JP2004028828A - 降水強度計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】逆円錐形受水器1の上端周縁の全周に沿って帯板状の縁2を鉛直方向より前記受水器1の中心方向へ傾斜させて設け、この受水器1の最底部に蓋5付きの小孔4を設け、受水器の円錐面の最大傾斜線に沿って長孔3を設け、この長孔3を塞ぐ網を設け、前記小孔4と長孔3の下方に前記受水器1の裏面に沿ってU字形の樋6を設け、前記樋6の最底部に小孔27を設け、この小孔27に導水管7を垂設し、この導水管7の長さ方向と直交する方向に貫通する通気口8を複数設け、且つこの導水管7周面に設けられた上下隣り合う前記通気口8の貫通方向が交差するように通気口8を配置した降水強度計。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、降積雪地域の降雪強度または降雨強度の計測用として、また道路雪や屋根雪などの融雪処理の自動制御システム用として、冬季における降水強度を高分解能、且つ定量的に計測する降水強度計に係るものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
降水強度を高分解能で計測する方法として代表的なものは二つある。一つは、降雨強度計と呼ばれているもので受水器の開口面積が314cm2で、受水器で受けた降水を一旦油層を通して水槽に流入させ、更にサイフォンを経由してノズルに導き、その先端から油層に落下する水滴を透過型光電スイッチで感知・計数する方式のもの(サイフォン式降雨強度計)(参考文献:気象ハンドブック,1980,朝倉書店,pp170−171)。もう一つは受水器で受けた降水を導水管に導き、その先端のノズルから空気中に落下する水滴を透過型光電スイッチで感知・計数する方式のものである(特許第1802158号)。
【0003】
先ず上記二方式に共通する問題点はゴミによる導水管の入口の閉塞である。
【0004】
即ち、大気中から飛来するゴミ・粉塵などが受水器の中央底部に集まって導水管の入り口(集水孔)を閉塞させ、降水の流入を妨げることである。比較的大きいゴミには樹木の葉、ビニール袋の切れ端、紙片等がある。小さい粉塵には車の油煙・粒状物質、砂塵、道路のアスファルトの粉粒などがある。また、鳥の糞も無視できない。アスファルトや鳥の糞などの粘着性のゴミに土や砂などの粉塵が付着して次第に大きくなり、固化して閉塞に至る場合が多い。この閉塞は降水の計測を不能にするので重大な問題である。この対策としては通常網状の蓋を集水孔の上に載せて対応しているが、強風で吹き飛ばされて失われることが多く、決定的な解決法とは言えない。降水の計測は一定期間、例えば少なくとも1年間は継続されることが望ましく、環境条件によらず長期に保守・点検を要しないことが使用者から強く要請されている。
【0005】
次に前者(サイフォン式降雨強度計)の問題点について述べる。この降雨強度計は逆円錐状の受水部の周縁鉛直上方へ円筒形の受水筒が10cm程伸びている構造になっている(図7)。この構造は二つの問題を引き起こしている。一つは受水筒内面に捕捉した雨滴や雪片が付着したまま集水孔に流入しないことである。付着面積は628cm2もあり、ここに付着する水や雪の量は高分解能を標榜する降雨強度計としては無視できない大きさである。
【0006】
もう一つの問題点は受水筒上部先端部への着雪と氷の凍着である。この降雨強度計の融雪用加熱ヒーターは受水器の下方に空気を介して設置され、それによって温められた空気が対流となって上昇し受水器に熱が伝えられる構造になっている。しかし厳寒時には受水筒上部先端へ融解に必要な熱が伝導せず、そこに着雪と氷の凍着が発生する。着雪が成長すると冠雪となり、受水器を覆うようになる。その結果、受水面積が次第に狭くなり、精確な測定が不能となる。
【0007】
