JP2004035517A - カルバペネム系抗生剤含有経口製剤 - Google Patents

カルバペネム系抗生剤含有経口製剤 Download PDF

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Hiroshi Negishi
根岸 浩
Tateaki Miyaji
宮地 建明
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Abstract

【課題】経口カルバペネム系抗生剤を含有する経口製剤であって、製剤の崩壊性が良好であり、有効成分の放出性が著しく改善されると共に、有効成分の経時的安定性がよく、製剤中に分解物を生じることなく、抗菌活性の低下を起こさないカルバペネム系抗生剤の経口投与製剤を提供すること。
【解決手段】次式(I):
【化1】
Figure 2004035517

で示される経口カルバペネム系抗生剤を含有し、さらに
(a)賦形剤として微結晶セルロース、乳糖および無水リン酸水素カルシウムからなる群から選択される1種または2種以上;
(b)崩壊剤としてクロスポピドン、カルメロースナトリウムおよびクロスカルメロースナトリウムからなる群から選択される1種または2種以上;
および
(c)滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムまたはタルク;
を含有し、乾式造粒法にて顆粒を製造することにより得られたカルバペネム系抗生剤含有経口製剤である。
【選択図】     図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、経口カルバペネム系抗生剤を含有する経口製剤に関し、詳細には、含有される有効成分である経口カルバペネム系抗生剤の経時的安定性に優れると共に、分解物の生成が少ない経口製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
カルバペネム系抗生剤は、巾広い抗菌スペクトルと、強力な抗菌活性ないし殺菌活性によりペニシリン系抗生剤、セファロスポリン系抗生剤に続く新たな抗生剤として、臨床的に使用され始めた薬物である。これらのカルバペネム系抗生剤についても経口投与可能な化合物の検索が行なわれており、これまでに種々の経口カルバペネム系抗生剤が提案されてきている。しかしながら、かかる経口カルバペネム系抗生剤のなかには、化合物自体の経時的安定性が低く、経口製剤化を行ったとしても、製剤中に分解物を生じ、抗菌活性の低下を起こすものが散見される。
【0003】
経口カルバペネム系抗生剤の一つに、次式(I):
【0004】
【化1】
Figure 2004035517
【0005】
で示されるピバロイルオキシメチル (1R,5S,6S)−2−[(1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジン−3−イル)チオ−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−カルバペン−2−エム−3−カルボキシレートがある。
【0006】
この経口カルバペネム系抗生剤は、極めて幅広い抗菌スペクトルと、強力な抗菌活性を有し、カルバペネム系抗生剤で問題とされている腎デヒドロペプチダーゼ(DHP−I)に対する抵抗性も強いものであり、今後の開発が強く望まれている抗生物質である。しかしながら、この抗生剤を経口投与のために製剤化するにあたっては、一般的な製剤化技術のもとで得られた製剤は、医薬品製剤からの有効成分の放出性が悪く、また経時的な安定性もそれほど良いものではない。
【0007】
抗生物質の経口製剤化に際しては、製剤の崩壊性と有効成分の放出性が良好であり、消化管から有効成分である化合物が効率よく吸収され、早期の段階で有効血中濃度を維持し、原因菌に対する抗菌または殺菌活性を持続させることが必要とされる。したがって、上記の経口カルバペネム化合物についても、製剤の崩壊性と有効成分の放出性が良好であり、消化管から効率よく吸収される経口製剤化が強く望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の現状に鑑み、式(I)で示される経口カルバペネム系抗生剤を含有する経口製剤であって、製剤の崩壊性が良好であり、有効成分の放出性が著しく改善されると共に、有効成分の経時的安定性がよく、製剤中に分解物を生じることなく、抗菌活性の低下を起こさないカルバペネム系抗生剤についての経口投与製剤を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するための請求項1に記載の発明は、経口カルバペネム系抗生剤としてピバロイルオキシメチル (1R,5S,6S)−2−[(1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジン−3−イル)チオ−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−カルバペン−2−エム−3−カルボキシレートを含有し、さらに
