JP2005089451A - アミド誘導体又はその塩 - Google Patents

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徹 紺谷
Junji Miyata
淳司 宮田
渉 ▲はま▼口
Wataru Hamaguchi
Akio Kamikawa
晃雄 神川
Tomoaki Kono
友昭 河野
Hiroshi Suzuki
弘 鈴木
Kenji Shudo
健治 周藤
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SOYAKU GIJUTSU KENKYUSHO KK
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Abstract

【課題】 医薬、殊にヘルペスウイルス科のウイルス感染に伴う各種疾患、具体的には、水痘帯状疱疹ウイルス感染に伴う水痘(水疱瘡)、潜伏した水痘帯状疱疹ウイルスの回帰感染に伴う帯状疱疹、HSV-1感染に伴う口唇ヘルペスやヘルペス脳炎、HSV-2感染に伴う性器ヘルペス等の、各種ヘルペスウイルス感染症の予防もしくは治療に有用な新規化合物の提供。
【解決手段】 フェニル基の4位が特定の5〜6員ヘテロアリール基で置換されたN−(フェニルカルバモイルメチル)アミド誘導体又はその塩は良好な抗ウイルス活性を有しており、低用量の経口投与により上記疾患の治療を可能とした。
【選択図】 無し

Description

本発明は、医薬、殊にヘルペスウイルスが関与する疾患の予防並びに治療に有用な新規アミド誘導体又はその塩に関する。
ヘルペスウイルス科のウイルスはヒト及び動物に対し様々な感染症を引き起こす。例えば、水痘帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus;VZV)は、水痘、帯状疱疹を引き起こし、単純ヘルペスウイルス-1型及び-2型(herpes simplex virus type1及び-2;HSV-1及びHSV-2)はそれぞれ口唇ヘルペス、性器ヘルペス等の感染症を引き起こすことが知られている。また近年、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)、EBウイルス(Epstein-Barr virus; EBV)、ヒトヘルペスウイルス(human herpesvirus)6、7及び8などのへルペスウイルスが原因となる感染症も明らかにされてきている。
現在、VZVやHSVの抗ヘルペスウイルス薬として、アシクロビル(ACV)、そのプロドラッグであるバラシクロビル(VCV)及びファンシクロビル(FCV)などの核酸系の薬剤が使用されている。これら核酸系の薬剤は、VZVやHSVがコードするウイルスチミジンキナーゼによりヌクレオシドモノホスフェートにモノリン酸化された後に、細胞の酵素によりトリホスフェート体に変換される。最終的に、トリリン酸化ヌクレオシド類縁体がヘルペスウイルスDNAポリメラーゼによるウイルスゲノムの複製中に取り込まれ、ウイルスDNA鎖の伸長反応を抑制する。この様に、既存の抗ヘルペスウイルス剤の作用メカニズムは、デオキシヌクレオシドトリホスフェートに対する“競合的阻害”効果に基づいているため、抗ウイルス効果を発揮させるには高濃度の薬剤が必要になる。実際、これらの核酸系抗ヘルペス剤の臨床投与量は1日数百mgから数gもの高用量が投与されているのが現状である。さらに核酸系の薬剤は宿主のDNAポリメラーゼにより、宿主のゲノムDNAに取り込まれ得るため、その変異原性が懸念される。
一方、最近になって、非核酸系の薬剤で抗ヘルペスウイルス活性を示す薬剤がいくつか報告されてきた。例えば、HSVヘリカーゼ−プライマーゼ酵素複合体を抑制することにより抗HSV-1活性及び抗CMV活性を有する、下式(G)で示されるN原子がチアゾリルフェニルカルバモイルメチル基等で置換されたアミド若しくはスルホンアミド誘導体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、これらの化合物の抗VZV活性については具体的に開示がない。
Figure 2005089451
(式中、Rは水素、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ等、R2は水素又は低級アルキル、Qは不在又はメチレン、R3は水素、低級アルキル等、R4は未置換若しくは置換フェニル(低級)アルキル、1-インダニル、2-インダニル、(低級シクロアルキル)-(低級アルキル)、(Het)-(低級アルキル)等、R5は、フェニルスルホニル、1-又は2-ナフチルスルホニル、(Het)-スルホニル、(未置換若しくは置換フェニル)-Y-(CH2)nC(O)、(Het)-(CH2)nC(O)等、YはO又はS、nは0,1,2。詳細は特許文献1参照。)
更に、抗HSV-1活性及び抗CMV活性を有する下式(H)で示されるN原子がチアゾリルフェニルカルバモイルメチル基で置換されたアミド若しくはスルホンアミド誘導体が開示されている(例えば、特許文献2参照)が、これらの化合物の抗VZV活性については具体的に開示が無い。
Figure 2005089451
(式中、R1はNH2、R2はH、R3はH、R4はCH2Ph、CH2-(4-ピリジル)、CH2-シクロヘキシル等、R5は、CO-(置換フェニル)、CO-(未置換若しくは置換ヘテロ環)等。詳細は当該公報参照。)
本出願人等は、先に良好な抗VZV活性を有する、下式で示されるアミド基のN原子に芳香環基であるアリール又はヘテロアリール基が直接置換している点に特徴を有するチアゾリルフェニルカルバモイルメチル基で置換されたアミド化合物又はその塩を見出し特許出願した(特許文献3)。
Figure 2005089451
(式中、R1、R2は、−H、−低級アルキル、−NRaRb等を、Aは−置換基を有していてもよいアリール、−置換基を有していてもよいヘテロアリール等を、R3は、−置換基を有していてもよいアリール、−置換基を有していてもよいヘテロ環、等を意味する。詳細は当該公報参照。)
国際公開第97/24343号パンフレット 国際公開第00/29399号パンフレット 国際公開第02/38554号パンフレット
今なお、十分な抗ヘルペスウイルス活性を有し、かつ非核酸系で投与量が少なく安全性の高い、経口投与に適した抗ヘルペスウイルス剤の創製が切望されている。
