JP2004028238A - タンク - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、タンクドームに対してねじり応力が直接作用しないタンクおよびこのタンクに適応するタンクドームの構造を提供することを目的とする。
【解決手段】内周面120aおよび外周面120bを有し、内周面120aによって取り囲まれるLNG等の流体を格納する空間を有するアルミタンク120と、アルミタンク120に載置されるタンクドーム110とを備える。そして、アルミタンク120の外周面120bとタンクドーム110とによって囲まれる所定の空間が形成される。アルミタンク120には貫通孔121が設けられており、この貫通孔121は、アルミタンク120内部の流体格納空間と外周面120bとタンクドーム110とによって囲まれる所定の空間とを連通する。また、タンクドーム110の肉厚は、アルミタンク120の肉厚よりも薄く形成され、タンクドーム110の側部と上部の肉厚は均一となるように形成されている。
【選択図】 図2
【解決手段】内周面120aおよび外周面120bを有し、内周面120aによって取り囲まれるLNG等の流体を格納する空間を有するアルミタンク120と、アルミタンク120に載置されるタンクドーム110とを備える。そして、アルミタンク120の外周面120bとタンクドーム110とによって囲まれる所定の空間が形成される。アルミタンク120には貫通孔121が設けられており、この貫通孔121は、アルミタンク120内部の流体格納空間と外周面120bとタンクドーム110とによって囲まれる所定の空間とを連通する。また、タンクドーム110の肉厚は、アルミタンク120の肉厚よりも薄く形成され、タンクドーム110の側部と上部の肉厚は均一となるように形成されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンクの構造に関し、特にタンク部に備えられたドーム部の構造およびこのドーム部周辺の構造等に関する。
【0002】
【従来の技術】
LNG(liquefied natural gas)を輸送するにあたっては、LNG運搬船が用いられている。図5は、従来におけるLNG運搬船200におけるLNGタンクの構造を示す側断面図である。LNGタンクの材料としては、アルミニウムが用いられ、極低温の柔軟構造面から一切の補強骨材を排した一枚板の球形になっている。叉、図5に示すように、アルミタンク220の上端部には、タンクドーム210が設けられている。このタンクドーム210は、アルミタンク220内部に設けられたパイプタワー260を通じてアルミタンク220内にLNGを搬出入するための図示しない配管設備やタンク底部に設けた貨物ポンプのメインテナンスを行う交通路等の導設を行う入口として用いられる。
【0003】
ここで、図6に示す側断面図を用いて、従来におけるタンクドーム210の構造について説明する。図6(a)に示すように、アルミタンク220の上端部には、タンクドーム側部211とタンクドーム上部212とからなるタンクドーム210が備えられている。このタンクドーム210の下端はアルミタンク220底部まで配設されたパイプタワー260に接合されている。ここで、アルミタンク220とタンクドーム210との関係について説明する。アルミタンク220の上端部には、アルミタンク220の内周面220aから外周面220bへと貫通する貫通孔221が設けられている。そして、この貫通孔221に面するアルミタンク220の端部222に密着して嵌合されるように、リング状に形成されたタンクドーム側部211が配設されている。そしてこのタンクドーム側部211の側部外周面211bは、アルミタンク220の端部222付近で溶接され、アルミタンク220と接合されている。
なお、アルミタンク220とタンクドーム210とパイプタワー260は互いに貫通し叉、タンクカバー230とタンクドームカバー240は、ドームフランジ280、環状でラバー製のエキスパンシヨン250および断熱材270を介し取り付けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、タンクドーム210からパイプタワー260内部には、図示しない複数の配管や電線、タラップ等の交通路等が導入されるため、パイプタワー260は大径となり叉、パイプタワー260に接続するタンクドーム210の貫通孔221はさらに大径化する。すなわち、従来における貫通孔221の直径は、約4mもの大きさを要していた。ここで、図6(b)に示す、アルミタンク220の肉厚III−IIIは、約30mmである。このように、30mmの肉厚しか有さないアルミタンク220(球体)に4mもの大径の貫通孔221を設けると、このアルミタンク220の貫通孔221部分では、大きなねじり応力が発生してしまう。そしてこのねじり応力は、アルミタンク220の端部222に集中して作用する。つまり、大径の貫通孔221が設けられたアルミタンク220の強度は十分なものではない。
【0005】
強度が十分に保たれていないアルミタンク220の貫通孔221部分には、リング状のタンクドーム側部211が嵌合されていた。つまりタンクドーム側部211は、アルミタンク220の端部222によって拘束されていた。しかしながら、上述したねじり応力によってアルミタンク220の形状に歪みが生じると、タンクドーム側部211を拘束しているアルミタンク220の端部222がめくれたり、タンクドーム側部211が押し潰されたりする問題が生じる。そこで、タンクドーム側部211の肉厚を厚くせざるを得なかった。すなわち、図6(b)に示すタンクドーム上部212の肉厚V−Vが23mmであるのに対して、タンクドーム側部211の肉厚IV−IVを70mmとし、アルミタンク220の端部222からかかるねじり応力に耐えることのできるタンクドーム210を形成していた。そしてさらに、アルミタンク220の端部222がめくれるのを防止するために、アルミタンク220とタンクドーム側部211との接合部を溶接していた。
【0006】
タンクドーム側部211を以上のようにしてアルミタンク220に接合すると、タンクドーム側部211の側部外周面211bだけがアルミタンク220の端部222と接触する。つまり、側部外周面211b側にはアルミタンク220が存在することになる。しかしながら、タンクドーム211の側部内周面211a側は中空になっており、アルミタンク220は存在していない。つまり、貫通孔221に肉厚の厚いリング状のタンクドーム側部211を嵌装しても、アルミタンク220の端部222が接触し、この端部222によって拘束されている部分に対してねじり応力がかかるのは避けることができない。
