例示的な実施形態は、眼科手術を含む手術で使用される、超音波ハンドピースなどの外科用ハンドピースに関する。以下の説明は、当業者が本発明を作製および使用できるようにするために提示され、および特許出願の文脈およびその要件においてもたらされる。例示的な実施形態に対する様々な修正例、および本明細書で説明する包括的な原理(generic principles)および特徴は、容易に分かる。例示的な実施形態は、主に、特定の実施例で提供される特定の方法およびシステムに関して説明されている。しかしながら、方法およびシステムは、他の実施例においても効果的に作用する。「例示的な実施形態」、「一実施形態」および「別の実施形態」などの語句は、同じまたは異なる実施形態を、ならびに複数の実施形態を指し得る。実施形態は、いくつかの構成要素を有するシステムおよび/または機器に関して説明される。しかしながら、システムおよび/または機器は、図示するものよりも多いまたは少ない構成要素を含んでもよく、および構成要素の配置構成およびタイプの変形例は、本発明の範囲から逸脱せずになされ得る。例示的な実施形態はまた、いくつかのステップを有する特定の方法の文脈において説明される。しかしながら、方法およびシステムは、異なるおよび/または追加的なステップを有し、かつ例示的な実施形態と矛盾していない異なる順序でステップを有する他の方法で、効果的に作用する。それゆえ、本発明は、図示の実施形態に限定されることを意図しておらず、本明細書で説明する原理および特徴に一致する最も広い範囲に従うものとする。
方法およびシステムは、ハウジングとホーンとを含む外科用ハンドピースを提供する。ハウジングは、逆行チャンネルと、内部に室とを有する。逆行チャンネルは、灌流ラインと室とを接続する。ホーンはハウジング内で保持されて、ホーンの一部分が室内にあるようにする。
図2A、図2Bおよび図2Cは、眼科手術において使用できる外科用ハンドピース100、および外科用ハンドピース構成要素の例示的な実施形態の側面図を示す。外科用ハンドピース100は超音波ハンドピースとし得る。しかしながら、外科用ハンドピース100は、流体を眼などの手術部位へ流すことができる、別のタイプの外科用ハンドピースとしてもよい。外科用ハンドピース100は、ハウジング110およびホーン102を含む。ホーン102は、圧電結晶またはホーン102を振動させるための他の手段に結合された、超音波ホーンとし得る。あるいは、ホーン102は別の機能を有してもよい。外科用ハンドピース100の他の構成要素は、簡潔にするために図示していない。
ハウジング110は、逆行チャンネル112および室114を含む。灌流ライン120も示されている。図示の実施形態では、灌流ライン120は、ハウジング110に組み込まれている。そのような実施形態では、灌流ライン120、逆行チャンネル112および室114は、連続的なチャンネルまたは空間を形成し、そこを流体が流れ得る。しかしながら、他の実施形態では、灌流ライン120は、ハウジング110に接続可能な別個の構成要素内にある。それゆえ、破線は、灌流ライン120が逆行チャンネル112から分離され得ることを示している。
室114は、ハウジング110内の中心に位置し得る。ホーン102は、室114内に収まり、かつ流体が室114から漏れることを防止するOリング104または他の機構によって隔離され得る。室114の壁とホーン102との間の残りの空間によって、流体が室114を通って流れて、ホーン102のチップの近くから流出できるようにする。図2Aの例では、流体は、ホーン102の遠位端部の近くの、室110とホーン102との間の空間において、ハウジング110から流出する。ホーン102の遠位端部は、ハウジング110の遠位端部のように、全体的にシリンダー形状である。そのようなものとして、流体は、室114から、ホーン102とハウジング110の内面との間に形成されたシリンダー状空間を通って、手術部位まで流れ得る。室114は、異なる直径のセクションを有する。より具体的には、室114は、ホーン102の遠位端部のより近く(図2A~2Cの右側)では、サイズが小さくされている。使用している間、ホーン102の遠位端部にチップまたは他の付属品(図示せず)が取り付けられる。さらに、ハンドピースは、手術で使用するために他の装置に接続され得る。例えば、ハンドピース100の軸に沿った吸引ラインは、手術野から組織および/または流体を除去するために存在し得る。図2Aおよび図2Bでは、ハウジング110内部の矢印によって、流体の流れの方向を示している。