本発明者等は、抗ヘルペスウイルス作用を有する化合物につき鋭意検討した結果、下記一般式(I)に示すように、従来のアミノ置換チアゾール環に代えて、Z環として1〜3個のN原子を有し更に1個のO原子を有していてもよい5乃至6員単環ヘテロアリール、フリル、チエニル、チアジアゾリル又はイソチアゾリル基を導入した点に特徴を有する新規なアミド誘導体が、予想外に良好な抗ヘルペスウイルス活性を有することを知見して本発明を完成したものである。本発明化合物は従来の抗ヘルペスウイルス剤に比して低用量の経口投与においても良好な抗ウイルス活性を有し、また核酸系薬剤とは異なり変異原性の懸念も低く安全性が高い。
即ち、本発明は、下記一般式(I)で示される新規なアミド誘導体に関する。
Figure 2005089451
(式中の記号は以下の意味を示す。
Z:低級アルキル基で置換されていてもよい、1〜3個のN原子を有し更に1個のO原子を有していてもよい5乃至6員単環ヘテロアリール、フリル、チエニル、チアジアゾリル又はイソチアゾリル基、但し、未置換の、1,2,3−トリアゾール−2−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、4−オキサゾリル若しくは2-ピリジル基を除く、
A:置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよい飽和炭化水素環縮合アリール又は置換基を有していてもよい飽和複素環縮合アリール基、但し、飽和炭化水素環縮合アリール及び飽和複素環縮合アリール基は、芳香環のC原子を介して隣接するN原子に結合する、
X:CO又はSO2
3:置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロ環又はNRaRb、
Ra及びRb:同一又は異なって、H、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、N,S及びOから選択されるヘテロ原子を1乃至4個含有する5乃至6員単環ヘテロアリール又は低級アルキレン−アリール。以下同様。)
殊に、以下の化合物が好ましい。
(1) Zが下式に示される群から選択される基であるアミド誘導体又はその塩。
Figure 2005089451
(2) Zが低級アルキル基で置換されていてもよい1〜3個のN原子を有し更に1個のO原子を有していてもよい5乃至6員単環ヘテロアリール基であるアミド誘導体又はその塩。
(3) Aが、低級アルキル、O−低級アルキル及びハロゲン原子から選択される1〜4個の置換基で置換されたフェニル基であり、XがCOであり、R3が1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル基であるアミド誘導体又はその塩。
更に本発明は、一般式(I)で示される新規なアミド誘導体又はその塩を有効成分として含有する抗ヘルペスウイルス剤、殊に経口剤である医薬組成物にも関する。
本発明化合物は良好な抗ヘルペスウイルス作用を有しており、従来の抗ヘルペス剤に比してより低用量の経口投与においても良好な抗ウイルス作用を呈することから、医薬、殊に安全性の高い抗ヘルペスウイルス剤として、VZV感染に伴う水痘(水疱瘡)、潜伏したVZVの回帰感染に伴う帯状疱疹、HSV-1感染に伴う口唇ヘルペスやヘルペス脳炎、HSV-2感染に伴う性器ヘルペス等の各種ヘルペスウイルス感染症の予防若しくは治療に有用である。
本発明の一般式(I)のアミド誘導体又はその塩をさらに説明する。
本明細書中、「低級」なる語は、炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖を意味する。「低級アルキル」としては、好ましくは炭素数1乃至4個のアルキル基であり、特に好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル基及びtert−ブチル基である。「低級アルケニル」としては、好ましくは炭素数2乃至5個のアルケニル基であり、特に好ましくはビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル及び3−ブテニル基である。「低級アルキニル」としては、好ましくは炭素数2乃至5個のアルキニル基であり、特に好ましくは、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル及び1−メチル−2−プロピニル基である。また、「低級アルキレン」としては、好ましくは炭素数1乃至3個のアルキレン基であり、特に好ましくは、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン及びジメチルメチレン基である。
「アルキル」としては、好ましくは炭素数1〜10個の直鎖状又は分枝状のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、2,2−ジエチルプロピル、n−オクチル及びn−デシル基が挙げられる。「アルケニル」及び「アルキニル」としては、好ましくは炭素数2〜10個の直鎖状又は分枝状の基である。
「アリール」としては、芳香族炭化水素環基を意味し、炭素数6乃至14個のアリール基が好ましく、より好ましくはフェニル及びナフチル基である。「シクロアルキル」としては、架橋を有していてもよい炭素数3〜10個のシクロアルキル基であり、好ましくはシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びアダマンチル基である。「シクロアルケニル」としては、好ましくは炭素数3〜10個のシクロアルケニル基であり、特に好ましくはシクロペンテニル及びシクロヘキセニル基である。「飽和炭化水素環縮合アリール」としては、ベンゼン環又はナフタレン環とC5-6飽和炭化水素環が縮合した縮合環基であり、好ましくはインダニル、テトラヒドロナフチルである。
「1〜3個のN原子を有し更に1個のO原子を有していてもよい5乃至6員単環ヘテロアリール」としては、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル及びトリアジニルが好ましい。
「ヘテロ環」としては、N、S及びOから選択されるヘテロ原子を1乃至4個含有する飽和若しくは不飽和の5乃至8員ヘテロ環であって、単環又はヘテロ環若しくは炭化水素環と縮合し2乃至3環式縮合環を形成していてもよい。好ましくは、後記の「ヘテロアリール」、「5乃至8員飽和複素環」及び「飽和複素環縮合アリール」である。
「N、S及びOから選択されるヘテロ原子を1乃至4個含有する5乃至6員単環ヘテロアリール」としては、N、S及びOから選択されるヘテロ原子を1乃至4個含有する5乃至6員単環ヘテロアリールであり、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル及びトリアジニルが好ましい。「ヘテロアリール」としては、前記「N、S及びOから選択されるヘテロ原子を1乃至4個含有する5乃至6員単環ヘテロアリール」、並びにベンゼン環と若しくはヘテロアリール環同士が縮合した2乃至3環式ヘテロアリールが好ましい。ここに、単環ヘテロアリールとしては、前記のものが好ましく、2乃至3環式ヘテロアリールとしては、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾジオキソリル、イミダゾピリジル、インドリジニル、カルバゾリル、ジベンゾフラニル及びジベンゾチエニル基が好ましい。