次に後者の強度計の問題点を述べる。この方式には強風時に降水粒子の捕捉率が低下するという問題がある。無風かそれに近い場合、大気中を落下する雨滴,雪片,霰などの降水粒子は比較的良好に受水器に捕捉されるので問題はない。しかし、風速が略秒速2メートルを超えるようになると雪片と霰の捕捉率が顕著に低下する。その理由は、大気中から漏斗状の受水器に落下した霰や雪片は受水器の表面に一旦は接触はするが、跳躍したり滑走した後、再び気流に運ばれて受水器外に出るものが多くなるからである。
【0008】
次に導水管の問題点をあげる。従来の導水管は通気口が一つ(一対)で、導水管の上端と下端部分を塞いだ水に挟まれた空気を逃がす目的で設置されたものである。また、上端から大量の水が一気に流入したとき、導水管の内壁面を高速で流下し、下端のノズルで一個一個の水滴に分離せず、連続した水流となってしまう欠点があった。
【0009】
次に水滴の検出方法の問題点を述べる。従来の検出方式は透過型光電スイッチを用いており、投光素子から受光素子へ向かう光束を、落下する水滴が遮り、受光素子の光量変化から水滴の有無を検出していた。実際の小形の光電スイッチは光束の断面径が5mm程度と細く、直径が略5mmの水滴が落下しながらこの光束を遮るとき、水滴の中心が光束の中心から略3mm外れると検出不能となる。降水強度計感部全体が何らかの原因で傾斜したときこのような問題が発生する。
【0010】
本発明は上述の問題点の解決を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0012】
本発明は、逆円錐形受水器1の上端周縁の全周に沿って帯板状の縁2を鉛直方向より前記受水器1の中心方向へ傾斜させて設けたことを特徴とする降水強度計に係るものである。
【0013】
また、逆円錐形受水器1の最底部に蓋5付きの小孔4を設けたことと、前記受水器1の円錐面の最大傾斜線に沿って長孔3を設け、この長孔3を塞ぐ網を設けたことと、前記小孔4と長孔3の下方に前記受水器1の裏面に沿ってU字形の樋6を設けたことと、前記樋6の最底部に小孔27を設け、この小孔27に導水管7を垂設したことを特徴とする降水強度計に係るものである。
【0014】
また、逆円錐形受水器1の最底部に垂設した導水管7を備えた降水強度計において、前記導水管7の周面に直交して貫通する通気口8を複数対設け、且つ上下隣り合う前記通気口8の貫通方向が交差するように通気口8を配置したことを特徴とする降水強度計に係るものである。
【0015】
また、前記逆円錐形受水器1の最底部に垂設した導水管7の下端のノズル9から落下する水滴を感知するために、前記導水管7の下方に反射型光電スイッチ10を設けたことを特徴とする請求項3記載の降水強度計に係るものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
好適と考える本発明の実施の形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいてその作用効果を示して簡単に説明する。
【0017】
一旦受水器1に入った雪片、霰などの降水粒子は、たとえ風によって再び外方へ出ようとしても、逆円錐形の受水器1の上端周縁の全周に沿って鉛直方向より受水器1の中心方向へ傾斜させて設けた帯板状の折り返し縁2(例えば、内方に向けて斜め上方に突出するように設けた上端傾斜周縁2)により阻止され、受水器1での捕捉率は向上する。
【0018】
即ち、前記折り返し縁2は、大気中から前記受水器1に一旦飛び込んだ降水粒子が再び大気中に飛び出すのを防ぐ目的のものである。
【0019】
その目的からすると、折り返し縁2の傾斜は水平に近いほうが望ましく、その幅はより広い方が良い。しかし次のような制約があり水平にはできないし、帯幅を無制限に広くすることもできない。即ち、その傾斜は降水粒子が前記折り返し縁2に一旦衝突した後、受水器1に入るのを極力少なくするように定めなければならないことと、そこに付着した水や雪を円滑に前記折り返し縁2の外へ滑り落す効果も兼ね備えなければならない。
