JP2004031050A - 色素増感型太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】変換効率向上に寄与する光電変換波長範囲を拡大させることができる色素増感型太陽電池を提供する。
【解決手段】カソード電極とアノード電極とを、酸化還元電解質を介して対向させて構成する太陽電池において、カソード電極は、透明基板1と、該透明基板1のアノード電極側の表面に形成された透明導電膜2と、該透明導電膜2の表面に形成された白金または炭素の被膜5とからなり、アノード電極は、透明基板1’と、該透明基板1’のカソード電極側の表面に順次、形成された透明導電膜2’および金属酸化物薄膜3とからなり、該金属酸化物薄膜3は、多孔質表面を有し、該多孔質表面に色素を担持し、該金属酸化物薄膜3のカソード電極側の表面および/または内部に、波長変換微粒子蛍光体8の層を設ける。波長変換微粒子蛍光体8の粒子径が、500nm以下であることが望ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】カソード電極とアノード電極とを、酸化還元電解質を介して対向させて構成する太陽電池において、カソード電極は、透明基板1と、該透明基板1のアノード電極側の表面に形成された透明導電膜2と、該透明導電膜2の表面に形成された白金または炭素の被膜5とからなり、アノード電極は、透明基板1’と、該透明基板1’のカソード電極側の表面に順次、形成された透明導電膜2’および金属酸化物薄膜3とからなり、該金属酸化物薄膜3は、多孔質表面を有し、該多孔質表面に色素を担持し、該金属酸化物薄膜3のカソード電極側の表面および/または内部に、波長変換微粒子蛍光体8の層を設ける。波長変換微粒子蛍光体8の粒子径が、500nm以下であることが望ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色素増感型太陽電池に関し、特に、変換効率向上に寄与する光電変換波長範囲を拡大させた色素増感型太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題からクリーンなエネルギーが求められ、太陽電池の利用が高まっている。なかでも色素増感型太陽電池は、安価に製造できることから注目されている。
【0003】
色素増感型太陽電池の構造および動作について、図4を用いて説明する。
【0004】
一方のガラス基板1上に形成された透明導電膜2の表面に、白金微粒子または炭素微粒子5を付着してカソード電極を形成する。
【0005】
他方のガラス基板1’上に形成された透明導電膜2’の表面に、金属酸化物多孔質薄膜3を形成し、光電極を形成する。金属酸化物多孔質薄膜3を構成する金属酸化物微粒子6の表面には、色素7を担持して、アノード電極とする。
【0006】
このように形成したカソード電極とアノード電極との間に、電解液4を封入して、サンドイッチ構造とする。
【0007】
金属酸化物微粒子6の一例である酸化チタン等は、短波長の光しか吸収しないので、太陽光を効率よく電気に変えるために、色素7が増感材として用いられる。この色素7が光吸収剤として働き、太陽光を吸収して、電子を金属酸化物微粒子6に注入することにより、発電が行われる。
【0008】
これに対して、シリコン太陽電池の場合には、シリコンのpn接合によってエネルギーバンドに勾配が形成され、光照射によって生成した電子と正孔とが、内部電界によって分離され、起電力が発生する。このとき、電子と正孔の再結合による損失が生じる。
【0009】
色素増感型太陽電池では、太陽光で励起された色素7の電子のみが金属酸化物微粒子6に注入されるので、電子と正孔の再結合による損失がほとんどなく、電子注入により酸化された色素7は、電解液4に存在するドナーによって速やかに還元され、初期状態へ戻る。
【0010】
以上のように、シリコン太陽電池が、光エネルギーの吸収と電子の伝達を、同じシリコン半導体の中で行うのと異なり、色素増感型太陽電池は、光エネルギーの吸収と電子の伝達を、別々の領域で行う。色素増感型太陽電池は、植物がクロロフィルで光エネルギーを吸収し、細胞膜の中のメディエーターで電子を伝達するのと、よく似た構造である。
【0011】
この型の太陽電池は電解液を用いるため、湿式太陽電池と呼ばれたり、色素を増感剤として用いるため、色素増感型太陽電池と呼ばれる。
【0012】
従来の色素増感型太陽電池として、グレッツェルらは、ナノスケールの酸化チタン微粒子を焼結した多孔質の酸化チタン膜を用いることにより、表面積を投影面積の約1000倍とし、酸化チタン膜と相性が良く太陽光を効率よく吸収するルテニウム錯体(RuL2(NCS)2、L=4,4’−ジカルボキシ−2,2’ビピリジン)を用いたことで、AM1.5(エアマス1.5:地球の中経度における太陽スペクトルの太陽光)の太陽光に対して、10%の変換効率を得た(M.K.Nazeeruddin et al.,J.Am.Chem.Soc.1993,115,6382)。このとき、電解液は、アセトニトリル (90vol%)と、3メチル2オキサゾリジノン(10vol%)との混合溶媒に、ヨウ素とヨウ化リチウムとを加えたもので、I−/I3 −酸化還元対として働く。白金微粒子または炭素微粒子は、カソード電極から電解液への電子移動を円滑にするための触媒効果が、微量でもある。さらに、色素に吸収されなかった可視光が透過するため、透明太陽電池としての機能が得られる。
【0013】
しかし、図5に示すように、色素7にルテニウム錯体を用いた色素増感型太陽電池は、太陽光の可視領域において300nm〜700nmの光を吸収して発電し、700nm〜1400nmの光を透過するため、波長700nm以上の太陽光を発電に利用できない。そのため、変換効率の向上には700nm〜1400nmの光を光電変換できる構造が望まれている。
【0014】
これらの問題を解決するため、受光感度域の異なる色素を混合して多段にする試みがなされている(特開2000−195569号公報)。
【0015】
しかしながら、複数の色素の酸化還元電位の設計は難しく、また、色素が光吸収することで発生した電子が、半導体に電子移動する過程で、他の色素と相互作用し再結合するなど、有効に光電流として取り出すことが難しいという問題を有する。
