JP2004033901A - 金属コロイド溶液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便かつ連続的に、従来の金属コロイド溶液よりも粒子径が小さい金属コロイド溶液を効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】高分子顔料分散剤存在下で金属化合物を還元することによる金属コロイド溶液の製造方法であって、上記還元は、マイクロリアクター中で行われる金属コロイド溶液の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】高分子顔料分散剤存在下で金属化合物を還元することによる金属コロイド溶液の製造方法であって、上記還元は、マイクロリアクター中で行われる金属コロイド溶液の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロリアクターを使った金属コロイド溶液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
数10nmの金属粒子が均一に分散した溶液、いわゆる金属コロイド溶液は、その特徴を活かして種々の分野で利用されてきている。特開平11−080647号公報には、貴金属のコロイド粒子及び高分子顔料分散剤を含む貴金属コロイド粒子及びその製造方法とともに、これを着色剤として塗料等に利用できることが開示されている。また、特開2000−239853号公報には、先の貴金属コロイド粒子を金属光沢を有する薄膜の製造に用いることが開示されている。
【0003】
上記用途以外にも触媒や回路への利用が考えられているが、これらの場合、粒子径が小さいものが好ましいとされる。先の特開平11−080647号の製造方法で、銀コロイド粒子を製造する場合、用いる高分子顔料分散剤の量を増やすことにより、得られる銀コロイド粒子の平均粒子径を10nm程度まで小さくすることは可能であるが、5nm以下にすることはできなかった。
【0004】
また、金属コロイド溶液の製造は、通常、バッチ式の反応装置によって行われているが、これをより簡便な装置によって連続的に生産することができれば、生産効率の向上、コストダウンを図ることができ、反応の制御も容易になるという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、簡便かつ連続的に、従来の金属コロイド溶液よりも粒子径が小さい金属コロイド溶液を効率的に製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、高分子顔料分散剤存在下で金属化合物を還元することによる金属コロイド溶液の製造方法であって、上記還元は、マイクロリアクター中で行われることを特徴とする金属コロイド溶液の製造方法である。
【0007】
上記還元は、金属化合物溶液と還元性化合物溶液とを上記マイクロリアクター内で混合することにより行われるものであることが好ましい。
マイクロリアクターは、2種類の反応溶液のそれぞれを分割された流路に導入することによって多数の副流を得て、得られた副流を接触させた後、スリットへと導入することによって上記2種類の反応溶液を混合するものであることが好ましい。
上記マイクロリアクターは、流路の幅が500μm以下であることが好ましい。以下に、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明は、金属コロイド溶液を製造する際の還元反応をマイクロリアクター中で行うものである。上記マイクロリアクターとは、化学反応を行うために使用される小型の3次元構造体であり、固体基板上にマイクロテクノロジーを利用したプロセスによって作成されるものである。マイクロリアクターはマイクロチャンネルリアクターと呼ばれたり、混合を目的とするものについてはマイクロミキサーと呼ばれることもある。このような反応装置は、近年注目を集めつつあるものであり、例えば、“Microreactors New Technologyfor Modern Chemistry”(Wolfgang Ehrfeld、Volker Hessel、Holger Loewe著、WILEY−VCH社 2000年発行)等に詳細に記載されている。上記マイクロリアクターは、微小空間中で反応を行うことによって、微小量での合成が可能であり、温度制御を精密に効率よく行うことができる。更に、単位体積あたりの表面積が非常に大きく、レイノルズ数が小さいので層流が容易に達成できる等の特徴を有している。上記マイクロリアクターで採用されている混合手段には、上述の“Microreactors New Technology for Modern Chemistry”の43〜46頁に記載されているように種々のものがある。それらの一部の例を図1〜図4に示した。
【0009】
図1〜図4に記載した方法は、いずれも2種類の流体を混合するものである。図1に記載した方法は流体を流路内で衝突させるもので、ここではT字型の流路が用いられている。この方法は特に目新しいものではないが、流路の容積が小さいときには混合するのに有用である。
図2に記載した方法は、霧化等の手法により拡散させた流体を接触させるものである。この混合方法により、大きな接触面を得ることができる。
図3に記載した方法は、分割された流路から得られる多数の副流を接触させることにより混合を行うものである。
図4に記載した方法は、スリットを用いて流体の分割及び再結合を行うことにより、混合を行うものである。
【0010】
上記マイクロリアクターとしてより具体的には、例えば、インスティテュート・フュール・マイクロテクニック・マインツ社(Institut fur Mikrotechnik Mainz GmbH, Germany)の刊行物に記載されたマイクロリアクター、セルラー・プロセス・ケミストリー社(Cellular Process Chemistry GmbH, Frankfurt/Main)のセレクト(Selecto;商標)、シトス(Cytos;商標)として販売されているもの等を挙げることができる。その他、WO96/12540、WO96/12541、特表2001−521816号公報、特開2002−18271号公報、特開2002−58470号公報、特開2002−90357号公報、特開2002−102681号公報等に記載されたマイクロリアクター等も挙げることができる。
また、上記以外に、流路の幅が1mm程度ではあるが、流路中に2種類の連続したパターンの傾斜をつけた、上記インスティテュート・フュール・マイクロテクニック・マインツ社製のキャタピラー型のミキサーが知られている。
なお、これらのマイクロリアクターの材質は、用いる材料に対して安定であるものが適宜選択されうる。
【0011】
本発明の金属コロイド溶液の製造方法に使用するのに特に適したマイクロリアクターとしては、特に限定されるものではない。入手が容易である上記インスティテュート・フュール・マイクロテクニック・マインツ社のマイクロリアクターを用いた場合について、図5を用いて以下に説明する。
【0012】
図5は、インスティテュート・フュール・マイクロテクニック・マインツ社のマイクロリアクターを記載したものである。このマイクロリアクターは、先の図2に記載した混合方法を適用したものである。
図5のマイクロリアクターは、混合エレメント1、マイクロリアクター上部2及びマイクロリアクター下部3からなる。図5においては、これらの部品を分解した状態で記載しているが、実際の使用においては、これらを組み立てて一体化して使用する。
