JP2004035340A - 基板、その基板を用いた板状体の製造方法、板状体およびその板状体から作製した太陽電池 - Google Patents

基板、その基板を用いた板状体の製造方法、板状体およびその板状体から作製した太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体材料の板状体の製造でバリが形成を防止し、板状体をそのまま製品の作製プロセスに通すことができる基板を提供する。
【解決手段】半導体材料を含有する融液に接触させ、その表面上に半導体材料の板状体を成長させる基板であって、該基板の表面はその縁部に沿って形成された周辺部と、その内側の主面部に区画され、該主面部と周辺部は、形状または材質のうち少なくともいずれかが異なる。例えば、基板の周辺部には、凹凸形状とするか、もしくは周辺部と主面部を別の構成部材とする。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体材料を含有する融液に接触させ、その表面上に前記半導体材料の板状体を成長させる基板であって、該基板の表面は、基板の縁部を含む周辺部とその内側の主面部に区画され、その主面部と周辺部は、相互に形状または材質のうち少なくともいずれかは異なっている。さらに本発明は該基板を用いた板状体の製造方法を関する。特に、半導体材料にシリコンを用いた時、得られる板状シリコンはその周辺部分に基板側への回り込み部(バリ)が形成されない板状シリコンに関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池は化石燃料に代わるクリーンな次世代のエネルギーとして注目されている。中でも多結晶シリコン太陽電池は比較的高い変換効率、コストなどの点から期待されている。従来、多結晶シリコン太陽電池に用いられている多結晶シリコンウェハは、シリコン融液を鋳型に流し込んで徐冷してインゴットを作製後、スライスすることにより作製されてきた。しかし、スライスによるシリコンの損失が大きいこと、またスライスに手間がかかるためにコストが高いという問題があった。太陽電池の普及を促進し、化石燃料などによる環境問題を低減するためには、この多結晶シリコンウェハの低コスト化が重要となる。
【0003】
例えば、RGS法などのように、融液から直接ウェハを製造する方法が提案されている。これらの方法では、グラファイト基板などを融液と接触させることで、成長基板の成長面と平行にシリコンを成長させる。そのため、融液と基板とが接触する部分の面積が大きいため、成長速度が速く、コスト低減に有利であるという特徴をもっている。
【0004】
また、これらの方法に基づく所定のサイズのウェハを直接製造する方法として特開平4―342409号公報に記載の方法が提案されている。この方法ではウェハ端部に対応する部分に少なくとも1mmの幅と深さの溝からなる表面くぼみを設けた基板を融液に接触させることにより、溝部分でウェハを分断する。これは、シリコン融液の表面張力により、融液が溝部分には入り込まず、結果的に溝部分にウェハが成長しないという現象を利用している。
【0005】
しかしながら、この方法で板状シリコンを生産した場合、ほぼ所定のサイズのウェハが形成されるものの、シリコンの端部では、シリコンの下面(基板との接触面)よりも、溝の深い方向に100ミクロンから200ミクロン以上のバリが形成され、生産ラインで使用される真空チャックでシリコンを固定できないなどの問題が予想される。
【0006】
また、真空チャックを使用しないプロセスを検討した場合でも、ウェハ周辺部の形状に再現性が得にくいため、製品間での形状誤差が大きく、その形状のまま製品として出荷することは困難と予想される。また、この方法で生産したウェハ周辺部を、レーザーやダイシング装置で切断することで生産ラインに流すことは可能であるが、工程が増えることにより、コストがかかるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらの課題を解決し、かつコストを抑えるため、ウェハを所定のサイズで形成したあと、その状態のままで生産ラインに流すことが出来るよう、シリコンの端部に、シリコンの下面よりも下向きのバリのない板状シリコンおよび、その製造方法が望まれる。本発明者らは鋭意研究の結果、融液に接触させる基板の形状および材質を工夫することで上述の問題を解決し、この方法で作製した板状体を用いた太陽電池等のデバイスの低コスト化を可能ならしめたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、半導体材料を含有する融液に接触させ、その表面に前記半導体材料の板状体を成長させる基板であって、該基板は板状体が成長する主面部と、該主面部に隣接し板状体が成長しない周辺領域を有し、前記主面部と前記周辺領域の表面形状または材質のうち少なくともいずれかは異なることを特徴とする。
【0009】
本発明は、半導体材料を含有する融液に接触させ、その表面に前記半導体材料の板状体を成長させる基板であって、該基板の表面は、縁部を含む周辺部と、その内側の主面部に区画され、周辺部と主面部は、形状または材質のうち少なくともいずれかは異なることを特徴とする。また本発明の基板の主面部は、凹凸形状を有していることが好ましい。さらに該基板の主面部が、規則的な凹凸形状であり、周辺部は前記主面部の凹凸形状とは異なる規則的な凹凸形状を有することが好ましい。特に該基板の主面部は周辺部に対して、凹状に形成することができる。