【0007】
また、タンクドーム210をこのような構成とすると、上述したようにタンクドーム側部211の肉厚を厚くしなければならないため、コストが嵩んでしまう。さらに、アルミニウムの溶接には熟練した技術が必要である。アルミタンク220の製作は上方から順番に行われるが、特にタンクドーム210とアルミタンク220との接合部分、特にアルミタンク220内側は上向き溶接となるため溶接作業には多大な時間と労力が費やされていた。
【0008】
そこで、本発明は、タンクドームに対してねじり応力が直接作用しないタンクの構造と、このタンクに適応するタンクドームの構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明は、次のように構成されたことを特徴とするタンクを提供する。このタンクは、内周面および外周面を有し、内周面が取り囲むLNG格納空間を備える球形のタンク本体と、このタンク本体に載置されると共に所定の空間を有するタンクドームとを備え、所定の空間は、タンクドームとタンク本体の外周面との間で形成される。ここで、このタンクドームの肉厚は、タンク本体の肉厚よりも薄く形成され、タンクドームの側部と上部の肉厚が均一となるように形成される。
また、タンク本体のLNG格納空間とタンクドームの所定の空間とを連通する複数の配管用貫通孔および交通路用マンホール孔が、タンク本体を貫通して配設される。またさらに、タンクドーム内部の所定の位置に固定される防熱板をさらに備え、この防熱板は、タンク本体を貫通する複数の配管に対応する位置に、それぞれの配管へ流体を供給および/または排出する流路を有する。
タンク本体のLNG格納空間とタンクドームの所定の空間とを連通する複数の配管は、タンク本体の外周面に穿設された配管用貫通孔を介して連通するものである。ここでこの貫通孔は、タンクドームの所定の空間、すなわちタンクドームの下端部に形成される開口縁の内側に複数個形成されるので、それぞれの貫通孔の径は開口縁の径よりも小さいものとなる。同様に、交通路用マンホール孔も、その径が開口縁の径よりも小さいものとなる。
また、本発明において、タンクドーム内への伝熱を低減するために、前記タンク本体と前記防熱板との間に断熱材を配設することが望ましい。
【0010】
また、本発明は、次のように構成されたことを特徴とするタンクを提供する。このタンクは、内周面および外周面を有し、内周面が取り囲むLNG格納空間を備える球形のタンク本体と、側部および上部を有し、側部の下端部に開口縁が形成されたタンクドームとを備え、このタンクドームはタンク本体に載置され、かつ開口縁にてタンク本体の外周面に接合され、タンクドームの側部はタンク本体に対して非拘束状態として構成される。
タンクをこのような構成とすれば、タンクドームの側部に対して直接応力がかかることがなくなるので、タンクドームの側部の肉厚を厚くする必要が無くなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す本実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態におけるLNG運搬船100の全体構成を示す側断面図である。
図1に示すように、本実施の形態におけるLNG運搬船100には、船体180に設けられた支持部190に周囲を支持され、LNG170を格納する球形または球状の多面体に形成されたアルミタンク120と、このアルミタンク120の外周を取り囲む球形または球状の鋼製のタンクカバー130とが備えられている。図示するようにアルミタンク120は、その内周面にてアルミタンク120内部の空間を取り囲み、LNG170を格納する流体格納空間を形成している。そしてアルミタンク120の上端部には、内部にインシュレーションディスク150を備えると共に、下方に開口した図示しない扉を有したドーム状のアルミ製のタンクドーム110が設けられている。本実施の形態では、タンクドーム110の平断面が、内部に中空部を備えた円形(環状)であるものとして以下の説明を行う。
【0012】
また、タンクカバー130の上端部、すなわちタンクドーム110の上方には、タンクドーム110と同様に下方に開口したドーム状で鋼製のタンクドームカバー140が設けられている。このタンクドームカバー140も、タンクドーム110と同様に平断面が内部に中空部を備えた円形(環状)であるものとする。ところで、アルミタンク120とタンクドーム110は温度差が大きいので、タンクカバー130とタンクドームカバー140とを溶接することはできない。そこで、タンクカバー130とタンクドームカバー140との間には、ドームフランジ174、環状でラバー製のエキスパンション171およびその内側の断熱材172が挟み込まれている。タンクドーム110の上方にタンクドームカバー140を設けることにより、タンクドーム110内部と外気との間での防熱を行うことができる。そうすることによって、タンクカバー130タンクドームカバー140の熱歪みによる破損を防止すると共にアルミタンク120内部への熱の侵入を抑制し、LNG170が揮発するのを防止することができる。また、タンクドーム110から雨水等が浸入するのを防止することができる。
【0013】
また、アルミタンク120内部のタンクドーム110の下方には円筒状のパイプタワー160が延在している。そしてパイプタワー160は、アルミタンク120下端部(底部)に設けられたパイプタワー160の下端部161に接続されている。この下端部161には、アルミタンク120を連通する孔が設けられており叉、図示しない計装装置およびLNG170供給・排出用の貨油ポンプ等が収納されている。そして、これらの計装装置および貨油ポンプ等は、パイプタワー160内部に設けられた図示しない配管を通じてタンクドーム110内に配設された図示しない荷役ピース管に接続されている。また、パイプタワー160の内部にはポンプ等のメインテナンス等に用いられる図示しない昇降タラップがタンクドーム110よりタンク底まで設けられている。そして、これらの配管およびタラップは、後に図2および図3を用いて説明する貫通孔に接続されている。
【0014】
図2は、本実施の形態におけるタンクドーム110の構造を示す側断面図である。
