JP2004026819A - 医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】医薬、殊にヘルペスウイルス科のウイルス感染に伴う各種疾患、具体的には、水痘帯状疱疹ウイルス感染に伴う水痘(水疱瘡)、潜伏した水痘帯状疱疹ウイルスの回帰感染に伴う帯状疱疹、HSV−1感染に伴う口唇ヘルペスやヘルペス脳炎、HSV−2感染に伴う性器ヘルペス等の、各種ヘルペスウイルス感染症の予防もしくは治療医薬組成物の提供。
【解決手段】N−({[4−(置換チアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)アミド誘導体において、アミド基のN原子に芳香環基であるアリール又はヘテロアリール基が直接置換している点に特徴を有する化合物又はその塩と製薬学的に許容される担体を含む医薬組成物、殊に外用剤もしくは経口剤によって、上記課題が達成された。
【選択図】 無し
【解決手段】N−({[4−(置換チアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)アミド誘導体において、アミド基のN原子に芳香環基であるアリール又はヘテロアリール基が直接置換している点に特徴を有する化合物又はその塩と製薬学的に許容される担体を含む医薬組成物、殊に外用剤もしくは経口剤によって、上記課題が達成された。
【選択図】 無し
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、殊にヘルペスウイルスが関与する疾患の予防並びに治療に有用な新規アミド誘導体又はその塩を含有する医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘルペスウイルス科のウイルスはヒト及び動物に対し様々な感染症を引き起こす。例えば、水痘帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus;VZV)は、水痘、帯状疱疹を引き起こし、単純ヘルペスウイルス−1型及び−2型(herpes simplexvirus type1及び−2;HSV−1及びHSV−2)はそれぞれ口唇ヘルペス、性器ヘルペス等の感染症を引き起こすことが知られている。また近年、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)、EBウイルス(Epstein−Barr virus; EBV)、ヒトヘルペスウイルス6、7、8(human herpesvirus 6、7、8)などのへルペスウイルスが原因となる感染症も明らかにされてきている。
現在、 VZVやHSVの抗ヘルペスウイルス薬として、アシクロビル(ACV)、そのプロドラッグであるバラシクロビル(VCV)及びファンシクロビル(FCV)などの核酸系の薬剤が使用されている。これら核酸系の薬剤は、VZVやHSVがコードするウイルスチミジンキナーゼによりヌクレオシドモノホスフェートにモノリン酸化された後に、細胞の酵素によりトリホスフェート体に変換される。最終的に、トリリン酸化ヌクレオシド類縁体がヘルペスウイルスDNAポリメラーゼによるウイルスゲノムの複製中に取り込まれ、ウイルスDNA鎖の伸長反応を抑制する。この様に、既存の抗ヘルペスウイルス剤の作用メカニズムは、デオキシヌクレオシドトリホスフェートに対する“競合的阻害”効果に基づいているため、抗ウイルス効果を発揮させるには高濃度の薬剤が必要になる。実際、これらの核酸系抗ヘルペス剤の臨床投与量は1日数百mgから数gもの高用量が投与されているのが現状である。さらに核酸系の薬剤は宿主のDNAポリメラーゼにより、宿主のゲノムDNAに取り込まれ得るため、その変異原性が懸念される。
一方、最近になって、非核酸系の薬剤で抗ヘルペスウイルス活性を示す薬剤がいくつか報告されてきた。例えば、HSVヘリカーゼ−プライマーゼ酵素複合体を抑制することにより抗HSV−1活性及び抗CMV活性を有する、下式(G)で示されるN原子がチアゾリルフェニルカルバモイルメチル基等で置換されたアミド若しくはスルホンアミド誘導体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、これらの化合物の抗VZV活性については具体的に開示がない。
【化3】
(式中、Rは水素、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ等、R2は水素又は低級アルキル、Qは不在又はメチレン、R3は水素、低級アルキル等、R4は未置換若しくは置換フェニル(低級)アルキル、1−インダニル、2−インダニル、(低級シクロアルキル)−(低級アルキル)、(Het)−(低級アルキル)等、R5は、フェニルスルホニル、1−又は2−ナフチルスルホニル、(Het)−スルホニル、(未置換若しくは置換フェニル)−Y−(CH2)nC(O)、(Het)−(CH2)nC(O)等、YはO又はS、nは0,1,2。詳細は特許文献1参照。)
更に、抗HSV−1活性及び抗CMV活性を有する下式(H)で示されるN原子がチアゾリルフェニルカルバモイルメチル基で置換されたアミド若しくはスルホンアミド誘導体が開示されている(例えば、特許文献2参照)が、これらの化合物の抗VZV活性については具体的に開示が無い。
【化4】
(式中、R1はNH2、R2はH、R3はH、R4はCH2Ph、CH2−(4−ピリジル)、CH2−シクロヘキシル等、R5は、CO−(置換フェニル)、CO−(未置換若しくは置換ヘテロ環)等。詳細は当該公報参照。)
また最近、各種のヘルペスウイルスプロテアーゼの阻害剤(例えば、非特許文献1)や、HSVのプライマーゼ阻害剤であるN−(カルボニルフェニル)ベンズアミド誘導体の報告がある(例えば、特許文献3)。しかしながら、これらの非特許文献1及び特許文献3にも良好な抗VZV活性を有する化合物の開示は無い。
【0003】
【特許文献1】国際公開第97/24343号パンフレット
【特許文献2】国際公開第00/29399号パンフレット
【特許文献3】国際公開第00/58270号パンフレット
【非特許文献1】Waxman Lloyd et al, 2000年, ”Antiviral Chemistry and Chemotherapy”, 11巻,p.1−22
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
十分な抗VZV活性を有し、かつ非核酸系で投与量が少なく安全性の高い、抗ヘルペスウイルス剤の創製が切望されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、抗水痘帯状疱疹ウイルス(抗VZV)作用を有する化合物につき鋭意検討した結果、下記一般式(I)に示すように、N原子がチアゾリルフェニルカルバモイルメチル基で置換されたアミド基のN原子に、基Aとして芳香環基であるアリール又はヘテロアリール基がアルキレン鎖を介さずに直接置換している点に特徴を有する、新規なアミド誘導体(スルホンアミド誘導体を含む)が良好な抗VZV活性を有することを見出し、これを有効成分とする医薬組成物が良好な抗ヘルペスウイルス剤となりうることを知見して本発明を完成したものである。本発明医薬組成物は従来の抗ヘルペスウイルス剤に比して低用量で良好な抗ウイルス活性を有し、また核酸系薬剤とは異なり変異原性の懸念も低く安全性が高い。
【0006】
即ち、本発明は、下記一般式(I)で示される新規なアミド誘導体又はその塩と製薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【化5】
(式中の記号は以下の意味を示す。
R1、R2:同一又は異なって、−H、−低級アルキル、−低級アルケニル、−低級アルキニル、−シクロアルキル、−シクロアルケニル、−NRaRb、−NRc−NRaRb、−NRc−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−NRc−C(=NH)−NRaRb、−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−低級アルキレン−NRaRb、−低級アルキレン−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−NRaCORb、−NRaCO−ORb、−NRaCO−NRbRc、−NRaCO−低級アルキレン−NRbRc、−NRaCO−低級アルキレン−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−NRaSO2Rb、−NRaSO2−NRbRc、−NRaSO2−低級アルキレン−NRbRc、−NRaSO2−低級アルキレン−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−CONRaRb、−SO2NRaRb、−COORa、−SO2Ra、−CONRa−ORb、−OCORa、−ORa、−ハロゲン、−CORa、−NO2、−CN又は−ハロゲノ低級アルキル、
Ra,Rb及びRc:同一又は異なって、−H、−低級アルキル、−低級アルケニル、−低級アルキニル、−シクロアルキル、−シクロアルケニル、−アリール、−5乃至6員単環ヘテロアリール、又は−低級アルキレン−アリール、
A:−置換基を有していてもよいアリール、−置換基を有していてもよいヘテロアリール、−置換基を有していてもよい飽和炭素環縮合アリール、又は−置換基を有していてもよい飽和複素環縮合アリール、但し、飽和炭素環縮合アリール及び飽和複素環縮合アリールは、芳香環のC原子を介して隣接するN原子に結合する、
X:CO又はSO2、
R3:−置換基を有していてもよいアルキル、−置換基を有していてもよいアルケニル、−置換基を有していてもよいアルキニル、−置換基を有していてもよいシクロアルキル、−置換基を有していてもよいシクロアルケニル、−置換基を有していてもよいアリール、−置換基を有していてもよいヘテロ環、−NRaRb、又は、隣接する基−N(A)−X−と一体となって下式で示される基を形成してもよい、
【化6】
Y:O、S、結合又はCH2、
R3a:−H、−置換基を有していてもよいシクロアルキル、−置換基を有していてもよいシクロアルケニル、−置換基を有していてもよいアリール又は−置換基を有していてもよいヘテロ環、及び
A’、B:同一又は異なって、置換基を有していてもよいベンゼン環。以下同様。)
殊に、本発明は、経口剤もしくは外用剤である医薬組成物に関する。中でも、抗ヘルペスウイルス剤、殊に抗VZV剤である医薬組成物に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
一般式(I)の化合物をさらに説明する。
本明細書中,「低級」なる語は,炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖を意味する。「低級アルキル」としては,好ましくは炭素数1乃至4個のアルキル基であり、特に好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル基及びtert−ブチル基である。「低級アルケニル」としては、好ましくは炭素数2乃至5個のアルケニル基であり、特に好ましくはビニル,アリル,1−プロペニル,イソプロペニル,1−ブテニル,2−ブテニル及び3−ブテニル基である。「低級アルキニル」としては,好ましくは炭素数2乃至5個のアルキニル基であり、特に好ましくは、エチニル,1−プロピニル,2−プロピニル,1−ブチニル,2−ブチニル,3−ブチニル及び1−メチル−2−プロピニル基である。また、「低級アルキレン」としては、好ましくは炭素数1乃至3個のアルキレン基であり、特に好ましくは、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン及びジメチルメチレン基である。
【0008】
「アルキル」としては、好ましくは炭素数1〜10個の直鎖状又は分枝状のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、2,2−ジエチルプロピル、n−オクチル及びn−デシル基が挙げられる。「アルケニル」及び「アルキニル」としては、好ましくは炭素数2〜10個の直鎖状又は分枝状の基である。
「アリール」としては、芳香族炭化水素環基を意味し、炭素数6乃至14個のアリール基が好ましく、より好ましくはフェニル及びナフチル基である。「シクロアルキル」としては,架橋を有していてもよい炭素数3〜10個のシクロアルキル基であり、好ましくはシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びアダマンチル基である。「シクロアルケニル」としては,好ましくは炭素数3〜10個のシクロアルケニル基であり、特に好ましくはシクロペンテニル及びシクロヘキセニル基である。「飽和炭素環縮合アリール」としては、ベンゼン環又はナフタレン環とC5−6飽和炭素環が縮合した縮合環基であり、好ましくはインダニル、テトラヒドロナフチルである。
【0009】
「ヘテロ環」としては、N,S,Oから選択されるヘテロ原子を1乃至4個含有する飽和若しくは不飽和の5乃至8員ヘテロ環であって、単環又はヘテロ環若しくは炭素環と縮合し2乃至3環式縮合環を形成していてもよい。好ましくは、後記の「ヘテロアリール」、「5乃至8員単環飽和複素環」及び「飽和複素環縮合アリール」である。
「5乃至6員単環ヘテロアリール」としては、N,S,Oから選択されるヘテロ原子を1乃至4個含有する5乃至6員単環ヘテロアリールであり、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル及びトリアジニルが好ましい。「ヘテロアリール」としては、前記5乃至6員単環ヘテロアリール、並びにベンゼン環と若しくはヘテロアリール環同士が縮合した2乃至3環式ヘテロアリールである。ここに、単環ヘテロアリールとしては、前記のものが好ましく、2乃至3環式ヘテロアリールとしては、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾジオキソリル、イミダゾピリジル、インドリジニル、カルバゾリル、ジベンゾフラニル及びジベンゾチエニル基が好ましい。
【0010】
「5乃至8員単環飽和複素環」は、N,S,Oから選択されるヘテロ原子を1乃至4個含有し、架橋を有していてもよい5乃至8員単環飽和複素環であり、好ましくは、テトラヒドロ−2H−ピラニル、テトラヒドロ−2H−チオピラニル、チエパニル、チオカニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、ピペリジニル及びモルホリニル基である。更に好ましくは5乃至7員環の基である。また、「含窒素飽和複素環」は、前記「5乃至8員単環飽和複素環」のうち、少なくとも1つの環窒素原子を有する基であり、好ましくは、ピペリジノ、モルホリノ、1−ピペラジニル及び1−ピロリジニルが挙げられる。
「飽和複素環縮合アリール」としては、前記5乃至8員単環飽和複素環とベンゼン環又はナフタレン環が縮合した縮合環基であり、好ましくは、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジニル、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、クロマニル、イソクロマニル、3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾチオピラニル、3,4−ジヒドロ−1H−2−ベンゾチオピラニル、インドリニル、イソインドリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル及び1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル基である。
A環が「飽和炭素環縮合アリール」又は「飽和複素環縮合アリール」のとき、A環は芳香環のC原子を介して隣接するアミド基のN原子に結合する。
「ハロゲン」としては、F,Cl,Br及びI原子が挙げられる。「ハロゲノ低級アルキル」としては、前記ハロゲンが1以上置換した前記低級アルキルであり、好ましくは−CF3である。
【0011】
置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル及び置換基を有していてもよいアルキニルにおける置換基としては,好ましくは下記C群から選択される1〜4個の置換基である。
C群:−シクロアルキル、−シクロアルケニル、−アリール、−NRaRb、−NRc−NRaRb、−(−低級アルキル、−低級アルキレン−COORa及び−NRaRbから選択される置換基を有していてもよい含窒素飽和複素環)、−NRc−(−低級アルキル、−低級アルキレン−COORa及び−NRaRbから選択される置換基を有していてもよい含窒素飽和複素環)、−O−低級アルキレン−NRaRb、−O−低級アルキレン−(−低級アルキル、−低級アルキレン−COORa及び−NRaRbから選択される置換基を有していてもよい含窒素飽和複素環)、−O−低級アルキレン−ORa、−O−低級アルキル−COORa、−COORa、−ハロゲン、−CORa、−NO2、−CN、−ORa、−O−(ハロゲノ低級アルキル)、−SRa、−SORa、−SO2Ra、−CO−NRaRb、−CO−(−低級アルキル、−低級アルキレン−COORa及び−NRaRbから選択される置換基を有していてもよい含窒素飽和複素環)、−NRa−CORb、−SO2NRaRb及び=O(オキソ)(式中、Ra、Rb、Rcは前記の通り)。
【0012】
置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよい飽和炭素環縮合アリール、置換基を有していてもよい飽和複素環縮合アリール、置換基を有していてもよいヘテロ環及び置換基を有していてもよいベンゼン環における置換基としては,好ましくは下記D群から選択される1〜5個の置換基である。
D群:−(−ORa、−SRa、−CN、−COORa、−CONRa、−NRaRb及び−(−低級アルキル、−低級アルキレン−COORa及び−NRaRbから選択される置換基を有していてもよい含窒素飽和複素環)から選択される置換基を有していてもよい低級アルキル)、−低級アルケニル、−低級アルキニル、−ハロゲノ低級アルキル、5乃至6員単環ヘテロアリール及び前記C群に記載の置換基。
【0013】
更に好ましくは、下記D1群から選択される1〜4個の基である。
D1群:−低級アルキル、−フェニル、−ハロゲノ低級アルキル、−COOH、−COO−低級アルキル、−ハロゲン、−NO2、−CN、−OH、−O−低級アルキル、−O−ハロゲノ低級アルキル、−O−低級アルキレン−O−低級アルキル、−O−低級アルキレン−COOH、−O−低級アルキレン−COO−低級アルキル、−O−低級アルキレン−NH2、−O−低級アルキレン−NH−低級アルキル、−O−低級アルキレン−N(低級アルキル)2、−O−低級アルキレン−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−NH2、−NH−低級アルキル、−N(低級アルキル)2、−(−低級アルキル及び−低級アルキレン−COORaから選択される置換基を有していてもよい含窒素飽和複素環)、−NHCO−低級アルキル、−N(低級アルキル)CO−低級アルキル、−CONH2、−CONH−低級アルキル、−CON(低級アルキル)2、=O(オキソ)、−SH、−S−低級アルキル、−SO−低級アルキル及び−SO2−低級アルキル基。
S原子を含む飽和複素環を包含する化合物において、当該飽和複素環のS原子がオキシド(SO)又はジオキシド(SO2)を形成していてもよい。
R3が隣接する基−N(A)−X−と一体となって形成する基としては、好ましくは、以下の基が挙げられる。
【0014】
【化7】
(式中、R3aは−H、又はD1群から選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよい、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、飽和炭素環縮合アリール、飽和複素環縮合アリール、ヘテロアリール若しくは5乃至8員単環飽和複素環であり、Rd及びReは同一又は異なって、−H、−低級アルキル、−ハロゲン、−OH又は−O−低級アルキルを示す。)
【0015】
本発明医薬組成物の有効成分である化合物(I)中、好ましい化合物を以下に示す。
(1)R1、R2が、同一又は異なって、−H、−低級アルキル、−低級アルケニル、−低級アルキニル、−NRaRb、−NRc−NRaRb、−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−NRc−C(=NH)−NRaRb、−NRaCORb、−NRaCO−ORb、−NRaCO−NRbRc、−NRaCO−低級アルキレン−NRbRc又は−NRaCO−低級アルキレン−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)であり、
Aが、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよいアリール、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよいヘテロアリール、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよい飽和炭素環縮合アリール又はD群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよい飽和複素環縮合アリールであり、
R3が、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよいシクロアルキル、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよいシクロアルケニル、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよいアリール、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよい飽和複素環縮合アリール、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよいヘテロアリール又はD群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよい5乃至8員単環飽和複素環である化合物。
【0016】
(2)Aが、フェニル及びナフチルから選択されるアリール;ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾジオキソリル、イミダゾピリジル及びインドリジニル基から選択されるヘテロアリール;4−インダニル、5−インダニル、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル及び5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イルから選択される飽和炭素環縮合アリール;又は3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジニル、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、クロマニル、イソクロマニル、3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾチオピラニル、3,4−ジヒドロ−1H−2−ベンゾチオピラニル、インドリニル、イソインドリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル及び1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル基から選択される飽和複素環縮合アリールであって、前記アリール、ヘテロアリール、飽和炭素環縮合アリール若しくは飽和複素環縮合アリールは、それぞれD1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよく、
R3が、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいシクロアルキル、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいシクロアルケニル、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいアリール、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよい飽和複素環縮合アリール、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいヘテロアリール又はD1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよい5乃至8員単環飽和複素環である化合物。
【0017】
(3)Aが、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいアリール、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいヘテロアリール又はD1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよい飽和複素環縮合フェニルであり、
