JP2004026810A - 鼻炎用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エメダスチンおよびシュードエフェドリンを配合することにより、優れた鼻汁分泌抑制効果を有する鼻炎用組成物を得る。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アレルギー性鼻炎等の治療のための組成物、特に鼻汁分泌の抑制に優れた鼻炎用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
鼻炎はくしゃみ、水性鼻汁(鼻みず)、鼻掻痒感および鼻閉(鼻づまり)などを主症状とする疾患であり、花粉、ハウスダストなどの異物や感冒などによって症状が現れる。特に鼻汁は鼻をかむ頻度が多くなると、鼻粘膜が炎症を起こしたり、鼻の血管が切れて鼻出血するなどの症状を併発することもしばしば見られる。これらの症状は長時間にわたって著しい不快感を与えるだけでなく、日常生活に多大な支障をもたらしてしまうため、早期に改善あるいは軽減することが求められている。
【0003】
アレルギー性鼻炎の治療は、原因療法は難しいため対処療法を中心に行われている。鼻汁はアレルギー性鼻炎の不快な症状の一つであるが、その症状の緩和のために様々な抗ヒスタミン薬が用いられている。抗ヒスタミン薬のひとつであるエメダスチンは、アレルギー性鼻炎、じんま疹、湿疹、皮膚掻痒症などの疾患の治療に用いうることが知られている(非特許文献1、特許文献1、2)。しかし、アレルギー症状のうち、鼻汁分泌に対する抑制効果について、満足すべき効果が得られていない。
【0004】
鼻汁分泌抑制は、亜鉛およびポリフェノール類(特許文献3)、抗コリン作用薬およびケトチフェン(特許文献4)、ベラドンナ総アルカロイドおよびメキタジン(特許文献5)を併用するなど多くの検討がなされているが、未だに充分な効果は得られていない。
【0005】
一方シュードエフェドリン(pseudoephedrine)は、交感神経興奮作用を有するエフェドリン型アルカロイドで、交感神経を刺激することによって血管収縮がおこり、鼻粘膜のうっ血を改善するため、鼻閉緩和成分として鼻炎薬などに用いうることが示唆されている(特許文献6、 非特許文献2等)。しかし、鼻汁分泌の抑制についてはいずれにおいても開示されていない。
【0006】
【非特許文献1】「医学と薬学」35巻6号、1273−1281(1996)
【特許文献1】特開2001−220350号
【特許文献2】特開2001−226264号
【特許文献3】特開平11−302184
【特許文献4】特開平10−298107
【特許文献5】特開平7−188040
【特許文献6】WO 01/51038
【非特許文献2】JAMA, Oct. 12, 1984, vol. 292, No. 14, pp. 1898−1903 等
以上のようにアレルギー性鼻炎等による鼻汁分泌抑制については、未だ充分な作用を期待できるものがなく、より安全で効果の高い治療剤および治療方法が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、アレルギー性鼻炎等による症状のうち、鼻汁抑制に対して優れた効果を有する鼻炎用組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、エメダスチンとシュードエフェドリンとを併用するとそれぞれを単独で用いた場合に比較して、顕著な鼻汁分泌抑制効果が奏されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記に掲げる鼻炎用組成物または鼻汁分泌抑制方法である。
(1)(a)エメダスチンまたはその薬学上許容される塩および(b)シュードエフェドリンまたはその薬学上許容される塩を含有する鼻炎用組成物。
(2)アレルギー性鼻炎用組成物である(1)に記載の鼻炎用組成物。
(3)鼻汁分泌抑制剤である(1)または(2)に記載の鼻炎用組成物。
(4)副交感神経遮断剤およびキサンチン類から選択される少なくとも1種をも含有する(1)〜(3)のいずれかに記載の鼻炎用組成物。
(5)エメダスチン1重量部に対し、シュードエフェドリンを30重量部以上含有する(1)〜(4)のいずれかに記載の鼻炎用組成物。
(6)(a)エメダスチンまたはその薬学上許容される塩および(b)シュードエフェドリンまたはその薬学上許容される塩を併用することからなる鼻汁分泌抑制方法。
【0009】
本発明によれば、抗ヒスタミン薬であるエメダスチンと交感神経興奮作用を有するシュードエフェドリンとを併用することにより、これらを単独で用いた場合に比較して予想外に高い鼻汁分泌抑制効果が得られる。
【0010】
本発明に関して、「併用」とは(a)エメダスチンまたはその薬学上許容される塩と、(b)シュードエフェドリンまたはその薬学上許容される塩の2種類の有効成分が生体に適用されて同一箇所に同時に存在することを意味する。したがって、本発明は、これらの2成分を混合物として含有する製剤、あるいはそれぞれ、各成分を含有する2種の製剤を用いることにより、実施することができる。
【0011】