【0016】
また、色素増感型太陽電池の入射側に戻り光を全反射する高屈折膜を設けたり、光吸収粒子層の出射側に高屈折材料の光反射粒子層を設けて、変換効率を高めることも行われている(特開平10−255863号公報)。
【0017】
一方、単結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池またはガリウム砒素太陽電池の表面に蛍光体を塗布して行う入射光の波長変換により、発電に寄与する波長域の光量を増加する試みもなされている(特公平08−004147号公報)。入射光の波長変換は、電子移動に比べて、エネルギー移動に伴う損失が少ないと考えられる。
【0018】
しかしながら、蛍光体(波長変換材料)が太陽電池の表面にあるため、入射光の一部が、蛍光体での反射光や、波長変換されない吸収光となり、損失が大きいという問題を有する。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、変換効率向上に寄与する光電変換波長範囲を拡大させることができる色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の色素増感型太陽電池は、カソード電極とアノード電極とを、酸化還元電解質を介して対向させて構成する太陽電池において、カソード電極は、透明基板と、該透明基板のアノード電極側の表面に形成された透明導電膜と、該透明導電膜の表面に形成された白金または炭素の被膜とからなり、アノード電極は、透明基板と、該透明基板のカソード電極側の表面に順次、形成された透明導電膜および金属酸化物薄膜とからなり、該金属酸化物薄膜は、多孔質表面を有し、該多孔質表面に色素を担持し、該金属酸化物薄膜のカソード電極側の表面および/または内部に、波長変換微粒子蛍光体の層を設ける。前記波長変換微粒子蛍光体の粒子径が、500nm以下であることが望ましい。
【0021】
あるいは、カソード電極とアノード電極とを、酸化還元電解質を介して対向させて構成する太陽電池において、カソード電極は、透明基板と、該透明基板のアノード電極側の表面に形成された透明導電膜と、該透明導電膜の表面に形成された白金または炭素の被膜とからなり、アノード電極は、透明基板と、該透明基板のカソード電極側の表面に順次、形成された透明導電膜および金属酸化物薄膜とからなり、該金属酸化物薄膜は、多孔質表面を有し、該多孔質表面に色素を担持し、かつ、透明基板のカソード電極と反対側の表面に、波長変換微粒子蛍光体の層を設ける。前記波長変換微粒子蛍光体の粒子径が、100nm以下であることが望ましい。
【0022】
前記波長変換微粒子蛍光体が、Er3+、Yb3+、Tm3+、Ho3+、Pr3+およびEu3+から選ばれた1種以上を、YF3、NaYF4、BaY2F8およびNa3YGe2O7から選ばれた1種以上の微粒子に、添加して得られるか、Er3+、Yb3+、Tm3+、Ho3+、Pr3+およびEu3+から選ばれた1種以上を含む有機蛍光物質であることが望ましい。
【0023】
前記金属酸化物が、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化錫(SnO2)またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)であることが望ましい。
【0024】
前記色素が、ルテニウム錯体またはキサンテン系色素であることが望ましい。
【0025】
前記酸化還元電解質が、ヨウ素、臭素または塩素を含む電解液か、あるいはヨウ素、臭素または塩素を含む固体導電体であることが望ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
ルテニウム錯体を色素に用いた色素増感型太陽電池の透過率(○)、太陽光スペクトル(△)の波長依存性を、図5に示す。
【0027】
図示のように、波長700nm以下で透過率は低下しており、このことから、太陽光を有効に利用できることがわかるが、波長700nm以上の太陽光は、透過光となり発電に利用できていない。
【0028】
そこで、本発明者は、波長変換材料とその粒子径について注目し、研究を進めた。
【0029】
波長変換材料としての赤外可視変換材料は、母体材料中に1種あるいは2種以上の希土類元素を添加し、赤外光を吸収し可視光を発光するものである。例えば、Er3+、Yb3+、Tm3+、Ho3+、Pr3+およびEu3+から選ばれた1種以上の希土類元素を添加したYF3、NaYF4、BaY2F8およびNa3YGe2O7から選ばれた1種以上の微粒子は、例えば、Yb3+による800nm付近の赤外光吸収により、緑色(550nm付近)の発光をすることが知られている。
【0030】
赤外可視変換材料は、その動作原理により5種類に分類できる(蛍光体ハンドブック、蛍光体同学会編、p342)が、ここでは多段励起蛍光体について説明する。
【0031】
多段励起蛍光体は、赤外光の照射により、第一励起準位に励起された希土類イオンのエネルギーが、エネルギー伝達により第一励起準位あるいは第二励起準位にある他の希土類イオンに伝達され、さらに上位の準位に励起し、その高い準位から基底状態に遷移することにより、入射光よりもエネルギーの高い可視光の発光を生じるものである。
【0032】
膜中の散乱微粒子の径と、膜の透過率の波長依存性との関係は、(微粒子径)/(波長)の比Aにより、A<<1のときはレイリー散乱、A≦1のときはミー散乱、A≧1のときは回折散乱、A>>1のときは幾何光学散乱となる。特に、レイリー散乱領域では、粒子が大きいほど、あるいは波長が長いほど、散乱強度が強くなる。従って、アノード電極の透明基板の面で、カソード電極と反対側の面に波長変換材料として塗布する微粒子は、可視光の散乱を少なくするために、100nm以下の粒子径が必要であり、望ましくは、50nm以下の粒子径である。
【0033】
一方、色素を担持した金属酸化物薄膜の多孔質の表面または内部に、散乱を起こす微粒子が存在する場合、入射光の閉じ込め効果が働き、変換効率を向上させる効果がある。入射光の閉じ込め効果として有効な粒子径は、200nm〜500nmと見積もられている。すなわち、色素を担持した金属酸化物薄膜の多孔質の表面または内部では、赤外光の可視光変換とともに、可視光の散乱強度も強い方が望ましく、500nm以下の粒子径であれば良い。