【0010】
本発明の基板は、基板の主面部よりも高い周辺部が、該主面部と材質が異なることを特徴とする。また基板の主面部よりも高い周辺部が、該主面部の凹凸形状とは異なる凹凸形状を有することができる。
【0011】
また本発明は、前記基板を用いた板状体の製造方法に関する。さらに本発明は、前記基板を用いて製造した板状体に関する。該板状体は、その周辺部に基板側への回り込み部(バリ)がない部分を有する。また本発明の板状体は、好ましくはシリコンである。さらに本発明は、前記板状シリコンを用いて作製した太陽電池に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、半導体材料を含有する融液に接触させ、その表面上に前記半導体材料を形成させる基板であって、該基板の主面部と周辺部は、形状または材質のうち少なくともいずれかが異なることを特徴とする。
【0013】
本発明に用いる基板を図面にしたがって、具体的に説明する。図1(A)は本発明の基板の概略斜視図、図1(B)は図1(A)の1B−1B断面図である。図において、板状体を成長させるための基板C1は、基板縁部C12を含む周辺部2とその内側の主面部1に区画される。該主面部1には、主として製品に使用可能な板状体が成長し、主面部1の周辺部2には成長しない。これは、図1(A)において1B−1B断面図である図1(B)に示されるように、周辺部2には凹凸構造が設けられているために、板状には成長しないことになる。すなわち、主面部1と周辺部2との境界で板状体が成長する部分と、成長しない部分とが分離されることになる。また、本発明において板状体とは、基板の主面部とほぼ平行に成長した板状体を指すものであり、基板と原料融液との凝固界面を大きくすることで、板状体の成長速度を大幅に向上することが可能となり、生産性が大幅に向上することになる。
【0014】
このような形状の基板C1を用いることによって、板状体が成長する部分と成長しない部分を分離できるのは、基板の形状および基板の材質をかえることで、原料融液の支持の仕方を変化させているためである。図2(A)は、図1に用いた基板C1と、基板上にある融液面(3Aおよび3B)を示した模式拡大図であり、図2(B)は基板上に板状体S2が成長した状態の模式断面図である。
【0015】
図2(B)において、基板上に供給された融液3は、基板の主面部1上で凝固することで板状体S2が形成される。このとき、図2(A)に示すように、基板上に供給された融液3の周辺部2表面の凹凸と接している融液面3Bは、周辺部2の凸部で、点もしくは線で支持されていることになる。このように、融液面3Bの形状は、原料融液の表面張力と、基板表面の凹凸形状によって、変化させることが可能となる。図においては、シリコン融液面3Bは、基板の凹部に若干垂れ込んだ状態で図示しているが、基板表面の凹凸形状によって、これをほぼ平面にすることも可能となる。例えば、周辺部2に用いる凹凸形状のピッチP12は3mm以下が好ましく、凸部の先端角α12は120°以下のピラミッド形状あるいは同等の効果を有する形状にすることが特に好ましい。凹凸形状のピッチP12が、3mm以上になれば、先端角度を変更しても、隣り合った凸部で原料融液を支持しているために、凹凸形状の凹部に原料が入り込む可能性が生じることになる。
【0016】
ここでいう凸部の形状の具体例を、例えば図9および図10に示す。図9は基板の表面に、ピラミッド状の凸部5を有する構造であり、図10は基板の表面に断面が三角形の複数列の突起を有する構造であり、ピラミッド形状と同様の効果を有する。
【0017】
いずれの場合においても、周辺部は融液を支持することができ、さらに、その凸部に板状体が成長しなければよい。さらに凸部で板状体の成長が起こった場合でも、隣り合った凸部間で、凝固した固体とが連続せずに、板状に成長しなければよい。
【0018】
なお、周辺部2は、基板の融液に接触する際の移動方向の前後に少なくとも一ヶ所、移動方向両側に設けられ、その幅W1は、1mmから50mmまでの範囲であることが好ましい。より好ましくは、2mmから20mmまでの範囲である。これは、1mm以下であると、周辺部の表面形状の加工が困難になるためであり、また、50mm以上であると基板のサイズが大きくなり、基板のハンドリングや基板の加熱・冷却に時間を要することになり、生産性が劣ることに繋がるためである。
【0019】
図1および図2において、基板C1の周辺部2は凹凸形状で示しているが、この周辺部2を主面部1とは異なる材質で作製しても、同様の効果がある。すなわち、図1および図2では、周辺部2の形状を変更することで、原料融液の支持の仕方を変化させているが、周辺部2の表面材質を変更することでも同様の効果がある。
【0020】
すなわち、板状体を成長させる主面部1は、原料融液に対して濡れ易い材料で作製し、一方、周辺部2には原料融液に対して、濡れ難い材料で作製する。このようにすることで、主面部1と周辺部2との境界で板状体が成長する部分と、成長しない部分とが分離されることになる。このように、主面部1と周辺部2の材質を変更することでも、容易に分離可能となる。特に、基板の主面部と周辺部の形状と、その材質をどちらも変更することで、より精度良く分離可能となる。
