JP2004035673A - 素地調整剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】成分として、(a)湿気硬化型樹脂、(b)導電性材料、(c)腐食性イオン固定化剤、(d)カップリング剤を配合する。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼材等の塗装前における、該表面の除錆処理が不要な、もしくはそれを軽減することが可能な素地調整剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
既設鋼構造物の塗り替え時期になると、通常鋼材表面には多くの赤錆が発生しており、そのような表面に塗料を塗り替え塗装しても塗膜にフクレや剥離が生じ、鋼材を長期間錆から保護できない。
そこで、従来は、塗装前に鋼材表面をブラスト処理等により3種ケレン以上に除錆した後、塗料を塗装する方法や、塗装前に鋼材表面の浮き錆等を除去した後、タンニン酸等を含有する素地調整剤を塗布し、赤錆の主成分であるもろい水和酸化物を黒錆の主成分である硬いFe3O4に変換し、塗料を塗装する方法等がとられていた。
【0003】
しかしながら、前者の方法においては、除錆の際、多量の粉塵が生じ、作業環境が悪いだけでなく、作業効率も非常に悪い問題点があった。更に一般的な塗り替え塗装においては、2種又は3種ケレンを鋼材表面に施しているが、鋼構造物のくぼみ部分や狭隘部分の錆は除去しにくく、その個所の錆層と鉄素地との界面にはCl−やSO4 2−等の腐食性の高い腐食性イオン物質が残存しやすく、そのため塗り替え塗装してもその個所での防食性が大幅に低下する問題点があった。
また、後者の方法においては、錆層の強化はなされるものの、上記くぼみ部分や狭隘部分の腐食性イオン物質の除去は不可能であり、更にタンニン酸は水に可溶性であるため、その上に形成された防食塗膜は経時的にフクレやすく、その結果、剥離が生じやすくなり、その個所での長期防食性が悪い問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の課題を背景になされたものであり、特定の結合剤や、導電性材料、腐食性イオン固定化剤等を用いることにより、除錆作業環境や作業効率がよく、かつ腐食性イオン物質を効率よく捕集、固定化し、長期防食性を可能にする素地調整剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を達成するため、鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を達成できることを見出し、本発明に到達したものである。
即ち、本発明は、
(a)湿気硬化型樹脂、
(b)導電性材料、
(c)腐食性イオン固定化剤、及び
(d)カップリング剤、
を含有することを特徴とする素地調整剤に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の素地調整剤の各構成成分について説明する。
【0007】
(a)成分について
(a)成分は、錆層内部に含浸し、錆層内部の水分や大気中の水分により反応硬化し、錆層を強化させるとともに、後述する導電性材料や、腐食性イオン固定化剤、カップリング剤等を固着化させるための結合剤である。
このような機能を有するものであれば、従来から塗料用に使用されている各種湿気硬化型樹脂が使用可能であり、具体的には、例えば、ウレタン樹脂(ポリイソシアネートプレポリマー)系や、エポキシ樹脂−ケチミン硬化系、アルキルシリケート樹脂系、アルキルアルコキシシラン樹脂系等が代表的なものとして挙げられる。
本発明においては、特に錆層内部に含浸しやすく、硬化後錆層を強化し、耐水性等に優れた湿気硬化型ウレタン樹脂が好ましい。
湿気硬化型ウレタン樹脂は、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応して得られる遊離イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを好適に用いることができる。
【0008】
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールや、ポリオレフィンポリオール等を用いることができる。ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコールや、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの水酸基を2個以上、好ましくは、2〜6個有する炭素数2〜8個のポリオールに、エチレンオキサイドや、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等の、好ましくは、炭素数数2〜8個のアルキレンオキサイドをアルカリ触媒などの存在下で付加重合して得た分子中に2〜4個の水酸基(活性水素基)を持つポリアルキレンポリオールなどを用いることが適当である。
