JP2004033382A - Mri装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】傾斜磁場波形の計測を行なうMRI装置を提供する。
【解決手段】傾斜磁場波形を計測しようとするr方向に傾斜磁場の印加と同時に高周波磁場を照射して,r方向に直交する平面を選択励起する(工程1)。counterの数によってディフェイズ磁場の印加量を決定し(工程2),r方向にディフェイズ磁場を印加する(工程3)。r方向の傾斜磁場Grのみを印加して,傾斜磁場Grの印加とともにMR信号をサンプリングする(工程4)。取得されたMR信号は保存される(工程5)。工程1〜工程5を所定の繰り返し回数nだけ繰り返す(工程6)。これにより,時間軸上で少しずつ時間位置ずれたMR信号をn個取得する。n個の信号を処理して,MR信号を合成する(工程7)。
【効果】傾斜磁場波形の精度を向上できる。
【選択図】 図5
【解決手段】傾斜磁場波形を計測しようとするr方向に傾斜磁場の印加と同時に高周波磁場を照射して,r方向に直交する平面を選択励起する(工程1)。counterの数によってディフェイズ磁場の印加量を決定し(工程2),r方向にディフェイズ磁場を印加する(工程3)。r方向の傾斜磁場Grのみを印加して,傾斜磁場Grの印加とともにMR信号をサンプリングする(工程4)。取得されたMR信号は保存される(工程5)。工程1〜工程5を所定の繰り返し回数nだけ繰り返す(工程6)。これにより,時間軸上で少しずつ時間位置ずれたMR信号をn個取得する。n個の信号を処理して,MR信号を合成する(工程7)。
【効果】傾斜磁場波形の精度を向上できる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,MRI(核磁気共鳴イメージング)装置を構成する傾斜磁場発生手段により生成される傾斜磁場波形の計測を実現するMRI装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
MRI装置を構成する傾斜磁場発生手段により生成される傾斜磁場波形の計測に関する従来技術として,J.Magn.Reson.,132,150−153(1998)(文献1)に記載の方法がある。この方法では,組成が均一な物体に1方向に印加する傾斜磁場と同時に高周波磁場を照射して,上記の1方向に直交する平面を選択励起して,上記の1方向に傾斜磁場を印加すると共にMR(核磁気共鳴)信号をサンプリングして,傾斜磁場波形の計測を行なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
傾斜磁場波形を高精度に測定する方法としてスライス厚を厚くして,MR信号量を多くする方法が考えられるが,スライス厚を厚くとった時に取得されるMR信号には信号強度の低い領域が存在する。この信号強度の低い領域においては,S/Nが低下したのと等価であり,傾斜磁場波形の計測精度が低下してしまうという課題があった。そこでS/Nがよく,計測精度に優れた傾斜磁場波形の計測方法の開発が望まれていた。
【0004】
本発明の目的は,MRI装置を構成する傾斜磁場発生手段により生成される傾斜磁場波形の計測精度を向上できるMRI装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のMRI装置では,傾斜磁場発生装置により生成される傾斜磁場波形の計測に際して,検査対象として組成が均一な物体を用いて,検査対象のスライス厚を厚く取ることでMR信号量を多くする。一方,スライス厚を厚く取ることでサンプリング期間中に信号強度の低い領域ができてしまうことに対しては,ディフェイズ磁場の印加量を変えることによりMR信号のピークが移動することを利用する。MR信号のピーク位置を移動させてMR信号取得を複数回繰り返し,その後,取得したMR信号を合成して低信号の領域を除去する。これにより傾斜磁場波形の計測精度を向上することができる。
【0006】
本発明のMRI装置は,静磁場を発生する静磁場発生手段と,互いに直交する3方向の傾斜磁場を発生する傾斜磁場発生手段と,高周波磁場を発生する高周波磁場発生手段と,検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する信号検出手段と,検出された核磁気共鳴信号に対して所定の演算処理を施す演算手段と,傾斜磁場発生手段と高周波磁場発生手段と信号検出手段及び演算手段を制御する制御手段とを具備する。制御手段は,(1)高周波磁場と1方向の傾斜磁場とを同時に印加して検査対象の所定領域の核磁化を励起状態にすること,(2)ディフェイズ磁場を上記の1方向に印加すること,(3)上記の1方向の傾斜磁場を印加して(1)で励起された核磁化による核磁気共鳴信号を計測すること,(4)(2)で印加するディフェイズ磁場の印加量を,磁場強度と印加時間の少なくとも一方を変更して,変化させて(1)から(3)を複数回繰り返すこと,の制御行なう。演算手段は,(1)から(3)の複数回の繰り返しにより計測された核磁気共鳴信号のそれぞれから,所定の条件を満たす領域を抽出して,新たな核磁気共鳴信号を合成する演算と,合成された新たな核磁気共鳴信号から傾斜磁場波形を求める演算と行なう。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0008】