(a)賦形剤として微結晶セルロース、乳糖および無水リン酸水素カルシウムからなる群から選択される1種または2種以上;
(b)崩壊剤としてクロスポピドン、カルメロースナトリウムおよびクロスカルメロースナトリウムからなる群から選択される1種または2種以上;
および
(c)滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムまたはタルク;
を含有し、乾式造粒法にて顆粒を製造することにより得られたカルバペネム系抗生剤含有経口製剤である。
【0010】
すなわち、本発明が提供するカルバペネム系抗生剤含有の経口製剤は、一般的な賦形剤、崩壊剤ならびに滑沢剤を使用するものではなく、特定の賦形剤、崩壊剤ならびに滑沢剤を選択して配合すること、さらに一般的な湿式造粒法による顆粒を製造するものではなく、乾式造粒法を採用することに一つの特徴を有するものである。かかる特定の賦形剤、崩壊剤ならびに滑沢剤を使用すること、さらに乾式造粒法を使用することにより、製剤組成物中に配合させる有効成分である式(I)で示される経口カルバペネム抗生剤が、他の配合成分との間で配合変化を生じさせることなく、したがって製剤中に分解物の生成もなく、長期間の保存安定性が極めて良好なものになる。
【0011】
そのような特定の賦形剤、崩壊剤ならびに滑沢剤であっても、本発明の有効成分である式(I)で示されるカルバペネム系抗生剤にあっては、賦形剤として微結晶セルロースを使用し、崩壊剤としてクロスポピドンを使用し、さらに滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを使用することが特に好ましい結果を与えることが判明した。したがって、請求項2に記載の本発明は請求項1に記載の発明において、(a)賦形剤が微結晶セルロースであり、(b)崩壊剤がクロスポピドンであり、(c)滑沢剤がステアリン酸マグネシウムであるカルバペネム系抗生剤含有経口製剤である。
【0012】
また請求項3に記載の本発明は、請求項1または2に記載の乾式造粒法により製造された顆粒を、さらに打錠して錠剤の形態にしたカルバペネム経口製剤含有経口製剤である。
【0013】
さらに、請求項4に記載の本発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、さらにヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、酸化チタンおよびタルクからなるコーティング組成物によりコーティングしたこと特徴とするカルバペネム系抗生剤含有経口製剤である。このコーティング組成物により乾式造粒された式(I)で示されるカルバペネム系抗生剤を含有する顆粒剤は、あるいは錠剤は、長期にわたり保存安定性が確保されると共に、製剤からの良好な放出性も確保され、したがって、経口投与後においても、有効成分の速やかな血中濃度が確保できる特徴を有するのである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明が提供するカルバペネム系抗生剤を含有する経口製剤は、基本的には、薬物として式(I)で示される経口カルバペネム系抗生剤の有効投与量を含有し、そのうえで、(a)賦形剤として微結晶セルロース、乳糖および無水リン酸水素カルシウムからなる群から選択される1種または2種以上;(b)崩壊剤としてクロスポピドン、カルメロースナトリウムおよびクロスカルメロースナトリウムからなる群から選択される1種または2種以上;および(c)滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムまたはタルクを含有する。
【0015】
通常、医薬品(薬物有効活性成分)を経口投与が可能な製剤とする場合には、一般的な製剤学的技術に基づき、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、凝集防止剤、崩壊剤、安定化剤等、製剤学上この分野で繁用されている配合剤を適宜選択し、有効活性成分との配合変化を検討することにより、望ましい製剤化が行われている。しかしながら、本発明の有効成分である式(I)で示されるカルバペネム系抗生剤にあっては、一般的に使用されているこれらの賦形剤、結合剤、滑沢剤、凝集防止剤、崩壊剤、安定化剤等を通常配合させた場合には、配合変化生じ、製剤中での抗菌活性の低下が観測され、それほど好ましいものでないことが判明した。
【0016】
そこで本発明者は鋭意検討した結果、賦形剤として特に微結晶セルロース、乳糖および無水リン酸水素カルシウムからなる群から選択される1種または2種以上を使用すること、また、崩壊剤としてクロスポピドン、カルメロースナトリウムおよびクロスカルメロースナトリウムからなる群から選択される1種または2種以上を使用すること、さらに滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムまたはタルクを含有させ、そのうえで、乾式造粒法にて顆粒を製造することにより、配合変化をおこすことなく、製剤中での抗菌活性の低下が認められないものであることを確認した。
