JP2004027019A - 電気・電子部品成形用不飽和ポリエステル樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
電気・電子部品成形用不飽和ポリエステル樹脂組成物及びその成形品 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】熱放散性に優れて高熱伝導性を有し、また成形性に優れると共に耐熱性にも優れ、モータやコイル等の電気・電子部品の封入用途に好適に用いることができる電気・電子部品成形用の不飽和ポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ノボラック型ビニルエステル樹脂を7〜15重量%、ビス系不飽和ポリエステル樹脂を2〜5重量%、酸化マグネシウムを65〜80重量%含有する。これにより電気・電子部品成形用不飽和ポリエステル樹脂組成物は成形時には良好な成形性を有し、得られる成形品は優れた熱伝導性と耐熱性を有して、モータやコイル等の電気・電子部品の封止用途に好適に用いることができる。
【選択図】 なし
【解決手段】ノボラック型ビニルエステル樹脂を7〜15重量%、ビス系不飽和ポリエステル樹脂を2〜5重量%、酸化マグネシウムを65〜80重量%含有する。これにより電気・電子部品成形用不飽和ポリエステル樹脂組成物は成形時には良好な成形性を有し、得られる成形品は優れた熱伝導性と耐熱性を有して、モータやコイル等の電気・電子部品の封止用途に好適に用いることができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気部品であるモータの封入、電気・電子部品としてのコイルの封入等に用いられる電気・電子部品封入用不飽和ポリエステル樹脂組成物及びその成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータやコイル等の電気・電子部品を封止用の樹脂にて封止することが行われており、このようにして得られる封入モータ等は種々の用途に使用されている。
【0003】
これらのモータ等の電気・電子部品は近年のエネルギー利用の更なる効率化のために高出力、小型化が求められており、種々の改良が検討されている。こうした改良を進めるなかで、電気・電子部品より発せられる熱に対する対策が重要となってきている。すなわち、電気・電子部品は作動中に熱を持ち、次第に高温になっていくものであり、温度が上昇すると出力が低下し、本来の電気・電子部品の性能が得られなくなり、機器の性能が次第に低下していくのである。
【0004】
このように熱に対する対策を施さないと、電気・電子部品の高出力化、小型化は難しく、これに対する対策が要望されている。このような対策として、モータ等の電気・電子部品の構造や形状等の検討が為されているが、封入モータの場合には封入材の熱放散性を向上させることが要望されている。また異常時を考慮して封入材には耐熱性が求められている。
【0005】
このようなモータ等の封入材としては、従来は成形性安定のためにビニルエステル樹脂を含有させると共に熱伝導性を付与するために無機充填材を含有させたものが用いられていた。このビニルエステル樹脂としては、基本骨格にビスフェノールA型エポキシ樹脂を含むものが用いられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなビス型のビニルエステル樹脂を含む封入材では、未だ十分な熱伝導性と耐熱性とを達成することができなかった。またこのような封入材には、成形時の流動性が十分に確保されて成形性が良好であることも求められる。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、熱放散性に優れて高熱伝導性を有し、また成形性に優れると共に耐熱性にも優れ、モータやコイル等の電気・電子部品の封入用途に好適に用いることができる電気・電子部品成形用の不飽和ポリエステル樹脂組成物及びその成形品を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電気・電子部品成形用不飽和ポリエステル樹脂は、ノボラック型ビニルエステル樹脂を7〜15重量%、ビス系不飽和ポリエステル樹脂を2〜5重量%、酸化マグネシウムを65〜80重量%含有して成ることを特徴とするものである。
