JP2004031310A - 端子金具 - Google Patents
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Abstract
【課題】本体部を所定形状に保つ。
【解決手段】本体部31は、金属母材を所定形状に打ち抜いたものを長さ方向に沿って折り曲げることで略角筒状に成形されている。本体部31は、前後に延出する底壁33と、底壁33の両側縁から立ち上がる一対の側壁34,35と、側壁34の突出端から底壁33と対向するよう突出する天井壁36と、側壁35の突出端から突出するとともに天井壁36の外側に重ね合わせられる外壁37とから構成されている。外壁37の前部37aには、前部保持片50が突設され、側壁34には、前部保持片50が嵌合可能な前部保持溝51が切欠形成されている。前部保持片50の後端には、被規制突部70が設けられ、前部保持溝51には、被規制突部70に係止することで、前部保持片50を有する外壁37の前部37aが開き変形するのを規制可能な規制溝部71が形成されている。
【選択図】 図6
【解決手段】本体部31は、金属母材を所定形状に打ち抜いたものを長さ方向に沿って折り曲げることで略角筒状に成形されている。本体部31は、前後に延出する底壁33と、底壁33の両側縁から立ち上がる一対の側壁34,35と、側壁34の突出端から底壁33と対向するよう突出する天井壁36と、側壁35の突出端から突出するとともに天井壁36の外側に重ね合わせられる外壁37とから構成されている。外壁37の前部37aには、前部保持片50が突設され、側壁34には、前部保持片50が嵌合可能な前部保持溝51が切欠形成されている。前部保持片50の後端には、被規制突部70が設けられ、前部保持溝51には、被規制突部70に係止することで、前部保持片50を有する外壁37の前部37aが開き変形するのを規制可能な規制溝部71が形成されている。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、端子金具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、角筒状をなす本体部を備えた端子金具の一例として下記特許文献1に記載されたものが知られている。このものは、図14に示すように、前後に細長い底壁1と、底壁1の両側縁から立ち上がる一対の側壁2,3と、図示右側の側壁2の立ち上がり端から突設されるとともに底壁1に対向する天井壁4と、左側の側壁3から突設されるとともに天井壁4の外側に重ね合わされてその突出端を右側の側壁2の立ち上がり端に突き合わせた外壁5とから構成される本体部6を備えている。
【0003】
【特許文献1】特開平4−209471号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、外壁5は、左側の側壁3から片持ち状に突出する形態となっている。従って、この外壁5に対して何らかの外力が作用すると、例えば外壁5が外側へ開くようにして変形することがあり、そうなると本体部6を角筒状に保つことができなくなってしまう。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、本体部を所定形状に保つことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、基材を長さ方向に沿って折り曲げることで略角筒状に成形される本体部を備えたものにおいて、本体部における突き合わせ端のうちの一方には、保持片が突設され、他方には、保持片が嵌合可能な保持溝が切欠形成されることで、本体部のうち保持片または保持溝を有する壁が互いに長さ方向について遊動するのが規制可能となっており、且つ前記保持片には、被規制部が設けられ、前記保持溝には、前記被規制部に係止することで、前記保持片を有する壁が開くのを規制可能な規制部が設けられている構成としたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記保持片を有する壁には、当該端子金具をコネクタハウジング内に後方から挿入したときにその内部に備えられた抜け止め部が係止されることで当該端子金具を抜け止め可能となっているものにおいて、前記被規制部と前記規制部とは、それぞれ前記保持片と前記保持溝とにおける後端側に設けられているところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記保持片を有する壁には、前記抜け止め部が進入するのを許容するよう切欠部が形成され、この切欠部の前側の切断端面に対して抜け止め部が係止可能とされ、且つ前記壁が前記切欠部によって前後に分断して形成されているものにおいて、前記保持片及び前記被規制部は、前記壁のうち、前記抜け止め部が係止される前部側に設けられているところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項2または請求項3に記載のものにおいて、前記保持片における前端側には、被補助規制部が設けられ、前記保持溝における前端側には、被補助規制部に係止することで、前記保持片を有する壁が開くのを規制可能な補助規制部が設けられているところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、前記保持溝及び前記規制部を有する壁には、補強のためのビードが叩き出して形成されているところに特徴を有する。
【0010】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
本体部に対して何らかの外力が作用した場合でも、保持片が保持溝に嵌合されることで、保持片または保持溝を有する壁が互いに長さ方向について遊動するのが規制された状態に保持されるとともに、被規制部に規制部が係止することで、保持片を有する壁が開くのを規制することができる。これにより、本体部を略角筒状に保つことができる。
【0011】
<請求項2の発明>
保持片を有する壁に対してコネクタハウジング内に備えられた抜け止め部が係止された状態で、当該端子金具に対して後方へ引っ張るような力が作用した場合には、壁には、前端側を支点として後端側が捲れるような力が作用する。その場合でも、被規制部と規制部とがそれぞれ保持片と保持溝とにおける後端側に設けられているから、壁が捲れるようにして変位するのを有効に規制することができる。これにより、抜け止め部によって端子金具を安定した状態で抜け止めすることができる。
【0012】
<請求項3の発明>
切欠部内に進入した抜け止め部が切欠部における前側の切断端面に係止されることで端子金具の抜け止めが図られる。切欠部が壁を前後に分断するような範囲に形成されているから、抜け止め部の係止面積を大きく確保することができ、端子金具が小型であっても抜け止め力を十分に得ることができる。
このように壁が切欠部によって前後に分断されたものでは、強度的に不利となるために抜け止め部が係止される前部側が長さ方向に遊動し易くなるとともに捲れ易くなるものの、保持片や被規制部によってそのような事態を防ぐことができる。つまり、本発明によれば小型化に好適な端子金具を提供することができる。
【0013】
<請求項4の発明>
保持片を有する壁に対して前端側を支点として後端側が捲れるような力が作用した場合でも、被規制部に規制部が係止するのに加えて、前端側に配された被補助規制部に補助規制部が係止することで、壁が捲れるようにして変位するのをより確実に規制することができる。
【0014】
<請求項5の発明>
壁に保持溝を設けることで強度的に不利になるものの、ビードを設けることで、その壁の強度を高く保つことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を図1ないし図12によって説明する。この第1実施形態では、雌コネクタハウジング10(以下、単に雌ハウジング10という)内に挿入可能な雌端子金具30を示す。この雌端子金具30は、雌ハウジング10内に収容された状態で、雌ハウジング10に対して嵌合される相手の雄ハウジング内に収容された雄端子金具(雄ハウジング共々図示せず)と導通接続可能とされている。なお以下では、雌ハウジング10に対する雌端子金具30の挿入方向を前方とし、逆の抜き取り方向を後方とし、また上下方向の記載は図4などを基準として説明する。
【0016】
雌ハウジング10は、図1及び図4に示すように、内部には後方から雌端子金具30を挿入可能なキャビティ11が上下2段、幅方向に複数室並んで配設されている。キャビティ11内に挿入される雌端子金具30は、キャビティ11の下壁12から突設されたランス13により弾性的に抜け止め可能とされるとともに、雌ハウジング10の前壁14によって前止まり状態に支持されるようになっている。この雌ハウジング10の前壁14には、相手の雄端子金具のタブがキャビティ11内に前方から進入するのを許容するタブ挿通孔15が穿設されており、その前側の孔縁には、全周にわたって略擂鉢状をなす誘導面16が形成されることで、タブの進入動作が円滑に誘導されるようになっている。雌ハウジング10の前壁14のうちタブ挿通孔15よりも下方位置(タブ挿通孔15とはランス13の撓み方向にずれた位置)には、雌ハウジング10の成形時にランス13を成形する前側の金型を前方へ型抜きするために型抜き孔17が穿設されている。前壁14における型抜き孔17の孔縁上部幅方向中央には、下方へ突き出る略三角形状の突出部18が設けられ、この突出部18にも上記誘導面16が連続して形成されている。
