JP2004034796A - ドア開度制限装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドアの開度を自動的に制限し、ドアが障害物と接触する事を未然に防ぐ事。
【解決手段】車両のドア11〜14が開扉する方向に存在する障害物までの距離を測定するソナーセンサ101〜104と、前記ソナーセンサ101〜104が測距した障害物までの距離に基づいて、前記ドア11〜14が前記障害物に接触しないように、ドア11〜14の開度距離を制限する開度制限部110〜140とを備える事を特徴とする。これにより、最大限にドアを開けると接触する障害物が存在する際、この障害物と接触しないように、乗員がドアを支持し、開度を調整する必要がなくなる。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のドアの開度を制限するドア開度制限装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用ドアの開度を制限する装置としては、例えば実開平7−18946に開示されたものがある。
【0003】
この装置では、車体側の保持穴と、ドアチェック上に複数個列設された角度調整穴の1つとの間に、取り付けピンを挿入する事により、ドアの最大開閉角度を段階的に調整可能としている。すなわち、ドアチェックの他端部を、ドアの側端部に設けられたガイド穴部材に貫通させた状態で、その他端部先端に、ストッパーを設ける事により、ストッパーがガイド穴部材に当接するまでは、ドアチェックは、ドアの側端部に対して、挿入、引き出しが可能となる。しかし、ストッパーがガイド穴部材に当接すると、それ以上のドアチェックの引き出しが出来ないため、車両側とヒンジによって連結されたドアは、その時点で開操作が制限される。
【0004】
そして、角度調整穴は、ドアチェック上に複数個列設されている為、取り付けピンを挿入する角度調整穴を適宜選択する事により、ドアの最大開閉角度を調整する事が出来る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の装置は、ドアの開度を、ドアチェッカー上に列設した角度調整穴で設定するに止まるので、設定したその角度でドアを開いても障害物との接触を防止出来る訳ではない。
【0006】
本発明は上記の点を鑑みてなされたものである。すなわちドアの開扉方向に存在する障害物との間の距離に応じて、ドアの開度距離を自動的に制限して、障害物との接触を防止する事が可能なドア開度制限装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のドア開度制限装置は、車両のドアが開扉する方向に存在する障害物までの距離を測定する測距手段と、前記測距手段が測距した障害物までの距離に基づいて、前記ドアが前記障害物に接触しないように、該ドアの開度距離を制限する開度制限手段とを備える事を特徴とする。
【0008】
これにより、例えば最大限にドアを開けると接触する障害物が存在する際、この障害物と接触しないように、乗員がドアを支持し、開度を調整する必要がなくなる。
【0009】
請求項2に記載のドア開度制限装置は、前記開度制限手段が、ユーザーの指示に基づいて、前述のドア開度の制限を解除する解除手段を有する事を特徴とする。
【0010】
これにより、開度の制限を受けて開扉したドアの開度距離が、乗員に不都合であった際、乗員はドアの開度制限を解除出来るので、不都合なドア開度による不便を強いられる事がない。
【0011】
請求項3に記載のドア開度制限装置は、前記測距手段が、前記車両の四隅にそれぞれ配置され、少なくとも車両の停止直前から停止するまでの期間において、連続的に前記障害物までの距離を測定するものであり、前記測距手段によって連続的に測定された障害物までの距離を記憶する記憶手段と前記車両が停止したとき、ドアが開扉される位置において、前記測距手段が測定した障害物までの距離を前記記憶手段から読み出す読出手段とを備え、前記開度制限手段は、前記読出手段が読み出した距離に基づいて、前記ドアの開度距離を制限する事を特徴とする。
【0012】
これにより、例えば、車両の前部及び後部の側面に対向して、柱が設けられ、ドアの開扉位置では、ドアを開扉する為の空間が確保されている駐車スペースにおいて、不必要にドアの開度制限を行う事が防止出来る。
【0013】