図1は,本発明の実施例の傾斜磁場波形計測に使用されるパルスシーケンスを示す図である。パルスシーケンスとは,高周波磁場,傾斜磁場等の印加順序を示すタイムチャートであり,縦軸は振幅,横軸は時間を表す。図1では,r方向の傾斜磁場波形を計測する。r方向は,相互に直交するx,y,z方向の何れかである。検査対象として組成が均一な物体10を用いて,図1(a)に示すように,磁場波形を計測しようとするr方向(計測対象方向)に印加する傾斜磁場Grと同時に高周波磁場RFを照射する。これにより図1(b)に示すように,r方向に直交する物体10の平面Sが選択励起される。次に,磁場波形を計測しようとするr方向と同一方向(r方向)の傾斜磁場Grのみを印加し,傾斜磁場Grの印加とともにMR信号をサンプリングする。
【0009】
ここで,傾斜磁場Grの印加量とMR信号の発生について説明する。傾斜磁場Grの印加量は,傾斜磁場Grの強度と傾斜磁場Grの印加時間との積で定義することができる。MR信号は傾斜磁場Grの印加量の総和が0になった時に最大となる。一般的には,MR信号のピークがA/D期間の中央となるように,予めGrd(ディフェイズ磁場)の印加量を調節する。この調節部分をディフェイズという。ディフェイズ磁場の印加量を変更することで,MR信号のピークをずらすことが可能である。
【0010】
図2は,本発明の実施例において,ディフェイズ磁場の印加量と,サンプリング中の信号強度が最大となる時点(ピーク)との対応を示す図である。図2は,図1において印加するGrdの印加量を変化させた場合の,MR信号のピークの出現する時間の変化を示している。図2(a)に示すように,Grdの振幅Bをcase1,case2,case3のように変更すると,図2(b)に示すように,A/D期間Aにおけるcase1,case2,case3の時点で,MR信号はそれぞれ最大となる。
【0011】
傾斜磁場波形を高精度に測定する方法としてスライス厚を厚くして,MR信号量を多くする方法が考えられる。
【0012】
図3は,本発明の実施例において,スライス厚とMR信号との対応を示す図である。図3(a)は,スライス厚(S1)が厚い場合の,選択励起領域とサンプリングされるMR信号,図3(b)は,スライス厚(S2)が薄い場合の選択励起領域とサンプリングされるMR信号を示す。なお,図3(a)及び図3(b)に於ける縦軸(信号強度)の数値は,図3(a)と図3(b)に於ける相対的な信号量を比較するための任意単位である。図3(b)のようにr方向でのスライス厚を薄くとった時に取得されるMR信号は,図3(a)のようにr方向でのスライス厚を厚くとった時に取得されるMR信号よりも小さくなる。図3(a)のようにr方向でのスライス厚を厚くとった時に取得されるMR信号には信号強度の低い領域が存在する。この信号強度の低い領域においては,S/Nが低下したのと等価であり,傾斜磁場波形の計測精度が低下してしまう。なお,具体的な例としては,図3(a),図3(b)に於いて,r方向はリードアウト方向である。
【0013】
図4は,本発明が適用されるMRI装置の構成例を示す図である。図4において,101は静磁場を発生する磁石,102は被験者などの検査対象,103は検査対象102を載せるベッド,104は高周波磁場を発生させるとともに検査対象102から生じるエコー信号を検出するための高周波磁場コイル,108,109,110はそれぞれx方向,y方向,z方向の傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場発生コイルである。105,106,107はそれぞれ傾斜磁場発生コイル108,109,110に電流を供給するためのコイル駆動装置である。115は計測されたMR信号を処理し,画像再構成を行うための計算機,116は計算機115の再構成画像を表示するためのCRTディスプレイ,117は処理途中のデータや最終結果を格納するメモリである。
【0014】
