JP2004035402A - 透光性焼結体と、これを用いた発光管及び放電灯 - Google Patents

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Abstract

 【課題】 従来とは異なる特定の物質により構成された透光性(蛍光)焼結体を提供することにより、従来より知られる透光性焼結体では解決できなかった性能、用途、製造方法が限定される等の課題を解決し、さらに上記特定の物質より構成された透光性(蛍光)焼結体を用いた発光管及び、放電灯を提供することを目的とする。
【解決手段】
 酸化アルミニウムを除くβ−アルミナ構造を有するアルミネート系化合物を主体にして構成される透光性焼結体等を提供する。
【選択図】 図1

Description

 本発明は、透光性焼結体と、これを用いた発光管及び放電灯に関するものである。
 従来から、セラミックスに代表される焼結体は、不透明で光学材料には不向きとされていた。しかし近年、透光性を有する各種の透光性焼結体が開発され、耐熱性の良好な透光性材料として、例えば、発光管本体、高温用のぞき窓、光学レンズ、赤外光用窓、機能素子搭載用基板や、電子デバイスである高圧ナトリウム灯などの発光管や放電灯、光メモリ、光シャッター、シンチレータ、固体レーザーなどの用途に利用されている。
 これまでに知られている透光性焼結体としては、例えばAl2 3 焼結体(特開平6−211569号公報)、ZnO焼結体(特開昭55−14757号公報等)、PLZT焼結体(特開平5−139862号公報等)、Y3 Al5 12焼結体(特開平6−107456号公報)、M3 Al1512焼結体(但し、Mは、Er、Tm、Ho、Dy、Lu、Tbからなる群の少なくとも一員の元素;特開平11−147757号公報)、酸素または大気雰囲気中で加熱して得たAl100-a a をセラミックス中の金属元素として含有する酸化物焼結体(但し、Mは、Y、Ce、Nd、Sm、La、Gd、Prからなる群より選ばれた一種または二種以上の元素;特開平6−56514号公報)、MgAl2 4 焼結体(特開平6−171930号公報)、AlON焼結体(特開平7−309667号公報)、AlN焼結体(特開平5−120909号公報)、立方晶BN焼結体(特開平5−221730号公報)、Si3 4 焼結体(特開平5−286766号公報)、BaF2 焼結体(特開平6−24828号公報)、Y2 3 焼結体(特開平11−157933号公報)、アルミニウム系酸窒化物、ハフニウム系酸窒化物、ジルコニウム系酸窒化物、チタニウム系窒化物、ジルコニウム系窒化物、ハフニウム系窒化物等の焼結体(特開平9−92206号公報)などである。
 上記以外にも、SiAlON焼結体、MgO焼結体、BeO焼結体、Gd2 3 焼結体、CaO焼結体、ThO2 焼結体などの透光性焼結体等がしられている。
 さらに、Y3 Al5 12:Tb3+や(US Patent 3767745)やY2 3 :Gd3+(G.Blasse and B.C. Grambaier;Luminescent Materials,Springer-Verlag, pp.157-159 )などの、紫外線の照射によって可視光や紫外光の蛍光を発する透光性蛍光焼結体が知られている。
 ここで、上記透光性焼結体にはいわゆる透光性セラミクスも含まれるものと定義する。
 上記透光性焼結体等は、アルミニウム化合物、希土類化合物、シリコン化合物などを混合した焼結体原料を、加圧成形した後、加熱などの焼結手段によって十分焼結させることによって得られている。
 さらに、上記透光性焼結体で構成した発光管や、該発光管を用いた放電灯や照明装置が知られている(特開平5−266861号公報等)。
 上記透光性焼結体で構成した発光管は、一対の電極を有する容器内に、希ガス、水銀、ハロゲンガス等を封入して構成され、この際、発光管内は、減圧雰囲気または高圧雰囲気に保たれる。上記透光性焼結体で構成した発光管は、酸化珪素を主成分とした旧来の発光管よりも、耐熱性や耐腐食性に優れるために、発光管に高い電力を投入することができる。このため、上記透光性焼結体で構成した発光管を用いた製品は、放電灯の高光束化や、照明装置の高光量化を図ることが可能となる。
 又、上記透光性蛍光焼結体は紫外線を可視光に変換する機能を有するため、上記発光管内で放射される紫外線を可視光に変換して、発光管が発する光束を高める効果や、発光管が発する光の演色性を制御する効果を有する機能性の透光性焼結体として応用できると考えられている。
特開平6−211569号公報 特開平5−139862号公報 特開平11−147757号公報 特開平6−171930号公報 特開平7−309667号公報 特開平5−120909号公報 特開平5−221730号公報 特開平5−286766号公報 特開平6−24828号公報 特開平11−157933号公報 特開平9−92206号公報 特開平5−266861号公報
 しかし、従来では透光性焼結体に成りうる物質は、
 ・上述した、Al2 3 、ZnO、Y2 3 、PLZT、Y3 Al5 12
 ・上記M3 Al1512
 ・上記酸素または大気雰囲気中で加熱して得た上記Al100 - a a をセラミックス中の金属元素として含有する酸化物、
 ・MgAl2 4 、AlON、AlN、立方晶BN、Si3 4 、BaF2 、アルミニウム系酸窒化物
 ・ハフニウム系酸窒化物
 ・ジルコニウム系酸窒化物
 ・チタニウム系窒化物
 ・ジルコニウム系窒化物
 ・ハフニウム系窒化物、
 ・SiAlON、MgO、BeO、Gd2 3 、CaO、ThO2
 に示す物質を主体にしたものが知られるのみであった。
 このため、透光性焼結体を用いて製造される前記発光管本体、高温用のぞき窓、光学レンズ、赤外光用窓、機能素子搭載用基板等の各種部材や、発光管、放電灯、光メモリ、光シャッター、固体レーザーなどの各種電子デバイス等に適用できる物質は、その目的が異なるためさらに限定され、該限定された物質を用いて上記各製品を製造する必要があった。
 従って、上記各製品に求められる性能を十分満たすことができないばかりでなく、製造方法や用途までが制限されるに至っている。
 また、特に従来の透光性焼結体を用いた発光管、とりわけY3 Al5 12透光性焼結体を用いた発光管では、発光管に封入される発光材料(ハロゲン化物)と発光管が化学反応を起こし、発光管の透光性が低下(失透)する課題もあり、従来の物質とは異なる物質で構成した透光性焼結体の発光管が求められている。
 また、従来の放電灯や照明装置を構成する発光管は、100nm以上380nm以下の紫外線の照射によっては発光しない非蛍光物質の透光性焼結体で構成されている。このため、当該発光管内で生じる紫外線は、実用品では発光管外へと単に放射されるだけであり、可視光の変換に利用されていないために、光束が低いものとなっている。さらに、発光管を透光性蛍光焼結体で構成して、上記紫外線を可視光に変換して利用しようとしても、透光性蛍光焼結体の種類が極めて少なく、蛍光材料を選択する余地が全くないために、発光管の発光色も特定の色に限定されるという問題がある。紫外線の照射によって発光する透光性蛍光焼結体としては、Y3 Al5 12:Tb3+やY2 3 :Gd3+などを主体にした物質が知られるのみであり、該透光性蛍光焼結体で構成した発光管は、その製造方法やその他の理由から、実際に一般的な製品として用いられるには至っていない。又、上記Y3 Al5 12:Tb3+やY2 3 :Gd3+等は、波長が140−280nm付近(とりわけ、147nm、185nm、254nm)の紫外線照射の下での発光効率が比較的低いという課題がある。従って、例えこれら透光性蛍光焼結体を用いて発光管本体などの部材を製造し、該発光管本体と紫外線光源とを組み合せて発光管を構成したり、あるいは、上記発光管を用いて放電灯を構成したりしても、発光管や放電灯の発光性能が十分発揮されないという課題もあった。
 このため、上記Y3 Al5 12:Tb3+やY2 3 :Gd3+以外の物質で構成される透光性蛍光焼結体、とりわけ波長が140−280nm付近の紫外線照射の下で高効率に発光する透光性蛍光焼結体が求められている。
 本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、上記透光性焼結体を構成し得る物質とは異なる特定の物質が、透光性焼結体のみならず透光性蛍光焼結体をも構成することを見出し、係る知見に基づいて完成されたものである。上記異なる特定の物質により構成された透光性焼結体及び透光性蛍光焼結体を提供することにより、従来より知られる透光性焼結体では解決できなかった性能、用途、製造方法が限定される等の課題を解決し、さらに上記特定の物質より構成された透光性焼結体及び透光性蛍光焼結体を用いた発光管と、これを用いた放電灯を提供することを目的とする。
 上記目的を達成するために本発明に係る透光性焼結体は、以下の構成を特徴とする。
 すなわち、本発明に係る透光性焼結体を結晶構造の側面から捉えた場合、酸化アルミニウムを除くβ−アルミナ構造を有する化合物を主体にして構成される。尚、以後本明細書中(II)はイオン価数2を、(III )はイオン価数3を表す。
 上記β−アルミナ構造の結晶構造を有する化合物としては、例えば以下のような物がある。(但し、透光性焼結体としての存在を知られるものではない。)即ち、
(1)γδε1017の化学式で示される化合物(酸化物;上記γは、Li、Na、K、Rb、Ca、Sr、Ba、Eu(II)、Sm(II)、Yb(II)、Dy(II)、Pbから選ばれる少なくとも一つの元素、δおよびεは、上記αδε1119の化学式で示される化合物のδおよびεと同じ元素)(上記特開昭49−77893号公報に記載)や、
(2)αε1218Nあるいはγε1116Nの化学式で示される化合物(酸窒化物;上記α、γ、δ、εは、上記αδε1119あるいはγδε1017の化学式で示される化合物のα、γ、δ、εと同じ元素)(S.R. Jansen et al.,J.Electrochemcal Soc.Vol.146(1999)pp.800-806 に記載)や、
