JP2004035838A - 光学素子用組成物及び光学素子 - Google Patents

光学素子用組成物及び光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】光照射により大きな屈折率の変化を誘起できるとともに、成形加工性及び経時安定性に優れた光学素子を提供する。
【解決手段】ポリシランおよびポリシラザンで構成された光学素子用組成物を調製する。ポリシランとポリシラザンとの割合(重量比)は、ポリシラン/ポリシラザン=5/95〜95/5(特に10/90〜70/30)程度である。前記ポリシランは、ポリアルキルアリールシラン(特にポリC1−6アルキルC6−20アリールシラン)で構成されていてもよい。基板1上にポリシラン及びポリシラザンで構成された薄膜を形成した後露光して、少なくとも2値の異なる屈折率からなる屈折率変調構造(クラッド層2及びコア層3)を有する光学素子を得る。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、屈折率変調構造によって、反射、屈折、回折、透過などの光の伝搬を制御する光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学素子において、少なくとも2値の異なる屈折率が分布している構造は、一般的に屈折率変調構造と呼ばれており、この構造によって、反射、屈折、回折、透過などの光の伝搬を制御している。屈折率変調構造を有する光学素子としては、例えば、相対的に屈折率の低い部位に挟まれた屈折率の高い部位に光を閉じ込めて伝搬させる光導波路素子や、屈折率が周期的に変化する構造によって光を反射、回折する回折光学素子などが知られている。
【0003】
屈折率変調構造を形成する方法としては、例えば、光の照射によって屈折率が変化する材料を利用する方法、すなわち所望の形状やパターンを用いて光を照射して屈折率変調構造を形成する方法が従来から知られている。
【0004】
このような方法としては、例えば、感光性ポリマー中に屈折率の高いモノマーを添加し、必要部位のみ光照射して前記モノマーをポリマーに架橋させた後、加熱して未反応モノマーを蒸発除去して、光導波路を作製する方法が提案されている(Kurokawa 他;Applied Optics、第16巻、1033頁(1978))。この方法では、光照射部のみモノマーが残留し、モノマーが蒸発した非照射部に比べて屈折率が高くなっている。
【0005】
しかし、この方法では、屈折率変化量が10−4〜10−3程度と小さく、光の伝搬を制御する能力は不充分である。さらに、感光性ポリマーや光重合性モノマーなどの有機材料は、一般的に耐熱性が充分でなく、ガラス転移点温度(100〜150℃程度)を超えると変形などを来し、安定性を維持できない。
【0006】
また、ゲルマニウムを添加したシリカ系ガラスに紫外光を照射すると光照射部の屈折率が高くなる方法を利用して、光ファイバ中に回折格子を形成したファイバ・ブラッグ・グレーティングが実用化されている(奥出、和田;電子情報通信学会論文誌C、第J83−C巻、1060頁(2000)など)。
【0007】
しかし、この方法も、屈折率変化量が小さく、光の伝搬を制御する能力が不充分である上に、ガラスなどの無機材料は、薄膜化などの成形加工性が低い。
【0008】
そこで、光照射による屈折率変化を誘起できるとともに、熱処理によって高い高温耐性を付与できる材料として、ポリシランが注目されている(例えば、長山、横山;「ポリシランの光学材料への展開」、機能材料、第22巻、第3号、31頁(2002))。そして、光照射によるポリシランの屈折率変化を利用して、ホログラム型回折光学素子(M.Okada他;Journal of Photopolymer Science and Technology, 第13巻、205頁(2000)など)、光ファイバー型回折格子(特開平7−92313号公報など)、光導波路素子(特開平11−287916号公報、特開2000−75151号公報など)などに応用することが提案されている。
【0009】
しかし、ポリシランは、光によって容易に主鎖が切断されるため、経時安定性に欠ける上、熱処理によって硬化する際大きな寸法変化を来すため高い寸法加工精度を要求される光学素子には使いにくい、機械的強度が低いなどという問題があり、実用化されるには至っていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、光照射により大きな屈折率の変化を誘起できるとともに、成形加工性及び経時安定性に優れた光学素子が得られる光学素子用組成物を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、耐熱性、寸法安定性及び機械的強度に優れ、屈折率変調構造を有する光学素子及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリシランとポリシラザンとを組み合わせると、光照射により10−2オーダーもの大きな屈折率の変化を容易に誘起でき、かつ成形形加工性及び経時安定性に優れた光学素子が得られることを見出した。
【0013】
すなわち、本発明の光学素子用組成物は、ポリシラン(A)及びポリシラザン(B)で構成されている。ポリシラン(A)とポリシラザン(B)との割合(重量比)は、ポリシラン(A)/ポリシラザン(B)=5/95〜95/5(特に10/90〜70/30)程度である。前記ポリシラン(A)は、ポリアルキルアリールシラン(特にポリC1−6アルキルC6−20アリールシラン)で構成されていてもよい。
【0014】