請求項4に記載のドア開度制限装置の、前記開度制限手段は、前記読出手段が読み出した距離よりも前記ドアの開度距離が小さくなるように、前記ドアの開度距離を制限する事を特徴とする。
【0014】
車両が駐車スペースに駐車される場合、最終的には駐車スペースに対して、車両が真っ直ぐとなるように、車両が直線的に前進もしくは後退する事が多い。この為、車両の四隅に配置された測距手段が、停止した車両のドアの開扉位置に相当する位置において、検出した距離を障害物までの距離とみなして、その距離よりも、ドアの開度距離が小さくなるようにドアの開度距離を制限しても良い。
【0015】
請求項5に記載のドア開度制限装置においては、前記開度制限手段は、前記読出手段が読み出した距離に基づいて障害物の有無を判断する判断手段を備え、前記判断手段によって、障害物が存在すると判断された場合に、車両の停止時に前記測距手段によって測定される障害物との距離よりも前記ドアの開度制限が小さくなるように、前記ドアの開度距離を制限する事を特徴とする。
【0016】
上記の構成は、車両が駐車スペースに対して、旋回しながら駐車される場合を考慮したものである。このような場合、測距手段が車両の四隅に配置されていると、停止した車両のドアの開扉位置に相当する位置において、検出した距離が必ずしもドアと障害物との距離に対応しない。そのため停止車両のドアの開扉位置に相当する位置において、測定した距離は、単に障害物の有無を判断する為に用いる。そしてドアの開度制限距離は、車両停止時に測定手段が検出する、障害物との距離に応じて設定する。これにより、旋回しながら車両を駐車スペースへ駐車した場合でもあっても、ドアの開度制限距離を適切に設定出来る。
【0017】
請求項6に記載のドア開度制限装置は、前記車両の停止時には、当該車両の四隅に配置された測距手段の内、同じサイドに配置された2個の測距手段が測定した障害物までの距離を加重平均して、前記障害物までの距離を求める事を特徴とする。
【0018】
このように、測距手段が車両の四隅に配置されている事を利用して、同じサイドに配置された2個の測距手段による障害物までの検出距離を、それぞれの測距手段とドアの開扉位置との間隔に応じて、加重平均する事により、平行ではなく斜めに停車した場合でも、障害物側のドアの開度を、適切に制限する事が出来る。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(第一実施形態)
図1は本発明の第一実施形態にかかるドア開度制限装置100の全体構成を示すブロック図であり、図2は本実施形態にかかる開度制限部110の概略構成を示した構成図である。図3は車両10と障害物X1とを上方から見た説明図である。図4は本実施形態にかかる、ドア開度制限装置100の制御フローを示すフローチャートである。
【0021】
さらに、図5は障害物X1に対して、斜めに停車した車両10を、上方から見た説明図である。
【0022】
以下に本実施形態の構成について説明する。
【0023】
本実施形態で示す車両10は、左右にそれぞれ2枚のドアが配設されている、いわゆる4ドアタイプの車両であり、右方向に開扉する前部右ドア11、後部右ドア13と、左側方面に開扉する前部左ドア12、後部左ドア14とを備えている。
【0024】
図1に示す本実施形態のドア開度制限装置100は、車両10の四隅の各コーナー部に配設され、障害物までの距離を測定するソナーセンサ101〜104と、そのソナーセンサ101〜104の測距値A101〜A104に対応したドア11〜14の開度を演算する制御部105と、ドア11〜14の開度を、演算した開度に制限する開度制限部110〜140とからなる。
【0025】
ここで、ソナーセンサ101〜104は請求項で示す測距手段に相当し、制御部105、開度制限部110〜140はそれぞれ開度制限手段に相当する。
【0026】
本実施形態における車両10は、車体の各コーナー部の近くに存在する障害物を感知し、運転者に報知する周知の障害物検知装置(図示せず)を備えており、ソナーセンサ101〜104は、その障害物検知装置と兼用される。
【0027】
ソナーセンサ101〜104は振動子としてのPZT(チタン・ジルコン酸亜鉛)からなる圧電素子を有するホーン型の送受信部からなっている。送受信部は、不可聴域である約40KHzの音波を、毎秒10〜20回、前記ドアが開扉する方向を含む、各コーナー部の周囲に向けて発射する。そして、障害物によって反射してきた超音波パルスを受信すると、超音波パルスの送信から受信までに要した時間を制御部105に送信する。制御部105は、内部がCPU、ROM、RAMと、これらを接続するバスライン等からなる電子制御装置である。
