧を低下させた場合、劣化が進行している場合には、滑り速度すなわちエンジン回転数の変化量が、劣化が進行していない場合より大きくなる。したがってエンジン回転数の時間変化率最大値ΔNemaxを評価することにより、ロックアップクラッチ3の劣化の程度(変化の状態の程度)を判定することができる。
【0041】
したがってステップS14で肯定的に判断された場合には、ロックアップクラッチ3あるいはオイルの劣化が進行していてロックアップクラッチ3を所期どおりに制御できない可能性があるので、例えばオイルの交換の指示が出力され、また無段変速機1における挟圧力を低下させる制御が実行されていた場合にその挟圧力低下制御が中止される(ステップS15)。その後、前記フラグFおよびトリップカウンタをクリアーした後(ステップS16)、このルーチンを終了する。
【0042】
一方、ステップS14で否定的に判断された場合には、ロックアップクラッチ3あるいはオイルの劣化が特には進行しておらず、ロックアップクラッチ3を所期どおりに制御できるので、それ以上の制御を特におこなうことなく、このルーチンを抜ける。すなわち、ロックアップクラッチ3が無段変速機1に対するいわゆるトルクヒューズとなるように制御され、同時に無段変速機1の挟圧力の低下制御が継続される。
【0043】
なお、上記のステップS15の制御は、ダイアグノーシスによって電気的なアクチュエータのフェールが診断されていないことを条件として実行することとしてもよい。あるいはオイルの交換指示は、所定の走行基準を超えたことを条件として実行することとしてもよい。また、劣化が判定された場合、上記のステップS15の制御と併せて、ロックアップクラッチ3の通常の解放時の解放特性を解放速度が上がるように変更することとしてもよい。
【0044】
ところで、車両が定常走行状態および準定常走行状態にない場合、すなわち上記のステップS3ないしステップS5のいずれかで否定的に判断された場合、それぞれの状況に対応した処理が実行され(ステップS17)、その後、図1のルーチンから抜ける。このステップS17は、図1のフローチャートで示す制御がある程度進行した後に、ステップS3ないしステップS5のいずれかの条件が不成立になった場合の処理をおこなうためのものであり、したがってその処理の内容は、各種のカウンタや記憶値などの初期化あるいはフラグFのクリア、ロックアップクラッチ3の再係合処理などを含む。
【0045】
したがって図1に示すルーチンを実行するように構成したこの発明の装置によれば、出力軸回転速度の変化率が所定範囲以内であって安定している状態(ステップS3で肯定的に判断された場合)において、ロックアップクラッチ3の劣化などの変化の状態を検出し(ステップS10)、その検出した結果に基づいて変化の状態を判定する(ステップS14)ので、路面からのいわゆる外乱のない状態で検出および判定をおこなうことができ、その結果、ロックアップクラッチ3の変化の状態を精度よく判定することができる。また、上記のステップS13の制御は、ステップS10で検出された変化の状態に基づく制御となる。そのため、ロックアップクラッチ3の実際の動作特性を加味した変速機の制御(特に係合・解放圧の制御)が可能になり、変速機の制御精度を向上させることができる。さらに、図1に示す例では、ロックアップクラッチ3を解放側に制御した後、再係合させ、かつその再係合時の係合圧に所定の余裕圧を付与した係合圧でロックアップクラッチ3を係合させ、その余裕圧に対して無段変速機1の挟圧力の余裕圧が小さくなるように制御するいわゆるトルクヒューズ制御の過程でロックアップクラッチ3の変化の状態(例えば劣化)を検出もしくは判定することができる。
【0046】
なお、図1に示す例では、今回検出されたエンジン回転数の時間変化率最大値ΔNemaxを所定の判定基準値ΔNemax1 と比較することによりロックアップクラッチ3の変化の状態を判定するように構成したが、これに替えて、図2に示すように、前回の値ΔNemax(n−1) と今回の値ΔNemax(n) との差の絶対値が、所定の判定基準値ΔNemax1 以上か否かを判断することとしてもよい。あるいは直近の数回の値の平均値と過去数回の値の平均値との差の絶対値を評価することにより、ロックアップクラッチ3の変化の状態を判定することとしてもよい。
【0047】
ロックアップクラッチ3の動作特性の変化は、所定の滑り状態もしくは係合状態を設定するのに必要とする係合圧の変化として現れることがあるので、上記の図1に示すステップS14は図3に示すように変更してもよい。すなわち図3に示すステップS14では、ロックアップクラッチ3の滑り判定時における油圧指令値の当初設定値からの低下量ΔPL/C が所定の判断基準値ΔPL/C1以上か否かが判断される。そして、肯定的に判断された場合には、ロックアップクラッチ3の変化の状態が大きいとして前述したステップS15およびステップS16の制御が実行される。
【0048】
ロックアップクラッチ3の係合圧は、エンジン5側から入力されるトルクに応じて高くなるのが一般的である。したがってエンジントルクを複数の領域(ゾーン)に区分し、その区分された領域毎にロックアップクラッチ3の係合圧の設定制御や低下制御などを実行するのが実用的である。そのような領域分けをおこなっている場合には、上述した油圧の低下量ΔPL/C をトルク領域毎に検出し、検出された低下量ΔPL/C を隣接する領域について既に検出されている低下量ΔPL/C に基づいて評価することにより、図1ないし図3に示すステップS14での判定に替えることとしてもよい。
