JP2004036844A - 車両の制御装置及び車両の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】摩擦係合装置の摩擦熱による損傷をより確実に防止する。
【解決手段】変速中において、終了時熱吸収量推定処理部22は、熱吸収量取得処理部18が算出した現時点の熱吸収量と、進行度検出部20が検出したイナーシャ相の進行度とに基づきイナーシャ相終了時点における熱吸収量の予測値を推定する。この推定したイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値を超えているとき、変速制御部24は、エンジントルクを下げることで摩擦熱の発生自体を抑止したり、変速が早く進行するようにクラッチ締結力を強めたり、イナーシャ相制御において目標変速時間が短くなるように補正するなど制御の状態を変更する。
【選択図】 図1
【解決手段】変速中において、終了時熱吸収量推定処理部22は、熱吸収量取得処理部18が算出した現時点の熱吸収量と、進行度検出部20が検出したイナーシャ相の進行度とに基づきイナーシャ相終了時点における熱吸収量の予測値を推定する。この推定したイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値を超えているとき、変速制御部24は、エンジントルクを下げることで摩擦熱の発生自体を抑止したり、変速が早く進行するようにクラッチ締結力を強めたり、イナーシャ相制御において目標変速時間が短くなるように補正するなど制御の状態を変更する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機を備えた車両の制御装置及びその方法、特に変速中の摩擦熱による摩擦係合装置の損傷の未然防止に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より自動車等の変速機として、自動変速機が広く利用されている。この自動変速機では、エンジン等の原動機の駆動軸を入力としてトルクコンバータのタービンを回転させ、タービン軸に連結された遊星歯車装置により所定の変速比に変速して出力軸に伝達する。そして、この遊星歯車装置の運動を規定するためにタービン軸と出力軸の間には、複数のクラッチまたはブレーキで構成される摩擦係合装置が設けられており、これらの摩擦係合装置のうち、どの摩擦係合装置を係合するかで変速比を切り換えている。
【0003】
この変速時の変速の動作についてより詳細に説明する。例えば、低速段に対応する摩擦係合装置を解放し、高速段に対応する摩擦係合装置を係合させるアップシフトの変速指令が出力されると、低速段に対応する摩擦係合装置(解放側摩擦係合装置)の解放及び高速段に対応する摩擦係合装置(係合側摩擦係合装置)の係合が開始される。このとき、変速ショックを低減するために係合側摩擦係合装置を徐々に係合させる係合滑り制御が行われる。また、解放側摩擦係合装置の解放が完了するまでの期間においては、出力軸トルクは一時的に高速段に対応する出力側トルクまで低下するが、機関回転数はほとんど変化しない。この期間は一般にトルク相と称される。
【0004】
解放側摩擦係合装置の解放が完了すると、機関回転数は高速段に対応する回転数まで低下していくが、この間、係合側摩擦係合装置の係合の進行に従って、車両の走行慣性により一時的に出力側トルクが上昇し、その後、係合側摩擦係合装置の係合完了と同期して高速段に対応する出力側トルクに低下する。この期間は一般にイナーシャ相と称される。
【0005】
このように、変速の際に行われる係合滑り制御において、摩擦係合装置の滑りにより発生する摩擦熱を摩擦材が吸収するが、その熱吸収量が所定値に達すると損傷するおそれがあるので、摩擦材の損傷を未然に防止するための手段が必要になってくる。
【0006】
例えば、特開平8−200492号公報には、発生した摩擦熱の熱量を随時算出し、摩擦材が損傷する上限として設定された所定値近傍にその算出した熱量が達したときにクラッチを急速に係合させることによりイナーシャ相時間を短縮し、発生する摩擦熱を抑制する制御装置が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来例においては、算出した熱量が所定値近傍に達してから制御状態を変更するので、係合終了時点における実際の熱量は所定値を超えている可能性がある。すなわち、制御状態を変更するタイミングが遅く、結果的に摩擦材を損傷させてしまう可能性があった。
【0008】
また、算出した熱量が所定値近傍に達したときにクラッチを急速に係合させ変速を終了させるように制御するので、変速ショックが増大するという問題があった。
【0009】
本発明は以上のような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、摩擦係合装置の摩擦熱による損傷をより確実に防止することのできる車両の制御装置及びその方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するために、本発明に係る車両の制御装置は、原動機の駆動トルクが伝達される入力軸と、負荷に駆動トルクを伝達する出力軸との間に設けられ、変速に伴い発生する摩擦熱が吸収される摩擦係合装置を有する自動変速機を備えた車両の制御装置において、前記自動変速機がイナーシャ相中であることを検出するイナーシャ相検出手段と、前記自動変速機のイナーシャ相が開始されてから現時点までの間の前記摩擦係合装置の熱吸収量を取得する熱吸収量取得処理手段と、前記自動変速機におけるイナーシャ相の進行度を検出する進行度検出手段と、前記熱吸収量取得処理手段が取得した熱吸収量と、前記進行度検出手段が検出した進行度とに基づいてイナーシャ相終了時点における前記摩擦係合装置の熱吸収量を推定する終了時熱吸収量推定処理手段と、前記終了時熱吸収量推定処理手段により推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、前記摩擦係合装置に発生する摩擦熱を減少させるように前記車両の制御状態を変更する制御状態変更手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、前記終了時熱吸収量推定処理手段は、予め設定された前記摩擦係合装置の熱吸収量推定モデルに、前記熱吸収量取得処理手段が取得した現時点熱吸収量と、前記進行度検出手段が検出した進行度とを代入することによってイナーシャ相終了時点における前記摩擦係合装置に吸収された熱吸収量を推定することを特徴とする。
【0012】
また、前記制御状態変更手段は、前記終了時熱吸収量推定処理手段により推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、前記原動機の駆動トルクを低下させることを特徴とする。
【0013】
また、前記制御状態変更手段は、前記終了時熱吸収量推定処理手段により推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、前記摩擦係合装置の係合力を増加させることを特徴とする。
【0014】
また、前記制御状態変更手段は、前記終了時熱吸収量推定処理手段により推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値を超えているときに、変速に要する前記摩擦係合装置のイナーシャ相時間が短くなるよう変速制御を行うことを特徴とする。
【0015】
更に、前記制御状態変更手段は、目標イナーシャ相時間を設定するための予め設定された目標イナーシャ相時間設定モデルに、前記熱吸収量取得処理手段が取得した現時点熱吸収量と、前記進行度検出手段が検出した進行度と、前記規定値とを代入することによって前記イナーシャ相時間を補正することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る車両の制御方法は、原動機の駆動トルクが伝達される入力軸と、負荷に駆動トルクを伝達する出力軸との間に設けられ、変速に伴い発生する摩擦熱が吸収される摩擦係合装置を有する自動変速機を備えた車両の制御方法において、前記自動変速機が変速中であるときに、前記自動変速機のイナーシャ相が開始されてから現時点までの間の前記摩擦係合装置の熱吸収量を取得する熱吸収量取得ステップと、前記熱吸収量取得ステップにより取得された熱吸収量とイナーシャ相の進行度とに基づいてイナーシャ相終了時点における前記摩擦係合装置の熱吸収量を推定する終了時熱吸収量推定ステップと、前記終了時熱吸収量推定ステップにより推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、前記摩擦係合装置に発生する摩擦熱が減少するように前記車両の制御状態を変更する制御状態変更ステップとを含むことを特徴とする。
【0017】
また、前記終了時熱吸収量推定ステップは、予め設定された前記摩擦係合装置の熱吸収量推定モデルに、前記現時点熱吸収量取得ステップにより取得された現時点熱吸収量と、イナーシャ相の進行度とを代入することによってイナーシャ相終了時点における前記摩擦係合装置に吸収された熱吸収量を推定することを特徴とする。
【0018】
また、前記制御状態変更ステップは、前記終了時熱吸収量推定ステップにより推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、原動機の駆動トルクを低下させることを特徴とする。
【0019】
また、前記制御状態変更ステップは、前記終了時熱吸収量推定ステップにより推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、前記摩擦係合装置の係合力を増加させることを特徴とする。
【0020】
また、前記制御状態変更ステップは、前記終了時熱吸収量推定ステップにより推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、変速に要する前記摩擦係合装置のイナーシャ相時間が短くなるよう変速制御を行うことを特徴とする。
【0021】
更に、前記制御状態変更ステップは、目標イナーシャ相時間を設定するための予め設定された目標イナーシャ相時間設定モデルに、前記熱吸収量取得ステップにより取得された現時点熱吸収量と、イナーシャ相の進行度と、前記規定値とを代入することによって前記イナーシャ相時間を補正することを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る車両の制御装置の一実施の形態を含む車両用動力源及び動力伝達装置を示した概略構成図である。図1には、原動機としてのエンジン2、エンジン2の出力軸4に連結されるトルクコンバータ6、摩擦係合装置8を搭載した自動変速機10、自動変速機10を変速させる油圧制御装置12、トルク制御部26を制御することによりエンジン2の出力トルクを制御し、油圧制御装置12の油圧制御を行うことにより自動変速機10における変速制御を行う電子制御装置14が示されている。エンジン2から出力される駆動トルクは、トルクコンバータ6、自動変速機10及び図示しない差動歯車装置を経て負荷としての駆動輪へ伝達される。なお、本実施の形態における車両用動力伝達装置の詳細な全体構成は、本願と同一出願人による特許出願(特願2001−390241号、発明の名称:「自動変速機の制御装置」)と同様に構成することができる。