【0013】
図5中の混合エレメント1は、表面に微細加工によって分割された流路が構成されている。混合エレメント1の一例を図6に示す。図6の混合エレメントは、図6中に記載したような形状の溝によって混合エレメントの両側から分割された流路が形成されている。ここに反応に使用する溶液を導入することによって、多数の副流が得られる。
上記分割された流路の1つ当たりの幅は、混合の観点から100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。下限値は特に限定されるものではないが、製造上、数μmのオーダーである。また、流路の深さは特に限定されるものではないが、例えば、数10〜約500μmとすることができる。
【0014】
上記混合エレメント1の分割された流路は、エレクトロニクス技術において用いられている微細加工技術を適用することによって形成することができる。流路の形成方法は特に限定されるものではなく、例えば、シリコーンゴムを材料としてソフトリソグラフィと呼ばれる方法を用いて製造する方法、ガラスを材料に用いてフッ酸等を用いたウェットエッチングによって製造する方法等を挙げることができる。
【0015】
図5中のリアクター上部2は、2つの注入口4及び一つの排出口5が設けられている。注入口4は、注入流路7に続いており、注入流路7の終端部は、混合エレメント流路端部9につながっている。また、上記排出口5は、排出流路8に続いており、排出流路8の終端部は、上記リアクター上部の底面の略中央部に設けられたスリット6を形成している。上記マイクロリアクターが組み立てられた場合、スリット6は、混合エレメント1の略中央に接する。これによって、混合エレメント1上の流路とスリット6とが連結された流路を形成する。
【0016】
上記マイロリアクター下部3は、混合エレメント1を固定するための凹部を有する。上記凹部に混合エレメントが固定されることによって、隙間なく分割された流路が形成され、良好に反応を行うことができる。
【0017】
上記混合エレメント1、マイクロリアクター上部2及びマイクロリアクター下部3を組み立てると、順に、注入口4、注入流路7、混合エレメント流路端部9、混合エレメント1上の分割された流路、スリット6、排出流路8、排出口5という経路で連結された流路が形成されるものである。
なお、混合エレメント1とスリット6との間には、混合の場となる微小空間が存在する。
【0018】
図5に示したマイクロリアクターによって反応を行う場合は、以下の方法に従って行うことができる。まず、後述する金属化合物溶液及び還元性化合物溶液をそれぞれ別の注入口4から一定の圧力で注入する。なお、高分子顔料分散剤は、上記金属化合物溶液及び上記還元性化合物溶液のいずれかに含まれていればよく、両方に含まれていてもよい。上記注入は、ポンプを用いて一定の圧力で行うことが好ましい。注入において脈動が発生すると、反応により生じた金属が上記微細な流路中で析出して、詰まりを生じ、連続的に反応を行うことを阻害する場合があるため、シリンジポンプや高速液体クロマトグラフィーに用いられるポンプのような脈動のないものを用いることが好ましい。
【0019】
上記注入口4から送り込まれた溶液は、上記注入流路7を通じて、上記混合エレメント流路端部9へと送られる。混合エレメント流路端部9へと送り込まれた溶液は、注入圧力によって、それぞれ混合エレメント1上の分割された流路中を混合エレメントの両端から中央方向へと流れ、この結果、多数の副流が得られる。上記多数の副流は、混合エレメント1とスリット6との間に存在する微小空間で接触することにより、還元反応が進行して金属コロイドが生じる。還元反応は微小空間で生じるため、反応温度などの条件を制御することが容易であり、また、多くの副流がほぼ同時に接触するため、攪拌を行わなくても原料が充分に混合されるためエネルギー効率が良い。また一定速度で原料溶液を注入し続けることによって反応を行うため、連続運転によって反応を行うものであり、反応条件を一定に保つことも容易である。
【0020】
上記反応が生じる微小空間の体積は、例えば、マイクロリットルオーダーである10μLとすることができるが、特に限定されるものではない。
上記微小空間で接触した2つの溶液はスリット6へと流入する。このスリットへ流入する際に混合が更に行われる。上記スリットの幅は混合の効率を考慮すると500μm以下であることが好ましい。
【0021】
上記反応溶液を注入する速度は、上記スリット内部の体積にもよるが、通常、10mL/時間〜1.5L/時間の流量にすることができる。10mL/時間未満であると、反応速度が遅くなるため、効率的な反応を行うことができない。また、固体が析出して溶液の流動を阻害するおそれがある。1500mL/時間を超えると、流量を一定に制御することが困難になる場合があり、マイクロリアクターに対して高い圧力がかかるため好ましくない。好ましい範囲は10〜1500mL/時間である。
【0022】
上記反応を行う温度は、用いる材料が、凍結、沸騰、分解などの反応に対して悪影響を及ぼさなければ、特に限定されるものではない。反応温度を高くすると、反応速度を速くすることができるため、流量を多くすることができ、単位時間あたりの製造量を増加させることができるため、コスト面から有利である。例えば、反応温度は室温〜85℃とすることができる。
スリット6を通過した反応溶液は、排出経路8を経て排出口5から、マイクロリアクター外に排出され、適切な容器に補集される。このようにして得られる金属コロイド溶液は、必要に応じて、後述する後処理を行うことができる。
【0023】
本発明で用いられる金属化合物に含まれ、上記金属コロイド粒子となる金属としては特に限定されないが、貴金属又は銅が好ましい。上記貴金属としては特に限定されず、例えば、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等を挙げることができる。なかでも、金、銀、白金、パラジウムが好ましい。
【0024】
上記金属化合物としては特に限定されず、例えば、テトラクロロ金(III)酸四水和物(塩化金酸)、亜硫酸金、金酸カリウム、硝酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(塩化白金酸)、塩化白金酸カリウム、塩化銅(II)二水和物、酢酸銅(II)一水和物、硫酸銅(II)、塩化パラジウム(II)二水和物、三塩化ロジウム(III)三水和物等を挙げることができる。これらは、1種又は2種以上を併用して使用することができる。
【0025】
本発明の製造方法において、上記金属化合物は、溶媒に溶解した金属化合物溶液として用いられる。金属化合物溶液の金属モル濃度は0.01モル/L以上であることが好ましい。更に好ましくは0.1モル/L以上である。上限値は、用いる金属化合物の溶剤への溶解度によって決定される。
【0026】
上記溶媒としては上記金属化合物を溶解することができるものであれば特に限定されず、例えば、水、有機溶媒等を挙げることができる。上記有機溶媒等としては特に限定されず、例えば、エタノール、エチレングリコール等の炭素数1〜4のアルコール;アセトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。上記溶媒としては1種又は2種以上を用いることができる。上記溶媒が水と有機溶媒との混合物である場合には、上記有機溶媒としては、水可溶性のものが好ましく、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコール等が挙げられる。本発明においては、上記金属化合物の溶解性の点から、水、アルコール並びに水及びアルコールの混合溶液が好ましい。