【0049】
図4はその具体例を示しており、所定のトルク領域について検出された低下量ΔPL/C(Z)と、その領域を挟んだ両側のトルク領域について検出されている低下量ΔPL/C(Z−1),ΔPL/C(Z+1)の平均値との差の絶対値が、所定の判断基準値ΔPL/C1以上か否かが判断される。この図4に示すステップS14で肯定的に判断された場合には、ロックアップクラッチ3の変化の状態が大きいとして前述したステップS15およびステップS16の制御が実行される。
【0050】
上述した具体例では、ロックアップクラッチ3を無段変速機1に対するいわゆるトルクヒューズとして機能させる制御の過程でロックアップクラッチ3の変化の状態(特性の変化)を検出し、かつ判定するように構成してあるので、ロックアップクラッチ3を解放側に制御する場合および係合側に制御する場合のいずれも係合圧の変化勾配を小さく設定してある。ロックアップクラッチ3などの摩擦係合装置の係合圧をこのようにゆっくり変化させた場合、劣化が進行しているとジャダーが発生しやすい。そこで、上述したエンジン回転数の時間変化率最大値ΔNemaxの検出やそれに基づく判定に替えて、ジャダーを検出し、ジャダーの有無によってロックアップクラッチ3の変化の状態の判定をおこなうこととしてもよい。なお、ジャダーは伝達トルクが周期的に変動する自励振動であるから、トルクや回転数の変化として検出することができる。
【0051】
なお、上述したロックアップクラッチなどの油圧によって係合・解放の制御が行われる摩擦係合装置の係合・解放特性は、その摩擦係数の変化あるいは摩擦係数に影響を及ぼすオイルの変化などによって変化するが、これ以外に、係合圧によっても影響を受ける。したがって上述したこの発明に係る装置によれば、油圧の制御系統の異常に起因する状態変化を判定することもできる。
【0052】
また、上記の具体例では、ロックアップクラッチを例に採って説明したが、この発明で対象とする摩擦係合装置は、一般的な摩擦クラッチや摩擦ブレーキであってよく、さらに無段変速機の出力側に配置されている摩擦係合装置であっもよい。さらに、この発明における無段変速機は、ベルト式のもの以外にトラクション式無段変速機であっもよい。
【0053】
ここで、上記の具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、図1に示すステップS3の機能的手段が、この発明の回転速度変化率検出手段に相当し、ステップS10の機能的手段が、この発明の係合状態検出手段に相当し、ステップS14の機能的手段が、この発明の変化状態判定手段に相当し、ステップS13の機能的手段が、この発明の制御手段に相当し、さらにステップS13およびステップS14の機能的手段が、請求項3における「摩擦係合装置の変化の状態を判定し、もしくは係合・解放制御する手段」に相当する。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、摩擦係合装置に対して出力側の所定の回転部材の回転速度変化率が所定範囲以内であることが検出された場合に、摩擦係合装置の係合状態を変化させる制御が実行され、その制御に対する摩擦係合装置の係合状態の変化の程度が検出され、さらにその検出された係合状態の変化の程度に基づいて、摩擦係合装置の変化状態が判定されるから、摩擦係合装置に対する入力側からのトルクおよび出力側から入力されるトルクのいずれもか所定範囲内に入っているいわゆる安定的な状態で摩擦係合装置の変化状態が判定され、その結果、摩擦係合装置の変化の状態を精度良く判定することができる。
【0055】
また、請求項2の発明によれば、摩擦係合装置に対して出力側の所定の回転部材の回転速度変化率が所定範囲以内であることが検出された場合に、摩擦係合装置の係合状態を変化させる制御が実行され、その制御に対する摩擦係合装置の係合状態の変化の程度が検出され、さらにその検出された係合状態の変化の程度に基づいて、摩擦係合装置が制御されるため、摩擦係合装置に対する入力側からのトルクおよび出力側から入力されるトルクのいずれもか所定範囲内に入っているいわゆる安定的な状態で摩擦係合装置の変化の状態が検出され、この検出結果が制御に反映されるので、摩擦係合装置の係合・解放制御の制御精度を向上させることができる。
【0056】
さらに、請求項3の発明によれば、無段変速機での滑りに対するトルク容量の余裕よりも摩擦係合装置における滑りに対するトルク容量の余裕が小さくなるように摩擦係合装置の係合圧を設定する過程で、その係合状態の変更制御に対する摩擦係合装置の係合状態の変化の程度が検出され、その検出結果に基づいて摩擦係合装置の変化の状態が判定され、もしくは係合・解放制御されるため、摩擦係合装置の変化の状態を正確に判定でき、あるいは摩擦係合装置の制御精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の制御装置による制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【図2】そのフローチャートのステップS13の他の例を示す説明図である。