【0020】
また、折り返し縁2の帯幅は、ここに積もった雪が短時間に融解処理されるに十分な熱がヒーター14から熱伝導により供給される範囲でなくてはならない。前記折り返し縁2への熱供給が不足すると、そこに積雪が生じ、その積雪が崩れて受水器1に入った場合、計測値に誤差を生じることになる。
【0021】
以上説明した事柄から、折り返し縁2の傾斜と帯幅は降水粒子の捕捉を考慮しつつ、前記折り返し縁2への熱供給量を考慮して適切に定めることになる。
【0022】
次に請求項2の実施形態について図1,図3を参照しながら説明する。
【0023】
逆円錐形受水器1の最底部の小孔4のゴミによる閉塞を防ぐ目的で、蓋5を設けたがこれは網状のものでも同等の効果を発揮する。また網付きの長孔3を設けたが、これは何らかの原因で小孔4が閉塞したとき、降水が長孔3へ流入し、導水管7へ達するようにしたものである。長孔3の長さはゴミ環境に応じて適切に定め、最長は逆円錐形受水器1の円錐面の最大傾斜線の長さとなる。
【0024】
次に請求項3の実施形態について図5,図6を参照しながら説明する。
【0025】
従来の導水管の連続水柱となる現象を防止するための通気口が一穴であるために、導水管の上部からの水は流下するにつれ速度を増し、その勢いが強いと導水管の下端のノズルで所定の質量の水滴にならず、連続した水流となって落下することがあった。この弱点を解決するために、導水管7の周面に前記導水管7の長さ方向と直交する方向(例えば水平方向)に貫通する通気口8を複数設け、この通気口8と上下隣り合う通気口8の貫通方向が交差するように配置することにより、水が導水管7の内壁面に沿って流下するとき、水流はこの開口部分を避けながら分裂してジグザグな経路を辿り、流速の増加が抑えられながらノズル9に達する。
【0026】
即ち、導水管7の内壁面を伝いながら通気口8を避けながらジグザグに流下することで、導水管7の中を塊となって一気に流下せず、言わば水の塊が細長い板状に引き伸ばされ、尾を引くように流下し、下端ノズル9から常に一定の質量の水滴11を落下させることができる。
【0027】
従って、簡易な手法で降水の流下速度を減衰でき、連続した水柱とならずに常に安定した質量の水滴11を測定部に落下させてこれを測定することができる。
【0028】
また、導水管7の周面に対し直交する方向に貫通する形で開けられた一対の通気口8は、その上下隣り合う一対の通気口8の貫通方向と交差して設けられるが、導水管7の内壁面に沿って流れ下る水の分散化を図るには、対の通気口8の数を多くすればそれだけ効果がある。従って、導水管7の長さに応じて、許されるだけ通気口8の数を多く設ける。
【0029】
次に請求項4の実施形態について図2を参照しながら説明する。
【0030】
反射型光電スイッチ10は発光素子と受光素子で構成されるが、発光素子が発する光は紫外線から赤外線までどんな波長でもよく、受光素子の有感波長領域と重複していればよい。要は水滴を検出する水平領域が広く、水滴からの微弱な反射光を検出できる特性を備えた反射型光電スイッチであればよい。
【0031】
【実施例】
本発明の具体的な実施例について図1〜図6に基づいて説明する。
【0032】
図1〜図6は本発明の好適な実施例を示したものであるが、本実施例では、最下部に導水管7と連通する集水孔4(小孔4)を設けた逆円錐形の受水器1の上端周縁の全周に沿って帯板状の折り返し縁2を鉛直方向より受水器1の中心方向へ傾斜させて設けた構成としている。即ち、逆円錐形受水器1の上端周縁の全周に沿って帯板状の折り返し縁2(上端傾斜周縁2)を鉛直方向より受水器1内部の方へ傾斜(先端が内方に向けて斜め上方を向くように傾斜)させて付設した構成としている。
【0033】
また、この逆円錐形受水器1の最下部に集水孔4(小孔4)を設け、その上に着脱自在に摘子付の円板状の蓋5を載せ、また受水器1の円錐面の最大傾斜線に沿って丸角矩形の長孔3を設け、その長孔3に網を付設した構成としている。