R3が、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいシクロアルキル、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいシクロアルケニル、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいアリール、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよい飽和複素環縮合フェニル、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいヘテロアリール又はD1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよい5乃至8員単環飽和複素環である化合物。
(4)XがCOである化合物。
(5)R1が−NH2、かつR2が−Hである化合物。
(6)Aが、−低級アルキル、−CF3、−ハロゲン、−OH、−SH、−S−低級アルキル及び−O−低級アルキルからなる群から選択される1乃至3個の置換基を有していてもよい、フェニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、インドリル、キノリル及び5−インダニルから選択される基;又は1〜2個の=O(オキソ)で置換されていてもよい、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジニル、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル及びインドリニル基から選択される基であり、
R3が、ハロゲン、−CN及び−OHからなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、キノリル及びテトラヒドロ−2H−ピラニルから選択される基;又はオキシド又はジオキシドを形成していてもよい、テトラヒドロ−2H−チオピラニル及び3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾチオピラニルから選択される基である化合物。
(7)Aが、−低級アルキル、−ハロゲン及び−O−低級アルキルからなる群から選択される1乃至3個の置換基を有していてもよい、フェニル、インドリル、ベンゾチエニル及びベンゾチアゾリルから選択される基であり、
R3が、ハロゲン、−CN及び−OHからなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい、シクロヘキシル及びフェニルから選択される基;又はジオキシドを形成していてもよいテトラヒドロ−2H−チオピラニル基である化合物。
【0018】
(7)以下に列記する化合物又はその塩。
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾチアゾール−5−イル−4−フロオロベンズアミド
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾチアゾール−6−イル−4−フロオロベンズアミド、
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾチアゾール−5−イル−4−フロオロシクロヘキサ−3−エンカルボキサミド、
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾチアゾール−5−イル−4,4−ジフロオロシクロヘキサンカルボキサミド、
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−インダン−5−イルテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド、
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−シアノ−N−(4−メトキシフェニル)シクロヘキサンカルボキサアミド、
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾ[b]チオフェン−5−イルテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド、
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2,6−ジメチルフェニル)テドラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド、
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2,4−ジメチルフェニル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド。
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−ブロモ−2−メチルフェニル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド、
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(3−メチルベンゾ[b]チオフェン−5−イル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド、
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2,4,6−トリメチルフェニル)テドラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド、
トランス−N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾフラン−5−イル−4−シアノシクロヘキサンカルボキサミド、及び
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2−クロロ−6−メチルフェニル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド。
【0019】
化合物(I)の塩としては製薬学的に許容される塩である。酸付加塩としては,具体的には塩酸,臭化水素酸,ヨウ化水素酸,硫酸,硝酸,リン酸等の無機酸,ギ酸,酢酸,プロピオン酸,シュウ酸,マロン酸,コハク酸,フマル酸,マレイン酸,乳酸,リンゴ酸,酒石酸,クエン酸,メタンスルホン酸,エタンスルホン酸,アスパラギン酸,グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩等が挙げられる。また、置換基の種類によっては、塩基との塩を形成する場合もあり、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の金属を含む無機塩基、あるいはメチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リジン、オルニチン等の有機塩基との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
【0020】
化合物(I)には、置換基の種類によっては,各種の異性体、例えばシス−トランス等の幾何異性体やケト−エノール等の互変異性体が存在する場合があるが、本発明にはこれらの異性体の分離したもの、あるいは混合物が包含される。更に化合物(I)は、不斉炭素原子を有する場合があり、不斉炭素原子に基づく異性体が存在しうる。化合物(I)はこれらの異性体の混合物や単離されたものを包含する。また、化合物(I)は、置換基の種類によっては、N−オキシドを形成する場合もあり、これらのN−オキシド体も包含される。更に化合物(I)の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形の物質をも包含される。なお、化合物(I)には、生体内において代謝されて化合物(I)またはその塩に変換される化合物、いわゆるプロドラッグもすべて包含される。このプロドラッグを形成する基としては、Prog. Med. 5:2157−2161(1985)に記載されている基や廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻 分子設計163−198に記載されている基が挙げられる。
【0021】
本発明の有効成分である化合物(I)の代表的な製造方法を以下に説明する。なお、以下の製造方法において、官能基の種類によっては,当該官能基を原料ないし中間体の段階で適当な保護基,すなわち容易に当該官能基に転化可能な基に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。しかるのち,必要に応じて保護基を除去し,所望の化合物を得ることができる。このような官能基としては例えばアミノ基、水酸基、カルボキシル基等を挙げることができ,それらの保護基としては例えば、Protective Groups in Organic Synthesis 第3版(T.W. GreenおよびP. G. M. Wuts著、JOHN WILLY & SONS, INC.発行)に記載の保護基を挙げることができ,これらを反応条件に応じて適宜用いればよい。保護基の導入及び脱保護は当該参考書記載の方法を適時適用できる。
【0022】
【化8】
第一製法
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化合物(I)はカルボン酸化合物(III)とチアゾリルアニリン誘導体(II)をアミド化反応に付すことによって容易に製造できる。
アミド化反応は常法により行うことができ、例えば、日本化学会編「実験化学講座」第4版(丸善) 22巻p137〜173に記載の方法を適用できる。好ましくは、カルボン酸化合物(III)を反応性誘導体、例えば酸ハロゲン化物(酸クロリド等)又は酸無水物に変換した後、チアゾリルアニリン誘導体(II)に反応させることにより行うことができる。カルボン酸の反応性誘導体を用いる場合、塩基(水酸化ナトリウム等の無機塩基、又は、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基)を添加することが好ましい。更に、アミド化はカルボン酸を、縮合剤(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)、1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール(CDI)等)の存在下に反応させることにより行うこともできる。その際、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)等の添加剤を加えてもよい。反応温度は、原料化合物に応じて適宜選択できる。溶媒は、反応に不活性な溶媒、例えばベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、ピリジン等の塩基性溶媒等が挙げられる。溶媒は原料化合物の種類等に従い適宜選択され、単独で、又は2種以上混合して用いられる。
【0023】
第二製法
【化9】
(式中、halはハロゲンを示す。以下同様。)
本製法は、一般式(IV)で示されるα−ハロゲン化ケトンを化合物(V)との環化反応に付すことにより化合物(I)を得る方法である。本環化反応は、常法により行うことができ、例えば、Tetrahedron Lett., 9, 24, 1959、及び、The Chemistry of Heterocyclic Compounds ”Thiazole and its Derivatives 1, 2” (J.V.Metzger著:John Eiley & Sons社)に記載の方法を適用できる。
好ましくは、原料化合物であるα−ハロゲン化ケトン(IV)を溶媒中あるいは溶媒を用いずに化合物(V)と冷却下乃至加熱下反応させることにより行うことができる。溶媒としては、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のカルボニル系溶媒、前出のエーテル系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒及びアミド系溶媒等を用いることができる。これらの溶媒は単独で、又は2種以上混合して用いられる。溶媒は原料化合物の種類等に従い適宜選択されるべきである。反応の際、塩基(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、TEA等)を添加することにより反応が円滑に進行することがある。
【0024】
第三製法
【化10】
本製法は、一般式(VI)で示されるアミン化合物とカルボン酸若しくはスルホン酸化合物(VII)とをアミド化若しくはスルホンアミド化反応に付すことにより化合物(I)を得る方法である。
アミド化は第一製法と同様にして行うことができる。
【0025】
スルホンアミド化反応は常法によりアミン化合物(VI)に化合物(VII)のスルホン酸反応性誘導体を作用させることにより行うことができる。スルホン酸の反応性誘導体としては、酸ハロゲン化物(酸クロリド、酸ブロミド等)、酸無水物(2分子のスルホン酸より調整されるスルホン酸無水物)、酸アジド等が挙げられる。このようなスルホン酸の反応性誘導体は、通常行われる一般的方法に従って、対応するスルホン酸から容易に得ることができる。反応性誘導体として酸ハロゲン化物を用いる場合には、塩基(水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基、又は、ピリジン、TEA、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基)の存在下行う事が好ましい。酸無水物、酸アジド等の反応性誘導体と反応させる場合には、塩基の非存在下反応を行うことができる。場合によっては、水素化ナトリウム等の無機塩基、又は、TEA、ピリジン、2,6−ルチジン等の有機塩基の存在下反応を行っても良い。反応温度はスルホン酸反応性誘導体の種類等に従い適宜選択される。溶媒は、反応に不活性な溶媒、例えば前記第一製法のアミド化に例示される溶媒を用いることができる。
また、置換基の種類によっては、更に当業者によく知られる置換基修飾反応に付して所望の化合物(I)を製造することができる。例えば、前述のアミド化及びスルホンアミド化や日本化学会編「実験化学講座」(丸善)に記載のN−アルキル化等の公知の反応を適宜適用できる。また、反応順序は、目的化合物、採用する反応の種類に応じて、適宜変更されてもよい。
【0026】
前記の各原料化合物は、公知の反応、例えば日本化学会編「実験化学講座」(丸善)に記載の反応等を用いて、容易に製造することができる。以下にその代表的な製法を示す。
【化11】
(式中、Rは低級アルキル、アラルキル等のエステル残基を形成しうる基を、Pはフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)等のアミノ基の保護基をそれぞれ意味する。)
上記反応経路図中、アミド化は前記第一製法記載の方法と同様にして、環化は第二製法記載の方法と同様にして、また、スルホンアミド化は第三製法に記載の方法と同様にして行うことができる。
化合物(X)のN−アルキル化は、ハロゲン化アルキル化合物(XI)を用いて、常法、例えば、前出の「実験化学講座」第4版(丸善) 20巻p279〜318記載の方法により行うことができる。反応温度は冷却下乃至加熱下行うことができ、溶媒は反応に不活性な溶媒、例えば前記第一製法のアミド化に例示される溶媒等が挙げられる。反応は、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の塩基の存在下行うことが好ましい。
【0027】
カルボン酸化合物(III)を得るための脱保護は、エステルの種類に応じて適宜常法を適用して行うことができる。好ましくは、エチルエステル等のアルキルエステルの場合は、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基で処理することにより、ベンジルエステル等のアラルキルエステルの場合は水素雰囲気下パラジウム−炭素(Pd−C)で還元することにより行うことができる。反応は、前記Protective Groups in Organic Synthesis 第3版記載の方法に準じて行うことができる。α−ハロゲン化ケトン化合物(IV)は、アシル化合物(XV)を常法によりハロゲン化することにより合成することができる。ハロゲン化試薬としては、例えば塩素、臭素、ヨウ素、臭化銅(II)、ヨウ素酸カリウム、三臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、三臭化フェニルトリメチルアンモニウム、三臭化テトラブチルアンモニウム、塩化スルフリル、トリメチルシリルクロリド、トリメチルシリルブロミド、5,5−ジブロモバルビツール酸等を挙げることができ、溶媒としては反応に不活性な溶媒、例えば酢酸、臭化水素酸/酢酸等の酸性溶媒、前出のアルコール系溶媒、エーテル系溶媒を挙げることができる。反応温度は、冷却下乃至加熱下行うことができる。
【0028】
アミン化合物(VI)を得るための脱保護は、保護基の種類に応じて適宜常法を用いて実施される。例えば、前記Protective Groups in Organic Synthesis 第3版、503〜572頁記載の方法を適用できる。
また、置換基の種類によっては、更に当業者によく知られる置換基修飾反応に付して、所望の原料化合物を製造することができる。
このようにして製造された化合物(I)は、遊離のまま、又は常法による造塩処理を施し、その塩として単離・精製される。単離・精製は抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィー等の通常の化学操作を適応して行われる。
各種の異性体は異性体間の物理化学的な性質の差を利用して常法により単離できる。例えば、ラセミ化合物は一般的な光学分割法により[例えば、一般的な光学活性酸(酒石酸等)とのジアステレオマー塩に導き、光学分割する方法等]立体的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオマーの混合物は、例えば分別結晶化又はクロマトグラフィー等により分離できる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
【0029】
一般式(I)で示された化合物の1種又は2種以上を有効成分として含有する本発明の医薬組成物は,当分野において通常用いられている薬剤用担体,賦形剤等を用いて通常使用されている方法によって調製することができる。投与は錠剤,丸剤,カプセル剤,顆粒剤,散剤,液剤等による経口投与,又は,静注,筋注等の注射剤,軟膏剤,硬膏剤,クリーム剤,ゼリー剤,パップ剤,噴霧剤,ローション剤,点眼剤,眼軟膏等の外用剤,坐剤,吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
【0030】
本発明による経口投与のための固体組成物としては,錠剤,散剤,顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては,一つ又はそれ以上の活性物質が,少なくとも一つの不活性な賦形剤,例えば乳糖,マンニトール,ブドウ糖,ヒドロキシプロピルセルロース,微結晶セルロース,デンプン,ポリビニルピロリドン,メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は,常法に従って,不活性な添加剤,例えばステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤やカルボキシメチルスターチナトリウム等の崩壊剤,溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性コーティング剤で被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は,薬剤的に許容される乳剤,液剤,懸濁剤,シロップ剤,エリキシル剤等を包含し,一般的に用いられる不活性な溶剤,例えば精製水,エタノール等を用いることができる。この組成物は不活性な溶剤以外に可溶化剤、湿潤剤,懸濁化剤のような補助剤,甘味剤,矯味剤,芳香剤,防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては,無菌の水性又は非水性の液剤,懸濁剤,乳剤を包含する。水性の溶剤としては,例えば注射用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水性の溶剤としては,例えばプロピレングリコール,ポリエチレングリコール,オリーブ油のような植物油,エタノールのようなアルコール類,ポリソルベート80(商品名)等がある。このような組成物は,さらに等張化剤、防腐剤,湿潤剤,乳化剤,分散剤,安定化剤,溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過,殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し,使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解、懸濁して使用することもできる。
【0031】
外用剤としては,軟膏剤,硬膏剤,クリーム剤,ゼリー剤,パップ剤,噴霧剤,ローション剤,点眼剤,眼軟膏等を包含する。一般に用いられる軟膏基剤、ローション基剤、水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤等を含有する。例えば、軟膏又はローション基剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、白色ワセリン、サラシミツロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウロマクロゴール、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
【0032】
通常、経口投与の場合,化合物(I)の1日の投与量は,体重当たり約0.001から50mg/kg,好ましくは0.01〜30mg/kgが、静脈投与される場合,1日の投与量は,体重当たり約0.0001から10mg/kgがそれぞれ適当であり,これを1日1回乃至複数回に分けて投与する。投与量は症状,年令,性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。また、外用剤として用いる場合は、化合物(I)を0.0001〜20%、好ましくは0.01〜10%を含む外用剤が好ましい。これを1日1〜数回、症状に応じて局所に投与する。
本発明の医薬組成物は、他の薬剤と適宜併用してもよく、併用可能な薬剤としては、例えば、ACV、VCV、FCV、ペンシクロビル(PCV)、ビダラビン(ara−A)、BVDU(ブロモビニルデオキシウリジン)、フォスカーネット(PFA)、ガンシクロビル(GCV)等の他の抗ヘルペスウイルス剤;アミトリプチリン(3環系抗うつ薬)、ガバペンチン(抗痙攣薬)、リドカイン及びメキシレチン(抗不整脈薬)、カプサイシン等の帯状疱疹後神経痛の鎮痛剤;インドメタシン、イブプロフェン、セレコキシブ等の消炎鎮痛剤が挙げられる。
【0033】
【実施例】
以下,実施例に基づき本発明を更に詳細に説明する。
実施例1 抗 VZV 活性試験
実験は、Shigeta S. The Journal of Infectious Diseases, 147, 3, 576−584, (1983)記載の方法に従って実施した。具体的には、10,000個のHEF細胞を増殖培地を用いて96ウェル・ミクロタイター・プレートに播き、37℃、5%CO2下で4日間、monolayerとなるまで培養した。細胞を維持培地で洗浄後に、20〜30pfu/100μLとなるように維持培地で希釈したVZV(CaQu株)を100μL/ウェルずつ接種した。プレートを2000rpmで20分間室温で遠心後、37℃、5%CO2下で3時間保温し、VZVを感染させた。維持培地100μL/ウェルで3回洗浄後、維持培地で希釈された適当な濃度の試験薬剤100μLを各ウェルに添加した。細胞を37℃、5%CO2下で3〜4日間培養した後に、10%ホルマリン/PBSを100μL/ウェル加え、2〜3時間細胞を固定した。固定液と培養上清を捨てて、プレートを水洗した後、染色液(0.025% クリスタルバイオレット)を50μL/ウェルずつ添加し、2〜3分間染色後、水洗を行い37℃でプレートを乾燥させた。VZVに感染したHEF細胞が細胞死を起こし、monolayerのHEF細胞中に死細胞よりなるプラークが形成される。顕微鏡でプラーク数を計測し、試験薬剤のEC50値をこのプラークを50%抑制する濃度として算出した。
本発明医薬組成物の有効成分である化合物(I)のEC50値(μM)を下表に示す。化合物(I)はアシクロビルや公知のチアゾリルフェニルカルバモイルメチル置換アミド誘導体(比較化合物a及びb)に比して、良好なVZVに対する抗ウイルス作用を有していた。
【0034】
【表1】
【0035】
実施例2 HSV−1 複製抑制試験
10,000個のMRC−5細胞 (ATCC)を 増殖培地 (10%(v/v)のウシ胎児血清(FBS、シグマ社)を補給したEagle MEM(ニッスイ社))を用いて96ウェル・ミクロタイター・プレートに播き、37℃、5%CO2下で4−5日間、monolayerとなるまで培養した。細胞を維持培地(2%(v/v)のFBSを補給したEagle MEM)で洗浄後に、各ウェルに適当な濃度の試験試薬が溶解された100μLの維持培地を添加した。試験薬剤の添加直後に、50 TCID50(50% tissue culture infectious dose)/100μLのHSV−1 (KOS株)液を接種した。
