JP2004029973A - 監視システム - Google Patents

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Toshiji Takei
武居 利治
Yasuhiro Takemura
竹村 安弘
Kazuhiro Mimura
味村 一弘
Kei Kato
加藤 圭
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Abstract

【課題】正確な対象領域内の監視を行えるだけでなく、高速処理が可能で、かつ安価である監視システムを提供する。
【解決手段】三次元の監視空間内における監視対象物28の状態を検出して監視対象物28を監視する監視システム1において、監視空間の一方の端面2に設置された複数の発光素子3と、複数の発光素子3の各々に対応して監視空間の他方の端面4に設置され、対応する発光素子3からの光を受光する複数の受光素子5とを備え、複数の発光素子3と複数の受光素子5は、それぞれマトリックス状に配置されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、監視システムに関し、特に対象領域内の物体や人物の高さや姿勢の変化を監視するための監視システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
病院の病室内あるいはトイレ内の患者のプライバシーを損なわずに、異常を知るための監視装置として、従来から、監視対象領域に輝点を投影してその画像を撮影し、撮影された画像中の輝点の基準位置からの位置変化によって対象領域の高さ変化を検出し、対象領域内の物体や人物の有無や高さ変化、姿勢変化を監視する装置が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら以上のような従来の装置によれば、対象領域の監視は撮像された画像を処理しなければならないため、計算量が多く処理に時間がかかるだけでなく、高価な装置を必要としていた。
【0004】
そこで本発明は、正確な対象領域内の監視を行えるだけでなく、画像の高速処理が可能で、かつ安価である監視システムを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明による監視システム1は、例えば図1及び図6に示すように、三次元の監視空間内における監視対象物28の状態を検出して監視対象物28を監視する監視システム1において;監視空間の一方の端面2に設置された複数の発光素子3と;複数の発光素子3の各々に対応して監視空間の他方の端面4に設置され、対応する発光素子3からの光を受光する複数の受光素子5とを備え;複数の発光素子3と複数の受光素子5は、それぞれマトリックス状に配置されている。
【0006】
このように構成すると、それぞれマトリックス状に配置された発光素子3と受光素子5との間に存在する監視対象物28を監視することで、監視対象物28の画像の高速処理が可能であり、かつ安価である監視システム1とすることができる。
【0007】
また、請求項2に記載のように、請求項1に記載の監視システム1では、例えば、発光素子3は、発光素子毎に異なる種類の光を発光するように構成するとよい。
【0008】
このように構成すると、例えば、発光素子3hの光6hと隣接する他の発光素子の光との干渉を未然に防止し、受光素子5hに対向して配置した発光素子3hの光6hを入射させることができる。
【0009】
また、請求項3に記載のように、請求項2に記載の監視システム1では、異なる種類の光は、波長が異なる光、又はパルス間隔が異なるパルス光である。
【0010】
このように構成すると、受光素子5は特定波長を識別して受光することができ、また、特定パルス幅の組み合わせでコード化した光を識別するため、光の干渉を未然に防止し、受光素子5に対向する発光素子3の光を入射させることができる。
【0011】
また、請求項4に記載のように、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の監視システム1では、例えば図5に示すように、複数の発光素子3c、3dは、各発光素子がシート状基材60に配置されたフラットディスプレー41を形成している。
【0012】
このように構成すると、個室の壁面にフラットディスプレー41を貼設することで、所定の間隔で複数の発光素子3を配置できる。
【0013】
また請求項5に記載のように、請求項1に記載の監視システム1では、例えば図1に示すように、発光素子は、専ら対応する受光素子を照射するビーム光を発光するように構成するとよい。このように構成すると、受光素子5に対応する発光素子3からのビーム光を入射させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一符号または類似符号を付し、重複した説明は省略する。
【0015】
図1は、本発明による実施の形態である監視システム1の模式的斜視図である。監視システム1は、トイレ器具8を設置した三次元の監視空間の中に在室する監視対象物である人物を監視する。トイレ器具8に向かって左側の側壁2には、発光ダイオードLED、有機エレクトロルミネッセンス、赤外線発光素子、紫外線発光素子、プラズマ発光素子のような光を水平方向に対向する側壁4へスポット照射する発光素子3が直交座標系XY方向にマトリクス状に埋設又は貼設されている。
【0016】
また、トイレ器具8に向かって右側の側壁4には受光素子としての光センサ5が直交座標系XY方向にマトリクス状に埋設又は貼設されている。この光センサは、PN接合で構成するフォトダイオードやMOSダイオードで構成するMOSセンサを用いることができ、発光素子3から入射する光を電気信号に変換する種々のデバイスを使用することができる。
【0017】
さらに、受光素子5は、マトリクス状に配置された発光素子3の各々に対応してマトリクス状に配置され、典型的にはほぼ水平に対向している。例えば、20センチの間隔で側壁2の最上段に配置された発光素子3a、発光素子3b、発光素子3c、発光素子3d、発光素子3e、発光素子3fに対応するように、20センチの間隔で側壁4の最上段に受光素子5a、受光素子5b、受光素子5c、受光素子5d、受光素子5e、受光素子5fを配置している。図示した受光素子5hは、側壁2の上段から3行目、左から2列目に対応する発光素子3hの光6hを受光するように構成している。
【0018】
ここで、上述したマトリクスは、相互に20センチの間隔で図示するような碁盤目状の行列配置を意味するが、本実施の形態では、発光素子3と受光素子5が対向して配置されていれば、碁盤目状配置の他に隣接する発光素子3や受光素子5の1対のセルを1つおきに間引くような配置でも、セルの縦横の間隔を増減するような配置でも本発明の作用や効果を期待することができる。
【0019】
側壁4に設置した受光素子5gは、側壁2の最下段の1列目に対応する発光素子3gの光6gを受光する。この受光素子5gは、個室の床7から例えば30センチから50センチの高さHの位置に設置され、同じ高さHの位置に他の受光素子をX座標方向である水平に配列している。発光素子3gも受光素子に対応しており、同じ高さHの位置に配置され、他の発光素子をX座標方向である水平に配列している。本実施の形態では高さHに最下段の発光素子3及び受光素子5をX座標方向に配列するため、トイレ器具の備品が床7上に配置されたときに誤った検知を防止すると共に、監視対象物が床7上に倒れた場合であっても適切に異常を検知することができる。
【0020】
上述した発光素子は、クロスのような薄い壁紙を透過する波長の光を発光するため、側壁2と側壁4の両表面に壁紙を貼り、発光素子3と受光素子5を隠蔽配置することもでき、監視対象物としての人物のプライバシーを損なわずに、監視されているという精神的な圧迫を回避しながら、人物の異常を知らせるように構成することができる。なお、トイレ器具8の背面方向に位置する壁の下部には、発光素子3と受光素子5を制御する制御装置10が設置されている。
【0021】
本実施の形態では、トイレ器具8の側面に人物が倒れた際に異常を検知するため、発光素子3と受光素子5との間の一部にトイレ器具8を配置する。監視システム1は、このようにトイレ器具8の側面形状データと異常時に人物が重なったときのトイレ器具8の側面形状データとを比較して異常を検知するように構成することもできる。
【0022】
また、上記実施の形態では、発光素子3を側壁2に受光素子5を側壁4に設置しているが、個室の奥の壁に受光素子5を配置し、手前のドアに発光素子3を各々マトリクス状に配置してもよい。また、天井と床7とを対応させて発光素子3と受光素子5をマトリクス状に配置することもできる。
【0023】