図2(a)に示すように、本実施の形態におけるアルミタンク120の上端部には、図6に示したアルミタンク220のような大径の貫通孔221は設けられていない。ここで、本実施の形態におけるタンクドーム110には、後に図2(b)を用いて説明する貫通孔121が備えられているが、図2(a)では図示を省略した。図1および図2に示すように、本実施の形態におけるアルミタンク120の上端部は、タンクドーム110の開口部が接触する部分において連続して形成されている。そして、この連続して形成されたアルミタンク120の上端部には、タンクドーム110が載せられるようにして配設されている。つまり、タンクドーム110の下端部111がアルミタンク120の外周面120bと接触する。そうすると、タンクドーム110の内周面110a側および外周面110b側の両方にアルミタンク120が存在することになる。ここでタンクドーム110の下端部111は、開口縁を形成している。
図示するようにタンクドーム110は、下端部111をアルミタンク120の外周面120bに溶接されることによってアルミタンク120と接合されている。そして、アルミタンク120の外周面120bとタンクドーム110によって囲まれた部分には、所定領域の空間が形成されている。
なお、アルミタンク120へのタンクドーム110とパイプタワー160の取付けは、アルミタンク120の北半球が製作された段階で、タンク内面を上側にし、その上にパイプタワー160を設置し下向溶接を行う。因みにパイプタワー160は四分割されているので設置が容易である。その後、上記アルミタンク120を正位置に返し、任意の位置にタンクドーム110を設置し、下向溶接を行う。
【0015】
また、アルミタンク120の内部には、パイプタワー160が延在している。そしてこのパイプタワー160の上端部162は、アルミタンク120の内周面120aと接触している。上述したようにアルミタンク120の上端部は、タンクドーム110の開口部が接触する部分において連続して形成されているので、パイプタワー160の上端部162が接触する部分においても同様に連続して形成されている。
そして、図示するようにパイプタワー160は、上端部162をアルミタンク120の内周面120aに溶接されることによって、タンクドーム110と同様にアルミタンク120と接合されている。
【0016】
ここで、図3を用いてタンクドーム110に設けられるインシュレーションディスク150について説明する。図3は、本実施の形態におけるタンクドーム110およびインシュレーションディスク150の構成を示す図である。
図3(a)に示すように、本実施の形態におけるアルミタンク120の上端部のうち、タンクドーム110の開口部によって囲まれる部分には、タンクドーム110の開口部の径よりも小径の複数の貫通孔121が設けられている。そして、これら小径かつ複数の貫通孔121の上方には、タンクドーム110が設けられている。このタンクドーム110の内周面110aの下方には、内方に突出する支持部としての機能を有するフランジ112が設けられている。そして、このフランジ112の上部には、外周形状がタンクドーム110内周の平断面とほぼ同形状、すなわち円形のインシュレーションディスク150が載せられており、外周部をフランジ112にて支持されている。ここで、このインシュレーションディスク150は、ウレタン等の断熱材152をこの断熱材152の上方および下方からアルミニウム板151で挟み込んで形成されている。また、インシュレーションディスク150の上部には、タンクドーム110の内周面110aに嵌合される図示しない押さえ手段を有したリング状の押さえ金具113が設けられている。そして、フランジ112によって下方から支持されたインシュレーションディスク150を上方から押さえ付けることによってインシュレーションディスク150をタンクドーム110内部の所定の位置に固定している。
【0017】
また、図3(b)に示すように、インシュレーションディスク150には、それぞれ図示しない蓋を有するタラップ用マンホール153、配管用孔154、計装装置用孔155等の孔が設けられている。これらの孔は、アルミタンク120の上端部に設けられた小径かつ複数の貫通孔121に対応する位置にそれぞれ設けられている。このように、アルミタンク120の上端部に設けられた小径かつ複数の貫通孔121を有するインシュレーションディスク150を設けることによって、アルミタンク120の防熱を行うことができる。つまり、アルミタンク120内に格納されているLNG170は−163℃であるが、インシュレーションディスク150は、その存在によりタンクドーム110内の温度を約−52℃に保持し、かつタンクドーム110やエキスパンシヨン171の破損を防止する防熱板として機能する。なお、このときタンクドーム110内には不活性ガスが注入されている。また、インシュレーションディスク150の貫通孔は完全な気密性を要求されないので適度のシール性を有していればよい。
【0018】
さて、図2(b)は、図2(a)に示したA部分の部分拡大図である。図2(b)に示すように、アルミタンク120の上端部に設けられたタンクドーム110の開口部によって囲まれた部分には、複数の貫通孔121が穿設されている。これら複数の貫通孔121は、アルミタンク120の内周面120aと外周面120bとを貫通する。ここで、これらの貫通孔121の径は、配管を通すことができる、またはタラップの出入口を設けることができる程度の大きさであって、これらの貫通孔121には、それぞれ図示しない配管またはタラップの出入口等が接続される。つまり、本実施の形態においてアルミタンク120に穿設される貫通孔121は、タンクドーム110の下端部111により形成された開口部によって囲まれている部分の径に対して十分に小さな径のものであるということが言える。
【0019】
これまでに説明したように、図2に示す本実施の形態におけるアルミタンク120の上端部には、従来のアルミタンク220のような大径の貫通孔221は設けられていない。アルミタンク120をこのような構造とすれば、アルミタンク120にて大きなねじり応力が発生することはなくなる。本実施の形態におけるアルミタンク120には、大径の孔は設けられていないが、タンクドーム110の開口部の径よりも小径の複数の貫通孔121が設けられている。これら小径の貫通孔121部分に対してねじり応力が発生したとしても、その大きさは大径の孔にかかるものと比べるとごく僅かなものなので、アルミタンク120の形状を維持するのに支障をきたすものではない。つまり、本実施の形態におけるアルミタンク120は、アルミタンク120自身が十分な強度を有するものである。
【0020】