【図3】図1のフローチャートのステップS13の更に他の例を示す説明図である。
【図4】図1のフローチャートのステップS13のまた更に他の例を示す説明図である。
【図5】この発明に係る摩擦係合装置および無段変速機を搭載した車両の駆動機構および制御系統を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…無段変速機、 3…ロックアップクラッチ、 5…エンジン(動力源)、13…駆動プーリ、 14…従動プーリ、 15,16…アクチュエータ、 17…ベルト、 20…駆動輪、 25…変速機用電子制御装置(CVT−ECU)。
Claims (3)
- 係合・解放制御されかつ係合時には摩擦力によってトルクを伝達する摩擦係合装置における状態変化を判定する摩擦係合装置の状態変化判定装置において、
前記摩擦係合装置の出力側に連結されている所定の回転部材の回転速度変化率が予め定めた所定範囲以内であることを検出する回転速度変化率検出手段と、
前記回転部材の回転速度変化率が所定範囲以内であることが前記回転速度変化率検出手段によって検出されている場合に、前記摩擦係合装置の係合状態の変更制御に対する係合状態の変化の程度を検出する係合状態検出手段と、
その係合状態検出手段で検出された前記係合状態の変化の程度に基づいて前記摩擦係合装置の変化の状態を判定する変化状態判定手段と
を備えていることを特徴とする摩擦係合装置の変化状態判定装置。 - 係合・解放制御されかつ係合時には摩擦力によってトルクを伝達することにより所定の変速状態を設定する摩擦係合装置の制御装置において、
前記摩擦係合装置の出力側に連結されている所定の回転部材の回転速度変化率が予め定めた所定範囲以内であることを検出する回転速度変化率検出手段と、
前記回転部材の回転速度変化率が所定範囲以内であることが前記回転速度変化率検出手段によって検出されている場合に、前記摩擦係合装置の係合状態の変更制御に対する係合状態の変化の程度を検出する係合状態検出手段と、
その係合状態検出手段で検出された前記係合状態の変化の程度に基づいて前記摩擦係合装置を係合・解放制御する制御手段と
を備えていることを特徴とする摩擦係合装置の制御装置。 - トルク容量が連続的に変化する摩擦係合装置が無段変速機に対して直列に連結され、その摩擦係合装置および無段変速機に作用するトルクが所定範囲以内でありかつ前記摩擦係合装置および無段変速機に対して出力側の所定の回転部材の回転速度変化率が予め定めた所定範囲以内である状態において、その摩擦係合装置を解放側に制御して滑りを生じさせるとともにその後に再係合させることにより、その再係合時のトルク容量に基づいて前記摩擦係合装置のトルク容量を、その摩擦係合装置が前記無段変速機よりも先に滑るように、無段変速機のトルク容量より相対的に小さく設定する摩擦係合装置の制御装置であって、
前記摩擦係合装置を解放側に制御するとともにその後に再係合させる過程における前記摩擦係合装置の係合状態の変更制御に対する係合状態の変化の程度を検出する係合状態検出手段と、
その係合状態検出手段で検出された前記係合状態の変化の程度に基づいて前記摩擦係合装置の変化の状態を判定し、もしくは係合・解放制御する手段と
を備えていることを特徴とする摩擦係合装置の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002198030A JP2004036847A (ja) | 2002-07-05 | 2002-07-05 | 摩擦係合装置の変化状態判定装置および制御装置 |
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Publications (1)
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JP2004036847A true JP2004036847A (ja) | 2004-02-05 |
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ID=31705596
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JP2002198030A Pending JP2004036847A (ja) | 2002-07-05 | 2002-07-05 | 摩擦係合装置の変化状態判定装置および制御装置 |
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JP (1) | JP2004036847A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010511129A (ja) * | 2006-11-27 | 2010-04-08 | ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト | 車両ハイブリッドドライブトレインでクラッチを調整するための方法及び装置 |
-
2002
- 2002-07-05 JP JP2002198030A patent/JP2004036847A/ja active Pending
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