JP2004026818A - アミド誘導体又はその塩 - Google Patents
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Abstract
【課題】医薬、殊にヘルペスウイルス科のウイルス感染に伴う各種疾患、具体的には、水痘帯状疱疹ウイルス感染に伴う水痘(水疱瘡)、潜伏した水痘帯状疱疹ウイルスの回帰感染に伴う帯状疱疹、HSV−1感染に伴う口唇ヘルペスやヘルペス脳炎、HSV−2感染に伴う性器ヘルペス等の、各種ヘルペスウイルス感染症の予防もしくは治療医薬組成物の提供。
【解決手段】N−({[4−(置換チアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)アミド誘導体において、アミド基のN原子に芳香環基であるアリール又はヘテロアリール基が直接置換している点に特徴を有する化合物又はその塩によって、上記課題が達成された。
【選択図】 無し
【解決手段】N−({[4−(置換チアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)アミド誘導体において、アミド基のN原子に芳香環基であるアリール又はヘテロアリール基が直接置換している点に特徴を有する化合物又はその塩によって、上記課題が達成された。
【選択図】 無し
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、殊にヘルペスウイルスが関与する疾患の予防並びに治療剤として有用な新規アミド誘導体又はその塩に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘルペスウイルス科のウイルスはヒト及び動物に対し様々な感染症を引き起こす。例えば、水痘帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus;VZV)は、水痘、帯状疱疹を引き起こし、単純ヘルペスウイルス−1型及び−2型(herpes simplexvirus type1及び−2;HSV−1及びHSV−2)はそれぞれ口唇ヘルペス、性器ヘルペス等の感染症を引き起こすことが知られている。また近年、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)、EBウイルス(Epstein−Barr virus; EBV)、ヒトヘルペスウイルス6、7、8(human herpesvirus 6、7、8)などのへルペスウイルスが原因となる感染症も明らかにされてきている。
現在、 VZVやHSVの抗ヘルペスウイルス薬として、アシクロビル(ACV)、そのプロドラッグであるバラシクロビル(VCV)及びファンシクロビル(FCV)などの核酸系の薬剤が使用されている。これら核酸系の薬剤は、VZVやHSVがコードするウイルスチミジンキナーゼによりヌクレオシドモノホスフェートにモノリン酸化された後に、細胞の酵素によりトリホスフェート体に変換される。最終的に、トリリン酸化ヌクレオシド類縁体がヘルペスウイルスDNAポリメラーゼによるウイルスゲノムの複製中に取り込まれ、ウイルスDNA鎖の伸長反応を抑制する。この様に、既存の抗ヘルペスウイルス剤の作用メカニズムは、デオキシヌクレオシドトリホスフェートに対する“競合的阻害”効果に基づいているため、抗ウイルス効果を発揮させるには高濃度の薬剤が必要になる。実際、これらの核酸系抗ヘルペス剤の臨床投与量は1日数百mgから数gもの高用量が投与されているのが現状である。さらに核酸系の薬剤は宿主のDNAポリメラーゼにより、宿主のゲノムDNAに取り込まれ得るため、その変異原性が懸念される。
一方、最近になって、非核酸系の薬剤で抗ヘルペスウイルス活性を示す薬剤がいくつか報告されてきた。例えば、HSVヘリカーゼ−プライマーゼ酵素複合体を抑制することにより抗HSV−1活性及び抗CMV活性を有する、下式(G)で示されるN原子がチアゾリルフェニルカルバモイルメチル基等で置換されたアミド若しくはスルホンアミド誘導体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、これらの化合物の抗VZV活性については具体的に開示がない。
【化1】
(式中、Rは水素、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ等、R2は水素又は低級アルキル、Qは不在又はメチレン、R3は水素、低級アルキル等、R4は未置換若しくは置換フェニル(低級)アルキル、1−インダニル、2−インダニル、(低級シクロアルキル)−(低級アルキル)、(Het)−(低級アルキル)等、R5は、フェニルスルホニル、1−又は2−ナフチルスルホニル、(Het)−スルホニル、(未置換若しくは置換フェニル)−Y−(CH2)nC(O)、(Het)−(CH2)nC(O)等、YはO又はS、nは0,1,2。詳細は特許文献1参照。)
更に、抗HSV−1活性及び抗CMV活性を有する下式(H)で示されるN原子がチアゾリルフェニルカルバモイルメチル基で置換されたアミド若しくはスルホンアミド誘導体が開示されている(例えば、特許文献2参照)が、これらの化合物の抗VZV活性については具体的に開示が無い。
【化2】
(式中、R1はNH2、R2はH、R3はH、R4はCH2Ph、CH2−(4−ピリジル)、CH2−シクロヘキシル等、R5は、CO−(置換フェニル)、CO−(未置換若しくは置換ヘテロ環)等。詳細は特許文献2参照。)
また最近、各種のヘルペスウイルスプロテアーゼの阻害剤(例えば、非特許文献1)や、HSVのプライマーゼ阻害剤であるN−(カルボニルフェニル)ベンズアミド誘導体の報告がある(例えば、特許文献3)。しかしながら、これらの非特許文献1及び特許文献3にも良好な抗VZV活性を有する化合物の開示は無い。
【0003】
【特許文献1】国際公開第97/24343号パンフレット
【特許文献2】国際公開第00/29399号パンフレット
【特許文献3】国際公開第00/58270号パンフレット
【非特許文献1】Waxman Lloyd et al, 2000年, ”Antiviral Chemistry and Chemotherapy”, 11巻,p.1−22
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
十分な抗VZV活性を有し、かつ非核酸系で投与量も少なく安全性の高い、抗ヘルペスウイルス剤の創製が切望されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、抗水痘帯状疱疹ウイルス(抗VZV)作用を有する化合物につき鋭意検討した結果、下表の一般式(I)に示すように、N原子がチアゾリルフェニルカルバモイルメチル基で置換されたアミド基のN原子に、基Aとして芳香環基であるアリール又はヘテロアリール基がアルキレン鎖を介さずに直接置換している点に特徴を有する、新規なアミド誘導体が良好な抗VZV活性を有することを見出し、先に特許出願を行った(国際公開第02/38554号パンフレット参照)。更に、抗VZV剤として最適な化合物の探索を鋭意行った結果、下表に示す特定の置換基を組み合わせた新規化合物が、低用量の経口投与においても良好な抗ウイルス活性を示し、臨床的に有用な薬剤となり得ることを見出して本発明を完成したものである。
【0006】
即ち、本発明は、下表に示される新規なアミド誘導体又はその塩に関する。
【表2】
本発明は、上記本発明化合物を有効成分として含有する経口剤もしくは外用剤である医薬組成物、中でも、抗ヘルペスウイルス剤、殊に抗VZV剤にも関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
前記表2に示される本発明化合物中、好ましい化合物を以下に示す。
(No.1)N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾ[b]チオフェン−5−イルテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩、