【0028】
制御部105は、各ソナーセンサ101〜104から送信された時間Tに基づいて、障害物までの距離Aを以下の数式1及び数式2を用いて算出する。
【0029】
【数1】A=C(T)/2
【0030】
【数2】C=331+0.6F
F:外気温度(℃)
C:超音波パルスの伝播速度(m/s)
上述した式による演算の為に、制御部105は外気温度を測定する、図示しない温度センサを備える。ただし、車両10が外気温度を測定する外気温センサを有するエアーコンディショナーを備えている場合等は、その外気温センサを利用しても良い。
【0031】
また、制御部105は、車両10の車内に設置される解除スイッチ106とも、電気的に接続しており、この解除スイッチ106から、本装置100によるドアの開度制限を解除する解除信号Eが伝達される。この解除スイッチ106は、各種のメカニカルスイッチから構成する事が出来る。また、解除スイッチ106と同等の機能を有するリモコンが備えられていても良い。
【0032】
制御部105は、解除信号Eが伝達されると、ユーザーが自由にドア11〜14を開扉出来るように、開度制限部110〜140に対してドア開度の制限を中止するよう指示する。
【0033】
また、ドア11〜14が開扉しているか否かを検知するドア開センサ150及び、ドア11〜14のロック、アンロックを行うドアロック装置160が設けられている。ドアロック装置160は、各ドア11〜14がロック状態であるか、アンロック状態であるかを識別するための信号を制御部105に出力する。
【0034】
次に、開度制限部110〜140について、その構成を図2を用いて説明する。各開度制限部は、1つのドアに対し1つ存在し、ドアと1対1に配置される。本実施形態で例示する車両10は前述の通り、4ドア車であるので、該開度制限部は4つ搭載されている。この4つの開度制限部110〜140は、全て同様の構成を有するので、以下では車両10の前部右ドア用開度制限部110に関してのみ説明する。
【0035】
開度制限部110は、制限モータ111、保持部112、ドアチェッカー113からなる。ドア11は、車両10とヒンジ11aによって水平回動自在に枢着されており、ドア11の内板と外板が内外に対向して配された袋構造をなし、内板と外板との間には、間隙空間が形成されている。さらに、この間隙空間を形成する袋構造に蓋をするように、側壁11bが、前述した内板と外板とに係合し、前述の間隙空間を閉じている。
【0036】
この側壁11bには、後述するドアチェッカー113が挿通される挿通孔が穿設されており、ドアチェッカー113を前述の間隙空間内に対して挿抜自在にしている。
【0037】
前述の制限モータ111の軸には、平歯車の一種であるギア111aが取り付けられており、このギア111aが、後述するドアチェッカー113の側面に形成されているラック部113aと噛み合っている。
【0038】
制限モータ111には、制御部105から駆動信号が与えられ、その駆動信号に応じたモータ回転数だけ回転する。制限モータ111が回転すると、ギア111aとドアチェッカー113のラック部113aが噛み合っている為、ドアチェッカー113は、ドア11の間隙空間に対し、挿入または抜出される。
【0039】
また、車内には、ドアチェッカー113の一端を擢動自在に保持する保持部112が設けられている。この保持部112は筒状の金属部材であり車体に固設されている。
【0040】
ドアチェッカー113は、車両10とドア11間に介装される、金属製の棒状部材であり、一端が保持部112に保持されるとともに、他端がドア11内に形成された間隙空間内に、挿通孔を経て挿入されている。また、ドアチェッカー113の他端には、その長手方向と略垂直方向に係合し、前述の挿通孔の径よりも大きな径の平皿状の金属製突起物である、ストッパー113bが形成されている。この為、ドアチェッカー113が、ドア11の間隙空間から抜出する方向に移動しても、ストッパー113bと側壁11bが当接するので、ドアチェッカー113のドア11からの離脱が防止される。
【0041】