【0009】
上記のノボラック型ビニルエステル樹脂としては、25℃における粘度が40〜100dPa・sであるものを用いることが好ましい。
【0010】
また酸化マグネシウムは、1600℃以上の温度にて焼結された硬焼マグネシアを用いることが好ましい。
【0011】
また本発明に係る電気・電子成形品は、上記のような電気・電子部品成形用不飽和ポリエステル樹脂組成物を成形硬化して得られるものであることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
本発明に係る不飽和ポリエステル樹脂組成物は、ノボラック型ビニルエステル樹脂、ビス系不飽和ポリエステル樹脂及び酸化マグネシウムを必須成分として含有するものであり、これにより組成物の成形品に優れた熱伝導性、耐熱性を付与することができ、また成形時における良好な成形性を確保することができるものである。
【0014】
ノボラック型ビニルエステル樹脂は、その基本骨格中にノボラック骨格を1つ以上有するものであり、このようなノボラック型ビニルエステル樹脂としては、例えば日本ユピカ株式会社製の商品名「ネオポール8400」等を挙げることができる。
【0015】
またビス系不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば日本ユピカ株式会社製の商品名「ユピカ7123」等を挙げることができる。
【0016】
樹脂成分である不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の配合量は成形材料の性能を左右する重要な要素であり、不飽和ポリエステル樹脂の配合量を2〜5重量%の範囲とすると共にビニルエステル樹脂の配合量を7〜15重量%の範囲とすることで、成形時に十分な流動性を示して、良好な成形性を確保することができる。これらの配合量が上記範囲を逸脱すると、良好な成形性が、得られなくなり、また曲げ強度や引っ張り強度が著しく低下するなどして良好な成形品特性が得られなくなくなる。
【0017】
またノボラック型ビニルエステル樹脂は、その25℃における樹脂粘度が40〜100dPa・sの範囲であるものを使用することが好ましく、この場合、調製される組成物が特に優れた成形性を有することとなる。
【0018】
このノボラック型ビニルエステル樹脂の粘度の調製は、例えばこのノボラック型ビニルエステル樹脂中にスチレンモノマーを含有させると共にこのスチレンモノマー含有量を調整することにより行うことができる。
【0019】
無機充填材である酸化マグネシウムは、その配合量を65〜80重量%となるようにするものであり、これにより成形品に高い熱伝導性を付与すると共に良好な成形性が維持される。この配合量が65重量%に満たないと成形品に充分な熱伝導性が付与されなくなり、80重量%を超えると組成物中の樹脂量が低下して粘性が不足し、成形性が悪化する。
【0020】
この酸化マグネシウムとしては、1600℃以上の温度にて焼成された硬焼マグネシアを粉砕・整粒したものを用いることが好ましい。硬焼マグネシアは高い熱伝導性を有するために、成形品に優れた熱伝導性を付与するために好適に用いることができ、且つ不活性であるために、組成物の経時変化を促進することがなく、組成物の成形性や保存安定性が向上するものである。これに対して軟焼マグネシアは活性が高く、組成物の経時変化を促進して、成形性や保存安定性を充分に維持することが困難となる。
【0021】
また酸化マグネシウムは、純度が95重量%以上のものを用いることが好ましい。酸化マグネシウムはカルシウム、ケイ素、アルミニウム、鉄等の酸化物を不純物として含有している場合が多く、これらの不純物を完全に除去することは困難であるが、純度が95重量%以上のものを用いると酸化マグネシウムの熱伝導性が特に向上し、成形品の熱伝導性を更に向上することができる。
【0022】
またこの酸化マグネシウムは平均粒径が5〜40μmの範囲のものを用いることが好ましく、平均粒径がこの範囲を逸脱すると、良好な成形性を得ることが困難な場合がある。このとき異なる平均粒径を有する酸化マグネシウムを併用することも可能であるが、この場合も酸化マグネシウムの全体の平均粒径は5〜40μmの範囲となっていることが好ましい。
【0023】