複数の発光素子3と受光素子5による監視空間の状態検出は、発光素子3から入射する光が人物に遮られ、所謂影絵のような形状パターンを複数の受光素子5で形成し、対応する基準形状は、基準形状パターンを形成する。基準形状は、監視時点からみた過去の時点の形状であればよく、典型的には三次元の監視空間内に人物28が存在しない状態のいわば静止した背景パターンである。また、過去の時点の形状の他に、例えば、周期的に静止した背景パターンを検出している場合の1コマ分だけ前の背景パターンであってもよい。また形状は実際に形状を算出する前の、受光素子5からの出力値であってもよい。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態である監視システム1に用いる制御装置10の模式的ブロック図である。制御装置10は、演算装置13と、入力装置16と、出力装置17と、デマルチプレクサDMAX11と、マルチプレクサMAX12を備え、複数の発光素子3にMAX11を通じて発光パルス信号を出力し、複数の受光素子5からDMAX12を通じて光検出信号を受信する。
【0025】
上記演算装置13は、比較演算部20と計数演算部21とを有する制御部14と、インターフェース15と記憶部18とを備える。演算装置13は、外部の入力装置16と出力装置17とに接続され、監視システム1の監視モードの入力や監視モードの状態を出力する。インターフェース15はDMAX11を介して複数の発光素子3に接続し、またMAX12を介して複数の受光素子5に接続している。
【0026】
図2を参照して、制御装置10の動作について説明をする。制御装置10は、個室の側壁に設けられた複数の発光素子3へ発光パルス信号を時分割に送信する。例えば、インターフェース15を通じて発光パルス信号をシリアルライン19cに乗せてDMAX11に送信し、制御ライン19dによりDMAX11が指定する1又は複数の発光素子3を発光させる。シリアルライン19cは1本のケーブル若しくは複数のケーブルを用いることにより1又は複数の発光素子3の発光パルス信号を発光素子3へ伝送する。
【0027】
また、制御装置10は、制御ライン19bによりMAX12が指定する1又は複数の受光素子5から対応する発光素子3の発光状態を示す受光検出信号をシリアルライン19aに乗せてインターフェース15を通じて受信する。シリアルライン19aは1本のケーブル若しくは複数のケーブルを用いることにより1又は複数の受光素子5の受光検出信号を制御装置10へ伝送する。
【0028】
上記DMAX11とMAX12は、1対の発光素子3と受光素子5を同期させて発光及び受光させるように、制御装置10から出力される制御信号により1対の発光素子3と受光素子5を選択する。また、複数の発光素子3と受光素子5を選択する場合は、DMAX11とMAX12を各々分割して制御することにより複数の発光素子3と受光素子5を同時に選択することができる。
【0029】
上記MAX12により選択される複数の受光素子5は、相互に距離的に離間して配置することで、例えば、1セル以上離れた水平及び垂直方向に配置した受光素子5を選択し、対応する発光素子3からの光を識別するように構成することができる。このようにMAX12により受光素子5を選択するため、隣接する発光素子3からの光と対応する発光素子3からの光との干渉を防止することができる。
【0030】
制御装置10は、5行6列の受光素子5から30セル分の受光検出信号を時分割でシリアルライン19aを通じて受信し、平面的な側面形状データを生成する。生成された側面形状データは制御部14を通じて記憶部18に記憶し、記憶した側面形状データは、引き続き、時系列的に検出する側面形状データと比較する基準パターンのデータとして使用される。なお、制御装置10は、典型的にはパーソナルコンピュータやマイクロコンピュータを用いることができる。
【0031】
さらに、5行6列の受光素子5から30セル分の受光検出信号を同時にパラレルで受信するように構成し、側面形状データの生成をより高速に処理することもできる。この場合、制御装置10から発光パルス信号を30個の発光素子3へ同時に送信し、対応する30個の受光素子5から受光検出信号を同時に受信する。発光素子3及び受光素子5は隣接する他の発光素子3及び受光素子5と相互に約20センチ間隔で配置されているため、発光素子3から水平方向に放射される光は対応する受光素子5に対して受光させ、隣接する他の発光素子3から水平方向に放射される光を無視し、相互に影響するクロストークを防止する。
【0032】
制御部14は、複数の受光素子5から得られた基準パターンと、時系列的に検出した側面形状パターンとを比較する比較演算部20を備え、比較演算部20による比較結果に基づき、人物の移動、位置、姿勢、高さ等を、制御部14により判定するように構成されている。即ち、記憶部18に記憶した基準パターンと、ある時点の側面形状パターンとを比較することにより、人物の存在、その移動、その位置、姿勢、高さ等を判定する。
【0033】
さらに、最終的な人物の存在、その移動、その位置、姿勢、高さ等の判定は、人物の位置変化の他に、例えば、人物が立ったり座ったりするような形状変化も判定することができる。