次に本実施形態における作用について図3、図4を用いて説明する。図3に示す通り、ドア11、13が開扉する方向には、障害物X1が存在し、この障害物X1は、ドア11、13が最大開度で開扉すると、接触する位置に存在する状況を想定する。このような場合に、図4のフローチャートに示す制御フローによって、その障害物X1に接触しないように、ドア11、13の開度が制限される。以下、図4のフローチャートについて説明する。なお、図4に示すフローチャートは、ドア11の開度を制限するフローを示すが、ドア13についても同様である。
【0042】
図4において、ステップS1では、ドアロック装置160によって、ドア11のロック状態を解除され、その旨の識別信号がドアロック装置160から制御部105に出力されたか否かが判別される。
【0043】
車両10が停止してから、すなわち車速度が時速0km/hになった事を検知し、これをもって、本フローが開始されるのでは、例えば運転者が、車両10を後退させる際に、車両10後部の状況をより良く確認しようとして、ドア11を開扉したまま後退走行する際に、対応出来なくなる。
【0044】
一方、ドア11のロック解除状態を、本フローの動作開始トリガにすると、前述した運転者による、ドア11の開扉と後退走行とが、同時に行われた場合でも、ドア11のロックが解除されてから実際にドア11が開扉されるまでの間に、ドア11の開度制限を行う事が出来、障害物への接触を確実に防止出来る。
【0045】
その後、ステップS2で、ドアチェッカー113の位置の初期化処理が行われる。ここで言う初期化処理とは、制御部105が、開度制限部110の制御モータ111に対して、ドアチェッカー113をドア11方向に最大限挿入するように回転させる事である。この回転によって最大限ドア11内に挿入された位置が、本フローを開始する際の、ドアチェッカー113のスタート位置となる。
【0046】
次にステップS3では、乗員が前述の解除スイッチ106を用いて、制限部105に対しドア11の開度制限を解除するよう、操作しているか否か判別する。解除スイッチ106が操作されている場合、処理は終了する。
【0047】
ステップS3で、解除スイッチ106が操作されていないと判別されると、ステップS4にて、ソナーセンサ101による測距を行う。
【0048】
次にステップS5にて、ソナーセンサ101が検出した、超音波パルスの送信から受信までの時間から求めた距離A101と、ドア11の最大開度距離B11とを比較する。
【0049】
この時、もし障害物X1までの距離A101が、ドア11の最大開度距離B11よりも大きく、ドア11が最大限に開扉されても、障害物X1と接触しないならば、本フローは終了する。
【0050】
ステップS5で、ドア11の最大開度距離B11以内に、障害物が存在すると判別されると、ステップS6にて、距離A101から所定の距離Cを減算する事により、ドア11の制限距離J11を求める。この所定の距離Cは障害物との接触を確実に防止出来るよう例えば10cm程度に設定される。
【0051】
次にステップS7で、この制限距離J11に対応した制限モータ111の回転数を演算し、前述の制限モータ111に対し、演算した回転数だけ回転させる。
【0052】
ステップS7で、制御部105が制限モータ111を回転すると、ギア111aとラック部113aで噛み合うドアチェッカー113は、前述のステップS2で設定された初期位置から、車両10側、すなわち前述のドア11内の間隙空間から抜出され、その位置で停止する。
【0053】
ドアチェッカー113が停止した位置、すなわちドア11の開度が制限された位置が、不都合であると乗員が判断すると、前述の解除スイッチ106を操作する場合がある。この為、ステップS8にて、再度解除スイッチ106の操作の有無を判別し、制御部105に解除信号が入力されている場合には、ステップS8で、解除信号が確認されないと、ステップS9にて、ドア11が開扉しているか否か、ドア開センサ150からのドア開信号に基づいて判別する。
【0054】
ステップS10にて、ドア開信号が出力された事を検知すると、本フローは終了する。が伝達された事を検知すると、ドアチェッカー113を初期位置に再度設定し、本フローを終了する。
【0055】
しかし、未だ制御部105に、ドア11開信号が入力されていない、すなわち未だドア11が開扉されていないならば、前述したステップS6のソナーセンサ101による測距フローに戻る。
【0056】
これは、ドア11が未だ開扉されていないならば、ステップS4で測距した車両10と障害物X1との距離(すなわちA101)が、変化する可能性があるためである。すなわち、ドア11が開かれるまでは、障害物X1との距離の計測を継続し、その計測距離が変化した場合には、新たな制限距離J11を求め、随時ドアチェッカー113の位置を変更する。