細胞を37℃、5%CO2下で5日間培養した後に、 MTT(3−(4,5−Dimethyl−2−thiazolyl)−2,5−diphenyl−2H−tetrazolium bromide, シグマ社)溶液(7.5mg/mlにPBSで希釈)を各ウェルに20μLを添加し、さらに24時間インキュベートした。その後、培地を除去し、溶出液(イソプロパノールに10%Triton×100(v/v)と0.4%塩酸を添加)100μLを各ウェルに添加し、産生されたホルマザンを可溶化した。マイクロプレートリーダーで540nmおよび690nmを測定し、HSV−1の複製によるMRC−5細胞の細胞死の抑制率(%)から、試験薬剤のEC50値を算出した。結果を下表に示す。
【表2】
【0036】
実施例3 HSV−1 皮膚感染マウスモデル( in vivo 試験)
(経口剤)
H.Machidaらの方法(Antiviral Res. 1992 17 133−143)に準じたHSV−1皮膚感染マウスモデルを用いて本発明医薬組成物のin vivo作用を試験した。HR−1無毛マウスの皮膚を注射針で縦横数回擦過した部位に、ウイルス液(HSV−1 WT−51株 1.5 x 104 PFU)を滴下し浸透させることによりHSV−1を感染させた。本願医薬組成物(製造例49の化合物又は製造例87の化合物のメチルセルロース懸濁液)を、25mg/kgの用量で1日2回5日間、経口投与した。HSV−1感染による皮膚病変部の症状を7段階にスコア化し21日間評価すると共に、マウスの生存日数も検討した。その結果、プラセボ群では、感染4日後から皮膚病変部の症状の悪化によるスコアの上昇が観察され、7日後には平均病変スコアが6を越え、その生存日数は10日以下であった。一方、本願組成物投与群は病変の出現をほぼ完全に抑え、評価期間中病変スコアは1以下であった。また、生存日数の延長が認められ、評価期間中の死亡例はみられなかった。
また、製造例119、122、127、131、150、161及び163の化合物の20%CremophorEL(ナカライテスク)/20%ポリエチレングリコール(PEG)400/60%H2O溶液である本発明医薬組成物を、10mg/kgもしくは12.5mg/kgの用量で同様に経口投与した。その結果、平均病変スコアは評価期間中、2未満であり、これらの組成物が病変部の症状悪化を良好に抑制することが確認された。
【0037】
(外用剤)
本願医薬組成物(製造例49の化合物又は製造例119の化合物のPEG 400溶液 50mg/ml)250μlを、感染1時間後より1日1回5日間皮膚へ塗布した以外は上記と同様に行った。HSV−1感染による皮膚病変部の症状を7段階にスコア化し評価した。
その結果、プラセボ群では、感染4日後から皮膚病変部の症状の悪化によるスコアの上昇が観察され、7日後には平均病変スコアが5を越えた。一方、本願組成物投与群は病変の出現を抑制し、評価期間中病変スコアは3以下であった。
以上の通り、in vivo動物モデルにおいて経口並びに局所投与された本発明医薬組成物は、従来の抗ヘルペスウイルス剤に比して少ない投与量においても良好な抗ヘルペスウイルス活性を有することが確認された。
【0038】
実施例4(皮膚透過性試験)
HR−1無毛マウス(ヘアレスマウス)を屠殺後、腹部の皮膚を摘出し、皮下脂肪を取り除いた後、flow−through型拡散セル(有効表面積:5cm2)に装着した。レセプター側には、40% PEG 400 / PBS溶液を満たし、ドナー側に製造例49、85又は119の化合物を10mg/ml含む40% PEG 400 / PBS溶液3mlを投与した。24時間後にレセプター側の溶液を回収し、レセプター側に移行した薬物量をHPLCにより測定した。
製造例49、85及び119の化合物の皮膚透過性は、それぞれ0.83、0.70及び0.43μg/cm2であり、十分な皮膚透過性を有することが確認された。
【0039】
化合物(I)をPEG 400に溶解もしくは一部懸濁させた後に、PEG 4000、メチルパラベン、プロピルパラベンを加え、80℃に加温する。これらを十分に攪拌した後、室温まで冷却し、本発明軟膏剤を製造した。
【0040】
以下に化合物(I)の製造例、並びに化合物(I)の原料化合物の製造例を参考例として示す。
参考例1: アニリンのDMF溶液に炭酸カリウムとエチル ブロモアセテートを加え加熱攪拌した。反応混合物に水、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去し粗生成物を得た。これをクロロホルムに溶解し、TEA、4−フルオロベンゾイルクロライド及びジメチルアミノピリジン(DMAP)を加え攪拌した。反応溶液に1M塩酸を加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(以下SCGと略記する)にて精製し、エチル [(4−フルオロベンゾイル)フェニルアミノ]アセテート(無色油状物)を得た。
参考例2: エチル (4−アミノフェノキシ)アセテートのDMF溶液に炭酸カリウム、ベンジル ブロモアセテートを加え加熱攪拌した。反応混合物に水、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物のジクロロメタン溶液にTEAを加え、氷冷下4−フルオロベンゾイルクロライドを滴下し、反応溶液を攪拌した。反応溶液に1M塩酸を加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、エチル{4−[ベンジルオキシカルボニルメチル−(4−フルオロベンゾイル)アミノ]フェノキシ}アセテート(無色油状物)を得た。
参考例3: 6−アミノキノリンとジ−tert−ブチル ジカーボネートとDMAPの混合物を加熱攪拌した。反応混合物に1,4−ジオキサンと1M水酸化ナトリウム水溶液を加え攪拌した。反応溶液に酢酸エチルを加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、6−(tert−ブチルオキシカルボニル)アミノキノリンを得た。これをエタノールに溶解し、20%水酸化パラジウム炭素を加え水素雰囲気下攪拌した。反応溶液を濾過後、溶媒を減圧留去し、テトラヒドロキノリン化合物を得た。これを1,4−ジオキサンに溶解し、9H−フルオレニル−9−イルメチル クロロホルメートと10%炭酸水素ナトリウム水溶液を加え攪拌した。反応溶液に酢酸エチルと水を加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をクロロホルムに溶解し、トリフルオロ酢酸を加え攪拌した。溶媒を減圧留去し、残渣に酢酸エチルを加え、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、9H−フルオレニル−9−イルメチル 6−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−1−カルボキシレートを得た。これをアセトニトリルに溶解し、炭酸カリウムとベンゾイル ブロモアセテートを加え加熱攪拌した。反応混合物を濾過し、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製した。これをピリジンに溶解し、ジクロロメタンと4−フルオロベンゾイルクロライドを加え攪拌した。反応溶液に酢酸エチルと水を加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、エチル {[1−(9H−フルオレニル−9−イルメチルオキシカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル](4−フルオロベンゾイル)アミノ}アセテート(淡黄色泡状物)を得た。
【0041】
参考例4: 6−アミノ−1−インダノンのDMF溶液に炭酸カリウム、エチル ブロモアセテートを加え加熱攪拌した。反応混合物に酢酸エチルを加えた後濾過し、有機層を洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去し、エステル化合物を得た。これをクロロホルムに溶解し、TEAと4−フルオロベンゾイルクロライドを加え攪拌した。次いで反応溶液にTEAと4−フルオロベンゾイルクロライドを加え攪拌した。反応溶液に酢酸エチルを加え濾過した後、濾液の溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製した。これをエタノールに溶解し、水素化ホウ素ナトリウムを加え攪拌した。次いで反応溶液に水素化ホウ素ナトリウムとメタノールを加え攪拌した。反応溶液に水とクロロホルムを加え有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をSCGにて精製し、エチル [(4−フルオロベンゾイル)(3−ヒドロキシインダン−5−イル)アミノ]アセテート(黄色油状物)を得た。
参考例5: 2−クロロピリジンとエチル アミノアセテート ヒドロクロライドの混合物を加熱攪拌した。反応混合物に酢酸エチル及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後分離し、有機層を洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製した。これをジクロロメタンに溶解し、ピリジン、4−フルオロベンゾイルクロライド、DMAPを加え攪拌した。反応溶液に酢酸エチルと水を加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、エチル [(4−フルオロベンゾイル)(2−ピリジル)アミノ]アセテート(無色油状物)を得た。
【0042】
参考例6: エチル [(4−ピペリジンカルボニル)(4−メトキシフェニル)アミノ]アセテートのクロロホルム溶液に酢酸とトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムと36%ホルムアルデヒド水溶液を加え攪拌した。次いで反応溶液にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムと36%ホルムアルデヒド水溶液を加え攪拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え中和し、クロロホルムを加え有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、エチル {[(1−メチル−4−ピペリジン)カルボニル](4−メトキシフェニル)アミノ}アセテート(無色油状物)を得た。
参考例7: (1−ベンジルオキシカルボニル−4−ピペリジン)カルボン酸の1,4−ジオキサン溶液に塩化チオニルを加え攪拌し、溶媒を減圧留去した。残渣をクロロホルムに溶解し、エチル [(4−メトキシフェニル)アミノ]アセテートとTEAを加え攪拌し、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチルで希釈し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製した。これをエタノールに溶解し、5%Pd−Cを加え、水素雰囲気下室温にて攪拌した。反応溶液を濾過後、溶媒を減圧留去し、エチル [(4−ピペリジンカルボニル)(4−メトキシフェニル)アミノ]アセテートを得た。これをTHFに溶解し、ジ−tert−ブチル ジカーボネートとTEAを加え攪拌した。反応溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液を加え攪拌し、次いで1M水酸化ナトリウム水溶液とエタノールを加え攪拌した。反応溶液に1M塩酸を加えた後、クロロホルム−エタノール(10/1)にて抽出し、有機層を乾燥後、溶媒を減圧留去し、{[(1−tert−ブチルオキシカルボニル−4−ピペリジン)カルボニル](4−メトキシフェニル)アミノ}酢酸(無色アモルファス)を得た。
参考例8: エチル[(4−メトキシフェニル)−(テトラヒドロチオピラン−4−カルボニル)アミノ]アセテートのクロロホルム溶液に、3−クロロ過安息香酸(>65%;MCPBA)を加え攪拌した。反応混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、エチル[(4−メトキシフェニル)−(1−オキソ−テトラヒドロチオピラン−4−カルボニル)アミノ]アセテートを(淡茶色泡状物)得た。
【0043】
参考例9: エチル 4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボキシレートと4−クロロベンジルブロマイドのDMF溶液にNaHを加え攪拌した。反応溶液に10%アンモニウムクロライドと酢酸エチルを加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、エチル 4−cis−(4−クロロベンジルオキシ)シクロヘキサンカルボキシレートを、次いでエチル 4−trans−4−(クロロベンジルオキシ)シクロヘキサンカルボキシレートを得た。後者のエタノール溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液を加え攪拌した。反応溶液に1M塩酸を加えて液性を酸性にした後、クロロホルムを加えて有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をジイソプロピルエーテルで洗浄し、4−trans−(4−クロロベンジルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸を得た。このジクロロメタン溶液にDMF1滴とオキサリルクロライドを加え攪拌した。溶媒を減圧留去し、残渣をジクロロメタンに溶解し、ベンジル [(4−メトキシフェニル)アミノ]アセテートとTEAを加え攪拌し、次いでオキシ塩化リンを加え攪拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とクロロホルムを加え、有機層を分液した。得られた粗生成物をSCGにて精製した。これの酢酸エチル溶液に5%Pd−Cを加え、水素雰囲気下攪拌した。反応溶液を濾過後、溶媒を減圧留去し、[(4−trans−ヒドロキシシクロヘキサンカルボニル)(4−メトキシフェニル)アミノ]酢酸(無色固形物)を得た。
参考例10: エチル[(4−メトキシフェニル)−(テトラヒドロチオピラン−4−カルボニル)アミノ]アセテートのクロロホルム溶液に、MCPBAを加え攪拌した。反応混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、エチル[(4−メトキシフェニル)−(1,1−ジオキソ−テトラヒドロチオピラン−4−カルボニル)アミノ]アセテートを(白色泡状物)得た。
参考例11: tert−ブチル[4−(4−{2−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニル)−(4−メトキシフェニル)アミノ]アセチルアミノ}フェニル)チアゾール−2−イル]カルバメートのクロロホルム溶液にピペリジンを加え攪拌した。析出してきた沈殿物を濾過後洗浄し、tert−ブチル(4−{4−[2−(4−メトキシフェニルアミノアセチルアミノ)フェニル]チアゾール−2−イル}カルバメート(白色固体)を得た。
【0044】
参考例12: エチル [(4−フルオロベンゾイル)−(4−フルオロフェニル)アミノ]アセテートのエタノール溶液に3M水酸化ナトリウム水溶液を加え加熱還流した。反応溶液を濃縮し、残渣に1M塩酸、クロロホルムを加え有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたカルボン酸粗生成物のジクロロメタン溶液に4−アミノアセトフェノン、WSC・HClを順次加え攪拌した。反応溶液に1M塩酸を加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、N−[(4−アセチル−フェニルカルバモイル)メチル]−4−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)ベンズアミド(白色泡状物)を得た。
参考例13: メチル N−[(4−アセチルフェニルカルバモイル)メチル]−N−(4−フルオロフェニル)テレフタラメートのエタノール溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液を加え加熱還流した。反応溶液を濃縮し、残渣に1M塩酸、クロロホルムを加え有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたカルボン酸粗生成物のトルエン懸濁液に塩化チオニルと少量のDMFを加え加熱還流した。溶媒を減圧留去した後、残渣をジクロロメタンに溶解させ、その溶液に氷冷下、28%アンモニア水を加え、同温にて攪拌した。有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、N−[(4−アセチルフェニルカルバモイル)メチル]−N−(4−フルオロフェニル)テレフタラミド(淡黄色固体)を得た。
参考例14〜99: 参考例1と同様にして後記表3〜9に示す参考例14〜38、40、42〜97、及び101〜142の化合物を、参考例2と同様にして後記表3に示す参考例39及び41の化合物を、参考例4と同様にして後記表7に示す参考例98の化合物を、また、参考例12と同様にして、後記表10に示す参考例99〜100の化合物を得た。
【0045】
製造例1: エチル [(4−フルオロベンゾイル)フェニルアミノ]アセテート(599mg)のエタノール(10mL)溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(2.3mL)を加えた後、室温にて5時間攪拌した。反応溶液に1M塩酸を加え液性を酸性とした後、水、クロロホルムを加え有機層を分液した。更に、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られたカルボン酸粗生成物をDMF(15mL)に溶解させた後、4−(4−アミノフェニル)チアゾール−2−イルアミン ジヒドロヨーダイド(831mg)、ピリジン(0.23mL)、HOBt(0.3g)、WSC・HCl(0.42g)を順次加え室温にて22時間攪拌した。反応溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液した。更に、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=97/3)にて精製し、黄色泡状物を451mg得た。これをクロロホルム−メタノール(4mL−1mL)に溶解し、4M塩化水素−酢酸エチル(0.38mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をエタノールから再結晶して、N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−フェニルベンズアミド 一塩酸塩(淡黄色結晶)を270mg得た。
製造例2: N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−(4−メタンスルファニルフェニル)ベンズアミド(445mg)のエタノール−クロロホルム(20mL−10mL)溶液にMCPBA (0.35g)を加えた後、室温にて1時間攪拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(40mL)、クロロホルム(10mL)を加えた後、室温にて5時間攪拌した。反応溶液にクロロホルムを加えた後、有機層を分液し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=95/5)にて精製し、黄色油状物を217mg得た。これをクロロホルム−メタノール(3mL−3mL)に溶解し、4M塩化水素−酢酸エチル(0.35mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物を酢酸エチルにて洗浄する事によりN−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−(4−メタンスルフィニルフェニル)ベンズアミド一塩酸塩(淡黄色泡状物)を80mg得た。
【0046】
製造例3: エチル 4−[エトキシカルボニルメチル(4−フルオロベンゾイル)アミノ]ベンゾエート(700mg)のエチルエーテル(50mL)溶液にカリウム トリメチルシラノレート(0.29g、 90%)を加えた後、室温にて24時間攪拌した。沈殿物を濾取し、水に溶解した後、1M塩酸を加えて液性を酸性とし、クロロホルムを加え有機層を分液した。更に、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られたカルボン酸粗生成物をDMF(10mL)に溶解させた後、4−(4−アミノフェニル)チアゾール−2−イルアミン ジヒドロヨーダイド(358mg)、ピリジン(0.09mL)、HOBt(0.16g)、WSC・HCl(0.23g)を順次加え室温にて3日間攪拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液した。更に、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=98/2)にて精製し無色泡状物を130mg得た。 この化合物(62mg)のクロロホルム−エタノール(2mL−2mL)溶液に4M塩化水素−酢酸エチル(0.1mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物を酢酸エチルにて洗浄する事によりエチル 4−[({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−(4−フルオロベンゾイル)アミノ]ベンゾエート 一塩酸塩(無定型固体)を42mg得た。
製造例4: エチル {4−[ベンジルオキシカルボニルメチル−(4−フルオロベンゾイル)アミノ]フェノキシ}アセテート(6.4g)のエタノール(100mL)溶液に10% Pd−C(500mg)を加えた後、水素雰囲気下一晩室温で攪拌した。反応液をセライト濾過した後、濾液を濃縮した。得られたカルボン酸粗生成物をDMF(80mL)に溶解させた後、4−(4−アミノフェニル)チアゾール−2−イルアミン ジヒドロヨーダイド(5.5g)、ピリジン(1.8mL)、HOBt(2.6g)、WSC・HCl(3.7g)を順次加え室温にて3時間攪拌した。反応溶液に10%炭酸カリウム水溶液、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液した。更に、有機層を5%食塩水で2回洗浄、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=97/3−95/5)にて精製し、淡黄色泡状物を2.0g得た。この化合物(900mg)のクロロホルム−エタノール(20mL−5mL)溶液に4M塩化水素−酢酸エチル(0.6mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をエタノールから再結晶して、エチル {4−[N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−フルオロベンゾイル)アミノ]フェノキシ}アセテート 一塩酸塩(白色結晶)を540mg得た。
【0047】
製造例5: エチル {[4−(4−tert−ブトキシカルボニルピペラジン−1−イル)フェニル]−(4−フルオロベンゾイル)アミノ}アセテート(2.4g)のエタノール−THF(50mL−10mL)溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(9.9mL)を加え、60℃にて1時間加熱攪拌した。反応溶液を濃縮後、残渣に1M塩酸、クロロホルムを加え有機層を分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られたカルボン酸粗生成物をDMF(50mL)に溶解させた後、4−(4−アミノフェニル)チアゾール−2−イルアミン ジヒドロヨーダイド(1.5g)、ピリジン(0.4mL)、HOBt(580mg)、WSC・HCl(820mg)を順次加え室温にて3時間攪拌した。反応溶液に10%炭酸カリウム水溶液、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液した。更に、有機層を5%食塩水で2回洗浄、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をクロロホルム(30mL)に溶解させた後、トリフルオロ酢酸(15mL)を加え室温にて3時間攪拌した。反応溶液を濃縮後、残渣に10%炭酸カリウム水溶液、クロロホルムを加え有機層を分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール/28%アンモニア水=96/4/0.4−92/8/0.8)にて精製し、淡黄色泡状物を210mg得た。これをクロロホルム−エタノール(20mL−5mL)に溶解し、4M塩化水素−酢酸エチル(0.4mL)を加えた後、溶媒を減圧留去し、得られた粗結晶をエタノールから再結晶して、N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−(4−ピペラジン−1−イルフェニル)ベンズアミド 三塩酸塩(白色結晶)を170mg得た。
