JP2004033545A - 輸液チューブのエア抜きクランプ - Google Patents

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Manabu Hiroura
廣浦 学
Eiji Nishizawa
西澤 英次
Tsunetaro Ito
伊藤 恒太郎
Toshihiro Shimodaira
下平 智弘
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Abstract

【課題】気泡の除去を効率よく行う。
【解決手段】輸液チューブ1を通す通路2を有し輸液チューブ1に沿って移動可能な本体3と、本体3に取り付けられたしごき部材4と、しごき部材4を通路2内に進出させるスライド手段5を備え、しごき部材4が通路2に進出した状態で本体3が輸液チューブ1に沿って移動すると、しごき部材4が輸液チューブ1内の気泡6を移動させるものである。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、輸液チューブのエア抜きクランプに関する。さらに詳しくは、本発明は、輸液セットの輸液チューブ内に混入した気泡を除去する輸液チューブのエア抜きクランプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
医療行為の一つとして輸液がある。輸液では、高所に吊した輸液バッグ内の液体を重力を利用して患者の血管内に少しずつ注入する。輸液バッグ内の液体は輸液チューブ内を流下し、注射針から患者の血管内に導かれる。輸液チューブの途中にはクレンメが取り付けられており、輸液チューブの潰し量を変えることで流路面積を変化させ、輸液の速さを調整している。
【0003】
輸液チューブ内には気泡が混入することがあり、この気泡が患者の血管内に混入しないようにする必要がある。このため、輸液注入系(チューブ)の途中に空気溜まりのような気泡除去具を設けて、輸液注入系に気泡が侵入した場合に、気泡自体の浮力を利用して気泡除去具まで上昇させ、系外に排出する装置(実開昭62−66651号)などが提案されている。しかし、チューブ内ではチューブ内壁面に気泡が付着して自発的に上昇することは少ないので、一般的には看護師等が輸液チューブを指で軽く弾くことで気泡を上昇させ、直接輸液バッグ内に戻すようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、看護師等が輸液チューブを指で軽く弾いて気泡を除去する方法は、衝撃によって気泡をチューブ内の流れに逆らって上昇させるものであり、なかなか思うように気泡を上昇させることができず、効率的なものではなかった。
【0005】
本発明は、気泡の除去を効率よく行うことができる輸液チューブのエア抜きクランプを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために請求項1記載の輸液チューブのエア抜きクランプは、輸液チューブを通す通路を有し輸液チューブに沿って移動可能な本体と、本体に取り付けられたしごき部材と、しごき部材を通路内に進出させるスライド手段を備え、しごき部材が通路に進出した状態で本体が輸液チューブに沿って移動すると、しごき部材が輸液チューブ内の気泡を移動させるものである。
【0007】
しごき部材をスライド手段によって通路に向けて進出させると、輸液チューブが潰れ内部の流路面積が減少する。この状態で本体を輸液チューブに沿って移動させると、輸液チューブの潰れた部分も移動し、輸液チューブ内の気泡を強制的に移動させる。即ち、しごき部材によって輸液チューブをしごきながら気泡を移動させる。本体を輸液チューブの上流に向けて動かすことで、輸液チューブ内の気泡を輸液バッグ内に送り出すことができる。
【0008】
また、請求項2記載の輸液チューブのエア抜きクランプは、しごき部材は一対のローラであり、一対のローラは通路を挟んで対向している。
【0009】
したがって、一対のローラで輸液チューブをしごきながら気泡を送り出すことができる。一対のローラは回転しながら輸液チューブをしごくので、本体を移動させるのに必要な力が減少する。
【0010】
さらに、請求項3記載のエア抜きクランプは、輸液速度を調整するクレンメと一体化されたものである。
【0011】