 (3)γε1219の化学式で示される化合物(酸化物;上記γ、εは、上記γδε1017の化学式で示される化合物のγ、εと同じ元素)(J.L.Sommerdijk and A.L.N. Stevels,Philips Technical Review,37(1977)pp,221-233 やその参考文献に記載)などである。
 より具体的な化合物の例として上げると、例えば、
 (1)1.29(Ba,Ca)O・6Al2 3 :Eu2+(BAL)、BaMgAl1017:Eu2+(BAM)、BaO・4Al2 3 :Eu2+(BAE)、(Ce,Tb)MgAl1119(CAT)(B.Smets et al.,J.Electrochemical Soc.Vol.1365(1989)pp.2119-2123 に記載) や、BaAl1116N:Eu2+(Jansen et al,J.Electrochemical Soc.Vol.146(1999)pp.800-806に記載) 、BaMgAl1017:Mn2+、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu2+、(Ba,Sr)MgAl1017:Mn2+、CeMgAl1119:Tb3+、CeMgAl1119:Tb3+、CeMgAl1119:Mn2+、CeMgAl1119:Mn2+、CeAl1218N:Tb3+などの蛍光体( 蛍光体ハンドブック(オーム社)pp.208-210他に記載) や、
 (2)上記蛍光体の母体となる母体化合物、すなわち、1.29(Ba,Ca)O・6A123 、BaMgAl1017、BaO・4Al2 3 、CeMgAl1119、BaAl1116N、(Ba,Sr)MgAl1017、CeAl1218Nや、
 (3)これらの類似化合物(SrMgAl1017、CaMgAl1017、MgAl1219、CaAl1219、SrAl1219、EuAl1219、LaMgAl1119、PrMgAl1119、EuMgAl1119、TbMgAl1119、GdMgAl1119、MgAl1116N、CaAl1116N、SrAl1116N、ScAl1218N、PrAl1218N、NdAl1218N、DyAl1218N、ErAl1218Nなど)や、
 (4)上記蛍光体、上記母体化合物、上記類似化合物における、アルカリ土類金属元素をイオンの価数が二価である希土類元素、アルカリ元素、Pbで置換した化合物、イオンの価数が三価である希土類元素をIn、Tl、Sb、Biで置換した化合物、AlをGaやFeで置換した化合物などが挙げられる。
 尚、上記酸化アルミニウムを除くβ−アルミナ構造の結晶構造を有する化合物は、アルミニウム化合物とするのが好ましく、さらにはアルカリ土類金属元素(即ちBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)を主成分として含むことが好ましい。さらに、酸化物であればより好適である。
 但し、本発明に係る透光性焼結体のすべてが、上記酸化アルミニウムを除くβ−アルミナ構造の結晶構造を有する化合物に含まれるわけではない。
 さらに、本発明に係る透光性焼結体であって、β−アルミナ構造を有す化合物又は、希土類元素を除くイオンの価数が二価の元素と、希土類元素と、酸素元素を主成分として含む化合物を組成式であらわすと、γ(2) δ(2) AlxOyの組成式で表されるものが含まれる。但し、上記γ(2) は、イオン価数2を(II)で表したときに、Ca、Sr、Ba、Eu(II)、Sm(II)、Yb(II)、Dy(II)から選ばれる少なくとも一つの元素、δ(2) は、Mg、Zn、Mnから選ばれる少なくとも一つの元素を示し、xは、5≦x≦20、yは、8.5≦y≦34を満足する数値とする。
 また、本発明の透光性焼結体にあっては、蛍光体の発光中心となり得る金属イオン(希土類、Mn、Pb、Tl等)を含むようにする構成がある。この場合、照明装置用の光源として用いられる放電灯(Xe放電灯、Ar+Hg放電灯等)が波長100nm以上380nm以下の紫外線を放射するので、この紫外線を可視光に変換するために、波長100nm以上380nm以下の紫外線の照射によって蛍光を発する透光性焼結体(透光性蛍光焼結体)にするのが好ましい。尚、本発明の透光性焼結体は、長残光特性を有する長残光蛍光体で構成してもよい。
 本発明の透光性焼結体の製造は、
・純度が99.9%以上の複数の無機化合物粉末を混合する混合工程と、
・該混合工程後の無機化合物粉末混合原料、または、該混合工程後さらに800℃以上1800℃以下、好ましくは1000℃以上1600℃以下で仮焼成した後の無機化合物粉末仮焼原料を所定の形状に成形する成形工程と、
・成形後に得られる成形体を1600℃以上2000℃以下、好ましくは1700℃以上1900℃以下の温度で本焼成する焼成工程と、
 を主体にして構成した、従来の透光性焼結体の製造方法によって容易になし得るが、これ以外の方法で製造してもよい。
 上記温度範囲は、本発明に係る透光性焼結体を構成する化合物の融点が、1500℃以上2200℃以下の範囲内にあることに起因している。即ち、仮焼成は、上記無機化合物粉末混合原料が反応して、化学的に活性な化合物の混合体になる温度にするのがよく、この温度が先に説明した仮焼成の温度範囲である800℃以上1800℃以下、好ましくは1000℃以上1600℃以下である。
 一方、本焼成は、融点を超えない範囲で融点に近く、且つ本焼成によって不純物が混入したり、組成ずれをおこしたりしない範囲の高温にするのがよい。このため1600℃以上2000℃以下、好ましくは1700℃以上1900℃以下の温度範囲とする。
 なお、上記仮焼成、及び本焼成における雰囲気は、主に大気、窒素雰囲気、不活性ガス雰囲気、還元雰囲気(水素ガスを含む雰囲気や一酸化炭素雰囲気や真空雰囲気)、さらにこれらの減圧雰囲気、真空雰囲気などから選択する。
 本発明の発光管にあっては、上記透光性焼結体を少なくとも一部に用いて構成し、本発明の放電灯にあっては、該発光管を用いて構成する。
 以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
〔実施の形態1〕
 本発明に係る透光性焼結体は、以下の化合物又は成分を主体として構成され、提供される。尚、便宜上、上記透光性焼結体を複数のグループに分けて説明するが、当該透光性焼結体は一つのグループにのみ属するものではなく、複数のグループに属する透光性焼結体もある。
 まず、本発明に係る透光性焼結体を結晶構造の側面から捉えた場合、マグネットプランバイト構造を有する化合物を主体にして構成されるグループが挙げられる。
 図1(a)にマグネットプランバイト構造の概略図を示す。マグネットプランバイト構造は、図1(a)に示すように、層状の結晶構造を有する六方晶系の結晶構造である。図1(a)において、陽原子1は三価もしくは二価の陽イオン、陽原子3は二価もしくは三価の陽イオン、陰原子4は二価もしくは三価の陰イオンを示している。
 また、図1(a)において、陽原子1と成りうる元素としては、例えば、価数が三価の希土類元素(Sc(III )、Y(III )、La(III )、Ce(III )、Pr(III )、Nd(III )、Sm(III )、Eu(III )、Gd(III )、Tb(III )、Dy(III )、Ho(III )、Er(III )、Tm(III )、Yb(III )、Lu(III );各々、Sc3+、Y3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+、Lu3+を意味する)や、イオン半径が大きな三価の重金属元素(In、Tl、Sb、Biなど)や、アルカリ土類金属元素(Ca、Sr、Baなど)がある。
 尚、より好ましい陽原子1は、結晶性の良好な化合物を形成しやすいY、La、Ce、Pr、Eu、Gd、Tb、Mg、Ca、Sr、Baから選ばれる少なくとも一つの原子であり、最も好ましい陽原子lは、実用蛍光体或いは該実用蛍光体母体としての実績があるCe、Gd、Tb、Ca、Sr、Baから選ばれる少なくとも一つの元素である。
 また、陽原子3と成りうる元素としては、アルカリ土類金属元素(Be、Mg、Ca、Sr、Baなど)や、Mn、Zn、B、Al、Ga、In、Tl、Fe、Ru、Os、Sc、Y、Laから選ばれる少なくとも一つの原子であり、より好ましい陽原子3は、イオン半径が小さいという理由により、マグネットプランバイト構造を取り得る化合物であって結晶性の良好な化合物を形成しやすいMg、Zn、Mn、B、Al、Ga、Fe、Scから選ばれる少なくとも一つの原子であり、もっとも好ましい陽原子3は、原料が安価である理由からMg、Alから選ばれる少なくとも一つの原子である。
 さらに、陰原子4と成りうる元素としては、O、N、S、Se、Pから選ばれる少なくとも一つの原子であり、より好ましい原子は、危害性が少ないO、Nから選ばれる少なくとも一つの原子であり、もっとも好ましい陰原子4は安価な材料を容易に入手できるOである。
 なお、以後、特に断りのない場合、イオンの価数が二価の希土類元素だけを、Eu(II)、Sm(II)、Yb(II)、Dy(II)のように記述し、それ以外の価数の希土類元素を、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのように記述するものとする。
 以下の化学式は、本発明にかかる透光性焼結体を構成する主体となる、上記マグネットプランバイト構造を有する化合物の化学式の一例である。
  α(11)δ(11)ε(11)x1y1
  α(11)ε(11)x2y2
  γ(11)ε(11)x3y3