このような酸化マグネシウムとしては、市販品では例えばタテホ化学工業株式会社製の電熱用電融マグネシア・KMAOHシリーズ,KMBOシリーズ、高純度電融マグネシア・SSPシリーズ等や、神野島化学工業株式会社製の中国電融マグネシアMgo99等が挙げられる。
【0024】
また本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物中には、更に低収縮剤、補強材等を配合し、更には必要に応じて離型剤、顔料、硬化触媒、架橋剤等のような他の添加剤を配合することができる。
【0025】
低収縮剤としてはポリスチレン樹脂を用いることが好ましく、その配合量は5〜9重量%とすることが好ましい。ポリスチレン樹脂を5重量%以上配合することで充分な低収縮効果が付与されるものであり、またこの配合量が9重量%を超えてもそれ以上の低収縮率効果の向上は期待できない。
【0026】
補強材としてはガラス繊維を用いることが好ましく、その配合量は3〜10重量%の範囲とすることが好ましい。ガラス繊維を3重量%配合することで成形品強度を向上することができ、この配合量を10重量%以下とすることで成形品の十分な熱伝導性を維持することができて、成形品の熱伝導性と強度のバランスをとることができる。
【0027】
またこのガラス繊維としては、繊維長が1.5〜5mmの範囲の短繊維のものを用いることが好ましく、1.5mm以下では充分な補強効果が得らなくなるおそれがあり、5mmを超えると、材料の流動性が低下し成形時の細部への充填性が低下するおそれがある。
【0028】
また、上記の成分の他に、離型剤、顔料、硬化触媒、架橋剤等のような他の添加剤を配合する場合は、これらの他の添加剤の配合量の総量を1〜4重量%の範囲とすることが好ましいものである。この総量が1重量%未満では離型性が著しく低下したり、また硬化触媒不足で硬化反応性が低下し成形サイクルが長くなって成形加工性に支障をきたす場合がある。一方この総量が4重量%を超えると過剰な離型剤が成形品外観に悪影響を及ぼしたり、硬化触媒が過剰になり成形条件幅に制約が生じたりして、安定した成形品が得られない場合がある。
【0029】
このような他の添加剤のうち、離型剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、カルナバワックス等のような一般的に市販されているワックス類を用いることができる。顔料としては、カーボンブラック等を使用することができる。硬化触媒としては、各種有機過酸化物を用いることができる。また架橋剤としてはスチレンモノマー等を用いることができる。
【0030】
これらのような各成分を用いて不飽和ポリエステル樹脂組成物を調製するにあたっては、上記の各成分を必要量配合し、例えばニーダ等にて25〜30℃で20〜40分間混合することができる。
【0031】
このように調製される不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いてモータ、コイル等の電気・電子部品を封入するにあたっては、例えば金型温度150〜160℃、成形圧力9.8〜14.7MPa、硬化時間を成形品の最大肉厚(mm)×20〜30(秒/mm)とする条件で、直圧成形を行うことができる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。
【0033】
各実施例及び比較例につき、表1中に示される配合組成にて各成分を配合し、ニーダ中に投入して、30℃で30分間混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物を調製した。
【0034】
表中の各成分の詳細は次の通りである。
・硬焼マグネシア;タテホ化学工業株式会社製、「SSPシリーズ」、平均粒径30μm
・ビニルエステル樹脂;日本ユピカ株式会社製、ノボラック型ビニルエステル樹脂、「ネオポール8400」
・不飽和ポリエステル樹脂;武田薬品工業株式会社製、ビス系不飽和ポリエステル樹脂、「ポリマール9516」
・低収縮剤;東洋スチレン株式会社製、ポリスチレン樹脂、「HRM−5B」
・ガラス繊維;日本硝子繊維株式会社製、「RESO3」、繊維長3mm
・架橋剤;スチレンモノマー
・離型剤;ステアリン酸亜鉛
・顔料;カーボンブラック
・硬化触媒;日本化薬株式会社製、アルキルパーエステル、「パーブチルZ」