【0021】
また、原料融液にシリコンを用いる場合の基板の主面部および周辺部に用いる材質としては、高純度黒鉛、グラッシーカーボン、熱分解炭素、窒化硼素、窒化シリコン、炭化ケイ素、ダイアモンドライクカーボン、などから選択することが好ましい。これは、周辺部2の表面に少なくとも上記の材質があればよく、特に成形体である必要はない。言い換えれば、シリコン融液と接触する基板の表面にだけ、上記材質がコートもしくは、それらの粒子が付着されていてもよい。このように材質を変化させることで、融液と周辺部2との濡れ性を制御することが可能となる。
【0022】
図3(A)は板状体を成長させるための基板C3の概略斜視図であり、図3(B)は図3(A)の3B−3B断面図である。この図において、主面部31には、周辺部32よりも細かい凹凸が形成されている。このような構造にすることで、主面部31と周辺部32との境界で板状体が成長する部分と、成長しない部分とに分離することができる。このように、主面部31に凹凸を設けていても、容易に分離可能となる。これは、主面部と周辺部とも凹凸形状が形成されているが、融液を支持する形状が異なっているためである。
【0023】
主面部31の凸部のピッチP31は、0.5mmから5mmまでの範囲が好ましく、周辺部32の凸部のピッチP32は、0.5mmから3mmまでの範囲が好ましい。そして主面部31の凸部の先端角度は、90°から150°が好ましく、周辺部32の先端角度は15°から120°が好ましい。
【0024】
主面部31の凸部のピッチP31と、周辺部32の凸部のピッチP32が同じ場合は、周辺部32の凸部からの成長を遅らすために周辺部32の先端角を小さく、つまり鋭くすることが必要となる。ここで周辺部32の幅W3は、2〜40mmの範囲に設定される。
【0025】
図4(A)は板状体を成長させるための基板C4の概略斜視図であり、図4(B)は図4(A)の4B−4B断面図である。この図において板状体が成長する基板C4の主面部41の表面よりも、周辺部42の表面が突出した形状であり、さらに、周辺部42には凹凸が形成されている。このような構造にすることにより、主面部41と周辺部42との境界で板状体が成長する部分と、成長しない部分とが分離されることになる。特に、このように、主面部41と周辺部42に高低差を設けることで、分離が非常に容易となる。これは、融液の支持の仕方が高低差によっても生じるためである。ここで周辺部42の凹凸部のピッチP42は0.5〜3mmの範囲で、周辺部の幅W4は、2〜40mmの範囲である。
【0026】
図5(A)は、図4に用いた基板と、基板上にある融液面(3Aおよび3B)を示したものの模式拡大図であり、図5(B)は基板上に成長した板状体S5の模式断面図である。基板上に供給された融液3は、基板上で凝固することで板状体S5が形成される。このとき、基板上に供給された融液3の基板表面の凹凸と接している融液面3Bは、点接触もしくは線接触で支持されている。このように、基板表面の凹部に融液が進入しないので、凹凸形状で支持されている融液は板状には成長しにくくなる。
【0027】
特に、基板の高低差H4は、主面部41および周辺部42との二つの面の高低差が小さい場合、得られる板状体の分離が不完全になる可能性があるため、少なくとも成長させる板状体の板厚hより大きいことが好ましい。さらに好ましくは、H4>4hを満たすことである。これは、主面部41と周辺部42との境界部分にまで、完全に融液が入り込むことが少ないからである。凹凸部の高さH4は1〜10mmの範囲が好ましい。また凹凸部の突起の角度α1は、ここでは15°〜120°の範囲に設定される。
【0028】
図6(A)は板状体を成長させるための基板C6の概略斜視図であり、図6(B)は図6(A)の6B−6B断面図である。図において、板状体を成長させるための基板C6が4分割されている。すなわち、基板は、主面部61が1個、と周辺部62が3個を組み合わせて基板C6が構成されている。さらに、周辺部62を構成している基板表面には、凹凸構造が設けられている。このような構造にすることで、主面部61と周辺部62との境界で板状体が成長する部分と、成長しない部分とが分離されることになる。このように、複数の基板部材を組み合わせた基版C6を用いても、主面部61と周辺部62との境界で板状体を分離することが可能となる。図6は4個の基板部材で構成したものを図示しているが、特に構成部材の数は限定されない。
【0029】
図4および図6に示した基板(C4、C6)の主面部(41、61)は平面で図示しているが、この表面にも凹凸形状が形成されていてもよい。主面部に形成される凸部のピッチは、0.5mmから5mmまでの範囲が好ましく、その凸部の先端角度は、90°から150°が好ましい。
【0030】
図11(A)は板状体を成長させるための基板C11の概略斜視図であり、図11(B)は図11(A)の11B−11B断面図である。基板C11と、前述の基板(C1、C3、C4、C6)とを比較すると、どの基板にも主面部と周辺部を有しているが、基板C11においては、周辺部112は基板縁部C112を含んでいないことが特徴である。基板縁部C112を含まない周辺部112の基板を用いても、主面部111上に成長した板状体と、周辺部112に成長した板状体とは、分離することが可能となる。すなわち、主面部と周辺部の境界で、基板の表面形状または材質のうち少なくともいずれかが異なることにより、融液の支持方法が変化するため、板状体が成長する領域と成長しない領域に分離することが可能となる。ここで、周辺部112の凹凸のピッチP112は0.5mm〜3mmの範囲で、周辺部112の幅W11は、2〜40mmの範囲である。