逆行チャンネル112は、灌流ライン120を室114と接続する。チャンネル112は、チャンネルの壁がx方向と角度θにあるため、逆行チャンネルと呼ばれる。角度θは非ゼロであり、および鋭角である。x方向は、ホーン102および室114の軸方向である。正のx方向はまた、灌流ライン120を通るおよび室114を通る流体の流れの方向として見られ得る。角度θは、少なくとも10度、および80度以下とし得る。いくつかの実施形態では、角度θは、少なくとも30度、および60度以下である。いくつかのそのような実施形態では、角度θは、少なくとも40度、および50度以下である。例えば、角度θは、形式的には(nominally)、45度とし得る。それゆえ、灌流ライン120から逆行チャンネル112への入口は、ハウジング110の前部(xの正の/より大きな値)により近いが、室114へのチャンネル112の出口は、ハウジング110の後部(xの負の/より小さい値)により近い。
チャンネル112の逆行の性質はまた、逆行チャンネル112を通る流体の流れに対して見られ得る。図2Aおよび図2Bの矢印は、灌流ライン120、逆行チャンネル112および室114を通る流体の流れの方向を示す。流体は、主に、灌流ライン120および室114において正のx方向に流れる。しかしながら、逆行チャンネル112では、流体の流れは、全体的に、逆行チャンネル112の軸に沿っている。例えば、角度θが45度である場合、逆行チャンネル112内の負のx方向および負のy方向の速度成分は、実質的に等しいとし得る。それゆえ、逆行チャンネル112内の流体の速度は、負のx方向において非ゼロ成分を有する。この方向は、灌流ライン120および室114内の流体の流れの全体的な方向とは反対である。それゆえ、逆行チャンネル112を通る流れは、少なくとも部分的に逆行になっている。
逆行チャンネル112の出口では、流れは、膨張噴流において、室114内へと半径方向外向きに膨張する。この膨張噴流は、正のx方向および負のx方向の双方において非ゼロ速度成分を有する。膨張噴流はまた、負のy方向(室114および灌流ライン120における全体的な流体の流れ方向に対して垂直)において非ゼロ速度成分を有する。逆行チャンネル112は、x方向から角度θにあるため、膨張噴流は、負のx方向において、正のx方向から直角または鈍角のチャンネルにおけるよりも、大きな速度成分を有する。従って、逆行チャンネル112から室114内へと流れる流体は、Oリング104の近くの領域において、室114の後部を満たす可能性が高い。室114は、十分に再び満たされ(backfilled)得、および逆行室112とOリング104との間の空気は、ハンドピースを通る流体の初期流動によって、より良好に除去され得る。
外科用ハンドピース100は、手術を改善させた可能性がある。図1を参照して説明すると、従来の外科用ハンドピース10における泡の発生源は、チャンネル16とOリング19との間に捕捉され得る空気であることが明らかになっている。上述の通り、これらの泡は、流れの乱れを引き起こし得、これにより、施術中の外科的処置に悪影響を与え得る。従って、従来の外科用ハンドピース10は、オペレータによって手動で注意深く下準備される。
対照的に、図2A~2Cの外科用ハンドピース100は、ハウジング110の構成、および結果として生じる室114内への流体の逆流に起因して、自動的に下準備される。外科用ハンドピース100を自動的に下準備するためには、流体を、ハンドピース100を通して流すだけである。逆行チャンネル112があるために、室114内へと流れる流体の膨張噴流は、負のx方向に著しい非ゼロ速度成分を有する。逆行チャンネル112のこの特徴は、室114の少なくとも一部がより小さいサイズであることと組み合わせて、膨張噴流内の流体が、Oリング104と逆行チャンネル112の出口との間の空間を満たすことができるようにする。図2A~2Cには側面図のみを示すが、流体は、室114内の、チャンネル112の後ろ側の空間全体を満たし得る。流体の流れは、そうでなければ室114に捕捉されたかもしれない空気/他の気体を、ハンドピース100のチップの方へ(すなわち右の方へ)、および室114から出るように追い込み得る。いくつかの実施形態では、空気/気体は、外科用ハンドピース100の向きに関わらず、室から除去される。例えば、外科用ハンドピース100は、図2A~2Cに示すような向きにされても、またはそのチップを下に向けるようにされてもよいが(時計回りに90度回転される)、依然として、下準備中の流体の流れによって、空気/気体は室114から除去されている。それゆえ、外科用ハンドピース100は、流体が流れる間、そのチップを垂直方向するように反時計方向に回転させて叩いたり、またはそうでなければ、オペレータによって手動で下準備したりする必要位はない。その代わりに、逆行チャンネル112および室120の構成は、流体の流れにより室114を再び満たすことを可能にし、それゆえ、外科用ハンドピース100の下準備の改善を可能にする。