 (但し上記α(11)は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、In、Tl、Sb、Biから選ばれる少なくとも一つの元素、上記γは、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Eu(II)、Sm(II)、Yb(II)、Dy(II)、Pbから選ばれる少なくとも一つの元素、上記δ(11)は、Be、Mg、Zn、Mnから選ばれる少なくとも一つの元素、上記ε(11)は、B、Al、Ga、Sc、Feから選ばれる少なくとも一つの元素、Oは酸素原子、Nは窒素原子を示し、x1は、5.5≦x1≦22、y1は、9.5≦y1≦38、x2は、6≦x2≦24、y2は、9≦y2≦36、x3は、6≦x3≦24、y3は、9.5≦y3≦38を満足する数値)
 尚、マグネットプランバイト構造だけの単一結晶相の化合物は、α(11)δ(11)ε(11)1218、又はα(11)ε(11)1218N、又はγ(11)ε(11)1219の組成比、即ち、x1=11,y1=19,x2=12,Y2=18,x3=12,y3=19で得られるが、マグネットプランバイト構造を主体にしてなる化合物(即ちマグネットプランバイト構造以外の結晶相を有する化合物も少量含む化合物)は、上記した、x1,y1,x2,y2,x3,y3の数値限定範囲で得ることができ、いずれも透光性焼結体となり得る。
 参考のため、表1に、本発明にかかる、マグネットプランバイト構造を有する化合物の代表例をまとめた。
 尚、表1〜5には化合物名称と、該化合物名称に対応する蛍光体名称がある場合には当該蛍光体名称とを記載している。
Figure 2004035402
 続いて、本発明に係る透光性焼結体を結晶構造の側面から捉えた場合、さらに、β−アルミナ構造を有する化合物を主体にして構成されるグループが挙げられる。
 図1(b)にβ−アルミナの概略図を示す。β−アルミナ構造は、図1(a)に示したマグネットプランバイト構造と同じく、層状の結晶構造を有する六方晶系の結晶構造である。図1(b)において、陽原子3、陰原子4は、上記マグネットプランバイト構造を構成するそれぞれの原子と同様である。ここに陽原子2は一価もしくは二価の陽イオンであり、該陽原子2と成りうる元素としては、アルカリ金属元素(Li、Na、K、Rbなど)、アルカリ土類金属元素 (Ca、Sr、Baなど)、イオンの価数が二価の希土類元素(Eu(II)、Sm(II)、Yb(II)、Dy(II);各々、Eu2+、Sm2+、Yb2+、Dy2+を意味する)、イオン半径が大きな二価の重金属元素(Pbなど)がある。
 尚、好ましい陽原子2は、有害イオンとなり得る原子(重金属やBe等)ではない、アルカリ金属(Li、Na、K)、アルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Ba)、イオンの価数が二価の希土類(Sm(II)、Eu(II)、Yb(II)、Dy(II))、から選ばれる少なくとも1つの陽原子である。さらに、より好ましい陽原子2は、イオン性が比較的弱いために拡散しにくく、発光管の寿命性能を大きく劣化させることもなく、しかもイオン半径が大きく、β−アルミナの結晶構造を保持しやすいCa、Sr、Ba、Sm(II)、Eu(II)、Yb(II)、Dy(II)から選ばれる少なくとも一つの原子であり、最も好ましい陽原子2は、高効率の蛍光体材料を構成する元素として実績のあるCa、Sr、Ba、Eu(II)から選ばれる少なくとも一つの元素である。
 また、好ましい陽原子3の形態、陰原子4の形態は、いずれも、図1(a)を用いて先に説明したマグネットプランバイト構造の場合と同じである。
 ここで、β−アルミナ構造とは別に、図2に示すβ´−アルミナ構造と呼ばれる結晶構造を取り得る化合物もある。β´−アルミナ構造は、上記β- アルミナ構造に類似した結晶構造であり、図2に示すように、β−アルミナ構造における陽原子2が陰原子4の一部を置換し、同時に陽原子3の一部が欠損した結晶構造である。該β´−アルミナ構造は、陽原子2がβ−アルミナ構造よりも過剰に含まれる構造であるが、本明細書におけるβ―アルミナ構造は上記β´−アルミナ構造を包含するものとする。 尚、上記β´−アルミナ構造を有する化合物としては、上記した1.29BaO・Al2 3 、1.29(Ba,Eu)O・Al2 3 や1.29(Ba,Mn)O・Al2 3 などがある。
 以下の化学式は、本発明にかかる透光性焼結体を構成する主体となる、酸化アルミニウムを除くβ−アルミナ構造を有する化合物の化学式の一例である。
  γ(12)δ(12)ε(12)x4y4
  γ(12)ε(12)x5y5
 (但し、上記γ(12)は、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Eu(II)、Sm(II)、Yb(II)、Dy(II)から選ばれる少なくとも一つの元素、上記δ(12)は、Be、Mg、Zn、Mnから選ばれる少なくとも一つの元素、上記ε(12)は、B、Al、Ga、Sc、Feから選ばれる少なくとも一つの元素、Oは酸素原子、Nは窒素原子を示し、x4は、5≦x4≦20、y4は、8.5≦y4≦34、x5は、5.5≦x5≦22、y5は、8≦y5≦32を満足する数値)
 尚、β−アルミナ構造だけの単一結晶相の化合物は、γ(12)δ(12)ε(12)1017、又はγ(12)ε(12)1116N即ち、x4=10,y4=17,x5=11,y5=16の組成比で得られるが、β−アルミナ構造を主体にしてなる化合物(即ちβ−アルミナ構造以外の結晶相を有する化合物も少量含む化合物)は、上記したx4,y4,x5,y5の数値限定内で得ることができ、いずれも透光性焼結体と成りうる。
 参考のため、表2に本発明にかかる、β―アルミナ構造を有する化合物の代表例をまとめた。
Figure 2004035402
 次に、本発明に係る透光性焼結体を成分の側面から捉えた場合、イオンの価数が二価の希土類元素と、アルミニウム元素と、酸素元素を主成分として含む化合物を主体にして構成されるグループが挙げられる。
 ここで、イオンの価数が二価の希土類元素を補足説明する。希土類元素の最も安定な価数は三価である。このため、希土類元素を含む化合物や希土類元素を含む化合物を含めた混合化合物を酸化雰囲気中(大気中など)で加熱すると、主に希土類イオンの価数は三価である化合物が一般に形成される。
 そこで、化合物に含まれる希土類イオンの価数の主体が二価の化合物、すなわち、Eu(II)、Sm(II)、Yb(II)、Dy(II)等の二価希土類イオンを有し、Eu(III )、Sm(III )、Yb(III )、Dy(III )等の三価希土類イオンを有しない化合物を製造するためには、これら希土類イオンが三価を保持するために必要な酸素を欠乏させ、二価希土類イオンが容易に形成されるようにするため、還元雰囲気(水素を含む雰囲気や一酸化炭素雰囲気など)での加熱が必須である。
 以下の化学式は、本発明にかかる透光性焼結体を構成する主体となる、イオンの価数が二価の希土類元素と、アルミニウム元素と、酸素元素を主成分として含む化合物を示す化学式の一例である。
  γ(13)δ(13)ε(13)x6y6
  γ(13)ε(13)x7y7
  γ(13)ε(13)x8y8
 (但し、上記γ(13)は、少なくともEu(II)、Sm(II)、Yb(II)、Dy(II)から選ばれる少なくとも一つの元素を主成分として含み、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Eu(II)、Sm(II)、Yb (II)、Dy(II)から選ばれる元素、上記δ(13)は、Be、Mg、Zn、Mnから選ばれる少なくとも一つの元素、上記ε(13)は、少なくともAlを主成分として含み、B、Al、Ga、Sc、Feから選ばれる少なくとも一つの元素、Oは酸素原子、Nは窒素原子を示し、x6は、5≦x6≦20、y6は、8.5≦y6≦34、x7は、5.5≦x7≦22、y7は、8≦y7≦32、x8は、1≦x8≦24、y8は、8≦y8≦32を満足する数値)
 尚、上記γ(13)δ(13)ε(13)x6y6と、γ(13)ε(13)x7y7Nの化学式で表される化合物は、先に説明したβ−アルミナ構造を有する化合物でもある。又、上記γ(13)ε(13)x8y8の化学式で表される、単一結晶相の化合物の一例としてはSrAl2 4 ,Sr4 Al1425,Sr2 Al6 11,BaAl8 13,BaAl1219などがあるが、これらの化合物を主体にしてなる化合物(即ち、これら化合物以外の化合物も少量含む上記化合物)は、上記したx8,y8 の数値限定範囲内で得ることができ、いずれも透光性焼結体となりえる。
 参考のため、表3に、本発明に係るイオンの価数が二価の希土類元素と、アルミニウム元素と、酸素元素を主成分として含む化合物の代表例をまとめた。
Figure 2004035402
 また、本発明の透光性焼結体は、γ(14)Alx y の組成式で表される化合物(但し、上記γ(14)は、Ca、Sr、Ba、Eu(II)、Sm(II)、Yb(II)、Dy(II)から選ばれる少なくとも一つの元素、xは、1≦x≦24、yは、2≦y≦38を満足する数値)を主体にして構成してもよい。
 ここで、上記γAlx y の組成式で表される化合物としては、例えば、上記したBAL、BAE、1.29(Ba,Ca)O・6Al2 3 、BaO・4Al2 3 、CaAl1219、SrAl1219、Eu(II)Al1219、SAL、SAE、BaAl2 4 :Eu2+、SrAl2 4 :Eu2+、SrAl2 4 :Dy3+、CaAl2 4 :Eu2+、CaAl2 4 :Nd3+、Eu(II)Al2 4 、Sm(II)Al2 4 、Yb(II)Al2 4 、Eu(II)4Al1425、Sm(II)4Al1425、Yb(II)4Al1425、Sm(II)Al1219などの化合物が挙げられる。
 参考のため、表4に、本発明にかかる、上記、γ(14)Alx y の組成式で表される化合物の代表例をまとめた。
Figure 2004035402
 さらに、本発明に係る透光性焼結体を成分の側面から捉えた場合、希土類元素を除くイオンの価数が二価の元素と、希土類元素と、酸素元素を主成分として含む化合物を主体にして構成されるグループが挙げられる。
