JP2004034857A - 車両用懸架装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】アブソーバを用いずに所望のばね特性を得る。
【解決手段】懸架装置25は、片持ち状のメインリーフ24を備えており、その自由端に後輪12のアクスル27が支持されている。メインリーフ24の上側には、滑らかな凸状面36Aを備えた上側補助リーフ36が取り付けられている。メインリーフ24は撓み変形時に上側補助リーフ36の凸状面36Aに接触することでその支点が変位してばね定数が変化する。そのため、上側補助リーフ36の形状等を適宜選定することで、所望のばね特性を得ることができる。従って、アブソーバを省略することが可能となり、コストダウンや、スペースの効率化を図ることができる。
【選択図】 図4
【解決手段】懸架装置25は、片持ち状のメインリーフ24を備えており、その自由端に後輪12のアクスル27が支持されている。メインリーフ24の上側には、滑らかな凸状面36Aを備えた上側補助リーフ36が取り付けられている。メインリーフ24は撓み変形時に上側補助リーフ36の凸状面36Aに接触することでその支点が変位してばね定数が変化する。そのため、上側補助リーフ36の形状等を適宜選定することで、所望のばね特性を得ることができる。従って、アブソーバを省略することが可能となり、コストダウンや、スペースの効率化を図ることができる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車軸を支持する板ばねを備えた車両用懸架装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の懸架装置の一例として、特開平2−234828号公報に記載のものが知られている。このものは、図10に示すように、互いに平行に配された左右一対の板ばね1を備えて構成されている。板ばね1は一端側が車体フレーム(図示せず)に固定された片持ち状をなし、その自由端側に後輪2のアクスル(車軸)3が支持されている。一対の板ばね1は、走行中の路面の凹凸等によって、線形のばね特性に従って上下に撓み変形する。ここで、良好な乗り心地を得るためには、板ばねのばね定数を低く設定しておくことが望ましいが、懸架装置全体のばね定数が低い値で一定であると板ばね1のストローク量(撓み変形量)が大きくなってしまうという問題がある。そこで従来では、上記構成にアブソーバを付加することで、懸架装置全体のばね定数を板ばねのストローク量に応じて変化させ、乗り心地とストローク量との兼ね合いを図ることが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらアブソーバの使用には、部品コストがかかることに加えて、車体フレームに対する取付位置が高位置になることから、フロアの有効面積が小さくなるなどの欠点があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、アブソーバを用いずに所望の減衰特性を備えるばね特性を得ることの可能な車両用懸架装置を提供するところにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための請求項1の発明に係る車両用懸架装置は、車軸を支持する板ばねを備えた車両用懸架装置であって、前記板ばねの撓み変形時にこの板ばねに接触してその支点を変位させる規制部材を設けるとともに、前記板ばねがバウンド側に撓み変形する際の装置全体のばね定数と、リバウンド側へ撓み変形する際のばね定数とが異なる構成としたところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記規制部材における前記板ばねに対する接触面が滑らかな凸状をなすとともに、前記支点が前記板ばねの撓み変形量に応じて前記接触面上を変位する構成としたところに特徴を有する。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のものにおいて、前記板ばねは、一端側が固定された片持ち状をなしており、前記規制部材は、前記板ばねの固定端側に固定されて、前記板ばねに沿って片持ち状に延出する板状をなすところに特徴を有する。
【0007】
【発明の作用および効果】
請求項1及び請求項3の発明によれば、板ばねが撓み変形した時に規制部材に接触することでその支点が変位してばね定数が変化する。そのため、規制部材の形状等を適宜選定することで、所望のばね特性を得ることができる。また、バウンド時とリバウンド時とでばね定数が異なるため、板ばねの共振を減衰させることができる。従って、アブソーバを省略することが可能となり、コストダウンや、スペースの効率化を図ることができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、規制部材の板ばねに対する接触面が滑らかな凸状をなすことで、ばね定数の変化が滑らかになり、乗り心地が良好になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