MRI装置の動作の概要を説明する。まず,シンセサイザ111により発生させた高周波を,変調装置112で波形整形,増幅器113により電力増幅し,高周波磁場コイル104に電流を供給する。これにより,高周波磁場コイル104から高周波磁場が出力され,検査対象102の核磁化を励起する。検査対象102からのエコー信号は,高周波磁場コイル104により受信され,増幅器113で増幅,検波装置114で検波された後,計算機115に入力され,メモリ117上にk空間データの形式で保存される。その後,計算機115は画像再構成を行い,結果をCRTディスプレイ116上に表示する。前記したパルスシーケンスの制御は,計算機115,又は,計算機115と別に設けられるパルスシーケンス制御装置により行なわれる,又は,計算機115により行なわれる。
【0015】
以下,傾斜磁場波形の計測について説明する。傾斜磁場波形の計測に関して取得されるMR信号の処理は計算機115に搭載されるプログラムにより実行される。
【0016】
図5は,本発明の実施例の傾斜磁場波形の計測の手順を示すフローチャートである。図5では,新たなMR信号の合成までの工程を示す。図5のフローチャートに示すように,まず,傾斜磁場波形を計測しようとするr方向(計測対象方向)の傾斜磁場の印加と同時に高周波磁場を照射して,r方向に直交する平面を選択励起する(工程1)。次に,counterの数によってディフェイズ磁場の印加量を決定し(工程2),磁場波形を計測する磁場方向と同一方向(r方向)にディフェイズ磁場を印加する(工程3)。続いて,磁場波形を計測する磁場方向と同一方向(r方向)の傾斜磁場Grのみを印加して,傾斜磁場Grの印加とともにMR信号をサンプリングする(工程4)。取得されたMR信号はメモリ117上に保存される(工程5)。その後,所定の繰り返し回数nとcounterの数を比較し(工程6),counterが所定の回数nに満たない場合は,counter値に1を加え,工程1から工程5を繰り返す。これにより,時間軸上で少しずつ時間位置のずれたMR信号をn個取得する。所定の回数であるn回のMR信号取得を終えた後,メモリ117上のn個の信号を処理して,MR信号を合成する(工程7)。合成されたMR信号から傾斜磁場波形を導出する処理は,文献1に記載の方法と同じである。即ち,合成されたMR信号から位相マップを作成し,サンプリングポイント間で位相差を計算することにより,傾斜磁場波形を求める。
【0017】
MR信号を合成する方法として,以下の方法1,方法2,方法3が挙げられる。
方法1:信号強度に対して閾値を設定し,信号強度が閾値以上である領域のMR信号のサンプリングポイントのデータを用いて加算平均を行う。
方法2:信号強度が最大となるサンプリングポイントを中心とする時間幅Twを設定し,時間幅Tw内の領域のMR信号のサンプリングポイントのデータを用いて加算平均を行う。
方法3:取得した全MR信号を用いて加算平均を行う。
【0018】
図6は,本発明の実施例において,方法1に基づくMR信号の合成方法を説明する図である。ディフェイズ磁場の印加量をそれぞれ変えた,scan1,2,3によりA/D区間内で計測される信号は,図6(a),図6(b),図6(c)に示される。A/D区間内で計測される信号はscan1,2,3毎に異なる。図6に示す例では,方法1に関して,繰り返しを3回,閾値50%としている。図6(a),図6(b),図6(c)に示すそれぞれの信号から計算機115内で,信号強度のうち,信号強度の最大値(ピーク)から閾値(50%)以上の領域を切り出してMR信号を加算平均して,図6(d)に示すようなMR信号の合成結果を得る。
【0019】
図7は,本発明の実施例において,方法2に基づくMR信号の合成方法を説明する図である。A/D区間内で計測されscan1,2,3毎に異なる,図7(a),図7(b),図7(c)に示すように,A/D区間内で計測されscan1,2,3毎に異なるそれぞれのMR信号について,スキャン毎にMR信号の最大値(ピーク)を求め,ピークのサンプリングポイントを中心に所定の時間幅Twを設けて,図7(a),図7(b),図7(c)に示すそれぞれのMR信号から時間幅Twの領域を切り出して,MR信号を加算平均して,図7(d)に示すようなMR信号の合成結果を得る。ここで,A/D開始時間,A/D終了時間の制約により,時間幅Twが,ピークのサンプリングポイントを中心に所定の時間幅として設定できない場合には,図8に示すように,ピーク含む所定の時間幅Tw’を設定して,図7により説明した方法を適用して,MR信号の合成を行なう。なお,方法1,方法2において,複数スキャンのデータが重なっている領域で加算平均を行なう代わりに信号強度の大きい方のスキャンのデータを選択してもよい。また,方法1で設定する閾値,及び,方法2で設定する時間幅Tw,Tw’は,装置ごとあるいはパルスシーケンス毎に値を変えてもよいことは言うまでもない。
【0020】
【発明の効果】
以上のように,本発明によれば,MRI装置における傾斜磁場波形の計測精度を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の傾斜磁場波形計測に使用されるシーケンスを示す図。