 以下の化学式は、本発明にかかる透光性焼結体を構成する主体となる、希土類元素を除くイオンの価数が二価の元素と、希土類元素と、酸素元素を主成分として含む化合物を示す化学式の一例である。
  γ(15)α(15)x9y9
 (但し、上記α(15)は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、B、Al、Ga、In、Tl、Sb、Biから選ばれる元素、上記γ(15)は、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Eu(II)、Sm(II)、Yb(II)、Dy(II)から選ばれる少なくとも一つの元素を主成分として含み、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Eu(II)、Sm(II)、Yb(II)、Dy(II)、Zn、Cd、Hg、Mnから選ばれる少なくとも一つの元素を、Oは酸素原子を示し、x9は、1≦x9≦24、y9は、2≦y9≦38、好ましくは、1≦x9≦4、2≦y9≦8、もしくは、1.8≦x9≦7、3≦y9≦12、もしくは、6≦x9≦24、8.5≦y9≦38のいずれかを満足する数値)
 尚、上記γ(15)α(15)x9y9の化学式で表される単一結晶相の化合物の一例としてはCaY2 4 ,(Sr,Eu)4 Al1425,(Ba,Eu)Al1219などがあるが、これらの化合物を主体にしてなる化合物(即ち、これら化合物以外の化合物も少量含む上記化合物)は、上記したx9,y9の数値限範囲内で得ることができ、いずれも透光性焼結体と成り得る。
参考のため、表5に、本発明にかかる、希土類元素を除くイオンの価数が二価である元素と、希土類元素と、酸素元素を主成分として含む化合物の代表例をまとめた。
Figure 2004035402
 以上のように、本発明の透光性焼結体は大きく4つのグループ、あるいは5つの化学式で表される物質により構成される。上記物質は、例えば紛体あるいは粒体としてすでに知られているが、所定の条件のもとで焼結体として透光性を有する点は本発明において明らかになったものである。尚、詳細な製造方法等は後述する。
 ここで、本発明の透光性焼結体は、波長100nm以上380nm以下の紫外線の照射によって蛍光(発光ピーク波長:300nm〜1000nm)を発する透光性焼結体(透光性蛍光焼結体:透光性蛍光セラミックス)も含まれる。
 上記透光性蛍光焼結体は、上記透光性焼結体を構成する元素の一部を、発光中心と成りえる元素で置き換えることにより構成される。
 上記蛍光を発する透光性焼結体は、以下の蛍光体で構成することによって得ることができる。尚、以下の蛍光体は、そのほとんどが140−280nmの紫外線照射のもとで高効率に発光する高効率紫外線励起蛍光体であり、青から赤に至る広い可視領域における特定の波長範囲内の発光(例えば、青、緑あるいは赤の発光)を示す蛍光体である。即ち、
 (1)マグネットプランバイト構造あるいはβ−アルミナ構造の結晶構造を有する蛍光体。
 (BAL、BAM、BAE、CAT、BaAl1116N:Eu2+、BaMgAl1017:Mn2+、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu2+、(Ba,Sr)MgAl1017:Mn2+、CeMgAl1119、CeMgAl1119:Tb3+、CeMgAl1119:Mn2+、CeMgAl1119:Mn2+、CeAl1218N:Tb3+など)
 (2)ζ3 Al5 12を蛍光体母体としないアルミネート蛍光体。但し、ζは、イオンの価数が三価の希土類元素を示す。
 (SAL、SAE、BaAl2 4 :Eu2+、SrAl2 4 :Eu2+、SrAl2 4 :Dy3+、CaAl2 4 :Eu2+、CaAl2 4 :Nd3+などの二価希土類イオン付活アルミネート系高輝度蛍光体や、Eu(II)Al2 4 、Sm(II)Al2 4 、Yb(II)Al2 4 、Eu(II)4Al1425、Sm(II)4Al1425、Yb(II)4Al1425、Eu(II)MgAl1017、Sm(II)Al1219、Yb(II)Al1116Nなどの、イオンの価数が二価である希土類元素と、アルミニウム元素と、酸素元素を主成分として含む蛍光体など)
 (3)希土類元素を除くイオンの価数が二価の元素と、希土類元素と、酸素元素を主成分として含む蛍光体。
 (CaY2 4 :Eu3+、MgSc2 4 :Tb3+、SrLa2 4 :Ce3+、BaGd2 4 :Dy3+、ZnLa2 4 :Yb3+など)
である。
 本発明の透光性焼結体は、マグネットプランバイト構造を有する化合物を主体にしたり、酸化アルミニウムを除くβ−アルミナ構造を有する化合物を主体にしたり、イオンの価数が二価の希土類元素と、アルミニウム元素と、酸素元素を主成分として含む化合物を主体にしてなるようにしたり、希土類元素を除くイオンの価数が二価の元素と、希土類元素と、酸素元素を主成分として含む化合物を主体にしてなるようにしたりして構成することを特徴とする。また、前記γ(14)Alx y の組成式で表される化合物を主体にして構成することを特徴とする。
 従って、透光性焼結体を構成する主材料が、これらの化合物であればよく、透光性焼結体の形状や大きさや透光性能(焼結体の透過率他)などが特に限定されるものではない。
 また、透光性蛍光焼結体にあっては、発光性能(発光色、発光強度、残光時間他)なども限定されるものではない。
 尚、上記の実施の形態1で説明した、本発明にかかるいずれの化合物を用いた場合でも、次に説明する製造方法を用いて、例えばφ20mm×厚み0.5mm程度の円板状の焼結体を製造すると、目視検査で透光性を確認できる程度の透光性(1%以上100%未満の範囲内の可視光直線透過率)を有する透光性焼結体を容易に製造することができる。
 又、以下の方法により、3%以上100%未満の範囲内の可視光直線透過率を得ることができる。即ち、
・焼成温度を融点に近い1700〜1900℃程度にしたり、
・焼成時間を10時間以上と長くしたり、
・1nm〜10nmの粒子からなる微粉末を焼結体原料として用いたり、
・焼結体中に気泡が生じて透光性が低下しないように真空中で焼成したり、
・より活性な化合物の混合体を形成しえる仮焼成温度を選定したり、
・ホットプレスや熱間静水圧プレス(HIP:Hot Lsostatic Pressing) などの高度な成形方法を用いたり、
・透光性焼結体の厚みを100μm程度にしたり、
 する方法である。
 尚、可視光拡散透過率ついては未評価であるものの、1%以上100%未満(製造条件の最適化によって、3%以上100%未満)の範囲内の拡散透過率を得ることができることは上記可視光直線透過率より当業者であれば容易に推察できる。
 得られた透光性焼結体は放電灯の発光管本体だけでなく、高温用のぞき窓、光学レンズ、赤外光用窓、機能素子搭載用基板、装飾品などの各種部材として応用可能となり、発光管、放電灯の他にも、光メモリ、光シャッター、シンチレータ、固体レーザーなどの各種電子デバイスに用いる部材として応用可能となる。
 以下、本発明にかかる透光性焼結体の製造方法の一例について図面を参照しながら説明する。尚、本発明の透光性焼結体は以下の製造方法に限定されるものではない。
 図3は、本発明の透光性焼結体の、製造方法の一例を示すフロー図である。
 図3において、混合工程aは、透光性焼結体の原料を混合する工程であり、上記で説明した透光性焼結体を製造し得る焼結体原料を混合する。
 尚、焼結体原料として用いる、上記透光性焼結体を製造し得る焼結体原料の形態は特に限定されるものではないが、中心粒径が1nm以上100μm以下、好ましくは、1nm以上10μm以下、さらに好ましくは1nm以上1μm以下の無機化合物粉末にすると、入手が容易で成形体の作製も容易であり、しかも、焼結体原料相互の反応も比較的良好に行われるので望ましい。
 無機化合物粉末以外の焼結体原料としては、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、金属元素、希土類元素、酸素元素、窒素元素、硫黄元素、ハロゲン元素を含む、金属成形体やガス状または液状の原料や、ゾル状またはゲル状の原料などがある。
 尚、透光性焼結体の透光特性は、焼結体原料の純度によって大きく変化し、先に説明した可視光直線透過率(1%以上100%未満、とりわけ3%以上100%未満)を得るためには、焼結体原料の純度を99.9%以上にする必要がある。
 また、図3において、成形工程bは、混合工程aで混合した後の混合焼結体原料(例えば、上記焼結体原料として用いる無機化合物粉末を混合した無機化合物粉末混合原料など)や、上記混合焼結体原料を、例えば大気中などで仮焼成した後の、仮焼後原料(例えば、上記無機化合物粉末混合原料を仮焼成して得られる、無機化合物粉末仮焼後原料など)を所定の形状に成形する工程である。この成形工程bでは、ホットプレスや上記HIP処理などをするが、簡便には、金型プレス、冷間静水圧プレス、押し出し成形などで、任意の形状に成形する。又、鋳込み成形などの方法による成形も有効である。
 尚、仮焼成は、原料相互の反応性を高めるためになされるものであり、これを行うことが望ましいが、製造工程の簡略化を目的として省くこともできる。
 仮焼成の時間は特に制限されるものではないが、目安は10分以上である。また、仮焼成温度を800℃以上1800℃以下、好ましくは1000℃以上1600℃以下の範囲内にすると、仮焼成によってある程度の化学反応を生じさせ、異常粒子成長を抑制するとともに、原料の活性化を保持することができるために、焼結体の透光性が良好になるのでよい。
 また、成形体の成形にあたっては、成形体の密度をでき得る限り大きくなるようにする。この理由は、焼結体の透光性を低下する原因となる成形体中の空隙を極力無くし、透光性の良好な焼結体を得るためである。