下準備は、流れの異常を減少させるように室114を付形することによって、さらに改善され得る。例えば、逆行チャンネル112とホーン102の遠位端部との間の室114の直径は、再循環ゾーンをなくすように、減少され得る。再循環ゾーンは、逆行チャンネル112とOリング104との間の領域から押し出された泡が、室114のさらに下方で捕捉されることができるようにする。そのような再循環ゾーンを減少させることによって、泡の除去がより起こりやすくなり、および外科用ハンドピース100の下準備を改善し得る。チャンネル114の複数のセクションの正確な寸法、逆行チャンネル112の寸法および角度θ、および流体の速度は、特定の応用に合わせられ得る。一般的に、Oリング104から下流の(すなわち図2AのOリング104の右側への)ホーン102の直径減少部分は、シリンダー状である。同様に、室114はシリンダー状であり、およびホーン102の直径減少部分を取り囲んでいる。
外科用ハンドピース100は自動的に下準備されるため、オペレータは、外科用ハンドピースの手動による下準備(すなわち叩くこと)に依存する必要がない。ハンドピースから眼または他の手術野までの流体の流れの乱れは、ハウジング110の構成によって、より信頼性高く減少され得るまたはなくされ得る。従って、外科用ハンドピース100の性能は改善され得、および処置を施す外科医の能力が向上され得る。
図3A、図3B、図3C、図3D、図3E、および図3Fは、眼科手術において使用できる外科用ハンドピース150、および外科用ハンドピース構成要素の例示的な実施形態の様々な図を示す。外科用ハンドピース150は、灌流部品または灌流チャンネル160およびハウジング170を含む。図3Aおよび図3Bは、外科用ハンドピース150の側面図および断面で示す側面図を示す。図3Cは、外科用ハンドピース150の端面断面図を示す。図3Dは、灌流部品160の断面で示す側面図を示す。図3Eは、ハウジング170の断面で示す側面図を示す。図3Fは、ハウジング170の一部分の詳細な断面で示す側面図を示す。外科用ハンドピース150は超音波ハンドピースとし得る。しかしながら、外科用ハンドピース150は、流体を手術野へ流すことができるようにする外科用ハンドピースの別のタイプとし得る。外科用ハンドピース150はまた、ホーン(図3A~3Fには図示しない)を含み得る。そのようなホーンは、超音波ホーンとしてもよいし、または別の機能を有してもよい。上述の通り、外科用ハンドピース150を使用している間に眼に挿入されるチップまたは他の付属品は、ハンドピース150の遠位端部(図3A、図3B、および図3Eの左側)に結合され得る。吸引ラインを含むがこれに限定されない他の装置は、ハンドピース150に結合され得る。外科用ハンドピース150の他の構成要素は、簡潔にするために図示していない。ハンドピース150はハンドピース100に類似している。
灌流部品160は灌流ライン162を含み、そこを通って流体が流れ得る。灌流ライン162を通る流体の流れの方向は、図3Dにおいて矢印で示されている。図示の実施形態では、灌流部品160は、ハウジング170に取り付けられ得る別個の構成要素である。他の実施形態では、灌流ライン162は、ハウジング170に組み込まれてもよい。それゆえ、灌流ライン162は灌流ライン120に類似している。
ハウジング170は、逆行チャンネル172および室174を含む。ハウジング170、逆行チャンネル172および室174は、それぞれ、ハウジング110、逆行チャンネル112および室114に類似している。室174は、ハウジング170内の中心に位置し得る。ホーン(図示せず)は、室174に収まり、および流体が室174から漏れるのを防止するOリングまたは他の機構によって隔離され得る。
逆行チャンネル172は、灌流ライン162を室174と接続する。逆行チャンネル112は、x方向と、非ゼロの鋭角θにある。角度θは、図3Eおよび図3Fに示されている。角度θは、少なくとも10度、および80度以下とし得る。いくつかの実施形態では、角度θは、少なくとも30度、および60度以下である。いくつかのそのような実施形態では、角度θは、少なくとも40度、および50度以下である。例えば、角度θは、形式的には、45度とし得る。それゆえ、灌流ライン162からの逆行チャンネル172への入口は、ハウジング170の前部(xの正の/より大きな値)により近いが、室174へのチャンネル172の出口は、ハウジング170の後部(xの負の/より小さい値)により近い。