アルミタンク120がこのような構造であれば、タンクドーム110の開口部によって囲まれた部分においてもアルミタンク120の強度が十分に保たれているので、タンクドーム110の肉厚を従来のアルミタンク220に嵌合されるリング状のタンクドーム側部211のように厚くする必要はない。そして、アルミタンク120に設けられた小径かつ複数の貫通孔121をタンクドーム110で補強する必要もない。そこで本実施の形態では、アルミタンク120上にタンクドーム110を載置するだけでよい。
そうすると、アルミタンク120の外周面120bには、タンクドーム110の内周面110aおよびタンクドーム110の外周面110bが接触する。つまり、このタンクドーム110の外周面110b側にはアルミタンク120が存在する。また同様に、タンクドーム110の内周面110a側にもアルミタンク120が存在する。
さらに、本実施の形態では、アルミタンク120に載せられたタンクドーム110をアルミタンク120に溶接するだけなので、従来の溶接と比べて時間と労力を節減することができる。
【0021】
ここで、本実施の形態におけるアルミタンク120およびタンクドーム110の肉厚について説明する。本実施の形態におけるアルミタンク120の肉厚I−Iは、図6に示した従来のアルミタンク220と同様に30mmである。
ところで上述したように、本実施の形態におけるアルミタンク120には、大径の孔が設けられていないので、十分な強度を有している。また、上述したように本実施の形態におけるタンクドーム110は、アルミタンク120に嵌合されるものではない。すなわち本実施の形態におけるタンクドーム110の側部は、アルミタンク120に対して非拘束状態なので、タンクドーム110の側部に直接大きなねじり応力がかかることはない。つまり、本実施の形態におけるタンクドーム110の肉厚は、図6に示したタンクドーム側部211のように厚くしなくても良い。そこで、タンクドーム110の側部の肉厚II−IIは、図6に示したタンクドーム上部212と同じ23mmとすることができる。タンクドーム110全体がこの肉厚を有すれば、アルミタンク120に載せられるタンクドーム110として十分な強度を得ることができる。
このタンクドーム110の側部の肉厚は、図6に示したタンクドーム側部211の肉厚と比較すると約3分の1である。このように、タンクドーム110の肉厚を薄くすることができるので、タンクドーム110を製作する材料のアルミニウム板151を節約することができる。
【0022】
以上のように、本実施の形態におけるLNGタンクは、球形に形成されたアルミタンク120の上端部にタンクドーム110を載置する構造となっている。アルミタンク120に大径の孔を設けることなく、タンクドーム110の径よりも小径の複数の貫通孔121を穿設するようにすれば、アルミタンク120にて大きなねじり応力が発生することがなくなり、アルミタンク120自体の強度が増す。アルミタンク120自体が、その形状を保つのに十分な強度を有していれば、肉厚のタンクドーム110をアルミタンク120に嵌合する必要は無くなる。そこで、タンクドーム110をアルミタンク120に載せるだけの簡単な構造とすることができる。そうすれば、タンクドーム110の肉厚を薄くすることができるので、このタンクドーム110を製作するのに要する材料のアルミニウムを節約することができる。
【0023】
また、タンクドーム110とアルミタンク120との溶接を行う際、アルミタンク120の上端部にタンクドーム110を載せて溶接を行うだけなので、従来の溶接に要していた手間を低減することができる。つまり、LNGタンクの製作工程が簡単になり、タンクドーム110をアルミタンク120に溶接する作業時間を短縮することができる。
【0024】
以上本実施の形態では、タンクドーム110とアルミタンク120とからなるLNGタンクを例に説明したが、このような構造のタンクはLNG運搬用のタンクとしてだけでなく、他の流体を格納して運搬する場合、または他の流体を備蓄する場合においても用いることができる。
【0025】
また、以上の実施の形態では、アルミタンク120とインシュレーションディスク150との間を空間としていたが、この空間に断熱材172を配設することもできる。この例を図4に示す。なお、図4において、図1と同様の部分には図1と同一の符号を付してその説明は省略する。
図4に示すように、アルミタンク120とインシュレーションディスク150との間の空間に断熱材172を配設すると、アルミタンク120からのタンクドーム110内への伝熱を抑制することができる。その結果、インシュレーションディスク150における断熱のための構造を簡略化することも可能となる。なお、アルミタンク120とインシュレーションディスク150との間の空間に断熱材172を配設するにあたって、環状堰173を設けることが望ましい。環状堰173は、図示しないタラップの配設位置を確保すると共に、インシュレーションディスク150を支持する。環状堰173は、インシュレーションディスク150またはアルミタンク120に溶接によって取り付けることができる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、タンクドームに対してねじり応力が直接作用しない構造のタンクを提供することができる。また、このタンクに適応した構造のタンクドームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態におけるLNG運搬船100の全体構成を示す側断面図である。
【図2】本実施の形態におけるタンクドーム110の構造を示す側断面図である。
【図3】本実施の形態におけるタンクドーム110およびインシュレーションディスク150の構成を示す側断面図である。
【図4】本実施の形態におけるLNG運搬船100の変形例を示す図である。
【図5】従来におけるLNG運搬船200におけるLNGタンクの構造を示す側断面図である。
【図6】従来におけるタンクドーム210の構造を示す側断面図である。
【符号の説明】
100…LNG運搬船、110…タンクドーム、110a…内周面、110b…外周面、111…下端部、112…フランジ、113…押さえ金具、120…アルミタンク、120a…内周面、120b…外周面、121…貫通孔、150…インシュレーションディスク、151…アルミニウム板、152…断熱材、153…タラップ用マンホール、154…配管用孔、155…計装装置用孔、160…パイプタワー、161…下端部、162…上端部、170…LNG、171…エキスパンシヨン、172…断熱材、173…環状堰、174…ドームフランジ
