JP4115232B2 - 板状シリコン、板状シリコンの製造方法、板状シリコンの製造用基板および太陽電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、板状シリコン、板状シリコンの製造方法、板状シリコン製造用基板およびその板状シリコンを用いた太陽電池に関する。本発明の板状シリコンは、第一面と、該第一面に連続して形成される他の面を有する板状シリコンにおいて、第一面と他の面との連続部分とは異なる位置に、第一面の平均的な板厚よりも厚い、板厚補強部が存在することを特徴とする板状シリコン、その板状シリコンの製造方法、その板状シリコン製造用基板および、その板状シリコンを用いた太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多結晶シリコンはシリコン融液を鋳型に流し込んで徐冷し、得られた多結晶インゴットをスライスし、製造されていたため、スライスによるシリコンの損失が大きいことが問題となっていた。このスライス損失をなくし、低コストで多結晶シリコンウェハの大量生産が可能な方法として本発明者らは、スライス工程を必要とせず、低コストで大量生産が可能な板状シリコン製造方法を開発した(特許文献1参照)。この製造方法は、原料の融液に基板を浸漬し、基板上に板状シリコンを成長するものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−247396号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記板状シリコン製造方法で板状シリコンを製造した場合、板状シリコンが坩堝中や坩堝外に落ちてしまうという問題があった。また板状シリコンは、基板の板状シリコンの成長面だけでなく、成長基板前後面および横面にも成長するため、板状シリコン成長後の降温時に、板状シリコンと成長基板材質の膨張係数の違いおよび、温度変化の時間的な遅れのために、板状シリコン面内に残留応力が残ったり、あるいはその応力のために板状シリコンにクラックが入るという問題があった。さらに、残留応力を解消する方向に、板状シリコンが反る可能性が生じるという問題があった。
【0005】
本発明はこれらの問題を解決することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意研究の結果、形成される板状シリコンを特殊な形状にすることで、上記の問題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明の板状シリコンは、第一面と、該第一面に連続して形成される他の面を有する板状シリコンにおいて、第一面の周辺部分に、第一面の平均板厚よりも厚い板厚補強部を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の板状シリコンは、板状シリコンの板厚補強部が、第一面と他の面との連続部分と、反対側の位置に存在することを特徴とする。
【0009】
本発明の板状シリコンは、板状シリコンの板厚補強部が、第一面と他の面との連続部分を含む全ての位置に存在することを特徴とする。
【0010】
本発明の板状シリコンは、板状シリコンの板厚補強部が、第一面の平均板厚の105%以上、170%以下であることを特徴とする。
【0011】
本発明の板状シリコンは、板状シリコンの板厚補強部の幅は、板状シリコンの長い方の辺の長さの10%以下であることを特徴とする。
【0012】
本発明の板状シリコンは、板状シリコンの板厚補強部の面積は、第一面の面積の35%以下であることを特徴とする。
【0013】
本発明の板状シリコンの製造方法は、シリコン融液に基板を接触させ、前記基板表面上に板状シリコンを成長させ、その後、基板を融液から引き離す工程を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の板状シリコンの製造方法は、板状シリコンの第一面と連続する他の面が、基板の進行方向の前方部から形成されることを特徴とする。
【0015】
本発明の板状シリコンの製造方法は、板状シリコンの板厚補強部が、基板の進行方向の後方部に形成されることを特徴とする。
【0016】
本発明の板状シリコンの製造方法は、板状シリコンの板厚補強部が成長する基板の板厚制御部は、周期的な凸部を有し、その凸部の最近接の位置にある凸部までの距離が、0.1mm以上、2mm以下であることを特徴とする。
【0017】
本発明の板状シリコン製造用基板は、板状シリコンの板厚補強部が成長する基板の板厚制御部は、炭化珪素、熱分解炭素、黒鉛のうちいずれか1つを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の板状シリコン製造用基板は、板状シリコンの板厚補強部が成長する基板の板厚制御部は、板状シリコンの第一面が成長する面よりも低いことを特徴とする。
【0019】
本発明の板状シリコンを用いた太陽電池は、板状シリコンの第一面と連続する他の面および板厚補強部を除去した第一面から作製したことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は、板状シリコン、板状シリコンの製造方法、その板状シリコンを用いた太陽電池、および板状シリコン製造用基板に関するものである。
【0021】
(板状シリコン)
本発明の板状シリコンは、第一面と、該第一面に連続して形成される他の面を有し、第一面の周辺部分に、第一面の平均板厚よりも厚い板厚補強部を有することを特徴とする。
【0022】
図1を用いて、本発明における板状シリコンの特徴について説明する。図1(A)は本発明による板状シリコンの概略斜視図であり、(B)は(A)における1B−1Bで切断した時の板状シリコンの断面図である。本発明による板状シリコンS1は、第一面S1Aと、その第一面S1Aと連続する連続部S1Dを介した他の面、すなわち第二面S1Bとを有し、さらに、その第一面S1Aには、第一面の中央部分の平均板厚h1よりも周辺部分の平均板厚H1の方が厚い板厚補強部S1Eを有することを特徴とする。さらに、本発明の板状シリコンS1において、第一面S1Aの法線ベクトルV1Aと、他の面、すなわち第二面S1Bの法線ベクトルV1Bとのなす角αが鈍角を形成している。この時の法線ベクトルは、連続した面上で定義することとしている。すなわち、ベクトルを定義する際には、板状シリコンを製造するときの基板に接している面であれば、両ベクトルとも基板に接している面からの法線ベクトルを選択する。こうすることにより、法線ベクトルV1AとV1Bの角度を定義することが可能となる。この角度αは、90°<α<180°を満たすことが好ましく、より好ましくは、120°<α<180°である。角度αが180°、すなわちベクトルが反対方向を向いている時には、板状シリコンを成長させた基板から、板状シリコンのみを取り外すさいに、無理な応力を加えることになり、板状シリコンを破損したり、基板を破損するなどの恐れがあるため、あまり好ましくなく、基板から容易に取り外すことのできる、120°<α<180°が好適となる。さらに後述するが、図2から図4に示すような形状であっても本発明の板状シリコンに該当することになる。
【0023】
以下の説明で板状シリコンはS、板状シリコン上の法線ベクトルはV、板状シリコンを成長させる基板はCを頭文字とし、続く数字は、板状シリコンの番号もしくは基板の番号として表記する。最後の文字は、第一面をA、他の面を構成する第二面をB、他の面を構成する第三面をCとし、板状シリコンの第一面の平均板厚よりも厚い板厚補強部をEとして表記する。また、基板においても、板状シリコンの第一面、第二面、第三面が成長する面を基板の第一面、第二面、第三面として表記する。
【0024】