「5乃至8員飽和複素環」は、N、S及びOから選択されるヘテロ原子を1乃至4個含有し、架橋を有していてもよい5乃至8員飽和複素環であり、好ましくは、テトラヒドロ-2H-ピラニル、テトラヒドロ-2H-チオピラニル、チエパニル、チオカニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、ピペリジニル及びモルホリニル基である。更に好ましくは5乃至7員環の基である。また、「含窒素飽和複素環」は、前記「5乃至8員飽和複素環」のうち、少なくとも1つの環窒素原子を有する基であり、好ましくは、ピペリジノ、モルホリノ、1−ピペラジニル及び1−ピロリジニルが挙げられる。
「飽和複素環縮合アリール」としては、前記5乃至8員飽和複素環とベンゼン環又はナフタレン環が縮合した縮合環基であり、好ましくは、3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジニル、3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾチアジニル、1,3-ベンゾジオキソリル、2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシニル、クロマニル、イソクロマニル、3,4-ジヒドロ-2H-1-ベンゾチオピラニル、3,4-ジヒドロ-1H-2-ベンゾチオピラニル、インドリニル、イソインドリニル、1,2,3,4-テトラヒドロキノリル及び1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリル基である。
A環が「飽和炭化水素環縮合アリール」又は「飽和複素環縮合アリール」のとき、A環は芳香環のC原子を介してアミド基のN原子に結合する。
「ハロゲン」としては、F、Cl、Br及びI原子が挙げられる。「ハロゲノ低級アルキル」としては、前記ハロゲンが1以上置換した前記低級アルキルであり、好ましくはCF3である。
置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル及び置換基を有していてもよいアルキニルにおける置換基としては、好ましくは下記C群から選択される1〜4個の置換基である。
C群:シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、NRaRb、NRc−NRaRb、(低級アルキル、低級アルキレンCOORa及びNRaRbから選択される置換基を有していてもよい含窒素飽和複素環)、NRc−(低級アルキル、低級アルキレン−COORa及びNRaRbから選択される置換基を有していてもよい含窒素飽和複素環)、O−低級アルキレン−NRaRb、O−低級アルキレン−(低級アルキル、低級アルキレン−COORa及びNRaRbから選択される置換基を有していてもよい含窒素飽和複素環)、O−低級アルキレン−ORa、O−低級アルキル−COORa、COORa、ハロゲン、CORa、NO2、CN、ORa、O−(ハロゲノ低級アルキル)、SRa、SORa、SO2Ra、CO−NRaRb、CO−(低級アルキル、低級アルキレン−COORa及びNRaRbから選択される置換基を有していてもよい含窒素飽和複素環)、NRa−CORb、SO2NRaRb及び=O(オキソ)(式中、Ra及びRbは前記の通り、RcはH又は低級アルキル基を示す)。
置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよい飽和炭化水素環縮合アリール、置換基を有していてもよい飽和複素環縮合アリール及び置換基を有していてもよいヘテロ環における置換基としては、好ましくは下記D群から選択される1〜5個の置換基である。
D群:(ORa、SRa、CN、COORa、CONRa、NRaRb及び(低級アルキル、低級アルキレン−COORa及びNRaRbから選択される置換基を有していてもよい含窒素飽和複素環)から選択される置換基を有していてもよい低級アルキル)、低級アルケニル、低級アルキニル、ハロゲノ低級アルキル、5乃至6員単環ヘテロアリール及び前記C群に記載の置換基。
更に好ましくは、下記D1群から選択される1〜5個の基である。
D1群:低級アルキル、フェニル、ハロゲノ低級アルキル、COOH、COO−低級アルキル、ハロゲン、NO2、CN、OH、O−低級アルキル、O−ハロゲノ低級アルキル、O−低級アルキレン−O−低級アルキル、O−低級アルキレン−COOH、O−低級アルキレン−COO−低級アルキル、O−低級アルキレン−NH2、O−低級アルキレン−NH−低級アルキル、O−低級アルキレン−N(低級アルキル)2、O−低級アルキレン−(低級アルキルで置換されていてもよい含窒素飽和複素環)、NH2、NH−低級アルキル、N(低級アルキル)2、(低級アルキル及び低級アルキレン−COORaから選択される置換基を有していてもよい含窒素飽和複素環)、NHCO−低級アルキル、N(低級アルキル)CO−低級アルキル、CONH2、CONH−低級アルキル、CON(低級アルキル)2、=O(オキソ)、SH、S−低級アルキル、SO−低級アルキル及びSO2−低級アルキル。
S原子を含む飽和複素環を包含する化合物において、当該飽和複素環のS原子がオキシド(SO)又はジオキシド(SO2)を形成していてもよい。
本発明化合物(I)中、好ましい化合物を以下に示す。
(1) Aが、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよいアリール、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよいヘテロアリール、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよい飽和炭化水素環縮合アリール又はD群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよい飽和複素環縮合アリールであり、