本発明には、前記組成物で形成された光学素子であって、少なくとも2値の異なる屈折率からなる屈折率変調構造を有する光学素子も含まれる。前記光学素子は、光導波路素子や回折光学素子などであってもよい。また、本発明には、基板上にポリシラン及びポリシラザンで構成された薄膜を形成した後、露光する光学素子の製造方法も含まれる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の光学素子用組成物は、ポリシラン(A)及びポリシラザン(B)で構成されている。
【0016】
[ポリシラン]
ポリシランは、下記式(1)〜(3)で表される構造単位のうち少なくとも1つの構造単位を有するポリシランで構成されている。
【0017】
【化1】
Figure 2004035838
【0018】
(式中、R〜Rは、同一又は相異なって、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニル基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基又はシリル基を示し、x、y及びzはそれぞれ0以上の数を示し、x、y及びzの合計は5〜400である)
本発明において用いられるポリシランとしては、Si−Si結合を有する直鎖状、環状、分岐状又は網目状の化合物であれば特に限定されないが、前記式(1)〜(3)で表された構造単位のうち少なくとも1つの構造単位を有している。このようなポリシランとしては、例えば、式(1)で表される構造単位を有する直鎖状又は環状ポリシラン、前記式(2)又は(3)で表される分岐鎖状又は網目状ポリシラン、前記式(1)〜(3)で表される構造単位を組み合わせて有するポリシランなどが挙げられる。
【0019】
前記式(1)及び(2)において、R〜Rで表される置換基としては、通常、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等の炭化水素基である場合が多い。また、水素原子やヒドロキシル基、アルコキシ基、シリル基は、末端基に置換している場合が多い。
【0020】
前記式(1)及び(2)のR〜Rにおいて、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのC1−14アルキル基(好ましくはC1−10アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基)が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシなどのC1−14アルコキシ基(好ましくはC1−10アルコキシ基、さらに好ましくはC1−6アルコキシ基)が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル等のC2−14アルケニル基(好ましくはC2−10アルケニル基、さらに好ましくはC2−6アルケニル基)が挙げられる。
【0021】
シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシルなどのC5−14シクロアルキル基(好ましくはC5−10シクロアルキル基、さらに好ましくはC5−8シクロアルキル基)が挙げられる。シクロアルキルオキシ基としては、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどのC5−14シクロアルキルオキシ基(好ましくはC5−10シクロアルキルオキシ基、さらに好ましくはC5−8シクロアルキルオキシ基)が挙げられる。シクロアルケニル基としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどのC5−14シクロアルケニル基(好ましくはC5−10シクロアルケニル基、さらに好ましくはC5−8シクロアルケニル基)が挙げられる。
【0022】
アリール基としては、フェニル、メチルフェニル(トリル)、ジメチルフェニル(キシリル)、ナフチルなどのC6−20アリール基(好ましくはC6−15アリール基、さらに好ましくはC6−12アリール基)が挙げられる。アリールオキシ基としては、フェノキシ、ナフチルオキシなどのC6−20アリールオキシ基(好ましくはC6−15アリールオキシ基、さらに好ましくはC6−12アリールオキシ基)が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピルなどのC6−20アリール−C1−4アルキル基(好ましくはC6−10アリール−C1−2アルキル基)が挙げられる。アラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ、フェニルプロピルオキシなどのC6−20アリール−C1−4アルキルオキシ基(好ましくはC6−10アリール−C1−2アルキルオキシ基)が挙げられる。
【0023】
シリル基としては、シリル基、ジシラニル基、トリシラニル基などのSi1−10シラニル基(好ましくはSi1−6シラニル基)が挙げられる。
【0024】
また、R〜Rが、前記有機置換基又はシリル基である場合には、その水素原子の少なくとも1つが、アルキル基、アリール基、アルコキシ基などの官能基により置換されていてもよい。このような官能基としては、前記と同様の基が挙げられる。
【0025】
これらの置換基のうち、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基等の芳香族環を含む基、特にアリール基(例えば、フェニル基など)が好ましい。
【0026】