図1(B)の板状シリコンS1の断面図において、第一面S1Aの中央部分の平均板厚h1よりも板厚補強部S1Eの平均板厚H1の方が厚いことを特徴とする。ただし、この図において、板厚h1およびH1は、ある特定の場所の板厚で表示しているが、本発明では平均的な板厚を指すものである。すなわち、板厚補強部S1Eのうちで、平均板厚H1よりも極端に薄い部分があってもよく、段階的に板厚が変化していても良い。この第一面の周辺部分に存在する板厚補強部S1Eの平均板厚H1は、第一面S1Aの中央部分の平均板厚h1の105%以上、170%以下であることを特徴とする。平均板厚が105%以下であると、板厚補強部の役割を十分に果たすことが困難となり、170%以上であると、板状シリコンの反りを抑制することは可能となるが、シリコンの利用効率が低くなるため、あまり好ましくない。
【0025】
板厚補強部の役割は、板状シリコンS1の面内において、第一面S1Aの平均板厚h1よりも厚い板厚補強部S1Eが存在することにより、板状シリコンS1の反りが大幅に低減できることになる。これは、板状シリコンの第二面S1Bは、板状シリコンを成長させる基板に引っ掛かる構造になっており、基板に固定されている状態であるが、板厚補強部S1Eは基板には固定されていない。そのため、基板上に成長した板状シリコンは、熱収縮や重力などの影響により、反りが生じる可能性がある。しかしながら、本発明の板状シリコンでは、平均板厚h1よりも板厚が厚い板厚補強部S1Eが存在するために、板状シリコンに反りは生じにくくなる。これは、板状シリコンの第一面S1Aの平均板厚h1よりも厚い板厚補強部S1Eが板状シリコンの梁の役目を果たしているためである。このような、反りの少ない板状シリコンは、容易に太陽電池の製造プロセスに提供できるだけでなく、得られる板状シリコンの強度を低下させることがないために、高歩留まりで板状シリコンを得ることができるようになる。さらに、通常太陽電池に用いられているような350μmのウエハよりも、薄い板厚の板状シリコンを作製することが可能となる。
【0026】
板厚補強部を有する板状シリコンにおいて、板厚補強部S1Eの幅W1は、板状シリコンの長辺の長さの20%以下が好ましい。例えば、得られる板状シリコンのサイズが縦155mm、横155mmの正方形である場合、31.1mm以下が好ましい。これは、板厚の厚い部分の幅が広ければ広いほど、板状シリコンの反りは抑制することが可能となるが、原料利用効率が大幅に低下することになり、得られる板状シリコンの価格を抑えることが困難になるためである。
【0027】
さらに、板厚補強部を有する板状シリコンにおいて、板厚の板厚補強部S1Eの面積は、板状シリコンS1の第一面S1Aの面積の35%以下が好ましい。これも、板厚補強部の領域が大きければ大きいほど、原料利用効率が低下し、得られる板状シリコンの価格を抑えることが困難になるためである。
【0028】
次に、図2から図4を用いて、本発明の板状シリコンの形状について説明する。図2から図4は、本発明により板状シリコン概略斜視図である。図2において、図1(A)と異なる部分は、板状シリコンの第二面(S1BとS2B)の形状である。図1の板状シリコンS1の第二面S1Bは平面構造であるが、図2の板状シリコンS2の第二面S2Bは曲面形状である。板状シリコンS2において、第一面の法線ベクトルV2Aと第二面の法線ベクトルV2Bとが鈍角を形成することを特徴とする。しかしながら、曲面形状を有しているため、第二面の法線ベクトルV2Bを、板状シリコンの第一面S2Aとの境界線付近にすると、法線ベクトル同士のなす角は、鋭角になる場合がある。しかしながら、本発明では、法線ベクトルのなす角が鈍角になる部分が少なくとも1つあればよい。法線ベクトルのなす角が鋭角になる部分を含んでいても構わない。言い換えれば、法線ベクトルのなす角が、鈍角になる他の面が存在していればよい。この例では、板厚補強部S2Eは第二面S2Bと反対側に形成されている。
【0029】
図3においては、板状シリコンS3は、第一面S3Aと、他の面、すなわち第二面S3Bおよび第三面S3Cの合計3面で構成され、夫々法線ベクトルV3A、V3B、V3Cを有する。これまで説明してきた板状シリコン(S1およびS2)は2面構造であるが、本発明では、板状シリコンに第一面と第二面が存在していれば機能を果たすが、他の面が2面以上である方がよりその効果を発揮することになる。すなわち、板状シリコンS3は、端部にコ字型の断面形状を呈する部分を有しており、第一面の法線ベクトルV3Aと第二面の法線ベクトルV3Bとが鈍角をなしている。このような3面構造にすることによって、融液に基板を浸漬させて板状シリコンを作製する場合においては、板状シリコンの落下の割合が大幅に改善されることになる。
【0030】
さらに図3においては、板状シリコンの板厚補強部S3Eが下側に凸部を有する構造になっている。本発明では、板状シリコンの板厚補強部が存在しており、板状シリコンの反りを抑制すればよく、図3のような形状であっても差し支えない。
【0031】
図4においては、板状シリコンS4は、第一面S4A、第二面S4B、および第三面S4Cの3面で構成され、夫々法線ベクトルV4A、V4B、V4Cを有する。このような3面構造であっても、板状シリコンの落下は、抑制することができる。また、この図において、板状シリコンの板厚補強部S4Eは、上側と下側の両方ともに凸部を有している。このような形状の板厚補強部S4Eにすることで、さらに得られる板状シリコンの反りを抑制することが可能となるため、より好ましい。
【0032】
以上のように、第一面の平均板厚よりも厚い板厚補強部(S1E、S2E、S3E、S4E)は、下側に凸部を有していたり、上側に凸部を有していたり、上下とも凸部を有していても良い。
【0033】
次に、図5を用いて、本発明の板状シリコンの形状について説明する。図5(A)は、本発明の板状シリコン概略斜視図であり、(B)は(A)における板状シリコンの周辺の板厚の厚い部分、すなわち板厚補強部S5Eを一点鎖線に沿って除去した時の板状シリコンの斜視図である。図5(A)において、板厚補強部S5Eが、第一面S5Aの周辺部分の全てに存在するために、第一面S5Aが反ることがほとんどなくなる。これは、周辺にある板厚補強部S5Eが強固な枠を形成していることになり、第一面S5Aが反らなくなる。このような板状シリコンであると、板厚補強部S5Eを除去することで、得られる板状シリコンS5Aには、反りがほとんど含まれることはなくなり、安価なプロセスを用いて太陽電池を作製することができるようになる。しかしながら、このような形状にすると、板厚補強部S5Eの面積が大きくなるために、できる限り板厚補強部S5Eの幅は小さくすることが好ましい。より好ましくは、10mm以下である。このような形状にすることで、歩留まりよく、しかも反りのない板状シリコンが得られることになる。図5において、第一面S5A、第二面S5B、第三面S5Cは、夫々法線ベクトルV4A、V4B、V4Cを有する。
【0034】
(基板)
次に、図6を用いて、本発明の板状シリコンを作製するための基板について説明する。図6(A)は、本発明の板状シリコンを作製するための基板の概略斜視図であり、(B)は(A)における6B−6Bで切断した時の基板の断面図であり、(C)は(A)における6C−6Cで切断した時の基板の断面図である。このような基板C6を用いることで、本発明の板状シリコンを作製することが可能となる。本発明の基板は、板状シリコンの第一面が成長する基板の第一面C6A、板状シリコンの第二面が成長する基板の第二面C6B、板状シリコンの第三面が成長する基板の第三面C6Cで構成されており、さらには、板状シリコンの板厚が厚い、板厚補強部が成長する板厚制御部C6Eが存在する。さらに、基板の第一面C6Aは、堀構造C6Fによって基板縁部C6Gと分離できるような構造となっている。このような形状にすることにより、基板C6の側面部分にシリコンが付着したとしても、堀構造C6Fにより分離されているため、シリコンの収縮あるいは、基板の膨張による応力の少ない板状シリコンを得ることが可能となる。
【0035】