【0024】
本実施の形態における電子制御装置14は、自動変速機10のイナーシャ相が開始されてから現時点までの間の摩擦係合装置8の熱吸収量を取得する熱吸収量取得処理部18、自動変速機10におけるイナーシャ相の進行度を検出する進行度検出部20、熱吸収量取得処理部18が取得した熱吸収量と進行度検出部20が検出した進行度とに基づいてイナーシャ相終了時点における摩擦係合装置8の熱吸収量を推定する終了時熱吸収量推定処理部22、エンジン2の駆動トルクを制御するトルク制御部26及び終了時熱吸収量推定処理部22により推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、摩擦係合装置8に発生する摩擦熱が減少するように自動変速機10の制御状態を変更する変速制御部24を有している。本実施の形態においては、変速制御部24及びトルク制御部26を本発明の制御状態変更手段として設けている。
【0025】
次に、本実施の形態における車両の制御方法について図2に示したフローチャートを用いて説明する。
【0026】
まず、進行度検出部20は、自動変速機におけるイナーシャ相の進行度を定期的に検出する(ステップ101)。そして、進行度によりイナーシャ相中であると判断したときには(ステップ102)、以降の処理(ステップ103〜106)が実行される。ここで、イナーシャ相の進行度の求め方の一例を示す。
【0027】
図3は、ドライブレンジにおいて1速から2速に変速される際のエンジン回転数の遷移を示した概念図である。図3に例示したように、変速される際の1速及び2速の各エンジン回転数並びに1速から2速に変速される途中におけるエンジン回転数の変化の遷移は既知である。従って、現時点におけるエンジン回転数がわかれば、図3に示したグラフから現在のイナーシャ相の進行度がわかる。例えば、1速から2速に変速されるときにはエンジン回転数が4000回転から3000回転まで直線的に下がると仮定すると、現時点におけるエンジン回転数が3800回転のとき、イナーシャ相の進行度は、(4000−3800)/(4000−3000)=0.2、すなわち20%となる。
【0028】
以上の説明からイナーシャ相の進行度が0%から0%より大きくなったときがイナーシャ相の開始と認識でき、0%より大きく100%に達していないときがイナーシャ相中であると認識することができる。なお、本実施の形態では、進行度検出部20が検出するイナーシャ相の進行度によってイナーシャ相の開始、イナーシャ相中であることを検出するようにしたが、電子制御装置14が制御信号として出す変速指令などを監視することでイナーシャ相の開始を検出するようにしてもよい。
【0029】
熱吸収量取得処理部18は、進行度検出部20によりイナーシャ相中であることが検出されると、現時点の熱吸収量を求める(ステップ103)。現時点の熱吸収量の取得方法は、本発明の特徴ではなく既知の手法を利用すればよい。本実施の形態においては、以下の数式(1)により現時点の熱吸収量Q(t)を算出する。
【0030】
【数1】
但し、ωはクラッチ摩擦材の相対回転数、Tはクラッチ伝達トルクである。この式から熱吸収量Q(t)は、イナーシャ相が開始されてからのω・Tの積算により算出できることがわかる。
【0031】
続いて、終了時熱吸収量推定処理部22は、熱吸収量取得処理部18が算出した現時点の熱吸収量と、進行度検出部20が検出したイナーシャ相の進行度に基づき、予め設定された摩擦係合装置8の熱吸収量推定モデルである以下の数式(2)によりイナーシャ相終了時点における熱吸収量の予測値Qを算出する(ステップ104)。この数式(2)は、
【数2】
但し、Q(t)は数式(1)で求めた現時点の熱吸収量、xは現時点のイナーシャ相の進行度である。
【0032】
以上のようにして、終了時熱吸収量推定処理部22は、イナーシャ相終了時点における熱吸収量Qを推定すると、変速制御部24は、予測熱吸収量Qと予め設定された規定値Qmaxとを比較する(ステップ105)。なお、規定値Qmaxは、摩擦係合装置8を構成するブレーキの摩擦材の材質等により決まる。耐久性のある物ほど規定値は大きい値になる。ここで、算出した予測熱吸収量Qが規定値Qmaxを超えるということは、この状態のまま変速を継続すると、イナーシャ相終了時点において摩擦係合装置8、より厳密には摩擦係合装置8を構成するクラッチの摩擦材の熱吸収量が規定値Qmax以上に達するためにクラッチの摩擦材を損傷させてしまう可能性があるということである。そこで、本実施の形態では、予測熱吸収量Qが規定値Qmaxを超えているときには、現時点以降の変速過程においてクラッチにおける熱吸収量の増加が少なくなるように車両の制御状態を変更する(ステップ106)。
【0033】
本実施の形態においては、変速の状態を変更する第一の方法としてエンジントルクを下げるように制御する。すなわち、摩擦熱の発生自体を抑止することによって摩擦係合装置8の熱吸収量の増加を少なくしようとするものである。なお、エンジントルクを下げるように制御する方法として、点火時期、燃料噴射量及びスロットル開度等のいずれか一つ若しくは組合せを制御する既知の方法を用いればよい。
【0034】
また、第二の方法として変速が早く進行するようにクラッチ締結力を制御する。すなわち、摩擦材に吸収される摩擦熱の発生自体を抑止する第一の方法に対して、第二の方法は変速を早急に終了させることで摩擦熱の吸収時間を短くしようとするものである。