ポリシランが非環状構造(直鎖状、分岐鎖状、網目状)の場合、末端置換基は、通常、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、シリル基などである。
【0027】
好ましいポリシランとしては、R及びRの少なくとも一方がアリール基(特にC6−20アリール基)である構造単位(1)を含むポリシラン、特に、Rがアリール基(特にC6−20アリール基)であり、かつRがアルキル基(特にC1−6アルキル基)である構造単位(1)で構成されたポリシランが挙げられる。
【0028】
このようなポリシランとしては、例えば、ポリジメチルシラン、ポリ(メチルプロピル)シラン、ポリ(メチルブチル)シラン、ポリ(メチルペンチル)シラン、ポリ(メチルフェニル)シラン、ポリ(ジブチル)シラン、ポリ(ジヘキシル)シラン、ポリ(ジフェニル)シランなどのホモポリマーや、ジメチルシラン−メチルヘキシルシラン共重合体、ジメチルシラン−メチルフェニルシラン共重合体、ジメチルシラン−メチルナフチルシラン共重合体、メチルフェニルシラン−メチルプロピルシラン共重合体、ジメチルシラン−フェニルヘキシルシラン共重合体などのコポリマーが例示できる。詳しくは、例えば、R.D.Miller、J.Michl;Chemical Review、第89巻、1359頁(1989)、N.Matsumoto;Japanese Journal of Physics、第37巻、5425頁(1998)などに例示されている。これらのうち、ポリジアリールシランやポリアルキルアリールシラン、アリールシラン単位を含むコポリマーなどが好ましく、特にポリメチルフェニルシランなどのポリC1−6アルキルC6−20アリールシラン(例えば、ポリC1−3アルキルC6−20アリールシラン)が好ましい。
【0029】
これらのポリシランは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0030】
ポリシランの重合度、すなわち構造単位(1)〜(3)におけるx、yおよびzの合計は、5〜400、好ましくは10〜350、さらに好ましくは20〜300程度である。
【0031】
ポリシランの分子量は、数平均分子量で300〜100000、好ましくは400〜50000、さらに好ましくは500〜20000程度である。
【0032】
前記ポリシランは、種々の公知な方法を用いて調製できる。これらのポリシランを製造するには、例えば、特定の構造単位を有するケイ素含有モノマーを原料として、マグネシウムを還元剤としてハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(「マグネシウム還元法」、WO98/29476号公報など)、アルカリ金属の存在下でハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(「キッピング法」、J.Am.Chem.Soc.,110,124(1988)、Macromolecules,23,3423(1990)など)、電極還元によりハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1161(1990)、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.897(1992)など)、金属触媒の存在下にヒドラジン類を脱水素縮重合させる方法(特開平4−334551号公報など)、ビフェニルなどで架橋されたジシレンのアニオン重合による方法(Macromolecules,23,4494(1990)など)、環状シラン類の開環重合による方法などの方法が挙げられる。
【0033】
これらの製造方法のうち、得られるポリシランの純度や分子量分布、樹脂との相溶性が優れる点、ナトリウムや塩素含有量が少ない点や、製造コストや安全性などの工業性の点から、マグネシウム還元法が最も好ましい。
【0034】
[ポリシラザン]
ポリシラザン(B)は、−Si−N−結合を有するポリマーであり、例えば、ペルヒドロポリシラン、ポリアルキルシラザン(ポリメチルシラザン、ポリプロピルシラザン、ポリヘキシルシラザンなどのポリC1−6アルキルシラザンなど)、ポリジアルキルシラザン(ポリジメチルシラザン、ポリジエチルシラザン、ポリジプロピルシラザン、ポリジブチルシラザン、ポリジヘキシルシラザンなどのポリジC1−6アルキルシラザンなど)、ポリアルキルアルケニルシラザン(ポリメチルビニルシラザンなどのポリC1−6アルキルC2−6アルケニルシラザンなど)、ポリアリールシラザン(ポリフェニルシラザンなどのポリC6−20アリールシラザンなど)、ポリジアリールシラザン(ポリジフェニルシラザンなどのポリジC6−20アリールシラザンなど)、ポリアルキルアリールシラザン(ポリメチルフェニルシラザンなどのポリC1−6アルキルC6−20アリールシラザンなど)、ポリカルボシラザン、ポリウレアビニルメチルシラザンなどが例示できる。詳しくは、例えば、E.Kroke、他;Materials Science and Engineering、第R26巻、97頁(2000)などに例示されている。
【0035】
これらのポリシラザンは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0036】
前記ポリシラン(A)とポリシラザン(B)との割合(重量比)は、前者/後者=5/95〜95/5、好ましくは10/90〜70/30、さらに好ましくは20/80〜60/40(特に20/80〜50/50)程度である。両者の割合が前記範囲にあると成形加工性が高い。
【0037】
[光反応促進剤]