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンクの構造に関し、特にタンク部に備えられたドーム部の構造およびこのドーム部周辺の構造等に関する。
【0002】
【従来の技術】
LNG(liquefied natural gas)を輸送するにあたっては、LNG運搬船が用いられている。図5は、従来におけるLNG運搬船200におけるLNGタンクの構造を示す側断面図である。LNGタンクの材料としては、アルミニウムが用いられ、極低温の柔軟構造面から一切の補強骨材を排した一枚板の球形になっている。叉、図5に示すように、アルミタンク220の上端部には、タンクドーム210が設けられている。このタンクドーム210は、アルミタンク220内部に設けられたパイプタワー260を通じてアルミタンク220内にLNGを搬出入するための図示しない配管設備やタンク底部に設けた貨物ポンプのメインテナンスを行う交通路等の導設を行う入口として用いられる。
【0003】
ここで、図6に示す側断面図を用いて、従来におけるタンクドーム210の構造について説明する。図6(a)に示すように、アルミタンク220の上端部には、タンクドーム側部211とタンクドーム上部212とからなるタンクドーム210が備えられている。このタンクドーム210の下端はアルミタンク220底部まで配設されたパイプタワー260に接合されている。ここで、アルミタンク220とタンクドーム210との関係について説明する。アルミタンク220の上端部には、アルミタンク220の内周面220aから外周面220bへと貫通する貫通孔221が設けられている。そして、この貫通孔221に面するアルミタンク220の端部222に密着して嵌合されるように、リング状に形成されたタンクドーム側部211が配設されている。そしてこのタンクドーム側部211の側部外周面211bは、アルミタンク220の端部222付近で溶接され、アルミタンク220と接合されている。
なお、アルミタンク220とタンクドーム210とパイプタワー260は互いに貫通し叉、タンクカバー230とタンクドームカバー240は、ドームフランジ280、環状でラバー製のエキスパンシヨン250および断熱材270を介し取り付けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、タンクドーム210からパイプタワー260内部には、図示しない複数の配管や電線、タラップ等の交通路等が導入されるため、パイプタワー260は大径となり叉、パイプタワー260に接続するタンクドーム210の貫通孔221はさらに大径化する。すなわち、従来における貫通孔221の直径は、約4mもの大きさを要していた。ここで、図6(b)に示す、アルミタンク220の肉厚III−IIIは、約30mmである。このように、30mmの肉厚しか有さないアルミタンク220(球体)に4mもの大径の貫通孔221を設けると、このアルミタンク220の貫通孔221部分では、大きなねじり応力が発生してしまう。そしてこのねじり応力は、アルミタンク220の端部222に集中して作用する。つまり、大径の貫通孔221が設けられたアルミタンク220の強度は十分なものではない。
【0005】
強度が十分に保たれていないアルミタンク220の貫通孔221部分には、リング状のタンクドーム側部211が嵌合されていた。つまりタンクドーム側部211は、アルミタンク220の端部222によって拘束されていた。しかしながら、上述したねじり応力によってアルミタンク220の形状に歪みが生じると、タンクドーム側部211を拘束しているアルミタンク220の端部222がめくれたり、タンクドーム側部211が押し潰されたりする問題が生じる。そこで、タンクドーム側部211の肉厚を厚くせざるを得なかった。すなわち、図6(b)に示すタンクドーム上部212の肉厚V−Vが23mmであるのに対して、タンクドーム側部211の肉厚IV−IVを70mmとし、アルミタンク220の端部222からかかるねじり応力に耐えることのできるタンクドーム210を形成していた。そしてさらに、アルミタンク220の端部222がめくれるのを防止するために、アルミタンク220とタンクドーム側部211との接合部を溶接していた。
【0006】
タンクドーム側部211を以上のようにしてアルミタンク220に接合すると、タンクドーム側部211の側部外周面211bだけがアルミタンク220の端部222と接触する。つまり、側部外周面211b側にはアルミタンク220が存在することになる。しかしながら、タンクドーム211の側部内周面211a側は中空になっており、アルミタンク220は存在していない。つまり、貫通孔221に肉厚の厚いリング状のタンクドーム側部211を嵌装しても、アルミタンク220の端部222が接触し、この端部222によって拘束されている部分に対してねじり応力がかかるのは避けることができない。
【0007】
また、タンクドーム210をこのような構成とすると、上述したようにタンクドーム側部211の肉厚を厚くしなければならないため、コストが嵩んでしまう。さらに、アルミニウムの溶接には熟練した技術が必要である。アルミタンク220の製作は上方から順番に行われるが、特にタンクドーム210とアルミタンク220との接合部分、特にアルミタンク220内側は上向き溶接となるため溶接作業には多大な時間と労力が費やされていた。
【0008】
そこで、本発明は、タンクドームに対してねじり応力が直接作用しないタンクの構造と、このタンクに適応するタンクドームの構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明は、次のように構成されたことを特徴とするタンクを提供する。このタンクは、内周面および外周面を有し、内周面が取り囲むLNG格納空間を備える球形のタンク本体と、このタンク本体に載置されると共に所定の空間を有するタンクドームとを備え、所定の空間は、タンクドームとタンク本体の外周面との間で形成される。ここで、このタンクドームの肉厚は、タンク本体の肉厚よりも薄く形成され、タンクドームの側部と上部の肉厚が均一となるように形成される。
また、タンク本体のLNG格納空間とタンクドームの所定の空間とを連通する複数の配管用貫通孔および交通路用マンホール孔が、タンク本体を貫通して配設される。またさらに、タンクドーム内部の所定の位置に固定される防熱板をさらに備え、この防熱板は、タンク本体を貫通する複数の配管に対応する位置に、それぞれの配管へ流体を供給および/または排出する流路を有する。