 例えば、金型プレスによる場合では、簡便には100kg/cm3 以上で加圧成形すれば透光性は得られるが、良好な透光性を得るためには、成形体中の空隙をいっそう無くし、粉末原料相互の接触面積がより大きくなるように、250kg/cm3 以上、好ましくは2500kg/cm3 以上で加圧成形する。成形体の密度は、成形する材料によって異なるものの、大きければ大きいほど、粉末相互の反応性が高まり、焼結体の透光性が高まるので、1.0g/cm3 以上、好ましくは2.0g/cm3 以上にする。
 尚、金型プレス、冷間静水圧プレス、押し出し成形などで、任意の形状に成形すると、安価かつ容易に透光性焼結体を得ることができる。
 図3において焼成工程cは、成形工程bで成形した混合焼結体原料の成形体を焼成する工程であり、透光性焼結体を構成する化合物の融点の85%に相当する温度以上融点以下の焼成温度、好ましくは、融点の90%に相当する温度以上融点以下の焼成温度に限定して成形体を焼成する。尚、上記した透光性焼結体を構成する材料の中には融点が不明な材料もあるため、上記焼成温度は、材料に基づいて具体的な温度を決定してから製造するとよい。上記焼成温度範囲を具体的な温度数値で記載すると、1600℃以上2000℃以下、好ましくは1700℃以上1900℃以下である。
 焼成によって、成形体を構成する混合焼結体原料相互が化学反応して、所望とする組成の透光性を有する化合物となり、透光性焼結体が得られる。
 透光性焼結体を構成する化合物の融点の85%に相当する温度以上融点以下(例えば、1600℃以上2000℃以下)に焼成温度を限定する理由は、上記融点の85%に相当する温度(例えば1600℃)よりも低い温度で焼成すると、原料相互の焼結が不十分であり、密度の小さな焼結体になって空隙が多いために透光性が低下するためである。一方、上記融点(例えば2000℃)よりも高い温度で焼成すると、焼結体が融解してしまい気泡が取り込まれたり、焼結体の特定の元素が蒸発して組成ずれを起こしたりして透光性が下がったり、所望の形状の焼結体が得られなかったりするためである。
 また、焼成工程cでは、焼成雰囲気は特に限定されるものではないが、原子半径の小さい水素あるいはヘリウムガスの雰囲気や、減圧雰囲気、真空雰囲気にすると透光性の高い透光性焼結体を製造し得ることが経験上多く好ましい。
 この理由は、成形体中の空隙に溜まった残留ガス成分が取り除かれ易いものと思われ、緻密な焼結体を得ることができるからである。
 焼成雰囲気としては例えば、1×10-2Torrよりも真空雰囲気がよく、好ましくは1×10-3Torrよりも良好な真空雰囲気がよい。尚、上記雰囲気以外では、水素雰囲気、窒素雰囲気、不活性ガス雰囲気にしてもよい。
 上記焼成工程cにおける、昇温速度や降温速度、焼成温度保持時間は特に限定されるものではないが、昇温速度と降温速度を50〜400℃/時間、焼成温度保持時間を1〜100時間にすると、透光性焼結体を得るために要する時間が比較的短くて済み、炉などの加熱装置への負担も少ないのでよい。
 尚、各種部材や電子デバイスに適用するには、上記のように製造した透光性焼結体を、例えば研磨装置などによって研磨するなどして、焼結体表面を平滑化処理したり、所定の厚みになるよう研磨したりするのが好ましい。
 上述した製造方法により、例えばφ20mm×厚み0.5mm程度の円板状の焼結体を製造すると、目視検査で透光性を確認できる程度の透光性(1%以上100%未満の範囲内の可視光直線透過率)を有する透光性焼結体を容易に製造することが確認できた。原料に基づいて製造条件を最適化することにより3%以上100%未満の範囲内の可視光直線透過率を得ることもできる。
 以下、本発明にかかる透光性焼結体の詳細な実施例を説明する。
(実施例1)
 本発明に係る、上記マグネットプランバイト構造を有する化合物を主体にしてなる透光性焼結体の一実施例として、Ce0.6 Tb0.4 MgAl1119の組成式で表される化合物で構成した透光性焼結体を説明する。尚、上記Ce0.6 Tb0.4 MgAl1119化合物は、253.7nmの紫外線照射の下で高効率の緑色発光(発光ピーク波長:542nm)を示す蛍光ランプ用の蛍光体であり、蛍光体の当業者の間では、CeMgAl1119:Tb3+(通称:CAT)蛍光体の呼称で知られている。但し、上記CATは粉末により提供されるものであり、透光性焼結体としての存在を知られるものではない。その他、上記マグネットプランバイト構造を有する化合物は、蛍光ランプ用の粉末蛍光体としての開発がなされているため、製造に必要な原料の購買ルートが十分に確立され、安価な蛍光体原料が容易に入手できる。
 透光性焼結体原料として、CeO4 (純度99.99%)、Tb4 7 (純度99.9%)、basic−MgCO3 ((MgCO3 4 ・Mg(OH)2 ・3H2 O:純度99.98%)、Al2 3 (純度は99.999%)の各粉末(中心粒径は、いずれも0.5〜5μm)を用いた。
 まず、Ce0.6 Tb0.4 MgAl1119の組成式になるように、上記各焼結体原料を秤量し混合た。具体的には、CeO4 粉末5.16g、Tb4 7 粉末3.74g、basic−MgCO3 粉末4.80g、Al2 3 粉末28.0gを、電子天秤を用いて計量し、自動乳鉢あるいはボールミル等の混合機を用いてこれら粉末からなる混合粉末を得た。
 続いて、上記混合粉末をアルミナ製のボート(純度99.9%)に仕込み、箱型電気炉を用いて1600℃の大気中で2時間焼成(仮焼成)して、Ce0.6 Tb0.4 MgAl1119の化学式で表される化合物を主体にしてなる出発化合物粉末(出発蛍光体粉末)を得た。尚、前記出発化合物粉末の結晶構成物をX線回折法で評価した結果、出発化合物粉末は単一結晶相に近いCe0.6 Tb0.4 MgAl1119化合物であった。該、Ce0.6 Tb0.4 MgAl1119化合物の融点は、1950±20℃であることが報告されている。
 次に、1gの上記出発化合物粉末を、直径2.0cmの円柱型の金型に仕込み、2500kg/cm3 の圧力で加圧成形して、直径約2cm、厚み約2mmの円柱状の加圧成形体を得た。この加圧成形体を箱型電気炉中に配置して、1800℃の大気中で2時間焼成した。なお、この焼成温度は、Ce0.6 Tb0.4 MgAl1119化合物の融点の約92%に相当し、融点の85%以上の温度である。ここに、当該焼結体の透光性は、加圧成形時の圧力が100kg/cm3 と低い場合でも確認できた。蛍光ランプの白色光のもとで透かして検査する目視検査でようやく確認できる程度ではあるものの、このような低い加圧成形圧力の場合でも、焼結体は透光性を有していた。
 焼成後の加圧成形体を5〜10個作製して大きさを評価したところ、直径1.6〜1.9cm、厚み0.5〜1.8mm程度の円柱状の焼結体であった。また、焼成後の加圧成形体の結晶構成物を調べた結果、X線回折法で評価する限りにおいて単一結晶相のCe0.6 Tb0.4 MgAl1119化合物であった。また、焼成後の加圧成形体に波長253.7nmの紫外線を照射してフォトルミネッセンス特性を調べた結果、蛍光ランプ用として市販されているCe0.6 Tb0.4 MgAl1119蛍光体と同等の高い輝度を示し、波長542nmに発光ピークを有する緑色の発光を示した。このことは、焼成後の加圧成形体が、高い発光性能を示す単一結晶相のCe0.6 Tb0.4 MgAl1119蛍光体であることを示す。 焼成後の加圧成形体の可視光領域における直線透過率は、波長依存性があるものの、3%以上50%以下であった。なお、前記直線透過率は、当然のことながら、透光性焼結体の製造条件の最適化(例えば1)反応性の高い中心粒径1nm〜10nmの微粒子透光性焼結体原料の使用、2)共沈法によって得た反応性の高い透光性焼結体原料の使用、3)反応促進剤(焼結助剤)の使用、4)1800℃以上の高温焼成、5)2時間を超える長時間焼成、6)真空或いはHe雰囲気中での焼成、7)ホットプレスや上記HIP等の技術的に高度な手法による成形等)によって改善できるものであり、70%以上の高い直線透過率を有する透光性焼結体も製造し得ることは容易に推察できる。
 このようにして、Ce0.6 Tb0.4 MgAl1119の組成式で表される化合物で構成した透光性焼結体(透光性蛍光焼結体)を得ることができた。
 尚、99.9%よりも純度の低い安価な粉末を透光性焼結体原料の一部または全部に用いると、焼結体の透光性が極端に悪くなる傾向にあった。
 また、本実施例1では、簡便のため焼結性を高める焼結助剤は用いなかったが、本発明に係る透光性焼結体にあっては焼結助剤を用いて製造したものであっても、用いずに製造したものであっても構わない。焼結助剤としては、各種金属酸化物や、AlF3 やH3 BO3 などを用いることができ、例えばAl2 3 1molに対して0.01〜0.3mol程度を添加して焼結するのが好ましい。
 また、本実施例1では仮焼成を1600℃の大気中で2時間した場合を説明したが、仮焼成の温度や時間や雰囲気はこれらに限定されるものでもない。なお、仮焼成を行わなくても、上記と同様の透光性焼結体を得ることができる。
 さらに、本実施例1では、透光性焼結体原料として、CeO4 、Tb4 7 、basic−MgCO3 、Al2 3 の各粉末を用いた場合を説明したが、透光性焼結体原料はこれらに限定されるものではない。なお、蛍光ランプ用蛍光体として市販されているCe0.6 Tb0.4 MgAl1119化合物粉末(CAT蛍光体粉末:中心粒径3〜10μm)そのものを透光性焼結体原料として用い、これを加圧成形して焼結した場合でも上記と同様の透光性焼結体を得ることができた。
実施例1では、マグネットプランバイトの結晶構造を有する化合物を主体にしてなる透光性焼結体の一例として、Ce0.6 Tb0.4 MgAl1119化合物で構成した透光性焼結体(透光性蛍光焼結体)を説明したが、上記表1で示した化合物についても、同様にして製造すると、Ce0.6 Tb0.4 MgAl1119化合物と同様に透光性を有する透光性焼結体を得ることができた。