本発明の光学素子用組成物は、光照射により前記ポリシラン(A)中の分子鎖が解裂する光化学反応を利用する。従って、この光化学反応を促進させるために光反応促進剤(C)が含まれていてもよい。光反応促進剤(C)には、光の作用によってラジカルを発生する光ラジカル発生剤や、光の作用によって酸を発生する光酸発生剤が含まれる。
【0038】
光ラジカル発生剤としては、例えば、カルボニル化合物[2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゼン−3,3′,4,4′−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾインエチルエーテル、4−N,N−ジメチルアミノ−4′−メトキシベンゾフェノンなど]、過酸化物(ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキサイドなど)、アゾ化合物(アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレート、ベンゼンジアゾニウムクロライドなど)、過硫酸塩(過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなど)、有機硫黄化合物(ジブチルスルフィド、ジベンジルスルフィド、デシルフェニルスルフィドなど)など挙げられる。詳しくは、例えば、高分子学会編集『感光性樹脂』共立出版(1988),第33頁などに例示されている。
【0039】
光酸発生剤としては、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられ、例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン、トリフェニルスルホニウムメタンスホニル、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホニル、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホニル、4,4′−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネ−ト、4,4′−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、4,4′−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネ−ト、4,4′−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファスルホネート、p−ニトロフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、1−メトキシ−4−(3,5−ジ(トリクロロメチル)トリアジニル)ベンゼン、1−メトキシ−4−(3,5−ジ(トリクロロメチル)トリアジニル)ナフタレン、1−メトキシ−4−(2−(3,5−ジ(トリクロロメチル)トリアジニル)エテニル)ベンゼン、1,2−ジメトキシ−4−(2−(3,5−ジ(トリクロロメチル)トリアジニル)エテニル)ベンゼン、スクシンイミジルカンファスルホネート、スクシンイミジルフェニルスホネート、ナフタルイミジルカンファスルホネート、ナフタルイミジルメタンスルホネート、ナフタルイミジルトリフルオロメタンスルホネートなどが挙げられる。詳しくは、例えば、山岡亜夫編集『レジスト材料ハンドブック』リアライズ社(1996),第43頁などに例示されている。
【0040】
さらに、ポリシランの光分解、前記光反応促進剤の感光波長領域を拡大するために、前記光反応促進剤に加えて適宜光増感剤が含まれていてもよい。そのような増感剤としては、例えば、クマリン類[3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3,3′−カルボニルビス(7−(ジエチルアミノ)クマリン)など]、キノリン類[2−(2−(4−ジメチルアミノ)フェニル)エテニル)キノリン]、キノン類(アントラキノン、ベンゾキノンなど)、ピレン類(ピレン、1−ニトロピレンなど)、芳香族炭化水素類(アセナフテン、フルオレン、ビフェニルなど)、アミン類(アクリドンなど)などが挙げられる。詳しくは、例えば、高分子学会編集『感光性樹脂』共立出版(1988),第85頁などに例示されている。
【0041】
ポリシラン(A)に対する反応促進剤の割合は、ポリシラン(A)100重量部に対して、反応促進剤0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部程度である。
【0042】
前記光学素子用組成物には、さらに他の添加剤、例えば、難燃剤(ホウ酸系難燃化合物やリン系難燃化合物などの無機系難燃化合物、チッソ系難燃化合物、ハロゲン系難燃化合物、有機系難燃化合物、コロイド難燃物質など)、無機フィラー(酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、窒化物、炭素類、金属粉、セラミックス粉など)、安定剤(老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤など)、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、溶解促進剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、変性剤、染顔料などの着色剤、カップリング剤などの添加剤を適宜配合してもよい。
【0043】