【0057】
上述した制御フローにより、ユーザーは例えば車両10の乗降等に際して、ドア11の開扉を行う時、ドア11と障害物X1との接触に注意を払う事なく、ドア11を開扉する事が出来る。
【0058】
なお、上述した実施形態においては、車両10は、障害物X1に対して略平行に駐車され、ソナーセンサ101と障害物X1との距離がドア11における障害物X1との距離に等しい事を前提としていた。
【0059】
しかしながら、車両10は、図5に示すように、障害物X1に対して斜めに駐車される場合もある。そのような場合においても、ドア11と障害物X1との距離を正確に求める手法について、以下に説明する。
【0060】
図5のような状況下では、車両10の前部と後部のソナーセンサ101、103の測距値に差があり、どちらのソナーセンサ101、103の測距値を採用しても、ドア11と障害物X2の距離に対応していない。すなわち、車両10の前部のソナーセンサ101の測距値A101に基づいて開度制限を行うと、ドア11は不適切に小さい開度でしか開扉しない。一方、車両後部のソナーセンサ103の測距値A103に基づいて開度制限を行うと、その開度距離が大きくなりすぎて、ドア11は障害物X2と接触する可能性が生じる。
【0061】
上述の問題を回避する為には、車両10に配置されたソナーセンサ101、103の測距値A101、A103に差分があり、予め設定した許容値よりも大きい場合、測距値A101とA103との加重平均によって、開度制限を行うべき開度距離を求めれば良い。
【0062】
すなわち、ソナーセンサ101、103の配置位置から、ドアの開扉位置までの距離に応じて、測距値A101、A103を増減する加重平均処理を行うのである。これにより、各ドア11、13の開扉位置における障害物までの距離を正確に求める事が出来る。
【0063】
上述した構成と作用によって、最大開度で開扉すると、接触する位置に障害物が存在する地点でドアを開扉する際、障害物と、その障害物に向かって開扉するドアの双方を監視し、ドアの開度を手動で調整しながら車両を乗降する必要がなくなる。
【0064】
(第二実施形態)
図6は、第二実施形態に係わるドア開度制限装置200の概略を示すブロック図である。
【0065】
本実施形態によるドア開度制限装置200では、車両10の停車直前の走行中に、ソナーセンサ101〜104によって車両10周辺の障害物までの距離を、連続的に測距し、制御部105が備えるメモリ105aに記録する。そして、車両10が停車し、ドア11〜14の開度を制限する際に、メモリ105aから、停車位置におけるドア11〜14の開扉位置に相当する位置においてソナーセンサ101〜104が測距した距離を読み出し、この読み出した距離に基づいてドア開度の制限を行う点に特徴がある。
【0066】
上述のような特徴を持ったドア開度制限装置200の構成を以下に説明する。
【0067】
図6に示すドア開度制限装置200は、第一実施形態で示した制御部105の中に、メモリ105aを備えている。このメモリ105aは、揮発性である周知のRAMから構成出来るが、これに限るものではない。
【0068】
また、制御部105には、車両10が備える車速センサ170から、車速度Gが入力される。更に、シフトレバーセンサ180が図示しないシフトレバーに配置されており、制御部105に車両10の前進、後退を示す信号を入力する。
【0069】
次に、本実施形態の作用について図7、図8、そして図9を用いて説明する。
【0070】
本実施形態では、図7に示す駐車領域内に停車した車両10のドア11を、最大開度で開扉した際、障害物X3と接触する状況を想定する。
【0071】
図7は、上述したような構成のドア開度制限装置200を搭載した車両10が、例えば、柱状の障害物X3、X4が近傍にある駐車領域内に停車する為に、直進で後退走行する行程を上方から見た説明図である。
【0072】
図7の破線で描く矩形図が、所定の速度以下で直進後退走行を開始した車両10を示しており、障害物X3、X4の近傍にて、実線で描く矩形図が停車した直後の車両10を示している。
【0073】
実線で描く矩形図上に示したP1〜P8は、それぞれが車両10の右側面の各位置を示す符号である。
【0074】