このとき、基板縁部の幅W6Gは、1mm以上、10mm以下が好ましい。基板縁部の幅W6Gが1mm以下であると、基板縁部の幅が狭いため、熱的な影響により、基板縁部の強度が低下するため好ましくなく、10mm以上であると、基板のサイズが大きくなるために、基板を加熱したり、冷却する場合の熱のロスが大きくなるため、余り好ましくない。
【0036】
また、基板縁部C6Gと第一面C6Aを分離するための堀構造C6Fの幅W6Fは、1mm以上、7mm以下が好ましい。1.5mm以上、5mm以下がより好ましい。堀構造の幅W6Fは、1mm以下であると、シリコン融液の表面張力によって、基板縁部C6Gと第一面C6Aがつながるため好ましくなく、7mm以上であると、逆に、堀構造の幅W6Fの凹部にまでシリコン融液が侵入する可能性が大きくなり、その部分から板状シリコンが割れる可能性が大きくなるためこのましくない。また、堀構造C6Fの深さD6Fは、1mm以上、8mm以下が好ましい。2mm以上、5mm以下がより好ましい。堀構造C6Fの深さD6Fが、1mm以下であると、シリコン融液の表面張力によって、基板縁部C6Gと第一面C6Aがつながるため好ましくなく、8mm以上であると基板強度が確保できなくなるため、あまり好ましくない。
【0037】
さらに、基板の第二面C6Bは、基板の第一面C6Aと角度βで交わっている。この角度βが大きければ、得られる板状シリコンは落下し易くなり、逆に、小さいほど、落下しなくなる。すなわち、この角度βは、鋭角であることが好ましく、60°以下がより好ましい。
【0038】
本発明においては、板状シリコンの板厚の厚い部分が成長する部分、すなわち板厚制御部C6Eには、規則的な凹凸を有する形状であることが好ましい。すなわち、基板の第一面C6Aの結晶核の発生密度よりも、板厚制御部C6Eの結晶核を発生する密度の方を多くすることで、得られる板状シリコンの厚みを制御することが可能となる。たとえば、基板の第一面C6Aの表面が旋盤やフライス盤による機械加工仕上げであるならば、板厚制御部C6Eの表面には、機械的に凹凸を形成することが好ましい。このとき、凸部のピッチは、0.1mm以上、2mm以下で存在しているのが好ましい。0.5mm以上、1mm以下がより好ましい。このように、板厚制御部C6Eには、凹凸を形成することで、容易に板状シリコン板厚を厚くするこが可能となる。特に、板厚制御部C6Eの表面形状は、図13(A)にある点状の凸部13Aを有する形状や、図13(B)にあるような線状の凸部13Bを有する形状が好ましい。これは、シリコンの結晶核の発生場所を制御することが可能となり、均一に板厚補強部を形成する時に特に好ましい。
【0039】
さらに、基板の第一面C6Aの表面においても、凹凸形状を有していることが好ましい。これは、基板の第一面C6Aに凹凸構造をあらかじめ設けておくことで、結晶核の生成サイトを限定することができ、得られる板状シリコンの均質性が向上するだけでなく、得られる板状シリコンの剥離性を大幅に向上させる。基板の第一面C6Aの表面凹凸の凸部のピッチ0.5mm以上、2.5mm以下が好ましい。0.5mm以下のピッチであると、得られる板状シリコンの半導体特性がやや劣ることになり、得られる太陽電池の変換効率の若干劣るために好ましくない。2.5mm以上のピッチであると、得られる板状シリコンの表面の凹凸が大きくなり、大量生産に適した印刷プロセスを通すことが困難になるため、あまり好ましくない。
【0040】
例えば、基板の第一面C6Aの表面凹凸の凸部のピッチと、板厚制御部C6Eの表面凹凸の凸部のピッチをどちらも1mmとした場合、板厚制御部C6Eの凸部と凹部の高低差を小さくすることで、板厚を厚くすることも可能である。凸部と凹部の高低差を小さくすると、シリコン融液の基板の凹部への入り込み方が変化し、凸部だけが結晶核の発生場所であったものが、結晶核の発生場所を多くすることになる。その結果、凸部周辺も結晶核の発生場所となり、板状シリコンの厚みを厚くすることができ、板厚補強部を形成することができる。
【0041】
さらに、板厚補強部は、板厚制御部C6Eの凸部の先端部分に、炭化珪素や熱分解炭素などのようにシリコン融液に対して濡れ性の高い材質をコートすることでも作製することが可能となる。これは、シリコン融液に対して濡れ性の高い材質が基板表面に存在すると基板の凸部での結晶核の発生量を多くすることができ、板状シリコンの厚みを厚くすることができ、板厚補強部を形成することができる。
【0042】
このように、板厚補強部を作製するには、シリコン融液と基板表面の接触部分を制御することが非常に重要な因子であり、特に、凸部の密度と凸部の材質などで制御すること好ましい。
【0043】
図6においては、基板の第一面C6Aと板厚制御部C6Eの凸部は、ほぼ同一面上に形成されている場合の図であるが、図7では、基板の第一面C7Aよりも下側に板厚制御部C7Eが存在する場合である。
【0044】
図7(A)は、本発明の板状シリコンを作製するための基板の概略斜視図であり、(B)は(A)における7B−7Bで切断した時の基板の断面図であり、(C)は(A)における7C−7Cで切断した時の基板の断面図である。この図において、第一面C7Aよりも下側に板厚制御部C7Eが存在している。このように第一面C7Aよりも下側に板厚制御部C7Eが存在していると、より容易に板厚を厚くすることが可能となる。第一面C7Aよりも低い位置に板厚制御部C7Eが存在していても、融液が入りこむことが可能となるため、板厚補強部を作製可能となる。先述のように、凹凸形状を設けることで、結晶核の発生サイトを限定することができるようになり、さらに容易に板厚補強部を得られることが可能となる。図7において、第二面C7B、第三面C7C、掘構造C7Fの深さD7F、堀構造C7Fの幅W7F、基板縁部C7Gの幅W7Gは図6の実施例と実質的に同じ構造が採用できる。
【0045】
次に、図8を用いて本発明の基板について説明する。図8(A)は、本発明の板状シリコンを作製するための基板の概略斜視図であり、(B)は(A)における8B−8Bで切断した時の基板の断面図であり、(C)は(A)における8C−8Cで切断した時の基板の断面図である。この図では、図7に示した基板C7が2個接続した場合となる。すなわち、1個の基板C8の第一面(C8LAおよびC8RA)から成長した2枚の板状シリコンが得られることになる。この基板C8においても、基板の第一面(C8LAおよびC8RA)と基板縁部C8Gとの間に掘構造(C8LFおよびC8RF)が存在しているために、得られる板状シリコンが掘構造を介して連続してつながることはない。この図においては、基板の第一面(C8LAおよびC8RA)の間には、2本の掘構造(C8LFおよびC8RF)によって分離されることになる。この図においては、2本の堀構造(C8LFおよびC8RF)で分離されているが、基板中央部分の堀構造を共通とする構造であっても構わない。このような1本の堀構造で、基板の第一面を分離するような場合は、堀構造の幅を広げておくことが好ましい。これは、基板の中央部分は、熱の影響により、板状シリコンの成長速度が速くなるためである。基板中央部分の堀構造の幅は、基板周辺部における堀構造の幅の1倍以上、3倍以下が好ましい。なお第二面C8LB、第三面(C8RC,C8LC)は図7の実施例と同じ形状である。
【0046】
このように、1枚の基板から2枚の板状シリコンが得られるような基板形状にすると、生産性が良いために、結果として安価な板状シリコンを提供することが可能となる。
【0047】
次に、図9を用いて本発明の基板について説明する。図9(A)は、本発明の板状シリコンを作製するための基板の概略斜視図であり、(B)は(A)における9B−9Bで切断した時の基板の断面図であり、(C)は(A)における9C−9Cで切断した時の基板の断面図である。この基板において、板厚制御部(C9REおよびC9LE;ハッチング部分)は、基板の第一面C9Aの左右に設けられており、その部分には、凸部が制御されて形成されている。このとき、凸部のピッチは、0.1mm以上、2mm以下で存在しているのが好ましい。0.5mm以上、1mm以下がより好ましい。このように、板厚制御部C9LEに、凹凸を形成することで、容易に板状シリコンの板厚を厚くするこが可能となる。このように平行した位置に板厚制御部(C9REおよびC9LE)が存在していることで、より容易に反りを抑制することが可能となる。