タンク本体のLNG格納空間とタンクドームの所定の空間とを連通する複数の配管は、タンク本体の外周面に穿設された配管用貫通孔を介して連通するものである。ここでこの貫通孔は、タンクドームの所定の空間、すなわちタンクドームの下端部に形成される開口縁の内側に複数個形成されるので、それぞれの貫通孔の径は開口縁の径よりも小さいものとなる。同様に、交通路用マンホール孔も、その径が開口縁の径よりも小さいものとなる。
また、本発明において、タンクドーム内への伝熱を低減するために、前記タンク本体と前記防熱板との間に断熱材を配設することが望ましい。
【0010】
また、本発明は、次のように構成されたことを特徴とするタンクを提供する。このタンクは、内周面および外周面を有し、内周面が取り囲むLNG格納空間を備える球形のタンク本体と、側部および上部を有し、側部の下端部に開口縁が形成されたタンクドームとを備え、このタンクドームはタンク本体に載置され、かつ開口縁にてタンク本体の外周面に接合され、タンクドームの側部はタンク本体に対して非拘束状態として構成される。
タンクをこのような構成とすれば、タンクドームの側部に対して直接応力がかかることがなくなるので、タンクドームの側部の肉厚を厚くする必要が無くなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す本実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態におけるLNG運搬船100の全体構成を示す側断面図である。
図1に示すように、本実施の形態におけるLNG運搬船100には、船体180に設けられた支持部190に周囲を支持され、LNG170を格納する球形または球状の多面体に形成されたアルミタンク120と、このアルミタンク120の外周を取り囲む球形または球状の鋼製のタンクカバー130とが備えられている。図示するようにアルミタンク120は、その内周面にてアルミタンク120内部の空間を取り囲み、LNG170を格納する流体格納空間を形成している。そしてアルミタンク120の上端部には、内部にインシュレーションディスク150を備えると共に、下方に開口した図示しない扉を有したドーム状のアルミ製のタンクドーム110が設けられている。本実施の形態では、タンクドーム110の平断面が、内部に中空部を備えた円形(環状)であるものとして以下の説明を行う。
【0012】
また、タンクカバー130の上端部、すなわちタンクドーム110の上方には、タンクドーム110と同様に下方に開口したドーム状で鋼製のタンクドームカバー140が設けられている。このタンクドームカバー140も、タンクドーム110と同様に平断面が内部に中空部を備えた円形(環状)であるものとする。ところで、アルミタンク120とタンクドーム110は温度差が大きいので、タンクカバー130とタンクドームカバー140とを溶接することはできない。そこで、タンクカバー130とタンクドームカバー140との間には、ドームフランジ174、環状でラバー製のエキスパンション171およびその内側の断熱材172が挟み込まれている。タンクドーム110の上方にタンクドームカバー140を設けることにより、タンクドーム110内部と外気との間での防熱を行うことができる。そうすることによって、タンクカバー130タンクドームカバー140の熱歪みによる破損を防止すると共にアルミタンク120内部への熱の侵入を抑制し、LNG170が揮発するのを防止することができる。また、タンクドーム110から雨水等が浸入するのを防止することができる。
【0013】
また、アルミタンク120内部のタンクドーム110の下方には円筒状のパイプタワー160が延在している。そしてパイプタワー160は、アルミタンク120下端部(底部)に設けられたパイプタワー160の下端部161に接続されている。この下端部161には、アルミタンク120を連通する孔が設けられており叉、図示しない計装装置およびLNG170供給・排出用の貨油ポンプ等が収納されている。そして、これらの計装装置および貨油ポンプ等は、パイプタワー160内部に設けられた図示しない配管を通じてタンクドーム110内に配設された図示しない荷役ピース管に接続されている。また、パイプタワー160の内部にはポンプ等のメインテナンス等に用いられる図示しない昇降タラップがタンクドーム110よりタンク底まで設けられている。そして、これらの配管およびタラップは、後に図2および図3を用いて説明する貫通孔に接続されている。
【0014】
図2は、本実施の形態におけるタンクドーム110の構造を示す側断面図である。
図2(a)に示すように、本実施の形態におけるアルミタンク120の上端部には、図6に示したアルミタンク220のような大径の貫通孔221は設けられていない。ここで、本実施の形態におけるタンクドーム110には、後に図2(b)を用いて説明する貫通孔121が備えられているが、図2(a)では図示を省略した。図1および図2に示すように、本実施の形態におけるアルミタンク120の上端部は、タンクドーム110の開口部が接触する部分において連続して形成されている。そして、この連続して形成されたアルミタンク120の上端部には、タンクドーム110が載せられるようにして配設されている。つまり、タンクドーム110の下端部111がアルミタンク120の外周面120bと接触する。そうすると、タンクドーム110の内周面110a側および外周面110b側の両方にアルミタンク120が存在することになる。ここでタンクドーム110の下端部111は、開口縁を形成している。
図示するようにタンクドーム110は、下端部111をアルミタンク120の外周面120bに溶接されることによってアルミタンク120と接合されている。そして、アルミタンク120の外周面120bとタンクドーム110によって囲まれた部分には、所定領域の空間が形成されている。
なお、アルミタンク120へのタンクドーム110とパイプタワー160の取付けは、アルミタンク120の北半球が製作された段階で、タンク内面を上側にし、その上にパイプタワー160を設置し下向溶接を行う。因みにパイプタワー160は四分割されているので設置が容易である。その後、上記アルミタンク120を正位置に返し、任意の位置にタンクドーム110を設置し、下向溶接を行う。
【0015】
また、アルミタンク120の内部には、パイプタワー160が延在している。そしてこのパイプタワー160の上端部162は、アルミタンク120の内周面120aと接触している。上述したようにアルミタンク120の上端部は、タンクドーム110の開口部が接触する部分において連続して形成されているので、パイプタワー160の上端部162が接触する部分においても同様に連続して形成されている。