【0017】
各キャビティ11の下壁12は、前側の約1/4部分が一段低く形成されるとともにその段差部分から片持ち状のランス13が前方へ突出して形成されている。このランス13は、全体としては前端側にかけて次第に上方、すなわちキャビティ11内に張り出すよう、前方へ向かって上り勾配をなす傾斜状に形成されており、キャビティ11内への張出部分が挿入される雌端子金具30により押圧されることで突出基端(後端)を支点として下方(雌端子金具30の挿抜方向と交差する方向)へ撓み変形可能とされている。この撓み時にランス13は、下壁12の低位部分12aとの間に確保された撓み空間内に退避するようになっている。このランス13の前方に確保された空間内には、雌端子金具30の係止突部52が進入可能とされている。ランス13の下方に対向する下壁12の低位部分12aは、ランス13がその弾性限度を超えて撓み変形する手前の段階でランス13の下面に係合することで、その過度撓み変形を規制できるようになっている。またランス13は、前壁14に連結された下壁12の低位部分12aにより、全幅にわたって下方のキャビティ11または下方外部に露出することなく覆われており、もってランス13の保護が図られている。
【0018】
キャビティ11の下壁12のうちランス13よりも後側部分には、雌端子金具30の形状に合わせて溝が形成されている。すなわち、下壁12のうち幅方向略中央には、図7に示すように、雌端子金具30の係止突部52及び突部49を挿通可能な突部挿通溝19が形成されており、この突部挿通溝19よりも図7の奥側には、雌端子金具30のスタビライザ47を挿通可能とされ、且つ突部挿通溝19よりもさらに低いスタビライザ挿通溝20が形成されている。この突部挿通溝19は、ランス13の前端にまで連続して形成されるのに対し、スタビライザ挿通溝20は、前端位置がランス13よりも少し後方に設定されている。
【0019】
ランス13の前端両側部の下側約3/5部分には、ランス13を強制的に撓み変形させるための解除治具(図示せず)によって操作可能とされる一対の操作凹部24が前方に開口して形成されている。両操作凹部24は、雌端子金具30がランス13に係止した状態でも前方外部に露出するように配置されており、前方から型抜き孔17を通して挿入される解除治具により下方へ押圧操作可能とされている。操作凹部24は、ランス13を側方から見て略三角形状に切欠して形成され、その上面がほぼ水平をなすのに対し、下面が後方へ向かって上り勾配をなすテーパ状をなしている。
【0020】
雌端子金具30は、金属母材を所定形状に打ち抜いたものに叩き加工や曲げ加工などを施すことで所望の形状に成形されている。この雌端子金具30は、図3及び図4に示すように、大まかには略角筒状をなす本体部31と、電線Wの端末に圧着接続可能なバレル部32とを前後に繋げた構成となっている。このうち、バレル部32は、前後に一対ずつのかしめ片32a,32bを備え、前側の両かしめ片32aが電線Wの芯線部分Waにかしめ付けられるのに対し、後側の両かしめ片32bが電線Wの被覆部分Wbにかしめ付けられるようになっている。
【0021】
本体部31は、金属母材を所定形状に打ち抜いたもの(特許請求の範囲に記載した基材に相当する)を長さ方向に沿って折り曲げることで、図2に示すように、略角筒状に成形されている。本体部31は、前後に延出する底壁33と、底壁33の両側縁から立ち上がる一対の側壁34,35と、図2の左側の側壁34の突出端から底壁33と対向するよう突出する天井壁36と、図2の右側の側壁35の突出端から突出するとともに天井壁36の外側に重ね合わせられる外壁37とから構成されている。
【0022】
底壁33は、図5に示すように、他の壁34,35,36,37と比較して前端が後方へ引っ込んだ位置に配されており、この前端から弾性接触片38が突設されている。弾性接触片38は、底壁33の前端から前方へ突出する舌片を後方へ向けて折り返すことで、略山形をなす片持ち状に形成されている。この弾性接触片38は、本体部31内に前方から挿入される相手の雄端子金具のタブに対して弾性接触可能とされている。また弾性接触片38に対向する天井壁36には、タブを弾性接触片38との間で挟圧状態に保持可能な受け部43が内側に張り出して設けられている。また底壁33には、弾性接触片38が弾性限度を超えて変形する手前の段階で弾性接触片38に係合することで、弾性接触片38の過度撓みを規制可能な過度撓み規制部42が内側に叩き出して設けられている。
【0023】
外壁37は、図3及び図5に示すように、その長さ方向略中央部分に切欠部44が全幅にわたって形成されることで、前部37aと後部37bとに分断されている。この切欠部44内には、雌端子金具30がキャビティ11内に挿入されると、ランス13が全長にわたって進入可能とされ、切欠部44の前側の切断端面44aに対してランス13が係止可能とされている。ランス13に対する係止面である切欠部44における前側の切断端面44aは、全域にわたって内側に傾斜するテーパ状に形成されている。この切欠部44は、外壁37の半分弱の長さを有するとともに図3の奥側の側壁35の上端部にまで形成されている。この側壁35の上端面(切欠部44における側方の切断端面)には、天井壁36の突出端から突設された張出片45が当接されることで、天井壁36をほぼ水平な姿勢に支持できるようになっている。天井壁36のうち、受け部43を有する前半部分には、後半部分よりも僅かに低くなるよう凹部55が張出片45における側壁35との当接部分を含めた全域にわたって形成されており、その分だけランス13の係止深さを稼ぐことができるようになっている。この凹部55は、図6に示すように、側壁34の上端部に及ぶ範囲にわたって形成され、その前方に後述する前部保持片50の後端面が臨んで配されている。また外壁37の前部37aは、前後長さが後部37bよりも少し短く設定されている。
【0024】
外壁37の後部37bにおける突出端からは、図6に示すように、底壁33側へ屈曲される後部保持片46と、その反対側(外方)へ屈曲されるスタビライザ47とが前後に設けられている。後部保持片46は、図6の紙面手前側の側壁34に切欠形成された後部保持溝48内に嵌合されることで、後部37bが前後に遊動するのを規制した状態に保持できるようになっている。スタビライザ47は、キャビティ11内のスタビライザ挿通溝20内に挿通されることで、雌端子金具30の挿入動作を案内可能となっている。また後部保持片46の前端が後部37bの前端と、スタビライザ47の後端が後部37bの後端と、それぞれ揃えられている。後部37bのうち後端部の幅方向中央には、スタビライザ47とほぼ同じ長さを有する突部49が外方へ突出するよう叩き出して形成されている。この突部49は、雌端子金具30がキャビティ11内に挿入されると、キャビティ11の下面(突部挿通溝19の上面)に当接可能とされている。
【0025】
外壁37の前部37aにおける幅方向に沿った後端縁部(切欠部44の前側の切断端部)の略中央(正確には中央よりも僅かに図2の左側にずれた位置)には、ランス13が係止可能とされる係止突部52が外側へ突出するよう叩き出して形成されている。係止突部52は、図3及び図4に示すように、全体としては前端を頂点とする略角錐状をなしており、前端側にかけて幅寸法及び高さ寸法が減少する先細り状をなすとともに3つの斜面により構成される角錐部52aと、幅寸法及び高さ寸法が一定とされるとともに3つの側面により構成される角筒部52bとを前後に繋げた構成となっている。係止突部52の角錐部52aは、先細り状とされ、且つその前端部がやや丸みを帯びた形状に形成されることで、キャビティ11内に雌端子金具30が挿入される過程において突部挿通溝19内での挿通動作を円滑にできるようになっている。係止突部52の角筒部52bは、切欠部44の前側の切断端面44aの傾斜に沿って後方へオーバーハング状に突出して形成され、外壁37の前部37aよりも後方に突出している。
【0026】
この係止突部52は、上記突部49とほぼ同じ高さ位置まで突出するよう設定され、突部49と同様にキャビティ11の突部挿通溝19内に挿通可能とされている。係止突部52のうちランス13に対する係止面である後端面は、切欠部44の前側の切断端面44aにより構成されており、内側に傾斜したテーパ状に形成されている。外壁37の前部37aのうち係止突部52に対する両側方部分の後端面についても、内側に傾斜したテーパ状をなす切欠部44の前側の切断端面44aにより構成され、ランス13が係止可能とされている。