【0048】
なお、第二面C9B、第三面C9C、溝構造C9F、基板縁部C9Gは、図6の実施例に準じた構造が採用できる。
【0049】
次に、図10を用いて本発明の基板について説明する。図10(A)は、本発明の板状シリコンを作製するための基板の概略斜視図であり、(B)は(A)における10B−10Bで切断した時の基板の断面図であり、(C)は(A)における10C−10Cで切断した時の基板の断面図である。この図において、基板C10には、異なる表面形状の領域が存在する。すなわち、第一面C10Aは板厚制御部C10Eと隣接しており、さらに、板厚制御部C10Eと隣接して、成長抑制部C10Hが存在している。この成長抑制部C10Hは、図6から図9にある基板の堀構造と同じような効果をもたらす。すなわち、堀構造の役目は、第一面上に成長したシリコンと、基板縁部に成長したシリコンとを分離することが目的だったように、この成長抑制部C10Hも、板厚制御部C10Eの周辺にシリコンが成長させないようようにするものである。この時、成長抑制部C10Hの表面には、凹凸を形成することが好ましい。すなわち、成長抑制部C10Hに図13(A)および(B)に示すような、機械加工によって容易に形成できる表面形状を形成しておくことが好ましい。図13(A)は、点状の凸部13Aを有する基板表面の拡大模式図であり、(B)は線状の凸部13Bを有する基板表面の拡大模式図である。
【0050】
この図において、点状の凸部13Aもしくは線状の凸部13BのピッチP13AもしくはP13Bは、0.5mm以上3mm以下が好ましく、その先端角度は、30°以上120°以下が特に好ましい。凸部のピッチが0.5mmよりも小さすぎると、成長抑制部C10Hにも結晶が成長してしまうために好ましくない。3mm以上のピッチであると、凸部と隣り合った凸部の間に存在する凹部にもシリコンが成長してしまうため、あまり好ましくない。また、先端角度が30°よりも小さすぎると、凸部の先端部分の強度が確保できなくなるため、あまり好ましくない。また、120°以上であると、凸部の周辺にもシリコンが成長するためあまり好ましくない。成長抑制部C10Hは、板状シリコンが形成されなければ良く、凸部に成長したシリコンが連続しない形状であればよい。
【0051】
さらに、成長抑制部C10Hの凸部のピッチは、板厚制御部C10Eに形成されている凸部のピッチと同じであった場合には、成長抑制部C10Hの凸部の角度を急峻にしておく必要がある。すなわち、図13(B)にあるように、断面が三角形を有する基板の頂点角度γを小さくしておくことである。このような形状であると、シリコンの結晶成長の起点となるのは、基板表面の線状の凸部13Bだけとなり、凸部でシリコンの結晶核が発生するだけとなり、板状にシリコンが成長しないことになる。
【0052】
さらに、図14に示すような基板表面の構造を有していてもよい。図14は、線状の凸部14を有する基板表面の拡大模式図である。図13(B)と異なるのは、基板の凹部15に平坦部があることである。このような平坦部が存在することで、隣り合った凸部14から発生した結晶が繋がるまでの時間を遅延させることができるようになる。すなわち、線状の凸部14にだけシリコン結晶が成長するようになる。このような基板表面の構造にすることで、同じピッチであっても、頂点角度δを自由に調整することができようになり、成長抑制部を制御よく形成することができるようになる。この図においては、凹部の断面形状が、平坦部を有する台形であるが、これがU字型になっていても構わない。この形状の本質は、頂点角度δと凸部のピッチP14を同時に制御できるような構造を提供することである。凸部のピッチP14は0.5mm以上3mm以下、頂点角度δは30°以上120°以下、凹部の長さは0.5mm以上3mm以下が成長抑制部の好適な形状となる。
【0053】
なお、図10において第二面C10B、第三面C10Cは第一面C10Aと直角または平行になるように形成されている。そして板厚制御部C10Eの幅W10Eは5〜15mmの範囲に設定されることが好ましい。また成長抑制部C10Hの高さD10Hおよび幅W10Hは夫々5〜25mm、5〜20mmの範囲に設定することが好ましい。
【0054】
このように、板厚制御部C10Eの周辺部分に成長抑制部C10Hを設けることで、所望の板状シリコンが得られることにつながる。
【0055】
(板状体の製造装置)
次に、本発明の基板を用いた板状シリコンの製造方法について説明する。本発明の板状シリコンを得る装置は、図11に示した装置を用いる場合に、特に効果がある。しかしながら、本発明を実現する装置は、これに限定されることはない。本発明の板状シリコンを作製するための製造装置内の概略断面図を図11に示す。
【0056】
図11の板状シリコンの製造装置は、得られた板状シリコンS、基板C、坩堝61、加熱用ヒーター62、シリコン融液63、坩堝台64、断熱材65、坩堝昇降用台66、基板に固定された軸67、基板Cを保持するための固定台68を備えている。図11に示すように、原料融液温度以下の基板Cが、図中左側から、矢印Zの軌道を描きながら、坩堝61中にあるシリコン融液63に浸漬される。このとき、シリコン融液63は、加熱用ヒーター62により融点以上に保持されている。安定した板状シリコンSを得るためには、融液温度の調節と、チャンバー内の雰囲気温度と、基板Cの温度を厳密に制御できるような装置構成にする必要がある。
【0057】
基板Cには、温度制御が容易に制御できる構造を設けることが好ましい。基板の材質は、特に限定されないが、熱伝導性の良い材料や耐熱性に優れた材料であることが好ましい。例えば、高純度黒鉛、炭化ケイ素、石英、窒化硼素、アルミナ、酸化ジルコニウム、窒化アルミ、金属などを使用することが可能であるが、目的に応じて最適な材質を選択すれば良い。高純度黒鉛は、比較的安価であり、加工性に富む材質であるためより好ましい。基板の材質は、工業的に安価であること、得られる板状シリコンの基板品質などの種々の特性を考慮し、適宜選択することが可能である。さらに、基板に金属を用いる場合、常に冷却し続けるなど、基板の融点以下の温度で使用し、得られた板状シリコンの特性にさほど影響を与えなければ、特に問題はない。
【0058】
温度制御を容易にするには、銅製の基板を保持するための固定台68を用いると都合がよい。固定台68とは、軸67と基板Cを連結する部分のことを指す。固定台68や基板Cは、冷却する手段と連結されているのが好ましい。冷却機構と連結されていることで、基板Cの温度調節がより容易になるためである。さらに、基板Cを加熱する加熱機構を有する方が好ましい。すなわち、基板の温度は、冷却機構を備えているだけでなく、加熱機構を備えている方が好ましい。シリコン融液中へ進入した基板Cは、その基板表面に板状シリコンSが成長する。その後、基板はシリコン融液から脱出するが、基板側はシリコン融液から熱を受け、基板の温度が上昇する傾向にある。しかし、次に同じ基板を同じ温度でシリコン融液へ浸漬させようとすると、基板の温度を下げるための冷却機構が必要となる。すなわち、一度シリコン融液から脱出した基板は、冷却機構で冷却され、次にシリコン融液に浸漬される前までに、加熱機構を用いて、成長基板の温度制御を行う方が良い。加熱機構は、高周波誘導加熱方式、抵抗加熱方式、ランプ加熱方式でも構わない。
【0059】
このように、冷却機構と加熱機構を併用することで、板状シリコンの安定性は、格段に上昇する。
【0060】