【0034】
また、前記小孔4の蓋5には、外れ飛ばないように受水器1に付設するワイヤー25(針金25)が付けてあり、また、導水管7の入口に差し込まれて水滴を導水管7内へと導く差し込み片26を垂設している。
【0035】
また、本実施例では、この受水器1の傾斜方向に沿って設けた網付き孔3の下方に受水器1の裏面に沿ってU字形の樋6を付設し、この樋6の最底部に小孔27を設け、これと連通する導水管7を垂設した構成としている。
【0036】
また、本実施例では、この導水管7の周面に複数対の通気口8を設けている。
【0037】
具体的には、逆円錐形受水器1の最下部に設けた集水孔4と連通する導水管7の周面に、この導水管7の長さ方向と直交する方向に貫通する通気口8を複数対設け、且つこの導水管7周面に設けられた上下隣り合う前記通気口8の貫通方向が交差するように通気口8を配置している。
【0038】
即ち、導水管7の周面に、対向方向を異にすると共に対向形成高さ位置を異にした複数対の前記通気口8を形成して、この導水管7を伝わり落ちる降水が前記通気口8の開口部分を避けながら伝わり落ち、流下速度の増加が抑制されるように構成している。
【0039】
また、この導水管7の下端のノズル9から落下する水滴11を検出するための反射型光電スイッチ10(光電素子10から成る)を測定部として設け、この測定結果に基づき降水強度を算出するように構成している。
【0040】
尚、図中符号12は排水漏斗、13は支柱、14はヒーター、15は温度素子、16は支持金具である。17は受水筒、18は漏斗形受水器、19は投光素子、20は受光素子、21は光束、22は支持金具、23は棒状ヒーター、24は筐体、25はワイヤー、26は差し込み片、27は小孔である。
【0041】
以下更に説明する。
【0042】
最初に本実施例の降水粒子の捕捉率を向上させる手段について述べる。図1〜図4に示すように本実施例では逆円錐形受水器1の上端周縁に沿って所定の幅の帯状の折り返し縁2(上端傾斜周縁2)を鉛直方向より受水器1内部の方へ鋭角に(斜め上方に向けて)傾斜させて付設している。
【0043】
このようにすると、一旦受水器1に入った雪片、霰などの降水粒子は風によって再び受水器1の外へ運ばれようとしても折り返し縁2によって阻止され、受水器1の中に留められる。従って、折り返し縁2がない場合に比し、降水粒子の捕捉率は格段に良くなる。直径2ミリ程のスチロール球を用いた風洞実験でもその効果は確認された。
【0044】
一冬の降水観測で、日本の標準計器である無ヒーターの指示雨量計(降水桝)と比較した結果でも捕捉の良さが実証された。
【0045】
表1を用いて捕捉率向上の効果を説明する。表1は3種の受水器について降水種別、風速の強弱別に捕捉した降水量を調べたものである。
【0046】
【表1】
【0047】
受水器は指示雨量計(受水面積314cm2,無ヒーター),従来型受水器(受水面積179cm2,降雪時のヒーター電力25W)と本実施例の改良型受水器(受水面積140cm2,降雪時のヒーター電力25W)の3種である。降水種は降雨と降雪の二種類に分け、夫々について弱風の場合と強風の場合に捕捉した降水量を計測した。降水の捕捉率の比較は指示雨量計を100%とし、他の二つはこれに対する相対捕捉率とした。
【0048】
表1の事例A,Bは降雨時のデータである。Aは風速が最大で2.0m/sで無風に近い。この時の降水量は指示雨量計に対し従来型受水器が97%,改良型が103%であった。Bは風速の最大値が7.7m/sという強風時の降雨の場合のデータである。この時の降水量は指示雨量計に対し従来型受水器が99.5%,改良型が103%であった。この二つの場合、いずれも改良型の捕捉率が指示雨量計と従来受水器を上回っており、折り返し縁2の効果が表れている。風の強弱に関わらず改良型受水器の捕捉が他の二つに比し3%以上勝っていることが分る。