前記光学素子用組成物は溶媒を含んでもよい。溶媒としては、例えば、炭化水素類(ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など)、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルキルアルコール類など)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル類、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類など)、ケトン類(アセトン、エチルメチルケトンなどのジアルキルケトン類など)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類など)、ジオール類(エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルカンジオール類、ポリオキシエチレングリコールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、カルビトール類(カルビトールなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。前記光学素子用組成物は、これらの溶媒中1〜50重量%、好ましくは3〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%程度の濃度で使用することができる。
【0044】
[光学素子]
本発明の光学素子は、前記光学素子用組成物で形成されている。また、光学用素子は、通常、基材の上に層状に形成されている。前記光学素子用組成物は、単層であってもよく、複数層であってもよい。前記光学素子は、少なくとも2値の異なる屈折率からなる屈折率変調構造を有し、この構造により、反射、屈折、回折、透過などの光の伝搬を制御することを可能にする。前記光学素子としては、さまざまな実用形態をとり得るが、中でも光導波路素子及び回折光学素子が代表的な形態である。
【0045】
本発明の光学素子は、例えば、基板上にポリシラン及びポリシラザンで形成された薄膜を形成した後、露光することにより製造することができる。好ましい製造方法としては、ポリシラン及びポリシラザンを含む塗布液を基板上に塗布し、熱処理して薄膜を形成した後、露光する方法が挙げられる。
【0046】
薄膜を形成するための塗布方法としては、例えば、スピンコーティング法、ロールコーティング法、バーコーティング法、グラヴィアコーティング法、ディッピング法、スプレーコーティング法などを挙げることができる。本発明の方法では、これらの方法で簡便に薄膜を形成することができる。
【0047】
以下に、光導波路素子及び回折光学素子について、図面を用いて説明する。
【0048】
(光導波路素子)
図1は、本発明の光導波路素子の一例を示す断面の概略図である。図1に示す光学素子は、光導波路素子の典型的な例であり、基板1の上に、アンダークラッド層1′を介して、クラッド層2及びコア層(光導波層)3が形成され、さらに、これら両層の上に、カバー層4が形成されている。各層の屈折率を、基板:n1、アンダークラッド層:n1′、クラッド層:n2、コア層:n3、カバー層:n4とすると、n3>n1′、n2、n4の関係を満たすと、光はコア層3に閉じ込められて伝搬する。基板1の材質は特に制限されず、例えば、シリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウム、炭化シリコンなどの半導体、アルミニウム、銅などの金属、酸化ジルコニウム、酸化チタン、PZTなどのセラミックなどであってもよい。一方、アンダークラッド層1′を設けない場合は、基板は、n3>n1、n2、n4の関係を満たすことが必要である。その場合、基板としては、ガラス、石英、透明樹脂などの透明材料が用いられる。
【0049】
図2〜図6は、光導波路素子の他の例を示す断面の概略図である。図2に示す素子は平板導波路(または、スラブ導波路)、図3に示す素子は埋込み導波路、図4に示す素子はリッジ型導波路、図5に示す素子はストリップ装荷型導波路、図6に示す素子は拡散導波路である(國分泰雄著『光波工学』共立出版(1999)、第119頁参照)。
【0050】
図2のスラブ導波路素子は、基板1の上に、アンダークラッド層1′を介して、コア層(光導波層)3が形成され、さらに、この光導波層3の上に、カバー層4が形成されている。この素子では、光導波層3がこれよりも屈折率が低いアンダークラッド層1′とカバー層4とに上下方向に挟まれており、上下方向に光が閉じ込められたまま伝搬する。
【0051】
図3の埋込み導波路素子は、基板1の上に、コア層(光導波層)3を有するクラッド層2が形成されている。この素子では、光導波層3がクラッド層2で上下左右ともに挟まれており、上下左右方向に光が閉じ込められた状態で光は光導波層3中を伝搬する。ここで、クラッド層2は単一の材料である必要はなく、図1と同様のアンダークラッド層1′及びカバー層4を含んでいてもよい。
【0052】
図4のリッジ型導波路素子は、基板1の上に、アンダークラッド層1′を介して、コア層(光導波層)3が形成され、さらにこの光導波層3の上に、カバー層4が形成されている。この素子では、導波層3が凸状に加工されて矩形断面が形成されていることを特徴としており、この矩形断面内に光が閉じ込められて伝搬する。
【0053】
図5のストリップ装荷型導波路素子は、基板1の上に、クラッド層2を介して、コア層(光導波層)3が形成され、さらにこの光導波層3の上に、装荷層5及びカバー層4が形成されている。この素子では、光導波層3の一部に異種材料を装荷して装荷層5を形成することにより、装荷層5直下部の光導波層3の複素屈折率を高くし、ここに光を閉じ込めて伝搬させる。