【0034】
本発明者は、これらの事実を得て、本発明を完成するに至った。
【0035】
本発明に係る色素増感型太陽電池の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る色素増感型太陽電池の一実施例を示す概略断面図である。
【0036】
カソード電極は、透明導電膜(例えばフッ素ドープ酸化錫)2のついたガラス基板1に、白金微粒子または炭素微粒子5を付着させて得る。アノード電極は、透明導電膜(例えばフッ素ドープ酸化錫)2’のついたガラス基板1’に、金属酸化物多孔質薄膜3、および希土類元素を含む波長変換微粒子蛍光体8による層を、それぞれ形成する。金属酸化物多孔質薄膜3は、平均粒径5〜100nm、好ましくは10〜30nmの微粒子で構成され、多孔質表面を有する。そして、金属酸化物微粒子の表面、すなわち多孔質表面に色素を担持して、光電極とする。さらに、カソード電極とアノード電極との間に、酸化還元電解質4を備えて、色素増感型太陽電池が構成される。
【0037】
酸化還元電解質4は、ヨウ素系電解液であるアセトニトリル(90vol%)と3メチル2オキサゾリジノン(10vol%)の混合溶媒に、ヨウ素とヨウ化リチウムを加えたものであり、ヨウ素酸化還元対(I3 −/I−)として働き、カソード電極とアノード電極との間の電子移動に寄与している。
【0038】
金属酸化物多孔質薄膜3は、例えば酸化チタン微粒子で形成することができる。
【0039】
波長変換微粒子蛍光体8は、例えばEr3+、Yb3+、Tm3+、Ho3+、Pr3+およびEu3+から選ばれた1種以上の希土類元素を含むYF3、NaYF4、BaY2F8またはNa3YGe2O7微粒子で形成することができる。波長変換微粒子蛍光体8の層は、酸化物多孔質薄膜3のカソード電極側の表面に設けられるのが基本的であるが、当該層は、酸化物多孔質薄膜3の内部に入り込んでもよく、また、サンドイッチ層のように内部に設けられてもよい。これによって、酸化物多孔質薄膜3の層間で、入射光を散乱させて、変換効率を高めることができる。
【0040】
さらに、波長変換微粒子蛍光体8の層は、酸化物多孔質薄膜3の入射側、例えば透明基板の入射側表面に設けてもよい。これにより、この表面から外へ出ようとする光を全反射させて、戻すことができる。ただし、この場合は、入射側の透過率を下げないように措置する必要がある。
【0041】
色素は、例えば、ルテニウム錯体からなる色素を用いると、色素が光を吸収して、ルテニウム金属・配位子軌道遷移により励起された電子が、酸化チタンの伝導帯に移り、光電流となり、発電が行なわれる。
【0042】
以上のように作製される本発明の色素増感型太陽電池は、変換効率向上に寄与する光電変換波長範囲を拡大させることができ、本発明により、変換効率が大きな色素増感型太陽電池を提供することができる。
【0043】
【実施例】
本発明を、以下の実施例により説明する。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)
本発明の色素増感型太陽電池を、以下の条件で構成し、その特性を評価した。図1に示した概略断面図を用いて説明する。
【0045】
(1)光電極であるアノード電極を、以下のように作製した。
【0046】
透明導電膜2’を形成した透明基板1’には、市販のフッ素ドープSnO2ガラス(日本板硝子製、導電層膜厚450nm)を用いた。
【0047】
該フッ素ドープSnO2ガラス1’の上の透明導電膜2’に、酸化チタンペーストを塗布し、自然乾燥後、500℃で30分間電気炉で焼成を行った。酸化チタンペーストは、平均粒径15nmのTiO2ペースト(Solaronix社製)を用いた。一回の塗布、乾燥および焼成で、約2μm厚の酸化チタン多孔質膜3が形成された。この操作を、複数回、繰り返すことにより、約10μm厚とした。
【0048】
さらに、希土類元素Er3+、Yb3+を含む平均粒径約100nmのNaYF4微粒子ペーストを、酸化チタン多孔質膜3の上に塗布し、自然乾燥後、200℃で30分間、電気炉で焼成を行った。1回の塗布、乾燥および焼成で、約2μm厚のNaYF4微粒子多孔質膜からなる波長変換微粒子蛍光体層8が形成された。
【0049】
酸化チタン多孔質膜3および波長変換微粒子蛍光体層8を、Ru色素溶液に浸漬し、80℃で2時間還流を行い、酸化チタン多孔質表面にRu色素を担持した。
【0050】
Ru色素溶液は、エタノールに3×10−4mol/LのRu色素(Solaronix社製、Ruthenium535)を溶解させることにより作製した。
【0051】
以上のようにして、光電極であるアノード電極を形成した。
【0052】
(2)一方、カソード電極は、前述と同じフッ素ドープSnO2ガラス1の上の透明導電膜2の表面に、スパッタリング法で白金5を付着させることにより作製した。
【0053】
(3)カソード電極とアノード電極を対向させて、電池構造を形成し、隙間に酸化還元電解質4を注入した。
【0054】
酸化還元電解質4はヨウ素系電解液であり、アセトニトリル(90vol%)と3メチル2オキサゾリジノン(10vol%)との混合溶媒に、ヨウ素とヨウ化リチウムとを加えたものである。
【0055】
本実施例で、太陽電池の投影面積は0.25cm2とした。
【0056】
得られた太陽電池に対して、AM1.5のソーラーシミュレータで1000W/m2の疑似太陽光を照射して、電流電圧特性を測定した。
【0057】
本実施例の太陽電池では、短絡電流13mA/cm2、開放電圧0.7V、変換効率6%を得た。透過率−波長曲線を図3に示す。
【0058】
(比較例1)
参照用に、波長変換微粒子蛍光体層8を形成しなかったこと以外は同一プロセスで、投影面積が同じ0.25cm2の太陽電池を作製し、実施例1と同様に電流電圧特性を測定した。
【0059】
比較例1の太陽電池では、短絡電流10mA/cm2、開放電圧0.7V、変換効率5%を得た。
【0060】
本発明による実施例1の太陽電池では、変換効率向上に寄与する光電変換波長範囲を拡大させることができ、変換効率の増加が確認できた。