製造例6: エチル {4−[N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−フルオロベンゾイル)アミノ]フェノキシ}アセテート(1.3g)のエタノール(30mL)溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(2.4mL)を加え、室温にて一晩攪拌した。反応溶液を濃縮した後、得られた粗生成物をエタノールにて再結晶する事によりナトリウム {4−[N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−フルオロベンゾイル)アミノ]フェノキシ}アセテート(白色結晶)を680mg得た。
【0048】
製造例7: エチル {[1−(tert−ブチルオキシカルボニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−6−イル](4−フルオロベンゾイル)アミノ}アセテート(2.57g)のエタノール(50mL)溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(12mL)を加え室温にて5時間攪拌した。反応溶液に1M塩酸(12mL)を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後溶媒を減圧留去した。得られたカルボン酸誘導体をDMF(100mL)に溶解し、4−(4−アミノフェニル)チアゾール−2−イルアミン ジヒドロヨーダイド(2.24g)、ピリジン(0.47mL)、HOBt(0.78g)、WSC・HCl(1.1g)を順次加え室温にて18時間攪拌した。反応溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液した。更に、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=98/2)にて精製する事によりN−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−[1−(tert−ブチルオキシカルボニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−6−イル]ベンズアミドを得た。これをクロロホルム(20mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸を加えて室温にて20分攪拌した。残渣を酢酸エチルで希釈した後、1M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成体を酢酸エチル/ヘキサン/エタノール(12/4/1)で洗浄し、淡褐色固形物を966mg得た。この固形物(398mg)のクロロホルム−エタノール(1/1)溶液に4M塩化水素−酢酸エチル(1mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をイソプロピルアルコールで洗浄し、N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−6−イル)ベンズアミド 二塩酸塩(淡褐色無定型固体)を283mg得た。
製造例8: エチル {[1−(9H−フルオレニル−9−イルメチルオキシカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル](4−フルオロベンゾイル)アミノ}アセテート(2.21g)の酢酸エチル(70mL)溶液に5%Pd−C(0.22g)を加え、水素雰囲気下室温で3時間攪拌した。反応溶液をセライト濾過し、溶媒を減圧留去した。得られたカルボン酸誘導体をDMF(50mL)に溶解し、4−(4−アミノフェニル)チアゾール−2−イルアミン ジヒドロヨーダイド(1.34g)、ピリジン(0.27mL)、HOBt(0.47g)、WSC・HCl(0.67g)を順次加え室温にて5時間攪拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=98.5/1.5)にて精製する事によりN−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−[1−(9H−フルオレニルー9−イルメチルオキシカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル]ベンズアミドを得た。これをピロリジン(12mL)に溶解し、室温にて2.5時間攪拌した。反応溶液の溶媒を減圧留去し、残渣をSCG(クロロホルム/メタノール=98/2)にて精製し、クロロホルム−酢酸エチル−ヘキサン−エタノール(24/12/12/1)で洗浄し無色固体を得た。 この固体(277mg)のクロロホルム−エタノール(4mL−4mL)溶液に4M塩化水素−酢酸エチル(0.5mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をイソプロピルアルコールから再結晶して、N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−(1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンズアミド 二塩酸塩(淡黄色結晶)を229mg得た。
【0049】
製造例9: イソニコチン酸(0.12g)のDMF(30mL)溶液にCDI(0.16g)を加え、室温にて10分攪拌した。反応溶液にN−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル)ベンズアミド 二塩酸塩(390mg)のDMF(50mL)溶液を0℃にて加え、攪拌しながら1時間で緩やかに室温に昇温し、室温にて1.5時間攪拌した。反応溶液に酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)−0.16M水酸化ナトリウム水溶液(50mL)混液、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=95/5)にて精製する事により無色泡状物を293mg得た。これをクロロホルム−メタノール(10mL−10mL)に溶解し、4M塩化水素−酢酸エチル(1mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をイソプロピルアルコールから再結晶して、N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−[2−(ピリジン−4−カルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル]ベンズアミド 二塩酸塩(淡黄色結晶)を253mg得た。
製造例10: N−[(4−アセチルフェニルカルバモイル)メチル]−N−(4−フルオロフェニル)テレフタラミド(1.1g)のTHF(40mL)溶液に三臭化フェニルトリメチルアンモニウム (1.1g)を加え、室温にて2時間攪拌した。析出してきた沈殿物を濾過し、濾液を濃縮して得られた残渣をエタノール−THF(20mL−10mL)に溶解させ、チオウレア(200mg)を加えた後、3時間加熱還流した。反応溶液を濃縮後、残渣に5%炭酸カリウム水溶液、クロロホルムを加え有機層を分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール/28%アンモニア水=90/10/1−85/15/1.5)にて精製し、淡黄色無定形固体を380mg得た。これを4M塩化水素−酢酸エチルにて造塩反応に付し、N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−メトキシフェニル)テレフタラミド 一塩酸塩(淡黄色無定形固体)を220mg得た。
【0050】
製造例11: メチル N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−メトキシフェニル)テレフタラメート(800mg)のメタノール(20mL)溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(1.5mL)を加え、4時間加熱還流した。反応溶液を濃縮して得られた残渣にエタノール(20mL)、ジイソプロピルエーテル(10mL)を加え結晶を析出させた。この結晶を濾過後、ジイソプロピルエーテルにて洗浄する事によりナトリウム N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−メトキシフェニル)テレフタラメート(白色結晶)を530mg得た。
製造例12: N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−メトキシメトキシ−N−(4−メトキシフェニル)ベンズアミド(1.1g)のDMF(20mL)溶液に6M塩酸(2mL)を加え、室温にて3時間攪拌した。反応溶液に10%炭酸カリウム水溶液、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液した。更に、有機層を5%食塩水で2回洗浄、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=97/3−95/5)にて精製し、白色結晶を630mg得た。この結晶のクロロホルム−エタノール(20mL−5mL)溶液に4M塩化水素−酢酸エチル(0.5mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をエタノールから再結晶して、N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−ヒドロキシ−N−(4−メトキシフェニル)ベンズアミド 一塩酸塩(白色結晶)を470mg得た。
【0051】
製造例13:{[(1−tert−ブチルオキシカルボニル−4−ピペリジン)カルボニル](4−メトキシフェニル)アミノ}酢酸(1.20g)のDMF(50mL)溶液に4−(4−アミノフェニル)チアゾール−2−イルアミン ジヒドロヨーダイド(1.03g)、ピリジン(0.20mL)、HOBt(0.39g)、WSC・HCl(0.58g)を順次加え室温にて3日間攪拌した。反応溶液に酢酸エチルと1M水酸化ナトリウム水溶液を加えた後、有機層を分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=98.5/1.5)にて精製した。得られたアミド誘導体のクロロホルム(20mL)溶液にトリフルオロ酢酸(20mL)を加え、室温にて10分攪拌し、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、1M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。洗浄時の析出物をクロロホルム−メタノール(9/1)に溶解させたのち水洗した。有機層を合わせた後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をエタノール−酢酸エチルから再結晶し、無色結晶を160mg得た。この結晶をクロロホルム−エタノール(20mL−20mL)に溶解し4M塩化水素−酢酸エチル(0.3mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた泡状物をエタノールにて共沸した後、乾燥する事によりN−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−メトキシフェニル)−4−ピペリジンカルボキサミド 二塩酸塩(淡黄色泡状物)を150mg得た。
製造例14: N−[(4−アセチルフェニルカルバモイル)メチル]−4−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)ベンズアミド(2.0g)のTHF(40mL)溶液に三臭化フェニルトリメチルアンモニウム(2.4g)を加え、室温にて2時間攪拌した。析出してきた沈殿物を濾過し、濾液を濃縮して得られた残渣をエタノール(40mL)に溶解させ、チオアセタミド(480mg)を加えた後、1時間加熱還流した。反応溶液を濃縮後、残渣に1M水酸化ナトリウム溶液、クロロホルムを加え有機層を分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(ヘキサン/酢酸エチル=2/3)にて精製し、4−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)−N−({[4−(2−メチルチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)ベンズアミド(白色結晶)を1.1g得た。
【0052】
製造例15: N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−4−フルオロベンズアミド(480mg)のクロロホルム(20mL)溶液にピリジン(0.32mL)、無水酢酸(0.28mL)を加えた後、室温にて14時間攪拌した。更に、反応液にピリジン(0.32mL)、無水酢酸(0.28mL)、DMAP(5mg)を加えた後、室温にて2時間攪拌した。反応溶液の溶媒を減圧留去した後、残渣を酢酸エチルに溶解し、1M塩酸、水、1M水酸化ナトリウム水溶液、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をクロロホルム−メタノール(1/1)、次いでエタノールにて洗浄する事によりN−({[4−(2−アセチルアミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−4−フルオロベンズアミド(無色固体)を190mg得た。製造例16: N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−4−フルオロベンズアミド(750mg)とN−(tert−ブトキシカルボニル)グリシン(0.35g)のDMF(10mL)溶液にHOBt(0.27g)、WSC・HCl(0.38g)を順次加え室温にて55時間攪拌した。反応溶液に酢酸エチル、水を加えた後、有機層を分液した。更に、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(ヘキサン/酢酸エチル=60/40−40/60)にて精製し、tert−ブチル({[4−(4−{2−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−(4−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチルアミノ}フェニル)チアゾール−2−イル]カルバモイル}メチル)カルバメート(黄色泡状物)を670mg得た。この化合物(640mg)をトリフルオロ酢酸−クロロホルム(8mL−8mL)に溶解し、室温にて10分攪拌した。反応液の溶媒を減圧留去後、残渣をクロロホルム−メタノール(10/1)に溶解し、0.1M水酸化ナトリウム水溶液、水にて順次洗浄した。更に、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=98/2)にて精製し、淡黄色泡状物を330mg得た。これをクロロホルム−メタノール(8mL−8mL)に溶解し、4M塩化水素−酢酸エチル(0.45mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をメタノールから再結晶して、N−[({4−[2−(2−アミノアセチルアミノ)チアゾール−4−イル]フェニル}カルバモイル)メチル]−N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−4−フルオロベンズアミド 一塩酸塩(無色結晶)を196mg得た。
【0053】
製造例17: N−{[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニルカルバモイル]メチル}−4−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)ベンズアミド 一塩酸塩(200mg)を酢酸(10mL)、水(5mL)の混合溶媒に溶解し、氷冷下臭素(20μL)を加えた後、室温で5分間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチル(30mL)−飽和炭酸水素ナトリウム水(20mL)に溶解した。有機層を飽和食塩水で洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(5mL)に溶解し、4M塩化水素−酢酸エチル溶液(0.15mL)を加えて析出した固体を濾取、乾燥後メタノール−エーテルから再結晶して、N−{[4−(2−アミノ−5−ブロモチアゾール−4−イル)フェニルカルバモイル]メチル}−4−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)ベンズアミド一塩酸塩(無色粉末)を184mg得た。
製造例18: N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾチアゾール−6−イル−4−オキソシクロヘキサンカルボキシアミド(430mg)のメタノール−クロロホルム(40mL−20mL)溶液に0℃にて水素化ホウ素ナトリウム(0.19g)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応溶液に水を加えた後クロロホルムで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール/27%アンモニア水=94.8/5/0.2)にて精製した。これををクロロホルム−メタノール(10mL−10mL)に溶解し4M塩化水素−酢酸エチル(1mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をイソプロピルアルコール−酢酸エチル(3/1)から再結晶して、N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾチアゾール−6−イル−4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボキシアミド一塩酸塩(淡黄色結晶)を259mg得た。
【0054】
製造例19〜163: 製造例1と同様にして、後記表11〜27に示す、製造例19〜46、49〜62、64〜103及び105〜163の化合物を得た。また、製造例4と同様にして製造例47〜48の化合物を、製造例7と同様にして製造例63の化合物を、製造例16と同様にして製造例104の化合物をそれぞれ得た。
製造例164:<コンビナトリアルケミストリーによる合成 : 一般合成法>tert−ブチル(4−{4−[2−(4−メトキシフェニルアミノアセチルアミノ)フェニル]チアゾール−2−イル}カルバメート(13.8mg、 30μmol)のピリジン(1.0mL)溶液に、各種酸クロリドあるいはスルホニルクロリドを40から90μmol加え,室温から70oCにて1時間から12時間攪拌した。PS−トリスアミン(アルゴノート社製スカヴェンジャー・レジン、担持量3.0−5.0mmol/g)を30〜50mg加えて室温で2−5時間攪拌し、過剰量の酸クロリドあるいはスルホニルクロリドと塩化物イオンを捕獲した。PS−トリスアミンを濾過によって除き、濾過した溶液からピリジンを減圧下留去した。ピリジン塩をほとんど含まないN−({[4−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−メトキシフェニル)アミド又はスルホンアミド誘導体を10〜50mg得た。
これに4M塩化水素−酢酸エチルまたは50%トリフルオロ酢酸−塩化メチレンを0.5〜2mL加え、氷冷下から室温で1から4時間攪拌した。溶媒を留去してN−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−メトキシフェニル)アミド 又はスルホンアミド誘導体を塩酸塩若しくはトリフルオロ酢酸塩として10〜50mg得た。
純度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて確認し、純度の低い生成物はHPLC(メタノール/5mMトリフルオロ酢酸水溶液)に付した。カラムからの溶出時に同時に質量分析を行い望む分子量を有する化合物を含む溶出液のみを集め、溶媒を留去して純度を向上させた目的化合物を得た。
【0055】
<化合物の合成例:a−1>
tert−ブチル(4−{4−[2−(4−メトキシフェニルアミノアセチルアミノ)フェニル]チアゾール−2−イル}カルバメート(13.8mg)のピリジン(1.0mL)溶液にo−トルオイルクロライド(10μL)を加え,60oCにて1.5時間攪拌した。PS−トリスアミン(担持量4.61mmol/g)を33mg加えて室温で3時間攪拌し、過剰量のo−トルオイルクロライドと塩化物イオンを捕獲した。PS−トリスアミンを濾過によって除き、濾過した溶液からピリジンを減圧下留去した。ピリジン塩をほとんど含まないN−({[4−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−メトキシフェニル)−4−メチルベンズアミド16.4mgを得た。これに4M塩化水素−酢酸エチル(1.0mL)を加え、室温で2.5時間攪拌した。溶媒を留去してN−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−メトキシフェニル)−4−メチルベンズアミド 塩酸塩17.5mgを得た。
同様にして、後記表28に示すa−2〜a−28の化合物、及び表29及び30に示すb−1〜b−70の化合物を塩酸塩若しくはトリフルオロ酢酸塩として得た。
参考例化合物の物理化学的性状を表3〜10に、製造例化合物の構造並びに物理化学的性状を表11〜30に示す。
また,表31〜33本発明医薬の有効成分として好適な他の化合物(I)を具体的に示した。これらの化合物は前記製造例若しくは製造法に記載の方法と同様にして、又はそれらに当業者に自明の若干の変法を適用して容易に製造することができる。
【0056】
表中の略号は、 Ref:参考例; Ex:製造例; Co:化合物番号; Str:構造式; Sal:塩; Dat:物理化学的性状{F:FAB−MS (M+ ); F+:FAB−MS [(M+H)+]; F−:FAB−MS [(M−H)−]; A+:APCI(Atmosphere Chemical ionization)−MS [(M+H)+ ] ; E+:ESI(Electrospray ionization)−MS[(M+H)+] ; N1:1H−NMR(DMSO−d6,TMS内部標準)の特徴的ピークδppm; N2:1H−NMR(CDCl3,TMS内部標準)の特徴的ピークδppm}; Ph:フェニル; Pr:n−プロピル;iPr:イソプロピル; Ac:アセチル; tBu:tert−ブチル; iBu:イソブチル; Bu:n−ブチル; cBu:シクロブチル; Py2:2−ピリジル; Py3:3−ピリジル; Py4: 4−ピリジル; Th2:2−チエニル Th3:3−チエニル;; Fu:2−フリル; Pyr:2−ピラジニル; Naph1:1−ナフチル; cHex:シクロヘキシル;及び Pipe:4−ピペリジニルをそれぞれ示す。なお、置換基の前の数字は置換位置を示し、例えば、3,4−Cl2−5−F−Ph は、3,4−ジクロロ−5−フルオロフェニル基を示す。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
【表8】
【0063】
【表9】
【0064】
【表10】
【0065】
【表11】
【0066】
【表12】
【0067】
【表13】
【0068】
【表14】
【0069】
【表15】
【0070】
【表16】
【0071】
【表17】
【0072】
【表18】
【0073】
【表19】
【0074】
【表20】
【0075】
【表21】
【0076】
【表22】
【0077】
【表23】
【0078】
【表24】
【0079】
【表25】
【0080】
【表26】
【0081】
【表27】
【0082】
【表28】
【0083】
【表29】
【0084】
【表30】
【0085】
【表31】
【0086】
【表32】
【0087】
【表33】
【0088】
【発明の効果】
化合物(I)を有効成分として含む本発明の医薬組成物は良好な抗VZV作用を有しており、医薬殊に抗ヘルペスウイルス剤等のウイルス剤として、VZV感染に伴う水痘(水疱瘡)、潜伏したVZVの回帰感染に伴う帯状疱疹の予防若しくは治療に有用である。
また、本発明医薬組成物は、他のヘルペスウイルス(HSV−1、HSV−2等)の複製抑制活性をも有することから、HSV−1感染に伴う口唇ヘルペスやヘルペス脳炎、HSV−2感染に伴う性器ヘルペス等の各種ヘルペスウイルス感染症の予防若しくは治療にも適用でき、汎用性のある抗ヘルペスウイルス剤として有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、殊にヘルペスウイルスが関与する疾患の予防並びに治療に有用な新規アミド誘導体又はその塩を含有する医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘルペスウイルス科のウイルスはヒト及び動物に対し様々な感染症を引き起こす。例えば、水痘帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus;VZV)は、水痘、帯状疱疹を引き起こし、単純ヘルペスウイルス−1型及び−2型(herpes simplexvirus type1及び−2;HSV−1及びHSV−2)はそれぞれ口唇ヘルペス、性器ヘルペス等の感染症を引き起こすことが知られている。また近年、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)、EBウイルス(Epstein−Barr virus; EBV)、ヒトヘルペスウイルス6、7、8(human herpesvirus 6、7、8)などのへルペスウイルスが原因となる感染症も明らかにされてきている。
