JP2004031226A - 組合せ端子金具 - Google Patents

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坂谷 敦
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Abstract

【課題】簡単な防水構造を実現した組合せ端子金具を提供する。
【解決手段】アース端子10は、電線1の端末を圧着した電線固着部11の先に、ボルトの挿通孔18を開口した接続板部17が連設された形状となっている。各アース端子10はそれぞれ電線固着部11を30度ずつずらした状態で、それぞれの接続板部17同士が上下に重なり合った状態で結合され、各接続板部17の挿通孔18は同心に整合した状態とされる。4本のアース端子10が組み付けられたら、所定の成形金型にセットされ、合成樹脂材のモールド成形によってシール部30が形成される。このシール部30は、各アース端子10の電線固着部11にわたって覆うように一体的に形成され、平面扇形状に形成される。組合せアース端子Aの固定場所に水が降り懸かったとしても、各電線1の端末部分はシール部30で覆われているから、電線1内に浸水することが防がれる。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アース端子等の複数の端子金具を重ねて組み付けた組合せ端子に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数のアース端子をボディ等にまとめて固定する場合の一例として、特開平8−236184号公報に記載されたものが知られている。このものでは、アース端子が、電線の端末が固着されるバレルからなる電線固着部の先に、ボルトの挿通孔が開口された目玉状の接続板部が形成された形状となっており、電線固着部をずらしつつ、一の接続板部の係止片と他の接続板部の係止孔との係合により、各接続板部を同心に順次に重ね合わせて結合した構造となっている。そして例えば、重ねた接続板部の挿通孔にボルトを挿通し、ボディの取付孔の裏面に固定されたナットに螺合して締め付けることで、各アース端子をボディにまとめて固定するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、上記のような組合せアース端子が、水が降り懸かる可能性のある場所に固定された場合、電線固着部から電線内に水が染みて電線の他端側に浸透するおそれがあるため、電線固着部の位置で防水を施す必要がある。そのため従来では、各電線固着部に熱収縮チューブを嵌装し、これを密着させることで防水を図るようにしていた(特開2000−182688公報参照)。
しかるにこの方法では、各電線固着部に対して熱収縮チューブをいちいち装着しなければならない等、作業に手間が掛かり、ひいてはコスト高を招く結果となるため、さらなる改良が切望されていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、簡単な防水構造を実現した組合せ端子金具を提供するところにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、電線の端末が固着される電線固着部の先に、ボルトの挿通孔が開口された接続板部を設けた端子金具が複数備えられ、各端子金具はそれぞれ電線固着部をずらした状態で接続板部同士が重なり合って結合され、前記各挿通孔に通したボルトを締め付け、またはボルトに螺合したナットを締め付けることで固定部材に固定されるようにした組合せ端子金具において、前記各端子金具の電線固着部にわたってモールド成形によりシール部が形成されている構成としたところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記シール部における前記固定部材と対向する面が、最下層の端子金具の前記接続板部と面一に形成されているところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記各挿通孔に通したボルトを締め付けることで前記固定部材に固定されるものにおいて、前記シール部が前記挿通孔の位置まで延出して形成され、前記ボルトが前記シール部の延出部分に圧入されることにより前記挿通孔に挿通された状態に仮組みされているところに特徴を有する。
【0006】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
各端子金具の電線固着部にわたり、モールド成形により一括してシール部を形成する構造としたから、簡単な作業工程で以て防水構造が実現でき、ひいては製造コストの低減を図ることができる。また、各端子金具間が強固に結合されることになって、固定部材への取付け取外しの場合に各端子金具がばらけない等、取り扱いがしやすくなる。
【0007】
<請求項2の発明>
各端子金具の接続板部を固定部材に固定した際、シール部が固定部材に隙間無く当接するから、固定部材が振動した場合に、組合せ端子金具の電線固着部側が首を振るように振動することが抑えられ、異音を発したり、首振り部分で変形するといったことが防止される。
<請求項3の発明>
ボルト付きの組合せ端子金具を固定部材に当てた後、ボルトをシール部から引き離しつつねじ込むことで固定される。