【0027】
本発明に用いられる還元性化合物としてはアミンが好ましい。後述の高分子顔料分散剤存在下で金属化合物とアミンとがマイクロリアクター内の上記微小空間で混合されることにより、多大な熱エネルギーを与えずに、金属化合物由来の金属イオンが金属に還元される。上記アミンは危険性や有害性が低く、5〜100℃程度、好ましくは20〜85℃程度の反応温度で金属化合物を還元することができる。
【0028】
上記アミンとしては特に限定されず、例えば、特開平11−80647号公報に例示されているものを使用することができ、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン;ピペリジン、N−メチルピペリジン、ピペラジン、N,N′−ジメチルピペラジン、ピロリジン、N−メチルピロリジン、モルホリン等の脂環式アミン;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン、アニシジン、フェネチジン等の芳香族アミン;ベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、フェネチルアミン、キシリレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルキシリレンジアミン等のアラルキルアミン等を挙げることができる。また、上記アミンとして、例えば、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、プロパノールアミン、2−(3−アミノプロピルアミノ)エタノール、ブタノールアミン、ヘキサノールアミン、ジメチルアミノプロパノール等のアルカノールアミンも挙げることができる。これらのうち、アルカノールアミンが好ましく、ジメチルエタノールアミンがより好ましい。
【0029】
上記アミンの他に、従来から還元性化合物として使用されている水素化ホウ素ナトリウム等のアルカリ金属水素化ホウ素塩;ヒドラジン化合物;クエン酸;酒石酸;アスコルビン酸;ギ酸;ホルムアルデヒド;亜ニチオン酸塩、スルホキシル酸塩誘導体等を使用することができる。入手容易なことから、クエン酸;酒石酸;アスコルビン酸が好ましい。これらは、単独又は上記アミンと組み合わせて使用することが可能であるが、アミンとクエン酸、酒石酸、アスコルビン酸を組み合わせる場合、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸はそれぞれ塩の形のものを用いることが好ましい。また、クエン酸やスルホキシル酸塩誘導体は、鉄(II)イオンと併用することによって、還元性の向上を図ることができる。
【0030】
上記還元性化合物は、水、有機溶媒等の溶液の状態で、本発明の金属コロイド溶液の製造方法に供することが好ましい。上記有機溶媒としては、上記金属化合物溶液の溶媒として使用される溶媒を使用することができる。また、還元性化合物溶液の溶媒は、上記金属コロイド溶液の溶媒と均一に混合することができるものであれば、同一であっても相違していてもよい。上記還元性化合物の濃度は、特に限定されるものではなく、例えば、0.5〜5モル/Lとすることができる。
【0031】
上記高分子顔料分散剤は、高分子量の重合体に顔料表面に対する親和性の高い官能基が導入されているとともに、溶媒和部分を含む構造を有する両親媒性の共重合体であり、通常は顔料ペーストの製造時に顔料分散剤として使用されているものである。
【0032】
上記高分子顔料分散剤は、上記金属化合物の還元による金属コロイド粒子の生成及び生成後の溶媒中での分散をそれぞれ安定化させる働きをしていると考えられる。
【0033】
上記高分子顔料分散剤の数平均分子量は、1000〜100万であることが好ましい。1000未満であると、分散安定性が充分ではないことがあり、100万を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となる場合がある。より好ましくは、2000〜50万であり、更に好ましくは、4000〜50万である。
【0034】
上記高分子顔料分散剤としては上述の性質を有するものであれば特に限定されず、例えば、特開平11−80647号公報に例示したものを挙げることができる。
【0035】
上記高分子顔料分散剤としては、種々のものが利用できるが、市販されているものを使用することもできる。上記市販品としては、例えば、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース41090(以上、アビシア社製)、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック181、ディスパービック182、ディスパービック−183、ディスパービック184、ディスパービック190、ディスパービック191、ディスパービック192、ディスパービック−2000、ディスパービック−2001(以上、ビックケミー社製)、ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453、EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−49、EFKA−1501、EFKA−1502、EFKA−4540、EFKA−4550(以上、EFKAケミカル社製)、フローレンDOPA−158、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−17、フローレンG−700、フローレンTG−720W、フローレン−730W、フローレン−740W、フローレン−745W、(以上、共栄社化学社製)、アジスパーPA111、アジスパーPB711、アジスパーPB811、アジスパーPB821、アジスパーPW911(以上、味の素社製)、ジョンクリル678、ジョンクリル679、ジョンクリル62(以上、ジョンソンポリマー社製)等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
上記高分子顔料分散剤の使用量は、上記金属化合物中の金属と高分子顔料分散剤との合計量に対して15質量%以上であることが好ましい。15質量%未満であると、還元時の分散安定性が低下するおそれがある。上限は特に規定されないが、例えば、上記金属化合物中の金属の質量に対して10倍の量以下とすることができる。
本発明において、上記高分子顔料分散剤は前述したように、上記金属化合物溶液及び上記還元性化合物溶液のいずれかに含まれていればよく、両方に含まれていてもよい。
【0037】
上記金属化合物及び上記還元性化合物は、単位時間あたりに供給される各溶液量を対比したとき、上記金属化合物中の金属を還元するのに必要な量以上の還元性化合物が供給される割合で混合されるように、溶液中の各成分の濃度及び各溶液の流量を調節することが好ましい。還元性化合物の供給量が不充分であると、還元が不充分となるおそれがある。また、還元性化合物の供給量の上限は特に規定されないが、上記金属化合物中の金属を還元するのに必要な量の30倍以下であることが好ましく、10倍以下であることがより好ましい。
【0038】
このようにして得られた金属コロイド溶液は、金属コロイド粒子及び高分子顔料分散剤からなる固形分が質量基準で0.05〜50%であることが好ましい。また、上記固形分中の金属濃度は85質量%以下であることが好ましい。
