JP2004027951A - 車両用エンジンの燃料供給装置 - Google Patents

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Shigeo Okuma
大隈 重男
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Abstract

【課題】燃料ポンプの吐出量をフィードバック制御することで燃圧を目標燃圧に調整する構成の燃料供給装置において、燃圧センサが故障しても排気性状・運転性が大きく悪化することがないようにする。
【解決手段】燃圧センサが正常であるときには、燃圧センサで検出される実際の燃圧が目標燃圧に一致するように、燃料ポンプの印加電圧(吐出量)をフィードバック制御する。一方、燃圧センサが故障したときには、吸入空気量に比例する印加電圧を設定して、該印加電圧に基づいて燃料ポンプをフィードフォワード制御する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料ポンプの吐出量を制御することで、エンジンに供給される燃料の圧力を調整する構成の車両用エンジンの燃料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンに供給される燃料の圧力を燃圧センサで検出し、該検出結果が目標圧力になるように、燃料ポンプの吐出量をフィードバック制御する構成の車両用エンジンの燃料供給装置が知られている(特開平7−293397号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記フィードバック制御を行う燃料供給装置においては、燃圧センサが故障すると、実際の燃圧を目標に一致させることができなくなり、例えば吐出量を固定すると、目標燃圧と大幅に異なる燃圧に制御されることで、燃料噴射弁の開弁時間で制御される燃料噴射量が要求値とは大きく異なるようになって、排気性状や運転性を悪化させることになってしまう。
【0004】
一方、燃圧センサが故障しても、自走可能な状態を保持したいという要求があった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、燃圧センサが故障しても自走可能で、然も、排気性状や運転性を大きく悪化させることがない、車両用エンジンの燃料供給装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1記載の発明では、燃圧センサの故障時に、エンジン運転条件に応じて燃料ポンプの吐出量をフィードフォワード制御する構成とした。
上記構成によると、燃圧センサが故障し、燃圧フィードバック制御が不能になると、エンジン運転条件に応じたフィードフォワード制御に移行させる。
【0006】
従って、燃圧センサが故障しても、燃料ポンプによる燃料供給を継続して自走を可能にしつつ、エンジン運転条件に応じたフィードフォワード制御によって噴射量を要求量付近に制御することが可能になり、排気性状や運転性が大きく悪化することを防止できる。
請求項2記載の発明では、前記エンジン運転条件としてのエンジン負荷に応じて燃料ポンプの吐出量をフィードフォワード制御する構成とした。
【0007】
上記構成によると、燃圧センサが故障すると、そのときのエンジン負荷に応じて燃料ポンプの吐出量をフィードフォワード制御する。
従って、エンジンに対する要求噴射量に相関するエンジン負荷に応じて吐出量が制御され、燃圧センサの故障時であっても、噴射量を要求量付近に制御することができる。
【0008】
請求項3記載の発明では、エンジン運転条件としてのエンジンの吸入空気量に応じて燃料ポンプの吐出量をフィードフォワード制御する構成とした。
上記構成によると、エンジン吸入空気量に対する噴射量の制御によって空燃比が調整されるから、吸入空気量は要求噴射量に相関し、吸入空気量に応じて吐出量をフィードフォワード制御することで、要求噴射量に応じて吐出量がフィードフォワード制御されることになる。
【0009】
従って、燃圧センサの故障時であっても、噴射量を要求量付近に精度良く制御することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態における車両用エンジンの燃料供給装置のシステム概略図である。