【0034】
制御部14には、記憶部18が接続されており、上述した複数の受光素子5が過去に検出した受光検出信号に基づく基準パターンのデータと実時間で比較すべき側面形状パターンのデータが記録されている。また記憶部18には異常を検知するための複数の異常状態パターンのデータが予め記憶されている。
【0035】
また制御部14は、監視システム1を操作するための情報を入力する入力装置16、監視システム1で処理された結果を出力する出力装置17が接続されている。入力装置16は、例えばタッチパネル、キーボードあるいはマウスのようなユーザインターフェースを用い、出力装置17は、例えばディスプレイやプリンタあるいは警報装置を用いる。図示した入力装置16及び出力装置17は演算装置13の外部に設けているが、演算装置13に内蔵されてもよい。
【0036】
図3に、発光素子3を駆動する発光パルス信号を例示して、本発明の実施の形態である監視システム1について、制御装置10から発光素子3に伝送されるシリアルライン19c上の発光パルス信号を用いて説明する。
【0037】
図上段の発光パルス信号は、個室の側壁2に配置された3a列の複数の発光素子3に対して、Y軸方向(縦方向)に時分割でDMAX11により選択される発光素子3に印加される。発光パルス信号は低レベル(L)から高レベル(H)に変化し、DMAX11により選択された発光素子3を発光させる。この時点で対応する受光素子5もMAX12により同期制御されて発光素子3の光を受光する。この同期制御された期間を経てから発光パルス信号は高レベル(H)から低レベル(L)に変化し、次の発光パルス信号をY軸方向に配置された隣接する発光素子3に順次印加するように制御されている。
【0038】
図示する3b列、3c列、3d列の複数の発光素子3に対する発光パルス信号も同様にY軸方向(縦方向)に時分割でDMAX11により選択される発光素子3に印加される。また、発光パルス信号をX軸方向(水平方向)に配列された発光素子3に対して時分割に印加することもでき、同様の発明の効果を得ることができる。
【0039】
ここで、各列の発光パルス信号は同時にON状態を維持しないように異なるタイミングで状態を遷移させるように制御するとよい。例えば、図示する3a列の発光パルス信号の立下りエッジ22を検出して3b列の発光パルス信号を立上げ、3b列の発光パルス信号の立下りエッジ23を検出して3c列の発光パルス信号を立上げ、3c列の発光パルス信号の立下りエッジ24を検出して3d列の発光パルス信号を立上げ、3d列の発光パルス信号の立下りエッジ22を検出して3a列の発光パルス信号を立上げるように制御する。また、図示した3a列から3d列の発光パルス信号はパルス幅が均等になるように制御しているが、発光素子3毎にパルス幅が異なる発光パルス信号を印加するように構成すると、各発光素子3に対応する受光素子5の光識別性能が向上し、他の発光素子3からの光に影響を受け難いという利点がある。
【0040】
このように、同時にスイッチングする発光素子3及び受光素子5の数が減少するため、監視システム1全体の消費電力を低減させることができ、DMAX11及びMAX12内のドライバ素子が同時にスイッチングする回数も減少するので、信号ノイズを低減させ監視システム1の信頼性を高めることができる。
【0041】
監視システム1による人物28の移動検出処理ついて説明をする。制御装置10は、1対の発光素子3と受光素子5による側面形状パターンの検出をした後に、隣接する次の1対の発光素子3と受光素子5による側面形状パターンの検出を実行するように制御する。
【0042】
すなわち、複数の発光素子3と受光素子5が同時に側面形状パターンを検出しないように制御する。このような一連の動作が、全ての発光素子3と受光素子5による側面形状パターンの検出が完了するまで繰り返される。この一連の動作を1サイクルとする場合、1サイクルの時間Tが人物28の動きに対して十分に短ければ、人物28の平均移動速度や移動方向を算出することは容易である。
【0043】
また、上述のように1対の発光素子3と受光素子5による側面形状パターンの検出を巡回して行うのではなく、隣接する発光素子3と受光素子5による側面形状パターンの検出を同時に行わないように制御する。例えば、同時に側面形状パターン検出を行なう発光素子3と受光素子5を1つおきとすることで、複数の発光素子3と受光素子5に同時に側面形状パターンの検出を行わせることができる。このようにすれば、1サイクルの時間Tを大幅に短縮できる。
【0044】