【0031】
図12(A)は板状体を成長させるための基板C12の概略斜視図であり、図12(B)は図12(A)の12B−12B断面図である。この基板C12の特徴は、1枚の基板から2枚の板状体が取り出せるような構造であることである。このような基板を用いることで、大量生産が可能となり、より安価な板状体を提供することが可能となる。この図において、板状体は、2つ主面部(121R、121L)上に形成されることになり、2つの主面部の間に位置する中央部122Cによって分離されることになる。この中央部122Cの表面形状は、図10(B)に示すような線状の凸部を形成していることが好ましい。この中央部122Cの幅W12Cは、2mm〜15mmの範囲で、周辺部122の凹凸のピッチP122は0.5mm〜3mmの範囲で、周辺部122の幅W12は、2〜40mmの範囲である。ここで前記中央部122Cおよび/または周辺部122によって、板状体が成長しない周辺領域を形成する。
【0032】
本発明の基板を用いないで作製した板状体を比較のため説明する。図7(A)は従来の基板上に融液が存在するときの概略断面図、図7(B)は基板上で成長した板状体の概略断面図である。図7(A)において基板C7の表面を構成する内面部71と外面部72の上に融液面(3Aおよび3B)が示されている。基板上に供給された融液3は、基板上で凝固することで板状体Sが形成される。このとき、基板上に供給された融液3の基板表面と接している融液面3Bは、基板の凹部側に垂れ込んだ形状になる。図のような形状の基板においても、基板表面の凹部に原料融液は完全に進入しないが、原料融液が凝固する際には、図7(B)に示すように内面部71と外面部72の間にバリ4が形成されることになる。このバリ4は、意図的に切断したものではないために、バリ部分の高さが異なってくる。バリのついた板状体のまま、製品を作製するためのプロセスに使用した場合には、製品間での形状誤差が大きくなり、工程中での歩留まりが低下するおそれが生じることになる。また、バリ4を切断してから、製品を作製するためのプロセスに用いると、切断工程が新たに必要となり、安価な板状体を提供するのが困難になる。
【0033】
本発明の基板を用いると、前述の如く得られる板状体にはバリが存在しない。すなわち、本発明の基板を用いて作製した板状体には、基板側への回り込み部(バリ)が存在しないことを特徴とする。バリが存在しない部分を有する板状体は、製品を作製するためのプロセスに供する際も切断を行う必要がなく、切断のコスト削減や切断条件の緩和などに効果がある。また、板状体の周辺部をすべてこのような基板形状にすることで、切断の工程を通さずにシートを後のプロセスに流すことが可能で、コストを低減することが可能である。
(板状体の製造装置)
次に、本発明の基板を用いた板状体の製造方法について説明する。本発明の板状シリコンを作製するための製造装置内の概略断面図を図8に示す。本発明の板状体を得る装置は、これに限定されることはない。
【0034】
図8に示す装置は、得られた板状体S、板状体を成長させるための基板C、坩堝83、原料融液84、加熱用ヒーター85、坩堝台86、断熱材87、坩堝昇降用台88、基板Cに接続された軸89を備えている。但し、この図において、基板Cを移動させる手段、坩堝台86を昇降させる手段、加熱用ヒーター85を制御する手段、原料を追加投入する手段、真空排気ができるようなチャンバーおよびポンプなどの装置の外部については記載していない。しかしながら、装置の各構成部材は、密閉性の良好なチャンバー内に設置され、真空排気後に不活性ガスなどでガス置換が行なえる構造にする必要がある。このとき、不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウムなどを使用することが可能であるが、コスト面を考慮するとアルゴンがより好ましく、循環式のシステムを構築しておくことが、より低コスト化に繋がる。また、原料にシリコンを用いた場合、酸素成分を含むガスを用いると、シリコン酸化物が生成し、基板表面やチャンバー壁に付着するため、酸素成分はできる限り除去する必要がある。さらには、ガスの循環式システムには、フィルタなどを通して、シリコン酸化物の粒子の除去を行なうことが好ましい。
【0035】
図8に示すように、原料の融液温度以下の基板Cが、図中の左側から、坩堝83中にある原料融液84中に進入し、原料融液84に浸漬される。このとき、原料融液は、融点以上に加熱用ヒーター85で保持されている。安定した板状体Sを得るためには、融液温度の調節と、チャンバ内の雰囲気温度と、基板Cの温度を厳密に制御できるような装置構成にする必要がある。このような装置構成にすることで、さらに再現性よく、板状体を得ることができるようになる。
【0036】