【0061】
(実施例2)
本発明の異なる構成の色素増感型太陽電池を、以下の条件で構成し、その特性を評価した。図2に、本実施例の概略断面図で示した。
【0062】
(1)光電極であるアノード電極を、以下のように作製した。
【0063】
透明導電膜2’を形成した透明基板1’には、市販のフッ素ドープSnO2ガラス(日本板硝子製、導電層膜厚450nm)を用いた。
【0064】
該フッ素ドープSnO2ガラス1’の上の透明導電膜2’に、酸化チタンペーストを塗布し、自然乾燥後、500℃で30分間電気炉で焼成を行った。酸化チタンペーストは、平均粒径15nmのTiO2ペースト(Solaronix社製)を用いた。一回の塗布、乾燥および焼成で、約2μm厚の酸化チタン多孔質膜3が形成された。この操作を、複数回、繰り返すことにより、約10μm厚とした。
【0065】
さらに、希土類元素Er3+、Yb3+を含む平均粒径約50nmのNaYF4微粒子ペーストを、酸化チタン多孔質膜3と反対側の面に塗布し、自然乾燥後、200℃で30分間、電気炉で焼成を行った。1回の塗布、乾燥および焼成で、約2μm厚のNaYF4微粒子多孔質膜からなる波長変換微粒子蛍光体層8が形成された。
【0066】
酸化チタン多孔質膜3を、Ru色素溶液に浸漬し、80℃で2時間還流を行い、酸化チタン多孔質表面にRu色素を担持した。
【0067】
Ru色素溶液は、エタノールに3×10−4mol/LのRu色素(Solaronix社製、Ruthenium535)を溶解させることにより作製した。
【0068】
以上のようにして、光電極であるアノード電極を形成した。
【0069】
(2)一方、カソード電極は、前述と同じフッ素ドープSnO2ガラス1の上の透明導電膜2の表面に、スパッタリング法で白金5を付着させることにより作製した。
【0070】
(3)カソード電極とアノード電極を対向させて、電池構造を形成し、隙間に酸化還元電解質4を注入した。
【0071】
酸化還元電解質4はヨウ素系電解液であり、アセトニトリル(90vol%)と3メチル2オキサゾリジノン(10vol%)との混合溶媒に、ヨウ素とヨウ化リチウムとを加えたものである。
【0072】
本実施例で、太陽電池の投影面積は0.25cm2とした。
【0073】
得られた太陽電池に対して、AM1.5のソーラーシミュレータで1000W/m2の疑似太陽光を照射して、電流電圧特性を測定した。
【0074】
本実施例の太陽電池では、短絡電流12mA/cm2、開放電圧0.7V、変換効率5.5%を得た。
【0075】
(比較例2)
参照用に、波長変換微粒子蛍光体層8を形成しなかったこと以外は同一プロセスで、投影面積が同じ0.25cm2の太陽電池を作製し、実施例2と同様に電流電圧特性を測定した。
【0076】
比較例2の太陽電池では、短絡電流10mA/cm2、開放電圧0.7V、変換効率5%を得た。
【0077】
本発明による実施例2の太陽電池では、変換効率向上に寄与する光電変換波長範囲を拡大させることができ、変換効率の増加が確認できた。
【0078】
(実施例3)
実施例1において、NaYF4の層を粒子径50、500nmとしたこと以外は同一プロセスで、投影面積が同じ0.25cm2の太陽電池を作製し、実施例1と同様に電流電圧特性を測定した。
【0079】
実施例3の太陽電池では、平均粒子径が500nmでは、短絡電流12mA/cm2、開放電圧0.7V、変換効率5.5%を得た。平均粒子径が50nmでは、短絡電流12mA/cm2、開放電圧0.7V、変換効率5.4%を得た。
【0080】
【表1】
【0081】
(実施例4)
実施例2において、NaYF4の層を粒子径100nmとしたこと以外は同一プロセスで、投影面積が同じ0.25cm2の太陽電池を作製し、実施例1と同様に電流電圧特性を測定した。
【0082】
実施例4の太陽電池では、短絡電流11mA/cm2、開放電圧0.7V、変換効率5.2%を得た。
【0083】
(比較例3)
実施例2において、NaYF4の層を粒子径500nmとしたこと以外は同一プロセスで、投影面積が同じ0.25cm2の太陽電池を作製し、実施例1と同様に電流電圧特性を測定した。
【0084】
比較例3の太陽電池では、短絡電流9mA/cm2、開放電圧0.7V、変換効率4.8%を得た。
【0085】
【発明の効果】
本発明の色素増感型太陽電池は、希土類元素を添加した波長変換微粒子蛍光体(赤外可視変換材料)を用いることにより、発電に寄与できない波長700nm以上の可視から近赤外光を、発電に寄与できる可視光に変換し、光電変換波長範囲を拡大させることが可能となり、変換効率の大きな色素増感型太陽電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る色素増感型太陽電池の一実施例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の異なる実施例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施例における色素増感型太陽電池の透過率−波長曲線を示すグラフである。
【図4】従来の色素増感型太陽電池の構成を示す概略断面図である。
【図5】従来の色素増感型太陽電池の透過率−波長曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
1、1’ 透明基板
2、2’ 透明導電膜
3 金属酸化物多孔質膜
4 酸化還元電解質
5 白金または炭素
6 金属酸化物微粒子
7 色素
8 波長変換微粒子蛍光体層
【発明の属する技術分野】
本発明は、色素増感型太陽電池に関し、特に、変換効率向上に寄与する光電変換波長範囲を拡大させた色素増感型太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題からクリーンなエネルギーが求められ、太陽電池の利用が高まっている。なかでも色素増感型太陽電池は、安価に製造できることから注目されている。
【0003】
色素増感型太陽電池の構造および動作について、図4を用いて説明する。
【0004】
一方のガラス基板1上に形成された透明導電膜2の表面に、白金微粒子または炭素微粒子5を付着してカソード電極を形成する。