 (実施例2)
 次に、本発明に係る、上記β−アルミナ構造を有する化合物を主体にしてなる透光性焼結体の一実施例として、Ba0.9 Eu0.1 MgAl1017の組成式で表される化合物で構成した透光性焼結体を説明する。尚、上記Ba0.9 Eu0.1 MgAl1017化合物は、253.7nmの紫外線照射の下で高効率の青色発光(発光ピーク波長:450nm付近)を示す蛍光ランプ用かつプラズマディスプレイパネル用の蛍光体であり、蛍光体の当業者の間では、BaMgAl1017:Eu2+(通称:BAM)蛍光体の呼称で知られている。但し、上記BAMは粉末により提供されるものであり、透光性焼結体としての存在を知られるものではない。その他、上記β−アルミナ構造を有する化合物は、蛍光ランプ用の粉末蛍光体としての開発がなされているため、製造に必要な原料の購買ルートが十分に確立され、安価な蛍光体原料が容易に入手できる。
 なお、上記BAM蛍光体は、組成式からわかるように、イオンの価数が二価の希土類元素とアルミニウム元素と酸素元素を主成分として含む化合物でもある。
 本実施例2では、透光性焼結体原料として、BaCO3 (純度99.98%)、Eu2 3 (純度99.99%)、basic−MgCO3 (純度99.98%)、Al2 3 (純度は99.999%)の各粉末(中心粒径はいずれも0.5〜5μm)を用いた。
 まず、Ba0.9 Eu0.1 MgAl1017の組成式になるように、上記各焼結体原料を秤量し混合した。具体的には、BaCO3 粉末8.88g、Eu2 3 粉末0.88g、basic−MgCO3 粉末4.80g、Al2 3 粉末25.5gを用い、電子天秤を用いて計量し、自動乳鉢あるいはボールミル等の混合機を用いてこれら粉末からなる混合粉末を得た。その後、上記実施例1と同様に、混合粉末をアルミナ製のボートに仕込み、箱型電気炉を用いて1600℃の大気中で2時間仮焼成して、Ba0.9 Eu0.1 MgAl1017の化学式で表される化合物を主体にしてなる出発化合物粉末(出発蛍光体粉末)を得た。尚、前記出発化合物粉末の結晶構成物をX線回折法で評価した結果、出発化合物粉末は単一結晶相に近いBa0.9 Eu0.1 MgAl1017化合物であった。また、Ba0.9 Eu0.1 MgAl1017化合物の融点は、1920±20℃であることが報告されている。
 続いて、上記実施例1と同様にして、1gの上記出発化合物粉末を、直径2.0cmの円柱型の金型に仕込み、2500kg/cm3 の圧力で加圧成形して、直径約2cm、厚み約2mmの円柱状の加圧成形体を得た。この加圧成形体を箱型電気炉中に配置して、1800℃の大気中で2時間焼成した。尚、この焼成温度は、Ba0.9 Eu0.1 MgAl1017化合物の融点の約94%に相当する。
 できあがった焼結体の透光性は、上記実施例1の場合と同様に、加圧成形時の圧力が100kg/cm3 と低い場合でも、蛍光ランプの白色光のもとで透かして検査する目視検査でようやく確認できる程度ではあるものの確認できた。
 焼成後の加圧成形体の大きさは、実施例1の場合と同様に、直径1.6〜1.9cm、厚み0.5〜1.8mm程度の円柱状であり、焼成後の加圧成形体の結晶構成物は、ほぼ単一結晶相のBa0.9 Eu0.1 MgAl1017化合物であった。なお、通常、イオンの価数が二価のEuを含む化合物(Ba0.9 Eu0.1 MgAl1017)を大気中で焼成すると、イオンの価数が三価のEuを含む化合物(例えばEu(III )MgAl1119)を形成するものであるが、本実施例2の透光性焼結体は、このような三価のEuを含む化合物はほとんど観察されなかった。この理由としては、焼成温度が1800℃と高いために、大気中焼成といえども焼結体が還元されやすい状態になっていたことが考えられる。
 また、焼成後の加圧成形体に波長253.7nmの紫外線を照射してフォトルミネッセンス特性を調べた結果、蛍光ランプ用として市販されているBa0.9 Eu0.1 MgAl1017蛍光体の輝度の約半分ではあったものの、比較的高い輝度を示し、波長450nm付近に発光ピークを有する青色の発光を示した。これらは、焼成後の加圧成形体が、高い発光性能(フォトルミネッセンス性能)を示す単一結晶相Ba0.9 Eu0.1 MgAl1017蛍光体であることを示す。
尚、実験確認はできていないものの、加圧成形体の加熱雰囲気を大気中ではなく、真空中や不活性ガス中や窒素雰囲気中など、焼結体が酸化されにくい雰囲気にすると焼結体の輝度向上が図れることは当業者であれば容易に伺いしれる。
 また、焼成後の加圧成形体の可視光領域における直線透過率は、上記実施例1で示したCe0.6 Tb0.4 MgAl1119透光性焼結体と同様に、3%以上50%以下であったが、製造条件等の最適化によって70%以上の高い直線透過率を有する透光性焼結体を製造し得ることは容易に伺いしれる。
 このようにして、Ba0.9 Eu0.1 MgAl1017の組成式で表される化合物で構成した透光性焼結体(透光性蛍光焼結体)を得ることができた。
 なお、99.9%よりも純度の低い安価な粉末を透光性焼結体原料の一部または全部に用いると、焼結体の透光性が悪くなる傾向はCe0.6 Tb0.4 MgAl1119透光性焼結体の場合と同様であり、焼結助剤として、各種金属酸化物やAlF3 やH3 BO3 などを使用し得ることもCe0.6 Tb0.4 MgAl1119透光性焼結体の場合と同様であった。
 また、仮焼成を行わなくても、上記と同様の透光性焼結体を得ることができることや、蛍光ランプ用蛍光体として市販されているBa0.9 Eu0.1 MgAl1017化合物粉末(BAM蛍光体粉末:中心粒径2〜10μm)そのものを透光性焼結体原料として用い、これを加圧成形して焼結した場合でも透光性焼結体を得ることができることも、Ce0.6 Tb0.4 MgAl1119透光性焼結体の場合と同様であった。
 本実施例2では、β―アルミナの結晶構造を有する化合物を主体にしてなる透光性焼結体の一例として、Ba0.9 Eu0.1 MgAl1017化合物で構成した透光性焼結体(透光性蛍光焼結体)を説明したが、表2で示した化合物についても、同様にして製造すると、Ba0.9 Eu0.1 MgAl1017化合物と同様の透光性を有する透光性焼結体を得ることができた。
(実施例3)
 次に、本発明にかかる、前記イオンの価数が二価の希土類元素とアルミニウム元素と酸素元素を主成分として含む化合物を主体にしてなる透光性焼結体、および、前記BAlx y の組成式で表される化合物を主体にしてなる透光性焼結体の一実施例として、Sr0.97Eu0.03Al2 4 の組成式で表される化合物で構成した透光性焼結体を説明する。尚、上記Sr0.97Eu0.03Al2 4 化合物は、253.7nmの紫外線照射の下で比較的高効率の青緑色発光(発光ピーク波長:500nm付近)を示す蛍光ランプ用の蛍光体として、蛍光ランプ開発当初にランプへの応用が検討された蛍光体であり、蛍光体の当業者の間では、SrAl2 4 :Eu2+蛍光体と書き表される蛍光体である。また、Dy3+イオンを共付活することによって、長残光特性を示す蛍光体となることもよく知られている蛍光体である。但し、上記同様、粉末により提供され、透光性焼結体としての存在を知られるものではない。
 尚、上記長残光特性とは、蛍光体に数分〜数10分の紫外光または可視光を照射した後、暗闇の中で蛍光体が数分から数10時間以上に渡って発光する特性のことをいう。
 ここでは、透光性焼結体原料として、SrCO3 (純度99.98%)、Eu2 3 (純度99.99%)、Al2 3 (純度は99.999%)の各粉末(中心粒径はいずれも0.5〜5μm)を用いた。
 まず、Sr0.97Eu0.03Al2 4 の組成式になるように、上記各焼結体原料を秤量し混合した。具体的には、SrCO3 粉末7.16g、Eu2 3 粉末0.264g、Al2 3 粉末5.10gを用い、上記実施例1、2と同様にして、これら粉末からなる混合粉末を得た。その後、上記実施例1、2と同様に、1600℃の大気中で2時間仮焼成し、Sr0.97Eu0.03Al2 4 の化学式で表される化合物を主体にしてなる出発化合物粉末を得た。尚、上記出発化合物粉末の結晶構成物をX線回折法で評価した結果、出発化合物粉末は単一結晶相に近いSr0.97Eu0.03Al2 4 化合物であった。
 続いて、実施例1、2と同様にして、1gの上記出発化合物粉末を金型に仕込み、2500kg/cm3 の圧力で加圧成形して、直径約2cm、厚み約2mmの円柱状の加圧成形体を得た。この加圧成形体を箱型電気炉中に配置して、1750℃の大気中で2時間焼成して焼結体を得た。
 焼成後の加圧成形体の大きさは、上記実施例1の場合と同様に、直径1.6〜1.9cm、厚み0.5〜1.8mm程度の円柱状であり、焼成後の加圧成形体の結晶構成物は、ほぼ単一結晶相のSr0.97Eu0.03Al2 4 化合物であった。また、焼成後の加圧成形体に波長253.7nmの紫外線を照射してフォトルミネッセンス特性を調べた結果、数秒〜数分の長残光性を有する長残光蛍光体としてしられている、Sr0.97Eu0.03Al2 4 蛍光体粉末の輝度の、約30%程度の輝度レベルではあるものの、比較的高い輝度を示し、波長500nm付近に発光ピークを有する青緑色の発光を示した。これらは、焼成後の加圧成形体が、高い発光性能(フォトルミネッセンス性能)を示す単一結晶相のSr0.97Eu0.03Al2 4 蛍光体であることを示す。
 焼成後の加圧成形体の可視光領域における直線透過率は、実施例1、2で示した透光性焼結体と同様に、3%以上50%以下であったが、製造条件等の最適化によって70%以上の高い直線透過率を有する透光性焼結体を製造し得ることは容易に伺いしれた。
 このようにして、Sr0.97Eu0.03Al2 4 の組成式で表される化合物で構成した透光性焼結体(透光性蛍光焼結体)を得ることができた。