【0049】
表1の事例C,Dは降雪時のデータである。Cは風速が最大で2.0m/sでほとんど無風と言ってもよい場合である。この時の降水量は指示雨量計に対し従来型受水器が85.3%,改良型が100%で、改良型は指示雨量計と同等の捕捉率であったが従来型は両者よりも15%程少ない。Dは強風時の降雪で、長岡市では稀なケースであり、風速の最大値が6.3m/sであった。この時の降水量は指示雨量計に対し従来型が65%ほど小さいが、改良型は110.4%と10.4%上回っている。
【0050】
改良型受水器は温度コントロールされたヒーターが装着されているにもかかわらず、その捕捉率がいずれの場合も指示雨量計の捕捉率と同等以上の値を示していることは、折り返し縁2の効果が顕著であることを実証している。
【0051】
次にゴミ等による導水管7の閉塞を防止する手段について述べる。逆円錐形受水器1の最底部に集水孔4(小孔4)を開け、その上に円板形の蓋5を着脱自由になるように、受水器1に密着・固定せず、少許の間隙があるように載せる。このようにすると水は蓋5と受水器1との間隙を通ってこの小孔4から導水管7へ流下する。また蓋5はゴミの導水管7への流入を防止するだけでなく、大量の降水が短時間に急激に導水管7に流入するのを緩和する。また小孔4は導水管7を清掃・点検するときのブラシを通す役割も果たす。
【0052】
次にもう一つのゴミ対策として受水器1円錐面の斜面に沿って丸角矩形の網付き孔3を設け、その直下に樋6としてU字形導水樋6を設け、その最底部に導水管7を連結、垂下させる。このようにすると、木の葉のような比較的大きな面積のゴミにより小孔4が完全に塞がれた場合でも網付き孔3が100%塞がれる確率は小さく、降水は網付き孔3を経由して樋6に流下し、導水管7への水の流下が維持される。風上側に交通量が一日数百台ある道路に面した試験地に、この装置を設定して2年間のランニングテストを行ったが、導水管7の閉塞は発生せず降水計測は中断されることなく、正常に行われた。
【0053】
次に導水管7の通気口8について述べる。従来の導水管は通気口が一対であるために、導水管7の上部からの水は流下するにつれ速度を増し、その勢いが強いとノズル9で所定の質量の水滴にならず、連続した水流となって落下することがあった。この弱点を解決するために、導水管7壁面に通気口8を複数設ける。上下隣り合う通気口8の開口面の方向は互いに直交するように配置する。
【0054】
このようにすると、一時的に大量の降水が導水管7の上端入口に押し寄せたとき、水は導水管7の内壁面に沿って通気口8を避けながら分裂、合流してジグザグな経路を辿り、流速と流量が抑えられながらノズル9に達する。即ち、水の塊が導水管7の内壁面を伝いながら通気口8を避けてジグザグに流下するうちに、長い紐状に引き延ばされた状態になって先端のノズル9に達することになる。その結果、ノズル9から常に一定質量の水滴が造成される。
【0055】
本実施例では、ノズル9の内径を4mmとしたが、毎秒5滴の頻度まで安定した質量72mg(標準偏差2.7mg)の水滴が造成された。これは一時間降水量で略94mmまで測定可能であることを意味しており、通常の豪雨の測定にも十分な性能であることを意味している。
【0056】
次に水滴の検出方法について述べる。
【0057】
図8の例のように、従来の水滴検出方法はノズル9の直下に透過型の光電スイッチ19,20の光束を配置して、それを水滴が遮ることにより水滴の有無を検出している。この場合、光束の断面径が数ミリメートルと狭い場合、装置全体が何らかの理由により傾斜すると、水滴直下を外れて光束が通ることになり、検出が不能となる。光束の断面径を大きくすれば対応できるが、大型の光電スイッチを設けるには、筐体24の中の空間には限度があり適当ではない。
【0058】