【0035】
第三の方法として目標イナーシャ相時間が短くなるようにする。本実施の形態では、目標イナーシャ相時間を設定するための予め設定された目標イナーシャ相時間設定モデルである以下の数式(3)を用いて補正後の目標イナーシャ相時間を算出する。
【0036】
【数3】
但し、tirは目標イナーシャ相時間の初期値、tはイナーシャ相が開始されてから現在までの時間、Q(t)は現時点の熱吸収量、Qmaxは規定値、Qはイナーシャ相終了時点における熱吸収量である。
【0037】
第二の方法と第三の方法は、共に変速に要する時間を短くすることで摩擦熱の吸収に要する作用時間を短くしようとする点で共通するが、第三の方法はイナーシャ相が終了するまでに要する時間を短く設定し、その設定時間にイナーシャ相が終了するようにクラッチ締結力及びエンジントルクの少なくとも一方が制御されるのに対し、第二の方法はクラッチ締結力が強くなるように設定し、その結果イナーシャ相が終了するまでに要する時間が短くなる。なお、上記第一の方法と第二又は第三の方法とは、組み合わせて使用することができる。
【0038】
また、予測熱吸収量Qが規定値に達していなければ、車両の制御状態を変更せずにステップ101に戻る。そして、前述した処理を変速が終了するまで繰り返し行う。その繰り返しの際のある時点で予測熱吸収量Qが規定値Qmaxに達していれば、前述した方法で制御状態を変更する。この状態変更によりクラッチへの熱吸収量は軽減され損傷を未然に防止することができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、変速中において現時点の摩擦係合装置の熱吸収量とイナーシャ相の進行度からイナーシャ相終了時点における摩擦係合装置の熱吸収量を推定し、イナーシャ相終了時点において摩擦係合装置の熱吸収量が予め設定した規定値を超えているときには、摩擦係合装置に発生する摩擦熱を減少させるように車両の制御状態を変更するようにしたので、摩擦係合装置の摩擦熱による損傷をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両の制御装置の一実施の形態を含む車両用動力源及び動力伝達装置を示した概略構成図である。
【図2】本実施の形態における車両の制御方法の手順を示したフローチャートである。
【図3】1速から2速に変速される際のエンジン回転数の遷移を示した概念図である。
【符号の説明】
2 エンジン、4 出力軸、6 トルクコンバータ、8 摩擦係合装置、10自動変速機、12 油圧制御装置、14 電子制御装置、18 熱吸収量取得処理部、20 進行度検出部、22 終了時熱吸収量推定処理部、24 変速制御部、26 トルク制御部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機を備えた車両の制御装置及びその方法、特に変速中の摩擦熱による摩擦係合装置の損傷の未然防止に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より自動車等の変速機として、自動変速機が広く利用されている。この自動変速機では、エンジン等の原動機の駆動軸を入力としてトルクコンバータのタービンを回転させ、タービン軸に連結された遊星歯車装置により所定の変速比に変速して出力軸に伝達する。そして、この遊星歯車装置の運動を規定するためにタービン軸と出力軸の間には、複数のクラッチまたはブレーキで構成される摩擦係合装置が設けられており、これらの摩擦係合装置のうち、どの摩擦係合装置を係合するかで変速比を切り換えている。
【0003】
この変速時の変速の動作についてより詳細に説明する。例えば、低速段に対応する摩擦係合装置を解放し、高速段に対応する摩擦係合装置を係合させるアップシフトの変速指令が出力されると、低速段に対応する摩擦係合装置(解放側摩擦係合装置)の解放及び高速段に対応する摩擦係合装置(係合側摩擦係合装置)の係合が開始される。このとき、変速ショックを低減するために係合側摩擦係合装置を徐々に係合させる係合滑り制御が行われる。また、解放側摩擦係合装置の解放が完了するまでの期間においては、出力軸トルクは一時的に高速段に対応する出力側トルクまで低下するが、機関回転数はほとんど変化しない。この期間は一般にトルク相と称される。
【0004】
解放側摩擦係合装置の解放が完了すると、機関回転数は高速段に対応する回転数まで低下していくが、この間、係合側摩擦係合装置の係合の進行に従って、車両の走行慣性により一時的に出力側トルクが上昇し、その後、係合側摩擦係合装置の係合完了と同期して高速段に対応する出力側トルクに低下する。この期間は一般にイナーシャ相と称される。
【0005】
このように、変速の際に行われる係合滑り制御において、摩擦係合装置の滑りにより発生する摩擦熱を摩擦材が吸収するが、その熱吸収量が所定値に達すると損傷するおそれがあるので、摩擦材の損傷を未然に防止するための手段が必要になってくる。
【0006】
例えば、特開平8−200492号公報には、発生した摩擦熱の熱量を随時算出し、摩擦材が損傷する上限として設定された所定値近傍にその算出した熱量が達したときにクラッチを急速に係合させることによりイナーシャ相時間を短縮し、発生する摩擦熱を抑制する制御装置が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来例においては、算出した熱量が所定値近傍に達してから制御状態を変更するので、係合終了時点における実際の熱量は所定値を超えている可能性がある。すなわち、制御状態を変更するタイミングが遅く、結果的に摩擦材を損傷させてしまう可能性があった。