【図2】本発明の実施例において,ディフェイズの印加量と,サンプリング中の信号強度が最大となる時点との対応を示す図。
【図3】本発明の実施例において,スライス厚とMR信号との対応を示す図。
【図4】本発明が適用されるMRI装置の構成例を示す図。
【図5】本発明の実施例の傾斜磁場波形の計測の手順を示す図。
【図6】本発明の実施例において,方法1に基づくMR信号の合成方法を説明する図。
【図7】本発明の実施例において,方法2に基づくMR信号の合成方法を説明する図。
【図8】本発明の実施例において,時間幅Tw’を示す図。
【符号の説明】
10…組成が均一な物体,101…静磁場を発生する磁石,102…検査対象,103…ベッド,104…高周波磁場コイル,108…x方向の傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場発生コイル,109…y方向の傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場発生コイル,110…z方向の傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場発生コイル,105…傾斜磁場発生コイル108に電流を供給するためのコイル駆動装置,106…傾斜磁場発生コイル109に電流を供給するためのコイル駆動装置,107…傾斜磁場発生コイル110に電流を供給するためのコイル駆動装置,111…シンセサイザ,112…変調装置,113…増幅器,114…検波装置,115…計算機,116…CRTディスプレイ,117…メモリ。
【発明の属する技術分野】
本発明は,MRI(核磁気共鳴イメージング)装置を構成する傾斜磁場発生手段により生成される傾斜磁場波形の計測を実現するMRI装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
MRI装置を構成する傾斜磁場発生手段により生成される傾斜磁場波形の計測に関する従来技術として,J.Magn.Reson.,132,150−153(1998)(文献1)に記載の方法がある。この方法では,組成が均一な物体に1方向に印加する傾斜磁場と同時に高周波磁場を照射して,上記の1方向に直交する平面を選択励起して,上記の1方向に傾斜磁場を印加すると共にMR(核磁気共鳴)信号をサンプリングして,傾斜磁場波形の計測を行なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
傾斜磁場波形を高精度に測定する方法としてスライス厚を厚くして,MR信号量を多くする方法が考えられるが,スライス厚を厚くとった時に取得されるMR信号には信号強度の低い領域が存在する。この信号強度の低い領域においては,S/Nが低下したのと等価であり,傾斜磁場波形の計測精度が低下してしまうという課題があった。そこでS/Nがよく,計測精度に優れた傾斜磁場波形の計測方法の開発が望まれていた。
【0004】
本発明の目的は,MRI装置を構成する傾斜磁場発生手段により生成される傾斜磁場波形の計測精度を向上できるMRI装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のMRI装置では,傾斜磁場発生装置により生成される傾斜磁場波形の計測に際して,検査対象として組成が均一な物体を用いて,検査対象のスライス厚を厚く取ることでMR信号量を多くする。一方,スライス厚を厚く取ることでサンプリング期間中に信号強度の低い領域ができてしまうことに対しては,ディフェイズ磁場の印加量を変えることによりMR信号のピークが移動することを利用する。MR信号のピーク位置を移動させてMR信号取得を複数回繰り返し,その後,取得したMR信号を合成して低信号の領域を除去する。これにより傾斜磁場波形の計測精度を向上することができる。
【0006】
本発明のMRI装置は,静磁場を発生する静磁場発生手段と,互いに直交する3方向の傾斜磁場を発生する傾斜磁場発生手段と,高周波磁場を発生する高周波磁場発生手段と,検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する信号検出手段と,検出された核磁気共鳴信号に対して所定の演算処理を施す演算手段と,傾斜磁場発生手段と高周波磁場発生手段と信号検出手段及び演算手段を制御する制御手段とを具備する。制御手段は,(1)高周波磁場と1方向の傾斜磁場とを同時に印加して検査対象の所定領域の核磁化を励起状態にすること,(2)ディフェイズ磁場を上記の1方向に印加すること,(3)上記の1方向の傾斜磁場を印加して(1)で励起された核磁化による核磁気共鳴信号を計測すること,(4)(2)で印加するディフェイズ磁場の印加量を,磁場強度と印加時間の少なくとも一方を変更して,変化させて(1)から(3)を複数回繰り返すこと,の制御行なう。演算手段は,(1)から(3)の複数回の繰り返しにより計測された核磁気共鳴信号のそれぞれから,所定の条件を満たす領域を抽出して,新たな核磁気共鳴信号を合成する演算と,合成された新たな核磁気共鳴信号から傾斜磁場波形を求める演算と行なう。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0008】