次に本発明の第1実施形態について図1から図8を参照して説明する。
本実施形態の懸架装置25は、図1及び図2に示すように、一人乗り用の牽引車両10に搭載されたものである。この牽引車両10は、前輪11を操舵輪、後輪12を駆動輪とした電動4輪車である。牽引車両10の前側下部には、前後方向に伸びる梯子状をなした前部フレーム13が設けられ、その後方に前部フレーム13よりも高い位置に上下2段の棚状をなす後部フレーム14が設けられている。後部フレーム14の下段には、駆動用のバッテリ15が図示4個載置されている。後部フレーム14の上段には、前側に座席16が取り付けられ、その後側のスペースが荷台となっている。後部フレーム14下段の後端部には、コの字形をなした連結金具18が取り付けられ、これに上方から下方へピン19が差し込まれて保持されるようになっている。一方、この牽引車両10によって牽引される台車20の前端部からは、貫通孔を備えた連結板21が突設されており、この連結板21の先端を連結金具18の両端部間に差し入れるとともに、ピン19を連結板21の貫通孔に貫通させた状態で保持することで、台車20と牽引車両10とが連結状態となる。
【0010】
前部フレーム13の後端部には、図3及び図4にも示すように、前後一対の横フレーム23A,23Bが車体の幅方向に張り出して設けられ、その両端部にそれぞれ細長い板状をなすメインリーフ24(本発明の「板ばね」に相当)の一端部が固定されている(なお、メインリーフ24は、懸架装置25の一部を構成しているが、懸架装置25の詳細な構成については後述する)。一対のメインリーフ24は、互いに平行をなして後方へ向けて片持ち状に伸びており、その自由端である後端部にゴムブッシュ26を介して後輪12のアクスル27(本発明の「車軸」に相当)を回動可能に支持している。これらの一対のメインリーフ24の間に挟まれた領域には、電動モータ29とディファレンシャル30とを一体に備えた駆動装置31が配設されている。電動モータ29は、外形略円柱状をなし、その軸中心とアクスル27とが平行をなすように、アクスル27の前側位置に配置されている。ディファレンシャル30は、電動モータ29の右端に設けられた出力軸(図示せず)と一対のアクスル27の端部とを内部に設けられたギア(図示せず)により連結したもので、前後にやや細長い形態をなしている。
【0011】
後側の横フレーム23Bには、後面側の幅方向のほぼ中央位置にトルクロッド32が取り付けられており、このトルクロッド32を介して電動モータ29の前端側、左右方向の中央よりやや右側(ディファレンシャル30側)位置が揺動可能に支持されている。トルクロッド32は、概ね垂直方向に延びており、その上端部がボールジョイント32Aを介して横フレーム23Bに転動可能に連結され、下端部がボールジョイント32Bを介して電動モータ29側に転動可能に連結されている。
【0012】
続いて懸架装置25の構造とその動作について説明する。
前後一対の横フレーム23A,23Bの左右両端部の間には、それぞれ前後方向に沿って取付フレーム34が架設され、図6にも示すように、その下側にスペーサ35、上側補助リーフ36、メインリーフ24、下側補助リーフ37が順に重ね合わせられた状態でボルト38によって互いに固定されている。メインリーフ24は、アクスル27を支持した自由端側が上下に撓み変形可能となっている。下側補助リーフ37は、メインリーフ24より長さ寸法がやや短い板状をなしており、その一端部がメインリーフ24の固定端とともに固定され、メインリーフ24の長手方向に沿って片持ち状に延びて、その自由端側が上下に撓み変形可能となっている。上側補助リーフ36(本発明の「規制部材」に相当)は、下側補助リーフ37よりもさらに長さ寸法の短い板状をなし、その一端部がメインリーフ24の固定端とともに固定されている。上側補助リーフ36のもう一方の端部は、上向きに(メインリーフ24から離間する側)に反っており、その下面が滑らかな凸状面36Aとなっている。
【0013】
図7の曲線S1は、この懸架装置25のばね特性を示している。乗員の乗っていない空車状態(Sa)では、メインリーフ24は自由端側が水平姿勢よりも下側に撓んだ姿勢となり、下側補助リーフ37はメインリーフ24により下側に撓み変形される。
【0014】
空車状態より乗員一人が乗車した積車状態(Sb)においては、メインリーフ24及び下側補助リーフ37が概ね水平姿勢をなすとともに、下側補助リーフ37についてはその自由端に対してメインリーフ24からの荷重が加わらない自然状態となるように設定されている。このとき、メインリーフ24は、上側補助リーフ36の凸状面36Aとは非接触の状態であり、上側補助リーフ36との接触領域の後端が図8のF1にある。ここで、図7のS2は、メインリーフ24が上下の補助リーフ36,37の作用を受けずにF1を支点として上下に撓み変形すると仮定した場合のばね特性を示しており、即ち線形のばね特性(ばね定数がほぼ一定)となっている。