さらに、比較演算部20は、例えば、直近の1サイクル前又は複数サイクル前の側面形状パターンと実時間で検出した1サイクルの側面形状パターンとを比較し、人物28の移動情報である移動距離と平均移動速度を算出する。例えば、移動距離は、現時点の受光素子5のデジタル値と1サイクル前又は複数サイクル前の受光素子5に対応するデジタル値と比較し、デジタル値が「1」または「0」に反転した受光素子5を検出して演算する。また、平均移動速度は、この移動距離データの差を時間Tで除算した値となる。さらに、これにより得られた人物28の位置情報と移動情報は記憶部18に保存する。
【0045】
次に制御部14は、比較演算部20により算出された比較結果としての位置情報と移動情報から、人物28の存在、その姿勢、位置、移動状態を判断する。この判断は、例えば、人物28の移動がなく、かつ高さが低くなった場合は、この人物28が座ったと判断でき、また、人物28が低い高さで隣接する複数の受光素子5に入射する光を遮って、かつ移動が無い場合には、この人物28は倒れている状態にあると判断できる。このようにして監視システム1は、複数の受光素子5の受光状態により個室内の人物28の進入、存在と存在状態等を監視することができる。
【0046】
上記実施の形態では、受光素子5に発光素子3からの光を直接又は壁紙を介して入射させていたが、本発明の第2の実施の形態では、発光素子3からの光を光ファイバを介して受光素子に入射するように構成し、受光センサ側を光学系と電気系に区分けをして光の干渉を防止すると共に、受光素子5に入射する光の直進性を改善させる。
【0047】
図4は、本発明の第2の実施の形態としての監視システムに用いる受光センサの模式的断面図である。光電気変換器OEC35内部に配列させた複数の受光素子5は制御装置10側のMAX12に電気的に接続されている。また、OEC35内に配列した複数の受光素子5の受光部分から各々延長した光ファイバ31、光ファイバ32、光ファイバ33、光ファイバ34は、個室の側壁4に穿設された開口部に挿入配置されている。
【0048】
側壁4の開口部を形成する壁部材4aと壁部材4bとの間に光ファイバ31を挿入し、壁部材4bと壁部材4cとの間に光ファイバ32を挿入し、壁部材4cと壁部材4dとの間に光ファイバ33を挿入し、壁部材4dと壁部材4eとの間に光ファイバ34を挿入することで、受光素子は壁紙9及び光ファイバを介して各々対応する発光素子3から放射される光を受光する。例えば、発光素子3hからの光6hは受光素子5hに対応する開口部から受光して光ファイバ33を介してOEC35へ伝送する。
【0049】
また、壁部材4eと隣接する壁部材との間に光ファイバ35を挿入して下部方向に設けた不図示の別のOEC35に入射した光を伝送する。このように広い側壁4を分割して複数のOEC35により受光センサを構成するため、受光センサ側の側壁4の厚さを低減させ、受光センサ側の施行を容易にすることができる。
【0050】
さらに、受光素子5の受光部分は、発光素子3から照射された波長帯域の光のみを透過させるコーティングを施してもよい。例えば、光ダイオードの受光部分を覆うガラスまたはプラスティックの表面に特定波長を透過させるコーティング処理を施し、外乱光の影響が少ない光検出をすることができる。また、発光素子3からの光を細い平行光束としたビーム光を使用するときは、受光素子5の受光感度を向上させ、隣接する他の受光素子に影響を与えない、さらに、発光素子3の光を拡散光束とした場合は、発光素子3と対応する受光素子5との位置合わせがある程度の誤差を許容するため、現場での監視システムの施行が容易となるという利点がある。本実施の形態では、受光素子5が発光素子3から照射される特定波長を識別して受光するように構成したが、発光素子3から照射される光の発光間隔を特定パターンにコード化するように、発光素子3に印加する駆動信号の変調周波数を制御し、隣接する発光素子3と異なる変調コードで同時又は所定の遅延時間間隔で複数の発光素子3を発光させることもできる。この場合、複数の発光素子3が異なるコードで順次発光しているめ、受光素子5は特定の発光素子3からの光であるか識別することができる、したがって例えば、発光素子3から放射される光が必ずしも細いビーム状に形成する必要がなく、対向する受光素子5をカバーする程度の拡散光を用いることができるため、水平方向に配置された発光素子3と受光素子5との位置合わせが容易となり、装置の施工が簡易且つ低廉にすることができる。
【0051】