固定部材に固定することに用いるボルトが予め仮組みしてあるから、ボルトのねじ込みによる固定作業を能率良く短時間で行うことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を図1ないし図8によって説明する。
この実施形態では、4本のアース端子10を組み合わせた場合を例示している。アース端子10は、導電性に優れた金属板をプレス成形して、図1及び図2に示す形状に形成されている。詳細には、電線固着部11の先に、首部15を介して目玉状の接続板部17が連設されており、首部15を屈曲することで電線固着部11と接続板部17とが段差状に形成されている。
電線固着部11には、電線1の被覆2の端末を圧着するインシュレーションバレル12と、芯線3の端末を圧着するワイヤバレル13とが設けられるとともに、接続板部17の中心には、ボルト45(図7参照)の挿通孔18が開口されている。
【0009】
接続板部17の外周のうちの、首部15に連なる部分から、上面から見た時計回り方向の少し前方位置にわたる領域には、張り出し部20が形成されている。この張り出し部20には、挿通孔18の中心点を中心とする同心円上に、係止片21と係止孔22とが形成されている。図2の時計回り方向の後方に位置する係止片21は、切り起こしにより、先端が斜め上方に突出した形態で形成されており、前方の係止孔22は、係止片21を嵌合可能に板面を貫通して形成されている。
【0010】
張り出し部20の時計回り方向の前方に隣接する位置と、この位置とほぼ180度の角度間隔を開けた位置には、オーバーハング状に立ち上がった押さえ片24が形成されているとともに、各押さえ片24の時計回り方向の前方には、押さえ片24内に圧入状に潜り込み可能な潜り込み片25が張り出し形成されている。潜り込み片25の前端側には、テーパ状のガイド面26が形成されている。
【0011】
アース端子10の組み付けは、以下のようにして行われる。まず、各アース端子10の電線固着部11に、電線1の端末がバレル12,13をかしめることで固着される。
そうしたら、図2に示すように、下側のアース端子10(実線)の接続板部17の上に、上側のアース端子10(鎖線)の接続板部17が重ねられる。このとき、上側のアース端子10は、下側のアース端子10に対して、同図の反時計回り方向に60度以上ずれた回動姿勢で、すなわち、潜り込み片25が下側のアース端子10の押さえ片24の後方に位置する状態で重ねられる。
この状態から、上側のアース端子10を同図の矢線に示す時計回り方向に回動する。上側の接続板部17は、張り出し部20で下側の係止片21を扁平に弾性変形させつつ下側の接続板部17上を滑って回動し、それとともに、上側の両潜り込み片25が、ガイド面26を案内として下側の対応する押さえ片24内に圧入されつつ潜り込む。
【0012】
図3に示すように、上側のアース端子10が、下側のアース端子10に対して30度ずれた位置まで回動されると、上側の両潜り込み片25が、下側の対応する押さえ片24内にほぼ全長にわたって圧入され、それとともに、上側の係止孔22が下側の係止片21の位置に達することで、係止片21が復元変形しつつ係止孔22内に嵌まり、この係止力と、潜り込み片25と押さえ片24との間の摩擦力により、上下のアース端子10が、所定の角度間隔(30度)をずらした状態で、接続板部17同士を重ね合わせて結合される。
上記と同じ要領で、さらに2本のアース端子10を組み付けると、図4及び図5に示すように、各アース端子10はそれぞれ電線固着部11を30度ずつずらした状態で、それぞれの接続板部17同士が上下に重なり合った状態で結合され、各接続板部17の挿通孔18は同心に整合した状態とされる。
【0013】
4本のアース端子10が組み付けられたら、所定の成形金型にセットされ、合成樹脂材のモールド成形によってシール部30が形成される。このシール部30は、図6及び図7に示すように、各アース端子10の電線固着部11にわたって覆うように一体的に形成され、平面扇形状に形成される。
このシール部30の下面は、図7に示すように、最下層の接続板部17の下面と面一に形成されている。なお、シール部30の上面では、各電線固着部11の間の位置ごとに、軽量化等のために肉抜き孔31が凹み形成されている。
【0014】
組合せアース端子Aをボディ40に固定する場合は、以下のように行われる。図7に示すように、ボディ40には取付孔41が開口され、この取付孔41の裏面側にナット42が予め溶接等によって固定されている。そして、組合せアース端子Aの重ねられた接続板部17が、挿通孔18を取付孔41に整合させてボディ40の表面に当てられる。このとき、シール部30の下面もボディ40の表面に当てられる。
【0015】
そして、接続板部17の挿通孔18から取付孔41にボルト45を通してナット42に螺合し、引き続いて締め付けると、図8に示すように、重ねられた接続板部17がボディ40の表面に押し付けられ、全アース端子10がボディ40との間で電気的接続を取られることになる。
ここで、組合せアース端子Aの固定場所に水が降り懸かったとしても、各電線1の端末部分はシール部30で覆われているから、電線1内に浸水することが防がれる。
【0016】