(No.2)N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2,6−ジメチルフェニル)テドラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩、
(No.3)N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−ブロモ−2−メチルフェニル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩、
(No.6)N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2,4−ジメチルフェニル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩、
(No.8)N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(3−メチルベンゾ[b]チオフェン−5−イル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩、
(No.9)N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2,4,6−トリメチルフェニル)テドラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩、
(No.11)トランス−N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾフラン−5−イル−4−シアノシクロヘキサンカルボキサミド又はその塩、
(No.13)N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2−クロロ−6−メチルフェニル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩、及び
(No.14)N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−シアノ−N−(4−メトキシフェニル)シクロヘキサンカルボキサアミド又はその塩。
【0008】
本発明化合物の塩としては製薬学的に許容される塩である。具体的には塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩等が挙げられる。
【0009】
本発明化合物には、異性体が存在する化合物が含まれるが、本発明はこれらの異性体の混合物や単離されたものを包含する。更に本発明化合物又はその塩の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形の物質をも包含する。なお、本発明化合物には、生体内において代謝されて本発明化合物またはその塩に変換される化合物、いわゆるプロドラッグもすべて包含される。このプロドラッグを形成する基としては、Prog. Med. 5:2157−2161(1985)に記載されている基や廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻 分子設計163−198に記載されている基が挙げられる。
【0010】
本発明化合物の代表的な製造方法を以下に説明する。
なお、以下の製造方法において、官能基の種類によっては、当該官能基を原料ないし中間体の段階で適当な保護基、すなわち容易に当該官能基に転化可能な基に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。しかるのち、必要に応じて保護基を除去し、所望の化合物を得ることができる。このような官能基としては例えばアミノ基、水酸基、カルボキシル基等を挙げることができ、それらの保護基としては例えば、Protective Groups in Organic Synthesis 第3版(T.W. GreenおよびP. G. M. Wuts著、JOHN WILLY & SONS, INC.発行)に記載の保護基を挙げることができ、これらを反応条件に応じて適宜用いればよい。保護基の導入及び脱保護は当該参考書記載の方法を適時適用できる。
【0011】
【化3】
第一製法
本発明化合物(I)はカルボン酸化合物(III)とチアゾリルアニリン誘導体(II)をアミド化反応に付すことによって容易に製造できる。
アミド化反応は常法により行うことができ、例えば、日本化学会編「実験化学講座」第4版(丸善) 22巻p137〜173に記載の方法を適用できる。好ましくは、カルボン酸化合物(III)を反応性誘導体、例えば酸ハロゲン化物(酸クロリド等)又は酸無水物に変換した後、チアゾリルアニリン誘導体(II)に反応させることにより行うことができる。カルボン酸の反応性誘導体を用いる場合、塩基(水酸化ナトリウム等の無機塩基、又は、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基)を添加することが好ましい。更に、アミド化はカルボン酸を、縮合剤(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)、1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール(CDI)等)の存在下で反応させることにより行うこともできる。その際、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)等の添加剤を加えてもよい。反応温度は、原料化合物に応じて適宜選択できる。溶媒は、反応に不活性な溶媒、例えばベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、ピリジン等の塩基性溶媒等が挙げられる。溶媒は原料化合物の種類等に従い適宜選択され、単独で、又は2種以上混合して用いられる。
【0012】
第二製法
【化4】
(式中、halはハロゲンを示す。以下同様。)
本製法は、一般式(IV)で示されるα−ハロゲン化ケトンを化合物(V)との環化反応に付すことにより化合物(I)を得る方法である。本環化反応は、常法により行うことができ、例えば、Tetrahedron Lett., 9, 24, 1959、及び、The Chemistry of Heterocyclic Compounds ”Thiazole and its Derivatives 1, 2” (J.V.Metzger著:John Eiley & Sons社)に記載の方法を適用できる。
好ましくは、原料化合物であるα−ハロゲン化ケトン(IV)を溶媒中あるいは溶媒を用いずに化合物(V)と冷却下乃至加熱下反応させることにより行うことができる。溶媒としては、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のカルボニル系溶媒、前出のエーテル系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒及びアミド系溶媒等を用いることができる。これらの溶媒は単独で、又は2種以上混合して用いられる。溶媒は原料化合物の種類等に従い適宜選択されるべきである。反応の際、塩基(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、TEA等)を添加することにより反応が円滑に進行することがある。
【0013】
第三製法
【化5】
本製法は、一般式(VI)で示されるアミン化合物とカルボン酸化合物(VII)とをアミド化反応に付すことにより化合物(I)を得る方法である。
アミド化は第一製法と同様にして行うことができる。
【0014】
前記の各原料化合物は、公知の反応、例えば日本化学会編「実験化学講座」(丸善)に記載の反応等を用いて、容易に製造することができる。以下にその代表的な製法を示す。
【化6】