3が、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよいシクロアルキル、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよいシクロアルケニル、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよいアリール、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよい飽和複素環縮合アリール、D群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよいヘテロアリール又はD群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよい5乃至8員飽和複素環である化合物。
(2)Aが、フェニル及びナフチルから選択されるアリール;ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾジオキソリル、イミダゾピリジル及びインドリジニル基から選択されるヘテロアリール;4-インダニル、5-インダニル、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル及び5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イルから選択される飽和炭化水素環縮合アリール;又は3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジニル、3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾチアジニル、1,3-ベンゾジオキソリル、2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシニル、クロマニル、イソクロマニル、3,4-ジヒドロ-2H-1-ベンゾチオピラニル、3,4-ジヒドロ-1H-2-ベンゾチオピラニル、インドリニル、イソインドリニル、1,2,3,4-テトラヒドロキノリル及び1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリル基から選択される飽和複素環縮合アリールであって、前記アリール、ヘテロアリール、飽和炭化水素環縮合アリール若しくは飽和複素環縮合アリールは、それぞれD1群から選択される1〜5個の置換基を有していてもよく、
3が、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいシクロアルキル、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいシクロアルケニル、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいアリール、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよい飽和複素環縮合アリール、D1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよいヘテロアリール又はD1群から選択される1〜4個の置換基を有していてもよい5乃至8員飽和複素環である化合物。
(3)XがCOである化合物。
(4)Aが、低級アルキル、CF3、ハロゲン、OH、SH、S−低級アルキル及びO−低級アルキルからなる群から選択される1乃至3個の置換基を有していてもよい、フェニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、インドリル、キノリル及び5-インダニルから選択される基;又は1〜2個の=O(オキソ)で置換されていてもよい、3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジニル、3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾチアジニル、1,3-ベンゾジオキソリル、2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシニル及びインドリニル基から選択される基であり、
3が、ハロゲン、−CN及び−OHからなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、キノリル及びテトラヒドロ-2H-ピラニルから選択される基;又はオキシド又はジオキシドを形成していてもよい、テトラヒドロ-2H-チオピラニル及び3,4-ジヒドロ-2H-1-ベンゾチオピラニルから選択される基である化合物。
(5)Aが、低級アルキル、ハロゲン及びO−低級アルキルからなる群から選択される1乃至3個の置換基を有していてもよい、フェニル、インドリル、ベンゾチエニル及びベンゾチアゾリルから選択される基であり、
3が、ハロゲン、CN及びOHからなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい、シクロヘキシル及びフェニルから選択される基;又はジオキシドを形成していてもよいテトラヒドロ-2H-チオピラニル基である化合物。
本発明化合物の塩としては製薬学的に許容される塩である。酸付加塩としては、具体的には塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩等が挙げられる。また、置換基の種類によっては、塩基との塩を形成する場合もあり、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の金属を含む無機塩基、あるいはメチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リジン、オルニチン等の有機塩基との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
本発明化合物には、置換基の種類によっては、各種の異性体、例えばシス−トランス等の幾何異性体やケト−エノール等の互変異性体が存在する場合があるが、本発明にはこれらの異性体の分離したもの、あるいは混合物が包含される。更に本発明化合物は、不斉炭素原子を有する場合があり、不斉炭素原子に基づく異性体が存在しうる。本発明はこれらの異性体の混合物や単離されたものを包含する。また、本発明化合物は、置換基の種類によっては、N−オキシドを形成する場合もあり、これらのN−オキシド体も包含される。更に本発明化合物の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形の物質をも包含される。なお、本発明には、生体内において代謝されて本発明化合物またはその塩に変換される化合物、いわゆるプロドラッグもすべて包含される。このプロドラッグを形成する基としては、Prog. Med. 5:2157-2161(1985)に記載されている基や廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻 分子設計163-198に記載されている基が挙げられる。