【0015】
この積車状態(Sb)から、走行中の路面の凹凸等によって、アクスル27が上方へバウンドした場合には、メインリーフ24がまず図8のF1を支点として上方へ撓み変形する。このとき、メインリーフ24の自由端側は、下側補助リーフ37より離間してその作用を受けないため、前述のばね特性S2に従って撓み変形する。
【0016】
メインリーフ24が図7のScを越えて上方へ撓み変形すると、メインリーフ24が支点F1付近から上側補助リーフ36の凸状面36Aに接触して、その接触領域の後端位置に撓み変形の支点が変位する。メインリーフ24のストローク量(撓み変形量)が大きくなるにつれ、凸状面36Aとの接触領域の後端、即ち撓み変形の支点が固定端側から自由端側(図8の右側)へと連続的に変位する。そのため、懸架装置25のばね定数が徐々に増加し、ばね特性S1はS2から上方へ徐々に離間するような曲線を描くことになる。
【0017】
メインリーフ24の撓み変形が最上点に達すると、メインリーフ24は反動で下側に戻り、上側補助リーフ36の凸状面36Aから離間した後、積車状態(Sb)に至ると、メインリーフ24の下面に下側補助リーフ37の全体が当接する。そして、ここからメインリーフ24と下側補助リーフ37とが一体になって下側(リバウンド側)へ撓み変形する。このため、メインリーフ24がリバウンド側へ撓み変形する場合において、懸架装置25全体のばね定数はメインリーフ24単体のばね定数よりも増加し、そのばね特性S1はS2から離間する曲線を描くことになる。
【0018】
続いて、バウンド時及びリバウンド時における駆動装置31の動作を説明する。前述したように、駆動装置31は、電動モータ29の前端側がトルクロッド32によって支持されており、ディファレンシャル30の後部がアクスル27側に支持されている。アクスル27が上下に変位したときには、図4又は図5に示すように、駆動装置31がおおよそトルクロッド32の下端部付近を中心として回動する。そのため、駆動装置31の後部側は、アクスル27とほぼ同じだけ上下に変位するのに対し、駆動装置31の前部側(電動モータ29側)の上下の変位量が後部側に比べて小さくなっている。従って、駆動装置31の前部側については、駆動装置31を逃がすために必要なスペースが小さくなり、車両の小型化を図ることができる。
【0019】
以上のように本実施形態によれば、メインリーフ24は撓み変形時に上側補助リーフ36に接触することでその支点が変位してばね定数が変化する。そのため、上側補助リーフ36の形状等を適宜選定することで、所望のばね特性を得ることができる。また、バウンド時とリバウンド時とでばね定数が異なるため、メインリーフ24の共振を減衰させることができる。従って、アブソーバを省略することが可能となり、コストダウンや、スペースの効率化を図ることができる。
【0020】
また、上側補助リーフ36のメインリーフ24に対する接触面(36A)が滑らかな凸状をなすことで、ばね定数の変化が滑らかになり、乗り心地が良好になる。
【0021】
また、車両重量の比較的大きい車両においては、板ばねのばね特性の効果が大きくなるために減衰効果が得にくいが、本実施形態のように車両重量の小さい車両に本発明を適用することで、十分な減衰効果を得ることができる。さらに、乗員の人数によって積車状態(Sb)における車両重量が大きく変化する車両では、バウンド側とリバウンド側とでばね定数を異なるように設定するのが困難であることから減衰効果が得にくいが、本実施形態のように前記の重量変化が小さい一人乗りの車両に本発明を適用することで、大きな効果を発揮させることができる。
【0022】
また、積車状態(Sb)からバウンド側への撓み変形は、所定の範囲内(Sb〜Sc)でばね定数が低く抑えられているため、良好な乗り心地を確保できる。また、積車状態(Sb)からリバウンド側への撓み変形については、全領域でばね定数が高められているため、メインリーフ24のストローク量を効果的に小さくすることができる。
【0023】
また、空車状態(Sa)から積車状態(Sb)までの領域においては、下側補助リーフ37の作用によってばね定数が高められているため、従来のように板ばねにアブソーバを付加した構成のものに比べて、空車状態と積車状態との車高差を小さく設定することができる。
【0024】
また、従来では、板ばねがストロークの限界を超えて変形するのを規制するためにバウンドストッパを設けたものがあるが、本実施形態では、上側、下側補助リーフ36,37の形状等を選定してばね特性を適宜設定することで、メインリーフ24の最大ストローク量を小さく規制することができるため、バウンドストッパを設けずに済む。