(式中、Rは低級アルキル、アラルキル等のエステル残基を形成しうる基を、Pはフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)等のアミノ基の保護基をそれぞれ意味する。)
上記反応経路図中、アミド化は前記第一製法記載の方法と同様にして、環化は第二製法記載の方法と同様にして行うことができる。
化合物(X)のN−アルキル化は、ハロゲン化アルキル化合物(XI)を用いて、常法、例えば、前出の「実験化学講座」第4版(丸善) 20巻p279〜318記載の方法により行うことができる。反応温度は冷却下乃至加熱下行うことができ、溶媒は反応に不活性な溶媒、例えば前記第一製法のアミド化に例示される溶媒等が挙げられる。反応は、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の塩基の存在下行うことが好ましい。
【0015】
カルボン酸化合物(III)を得るための脱保護は、エステルの種類に応じて適宜常法を適用して行うことができる。好ましくは、エチルエステル等のアルキルエステルの場合は、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基で処理することにより、ベンジルエステル等のアラルキルエステルの場合は水素雰囲気下パラジウム−炭素(Pd−C)で還元することにより行うことができる。反応は、前記Protective Groups in Organic Synthesis 第3版記載の方法に準じて行うことができる。α−ハロゲン化ケトン化合物(IV)は、アシル化合物(XV)を常法によりハロゲン化することにより合成することができる。ハロゲン化試薬としては、例えば塩素、臭素、ヨウ素、臭化銅(II)、ヨウ素酸カリウム、三臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、三臭化フェニルトリメチルアンモニウム、三臭化テトラブチルアンモニウム、塩化スルフリル、トリメチルシリルクロリド、トリメチルシリルブロミド、5,5−ジブロモバルビツール酸等を挙げることができ、溶媒としては反応に不活性な溶媒、例えば酢酸、臭化水素酸/酢酸等の酸性溶媒、前出のアルコール系溶媒、エーテル系溶媒を挙げることができる。反応温度は、冷却下乃至加熱下行うことができる。
【0016】
アミン化合物(VI)を得るための脱保護は、保護基の種類に応じて適宜常法を用いて実施される。例えば、前記Protective Groups in Organic Synthesis 第3版、503〜572頁記載の方法を適用できる。
また、置換基の種類によっては、更に当業者によく知られる置換基修飾反応に付して、所望の原料化合物を製造することができる。
このようにして製造された本発明化合物は、遊離のまま、又は常法による造塩処理を施し、その塩として単離・精製される。単離・精製は抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィー等の通常の化学操作を適応して行われる。
各種の異性体は異性体間の物理化学的な性質の差を利用して常法により単離でき、例えば、分別結晶化又はクロマトグラフィー等により分離できる。また、適当な原料を用いることにより一方の異性体のみを製造することもできる。
【0017】
本発明化合物又はその塩の1種又は2種以上を有効成分として含有する医薬組成物は、当分野において通常用いられている薬剤用担体、賦形剤等を用いて通常使用されている方法によって調製することができる。投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、又は、静注、筋注等の注射剤、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、パップ剤、噴霧剤、ローション剤、点眼剤、眼軟膏等の外用剤、坐剤、吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
【0018】
本発明における経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、一つ又はそれ以上の活性物質が、少なくとも一つの不活性な賦形剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な添加剤、例えばステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤やカルボキシメチルスターチナトリウム等の崩壊剤、溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性コーティング剤で被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を包含し、一般的に用いられる不活性な溶剤、例えば精製水、エタノール等を用いることができる。この組成物は不活性な溶剤以外に可溶化剤、湿潤剤、懸濁化剤のような補助剤、甘味剤、矯味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤を包含する。水性の溶剤としては、例えば注射用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水性の溶剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート80(商品名)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解、懸濁して使用することもできる。
【0019】
外用剤としては、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、パップ剤、噴霧剤、ローション剤、点眼剤、眼軟膏等を包含する。一般に用いられる軟膏基剤、ローション基剤、水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤等を含有する。例えば、軟膏又はローション基剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、白色ワセリン、サラシミツロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウロマクロゴール、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
【0020】
通常、本発明化合物の1日の投与量は、経口投与の場合、体重当たり約0.001から50mg/kg、好ましくは0.01〜30mg/kgが、静脈投与される場合、体重当たり約0.0001から10mg/kgがそれぞれ適当であり、これを1日1回乃至複数回に分けて投与する。投与量は症状、年令、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。また、外用剤として用いる場合は、化合物(I)を0.0001〜20%、好ましくは0.01〜10%を含む外用剤が好ましい。これを1日1〜数回、症状に応じて局所に投与する。
本発明化合物は、他の薬剤と適宜併用してもよく、併用可能な薬剤としては、例えば、ACV、VCV、FCV、ペンシクロビル(PCV)、ビダラビン(ara−A)、BVDU(ブロモビニルデオキシウリジン)、フォスカーネット(PFA)、ガンシクロビル(GCV)等の他の抗ヘルペスウイルス剤;アミトリプチリン(3環系抗うつ薬)、ガバペンチン(抗痙攣薬)、リドカイン及びメキシレチン(抗不整脈薬)、カプサイシン等の帯状疱疹後神経痛の鎮痛剤;インドメタシン、イブプロフェン、セレコキシブ等の消炎鎮痛剤が挙げられる。
【0021】
以下の試験例により本発明化合物の効果を示す。
試験例1 抗 VZV 活性試験