本発明化合物の代表的な製造方法を以下に説明する。
なお、以下の製造方法において、官能基の種類によっては、当該官能基を原料ないし中間体の段階で適当な保護基、すなわち容易に当該官能基に転化可能な基に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。しかるのち、必要に応じて保護基を除去し、所望の化合物を得ることができる。このような官能基としては例えばアミノ基、水酸基、カルボキシル基等を挙げることができ、それらの保護基としては例えば、Protective Groups in Organic Synthesis 第3版(T. W. GreenおよびP. G. M. Wuts著、JOHN WILLY & SONS, INC.発行)に記載の保護基を挙げることができ、これらを反応条件に応じて適宜用いればよい。保護基の導入及び脱保護は当該参考書記載の方法を適時適用できる。
第一製法
Figure 2005089451
化合物(I)はカルボン酸化合物(III)とアニリン誘導体(II)をアミド化反応に付すことによって容易に製造できる。
アミド化反応は常法により行うことができ、例えば、日本化学会編「実験化学講座」第4版(丸善) 22巻p137〜173に記載の方法を適用できる。好ましくは、カルボン酸化合物(III)を反応性誘導体、例えば酸ハロゲン化物(酸クロリド等)又は酸無水物に変換した後、アニリン誘導体(II)に反応させることにより行うことができる。カルボン酸の反応性誘導体を用いる場合、塩基(水酸化ナトリウム等の無機塩基、又は、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基)を添加することが好ましい。更に、アミド化はカルボン酸を、縮合剤(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)、1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール(CDI)等)の存在下に反応させることにより行うこともできる。その際、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)等の添加剤を加えてもよい。反応温度は、原料化合物に応じて適宜選択できる。溶媒は、反応に不活性な溶媒、例えばベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、ピリジン等の塩基性溶媒等が挙げられる。溶媒は原料化合物の種類等に従い適宜選択され、単独で、又は2種以上混合して用いられる。
第二製法
Figure 2005089451
本製法は、一般式(IV)で示されるアミン化合物とカルボン酸若しくはスルホン酸化合物(V)とをアミド化若しくはスルホンアミド化反応に付すことにより化合物(I)を得る方法である。
アミド化は第一製法と同様にして行うことができる。
スルホンアミド化反応は常法によりアミン化合物(IV)に化合物(V)のスルホン酸反応性誘導体を作用させることにより行うことができる。スルホン酸の反応性誘導体としては、酸ハロゲン化物(酸クロリド、酸ブロミド等)、酸無水物(2分子のスルホン酸より調整されるスルホン酸無水物)、酸アジド等が挙げられる。このようなスルホン酸の反応性誘導体は、通常行われる一般的方法に従って、対応するスルホン酸から容易に得ることができる。反応性誘導体として酸ハロゲン化物を用いる場合には、塩基(水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基、又は、ピリジン、TEA、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基)の存在下行う事が好ましい。酸無水物、酸アジド等の反応性誘導体と反応させる場合には、塩基の非存在下反応を行うことができる。場合によっては、水素化ナトリウム等の無機塩基、又は、TEA、ピリジン、2,6-ルチジン等の有機塩基の存在下反応を行っても良い。反応温度はスルホン酸反応性誘導体の種類等に従い適宜選択される。溶媒は、反応に不活性な溶媒、例えば前記第一製法のアミド化に例示される溶媒を用いることができる。
また、置換基の種類によっては、更に当業者によく知られる置換基修飾反応に付して所望の化合物(I)を製造することができる。例えば、前述のアミド化及びスルホンアミド化や日本化学会編「実験化学講座」(丸善)に記載のN−アルキル化等の公知の反応を適宜適用できる。また、反応順序は、目的化合物、採用する反応の種類に応じて、適宜変更されてもよい。
前記の各原料化合物は、公知の反応、例えば日本化学会編「実験化学講座」(丸善)や国際公開第02/38554号パンフレットに記載の反応等を用いて、容易に製造することができる。以下にその代表的な製法を示す。
Figure 2005089451
(式中、Rは低級アルキル、アラルキル等のエステル残基を形成しうる基を、Pはフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)等のアミノ基の保護基をそれぞれ意味する。)
上記反応経路図中、アミド化は前記第一製法記載の方法と同様にして、また、スルホンアミド化は第三製法に記載の方法と同様にして行うことができる。
化合物(VI)のN−アルキル化は、ハロゲン化アルキル化合物(VII)を用いて、常法、例えば、前出の「実験化学講座」第4版(丸善) 20巻p279〜318記載の方法により行うことができる。反応温度は冷却下乃至加熱下行うことができ、溶媒は反応に不活性な溶媒、例えば前記第一製法のアミド化に例示される溶媒等が挙げられる。反応は、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の塩基の存在下行うことが好ましい。なお、先にアミド化を実施した後、N−アルキル化を行ってもよい。
カルボン酸化合物(III)を得るための脱保護は、エステルの種類に応じて適宜常法を適用して行うことができる。好ましくは、エチルエステル等のアルキルエステルの場合は、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基で処理することにより、ベンジルエステル等のアラルキルエステルの場合は水素雰囲気下パラジウム−炭素(Pd-C)で還元することにより行うことができる。反応は、前記Protective Groups in Organic Synthesis 第3版記載の方法に準じて行うことができる。