現在、 VZVやHSVの抗ヘルペスウイルス薬として、アシクロビル(ACV)、そのプロドラッグであるバラシクロビル(VCV)及びファンシクロビル(FCV)などの核酸系の薬剤が使用されている。これら核酸系の薬剤は、VZVやHSVがコードするウイルスチミジンキナーゼによりヌクレオシドモノホスフェートにモノリン酸化された後に、細胞の酵素によりトリホスフェート体に変換される。最終的に、トリリン酸化ヌクレオシド類縁体がヘルペスウイルスDNAポリメラーゼによるウイルスゲノムの複製中に取り込まれ、ウイルスDNA鎖の伸長反応を抑制する。この様に、既存の抗ヘルペスウイルス剤の作用メカニズムは、デオキシヌクレオシドトリホスフェートに対する“競合的阻害”効果に基づいているため、抗ウイルス効果を発揮させるには高濃度の薬剤が必要になる。実際、これらの核酸系抗ヘルペス剤の臨床投与量は1日数百mgから数gもの高用量が投与されているのが現状である。さらに核酸系の薬剤は宿主のDNAポリメラーゼにより、宿主のゲノムDNAに取り込まれ得るため、その変異原性が懸念される。
一方、最近になって、非核酸系の薬剤で抗ヘルペスウイルス活性を示す薬剤がいくつか報告されてきた。例えば、HSVヘリカーゼ−プライマーゼ酵素複合体を抑制することにより抗HSV−1活性及び抗CMV活性を有する、下式(G)で示されるN原子がチアゾリルフェニルカルバモイルメチル基等で置換されたアミド若しくはスルホンアミド誘導体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、これらの化合物の抗VZV活性については具体的に開示がない。
【化3】
(式中、Rは水素、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ等、R2は水素又は低級アルキル、Qは不在又はメチレン、R3は水素、低級アルキル等、R4は未置換若しくは置換フェニル(低級)アルキル、1−インダニル、2−インダニル、(低級シクロアルキル)−(低級アルキル)、(Het)−(低級アルキル)等、R5は、フェニルスルホニル、1−又は2−ナフチルスルホニル、(Het)−スルホニル、(未置換若しくは置換フェニル)−Y−(CH2)nC(O)、(Het)−(CH2)nC(O)等、YはO又はS、nは0,1,2。詳細は特許文献1参照。)
更に、抗HSV−1活性及び抗CMV活性を有する下式(H)で示されるN原子がチアゾリルフェニルカルバモイルメチル基で置換されたアミド若しくはスルホンアミド誘導体が開示されている(例えば、特許文献2参照)が、これらの化合物の抗VZV活性については具体的に開示が無い。
【化4】
(式中、R1はNH2、R2はH、R3はH、R4はCH2Ph、CH2−(4−ピリジル)、CH2−シクロヘキシル等、R5は、CO−(置換フェニル)、CO−(未置換若しくは置換ヘテロ環)等。詳細は当該公報参照。)
また最近、各種のヘルペスウイルスプロテアーゼの阻害剤(例えば、非特許文献1)や、HSVのプライマーゼ阻害剤であるN−(カルボニルフェニル)ベンズアミド誘導体の報告がある(例えば、特許文献3)。しかしながら、これらの非特許文献1及び特許文献3にも良好な抗VZV活性を有する化合物の開示は無い。
【0003】
【特許文献1】国際公開第97/24343号パンフレット
【特許文献2】国際公開第00/29399号パンフレット
【特許文献3】国際公開第00/58270号パンフレット
【非特許文献1】Waxman Lloyd et al, 2000年, ”Antiviral Chemistry and Chemotherapy”, 11巻,p.1−22
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
十分な抗VZV活性を有し、かつ非核酸系で投与量が少なく安全性の高い、抗ヘルペスウイルス剤の創製が切望されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、抗水痘帯状疱疹ウイルス(抗VZV)作用を有する化合物につき鋭意検討した結果、下記一般式(I)に示すように、N原子がチアゾリルフェニルカルバモイルメチル基で置換されたアミド基のN原子に、基Aとして芳香環基であるアリール又はヘテロアリール基がアルキレン鎖を介さずに直接置換している点に特徴を有する、新規なアミド誘導体(スルホンアミド誘導体を含む)が良好な抗VZV活性を有することを見出し、これを有効成分とする医薬組成物が良好な抗ヘルペスウイルス剤となりうることを知見して本発明を完成したものである。本発明医薬組成物は従来の抗ヘルペスウイルス剤に比して低用量で良好な抗ウイルス活性を有し、また核酸系薬剤とは異なり変異原性の懸念も低く安全性が高い。
【0006】
即ち、本発明は、下記一般式(I)で示される新規なアミド誘導体又はその塩と製薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【化5】
(式中の記号は以下の意味を示す。
R1、R2:同一又は異なって、−H、−低級アルキル、−低級アルケニル、−低級アルキニル、−シクロアルキル、−シクロアルケニル、−NRaRb、−NRc−NRaRb、−NRc−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−NRc−C(=NH)−NRaRb、−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−低級アルキレン−NRaRb、−低級アルキレン−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−NRaCORb、−NRaCO−ORb、−NRaCO−NRbRc、−NRaCO−低級アルキレン−NRbRc、−NRaCO−低級アルキレン−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−NRaSO2Rb、−NRaSO2−NRbRc、−NRaSO2−低級アルキレン−NRbRc、−NRaSO2−低級アルキレン−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−CONRaRb、−SO2NRaRb、−COORa、−SO2Ra、−CONRa−ORb、−OCORa、−ORa、−ハロゲン、−CORa、−NO2、−CN又は−ハロゲノ低級アルキル、
Ra,Rb及びRc:同一又は異なって、−H、−低級アルキル、−低級アルケニル、−低級アルキニル、−シクロアルキル、−シクロアルケニル、−アリール、−5乃至6員単環ヘテロアリール、又は−低級アルキレン−アリール、
A:−置換基を有していてもよいアリール、−置換基を有していてもよいヘテロアリール、−置換基を有していてもよい飽和炭素環縮合アリール、又は−置換基を有していてもよい飽和複素環縮合アリール、但し、飽和炭素環縮合アリール及び飽和複素環縮合アリールは、芳香環のC原子を介して隣接するN原子に結合する、
X:CO又はSO2、
R3:−置換基を有していてもよいアルキル、−置換基を有していてもよいアルケニル、−置換基を有していてもよいアルキニル、−置換基を有していてもよいシクロアルキル、−置換基を有していてもよいシクロアルケニル、−置換基を有していてもよいアリール、−置換基を有していてもよいヘテロ環、−NRaRb、又は、隣接する基−N(A)−X−と一体となって下式で示される基を形成してもよい、
【化6】
Y:O、S、結合又はCH2、
R3a:−H、−置換基を有していてもよいシクロアルキル、−置換基を有していてもよいシクロアルケニル、−置換基を有していてもよいアリール又は−置換基を有していてもよいヘテロ環、及び
A’、B:同一又は異なって、置換基を有していてもよいベンゼン環。以下同様。)
殊に、本発明は、経口剤もしくは外用剤である医薬組成物に関する。中でも、抗ヘルペスウイルス剤、殊に抗VZV剤である医薬組成物に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
一般式(I)の化合物をさらに説明する。
本明細書中,「低級」なる語は,炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖を意味する。「低級アルキル」としては,好ましくは炭素数1乃至4個のアルキル基であり、特に好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル基及びtert−ブチル基である。「低級アルケニル」としては、好ましくは炭素数2乃至5個のアルケニル基であり、特に好ましくはビニル,アリル,1−プロペニル,イソプロペニル,1−ブテニル,2−ブテニル及び3−ブテニル基である。「低級アルキニル」としては,好ましくは炭素数2乃至5個のアルキニル基であり、特に好ましくは、エチニル,1−プロピニル,2−プロピニル,1−ブチニル,2−ブチニル,3−ブチニル及び1−メチル−2−プロピニル基である。また、「低級アルキレン」としては、好ましくは炭素数1乃至3個のアルキレン基であり、特に好ましくは、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン及びジメチルメチレン基である。
【0008】
「アルキル」としては、好ましくは炭素数1〜10個の直鎖状又は分枝状のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、2,2−ジエチルプロピル、n−オクチル及びn−デシル基が挙げられる。「アルケニル」及び「アルキニル」としては、好ましくは炭素数2〜10個の直鎖状又は分枝状の基である。
「アリール」としては、芳香族炭化水素環基を意味し、炭素数6乃至14個のアリール基が好ましく、より好ましくはフェニル及びナフチル基である。「シクロアルキル」としては,架橋を有していてもよい炭素数3〜10個のシクロアルキル基であり、好ましくはシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びアダマンチル基である。「シクロアルケニル」としては,好ましくは炭素数3〜10個のシクロアルケニル基であり、特に好ましくはシクロペンテニル及びシクロヘキセニル基である。「飽和炭素環縮合アリール」としては、ベンゼン環又はナフタレン環とC5−6飽和炭素環が縮合した縮合環基であり、好ましくはインダニル、テトラヒドロナフチルである。
【0009】
「ヘテロ環」としては、N,S,Oから選択されるヘテロ原子を1乃至4個含有する飽和若しくは不飽和の5乃至8員ヘテロ環であって、単環又はヘテロ環若しくは炭素環と縮合し2乃至3環式縮合環を形成していてもよい。好ましくは、後記の「ヘテロアリール」、「5乃至8員単環飽和複素環」及び「飽和複素環縮合アリール」である。
「5乃至6員単環ヘテロアリール」としては、N,S,Oから選択されるヘテロ原子を1乃至4個含有する5乃至6員単環ヘテロアリールであり、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル及びトリアジニルが好ましい。「ヘテロアリール」としては、前記5乃至6員単環ヘテロアリール、並びにベンゼン環と若しくはヘテロアリール環同士が縮合した2乃至3環式ヘテロアリールである。ここに、単環ヘテロアリールとしては、前記のものが好ましく、2乃至3環式ヘテロアリールとしては、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾジオキソリル、イミダゾピリジル、インドリジニル、カルバゾリル、ジベンゾフラニル及びジベンゾチエニル基が好ましい。
【0010】
「5乃至8員単環飽和複素環」は、N,S,Oから選択されるヘテロ原子を1乃至4個含有し、架橋を有していてもよい5乃至8員単環飽和複素環であり、好ましくは、テトラヒドロ−2H−ピラニル、テトラヒドロ−2H−チオピラニル、チエパニル、チオカニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、ピペリジニル及びモルホリニル基である。更に好ましくは5乃至7員環の基である。また、「含窒素飽和複素環」は、前記「5乃至8員単環飽和複素環」のうち、少なくとも1つの環窒素原子を有する基であり、好ましくは、ピペリジノ、モルホリノ、1−ピペラジニル及び1−ピロリジニルが挙げられる。
「飽和複素環縮合アリール」としては、前記5乃至8員単環飽和複素環とベンゼン環又はナフタレン環が縮合した縮合環基であり、好ましくは、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジニル、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、クロマニル、イソクロマニル、3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾチオピラニル、3,4−ジヒドロ−1H−2−ベンゾチオピラニル、インドリニル、イソインドリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル及び1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル基である。
A環が「飽和炭素環縮合アリール」又は「飽和複素環縮合アリール」のとき、A環は芳香環のC原子を介して隣接するアミド基のN原子に結合する。
「ハロゲン」としては、F,Cl,Br及びI原子が挙げられる。「ハロゲノ低級アルキル」としては、前記ハロゲンが1以上置換した前記低級アルキルであり、好ましくは−CF3である。
【0011】
置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル及び置換基を有していてもよいアルキニルにおける置換基としては,好ましくは下記C群から選択される1〜4個の置換基である。
C群:−シクロアルキル、−シクロアルケニル、−アリール、−NRaRb、−NRc−NRaRb、−(−低級アルキル、−低級アルキレン−COORa及び−NRaRbから選択される置換基を有していてもよい含窒素飽和複素環)、−NRc−(−低級アルキル、−低級アルキレン−COORa及び−NRaRbから選択される置換基を有していてもよい含窒素飽和複素環)、−O−低級アルキレン−NRaRb、−O−低級アルキレン−(−低級アルキル、−低級アルキレン−COORa及び−NRaRbから選択される置換基を有していてもよい含窒素飽和複素環)、−O−低級アルキレン−ORa、−O−低級アルキル−COORa、−COORa、−ハロゲン、−CORa、−NO2、−CN、−ORa、−O−(ハロゲノ低級アルキル)、−SRa、−SORa、−SO2Ra、−CO−NRaRb、−CO−(−低級アルキル、−低級アルキレン−COORa及び−NRaRbから選択される置換基を有していてもよい含窒素飽和複素環)、−NRa−CORb、−SO2NRaRb及び=O(オキソ)(式中、Ra、Rb、Rcは前記の通り)。
【0012】
置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよい飽和炭素環縮合アリール、置換基を有していてもよい飽和複素環縮合アリール、置換基を有していてもよいヘテロ環及び置換基を有していてもよいベンゼン環における置換基としては,好ましくは下記D群から選択される1〜5個の置換基である。
D群:−(−ORa、−SRa、−CN、−COORa、−CONRa、−NRaRb及び−(−低級アルキル、−低級アルキレン−COORa及び−NRaRbから選択される置換基を有していてもよい含窒素飽和複素環)から選択される置換基を有していてもよい低級アルキル)、−低級アルケニル、−低級アルキニル、−ハロゲノ低級アルキル、5乃至6員単環ヘテロアリール及び前記C群に記載の置換基。
【0013】
更に好ましくは、下記D1群から選択される1〜4個の基である。
D1群:−低級アルキル、−フェニル、−ハロゲノ低級アルキル、−COOH、−COO−低級アルキル、−ハロゲン、−NO2、−CN、−OH、−O−低級アルキル、−O−ハロゲノ低級アルキル、−O−低級アルキレン−O−低級アルキル、−O−低級アルキレン−COOH、−O−低級アルキレン−COO−低級アルキル、−O−低級アルキレン−NH2、−O−低級アルキレン−NH−低級アルキル、−O−低級アルキレン−N(低級アルキル)2、−O−低級アルキレン−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−NH2、−NH−低級アルキル、−N(低級アルキル)2、−(−低級アルキル及び−低級アルキレン−COORaから選択される置換基を有していてもよい含窒素飽和複素環)、−NHCO−低級アルキル、−N(低級アルキル)CO−低級アルキル、−CONH2、−CONH−低級アルキル、−CON(低級アルキル)2、=O(オキソ)、−SH、−S−低級アルキル、−SO−低級アルキル及び−SO2−低級アルキル基。
S原子を含む飽和複素環を包含する化合物において、当該飽和複素環のS原子がオキシド(SO)又はジオキシド(SO2)を形成していてもよい。
R3が隣接する基−N(A)−X−と一体となって形成する基としては、好ましくは、以下の基が挙げられる。
【0014】
【化7】
(式中、R3aは−H、又はD1群から選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよい、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、飽和炭素環縮合アリール、飽和複素環縮合アリール、ヘテロアリール若しくは5乃至8員単環飽和複素環であり、Rd及びReは同一又は異なって、−H、−低級アルキル、−ハロゲン、−OH又は−O−低級アルキルを示す。)
【0015】
本発明医薬組成物の有効成分である化合物(I)中、好ましい化合物を以下に示す。
(1)R1、R2が、同一又は異なって、−H、−低級アルキル、−低級アルケニル、−低級アルキニル、−NRaRb、−NRc−NRaRb、−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−NRc−C(=NH)−NRaRb、−NRaCORb、−NRaCO−ORb、−NRaCO−NRbRc、−NRaCO−低級アルキレン−NRbRc又は−NRaCO−低級アルキレン−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)であり、
Aが、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよいアリール、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよいヘテロアリール、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよい飽和炭素環縮合アリール又はD群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよい飽和複素環縮合アリールであり、
R3が、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよいシクロアルキル、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよいシクロアルケニル、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよいアリール、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよい飽和複素環縮合アリール、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよいヘテロアリール又はD群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよい5乃至8員単環飽和複素環である化合物。
【0016】
(2)Aが、フェニル及びナフチルから選択されるアリール;ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾジオキソリル、イミダゾピリジル及びインドリジニル基から選択されるヘテロアリール;4−インダニル、5−インダニル、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル及び5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イルから選択される飽和炭素環縮合アリール;又は3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジニル、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、クロマニル、イソクロマニル、3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾチオピラニル、3,4−ジヒドロ−1H−2−ベンゾチオピラニル、インドリニル、イソインドリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル及び1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル基から選択される飽和複素環縮合アリールであって、前記アリール、ヘテロアリール、飽和炭素環縮合アリール若しくは飽和複素環縮合アリールは、それぞれD1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよく、
R3が、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいシクロアルキル、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいシクロアルケニル、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいアリール、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよい飽和複素環縮合アリール、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいヘテロアリール又はD1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよい5乃至8員単環飽和複素環である化合物。
【0017】
(3)Aが、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいアリール、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいヘテロアリール又はD1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよい飽和複素環縮合フェニルであり、
R3が、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいシクロアルキル、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいシクロアルケニル、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいアリール、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよい飽和複素環縮合フェニル、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいヘテロアリール又はD1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよい5乃至8員単環飽和複素環である化合物。
(4)XがCOである化合物。
(5)R1が−NH2、かつR2が−Hである化合物。
(6)Aが、−低級アルキル、−CF3、−ハロゲン、−OH、−SH、−S−低級アルキル及び−O−低級アルキルからなる群から選択される1乃至3個の置換基を有していてもよい、フェニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、インドリル、キノリル及び5−インダニルから選択される基;又は1〜2個の=O(オキソ)で置換されていてもよい、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジニル、3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル及びインドリニル基から選択される基であり、
R3が、ハロゲン、−CN及び−OHからなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、キノリル及びテトラヒドロ−2H−ピラニルから選択される基;又はオキシド又はジオキシドを形成していてもよい、テトラヒドロ−2H−チオピラニル及び3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾチオピラニルから選択される基である化合物。
(7)Aが、−低級アルキル、−ハロゲン及び−O−低級アルキルからなる群から選択される1乃至3個の置換基を有していてもよい、フェニル、インドリル、ベンゾチエニル及びベンゾチアゾリルから選択される基であり、
R3が、ハロゲン、−CN及び−OHからなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい、シクロヘキシル及びフェニルから選択される基;又はジオキシドを形成していてもよいテトラヒドロ−2H−チオピラニル基である化合物。
