JP2004035732A - 粘着テープ用基材フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】カレンダー成形によって成形することができ、かつ難燃性、機械的強度、耐熱変形性に優れ、適度な柔軟性及び伸長性を有する粘着テープ用基材フィルムの提供。
【解決手段】a:ポリプロピレン系樹脂、b:メタロセン系ポリエチレン系樹脂、c:芳香族ビニル化合物から主として作られる重合体ブロックと、共役ジエン化合物から主として作られる重合体ブロックからなる(水添)ブロック共重合体及びd:鉱物油系軟化剤、さらに、e:無機金属化合物が配合されているポリオレフィン系樹脂組成物を成形してなる粘着テープ用基材フィルム。
【解決手段】a:ポリプロピレン系樹脂、b:メタロセン系ポリエチレン系樹脂、c:芳香族ビニル化合物から主として作られる重合体ブロックと、共役ジエン化合物から主として作られる重合体ブロックからなる(水添)ブロック共重合体及びd:鉱物油系軟化剤、さらに、e:無機金属化合物が配合されているポリオレフィン系樹脂組成物を成形してなる粘着テープ用基材フィルム。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械物性などの物性を改善した粘着テープ用基材に関し、特にハーネステープに好適に使用される難燃性の良好な粘着テープ用基材フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車、電車、バスなどの車両の他、航空機、船舶、家屋、工場などの電気機器に用いられる絶縁テープ等、各種の粘着テープ分野においては、適度な柔軟性と伸長性を有し難燃性、機械的強度、耐熱変形性、電気絶縁性、成形加工性などの点に優れ、さらに、比較的安価なことから、ポリ塩化ビニル製フィルムが使用されていた。特に、自動車などの電気配線に使用されるワイヤーハーネスの結束用粘着テープ(ハーネステープ)には、高度の難燃性、高強度が要求され、かかる要求を満たすものとして、ポリ塩化ビニル製フィルムが汎用されてきた。
【0003】
ところが、近年の環境意識の高まりの中で、ポリ塩化ビニルを焼却処理した場合にダイオキシンや塩素ガスなどの有毒ガスが発生する恐れがあるということから、その使用を制限し、環境負荷が少ない材料へ転換するという動きがある。
【0004】
そこでポリ塩化ビニルに代わる材料として、ハロゲンを含まないポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂を粘着テープ基材に用いることが検討されている。しかし、ポリオレフィン系樹脂はポリ塩化ビニルに比べ燃えやすいという欠点があるため、難燃剤の添加が必須であり、一般に、難燃剤としては環境負荷が少ない金属水酸化物(例えば、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等)等の無機金属化合物からなる無機系難燃剤が使用されているが、フィルムの物性や加工性が劣り、充分満足のいく性能を有するポリオレフィン系樹脂製フィルムが得られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上記事情に鑑み、検討をした結果本発明をなすに至った。しかして、本発明の目的は、カレンダー成形法による成形性の良好な組成物を成形してなり、かつ難燃性、機械的強度、耐熱変形性に優れ、適度な柔軟性及び伸長性を有する粘着テープ用基材フィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、(1)a:プロピレン単独重合体及び/またはプロピレンを主体とする共重合体5〜30重量部、b:メタロセン触媒を用いて重合された、エチレン単独重合体及び/またはエチレンを主体とする共重合体10〜50重量部、c:芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロックと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックからなるブロック共重合体、及び/または該ブロック共重合体を水素添加して得られるブロック共重合体10〜50重量部並びにd:鉱物油系軟化剤10〜50重量部(ただし、a〜d成分の合計量は100重量部である)さらに、e:a〜d成分の合計100重量部に対して無機金属化合物100〜500重量部が配合されているポリオレフィン系樹脂組成物を成形してなる粘着テープ用基材フィルム、(2)c成分のブロック共重合体がスチレン−エチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体及び/またはこれを水素添加して得られるブロック共重合体である上記(1)に記載の粘着テープ用基材フィルム、(3)a成分のプロピレンを主体とする共重合体がランダムポリプロピレン、b成分のエチレンを主体とする共重合体がエチレン−αオレフィン共重合体である上記(1)または(2)に記載の粘着テープ用基材フィルム、(4)e成分の無機金属化合物が水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム及びハイドロタルサイトからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の粘着テープ用基材フィルム、(5)カレンダー成形法により成形してなる上記(1)〜(4)のいずれかに記載の粘着テープ用基材フィルム及び(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の粘着テープ用基材フィルムを用いてなるハーネステープに存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0008】