アミン化合物(IV)を得るための脱保護は、保護基の種類に応じて適宜常法を用いて実施される。例えば、前記Protective Groups in Organic Synthesis 第3版、503〜572頁記載の方法を適用できる。
また、置換基の種類によっては、更に当業者によく知られる置換基修飾反応に付して、所望の原料化合物を製造することができる。
このようにして製造された本発明化合物は、遊離のまま、又は常法による造塩処理を施し、その塩として単離・精製される。単離・精製は抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィー等の通常の化学操作を適応して行われる。
各種の異性体は異性体間の物理化学的な性質の差を利用して常法により単離できる。例えば、ラセミ化合物は一般的な光学分割法により[例えば、一般的な光学活性酸(酒石酸等)とのジアステレオマー塩に導き、光学分割する方法等]立体的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオマーの混合物は、例えば分別結晶化又はクロマトグラフィー等により分離できる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
本発明化合物の1種又は2種以上を有効成分として含有する本発明の医薬組成物は、当分野において通常用いられている薬剤用担体、賦形剤等を用いて通常使用されている方法によって調製することができる。投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、又は、静注、筋注等の注射剤、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、パップ剤、噴霧剤、ローション剤、点眼剤、眼軟膏等の外用剤、坐剤、吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、一つ又はそれ以上の活性物質が、少なくとも一つの不活性な賦形剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な添加剤、例えばステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤やカルボキシメチルスターチナトリウム等の崩壊剤、溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性コーティング剤で被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を包含し、一般的に用いられる不活性な溶剤、例えば精製水、エタノール等を用いることができる。この組成物は不活性な溶剤以外に可溶化剤、湿潤剤、懸濁化剤のような補助剤、甘味剤、矯味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤を包含する。水性の溶剤としては、例えば注射用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水性の溶剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート80(商品名)等がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解、懸濁して使用することもできる。
外用剤としては、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、パップ剤、噴霧剤、ローション剤、点眼剤、眼軟膏等を包含する。一般に用いられる軟膏基剤、ローション基剤、水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤等を含有する。例えば、軟膏又はローション基剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、白色ワセリン、サラシミツロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウロマクロゴール、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
本発明化合物の1日の投与量は、通常、経口投与の場合、体重当たり約0.001から50mg/kg、好ましくは0.01〜30mg/kg、更に好ましくは、0.05〜10mg/kgが、静脈投与される場合、1日の投与量は、体重当たり約0.0001から10mg/kg、好ましくは0.001〜1.0mg/kgがそれぞれ適当であり、これを1日1回乃至複数回に分けて投与する。投与量は症状、年令、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。また、外用剤として用いる場合は、本発明化合物を0.0001〜20%、好ましくは0.01〜10%を含む外用剤が好ましい。これを1日1〜数回、症状に応じて局所に投与する。
本発明化合物は、他の薬剤と適宜併用してもよく、併用可能な薬剤としては、例えば、ACV、VCV、FCV、ペンシクロビル(PCV)、ビダラビン(ara-A)、BVDU(ブロモビニルデオキシウリジン)、フォスカーネット(PFA)、ガンシクロビル(GCV)等の他の抗ヘルペスウイルス剤;アミトリプチリン(3環系抗うつ薬)、ガバペンチン(抗痙攣薬)、リドカイン及びメキシレチン(抗不整脈薬)、カプサイシン等の帯状疱疹後神経痛の鎮痛剤;インドメタシン、イブプロフェン、セレコキシブ等の消炎鎮痛剤が挙げられる。
本発明化合物の効果は以下の薬理試験により確認された。
試験例1 抗VZV活性試験
実験は、Shigeta S. The Journal of Infectious Diseases, 147, 3, 576-584, (1983)記載の方法に従って実施した。具体的には、10,000個のヒト胎児繊維芽(HEF)細胞を増殖培地(10%(v/v)のウシ胎児血清(FBS、シグマ社)を補給したEagle MEM(ニッスイ社))を用いて96ウェル・ミクロタイター・プレートに播き、37℃、5%CO2下で4日間、monolayerとなるまで培養した。細胞を維持培地で洗浄後に、20〜30pfu/100μLとなるように維持培地(2%のFBSを補給したEagle MEM)で希釈したVZV(CaQu株)を100μL/ウェルずつ接種した。プレートを2000rpmで20分間室温で遠心後、37℃、5%CO2下で3時間保温し、VZVを感染させた。維持培地で3回洗浄後、維持培地で希釈された適当な濃度の試験薬剤100μLを各ウェルに添加した。細胞を37℃、5%CO2下で3〜4日間培養した後に、10%ホルマリン/PBSを100μL/ウェル加え、2〜3時間細胞を固定した。固定液と培養上清を捨てて、プレートを水洗した後、染色液(0.025% クリスタルバイオレット)を50μL/ウェルずつ添加し、2〜3分間染色後、水洗を行い37℃でプレートを乾燥させた。VZVに感染したHEF細胞が細胞死を起こし、monolayerのHEF細胞中に死細胞よりなるプラークが形成される。顕微鏡でプラーク数を計測し、試験薬剤のEC50値をこのプラークを50%抑制する濃度として算出した。本発明化合物のEC50値(μM)を後記表1に示す。本発明化合物は良好なVZVに対する抗ウイルス作用を有していた。