この図1において、燃料タンク1には、電動式の燃料ポンプ2が内設され、該燃料ポンプ2の吐出口に一端が接続される燃料供給管3の他端は、エンジン4のシリンダヘッド付近にシリンダ列方向に沿って固定される燃料ギャラリーパイプ5に接続され、前記燃料ポンプ2により燃料タンク1から吸い込まれた燃料が、前記燃料ギャラリーパイプ5に圧送される。
【0011】
前記燃料ギャラリーパイプ5には、エンジン4の気筒毎(本実施形態では4気筒)に設けられる燃料噴射弁6a〜6dが接続され、該燃料噴射弁6a〜6dによって各気筒に対して個別に燃料が供給される。
前記燃料ポンプ2の印加電圧(吐出量)、前記燃料噴射弁6a〜6dの噴射時期・噴射量は、マイクロコンピュータを内蔵するエンジンコントロールユニット(以下、ECUと略す)7によって制御される。
【0012】
前記ECU7には、各種センサからの検出信号が入力され、これらの検出信号に基づく演算処理によって、前記燃料ポンプ2の印加電圧(吐出量)を制御する電圧制御信号、及び、各燃料噴射弁6a〜6dの噴射時期・噴射量を制御する噴射パルス信号を出力する。
前記各種センサとしては、前記燃料ギャラリーパイプ5において燃料噴射弁6a〜6dに供給される燃料の圧力Pを検出する燃圧センサ11、エンジン4の冷却水温度Twを検出する水温センサ12、エンジン4の吸入空気流量Qを検出するエアフローメータ13、エンジン4の回転速度Neを検出する回転センサ14などが設けられる。
【0013】
更に、前記ECU7には、スタートスイッチ15のON・OFF信号が入力される。
ここで、前記ECU7による燃料ポンプ2の制御を、図2のフローチャートに従って説明する。
図2のフローチャートにおいて、ステップS1では、上記各種センサ及びスイッチで検出される運転条件の読み込みを行う。
【0014】
ステップS2では、前記燃圧センサ11の故障診断を行う。
前記故障診断は、燃料ポンプ2の駆動電圧が所定範囲内であるときに、燃圧センサ11の出力(電圧)が、下限値を下回るとき、又は、上限値を上回る場合に、燃圧センサ11の故障を判定する。
但し、燃圧センサ11の故障診断を上記構成のものに限定するものではなく、公知の全ての故障診断を適用できる。
【0015】
ステップS3では、燃圧センサ11の故障が判定されているか否かを判別する。
そして、燃圧センサ11が正常であれば、ステップS4へ進み、燃圧センサ11を用いた通常の燃圧フィードバック制御を行う。
前記フィードバック制御においては、例えば始動直後の所定時間内と、該所定時間経過後とに判別し、始動直後においては温度条件に応じて目標燃圧を設定する一方、前記所定時間経過後は、エンジン負荷及びエンジン回転速度に基づいて目標燃圧を設定する。
【0016】
そして、前記燃圧センサ11で検出される実際の燃圧が、前記目標燃圧に一致するように、燃料ポンプ2の印加電圧をフィードバック制御する。
尚、燃料ポンプ2は印加電圧に比例して吐出量が変化するポンプであり、前記フィードバック制御によって、目標燃圧が得られる吐出量にフィードバック制御されることになる。
【0017】
一方、ステップS3で、燃圧センサ11の故障が判定されていると判断されたときには、ステップS5へ進む。
ステップS5では、燃圧センサ11の信号を用いないで、燃料ポンプ2の吐出量をフィードフォワード制御する。
具体的には、図3に示すように、エアフローメータ13で検出される吸入空気量と予め記憶された係数K1とから、ポンプ印加電圧を算出する。
【0018】
ポンプ印加電圧=吸入空気量×K1
前記係数K1は、目標空燃比,配管圧損,燃料噴射弁6a〜6dの噴射量ばらつきを考慮して設定される。また、吸入空気量は、エアフローメータ13の検出結果を平滑化処理した値を用いると良い。
目標空燃比が一定の場合には、吸入空気量が要求燃料量に比例するから、上式で算出されるポンプ印加電圧は、要求噴射量に相関して算出されることになり、エンジンに供給される燃料分を補給するように燃料ポンプ2の吐出量が制御される。
【0019】
従って、燃圧センサ11の故障後も目標燃圧付近に保持させることができ、燃料噴射弁6a〜6dの開弁時間を制御することによって所望の燃料を噴射させることができ、排気性状・運転性の悪化を抑制できる。
前記吸入空気量に基づくポンプ印加電圧は、通常よりも吐出量が多め(例えば1.2倍程度)なるように設定すると良い。
【0020】
また、目標空燃比が変化する場合には、係数K2を用いて、