本発明の粘着テープ用基材フィルムは、以下のa〜e成分を必須の成分として含有するものである。
【0009】
a:プロピレン単独重合体及び/またはプロピレンを主体とする共重合体5〜30重量部、
b:メタロセン触媒を用いて重合された、エチレン単独重合体及び/またはエチレンを主体とする共重合体10〜50重量部、
c:芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロックと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックからなるブロック共重合体、及び/または該ブロック共重合体を水素添加して得られるブロック共重合体10〜50重量部並びに
d:鉱物油系軟化剤10〜50重量部
(ただし、a〜d成分の合計量は100重量部である)
さらに、
e:a〜d成分の合計100重量部に対して無機金属化合物100〜500重量部
a成分のプロピレンを主体とする共重合体としては、エチレンと炭素原子数が4〜12のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種以上の単量体とプロピレンとのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体及びこれらの共重合体2種以上の混合物が挙げられ、中でもランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)が好ましい。これらの共重合体におけるα−オレフィンの含有量は1〜10重量%、特に2〜6重量%とするのが好ましい。上記α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン等が挙げられる。
【0010】
a成分のプロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレンを主体とする共重合体は、示差走査熱量測定法(DSC)より求められる融解温度(Tm)が130〜170℃であるものが、粘着テープ用基材フィルム(以下、「フィルム」と記す)を100℃付近の高温環境下で使用した場合にも十分熱変形が抑制されるので好ましく、特に135〜160℃であるのが好ましい。また230℃、2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.1〜10g/10分であるのがカレンダー加工性が良好なので好ましく、0.1〜5g/10分であるのがより好ましい。中でも融解温度が135〜160℃でMFRが0.1〜5g/10分であるのがより好ましい。
【0011】
ここで、DSCにより求められる融解温度は、昇温速度10℃/分で測定した場合の吸熱による融解ピーク温度から求められる値(JIS K 7121)である。
【0012】
a成分のプロピレン単独重合体及び/またはプロピレンを主体とする共重合体の配合量は5〜30重量部である。配合量が少ないとフィルムの耐熱性が劣る恐れがあり、多すぎるとフィルムの柔軟性が劣る恐れがある。
【0013】
b成分のメタロセン触媒(シングルサイト触媒、カミンスキー触媒ともいう)を用いて重合されたエチレンを主体とする共重合体は、炭素原子数が3〜12のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体とエチレンとの共重合体であり、例えばメタロセン触媒を用いて重合された低密度ポリエチレン(LDPE)、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)及びこれらの共重合体の2種以上の混合物等が例示でき、中でも線状低密度ポリエチレンがフィルム強度と柔軟性のバランスの面で好ましい。これらの共重合体におけるα−オレフィンの含有量は1〜10重量%、特に2〜6重量%とするのが好ましい。上記α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン等が挙げられる。
【0014】
b成分のメタロセン触媒を用いて重合された、エチレン単独重合体及び/またはエチレンを主体とする共重合体としては190℃、2.16kg荷重でのMFRが0.1〜10g/10分であるのがカレンダー加工性が良好であるので好ましく、特に0.1〜5g/10分であるのが好ましい。また、密度が0.85〜0.93g/cm3であるとフィルム強度と柔軟性のバランスの面で好ましく、特に0.85〜0.90g/cm3であるものが好ましい。中でもMFRが0.1〜5g/10分で密度が0.85〜0.90g/cm3であるものがより好ましい。
【0015】
b成分の配合量は10〜50重量部、好ましくは20〜40重量部である。配合量が少ないと加工性及びフィルムの強度が劣る恐れがあり、多いと耐熱性、柔軟性が劣る恐れがある。
【0016】
c成分の芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロック(B)とからなるブロック共重合体、及び/または、これを水素添加して得られるブロック共重合体としては、例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−Aなどの構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体、あるいはこれらの水素添加されたもの等を挙げることができる。上記(水添)ブロック共重合体(以下、(水添)ブロック共重合体とは、ブロック共重合体及び/または水素添加されたブロック共重合体を意味する)は、芳香族ビニル化合物を5〜60重量%、好ましくは、20〜50重量%含む。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックは好ましくは、芳香族ビニル化合物のみからなる。