実験は、Shigeta S. The Journal of Infectious Diseases, 147, 3, p.576−584, (1983)記載の方法に従って実施した。具体的には、10,000個のHEF細胞を増殖培地を用いて96ウェル・ミクロタイター・プレートに播き、37℃、5%CO2下で4日間、monolayerとなるまで培養した。細胞を維持培地で洗浄後に、20〜30pfu/100μLとなるように維持培地で希釈したVZV(CaQu株)を100μL/ウェルずつ接種した。プレートを2000rpmで20分間室温で遠心後、37℃、5%CO2下で3時間保温し、VZVを感染させた。維持培地100μL/ウェルで3回洗浄後、維持培地で希釈された適当な濃度の試験薬剤100μLを各ウェルに添加した。細胞を37℃、5%CO2下で3〜4日間培養した後に、10%ホルマリン/PBSを100μL/ウェル加え、2〜3時間細胞を固定した。固定液と培養上清を捨てて、プレートを水洗した後、染色液(0.025% クリスタルバイオレット)を50μL/ウェルずつ添加し、2〜3分間染色後、水洗を行い37℃でプレートを乾燥させた。VZVに感染したHEF細胞が細胞死を起こし、monolayerのHEF細胞中に死細胞よりなるプラークが形成される。顕微鏡でプラーク数を計測し、試験薬剤のEC50値をこのプラークを50%抑制する濃度として算出した。
本発明化合物のEC50値(μM)を下表に示す。本発明化合物はアシクロビルや公知のチアゾリルフェニルカルバモイルメチル置換アミド誘導体(比較化合物a及びb)に比して、良好なVZVに対する抗ウイルス作用を有していた。
【0022】
【表3】
【0023】
試験例2 HSV−1 皮膚感染マウスモデル( in vivo 試験)
H.Machidaらの方法(Antiviral Res., 1992, 17, p.133−143)に準じたHSV−1皮膚感染マウスモデルを用いて本発明医薬組成物のin vivo作用を試験した。HR−1無毛マウスの皮膚を注射針で縦横数回擦過した部位に、ウイルス液(HSV−1 WT−51株 1.5 x 104 PFU)を滴下し浸透させることによりHSV−1を感染させた。実施例2、6、9、13又は14の化合物(用量:10mg/kg)、若しくは実施例1の化合物(用量:12.5mg/kg)を、それぞれ20%CremophorEL(ナカライテスク)/20%ポリエチレングリコール(PEG)400/60%H2O溶液として、1日2回5日間経口投与した。HSV−1感染による皮膚病変部の症状を7段階にスコア化し21日間評価すると共に、マウスの生存日数も検討した。
その結果、プラセボ群では、感染4日後から皮膚病変部の症状の悪化によるスコアの上昇が観察され、7日後には平均病変スコアが6を越え、その生存日数は10日以下であった。一方、本願化合物投与群では病変部の症状悪化が良好に抑制され、その平均病変スコアは評価期間中、2を越えるものはなかった。また、生存日数の延長が認められ、評価期間中の死亡例は観察されなかった。
実施例2、9、13又は14の化合物(用量:10mg/kg)をプラセボと共に同様に試験した。各群の平均病変スコアからAUC値を算出し、プラセボに対する各化合物投与群の病変阻害率を求めた。その結果、これらの化合物投与群の病変阻害率は約80〜95%であった。
以上の通り、in vivo動物モデルにおいて経口投与された本発明化合物は、低用量の経口投与において、良好な抗ヘルペスウイルス活性を有することが確認された。本発明化合物は、核酸系でないこと、並びに低用量で良好な抗ウイルス活性を呈することから、より安全性の高い抗ヘルペスウイルス剤となりうることが期待された。なお、本発明化合物中、特に薬物相互作用が低い化合物は、他剤との併用に有利である。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。また、本発明化合物の原料化合物の製造例を参考例として示す。
参考例1: アニリンのDMF溶液に炭酸カリウムとエチル ブロモアセテートを加え加熱攪拌した。反応混合物に水、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去し粗生成物を得た。これをクロロホルムに溶解し、TEA、4−フルオロベンゾイルクロライド及びジメチルアミノピリジン(DMAP)を加え攪拌した。反応溶液に1M塩酸を加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、エチル [(4−フルオロベンゾイル)フェニルアミノ]アセテート(無色油状物)を得た。FAB−MS [(M+H)+]:302。
参考例1と同様にして後記表4に示す参考例2〜15の化合物を得た。
【0025】
製造例1: エチル [(4−フルオロベンゾイル)フェニルアミノ]アセテート(599mg)のエタノール(10mL)溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(2.3mL)を加えた後、室温にて5時間攪拌した。反応溶液に1M塩酸を加え液性を酸性とした後、水、クロロホルムを加え有機層を分液した。更に、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られたカルボン酸粗生成物をDMF(15mL)に溶解させた後、4−(4−アミノフェニル)チアゾール−2−イルアミン ジヒドロヨーダイド(831mg)、ピリジン(0.23mL)、HOBt(0.3g)、WSC・HCl(0.42g)を順次加え室温にて22時間攪拌した。反応溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液した。更に、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=97/3)にて精製し、黄色泡状物を451mg得た。これをクロロホルム−メタノール(4mL−1mL)に溶解し、4M塩化水素−酢酸エチル(0.38mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をエタノールから再結晶して、N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−フェニルベンズアミド 一塩酸塩(淡黄色結晶)を270mg得た。1H−NMR(DMSO−d6,TMS内部標準)の特徴的ピークδppm:4.67(2H, s), 7.01−7.40(10H, m), 7.69−7.77(4H, m), 10.50(1H, s)。
【0026】
実施例1〜14: 製造例1と同様にして、後記表5〜6に示す、実施例1〜14の化合物を得た。
表中の略号は、 Ref:参考例; Ex:実施例; Str:構造式; Sal:塩;及び Dat:物理化学的性状{F+:FAB−MS [(M+H)+]; N1:1H−NMR(DMSO−d6,TMS内部標準)の特徴的ピークδppm}を示す。
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】
【0029】
【表6】
【0030】
【発明の効果】
本発明化合物は良好な抗VZV作用を有しており、医薬殊に抗ヘルペスウイルス剤等のウイルス剤として、VZV感染に伴う水痘(水疱瘡)、潜伏したVZVの回帰感染に伴う帯状疱疹の予防若しくは治療に有用である。
また、本発明化合物は、他のヘルペスウイルス(HSV−1、HSV−2等)の複製抑制活性をも有することから、HSV−1感染に伴う口唇ヘルペスやヘルペス脳炎、HSV−2感染に伴う性器ヘルペス等の各種ヘルペスウイルス感染症の予防若しくは治療にも適用でき、汎用性のある抗ヘルペスウイルス剤として有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、殊にヘルペスウイルスが関与する疾患の予防並びに治療剤として有用な新規アミド誘導体又はその塩に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘルペスウイルス科のウイルスはヒト及び動物に対し様々な感染症を引き起こす。例えば、水痘帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus;VZV)は、水痘、帯状疱疹を引き起こし、単純ヘルペスウイルス−1型及び−2型(herpes simplexvirus type1及び−2;HSV−1及びHSV−2)はそれぞれ口唇ヘルペス、性器ヘルペス等の感染症を引き起こすことが知られている。また近年、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)、EBウイルス(Epstein−Barr virus; EBV)、ヒトヘルペスウイルス6、7、8(human herpesvirus 6、7、8)などのへルペスウイルスが原因となる感染症も明らかにされてきている。