【0009】
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ブタジエンや、イソプレンなどのジエン系化合物に、例えば、エチレンオキサイドや、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドを付加重合して得た分子中に2〜4個の水酸基を持つポリジエンポリオールを用いることが適当である。
ポリイソシアネートとしては、1分子中に2個以上、好ましくは、2〜3個のイソシアネート基を有する化合物が適当である。
【0010】
ポリイソシアネートとしては、具体的には、例えば、2,4−トルエンジイソシアネートや2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジフェニルジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、
【0011】
水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トルイレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;スミジュールN(住友バイエルウレタン社製商品名)等のビュレットポリイソシアネート化合物;デスモジュールIL、HL(バイエルA.G.社製商品名)、コロネートE.H.(日本ポリウレタン工業社製商品名)等のイソシアネート環を有するポリイソシアネート化合物;スミジュールL(住友バイエルウレタン社製商品名)、コロネートHL(日本ポリウレタン工業社製商品名)等のアダクトポリイソシアネート化合物を挙げることができる。
これらポリイソシアネートは1種単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0012】
湿気硬化型ウレタン樹脂の合成方法は、特に限定がなく従来公知の方法を利用することができる。具体的には、湿気硬化型ウレタン樹脂は、例えば、ポリオールと、過剰のポリイソシアネートとを重合させることにより製造される。過剰のポリイソシアネートは、ポリオールの水酸基当量よりもイソシアネート当量が過剰であることを意味し、その当量関係をNCO/OH比で表すことができる。特に、液状で低粘度の湿気硬化型ウレタン樹脂を形成するためには、ポリオールの種類や、官能基数、分子量等を考慮すると共に、NCO/OH比を、例えば2〜10、好ましくは、5〜10に調整することが好ましい。重合温度及び重合時間も特に制限されないが、通常水分の影響を避けるために、窒素気流下でポリオールとポリイソシアネートとを混合した後、例えば、50〜100℃にて3〜8時間反応させるのが適当である。反応前、反応途中及び反応終了後、有機金属塩系ウレタン重合触媒や、安定剤、脱水剤、重合調節剤等を適量随時添加しても差支えない。
【0013】
(b)成分について
(b)成分は、錆層内部に含浸した素地調整剤に導電性を付与し、次工程で塗り替え時一般的に使用されるジンクリッチペイント膜と鋼材の通電点を確保することによって、ジンクリッチペイント中の亜鉛粒子の犠牲防食作用を発揮させるための導電性材料である。導電性材料としては、電気が通じれば有機材料、無機材料でも良く、また形態は液体でも固体でも良い。電気が通じるか否かの判断基準は、体積固有抵抗値を測定することで判断できる。形成された素地調整剤被膜の体積固有抵抗が108Ω/cm3以下であれば良い。
具体的には、導電性樹脂としては、π−共役二重結合を有するアセチレンやピロール、チオフェン、ベンゼンあるいはこれらの置換体の(共)重合物が代表的なものとして挙げられる。特に好ましくは、ポリアニリンや、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ−P−フェニレンピレンあるいはこれらの変性樹脂や混合物が挙げられる。これら導電性樹脂は通常無機酸や、有機物でドープされた状態で使用するが、ドープされていなくても良い。無機質の導電性材料としては、具体的には、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、銀、銅、鉄等の金属、それらの合金や、フェロホスホル(りん鉄)、フェロマンガン、フェロシリコン、フェロコバルトなどの金属りん化物や、金属炭素化合物、金属窒化物などの金属化合物、酸化亜鉛やカーボンブラック、グラファイトなどの公知の導電性を示す材料が使用できる。
【0014】
(c)成分について
(c)成分は、錆層と鉄素地との界面に存在するCl−や、SO4 2等の腐食性イオン物質を捕集するとともに化学反応し、水不溶性の複塩を形成し、腐食性イオンを固定化し、不活性化するための腐食性イオン固定化剤である。該固定化剤により鋼材表面に腐食性イオン物質が残存していても、それを不活性化するため、防食性の低下を防止することが可能となるのである。
このような腐食性イオン固定化剤としては、代表的には、ハイドロカルマイトや、ハイドロタルサイト等が挙げられる。
【0015】