上記マイクロリアクター中の反応によって得られた溶液は、必要に応じて、後処理を行うことができる。この後処理は、得られた金属コロイド粒子溶液に含まれる、還元で生じた塩や過剰に加えた原料等を除く必要がある場合に行われるものである。具体的には、電気透析、遠心分離、限外濾過等の方法が用いられる。
【0039】
上記後処理の方法の中で、遠心分離及び限外濾過を行った場合、後処理により、金属濃度を高めることができる。金属濃度が高いと、金属コロイド溶液を用いて導電性膜を得るために必要な加熱温度を低くすることができる。
【0040】
上記後処理として遠心分離を行う場合、金属濃度を高めるには、1000G以上で行うことが好ましい。詳細な遠心分離の条件は粒径により異なるが、標準的には、3000Gで5〜60分間、好ましくは15〜45分間を挙げることができる。遠心分離により沈殿した金属コロイド粒子は、上澄みを除き、溶剤を加えることにより、除去効果を高めることができる。遠心分離によって、金属コロイド溶液は濃縮され、これを必要な温度に適宜希釈することができる。
【0041】
上記後処理として限外濾過を行う場合に用いられる限外濾過膜として、分画分子量が3000〜80000のポリアクリロニトリル、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリアミド等の樹脂製のものが挙げられる。より好ましい分画分子量は、10000〜60000である。また、ポリアクリロニトリル、ポリサルフォンが好ましく、ポリアクリロニトリルがより好ましい。
【0042】
限外濾過の濾過モジュールの形態として種々のものが利用可能であるが、濾過面積の割にコンパクトな形態を有する中空紙型モジュールが、効率の点から好ましい。
【0043】
上記後処理方法として遠心分離及び限外濾過により、金属濃度を高めた場合、金属コロイド高濃度溶液の固形分中の金属濃度が90質量%以上であることが好ましい。また、処理前後での金属濃度の差が10質量%以上であることが好ましい。
【0044】
本発明の方法によって得られる金属コロイド溶液は、コロイド粒子の平均粒子径が、従来の方法で製造したものよりも小さい。粒子径が小さくすることにより、大きな表面積が得られる他、導電性膜を得るのに必要な加熱温度を低下させることができる。このため、本発明の方法によって得られた金属コロイド溶液は、触媒や形成材料に用いるのに適している。
【0045】
上記金属コロイド溶液は、また、着色材として光学材料等の樹脂成形物や塗料組成物等に用いてもよく、抗菌材、化粧品、電磁波シールド等に用いることもできる。更に、上記金属コロイド溶液は、金属性皮膜を形成する目的で使用することもできる。上記基材への塗布の方法としては特に限定されず、例えば、従来公知の方法によることができる。
【0046】
【実施例】
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0047】
製造例1 金属化合物溶液の調製
硝酸銀5.0g(0.029mol)とBYK−190(ビッグケミー社製高分子顔料分散剤)11.9gを水76.0gに溶解させ、高分子顔料分散剤を含有する金属化合物溶液を得た。
【0048】
製造例2 還元性化合物溶液の調製
ジメチルエタノールアミン13.1g(0.147mol)を水75.6gに溶解させ、還元性化合物溶液を得た。
【0049】
実施例1
上記図5に示したマイクロリアクター[IMM社製、シングル・ミキシング・ユニット(Single Mixing Unit)、混合エレメント流路幅40μm、混合エレメント流路深さ100μm]を使用し、上記製造例1及び2で得られた金属化合物溶液及び還元性化合物溶液を2つシリンジポンプを用いて、それぞれ8.5ml/分の流量で同時にマイクロリアクターに送液した。混合は室温で行った。それぞれの溶液はほぼ同時になくなったため、この時点でポンプを停止して反応を終了した。得られた銀コロイド溶液の量は180gであった。
【0050】
比較例
製造例1で得られた高分子顔料分散剤を含有する金属化合物溶液に、攪拌しながら、製造例2で得られた還元性化合物溶液を加えて、銀コロイド溶液を得た。
【0051】
平均粒子径の測定
得られた金属コロイド溶液の金属コロイド粒子について、透過型電子顕微鏡を用いて電子顕微鏡写真を測定した。得られた写真における粒子径を、画像解析ソフトを用いて解析し、粒子径分布及び平均粒子径データを得た。実施例1で得られた銀コロイド粒子は、平均粒子径が4.4nmであり、10nm以上の粒子径を有する粒子はほとんど観察されなかった。これに対し、従来法で製造した比較例の銀コロイド粒子は、平均粒子径が9.4nmであり、10nm以上の粒子径を有する粒子の存在が確認された。
【0052】
製造例3 金属化合物溶液の調製
硝酸銀4.0gとBYK−180(ビッグケミー社製高分子顔料分散剤)11.8gと硝酸4.0gを水70.2gに溶解させ、高分子顔料分散剤を含有する金属化合物溶液を得た。
【0053】
製造例4 還元性化合物溶液の調製
ジメチルエチルアミン10.9gを水79.1gに溶解させ、還元性化合物溶液を得た。
【0054】
製造例5 金属化合物溶液の調製
塩化金酸4水塩1.5gとソルスパース2700(ビッグケミー社製高分子顔料分散剤)3.5gとを水85.1gに溶解させ、高分子顔料分散剤を含有する金属化合物溶液を得た。
【0055】
製造例6 還元性化合物溶液の調製
ジエタノールアミン1.6gを水88.4gに溶解させ、還元性化合物溶液を得た。
【0056】
実施例2〜8
実施例1と同様の手順で、マイクロリアクターを用いて金属化合物溶液と還元性化合物溶液とを混合して、銀コロイド溶液及び金コロイド溶液を得た。用いたマイクロリアクターの流路幅、配合及び得られた金属コロイド粒子の平均粒子径を下記の表1に示した。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】
本発明は、高分子顔料分散剤存在下で金属化合物を還元することによる金属コロイド溶液の製造方法であって、上記還元は、マイクロリアクター中で行われるものであるため、通常の反応方法によって行われた金属コロイドよりも平均粒子径が小さいコロイド粒子を有する金属コロイドを得ることができる。また、連続的に効率良く金属コロイドを得ることができ、製造効率も良く、好適な金属コロイド製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】マイクロリアクターによる混合機構の一例の概略図を示す図である。
【図2】マイクロリアクターによる混合機構の一例の概略図を示す図である。
【図3】マイクロリアクターによる混合機構の一例の概略図を示す図である。
【図4】マイクロリアクターによる混合機構の一例の概略図を示す図である。
【図5】本発明の金属コロイド製造方法で使用するマイクロリアクターの一例を分解した状態を示す図であり、図中マイクロリアクター上部2は、底部から見た状態を示し、混合エレメント1及びマイクロリアクター下部3は、上部から見た状態を示す。
【図6】マイクロリアクターの混合エレメントの一例を示す図である。
【符号の説明】
1.混合エレメント
2.マイクロリアクター上部
3.マイクロリアクター下部
4.注入口
5.排出口
6.スリット
7.注入流路
8.排出流路
9.混合エレメント流路端部