輸血や点滴等を行う輸液セットには輸液速度を調整するクレンメが設けられている。クレンメは輸液チューブを潰して流路面積を変化させるものであり、エア抜きクランプと構造的に類似し、エア抜きクランプと一体化するのに適している。クレンメとエア抜きクランプを一体化させることで、輸液セットの構成要素の数の増加を抑える。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1〜図5に、本発明を適用した輸液チューブのエア抜きクランプの実施形態の一例を示す。輸液チューブのエア抜きクランプ(以下、単にエア抜きクランプという)は、輸液チューブ1を通す通路2を有し輸液チューブ1に沿って移動可能な本体3と、本体3に取り付けられたしごき部材4と、しごき部材4を通路2内に進出させるスライド手段5を備え、しごき部材4が通路2に進出した状態で本体3が輸液チューブ1に沿って移動すると、しごき部材4が輸液チューブ1内の気泡6を移動させるものである。
【0014】
本体3は、例えば2枚のケース3a,3bを合わせると共にキャップ10を嵌め込んだもので、中央に輸液チューブ1を通す通路2が設けられている。この通路2は各ケース3a,3bを長手方向に貫通している。なお、一方のケース3aには爪11が複数設けられており、各爪11を他方のケース3bに引っ掛けることで、2枚のケース3a,3bを外れないようにしっかりと組み合わせている。また、ケース3a,3bの内側面は適宜肉抜きされている。
【0015】
しごき部材4は、通路2の上流側、即ち図示しない輸液バッグ側の入口7付近に設けられている。しごき部材4は一対のローラ(以下、ローラ4という)であり、ローラ4,4は通路2を挟んで対向している。ローラ4,4は、スライド手段5によって移動可能になっている。しごき部材としてのローラ4は、例えば両側にフランジ4bを有しており、一対のローラ4,4を接近させたときに、ローラ面とフランジ4bによりチューブ1を囲繞し得るように配慮されている。
【0016】
スライド手段5は例えば溝であり、左右のケース3a,3bにそれぞれ設けられている。各ローラ4の回転軸4aを左右のケース3a,3bのスライド手段5に挿入することで、各ローラ4を本体3に対して移動させることができる。スライド手段5は、ローラ4,4を通路2内に進出させるしごき部5aと、ローラ4,4を通路2から退避させる退避部5bより構成されている。退避部5bは、通路2に対して、入口7側の端が通路2から離れるように傾斜している。
【0017】
なお、本体3を構成する左右のケース3a,3bにはクレンメ用の長溝8がそれぞれ形成されており、各長溝8にクレンメ用のローラ9の回転軸9aを挿入することで、本体3に対してローラ9を移動可能に取り付けている。各長溝8は、ローラ9を通路2内に進出させる直線部8aと、ローラ9の通路2内への進出量を変化させると共にローラ9を通路2から退避させる傾斜部8bより構成されている。ローラ9を各長溝8に沿って移動させることで、ローラ9が通路2内の輸液チューブ1を通路底部2aとの間で潰す量を変えることができ、輸液チューブ1内の流路面積を変化させて輸液速度を調整することができる。即ち、このエア抜きクランプは輸液速度を調整するクレンメと一体化されている。尚、ローラ9の外周面には滑り止めの細かい凹凸(ローレット)が設けられている。
【0018】
エア抜きクランプを使用して輸液チューブ1内の気泡6(図5参照)を除去するには、先ず、一対のローラ4,4を手で本体3内へ押し込んで回転軸4aをスライド手段5のしごき部5aに移動させる。これにより、図1中二点鎖線で示すように、ローラ4,4が通路2に進出し、輸液チューブ1を一対のローラ4,4の間で挟み付けて潰し、チューブ内部の流路面積を減少させる。この状態で本体3を輸液チューブ1に沿って上流(図中上方向)に向けて移動させると、輸液チューブ1の潰される部分も移動し、輸液チューブ1内の気泡6を送り出す。即ち、ローラ4,4は回転しながら輸液チューブ1をしごき、輸液チューブ1内の気泡6を上流側に送り出す。
【0019】