基板には、温度制御が容易に制御できる構造を設けることが好ましい。基板の材質は、特に限定されないが、熱伝導性の良い材料や耐熱性に優れた材料であることが好ましく、より好ましくは高純度処理など施された黒鉛が好ましい。例えば、高純度黒鉛、炭化ケイ素、石英、窒化硼素、窒化ケイ素、アルミナ、酸化ジルコニウム、窒化アルミ、金属などや、それらの混合物などを使用することが可能であるが、作製する板状体の原料、およびその目的に応じて最適な材質を選択すれば良い。高純度黒鉛は、比較的安価であり、加工性に富む材質であるためより好ましい。基板の材質は、工業的に安価であること、得られる板状体の基板品質などの種々の特性を考慮し、融液材料と基板の組合せは、適宜選択することが可能である。さらに、基板に金属を用いる場合、常に冷却し続けるなど、基板の融点以下の温度で使用し、得られた板状体の特性にさほど影響を与えなければ、特に問題はない。温度制御を容易にするには、銅製の基板を用いると好都合である。
【0037】
基板の冷却手段は、大きく分けると直接冷却と間接冷却との2種類の手段が考えられる。直接冷却は、基板に直接ガスを吹きかけて冷却する手段であり、間接冷却は、基板を間接的にガスもしくは液体により冷却する手段である。冷却ガスの種類は、特に限定されないが、板状体の酸化を防ぐ目的で、不活性ガスである窒素、アルゴン、ヘリウムなどを用いることが好ましい。特に、冷却能力を考慮すると、ヘリウムまたはヘリウムと窒素との混合ガスが好ましいが、コストを考慮すると窒素が好ましい。冷却ガスは、熱交換器などを用いて循環させることで、さらなるコスト低減を図ることができ、結果として安価な板状シリコンを提供できることになる。
【0038】
さらに、基板は加熱することもできる機構を有する方が好ましい。すなわち、基板の温度は、冷却機構を備えているだけでなく、加熱機構を備えている方が好ましい。原料融液中へ進入した基板は、その基板表面に板状体が成長する。その後、基板は融液から脱出するが、基板側は原料融液から熱を受け、基板の温度が上昇する傾向となる。しかし、次に、その基板を同じ温度でシリコン融液へ浸漬させようとすると、基板の温度を下げるための冷却機構が必要である。このときの機構は、上述したような冷却機構を用いて、冷却することを必要とする。しかしながら、直接冷却や間接冷却でも、冷却速度すなわち基板温度を随時制御するのは困難であるため、加熱機構を必要とする。
【0039】
すなわち、一度原料融液から脱出した基板は、冷却機構で冷却され、次に、原料融液に浸漬される前までに、加熱機構を用いて、基板の温度制御を行なう。加熱機構は、高周波誘導加熱方式や、抵抗加熱方式や、ランプ加熱方式でも構わない。
【0040】
このように、冷却機構と加熱機構を併用することで、板状体の安定性は、格段に上昇する。融液の温度は、複数の熱電対もしくは、放射温度計などで制御し、制御温度は融点以上であることが好ましい。制御温度を融点近傍で設定していると、基板が融液に接することで原料融液の湯面が凝固を起こす可能性があるためである。融液温度を厳密に制御するには、熱電対を融液中に浸漬させるのが直接的で好ましいが、熱電対の保護管などからの不純物が融液に混入されるためにあまり好ましくない。制御部位は、坩堝などに熱電対を挿入するなどして、間接的に温度を制御することが好ましい。
【0041】
融液が入った坩堝83は、断熱材87の上に設置されている。これは、融液温度を均一に保持するためと、坩堝底からの抜熱を最小限にし、融液内の温度分布を極力少なくするために用いられている。その断熱材87の上には、坩堝台86が設置されている。この坩堝台86には、坩堝昇降軸88が接続されており、昇降機構が設けられていることが必要である。これは、基板C上で板状シリコンを成長させるため、常に基板Cが融液84に、同じ深さで浸漬させるための機構である。
【0042】
なお、湯面位置を一定に保つ、すなわち、板状体として取り出された分の原料を補充する方法として、原料の多結晶体を溶融させて投入したり、融液のまま順次投入したり、粉体を順次投入する方法などを用いることが可能であるが、湯面位置を一定に保つ方法は特に限定されない。但し、できるだけ融液の湯面を乱さないようにすることが好ましい。融液の湯面を乱すと、そのときに発生する波形状が得られる板状体の融液面側に反映され、得られる板状体の均一性を損ない、品質の安定性を損なう可能性があるためである。
(板状シリコンの製造方法)
次に、図8に示す板状体の製造装置を用いて、本発明の基板を用いた場合の板状体の製造方法について説明する。特に、ここでは原料にシリコンを用いる。まず得られる板状体の比抵抗が0.5〜2Ω・cmになるようにボロンの濃度を調整したシリコン塊を、高純度黒鉛製坩堝83に一杯になるまで充填する。その坩堝を、図8に示すような装置内に設置する。次に、チャンバー内の真空引きを行ない、チャンバー内を所定の圧力まで減圧する。その後、チャンバー内にArガスを導入し、常に10L/minの流速で、チャンバー上部よりArガスを流したままにする。このように常にガスを流し続けるのは、清浄なシリコン湯面を得るためである。
【0043】
次に、シリコン溶融用のヒーター85の温度を1500℃に設定し、坩堝83内のシリコン塊を完全に溶融状態にする。このとき、シリコン原料は溶融することで液面が低くなることから、シリコン融液の湯面が、坩堝83上面から1cm下の位置になるように、新たにシリコン粉末を投入する。シリコン溶融用のヒーターは、一度に1500℃に上げるのではなく、約1300℃まで5〜50℃/minの昇温速度で加熱し、その後、所定温度まで上げるのが好ましい。これは、急激に温度を上げると、熱応力が坩堝の角部などに集中的にかかり、坩堝の破損に繋がるためである。