本実施例ではこの問題を解決するために反射型光電スイッチ10を設けた。これを設けたことにより、反射型光電スイッチ10の主光軸と導水管7の中心軸の交点を中心とした半径10mmの水平面内に落下する水滴の検出が可能となった。この前記交点とノズル9の先端直下の距離を20mmに設定した場合、本装置全体が26.5度まで傾いても水滴の検出が保証できる。このことは使用者が装置の水平保持という保守・点検の煩わしさから開放されるという利点がある。
【0059】
尚、本実施例では、標準型降雨強度計に比べて受水面積も小さくしたので、筐体全体も小形になり、全体の重量が略1.3kgとなり、標準型降雨強度計の重量略4.5kgに比べて略3分の1と大幅に軽くなった。このことは装置全体を支持・固定することが容易であるという利点を生んでいる。
【0060】
以上をまとめると、本実施例は降水捕捉率の向上、導水管の閉塞の防止、水滴の検出領域の拡大、保守・点検の容易さ、小形・軽量等の秀れた実用上の効果を発揮する。
【0061】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【0062】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したから、降水(降雨・降雪)の受水器での捕捉率が向上し、精度の高い測定が行える画期的な降水強度計となる。
【0063】
また、請求項2記載の発明においては、ゴミ等による導水管の閉塞を確実に防止でき、長期にわたって精度の高い測定が行える実用性に秀れた降水強度計となる。
【0064】
また、請求項3記載の発明においては、簡易な手法で降水の導水管の伝わり速度を抑制でき、常に安定した質量の水滴を検出部に落下させてこれを測定することができ、極めて精度の高い正確な測定を常に行える画期的な降水強度計となる。
【0065】
また、請求項4記載の発明においては、更に装置全体が傾いても水滴検出ができ、水滴の検出領域の拡大が図られ、装置の水平保持という保守・点検という煩わしさからも開放されるなど、一層秀れた降水強度計となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の降水強度計の斜視図である。
【図2】本実施例の降雪強度計の内部構造を示す断面図である。
【図3】本実施例の降雪強度計の受水器の平面図である。
【図4】本実施例の図2の視点の水平直角方向から見た降雪強度計の断面図である。
【図5】本実施例の降雪強度計の導水管に設ける通気口を示す説明斜視図である。
【図6】本実施例の降雪強度計の導水管に設ける通気口を示す説明断面図である。
【図7】標準型の指示雨量計(降水桝)を示す説明図である。
【図8】従来の降水強度計を示す説明図である。
【符号の説明】
1 受水器
2 縁
3 長孔
4 小孔
5 蓋
6 樋
7 導水管
8 通気口
9 ノズル
10 反射型光電スイッチ
27 小孔
Claims (4)
- 逆円錐形受水器の上端周縁の全周に沿って帯板状の縁を鉛直方向より前記受水器の中心方向へ傾斜させて設けたことを特徴とする降水強度計。
- 逆円錐形受水器の最底部に蓋付きの小孔を設けたことと、前記受水器の円錐面の最大傾斜線に沿って長孔を設け、この長孔を塞ぐ網を設けたことと、前記小孔と長孔の下方に前記受水器の裏面に沿ってU字形の樋を設けたことと、前記樋の最底部に小孔を設け、この小孔に導水管を垂設したことを特徴とする降水強度計。
- 逆円錐形受水器の最底部に垂設した導水管を備えた降水強度計において、前記導水管の周面に直交して貫通する通気口を複数対設け、且つ上下隣り合う前記通気口の貫通方向が交差するように通気口を配置したことを特徴とする降水強度計。
- 前記逆円錐形受水器の最底部に垂設した導水管の下端のノズルから落下する水滴を感知するために、前記導水管の下方に反射型光電スイッチを設けたことを特徴とする請求項3記載の降水強度計。
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