以上のように本実施形態では、電線1の端末からの浸水を防ぐべく手段を講じるに際し、各アース端子10の電線固着部11にわたってモールド成形により一括してシール部30を形成する構造としたから、簡単な作業工程で対応でき、ひいては製造コストの低減を図ることができる。
シール部30を介して各アース端子10間が強固に結合されるから、ボディ40への取付け取外しの場合や、搬入を行う場合等に、各アース端子10がばらけるおそれがなく、取り扱いがしやすくなる。逆に、アース端子10間の結合力は弱く留め置くことが可能となるから、アース端子10自体の構造をシンプルにまとめることができる。
さらに、各アース端子10の接続板部17をボディ40に固定した際、シール部30がボディ40の表面に隙間無く当接するから、ボディ40が振動した場合に、組合せアース端子Aの電線固着部11側が首を振るように振動することが抑えられ、異音を発したり、首振り部分で変形するといったことが防止される。
【0017】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を図9及び図10によって説明する。
この第2実施形態では、モールド成形されたシール部30において、その内縁側から、最上層の接続板部17の上面を覆うようにして取付部33が一体的に延出形成されている。この取付部33は、例えば4枚の接続板部17を重ねた場合の厚さと同程度の薄肉状に形成されており、接続板部17の挿通孔18と同心位置に、ボルト45の軸部46が圧入可能な圧入孔34が開口されている。
そして、この圧入孔34に軸部46が圧入されることで、ボルト45がシール部30に仮組みされた状態とされる。ボルト45は、その軸部46の先端が挿通孔18の下端に達する程度まで圧入されることが望ましい。
【0018】
第2実施形態において、組合せアース端子Aをボディ40に固定する場合は、ボルト45が仮組みされた状態で搬入され、同様に重ねられた接続板部17が、挿通孔18を取付孔41に整合させてボディ40の表面に当てられる。次に、ボルト45を圧入孔34から引き離しつつ押し込み、取付孔41を通してナット42に螺合してねじ込むことによって、重ねられた接続板部17がボディ40の表面に押し付けられて固定される。
ボディ40に固定することに用いるボルト45が、シール部30を利用して予め仮組みしてあるから、ボルト45のねじ込みによる固定作業を能率良く短時間で行うことができる。
【0019】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)第1実施形態については、アースを取るべき機器の被取付部にスタッドボルトを突設しておき、このスタッドボルトに組合せアース端子の接続板部の挿通孔を挿通したのち、スタッドボルトに螺合したナットを締め付ける形式のものにも同様に適用することが可能である。
(2)第2実施形態については、シール部をモールド成形する場合にボルトも金型にセットしておき、取付部に予め埋設するようにしてもよい。
(3)本発明はアース端子に限らず、他の用途に係る複数の端子金具を重ねて組み付けた組合せ端子金具全般に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るアース端子の斜視図
【図2】2個のアース端子を組み付ける動作を示す平面図
【図3】2個のアース端子が組み付けられた状態の平面図
【図4】4個のアース端子が組み付けられた状態の平面図
【図5】その一部切欠側面図
【図6】シール部が形成された状態の平面図
【図7】組合せアース端子のボディへの取付動作を説明する側断面図
【図8】取付完了時の側断面図
【図9】本発明の第2実施形態に係る組合せアース端子並びにその取付動作を説明する側断面図
【図10】その取付完了時の側断面図
【符号の説明】
A…組合せアース端子
1…電線
10…アース端子(端子金具)
11…電線固着部
17…接続板部
18…挿通孔
30…シール部
33…取付部
34…圧入孔
40…ボディ(固定部材)
41…取付孔
42…ナット
45…ボルト

Claims (3)

  1. 電線の端末が固着される電線固着部の先に、ボルトの挿通孔が開口された接続板部を設けた端子金具が複数備えられ、各端子金具はそれぞれ電線固着部をずらした状態で接続板部同士が重なり合って結合され、前記各挿通孔に通したボルトを締め付け、またはボルトに螺合したナットを締め付けることで固定部材に固定されるようにした組合せ端子金具において、
    前記各端子金具の電線固着部にわたってモールド成形によりシール部が形成されていることを特徴とする組合せ端子金具。
  2. 前記シール部における前記固定部材と対向する面が、最下層の端子金具の前記接続板部と面一に形成されていることを特徴とする請求項1記載の組合せ端子金具。
  3. 前記各挿通孔に通したボルトを締め付けることで前記固定部材に固定されるものにおいて、前記シール部が前記挿通孔の位置まで延出して形成され、前記ボルトが前記シール部の延出部分に圧入されることにより前記挿通孔に挿通された状態に仮組みされていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の組合せ端子金具。
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