【0054】
図6の拡散導波路素子は、クラッド層2中にコア層(光導波層)3が形成されている。この素子では、最終的にはクラッド部2を形成する透明材料中に、高い屈折率成分を拡散させることによりコア部3を形成し、ここに光を閉じ込めて伝搬させる。
【0055】
光導波路素子は、その光伝搬線路形状を目的に応じて設計することによって、光分岐・結合素子、光合波・分波素子、光変調素子、光スイッチなどの光通信用素子や光インターコネクション用素子を実現する基本的な素子要素である。
【0056】
本発明によって得られる光導波路素子としては、作製工程を種々変えることにより、図2〜図6のいずれの形態もとり得るが、特に図5に示す埋込み導波路の形態にて製造し、使用することが好ましい。
【0057】
図7に、本発明によって得られる埋込み型光導波路素子の典型的な製造工程を示す。まず、基板1上にポリシランおよびポリシラザンを含む混合物を塗布し、200℃以下の温度で乾燥させアンダークラッド層1′を形成する。さらに、この層の上に、ポリシランおよびポリシラザンを含む混合物7を塗布し、200℃以下の温度で乾燥させる。このとき、アンダークラッド層1′のポリシラン混合比を、その上に塗布するポリシランおよびポリシラザンを含む混合物7のポリシラン混合比よりも高くすることにより、相対的に屈折率を低くすることができる。その後、フォトマスク8を介して光(通常は波長が400ナノメートル以下の紫外光(図中矢線で表示))を照射する。その結果、前記ポリシランおよびポリシラザンを含む混合物7からなる層のうち、光が照射された部分の屈折率が低下し、光照射部と非照射部との間に屈折率差(屈折率変調構造)が誘起される。このうち、光で照射された部分をクラッド層2、光が照射されない部分を光導波部3として伝搬させたい光を入射させることにより、光導波路として機能することになる。
【0058】
ポリシランおよびポリシラザンを含む混合物は、混合するポリシラザンの特性や品種に応じて200〜400℃程度で加熱処理し、未反応ポリシラザンをセラミック化してもよい。これにより、ポリシラザン中の残存Si−N結合をSi−O結合に転換し、化学的により安定性を高めることができる。さらに、該導波部分の屈折率よりも低い屈折率を有する透明材料を塗布することによって、カバー層4を形成することもできる。
【0059】
また、図8に示したように、光照射により屈折率変調構造が誘起された後、相対的に屈折率が低いクラッド層2を反応性イオンエッチングなどの方法によりエッチングして導波部分が突起するリッジ構造を形成することにより、より光閉じこめ効率の高い光導波路とすることもできる。
【0060】
なお、基板1としては、ガラス、石英、透明樹脂などの透明材料を用いた場合、アンダークラッド層1′を形成せずに光導波路を作製することができる。しかし、シリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウム、炭化シリコンなどの半導体、アルミニウム、銅などの金属、酸化ジルコニウム、酸化チタン、PZTなどのセラミックなど光学的に透明でない材料、または光学的に透明ではあるが導波層を形成するポリシランおよびポリシラザンを複む混合物よりも屈折率が高い材料を用いる場合、基板(1)上にn3>n1′、n2、n4の関係を満たす光学的に透明なアンダークラッド層1′を形成する必要がある。アンダークラッド層1′に用いる材料としては、光導波部3を構成するポリシランおよびポリシラザンを含む混合物よりも屈折率が低いものであれば何であってもよく、シリカ(SiO)、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムなどの透明無機材料、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリスチレンなどの高分子材料などが用いられる。また、本発明によれば、ポリシランおよびポリシラザンの混合比を変えるだけで屈折率を制御できるので、ポリシランおよびポリシラザンを含む混合物そのものをアンダークラッド層1′として用いることもできる。
【0061】
(回折光学素子)
図9は、本発明の回折光学素子の一例を示す断面の概略図である。図9に示す回折光学素子は、基板5の上に、回折格子層6が形成されている。ここで、回折格子層6は、屈折率の異なる光誘起屈折率変化部6′と、屈折率未変化部6”とからなり、両者の屈折率差や回折格子パターンに応じて所望の回折光が得られる。基板5は透明であっても不透明であってもよく、ガラス、石英、透明樹脂などの透明基板を用いた場合は、光の進行方向に透過した光が回折される現象を利用することができる。また、シリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウムなどの半導体やアルミニウム、銅などの金属で不透明かつ反射性の基板を用いた場合は、回折光学素子に入射した光が反射される際に起こる回折現象を利用することができる。
【0062】
回折光学素子は、その断面構造の違いから、(単一)バイナリ型素子、マルチバイナリ型、表面レリーフ型、及び屈折率変調型に分類される(例えば、Hans Peter Herzig;“Micro−Optics”、第37頁、Taylor& Francis(1997))。図10は(単一)バイナリ型素子、図11はマルチバイナリ型素子、図12は表面レリーフ型素子、図13は屈折率変調型素子の断面の概略を示す。回折光学素子は、平板レンズ、位相板、分光フィルタ、偏光素子、ホログラム、ブラッググレーティングフィルタなど、光情報処理システムを構成する素子の基本的な素子要素である。