あるいは芳香族ビニル化合物50重量%超、好ましくは70重量%以上と任意成分、例えば(水添)共役ジエン化合物(以下、(水添)共役ジエン化合物とは、共役ジエン化合物及び/または水素添加された共役ジエン化合物を意味する)との共重合体ブロックである。(水添)共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックは好ましくは、(水添)共役ジエン化合物のみから成る。あるいは(水添)共役ジエン化合物50重量%超、好ましくは70重量%以上と任意成分、例えば芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックである。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックまたは(水添)共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックが2個以上ある場合には、それぞれが同一または異なる構造であってよい。
【0017】
(水添)ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどのうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2種以上が選ばれる。中でもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
上記した構造を有する本発明の(水添)ブロック共重合体の重量平均分子量は好ましくは5,000〜1,500,000であり、より好ましくは10,000〜550,000であり、更に好ましくは100,000〜550,000であり、特に好ましくは10,000〜400,000である。分子量分布(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn))は好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、より好ましくは2以下である。
【0018】
(水添)ブロック共重合体の分子構造は、直鎖上、分岐状、放射状またはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
【0019】
上記(水添)ブロック共重合体の具体例としては、(水添)スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、(水添)スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、(水添)スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、(水添)スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、(水添)スチレン−エチレン−イソプレン−スチレン共重合体等を挙げることができる。中でも(水添)スチレン−エチレン−イソプレン−スチレン共重合体が、d成分の鉱物油系軟化剤の保持力に優れ、フィルム表面に該軟化剤が染み出し難いので好ましい。
【0020】
c成分の(水添)ブロック共重合体の配合量は、10〜50重量部である。配合量が少ないと、フィルムの柔軟性が劣る恐れがあり、多いとフィルム加工性が劣る恐れがある。
【0021】
d成分の鉱物油系軟化剤は、ゴム用として用いられるものが好ましい。鉱物油系軟化剤は加工性の改良や機械的物性を改良する目的で配合される高沸点の石油留分で、ゴム用鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン鎖の三者の組み合わさった混合物である。パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系、ナフテン環炭素数が30〜40%のものをナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものを芳香族系と呼んでいる。
【0022】
上記ゴム用鉱物油系軟化剤としては、芳香族成分が多くなると汚染性が強くなり、また耐光性も低下するので、非芳香族系であるパラフィン系やナフテン系の鉱物油系軟化剤、特にパラフィン系が好ましい。
【0023】
また、鉱物油系軟化剤とともに液状または低分子量の合成軟化剤を用いることもできる。
【0024】
d成分の鉱物油系軟化剤の配合量は、10〜50重量部であり、配合量が少ない場合は得られる組成物の柔軟性が失われる恐れがある。配合量が多い場合は鉱物油系軟化剤のブリードアウトを生じやすく、最終製品に粘着性を与える恐れがあり、機械的性質も低下させる。
【0025】
e成分の無機金属化合物としては、無機金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩もしくは硫酸塩またはこれらの化合物の複合化合物が挙げられ、これらの無機金属化合物の1種または2種以上を使用する。無機金属化合物としては中でも水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム及びハイドロタルサイトから選ばれる少なくとも1種を用いるのが好ましく、特に水酸化マグネシウム及び/または水酸化アルミニウムを用いるのが難燃性の付与効果に優れ、経済的にも有利であるため好ましい。
【0026】
無機金属化合物の粒径は一般に0.1〜50μm程度、好ましくは0.5〜20μm程度である。
【0027】
無機金属化合物の配合量はa〜d成分の合計100重量部に対して無機金属化合物100〜500重量部である。配合量が少ないとフィルムの難燃性が劣る恐れがあり、多いとフィルムの成形性及び強度等の機械的物性が劣る恐れがある。
【0028】