【0027】
さて、外壁37の前部37aにおける突出端(側壁34との突き合わせ端)からは、図6に示すように、底壁33側へ屈曲される前部保持片50が設けられている。前部保持片50は、図6の紙面手前側の側壁34に切欠形成された前部保持溝51内に嵌合されることで、前部37aが前後に遊動するのを規制した状態に保持できるようになっている。この前部保持片50は、外壁37の前部37aよりも後方へ突出して形成されている。そして、前部保持片50の根元部分には、上記切欠部44が拡張して形成され、その切断端面44aが既述したように内側に傾斜したテーパ状に形成されており、ここにランス13の側端部が係止可能とされている。
【0028】
そして、前部保持片50の突出端部後端からは、後方へ突出する被規制突部70が設けられており、前部保持溝51の上端部後端には、被規制突部70を嵌合可能な規制溝部71が設けられている。被規制突部70及び規制溝部71における下面は、共に前傾したテーパ状に形成されている。被規制突部70は、規制溝部71内に嵌合した状態では、その下面が規制溝部71の下面に対して係止可能となっているから、仮に外壁37の前部37aに対して外側へ開くような力が作用した場合でも、その開き変形を規制することができる。前部保持片50及び前部保持溝51における前端部上面は、共に前傾したテーパ状に形成されている。雌端子金具30の成形過程においては、先に外壁37の前部37aを側壁35から折り曲げた後に、外壁37の前部37aから前部保持片50を折り曲げることで、前部保持片50を前部保持溝51内に嵌合させるとともに、被規制突部70を規制溝部71内に嵌合させるようにする。
【0029】
前部保持溝51及び規制溝部71が設けられた側壁34のうち、前部保持溝51及び規制溝部71の上方位置には、前後に細長い長円形状をなす第2ビード64が外方へ叩き出して形成されており、これにより側壁34の補強が図られている。またキャビティ11の前半部分における図4の紙面奥側の側面には、雌端子金具30の挿入時に第2ビード64を逃がすための逃がし溝部61が後方へ開放する形態に凹み形成されている。この逃がし溝部61は、第2ビード64に整合するような弧状に形成されており、キャビティ11の側面のうち上下方向について中央よりもやや上方位置に配設されるとともに、その前端位置が後述する支持溝部60よりも少し前方位置に設定されている。
【0030】
また、この雌コネクタには、キャビティ11内に挿入した雌端子金具30が上下に傾動するのを規制するための手段が講じられている。先に雌ハウジング10側に関して説明すると、図6に示すように、キャビティ11の内周面のうち、上下方向(ランス13の撓み方向)に沿った図6の紙面奥側の側面には、支持溝部60が後方に開放する形態に凹み形成されている。この支持溝部60は、後述する被支持突部62に整合するような角型に形成されており、キャビティ11の側面のうち上下方向についてほぼ中央位置に配設されるとともに、その前端位置がキャビティ11の前面よりもやや後方位置に設定されている。支持溝部60の上下面60a,60bは、ランス13の撓み方向と略直交する方向である幅方向に沿って真っ直ぐに形成されている。
【0031】
一方、雌端子金具30側に関して説明すると、本体部31のうち図2の右側の側壁35には、上記した支持溝部60内に嵌合可能な被支持突部62が外方へ突出して設けられている。被支持突部62は、側壁35の一部を外方へ叩き出すことで成形されており、前後両端部が側壁35に連結された両持ち梁状をなすとともに、前後方向(ランス13の撓み方向と略直交する方向)に沿った上辺及び下辺が共に側壁35から切り離されている。この被支持突部62のうち、側壁35からの前後の立ち上がり部分が側壁35に対して傾斜しており、その前端面が後傾した斜面とされるとともに後端面が前傾した斜面とされることで、キャビティ11に対する雌端子金具30の挿抜作業を円滑に行うことができるようになっている。被支持突部62の上下面62a,62bは、側壁35から切り離された切断端面となっており、ほぼ水平な形状、言い換えると前後方向及び幅方向(ランス13の撓み方向と略直交する方向)に沿ってほぼ真っ直ぐな形状に形成されている。そして、雌端子金具30をキャビティ11内に挿入するのに伴って、被支持突部62が支持溝部60内に嵌合されると、被支持突部62の上下面62a,62bが支持溝部60の上下面60a,60bに対して係止されるようになっている(図11)。また被支持突部62は、側壁35のうち、上下方向についてほぼ中央位置に、前後方向について中央よりも前寄り(係止突部52よりは後方)位置に配されており、その上下方向についての幅寸法(高さ寸法)が本体部31の約1/4の大きさとなっている。また側壁35のうち、被支持突部62よりも前方位置には、前後に細長い長円形状をなす第1ビード63が外方へ叩き出して形成され、これにより側壁35の補強が図られている。第1ビード63は、被支持突部62における上下方向についての幅寸法内に配置されるとともに、外方への突出高さが被支持突部62よりも低く設定されることで、雌端子金具30をキャビティ11内に挿入する際に支持溝部60内に進入可能とされている。
【0032】
ところで、両側壁34,35は、既述した通り底壁33よりも前方へ延出して形成されている。このため、雌端子金具30の成形過程において、底壁33から両側壁34,35を立ち上げる曲げ加工を行うときに、両側壁34,35の延出部分に曲げの影響が及ぶのを防ぐことを目的として、両側壁34,35には、底壁33の前端位置とほぼ同じ位置に上方へ開放するスリット54がそれぞれ切欠形成されている(図4及び図6)。このようなスリット54を設けると、両側壁34,35の強度低下が問題となるが、第1ビード63が側壁35のうちスリット54と切欠部44とを最短距離で結ぶ仮想線L1上に配されるとともに、第2ビード64が側壁34のうちスリット54と前部保持溝51とを最短距離で結ぶ仮想線L2上に配されているから、両側壁34,35の強度低下を効果的に補うことができる。
【0033】
本実施形態は以上のような構造であり、続いてその作用について説明する。図4ないし図7に示すように、雌端子金具30のバレル部32に電線Wを圧着接続した後に、雌端子金具30をキャビティ11内に後方から挿入する。雌端子金具30をキャビティ11内に挿入すると、係止突部52が突部挿通溝19内に挿通されるとともに、第2ビード64が逃がし溝部61内に進入し、第1ビード63と被支持突部62とが支持溝部60内に順次に嵌合する。その後、突部49が突部挿通溝19内に、スタビライザ47がスタビライザ挿通溝20内にそれぞれ挿通されることで、雌端子金具30が上下左右にがたつくのが抑制されつつ円滑に挿入される。そして、雌端子金具30が所定深さまで挿入されると、図8に示すように、係止突部52によってランス13が押圧されて下方へ撓み変形される。この過程では、係止突部52が前端を頂点とする略角錐状に形成されていることで、突部挿通溝19内での挿通動作が円滑になり、且つランス13をスムーズに押圧できるようになっている。
【0034】
雌端子金具30がキャビティ11内に正規深さまで挿入されるのに伴って、係止突部52がランス13を乗り越えるとともに、ランス13は、図9ないし図12に示すように、弾性復帰して切欠部44内に進入しつつ雌端子金具30に対して弾性的に係止される。このとき、ランス13の前端部が係止突部52の内側に進入可能とされる。この状態では、被支持突部62が支持溝部60内に嵌合しており、互いの上下面60a,60b,62a,62bが係止した状態となっている(図11)。従って、例えば電線Wに引っ張り力が作用した場合でも、雌端子金具30が上下方向に傾動するのを規制することができる。しかも、被支持突部62の上下面62a,62bは、側壁35から切り離されることで水平方向に沿ってほぼ真直な切断端面となっているから、雌端子金具30をしっかりと支持することができ、雌端子金具30の傾動動作を確実に規制することができる。
【0035】
ここで、ランス13に対する係止面である切欠部44の前側の切断端面44aは、係止突部52を含めた外壁37の前部37a及び前部保持片50に至るまで、すなわち雌端子金具30のほぼ全幅領域にわたって形成されているので、雌端子金具30は、強固な抜け止め力でもってキャビティ11内から抜け止め状態に保持される(図12)。しかも、切欠部44の前側の切断端面44aは、内側に傾斜したテーパ状に形成されているので、抜け止め力がより強固なものとなっている。
【0036】