図5の発光シートの断面図を参照して、本発明の第3の実施の形態における発光素子について説明する。発光シートは、各発光素子3c、3dがシート状基材60に配置されたフラットディスプレー41を形成する。発光素子3cは、合成樹脂で形成された可撓性のシート状基材60上に厚さ10マイクロメータの下部誘電体層56と、下部誘電体層56の縁部外周を包囲する高さ100から150マイクロメータの隔壁50と、この隔壁50に支えられ下部誘電体層56と対向して配置した厚さ0.5から1マイクロメータの保護層48と、この保護層48上に配置した上部誘電体層42と、この上部誘電体層42の表面を覆う合成樹脂で形成された可撓性のシート状基材40とを備え、上部誘電体層42内に配置した走査電極44と維持電極46に電流を流し、下部誘電体層56内に配置したアドレス電極58に電流を流すことにより、隔壁50で包囲され密封された空間54に封入されたネオンNe等のガスをプラズマ化させ紫外線を上部誘電体層42側へ発光させる。
【0052】
また、隣接するセルには他の発光素子3dが配置され、構造は発光素子3cと同様であるが、隔壁50で包囲され密封された空間に封入するガスを選択することにより赤外線を上部誘電体層42側へ発光させる。共通するシート状基材60表面に配置された複数の発光素子が異なる波長の光を放射するため、受光素子5の受光部のコーティングを適宜選択し、対応する発光素子から放射される光を選択的に受光させることができる。
【0053】
さらに、フラットディスプレー41は、プラズマ方式の発光素子の他に、薄型ディスプレイとして有機エレクトロルミネッセンスを用いて、自己発光する発光素子を適用することもでき、シート状のエレクトロルミネッセンスと液晶シャッターを組み合わせた電子ペーパ技術を適用することもできる。
【0054】
監視システムにフラットディスプレー41を用いると、工場出荷段階で発光素子3相互の位置合わせ精度が確保され、現場での施行段階ではロール状に巻いたフラットディスプレー41を平面状に展開して取付け工事ができるため、施行が容易となるという利点があり、受光センサ側も発光素子の位置合わせに基づく寸法精度で予め複数の受光素子5を可撓性のシート状基材に配列させることにより、現場での施行段階ではロール状に巻いたフラット受光シートを平面状に展開して取付け工事ができ、精度の高い施行が容易となるという利点がある。
【0055】
図6は、本発明の実施の形態である監視システムの側面形状パターンを示す受光素子の概略図である。例示した受光素子5は5行5列のマトリクス状に配置され、奥行き方向に配置された発光素子3からの光を個々に受光するように構成している。
【0056】
発光素子3と受光素子5との間に位置する人物28が床7上で直立している状態である。受光素子5bの列に配置された受光素子5b、受光素子5i、受光素子5hは、人物28が発光素子3からの光を遮るため、光が入射しない黒のドットで表した閾値を下回る光量を検出している。同様に、受光素子5cの列に配置された受光素子5c、受光素子5j、受光素子5k、受光素子5l、受光素子5mは、人物28が発光素子3からの光を遮るため、光が入射しない黒のドットで表した閾値を下回る光量を検出している。
【0057】
また、受光素子5aから5gの列に配置した5個の受光素子のように白のセルで示した他の受光素子は、人物28が発光素子3の光を遮らないため、受光素子が閾値を超える光が入射している光量を検出している。マトリクス状に配置した受光素子の最下段に位置する受光素子5gや受光素子5mは床7からの高さHの線に沿って水平方向に配置されている。
【0058】
制御装置10は、受光素子が検出した光量を電気信号で受信し、アナログ値をデジタル値に変換する。例えば、白のセルはデジタル値の「1」に変換し、黒のセルはデジタル値の「0」に変換して記憶部18に記憶した基準パターンと比較する。本実施の形態では、1段目のデジタル値は、「10011」、2段目のデジタル値は「10011」、3段目のデジタル値は「10011」、4段目のデジタル値は「11011」、5段目のデジタル値は「11011」に変換され、人物28の高さ、姿勢を判定することができる。
【0059】
図7の側面形状パターンを示す受光素子の概略図を参照して、人物28が個室内で倒れている状態を検出した受光素子の状態を説明する。マトリクス状に配置した受光素子の配列及び構成は上述したものと同様であり説明を省略する。制御装置10は、図示した人物28の姿勢をデジタル値に変換し、例えば、白のセルはデジタル値の「1」に変換し、黒のセルはデジタル値の「0」に変換して記憶部18に記憶した基準パターンと比較する。本実施の形態では、1段目のデジタル値は、「11111」、2段目のデジタル値は「11111」、3段目のデジタル値は「11111」、4段目のデジタル値は「10001」、5段目のデジタル値は「10001」に変換され、人物28の高さ、姿勢を判定することができる。この場合、1段目から3段目に配置した受光素子5a、受光素子5h、受光素子5k、受光素子5R等の全ての受光素子に対応するデジタル値が「1」であって、他の受光素子に対応するデジタル値が全て「0」であるため、制御装置10は、記憶部18に記憶している異常状態パターンと照合し、人物28が倒れているという異常状態であると判定する。