ポンプ印加電圧=目標燃空比×吸入空気量×K2
とすることで、空燃比の変化による要求燃料量の変化に対応することができる。
尚、図3に示す例では、演算によってポンプ印加電圧を求めるようにしたが、図4に示すように、予め吸入空気量毎に適正なポンプ印加電圧を記憶したテーブルを設定しておき、該テーブルからそのときの吸入空気量に対応するポンプ印加電圧を検索する構成としても良い。
【0021】
更に、上記実施形態では、吸入空気量に基づいてポンプ印加電圧を設定する構成としたが、エンジン負荷を代表するパラメータであれば良く、例えば吸気負圧やスロットル開度、更には、燃料噴射弁6a〜6dの噴射パルス幅などに基づいてポンプ印加電圧を設定する構成とすることができる。
また、エンジン負荷及びエンジン回転速度から、ポンプ印加電圧を設定する構成とすることができる。
【0022】
また、吸入空気量等のエンジン負荷に応じて設定される印加電圧での燃料ポンプ2の吐出量が過大(過小)であると、噴射量が過大(過小)になって空燃比がリッチ化(リーン化)するので、空燃比フィードバック制御の結果から、印加電圧の過不足を判断して、印加電圧を修正させることができる。
更に、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両用エンジンの燃料供給装置において、
前記燃料ポンプが印加電圧に比例して吐出量が変化する電動式ポンプであり、エンジン運転条件に応じて、前記燃料ポンプの印加電圧を設定することを特徴とする車両用エンジンの燃料供給装置。
【0023】
上記構成によると、燃圧センサの故障時に、電動式燃料ポンプの印加電圧をエンジン運転条件に応じて設定し、該印加電圧でポンプを駆動させる。
従って、燃圧センサの故障時に、適正な印加電圧によって適正な吐出量に保持でき、排気性状や運転性が大きく悪化することを防止できる。
(ロ)請求項3記載の車両用エンジンの燃料供給装置において、
前記燃料ポンプの吐出量を、吸入空気量と目標空燃比とに基づいて設定することを特徴とする車両用エンジンの燃料供給装置。
【0024】
上記構成によると、目標空燃比の変化による要求噴射量の変化に応じて、燃料ポンプの吐出量が変更されることになる。
従って、燃料ポンプの吐出量を、目標空燃比の変化に対応して適正に変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態における車両用エンジンの燃料供給装置のシステム構成図。
【図2】実施の形態における燃料ポンプ制御を示すフローチャート。
【図3】実施の形態における燃圧センサ故障時の燃料ポンプ制御を示すフローチャート。
【図4】実施の形態における燃圧センサ故障時の燃料ポンプ制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…燃料タンク、2…燃料ポンプ、3…燃料供給管、4…エンジン、5…燃料ギャラリーパイプ、6a〜6d…燃料噴射弁、7…エンジンコントロールユニット(ECU)、11…燃圧センサ、12…水温センサ、13…エアフローメータ、14…回転センサ

Claims (3)

  1. エンジンに供給される燃料の圧力を燃圧センサで検出し、該燃圧センサで検出される燃料圧力が目標圧力になるように、燃料ポンプの吐出量を制御する構成の車両用エンジンの燃料供給装置であって、
    前記燃圧センサの故障時に、エンジン運転条件に応じて前記燃料ポンプの吐出量をフィードフォワード制御することを特徴とする車両用エンジンの燃料供給装置。
  2. 前記エンジン運転条件としてのエンジン負荷に応じて前記燃料ポンプの吐出量をフィードフォワード制御することを特徴とする請求項1記載の車両用エンジンの燃料供給装置。
  3. 前記エンジン運転条件としてのエンジンの吸入空気量に応じて前記燃料ポンプの吐出量をフィードフォワード制御することを特徴とする請求項1記載の車両用エンジンの燃料供給装置。
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JP2021080864A (ja) * 2019-11-18 2021-05-27 マーレエレクトリックドライブズジャパン株式会社 燃料ポンプの駆動制御装置および燃料供給装置

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