現在、 VZVやHSVの抗ヘルペスウイルス薬として、アシクロビル(ACV)、そのプロドラッグであるバラシクロビル(VCV)及びファンシクロビル(FCV)などの核酸系の薬剤が使用されている。これら核酸系の薬剤は、VZVやHSVがコードするウイルスチミジンキナーゼによりヌクレオシドモノホスフェートにモノリン酸化された後に、細胞の酵素によりトリホスフェート体に変換される。最終的に、トリリン酸化ヌクレオシド類縁体がヘルペスウイルスDNAポリメラーゼによるウイルスゲノムの複製中に取り込まれ、ウイルスDNA鎖の伸長反応を抑制する。この様に、既存の抗ヘルペスウイルス剤の作用メカニズムは、デオキシヌクレオシドトリホスフェートに対する“競合的阻害”効果に基づいているため、抗ウイルス効果を発揮させるには高濃度の薬剤が必要になる。実際、これらの核酸系抗ヘルペス剤の臨床投与量は1日数百mgから数gもの高用量が投与されているのが現状である。さらに核酸系の薬剤は宿主のDNAポリメラーゼにより、宿主のゲノムDNAに取り込まれ得るため、その変異原性が懸念される。
一方、最近になって、非核酸系の薬剤で抗ヘルペスウイルス活性を示す薬剤がいくつか報告されてきた。例えば、HSVヘリカーゼ−プライマーゼ酵素複合体を抑制することにより抗HSV−1活性及び抗CMV活性を有する、下式(G)で示されるN原子がチアゾリルフェニルカルバモイルメチル基等で置換されたアミド若しくはスルホンアミド誘導体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、これらの化合物の抗VZV活性については具体的に開示がない。
【化1】
(式中、Rは水素、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ等、R2は水素又は低級アルキル、Qは不在又はメチレン、R3は水素、低級アルキル等、R4は未置換若しくは置換フェニル(低級)アルキル、1−インダニル、2−インダニル、(低級シクロアルキル)−(低級アルキル)、(Het)−(低級アルキル)等、R5は、フェニルスルホニル、1−又は2−ナフチルスルホニル、(Het)−スルホニル、(未置換若しくは置換フェニル)−Y−(CH2)nC(O)、(Het)−(CH2)nC(O)等、YはO又はS、nは0,1,2。詳細は特許文献1参照。)
更に、抗HSV−1活性及び抗CMV活性を有する下式(H)で示されるN原子がチアゾリルフェニルカルバモイルメチル基で置換されたアミド若しくはスルホンアミド誘導体が開示されている(例えば、特許文献2参照)が、これらの化合物の抗VZV活性については具体的に開示が無い。
【化2】
(式中、R1はNH2、R2はH、R3はH、R4はCH2Ph、CH2−(4−ピリジル)、CH2−シクロヘキシル等、R5は、CO−(置換フェニル)、CO−(未置換若しくは置換ヘテロ環)等。詳細は特許文献2参照。)
また最近、各種のヘルペスウイルスプロテアーゼの阻害剤(例えば、非特許文献1)や、HSVのプライマーゼ阻害剤であるN−(カルボニルフェニル)ベンズアミド誘導体の報告がある(例えば、特許文献3)。しかしながら、これらの非特許文献1及び特許文献3にも良好な抗VZV活性を有する化合物の開示は無い。
【0003】
【特許文献1】国際公開第97/24343号パンフレット
【特許文献2】国際公開第00/29399号パンフレット
【特許文献3】国際公開第00/58270号パンフレット
【非特許文献1】Waxman Lloyd et al, 2000年, ”Antiviral Chemistry and Chemotherapy”, 11巻,p.1−22
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
十分な抗VZV活性を有し、かつ非核酸系で投与量も少なく安全性の高い、抗ヘルペスウイルス剤の創製が切望されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、抗水痘帯状疱疹ウイルス(抗VZV)作用を有する化合物につき鋭意検討した結果、下表の一般式(I)に示すように、N原子がチアゾリルフェニルカルバモイルメチル基で置換されたアミド基のN原子に、基Aとして芳香環基であるアリール又はヘテロアリール基がアルキレン鎖を介さずに直接置換している点に特徴を有する、新規なアミド誘導体が良好な抗VZV活性を有することを見出し、先に特許出願を行った(国際公開第02/38554号パンフレット参照)。更に、抗VZV剤として最適な化合物の探索を鋭意行った結果、下表に示す特定の置換基を組み合わせた新規化合物が、低用量の経口投与においても良好な抗ウイルス活性を示し、臨床的に有用な薬剤となり得ることを見出して本発明を完成したものである。
【0006】
即ち、本発明は、下表に示される新規なアミド誘導体又はその塩に関する。
【表2】
本発明は、上記本発明化合物を有効成分として含有する経口剤もしくは外用剤である医薬組成物、中でも、抗ヘルペスウイルス剤、殊に抗VZV剤にも関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
前記表2に示される本発明化合物中、好ましい化合物を以下に示す。
(No.1)N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾ[b]チオフェン−5−イルテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩、
(No.2)N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2,6−ジメチルフェニル)テドラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩、
(No.3)N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−ブロモ−2−メチルフェニル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩、
(No.6)N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2,4−ジメチルフェニル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩、
(No.8)N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(3−メチルベンゾ[b]チオフェン−5−イル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩、
(No.9)N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2,4,6−トリメチルフェニル)テドラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩、
(No.11)トランス−N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾフラン−5−イル−4−シアノシクロヘキサンカルボキサミド又はその塩、
(No.13)N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2−クロロ−6−メチルフェニル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩、及び