【0018】
(7)以下に列記する化合物又はその塩。
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾチアゾール−5−イル−4−フロオロベンズアミド
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾチアゾール−6−イル−4−フロオロベンズアミド、
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾチアゾール−5−イル−4−フロオロシクロヘキサ−3−エンカルボキサミド、
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾチアゾール−5−イル−4,4−ジフロオロシクロヘキサンカルボキサミド、
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−インダン−5−イルテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド、
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−シアノ−N−(4−メトキシフェニル)シクロヘキサンカルボキサアミド、
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾ[b]チオフェン−5−イルテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド、
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2,6−ジメチルフェニル)テドラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド、
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2,4−ジメチルフェニル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド。
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−ブロモ−2−メチルフェニル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド、
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(3−メチルベンゾ[b]チオフェン−5−イル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド、
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2,4,6−トリメチルフェニル)テドラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド、
トランス−N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾフラン−5−イル−4−シアノシクロヘキサンカルボキサミド、及び
N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2−クロロ−6−メチルフェニル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド。
【0019】
化合物(I)の塩としては製薬学的に許容される塩である。酸付加塩としては,具体的には塩酸,臭化水素酸,ヨウ化水素酸,硫酸,硝酸,リン酸等の無機酸,ギ酸,酢酸,プロピオン酸,シュウ酸,マロン酸,コハク酸,フマル酸,マレイン酸,乳酸,リンゴ酸,酒石酸,クエン酸,メタンスルホン酸,エタンスルホン酸,アスパラギン酸,グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩等が挙げられる。また、置換基の種類によっては、塩基との塩を形成する場合もあり、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の金属を含む無機塩基、あるいはメチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リジン、オルニチン等の有機塩基との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
【0020】
化合物(I)には、置換基の種類によっては,各種の異性体、例えばシス−トランス等の幾何異性体やケト−エノール等の互変異性体が存在する場合があるが、本発明にはこれらの異性体の分離したもの、あるいは混合物が包含される。更に化合物(I)は、不斉炭素原子を有する場合があり、不斉炭素原子に基づく異性体が存在しうる。化合物(I)はこれらの異性体の混合物や単離されたものを包含する。また、化合物(I)は、置換基の種類によっては、N−オキシドを形成する場合もあり、これらのN−オキシド体も包含される。更に化合物(I)の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形の物質をも包含される。なお、化合物(I)には、生体内において代謝されて化合物(I)またはその塩に変換される化合物、いわゆるプロドラッグもすべて包含される。このプロドラッグを形成する基としては、Prog. Med. 5:2157−2161(1985)に記載されている基や廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻 分子設計163−198に記載されている基が挙げられる。
【0021】
本発明の有効成分である化合物(I)の代表的な製造方法を以下に説明する。なお、以下の製造方法において、官能基の種類によっては,当該官能基を原料ないし中間体の段階で適当な保護基,すなわち容易に当該官能基に転化可能な基に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。しかるのち,必要に応じて保護基を除去し,所望の化合物を得ることができる。このような官能基としては例えばアミノ基、水酸基、カルボキシル基等を挙げることができ,それらの保護基としては例えば、Protective Groups in Organic Synthesis 第3版(T.W. GreenおよびP. G. M. Wuts著、JOHN WILLY & SONS, INC.発行)に記載の保護基を挙げることができ,これらを反応条件に応じて適宜用いればよい。保護基の導入及び脱保護は当該参考書記載の方法を適時適用できる。
【0022】
【化8】
第一製法
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化合物(I)はカルボン酸化合物(III)とチアゾリルアニリン誘導体(II)をアミド化反応に付すことによって容易に製造できる。
アミド化反応は常法により行うことができ、例えば、日本化学会編「実験化学講座」第4版(丸善) 22巻p137〜173に記載の方法を適用できる。好ましくは、カルボン酸化合物(III)を反応性誘導体、例えば酸ハロゲン化物(酸クロリド等)又は酸無水物に変換した後、チアゾリルアニリン誘導体(II)に反応させることにより行うことができる。カルボン酸の反応性誘導体を用いる場合、塩基(水酸化ナトリウム等の無機塩基、又は、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基)を添加することが好ましい。更に、アミド化はカルボン酸を、縮合剤(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)、1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール(CDI)等)の存在下に反応させることにより行うこともできる。その際、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)等の添加剤を加えてもよい。反応温度は、原料化合物に応じて適宜選択できる。溶媒は、反応に不活性な溶媒、例えばベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、ピリジン等の塩基性溶媒等が挙げられる。溶媒は原料化合物の種類等に従い適宜選択され、単独で、又は2種以上混合して用いられる。
【0023】
第二製法
【化9】
(式中、halはハロゲンを示す。以下同様。)
本製法は、一般式(IV)で示されるα−ハロゲン化ケトンを化合物(V)との環化反応に付すことにより化合物(I)を得る方法である。本環化反応は、常法により行うことができ、例えば、Tetrahedron Lett., 9, 24, 1959、及び、The Chemistry of Heterocyclic Compounds ”Thiazole and its Derivatives 1, 2” (J.V.Metzger著:John Eiley & Sons社)に記載の方法を適用できる。
好ましくは、原料化合物であるα−ハロゲン化ケトン(IV)を溶媒中あるいは溶媒を用いずに化合物(V)と冷却下乃至加熱下反応させることにより行うことができる。溶媒としては、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のカルボニル系溶媒、前出のエーテル系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒及びアミド系溶媒等を用いることができる。これらの溶媒は単独で、又は2種以上混合して用いられる。溶媒は原料化合物の種類等に従い適宜選択されるべきである。反応の際、塩基(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、TEA等)を添加することにより反応が円滑に進行することがある。
【0024】
第三製法
【化10】
本製法は、一般式(VI)で示されるアミン化合物とカルボン酸若しくはスルホン酸化合物(VII)とをアミド化若しくはスルホンアミド化反応に付すことにより化合物(I)を得る方法である。
アミド化は第一製法と同様にして行うことができる。
【0025】
スルホンアミド化反応は常法によりアミン化合物(VI)に化合物(VII)のスルホン酸反応性誘導体を作用させることにより行うことができる。スルホン酸の反応性誘導体としては、酸ハロゲン化物(酸クロリド、酸ブロミド等)、酸無水物(2分子のスルホン酸より調整されるスルホン酸無水物)、酸アジド等が挙げられる。このようなスルホン酸の反応性誘導体は、通常行われる一般的方法に従って、対応するスルホン酸から容易に得ることができる。反応性誘導体として酸ハロゲン化物を用いる場合には、塩基(水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基、又は、ピリジン、TEA、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基)の存在下行う事が好ましい。酸無水物、酸アジド等の反応性誘導体と反応させる場合には、塩基の非存在下反応を行うことができる。場合によっては、水素化ナトリウム等の無機塩基、又は、TEA、ピリジン、2,6−ルチジン等の有機塩基の存在下反応を行っても良い。反応温度はスルホン酸反応性誘導体の種類等に従い適宜選択される。溶媒は、反応に不活性な溶媒、例えば前記第一製法のアミド化に例示される溶媒を用いることができる。
また、置換基の種類によっては、更に当業者によく知られる置換基修飾反応に付して所望の化合物(I)を製造することができる。例えば、前述のアミド化及びスルホンアミド化や日本化学会編「実験化学講座」(丸善)に記載のN−アルキル化等の公知の反応を適宜適用できる。また、反応順序は、目的化合物、採用する反応の種類に応じて、適宜変更されてもよい。
【0026】
前記の各原料化合物は、公知の反応、例えば日本化学会編「実験化学講座」(丸善)に記載の反応等を用いて、容易に製造することができる。以下にその代表的な製法を示す。
【化11】
(式中、Rは低級アルキル、アラルキル等のエステル残基を形成しうる基を、Pはフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)等のアミノ基の保護基をそれぞれ意味する。)
上記反応経路図中、アミド化は前記第一製法記載の方法と同様にして、環化は第二製法記載の方法と同様にして、また、スルホンアミド化は第三製法に記載の方法と同様にして行うことができる。
化合物(X)のN−アルキル化は、ハロゲン化アルキル化合物(XI)を用いて、常法、例えば、前出の「実験化学講座」第4版(丸善) 20巻p279〜318記載の方法により行うことができる。反応温度は冷却下乃至加熱下行うことができ、溶媒は反応に不活性な溶媒、例えば前記第一製法のアミド化に例示される溶媒等が挙げられる。反応は、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の塩基の存在下行うことが好ましい。
【0027】
カルボン酸化合物(III)を得るための脱保護は、エステルの種類に応じて適宜常法を適用して行うことができる。好ましくは、エチルエステル等のアルキルエステルの場合は、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基で処理することにより、ベンジルエステル等のアラルキルエステルの場合は水素雰囲気下パラジウム−炭素(Pd−C)で還元することにより行うことができる。反応は、前記Protective Groups in Organic Synthesis 第3版記載の方法に準じて行うことができる。α−ハロゲン化ケトン化合物(IV)は、アシル化合物(XV)を常法によりハロゲン化することにより合成することができる。ハロゲン化試薬としては、例えば塩素、臭素、ヨウ素、臭化銅(II)、ヨウ素酸カリウム、三臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、三臭化フェニルトリメチルアンモニウム、三臭化テトラブチルアンモニウム、塩化スルフリル、トリメチルシリルクロリド、トリメチルシリルブロミド、5,5−ジブロモバルビツール酸等を挙げることができ、溶媒としては反応に不活性な溶媒、例えば酢酸、臭化水素酸/酢酸等の酸性溶媒、前出のアルコール系溶媒、エーテル系溶媒を挙げることができる。反応温度は、冷却下乃至加熱下行うことができる。
【0028】
アミン化合物(VI)を得るための脱保護は、保護基の種類に応じて適宜常法を用いて実施される。例えば、前記Protective Groups in Organic Synthesis 第3版、503〜572頁記載の方法を適用できる。
また、置換基の種類によっては、更に当業者によく知られる置換基修飾反応に付して、所望の原料化合物を製造することができる。
このようにして製造された化合物(I)は、遊離のまま、又は常法による造塩処理を施し、その塩として単離・精製される。単離・精製は抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィー等の通常の化学操作を適応して行われる。
各種の異性体は異性体間の物理化学的な性質の差を利用して常法により単離できる。例えば、ラセミ化合物は一般的な光学分割法により[例えば、一般的な光学活性酸(酒石酸等)とのジアステレオマー塩に導き、光学分割する方法等]立体的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオマーの混合物は、例えば分別結晶化又はクロマトグラフィー等により分離できる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
【0029】
一般式(I)で示された化合物の1種又は2種以上を有効成分として含有する本発明の医薬組成物は,当分野において通常用いられている薬剤用担体,賦形剤等を用いて通常使用されている方法によって調製することができる。投与は錠剤,丸剤,カプセル剤,顆粒剤,散剤,液剤等による経口投与,又は,静注,筋注等の注射剤,軟膏剤,硬膏剤,クリーム剤,ゼリー剤,パップ剤,噴霧剤,ローション剤,点眼剤,眼軟膏等の外用剤,坐剤,吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
【0030】
本発明による経口投与のための固体組成物としては,錠剤,散剤,顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては,一つ又はそれ以上の活性物質が,少なくとも一つの不活性な賦形剤,例えば乳糖,マンニトール,ブドウ糖,ヒドロキシプロピルセルロース,微結晶セルロース,デンプン,ポリビニルピロリドン,メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は,常法に従って,不活性な添加剤,例えばステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤やカルボキシメチルスターチナトリウム等の崩壊剤,溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性コーティング剤で被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は,薬剤的に許容される乳剤,液剤,懸濁剤,シロップ剤,エリキシル剤等を包含し,一般的に用いられる不活性な溶剤,例えば精製水,エタノール等を用いることができる。この組成物は不活性な溶剤以外に可溶化剤、湿潤剤,懸濁化剤のような補助剤,甘味剤,矯味剤,芳香剤,防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては,無菌の水性又は非水性の液剤,懸濁剤,乳剤を包含する。水性の溶剤としては,例えば注射用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水性の溶剤としては,例えばプロピレングリコール,ポリエチレングリコール,オリーブ油のような植物油,エタノールのようなアルコール類,ポリソルベート80(商品名)等がある。このような組成物は,さらに等張化剤、防腐剤,湿潤剤,乳化剤,分散剤,安定化剤,溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過,殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し,使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解、懸濁して使用することもできる。
【0031】
外用剤としては,軟膏剤,硬膏剤,クリーム剤,ゼリー剤,パップ剤,噴霧剤,ローション剤,点眼剤,眼軟膏等を包含する。一般に用いられる軟膏基剤、ローション基剤、水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤等を含有する。例えば、軟膏又はローション基剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、白色ワセリン、サラシミツロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウロマクロゴール、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
【0032】
通常、経口投与の場合,化合物(I)の1日の投与量は,体重当たり約0.001から50mg/kg,好ましくは0.01〜30mg/kgが、静脈投与される場合,1日の投与量は,体重当たり約0.0001から10mg/kgがそれぞれ適当であり,これを1日1回乃至複数回に分けて投与する。投与量は症状,年令,性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。また、外用剤として用いる場合は、化合物(I)を0.0001〜20%、好ましくは0.01〜10%を含む外用剤が好ましい。これを1日1〜数回、症状に応じて局所に投与する。
本発明の医薬組成物は、他の薬剤と適宜併用してもよく、併用可能な薬剤としては、例えば、ACV、VCV、FCV、ペンシクロビル(PCV)、ビダラビン(ara−A)、BVDU(ブロモビニルデオキシウリジン)、フォスカーネット(PFA)、ガンシクロビル(GCV)等の他の抗ヘルペスウイルス剤;アミトリプチリン(3環系抗うつ薬)、ガバペンチン(抗痙攣薬)、リドカイン及びメキシレチン(抗不整脈薬)、カプサイシン等の帯状疱疹後神経痛の鎮痛剤;インドメタシン、イブプロフェン、セレコキシブ等の消炎鎮痛剤が挙げられる。
【0033】
【実施例】
以下,実施例に基づき本発明を更に詳細に説明する。
実施例1 抗 VZV 活性試験
実験は、Shigeta S. The Journal of Infectious Diseases, 147, 3, 576−584, (1983)記載の方法に従って実施した。具体的には、10,000個のHEF細胞を増殖培地を用いて96ウェル・ミクロタイター・プレートに播き、37℃、5%CO2下で4日間、monolayerとなるまで培養した。細胞を維持培地で洗浄後に、20〜30pfu/100μLとなるように維持培地で希釈したVZV(CaQu株)を100μL/ウェルずつ接種した。プレートを2000rpmで20分間室温で遠心後、37℃、5%CO2下で3時間保温し、VZVを感染させた。維持培地100μL/ウェルで3回洗浄後、維持培地で希釈された適当な濃度の試験薬剤100μLを各ウェルに添加した。細胞を37℃、5%CO2下で3〜4日間培養した後に、10%ホルマリン/PBSを100μL/ウェル加え、2〜3時間細胞を固定した。固定液と培養上清を捨てて、プレートを水洗した後、染色液(0.025% クリスタルバイオレット)を50μL/ウェルずつ添加し、2〜3分間染色後、水洗を行い37℃でプレートを乾燥させた。VZVに感染したHEF細胞が細胞死を起こし、monolayerのHEF細胞中に死細胞よりなるプラークが形成される。顕微鏡でプラーク数を計測し、試験薬剤のEC50値をこのプラークを50%抑制する濃度として算出した。
本発明医薬組成物の有効成分である化合物(I)のEC50値(μM)を下表に示す。化合物(I)はアシクロビルや公知のチアゾリルフェニルカルバモイルメチル置換アミド誘導体(比較化合物a及びb)に比して、良好なVZVに対する抗ウイルス作用を有していた。
【0034】
【表1】
【0035】
実施例2 HSV−1 複製抑制試験
10,000個のMRC−5細胞 (ATCC)を 増殖培地 (10%(v/v)のウシ胎児血清(FBS、シグマ社)を補給したEagle MEM(ニッスイ社))を用いて96ウェル・ミクロタイター・プレートに播き、37℃、5%CO2下で4−5日間、monolayerとなるまで培養した。細胞を維持培地(2%(v/v)のFBSを補給したEagle MEM)で洗浄後に、各ウェルに適当な濃度の試験試薬が溶解された100μLの維持培地を添加した。試験薬剤の添加直後に、50 TCID50(50% tissue culture infectious dose)/100μLのHSV−1 (KOS株)液を接種した。
細胞を37℃、5%CO2下で5日間培養した後に、 MTT(3−(4,5−Dimethyl−2−thiazolyl)−2,5−diphenyl−2H−tetrazolium bromide, シグマ社)溶液(7.5mg/mlにPBSで希釈)を各ウェルに20μLを添加し、さらに24時間インキュベートした。その後、培地を除去し、溶出液(イソプロパノールに10%Triton×100(v/v)と0.4%塩酸を添加)100μLを各ウェルに添加し、産生されたホルマザンを可溶化した。マイクロプレートリーダーで540nmおよび690nmを測定し、HSV−1の複製によるMRC−5細胞の細胞死の抑制率(%)から、試験薬剤のEC50値を算出した。結果を下表に示す。
【表2】
【0036】
実施例3 HSV−1 皮膚感染マウスモデル( in vivo 試験)
(経口剤)
H.Machidaらの方法(Antiviral Res. 1992 17 133−143)に準じたHSV−1皮膚感染マウスモデルを用いて本発明医薬組成物のin vivo作用を試験した。HR−1無毛マウスの皮膚を注射針で縦横数回擦過した部位に、ウイルス液(HSV−1 WT−51株 1.5 x 104 PFU)を滴下し浸透させることによりHSV−1を感染させた。本願医薬組成物(製造例49の化合物又は製造例87の化合物のメチルセルロース懸濁液)を、25mg/kgの用量で1日2回5日間、経口投与した。HSV−1感染による皮膚病変部の症状を7段階にスコア化し21日間評価すると共に、マウスの生存日数も検討した。その結果、プラセボ群では、感染4日後から皮膚病変部の症状の悪化によるスコアの上昇が観察され、7日後には平均病変スコアが6を越え、その生存日数は10日以下であった。一方、本願組成物投与群は病変の出現をほぼ完全に抑え、評価期間中病変スコアは1以下であった。また、生存日数の延長が認められ、評価期間中の死亡例はみられなかった。
また、製造例119、122、127、131、150、161及び163の化合物の20%CremophorEL(ナカライテスク)/20%ポリエチレングリコール(PEG)400/60%H2O溶液である本発明医薬組成物を、10mg/kgもしくは12.5mg/kgの用量で同様に経口投与した。その結果、平均病変スコアは評価期間中、2未満であり、これらの組成物が病変部の症状悪化を良好に抑制することが確認された。
【0037】
(外用剤)