試験例2 抗HSV-1活性試験
10,000個のMRC-5細胞を増殖培地(10%のFBSを補給したEagle MEM(ニッスイ社))を用いて96ウェル・ミクロタイター・プレートに播き、37℃、5%CO2下で4-5日間、monolayerとなるまで培養した。細胞を維持培地(2%のFBSを補給したEagle MEM)で洗浄後に、各ウェルに適当な濃度の試験試薬が溶解された100μLの維持培地を添加した。試験薬剤の添加直後に、50 TCID50(50% tissue culture infectious dose)/100μLのHSV-1(KOS株)液を接種した。
細胞を37℃、5%CO2下で5日間培養した後に、MTT(3-(4,5-Dimethyl-2-thiazolyl) -2,5-diphenyl-2H-tetrazolium bromide, シグマ社)溶液(7.5mg/mlにPBSで希釈)を各ウェルに20μLを添加し、さらに24時間インキュベートした。その後、培地を除去し、溶出液(イソプロパノールに10%Triton×100(v/v)と0.4%塩酸を添加)100μLを各ウェルに添加し、産生されたホルマザンを可溶化した。マイクロプレートリーダーで540nmおよび690nmを測定し、HSV-1の複製によるMRC-5細胞の細胞死の抑制率(%)から、試験薬剤のEC50値を算出した。
本発明化合物のEC50値(μM)を後記表1に示す。本発明化合物は良好なHSV-1に対する抗ウイルス作用を有していた。
Figure 2005089451
試験例3 HSV-1皮膚感染マウスモデル(in vivo試験)
H.Machidaらの方法(Antiviral Res. 1992 17 133-143)に準じ、HSV-1皮膚感染マウスモデルを用いて本発明医薬組成物のin vivo作用を試験する。ジエチルエーテル麻酔下のHR-1無毛マウス(メス、7週令)の皮膚を注射針で縦横数回擦過し、当該部位に、ウイルス液(HSV-1 WT-51株 1.5 x 104 PFU/15 μL)を滴下し浸透させることによりHSV-1を感染させる。
被験化合物は、10〜25 mg/kgの用量で1日2回5日間、感染3時間後から経口投与する。HSV-1感染による皮膚病変部の症状を以下の7段階にスコア化し17日間評価する。
Score 0: 病変なし
Score 1: 視覚できる1個ないし2個程度の小さな水疱形成
Score 2: 数個の水疱形成
Score 3: 部分的に融合した大きな水疱形成
Score 4: 帯状疱疹様の水疱形成
Score 5: 部分的な潰瘍形成
Score 6: 帯状疱疹様の潰瘍形成
Score 7: 後足の麻痺および死亡
各群の平均病変スコアからAUC値を算出し、プラセボ投与群に対する各化合物投与群の病変阻害率を求めることにより、本発明化合物の効果を確認できる。
本発明化合物は、核酸系でないこと、並びに良好な抗ウイルス活性を呈することから、より安全性の高い抗ヘルペスウイルス剤となりうることが期待された。
以下に本発明化合物の製造例を実施例として示す。なお、以下の反応に用いられる原料化合物の多くは、国際公開第02/38554号パンフレット等により公知であり、これらの公知文献記載の方法によって容易に入手できる。原料化合物中、新規な化合物の製造例を参考例として示す。
参考例1: 3−ブロモチオフェンと4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリンのDME溶液に炭酸ナトリウム水溶液とテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを加え、アルゴン置換下6時間加熱還流した。室温に冷却後、反応混合物中に酢酸エチルと水を加え有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、4−(3−チエニル)アニリン(淡黄色固体)を得た。Electron Impact-MS (M)+:175。
参考例 2: 5−(4−ニトロフェニル)−1,3,4−オキサチアゾール−2−オンのドデカン懸濁液に、シアノ蟻酸エチルを加え3時間加熱還流した。室温に冷却後、析出物を濾取しヘキサンで洗浄した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、エチル 3−(4−ニトロフェニル)−1,2,4−チアジアゾール−5−カルボキシレート(淡黄色固体)を得た。このエタノール懸濁液に水と水酸化ナトリウムを加え85℃で40分加熱攪拌した。室温に冷却後1M塩酸を加え液性を酸性にし、95℃の油浴で1時間過熱攪拌した。室温に冷却後、反応混合物中にクロロホルムと炭酸水素ナトリウム水溶液を加え有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去することにより、3−(4−ニトロフェニル)−1,2,4−チアジアゾール(淡黄色固体)を得た。このエタノール懸濁液に水と1M塩酸を加え80℃に加熱し還元鉄を加えた。反応混合物を80℃で50分加熱攪拌後、セライト濾過し濾液中のエタノールを減圧留去した。残渣にクロロホルムと炭酸水素ナトリウム水溶液を加え有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去することにより、4−(1,2,4−チアジアゾール−3−イル)アニリン(淡黄色固体)を得た。Electron Impact-MS (M)+:177。
参考例3 3−(4−ニトロフェニル)イソキサゾールのエタノール懸濁液に水と1M塩酸を加え80℃に加熱し鉄を加えた。反応混合物を80℃で40分加熱攪拌後、セライト濾過し濾液中のエタノールを減圧留去した。残渣にクロロホルムと炭酸水素ナトリウム水溶液を加え有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去することにより、4−イソキサゾール−3−イルアニリン(黄色油状物)を得た。FAB-MS [(M+H)+]:161。