図1は,本発明の実施例の傾斜磁場波形計測に使用されるパルスシーケンスを示す図である。パルスシーケンスとは,高周波磁場,傾斜磁場等の印加順序を示すタイムチャートであり,縦軸は振幅,横軸は時間を表す。図1では,r方向の傾斜磁場波形を計測する。r方向は,相互に直交するx,y,z方向の何れかである。検査対象として組成が均一な物体10を用いて,図1(a)に示すように,磁場波形を計測しようとするr方向(計測対象方向)に印加する傾斜磁場Grと同時に高周波磁場RFを照射する。これにより図1(b)に示すように,r方向に直交する物体10の平面Sが選択励起される。次に,磁場波形を計測しようとするr方向と同一方向(r方向)の傾斜磁場Grのみを印加し,傾斜磁場Grの印加とともにMR信号をサンプリングする。
【0009】
ここで,傾斜磁場Grの印加量とMR信号の発生について説明する。傾斜磁場Grの印加量は,傾斜磁場Grの強度と傾斜磁場Grの印加時間との積で定義することができる。MR信号は傾斜磁場Grの印加量の総和が0になった時に最大となる。一般的には,MR信号のピークがA/D期間の中央となるように,予めGrd(ディフェイズ磁場)の印加量を調節する。この調節部分をディフェイズという。ディフェイズ磁場の印加量を変更することで,MR信号のピークをずらすことが可能である。
【0010】
図2は,本発明の実施例において,ディフェイズ磁場の印加量と,サンプリング中の信号強度が最大となる時点(ピーク)との対応を示す図である。図2は,図1において印加するGrdの印加量を変化させた場合の,MR信号のピークの出現する時間の変化を示している。図2(a)に示すように,Grdの振幅Bをcase1,case2,case3のように変更すると,図2(b)に示すように,A/D期間Aにおけるcase1,case2,case3の時点で,MR信号はそれぞれ最大となる。
【0011】
傾斜磁場波形を高精度に測定する方法としてスライス厚を厚くして,MR信号量を多くする方法が考えられる。
【0012】
図3は,本発明の実施例において,スライス厚とMR信号との対応を示す図である。図3(a)は,スライス厚(S1)が厚い場合の,選択励起領域とサンプリングされるMR信号,図3(b)は,スライス厚(S2)が薄い場合の選択励起領域とサンプリングされるMR信号を示す。なお,図3(a)及び図3(b)に於ける縦軸(信号強度)の数値は,図3(a)と図3(b)に於ける相対的な信号量を比較するための任意単位である。図3(b)のようにr方向でのスライス厚を薄くとった時に取得されるMR信号は,図3(a)のようにr方向でのスライス厚を厚くとった時に取得されるMR信号よりも小さくなる。図3(a)のようにr方向でのスライス厚を厚くとった時に取得されるMR信号には信号強度の低い領域が存在する。この信号強度の低い領域においては,S/Nが低下したのと等価であり,傾斜磁場波形の計測精度が低下してしまう。なお,具体的な例としては,図3(a),図3(b)に於いて,r方向はリードアウト方向である。
【0013】
図4は,本発明が適用されるMRI装置の構成例を示す図である。図4において,101は静磁場を発生する磁石,102は被験者などの検査対象,103は検査対象102を載せるベッド,104は高周波磁場を発生させるとともに検査対象102から生じるエコー信号を検出するための高周波磁場コイル,108,109,110はそれぞれx方向,y方向,z方向の傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場発生コイルである。105,106,107はそれぞれ傾斜磁場発生コイル108,109,110に電流を供給するためのコイル駆動装置である。115は計測されたMR信号を処理し,画像再構成を行うための計算機,116は計算機115の再構成画像を表示するためのCRTディスプレイ,117は処理途中のデータや最終結果を格納するメモリである。
【0014】