【0017】
以下に本発明の、前記式(I)で示される経口カルバペネム抗生剤(以下、単に「薬物」と記す場合もある。)を含有する経口製剤について、種々の配合成分との配合安定性(配合変化)、経時的安定性試験(貯蔵安定性)、崩壊試験、生体内吸収性試験等の結果を説明しながら、その詳細を説明していく。
【0018】
1.配合変化試験
式(I)で示される経口カルバペネム抗生剤を経口製剤化するにあたって、基本的な賦形剤、崩壊剤、滑沢剤等との配合変化を検討した。すなわち、種々の賦形剤、崩壊剤、滑沢剤等との配合比率を一定にした状態で混合した散剤をシャーレに入れ、フタをしない開放条件で、40℃/湿度75%の苛酷条件下、および40℃/湿度0%の恒温恒湿条件下に1ヶ月間放置し、その抗菌活性成分である薬物の含有率の低下を検討した。
その結果を次の表1に示した。
【0019】
【表1】
表1:配合変化試験結果
Figure 2004035517
【0020】
上記の結果から判明するように、カルメロースカルシウム、軽質無水ケイ酸を除いて、一般的な賦形剤、崩壊剤、滑沢剤を配合させても、有効活性成分である式(I)で示されるカルバペネム経口製剤との間には、配合変化をきたすものではなかった。
【0021】
2.造粒法の検討
そこで、湿式造粒法と乾式造粒法の違いによる、式(I)のカルバペネム化合物を含有する造粒物の保存安定性を検討した。
経口投与製剤として錠剤あるいはカプセル剤、顆粒剤とする場合には、いわゆる造粒物(顆粒剤)を製造してそれを打錠するか、カプセル内に充填するかあるいはそのまま顆粒剤とすることが行われる。その場合の顆粒剤の製造法には、大別すると、水分を用いて練合する湿式造粒法と、水分を用いないで行う乾式造粒法の2方法がある。
式(I)のカルバペネム化合物を有効成分として製剤化するにあたり、いずれの造粒法が得られる顆粒剤の保存安定性に寄与するものであるかを検討した。
【0022】
すなわち、下記表2に記載の配合処方によりそれぞれ乾式造粒法おおび湿式造粒法により顆粒を調製し、得られた顆粒を25℃/75%湿度条件下、40℃/75%湿度条件下に2週間および4週間保存し、顆粒中の式(I)の経口カルバペネム化合物の残存率をその活性残存率より求めた。
その結果を表2に示した。
【0023】
【表2】
表2:造粒法の検討結果
Figure 2004035517
【0024】
表2に示した結果から理解できるように、式(I)のカルバペネム系抗生剤を造粒するに際しては、乾式造粒法で製造した顆粒剤が保存安定性の点で良好なものであることが判明する。
すなわち、式(I)の化合物は、水を用いて練合する湿式造粒法では、保存安定性が低下し、経口製剤として造粒化するには、乾式造粒法で行わなければならないことが理解される。
【0025】
3.崩壊剤の選択とその含有量の検討
式(I)で示されるカルバペネム化合物を経口製剤とする場合には、例えば錠剤の崩壊性は、有効成分である式(I)の化合物を高い濃度で長期にわたり溶出する崩壊であることが要求される。そこで崩壊剤としてその種類による崩壊時間の変化を検討した。
【0026】
崩壊剤として、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースナトリウムおよびクロスポピドンを使用し、乾式造粒法により顆粒を製造し、打錠した錠剤を25℃/75%湿度条件下、および60℃条件下に1ヶ月保存し、日本薬局方による崩壊試験を第1液、第2液を用いて検討した。
その結果を、表3に示した。
【0027】
【表3】
表3:温湿度保存条件による崩壊時間への影響
(保存期間:1ヶ月/試験液:水)         (単位:秒)
Figure 2004035517
【0028】
上記の表3に示した結果からは、崩壊剤の種類により崩壊時間での差異は明確に認められないものであった。
そこで、崩壊剤としてクロスポピドンを用いて、その配合量の差による崩壊時間の検討として、式(I)で示されるカルバペネム化合物の溶出時間に対する変化の検討を行った。その結果を表4および図1に示した。
【0029】
【表4】
表4:クロスポピドン量の変化による溶出試験結果
Figure 2004035517
【0030】
表4および図1の結果から、崩壊剤として5%添加させることにより、所望の崩壊時間を得ることが可能であることが判明した。
【0031】
5.賦形剤量の検討
賦形剤として結晶セルロースを選び、その配合量の製剤に対する影響を検討した。すなわち、賦形剤の添加量を10%前後から50%前後まで変化させ、その製剤化に及ぼす影響を検討した。
【0032】
式(I)で示されるカルバペネム化合物の含有量を、その有効投与量である1錠あたり130mgと固定し、その含有量に対し、賦形剤として結晶セルロースを18mg、36mg、72mgおよび144mgをそれぞれ配合し、さらに表中の添加物を加え、乾式造粒法により顆粒を製造した後、打錠して錠剤を調製した。
その錠剤から式(I)で示されるカルバペネム化合物の溶出性を試験液として水を用い検討した。また、あわせて打錠用顆粒の製造ファクターを検討した。