基板の温度制御と共に重要なのは、シリコン融液の温度管理である。融液の温度を融点近傍で設定していると、基板が融液に接することでシリコン融液の湯面が凝固を起こす可能性があるため、融液の温度は、融点以上であることが好ましい。これは複数の熱電対もしくは、放射温度計などを用いて厳密に制御することができる。
【0061】
融液温度を厳密に制御するには、熱電対を融液中に浸漬させるのが直接的で好ましいが、熱電対の保護管などからの不純物が融液に混入する恐れがあるために、汚染を防止する構造にする必要がある。制御方法は、坩堝などに熱電対を挿入するなどして、間接的に制御するか、放射温度計によりシリコン融液の温度を測定できるような構造にすることが好ましい。
【0062】
融液の入った坩堝61は、坩堝台64を介して断熱材65の上に設置されている。これは、融液温度を均一に保持するためと、坩堝底からの抜熱を最小限に抑制するために用いられている。その断熱材65の上には、坩堝台64が設置されており、坩堝昇降軸66が接続されており、昇降機構が設けられている。これは、基板C上で板状シリコンが成長するため、常に基板Cが、シリコン融液の湯面から同じ深さで浸漬できるように上下動させるためである。湯面から同じ深さで浸漬できるようにする方法は、これに限定されない。湯面位置を一定に保つ、すなわち、板状シリコンとして取り出された分の原料を補充する方法なども適用可能である。これは、原料の多結晶体(塊)を溶融させて投入したり、融液のまま順次投入したり、粉体を順次投入する方法などを用いることが可能である。ただし、できるだけシリコン融液の湯面を乱さないようにすることが好ましい。融液の湯面を乱すと、その時に発生する波形状が得られる板状シリコンの融液面側に反映され、得られる板状シリコンの均一性を損ない、品質の安定性を損なう可能性があるためである。
【0063】
次に、別の板状シリコンの製造装置を図12において説明する。図12において、坩堝71上に熱遮蔽板82を有し、その開口部83を移動することが可能な固定台78と基板Cが固定脚77に接続され、その固定脚77は、冷却器79に接続されている。そして断熱材75の上には、坩堝台74が設置されており、坩堝昇降軸76が接続されており、昇降機構が設けられている。前記冷却器79は、角度が変更できる関節部80を有するアーム81に接続されている。ただし、この図において、アームや関節部を移動させる手段、真空排気ができるようなチャンバーなどの装置は示していない。本装置においては、坩堝71上には、熱遮蔽板82が開口されており、基板Cは任意の軌道を描けるような構成になっている。その基板C上で結晶が成長し、板状シリコンSが形成されるのである。このとき、基板Cの温度、シリコン融液73の温度などを制御することにより、形成される板状シリコンの厚みを制御することが可能になる。この装置においては、アーム81が関節部80を有することにより、基板Cが移動する構成であるが、アーム81ごと移動する構成であっても構わない。このように、アームごと移動させるような機構を設けることで、基板Cをシリコン融液の湯面から同じ深さで浸漬させることが可能となる。
【0064】
(板状シリコンの製造方法)
次に、図11に示す板状シリコンの製造装置を用いた板状シリコンの製造方法について説明する。
【0065】
まず、得られる板状シリコンの比抵抗が0.5〜5Ω・cmになるようにボロンの濃度を調整したシリコン塊(原料)を、高純度黒鉛製坩堝61に一杯になるまで充填する。その坩堝を、図11に示すような装置内に設置する。次に、チャンバー内の真空引きを行い、チャンバー内を所定の圧力まで減圧する。その後、チャンバー内にArガスを導入し、常に10L/minの流速で、チャンバー上部よりArガスを流したままにする。このように常にガスを流し続けるのは、清浄なシリコン湯面を得るためである。
【0066】
次に、シリコン溶融用のヒーター62の温度を融点以上の1500℃に設定し、坩堝61内のシリコン塊を完全に溶融状態にする。このとき、シリコン原料は溶融することで液面が低くなることから、シリコン融液の湯面が、坩堝61の上面から1cm下の位置になるように、新たにシリコン粉末を投入する。シリコン溶融用のヒーターは、一度に1500℃に上げるのではなく、約1300℃まで5〜50℃/minの昇温速度で加熱し、その後、所定温度まで上げるのが好ましい。これは、急激に温度を上げると、坩堝の角部に熱応力が集中的にかかり、坩堝の破損に繋がるためである。
【0067】
その後、シリコンが完全に溶融したのを確認したのち、シリコン融液温度を1410℃に設定し、30分間そのまま保持し、融液温度の安定化を図る。次に、坩堝昇降機構66を用いて、坩堝61を所定の位置まで移動させる。このときのシリコン融液温度は、1400℃以上、1500℃以下が好ましい。シリコンの融点が1410℃付近であるため、1400℃以下に設定すると、坩堝壁から徐々に湯面が固まってくるためである。また、1500℃以上に設定すると、得られる板状シリコンの成長速度が遅くなり、生産性が悪くなるため余り好ましくない。
【0068】
次に、板状シリコンを成長させるが、図6から図10に示すような基板を図11中の左側から右側へ矢印Zの軌道のように進行させる。このとき、基板の表面、例えば図6の第一面C6A側をシリコン融液に接触させ、基板の第二面C6Bや基板の第三面C6Cが進行方向側になるように、基板C6を移動させる。このように、基板の第一面C6Aがシリコン融液に接することで、板状シリコンが、第一面C6Aに形成される。板状シリコンを基板上に成長させる軌道は、特に限定されない。例えば、円軌道や、楕円軌道や、それらの組み合わせた軌道など、任意の軌道を実現できるような構造にしておく方が好ましい。
【0069】
図6から図10において、基板Cの進行方向前方部に位置する基板の第二面や第三面の形状は、特に限定されない。より好ましい形状は、第一面上に成長した板状シリコンが落下しないような形状にすることが好ましい。
【0070】
シリコン融液への進入時の基板の表面温度は、シリコン融液の凝固点以下であることが必要である。より好ましくは、100℃以上、1100℃以下である。これは、基板の温度が100℃以下であると、安定した制御が困難となる。すなわち、連続生産する場合、チャンバー内で、浸漬待ちの基板は、シリコン融液からの輻射熱を受け、常に100℃に維持することが困難となり、得られる板状シリコンの品質に、ばらつきが生じることに繋がるためである。また、基板の温度が1100℃以上であると、基板を1100℃まで加熱するのに時間を要するだけでなく、板状シリコンの成長速度が遅くなり、生産性が悪くなるため好ましくない。基板の温度を調整するには、冷却機構と加熱機構の両方を備えているために、生産性が向上するだけでなく、製品の歩留まり向上、さらには、品質の安定化を図ることができる。
【0071】
また、基板の表面温度を再現性よく制御する方法として、シリコン融液からの輻射熱の届かない、もしくは、その影響が少ない位置で、固定台への基板の装着を行い、その後、直ぐにシリコン融液へ進入させる方法を採用することで、基板の温度を制御しない装置構成も可能である。
【0072】
さらに、ここでは、図11に示した製造装置を用いて説明しているため、基板Cの下側に板状シリコンSが成長する。しかしながら、図11とは、違った装置構成で、基板の上下を逆さまにすることで、基板Cの上側にも板状シリコンを作製することも可能となる。
【0073】
次に、図12に示す板状シリコン製造装置を用いて、本発明による板状シリコンの製造方法について説明する。ここでは図12の板状シリコン製造装置を用いた板状シリコンを製造方法の一例を示すが、本発明は製造装置にはよらず、本発明で考案した基板を、シリコン融液に接触させることが本質であり、本発明の板状シリコンを容易に得ることが可能となる。
【0074】
得られる板状シリコンの比抵抗が1Ω・cmになるようにボロンの濃度を調節したシリコン原料を、高純度カーボン製坩堝に保護された石英坩堝71内に充填し、図12にあるような装置内に設置する。その後、本体チャンバー内の圧力を300Paになるまでロータリーポンプを用いて排気を行い、その後、6Paになるまで、メカニカルブースターポンプを用いてさらに排気を行う。