本願医薬組成物(製造例49の化合物又は製造例119の化合物のPEG 400溶液 50mg/ml)250μlを、感染1時間後より1日1回5日間皮膚へ塗布した以外は上記と同様に行った。HSV−1感染による皮膚病変部の症状を7段階にスコア化し評価した。
その結果、プラセボ群では、感染4日後から皮膚病変部の症状の悪化によるスコアの上昇が観察され、7日後には平均病変スコアが5を越えた。一方、本願組成物投与群は病変の出現を抑制し、評価期間中病変スコアは3以下であった。
以上の通り、in vivo動物モデルにおいて経口並びに局所投与された本発明医薬組成物は、従来の抗ヘルペスウイルス剤に比して少ない投与量においても良好な抗ヘルペスウイルス活性を有することが確認された。
【0038】
実施例4(皮膚透過性試験)
HR−1無毛マウス(ヘアレスマウス)を屠殺後、腹部の皮膚を摘出し、皮下脂肪を取り除いた後、flow−through型拡散セル(有効表面積:5cm2)に装着した。レセプター側には、40% PEG 400 / PBS溶液を満たし、ドナー側に製造例49、85又は119の化合物を10mg/ml含む40% PEG 400 / PBS溶液3mlを投与した。24時間後にレセプター側の溶液を回収し、レセプター側に移行した薬物量をHPLCにより測定した。
製造例49、85及び119の化合物の皮膚透過性は、それぞれ0.83、0.70及び0.43μg/cm2であり、十分な皮膚透過性を有することが確認された。
【0039】
化合物(I)をPEG 400に溶解もしくは一部懸濁させた後に、PEG 4000、メチルパラベン、プロピルパラベンを加え、80℃に加温する。これらを十分に攪拌した後、室温まで冷却し、本発明軟膏剤を製造した。
【0040】
以下に化合物(I)の製造例、並びに化合物(I)の原料化合物の製造例を参考例として示す。
参考例1: アニリンのDMF溶液に炭酸カリウムとエチル ブロモアセテートを加え加熱攪拌した。反応混合物に水、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去し粗生成物を得た。これをクロロホルムに溶解し、TEA、4−フルオロベンゾイルクロライド及びジメチルアミノピリジン(DMAP)を加え攪拌した。反応溶液に1M塩酸を加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(以下SCGと略記する)にて精製し、エチル [(4−フルオロベンゾイル)フェニルアミノ]アセテート(無色油状物)を得た。
参考例2: エチル (4−アミノフェノキシ)アセテートのDMF溶液に炭酸カリウム、ベンジル ブロモアセテートを加え加熱攪拌した。反応混合物に水、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物のジクロロメタン溶液にTEAを加え、氷冷下4−フルオロベンゾイルクロライドを滴下し、反応溶液を攪拌した。反応溶液に1M塩酸を加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、エチル{4−[ベンジルオキシカルボニルメチル−(4−フルオロベンゾイル)アミノ]フェノキシ}アセテート(無色油状物)を得た。
参考例3: 6−アミノキノリンとジ−tert−ブチル ジカーボネートとDMAPの混合物を加熱攪拌した。反応混合物に1,4−ジオキサンと1M水酸化ナトリウム水溶液を加え攪拌した。反応溶液に酢酸エチルを加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、6−(tert−ブチルオキシカルボニル)アミノキノリンを得た。これをエタノールに溶解し、20%水酸化パラジウム炭素を加え水素雰囲気下攪拌した。反応溶液を濾過後、溶媒を減圧留去し、テトラヒドロキノリン化合物を得た。これを1,4−ジオキサンに溶解し、9H−フルオレニル−9−イルメチル クロロホルメートと10%炭酸水素ナトリウム水溶液を加え攪拌した。反応溶液に酢酸エチルと水を加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をクロロホルムに溶解し、トリフルオロ酢酸を加え攪拌した。溶媒を減圧留去し、残渣に酢酸エチルを加え、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、9H−フルオレニル−9−イルメチル 6−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−1−カルボキシレートを得た。これをアセトニトリルに溶解し、炭酸カリウムとベンゾイル ブロモアセテートを加え加熱攪拌した。反応混合物を濾過し、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製した。これをピリジンに溶解し、ジクロロメタンと4−フルオロベンゾイルクロライドを加え攪拌した。反応溶液に酢酸エチルと水を加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、エチル {[1−(9H−フルオレニル−9−イルメチルオキシカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル](4−フルオロベンゾイル)アミノ}アセテート(淡黄色泡状物)を得た。
【0041】
参考例4: 6−アミノ−1−インダノンのDMF溶液に炭酸カリウム、エチル ブロモアセテートを加え加熱攪拌した。反応混合物に酢酸エチルを加えた後濾過し、有機層を洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去し、エステル化合物を得た。これをクロロホルムに溶解し、TEAと4−フルオロベンゾイルクロライドを加え攪拌した。次いで反応溶液にTEAと4−フルオロベンゾイルクロライドを加え攪拌した。反応溶液に酢酸エチルを加え濾過した後、濾液の溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製した。これをエタノールに溶解し、水素化ホウ素ナトリウムを加え攪拌した。次いで反応溶液に水素化ホウ素ナトリウムとメタノールを加え攪拌した。反応溶液に水とクロロホルムを加え有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をSCGにて精製し、エチル [(4−フルオロベンゾイル)(3−ヒドロキシインダン−5−イル)アミノ]アセテート(黄色油状物)を得た。
参考例5: 2−クロロピリジンとエチル アミノアセテート ヒドロクロライドの混合物を加熱攪拌した。反応混合物に酢酸エチル及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後分離し、有機層を洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製した。これをジクロロメタンに溶解し、ピリジン、4−フルオロベンゾイルクロライド、DMAPを加え攪拌した。反応溶液に酢酸エチルと水を加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、エチル [(4−フルオロベンゾイル)(2−ピリジル)アミノ]アセテート(無色油状物)を得た。
【0042】
参考例6: エチル [(4−ピペリジンカルボニル)(4−メトキシフェニル)アミノ]アセテートのクロロホルム溶液に酢酸とトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムと36%ホルムアルデヒド水溶液を加え攪拌した。次いで反応溶液にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムと36%ホルムアルデヒド水溶液を加え攪拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え中和し、クロロホルムを加え有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、エチル {[(1−メチル−4−ピペリジン)カルボニル](4−メトキシフェニル)アミノ}アセテート(無色油状物)を得た。
参考例7: (1−ベンジルオキシカルボニル−4−ピペリジン)カルボン酸の1,4−ジオキサン溶液に塩化チオニルを加え攪拌し、溶媒を減圧留去した。残渣をクロロホルムに溶解し、エチル [(4−メトキシフェニル)アミノ]アセテートとTEAを加え攪拌し、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチルで希釈し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製した。これをエタノールに溶解し、5%Pd−Cを加え、水素雰囲気下室温にて攪拌した。反応溶液を濾過後、溶媒を減圧留去し、エチル [(4−ピペリジンカルボニル)(4−メトキシフェニル)アミノ]アセテートを得た。これをTHFに溶解し、ジ−tert−ブチル ジカーボネートとTEAを加え攪拌した。反応溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液を加え攪拌し、次いで1M水酸化ナトリウム水溶液とエタノールを加え攪拌した。反応溶液に1M塩酸を加えた後、クロロホルム−エタノール(10/1)にて抽出し、有機層を乾燥後、溶媒を減圧留去し、{[(1−tert−ブチルオキシカルボニル−4−ピペリジン)カルボニル](4−メトキシフェニル)アミノ}酢酸(無色アモルファス)を得た。
参考例8: エチル[(4−メトキシフェニル)−(テトラヒドロチオピラン−4−カルボニル)アミノ]アセテートのクロロホルム溶液に、3−クロロ過安息香酸(>65%;MCPBA)を加え攪拌した。反応混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、エチル[(4−メトキシフェニル)−(1−オキソ−テトラヒドロチオピラン−4−カルボニル)アミノ]アセテートを(淡茶色泡状物)得た。
【0043】
参考例9: エチル 4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボキシレートと4−クロロベンジルブロマイドのDMF溶液にNaHを加え攪拌した。反応溶液に10%アンモニウムクロライドと酢酸エチルを加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、エチル 4−cis−(4−クロロベンジルオキシ)シクロヘキサンカルボキシレートを、次いでエチル 4−trans−4−(クロロベンジルオキシ)シクロヘキサンカルボキシレートを得た。後者のエタノール溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液を加え攪拌した。反応溶液に1M塩酸を加えて液性を酸性にした後、クロロホルムを加えて有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をジイソプロピルエーテルで洗浄し、4−trans−(4−クロロベンジルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸を得た。このジクロロメタン溶液にDMF1滴とオキサリルクロライドを加え攪拌した。溶媒を減圧留去し、残渣をジクロロメタンに溶解し、ベンジル [(4−メトキシフェニル)アミノ]アセテートとTEAを加え攪拌し、次いでオキシ塩化リンを加え攪拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とクロロホルムを加え、有機層を分液した。得られた粗生成物をSCGにて精製した。これの酢酸エチル溶液に5%Pd−Cを加え、水素雰囲気下攪拌した。反応溶液を濾過後、溶媒を減圧留去し、[(4−trans−ヒドロキシシクロヘキサンカルボニル)(4−メトキシフェニル)アミノ]酢酸(無色固形物)を得た。
参考例10: エチル[(4−メトキシフェニル)−(テトラヒドロチオピラン−4−カルボニル)アミノ]アセテートのクロロホルム溶液に、MCPBAを加え攪拌した。反応混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、エチル[(4−メトキシフェニル)−(1,1−ジオキソ−テトラヒドロチオピラン−4−カルボニル)アミノ]アセテートを(白色泡状物)得た。
参考例11: tert−ブチル[4−(4−{2−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニル)−(4−メトキシフェニル)アミノ]アセチルアミノ}フェニル)チアゾール−2−イル]カルバメートのクロロホルム溶液にピペリジンを加え攪拌した。析出してきた沈殿物を濾過後洗浄し、tert−ブチル(4−{4−[2−(4−メトキシフェニルアミノアセチルアミノ)フェニル]チアゾール−2−イル}カルバメート(白色固体)を得た。
【0044】
参考例12: エチル [(4−フルオロベンゾイル)−(4−フルオロフェニル)アミノ]アセテートのエタノール溶液に3M水酸化ナトリウム水溶液を加え加熱還流した。反応溶液を濃縮し、残渣に1M塩酸、クロロホルムを加え有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたカルボン酸粗生成物のジクロロメタン溶液に4−アミノアセトフェノン、WSC・HClを順次加え攪拌した。反応溶液に1M塩酸を加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、N−[(4−アセチル−フェニルカルバモイル)メチル]−4−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)ベンズアミド(白色泡状物)を得た。
参考例13: メチル N−[(4−アセチルフェニルカルバモイル)メチル]−N−(4−フルオロフェニル)テレフタラメートのエタノール溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液を加え加熱還流した。反応溶液を濃縮し、残渣に1M塩酸、クロロホルムを加え有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたカルボン酸粗生成物のトルエン懸濁液に塩化チオニルと少量のDMFを加え加熱還流した。溶媒を減圧留去した後、残渣をジクロロメタンに溶解させ、その溶液に氷冷下、28%アンモニア水を加え、同温にて攪拌した。有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCGにて精製し、N−[(4−アセチルフェニルカルバモイル)メチル]−N−(4−フルオロフェニル)テレフタラミド(淡黄色固体)を得た。
参考例14〜99: 参考例1と同様にして後記表3〜9に示す参考例14〜38、40、42〜97、及び101〜142の化合物を、参考例2と同様にして後記表3に示す参考例39及び41の化合物を、参考例4と同様にして後記表7に示す参考例98の化合物を、また、参考例12と同様にして、後記表10に示す参考例99〜100の化合物を得た。
【0045】
製造例1: エチル [(4−フルオロベンゾイル)フェニルアミノ]アセテート(599mg)のエタノール(10mL)溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(2.3mL)を加えた後、室温にて5時間攪拌した。反応溶液に1M塩酸を加え液性を酸性とした後、水、クロロホルムを加え有機層を分液した。更に、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られたカルボン酸粗生成物をDMF(15mL)に溶解させた後、4−(4−アミノフェニル)チアゾール−2−イルアミン ジヒドロヨーダイド(831mg)、ピリジン(0.23mL)、HOBt(0.3g)、WSC・HCl(0.42g)を順次加え室温にて22時間攪拌した。反応溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液した。更に、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=97/3)にて精製し、黄色泡状物を451mg得た。これをクロロホルム−メタノール(4mL−1mL)に溶解し、4M塩化水素−酢酸エチル(0.38mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をエタノールから再結晶して、N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−フェニルベンズアミド 一塩酸塩(淡黄色結晶)を270mg得た。
製造例2: N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−(4−メタンスルファニルフェニル)ベンズアミド(445mg)のエタノール−クロロホルム(20mL−10mL)溶液にMCPBA (0.35g)を加えた後、室温にて1時間攪拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(40mL)、クロロホルム(10mL)を加えた後、室温にて5時間攪拌した。反応溶液にクロロホルムを加えた後、有機層を分液し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=95/5)にて精製し、黄色油状物を217mg得た。これをクロロホルム−メタノール(3mL−3mL)に溶解し、4M塩化水素−酢酸エチル(0.35mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物を酢酸エチルにて洗浄する事によりN−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−(4−メタンスルフィニルフェニル)ベンズアミド一塩酸塩(淡黄色泡状物)を80mg得た。
【0046】
製造例3: エチル 4−[エトキシカルボニルメチル(4−フルオロベンゾイル)アミノ]ベンゾエート(700mg)のエチルエーテル(50mL)溶液にカリウム トリメチルシラノレート(0.29g、 90%)を加えた後、室温にて24時間攪拌した。沈殿物を濾取し、水に溶解した後、1M塩酸を加えて液性を酸性とし、クロロホルムを加え有機層を分液した。更に、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られたカルボン酸粗生成物をDMF(10mL)に溶解させた後、4−(4−アミノフェニル)チアゾール−2−イルアミン ジヒドロヨーダイド(358mg)、ピリジン(0.09mL)、HOBt(0.16g)、WSC・HCl(0.23g)を順次加え室温にて3日間攪拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液した。更に、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=98/2)にて精製し無色泡状物を130mg得た。 この化合物(62mg)のクロロホルム−エタノール(2mL−2mL)溶液に4M塩化水素−酢酸エチル(0.1mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物を酢酸エチルにて洗浄する事によりエチル 4−[({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−(4−フルオロベンゾイル)アミノ]ベンゾエート 一塩酸塩(無定型固体)を42mg得た。
製造例4: エチル {4−[ベンジルオキシカルボニルメチル−(4−フルオロベンゾイル)アミノ]フェノキシ}アセテート(6.4g)のエタノール(100mL)溶液に10% Pd−C(500mg)を加えた後、水素雰囲気下一晩室温で攪拌した。反応液をセライト濾過した後、濾液を濃縮した。得られたカルボン酸粗生成物をDMF(80mL)に溶解させた後、4−(4−アミノフェニル)チアゾール−2−イルアミン ジヒドロヨーダイド(5.5g)、ピリジン(1.8mL)、HOBt(2.6g)、WSC・HCl(3.7g)を順次加え室温にて3時間攪拌した。反応溶液に10%炭酸カリウム水溶液、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液した。更に、有機層を5%食塩水で2回洗浄、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=97/3−95/5)にて精製し、淡黄色泡状物を2.0g得た。この化合物(900mg)のクロロホルム−エタノール(20mL−5mL)溶液に4M塩化水素−酢酸エチル(0.6mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をエタノールから再結晶して、エチル {4−[N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−フルオロベンゾイル)アミノ]フェノキシ}アセテート 一塩酸塩(白色結晶)を540mg得た。
【0047】
製造例5: エチル {[4−(4−tert−ブトキシカルボニルピペラジン−1−イル)フェニル]−(4−フルオロベンゾイル)アミノ}アセテート(2.4g)のエタノール−THF(50mL−10mL)溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(9.9mL)を加え、60℃にて1時間加熱攪拌した。反応溶液を濃縮後、残渣に1M塩酸、クロロホルムを加え有機層を分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られたカルボン酸粗生成物をDMF(50mL)に溶解させた後、4−(4−アミノフェニル)チアゾール−2−イルアミン ジヒドロヨーダイド(1.5g)、ピリジン(0.4mL)、HOBt(580mg)、WSC・HCl(820mg)を順次加え室温にて3時間攪拌した。反応溶液に10%炭酸カリウム水溶液、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液した。更に、有機層を5%食塩水で2回洗浄、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をクロロホルム(30mL)に溶解させた後、トリフルオロ酢酸(15mL)を加え室温にて3時間攪拌した。反応溶液を濃縮後、残渣に10%炭酸カリウム水溶液、クロロホルムを加え有機層を分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール/28%アンモニア水=96/4/0.4−92/8/0.8)にて精製し、淡黄色泡状物を210mg得た。これをクロロホルム−エタノール(20mL−5mL)に溶解し、4M塩化水素−酢酸エチル(0.4mL)を加えた後、溶媒を減圧留去し、得られた粗結晶をエタノールから再結晶して、N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−(4−ピペラジン−1−イルフェニル)ベンズアミド 三塩酸塩(白色結晶)を170mg得た。
製造例6: エチル {4−[N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−フルオロベンゾイル)アミノ]フェノキシ}アセテート(1.3g)のエタノール(30mL)溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(2.4mL)を加え、室温にて一晩攪拌した。反応溶液を濃縮した後、得られた粗生成物をエタノールにて再結晶する事によりナトリウム {4−[N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−フルオロベンゾイル)アミノ]フェノキシ}アセテート(白色結晶)を680mg得た。
【0048】
製造例7: エチル {[1−(tert−ブチルオキシカルボニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−6−イル](4−フルオロベンゾイル)アミノ}アセテート(2.57g)のエタノール(50mL)溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(12mL)を加え室温にて5時間攪拌した。反応溶液に1M塩酸(12mL)を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後溶媒を減圧留去した。得られたカルボン酸誘導体をDMF(100mL)に溶解し、4−(4−アミノフェニル)チアゾール−2−イルアミン ジヒドロヨーダイド(2.24g)、ピリジン(0.47mL)、HOBt(0.78g)、WSC・HCl(1.1g)を順次加え室温にて18時間攪拌した。反応溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液した。更に、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=98/2)にて精製する事によりN−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−[1−(tert−ブチルオキシカルボニル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−6−イル]ベンズアミドを得た。これをクロロホルム(20mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸を加えて室温にて20分攪拌した。残渣を酢酸エチルで希釈した後、1M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成体を酢酸エチル/ヘキサン/エタノール(12/4/1)で洗浄し、淡褐色固形物を966mg得た。この固形物(398mg)のクロロホルム−エタノール(1/1)溶液に4M塩化水素−酢酸エチル(1mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をイソプロピルアルコールで洗浄し、N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−6−イル)ベンズアミド 二塩酸塩(淡褐色無定型固体)を283mg得た。