 上記実施例1、2で説明した透光性焼結体の場合と同様、99.9%よりも純度の低い安価な粉末を透光性焼結体原料の一部または全部に用いると、焼結体の透光性が極端に悪くなった。また、焼結助剤として、各種金属酸化物やAlF3 やH3 BO3 などを使用し得ることも同様であった。さらに、仮焼成を行わなくても、上記と同様の透光性焼結体を得ることができることや、還元雰囲気中の焼成によってあらかじめ製造したSr0.97Eu0.03Al2 4 化合物粉末そのものを透光性焼結体原料として用い、これを加圧成形して焼結した場合でも透光性焼結体を得ることができることも、上記実施例1、2の透光性焼結体の場合と同様であった。
 また、本実施例3では、前記イオンの価数が二価の希土類元素とアルミニウム元素と酸素元素を主成分として含む化合物を主体にしてなる透光性焼結体、および、前記BAlx y の組成式で表される化合物を主体にしてなる透光性焼結体の一例として、Sr0.97Eu0.03Al2 4 化合物で構成した透光性焼結体を説明したが、表3、4で示した化合物でも同様に、透光性を有する透光性焼結体を得ることができた。
(実施例4)
 以下、本発明にかかる、上記希土類元素を除くイオンの価数が二価の元素と希土類元素と酸素元素を主成分として含む化合物を主体にしてなる透光性焼結体の一実施例として、Ca(Y0.9 Eu0.1 2 4 の組成式で表される化合物で構成した透光性焼結体を説明する。尚、上記Ca(Y0.9 Eu0.1 2 4 化合物は、赤色蛍光体として蛍光体の当業者の間でよく知られている(Y0.9 Eu0.1 2 4 化合物(Y2 4 :Eu2+蛍光体)とほぼ同じ発光を示す赤色蛍光体であり、253.7nmの紫外線照射の下で比較的高効率の赤色発光(発光ピーク波長:611nm)を示す蛍光体である。但し、上記同様、粉末により提供され透光性焼結体としての存在を知られるものではない。
 ここでは、透光性焼結体原料として、CaCO3 (純度99.99%)、Y2 3 (純度99.9%)、Eu2 3 (純度99.99%)の各粉末を用いた。
 まず、Ca(Y0.9 Eu0.1 2 4 の組成式になるように、上記各焼結体原料を秤量し混合した。具体的には、CaCO3 粉末5.00g、Y2 3 粉末10.2g、Eu2 3 粉末1.76gを用いた。上記実施例1〜3と同様にして、これら粉末からなる混合粉末を得、その後、1600℃の大気中で2時間仮焼成し、Ca(Y0.9 Eu0.1 2 4 の化学式で表される化合物を主体にしてなる出発化合物粉末を得た。X線回折法による評価結果では、出発化合物粉末は単一結晶相に近いCa(Y0.9 Eu0.1 2 4 化合物であった。
 続いて、上記実施例1〜3と同様にして、1gの上記出発化合物粉末を金型に仕込み加圧成形して、直径約2cm、厚み約2mmの円柱状の加圧成形体を得た後、加圧成形体を1750℃の大気中で2時間焼成して焼結体を得た。
 焼成後の加圧成形体の大きさは、直径1.6〜1.9cm、厚み0.5〜1.8mm程度の円柱状であり、焼成後の加圧成形体の結晶構成物は、ほぼ単一結晶相の、Ca(Y0.9 Eu0.1 2 4 化合物であった。また、焼成後の加圧成形体に波長253.7nmの紫外線を照射してフォトルミネッセンス特性を調べた結果、Ca(Y0.9 Eu0.1 2 4 蛍光粉末体と同等の、比較的高い輝度を示し、波長611nm付近に発光ピークを有する赤色の発光を示した。この赤色発光の分光分布(発光スペクトル)は、蛍光ランプ用Y2 3 :Eu3+赤色蛍光体の分布とほとんど同じであった。これらは、焼成後の加圧成形体が、高い発光性能(フォトルミネッセンス性能)を示す単一結晶相のCa(Y0.9 Eu0.1 2 4 蛍光体であることを示す。
 焼成後の加圧成形体の可視光領域における直線透過率は、上記実施例1〜3の透光性焼結体と同様に、3%以上50%以下であり、製造条件等の最適化によって70%以上の高い直線透過率を有する透光性焼結体を製造し得ることも容易に伺いしれた。
 このようにして、、Ca(Y0.9 Eu0.1 2 4 の組成式で表される化合物で構成した透光性焼結体(透光性蛍光焼結体)を得た。
 また、本実施例4で説明した、Ca(Y0.9 Eu0.1 2 4 化合物以外の、表5で示した化合物でも同様に、透光性を有する透光性焼結体を得ることができた。
 尚、本発明は透光性焼結体を構成しうる化合物としては知られていなかった化合物で構成した透光性焼結体に関するものであるので、透光性焼結体の製造方法は上記に限定されるものではなく、これ以外の製造方法であっても構わない。
〔実施の形態2〕
 以下、本発明にかかる発光管の実施の形態について図4〜7を参照しながら説明する。ここに図4〜7は、本発明にかかる金属蒸気放電灯用発光管5を示す縦断面図である。
 図4〜7において、発光管5は、少なくとも一部を実施の形態1で説明した透光性焼結体で構成されるものであり、発光13を発する電子デバイスである。
 本発明では、とりわけ発光管本体6の一部または全部を実施の形態1で説明した本発明の透光性焼結体にするが、これ以外の部分(例えば閉塞体9)に本発明の透光性焼結体を用いても構わない。尚、発光管本体6の一部を本発明の透光性焼結体にする方法の一例としては、
 (1)発光管本体6の組成を少し(一部)変更し本発明の透光性焼結体が部分的に含まれるようにする方法、
 (2)発光管本体6を複数の焼結体を接合して構成しその一部を本発明の透光性焼結体にする方法、
 (3)Al2 3 などの化合物を主体にして構成した従来の発光管本体(透光性焼結体)に、例えば希土類元素やアルカリ土類金属元素を拡散(例えば熱拡散)させることによって、発光管本体の一部あるいは表面などを本発明の透光性焼結体にする方法、
等などがある。但し、上記以外の方法によって、上記発光管本体6の一部を本発明の透光性焼結体にしていてもよい。
 発光管本体6の外観形状については特に限定されるものではないが、例えば、
 (1)図4に示すような、中央部が膨らみを持つ円筒状の外観形状や、
 (2)図5に示すような、円筒状の外観形状や、
 (3)図6に示すような、外径や内径の異なる複数の円筒を組み合せた外観形状や、
 (4)図7に示すような内部に空隙を有する塊状の外観形状など、あらゆる外観形状が一例として挙げられる。
 また、図4〜7において、発光管5に電力を供給する導入線7a、7bが設けられ、その先端部に電極8a、8bが設けられる。また、図4〜7に示すように、上記電極8aと8bとは接触しないようにして、発光管内部に配置し、導入線7aと7bを通して電極8a、8b間に交流や直流等の電圧を印加することにより、電極間で放電を起こし得る構造にしている。(尚、図4においては発光管本体6(セラミックス)と導入線7a、7bとの密着性が悪いため、導電性を有する閉塞体9(金属モリブデン箔、もしくはサーメット)を切り離した導入線の間に設けるようにしている。)
 但し、上記電極8a、8bの構造は図4〜7に示した構造に限定されるものではなく、これ以外の構造であっても放電を起こし得る電極としての役割を果たし得ていればよい。
 図4、5において、閉塞体9は、導入線7a、7bが埋設(図4)あるいは導入(図5)された発光管本体6を封着するためのものである。
 尚、上記閉塞体9の材質については特に限定されるものではないが、一例としては、Al2 3 −Mo系焼結体やアルミナセラミクスなど、無機化合物の焼結体や、金属と該無機化合物を混合した焼結体などが好ましく用いられる。
 上記発光管本体6を封止する方法は特に限定されるものではないが、一例として、ガラスフリットなどのシール材10を用いて、閉塞体9と導入線7a、7bの間、および、閉塞体9と発光管本体6の間を封着する方法(図4、5)や、導入線7a、7bと発光管本体6の間を封着する方法(図6、7)が挙げられる。図6、7に示す後者の方法では、上記閉塞体9は無くとも構わない。
 図4〜7において、発光材料11は、発光管5を発光させる役割を担うものであり、例えば、水銀、ナトリウムなどの金属や、固体硫黄、また金属ハロゲン化物(DyI3 、NdI3 、HoI3 、LuI3 などの希土類ハロゲン化物、LiI、NaI、KIなどのアルカリ金属ハロゲン化物、TlI、InIなどの金属ハロゲン化物)で構成し、密閉した上記発光管本体6の内部に封入している。
 尚、発光管本体6の内部には、希ガス(例えばAr)などの放電を起こし得る放電ガス12(空白で示した)を封入するとともに、管内の圧力を所定の圧力に保持し、所定の放電が得られるようにしている。
 本発明の発光管は、実施の形態1で説明した透光性焼結体を少なくとも一部に用いて構成することを特徴とする。したがって、発光管5が、実施の形態1で説明した透光性焼結体を用いて構成されておればよく、発光管5の形状や構造や製造方法等は上記に限定されるものではない。
 例えば、図7に示したように、窪み24を設けた2枚の板状の透光性焼結体を張り貼り合わせるなどすると、前記窪みによる中空を有する密閉容器(とりわけ、体積が1cm3 以下の小型密閉容器)を製造することができ、これに電極8a、8bを設け、発光材料11や放電ガス12を封入すると発光管5となり得るが、本発明の発光管はこのような発光管であってもよい。
 続いて、発光管5の動作を説明する。図4〜7のように構成した上記発光管5において、電極8aと8bの間に所定の電圧(交流、直流、直流パルス、交流パルス、高周波交流など)を印加すると、該発光管5の内部に封入した放電ガス12が放電するとともに、放電空間で蒸気化した発光材料11が発光する。上記発光管5は透光性を有する透光性焼結体(透光性セラミックスを含む)で少なくとも一部を構成しているので、上記発光材料11の発光13(放電光:可視光や赤外光や紫外光)は、透光性焼結体を透光して、発光管5の外部へと放射するようになる。すなわち、発光管5が発光する。
 ここで、発光管5に投入する投入電力は特に限定されるものではないが、一例としては10W以上5kW以下の投入電力が挙げられる。