【0044】
その後、シリコンが完全に溶融したのを確認したのち、シリコン融液温度を1410℃に設定し、30分間そのまま保持し、融液温度の安定化を図る。次に、坩堝昇降機構88を用いて、坩堝83を所定の位置まで移動させる。このときのシリコン融液温度は、1400℃以上、1500℃以下が好ましい。シリコンの融点が1410℃付近であるため、1400℃以下に設定すると、坩堝壁から徐々に湯面が固まってくるためである。また、1500℃以上に設定すると、得られる板状シリコンの成長速度が遅くなり、生産性が悪くなるため余り好ましくない。
【0045】
次に、板状シリコンを成長させるが、前述の本発明の基板を図8に示す如く、図の左側から右側へ矢印Zの軌道にそって進行させる。このとき、基板の表面、例えば、図1において主面部1をシリコン融液に接触させ、基板の前方部F1が進行方向前方になるように基板を移動させる。このように、基板の表面がシリコン融液に接することで、板状シリコンが主面部1表面に形成される。板状シリコンを基板上に成長させる軌道は特に限定されない。例えば、円軌道や、楕円軌道や、それらの組み合わせた軌道など、任意の軌道を実現できるような構造にしておく方が好ましい。
【0046】
図1から図6において、基板Cの上部の形状は、平面Fで形成されているが、特に限定されない。より好ましい形状は、主面部1上に成長した板状シリコンが落下しないような形状にすることが好ましい。
【0047】
特に、シリコン融液への進入時の基板の表面温度は、シリコン融液の凝固点以下であることが必要である。より好ましくは、100℃以上、1100℃以下である。これは、基板の温度が100℃以下であると、安定した制御が困難となる。すなわち、連続生産する場合、チャンバー内で、浸漬待ちの基板は、シリコン融液からの輻射熱を受け、常に100℃に維持することが困難となり、得られる板状シリコンの品質に、ばらつきが生じることに繋がるためである。また、基板の温度が1100℃以上であると、基板を1100℃まで加熱するのに時間を要するだけでなく、板状シリコンの成長速度が遅くなり、生産性が悪くなるため好ましくない。基板の温度を調整するには、冷却機構と加熱機構の両方を備えているために、生産性が向上するだけでなく、製品の歩留まり向上、さらには、品質の安定化を図ることができる。
【0048】
ここでは、板状シリコンの製造方法について説明を行ってきたが、前述のように、成長に使用する基板の材質や形状などを適宜変更することで、金属や、IV族(IV−IV族)半導体や、III−V族半導体や、II−VI族半導体などの、板状体の作製などにも容易に転用することが可能である。
【0049】
また、上述してきた板状体製造用の基板の概観形状は、いずれも板状体の縁部は直線状の四角形のもののみを示しているが、任意の形状、すなわち三角形や円形にも適用可能である。
【0050】
さらに、ここでは、図8に示した製造装置を用いて説明しているため、基板Cの下側に板状シリコンが成長する。しかしながら、図8とは、違った装置構成で、基板の上下を逆さまにすることで、基板Cの上側にも板状シリコンを作製することも可能となる。
【0051】
【実施例】
(実施例1)
<板状シリコンの作製>
比抵抗が1Ω・cmになるようにボロン濃度を調整したシリコン原料を、高純度カーボン製坩堝に保護された石英製坩堝内に入れ、図8に示す装置内に固定した。
【0052】
まずチャンバー内を0.00133Pa程度まで真空引きし、常圧までArガスで置換し、その後Arガスを2L/minでフローしたままにした。次に、シリコンをヒーターにより溶融し、融液温度を1425℃で安定させた。
【0053】
次に、図1に示す形状の成長基板を、その表面温度が200℃になるように制御し、さらに基板表面が湯面から8mm下の部分を通過するように浸漬し、板状シリコンを成長させた。この時、用いた基板は、横110mm、縦105mm、厚み30mmの外寸であった。また、周辺部の幅W1は5mmであり、その表面には規則的な凸部が形成されており、凸部のピッチP12は2mmで、先端角αが90°のものを使用した。
【0054】
このようにして得られた板状シリコンのサイズは、100mm×100mmで、シート周辺部に成長基板側に突き出たバリは存在しなかった。また成長したシリコンの厚さは、約0.35mmであり、基板からは容易に剥離することが出来た。
<太陽電池の作製方法>
成長させた板状シリコンのうち、基板の主面部に成長した部分のみを切断し、太陽電池の製造プロセスに通し、太陽電池を作製した。
【0055】
得られた板状シリコンの洗浄のため、水酸化ナトリウムによるアルカリエッチングを行った後、POCl拡散によりp型基板にn層を形成した。板状シリコン表面に形成されているPSG膜をフッ酸で除去した後、太陽電池の受光面側となるn層上にプラズマCVDを用いてシリコン窒化膜を形成した。次に、太陽電池の裏面側となる面に形成されているn層を硝酸とフッ酸との混合溶液でエッチング除去し、p基板を露出させ、その上に裏面電極およびp層を同時に形成した。次に、受光面側の電極をスクリーン印刷法を用いて形成した。その後、半田ディップを行い、太陽電池を作製した。AM1.5、100mW/cmの照射下にて、「結晶系太陽電池セル出力測定方法(JIS C 8913(1988))」に従って、太陽電池の特性評価を行った。