そして、図示するようにパイプタワー160は、上端部162をアルミタンク120の内周面120aに溶接されることによって、タンクドーム110と同様にアルミタンク120と接合されている。
【0016】
ここで、図3を用いてタンクドーム110に設けられるインシュレーションディスク150について説明する。図3は、本実施の形態におけるタンクドーム110およびインシュレーションディスク150の構成を示す図である。
図3(a)に示すように、本実施の形態におけるアルミタンク120の上端部のうち、タンクドーム110の開口部によって囲まれる部分には、タンクドーム110の開口部の径よりも小径の複数の貫通孔121が設けられている。そして、これら小径かつ複数の貫通孔121の上方には、タンクドーム110が設けられている。このタンクドーム110の内周面110aの下方には、内方に突出する支持部としての機能を有するフランジ112が設けられている。そして、このフランジ112の上部には、外周形状がタンクドーム110内周の平断面とほぼ同形状、すなわち円形のインシュレーションディスク150が載せられており、外周部をフランジ112にて支持されている。ここで、このインシュレーションディスク150は、ウレタン等の断熱材152をこの断熱材152の上方および下方からアルミニウム板151で挟み込んで形成されている。また、インシュレーションディスク150の上部には、タンクドーム110の内周面110aに嵌合される図示しない押さえ手段を有したリング状の押さえ金具113が設けられている。そして、フランジ112によって下方から支持されたインシュレーションディスク150を上方から押さえ付けることによってインシュレーションディスク150をタンクドーム110内部の所定の位置に固定している。
【0017】
また、図3(b)に示すように、インシュレーションディスク150には、それぞれ図示しない蓋を有するタラップ用マンホール153、配管用孔154、計装装置用孔155等の孔が設けられている。これらの孔は、アルミタンク120の上端部に設けられた小径かつ複数の貫通孔121に対応する位置にそれぞれ設けられている。このように、アルミタンク120の上端部に設けられた小径かつ複数の貫通孔121を有するインシュレーションディスク150を設けることによって、アルミタンク120の防熱を行うことができる。つまり、アルミタンク120内に格納されているLNG170は−163℃であるが、インシュレーションディスク150は、その存在によりタンクドーム110内の温度を約−52℃に保持し、かつタンクドーム110やエキスパンシヨン171の破損を防止する防熱板として機能する。なお、このときタンクドーム110内には不活性ガスが注入されている。また、インシュレーションディスク150の貫通孔は完全な気密性を要求されないので適度のシール性を有していればよい。
【0018】
さて、図2(b)は、図2(a)に示したA部分の部分拡大図である。図2(b)に示すように、アルミタンク120の上端部に設けられたタンクドーム110の開口部によって囲まれた部分には、複数の貫通孔121が穿設されている。これら複数の貫通孔121は、アルミタンク120の内周面120aと外周面120bとを貫通する。ここで、これらの貫通孔121の径は、配管を通すことができる、またはタラップの出入口を設けることができる程度の大きさであって、これらの貫通孔121には、それぞれ図示しない配管またはタラップの出入口等が接続される。つまり、本実施の形態においてアルミタンク120に穿設される貫通孔121は、タンクドーム110の下端部111により形成された開口部によって囲まれている部分の径に対して十分に小さな径のものであるということが言える。
【0019】
これまでに説明したように、図2に示す本実施の形態におけるアルミタンク120の上端部には、従来のアルミタンク220のような大径の貫通孔221は設けられていない。アルミタンク120をこのような構造とすれば、アルミタンク120にて大きなねじり応力が発生することはなくなる。本実施の形態におけるアルミタンク120には、大径の孔は設けられていないが、タンクドーム110の開口部の径よりも小径の複数の貫通孔121が設けられている。これら小径の貫通孔121部分に対してねじり応力が発生したとしても、その大きさは大径の孔にかかるものと比べるとごく僅かなものなので、アルミタンク120の形状を維持するのに支障をきたすものではない。つまり、本実施の形態におけるアルミタンク120は、アルミタンク120自身が十分な強度を有するものである。
【0020】
アルミタンク120がこのような構造であれば、タンクドーム110の開口部によって囲まれた部分においてもアルミタンク120の強度が十分に保たれているので、タンクドーム110の肉厚を従来のアルミタンク220に嵌合されるリング状のタンクドーム側部211のように厚くする必要はない。そして、アルミタンク120に設けられた小径かつ複数の貫通孔121をタンクドーム110で補強する必要もない。そこで本実施の形態では、アルミタンク120上にタンクドーム110を載置するだけでよい。
そうすると、アルミタンク120の外周面120bには、タンクドーム110の内周面110aおよびタンクドーム110の外周面110bが接触する。つまり、このタンクドーム110の外周面110b側にはアルミタンク120が存在する。また同様に、タンクドーム110の内周面110a側にもアルミタンク120が存在する。
さらに、本実施の形態では、アルミタンク120に載せられたタンクドーム110をアルミタンク120に溶接するだけなので、従来の溶接と比べて時間と労力を節減することができる。
【0021】
ここで、本実施の形態におけるアルミタンク120およびタンクドーム110の肉厚について説明する。本実施の形態におけるアルミタンク120の肉厚I−Iは、図6に示した従来のアルミタンク220と同様に30mmである。
ところで上述したように、本実施の形態におけるアルミタンク120には、大径の孔が設けられていないので、十分な強度を有している。また、上述したように本実施の形態におけるタンクドーム110は、アルミタンク120に嵌合されるものではない。すなわち本実施の形態におけるタンクドーム110の側部は、アルミタンク120に対して非拘束状態なので、タンクドーム110の側部に直接大きなねじり応力がかかることはない。つまり、本実施の形態におけるタンクドーム110の肉厚は、図6に示したタンクドーム側部211のように厚くしなくても良い。そこで、タンクドーム110の側部の肉厚II−IIは、図6に示したタンクドーム上部212と同じ23mmとすることができる。タンクドーム110全体がこの肉厚を有すれば、アルミタンク120に載せられるタンクドーム110として十分な強度を得ることができる。