【0025】
<他の実施形態>
本発明の技術的範囲は、上記した実施形態によって限定されるものではなく、例えば、次に記載するようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、本発明の懸架装置を電動の牽引車両に適用したものを示したが、本発明は、その他の種類の車両に適用しても良く、例えばエンジン車にも適用することができる。
(2)上記実施形態では、片持ちタイプの板ばねを備えた懸架装置を示したが、本発明は、両端を車体フレームに支持した両持ちタイプの板ばねを備えたものにも適用することができる。
(3)規制部材の形状、配置等は、適宜変更することができ、例えば、図9に示すように、横フレーム23Cの下面に接合されたフレーム40の下面に凸状面40Aを形成するようにしても良い。また、規制部材に弾性を持たせても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における牽引車両を示す側面図
【図2】牽引車両の平面図
【図3】懸架装置の平面図
【図4】バウンド時における懸架装置及び駆動装置の動作を示す側面図
【図5】リバウンド時における懸架装置及び駆動装置の動作を示す側面図
【図6】懸架装置の拡大側面図
【図7】懸架装置のばね特性を示す説明図
【図8】バウンド時におけるメインリーフの動作を示す模式図
【図9】他の実施形態における懸架装置を示す拡大側面図
【図10】従来の懸架装置を示す斜視図
【符号の説明】
10…牽引車両
24…メインリーフ(板ばね)
25…懸架装置
27…アクスル(車軸)
36…上側補助リーフ(規制部材)
36A…凸状面(接触面)
40…フレーム(規制部材)
40A…凸状面(接触面)
【発明の属する技術分野】
本発明は、車軸を支持する板ばねを備えた車両用懸架装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の懸架装置の一例として、特開平2−234828号公報に記載のものが知られている。このものは、図10に示すように、互いに平行に配された左右一対の板ばね1を備えて構成されている。板ばね1は一端側が車体フレーム(図示せず)に固定された片持ち状をなし、その自由端側に後輪2のアクスル(車軸)3が支持されている。一対の板ばね1は、走行中の路面の凹凸等によって、線形のばね特性に従って上下に撓み変形する。ここで、良好な乗り心地を得るためには、板ばねのばね定数を低く設定しておくことが望ましいが、懸架装置全体のばね定数が低い値で一定であると板ばね1のストローク量(撓み変形量)が大きくなってしまうという問題がある。そこで従来では、上記構成にアブソーバを付加することで、懸架装置全体のばね定数を板ばねのストローク量に応じて変化させ、乗り心地とストローク量との兼ね合いを図ることが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらアブソーバの使用には、部品コストがかかることに加えて、車体フレームに対する取付位置が高位置になることから、フロアの有効面積が小さくなるなどの欠点があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、アブソーバを用いずに所望の減衰特性を備えるばね特性を得ることの可能な車両用懸架装置を提供するところにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための請求項1の発明に係る車両用懸架装置は、車軸を支持する板ばねを備えた車両用懸架装置であって、前記板ばねの撓み変形時にこの板ばねに接触してその支点を変位させる規制部材を設けるとともに、前記板ばねがバウンド側に撓み変形する際の装置全体のばね定数と、リバウンド側へ撓み変形する際のばね定数とが異なる構成としたところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記規制部材における前記板ばねに対する接触面が滑らかな凸状をなすとともに、前記支点が前記板ばねの撓み変形量に応じて前記接触面上を変位する構成としたところに特徴を有する。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のものにおいて、前記板ばねは、一端側が固定された片持ち状をなしており、前記規制部材は、前記板ばねの固定端側に固定されて、前記板ばねに沿って片持ち状に延出する板状をなすところに特徴を有する。
【0007】
【発明の作用および効果】