ハイドロカルマイトは、式、
3CaO・Al2O3・CaX2/m・nH2O
(式中、Xは、1価又は2価のアニオンであり、mは、アニオンの価数を表し、nは、20以下を示す。)
で示される層状構造をもつ含水結晶性粉末である。アニオン(X)としては、NO3 −や、NO2 −、OH−、CH3COO−、CO3 2−等が代表的なものとして挙げられる。これらアニオンは、塩素イオンや、硫酸イオン等と接触するとアニオン交換し、XであるNO3 −、NO2 −等を遊離するとともに、腐食性イオン物質をハイドロカルマイト中に固定化(担持)し、不活性化する。また、遊離した上記アニオンは、鋼材表面に不働体皮膜を形成し、防食性を更に向上させる効果を有する。
【0016】
ハイドロタルサイトは、代表的には、式、
Mg4.5Al2(OH)13CO3・nH2O
(式中、nは、4以下、好ましくは、3.5を示す。)
で示される層状構造をもつ含水結晶性粉末であり、ハイドロカルマイトと同様腐食性イオン物質と接触するとアニオン交換し、腐食性イオンをハイドロタルサイト中に固定化し、その結晶構造から脱離させない能力を有するものである。
【0017】
(d)カップリング剤
(d)成分は、錆層への濡れ性や含浸性を向上させ、また、その上に塗装する塗料との密着性を向上させるためのカップリング剤である。
カップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランや、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネートや、テトラオクチルビス(ジドデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等のチタン系カップリング剤;その他、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等が代表的なものとして挙げられる。
【0018】
本発明の素地調整剤は、以上説明した(a)成分〜(d)成分を必須成分として含み、更に必要に応じて、活性水素を含まない炭化水素系や、エステル系、ケトン系などの各種塗料用有機溶剤;リン酸アルミニウムや、縮合リン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、タンニン酸、クエン酸等の各種塗料用防錆顔料;消泡剤や、湿潤分散剤、脱水剤等の各種添加剤などを配合したものから構成されている。
なお、各成分の配合割合は、(a)成分である湿気硬化型樹脂100質量部に対し、(b)成分である導電性材料は、1〜50質量部、好ましくは、5〜35質量部;(c)成分である腐食性イオン固定化剤は、1〜95質量部、好ましくは、5〜50質量部;(d)成分であるカップリング剤は、0.1〜10質量部、好ましくは、1〜5質量部であり、かつ、(b)成分と(c)成分との合計量が、5〜100質量部、好ましくは、15〜70質量部が適当である。
【0019】
また、有機溶剤の量は、素地調整剤の固形分が、20〜80質量%、好ましくは、30〜70質量%になる程度が適当である。また、各種添加剤は、素地調整剤固形分中0.1〜10質量%、好ましくは、1〜5質量%配合するのが適当である。
なお、(b)成分が前記範囲より少ないと、素材の電位均一化が十分発揮できず、逆に多すぎると、相対的に(a)成分の量が少なくなり、錆層の強化(凝集力)が不十分となりやすい。また、(c)成分の量が前記範囲より少ないと、腐食性イオン物質の捕集、固定化が不十分となり、逆に多すぎると、相対的に(a)成分の量が少なくなり、錆層の強化が不十分となりやすい。また、(d)成分の量が前記範囲より少ないと錆層への濡れ性や、含浸性、その上に塗装する塗料との密着性が不十分となり、逆に多すぎても前記効果の向上は認められず、経済的にも不利である。
【0020】
本発明の素地調整剤は、錆を有する鋼材に適用する場合、前処理として劣化塗膜や、浮き錆等の脆弱個所をワイヤーブラシ、スコッチブライト(スリーエム社製)等で、また、層状錆やコブ錆等の発生した腐食の著しい個所は、動力研磨工具や手研磨工具にて除去する。ただし、固着化した錆は除去する必要はない。
このようにして前処理した鋼材表面に、本発明の素地調整剤を刷毛、ローラー、スプレー等の手段で、塗布量(固形分換算)0.03〜0.2kg/m2程度塗布し、自然乾燥させる。このように素地調整剤を塗布した鋼材表面に塗料を塗装すると、長期間フクレや剥離しにくい塗膜が得られ、そのため鋼材は、長期防食性の優れたものとなる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、更に詳細に説明する。なお、実施例中、「部」、「%」は、質量基準で示す。
【0022】
〈実施例1〜4及び比較例1〜3〉
表1に示す成分を混合分散し、素地調整剤を調製し、密閉容器に貯蔵した。
[性能試験]