上記a〜e成分の配合量は、特にa成分10〜20重量部、b成分20〜40重量部、c成分20〜40重量部、d成分20〜40重量部(ただし、a〜d成分の合計量は100重量部である)さらに、a〜d成分の合計100重量部に対してe成分150〜400重量部であるのが、フィルムに成形する際、特にカレンダー成形によって成形する際の成形性に優れ、またフィルムの耐熱性、柔軟性及び強度等の機械的物性がともに優れるので好ましい。
【0029】
次に、本発明のフィルムの製造方法を説明する。まず上記のa〜e成分を溶融混練する。混練温度は、好ましくは160〜240℃である。混練方法としては、慣用の方法であれば使用でき、例えば、1軸または2軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー等が用いられる。この工程により、各成分が均一に分散された組成物を得ることができる。次に前記工程で得られた組成物をカレンダー成形機等によりフィルムに成形することで本発明のフィルムが得られる。カレンダー成形におけるロール配列方式は、例えば、L型、逆L型、Z型などの公知の方式を採用でき、また、ロール温度は通常140〜220℃、好ましくは160〜200℃の温度範囲に設定される。本発明のフィルムの厚みは特に限定されないが、通常10〜500μm、好ましくは50〜300μmである。
【0030】
更に本発明のフィルムには、上記a〜e成分の他に、必要に応じて、各種添加剤例えば熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤及び着色剤等を含有させてもよい。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の実施形態を実施例を用いて詳述するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0032】
<実施例1〜4、比較例1〜2>
表−1(実施例1〜4、比較例1〜2)に示す配合組成(単位は重量部)の樹脂組成物を溶融混練りし、2本型ロールを使用して、ロール温度150℃にてカレンダー成形を行い0.1mm厚さのフィルムを得た。
【0033】
フィルム成形時の成形性及び得られた各フィルムについて、以下の評価を行った。
【0034】
<フィルム成形時の成形性の評価>
フィルム成形時のフィルムのロール離れ性、フィルム外観を確認し、良好なものは○、やや劣るものは△、ひどく劣るもの、フィルム化できないものは×で示した。×と△のものは実用的に供することができない。
【0035】
<フィルムの評価>
(1)難燃性の評価
フィルムから試験片(寸法:長さ130mm、幅65mm)を採取し、この試験片をJIS K 7201の酸素指数法による高分子材料の燃焼試験方法に準じて燃焼させ、試験片の燃焼時間が3分以上継続して燃焼するか、または着炎後の燃焼長さが50mm以上燃え続けるのに必要な酸素流量とその時の窒素流量を流量計にて測定し、下記式(A)により酸素指数を求め、該酸素指数で難燃性を評価した。なお、酸素指数の値が大きいほど難燃性が高い。
【0036】
【数1】
酸素指数(O.I.)={[O2]/([O2]+[N2])}×100 ・・・(A)
(式中、[O2]は酸素の流量(l/分)、[N2]は窒素の流量(l/分)である。)
(2)強度の評価
JIS K 7127に従い、フィルムから採取した試験片(1号ダンベル)を23℃、60%RHの雰囲気下、引張試験機にて、引張速度:300mm/分で引張り破壊強さ(N/10mm)及び引張り破壊伸び(%)を測定した。
【0037】
【表1】
【0038】
尚、実施例、比較例において各樹脂および配合剤は、具体的にはそれぞれ次の通りである。
a成分;ランダムPP(日本ポリケム(株)社製、ノバテックPP EX6)
b成分;メタロセンLLDPE(日本ポリケム(株)社製、カーネル KS240)
c成分;SEEPS(水素添加スチレン−エチレン−イソプレン−スチレンランダム共重合体)((株)クラレ社製、セプトン 4055)
d成分;プロセスオイル(鉱物油系ゴム用軟化剤;出光興産(株)製 プロセスオイル PW380)
e成分;水酸化マグネシウム(協和化学工業(株)社製、キスマ 5A)
本発明に係る組成物はカレンダー成形により外観の良好なフィルムを作成することができ、得られた本発明のフィルムは、難燃性、引張り破壊強さ及び引張り破壊伸びが優れ機械的強度に優れる(実施例1〜4)。
【0039】
これに対し比較例1のフィルムは、機械的物性は優れるものの、難燃性が劣り、引張り破壊伸びが大きすぎるため粘着テープとした際、使用時のカット性が劣る。また、比較例2においては、比較例2の組成物を用いてカレンダー成形によりフィルムを成形することができなかった。
【0040】
【発明の効果】
本発明のフィルム、特にカレンダー成形によって成形された本発明のフィルム及び該フィルムを用いてなる粘着テープは、適度な柔軟性及び伸長性を有し、かつ難燃性、機械的強度、耐熱変形性に優れるため、ポリ塩化ビニルを基材とする粘着テープの代替として、自動車、電車、バスなどの車両の他、航空機、船舶、家屋、工場などの電気機器に用いられる絶縁テープ等、各種の粘着テープに使用でき、特に自動車などの電気配線に使用されるワイヤーハーネスや家電製品などのコイル、電線などを束ねて巻きつける粘着テープに好適に使用することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械物性などの物性を改善した粘着テープ用基材に関し、特にハーネステープに好適に使用される難燃性の良好な粘着テープ用基材フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車、電車、バスなどの車両の他、航空機、船舶、家屋、工場などの電気機器に用いられる絶縁テープ等、各種の粘着テープ分野においては、適度な柔軟性と伸長性を有し難燃性、機械的強度、耐熱変形性、電気絶縁性、成形加工性などの点に優れ、さらに、比較的安価なことから、ポリ塩化ビニル製フィルムが使用されていた。特に、自動車などの電気配線に使用されるワイヤーハーネスの結束用粘着テープ(ハーネステープ)には、高度の難燃性、高強度が要求され、かかる要求を満たすものとして、ポリ塩化ビニル製フィルムが汎用されてきた。