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロリアクターを使った金属コロイド溶液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
数10nmの金属粒子が均一に分散した溶液、いわゆる金属コロイド溶液は、その特徴を活かして種々の分野で利用されてきている。特開平11−080647号公報には、貴金属のコロイド粒子及び高分子顔料分散剤を含む貴金属コロイド粒子及びその製造方法とともに、これを着色剤として塗料等に利用できることが開示されている。また、特開2000−239853号公報には、先の貴金属コロイド粒子を金属光沢を有する薄膜の製造に用いることが開示されている。
【0003】
上記用途以外にも触媒や回路への利用が考えられているが、これらの場合、粒子径が小さいものが好ましいとされる。先の特開平11−080647号の製造方法で、銀コロイド粒子を製造する場合、用いる高分子顔料分散剤の量を増やすことにより、得られる銀コロイド粒子の平均粒子径を10nm程度まで小さくすることは可能であるが、5nm以下にすることはできなかった。
【0004】
また、金属コロイド溶液の製造は、通常、バッチ式の反応装置によって行われているが、これをより簡便な装置によって連続的に生産することができれば、生産効率の向上、コストダウンを図ることができ、反応の制御も容易になるという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、簡便かつ連続的に、従来の金属コロイド溶液よりも粒子径が小さい金属コロイド溶液を効率的に製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、高分子顔料分散剤存在下で金属化合物を還元することによる金属コロイド溶液の製造方法であって、上記還元は、マイクロリアクター中で行われることを特徴とする金属コロイド溶液の製造方法である。
【0007】
上記還元は、金属化合物溶液と還元性化合物溶液とを上記マイクロリアクター内で混合することにより行われるものであることが好ましい。
マイクロリアクターは、2種類の反応溶液のそれぞれを分割された流路に導入することによって多数の副流を得て、得られた副流を接触させた後、スリットへと導入することによって上記2種類の反応溶液を混合するものであることが好ましい。
上記マイクロリアクターは、流路の幅が500μm以下であることが好ましい。以下に、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明は、金属コロイド溶液を製造する際の還元反応をマイクロリアクター中で行うものである。上記マイクロリアクターとは、化学反応を行うために使用される小型の3次元構造体であり、固体基板上にマイクロテクノロジーを利用したプロセスによって作成されるものである。マイクロリアクターはマイクロチャンネルリアクターと呼ばれたり、混合を目的とするものについてはマイクロミキサーと呼ばれることもある。このような反応装置は、近年注目を集めつつあるものであり、例えば、“Microreactors New Technologyfor Modern Chemistry”(Wolfgang Ehrfeld、Volker Hessel、Holger Loewe著、WILEY−VCH社 2000年発行)等に詳細に記載されている。上記マイクロリアクターは、微小空間中で反応を行うことによって、微小量での合成が可能であり、温度制御を精密に効率よく行うことができる。更に、単位体積あたりの表面積が非常に大きく、レイノルズ数が小さいので層流が容易に達成できる等の特徴を有している。上記マイクロリアクターで採用されている混合手段には、上述の“Microreactors New Technology for Modern Chemistry”の43〜46頁に記載されているように種々のものがある。それらの一部の例を図1〜図4に示した。
【0009】
図1〜図4に記載した方法は、いずれも2種類の流体を混合するものである。図1に記載した方法は流体を流路内で衝突させるもので、ここではT字型の流路が用いられている。この方法は特に目新しいものではないが、流路の容積が小さいときには混合するのに有用である。
図2に記載した方法は、霧化等の手法により拡散させた流体を接触させるものである。この混合方法により、大きな接触面を得ることができる。
図3に記載した方法は、分割された流路から得られる多数の副流を接触させることにより混合を行うものである。
図4に記載した方法は、スリットを用いて流体の分割及び再結合を行うことにより、混合を行うものである。
【0010】
上記マイクロリアクターとしてより具体的には、例えば、インスティテュート・フュール・マイクロテクニック・マインツ社(Institut fur Mikrotechnik Mainz GmbH, Germany)の刊行物に記載されたマイクロリアクター、セルラー・プロセス・ケミストリー社(Cellular Process Chemistry GmbH, Frankfurt/Main)のセレクト(Selecto;商標)、シトス(Cytos;商標)として販売されているもの等を挙げることができる。その他、WO96/12540、WO96/12541、特表2001−521816号公報、特開2002−18271号公報、特開2002−58470号公報、特開2002−90357号公報、特開2002−102681号公報等に記載されたマイクロリアクター等も挙げることができる。
また、上記以外に、流路の幅が1mm程度ではあるが、流路中に2種類の連続したパターンの傾斜をつけた、上記インスティテュート・フュール・マイクロテクニック・マインツ社製のキャタピラー型のミキサーが知られている。
なお、これらのマイクロリアクターの材質は、用いる材料に対して安定であるものが適宜選択されうる。
【0011】
本発明の金属コロイド溶液の製造方法に使用するのに特に適したマイクロリアクターとしては、特に限定されるものではない。入手が容易である上記インスティテュート・フュール・マイクロテクニック・マインツ社のマイクロリアクターを用いた場合について、図5を用いて以下に説明する。
【0012】
図5は、インスティテュート・フュール・マイクロテクニック・マインツ社のマイクロリアクターを記載したものである。このマイクロリアクターは、先の図2に記載した混合方法を適用したものである。
図5のマイクロリアクターは、混合エレメント1、マイクロリアクター上部2及びマイクロリアクター下部3からなる。図5においては、これらの部品を分解した状態で記載しているが、実際の使用においては、これらを組み立てて一体化して使用する。
【0013】
図5中の混合エレメント1は、表面に微細加工によって分割された流路が構成されている。混合エレメント1の一例を図6に示す。図6の混合エレメントは、図6中に記載したような形状の溝によって混合エレメントの両側から分割された流路が形成されている。ここに反応に使用する溶液を導入することによって、多数の副流が得られる。
上記分割された流路の1つ当たりの幅は、混合の観点から100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。下限値は特に限定されるものではないが、製造上、数μmのオーダーである。また、流路の深さは特に限定されるものではないが、例えば、数10〜約500μmとすることができる。
【0014】