【0056】
測定結果は、短絡電流30.10(mA/cm)、開放電圧580(mV)、フィルファクター0.750、効率13.1(%)であった。
(実施例2)
成長基板が図3に示すものを用いたこと以外、全て実施例1と同じ方法で板状シリコンを作製し、太陽電池の作製・評価も行った。
【0057】
この時用いた基板は、主面部の規則的な凹凸の凸部のピッチP31が1.5mmで、先端角αが150°のピラミッド形状であった。また、周辺部の幅W3は5mmであり、周辺部表面の規則的な凹凸の凸部のピッチP32は2mmで、先端角αが90°のピラミッド形状であった。
【0058】
得られた板状シリコンのサイズは、100mm×100mmで、板状シリコン周辺部に基板側に突き出たバリは存在しなかった。また、得られた板状したシリコンの厚さは、約0.32mmで、基板からは容易に剥離することが出来た。
【0059】
得られた板状シリコンにおいて、基板の平面Fから成長した面だけを切断し、太陽電池のプロセスに通し、太陽電池を作製した。
【0060】
作製した太陽電池特性の測定結果は、短絡電流29.9(mA/cm)、開放電圧580(mV)、フィルファクター0.73、効率12.7(%)であった。
(実施例3)
成長基板が図4に示すものを用いたこと以外、全て実施例1と同じ方法で板状シリコンを作製し、太陽電池の作製も行った。
【0061】
この時用いた基板は、主面部と周辺部との高低差H4は2mmであった。基板周辺部の幅W4は5mmであり、その表面には、規則的な凹凸が存在しており、凸部のピッチは1.5mmで、先端角が90°のピラミッド形状であった。
【0062】
得られた板状シリコンのサイズは、100mm×100mmで、板状シリコン周辺部に基板側に突き出たバリは存在しなかった。また、得られた板状したシリコンの厚さは、約0.36mmで、基板からは容易に剥離することが出来た。
【0063】
得られた板状シリコンにおいて、基板の平面Fから成長した面だけ切断し、太陽電池のプロセスに通し、太陽電池を作製した。
【0064】
作製した太陽電池特性の測定結果は、短絡電流30.2(mA/cm)、開放電圧579(mV)、フィルファクター0.74、効率12.9(%)であった。
(実施例4)
成長基板が図6に示すものを用いたこと以外、全て実施例1と同じ方法で板状シリコンを作製し、太陽電池の作製も行った。
【0065】
用いた基板は、4の基板部材で構成された基板であり、主面部と周辺部との高低差H6は4mmであった。また、周辺部の幅W6は5mmであり、周辺部表面の規則的な凹凸の凸部のピッチは2mmで、先端角が90°のピラミッド形状であった。
【0066】
得られた板状シリコンのサイズは、100mm×100mmで、板状シリコン周辺部に基板側に突き出たバリは存在しなかった。また、得られた板状したシリコンの厚さは、厚い部分で約0.36mmで、基板からは容易に剥離することが出来た。
【0067】
作製した太陽電池特性の測定結果は、短絡電流31.0(mA/cm)、開放電圧584(mV)、フィルファクター0.73、効率13.2(%)であった。
(実施例5)
得られる板状シリコンの比抵抗が1Ω・cmになるようにボロンの濃度を調節したシリコン原料を、高純度カーボン製坩堝に保護された石英坩堝内に充填し、図8に示す装置内に設置した。その後、本体チャンバー内の圧力を300Paになるまでロータリーポンプを用いて排気を行った。その後、6Paになるまで、メカニカルブースターポンプを用いてさらに排気を行った。
【0068】
次に、坩堝を、5℃/minの昇温レートにて500℃まで昇温する。本体チャンバー内の圧力を6Pa、坩堝温度が500℃を維持した状態で90分間保持することにより、カーボン製坩堝に含まれている水分を除去する。このようなベーキングを経た後、一旦インバーターの出力を停止し、坩堝の加熱を停止する。この状態で、本体チャンバーの圧力を800hPaになるまでアルゴンガスを充填する。
【0069】
本体チャンバー内が800hPaに達した時点で、再び坩堝を昇温レート10℃/minにて加熱し、坩堝温度が1500℃になるまで昇温する。坩堝温度を1500℃で、1時間保持し、安定させることにより、坩堝内のシリコン塊はやがて全て溶融して、シリコン融液となる。シリコン塊が完全に溶解したのを確認し、シリコン湯面の高さが坩堝上端より15mmになるように、シリコン塊を追加投入する。追加投入したシリコン塊が全て溶融したことを確認したのち、坩堝の設定温度を1430℃まで落として、シリコン融液の温度安定化のため30分間その状態を保持する。
【0070】
次に、成長基板表面の温度が500℃となるように加熱を行い、シリコン融液に浸漬させる。この時、図3に示す基板を用い、主面部の大きさは、165mm×155mmであった。基板の主面部31の表面には、規則的な凹凸が存在しており、その凸部のピッチP31は1.5mmでピラミッド状であり、その時のピラミッドの高さは、0.20mmであった。また、周辺部32の表面にも、規則的な凹凸が存在しており、その凸部のピッチP32は1.5mmで、先端角が45°のものを使用した。また、周辺部の幅W3は、5mmであった。
【0071】
このようなプロセスで作製した板状シリコンの一辺のみをレーザーで切断し、155mm角の板状シリコンを30枚得た。