【0003】
ところが、近年の環境意識の高まりの中で、ポリ塩化ビニルを焼却処理した場合にダイオキシンや塩素ガスなどの有毒ガスが発生する恐れがあるということから、その使用を制限し、環境負荷が少ない材料へ転換するという動きがある。
【0004】
そこでポリ塩化ビニルに代わる材料として、ハロゲンを含まないポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂を粘着テープ基材に用いることが検討されている。しかし、ポリオレフィン系樹脂はポリ塩化ビニルに比べ燃えやすいという欠点があるため、難燃剤の添加が必須であり、一般に、難燃剤としては環境負荷が少ない金属水酸化物(例えば、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等)等の無機金属化合物からなる無機系難燃剤が使用されているが、フィルムの物性や加工性が劣り、充分満足のいく性能を有するポリオレフィン系樹脂製フィルムが得られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上記事情に鑑み、検討をした結果本発明をなすに至った。しかして、本発明の目的は、カレンダー成形法による成形性の良好な組成物を成形してなり、かつ難燃性、機械的強度、耐熱変形性に優れ、適度な柔軟性及び伸長性を有する粘着テープ用基材フィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、(1)a:プロピレン単独重合体及び/またはプロピレンを主体とする共重合体5〜30重量部、b:メタロセン触媒を用いて重合された、エチレン単独重合体及び/またはエチレンを主体とする共重合体10〜50重量部、c:芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロックと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックからなるブロック共重合体、及び/または該ブロック共重合体を水素添加して得られるブロック共重合体10〜50重量部並びにd:鉱物油系軟化剤10〜50重量部(ただし、a〜d成分の合計量は100重量部である)さらに、e:a〜d成分の合計100重量部に対して無機金属化合物100〜500重量部が配合されているポリオレフィン系樹脂組成物を成形してなる粘着テープ用基材フィルム、(2)c成分のブロック共重合体がスチレン−エチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体及び/またはこれを水素添加して得られるブロック共重合体である上記(1)に記載の粘着テープ用基材フィルム、(3)a成分のプロピレンを主体とする共重合体がランダムポリプロピレン、b成分のエチレンを主体とする共重合体がエチレン−αオレフィン共重合体である上記(1)または(2)に記載の粘着テープ用基材フィルム、(4)e成分の無機金属化合物が水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム及びハイドロタルサイトからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の粘着テープ用基材フィルム、(5)カレンダー成形法により成形してなる上記(1)〜(4)のいずれかに記載の粘着テープ用基材フィルム及び(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の粘着テープ用基材フィルムを用いてなるハーネステープに存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0008】
本発明の粘着テープ用基材フィルムは、以下のa〜e成分を必須の成分として含有するものである。
【0009】
a:プロピレン単独重合体及び/またはプロピレンを主体とする共重合体5〜30重量部、
b:メタロセン触媒を用いて重合された、エチレン単独重合体及び/またはエチレンを主体とする共重合体10〜50重量部、
c:芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロックと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックからなるブロック共重合体、及び/または該ブロック共重合体を水素添加して得られるブロック共重合体10〜50重量部並びに
d:鉱物油系軟化剤10〜50重量部
(ただし、a〜d成分の合計量は100重量部である)
さらに、
e:a〜d成分の合計100重量部に対して無機金属化合物100〜500重量部
a成分のプロピレンを主体とする共重合体としては、エチレンと炭素原子数が4〜12のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種以上の単量体とプロピレンとのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体及びこれらの共重合体2種以上の混合物が挙げられ、中でもランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)が好ましい。これらの共重合体におけるα−オレフィンの含有量は1〜10重量%、特に2〜6重量%とするのが好ましい。上記α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン等が挙げられる。