【0060】
さらに、例えば、側壁4に受光素子5を配置しているため、個々の受光素子5の取り付けた位置そのものを、人物28の位置及び高さとして検出することで、位置情報を簡単に取得する。
【0061】
以上のように監視システム1は、三次元の監視空間内にどの程度の高さ及び大きさの人物28が進入し、人物28の位置、立っている、座っている、倒れているという状態を検出し、また、その人物28は動いているか、また退出したかといった一連の動きを簡単な装置で逐次監視することができる。
【0062】
また監視空間が閉空間であるトイレ、風呂、エレベーター内、オフィース内においては、個室が側壁等で囲まれているので、人物28が不在の場合に、一方の端面としての側壁2から照射される光が他方の端面としての側壁4に到達するか否かを受光素子5の受光量で判定することができ、受光素子5が取付けられた位置に基づき人物28の状態を判断することができる。
【0063】
以上のような本実施の形態によれば、人物28の状態を判断して、人物28が倒れたとか、不法侵入者が存在しているといった監視を容易に行うことができる。しかも、心理的に違和感のあるカメラを用いた画像処理を使用していないので、トイレや風呂等での状態監視において有効であり、さらに受光素子5の受光状態を閾値を境にデジタル値で記憶するため、記憶部18の容量が小規模に構成することができ簡易な装置で高速処理が可能である。
【0064】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、マトリクス状に配置した発光素子と受光素子との間に存在する監視対象物を監視するように構成されているので、正確な対象領域内の監視を行えるだけでなく、高速処理が可能で、かつ安価である監視システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施の形態である監視システムの模式的斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態である監視システムに用いる制御装置10の模式的ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に用いる発光素子を駆動する発光パルス信号の波形図である。
【図4】本発明の実施の形態に用いる受光センサの模式的断面図である。
【図5】本発明の実施の形態で用いる発光シートの断面図である。
【図6】本発明の実施の形態である監視システムの側面形状パターンを示す受光素子の概略図である。
【図7】本発明の実施の形態である監視システムの側面形状パターンを示す受光素子の概略図である。
【符号の説明】
1   監視システム
2   側壁
3   発光素子
4   側壁
5   受光素子
7   床
8   トイレ器具
9   壁紙
10   制御装置
13   演算装置
14   制御部
15   インターフェース
16   入力装置
17   出力装置
18   記憶部
20   比較演算部
21   計数演算部
28   人物
41   フラットディスプレー

Claims (5)

  1. 三次元の監視空間内における監視対象物の状態を検出して監視対象物を監視する監視システムにおいて;
    前記監視空間の一方の端面に設置された複数の発光素子と;
    前記複数の発光素子の各々に対応して前記監視空間の他方の端面に設置され、該対応する発光素子からの光を受光する複数の受光素子とを備え;
    前記複数の発光素子と前記複数の受光素子は、それぞれマトリックス状に配置された;
    監視システム。
  2. 前記発光素子は、発光素子毎に異なる種類の光を発光する、請求項1に記載の監視システム。
  3. 前記異なる種類の光は、波長が異なる光、又はパルス間隔が異なるパルス光である、請求項2に記載の監視システム。
  4. 前記複数の発光素子は、各発光素子がシート状基材に配置されたフラットディスプレーを形成している、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の監視システム。
  5. 前記発光素子は、専ら前記対応する受光素子を照射するビーム光を発光する、請求項1に記載の監視システム。
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