 次に、発光管5の発光色の制御について、具体的に説明する。例えば、紫外光を赤色光に変換し得る透光性蛍光焼結体(例えば、少なくともEu3+イオンを発光中心とする蛍光体を含めて構成した透光性蛍光焼結体)を用いて発光管5を構成することにより、当該発光管5が紫外線を吸収して赤色味を帯びた光を放つ。即ち、赤色味を帯びた光を発する発光管5の提供が可能になる。
 また、紫外光を緑色光に変換し得る透光性蛍光焼結体(例えば、少なくともTb3+イオンを発光中心とする蛍光体を含めて構成した透光性蛍光焼結体)を用いて発光管5を構成することにより、当該発光管5が紫外線を吸収して緑色味を帯びた光を放つ。即ち、緑色味を帯びた光を発する発光管5の提供が可能になる。
 さらに、紫外光を青色光に変換し得る透光性蛍光焼結体(例えば、少なくともCe3+イオンを発光中心とする蛍光体を含めて構成した透光性蛍光焼結体)を用いて発光管5を構成することにより、当該発光管5が紫外線を吸収して青色味を帯びた光を放つ。即ち、青色味を帯びた光を発する発光管5の提供が可能になる。
 このように、本発明に係る発光管は、従来に無い透光性焼結体材料を用いて透光性焼結体を構成するので、発光管の製造条件範囲を広げることが可能になり、従来とは異なる製造方法や製造条件で発光管を製造する技術が期待できる。
 また、使用する透光性焼結体材料の特徴を活かして従来とは異なる発光管形状の設計も可能となる。
 従来の発光管の課題であった、前記失透の課題に対しても、課題解決に向けて選択し得る材料の幅を広げることができる。
 また、上記本発明の透光性蛍光焼結体で構成した発光管5にあっては、発光管内で生じる紫外線を可視光に変換し、これを発光管外へと放射し得るので、上記紫外線を有効利用することができ、発光管の発光色を所定の色に制御することが可能になるばかりでなく、発光管の光束を高めることができる。
〔実施の形態3〕
 以下、本発明にかかる放電灯の実施の形態について図8〜10を参照しながら説明する。ここに図8〜10は、本発明にかかる放電灯14を示す縦断面図である。
 図8〜10において、発光管5は放電灯から発光13を得るための発光管であり、上記実施の形態2で示した発光管5で構成している。
 図8〜10において、外管15は、発光管5や支持体16を外部衝撃から保護するために設けられた気密性の容器であり、ガラスなどの透光性を有する容器で構成する。
 尚、上記外管15の形状は図8〜10に限定されるものではなく、これ以外の形状であってもよい。さらに、外管15の内部の雰囲気についても、特に限定されるものではないが、一例を上げると、放電灯の用途に応じて、大気、不活性ガス雰囲気、窒素ガス雰囲気、これらの減圧雰囲気、真空雰囲気などから選択した雰囲気にする。
 上記外管15の内壁あるいは外壁には、放電灯14の用途に応じて、紫外光を可視光に変換する蛍光体(図示せず)や、上記発光管5が放射する光を拡散するための拡散材(例えばアルミナなどの無機粉末他:図示せず)や、上記発光管5からの光の放射を特定方向に配光させるための反射材(例えばアルミニウムなどの金属蒸着膜:図示せず)を設けてもよい。
 支持体16は、上記発光管5を支持するためのものであり、例えばステンレス製金属棒などで構成する。なお、上記支持体16は、口金18から給電される電力を発光管5に供給するための電力供給体を兼ねるようにするのが好ましく、例えば銅線や白金板などの金属線や金属板で構成するのもよい。
 ステム17は上記支持体16を固定するためのものであり、例えばガラス部材で構成する。なお、これ以外の方法で支持体16を固定できれば、上記ステム17はなくても構わない。該ステム17の材料についても特に限定されるものではなく、上記支持体16が電気的に短絡しない材料であればなんでもよい。
 口金18は、照明装置に上記放電灯14を固定するとともに、該放電灯14に電力を給電するためのものであり、ねじ込み式口金などを用いる。
 なお、上記放電灯14を照明装置に固定する手段や放電灯14に電力を供給する手段はこれに限定されるものではなく、例えば、スライドさせたり回転させたりするなどの手段によっても、放電灯の照明装置への固定や、放電灯への電力の供給は可能である。
 以上に説明した放電灯14に給電すると、上記実施の形態2にて説明した発光管5が可視光(発光13)を放ち、外管14を通して放射されるようになる。
 本発明の放電灯14にあっては、上記発光管5を構成する透光性焼結体を、従来とは異なる材料で構成するので、従来とは異なる形状の発光管の設計や、従来とは異なる発光色を示す発光管の提供が可能になり、放電灯14の設計形状を広げることができるようになるばかりでなく、これまでにない発光色の放電灯を得ることが可能になる。
 とりわけ、前記透光性蛍光焼結体で構成した発光管を用いた放電灯にあっては、波長140―280nmの紫外線照射のもとで高効率に発光する蛍光体(特に、蛍光ランプ用蛍光体やプラズマディスプレイパネル用蛍光体)を少なくとも一部に用いた発光管を用いるので、従来、有効利用されていなかった発光管からの紫外線を効率良く可視光に変換することが可能となり、光束を高めることができる。またさらに、蛍光体材料を適宜選択することによって、可視領域から選択した特定の色の光(例えば、青、緑、赤の光)を、放電灯の光に付加することができ、放電灯の発光色の制御も可能となる。
 以上説明したように、本発明に係る放電灯14は、実施の形態1で説明した透光性焼結体を少なくとも一部に用いて構成した実施の形態2の発光管5を用いることを特徴とする。
 したがって、実施の形態1で説明した透光性焼結体を用いて構成した発光管が用いられておけばよく、放電灯は構造などが上記に限定されるものではない。
 本発明にかかる放電灯としては、例えば、高圧ナトリウム灯、メタルハライドンプ、水銀灯、カラーHIDランプなどあらゆる放電灯がある。
 以下、上記した放電灯とは異なる形態の放電灯について図11を参照しながら説明する。ここに、図11は、本発明に係る反射鏡付き放電灯を示す縦断面図である。
 上記放電灯は、上記実施の形態2(図4〜7)で示した発光管5を用いて、反射鏡付き放電灯19を構成したものであり、液晶プロジェクタのバックライト、局部照明用、車両・航空機・船舶の前照灯などに広く用いることができる。
 まず、反射鏡20は、発光管5が放射した可視光を反射して特定方向に放射するように設計した反射体であり、発光管5からの光が当たる面に金属膜(例えばアルミニウム蒸着膜)や無機化合物の積層膜などを被覆して、この光が反射するようにしている。
なお、発光管5からは赤外線も同時に放射され、これが熱線となって反射鏡付き放電灯から放射されるので、この抑制のため、反射鏡20としては赤外線透過鏡(例えば、ダイクロイックミラーの名称で知られる、赤外線の80〜90%を後方へ透過する反射鏡)を用いるのが好ましい。
 導電体21は、口金18と合間って電力を発光管5に供給するための電力供給体であり、例えば銅線や白金線などの金属線などで構成する。
 上記口金18は、照明装置に反射鏡付き放電灯19を固定するとともに、導電体21と合間って反射鏡付き放電灯19に電力を給電するためのものであり、ねじ込み式口金などを用いるが、先の放電灯でも説明したように、特にこれに限定されるものではない。
 セメント22は上記口金18と上記反射鏡20を固着させるためのものであるが、本発明は発光管5と反射鏡20を備える反射鏡付き放電灯に関するものであるので、セメント22はなくても発光管5と反射鏡20を備えた反射鏡付き放電灯になっておればよい。
 また、前面板23は、外部衝撃による放電灯の破損を防ぎ、放電灯を保護するためのものであり、透光性を有するガラス板やプラスチック板などの透光性物質などで構成される。なお、前面板23は、放電灯からの発光を拡散する拡散板や、放電灯の発光を集光するレンズを兼ねるようにして構成してもよいし、前面板23は取り付けても取り付けなくてもよい。また、上記拡散板やレンズ(いずれも図示せず)は、前面版23とは別に備えるようにしてもよい。
 上記反射鏡付き放電灯19の動作や作用は先に説明した放電灯と同様であるのでここでは省略する。
 なお、本発明にかかる反射鏡付き放電灯19は、実施の形態2で説明した発光管5と反射鏡20を備えておれば上記以外の構造であっても構わない。
マグネットプランバイト構造及びβ−アルミナ構造を有する化合物の結晶構造を示す図。 β´−アルミナ構造の結晶構造を示す図。 本発明にかかる透光性焼結体の製造方法の一例を示すフロー図。 中央部が膨らみを有する円筒状発光管を示す縦断面図。 円筒状の外観形状を有する発光管を示す縦断面図。 外径や内径の異なる複数の円筒を組み合せた外観形状を有する発光管を示す縦断面図。 内部に空隙を有する塊状の外観形状を有する発光管を示す縦断面図。 本発明にかかる放電灯の第一の例を示す縦断面図。 本発明にかかる放電灯の第ニの例を示す縦断面図。 本発明にかかる放電灯の第三の例を示す縦断面図。 本発明にかかる反射鏡付き放電灯を示す縦断面図。
符号の説明
1…陽原子
2…陽原子
3…陽原子
4…陰原子
5…発光管
6…発光管本体
7a、b…導入線
8a、b…電極
9…閉塞体
10…シール材
11…発光材料
12…放電ガス
13…発光
14…放電灯
15…外管
16…支持体
17…ステム
18…口金
19…反射鏡付き放電灯
20…反射鏡
21…導電体
22…セメント
23…前面板

Claims (5)

  1. 酸化アルミニウムを除く、β−アルミナ構造を有するアルミネート系化合物を主体にしてなる透光性焼結体。
  2. 上記アルミネート系化合物がアルミネート系蛍光体である請求項1に記載の透光性焼結体。
  3. 上記アルミネート系化合物が、BaMgAl1017:Eu2+蛍光体、(Ba,Sr)MgAl1017:E2+,Mn2+蛍光体から選ばれる少なくとも一つの蛍光体である請求項1に記載の透光性焼結体。
  4. 請求項1に記載の透光性焼結体を、少なくとも一部に用いて構成したことを特徴とする発光管。
  5. 請求項4に記載の発光管を用いたことを特徴とする放電灯。
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