このタンクドーム110の側部の肉厚は、図6に示したタンクドーム側部211の肉厚と比較すると約3分の1である。このように、タンクドーム110の肉厚を薄くすることができるので、タンクドーム110を製作する材料のアルミニウム板151を節約することができる。
【0022】
以上のように、本実施の形態におけるLNGタンクは、球形に形成されたアルミタンク120の上端部にタンクドーム110を載置する構造となっている。アルミタンク120に大径の孔を設けることなく、タンクドーム110の径よりも小径の複数の貫通孔121を穿設するようにすれば、アルミタンク120にて大きなねじり応力が発生することがなくなり、アルミタンク120自体の強度が増す。アルミタンク120自体が、その形状を保つのに十分な強度を有していれば、肉厚のタンクドーム110をアルミタンク120に嵌合する必要は無くなる。そこで、タンクドーム110をアルミタンク120に載せるだけの簡単な構造とすることができる。そうすれば、タンクドーム110の肉厚を薄くすることができるので、このタンクドーム110を製作するのに要する材料のアルミニウムを節約することができる。
【0023】
また、タンクドーム110とアルミタンク120との溶接を行う際、アルミタンク120の上端部にタンクドーム110を載せて溶接を行うだけなので、従来の溶接に要していた手間を低減することができる。つまり、LNGタンクの製作工程が簡単になり、タンクドーム110をアルミタンク120に溶接する作業時間を短縮することができる。
【0024】
以上本実施の形態では、タンクドーム110とアルミタンク120とからなるLNGタンクを例に説明したが、このような構造のタンクはLNG運搬用のタンクとしてだけでなく、他の流体を格納して運搬する場合、または他の流体を備蓄する場合においても用いることができる。
【0025】
また、以上の実施の形態では、アルミタンク120とインシュレーションディスク150との間を空間としていたが、この空間に断熱材172を配設することもできる。この例を図4に示す。なお、図4において、図1と同様の部分には図1と同一の符号を付してその説明は省略する。
図4に示すように、アルミタンク120とインシュレーションディスク150との間の空間に断熱材172を配設すると、アルミタンク120からのタンクドーム110内への伝熱を抑制することができる。その結果、インシュレーションディスク150における断熱のための構造を簡略化することも可能となる。なお、アルミタンク120とインシュレーションディスク150との間の空間に断熱材172を配設するにあたって、環状堰173を設けることが望ましい。環状堰173は、図示しないタラップの配設位置を確保すると共に、インシュレーションディスク150を支持する。環状堰173は、インシュレーションディスク150またはアルミタンク120に溶接によって取り付けることができる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、タンクドームに対してねじり応力が直接作用しない構造のタンクを提供することができる。また、このタンクに適応した構造のタンクドームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態におけるLNG運搬船100の全体構成を示す側断面図である。
【図2】本実施の形態におけるタンクドーム110の構造を示す側断面図である。
【図3】本実施の形態におけるタンクドーム110およびインシュレーションディスク150の構成を示す側断面図である。
【図4】本実施の形態におけるLNG運搬船100の変形例を示す図である。
【図5】従来におけるLNG運搬船200におけるLNGタンクの構造を示す側断面図である。
【図6】従来におけるタンクドーム210の構造を示す側断面図である。
【符号の説明】
100…LNG運搬船、110…タンクドーム、110a…内周面、110b…外周面、111…下端部、112…フランジ、113…押さえ金具、120…アルミタンク、120a…内周面、120b…外周面、121…貫通孔、150…インシュレーションディスク、151…アルミニウム板、152…断熱材、153…タラップ用マンホール、154…配管用孔、155…計装装置用孔、160…パイプタワー、161…下端部、162…上端部、170…LNG、171…エキスパンシヨン、172…断熱材、173…環状堰、174…ドームフランジ
Claims (6)
- 内周面および外周面を有し、当該内周面が取り囲むLNG格納空間を備える球形のタンク本体と、
前記タンク本体に載置されると共に所定の空間を有するタンクドームとを備え、
前記所定の空間は、
前記タンクドームと前記タンク本体の前記外周面との間で形成されることを特徴とするタンク。 - 前記タンクドームの肉厚は、前記タンク本体の肉厚よりも薄く形成され、当該タンクドームの側部と上部の肉厚が均一となるように形成されることを特徴とする請求項1に記載のタンク。
- 前記タンク本体の前記LNG格納空間と前記タンクドームの前記所定の空間とを連通する複数の配管用貫通孔および交通路用マンホール孔が、当該タンク本体に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のタンク。
- 前記タンクドーム内部の所定の位置に固定される防熱板をさらに備え、
前記防熱板は、
前記タンク本体を貫通する複数の配管に対応する位置に、それぞれの当該配管へ流体を供給および/または排出する流路を有することを特徴とする請求項3に記載のタンク。 - 前記タンク本体と前記防熱板との間に断熱材が配設されていることを特徴とする請求項4に記載のタンク。
- 内周面および外周面を有し、当該内周面が取り囲むLNG格納空間を備える球形のタンク本体と、
側部および上部を有し、当該側部の下端部に開口縁が形成されたタンクドームとを備え、
前記タンクドームは前記タンク本体に載置され、かつ前記開口縁にて当該タンク本体の前記外周面に接合され、
前記タンクドームの前記側部は前記タンク本体に対して非拘束状態として構成されることを特徴とするタンク。
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