【0010】
a成分のプロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレンを主体とする共重合体は、示差走査熱量測定法(DSC)より求められる融解温度(Tm)が130〜170℃であるものが、粘着テープ用基材フィルム(以下、「フィルム」と記す)を100℃付近の高温環境下で使用した場合にも十分熱変形が抑制されるので好ましく、特に135〜160℃であるのが好ましい。また230℃、2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.1〜10g/10分であるのがカレンダー加工性が良好なので好ましく、0.1〜5g/10分であるのがより好ましい。中でも融解温度が135〜160℃でMFRが0.1〜5g/10分であるのがより好ましい。
【0011】
ここで、DSCにより求められる融解温度は、昇温速度10℃/分で測定した場合の吸熱による融解ピーク温度から求められる値(JIS K 7121)である。
【0012】
a成分のプロピレン単独重合体及び/またはプロピレンを主体とする共重合体の配合量は5〜30重量部である。配合量が少ないとフィルムの耐熱性が劣る恐れがあり、多すぎるとフィルムの柔軟性が劣る恐れがある。
【0013】
b成分のメタロセン触媒(シングルサイト触媒、カミンスキー触媒ともいう)を用いて重合されたエチレンを主体とする共重合体は、炭素原子数が3〜12のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体とエチレンとの共重合体であり、例えばメタロセン触媒を用いて重合された低密度ポリエチレン(LDPE)、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)及びこれらの共重合体の2種以上の混合物等が例示でき、中でも線状低密度ポリエチレンがフィルム強度と柔軟性のバランスの面で好ましい。これらの共重合体におけるα−オレフィンの含有量は1〜10重量%、特に2〜6重量%とするのが好ましい。上記α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン等が挙げられる。
【0014】
b成分のメタロセン触媒を用いて重合された、エチレン単独重合体及び/またはエチレンを主体とする共重合体としては190℃、2.16kg荷重でのMFRが0.1〜10g/10分であるのがカレンダー加工性が良好であるので好ましく、特に0.1〜5g/10分であるのが好ましい。また、密度が0.85〜0.93g/cm3であるとフィルム強度と柔軟性のバランスの面で好ましく、特に0.85〜0.90g/cm3であるものが好ましい。中でもMFRが0.1〜5g/10分で密度が0.85〜0.90g/cm3であるものがより好ましい。
【0015】
b成分の配合量は10〜50重量部、好ましくは20〜40重量部である。配合量が少ないと加工性及びフィルムの強度が劣る恐れがあり、多いと耐熱性、柔軟性が劣る恐れがある。
【0016】
c成分の芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロック(B)とからなるブロック共重合体、及び/または、これを水素添加して得られるブロック共重合体としては、例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−Aなどの構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体、あるいはこれらの水素添加されたもの等を挙げることができる。上記(水添)ブロック共重合体(以下、(水添)ブロック共重合体とは、ブロック共重合体及び/または水素添加されたブロック共重合体を意味する)は、芳香族ビニル化合物を5〜60重量%、好ましくは、20〜50重量%含む。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックは好ましくは、芳香族ビニル化合物のみからなる。あるいは芳香族ビニル化合物50重量%超、好ましくは70重量%以上と任意成分、例えば(水添)共役ジエン化合物(以下、(水添)共役ジエン化合物とは、共役ジエン化合物及び/または水素添加された共役ジエン化合物を意味する)との共重合体ブロックである。(水添)共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックは好ましくは、(水添)共役ジエン化合物のみから成る。あるいは(水添)共役ジエン化合物50重量%超、好ましくは70重量%以上と任意成分、例えば芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックである。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックまたは(水添)共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックが2個以上ある場合には、それぞれが同一または異なる構造であってよい。
【0017】
(水添)ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどのうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2種以上が選ばれる。中でもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