逆行チャンネル172を通って流れる流体は、図3Fの矢印を参照して理解され得る。逆行チャンネル172内の流体の流れの速度は、負のx方向において非ゼロ成分を有する。換言すると、逆行チャンネル172内の流体の流れは、少なくとも部分的に、灌流ライン162および室174における流体の流れの全体的な方向とは反対の、逆行にある。逆行チャンネル172の出口/室174への入口では、膨張噴流において、流れは室174内へ外向きに膨張する。この膨張噴流は、正および負のx方向の双方において、非ゼロの速度成分を有する。
室174はまた、セクション174A、174B、174Cおよび174Dを有する。セクション174A、174B、174Cおよび174Dの直径は減少していく。セクション174Dの直径は、室174から再循環ゾーンが減少され得るまたはなくされ得るように、十分に小さいとし得る。その結果、逆行チャンネル172の後ろ側の領域から押し出された泡は、室174のさらに下方で(すなわち室174のx方向において)捕捉される可能性が少なくなり得る。セクション174Aの直径および逆行チャンネル112の構成はまた、下準備中に室174が再び満たされるように、されている。チャンネル174のセクション174A、174B、174Cおよび174Dの正確な寸法、逆行チャンネル172の寸法および角度θ、および流体の速度は、特定の応用に合わせられ得る。
外科用ハンドピース150は、手術を改善させた可能性がある。外科用ハンドピース150は、単にハンドピース150を通して流体を流すことによって、自動的に下準備される。逆行チャンネル172の向きおよび室174の構成のために、室174内へ流れる流体の膨張噴流は、室174をより完全に再び満たす。流体は、チャンネル172の後ろ側の室174内の空間全体を実質的に満たし得る。そうでなければ室174に捕捉されるかもしれない空気/他の気体を、流体の流れによって、ハンドピース150のチップの方へ、および室174から出るように追い込み得る。いくつかの実施形態では、空気/気体は、外科用ハンドピース150の向きに関わらず、室から除去される。外科用ハンドピース150の下準備の改善が達成される。
外科用ハンドピース150は自動的に下準備されるため、オペレータは、外科用ハンドピース150が特定の向きにある間の外科用ハンドピース150の手動で下準備(すなわち叩くこと)に依存する必要はない。ハンドピース150から眼または他の手術野への流体の流れの乱れは、より信頼性高く減少され得るかまたはなくされ得る。従って、外科用ハンドピース150の性能は向上され得、および処置を施す外科医の能力が高められ得る。
図4は、外科用ハンドピース100および/または150などの外科用ハンドピースを提供するための方法200の例示的な実施形態である。簡潔にするために、いくつかのステップが、省略されても、差し込まれても、および/または組み合わせられてもよい。方法200はまた、外科用ハンドピース100の文脈において説明される。しかしながら、方法200は、外科用ハンドピース150および/または類似の外科用ハンドピースを形成するために使用され得る。
ステップ202によって、室114と逆行チャンネル112とを有するハウジング110が提供される。ステップ204によって、灌流ライン112が提供される。いくつかの実施形態では、ステップ204は、灌流部品160を形成すること、および灌流部品160をハウジング170に取り付けることを含む。他の実施形態では、灌流ライン120は、ハウジング110の一部分をくり抜くことによって、形成され得る。それゆえ、灌流ライン120は、ハウジング110に組み込まれ得るか、または灌流ライン162は、外科用ハンドピース150と類似の方法で、ハウジング170から分離可能とし得る。
ステップ206によって、ホーン102が提供される。ステップ206は、ホーン102を形成すること、およびハウジング110内にホーン102を装着することを含み得る。例えば、ハウジング110およびホーン102は、適合するネジ山を含み得る。またステップ206において、Oリング104が適所に置かれ得る。
方法200を使用して、外科用ハンドピース100および/または150が製作され得る。それゆえ、外科用ハンドピース100および/または150の1つ以上の利益が達成され得る。
外科用ハンドピースを提供するための方法およびシステムが説明された。方法およびシステムは、図示の例示的な実施形態に従って説明されており、および当業者は、実施形態には変形例があり得ること、およびいずれの変形例もこの方法およびシステムの趣旨および範囲内にあることを容易に認識する。従って、多くの修正が、添付の特許請求の範囲および趣旨から逸脱せずに、当業者によってなされ得る。