【0075】
次に、坩堝を坩堝加熱用ヒーター72に周波数4kHz、電力80kWのインバーターを用いて、4℃/minの昇温レートにて500℃まで昇温する。本体チャンバー内の圧力を6Pa、坩堝温度を500℃に維持した状態で90分間保持することにより、カーボン製坩堝に含まれている水分を除去する。また、一度に昇温しないのは、坩堝の角部などに熱応力が集中的にかかり、坩堝の破損を防止するのが目的である。
【0076】
このようなベーキングを経た後、一旦インバーターの出力を停止し、坩堝の加熱を停止する。この状態で、本体チャンバーの圧力を800hPaになるまでArガスを充填する。本体チャンバー内が800hPaに達した時点で、再び坩堝を昇温レート10℃/minにて加熱し、坩堝温度が1550℃になるまで昇温する。坩堝温度を1550℃で安定させることにより、坩堝内のシリコン塊はやがて全て溶融して、シリコン融液となる。シリコン塊が完全に溶解したのを確認し、シリコン湯面の高さが坩堝上端より15mmになるように、シリコン塊もしくはシリコン粉末を追加投入する。追加投入したシリコン塊が全て溶融したことを確認したのち、坩堝の設定温度を1430℃まで落として、シリコン融液の温度安定化のため30分間その状態を保持する。
【0077】
次に、板状シリコンを基板C上に成長させるが、基板の第一面が、シリコン融液に接触するように移動させる。このように、基板の第一面がシリコン融液に接することで、基板の表面に板状シリコンSが成長する。基板C上に板状シリコンSを作製するための軌道は、円軌道、楕円軌道であってもよい。特に、任意の軌道を実現できるような図12のような装置構造にすることで、得られる板状シリコンSの歩留まりを向上させることができる。
【0078】
図12にあるように、基板Cと板状シリコンSはチャンバー内で剥離してもいいし、チャンバー外へ搬出しても構わない。特に、生産速度を上げるのであれば、チャンバー内で、基板Cから剥離し、板状シリコンSだけをチャンバー外へ搬出するのが好ましい。このようにすることで、基板Cをチャンバー外へ搬出することがなくなるだけでなく、Arガスの消費量も大幅に低減することが可能となり、より安価な板状シリコンを提供することが可能となる。
【0079】
【実施例】
(実施例1)
(板状シリコンの作製)
得られる板状シリコンの比抵抗が2Ω・cmになるようにボロン濃度を調整したシリコン原料を、高純度カーボン製坩堝に保護された石英製坩堝内に入れ、図11に示すチャンバー内に装着した。
【0080】
まず、チャンバー内を3Pa程度まで真空引きし、常圧のArガスで置換し、その後、チャンバー内にArガスを導入し、常圧まで戻し、その後は、5L/minでArガスを常時チャンバー上部から流したままにしておく。次に、シリコン原料をヒーターにより溶融するが、シリコン溶解用ヒーターを8℃/minの昇温速度で1500℃まで昇温し、シリコン原料が完全に溶解したことを確認したのち、坩堝温度を1480℃、1450℃、1425℃と段階的に低下させ、安定化を図る。
【0081】
次に、図6に示した形状の基板を、基板の第二面側を進行方向の前側として、シリコン融液に10mm浸漬し、100枚の板状シリコンを成長させた。基板のシリコン融液への侵入時の温度は、600℃とした。使用した基板の大きさは、縦150mm、横150mm、厚み30mmであり、基板の第一面と第二面とのなす角度は、40°とした。さらに、堀構造の幅および深さは3mmとし、基板縁部の幅は2mmとした。板厚制御部の幅は5mmとし、その表面には、図13(A)に示すようなピラミッド状の凹凸形状を有しており、その凸部のピッチは0.5mmで、高さが0.2mmあった。得られた板状シリコンの板厚補強部の厚みは、約400μmであった。
【0082】
得られた板状シリコンの第二面および板厚補強部をレーザー切断により除去し、板状シリコンの第一面から縦125mm、横125mm、厚み約330μmの板状シリコンを切り出した。次に、レーザーを用いた変位計により、板状シリコン表面の形状を測定し、反り量を測定した。得られた板状シリコンの反り量は、平均で約0.5mmであった。
【0083】
(太陽電池の作製)
次に、得られた板状シリコンを用いて、太陽電池を作製した。次に、硝酸とフッ酸との混合溶液でエッチングおよび洗浄を行い、その後、水酸化ナトリウムを用いてアルカリエッチングを行った。その後、POCl3拡散によりp型基板にn+層を形成した。板状シリコン表面に形成されているPSG膜をフッ酸で除去した後、太陽電池の受光面側となるn+層上にプラズマCVD装置を用いて窒化シリコン膜を形成した。次に、太陽電池の裏面側となる面にも形成されているn+層を硝酸とフッ酸との混合溶液でエッチング除去し、p基板を露出させ、その上に裏面電極およびp+層を同時に形成した。次に、受光面側の電極を、スクリーン印刷法にて形成した。その後、銀電極部分に半田ディップを行い、太陽電池を作製した。
【0084】
得られた太陽電池は、AM1.5、100mW/cm2の照射下にて、「結晶系太陽電池セル出力測定方法(JIS C 8913(1988))」に従って、セル特性の評価を行った。
【0085】
測定結果は、完成したセルの平均値で短絡電流30.3(mA/cm2)、開放電圧587(mV)、フィルファクター0.745、効率13.3(%)であった。得られた板状シリコンから、最終的にセル特性の評価を行えたものは、95枚であった。
【0086】
(実施例2)
図7に示した基板を用いたこと、および基板の融液への侵入時の表面温度を300℃としたこと以外全て実施例1と同じ方法で板状シリコンを作製した。
【0087】
使用した基板の大きさは、縦150mm、横150mm、厚み20mmであり、基板の第一面と第二面とのなす角度は、20°とした。さらに、堀構造の幅および深さは3mmとし、基板縁部の幅は2mmとした。板厚制御部の幅は5mmとし、その表面には、図13(A)に示すようなピラミッド状の凹凸形状を有しており、その凸部のピッチは0.5mmで、高さが0.1mmであった。使用した基板の第一面の表面には、図13(A)に示すようなピラミッド状の凹凸形状を有しており、その凸部のピッチは1.0mmであり、その高さは0.2mmであった。得られた板状シリコンの板厚補強部の厚みは、約420μmであった。
【0088】
得られた板状シリコンの第二面および板厚補強部をレーザー切断により除去し、板状シリコンの第一面から縦125mm、横125mm、厚み約350μmの板状シリコンを切り出した。次に、レーザーを用いた変位計により、板状シリコン表面の形状を測定し、反り量を測定した。得られた板状シリコンの反り量は、平均で約0.3mmであった。
【0089】
また、得られた板状シリコンを用いて太陽電池の作製も行った。得られた太陽電池は、AM1.5、100mW/cm2の照射下にて、「結晶系太陽電池セル出力測定方法(JIS C 8913(1988))」に従って、セル特性の評価を行った。作製した太陽電池の測定結果は平均値で、短絡電流31.2(mA/cm2)、開放電圧595(mV)、フィルファクター0.747、効率13.8(%)であった。得られた板状シリコンから、最終的にセル特性の評価を行えたものは、94枚であった。
【0090】
(実施例3)
図8に示した成長基板を用いたこと、および基板の融液への侵入時の温度を450℃とした以外全て実施例1と同じ方法で板状シリコンを作製した。
【0091】
使用した基板の大きさは、縦150mm、横300mm、厚み40mmであり、基板の第一面と第二面とのなす角度は、30°とした。さらに、堀構造の幅および深さは4mmとし、基板縁部の幅は1mmとした。板厚制御部の幅は7mmとし、その表面には、図13(A)に示すようなピラミッド状の凹凸形状を有しており、その凸部のピッチは0.8mmで、高さが0.15mmであった。得られた板状シリコンの板厚補強部の厚みは、約400μmであった。