上記混合エレメント1の分割された流路は、エレクトロニクス技術において用いられている微細加工技術を適用することによって形成することができる。流路の形成方法は特に限定されるものではなく、例えば、シリコーンゴムを材料としてソフトリソグラフィと呼ばれる方法を用いて製造する方法、ガラスを材料に用いてフッ酸等を用いたウェットエッチングによって製造する方法等を挙げることができる。
【0015】
図5中のリアクター上部2は、2つの注入口4及び一つの排出口5が設けられている。注入口4は、注入流路7に続いており、注入流路7の終端部は、混合エレメント流路端部9につながっている。また、上記排出口5は、排出流路8に続いており、排出流路8の終端部は、上記リアクター上部の底面の略中央部に設けられたスリット6を形成している。上記マイクロリアクターが組み立てられた場合、スリット6は、混合エレメント1の略中央に接する。これによって、混合エレメント1上の流路とスリット6とが連結された流路を形成する。
【0016】
上記マイロリアクター下部3は、混合エレメント1を固定するための凹部を有する。上記凹部に混合エレメントが固定されることによって、隙間なく分割された流路が形成され、良好に反応を行うことができる。
【0017】
上記混合エレメント1、マイクロリアクター上部2及びマイクロリアクター下部3を組み立てると、順に、注入口4、注入流路7、混合エレメント流路端部9、混合エレメント1上の分割された流路、スリット6、排出流路8、排出口5という経路で連結された流路が形成されるものである。
なお、混合エレメント1とスリット6との間には、混合の場となる微小空間が存在する。
【0018】
図5に示したマイクロリアクターによって反応を行う場合は、以下の方法に従って行うことができる。まず、後述する金属化合物溶液及び還元性化合物溶液をそれぞれ別の注入口4から一定の圧力で注入する。なお、高分子顔料分散剤は、上記金属化合物溶液及び上記還元性化合物溶液のいずれかに含まれていればよく、両方に含まれていてもよい。上記注入は、ポンプを用いて一定の圧力で行うことが好ましい。注入において脈動が発生すると、反応により生じた金属が上記微細な流路中で析出して、詰まりを生じ、連続的に反応を行うことを阻害する場合があるため、シリンジポンプや高速液体クロマトグラフィーに用いられるポンプのような脈動のないものを用いることが好ましい。
【0019】
上記注入口4から送り込まれた溶液は、上記注入流路7を通じて、上記混合エレメント流路端部9へと送られる。混合エレメント流路端部9へと送り込まれた溶液は、注入圧力によって、それぞれ混合エレメント1上の分割された流路中を混合エレメントの両端から中央方向へと流れ、この結果、多数の副流が得られる。上記多数の副流は、混合エレメント1とスリット6との間に存在する微小空間で接触することにより、還元反応が進行して金属コロイドが生じる。還元反応は微小空間で生じるため、反応温度などの条件を制御することが容易であり、また、多くの副流がほぼ同時に接触するため、攪拌を行わなくても原料が充分に混合されるためエネルギー効率が良い。また一定速度で原料溶液を注入し続けることによって反応を行うため、連続運転によって反応を行うものであり、反応条件を一定に保つことも容易である。
【0020】
上記反応が生じる微小空間の体積は、例えば、マイクロリットルオーダーである10μLとすることができるが、特に限定されるものではない。
上記微小空間で接触した2つの溶液はスリット6へと流入する。このスリットへ流入する際に混合が更に行われる。上記スリットの幅は混合の効率を考慮すると500μm以下であることが好ましい。
【0021】
上記反応溶液を注入する速度は、上記スリット内部の体積にもよるが、通常、10mL/時間〜1.5L/時間の流量にすることができる。10mL/時間未満であると、反応速度が遅くなるため、効率的な反応を行うことができない。また、固体が析出して溶液の流動を阻害するおそれがある。1500mL/時間を超えると、流量を一定に制御することが困難になる場合があり、マイクロリアクターに対して高い圧力がかかるため好ましくない。好ましい範囲は10〜1500mL/時間である。
【0022】
上記反応を行う温度は、用いる材料が、凍結、沸騰、分解などの反応に対して悪影響を及ぼさなければ、特に限定されるものではない。反応温度を高くすると、反応速度を速くすることができるため、流量を多くすることができ、単位時間あたりの製造量を増加させることができるため、コスト面から有利である。例えば、反応温度は室温〜85℃とすることができる。
スリット6を通過した反応溶液は、排出経路8を経て排出口5から、マイクロリアクター外に排出され、適切な容器に補集される。このようにして得られる金属コロイド溶液は、必要に応じて、後述する後処理を行うことができる。
【0023】
本発明で用いられる金属化合物に含まれ、上記金属コロイド粒子となる金属としては特に限定されないが、貴金属又は銅が好ましい。上記貴金属としては特に限定されず、例えば、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等を挙げることができる。なかでも、金、銀、白金、パラジウムが好ましい。
【0024】
上記金属化合物としては特に限定されず、例えば、テトラクロロ金(III)酸四水和物(塩化金酸)、亜硫酸金、金酸カリウム、硝酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(塩化白金酸)、塩化白金酸カリウム、塩化銅(II)二水和物、酢酸銅(II)一水和物、硫酸銅(II)、塩化パラジウム(II)二水和物、三塩化ロジウム(III)三水和物等を挙げることができる。これらは、1種又は2種以上を併用して使用することができる。
【0025】
本発明の製造方法において、上記金属化合物は、溶媒に溶解した金属化合物溶液として用いられる。金属化合物溶液の金属モル濃度は0.01モル/L以上であることが好ましい。更に好ましくは0.1モル/L以上である。上限値は、用いる金属化合物の溶剤への溶解度によって決定される。
【0026】
上記溶媒としては上記金属化合物を溶解することができるものであれば特に限定されず、例えば、水、有機溶媒等を挙げることができる。上記有機溶媒等としては特に限定されず、例えば、エタノール、エチレングリコール等の炭素数1〜4のアルコール;アセトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。上記溶媒としては1種又は2種以上を用いることができる。上記溶媒が水と有機溶媒との混合物である場合には、上記有機溶媒としては、水可溶性のものが好ましく、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコール等が挙げられる。本発明においては、上記金属化合物の溶解性の点から、水、アルコール並びに水及びアルコールの混合溶液が好ましい。
【0027】
本発明に用いられる還元性化合物としてはアミンが好ましい。後述の高分子顔料分散剤存在下で金属化合物とアミンとがマイクロリアクター内の上記微小空間で混合されることにより、多大な熱エネルギーを与えずに、金属化合物由来の金属イオンが金属に還元される。上記アミンは危険性や有害性が低く、5〜100℃程度、好ましくは20〜85℃程度の反応温度で金属化合物を還元することができる。
【0028】