本発明に用いられるエメダスチンおよびシュードエフェドリンは、薬学上許容される塩であってもよい。そのような塩として、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、エナント酸塩等を挙げることができ、エメダスチンは塩酸塩、フマル酸塩またはエナント酸塩、シュードエフェドリンは塩酸塩、硝酸塩または硫酸塩が特に好ましい。
【0012】
本発明におけるエメダスチンの投与量は当該技術分野で通常に用いられる範囲であれば特に制限はないが、経口投与の場合、成人(15歳以上)1日当たりの投与量は、遊離のエメダスチンに換算して、通常、0.2mg以上、好ましくは0.5mg以上、特に好ましくは0.7mg以上である。また上限については、薬理効果や副作用を考慮して、5mg以下、好ましくは4.5mg以下、より好ましくは4mg以下であるが、これらに限定されない。また、点鼻薬の場合には、遊離のエメダスチンに換算して、通常、溶液濃度として0.1%以下、好ましくは0.05%以下、特に好ましくは0.02%以下にするとよいが、これらに限定されない。これを成人に対して一回に1〜2度ずつ、鼻腔内に噴霧するか、または1〜2滴を滴下する。なお、3時間以上の間隔をおいて1日6回まで使用できる。しかし、投与量は患者の状態(体重、年齢、症状、体調等)を考慮して適宜決定されるものであり、上記に限定されない。さらに、鼻洗浄剤の場合には、遊離のエメダスチンに換算して、通常、溶液濃度として0.01%以下、好ましくは0.005%以下、特に好ましくは0.002%以下にするとよいが、これらに限定されない。これを成人に対して一回に1〜2度づつ、鼻腔内に噴霧するか、または1〜2滴を滴下する。
【0013】
また、本発明におけるシュードエフェドリンの投与量も、当該技術分野で通常に用いられる範囲であれば特に制限されないが、経口投与の場合、成人1日当たりの投与量は、5mg以上、好ましくは10mg以上、より好ましくは30mg以上である。また上限については、薬理効果や副作用を考慮して、300mg以下、好ましくは240mg以下、より好ましくは180mg以下である。また、点鼻薬の場合には、通常、溶液濃度として1%以下、好ましくは0.5%以下であり、これを成人に対して一回に1〜2度ずつ、鼻腔内に噴霧するか、または1〜2滴を滴下する。なお、3時間以上の間隔をおいて1日6回まで使用できる。しかし、投与量は患者の状態(体重、年齢、症状、体調等)を考慮して適宜決定されるものであり、上記に限定されない。また、シュードエフェドリンはd体、l体またはdl体のいずれであってもよい。
【0014】
本発明の組成物または本発明の方法において、エメダスチンとシュードエフェドリンとの配合割合について特に制限はないが、経済性や服用量を考慮して、エメダスチン1重量部に対してシュードエフェドリンを、好ましくは30重量部またはそれ以上、より好ましくは35重量部以上、特に好ましくは40重量部以上、好ましくは1300重量部以下、より好ましくは800重量部以下、特に好ましくは400重量部以下の割合で配合することができる。上記比率でエメダスチンとシュードエフェドリンを用いることにより、本発明組成物や方法の鼻汁抑制効果が十分に得られるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0015】
本発明の組成物には、本発明の目的に反しない限り、任意の当該技術分野で通常用いられる他の化合物を含有させることができ、例えば、キサンチン類、副交感遮断剤などが挙げられる。キサンチン類は、中枢神経興奮作用により抗ヒスタミン薬の副作用である眠気を改善することができるため、本発明組成物に含有させる化合物として特に好適である。キサンチン類としては、例えば、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、ジプロフィリン、プロキシフィリン、ペントキシフィリンまたはその塩や、安息香酸ナトリウムカフェインなどが例示でき、好ましくはカフェインまたはその塩などが例示できる。これらのキサンチン類の投与量は当該技術分野で通常用いられる範囲であれば特に制限はない。しかし、効果、経済性、服用可能性等を考慮すると、成人1日当たりの投与量として、30mg以上、好ましくは60mg以上であり、300mg以下、好ましくは150mg以下の範囲となるように加えることができる。
【0016】
また、副交感神経遮断剤を含有させると、その抗コリン作用によって鼻汁分泌をさらに抑制できるので特に好ましい。副交感神経遮断剤としては、ダツラエキス、ベラドンナ(総)アルカロイド、ベラドンナエキス、ヨウ化イソプロパミド、ロートエキスなどが例示でき、ダツラエキス、ベラドンナ(総)アルカロイド、ヨウ化イソプロパミドなどが好ましい。これらの副交感神経遮断剤の投与量は、当該技術分野で通常用いられる範囲であれば特に制限はない。しかし、効果、経済性、服用可能性等を考慮すると、成人1日当たりの投与量として、ダツラエキスおよびベラドンナ(総)アルカロイドでは、通常0.08mg以上、好ましくは0.10mg以上、特に好ましくは0.12mg以上であり、上限として通常0.8mg以下、好ましくは0.7mg以下、特に好ましくは0.6mg以下の範囲、ヨウ化イソプロパミドでは、通常0.5mg以上、好ましくは1.0mg以上、特に好ましくは1.5mg以上であり、上限として通常9.0mg以下、好ましくは8.0mg以下、特に好ましくは7.5mg以下の範囲、ベラドンナエキスおよびロートエキスでは、通常8mg以上、好ましくは10mg以上、特に好ましくは12mg以上であり、上限として通常80mg以下、好ましくは70mg以下、特に好ましくは60mg以下の範囲になるように加えることができる。