(No.14)N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−シアノ−N−(4−メトキシフェニル)シクロヘキサンカルボキサアミド又はその塩。
【0008】
本発明化合物の塩としては製薬学的に許容される塩である。具体的には塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩等が挙げられる。
【0009】
本発明化合物には、異性体が存在する化合物が含まれるが、本発明はこれらの異性体の混合物や単離されたものを包含する。更に本発明化合物又はその塩の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形の物質をも包含する。なお、本発明化合物には、生体内において代謝されて本発明化合物またはその塩に変換される化合物、いわゆるプロドラッグもすべて包含される。このプロドラッグを形成する基としては、Prog. Med. 5:2157−2161(1985)に記載されている基や廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻 分子設計163−198に記載されている基が挙げられる。
【0010】
本発明化合物の代表的な製造方法を以下に説明する。
なお、以下の製造方法において、官能基の種類によっては、当該官能基を原料ないし中間体の段階で適当な保護基、すなわち容易に当該官能基に転化可能な基に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。しかるのち、必要に応じて保護基を除去し、所望の化合物を得ることができる。このような官能基としては例えばアミノ基、水酸基、カルボキシル基等を挙げることができ、それらの保護基としては例えば、Protective Groups in Organic Synthesis 第3版(T.W. GreenおよびP. G. M. Wuts著、JOHN WILLY & SONS, INC.発行)に記載の保護基を挙げることができ、これらを反応条件に応じて適宜用いればよい。保護基の導入及び脱保護は当該参考書記載の方法を適時適用できる。
【0011】
【化3】
第一製法
本発明化合物(I)はカルボン酸化合物(III)とチアゾリルアニリン誘導体(II)をアミド化反応に付すことによって容易に製造できる。
アミド化反応は常法により行うことができ、例えば、日本化学会編「実験化学講座」第4版(丸善) 22巻p137〜173に記載の方法を適用できる。好ましくは、カルボン酸化合物(III)を反応性誘導体、例えば酸ハロゲン化物(酸クロリド等)又は酸無水物に変換した後、チアゾリルアニリン誘導体(II)に反応させることにより行うことができる。カルボン酸の反応性誘導体を用いる場合、塩基(水酸化ナトリウム等の無機塩基、又は、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基)を添加することが好ましい。更に、アミド化はカルボン酸を、縮合剤(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)、1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール(CDI)等)の存在下で反応させることにより行うこともできる。その際、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)等の添加剤を加えてもよい。反応温度は、原料化合物に応じて適宜選択できる。溶媒は、反応に不活性な溶媒、例えばベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、ピリジン等の塩基性溶媒等が挙げられる。溶媒は原料化合物の種類等に従い適宜選択され、単独で、又は2種以上混合して用いられる。
【0012】
第二製法
【化4】
(式中、halはハロゲンを示す。以下同様。)
本製法は、一般式(IV)で示されるα−ハロゲン化ケトンを化合物(V)との環化反応に付すことにより化合物(I)を得る方法である。本環化反応は、常法により行うことができ、例えば、Tetrahedron Lett., 9, 24, 1959、及び、The Chemistry of Heterocyclic Compounds ”Thiazole and its Derivatives 1, 2” (J.V.Metzger著:John Eiley & Sons社)に記載の方法を適用できる。
好ましくは、原料化合物であるα−ハロゲン化ケトン(IV)を溶媒中あるいは溶媒を用いずに化合物(V)と冷却下乃至加熱下反応させることにより行うことができる。溶媒としては、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のカルボニル系溶媒、前出のエーテル系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒及びアミド系溶媒等を用いることができる。これらの溶媒は単独で、又は2種以上混合して用いられる。溶媒は原料化合物の種類等に従い適宜選択されるべきである。反応の際、塩基(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、TEA等)を添加することにより反応が円滑に進行することがある。
【0013】
第三製法
【化5】
本製法は、一般式(VI)で示されるアミン化合物とカルボン酸化合物(VII)とをアミド化反応に付すことにより化合物(I)を得る方法である。
アミド化は第一製法と同様にして行うことができる。
【0014】
前記の各原料化合物は、公知の反応、例えば日本化学会編「実験化学講座」(丸善)に記載の反応等を用いて、容易に製造することができる。以下にその代表的な製法を示す。
【化6】
(式中、Rは低級アルキル、アラルキル等のエステル残基を形成しうる基を、Pはフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)等のアミノ基の保護基をそれぞれ意味する。)
上記反応経路図中、アミド化は前記第一製法記載の方法と同様にして、環化は第二製法記載の方法と同様にして行うことができる。
化合物(X)のN−アルキル化は、ハロゲン化アルキル化合物(XI)を用いて、常法、例えば、前出の「実験化学講座」第4版(丸善) 20巻p279〜318記載の方法により行うことができる。反応温度は冷却下乃至加熱下行うことができ、溶媒は反応に不活性な溶媒、例えば前記第一製法のアミド化に例示される溶媒等が挙げられる。反応は、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の塩基の存在下行うことが好ましい。
【0015】
カルボン酸化合物(III)を得るための脱保護は、エステルの種類に応じて適宜常法を適用して行うことができる。好ましくは、エチルエステル等のアルキルエステルの場合は、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基で処理することにより、ベンジルエステル等のアラルキルエステルの場合は水素雰囲気下パラジウム−炭素(Pd−C)で還元することにより行うことができる。反応は、前記Protective Groups in Organic Synthesis 第3版記載の方法に準じて行うことができる。α−ハロゲン化ケトン化合物(IV)は、アシル化合物(XV)を常法によりハロゲン化することにより合成することができる。ハロゲン化試薬としては、例えば塩素、臭素、ヨウ素、臭化銅(II)、ヨウ素酸カリウム、三臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、三臭化フェニルトリメチルアンモニウム、三臭化テトラブチルアンモニウム、塩化スルフリル、トリメチルシリルクロリド、トリメチルシリルブロミド、5,5−ジブロモバルビツール酸等を挙げることができ、溶媒としては反応に不活性な溶媒、例えば酢酸、臭化水素酸/酢酸等の酸性溶媒、前出のアルコール系溶媒、エーテル系溶媒を挙げることができる。反応温度は、冷却下乃至加熱下行うことができる。