上記アミンとしては特に限定されず、例えば、特開平11−80647号公報に例示されているものを使用することができ、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン;ピペリジン、N−メチルピペリジン、ピペラジン、N,N′−ジメチルピペラジン、ピロリジン、N−メチルピロリジン、モルホリン等の脂環式アミン;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン、アニシジン、フェネチジン等の芳香族アミン;ベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、フェネチルアミン、キシリレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルキシリレンジアミン等のアラルキルアミン等を挙げることができる。また、上記アミンとして、例えば、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、プロパノールアミン、2−(3−アミノプロピルアミノ)エタノール、ブタノールアミン、ヘキサノールアミン、ジメチルアミノプロパノール等のアルカノールアミンも挙げることができる。これらのうち、アルカノールアミンが好ましく、ジメチルエタノールアミンがより好ましい。
【0029】
上記アミンの他に、従来から還元性化合物として使用されている水素化ホウ素ナトリウム等のアルカリ金属水素化ホウ素塩;ヒドラジン化合物;クエン酸;酒石酸;アスコルビン酸;ギ酸;ホルムアルデヒド;亜ニチオン酸塩、スルホキシル酸塩誘導体等を使用することができる。入手容易なことから、クエン酸;酒石酸;アスコルビン酸が好ましい。これらは、単独又は上記アミンと組み合わせて使用することが可能であるが、アミンとクエン酸、酒石酸、アスコルビン酸を組み合わせる場合、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸はそれぞれ塩の形のものを用いることが好ましい。また、クエン酸やスルホキシル酸塩誘導体は、鉄(II)イオンと併用することによって、還元性の向上を図ることができる。
【0030】
上記還元性化合物は、水、有機溶媒等の溶液の状態で、本発明の金属コロイド溶液の製造方法に供することが好ましい。上記有機溶媒としては、上記金属化合物溶液の溶媒として使用される溶媒を使用することができる。また、還元性化合物溶液の溶媒は、上記金属コロイド溶液の溶媒と均一に混合することができるものであれば、同一であっても相違していてもよい。上記還元性化合物の濃度は、特に限定されるものではなく、例えば、0.5〜5モル/Lとすることができる。
【0031】
上記高分子顔料分散剤は、高分子量の重合体に顔料表面に対する親和性の高い官能基が導入されているとともに、溶媒和部分を含む構造を有する両親媒性の共重合体であり、通常は顔料ペーストの製造時に顔料分散剤として使用されているものである。
【0032】
上記高分子顔料分散剤は、上記金属化合物の還元による金属コロイド粒子の生成及び生成後の溶媒中での分散をそれぞれ安定化させる働きをしていると考えられる。
【0033】
上記高分子顔料分散剤の数平均分子量は、1000〜100万であることが好ましい。1000未満であると、分散安定性が充分ではないことがあり、100万を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となる場合がある。より好ましくは、2000〜50万であり、更に好ましくは、4000〜50万である。
【0034】
上記高分子顔料分散剤としては上述の性質を有するものであれば特に限定されず、例えば、特開平11−80647号公報に例示したものを挙げることができる。
【0035】
上記高分子顔料分散剤としては、種々のものが利用できるが、市販されているものを使用することもできる。上記市販品としては、例えば、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース41090(以上、アビシア社製)、ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック181、ディスパービック182、ディスパービック−183、ディスパービック184、ディスパービック190、ディスパービック191、ディスパービック192、ディスパービック−2000、ディスパービック−2001(以上、ビックケミー社製)、ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453、EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−49、EFKA−1501、EFKA−1502、EFKA−4540、EFKA−4550(以上、EFKAケミカル社製)、フローレンDOPA−158、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−17、フローレンG−700、フローレンTG−720W、フローレン−730W、フローレン−740W、フローレン−745W、(以上、共栄社化学社製)、アジスパーPA111、アジスパーPB711、アジスパーPB811、アジスパーPB821、アジスパーPW911(以上、味の素社製)、ジョンクリル678、ジョンクリル679、ジョンクリル62(以上、ジョンソンポリマー社製)等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
上記高分子顔料分散剤の使用量は、上記金属化合物中の金属と高分子顔料分散剤との合計量に対して15質量%以上であることが好ましい。15質量%未満であると、還元時の分散安定性が低下するおそれがある。上限は特に規定されないが、例えば、上記金属化合物中の金属の質量に対して10倍の量以下とすることができる。
本発明において、上記高分子顔料分散剤は前述したように、上記金属化合物溶液及び上記還元性化合物溶液のいずれかに含まれていればよく、両方に含まれていてもよい。
【0037】
上記金属化合物及び上記還元性化合物は、単位時間あたりに供給される各溶液量を対比したとき、上記金属化合物中の金属を還元するのに必要な量以上の還元性化合物が供給される割合で混合されるように、溶液中の各成分の濃度及び各溶液の流量を調節することが好ましい。還元性化合物の供給量が不充分であると、還元が不充分となるおそれがある。また、還元性化合物の供給量の上限は特に規定されないが、上記金属化合物中の金属を還元するのに必要な量の30倍以下であることが好ましく、10倍以下であることがより好ましい。
【0038】
このようにして得られた金属コロイド溶液は、金属コロイド粒子及び高分子顔料分散剤からなる固形分が質量基準で0.05〜50%であることが好ましい。また、上記固形分中の金属濃度は85質量%以下であることが好ましい。
上記マイクロリアクター中の反応によって得られた溶液は、必要に応じて、後処理を行うことができる。この後処理は、得られた金属コロイド粒子溶液に含まれる、還元で生じた塩や過剰に加えた原料等を除く必要がある場合に行われるものである。具体的には、電気透析、遠心分離、限外濾過等の方法が用いられる。
【0039】
上記後処理の方法の中で、遠心分離及び限外濾過を行った場合、後処理により、金属濃度を高めることができる。金属濃度が高いと、金属コロイド溶液を用いて導電性膜を得るために必要な加熱温度を低くすることができる。
【0040】
上記後処理として遠心分離を行う場合、金属濃度を高めるには、1000G以上で行うことが好ましい。詳細な遠心分離の条件は粒径により異なるが、標準的には、3000Gで5〜60分間、好ましくは15〜45分間を挙げることができる。遠心分離により沈殿した金属コロイド粒子は、上澄みを除き、溶剤を加えることにより、除去効果を高めることができる。遠心分離によって、金属コロイド溶液は濃縮され、これを必要な温度に適宜希釈することができる。