<太陽電池の作製>
155mm角の板状シリコンから太陽電池の作製を行った。得られた板状シリコンは、硝酸とフッ酸の混合液で洗浄も兼ねてエッチングを行った。その後、水酸化ナトリウムを用いてアルカリエッチングを行った。その後、PSG(リンシリケートガラス)拡散により、得られた板状シリコンにn層を形成した。n層形成時に形成された余分なPSG膜をフッ酸により除去した後、プラズマCVDにより、反射防止膜になるシリコン窒化膜を形成した。次に、太陽電池の裏面側となる面にも、形成されているn層を硝酸とフッ酸の混合溶液でエッチング除去し、p型基板を露出させた。その上に、Alペーストをスクリーン印刷することにより、裏面電極およびp層を同時に形成した。次に、Agペーストを印刷することにより、受光面電極を形成した。その後、半田コートを行い、太陽電池を得た。得られた太陽電池は、AM1.5、100mW/cmの照射下にて、太陽電池特性を行った。なお測定方法は、「結晶系太陽電池セル出力測定方法(JIS C 8913(1988))」に従った。
【0072】
得られた30個の太陽電池を測定し、その結果の平均値は、短絡電流31.3(mA/cm)、開放電圧601(mV)、曲線因子0.74、効率13.9(%)であった。
【0073】
【発明の効果】
上述の如く、本発明による基板を採用して成長させた板状体は、バリが形成されず、太陽電池等の製造プロセスにおいて、板状体の切断を行う必要がなく、切断のコスト削減や切断条件の緩和などに効果がある。またこの方法で作製したシリコンのシートを太陽電池として利用することで太陽電池のコストを削減および、太陽電池普及による環境破壊の防止に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の基板の概略斜視図、(B)は(A)の1B−1Bに沿った断面図である。
【図2】(A)は本発明の基板上に融液が存在するときの概略断面図、(B)は基板上で成長した板状体の概略断面図である。
【図3】(A)は本発明の基板の概略斜視図、(B)は(A)の3B−3Bに沿った断面図である。
【図4】(A)は本発明の基板の概略斜視図、(B)は(A)の4B−4Bに沿った断面図である。
【図5】(A)は本発明の基板上に融液が存在する時の概略断面図、(B)は基板上で成長した板状体の概略断面図である。
【図6】(A)は本発明の基板の概略斜視図、(B)は(A)の6B−6Bに沿った断面図である。
【図7】(A)は従来の基板上に融液が存在する時の概略断面図、(B)は基板上で成長した板状体の概略断面図である。
【図8】本発明の基板を用いて板状体を作製する装置の概略断面図である。
【図9】本発明の凸部を有する基板の拡大した概略斜視図である。
【図10】本発明の凸部を有する基板の拡大した概略斜視図である。
【図11】(A)は本発明の基板の概略斜視図、(B)は(A)の11B−11Bに沿った断面図である。
【図12】(A)は本発明の基板の概略斜視図、(B)は(A)の12B−12Bに沿った断面図である。
【符号の説明】
C 基板、S 板状体、1 基板の主面部、2 周辺部、3 融液、4 バリ、5 点状の凸部、6 線状の凸部。

Claims (12)

  1. 半導体材料を含有する融液に接触させ、その表面に前記半導体材料の板状体を成長させる基板であって、該基板は板状体が成長する主面部と、該主面部に隣接し板状体が成長しない周辺領域を有し、前記主面部と前記周辺領域の表面形状または材質のうち少なくともいずれかは異なることを特徴とする基板。
  2. 半導体材料を含有する融液に接触させ、その表面に前記半導体材料の板状体を成長させる基板であって、該基板の表面は、その縁部を含む周辺部と、その内側の主面部に区画され、周辺部と主面部は、形状または材質のうち少なくともいずれかは異なることを特徴とする基板。
  3. 基板の主面部は、凹凸形状を有していることを特徴とする請求項1または2記載の基板。
  4. 基板の主面部が、規則的な凹凸形状であり、かつ、周辺部は前記主面部の凹凸形状とは異なる規則的な凹凸形状を有することを特徴とする請求項1または2記載の基板。
  5. 基板の主面部は周辺部に対して、凹状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の基板。
  6. 周辺部の基板の主面部よりも高い部分が、主面部と異なる材質からなることを特徴とする請求項5記載の基板。
  7. 周辺部の基板の主面部よりも高い部分が、主面部の凹凸形状とは異なる凹凸形状を有することを特徴とする請求項5記載の基板。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の基板を用いた板状体の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の基板を用いて製造された板状体。
  10. 請求項9に記載の板状体において、板状体の周辺部に基板側への回り込み部がない部分を有することを特徴とする板状体。
  11. 板状体がシリコンであることを特徴とする請求項9記載の板状体。
  12. 請求項11記載の板状体を用いて作製した太陽電池。
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