キシレンで脱脂、洗浄した寸法150×70×1.6mmの磨き軟鋼板に対しその片面半分(75×50mm)に、JIS K 5623(一般さび止めペイント)1種[「ズボイド下塗」(大日本塗料社製商品名)]を2回塗りし、次いで、JIS K 5516(合成樹脂調合ペイント)2種中塗り用[「ズボイドSR中塗」(大日本塗料社製商品名)]を1回塗りし、最後に、JIS K 5516(合成樹脂調合ペイント)2種上塗り用[「ズボイドSR上塗」(大日本塗料社製商品名)]を1回塗りした。このようにして形成された塗膜を、以下「旧塗膜」という。
【0023】
得られた塗板を屋外に12ケ月間曝露し、発錆させた。なお、曝露6ケ月間経過後に食塩をCl量に換算して500mg/m2となるよう塗布した。
このようにして得られた発錆塗板表面を、以下の塗装仕様で塗布した。
前処理:発錆塗板表面の付着物、脆弱錆のみをスコッチブライト除去した。
素地調整剤塗布:実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた各素地調整剤を0.10kg/m2塗布し、1日間自然乾燥させた。
ジンクリッチペイント塗布:厚膜形有機ジンクリッチペイント〔「ゼッタールEP2−HB」(大日本塗料社製商品名)〕を0.75kg/m2塗布し、1日間自然乾燥させた。
【0024】
下塗塗料塗布:湿気硬化型ウレタン樹脂下塗塗料〔「Vグラン下塗」(大日本塗料社製商品名)〕を0.15kg/m2塗布し、1日間自然乾燥させた。
上塗塗料塗布:ポリウレタン樹脂上塗塗料〔「VトップH上塗」(大日本塗料社製商品名)〕を0.12kg/m2塗布し、1日間自然乾燥させた。
次いで、20℃、65%RHの条件下で7日間養生した。
このようにして得られた複数の試験塗板につき、一部の試験塗板の旧塗膜層以外の部分に、カッターナイフにて鋼素地に達するまでクロスカットを入れた。
【0025】
〈比較例4〉
発錆塗板表面を、前処理として、3種ケレンを行い、素地調整剤塗布しない以外は、実施例1と同様にして複数の試験塗板を得た。
上記得られた実施例1〜4及び比較例1〜4の試験塗板につき、付着強度、防食性、食塩水浸漬の各性能試験をしたところ、表2に示す結果が得られた。
【0026】
【表1】
表1 素地調整剤組成物
(単位:部)
【0027】
芳香族ポリイソシアネートプレポリマー;「スミジュールE21−1」(住友バイエルウレタン社製商品名)
注2)グラファイト
注3)亜鉛末
注4)実施例1〜2、比較例1、3:
ハイドロタルサイト;「DHT−4A」(協和化学工業社製商品名)
実施例3:
亜硝酸型ハイドロカルマイト;「ソルカット」(日本化学工業社製商品名)
注5)「KBM403」(信越シリコン社製商品名)
注6)「アディティブTI」(住友バイエルウレタン社製商品名)
注7)「BYK354」(BYKケミー社製商品名)
【0028】
【表2】
表2 性能試験結果
【0029】
注8)エルコメータ社製アドヒージョンテスターにて測定した(3検体の平均値)。
注9)JIS K5621に基づく。
◎:フクレ、錆発生なし
○:クロスカット部に幅2mm以内のフクレ、錆発生あり
クロスカット部以外にフクレ、錆発生数点あり
△:クロスカット部に幅2〜5mmのフクレ、錆発生あり
クロスカット部以外に10%以下のフクレ、錆発生あり
×:クロスカット部に幅5mm以上のフクレ、錆発生あり
クロスカット部以外に10%越えるフクレ、錆発生あり
【0030】
注10)3%食塩水に浸漬し、カレントインタラプター法により鋼板の自然電位、 分極抵抗を経時的に測定するとともに外観観察した。
◎:フクレ、錆発生なし
○:フクレ、錆発生数点あり
△:10%以下のフクレ、錆発生有り
×:10%越えるフクレ、錆発生あり
表2からも明らかの通り、本発明の素地調整剤を使用した各実施例は、従来
3種ケレンを行った比較例4と同等の付着強度、防食性を有していた。
一方、導電性材料を配合しない比較例1、腐食性イオン固定化剤を配合しない比較例2は、防食性が劣っていた。また、カップリング剤を配合しない比較例3は、防食性とともに付着強度も劣っていた。なお、従来法の比較例4は、除錆処理する際の、粉塵の多量発生があり、作業環境、作業効率とも悪いものである。
【0031】
【発明の効果】
本発明の素地調整剤を使用することにより、鋼材等の塗装前における該表面の除錆処理が不要、もしくはその処理を軽減することが可能となる。
Claims (4)
- (a)湿気硬化型樹脂、
(b)導電性材料、
(c)腐食性イオン固定化剤、及び
(d)カップリング剤、
を含有することを特徴とする素地調整剤。 - 前記(a)成分100質量部に対し、前記(b)成分を1〜50質量部、前記(c)成分を1〜95質量部、前記(d)成分を0.1〜10質量部含有し、かつ前記(b)成分と前記(c)成分との合計量が、5〜100質量部である、請求項1に記載の素地調整剤。
- 前記(a)成分が、湿気硬化型ウレタン樹脂である、請求項1又は請求項2に記載の素地調整剤。
- 前記(c)成分が、ハイドロカルマイト及び/又はハイドロタルサイトである、請求項1又は請求項2に記載の素地調整剤。
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