【0041】
上記後処理として限外濾過を行う場合に用いられる限外濾過膜として、分画分子量が3000〜80000のポリアクリロニトリル、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリアミド等の樹脂製のものが挙げられる。より好ましい分画分子量は、10000〜60000である。また、ポリアクリロニトリル、ポリサルフォンが好ましく、ポリアクリロニトリルがより好ましい。
【0042】
限外濾過の濾過モジュールの形態として種々のものが利用可能であるが、濾過面積の割にコンパクトな形態を有する中空紙型モジュールが、効率の点から好ましい。
【0043】
上記後処理方法として遠心分離及び限外濾過により、金属濃度を高めた場合、金属コロイド高濃度溶液の固形分中の金属濃度が90質量%以上であることが好ましい。また、処理前後での金属濃度の差が10質量%以上であることが好ましい。
【0044】
本発明の方法によって得られる金属コロイド溶液は、コロイド粒子の平均粒子径が、従来の方法で製造したものよりも小さい。粒子径が小さくすることにより、大きな表面積が得られる他、導電性膜を得るのに必要な加熱温度を低下させることができる。このため、本発明の方法によって得られた金属コロイド溶液は、触媒や形成材料に用いるのに適している。
【0045】
上記金属コロイド溶液は、また、着色材として光学材料等の樹脂成形物や塗料組成物等に用いてもよく、抗菌材、化粧品、電磁波シールド等に用いることもできる。更に、上記金属コロイド溶液は、金属性皮膜を形成する目的で使用することもできる。上記基材への塗布の方法としては特に限定されず、例えば、従来公知の方法によることができる。
【0046】
【実施例】
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0047】
製造例1 金属化合物溶液の調製
硝酸銀5.0g(0.029mol)とBYK−190(ビッグケミー社製高分子顔料分散剤)11.9gを水76.0gに溶解させ、高分子顔料分散剤を含有する金属化合物溶液を得た。
【0048】
製造例2 還元性化合物溶液の調製
ジメチルエタノールアミン13.1g(0.147mol)を水75.6gに溶解させ、還元性化合物溶液を得た。
【0049】
実施例1
上記図5に示したマイクロリアクター[IMM社製、シングル・ミキシング・ユニット(Single Mixing Unit)、混合エレメント流路幅40μm、混合エレメント流路深さ100μm]を使用し、上記製造例1及び2で得られた金属化合物溶液及び還元性化合物溶液を2つシリンジポンプを用いて、それぞれ8.5ml/分の流量で同時にマイクロリアクターに送液した。混合は室温で行った。それぞれの溶液はほぼ同時になくなったため、この時点でポンプを停止して反応を終了した。得られた銀コロイド溶液の量は180gであった。
【0050】
比較例
製造例1で得られた高分子顔料分散剤を含有する金属化合物溶液に、攪拌しながら、製造例2で得られた還元性化合物溶液を加えて、銀コロイド溶液を得た。
【0051】
平均粒子径の測定
得られた金属コロイド溶液の金属コロイド粒子について、透過型電子顕微鏡を用いて電子顕微鏡写真を測定した。得られた写真における粒子径を、画像解析ソフトを用いて解析し、粒子径分布及び平均粒子径データを得た。実施例1で得られた銀コロイド粒子は、平均粒子径が4.4nmであり、10nm以上の粒子径を有する粒子はほとんど観察されなかった。これに対し、従来法で製造した比較例の銀コロイド粒子は、平均粒子径が9.4nmであり、10nm以上の粒子径を有する粒子の存在が確認された。
【0052】
製造例3 金属化合物溶液の調製
硝酸銀4.0gとBYK−180(ビッグケミー社製高分子顔料分散剤)11.8gと硝酸4.0gを水70.2gに溶解させ、高分子顔料分散剤を含有する金属化合物溶液を得た。
【0053】
製造例4 還元性化合物溶液の調製
ジメチルエチルアミン10.9gを水79.1gに溶解させ、還元性化合物溶液を得た。
【0054】
製造例5 金属化合物溶液の調製
塩化金酸4水塩1.5gとソルスパース2700(ビッグケミー社製高分子顔料分散剤)3.5gとを水85.1gに溶解させ、高分子顔料分散剤を含有する金属化合物溶液を得た。
【0055】
製造例6 還元性化合物溶液の調製
ジエタノールアミン1.6gを水88.4gに溶解させ、還元性化合物溶液を得た。
【0056】
実施例2〜8
実施例1と同様の手順で、マイクロリアクターを用いて金属化合物溶液と還元性化合物溶液とを混合して、銀コロイド溶液及び金コロイド溶液を得た。用いたマイクロリアクターの流路幅、配合及び得られた金属コロイド粒子の平均粒子径を下記の表1に示した。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】
本発明は、高分子顔料分散剤存在下で金属化合物を還元することによる金属コロイド溶液の製造方法であって、上記還元は、マイクロリアクター中で行われるものであるため、通常の反応方法によって行われた金属コロイドよりも平均粒子径が小さいコロイド粒子を有する金属コロイドを得ることができる。また、連続的に効率良く金属コロイドを得ることができ、製造効率も良く、好適な金属コロイド製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】マイクロリアクターによる混合機構の一例の概略図を示す図である。
【図2】マイクロリアクターによる混合機構の一例の概略図を示す図である。
【図3】マイクロリアクターによる混合機構の一例の概略図を示す図である。
【図4】マイクロリアクターによる混合機構の一例の概略図を示す図である。
【図5】本発明の金属コロイド製造方法で使用するマイクロリアクターの一例を分解した状態を示す図であり、図中マイクロリアクター上部2は、底部から見た状態を示し、混合エレメント1及びマイクロリアクター下部3は、上部から見た状態を示す。
【図6】マイクロリアクターの混合エレメントの一例を示す図である。
【符号の説明】
1.混合エレメント
2.マイクロリアクター上部
3.マイクロリアクター下部
4.注入口
5.排出口
6.スリット
7.注入流路
8.排出流路
9.混合エレメント流路端部
Claims (4)
- 高分子顔料分散剤存在下で金属化合物を還元することによる金属コロイド溶液の製造方法であって、
前記還元は、マイクロリアクター中で行われることを特徴とする金属コロイド溶液の製造方法。 - 還元は、金属化合物溶液と還元性化合物溶液とを前記マイクロリアクター内で混合することにより行われ、前記高分子顔料分散剤は前記金属化合物溶液及び/又は前記還元性化合物溶液に含まれるものである請求項1記載の金属コロイド溶液の製造方法。
- マイクロリアクターは、2種類の反応溶液のそれぞれを分割された流路に導入することによって多数の副流を得て、得られた副流を接触させた後、スリットへと導入することによって前記2種類の反応溶液を混合するものである請求項1又は2記載の金属コロイド溶液の製造方法。
- マイクロリアクターは、流路の幅が500μm以下である請求項3記載の金属コロイド溶液の製造方法。
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