製造例8: エチル {[1−(9H−フルオレニル−9−イルメチルオキシカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル](4−フルオロベンゾイル)アミノ}アセテート(2.21g)の酢酸エチル(70mL)溶液に5%Pd−C(0.22g)を加え、水素雰囲気下室温で3時間攪拌した。反応溶液をセライト濾過し、溶媒を減圧留去した。得られたカルボン酸誘導体をDMF(50mL)に溶解し、4−(4−アミノフェニル)チアゾール−2−イルアミン ジヒドロヨーダイド(1.34g)、ピリジン(0.27mL)、HOBt(0.47g)、WSC・HCl(0.67g)を順次加え室温にて5時間攪拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=98.5/1.5)にて精製する事によりN−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−[1−(9H−フルオレニルー9−イルメチルオキシカルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル]ベンズアミドを得た。これをピロリジン(12mL)に溶解し、室温にて2.5時間攪拌した。反応溶液の溶媒を減圧留去し、残渣をSCG(クロロホルム/メタノール=98/2)にて精製し、クロロホルム−酢酸エチル−ヘキサン−エタノール(24/12/12/1)で洗浄し無色固体を得た。 この固体(277mg)のクロロホルム−エタノール(4mL−4mL)溶液に4M塩化水素−酢酸エチル(0.5mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をイソプロピルアルコールから再結晶して、N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−(1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−6−イル)ベンズアミド 二塩酸塩(淡黄色結晶)を229mg得た。
【0049】
製造例9: イソニコチン酸(0.12g)のDMF(30mL)溶液にCDI(0.16g)を加え、室温にて10分攪拌した。反応溶液にN−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル)ベンズアミド 二塩酸塩(390mg)のDMF(50mL)溶液を0℃にて加え、攪拌しながら1時間で緩やかに室温に昇温し、室温にて1.5時間攪拌した。反応溶液に酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)−0.16M水酸化ナトリウム水溶液(50mL)混液、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=95/5)にて精製する事により無色泡状物を293mg得た。これをクロロホルム−メタノール(10mL−10mL)に溶解し、4M塩化水素−酢酸エチル(1mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をイソプロピルアルコールから再結晶して、N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−[2−(ピリジン−4−カルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−イル]ベンズアミド 二塩酸塩(淡黄色結晶)を253mg得た。
製造例10: N−[(4−アセチルフェニルカルバモイル)メチル]−N−(4−フルオロフェニル)テレフタラミド(1.1g)のTHF(40mL)溶液に三臭化フェニルトリメチルアンモニウム (1.1g)を加え、室温にて2時間攪拌した。析出してきた沈殿物を濾過し、濾液を濃縮して得られた残渣をエタノール−THF(20mL−10mL)に溶解させ、チオウレア(200mg)を加えた後、3時間加熱還流した。反応溶液を濃縮後、残渣に5%炭酸カリウム水溶液、クロロホルムを加え有機層を分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール/28%アンモニア水=90/10/1−85/15/1.5)にて精製し、淡黄色無定形固体を380mg得た。これを4M塩化水素−酢酸エチルにて造塩反応に付し、N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−メトキシフェニル)テレフタラミド 一塩酸塩(淡黄色無定形固体)を220mg得た。
【0050】
製造例11: メチル N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−メトキシフェニル)テレフタラメート(800mg)のメタノール(20mL)溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(1.5mL)を加え、4時間加熱還流した。反応溶液を濃縮して得られた残渣にエタノール(20mL)、ジイソプロピルエーテル(10mL)を加え結晶を析出させた。この結晶を濾過後、ジイソプロピルエーテルにて洗浄する事によりナトリウム N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−メトキシフェニル)テレフタラメート(白色結晶)を530mg得た。
製造例12: N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−メトキシメトキシ−N−(4−メトキシフェニル)ベンズアミド(1.1g)のDMF(20mL)溶液に6M塩酸(2mL)を加え、室温にて3時間攪拌した。反応溶液に10%炭酸カリウム水溶液、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液した。更に、有機層を5%食塩水で2回洗浄、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=97/3−95/5)にて精製し、白色結晶を630mg得た。この結晶のクロロホルム−エタノール(20mL−5mL)溶液に4M塩化水素−酢酸エチル(0.5mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をエタノールから再結晶して、N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−ヒドロキシ−N−(4−メトキシフェニル)ベンズアミド 一塩酸塩(白色結晶)を470mg得た。
【0051】
製造例13:{[(1−tert−ブチルオキシカルボニル−4−ピペリジン)カルボニル](4−メトキシフェニル)アミノ}酢酸(1.20g)のDMF(50mL)溶液に4−(4−アミノフェニル)チアゾール−2−イルアミン ジヒドロヨーダイド(1.03g)、ピリジン(0.20mL)、HOBt(0.39g)、WSC・HCl(0.58g)を順次加え室温にて3日間攪拌した。反応溶液に酢酸エチルと1M水酸化ナトリウム水溶液を加えた後、有機層を分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=98.5/1.5)にて精製した。得られたアミド誘導体のクロロホルム(20mL)溶液にトリフルオロ酢酸(20mL)を加え、室温にて10分攪拌し、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、1M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。洗浄時の析出物をクロロホルム−メタノール(9/1)に溶解させたのち水洗した。有機層を合わせた後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をエタノール−酢酸エチルから再結晶し、無色結晶を160mg得た。この結晶をクロロホルム−エタノール(20mL−20mL)に溶解し4M塩化水素−酢酸エチル(0.3mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた泡状物をエタノールにて共沸した後、乾燥する事によりN−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−メトキシフェニル)−4−ピペリジンカルボキサミド 二塩酸塩(淡黄色泡状物)を150mg得た。
製造例14: N−[(4−アセチルフェニルカルバモイル)メチル]−4−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)ベンズアミド(2.0g)のTHF(40mL)溶液に三臭化フェニルトリメチルアンモニウム(2.4g)を加え、室温にて2時間攪拌した。析出してきた沈殿物を濾過し、濾液を濃縮して得られた残渣をエタノール(40mL)に溶解させ、チオアセタミド(480mg)を加えた後、1時間加熱還流した。反応溶液を濃縮後、残渣に1M水酸化ナトリウム溶液、クロロホルムを加え有機層を分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(ヘキサン/酢酸エチル=2/3)にて精製し、4−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)−N−({[4−(2−メチルチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)ベンズアミド(白色結晶)を1.1g得た。
【0052】
製造例15: N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−4−フルオロベンズアミド(480mg)のクロロホルム(20mL)溶液にピリジン(0.32mL)、無水酢酸(0.28mL)を加えた後、室温にて14時間攪拌した。更に、反応液にピリジン(0.32mL)、無水酢酸(0.28mL)、DMAP(5mg)を加えた後、室温にて2時間攪拌した。反応溶液の溶媒を減圧留去した後、残渣を酢酸エチルに溶解し、1M塩酸、水、1M水酸化ナトリウム水溶液、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をクロロホルム−メタノール(1/1)、次いでエタノールにて洗浄する事によりN−({[4−(2−アセチルアミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−4−フルオロベンズアミド(無色固体)を190mg得た。製造例16: N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−4−フルオロベンズアミド(750mg)とN−(tert−ブトキシカルボニル)グリシン(0.35g)のDMF(10mL)溶液にHOBt(0.27g)、WSC・HCl(0.38g)を順次加え室温にて55時間攪拌した。反応溶液に酢酸エチル、水を加えた後、有機層を分液した。更に、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(ヘキサン/酢酸エチル=60/40−40/60)にて精製し、tert−ブチル({[4−(4−{2−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−(4−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチルアミノ}フェニル)チアゾール−2−イル]カルバモイル}メチル)カルバメート(黄色泡状物)を670mg得た。この化合物(640mg)をトリフルオロ酢酸−クロロホルム(8mL−8mL)に溶解し、室温にて10分攪拌した。反応液の溶媒を減圧留去後、残渣をクロロホルム−メタノール(10/1)に溶解し、0.1M水酸化ナトリウム水溶液、水にて順次洗浄した。更に、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール=98/2)にて精製し、淡黄色泡状物を330mg得た。これをクロロホルム−メタノール(8mL−8mL)に溶解し、4M塩化水素−酢酸エチル(0.45mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をメタノールから再結晶して、N−[({4−[2−(2−アミノアセチルアミノ)チアゾール−4−イル]フェニル}カルバモイル)メチル]−N−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−4−フルオロベンズアミド 一塩酸塩(無色結晶)を196mg得た。
【0053】
製造例17: N−{[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニルカルバモイル]メチル}−4−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)ベンズアミド 一塩酸塩(200mg)を酢酸(10mL)、水(5mL)の混合溶媒に溶解し、氷冷下臭素(20μL)を加えた後、室温で5分間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチル(30mL)−飽和炭酸水素ナトリウム水(20mL)に溶解した。有機層を飽和食塩水で洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(5mL)に溶解し、4M塩化水素−酢酸エチル溶液(0.15mL)を加えて析出した固体を濾取、乾燥後メタノール−エーテルから再結晶して、N−{[4−(2−アミノ−5−ブロモチアゾール−4−イル)フェニルカルバモイル]メチル}−4−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)ベンズアミド一塩酸塩(無色粉末)を184mg得た。
製造例18: N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾチアゾール−6−イル−4−オキソシクロヘキサンカルボキシアミド(430mg)のメタノール−クロロホルム(40mL−20mL)溶液に0℃にて水素化ホウ素ナトリウム(0.19g)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応溶液に水を加えた後クロロホルムで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をSCG(クロロホルム/メタノール/27%アンモニア水=94.8/5/0.2)にて精製した。これををクロロホルム−メタノール(10mL−10mL)に溶解し4M塩化水素−酢酸エチル(1mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をイソプロピルアルコール−酢酸エチル(3/1)から再結晶して、N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾチアゾール−6−イル−4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボキシアミド一塩酸塩(淡黄色結晶)を259mg得た。
【0054】
製造例19〜163: 製造例1と同様にして、後記表11〜27に示す、製造例19〜46、49〜62、64〜103及び105〜163の化合物を得た。また、製造例4と同様にして製造例47〜48の化合物を、製造例7と同様にして製造例63の化合物を、製造例16と同様にして製造例104の化合物をそれぞれ得た。
製造例164:<コンビナトリアルケミストリーによる合成 : 一般合成法>tert−ブチル(4−{4−[2−(4−メトキシフェニルアミノアセチルアミノ)フェニル]チアゾール−2−イル}カルバメート(13.8mg、 30μmol)のピリジン(1.0mL)溶液に、各種酸クロリドあるいはスルホニルクロリドを40から90μmol加え,室温から70oCにて1時間から12時間攪拌した。PS−トリスアミン(アルゴノート社製スカヴェンジャー・レジン、担持量3.0−5.0mmol/g)を30〜50mg加えて室温で2−5時間攪拌し、過剰量の酸クロリドあるいはスルホニルクロリドと塩化物イオンを捕獲した。PS−トリスアミンを濾過によって除き、濾過した溶液からピリジンを減圧下留去した。ピリジン塩をほとんど含まないN−({[4−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−メトキシフェニル)アミド又はスルホンアミド誘導体を10〜50mg得た。
これに4M塩化水素−酢酸エチルまたは50%トリフルオロ酢酸−塩化メチレンを0.5〜2mL加え、氷冷下から室温で1から4時間攪拌した。溶媒を留去してN−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−メトキシフェニル)アミド 又はスルホンアミド誘導体を塩酸塩若しくはトリフルオロ酢酸塩として10〜50mg得た。
純度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて確認し、純度の低い生成物はHPLC(メタノール/5mMトリフルオロ酢酸水溶液)に付した。カラムからの溶出時に同時に質量分析を行い望む分子量を有する化合物を含む溶出液のみを集め、溶媒を留去して純度を向上させた目的化合物を得た。
【0055】
<化合物の合成例:a−1>
tert−ブチル(4−{4−[2−(4−メトキシフェニルアミノアセチルアミノ)フェニル]チアゾール−2−イル}カルバメート(13.8mg)のピリジン(1.0mL)溶液にo−トルオイルクロライド(10μL)を加え,60oCにて1.5時間攪拌した。PS−トリスアミン(担持量4.61mmol/g)を33mg加えて室温で3時間攪拌し、過剰量のo−トルオイルクロライドと塩化物イオンを捕獲した。PS−トリスアミンを濾過によって除き、濾過した溶液からピリジンを減圧下留去した。ピリジン塩をほとんど含まないN−({[4−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−メトキシフェニル)−4−メチルベンズアミド16.4mgを得た。これに4M塩化水素−酢酸エチル(1.0mL)を加え、室温で2.5時間攪拌した。溶媒を留去してN−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−メトキシフェニル)−4−メチルベンズアミド 塩酸塩17.5mgを得た。
同様にして、後記表28に示すa−2〜a−28の化合物、及び表29及び30に示すb−1〜b−70の化合物を塩酸塩若しくはトリフルオロ酢酸塩として得た。
参考例化合物の物理化学的性状を表3〜10に、製造例化合物の構造並びに物理化学的性状を表11〜30に示す。
また,表31〜33本発明医薬の有効成分として好適な他の化合物(I)を具体的に示した。これらの化合物は前記製造例若しくは製造法に記載の方法と同様にして、又はそれらに当業者に自明の若干の変法を適用して容易に製造することができる。
【0056】
表中の略号は、 Ref:参考例; Ex:製造例; Co:化合物番号; Str:構造式; Sal:塩; Dat:物理化学的性状{F:FAB−MS (M+ ); F+:FAB−MS [(M+H)+]; F−:FAB−MS [(M−H)−]; A+:APCI(Atmosphere Chemical ionization)−MS [(M+H)+ ] ; E+:ESI(Electrospray ionization)−MS[(M+H)+] ; N1:1H−NMR(DMSO−d6,TMS内部標準)の特徴的ピークδppm; N2:1H−NMR(CDCl3,TMS内部標準)の特徴的ピークδppm}; Ph:フェニル; Pr:n−プロピル;iPr:イソプロピル; Ac:アセチル; tBu:tert−ブチル; iBu:イソブチル; Bu:n−ブチル; cBu:シクロブチル; Py2:2−ピリジル; Py3:3−ピリジル; Py4: 4−ピリジル; Th2:2−チエニル Th3:3−チエニル;; Fu:2−フリル; Pyr:2−ピラジニル; Naph1:1−ナフチル; cHex:シクロヘキシル;及び Pipe:4−ピペリジニルをそれぞれ示す。なお、置換基の前の数字は置換位置を示し、例えば、3,4−Cl2−5−F−Ph は、3,4−ジクロロ−5−フルオロフェニル基を示す。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
【表8】
【0063】
【表9】
【0064】
【表10】
【0065】
【表11】
【0066】
【表12】
【0067】
【表13】
【0068】
【表14】
【0069】
【表15】
【0070】
【表16】
【0071】
【表17】
【0072】
【表18】
【0073】
【表19】
【0074】
【表20】
【0075】
【表21】
【0076】
【表22】
【0077】
【表23】
【0078】
【表24】
【0079】
【表25】
【0080】
【表26】
【0081】
【表27】
【0082】
【表28】
【0083】
【表29】
【0084】
【表30】
【0085】
【表31】
【0086】
【表32】
【0087】
【表33】
【0088】
【発明の効果】
化合物(I)を有効成分として含む本発明の医薬組成物は良好な抗VZV作用を有しており、医薬殊に抗ヘルペスウイルス剤等のウイルス剤として、VZV感染に伴う水痘(水疱瘡)、潜伏したVZVの回帰感染に伴う帯状疱疹の予防若しくは治療に有用である。
また、本発明医薬組成物は、他のヘルペスウイルス(HSV−1、HSV−2等)の複製抑制活性をも有することから、HSV−1感染に伴う口唇ヘルペスやヘルペス脳炎、HSV−2感染に伴う性器ヘルペス等の各種ヘルペスウイルス感染症の予防若しくは治療にも適用でき、汎用性のある抗ヘルペスウイルス剤として有用である。
Claims (5)
- 下記一般式(I)で示されるアミド誘導体又はその塩と製薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
R1、R2:同一又は異なって、−H、−低級アルキル、−低級アルケニル、−低級アルキニル、−シクロアルキル、−シクロアルケニル、−NRaRb、−NRc−NRaRb、−NRc−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−NRc−C(=NH)−NRaRb、−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−低級アルキレン−NRaRb、−低級アルキレン−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−NRaCORb、−NRaCO−ORb、−NRaCO−NRbRc、−NRaCO−低級アルキレン−NRbRc、−NRaCO−低級アルキレン−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−NRaSO2Rb、−NRaSO2−NRbRc、−NRaSO2−低級アルキレン−NRbRc、−NRaSO2−低級アルキレン−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、−CONRaRb、−SO2NRaRb、−COORa、−SO2Ra、−CONRa−ORb、−OCORa、−ORa、−ハロゲン、−CORa、−NO2、−CN又は−ハロゲノ低級アルキル、
Ra、Rb及びRc:同一又は異なって、−H、−低級アルキル、−低級アルケニル、−低級アルキニル、−シクロアルキル、−シクロアルケニル、−アリール、−5乃至6員単環ヘテロアリール、又は−低級アルキレン−アリール、
A:−置換基を有していてもよいアリール、−置換基を有していてもよいヘテロアリール、−置換基を有していてもよい飽和炭素環縮合アリール、又は−置換基を有していてもよい飽和複素環縮合アリール、但し、飽和炭素環縮合アリール及び飽和複素環縮合アリールは、芳香環のC原子を介して隣接するN原子に結合する、
X:CO又はSO2、
R3:−置換基を有していてもよいアルキル、−置換基を有していてもよいアルケニル、−置換基を有していてもよいアルキニル、−置換基を有していてもよいシクロアルキル、−置換基を有していてもよいシクロアルケニル、−置換基を有していてもよいアリール、−置換基を有していてもよいヘテロ環、−NRaRb、又は、隣接する基−N(−A)−X−と一体となって下式で示される基を形成してもよい、
R3a:−H、−置換基を有していてもよいシクロアルキル、−置換基を有していてもよいシクロアルケニル、−置換基を有していてもよいアリール又は−置換基を有していてもよいヘテロ環、及び
A’、B:同一又は異なって、置換基を有していてもよいベンゼン環。) - 外用剤である請求項1記載の医薬組成物。
- 経口剤である請求項1記載の医薬組成物。
- 抗ヘルペスウイルス剤である請求項1〜3記載の医薬組成物。
- 抗水痘帯状疱疹ウイルス剤である請求の範囲4記載の医薬組成物。
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