上記のような係止状態から、電線Wを介して雌端子金具30に対して後方へ引っ張るような力が作用する場合がある。その場合、ランス13が直接に係止する外壁37の前部37aには、全体を前方へ変位させるような力や、前端側を支点として後端側を下方へ捲るような力が作用することになる。ところが、前部保持片50が前部保持溝51内に嵌合して両者50,51の前面同士が係止することで、外壁37の前部37aが側壁34に対して相対的に前方へ遊動するのが規制される。その上、被規制突部70が規制溝部71内に嵌合するとともに両者70,71の下面同士が係止することで、外壁37の前部37が下方へ捲れるようにして開き変形するのを規制することができる(図11)。つまり本体部31を所定の角筒形状に保つことができる。これによりランス13によって雌端子金具30を安定した状態に抜け止めすることができる。
【0037】
以上説明したように本実施形態によれば、本体部31に対して何らかの外力が作用した場合でも、前部保持片50が前部保持溝51内に嵌合されることで、外壁37の前部37aと側壁34とが互いに前後方向(長さ方向)について遊動するのが規制された状態に保持されるとともに、被規制突部70に規制溝部71が係止することで、外壁37の前部37aが外側に開き変形するのを規制することができる。これにより、本体部31を略角筒状に保つことができる。
【0038】
ところで、雌端子金具30をキャビティ11内に挿入して、外壁37の前部37aに対してランス13に係止した状態から雌端子金具30を後方へ引っ張るような力が作用した場合、外壁37の前部37aには、前端側を支点として後端側が捲れるような力が作用する。ところが、被規制突部70と規制溝部71とがそれぞれ前部保持片50と前部保持溝51とにおける後端側に設けられているから、外壁37の前部37aが、捲れるようにして変位するのを有効に規制することができる。これにより、ランス13によって雌端子金具30を安定した状態で抜け止めすることができる。
【0039】
しかも、切欠部44が外壁37を前後に分断するような範囲に形成されているから、ランス13の係止面積を大きく確保することができ、雌端子金具30が小型であっても抜け止め力を十分に得ることができる。このように外壁37が切欠部44によって前後に分断されたものでは、強度的に不利となるためにランス13が係止される前部37aが長さ方向に遊動し易くなるとともに捲れ易くなるものの、前部保持片50や被規制突部70によってそのような事態を防ぐことができる。つまり、本実施形態によれば小型化に好適な雌端子金具30を提供することができる。
【0040】
さらには、側壁34に補強のための第2ビード64を設けるようにしたから、前部保持溝51及び規制溝部71を設けることで側壁34が強度低下するのを補うことができる。
【0041】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を図13によって説明する。この第2実施形態では、前部保持片50と前部保持溝51とにおける前端側に、それぞれ被補助規制突部72と補助規制溝部73とを設けたものを示す。なおこの第2実施形態では、上記した第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0042】
前部保持片50における上部前端からは、図13に示すように、前方へ突出する被補助規制突部72が設けられており、前部保持溝51の上部前端には、被補助規制突部72を嵌合可能な補助規制溝部73が設けられている。被補助規制突部72及び補助規制溝部73における下面は、共に前傾したテーパ状に形成されている。被補助規制突部72は、補助規制溝部73内に嵌合した状態では、その下面が補助規制溝部73の下面に対して係止可能となっている。従って、既述したような理由から外壁37の前部37aを外側へ開く(捲る)ような力が作用した場合でも、後側の被規制突部70が規制溝部71に係止するとともに、前側の被補助規制突部72が補助規制溝部73に係止することで、外壁37の前部37aが外側に開き(捲れ)変形するのを確実に規制することができる。
【0043】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記した実施形態では、雌端子金具の成形過程において、外壁の前部を側壁から折り曲げた後に前部保持片を前部保持溝側へ折り曲げて被規制突部を規制溝部内に嵌合させるものを示したが、例えば、被規制突部の突出長さを小さく設定することで、先に前部保持片を外壁の前部から折り曲げてから、外壁の前部を側壁から折り曲げることで、被規制突部を規制溝部内に嵌合させるようにしてもよく、そのようなものも本発明に含まれる。
【0044】
(2)上記した実施形態では、前部保持片に被規制突部を設けて、前部保持溝に規制溝部を設けるようにしたものを示したが、前部保持片を一部切欠することで被規制溝部を設けて、前部保持溝の周面から被規制溝部内に嵌合可能な規制突部を設けるようにしたものも本発明に含まれる。
(3)上記した実施形態では、ランスに係止される外壁の前部について開き変形を規制すべく、前部保持片と前部保持溝とにそれぞれ被規制突部と規制溝部とを設けたものを示したが、外壁の後部について開き変形を規制すべく、後部保持片と後部保持溝とにそれぞれ被規制突部と規制溝部とを設けるようにしたものも本発明に含まれる。
(4)上記した第2実施形態に記載したものにおいて、前部保持片と前部保持溝における後端側に設けられた被規制突部と規制溝部とを省略したものも本発明に含まれる。
【0045】
(5)上記した実施形態では、本体部が外壁の内側に天井壁を有する構造のものを示したが、天井壁を省略したものにも本発明は適用可能である。
(6)上記した実施形態では、雌端子金具について例示したが、雄端子金具についても本発明は適用可能である。
(7)上記した実施形態では、抜け止め部として雌ハウジング内に一体形成されたランスを例示したが、例えば雌ハウジングとは別体とされ、雌ハウジングに対して装着されることで、雌端子金具を抜け止め保持可能なリテーナを抜け止め部としたものも本発明に含まれる。また上記した実施形態のように片持ち状のランス以外にも両持ち状のランスを抜け止め部としたものも本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る雌ハウジングの正面図
【図2】雌端子金具の正面図
【図3】雌端子金具の底面図
【図4】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が右側面図)
【図5】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が図2のD−D線断面図)
【図6】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のB−B線断面図、雌端子金具が左側面図)
【図7】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のC−C線断面図、雌端子金具が平面図)
【図8】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する途中の状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が右側面図)
【図9】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入した状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が右側面図)
【図10】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入した状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が図2のD−D線断面図)
【図11】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入した状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のB−B線断面図、雌端子金具が左側面図)
【図12】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入した状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のC−C線断面図、雌端子金具が平面図)
【図13】本発明の第2実施形態に係る雌端子金具の左側面図
【図14】従来例の斜視図
【符号の説明】
10…雌ハウジング(コネクタハウジング)
13…ランス(抜け止め部)
30…雌端子金具(端子金具)
31…本体部
34…側壁(保持溝を有する壁)
37a…前部(保持片を有する壁)
44…切欠部
44a…切断端面
50…前部保持片(保持片)
51…前部保持溝(保持溝)
64…第2ビード(ビード)
70…被規制突部(被規制部)
71…規制溝部(規制部)
72…被補助規制突部(被補助規制部)
73…補助規制溝部(補助規制部)
【発明の属する技術分野】