上記した構造を有する本発明の(水添)ブロック共重合体の重量平均分子量は好ましくは5,000〜1,500,000であり、より好ましくは10,000〜550,000であり、更に好ましくは100,000〜550,000であり、特に好ましくは10,000〜400,000である。分子量分布(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn))は好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、より好ましくは2以下である。
【0018】
(水添)ブロック共重合体の分子構造は、直鎖上、分岐状、放射状またはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
【0019】
上記(水添)ブロック共重合体の具体例としては、(水添)スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、(水添)スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、(水添)スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、(水添)スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、(水添)スチレン−エチレン−イソプレン−スチレン共重合体等を挙げることができる。中でも(水添)スチレン−エチレン−イソプレン−スチレン共重合体が、d成分の鉱物油系軟化剤の保持力に優れ、フィルム表面に該軟化剤が染み出し難いので好ましい。
【0020】
c成分の(水添)ブロック共重合体の配合量は、10〜50重量部である。配合量が少ないと、フィルムの柔軟性が劣る恐れがあり、多いとフィルム加工性が劣る恐れがある。
【0021】
d成分の鉱物油系軟化剤は、ゴム用として用いられるものが好ましい。鉱物油系軟化剤は加工性の改良や機械的物性を改良する目的で配合される高沸点の石油留分で、ゴム用鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン鎖の三者の組み合わさった混合物である。パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系、ナフテン環炭素数が30〜40%のものをナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものを芳香族系と呼んでいる。
【0022】
上記ゴム用鉱物油系軟化剤としては、芳香族成分が多くなると汚染性が強くなり、また耐光性も低下するので、非芳香族系であるパラフィン系やナフテン系の鉱物油系軟化剤、特にパラフィン系が好ましい。
【0023】
また、鉱物油系軟化剤とともに液状または低分子量の合成軟化剤を用いることもできる。
【0024】
d成分の鉱物油系軟化剤の配合量は、10〜50重量部であり、配合量が少ない場合は得られる組成物の柔軟性が失われる恐れがある。配合量が多い場合は鉱物油系軟化剤のブリードアウトを生じやすく、最終製品に粘着性を与える恐れがあり、機械的性質も低下させる。
【0025】
e成分の無機金属化合物としては、無機金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩もしくは硫酸塩またはこれらの化合物の複合化合物が挙げられ、これらの無機金属化合物の1種または2種以上を使用する。無機金属化合物としては中でも水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム及びハイドロタルサイトから選ばれる少なくとも1種を用いるのが好ましく、特に水酸化マグネシウム及び/または水酸化アルミニウムを用いるのが難燃性の付与効果に優れ、経済的にも有利であるため好ましい。
【0026】
無機金属化合物の粒径は一般に0.1〜50μm程度、好ましくは0.5〜20μm程度である。
【0027】
無機金属化合物の配合量はa〜d成分の合計100重量部に対して無機金属化合物100〜500重量部である。配合量が少ないとフィルムの難燃性が劣る恐れがあり、多いとフィルムの成形性及び強度等の機械的物性が劣る恐れがある。
【0028】
上記a〜e成分の配合量は、特にa成分10〜20重量部、b成分20〜40重量部、c成分20〜40重量部、d成分20〜40重量部(ただし、a〜d成分の合計量は100重量部である)さらに、a〜d成分の合計100重量部に対してe成分150〜400重量部であるのが、フィルムに成形する際、特にカレンダー成形によって成形する際の成形性に優れ、またフィルムの耐熱性、柔軟性及び強度等の機械的物性がともに優れるので好ましい。
【0029】
次に、本発明のフィルムの製造方法を説明する。まず上記のa〜e成分を溶融混練する。混練温度は、好ましくは160〜240℃である。混練方法としては、慣用の方法であれば使用でき、例えば、1軸または2軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー等が用いられる。この工程により、各成分が均一に分散された組成物を得ることができる。次に前記工程で得られた組成物をカレンダー成形機等によりフィルムに成形することで本発明のフィルムが得られる。カレンダー成形におけるロール配列方式は、例えば、L型、逆L型、Z型などの公知の方式を採用でき、また、ロール温度は通常140〜220℃、好ましくは160〜200℃の温度範囲に設定される。本発明のフィルムの厚みは特に限定されないが、通常10〜500μm、好ましくは50〜300μmである。
【0030】
更に本発明のフィルムには、上記a〜e成分の他に、必要に応じて、各種添加剤例えば熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤及び着色剤等を含有させてもよい。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の実施形態を実施例を用いて詳述するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0032】