【0016】
アミン化合物(VI)を得るための脱保護は、保護基の種類に応じて適宜常法を用いて実施される。例えば、前記Protective Groups in Organic Synthesis 第3版、503〜572頁記載の方法を適用できる。
また、置換基の種類によっては、更に当業者によく知られる置換基修飾反応に付して、所望の原料化合物を製造することができる。
このようにして製造された本発明化合物は、遊離のまま、又は常法による造塩処理を施し、その塩として単離・精製される。単離・精製は抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィー等の通常の化学操作を適応して行われる。
各種の異性体は異性体間の物理化学的な性質の差を利用して常法により単離でき、例えば、分別結晶化又はクロマトグラフィー等により分離できる。また、適当な原料を用いることにより一方の異性体のみを製造することもできる。
【0017】
本発明化合物又はその塩の1種又は2種以上を有効成分として含有する医薬組成物は、当分野において通常用いられている薬剤用担体、賦形剤等を用いて通常使用されている方法によって調製することができる。投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、又は、静注、筋注等の注射剤、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、パップ剤、噴霧剤、ローション剤、点眼剤、眼軟膏等の外用剤、坐剤、吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
【0018】
本発明における経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、一つ又はそれ以上の活性物質が、少なくとも一つの不活性な賦形剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な添加剤、例えばステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤やカルボキシメチルスターチナトリウム等の崩壊剤、溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性コーティング剤で被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を包含し、一般的に用いられる不活性な溶剤、例えば精製水、エタノール等を用いることができる。この組成物は不活性な溶剤以外に可溶化剤、湿潤剤、懸濁化剤のような補助剤、甘味剤、矯味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤を包含する。水性の溶剤としては、例えば注射用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水性の溶剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート80(商品名)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解、懸濁して使用することもできる。
【0019】
外用剤としては、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、パップ剤、噴霧剤、ローション剤、点眼剤、眼軟膏等を包含する。一般に用いられる軟膏基剤、ローション基剤、水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤等を含有する。例えば、軟膏又はローション基剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、白色ワセリン、サラシミツロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウロマクロゴール、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
【0020】
通常、本発明化合物の1日の投与量は、経口投与の場合、体重当たり約0.001から50mg/kg、好ましくは0.01〜30mg/kgが、静脈投与される場合、体重当たり約0.0001から10mg/kgがそれぞれ適当であり、これを1日1回乃至複数回に分けて投与する。投与量は症状、年令、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。また、外用剤として用いる場合は、化合物(I)を0.0001〜20%、好ましくは0.01〜10%を含む外用剤が好ましい。これを1日1〜数回、症状に応じて局所に投与する。
本発明化合物は、他の薬剤と適宜併用してもよく、併用可能な薬剤としては、例えば、ACV、VCV、FCV、ペンシクロビル(PCV)、ビダラビン(ara−A)、BVDU(ブロモビニルデオキシウリジン)、フォスカーネット(PFA)、ガンシクロビル(GCV)等の他の抗ヘルペスウイルス剤;アミトリプチリン(3環系抗うつ薬)、ガバペンチン(抗痙攣薬)、リドカイン及びメキシレチン(抗不整脈薬)、カプサイシン等の帯状疱疹後神経痛の鎮痛剤;インドメタシン、イブプロフェン、セレコキシブ等の消炎鎮痛剤が挙げられる。
【0021】
以下の試験例により本発明化合物の効果を示す。
試験例1 抗 VZV 活性試験
実験は、Shigeta S. The Journal of Infectious Diseases, 147, 3, p.576−584, (1983)記載の方法に従って実施した。具体的には、10,000個のHEF細胞を増殖培地を用いて96ウェル・ミクロタイター・プレートに播き、37℃、5%CO2下で4日間、monolayerとなるまで培養した。細胞を維持培地で洗浄後に、20〜30pfu/100μLとなるように維持培地で希釈したVZV(CaQu株)を100μL/ウェルずつ接種した。プレートを2000rpmで20分間室温で遠心後、37℃、5%CO2下で3時間保温し、VZVを感染させた。維持培地100μL/ウェルで3回洗浄後、維持培地で希釈された適当な濃度の試験薬剤100μLを各ウェルに添加した。細胞を37℃、5%CO2下で3〜4日間培養した後に、10%ホルマリン/PBSを100μL/ウェル加え、2〜3時間細胞を固定した。固定液と培養上清を捨てて、プレートを水洗した後、染色液(0.025% クリスタルバイオレット)を50μL/ウェルずつ添加し、2〜3分間染色後、水洗を行い37℃でプレートを乾燥させた。VZVに感染したHEF細胞が細胞死を起こし、monolayerのHEF細胞中に死細胞よりなるプラークが形成される。顕微鏡でプラーク数を計測し、試験薬剤のEC50値をこのプラークを50%抑制する濃度として算出した。
本発明化合物のEC50値(μM)を下表に示す。本発明化合物はアシクロビルや公知のチアゾリルフェニルカルバモイルメチル置換アミド誘導体(比較化合物a及びb)に比して、良好なVZVに対する抗ウイルス作用を有していた。
【0022】
【表3】
【0023】
試験例2 HSV−1 皮膚感染マウスモデル( in vivo 試験)
H.Machidaらの方法(Antiviral Res., 1992, 17, p.133−143)に準じたHSV−1皮膚感染マウスモデルを用いて本発明医薬組成物のin vivo作用を試験した。HR−1無毛マウスの皮膚を注射針で縦横数回擦過した部位に、ウイルス液(HSV−1 WT−51株 1.5 x 104 PFU)を滴下し浸透させることによりHSV−1を感染させた。実施例2、6、9、13又は14の化合物(用量:10mg/kg)、若しくは実施例1の化合物(用量:12.5mg/kg)を、それぞれ20%CremophorEL(ナカライテスク)/20%ポリエチレングリコール(PEG)400/60%H2O溶液として、1日2回5日間経口投与した。HSV−1感染による皮膚病変部の症状を7段階にスコア化し21日間評価すると共に、マウスの生存日数も検討した。