【0005】
他方のガラス基板1’上に形成された透明導電膜2’の表面に、金属酸化物多孔質薄膜3を形成し、光電極を形成する。金属酸化物多孔質薄膜3を構成する金属酸化物微粒子6の表面には、色素7を担持して、アノード電極とする。
【0006】
このように形成したカソード電極とアノード電極との間に、電解液4を封入して、サンドイッチ構造とする。
【0007】
金属酸化物微粒子6の一例である酸化チタン等は、短波長の光しか吸収しないので、太陽光を効率よく電気に変えるために、色素7が増感材として用いられる。この色素7が光吸収剤として働き、太陽光を吸収して、電子を金属酸化物微粒子6に注入することにより、発電が行われる。
【0008】
これに対して、シリコン太陽電池の場合には、シリコンのpn接合によってエネルギーバンドに勾配が形成され、光照射によって生成した電子と正孔とが、内部電界によって分離され、起電力が発生する。このとき、電子と正孔の再結合による損失が生じる。
【0009】
色素増感型太陽電池では、太陽光で励起された色素7の電子のみが金属酸化物微粒子6に注入されるので、電子と正孔の再結合による損失がほとんどなく、電子注入により酸化された色素7は、電解液4に存在するドナーによって速やかに還元され、初期状態へ戻る。
【0010】
以上のように、シリコン太陽電池が、光エネルギーの吸収と電子の伝達を、同じシリコン半導体の中で行うのと異なり、色素増感型太陽電池は、光エネルギーの吸収と電子の伝達を、別々の領域で行う。色素増感型太陽電池は、植物がクロロフィルで光エネルギーを吸収し、細胞膜の中のメディエーターで電子を伝達するのと、よく似た構造である。
【0011】
この型の太陽電池は電解液を用いるため、湿式太陽電池と呼ばれたり、色素を増感剤として用いるため、色素増感型太陽電池と呼ばれる。
【0012】
従来の色素増感型太陽電池として、グレッツェルらは、ナノスケールの酸化チタン微粒子を焼結した多孔質の酸化チタン膜を用いることにより、表面積を投影面積の約1000倍とし、酸化チタン膜と相性が良く太陽光を効率よく吸収するルテニウム錯体(RuL2(NCS)2、L=4,4’−ジカルボキシ−2,2’ビピリジン)を用いたことで、AM1.5(エアマス1.5:地球の中経度における太陽スペクトルの太陽光)の太陽光に対して、10%の変換効率を得た(M.K.Nazeeruddin et al.,J.Am.Chem.Soc.1993,115,6382)。このとき、電解液は、アセトニトリル (90vol%)と、3メチル2オキサゾリジノン(10vol%)との混合溶媒に、ヨウ素とヨウ化リチウムとを加えたもので、I−/I3 −酸化還元対として働く。白金微粒子または炭素微粒子は、カソード電極から電解液への電子移動を円滑にするための触媒効果が、微量でもある。さらに、色素に吸収されなかった可視光が透過するため、透明太陽電池としての機能が得られる。
【0013】
しかし、図5に示すように、色素7にルテニウム錯体を用いた色素増感型太陽電池は、太陽光の可視領域において300nm〜700nmの光を吸収して発電し、700nm〜1400nmの光を透過するため、波長700nm以上の太陽光を発電に利用できない。そのため、変換効率の向上には700nm〜1400nmの光を光電変換できる構造が望まれている。
【0014】
これらの問題を解決するため、受光感度域の異なる色素を混合して多段にする試みがなされている(特開2000−195569号公報)。
【0015】
しかしながら、複数の色素の酸化還元電位の設計は難しく、また、色素が光吸収することで発生した電子が、半導体に電子移動する過程で、他の色素と相互作用し再結合するなど、有効に光電流として取り出すことが難しいという問題を有する。
【0016】
また、色素増感型太陽電池の入射側に戻り光を全反射する高屈折膜を設けたり、光吸収粒子層の出射側に高屈折材料の光反射粒子層を設けて、変換効率を高めることも行われている(特開平10−255863号公報)。
【0017】
一方、単結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池またはガリウム砒素太陽電池の表面に蛍光体を塗布して行う入射光の波長変換により、発電に寄与する波長域の光量を増加する試みもなされている(特公平08−004147号公報)。入射光の波長変換は、電子移動に比べて、エネルギー移動に伴う損失が少ないと考えられる。
【0018】
しかしながら、蛍光体(波長変換材料)が太陽電池の表面にあるため、入射光の一部が、蛍光体での反射光や、波長変換されない吸収光となり、損失が大きいという問題を有する。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、変換効率向上に寄与する光電変換波長範囲を拡大させることができる色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の色素増感型太陽電池は、カソード電極とアノード電極とを、酸化還元電解質を介して対向させて構成する太陽電池において、カソード電極は、透明基板と、該透明基板のアノード電極側の表面に形成された透明導電膜と、該透明導電膜の表面に形成された白金または炭素の被膜とからなり、アノード電極は、透明基板と、該透明基板のカソード電極側の表面に順次、形成された透明導電膜および金属酸化物薄膜とからなり、該金属酸化物薄膜は、多孔質表面を有し、該多孔質表面に色素を担持し、該金属酸化物薄膜のカソード電極側の表面および/または内部に、波長変換微粒子蛍光体の層を設ける。前記波長変換微粒子蛍光体の粒子径が、500nm以下であることが望ましい。
【0021】
あるいは、カソード電極とアノード電極とを、酸化還元電解質を介して対向させて構成する太陽電池において、カソード電極は、透明基板と、該透明基板のアノード電極側の表面に形成された透明導電膜と、該透明導電膜の表面に形成された白金または炭素の被膜とからなり、アノード電極は、透明基板と、該透明基板のカソード電極側の表面に順次、形成された透明導電膜および金属酸化物薄膜とからなり、該金属酸化物薄膜は、多孔質表面を有し、該多孔質表面に色素を担持し、かつ、透明基板のカソード電極と反対側の表面に、波長変換微粒子蛍光体の層を設ける。前記波長変換微粒子蛍光体の粒子径が、100nm以下であることが望ましい。