また、ビニルエステル樹脂の樹脂粘度は、樹脂中のスチレン含有量を調整することにより調整し、その粘度をB型回転粘度計法にて測定した。
【0035】
(評価試験)
a.熱伝導率
各実施例及び比較例について、金型温度155℃、成形圧力10MPa、硬化時間9分間の成形条件にて直圧成形を行い、直径φ100mm、厚み25mmの円盤状の試験片を形成した。この試験片を用いて、JIS K6911に準拠した熱伝導率測定を行った。
【0036】
b.成形性(スパイラルフロー試験)
ASTM法に準拠した金型を用い、金型温度150℃、注入圧力4.9MPa、注入時間30秒、硬化時間90秒の条件で、スパイラルフロー試験を実施した。
【0037】
c.耐熱性
各実施例及び比較例について、金型温度155℃、成形圧力10MPa、硬化時間90秒間の成形条件にて直圧成形を行い、30mm×40mm×3mmの矩形平板状の試験片を形成した。この試験片を250℃で48時間処理した場合の加熱減量を測定した。
【0038】
以上の結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】
上記のように本発明に係る電気・電子部品成形用不飽和ポリエステル樹脂組成物は、ノボラック型ビニルエステル樹脂を7〜15重量%、ビス系不飽和ポリエステル樹脂を2〜5重量%、酸化マグネシウムを65〜80重量%含有するため、成形時には良好な成形性を有し、得られる成形品は優れた熱伝導性と耐熱性を有して、モータやコイル等の電気・電子部品の封止用途に好適に用いることができるものである。
【0041】
また上記のノボラック型ビニルエステル樹脂として25℃における粘度が40〜100dPa・sであるものを用いることにより、不飽和ポリエステル樹脂組成物に特に優れた成形性を付与することができる。
【0042】
また酸化マグネシウムとして1600℃以上の温度にて焼結された硬焼マグネシアを用いることにより、成形品に特に優れた熱伝導性を付与することができ、また硬焼マグネシアは不活性であるために、組成物の経時変化を促進することがなく、組成物の成形性や保存安定性を向上することができるものである。
【0043】
また本発明に係る電気・電子成形品は、上記のような電気・電子部品成形用不飽和ポリエステル樹脂組成物を成形硬化して得られるため、優れた熱伝導性と耐熱性を有し、且つ成形時には良好な成形性を有するものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気部品であるモータの封入、電気・電子部品としてのコイルの封入等に用いられる電気・電子部品封入用不飽和ポリエステル樹脂組成物及びその成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータやコイル等の電気・電子部品を封止用の樹脂にて封止することが行われており、このようにして得られる封入モータ等は種々の用途に使用されている。
【0003】
これらのモータ等の電気・電子部品は近年のエネルギー利用の更なる効率化のために高出力、小型化が求められており、種々の改良が検討されている。こうした改良を進めるなかで、電気・電子部品より発せられる熱に対する対策が重要となってきている。すなわち、電気・電子部品は作動中に熱を持ち、次第に高温になっていくものであり、温度が上昇すると出力が低下し、本来の電気・電子部品の性能が得られなくなり、機器の性能が次第に低下していくのである。
【0004】
このように熱に対する対策を施さないと、電気・電子部品の高出力化、小型化は難しく、これに対する対策が要望されている。このような対策として、モータ等の電気・電子部品の構造や形状等の検討が為されているが、封入モータの場合には封入材の熱放散性を向上させることが要望されている。また異常時を考慮して封入材には耐熱性が求められている。
【0005】