参考例4: 4−メチルアニリンのDMF溶液に炭酸カリウムとエチル ブロモアセテートを加え加熱攪拌した。反応混合物に水、酢酸エチルを加えた後、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去し粗生成物を得た。これを塩化メチレンに溶解し、ピリジン、テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボニルクロライド 1、1−ジオキサイドを加え攪拌した。反応溶液を濃縮後、1M塩酸、クロロホルムを加え、有機層を分液し、洗浄・乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、エチル {[(1、1−ジオキソテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)カルボニル](4−メチルフェニル)アミノ}アセテート(無色油状物)を得た。FAB-MS [(M+H)+]:354。
参考例5〜29: 参考例4と同様に処理して、後記表2〜3に記載される参考例5〜29の化合物を得た。
製造例1: エチル{(2,6−ジメチルフェニル)[(1,1−ジオキシドテトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)カルボニル]アミノ}アセテート(735mg)のエタノール(10mL)溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(2.3mL)を加えた後、室温にて5時間攪拌した。反応溶液に1M塩酸を加え液性を酸性とした後、水、クロロホルムを加え有機層を分液した。更に、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られたカルボン酸粗生成物をクロロホルム(15mL)に溶解させた後、、WSC・HCl(422mg)、[4−(1,3−オキサゾール−4−イル)フェニル]アミン(320mg)を順次加え室温にて4時間攪拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、クロロホルムを加えた後、有機層を分液した。更に、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をヘキサン−酢酸エチル(=3/2)で洗った後、エタノールから再結晶して、N−(2,6−ジメチルフェニル)−N−(2−{[4−(1,3−オキサゾール−4−イル)フェニル]アミノ}−2−オキソエチル)テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボキサミド1,1−ジオキシド(無色結晶)を610mg得た。
実施例: 製造例1と同様に処理して、後記表4〜6に示す実施例1〜21の化合物を得た。
参考例化合物の物理化学的性状を表2〜3に、実施例化合物の構造並びに物理化学的性状を表4〜6に示す。
また,表7〜18には本発明に含まれる他の化合物を具体的に示した。これらの化合物は前記実施例若しくは製造法に記載の方法と同様にして、又はそれらに当業者に自明の若干の変法を適用して容易に製造することができる。
表中の略号は、 Ref:参考例; Ex:実施例; Co:化合物番号; Str:構造式; Dat:物理化学的性状{F+:FAB-MS [(M+H)+]; F-:FAB-MS [(M-H)-]; ESI+:ESI(Electrospray ionization)-MS[(M+H)+] ; N1:1H-NMR(DMSO-d6,TMS内部標準)の特徴的ピークδppm}; Ph:フェニル; Me:メチル;および Et:エチルをそれぞれ示す。なお、置換基の前の数字は置換位置を示し、例えば、3,4-(Cl)2-5-F-Ph は、3,4−ジクロロ−5−フルオロフェニル基を示す。
Figure 2005089451
Figure 2005089451
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Figure 2005089451
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Figure 2005089451
Figure 2005089451
Figure 2005089451
Figure 2005089451
Figure 2005089451
Figure 2005089451

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)で示されるアミド誘導体又はその塩。
    Figure 2005089451
    (式中の記号は以下の意味を示す。
    Z:低級アルキル基で置換されていてもよい、1〜3個のN原子を有し更に1個のO原子を有していてもよい5乃至6員単環ヘテロアリール、フリル、チエニル、チアジアゾリル又はイソチアゾリル基、但し、未置換の、1,2,3−トリアゾール−2−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、4−オキサゾリル若しくは2-ピリジル基を除く、
    A:置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロアリール、置換基を有していてもよい飽和炭化水素環縮合アリール又は−置換基を有していてもよい飽和複素環縮合アリール基、但し、飽和炭化水素環縮合アリール及び飽和複素環縮合アリール基は、芳香環のC原子を介してN原子に結合する、
    X:CO又はSO2
    3:置換基を有していてもよいアルキル、置換基を有していてもよいアルケニル、置換基を有していてもよいアルキニル、置換基を有していてもよいシクロアルキル、置換基を有していてもよいシクロアルケニル、置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいヘテロ環又はNRaRb、
    Ra及びRb:同一又は異なって、H、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、N,S及びOから選択されるヘテロ原子を1乃至4個含有する5乃至6員単環ヘテロアリール、又は低級アルキレン−アリール。)
  2. Zが下式に示される群から選択される基である請求項1記載のアミド誘導体又はその塩。
    Figure 2005089451
  3. Aが、低級アルキル、O−低級アルキル及びハロゲン原子から選択される1〜4個の置換基で置換されたフェニル基であり、XがCOであり、R3が1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル基である請求の範囲1〜2のいずれかに記載のアミド誘導体又はその塩。
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