【0022】
前記波長変換微粒子蛍光体が、Er3+、Yb3+、Tm3+、Ho3+、Pr3+およびEu3+から選ばれた1種以上を、YF3、NaYF4、BaY2F8およびNa3YGe2O7から選ばれた1種以上の微粒子に、添加して得られるか、Er3+、Yb3+、Tm3+、Ho3+、Pr3+およびEu3+から選ばれた1種以上を含む有機蛍光物質であることが望ましい。
【0023】
前記金属酸化物が、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化錫(SnO2)またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)であることが望ましい。
【0024】
前記色素が、ルテニウム錯体またはキサンテン系色素であることが望ましい。
【0025】
前記酸化還元電解質が、ヨウ素、臭素または塩素を含む電解液か、あるいはヨウ素、臭素または塩素を含む固体導電体であることが望ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
ルテニウム錯体を色素に用いた色素増感型太陽電池の透過率(○)、太陽光スペクトル(△)の波長依存性を、図5に示す。
【0027】
図示のように、波長700nm以下で透過率は低下しており、このことから、太陽光を有効に利用できることがわかるが、波長700nm以上の太陽光は、透過光となり発電に利用できていない。
【0028】
そこで、本発明者は、波長変換材料とその粒子径について注目し、研究を進めた。
【0029】
波長変換材料としての赤外可視変換材料は、母体材料中に1種あるいは2種以上の希土類元素を添加し、赤外光を吸収し可視光を発光するものである。例えば、Er3+、Yb3+、Tm3+、Ho3+、Pr3+およびEu3+から選ばれた1種以上の希土類元素を添加したYF3、NaYF4、BaY2F8およびNa3YGe2O7から選ばれた1種以上の微粒子は、例えば、Yb3+による800nm付近の赤外光吸収により、緑色(550nm付近)の発光をすることが知られている。
【0030】
赤外可視変換材料は、その動作原理により5種類に分類できる(蛍光体ハンドブック、蛍光体同学会編、p342)が、ここでは多段励起蛍光体について説明する。
【0031】
多段励起蛍光体は、赤外光の照射により、第一励起準位に励起された希土類イオンのエネルギーが、エネルギー伝達により第一励起準位あるいは第二励起準位にある他の希土類イオンに伝達され、さらに上位の準位に励起し、その高い準位から基底状態に遷移することにより、入射光よりもエネルギーの高い可視光の発光を生じるものである。
【0032】
膜中の散乱微粒子の径と、膜の透過率の波長依存性との関係は、(微粒子径)/(波長)の比Aにより、A<<1のときはレイリー散乱、A≦1のときはミー散乱、A≧1のときは回折散乱、A>>1のときは幾何光学散乱となる。特に、レイリー散乱領域では、粒子が大きいほど、あるいは波長が長いほど、散乱強度が強くなる。従って、アノード電極の透明基板の面で、カソード電極と反対側の面に波長変換材料として塗布する微粒子は、可視光の散乱を少なくするために、100nm以下の粒子径が必要であり、望ましくは、50nm以下の粒子径である。
【0033】
一方、色素を担持した金属酸化物薄膜の多孔質の表面または内部に、散乱を起こす微粒子が存在する場合、入射光の閉じ込め効果が働き、変換効率を向上させる効果がある。入射光の閉じ込め効果として有効な粒子径は、200nm〜500nmと見積もられている。すなわち、色素を担持した金属酸化物薄膜の多孔質の表面または内部では、赤外光の可視光変換とともに、可視光の散乱強度も強い方が望ましく、500nm以下の粒子径であれば良い。
【0034】
本発明者は、これらの事実を得て、本発明を完成するに至った。
【0035】
本発明に係る色素増感型太陽電池の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る色素増感型太陽電池の一実施例を示す概略断面図である。
【0036】
カソード電極は、透明導電膜(例えばフッ素ドープ酸化錫)2のついたガラス基板1に、白金微粒子または炭素微粒子5を付着させて得る。アノード電極は、透明導電膜(例えばフッ素ドープ酸化錫)2’のついたガラス基板1’に、金属酸化物多孔質薄膜3、および希土類元素を含む波長変換微粒子蛍光体8による層を、それぞれ形成する。金属酸化物多孔質薄膜3は、平均粒径5〜100nm、好ましくは10〜30nmの微粒子で構成され、多孔質表面を有する。そして、金属酸化物微粒子の表面、すなわち多孔質表面に色素を担持して、光電極とする。さらに、カソード電極とアノード電極との間に、酸化還元電解質4を備えて、色素増感型太陽電池が構成される。
【0037】
酸化還元電解質4は、ヨウ素系電解液であるアセトニトリル(90vol%)と3メチル2オキサゾリジノン(10vol%)の混合溶媒に、ヨウ素とヨウ化リチウムを加えたものであり、ヨウ素酸化還元対(I3 −/I−)として働き、カソード電極とアノード電極との間の電子移動に寄与している。
【0038】
金属酸化物多孔質薄膜3は、例えば酸化チタン微粒子で形成することができる。
【0039】
波長変換微粒子蛍光体8は、例えばEr3+、Yb3+、Tm3+、Ho3+、Pr3+およびEu3+から選ばれた1種以上の希土類元素を含むYF3、NaYF4、BaY2F8またはNa3YGe2O7微粒子で形成することができる。波長変換微粒子蛍光体8の層は、酸化物多孔質薄膜3のカソード電極側の表面に設けられるのが基本的であるが、当該層は、酸化物多孔質薄膜3の内部に入り込んでもよく、また、サンドイッチ層のように内部に設けられてもよい。これによって、酸化物多孔質薄膜3の層間で、入射光を散乱させて、変換効率を高めることができる。
【0040】
さらに、波長変換微粒子蛍光体8の層は、酸化物多孔質薄膜3の入射側、例えば透明基板の入射側表面に設けてもよい。これにより、この表面から外へ出ようとする光を全反射させて、戻すことができる。ただし、この場合は、入射側の透過率を下げないように措置する必要がある。