【0008】
また、算出した熱量が所定値近傍に達したときにクラッチを急速に係合させ変速を終了させるように制御するので、変速ショックが増大するという問題があった。
【0009】
本発明は以上のような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、摩擦係合装置の摩擦熱による損傷をより確実に防止することのできる車両の制御装置及びその方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するために、本発明に係る車両の制御装置は、原動機の駆動トルクが伝達される入力軸と、負荷に駆動トルクを伝達する出力軸との間に設けられ、変速に伴い発生する摩擦熱が吸収される摩擦係合装置を有する自動変速機を備えた車両の制御装置において、前記自動変速機がイナーシャ相中であることを検出するイナーシャ相検出手段と、前記自動変速機のイナーシャ相が開始されてから現時点までの間の前記摩擦係合装置の熱吸収量を取得する熱吸収量取得処理手段と、前記自動変速機におけるイナーシャ相の進行度を検出する進行度検出手段と、前記熱吸収量取得処理手段が取得した熱吸収量と、前記進行度検出手段が検出した進行度とに基づいてイナーシャ相終了時点における前記摩擦係合装置の熱吸収量を推定する終了時熱吸収量推定処理手段と、前記終了時熱吸収量推定処理手段により推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、前記摩擦係合装置に発生する摩擦熱を減少させるように前記車両の制御状態を変更する制御状態変更手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、前記終了時熱吸収量推定処理手段は、予め設定された前記摩擦係合装置の熱吸収量推定モデルに、前記熱吸収量取得処理手段が取得した現時点熱吸収量と、前記進行度検出手段が検出した進行度とを代入することによってイナーシャ相終了時点における前記摩擦係合装置に吸収された熱吸収量を推定することを特徴とする。
【0012】
また、前記制御状態変更手段は、前記終了時熱吸収量推定処理手段により推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、前記原動機の駆動トルクを低下させることを特徴とする。
【0013】
また、前記制御状態変更手段は、前記終了時熱吸収量推定処理手段により推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、前記摩擦係合装置の係合力を増加させることを特徴とする。
【0014】
また、前記制御状態変更手段は、前記終了時熱吸収量推定処理手段により推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値を超えているときに、変速に要する前記摩擦係合装置のイナーシャ相時間が短くなるよう変速制御を行うことを特徴とする。
【0015】
更に、前記制御状態変更手段は、目標イナーシャ相時間を設定するための予め設定された目標イナーシャ相時間設定モデルに、前記熱吸収量取得処理手段が取得した現時点熱吸収量と、前記進行度検出手段が検出した進行度と、前記規定値とを代入することによって前記イナーシャ相時間を補正することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る車両の制御方法は、原動機の駆動トルクが伝達される入力軸と、負荷に駆動トルクを伝達する出力軸との間に設けられ、変速に伴い発生する摩擦熱が吸収される摩擦係合装置を有する自動変速機を備えた車両の制御方法において、前記自動変速機が変速中であるときに、前記自動変速機のイナーシャ相が開始されてから現時点までの間の前記摩擦係合装置の熱吸収量を取得する熱吸収量取得ステップと、前記熱吸収量取得ステップにより取得された熱吸収量とイナーシャ相の進行度とに基づいてイナーシャ相終了時点における前記摩擦係合装置の熱吸収量を推定する終了時熱吸収量推定ステップと、前記終了時熱吸収量推定ステップにより推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、前記摩擦係合装置に発生する摩擦熱が減少するように前記車両の制御状態を変更する制御状態変更ステップとを含むことを特徴とする。
【0017】
また、前記終了時熱吸収量推定ステップは、予め設定された前記摩擦係合装置の熱吸収量推定モデルに、前記現時点熱吸収量取得ステップにより取得された現時点熱吸収量と、イナーシャ相の進行度とを代入することによってイナーシャ相終了時点における前記摩擦係合装置に吸収された熱吸収量を推定することを特徴とする。
【0018】
また、前記制御状態変更ステップは、前記終了時熱吸収量推定ステップにより推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、原動機の駆動トルクを低下させることを特徴とする。
【0019】
また、前記制御状態変更ステップは、前記終了時熱吸収量推定ステップにより推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、前記摩擦係合装置の係合力を増加させることを特徴とする。
【0020】
また、前記制御状態変更ステップは、前記終了時熱吸収量推定ステップにより推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、変速に要する前記摩擦係合装置のイナーシャ相時間が短くなるよう変速制御を行うことを特徴とする。