【0063】
本発明によって得られる回折光学素子は、図10〜13のいずれの形態でも用いられるが、特に、図13の屈折率変調型として用いるのが好ましい。図14に、本発明によって得られる回折光学素子の典型的な製造工程を示す。基本的には、光導波路素子の製造工程と同様である。
【0064】
すなわち、まず、基板5上にポリシランおよびポリシラザンを含む混合物を塗布し、回折格子層6を形成する。その後、フォトマスク8を介して光(通常は波長が400ナノメートル以下の紫外光(図中矢線で示す))を照射する。すると、前記ポリシラン及びポリシラザンを含む混合物のうち、光が照射された部分の屈折率が低下し光誘起屈折率変化部6′を形成し、光が照射されなかった屈折率未変化部6”との間に屈折率差(屈折率変調構造)が誘起され、屈折率の異なる部位が周期的に変化してなる回折格子を形成できる。
【0065】
【発明の効果】
本発明では、光学素子用組成物としてポリシランとポリシラザンとを組み合わせることにより、光照射により10−2オーダーもの大きな屈折率の変化を容易に誘起でき、かつ成形加工性及び経時安定性に優れた光学素子が得られる。さらに、耐熱性、寸法安定性及び機械的強度に優れ、屈折率変調構造を有する光学素子が得られる。
【0066】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0067】
実施例1
(1)ポリシラン及びポリシラザン含む混合物の調製
ポリシランとして、ポリメチルフェニルシラン(大阪ガスケミカル(株)製)をキシレン溶媒中に溶解し、固形分20重量%のポリシラン溶液を得た。また、ポリシラザンとしてペルヒドロポリシラザン(P110、クラリアント・ジャパン社製)の固形分濃度20%キシレン溶液を用いた。これらのポリシランとポリシラザンとを混合して、ポリシランとポリシラザンとの重量比が、ポリシラン/ポリシラザン=7/3の溶液、及びポリシラン/ポリシラザン=5/5の溶液を調製して6時間攪拌した後、一昼夜静置して原料溶液を得た。
【0068】
(2)光照射による屈折率変化誘起の確認及び寸法安定性の確認
前記(1)の項で述べたようにして調製したポリシランとポリシラザンとの重量比が7/3および5/5の混合原液をシリコン基板上にスピンコーティング法により塗布し、100℃、60秒間加熱乾燥したポリシランとポリシラザンの混合膜の、波長633ナノメートルにおける屈折率を分光反射率法によって測定したところ、各々1.600、1.575であった。これらの膜に、超高圧水銀灯を用いて2000ミリジュールの光を照射し、さらに200℃、3時間加熱した後、同様に分光反射率法により波長633ナノメートルにおける屈折率を測定したところ、ポリシランとポリシラザンとの重量比が7/3の膜で屈折率が1.560、同じく5/5の膜で屈折率が1.510に変化していた。以上から、ポリシランとポリシラザンの混合膜において、光照射により10−2オーダーの屈折率変化が誘起されることが確認できた。また、200℃、3時間の加熱処理前後での膜厚変動量は7%で、光導波路素子作製上の影響は小さいと判断された。
【0069】
(3)光導波路素子の作製
前記(1)の項で述べたようにして調製したポリシランとポリシラザンとの重量比が5/5の混合原液を、シリコン基板上に厚さ10μmになるようスピンコーティング法により塗布し、100℃、60秒加熱乾燥したのち、200℃、3時間加熱した。このようにして塗布成形したポリシランとポリシラザンとの重量比が5/5の混合膜上に、前記(1)の項で調製したポリシランとポリシラザンとの重量比が7/3の混合原液を厚さ2μmとなるようスピンコーティング法により塗布し、100℃、60秒加熱乾燥した。このようにして作製されたポリシランおよびポリシラザン混合膜に、光遮蔽幅15μm、長さ70mmの光導波路パターンが描画されたフォトマスクを介して、超高圧水銀灯を用いて2000ミリジュールの光を照射した。さらに、200℃、3時間加熱処理を施した。このようにして作製したポリシランとポリシラザン混合物の2層膜の断面の概略図を図15に示す。この光導波路素子は、シリコン基板9の上に、ポリシラン/ポリシラザン(=5/5重量比)膜10が形成され、さらにその上にポリシラン/ポリシラザン(=7/3重量比)膜11が形成されている。ポリシラン/ポリシラザン(=5/5重量比)膜10、及びポリシラン/ポリシラザン(=7/3重量比)膜11は、それぞれ、光照射部10′,11′、及び非照射部10”,11”で構成されている。前記(2)の項の結果から、ポリシラン/ポリシラザン(=5/5重量比)膜10の光照射部10′、同じく非照射部10”、ポリシラン/ポリシラザン(=7/3重量比)膜11の光照射部11′、同じく非照射部11”の屈折率は、各々1.510、1.575、1.560、1.600であると考えられ、もっとも屈折率が高い11”で光閉じ込めが起こって光導波部になると期待できる。
【0070】
(4)光導波の確認
波長633ナノメートルのヘリウム・ネオンレーザ光を20倍の対物レンズを用いて集光し、前記(3)の項のようにして作製したポリシランとポリシラザン混合物の2層膜の非照射部11”に端面結合法によってレーザ光を導入した。その結果、集光されたヘリウム・ネオンレーザ光が、幅15μmの非照射部11”を光導波部として伝搬する様子が確認できた。また、該光導波路の終端部を逐次切断して光導波路からの出射光強度を測定する、いわゆるカットバック法によって伝搬損失を測定したところ、1.3dB/cmであり、良好な光導波路が形成されていることが確認できた。
【0071】
比較例1
(1)ポリシラン単独原液の調製