本発明は、端子金具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、角筒状をなす本体部を備えた端子金具の一例として下記特許文献1に記載されたものが知られている。このものは、図14に示すように、前後に細長い底壁1と、底壁1の両側縁から立ち上がる一対の側壁2,3と、図示右側の側壁2の立ち上がり端から突設されるとともに底壁1に対向する天井壁4と、左側の側壁3から突設されるとともに天井壁4の外側に重ね合わされてその突出端を右側の側壁2の立ち上がり端に突き合わせた外壁5とから構成される本体部6を備えている。
【0003】
【特許文献1】特開平4−209471号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、外壁5は、左側の側壁3から片持ち状に突出する形態となっている。従って、この外壁5に対して何らかの外力が作用すると、例えば外壁5が外側へ開くようにして変形することがあり、そうなると本体部6を角筒状に保つことができなくなってしまう。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、本体部を所定形状に保つことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、基材を長さ方向に沿って折り曲げることで略角筒状に成形される本体部を備えたものにおいて、本体部における突き合わせ端のうちの一方には、保持片が突設され、他方には、保持片が嵌合可能な保持溝が切欠形成されることで、本体部のうち保持片または保持溝を有する壁が互いに長さ方向について遊動するのが規制可能となっており、且つ前記保持片には、被規制部が設けられ、前記保持溝には、前記被規制部に係止することで、前記保持片を有する壁が開くのを規制可能な規制部が設けられている構成としたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記保持片を有する壁には、当該端子金具をコネクタハウジング内に後方から挿入したときにその内部に備えられた抜け止め部が係止されることで当該端子金具を抜け止め可能となっているものにおいて、前記被規制部と前記規制部とは、それぞれ前記保持片と前記保持溝とにおける後端側に設けられているところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記保持片を有する壁には、前記抜け止め部が進入するのを許容するよう切欠部が形成され、この切欠部の前側の切断端面に対して抜け止め部が係止可能とされ、且つ前記壁が前記切欠部によって前後に分断して形成されているものにおいて、前記保持片及び前記被規制部は、前記壁のうち、前記抜け止め部が係止される前部側に設けられているところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項2または請求項3に記載のものにおいて、前記保持片における前端側には、被補助規制部が設けられ、前記保持溝における前端側には、被補助規制部に係止することで、前記保持片を有する壁が開くのを規制可能な補助規制部が設けられているところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、前記保持溝及び前記規制部を有する壁には、補強のためのビードが叩き出して形成されているところに特徴を有する。
【0010】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
本体部に対して何らかの外力が作用した場合でも、保持片が保持溝に嵌合されることで、保持片または保持溝を有する壁が互いに長さ方向について遊動するのが規制された状態に保持されるとともに、被規制部に規制部が係止することで、保持片を有する壁が開くのを規制することができる。これにより、本体部を略角筒状に保つことができる。
【0011】
<請求項2の発明>
保持片を有する壁に対してコネクタハウジング内に備えられた抜け止め部が係止された状態で、当該端子金具に対して後方へ引っ張るような力が作用した場合には、壁には、前端側を支点として後端側が捲れるような力が作用する。その場合でも、被規制部と規制部とがそれぞれ保持片と保持溝とにおける後端側に設けられているから、壁が捲れるようにして変位するのを有効に規制することができる。これにより、抜け止め部によって端子金具を安定した状態で抜け止めすることができる。
【0012】
<請求項3の発明>
切欠部内に進入した抜け止め部が切欠部における前側の切断端面に係止されることで端子金具の抜け止めが図られる。切欠部が壁を前後に分断するような範囲に形成されているから、抜け止め部の係止面積を大きく確保することができ、端子金具が小型であっても抜け止め力を十分に得ることができる。
このように壁が切欠部によって前後に分断されたものでは、強度的に不利となるために抜け止め部が係止される前部側が長さ方向に遊動し易くなるとともに捲れ易くなるものの、保持片や被規制部によってそのような事態を防ぐことができる。つまり、本発明によれば小型化に好適な端子金具を提供することができる。
【0013】
<請求項4の発明>
保持片を有する壁に対して前端側を支点として後端側が捲れるような力が作用した場合でも、被規制部に規制部が係止するのに加えて、前端側に配された被補助規制部に補助規制部が係止することで、壁が捲れるようにして変位するのをより確実に規制することができる。
【0014】
<請求項5の発明>
壁に保持溝を設けることで強度的に不利になるものの、ビードを設けることで、その壁の強度を高く保つことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を図1ないし図12によって説明する。この第1実施形態では、雌コネクタハウジング10(以下、単に雌ハウジング10という)内に挿入可能な雌端子金具30を示す。この雌端子金具30は、雌ハウジング10内に収容された状態で、雌ハウジング10に対して嵌合される相手の雄ハウジング内に収容された雄端子金具(雄ハウジング共々図示せず)と導通接続可能とされている。なお以下では、雌ハウジング10に対する雌端子金具30の挿入方向を前方とし、逆の抜き取り方向を後方とし、また上下方向の記載は図4などを基準として説明する。
【0016】
雌ハウジング10は、図1及び図4に示すように、内部には後方から雌端子金具30を挿入可能なキャビティ11が上下2段、幅方向に複数室並んで配設されている。キャビティ11内に挿入される雌端子金具30は、キャビティ11の下壁12から突設されたランス13により弾性的に抜け止め可能とされるとともに、雌ハウジング10の前壁14によって前止まり状態に支持されるようになっている。この雌ハウジング10の前壁14には、相手の雄端子金具のタブがキャビティ11内に前方から進入するのを許容するタブ挿通孔15が穿設されており、その前側の孔縁には、全周にわたって略擂鉢状をなす誘導面16が形成されることで、タブの進入動作が円滑に誘導されるようになっている。雌ハウジング10の前壁14のうちタブ挿通孔15よりも下方位置(タブ挿通孔15とはランス13の撓み方向にずれた位置)には、雌ハウジング10の成形時にランス13を成形する前側の金型を前方へ型抜きするために型抜き孔17が穿設されている。前壁14における型抜き孔17の孔縁上部幅方向中央には、下方へ突き出る略三角形状の突出部18が設けられ、この突出部18にも上記誘導面16が連続して形成されている。
【0017】
各キャビティ11の下壁12は、前側の約1/4部分が一段低く形成されるとともにその段差部分から片持ち状のランス13が前方へ突出して形成されている。このランス13は、全体としては前端側にかけて次第に上方、すなわちキャビティ11内に張り出すよう、前方へ向かって上り勾配をなす傾斜状に形成されており、キャビティ11内への張出部分が挿入される雌端子金具30により押圧されることで突出基端(後端)を支点として下方(雌端子金具30の挿抜方向と交差する方向)へ撓み変形可能とされている。この撓み時にランス13は、下壁12の低位部分12aとの間に確保された撓み空間内に退避するようになっている。このランス13の前方に確保された空間内には、雌端子金具30の係止突部52が進入可能とされている。ランス13の下方に対向する下壁12の低位部分12aは、ランス13がその弾性限度を超えて撓み変形する手前の段階でランス13の下面に係合することで、その過度撓み変形を規制できるようになっている。またランス13は、前壁14に連結された下壁12の低位部分12aにより、全幅にわたって下方のキャビティ11または下方外部に露出することなく覆われており、もってランス13の保護が図られている。
【0018】
キャビティ11の下壁12のうちランス13よりも後側部分には、雌端子金具30の形状に合わせて溝が形成されている。すなわち、下壁12のうち幅方向略中央には、図7に示すように、雌端子金具30の係止突部52及び突部49を挿通可能な突部挿通溝19が形成されており、この突部挿通溝19よりも図7の奥側には、雌端子金具30のスタビライザ47を挿通可能とされ、且つ突部挿通溝19よりもさらに低いスタビライザ挿通溝20が形成されている。この突部挿通溝19は、ランス13の前端にまで連続して形成されるのに対し、スタビライザ挿通溝20は、前端位置がランス13よりも少し後方に設定されている。