請求項1及び請求項3の発明によれば、板ばねが撓み変形した時に規制部材に接触することでその支点が変位してばね定数が変化する。そのため、規制部材の形状等を適宜選定することで、所望のばね特性を得ることができる。また、バウンド時とリバウンド時とでばね定数が異なるため、板ばねの共振を減衰させることができる。従って、アブソーバを省略することが可能となり、コストダウンや、スペースの効率化を図ることができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、規制部材の板ばねに対する接触面が滑らかな凸状をなすことで、ばね定数の変化が滑らかになり、乗り心地が良好になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
次に本発明の第1実施形態について図1から図8を参照して説明する。
本実施形態の懸架装置25は、図1及び図2に示すように、一人乗り用の牽引車両10に搭載されたものである。この牽引車両10は、前輪11を操舵輪、後輪12を駆動輪とした電動4輪車である。牽引車両10の前側下部には、前後方向に伸びる梯子状をなした前部フレーム13が設けられ、その後方に前部フレーム13よりも高い位置に上下2段の棚状をなす後部フレーム14が設けられている。後部フレーム14の下段には、駆動用のバッテリ15が図示4個載置されている。後部フレーム14の上段には、前側に座席16が取り付けられ、その後側のスペースが荷台となっている。後部フレーム14下段の後端部には、コの字形をなした連結金具18が取り付けられ、これに上方から下方へピン19が差し込まれて保持されるようになっている。一方、この牽引車両10によって牽引される台車20の前端部からは、貫通孔を備えた連結板21が突設されており、この連結板21の先端を連結金具18の両端部間に差し入れるとともに、ピン19を連結板21の貫通孔に貫通させた状態で保持することで、台車20と牽引車両10とが連結状態となる。
【0010】
前部フレーム13の後端部には、図3及び図4にも示すように、前後一対の横フレーム23A,23Bが車体の幅方向に張り出して設けられ、その両端部にそれぞれ細長い板状をなすメインリーフ24(本発明の「板ばね」に相当)の一端部が固定されている(なお、メインリーフ24は、懸架装置25の一部を構成しているが、懸架装置25の詳細な構成については後述する)。一対のメインリーフ24は、互いに平行をなして後方へ向けて片持ち状に伸びており、その自由端である後端部にゴムブッシュ26を介して後輪12のアクスル27(本発明の「車軸」に相当)を回動可能に支持している。これらの一対のメインリーフ24の間に挟まれた領域には、電動モータ29とディファレンシャル30とを一体に備えた駆動装置31が配設されている。電動モータ29は、外形略円柱状をなし、その軸中心とアクスル27とが平行をなすように、アクスル27の前側位置に配置されている。ディファレンシャル30は、電動モータ29の右端に設けられた出力軸(図示せず)と一対のアクスル27の端部とを内部に設けられたギア(図示せず)により連結したもので、前後にやや細長い形態をなしている。
【0011】
後側の横フレーム23Bには、後面側の幅方向のほぼ中央位置にトルクロッド32が取り付けられており、このトルクロッド32を介して電動モータ29の前端側、左右方向の中央よりやや右側(ディファレンシャル30側)位置が揺動可能に支持されている。トルクロッド32は、概ね垂直方向に延びており、その上端部がボールジョイント32Aを介して横フレーム23Bに転動可能に連結され、下端部がボールジョイント32Bを介して電動モータ29側に転動可能に連結されている。
【0012】
続いて懸架装置25の構造とその動作について説明する。
前後一対の横フレーム23A,23Bの左右両端部の間には、それぞれ前後方向に沿って取付フレーム34が架設され、図6にも示すように、その下側にスペーサ35、上側補助リーフ36、メインリーフ24、下側補助リーフ37が順に重ね合わせられた状態でボルト38によって互いに固定されている。メインリーフ24は、アクスル27を支持した自由端側が上下に撓み変形可能となっている。下側補助リーフ37は、メインリーフ24より長さ寸法がやや短い板状をなしており、その一端部がメインリーフ24の固定端とともに固定され、メインリーフ24の長手方向に沿って片持ち状に延びて、その自由端側が上下に撓み変形可能となっている。上側補助リーフ36(本発明の「規制部材」に相当)は、下側補助リーフ37よりもさらに長さ寸法の短い板状をなし、その一端部がメインリーフ24の固定端とともに固定されている。上側補助リーフ36のもう一方の端部は、上向きに(メインリーフ24から離間する側)に反っており、その下面が滑らかな凸状面36Aとなっている。
【0013】
図7の曲線S1は、この懸架装置25のばね特性を示している。乗員の乗っていない空車状態(Sa)では、メインリーフ24は自由端側が水平姿勢よりも下側に撓んだ姿勢となり、下側補助リーフ37はメインリーフ24により下側に撓み変形される。
【0014】