すなわちP1は、ソナーセンサ101が設置される車両10の前方右端部を示しており、P2、P4はそれぞれドア11のヒンジ部とラック部とが設けられる位置を示している。そしてP3は、P2(ドア11のヒンジ部)とP4(ドア11のラック部)との間の距離の略中央、すなわち閉扉した際のドア11の略中央部を示している。
【0075】
同様に、P5、P7はそれぞれドア13のヒンジ部とラック部とが設けられる位置を示しており、P6は、P5(ドア11のヒンジ部)とP7(ドア13のラック部)との間の距離の略中央、すなわち閉扉した際のドア13の略中央部を示している。
【0076】
また、P1からP3までの距離をL2、P1からP6までの距離をL1とし、同様にP8からP3までの距離をL4、P8からP6までの距離をL3とする。
【0077】
ドア開度制限装置200は、上述したような状況下で、図8ならびに図9に示すフローチャートによって、この障害物X3に接触しないようにドア11の開度を制限する。
【0078】
以下、図8並びに図9のフローチャートについて説明する。
【0079】
図8は、車両10が後退走行を開始してから停車するまでの制御フローを示しており、図9は、停車した位置でドア11、13を開扉する際の制御フローを示している。
【0080】
ステップS21に示すように、制御部105は常時、車両10の車速度Gが、所定の速度(例えば、時速5km/h)以下になる事を検知する。これは、車速度Gが所定の速度を下回った事を、車両10が停車する準備段階に入ったと判断するトリガとするからである。なお、本実施形態では、所定の車速度を時速5km/h以下としているが、この速度に限る物ではない。そして、時速5km/hを下回った事を検知すると、ステップS22にて、車速度Gの記録を開始する。
【0081】
次に、ステップS23として、シフトレバーセンサ180からの信号に基づいて、車両10が前進しているのか、後退しているのかを判別する。このシフトレバーセンサ180からの信号が、車両10が前進している事を示していた場合は、ステップS24に移行し、車両10が後退している事を示していた場合は、ステップS25に移行する。
【0082】
車両10は図7に示す通り、駐車領域に向かって後退走行しているので、制御フローは、ステップS25に移行する。
【0083】
制御部105は、ステップS25にて、車両10の後部の左右コーナーに配設されたソナーセンサ103、104で、連続的に周囲の障害物までの測距を開始し、この連続的な測距値を、メモリ105a内に時系列的に記録する。この記録は車両10の時速が0(ゼロ)km/hになるまで継続する。
【0084】
しかし、車両10の時速が0(ゼロ)km/hになった事をもって、即、ソナーセンサ103、104による連続測距と、メモリ105aへの記録を停止してしまうと、再度車両10が再発車した場合に対応できなくなる。
【0085】
そこで、車両10の時速が0(ゼロ)km/hになると、ステップS27にて時速0(ゼロ)km/hである時間、すなわち停車時間t(G=0)の計測を開始し、停車時間t(G=0)が所定の時間n(s)を越えたか否かを判別する。そして、所定の時間n(s)を経過する以前に車両10が再発車した場合は、この停車は一時的な停車であったと判断し、再度車速度Gを検知する為、ステップS26に戻る。
【0086】
ステップS27にて、車両10の停車時間t(G=0)が所定の時間n(s)を経過した場合は、ステップS28にて、車速度Gの記録を停止する。そしてステップS29で、ソナーセンサ103、104による連続測距も停止する。次にステップS30にて、記録した車速度Gの記録から、平均車速度G(mean)を求める演算を行う。
【0087】
ステップS31にて、ステップS23で検知したシフトレバーセンサ180からの信号を再度確認し、車両10が前進であったなら、前進用開度制限フローへ移行し、後退であったならAに移行する。前述するように、車両10は後退しているので、A以降のフローに移行する。なお、先の「前進用開度制限フロー」は、図9に記載の後退用開度制限フローとほぼ同等の制御フローなので、その説明は省略する。
【0088】
ステップS32で、車両10の後端部P8からドア11の略中央の位置P3までの距離L4を読み出す。ステップS33で、ステップS29にて演算した平均車速度G(mean)を用い、距離L4を除算して求めた時間を停止時刻t20から減算する事により、ソナーセンサ103が、ドア11の略中央の位置P3で測距した時刻、t13を取得する。
【0089】