このようなモータ等の封入材としては、従来は成形性安定のためにビニルエステル樹脂を含有させると共に熱伝導性を付与するために無機充填材を含有させたものが用いられていた。このビニルエステル樹脂としては、基本骨格にビスフェノールA型エポキシ樹脂を含むものが用いられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなビス型のビニルエステル樹脂を含む封入材では、未だ十分な熱伝導性と耐熱性とを達成することができなかった。またこのような封入材には、成形時の流動性が十分に確保されて成形性が良好であることも求められる。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、熱放散性に優れて高熱伝導性を有し、また成形性に優れると共に耐熱性にも優れ、モータやコイル等の電気・電子部品の封入用途に好適に用いることができる電気・電子部品成形用の不飽和ポリエステル樹脂組成物及びその成形品を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電気・電子部品成形用不飽和ポリエステル樹脂は、ノボラック型ビニルエステル樹脂を7〜15重量%、ビス系不飽和ポリエステル樹脂を2〜5重量%、酸化マグネシウムを65〜80重量%含有して成ることを特徴とするものである。
【0009】
上記のノボラック型ビニルエステル樹脂としては、25℃における粘度が40〜100dPa・sであるものを用いることが好ましい。
【0010】
また酸化マグネシウムは、1600℃以上の温度にて焼結された硬焼マグネシアを用いることが好ましい。
【0011】
また本発明に係る電気・電子成形品は、上記のような電気・電子部品成形用不飽和ポリエステル樹脂組成物を成形硬化して得られるものであることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
本発明に係る不飽和ポリエステル樹脂組成物は、ノボラック型ビニルエステル樹脂、ビス系不飽和ポリエステル樹脂及び酸化マグネシウムを必須成分として含有するものであり、これにより組成物の成形品に優れた熱伝導性、耐熱性を付与することができ、また成形時における良好な成形性を確保することができるものである。
【0014】
ノボラック型ビニルエステル樹脂は、その基本骨格中にノボラック骨格を1つ以上有するものであり、このようなノボラック型ビニルエステル樹脂としては、例えば日本ユピカ株式会社製の商品名「ネオポール8400」等を挙げることができる。
【0015】
またビス系不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば日本ユピカ株式会社製の商品名「ユピカ7123」等を挙げることができる。
【0016】
樹脂成分である不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の配合量は成形材料の性能を左右する重要な要素であり、不飽和ポリエステル樹脂の配合量を2〜5重量%の範囲とすると共にビニルエステル樹脂の配合量を7〜15重量%の範囲とすることで、成形時に十分な流動性を示して、良好な成形性を確保することができる。これらの配合量が上記範囲を逸脱すると、良好な成形性が、得られなくなり、また曲げ強度や引っ張り強度が著しく低下するなどして良好な成形品特性が得られなくなくなる。
【0017】
またノボラック型ビニルエステル樹脂は、その25℃における樹脂粘度が40〜100dPa・sの範囲であるものを使用することが好ましく、この場合、調製される組成物が特に優れた成形性を有することとなる。
【0018】
このノボラック型ビニルエステル樹脂の粘度の調製は、例えばこのノボラック型ビニルエステル樹脂中にスチレンモノマーを含有させると共にこのスチレンモノマー含有量を調整することにより行うことができる。
【0019】
無機充填材である酸化マグネシウムは、その配合量を65〜80重量%となるようにするものであり、これにより成形品に高い熱伝導性を付与すると共に良好な成形性が維持される。この配合量が65重量%に満たないと成形品に充分な熱伝導性が付与されなくなり、80重量%を超えると組成物中の樹脂量が低下して粘性が不足し、成形性が悪化する。
【0020】
この酸化マグネシウムとしては、1600℃以上の温度にて焼成された硬焼マグネシアを粉砕・整粒したものを用いることが好ましい。硬焼マグネシアは高い熱伝導性を有するために、成形品に優れた熱伝導性を付与するために好適に用いることができ、且つ不活性であるために、組成物の経時変化を促進することがなく、組成物の成形性や保存安定性が向上するものである。これに対して軟焼マグネシアは活性が高く、組成物の経時変化を促進して、成形性や保存安定性を充分に維持することが困難となる。
【0021】