その結果をまとめて表5に示した。
【0033】
【表5】
表5:賦形剤として結晶セルロースの配合量と製剤化に対する検討結果
Figure 2004035517
【0034】
上記に示した表5の結果から判明するように、賦形剤として結晶セルロースを用い、その添加量を製剤全重量に対して10%前後から50%前後まで変化させて得られた顆粒剤にあっては、50%程度配合させて乾式造粒法で得た顆粒剤を打錠するときの製剤性が極めて良好なものであることが判明する。
したがって、本発明の式(I)で示される化合物を経口製剤化するには、賦形剤の添加量として50%前後配合させて行うこととした。
【0035】
6.賦形剤の種類の検討
上記の試験から、本発明が提供する経口投与製剤においては、賦形剤は、製剤全重量に対してほぼ50%程度配合するのがよいことが判明した。そこで配合する賦形剤の種類により、乾式造粒法により製造した顆粒剤の安定性、その生体吸収性および崩壊性を検討した。
【0036】
すなわち、下記表6に記載の賦形剤/配合処方により乾式造粒法により顆粒剤を製造した。得られた顆粒剤を40℃および50℃の乾燥条件下、ならびに40℃/75%湿度条件下に2週間放置し、その顆粒剤中に含有される式(I)で示されるカルバペネム化合物の残存率を、抗菌活性から求めた。また、その顆粒剤を一夜絶食させた雄性ビーグル犬に経口投与し、式(I)で示される化合物の吸収性を、式(I)の化合物の懸濁液を投与した場合と比較して求めた。
【0037】
さらに、乾式造粒法で製造した顆粒剤を打錠して得た錠剤の硬度、打錠時のラミネーション/キャッピング発生率を検討し、また、製造された錠剤から有効成分である式(I)で示されるカルバペネム化合物の75%溶出性を、試験液として水、およびMcllvaine緩衝液(pH6.5および4.0)、錠剤の崩壊性を、試験液として水および日局崩壊試験液第1液を用いて検討した。
それらの結果をあわせて表中に示した。また、生体吸収性の結果を図2に、崩壊性の結果を図3に示した。
【0038】
【表6】
表6:賦形剤の種類と配合量の検討結果
Figure 2004035517
【0039】
表中の結果、および図2に示した結果からみれば、賦形剤として微結晶セルロース、乳糖および無水リン酸水素カルシウムが良好な結果を示しているが、なかでも微結晶セルロースが特によいことが判明する。
【0040】
6.滑沢剤量の検討
上記までの検討によれば、本発明が提供する式(I)で示されるカルバペネム化合物を経口投与製剤化する場合には、式(I)の化合物の有効投与量として1錠あたり130mgを含有させ、賦形剤として微結晶セルロースを製剤全重量に対して50%程度含有させ、さらに崩壊剤としてクロスポリドンを5%程度含有させて、乾式造粒して得られる顆粒剤を用いて錠剤化しものが、製剤的安定性ならびに錠剤からの有効成分の放出性が良好なことが判明した。
【0041】
そこで乾式造粒に際して、製剤成分の流動性を確保する滑沢剤の添加量ならびに得られた顆粒剤を用いて打錠する場合の滑沢剤の添加量について検討した。
すなわち、下記表7に記載の処方に基づき、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを用い、その添加量を変化させて乾式造粒法により顆粒を製造する場合の製剤特性を検討した。その結果をまとめて表中に示した。
【0042】
【表7】
表7:滑沢剤量の検討結果
Figure 2004035517
【0043】
表中に示した結果からも判明するように、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムをほぼ1%添加した場合に、乾式造粒での製剤特性が最もよいことが理解される。
そこで、乾式造粒方による顆粒剤の製造において滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを使用し、その添加量を1%程度として得られた顆粒剤を打錠する際の滑沢剤の添加量と、得られた錠剤の硬度、錠剤からの有効成分の溶出性ならびに錠剤の崩壊性を検討した。
【0044】
すなわち、下記表8に示す配合により乾式造粒法で得た顆粒を用い、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを添加し、錠剤を製造し、得られた錠剤の硬度、錠剤からの有効成分の溶出性ならびに錠剤の崩壊性を評価した。その結果を合わせて表8中に示した。
【0045】
【表8】
表8:ステアリン酸マグネシウムの配合量の検討結果
Figure 2004035517
【0046】
表中に示した結果からも判明するように、打錠時における滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウムの添加量は、錠剤硬度、錠剤からの溶出性、錠剤の崩壊時間に大きな影響を与えるものではなかった。ただし、錠剤からの有効成分の放出性を考慮すると、打錠時の滑沢剤の添加量は、ほぼ1%添加するのがよいことが理解される。
【0047】
7.コーティング被膜の検討