次にステップS34で、時刻t13に測定した距離AP3を、前述のメモリ105aから読み出す。このステップS34における、メモリ105aから測距時刻を基に測距値を読み出す制御フローは、請求項で示す読出手段に相当する。
【0090】
ステップS35にて、t13時に測距された距離AP3から、所定の距離Cを減算し、ドア11の制限距離JP3を取得する。
【0091】
ステップS36にて、制限距離JP3が、ドア11の最大開度距離B11と比較する。
【0092】
このステップS36における制御フローは、請求項で示す判断手段に相当する。
【0093】
このステップS36での判断手段によって、制限距離JP3が、最大開度距離B11と等しい、または大きい事が確認されると、ドア11の開度制限フローは終了し、ドア13の開度制限フローを開始する為、ステップS39に移行する。
【0094】
しかし、判断手段によって制限距離JP3が、最大開度距離B11より小さい事が確認されると、ステップS38に移行し、制限距離JP3を制限モータ111の回転数に換算する。
【0095】
そして、ステップS38にて、この回転数だけ制限モータ111を回転させ、ドアチェッカー113を移動する。
【0096】
このような制御フローにて、ドア11の開度を制限する。
【0097】
続くステップS39からステップS44までは、ドア13の開度を制限する為の制御フローであり、これらは前述したドア11の開度制限の制御フローと同様の制御フローなので、詳細な説明は省略するが、ドア11と異なり、ドア13には接触する障害物が存在しないので(図7参照)制御部105は、ドア13の開度は制限しない。すなわち、ステップS43における、制御距離JP6と、ドア13の最大開度距離B13との比較では、制御距離JP6が大きいので、制御フローはステップS46に移行する。ちなみにこのステップS43で示す制御フローは、ステップS36と同様の請求項で示す判断手段である。
【0098】
制御フローがステップS45までが終了し、ドア11、13の開度制限が実行されると、ステップS46で、解除スイッチ106が操作されているか否か確認する。
【0099】
解除スイッチ106が、操作されている場合は、ステップS48にて、ドア11、13用のドアチェッカーの位置を初期化し、本フローを終了する。
【0100】
また、ステップS46にて解除スイッチ106が操作されていなかった事が確認された場合は、次に、ステップS47にて、制御部105は、ドアロック装置160から、ドアがロックされた事を示す信号が伝達されたか否かを確認する。
【0101】
この制御フローにより、乗員は、開度が制限されたドアを実際に開扉し、制限された開度距離での乗降に不便を感じた場合は、ドアをロックするまでは、いつでも解除スイッチ160で開度制限を解除出来る。
【0102】
そして、ドアロック装置160からドアロック信号が伝達されると、本フローは終了する。
【0103】
本実施形態では、図7に示すように、車両10が直進後退走行のまま、駐車領域に向かって走行する状況を想定したが、より実際的な状況としては、後退走行途中で、駐車領域に対してより平行となるように、舵角を調整する為の一時停止と、直進とが繰り返される事が多い。
【0104】
このような場合には、停車時刻から起算して、最後に後退走行した際の連続測距値のみを採用すれば良い。
【0105】
上述したような構成と作用により、車両10の四隅に配置されたソナーセンサ101〜104が、停止した車両10のドア11〜14の開扉位置に相当する位置において、検出した距離を障害物までの距離とみなして、その距離よりも、ドア11〜14の開度距離が小さくなるようにドア11〜14の開度距離を制限しても良い。
【0106】
(変形例)
なお、第二実施形態では前述したように、車両10が後方に直進した行程を前提に説明した。
【0107】
しかしながら、車両10は、障害物X3、X4に対して旋回しながら後退走行し、停車する場合もある。
【0108】
そのような場合においても、ドア11、13が障害物X3、X4と接触しないように、ドアの開度を制限する手法について、以下に説明する。
【0109】
旋回しながら後退走行する車両10の、後部左右のソナーセンサ103の軌跡線上に、常に位置P3、P6が位置しているとは限らないので、この軌跡線上から測距した値を基に算出した制限距離でドア11、13の開度を制限すると、適切な開度で制限出来ない可能性が生じる。
【0110】