【0041】
色素は、例えば、ルテニウム錯体からなる色素を用いると、色素が光を吸収して、ルテニウム金属・配位子軌道遷移により励起された電子が、酸化チタンの伝導帯に移り、光電流となり、発電が行なわれる。
【0042】
以上のように作製される本発明の色素増感型太陽電池は、変換効率向上に寄与する光電変換波長範囲を拡大させることができ、本発明により、変換効率が大きな色素増感型太陽電池を提供することができる。
【0043】
【実施例】
本発明を、以下の実施例により説明する。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)
本発明の色素増感型太陽電池を、以下の条件で構成し、その特性を評価した。図1に示した概略断面図を用いて説明する。
【0045】
(1)光電極であるアノード電極を、以下のように作製した。
【0046】
透明導電膜2’を形成した透明基板1’には、市販のフッ素ドープSnO2ガラス(日本板硝子製、導電層膜厚450nm)を用いた。
【0047】
該フッ素ドープSnO2ガラス1’の上の透明導電膜2’に、酸化チタンペーストを塗布し、自然乾燥後、500℃で30分間電気炉で焼成を行った。酸化チタンペーストは、平均粒径15nmのTiO2ペースト(Solaronix社製)を用いた。一回の塗布、乾燥および焼成で、約2μm厚の酸化チタン多孔質膜3が形成された。この操作を、複数回、繰り返すことにより、約10μm厚とした。
【0048】
さらに、希土類元素Er3+、Yb3+を含む平均粒径約100nmのNaYF4微粒子ペーストを、酸化チタン多孔質膜3の上に塗布し、自然乾燥後、200℃で30分間、電気炉で焼成を行った。1回の塗布、乾燥および焼成で、約2μm厚のNaYF4微粒子多孔質膜からなる波長変換微粒子蛍光体層8が形成された。
【0049】
酸化チタン多孔質膜3および波長変換微粒子蛍光体層8を、Ru色素溶液に浸漬し、80℃で2時間還流を行い、酸化チタン多孔質表面にRu色素を担持した。
【0050】
Ru色素溶液は、エタノールに3×10−4mol/LのRu色素(Solaronix社製、Ruthenium535)を溶解させることにより作製した。
【0051】
以上のようにして、光電極であるアノード電極を形成した。
【0052】
(2)一方、カソード電極は、前述と同じフッ素ドープSnO2ガラス1の上の透明導電膜2の表面に、スパッタリング法で白金5を付着させることにより作製した。
【0053】
(3)カソード電極とアノード電極を対向させて、電池構造を形成し、隙間に酸化還元電解質4を注入した。
【0054】
酸化還元電解質4はヨウ素系電解液であり、アセトニトリル(90vol%)と3メチル2オキサゾリジノン(10vol%)との混合溶媒に、ヨウ素とヨウ化リチウムとを加えたものである。
【0055】
本実施例で、太陽電池の投影面積は0.25cm2とした。
【0056】
得られた太陽電池に対して、AM1.5のソーラーシミュレータで1000W/m2の疑似太陽光を照射して、電流電圧特性を測定した。
【0057】
本実施例の太陽電池では、短絡電流13mA/cm2、開放電圧0.7V、変換効率6%を得た。透過率−波長曲線を図3に示す。
【0058】
(比較例1)
参照用に、波長変換微粒子蛍光体層8を形成しなかったこと以外は同一プロセスで、投影面積が同じ0.25cm2の太陽電池を作製し、実施例1と同様に電流電圧特性を測定した。
【0059】
比較例1の太陽電池では、短絡電流10mA/cm2、開放電圧0.7V、変換効率5%を得た。
【0060】
本発明による実施例1の太陽電池では、変換効率向上に寄与する光電変換波長範囲を拡大させることができ、変換効率の増加が確認できた。
【0061】
(実施例2)
本発明の異なる構成の色素増感型太陽電池を、以下の条件で構成し、その特性を評価した。図2に、本実施例の概略断面図で示した。
【0062】
(1)光電極であるアノード電極を、以下のように作製した。
【0063】
透明導電膜2’を形成した透明基板1’には、市販のフッ素ドープSnO2ガラス(日本板硝子製、導電層膜厚450nm)を用いた。
【0064】
該フッ素ドープSnO2ガラス1’の上の透明導電膜2’に、酸化チタンペーストを塗布し、自然乾燥後、500℃で30分間電気炉で焼成を行った。酸化チタンペーストは、平均粒径15nmのTiO2ペースト(Solaronix社製)を用いた。一回の塗布、乾燥および焼成で、約2μm厚の酸化チタン多孔質膜3が形成された。この操作を、複数回、繰り返すことにより、約10μm厚とした。
【0065】
さらに、希土類元素Er3+、Yb3+を含む平均粒径約50nmのNaYF4微粒子ペーストを、酸化チタン多孔質膜3と反対側の面に塗布し、自然乾燥後、200℃で30分間、電気炉で焼成を行った。1回の塗布、乾燥および焼成で、約2μm厚のNaYF4微粒子多孔質膜からなる波長変換微粒子蛍光体層8が形成された。
【0066】
酸化チタン多孔質膜3を、Ru色素溶液に浸漬し、80℃で2時間還流を行い、酸化チタン多孔質表面にRu色素を担持した。
【0067】
Ru色素溶液は、エタノールに3×10−4mol/LのRu色素(Solaronix社製、Ruthenium535)を溶解させることにより作製した。
【0068】
以上のようにして、光電極であるアノード電極を形成した。
【0069】
(2)一方、カソード電極は、前述と同じフッ素ドープSnO2ガラス1の上の透明導電膜2の表面に、スパッタリング法で白金5を付着させることにより作製した。
【0070】
(3)カソード電極とアノード電極を対向させて、電池構造を形成し、隙間に酸化還元電解質4を注入した。
【0071】
酸化還元電解質4はヨウ素系電解液であり、アセトニトリル(90vol%)と3メチル2オキサゾリジノン(10vol%)との混合溶媒に、ヨウ素とヨウ化リチウムとを加えたものである。
【0072】
本実施例で、太陽電池の投影面積は0.25cm2とした。
【0073】
得られた太陽電池に対して、AM1.5のソーラーシミュレータで1000W/m2の疑似太陽光を照射して、電流電圧特性を測定した。
【0074】
本実施例の太陽電池では、短絡電流12mA/cm2、開放電圧0.7V、変換効率5.5%を得た。