MRI装置の動作の概要を説明する。まず,シンセサイザ111により発生させた高周波を,変調装置112で波形整形,増幅器113により電力増幅し,高周波磁場コイル104に電流を供給する。これにより,高周波磁場コイル104から高周波磁場が出力され,検査対象102の核磁化を励起する。検査対象102からのエコー信号は,高周波磁場コイル104により受信され,増幅器113で増幅,検波装置114で検波された後,計算機115に入力され,メモリ117上にk空間データの形式で保存される。その後,計算機115は画像再構成を行い,結果をCRTディスプレイ116上に表示する。前記したパルスシーケンスの制御は,計算機115,又は,計算機115と別に設けられるパルスシーケンス制御装置により行なわれる,又は,計算機115により行なわれる。
【0015】
以下,傾斜磁場波形の計測について説明する。傾斜磁場波形の計測に関して取得されるMR信号の処理は計算機115に搭載されるプログラムにより実行される。
【0016】
図5は,本発明の実施例の傾斜磁場波形の計測の手順を示すフローチャートである。図5では,新たなMR信号の合成までの工程を示す。図5のフローチャートに示すように,まず,傾斜磁場波形を計測しようとするr方向(計測対象方向)の傾斜磁場の印加と同時に高周波磁場を照射して,r方向に直交する平面を選択励起する(工程1)。次に,counterの数によってディフェイズ磁場の印加量を決定し(工程2),磁場波形を計測する磁場方向と同一方向(r方向)にディフェイズ磁場を印加する(工程3)。続いて,磁場波形を計測する磁場方向と同一方向(r方向)の傾斜磁場Grのみを印加して,傾斜磁場Grの印加とともにMR信号をサンプリングする(工程4)。取得されたMR信号はメモリ117上に保存される(工程5)。その後,所定の繰り返し回数nとcounterの数を比較し(工程6),counterが所定の回数nに満たない場合は,counter値に1を加え,工程1から工程5を繰り返す。これにより,時間軸上で少しずつ時間位置のずれたMR信号をn個取得する。所定の回数であるn回のMR信号取得を終えた後,メモリ117上のn個の信号を処理して,MR信号を合成する(工程7)。合成されたMR信号から傾斜磁場波形を導出する処理は,文献1に記載の方法と同じである。即ち,合成されたMR信号から位相マップを作成し,サンプリングポイント間で位相差を計算することにより,傾斜磁場波形を求める。
【0017】
MR信号を合成する方法として,以下の方法1,方法2,方法3が挙げられる。
方法1:信号強度に対して閾値を設定し,信号強度が閾値以上である領域のMR信号のサンプリングポイントのデータを用いて加算平均を行う。
方法2:信号強度が最大となるサンプリングポイントを中心とする時間幅Twを設定し,時間幅Tw内の領域のMR信号のサンプリングポイントのデータを用いて加算平均を行う。
方法3:取得した全MR信号を用いて加算平均を行う。
【0018】
図6は,本発明の実施例において,方法1に基づくMR信号の合成方法を説明する図である。ディフェイズ磁場の印加量をそれぞれ変えた,scan1,2,3によりA/D区間内で計測される信号は,図6(a),図6(b),図6(c)に示される。A/D区間内で計測される信号はscan1,2,3毎に異なる。図6に示す例では,方法1に関して,繰り返しを3回,閾値50%としている。図6(a),図6(b),図6(c)に示すそれぞれの信号から計算機115内で,信号強度のうち,信号強度の最大値(ピーク)から閾値(50%)以上の領域を切り出してMR信号を加算平均して,図6(d)に示すようなMR信号の合成結果を得る。
【0019】
図7は,本発明の実施例において,方法2に基づくMR信号の合成方法を説明する図である。A/D区間内で計測されscan1,2,3毎に異なる,図7(a),図7(b),図7(c)に示すように,A/D区間内で計測されscan1,2,3毎に異なるそれぞれのMR信号について,スキャン毎にMR信号の最大値(ピーク)を求め,ピークのサンプリングポイントを中心に所定の時間幅Twを設けて,図7(a),図7(b),図7(c)に示すそれぞれのMR信号から時間幅Twの領域を切り出して,MR信号を加算平均して,図7(d)に示すようなMR信号の合成結果を得る。ここで,A/D開始時間,A/D終了時間の制約により,時間幅Twが,ピークのサンプリングポイントを中心に所定の時間幅として設定できない場合には,図8に示すように,ピーク含む所定の時間幅Tw’を設定して,図7により説明した方法を適用して,MR信号の合成を行なう。なお,方法1,方法2において,複数スキャンのデータが重なっている領域で加算平均を行なう代わりに信号強度の大きい方のスキャンのデータを選択してもよい。また,方法1で設定する閾値,及び,方法2で設定する時間幅Tw,Tw’は,装置ごとあるいはパルスシーケンス毎に値を変えてもよいことは言うまでもない。
【0020】
【発明の効果】
以上のように,本発明によれば,MRI装置における傾斜磁場波形の計測精度を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の傾斜磁場波形計測に使用されるシーケンスを示す図。