その結果、プラセボ群では、感染4日後から皮膚病変部の症状の悪化によるスコアの上昇が観察され、7日後には平均病変スコアが6を越え、その生存日数は10日以下であった。一方、本願化合物投与群では病変部の症状悪化が良好に抑制され、その平均病変スコアは評価期間中、2を越えるものはなかった。また、生存日数の延長が認められ、評価期間中の死亡例は観察されなかった。
実施例2、9、13又は14の化合物(用量:10mg/kg)をプラセボと共に同様に試験した。各群の平均病変スコアからAUC値を算出し、プラセボに対する各化合物投与群の病変阻害率を求めた。その結果、これらの化合物投与群の病変阻害率は約80〜95%であった。
以上の通り、in vivo動物モデルにおいて経口投与された本発明化合物は、低用量の経口投与において、良好な抗ヘルペスウイルス活性を有することが確認された。本発明化合物は、核酸系でないこと、並びに低用量で良好な抗ウイルス活性を呈することから、より安全性の高い抗ヘルペスウイルス剤となりうることが期待された。なお、本発明化合物中、特に薬物相互作用が低い化合物は、他剤との併用に有利である。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。また、本発明化合物の原料化合物の製造例を参考例として示す。
参考例1: アニリンのDMF溶液に炭酸カリウムとエチル ブロモアセテートを加え加熱攪拌した。反応混合物に水、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去し粗生成物を得た。これをクロロホルムに溶解し、TEA、4−フルオロベンゾイルクロライド及びジメチルアミノピリジン(DMAP)を加え攪拌した。反応溶液に1M塩酸を加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、エチル [(4−フルオロベンゾイル)フェニルアミノ]アセテート(無色油状物)を得た。FAB−MS [(M+H)+]:302。
参考例1と同様にして後記表4に示す参考例2〜15の化合物を得た。
【0025】
製造例1: エチル [(4−フルオロベンゾイル)フェニルアミノ]アセテート(599mg)のエタノール(10mL)溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(2.3mL)を加えた後、室温にて5時間攪拌した。反応溶液に1M塩酸を加え液性を酸性とした後、水、クロロホルムを加え有機層を分液した。更に、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られたカルボン酸粗生成物をDMF(15mL)に溶解させた後、4−(4−アミノフェニル)チアゾール−2−イルアミン ジヒドロヨーダイド(831mg)、ピリジン(0.23mL)、HOBt(0.3g)、WSC・HCl(0.42g)を順次加え室温にて22時間攪拌した。反応溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液した。更に、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=97/3)にて精製し、黄色泡状物を451mg得た。これをクロロホルム−メタノール(4mL−1mL)に溶解し、4M塩化水素−酢酸エチル(0.38mL)を加えた後、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をエタノールから再結晶して、N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−フルオロ−N−フェニルベンズアミド 一塩酸塩(淡黄色結晶)を270mg得た。1H−NMR(DMSO−d6,TMS内部標準)の特徴的ピークδppm:4.67(2H, s), 7.01−7.40(10H, m), 7.69−7.77(4H, m), 10.50(1H, s)。
【0026】
実施例1〜14: 製造例1と同様にして、後記表5〜6に示す、実施例1〜14の化合物を得た。
表中の略号は、 Ref:参考例; Ex:実施例; Str:構造式; Sal:塩;及び Dat:物理化学的性状{F+:FAB−MS [(M+H)+]; N1:1H−NMR(DMSO−d6,TMS内部標準)の特徴的ピークδppm}を示す。
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】
【0029】
【表6】
【0030】
【発明の効果】
本発明化合物は良好な抗VZV作用を有しており、医薬殊に抗ヘルペスウイルス剤等のウイルス剤として、VZV感染に伴う水痘(水疱瘡)、潜伏したVZVの回帰感染に伴う帯状疱疹の予防若しくは治療に有用である。
また、本発明化合物は、他のヘルペスウイルス(HSV−1、HSV−2等)の複製抑制活性をも有することから、HSV−1感染に伴う口唇ヘルペスやヘルペス脳炎、HSV−2感染に伴う性器ヘルペス等の各種ヘルペスウイルス感染症の予防若しくは治療にも適用でき、汎用性のある抗ヘルペスウイルス剤として有用である。
Claims (10)
- N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾ[b]チオフェン−5−イルテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩。
- N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2,6−ジメチルフェニル)テドラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩。
- N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(4−ブロモ−2−メチルフェニル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩。
- N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2,4−ジメチルフェニル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩。
- N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(3−メチルベンゾ[b]チオフェン−5−イル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩。
- N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2,4,6−トリメチルフェニル)テドラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩。
- トランス−N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−ベンゾフラン−5−イル−4−シアノシクロヘキサンカルボキサミド又はその塩。
- N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−N−(2−クロロ−6−メチルフェニル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド 1,1−ジオキシド又はその塩。
- N−({[4−(2−アミノチアゾール−4−イル)フェニル]カルバモイル}メチル)−4−シアノ−N−(4−メトキシフェニル)シクロヘキサンカルボキサアミド又はその塩。
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