また酸化マグネシウムは、純度が95重量%以上のものを用いることが好ましい。酸化マグネシウムはカルシウム、ケイ素、アルミニウム、鉄等の酸化物を不純物として含有している場合が多く、これらの不純物を完全に除去することは困難であるが、純度が95重量%以上のものを用いると酸化マグネシウムの熱伝導性が特に向上し、成形品の熱伝導性を更に向上することができる。
【0022】
またこの酸化マグネシウムは平均粒径が5〜40μmの範囲のものを用いることが好ましく、平均粒径がこの範囲を逸脱すると、良好な成形性を得ることが困難な場合がある。このとき異なる平均粒径を有する酸化マグネシウムを併用することも可能であるが、この場合も酸化マグネシウムの全体の平均粒径は5〜40μmの範囲となっていることが好ましい。
【0023】
このような酸化マグネシウムとしては、市販品では例えばタテホ化学工業株式会社製の電熱用電融マグネシア・KMAOHシリーズ,KMBOシリーズ、高純度電融マグネシア・SSPシリーズ等や、神野島化学工業株式会社製の中国電融マグネシアMgo99等が挙げられる。
【0024】
また本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物中には、更に低収縮剤、補強材等を配合し、更には必要に応じて離型剤、顔料、硬化触媒、架橋剤等のような他の添加剤を配合することができる。
【0025】
低収縮剤としてはポリスチレン樹脂を用いることが好ましく、その配合量は5〜9重量%とすることが好ましい。ポリスチレン樹脂を5重量%以上配合することで充分な低収縮効果が付与されるものであり、またこの配合量が9重量%を超えてもそれ以上の低収縮率効果の向上は期待できない。
【0026】
補強材としてはガラス繊維を用いることが好ましく、その配合量は3〜10重量%の範囲とすることが好ましい。ガラス繊維を3重量%配合することで成形品強度を向上することができ、この配合量を10重量%以下とすることで成形品の十分な熱伝導性を維持することができて、成形品の熱伝導性と強度のバランスをとることができる。
【0027】
またこのガラス繊維としては、繊維長が1.5〜5mmの範囲の短繊維のものを用いることが好ましく、1.5mm以下では充分な補強効果が得らなくなるおそれがあり、5mmを超えると、材料の流動性が低下し成形時の細部への充填性が低下するおそれがある。
【0028】
また、上記の成分の他に、離型剤、顔料、硬化触媒、架橋剤等のような他の添加剤を配合する場合は、これらの他の添加剤の配合量の総量を1〜4重量%の範囲とすることが好ましいものである。この総量が1重量%未満では離型性が著しく低下したり、また硬化触媒不足で硬化反応性が低下し成形サイクルが長くなって成形加工性に支障をきたす場合がある。一方この総量が4重量%を超えると過剰な離型剤が成形品外観に悪影響を及ぼしたり、硬化触媒が過剰になり成形条件幅に制約が生じたりして、安定した成形品が得られない場合がある。
【0029】
このような他の添加剤のうち、離型剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、カルナバワックス等のような一般的に市販されているワックス類を用いることができる。顔料としては、カーボンブラック等を使用することができる。硬化触媒としては、各種有機過酸化物を用いることができる。また架橋剤としてはスチレンモノマー等を用いることができる。
【0030】
これらのような各成分を用いて不飽和ポリエステル樹脂組成物を調製するにあたっては、上記の各成分を必要量配合し、例えばニーダ等にて25〜30℃で20〜40分間混合することができる。
【0031】
このように調製される不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いてモータ、コイル等の電気・電子部品を封入するにあたっては、例えば金型温度150〜160℃、成形圧力9.8〜14.7MPa、硬化時間を成形品の最大肉厚(mm)×20〜30(秒/mm)とする条件で、直圧成形を行うことができる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。
【0033】
各実施例及び比較例につき、表1中に示される配合組成にて各成分を配合し、ニーダ中に投入して、30℃で30分間混合し、不飽和ポリエステル樹脂組成物を調製した。
【0034】