<実施例1〜4、比較例1〜2>
表−1(実施例1〜4、比較例1〜2)に示す配合組成(単位は重量部)の樹脂組成物を溶融混練りし、2本型ロールを使用して、ロール温度150℃にてカレンダー成形を行い0.1mm厚さのフィルムを得た。
【0033】
フィルム成形時の成形性及び得られた各フィルムについて、以下の評価を行った。
【0034】
<フィルム成形時の成形性の評価>
フィルム成形時のフィルムのロール離れ性、フィルム外観を確認し、良好なものは○、やや劣るものは△、ひどく劣るもの、フィルム化できないものは×で示した。×と△のものは実用的に供することができない。
【0035】
<フィルムの評価>
(1)難燃性の評価
フィルムから試験片(寸法:長さ130mm、幅65mm)を採取し、この試験片をJIS K 7201の酸素指数法による高分子材料の燃焼試験方法に準じて燃焼させ、試験片の燃焼時間が3分以上継続して燃焼するか、または着炎後の燃焼長さが50mm以上燃え続けるのに必要な酸素流量とその時の窒素流量を流量計にて測定し、下記式(A)により酸素指数を求め、該酸素指数で難燃性を評価した。なお、酸素指数の値が大きいほど難燃性が高い。
【0036】
【数1】
酸素指数(O.I.)={[O2]/([O2]+[N2])}×100 ・・・(A)
(式中、[O2]は酸素の流量(l/分)、[N2]は窒素の流量(l/分)である。)
(2)強度の評価
JIS K 7127に従い、フィルムから採取した試験片(1号ダンベル)を23℃、60%RHの雰囲気下、引張試験機にて、引張速度:300mm/分で引張り破壊強さ(N/10mm)及び引張り破壊伸び(%)を測定した。
【0037】
【表1】
【0038】
尚、実施例、比較例において各樹脂および配合剤は、具体的にはそれぞれ次の通りである。
a成分;ランダムPP(日本ポリケム(株)社製、ノバテックPP EX6)
b成分;メタロセンLLDPE(日本ポリケム(株)社製、カーネル KS240)
c成分;SEEPS(水素添加スチレン−エチレン−イソプレン−スチレンランダム共重合体)((株)クラレ社製、セプトン 4055)
d成分;プロセスオイル(鉱物油系ゴム用軟化剤;出光興産(株)製 プロセスオイル PW380)
e成分;水酸化マグネシウム(協和化学工業(株)社製、キスマ 5A)
本発明に係る組成物はカレンダー成形により外観の良好なフィルムを作成することができ、得られた本発明のフィルムは、難燃性、引張り破壊強さ及び引張り破壊伸びが優れ機械的強度に優れる(実施例1〜4)。
【0039】
これに対し比較例1のフィルムは、機械的物性は優れるものの、難燃性が劣り、引張り破壊伸びが大きすぎるため粘着テープとした際、使用時のカット性が劣る。また、比較例2においては、比較例2の組成物を用いてカレンダー成形によりフィルムを成形することができなかった。
【0040】
【発明の効果】
本発明のフィルム、特にカレンダー成形によって成形された本発明のフィルム及び該フィルムを用いてなる粘着テープは、適度な柔軟性及び伸長性を有し、かつ難燃性、機械的強度、耐熱変形性に優れるため、ポリ塩化ビニルを基材とする粘着テープの代替として、自動車、電車、バスなどの車両の他、航空機、船舶、家屋、工場などの電気機器に用いられる絶縁テープ等、各種の粘着テープに使用でき、特に自動車などの電気配線に使用されるワイヤーハーネスや家電製品などのコイル、電線などを束ねて巻きつける粘着テープに好適に使用することができる。
Claims (6)
- a:プロピレン単独重合体及び/またはプロピレンを主体とする共重合体5〜30重量部、
b:メタロセン触媒を用いて重合された、エチレン単独重合体及び/またはエチレンを主体とする共重合体10〜50重量部、
c:芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロックと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックからなるブロック共重合体、及び/または該ブロック共重合体を水素添加して得られるブロック共重合体10〜50重量部並びに
d:鉱物油系軟化剤10〜50重量部
(ただし、a〜d成分の合計量は100重量部である)
さらに、
e:a〜d成分の合計100重量部に対して無機金属化合物100〜500重量部
が配合されているポリオレフィン系樹脂組成物を成形してなる粘着テープ用基材フィルム。 - c成分のブロック共重合体がスチレン−エチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体及び/またはこれを水素添加して得られるブロック共重合体である請求項1に記載の粘着テープ用基材フィルム。
- a成分のプロピレンを主体とする共重合体がランダムポリプロピレン、b成分のエチレンを主体とする共重合体がエチレン−αオレフィン共重合体である請求項1または2に記載の粘着テープ用基材フィルム。
- e成分の無機金属化合物が水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム及びハイドロタルサイトからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着テープ用基材フィルム。
- カレンダー成形法により成形してなる請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着テープ用基材フィルム。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着テープ用基材フィルムを用いてなるハーネステープ。
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