【図2】本発明の実施例において,ディフェイズの印加量と,サンプリング中の信号強度が最大となる時点との対応を示す図。
【図3】本発明の実施例において,スライス厚とMR信号との対応を示す図。
【図4】本発明が適用されるMRI装置の構成例を示す図。
【図5】本発明の実施例の傾斜磁場波形の計測の手順を示す図。
【図6】本発明の実施例において,方法1に基づくMR信号の合成方法を説明する図。
【図7】本発明の実施例において,方法2に基づくMR信号の合成方法を説明する図。
【図8】本発明の実施例において,時間幅Tw’を示す図。
【符号の説明】
10…組成が均一な物体,101…静磁場を発生する磁石,102…検査対象,103…ベッド,104…高周波磁場コイル,108…x方向の傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場発生コイル,109…y方向の傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場発生コイル,110…z方向の傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場発生コイル,105…傾斜磁場発生コイル108に電流を供給するためのコイル駆動装置,106…傾斜磁場発生コイル109に電流を供給するためのコイル駆動装置,107…傾斜磁場発生コイル110に電流を供給するためのコイル駆動装置,111…シンセサイザ,112…変調装置,113…増幅器,114…検波装置,115…計算機,116…CRTディスプレイ,117…メモリ。
Claims (1)
- 静磁場を発生する静磁場発生手段と,互いに直交する3方向の傾斜磁場を発生する傾斜磁場発生手段と,高周波磁場を発生する高周波磁場発生手段と,検査対象から発生する核磁気共鳴信号を検出する信号検出手段と,検出された前記核磁気共鳴信号に対して所定の演算処理を施す演算手段と,前記傾斜磁場発生手段と前記高周波磁場発生手段と前記信号検出手段及び前記演算手段を制御する制御手段とを有し,前記制御手段は,
(1)前記高周波磁場と1方向の前記傾斜磁場とを同時に印加して検査対象の所定領域の核磁化を励起状態にすること,
(2)ディフェイズ磁場を前記1方向に印加すること,
(3)前記1方向の前記傾斜磁場を印加して(1)で励起された前記核磁化による前記核磁気共鳴信号を計測すること,
(4)(2)で印加する前記ディフェイズ磁場の印加量を変化させて(1)から(3)を複数回繰り返すこと,の制御行ない,前記演算手段は,(1)から(3)の複数回の繰り返しにより計測された前記核磁気共鳴信号のそれぞれから,所定の条件を満たす領域を抽出して,新たな核磁気共鳴信号を合成する演算と,合成された前記新たな核磁気共鳴信号から傾斜磁場波形を求める演算と行なうことを特徴とするMRI装置。
Priority Applications (1)
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JP2002192853A JP2004033382A (ja) | 2002-07-02 | 2002-07-02 | Mri装置 |
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Cited By (1)
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JP2006149564A (ja) * | 2004-11-26 | 2006-06-15 | Ge Medical Systems Global Technology Co Llc | Mri装置およびmri装置の画質改善方法 |
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2002
- 2002-07-02 JP JP2002192853A patent/JP2004033382A/ja active Pending
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JP2006149564A (ja) * | 2004-11-26 | 2006-06-15 | Ge Medical Systems Global Technology Co Llc | Mri装置およびmri装置の画質改善方法 |
JP4699744B2 (ja) * | 2004-11-26 | 2011-06-15 | ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー | Mri装置およびmri装置の画質改善方法 |
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