表中の各成分の詳細は次の通りである。
・硬焼マグネシア;タテホ化学工業株式会社製、「SSPシリーズ」、平均粒径30μm
・ビニルエステル樹脂;日本ユピカ株式会社製、ノボラック型ビニルエステル樹脂、「ネオポール8400」
・不飽和ポリエステル樹脂;武田薬品工業株式会社製、ビス系不飽和ポリエステル樹脂、「ポリマール9516」
・低収縮剤;東洋スチレン株式会社製、ポリスチレン樹脂、「HRM−5B」
・ガラス繊維;日本硝子繊維株式会社製、「RESO3」、繊維長3mm
・架橋剤;スチレンモノマー
・離型剤;ステアリン酸亜鉛
・顔料;カーボンブラック
・硬化触媒;日本化薬株式会社製、アルキルパーエステル、「パーブチルZ」
また、ビニルエステル樹脂の樹脂粘度は、樹脂中のスチレン含有量を調整することにより調整し、その粘度をB型回転粘度計法にて測定した。
【0035】
(評価試験)
a.熱伝導率
各実施例及び比較例について、金型温度155℃、成形圧力10MPa、硬化時間9分間の成形条件にて直圧成形を行い、直径φ100mm、厚み25mmの円盤状の試験片を形成した。この試験片を用いて、JIS K6911に準拠した熱伝導率測定を行った。
【0036】
b.成形性(スパイラルフロー試験)
ASTM法に準拠した金型を用い、金型温度150℃、注入圧力4.9MPa、注入時間30秒、硬化時間90秒の条件で、スパイラルフロー試験を実施した。
【0037】
c.耐熱性
各実施例及び比較例について、金型温度155℃、成形圧力10MPa、硬化時間90秒間の成形条件にて直圧成形を行い、30mm×40mm×3mmの矩形平板状の試験片を形成した。この試験片を250℃で48時間処理した場合の加熱減量を測定した。
【0038】
以上の結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】
上記のように本発明に係る電気・電子部品成形用不飽和ポリエステル樹脂組成物は、ノボラック型ビニルエステル樹脂を7〜15重量%、ビス系不飽和ポリエステル樹脂を2〜5重量%、酸化マグネシウムを65〜80重量%含有するため、成形時には良好な成形性を有し、得られる成形品は優れた熱伝導性と耐熱性を有して、モータやコイル等の電気・電子部品の封止用途に好適に用いることができるものである。
【0041】
また上記のノボラック型ビニルエステル樹脂として25℃における粘度が40〜100dPa・sであるものを用いることにより、不飽和ポリエステル樹脂組成物に特に優れた成形性を付与することができる。
【0042】
また酸化マグネシウムとして1600℃以上の温度にて焼結された硬焼マグネシアを用いることにより、成形品に特に優れた熱伝導性を付与することができ、また硬焼マグネシアは不活性であるために、組成物の経時変化を促進することがなく、組成物の成形性や保存安定性を向上することができるものである。
【0043】
また本発明に係る電気・電子成形品は、上記のような電気・電子部品成形用不飽和ポリエステル樹脂組成物を成形硬化して得られるため、優れた熱伝導性と耐熱性を有し、且つ成形時には良好な成形性を有するものである。
Claims (4)
- ノボラック型ビニルエステル樹脂を7〜15重量%、ビス系不飽和ポリエステル樹脂を2〜5重量%、酸化マグネシウムを65〜80重量%含有して成ることを特徴とする電気・電子部品成形用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
- ノボラック型ビニルエステル樹脂は、25℃における粘度が40〜100dPa・sであることを特徴とする請求項1に記載の電気・電子部品成形用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
- 酸化マグネシウムは、1600℃以上の温度にて焼結された硬焼マグネシアであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気・電子部品成形用不飽和ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の電気・電子部品成形用不飽和ポリエステル樹脂組成物を成形硬化して成ることを特徴とする電気・電子部品成形品。
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