【0019】
ランス13の前端両側部の下側約3/5部分には、ランス13を強制的に撓み変形させるための解除治具(図示せず)によって操作可能とされる一対の操作凹部24が前方に開口して形成されている。両操作凹部24は、雌端子金具30がランス13に係止した状態でも前方外部に露出するように配置されており、前方から型抜き孔17を通して挿入される解除治具により下方へ押圧操作可能とされている。操作凹部24は、ランス13を側方から見て略三角形状に切欠して形成され、その上面がほぼ水平をなすのに対し、下面が後方へ向かって上り勾配をなすテーパ状をなしている。
【0020】
雌端子金具30は、金属母材を所定形状に打ち抜いたものに叩き加工や曲げ加工などを施すことで所望の形状に成形されている。この雌端子金具30は、図3及び図4に示すように、大まかには略角筒状をなす本体部31と、電線Wの端末に圧着接続可能なバレル部32とを前後に繋げた構成となっている。このうち、バレル部32は、前後に一対ずつのかしめ片32a,32bを備え、前側の両かしめ片32aが電線Wの芯線部分Waにかしめ付けられるのに対し、後側の両かしめ片32bが電線Wの被覆部分Wbにかしめ付けられるようになっている。
【0021】
本体部31は、金属母材を所定形状に打ち抜いたもの(特許請求の範囲に記載した基材に相当する)を長さ方向に沿って折り曲げることで、図2に示すように、略角筒状に成形されている。本体部31は、前後に延出する底壁33と、底壁33の両側縁から立ち上がる一対の側壁34,35と、図2の左側の側壁34の突出端から底壁33と対向するよう突出する天井壁36と、図2の右側の側壁35の突出端から突出するとともに天井壁36の外側に重ね合わせられる外壁37とから構成されている。
【0022】
底壁33は、図5に示すように、他の壁34,35,36,37と比較して前端が後方へ引っ込んだ位置に配されており、この前端から弾性接触片38が突設されている。弾性接触片38は、底壁33の前端から前方へ突出する舌片を後方へ向けて折り返すことで、略山形をなす片持ち状に形成されている。この弾性接触片38は、本体部31内に前方から挿入される相手の雄端子金具のタブに対して弾性接触可能とされている。また弾性接触片38に対向する天井壁36には、タブを弾性接触片38との間で挟圧状態に保持可能な受け部43が内側に張り出して設けられている。また底壁33には、弾性接触片38が弾性限度を超えて変形する手前の段階で弾性接触片38に係合することで、弾性接触片38の過度撓みを規制可能な過度撓み規制部42が内側に叩き出して設けられている。
【0023】
外壁37は、図3及び図5に示すように、その長さ方向略中央部分に切欠部44が全幅にわたって形成されることで、前部37aと後部37bとに分断されている。この切欠部44内には、雌端子金具30がキャビティ11内に挿入されると、ランス13が全長にわたって進入可能とされ、切欠部44の前側の切断端面44aに対してランス13が係止可能とされている。ランス13に対する係止面である切欠部44における前側の切断端面44aは、全域にわたって内側に傾斜するテーパ状に形成されている。この切欠部44は、外壁37の半分弱の長さを有するとともに図3の奥側の側壁35の上端部にまで形成されている。この側壁35の上端面(切欠部44における側方の切断端面)には、天井壁36の突出端から突設された張出片45が当接されることで、天井壁36をほぼ水平な姿勢に支持できるようになっている。天井壁36のうち、受け部43を有する前半部分には、後半部分よりも僅かに低くなるよう凹部55が張出片45における側壁35との当接部分を含めた全域にわたって形成されており、その分だけランス13の係止深さを稼ぐことができるようになっている。この凹部55は、図6に示すように、側壁34の上端部に及ぶ範囲にわたって形成され、その前方に後述する前部保持片50の後端面が臨んで配されている。また外壁37の前部37aは、前後長さが後部37bよりも少し短く設定されている。
【0024】
外壁37の後部37bにおける突出端からは、図6に示すように、底壁33側へ屈曲される後部保持片46と、その反対側(外方)へ屈曲されるスタビライザ47とが前後に設けられている。後部保持片46は、図6の紙面手前側の側壁34に切欠形成された後部保持溝48内に嵌合されることで、後部37bが前後に遊動するのを規制した状態に保持できるようになっている。スタビライザ47は、キャビティ11内のスタビライザ挿通溝20内に挿通されることで、雌端子金具30の挿入動作を案内可能となっている。また後部保持片46の前端が後部37bの前端と、スタビライザ47の後端が後部37bの後端と、それぞれ揃えられている。後部37bのうち後端部の幅方向中央には、スタビライザ47とほぼ同じ長さを有する突部49が外方へ突出するよう叩き出して形成されている。この突部49は、雌端子金具30がキャビティ11内に挿入されると、キャビティ11の下面(突部挿通溝19の上面)に当接可能とされている。
【0025】
外壁37の前部37aにおける幅方向に沿った後端縁部(切欠部44の前側の切断端部)の略中央(正確には中央よりも僅かに図2の左側にずれた位置)には、ランス13が係止可能とされる係止突部52が外側へ突出するよう叩き出して形成されている。係止突部52は、図3及び図4に示すように、全体としては前端を頂点とする略角錐状をなしており、前端側にかけて幅寸法及び高さ寸法が減少する先細り状をなすとともに3つの斜面により構成される角錐部52aと、幅寸法及び高さ寸法が一定とされるとともに3つの側面により構成される角筒部52bとを前後に繋げた構成となっている。係止突部52の角錐部52aは、先細り状とされ、且つその前端部がやや丸みを帯びた形状に形成されることで、キャビティ11内に雌端子金具30が挿入される過程において突部挿通溝19内での挿通動作を円滑にできるようになっている。係止突部52の角筒部52bは、切欠部44の前側の切断端面44aの傾斜に沿って後方へオーバーハング状に突出して形成され、外壁37の前部37aよりも後方に突出している。
【0026】
この係止突部52は、上記突部49とほぼ同じ高さ位置まで突出するよう設定され、突部49と同様にキャビティ11の突部挿通溝19内に挿通可能とされている。係止突部52のうちランス13に対する係止面である後端面は、切欠部44の前側の切断端面44aにより構成されており、内側に傾斜したテーパ状に形成されている。外壁37の前部37aのうち係止突部52に対する両側方部分の後端面についても、内側に傾斜したテーパ状をなす切欠部44の前側の切断端面44aにより構成され、ランス13が係止可能とされている。
【0027】
さて、外壁37の前部37aにおける突出端(側壁34との突き合わせ端)からは、図6に示すように、底壁33側へ屈曲される前部保持片50が設けられている。前部保持片50は、図6の紙面手前側の側壁34に切欠形成された前部保持溝51内に嵌合されることで、前部37aが前後に遊動するのを規制した状態に保持できるようになっている。この前部保持片50は、外壁37の前部37aよりも後方へ突出して形成されている。そして、前部保持片50の根元部分には、上記切欠部44が拡張して形成され、その切断端面44aが既述したように内側に傾斜したテーパ状に形成されており、ここにランス13の側端部が係止可能とされている。
【0028】
そして、前部保持片50の突出端部後端からは、後方へ突出する被規制突部70が設けられており、前部保持溝51の上端部後端には、被規制突部70を嵌合可能な規制溝部71が設けられている。被規制突部70及び規制溝部71における下面は、共に前傾したテーパ状に形成されている。被規制突部70は、規制溝部71内に嵌合した状態では、その下面が規制溝部71の下面に対して係止可能となっているから、仮に外壁37の前部37aに対して外側へ開くような力が作用した場合でも、その開き変形を規制することができる。前部保持片50及び前部保持溝51における前端部上面は、共に前傾したテーパ状に形成されている。雌端子金具30の成形過程においては、先に外壁37の前部37aを側壁35から折り曲げた後に、外壁37の前部37aから前部保持片50を折り曲げることで、前部保持片50を前部保持溝51内に嵌合させるとともに、被規制突部70を規制溝部71内に嵌合させるようにする。
【0029】
前部保持溝51及び規制溝部71が設けられた側壁34のうち、前部保持溝51及び規制溝部71の上方位置には、前後に細長い長円形状をなす第2ビード64が外方へ叩き出して形成されており、これにより側壁34の補強が図られている。またキャビティ11の前半部分における図4の紙面奥側の側面には、雌端子金具30の挿入時に第2ビード64を逃がすための逃がし溝部61が後方へ開放する形態に凹み形成されている。この逃がし溝部61は、第2ビード64に整合するような弧状に形成されており、キャビティ11の側面のうち上下方向について中央よりもやや上方位置に配設されるとともに、その前端位置が後述する支持溝部60よりも少し前方位置に設定されている。