実施例1の比較例として、ポリシラザンを含有しないポリシラン単独膜の特性を評価した。ポリシランとしては、実施例1同様ポリメチルフェニルシラン(大阪ガスケミカル(株)社製)をキシレン溶媒中に溶解し、固形分20重量%のポリシラン溶液を作製し一昼夜静置して原料溶液を得た。
【0072】
(2)光照射による屈折率変化誘起の確認及び寸法安定性の確認
ポリシラン単独の原液ををシリコン基板上にスピンコーティング法により塗布し、100℃、60秒加熱乾燥したのち、波長633ナノメートルにおける屈折率を分光反射率法によって測定したところ1.625であった。この膜に、超高圧水銀灯を用いて2000ミリジュールの光を照射し、さらに200℃、3時間加熱した後に同様の屈折率を測定したところ、屈折率は1.550に変化していた。しかし、200℃、3時間の加熱処理前後での膜厚変動量は33%と非常に大きく、著しい寸法変化に伴う光導波路素子作製上の影響は極めて大きいと判断された。
【0073】
実施例2
(1)ポリシラン及びポリシラザン混合物の調製
実施例1の(1)項と同様の方法で、固形分20重量%のポリメチルフェニルシラン(大阪ガスケミカル(株)社製)キシレン溶液と、固形分濃度20%のペルヒドロポリシラザンキシレン溶液(クラリアント・ジャパン社製)を用いて、ポリシランとポリシラザンとの重量比が7/3の原料溶液を得た。
【0074】
(2)回折光学素子の作製
前記(1)の項で述べたようにして調製したポリシランとポリシラザンとの重量比が7/3の混合原液を溶融石英基板上に厚さ5μmになるようスピンコーティング法により塗布し、100℃、60秒間加熱乾燥した。このようにして作製されたポリシランおよびポリシラザン混合膜に、10μmの線幅を有する光透過部および遮蔽部のライン・アンド・スペースからなるフォトマスクを介して、超高圧水銀灯を用いて4000ミリジュールの光を照射した。さらに、200℃、3時間加熱処理を施した。このようにして、格子周期10μmのグレーティングからなる回折光学素子を作製した。
【0075】
(3)光回折の検証
波長633ナノメートルのヘリウム・ネオンレーザ光の平行光を前記(3)の項で作製した光学素子の面に対して垂直に入射させた。その結果、回折光学素子を透過したレーザ光が、0次光、±1次光、±2次光と順番に、高次の回折光まで含めて回折されていることが確認された。集光されたヘリウム・ネオンレーザ光が、幅15μmの非照射部を光導波部として伝搬する様子が確認できた。また、0次光と±1次光との角(回折角)を測定すると、1.8度であった。回折角(θ)、回折次数(m)、入射光波長(λ)、回折格子周期(d)との間には、次式
2d×sinθ=mλ
の関係があるから、前記回折角1.8度、回折次数m=1、波長λ=0.633μmの結果から回折格子周期d=10μmとなり、所望の回折格子が形成されていることが検証できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の典型的な光導波路素子の一例を示す断面の概略図である。
【図2】図2は、本発明の平板導波路素子の断面の概略図である。
【図3】図3は、本発明の埋込み導波路素子の断面の概略図である。
【図4】図4は、本発明のリッジ型導波路素子の断面の概略図である。
【図5】図5は、本発明のストリップ装荷型導波路素子の断面の概略図である。
【図6】図6は、本発明の拡散導波路素子の断面の概略図である。
【図7】図7は、本発明によって得られる埋込み導波路の作製工程の概略を示す図である。
【図8】図8は、本発明によって得られるリッジ型導波路の作製工程の概略を示す図である。
【図9】図9は、本発明の回折光学素子の一例を示す断面の概略図である。
【図10】図10は、本発明の(単一)バイナリ型回折光学素子の断面の概略図である。
【図11】図11は、本発明のマルチバイナリ型回折光学素子の断面の概略図である。
【図12】図12は、本発明の表面レリーフ型回折光学素子の断面の概略図である。
【図13】図13は、本発明の屈折率変調型回折光学素子の断面の概略図である
【図14】図14は、本発明によって得られる屈折率変調型回折光学素子の作製工程の概略を示す図である。
【図15】図15は、実施例1で得られた光導波路素子の断面を示す概略図である。
【符号の説明】
1…基板
2…クラッド層
3…コア層
4…カバー層
6…回折格子層

Claims (8)

  1. ポリシラン(A)及びポリシラザン(B)で構成されている光学素子用組成物。
  2. ポリシラン(A)とポリシラザン(B)との割合(重量比)が、ポリシラン(A)/ポリシラザン(B)=5/95〜95/5である請求項1記載の組成物。
  3. ポリシラン(A)がポリアルキルアリールシランで構成されている請求項1記載の組成物。
  4. ポリC1−6アルキルC6−20アリールシラン及びポリシラザンで構成され、かつ両者の割合(重量比)が、ポリC1−6アルキルC6−20アリールシラン/ポリシラザン=10/90〜70/30である光学素子用組成物。
  5. 請求項1記載の組成物で形成された光学素子であって、少なくとも2値の異なる屈折率からなる屈折率変調構造を有する光学素子。
  6. 請求項1記載の組成物で形成された素子であって、少なくとも2値の異なる屈折率からなる屈折率変調構造を有する光導波路素子。
  7. 請求項1記載の組成物で形成された素子であって、少なくとも2値の異なる屈折率からなる屈折率変調構造を有する回折光学素子。
  8. 基板上にポリシラン及びポリシラザンで構成された薄膜を形成した後、露光する光学素子の製造方法。
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