空車状態より乗員一人が乗車した積車状態(Sb)においては、メインリーフ24及び下側補助リーフ37が概ね水平姿勢をなすとともに、下側補助リーフ37についてはその自由端に対してメインリーフ24からの荷重が加わらない自然状態となるように設定されている。このとき、メインリーフ24は、上側補助リーフ36の凸状面36Aとは非接触の状態であり、上側補助リーフ36との接触領域の後端が図8のF1にある。ここで、図7のS2は、メインリーフ24が上下の補助リーフ36,37の作用を受けずにF1を支点として上下に撓み変形すると仮定した場合のばね特性を示しており、即ち線形のばね特性(ばね定数がほぼ一定)となっている。
【0015】
この積車状態(Sb)から、走行中の路面の凹凸等によって、アクスル27が上方へバウンドした場合には、メインリーフ24がまず図8のF1を支点として上方へ撓み変形する。このとき、メインリーフ24の自由端側は、下側補助リーフ37より離間してその作用を受けないため、前述のばね特性S2に従って撓み変形する。
【0016】
メインリーフ24が図7のScを越えて上方へ撓み変形すると、メインリーフ24が支点F1付近から上側補助リーフ36の凸状面36Aに接触して、その接触領域の後端位置に撓み変形の支点が変位する。メインリーフ24のストローク量(撓み変形量)が大きくなるにつれ、凸状面36Aとの接触領域の後端、即ち撓み変形の支点が固定端側から自由端側(図8の右側)へと連続的に変位する。そのため、懸架装置25のばね定数が徐々に増加し、ばね特性S1はS2から上方へ徐々に離間するような曲線を描くことになる。
【0017】
メインリーフ24の撓み変形が最上点に達すると、メインリーフ24は反動で下側に戻り、上側補助リーフ36の凸状面36Aから離間した後、積車状態(Sb)に至ると、メインリーフ24の下面に下側補助リーフ37の全体が当接する。そして、ここからメインリーフ24と下側補助リーフ37とが一体になって下側(リバウンド側)へ撓み変形する。このため、メインリーフ24がリバウンド側へ撓み変形する場合において、懸架装置25全体のばね定数はメインリーフ24単体のばね定数よりも増加し、そのばね特性S1はS2から離間する曲線を描くことになる。
【0018】
続いて、バウンド時及びリバウンド時における駆動装置31の動作を説明する。前述したように、駆動装置31は、電動モータ29の前端側がトルクロッド32によって支持されており、ディファレンシャル30の後部がアクスル27側に支持されている。アクスル27が上下に変位したときには、図4又は図5に示すように、駆動装置31がおおよそトルクロッド32の下端部付近を中心として回動する。そのため、駆動装置31の後部側は、アクスル27とほぼ同じだけ上下に変位するのに対し、駆動装置31の前部側(電動モータ29側)の上下の変位量が後部側に比べて小さくなっている。従って、駆動装置31の前部側については、駆動装置31を逃がすために必要なスペースが小さくなり、車両の小型化を図ることができる。
【0019】
以上のように本実施形態によれば、メインリーフ24は撓み変形時に上側補助リーフ36に接触することでその支点が変位してばね定数が変化する。そのため、上側補助リーフ36の形状等を適宜選定することで、所望のばね特性を得ることができる。また、バウンド時とリバウンド時とでばね定数が異なるため、メインリーフ24の共振を減衰させることができる。従って、アブソーバを省略することが可能となり、コストダウンや、スペースの効率化を図ることができる。
【0020】
また、上側補助リーフ36のメインリーフ24に対する接触面(36A)が滑らかな凸状をなすことで、ばね定数の変化が滑らかになり、乗り心地が良好になる。
【0021】
また、車両重量の比較的大きい車両においては、板ばねのばね特性の効果が大きくなるために減衰効果が得にくいが、本実施形態のように車両重量の小さい車両に本発明を適用することで、十分な減衰効果を得ることができる。さらに、乗員の人数によって積車状態(Sb)における車両重量が大きく変化する車両では、バウンド側とリバウンド側とでばね定数を異なるように設定するのが困難であることから減衰効果が得にくいが、本実施形態のように前記の重量変化が小さい一人乗りの車両に本発明を適用することで、大きな効果を発揮させることができる。
【0022】
また、積車状態(Sb)からバウンド側への撓み変形は、所定の範囲内(Sb〜Sc)でばね定数が低く抑えられているため、良好な乗り心地を確保できる。また、積車状態(Sb)からリバウンド側への撓み変形については、全領域でばね定数が高められているため、メインリーフ24のストローク量を効果的に小さくすることができる。
【0023】
また、空車状態(Sa)から積車状態(Sb)までの領域においては、下側補助リーフ37の作用によってばね定数が高められているため、従来のように板ばねにアブソーバを付加した構成のものに比べて、空車状態と積車状態との車高差を小さく設定することができる。