【0021】
更に、前記制御状態変更ステップは、目標イナーシャ相時間を設定するための予め設定された目標イナーシャ相時間設定モデルに、前記熱吸収量取得ステップにより取得された現時点熱吸収量と、イナーシャ相の進行度と、前記規定値とを代入することによって前記イナーシャ相時間を補正することを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る車両の制御装置の一実施の形態を含む車両用動力源及び動力伝達装置を示した概略構成図である。図1には、原動機としてのエンジン2、エンジン2の出力軸4に連結されるトルクコンバータ6、摩擦係合装置8を搭載した自動変速機10、自動変速機10を変速させる油圧制御装置12、トルク制御部26を制御することによりエンジン2の出力トルクを制御し、油圧制御装置12の油圧制御を行うことにより自動変速機10における変速制御を行う電子制御装置14が示されている。エンジン2から出力される駆動トルクは、トルクコンバータ6、自動変速機10及び図示しない差動歯車装置を経て負荷としての駆動輪へ伝達される。なお、本実施の形態における車両用動力伝達装置の詳細な全体構成は、本願と同一出願人による特許出願(特願2001−390241号、発明の名称:「自動変速機の制御装置」)と同様に構成することができる。
【0024】
本実施の形態における電子制御装置14は、自動変速機10のイナーシャ相が開始されてから現時点までの間の摩擦係合装置8の熱吸収量を取得する熱吸収量取得処理部18、自動変速機10におけるイナーシャ相の進行度を検出する進行度検出部20、熱吸収量取得処理部18が取得した熱吸収量と進行度検出部20が検出した進行度とに基づいてイナーシャ相終了時点における摩擦係合装置8の熱吸収量を推定する終了時熱吸収量推定処理部22、エンジン2の駆動トルクを制御するトルク制御部26及び終了時熱吸収量推定処理部22により推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、摩擦係合装置8に発生する摩擦熱が減少するように自動変速機10の制御状態を変更する変速制御部24を有している。本実施の形態においては、変速制御部24及びトルク制御部26を本発明の制御状態変更手段として設けている。
【0025】
次に、本実施の形態における車両の制御方法について図2に示したフローチャートを用いて説明する。
【0026】
まず、進行度検出部20は、自動変速機におけるイナーシャ相の進行度を定期的に検出する(ステップ101)。そして、進行度によりイナーシャ相中であると判断したときには(ステップ102)、以降の処理(ステップ103〜106)が実行される。ここで、イナーシャ相の進行度の求め方の一例を示す。
【0027】
図3は、ドライブレンジにおいて1速から2速に変速される際のエンジン回転数の遷移を示した概念図である。図3に例示したように、変速される際の1速及び2速の各エンジン回転数並びに1速から2速に変速される途中におけるエンジン回転数の変化の遷移は既知である。従って、現時点におけるエンジン回転数がわかれば、図3に示したグラフから現在のイナーシャ相の進行度がわかる。例えば、1速から2速に変速されるときにはエンジン回転数が4000回転から3000回転まで直線的に下がると仮定すると、現時点におけるエンジン回転数が3800回転のとき、イナーシャ相の進行度は、(4000−3800)/(4000−3000)=0.2、すなわち20%となる。
【0028】
以上の説明からイナーシャ相の進行度が0%から0%より大きくなったときがイナーシャ相の開始と認識でき、0%より大きく100%に達していないときがイナーシャ相中であると認識することができる。なお、本実施の形態では、進行度検出部20が検出するイナーシャ相の進行度によってイナーシャ相の開始、イナーシャ相中であることを検出するようにしたが、電子制御装置14が制御信号として出す変速指令などを監視することでイナーシャ相の開始を検出するようにしてもよい。
【0029】
熱吸収量取得処理部18は、進行度検出部20によりイナーシャ相中であることが検出されると、現時点の熱吸収量を求める(ステップ103)。現時点の熱吸収量の取得方法は、本発明の特徴ではなく既知の手法を利用すればよい。本実施の形態においては、以下の数式(1)により現時点の熱吸収量Q(t)を算出する。
【0030】
【数1】
但し、ωはクラッチ摩擦材の相対回転数、Tはクラッチ伝達トルクである。この式から熱吸収量Q(t)は、イナーシャ相が開始されてからのω・Tの積算により算出できることがわかる。
【0031】
続いて、終了時熱吸収量推定処理部22は、熱吸収量取得処理部18が算出した現時点の熱吸収量と、進行度検出部20が検出したイナーシャ相の進行度に基づき、予め設定された摩擦係合装置8の熱吸収量推定モデルである以下の数式(2)によりイナーシャ相終了時点における熱吸収量の予測値Qを算出する(ステップ104)。この数式(2)は、
【数2】
但し、Q(t)は数式(1)で求めた現時点の熱吸収量、xは現時点のイナーシャ相の進行度である。
【0032】