【0075】
(比較例2)
参照用に、波長変換微粒子蛍光体層8を形成しなかったこと以外は同一プロセスで、投影面積が同じ0.25cm2の太陽電池を作製し、実施例2と同様に電流電圧特性を測定した。
【0076】
比較例2の太陽電池では、短絡電流10mA/cm2、開放電圧0.7V、変換効率5%を得た。
【0077】
本発明による実施例2の太陽電池では、変換効率向上に寄与する光電変換波長範囲を拡大させることができ、変換効率の増加が確認できた。
【0078】
(実施例3)
実施例1において、NaYF4の層を粒子径50、500nmとしたこと以外は同一プロセスで、投影面積が同じ0.25cm2の太陽電池を作製し、実施例1と同様に電流電圧特性を測定した。
【0079】
実施例3の太陽電池では、平均粒子径が500nmでは、短絡電流12mA/cm2、開放電圧0.7V、変換効率5.5%を得た。平均粒子径が50nmでは、短絡電流12mA/cm2、開放電圧0.7V、変換効率5.4%を得た。
【0080】
【表1】
【0081】
(実施例4)
実施例2において、NaYF4の層を粒子径100nmとしたこと以外は同一プロセスで、投影面積が同じ0.25cm2の太陽電池を作製し、実施例1と同様に電流電圧特性を測定した。
【0082】
実施例4の太陽電池では、短絡電流11mA/cm2、開放電圧0.7V、変換効率5.2%を得た。
【0083】
(比較例3)
実施例2において、NaYF4の層を粒子径500nmとしたこと以外は同一プロセスで、投影面積が同じ0.25cm2の太陽電池を作製し、実施例1と同様に電流電圧特性を測定した。
【0084】
比較例3の太陽電池では、短絡電流9mA/cm2、開放電圧0.7V、変換効率4.8%を得た。
【0085】
【発明の効果】
本発明の色素増感型太陽電池は、希土類元素を添加した波長変換微粒子蛍光体(赤外可視変換材料)を用いることにより、発電に寄与できない波長700nm以上の可視から近赤外光を、発電に寄与できる可視光に変換し、光電変換波長範囲を拡大させることが可能となり、変換効率の大きな色素増感型太陽電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る色素増感型太陽電池の一実施例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の異なる実施例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施例における色素増感型太陽電池の透過率−波長曲線を示すグラフである。
【図4】従来の色素増感型太陽電池の構成を示す概略断面図である。
【図5】従来の色素増感型太陽電池の透過率−波長曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
1、1’ 透明基板
2、2’ 透明導電膜
3 金属酸化物多孔質膜
4 酸化還元電解質
5 白金または炭素
6 金属酸化物微粒子
7 色素
8 波長変換微粒子蛍光体層
Claims (9)
- カソード電極とアノード電極とを、酸化還元電解質を介して対向させて構成する太陽電池において、カソード電極は、透明基板と、該透明基板のアノード電極側の表面に形成された透明導電膜と、該透明導電膜の表面に形成された白金または炭素の被膜とからなり、アノード電極は、透明基板と、該透明基板のカソード電極側の表面に順次、形成された透明導電膜および金属酸化物薄膜とからなり、該金属酸化物薄膜は、多孔質表面を有し、該多孔質表面に色素を担持し、該金属酸化物薄膜のカソード電極側の表面および/または内部に、波長変換微粒子蛍光体の層を設けたことを特徴とする色素増感型太陽電池。
- 前記波長変換微粒子蛍光体の粒子径が、500nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
- カソード電極とアノード電極とを、酸化還元電解質を介して対向させて構成する太陽電池において、カソード電極は、透明基板と、該透明基板のアノード電極側の表面に形成された透明導電膜と、該透明導電膜の表面に形成された白金または炭素の被膜とからなり、アノード電極は、透明基板と、該透明基板のカソード電極側の表面に順次、形成された透明導電膜および金属酸化物薄膜とからなり、該金属酸化物薄膜は、多孔質表面を有し、該多孔質表面に色素を担持し、かつ、透明基板のカソード電極と反対側の表面に、波長変換微粒子蛍光体の層を設けたことを特徴とする色素増感型太陽電池。
- 前記波長変換微粒子蛍光体の粒子径が、100nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の色素増感型太陽電池。
- 前記波長変換微粒子蛍光体が、Er3+、Yb3+、Tm3+、Ho3+、Pr3+およびEu3+から選ばれた1種以上を、YF3、NaYF4、BaY2F8およびNa3YGe2O7から選ばれた1種以上の微粒子に、添加して得られることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
- 前記波長変換微粒子蛍光体が、Er3+、Yb3+、Tm3+、Ho3+、Pr3+およびEu3+から選ばれた1種以上を含む有機蛍光物質であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
- 前記金属酸化物が、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化錫(SnO2)またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
- 前記色素が、ルテニウム錯体またはキサンテン系色素であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
- 前記酸化還元電解質が、ヨウ素、臭素または塩素を含む電解液か、あるいはヨウ素、臭素または塩素を含む固体導電体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の色素増感型太陽電池。
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