本体3を輸液チューブ1の上流に向けて動かすことで、輸液チューブ1内の気泡6を輸液バッグ内に送り出すことができる。本体3を輸液チューブ1の上流に向けて動かすと、ローラ4,4と輸液チューブ1の間に発生する摩擦力はローラ4,4に下流側に向かう力として作用する。このため、ローラ4,4がスライド手段5のしごき部5aから外れることはない。即ち、ローラ4,4を手で強く押さえ続けなくても、ローラ4,4がしごき部5aから外れることはない。このため、本体3を上流側に向けて動かすだけで、輸液チューブ1をしごいて気泡6を除去することができる。輸液チューブ1をしごきながら気泡6を送り出すので、いわば強制的に気泡6を移動させることができ、気泡6の除去を効率よく行うことができる。また、ローラ4,4は回転するので、輸液チューブ1をしごくために必要な力が小さくなる。
【0020】
本体3を反対方向、即ち下流側に向けて移動させると、ローラ4,4と輸液チューブ1の間に発生する摩擦力がローラ4,4に上流側に向かう力として作用する。このため、ローラ4,4が退避部5bにスライドして輸液チューブ1の挟み付けを解除する。即ち、気泡6を送り出しながら輸液バッグの近くまで移動させた本体3を元の位置に戻す場合には、ローラ4,4が輸液チューブ1をしごくことはなく、せっかく輸液バッグ側に移動させた気泡6を患者側に戻してしまうことはない。また、軽い力で本体3を戻すことができる。
【0021】
このエア抜きクランプは、輸液速度を調整するクレンメと一体化されているので、輸液セットを構成する部品点数を増加させることはない。このため、エア抜きクランプを新たに設けても、コストの増加を抑えることができる。また、エア抜きクランプとクレンメとは輸液チューブ1を潰して流路面積を変化させるという点で類似の構造を成しており、一体化するのに適している。
【0022】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の説明では、しごき部材4を一対のローラによって構成していたが、必ずしも一対のローラに限るものではない。
【0023】
また、上述の説明では、エア抜きクランプをクレンメと一体化させていたが、エア抜きクランプをクレンメと別体にしても良い。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の輸液チューブのエア抜きクランプでは、輸液チューブを通す通路を有し輸液チューブに沿って移動可能な本体と、本体に取り付けられたしごき部材と、しごき部材を通路内に進出させるスライド手段を備え、しごき部材が通路に進出した状態で本体が輸液チューブに沿って移動すると、しごき部材が輸液チューブ内の気泡を移動させるので、輸液チューブ内の気泡を効率よく除去することができる。
【0025】
また、請求項2記載の輸液チューブのエア抜きクランプでは、しごき部材は一対のローラであり、一対のローラは通路を挟んで対向しているので、しごき部材と輸液チューブとの間に生じる摩擦力を減少させることができ、本体を小さな力で移動させることができる。
【0026】
さらに、請求項3記載のエア抜きクランプでは、輸液速度を調整するクレンメと一体化しているので、輸液セットの構成要素の数を増やさずに、エア抜きクランプを設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した輸液チューブのエア抜きクランプの実施形態の一例を示す正面図である。
【図2】同エア抜きクランプの側面図である。
【図3】同エア抜きクランプの本体を構成する一方のケースの内側面を示す図である。
【図4】同エア抜きクランプの中央付近(分割面を除く)の縦断面図である。
【図5】同エア抜きクランプを使用して輸液チューブ内の気泡を除去している様子を示す図である。
【符号の説明】
1 輸液チューブ
2 通路
3 本体
4 ローラ(しごき部材)
5 スライド手段
6 気泡

Claims (3)

  1. 輸液チューブを通す通路を有し前記輸液チューブに沿って移動可能な本体と、前記本体に取り付けられたしごき部材と、前記しごき部材を前記通路内に進出させるスライド手段を備え、前記しごき部材が前記通路に進出した状態で前記本体が輸液チューブに沿って移動すると、前記しごき部材が前記輸液チューブ内の気泡を移動させることを特徴とする輸液チューブのエア抜きクランプ。
  2. 前記しごき部材は一対のローラであり、前記一対のローラは前記通路を挟んで対向していることを特徴とする請求項1記載の輸液チューブのエア抜きクランプ。
  3. 輸液速度を調整するクレンメと一体化されたことを特徴とする請求項1又は2記載の輸液チューブのエア抜きクランプ。
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