以上のようにして、終了時熱吸収量推定処理部22は、イナーシャ相終了時点における熱吸収量Qを推定すると、変速制御部24は、予測熱吸収量Qと予め設定された規定値Qmaxとを比較する(ステップ105)。なお、規定値Qmaxは、摩擦係合装置8を構成するブレーキの摩擦材の材質等により決まる。耐久性のある物ほど規定値は大きい値になる。ここで、算出した予測熱吸収量Qが規定値Qmaxを超えるということは、この状態のまま変速を継続すると、イナーシャ相終了時点において摩擦係合装置8、より厳密には摩擦係合装置8を構成するクラッチの摩擦材の熱吸収量が規定値Qmax以上に達するためにクラッチの摩擦材を損傷させてしまう可能性があるということである。そこで、本実施の形態では、予測熱吸収量Qが規定値Qmaxを超えているときには、現時点以降の変速過程においてクラッチにおける熱吸収量の増加が少なくなるように車両の制御状態を変更する(ステップ106)。
【0033】
本実施の形態においては、変速の状態を変更する第一の方法としてエンジントルクを下げるように制御する。すなわち、摩擦熱の発生自体を抑止することによって摩擦係合装置8の熱吸収量の増加を少なくしようとするものである。なお、エンジントルクを下げるように制御する方法として、点火時期、燃料噴射量及びスロットル開度等のいずれか一つ若しくは組合せを制御する既知の方法を用いればよい。
【0034】
また、第二の方法として変速が早く進行するようにクラッチ締結力を制御する。すなわち、摩擦材に吸収される摩擦熱の発生自体を抑止する第一の方法に対して、第二の方法は変速を早急に終了させることで摩擦熱の吸収時間を短くしようとするものである。
【0035】
第三の方法として目標イナーシャ相時間が短くなるようにする。本実施の形態では、目標イナーシャ相時間を設定するための予め設定された目標イナーシャ相時間設定モデルである以下の数式(3)を用いて補正後の目標イナーシャ相時間を算出する。
【0036】
【数3】
但し、tirは目標イナーシャ相時間の初期値、tはイナーシャ相が開始されてから現在までの時間、Q(t)は現時点の熱吸収量、Qmaxは規定値、Qはイナーシャ相終了時点における熱吸収量である。
【0037】
第二の方法と第三の方法は、共に変速に要する時間を短くすることで摩擦熱の吸収に要する作用時間を短くしようとする点で共通するが、第三の方法はイナーシャ相が終了するまでに要する時間を短く設定し、その設定時間にイナーシャ相が終了するようにクラッチ締結力及びエンジントルクの少なくとも一方が制御されるのに対し、第二の方法はクラッチ締結力が強くなるように設定し、その結果イナーシャ相が終了するまでに要する時間が短くなる。なお、上記第一の方法と第二又は第三の方法とは、組み合わせて使用することができる。
【0038】
また、予測熱吸収量Qが規定値に達していなければ、車両の制御状態を変更せずにステップ101に戻る。そして、前述した処理を変速が終了するまで繰り返し行う。その繰り返しの際のある時点で予測熱吸収量Qが規定値Qmaxに達していれば、前述した方法で制御状態を変更する。この状態変更によりクラッチへの熱吸収量は軽減され損傷を未然に防止することができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、変速中において現時点の摩擦係合装置の熱吸収量とイナーシャ相の進行度からイナーシャ相終了時点における摩擦係合装置の熱吸収量を推定し、イナーシャ相終了時点において摩擦係合装置の熱吸収量が予め設定した規定値を超えているときには、摩擦係合装置に発生する摩擦熱を減少させるように車両の制御状態を変更するようにしたので、摩擦係合装置の摩擦熱による損傷をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両の制御装置の一実施の形態を含む車両用動力源及び動力伝達装置を示した概略構成図である。
【図2】本実施の形態における車両の制御方法の手順を示したフローチャートである。
【図3】1速から2速に変速される際のエンジン回転数の遷移を示した概念図である。
【符号の説明】
2 エンジン、4 出力軸、6 トルクコンバータ、8 摩擦係合装置、10自動変速機、12 油圧制御装置、14 電子制御装置、18 熱吸収量取得処理部、20 進行度検出部、22 終了時熱吸収量推定処理部、24 変速制御部、26 トルク制御部。
Claims (12)
- 原動機の駆動トルクが伝達される入力軸と、負荷に駆動トルクを伝達する出力軸との間に設けられ、変速に伴い発生する摩擦熱が吸収される摩擦係合装置を有する自動変速機を備えた車両の制御装置において、
前記自動変速機がイナーシャ相中であることを検出するイナーシャ相検出手段と、
前記自動変速機のイナーシャ相が開始されてから現時点までの間の前記摩擦係合装置の熱吸収量を取得する熱吸収量取得処理手段と、
前記自動変速機におけるイナーシャ相の進行度を検出する進行度検出手段と、
前記熱吸収量取得処理手段が取得した熱吸収量と、前記進行度検出手段が検出した進行度とに基づいてイナーシャ相終了時点における前記摩擦係合装置の熱吸収量を推定する終了時熱吸収量推定処理手段と、
前記終了時熱吸収量推定処理手段により推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、前記摩擦係合装置に発生する摩擦熱を減少させるように前記車両の制御状態を変更する制御状態変更手段と、
を有することを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1記載の車両の制御装置において、
前記終了時熱吸収量推定処理手段は、予め設定された前記摩擦係合装置の熱吸収量推定モデルに、前記熱吸収量取得処理手段が取得した現時点熱吸収量と、前記進行度検出手段が検出した進行度とを代入することによってイナーシャ相終了時点における前記摩擦係合装置に吸収された熱吸収量を推定することを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1記載の車両の制御装置において、