上述の問題を回避する為に、車両10のハンドルの舵角が所定の角度以上で、かつ車両10が所定の速度以下と言う条件での走行を開始した事を検知すると、ソナーセンサ103の連続測距値から、障害物が存在するか否かのみを判断すれば良い。
【0111】
もし、障害物X3から障害物X4までの間に、開扉したドアと接触する物体が存在しない場合は、ドア11、13の開度は制限しない。
【0112】
しかし、障害物X3から障害物X4までの間に、開扉したドアと接触する物体が存在する事が前述の連続測距値から判断できた場合は、停車した位置から測距した値を基に、ドアを制限距離すれば良い。これにより、ドア11、13を適切に開度制限する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の第一実施形態にかかるドア開度制限装置100の全体構成を示すブロック図である。
【図2】は、第一実施形態にかかるドア開度制限装置100の要部を示した概略図である。
【図3】は、第一実施形態にかかるドア開度制限装置100を搭載した車両10と、障害物X1とを表した説明図である。
【図4】は、第一実施形態にかかるドア開度制限装置100のフローを示すフローチャートである。
【図5】は障害物X2に対し、斜めに停車した車両10を表した説明図である。
【図6】は、本発明の第二実施形態にかかるドア開度制限装置200の全体構成を示すブロック図である。
【図7】は、障害物X3、X4が存在する駐車領域に車両10が後退走行で駐車するまでの行程を示した説明図である。
【図8】は、第二実施形態で示すドア開度制限装置200の前半の制御フローを示すフローチャートである。
【図9】は、第二実施形態で示すドア開度制限装置200の後半の制御フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10  車両
11〜14 ドア
100 第一実施形態にかかるドア開度制限装置
101〜104 ソナーセンサ(測距手段)
105 制御部(開度制限手段)
105a メモリ(記憶手段)
106  解除スイッチ(解除手段)
110、130  開度制限部(開度制限手段)
150  ドア開センサ
160  ドアロック装置
170  車速センサ
180  シフトレバーセンサ
200  第二実施形態にかかるドア開度制限装置

Claims (6)

  1. 車両のドアが開扉する方向に存在する障害物までの距離を測定する測距手段と、
    前記測距手段が測距した障害物までの距離に基づいて、前記ドアが前記障害物に接触しないように、該ドアの開度距離を制限する開度制限手段とを備える事を特徴とするドア開度制限装置。
  2. 前記開度制限手段は、ユーザーの指示に基づいて、前述のドア開度の制限を解除する解除手段を有する事を特徴とする請求項1に記載のドア開度制限装置。
  3. 前記測距手段は、前記車両の四隅にそれぞれ配置され、少なくとも車両の停止直前から停止するまでの期間において、連続的に前記障害物までの距離を測定するものであり、
    前記測距手段によって連続的に測定された障害物までの距離を記憶する記憶手段と、
    前記車両が停止したとき、ドアが開扉される位置において前記測距手段が測定した障害物までの距離を前記記憶手段から読み出す読出手段とを備え、
    前記開度制限手段は、前記読出手段が読み出した距離に基づいて、前記ドアの開度距離を制限する事を特徴とする請求項1または2に記載のドア開度制限装置。
  4. 前記開度制限手段は、前記読出手段が読み出した距離よりも前記ドアの開度距離が小さくなるように、前記ドアの開度距離を制限する事を特徴とする請求項3に記載のドア開度制限装置。
  5. 前記開度制限手段は、前記読出手段が読み出した距離に基づいて障害物の有無を判断する判断手段を備え、
    前記判断手段によって、障害物が存在すると判断された場合に、車両の停止時に前記測距手段によって測定される障害物との距離よりも前記ドアの開度制限が小さくなるように、前記ドアの開度距離を制限する事を特徴とする請求項3に記載のドア開度制限装置。
  6. 前記車両の停止時には、当該車両の四隅に配置された測距手段の内、同じサイドに配置された2個の測距手段が測定した障害物までの距離を加重平均して、前記障害物までの距離を求める事を特徴とする請求項3または5に記載のドア開度制限装置。
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