【0092】
得られた板状シリコンの第二面および板厚補強部をレーザー切断により除去し、板状シリコンの第一面から縦125mm、横125mm、厚み約320μmの板状シリコンを切り出した。次に、レーザーを用いた変位計により、板状シリコン表面の形状を測定し、反り量を測定した。得られた板状シリコンの反り量は、平均で約0.32mmであった。
【0093】
また、得られた板状シリコンを用いて太陽電池の作製も行った。得られた太陽電池は、AM1.5、100mW/cm2の照射下にて、「結晶系太陽電池セル出力測定方法(JIS C 8913(1988))」に従って、セル特性の評価を行った。作製した太陽電池の測定結果は平均値で、短絡電流30.8(mA/cm2)、開放電圧591(mV)、フィルファクター0.743、効率13.5(%)であった。得られた板状シリコンから、最終的にセル特性の評価を行えたものは、96枚であった。
【0094】
(比較例1)
図7に示した基板で板厚制御部を有しないものを用いたこと以外全て実施例1と同じ方法で板状シリコンを作製した。
【0095】
使用した基板の大きさは、縦150mm、横150mm、厚み30mmであり、基板の第一面と第二面とのなす角度は、40°とした。さらに、堀構造の幅および深さは3mmとし、基板縁部の幅は2mmとした。
【0096】
得られた板状シリコンの第二面および第一面の周辺部分をレーザー切断により除去し、板状シリコンの第一面から縦125mm、横125mm、厚み約30μmの板状シリコンを切り出した。次に、レーザーを用いた変位計により、板状シリコン表面の形状を測定し、反り量を測定した。得られた板状シリコンの反り量は、平均で約1.5mmであった。
【0097】
また、得られた板状シリコンを用いて太陽電池の作製も行った。得られた太陽電池は、AM1.5、100mW/cm2の照射下にて、「結晶系太陽電池セル出力測定方法(JIS C 8913(1988))」に従って、セル特性の評価を行った。作製した太陽電池の測定結果は平均値で、短絡電流28.8(mA/cm2)、開放電圧588(mV)、フィルファクター0.713、効率12.1(%)であった。得られた板状シリコンから、最終的にセル特性の評価を行えたものは、80枚であった。このような結果は、板厚制御部を有していない基板を用いたために、板状シリコンに反りが生じており、その結果、太陽電池の作製プロセスで不具合が生じたものと考えられる。具体的には、受光面電極を形成する際の印圧により割れが生じたことや、受光面の電極が細くなることで、短絡電流やフィルファクターが低下したものと考えられる。
【0098】
(実施例4)
(板状シリコンの作製)
得られる板状シリコンの比抵抗が2Ω・cmになるようにボロンの濃度を調節したシリコン原料を、高純度カーボン製坩堝に保護された石英坩堝内に充填し、図12にあるような装置内に設置した。その後、本体チャンバー内の圧力を350Paになるまでロータリーポンプを用いて排気を行った。その後、3Paになるまで、メカニカルブースターポンプを用いてさらに排気を行った。
【0099】
次に、坩堝を、10℃/minの昇温レートにて700℃まで昇温する。本体チャンバー内の圧力を6Pa、坩堝温度が700℃を維持した状態で60分間保持することにより、カーボン製坩堝に含まれている水分を除去する。このようなベーキングを経た後、一旦インバーターの出力を停止し、坩堝の加熱を停止する。この状態で、本体チャンバーの圧力を800hPaになるまで、50L/minの流量で、アルゴンガスを充填する。
【0100】
本体チャンバー内が800hPaに達した時点で、アルゴンガスの流量を10L/minを、再び坩堝を昇温レート10℃/minにて加熱し、坩堝温度が1500℃になるまで昇温する。坩堝温度を1500℃で、1時間保持し、安定させることにより、坩堝内のシリコン塊はやがて全て溶融して、シリコン融液となる。シリコン塊が完全に溶解したのを確認し、シリコン湯面の高さが坩堝上端より10mmになるように、シリコン塊を追加投入する。追加投入したシリコン塊が全て溶融したことを確認したのち、坩堝の設定温度を、1480℃、1450℃、1420℃と段階を経て、落とし、さらに、シリコン融液の温度安定化のため30分間その状態を保持する。このとき、シリコン融液の坩堝壁周辺からシリコンの凝固が進行しないことを確認した。
【0101】
次に、図9に示した形状の基板を、基板の第二面側を進行方向の前側としてシリコン融液に10mm浸漬し、100枚の板状シリコンを成長させた。基板のシリコン融液への侵入時の温度は、200℃とした。使用した基板の大きさは、縦150mm、横150mm、厚み30mmであり、基板の第一面と第二面とのなす角度は、40°とした。さらに、堀構造の幅および深さは3mmとし、基板縁部の幅は2mmとした。基板の進行方向の左右に設けられた板厚制御部の幅は5mmとし、その表面には、図13(A)に示すようなピラミッド状の凹凸形状を有しており、その凸部のピッチは0.5mmで、高さが0.2mmであった。得られた板状シリコンの板厚補強部の厚みは、約410μmであった。
【0102】
得られた板状シリコンの第二面および左右の板厚補強部をレーザー切断により除去し、板状シリコンの第一面から縦125mm、横125mm、厚み約330μmの板状シリコンを切り出した。次に、レーザーを用いた変位計により、板状シリコン表面の形状を測定し、反り量を測定した。得られた板状シリコンの反り量は、平均で約0.2mmであった。
【0103】
(太陽電池の作製)
次に、得られた板状シリコンを用いて、太陽電池を作製した。次に、水酸化ナトリウムを用いて、板状シリコンの洗浄も兼ねてアルカリエッチングを行った。その後、スピンコート法にてPSG(リンを含有したケイ酸ガラス)を塗布し、その後乾燥し、熱拡散によりp型基板にn+層を形成した。その後、板状シリコン表面に形成されているPSG膜をフッ酸で除去した後、n+層上にプラズマCVD装置を用いて窒化シリコン膜を形成した。
【0104】
次に、太陽電池の裏面側となる面に、アルミペーストを印刷焼成することで、裏面電極およびp+層を同時に形成した。次に、銀ペーストを印刷焼成することで、受光面側の電極を形成した。その後、銀電極部分に半田ディップを行い、太陽電池を作製した。
【0105】
得られた太陽電池は、AM1.5、100mW/cm2の照射下にて、「結晶系太陽電池セル出力測定方法(JIS C 8913(1988))」に従って、セル特性の評価を行った。
【0106】
測定結果は、完成したセルの平均値で短絡電流31.1(mA/cm2)、開放電圧583(mV)、フィルファクター0.745、効率13.5(%)であった。得られた板状シリコンから、最終的にセル特性の評価を行えたものは、98枚であった。
【0107】
(実施例5)
図10に示した基板を用いたこと、および基板の融液への侵入時の表面温度を300℃としたこと以外全て実施例1と同じ方法で板状シリコンを作製した。
【0108】
使用した基板の大きさは、縦150mm、横150mm、厚み20mmであり、基板の第一面と第二面とのなす角度は、30°とした。さらに、板厚制御部の幅は5mmとし、その表面には、図13(A)に示すようなピラミッド状の凹凸形状を有しており、その凸部のピッチは0.5mmで、高さが0.1mmであった。また、その周辺部に存在する成長抑制部の幅は5mmとし、その表面には、図13(A)に示すようなピラミッド状の凹凸形状を有しており、その凸部のピッチは1.5mmで、高さが1mmであった。得られた板状シリコンの板厚補強部の厚みは、420μmであった。
【0109】
得られた板状シリコンの第二面および板厚補強部をレーザー切断により除去し、板状シリコンの第一面から縦125mm、横125mm、厚み約350μmの板状シリコンを切り出した。次に、レーザーを用いた変位計により、板状シリコン表面の形状を測定し、反り量を測定した。得られた板状シリコンの反り量は、平均で約0.3mmであった。