【0030】
また、この雌コネクタには、キャビティ11内に挿入した雌端子金具30が上下に傾動するのを規制するための手段が講じられている。先に雌ハウジング10側に関して説明すると、図6に示すように、キャビティ11の内周面のうち、上下方向(ランス13の撓み方向)に沿った図6の紙面奥側の側面には、支持溝部60が後方に開放する形態に凹み形成されている。この支持溝部60は、後述する被支持突部62に整合するような角型に形成されており、キャビティ11の側面のうち上下方向についてほぼ中央位置に配設されるとともに、その前端位置がキャビティ11の前面よりもやや後方位置に設定されている。支持溝部60の上下面60a,60bは、ランス13の撓み方向と略直交する方向である幅方向に沿って真っ直ぐに形成されている。
【0031】
一方、雌端子金具30側に関して説明すると、本体部31のうち図2の右側の側壁35には、上記した支持溝部60内に嵌合可能な被支持突部62が外方へ突出して設けられている。被支持突部62は、側壁35の一部を外方へ叩き出すことで成形されており、前後両端部が側壁35に連結された両持ち梁状をなすとともに、前後方向(ランス13の撓み方向と略直交する方向)に沿った上辺及び下辺が共に側壁35から切り離されている。この被支持突部62のうち、側壁35からの前後の立ち上がり部分が側壁35に対して傾斜しており、その前端面が後傾した斜面とされるとともに後端面が前傾した斜面とされることで、キャビティ11に対する雌端子金具30の挿抜作業を円滑に行うことができるようになっている。被支持突部62の上下面62a,62bは、側壁35から切り離された切断端面となっており、ほぼ水平な形状、言い換えると前後方向及び幅方向(ランス13の撓み方向と略直交する方向)に沿ってほぼ真っ直ぐな形状に形成されている。そして、雌端子金具30をキャビティ11内に挿入するのに伴って、被支持突部62が支持溝部60内に嵌合されると、被支持突部62の上下面62a,62bが支持溝部60の上下面60a,60bに対して係止されるようになっている(図11)。また被支持突部62は、側壁35のうち、上下方向についてほぼ中央位置に、前後方向について中央よりも前寄り(係止突部52よりは後方)位置に配されており、その上下方向についての幅寸法(高さ寸法)が本体部31の約1/4の大きさとなっている。また側壁35のうち、被支持突部62よりも前方位置には、前後に細長い長円形状をなす第1ビード63が外方へ叩き出して形成され、これにより側壁35の補強が図られている。第1ビード63は、被支持突部62における上下方向についての幅寸法内に配置されるとともに、外方への突出高さが被支持突部62よりも低く設定されることで、雌端子金具30をキャビティ11内に挿入する際に支持溝部60内に進入可能とされている。
【0032】
ところで、両側壁34,35は、既述した通り底壁33よりも前方へ延出して形成されている。このため、雌端子金具30の成形過程において、底壁33から両側壁34,35を立ち上げる曲げ加工を行うときに、両側壁34,35の延出部分に曲げの影響が及ぶのを防ぐことを目的として、両側壁34,35には、底壁33の前端位置とほぼ同じ位置に上方へ開放するスリット54がそれぞれ切欠形成されている(図4及び図6)。このようなスリット54を設けると、両側壁34,35の強度低下が問題となるが、第1ビード63が側壁35のうちスリット54と切欠部44とを最短距離で結ぶ仮想線L1上に配されるとともに、第2ビード64が側壁34のうちスリット54と前部保持溝51とを最短距離で結ぶ仮想線L2上に配されているから、両側壁34,35の強度低下を効果的に補うことができる。
【0033】
本実施形態は以上のような構造であり、続いてその作用について説明する。図4ないし図7に示すように、雌端子金具30のバレル部32に電線Wを圧着接続した後に、雌端子金具30をキャビティ11内に後方から挿入する。雌端子金具30をキャビティ11内に挿入すると、係止突部52が突部挿通溝19内に挿通されるとともに、第2ビード64が逃がし溝部61内に進入し、第1ビード63と被支持突部62とが支持溝部60内に順次に嵌合する。その後、突部49が突部挿通溝19内に、スタビライザ47がスタビライザ挿通溝20内にそれぞれ挿通されることで、雌端子金具30が上下左右にがたつくのが抑制されつつ円滑に挿入される。そして、雌端子金具30が所定深さまで挿入されると、図8に示すように、係止突部52によってランス13が押圧されて下方へ撓み変形される。この過程では、係止突部52が前端を頂点とする略角錐状に形成されていることで、突部挿通溝19内での挿通動作が円滑になり、且つランス13をスムーズに押圧できるようになっている。
【0034】
雌端子金具30がキャビティ11内に正規深さまで挿入されるのに伴って、係止突部52がランス13を乗り越えるとともに、ランス13は、図9ないし図12に示すように、弾性復帰して切欠部44内に進入しつつ雌端子金具30に対して弾性的に係止される。このとき、ランス13の前端部が係止突部52の内側に進入可能とされる。この状態では、被支持突部62が支持溝部60内に嵌合しており、互いの上下面60a,60b,62a,62bが係止した状態となっている(図11)。従って、例えば電線Wに引っ張り力が作用した場合でも、雌端子金具30が上下方向に傾動するのを規制することができる。しかも、被支持突部62の上下面62a,62bは、側壁35から切り離されることで水平方向に沿ってほぼ真直な切断端面となっているから、雌端子金具30をしっかりと支持することができ、雌端子金具30の傾動動作を確実に規制することができる。
【0035】
ここで、ランス13に対する係止面である切欠部44の前側の切断端面44aは、係止突部52を含めた外壁37の前部37a及び前部保持片50に至るまで、すなわち雌端子金具30のほぼ全幅領域にわたって形成されているので、雌端子金具30は、強固な抜け止め力でもってキャビティ11内から抜け止め状態に保持される(図12)。しかも、切欠部44の前側の切断端面44aは、内側に傾斜したテーパ状に形成されているので、抜け止め力がより強固なものとなっている。
【0036】
上記のような係止状態から、電線Wを介して雌端子金具30に対して後方へ引っ張るような力が作用する場合がある。その場合、ランス13が直接に係止する外壁37の前部37aには、全体を前方へ変位させるような力や、前端側を支点として後端側を下方へ捲るような力が作用することになる。ところが、前部保持片50が前部保持溝51内に嵌合して両者50,51の前面同士が係止することで、外壁37の前部37aが側壁34に対して相対的に前方へ遊動するのが規制される。その上、被規制突部70が規制溝部71内に嵌合するとともに両者70,71の下面同士が係止することで、外壁37の前部37が下方へ捲れるようにして開き変形するのを規制することができる(図11)。つまり本体部31を所定の角筒形状に保つことができる。これによりランス13によって雌端子金具30を安定した状態に抜け止めすることができる。
【0037】
以上説明したように本実施形態によれば、本体部31に対して何らかの外力が作用した場合でも、前部保持片50が前部保持溝51内に嵌合されることで、外壁37の前部37aと側壁34とが互いに前後方向(長さ方向)について遊動するのが規制された状態に保持されるとともに、被規制突部70に規制溝部71が係止することで、外壁37の前部37aが外側に開き変形するのを規制することができる。これにより、本体部31を略角筒状に保つことができる。
【0038】
ところで、雌端子金具30をキャビティ11内に挿入して、外壁37の前部37aに対してランス13に係止した状態から雌端子金具30を後方へ引っ張るような力が作用した場合、外壁37の前部37aには、前端側を支点として後端側が捲れるような力が作用する。ところが、被規制突部70と規制溝部71とがそれぞれ前部保持片50と前部保持溝51とにおける後端側に設けられているから、外壁37の前部37aが、捲れるようにして変位するのを有効に規制することができる。これにより、ランス13によって雌端子金具30を安定した状態で抜け止めすることができる。
【0039】
しかも、切欠部44が外壁37を前後に分断するような範囲に形成されているから、ランス13の係止面積を大きく確保することができ、雌端子金具30が小型であっても抜け止め力を十分に得ることができる。このように外壁37が切欠部44によって前後に分断されたものでは、強度的に不利となるためにランス13が係止される前部37aが長さ方向に遊動し易くなるとともに捲れ易くなるものの、前部保持片50や被規制突部70によってそのような事態を防ぐことができる。つまり、本実施形態によれば小型化に好適な雌端子金具30を提供することができる。