以上のようにして製造させる経口投与用の錠剤について、含有される有効成分である式(I)の胃溶解性、あるいは錠剤の長期保存安定性が確保されると共に、製剤からの良好な放出性も確保され、したがって、経口投与後においても、有効成分の速やかな血中濃度が確保できる特徴を有するのである。
そのコーティング効果を検討した。
【0048】
すなわち、表9に示した処方により乾式造粒法で顆粒剤を製造し、さらにその顆粒剤を打錠し得られた錠剤を、表中に示すヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、酸化チタンおよびタルクからなるコーティング組成物によりコーティングし、得られたコーティング錠を一夜絶食させた雄性ビーグル犬に経口投与し、投与後15分、30分、1,2,3,4および6時間後に血漿中の式(I)のカルバペネム化合物の濃度を測定した。
その結果をあわせて表9中に示し、また図4に示した。
【0049】
【表9】
表9:コーティング被膜の検討
Figure 2004035517
【0050】
表中の結果ならびに図4の結果から判明するように、コーティングしたとしても良好な速放性を示すものであり、コーティングしないものと吸収性に差異はなかった。しかしながら、コーティング錠の方が、保存安定性に優れたものであった。すなわち、得られた裸錠、コーティング錠をそれぞれPTP包装し、シリカゲル乾燥剤の存在下に長期保存を行い、その抗菌活性の残存率を求めた。なお、対照として式(I)のカルバペネム化合物をバイアル密栓して長期保存し、同様にその抗菌活性の残存率を求めた。
その結果を、表10に示した。
【0051】
【表10】
表10:長期保存安定性試験結果
Figure 2004035517
【0052】
【発明の効果】
以上記載したように、本発明はカルバペネム系抗生剤を含有する経口製剤であって、本発明により、製剤の崩壊性が良好であり、含有される有効成分の放出性が著しく改善されると共に、有効成分の経時的安定性がよく、製剤中に分解物を生じることなく、抗菌活性の低下を起こさない経口投与製剤が提供される。
【0053】
特に本発明が提供するカルバペネム系抗生剤含有の経口製剤は、一般的な賦形剤、崩壊剤ならびに滑沢剤を使用するものではなく、特定の賦形剤、崩壊剤ならびに滑沢剤を選択して配合すること、さらに乾式造粒法を採用することにより、製剤組成物中に配合させる有効成分である経口カルバペネム抗生剤が、他の配合成分との間で配合変化を生じさせることなく、したがって製剤中に分解物の生成もなく、長期間の保存安定性が極めて良好なものになる。
【0054】
したがって、本発明により提供されるカルバペネム系抗生剤含有の経口製剤は、製剤の崩壊性と有効成分の放出性が良好であり、消化管から有効成分である化合物が効率よく吸収され、早期の段階で有効血中濃度を維持し、原因菌に対する抗菌または殺菌活性を持続させること可能となり、医療上の利点は多大なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】クロスポピドン量の変化による溶出試験結果を示すグラフである。
【図2】生体吸収性の結果を示すグラフである。
【図3】崩壊性の結果を示すグラフである。
【図4】生体吸収性の結果を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 経口カルバペネム系抗生剤としてピバロイルオキシメチル (1R,5S,6S)−2−[(1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジン−3−イル)チオ−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−カルバペン−2−エム−3−カルボキシレートを含有し、さらに
    (a)賦形剤として微結晶セルロース、乳糖および無水リン酸水素カルシウムからなる群から選択される1種または2種以上;
    (b)崩壊剤としてクロスポピドン、カルメロースナトリウムおよびクロスカルメロースナトリウムからなる群から選択される1種または2種以上;
    および
    (c)滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムまたはタルク;
    を含有し、乾式造粒法にて製造した顆粒からなることを特徴とするカルバペネム系抗生剤含有経口製剤。
  2. (a)賦形剤が微結晶セルロースであり、(b)崩壊剤がクロスポピドンであり、(c)滑沢剤がステアリン酸マグネシウムである請求項1に記載のカルバペネム系抗生剤含有経口製剤。
  3. 請求項1または2に記載の乾式造粒法で製造した顆粒を打錠して錠剤の形態にしたことを特徴とするカルバペネム系抗生剤含有経口製剤。
  4. ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、酸化チタンおよびタルクからなるコーティング組成物によりコーティングした請求項1ないし3のいずれかに記載のカルバペネム系抗生剤含有経口製剤。
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