【0110】
また、得られた板状シリコンを用いて太陽電池の作製も行った。得られた太陽電池は、AM1.5、100mW/cm2の照射下にて、「結晶系太陽電池セル出力測定方法(JIS C 8913(1988))」に従って、セル特性の評価を行った。作製した太陽電池の測定結果は平均値で、短絡電流30.9(mA/cm2)、開放電圧593(mV)、フィルファクター0.742、効率13.6(%)であった。得られた板状シリコンから、最終的にセル特性の評価を行えたものは、95枚であった。
【0111】
なお、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点の例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0112】
【発明の効果】
上述の如く、本発明による板状シリコンの形状にすることで、板状シリコンの反りの問題を回避することが出来るようになり、板状シリコンを安定して低価格で供給することが出来るようになる。またこの板状シリコンを用いて太陽電池を作製することで、太陽電池を低価格で供給することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は本発明の板状シリコンの概略斜視図、(B)は(A)において1B−1Bに沿って切断した板状シリコンの断面図である。
【図2】 本発明の板状シリコンの概略斜視図である。
【図3】 本発明の板状シリコンの概略斜視図である。
【図4】 本発明の板状シリコンの概略斜視図である。
【図5】 (A)は本発明の板状シリコンの概略斜視図、(B)は(A)において一点鎖線で周辺部を除去した板状シリコンの概略斜視図である。
【図6】 (A)は本発明の板状シリコンを作製するための基板の概略斜視図、(B)は(A)において6B−6Bに沿って切断した基板の断面図、(C)は(A)において6C−6Cに沿って切断した基板の断面図である。
【図7】 (A)は本発明の板状シリコンを作製するための基板の概略斜視図、(B)は(A)において7B−7Bに沿って切断した基板の断面図、(C)は(A)において7C−7Cに沿って切断した基板の断面図である。
【図8】 (A)は本発明の板状シリコンを作製するための基板の概略斜視図、(B)は(A)において8B−8Bに沿って切断した基板の断面図、(C)は(A)において8C−8Cに沿って切断した基板の断面図である。
【図9】 (A)は本発明の板状シリコンを作製するための基板の概略斜視図、(B)は(A)において9B−9Bに沿って切断した基板の断面図、(C)は(A)において9C−9Cに沿って切断した基板の断面図である。
【図10】 (A)は本発明の板状シリコンを作製するための基板の概略斜視図、(B)は(A)において10B−10Bに沿って切断した基板の断面図、(C)は(A)において10C−10Cに沿って切断した基板の断面図である。
【図11】 本発明の板状シリコンを作製するための製造装置の概略断面図である。
【図12】 本発明の板状シリコンを作製するための製造装置の概略断面図である。
【図13】 (A)は本発明の板状シリコンを作製するための基板に形成されている凹凸の概略斜視図、(B)は本発明の板状シリコンを作製するための基板に形成されている凹凸の概略斜視図である。
【図14】 本発明の板状シリコンを作製するための基板に形成されている凹凸の概略斜視図である。
【符号の説明】
S,S1,S2,S3,S4,S5 板状シリコン、S1A,S2A,S3A,S4A,S5A 板状シリコンの第一面、S1B,S2B,S3B,S4B,S5B 板状シリコンの第二面、S1C,S2C,S3C,S4C,S5C 板状シリコンの第三面、S1D 連続部、S1E,S2E,S3E,S4E,S5E 板状シリコンの板厚補強部、C,C6,C7,C8,C9,C10 基板、C6A,C7A,C8RA,C8LA,C9A,C10A 基板の第一面、C6B,C7B,C8RB,C8LB,C9B,C10B 基板の第二面、C6C,C7C,C8LC,C8RC,C9C,C10C 基板の第三面、C6E,C7E,C8LE,C9RE,C9LE,C10E 板厚制御部、C6F,C7F,C8RF,C8LF,C9F 堀構造、C6G,C7G,C8G,C9G 基板縁部、C10H 成長抑制部。
Claims (13)
- 平板形状を有する第一面と、
前記第一面の端部に連結されており、前記第一面の法線ベクトルとのなす角度が鈍角である法線ベクトルを有する第二面と、
少なくとも、前記第一面における、前記第二面が連結される端部とは反対側の端部に沿って形成された、帯状の板厚補強部と、
を有し、
前記板厚補強部の平均板厚は、前記第一面の平均板厚よりも大きい板状シリコン。 - 平板形状を有する第一面と、
前記第一面の端部に連結されており、前記第一面の法線ベクトルとのなす角度が鈍角である法線ベクトルを有する第二面と、
前記第二面における、前記第一面に連結される側とは反対側の端部に連結されており、前記第一面の法線ベクトルとのなす角度が鈍角である法線ベクトルを有する第三面と、
少なくとも、前記第一面における、前記第二面が連結される端部とは反対側の端部に沿って形成された、帯状の板厚補強部と、
を有し、
前記板厚補強部の平均板厚は、前記第一面の平均板厚よりも大きい板状シリコン。 - 前記板厚補強部は、前記第一面を取り囲むように、前記第一面のすべての端部に沿って形成されており、
前記第二面は、板厚補強部に連結されている請求項1または2記載の板状シリコン。 - 前記板厚補強部の平均板厚は、前記第一面の平均板厚の105%以上、170%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の板状シリコン。
- 前記板厚補強部の幅は、板状シリコンの長辺の長さの20%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の板状シリコン。
- 前記板厚補強部の面積は、前記第一面の面積の35%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の板状シリコン。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の板状シリコンを製造するために用いられる基板であって、
前記基板の一方の表面は、前記板状シリコンの第一面が成長する面と、これに隣接して形成された、板厚補強部が成長する板厚制御部とを有しており、
前記板厚制御部は、規則的な表面凹凸形状を有し、最近接の位置にある凸部間の距離が、0.1mm以上、2mm以下であることを特徴とする基板。 - 前記板厚制御部は、炭化珪素、熱分解炭素、黒鉛のうちいずれか1つを含むことを特徴とする請求項7記載の基板。
- 前記板厚制御部は、前記板状シリコンの第一面が成長する面よりも低く形成されていることを特徴とする請求項7記載の基板。
- シリコン融液に、請求項7〜9のいずれかに記載の基板を接触させ、前記基板表面上に板状シリコンを成長させる工程と、
前記板状シリコンが成長した基板を、前記シリコン融液から引き離す工程と、
を有することを特徴とする板状シリコンの製造方法。 - 前記板状シリコンを成長させる工程において、前記基板は、前記板状シリコンの第二面または第三面が成長する面が基板の進行方向の前方部となるように、シリコン融液中で移動される請求項10記載の板状シリコンの製造方法。
- 前記板状シリコンを成長させる工程において、前記基板は、前記板状シリコンの板厚補強部が成長する板厚制御部が基板の進行方向の後方部となるように、シリコン融液中で移動される請求項10記載の板状シリコンの製造方法。
- 請求項1記載の板状シリコンから取り出された第一面を基板として用いた太陽電池。
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