【0024】
また、従来では、板ばねがストロークの限界を超えて変形するのを規制するためにバウンドストッパを設けたものがあるが、本実施形態では、上側、下側補助リーフ36,37の形状等を選定してばね特性を適宜設定することで、メインリーフ24の最大ストローク量を小さく規制することができるため、バウンドストッパを設けずに済む。
【0025】
<他の実施形態>
本発明の技術的範囲は、上記した実施形態によって限定されるものではなく、例えば、次に記載するようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、本発明の懸架装置を電動の牽引車両に適用したものを示したが、本発明は、その他の種類の車両に適用しても良く、例えばエンジン車にも適用することができる。
(2)上記実施形態では、片持ちタイプの板ばねを備えた懸架装置を示したが、本発明は、両端を車体フレームに支持した両持ちタイプの板ばねを備えたものにも適用することができる。
(3)規制部材の形状、配置等は、適宜変更することができ、例えば、図9に示すように、横フレーム23Cの下面に接合されたフレーム40の下面に凸状面40Aを形成するようにしても良い。また、規制部材に弾性を持たせても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における牽引車両を示す側面図
【図2】牽引車両の平面図
【図3】懸架装置の平面図
【図4】バウンド時における懸架装置及び駆動装置の動作を示す側面図
【図5】リバウンド時における懸架装置及び駆動装置の動作を示す側面図
【図6】懸架装置の拡大側面図
【図7】懸架装置のばね特性を示す説明図
【図8】バウンド時におけるメインリーフの動作を示す模式図
【図9】他の実施形態における懸架装置を示す拡大側面図
【図10】従来の懸架装置を示す斜視図
【符号の説明】
10…牽引車両
24…メインリーフ(板ばね)
25…懸架装置
27…アクスル(車軸)
36…上側補助リーフ(規制部材)
36A…凸状面(接触面)
40…フレーム(規制部材)
40A…凸状面(接触面)
Claims (3)
- 車軸を支持する板ばねを備えた車両用懸架装置であって、前記板ばねの撓み変形時にこの板ばねに接触してその支点を変位させる規制部材を設けるとともに、前記板ばねがバウンド側に撓み変形する際の装置全体のばね定数と、リバウンド側へ撓み変形する際のばね定数とが異なる構成としたことを特徴とする車両用懸架装置。
- 前記規制部材における前記板ばねに対する接触面が滑らかな凸状をなすとともに、前記支点が前記板ばねの撓み変形量に応じて前記接触面上を変位する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の車両用懸架装置。
- 前記板ばねは、一端側が固定された片持ち状をなしており、前記規制部材は、前記板ばねの固定端側に固定されて、前記板ばねに沿って片持ち状に延出する板状をなすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用懸架装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002195950A JP2004034857A (ja) | 2002-07-04 | 2002-07-04 | 車両用懸架装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002195950A JP2004034857A (ja) | 2002-07-04 | 2002-07-04 | 車両用懸架装置 |
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JP2004034857A true JP2004034857A (ja) | 2004-02-05 |
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP2004034857A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008157381A (ja) * | 2006-12-25 | 2008-07-10 | Nisshinbo Ind Inc | ドラムブレーキの作動装置 |
WO2024029440A1 (ja) * | 2022-08-02 | 2024-02-08 | Nskステアリング&コントロール株式会社 | ウォーム減速機 |
-
2002
- 2002-07-04 JP JP2002195950A patent/JP2004034857A/ja active Pending
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