【0040】
さらには、側壁34に補強のための第2ビード64を設けるようにしたから、前部保持溝51及び規制溝部71を設けることで側壁34が強度低下するのを補うことができる。
【0041】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を図13によって説明する。この第2実施形態では、前部保持片50と前部保持溝51とにおける前端側に、それぞれ被補助規制突部72と補助規制溝部73とを設けたものを示す。なおこの第2実施形態では、上記した第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0042】
前部保持片50における上部前端からは、図13に示すように、前方へ突出する被補助規制突部72が設けられており、前部保持溝51の上部前端には、被補助規制突部72を嵌合可能な補助規制溝部73が設けられている。被補助規制突部72及び補助規制溝部73における下面は、共に前傾したテーパ状に形成されている。被補助規制突部72は、補助規制溝部73内に嵌合した状態では、その下面が補助規制溝部73の下面に対して係止可能となっている。従って、既述したような理由から外壁37の前部37aを外側へ開く(捲る)ような力が作用した場合でも、後側の被規制突部70が規制溝部71に係止するとともに、前側の被補助規制突部72が補助規制溝部73に係止することで、外壁37の前部37aが外側に開き(捲れ)変形するのを確実に規制することができる。
【0043】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記した実施形態では、雌端子金具の成形過程において、外壁の前部を側壁から折り曲げた後に前部保持片を前部保持溝側へ折り曲げて被規制突部を規制溝部内に嵌合させるものを示したが、例えば、被規制突部の突出長さを小さく設定することで、先に前部保持片を外壁の前部から折り曲げてから、外壁の前部を側壁から折り曲げることで、被規制突部を規制溝部内に嵌合させるようにしてもよく、そのようなものも本発明に含まれる。
【0044】
(2)上記した実施形態では、前部保持片に被規制突部を設けて、前部保持溝に規制溝部を設けるようにしたものを示したが、前部保持片を一部切欠することで被規制溝部を設けて、前部保持溝の周面から被規制溝部内に嵌合可能な規制突部を設けるようにしたものも本発明に含まれる。
(3)上記した実施形態では、ランスに係止される外壁の前部について開き変形を規制すべく、前部保持片と前部保持溝とにそれぞれ被規制突部と規制溝部とを設けたものを示したが、外壁の後部について開き変形を規制すべく、後部保持片と後部保持溝とにそれぞれ被規制突部と規制溝部とを設けるようにしたものも本発明に含まれる。
(4)上記した第2実施形態に記載したものにおいて、前部保持片と前部保持溝における後端側に設けられた被規制突部と規制溝部とを省略したものも本発明に含まれる。
【0045】
(5)上記した実施形態では、本体部が外壁の内側に天井壁を有する構造のものを示したが、天井壁を省略したものにも本発明は適用可能である。
(6)上記した実施形態では、雌端子金具について例示したが、雄端子金具についても本発明は適用可能である。
(7)上記した実施形態では、抜け止め部として雌ハウジング内に一体形成されたランスを例示したが、例えば雌ハウジングとは別体とされ、雌ハウジングに対して装着されることで、雌端子金具を抜け止め保持可能なリテーナを抜け止め部としたものも本発明に含まれる。また上記した実施形態のように片持ち状のランス以外にも両持ち状のランスを抜け止め部としたものも本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る雌ハウジングの正面図
【図2】雌端子金具の正面図
【図3】雌端子金具の底面図
【図4】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が右側面図)
【図5】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が図2のD−D線断面図)
【図6】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のB−B線断面図、雌端子金具が左側面図)
【図7】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する前の状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のC−C線断面図、雌端子金具が平面図)
【図8】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入する途中の状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が右側面図)
【図9】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入した状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が右側面図)
【図10】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入した状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のA−A線断面図、雌端子金具が図2のD−D線断面図)
【図11】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入した状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のB−B線断面図、雌端子金具が左側面図)
【図12】雌ハウジング内に雌端子金具を挿入した状態を示す側断面図(雌ハウジングが図1のC−C線断面図、雌端子金具が平面図)
【図13】本発明の第2実施形態に係る雌端子金具の左側面図
【図14】従来例の斜視図
【符号の説明】
10…雌ハウジング(コネクタハウジング)
13…ランス(抜け止め部)
30…雌端子金具(端子金具)
31…本体部
34…側壁(保持溝を有する壁)
37a…前部(保持片を有する壁)
44…切欠部
44a…切断端面
50…前部保持片(保持片)
51…前部保持溝(保持溝)
64…第2ビード(ビード)
70…被規制突部(被規制部)
71…規制溝部(規制部)
72…被補助規制突部(被補助規制部)
73…補助規制溝部(補助規制部)
Claims (5)
- 基材を長さ方向に沿って折り曲げることで略角筒状に成形される本体部を備えたものにおいて、
本体部における突き合わせ端のうちの一方には、保持片が突設され、他方には、保持片が嵌合可能な保持溝が切欠形成されることで、本体部のうち保持片または保持溝を有する壁が互いに長さ方向について遊動するのが規制可能となっており、
且つ前記保持片には、被規制部が設けられ、前記保持溝には、前記被規制部に係止することで、前記保持片を有する壁が開くのを規制可能な規制部が設けられていることを特徴とする端子金具。 - 前記保持片を有する壁には、当該端子金具をコネクタハウジング内に後方から挿入したときにその内部に備えられた抜け止め部が係止されることで当該端子金具を抜け止め可能となっているものにおいて、
前記被規制部と前記規制部とは、それぞれ前記保持片と前記保持溝とにおける後端側に設けられていることを特徴とする請求項1記載の端子金具。 - 前記保持片を有する壁には、前記抜け止め部が進入するのを許容するよう切欠部が形成され、この切欠部の前側の切断端面に対して抜け止め部が係止可能とされ、且つ前記壁が前記切欠部によって前後に分断して形成されているものにおいて、
前記保持片及び前記被規制部は、前記壁のうち、前記抜け止め部が係止される前部側に設けられていることを特徴とする請求項2記載の端子金具。 - 前記保持片における前端側には、被補助規制部が設けられ、前記保持溝における前端側には、被補助規制部に係止することで、前記保持片を有する壁が開くのを規制可能な補助規制部が設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3記載の端子金具。
- 前記保持溝及び前記規制部を有する壁には、補強のためのビードが叩き出して形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の端子金具。
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-
2003
- 2003-02-03 JP JP2003026491A patent/JP2004031310A/ja not_active Withdrawn
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