前記制御状態変更手段は、前記終了時熱吸収量推定処理手段により推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、前記原動機の駆動トルクを低下させることを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1又は3に記載の車両の制御装置において、
前記制御状態変更手段は、前記終了時熱吸収量推定処理手段により推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、前記摩擦係合装置の係合力を増加させることを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項1記載の車両の制御装置において、
前記制御状態変更手段は、前記終了時熱吸収量推定処理手段により推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値を超えているときに、変速に要する前記摩擦係合装置のイナーシャ相時間が短くなるよう変速制御を行うことを特徴とする車両の制御装置。 - 請求項5記載の車両の制御装置において、
前記制御状態変更手段は、目標イナーシャ相時間を設定するための予め設定された目標イナーシャ相時間設定モデルに、前記熱吸収量取得処理手段が取得した現時点熱吸収量と、前記進行度検出手段が検出した進行度と、前記規定値とを代入することによって前記イナーシャ相時間を補正することを特徴とする車両の制御装置。 - 原動機の駆動トルクが伝達される入力軸と、負荷に駆動トルクを伝達する出力軸との間に設けられ、変速に伴い発生する摩擦熱が吸収される摩擦係合装置を有する自動変速機を備えた車両の制御方法において、
前記自動変速機が変速中であるときに、前記自動変速機のイナーシャ相が開始されてから現時点までの間の前記摩擦係合装置の熱吸収量を取得する熱吸収量取得ステップと、
前記熱吸収量取得ステップにより取得された熱吸収量とイナーシャ相の進行度とに基づいてイナーシャ相終了時点における前記摩擦係合装置の熱吸収量を推定する終了時熱吸収量推定ステップと、
前記終了時熱吸収量推定ステップにより推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、前記摩擦係合装置に発生する摩擦熱が減少するように前記車両の制御状態を変更する制御状態変更ステップと、
を含むことを特徴とする車両の制御方法。 - 請求項7記載の車両の制御方法において、
前記終了時熱吸収量推定ステップは、予め設定された前記摩擦係合装置の熱吸収量推定モデルに、前記現時点熱吸収量取得ステップにより取得された現時点熱吸収量と、イナーシャ相の進行度とを代入することによってイナーシャ相終了時点における前記摩擦係合装置に吸収された熱吸収量を推定することを特徴とする車両の制御方法。 - 請求項7記載の車両の制御方法において、
前記制御状態変更ステップは、前記終了時熱吸収量推定ステップにより推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、原動機の駆動トルクを低下させることを特徴とする車両の制御方法。 - 請求項7又は9に記載の車両の制御方法において、
前記制御状態変更ステップは、前記終了時熱吸収量推定ステップにより推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、前記摩擦係合装置の係合力を増加させることを特徴とする車両の制御方法。 - 請求項7記載の車両の制御方法において、
前記制御状態変更ステップは、前記終了時熱吸収量推定ステップにより推定されたイナーシャ相終了時点における熱吸収量が予め設定された規定値に達したときに、変速に要する前記摩擦係合装置のイナーシャ相時間が短くなるよう変速制御を行うことを特徴とする車両の制御方法。 - 請求項11記載の車両の制御方法において、
前記制御状態変更ステップは、目標イナーシャ相時間を設定するための予め設定された目標イナーシャ相時間設定モデルに、前記熱吸収量取得ステップにより取得された現時点熱吸収量と、イナーシャ相の進行度と、前記規定値とを代入することによって前記イナーシャ相時間を補正することを特徴とする車両の制御方法。
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JP2002197818A JP2004036844A (ja) | 2002-07-05 | 2002-07-05 | 車両の制御装置及び車両の制御方法 |
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JP2009079716A (ja) * | 2007-09-26 | 2009-04-16 | Jatco Ltd | 自動変速機の変速制御装置 |
JP2009197983A (ja) * | 2008-02-25 | 2009-09-03 | Aisin Aw Co Ltd | 変速機装置および車両並びに変速機の制御方法 |
JP2013181569A (ja) * | 2012-02-29 | 2013-09-12 | Daihatsu Motor Co Ltd | 変速機の制御装置 |
-
2002
- 2002-07-05 JP JP2002197818A patent/JP2004036844A/ja active Pending
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