【0017】
本発明の全ての組成物は、必要に応じて種々の成分(薬理活性成分や生理活性成分を含む)を含有させるか、組み合わせて使用することができる。このような成分の種類は特に制限されず、例えば、解熱鎮痛薬成分、鎮静催眠薬成分、抗炎症薬成分、抗ヒスタミン薬成分、抗アレルギー薬成分、ビタミン類、清涼化成分などが例示できる。本発明において好適な成分としては、次のような成分が例示できる。
【0018】
解熱鎮痛薬成分:例えばアスピリン、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、ラクチルフェネチジン、イブプロフェンおよびケトプロフェンなど。
【0019】
鎮静催眠薬成分:例えば、ブロムワレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素など。
【0020】
抗炎症薬成分:例えば、インドメタシン、ジクロフェナク、プラノプロフェン、ピロキシカム、イプシロン−アミノカプロン酸、ベルベリン、グリチルリチン酸、リゾチーム、アラントイン、アズレン、ブロメラインおよび薬理学的に許容される塩(例えば、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、ジクロフェナクナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、塩化リゾチームなど)など。
【0021】
抗ヒスタミン薬成分:例えば、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、イプロヘプチン、イソチペンジル、ジフェテロール、ジフェニルピラリン、トリプロリジン、トリペレナミン、トンジルアミン、プロメタジン、メトジラジン、カルビノキサミン、アリメマジン、プロメタジン、メブヒドロリン、フェネタジン、ケトチフェン、アゼラスチン、オキサトミド、メキタジン、テルフェナジン、エピナスチン、アステミゾール、エバスチン、セチリジン、レボカバスチン、オロパタジンおよびそれらの薬理学的に許容される塩など。
抗アレルギー薬成分:例えば、クロモグリク酸、トラニラスト、アンレキサノクス、イブジラスト、ペミロラスト、タザノラストおよびそれらの薬理学的に許容される塩など。
【0022】
ビタミン類:例えば、ビタミンA類[例えば、レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピンおよびその薬理学的に許容される塩類(例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなど)など]、ビタミンB類[例えば、チアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、フルスルチアミン、リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキシン、ピリドキサール、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、メチルコバラミン、デオキシアデノコバラミン、葉酸、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチニルアルコール、パントテン酸、パンテノール、ビオチン、コリン、イノシトールまたはその薬理学的に許容されるこれらの塩類(例えば、塩酸チアミン、硝酸チアミン、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン、酪酸リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール、リン酸ピリドキサールカルシウム、塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウムなど)など]、ビタミンC類[例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸、その誘導体またはその薬理学的に許容される塩類(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウムなど)など]、ビタミンD類[例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロールおよびその薬理学的に許容される塩類など)など]、ビタミンE類[例えば、トコフェロールおよびその誘導体、ユビキノン誘導体およびその薬理学的に許容される塩類(酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウムなど)など]、その他のビタミン類[例えば、ヘスペリジン、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロチン酸、ルチン、エリオシトリンおよびその薬理学的に許容される塩類(塩化カルニチンなど)など]。
【0023】
清涼化成分:例えば、l−メントール、d−メントール、dl−メントール、d−カンフル、dl−カンフル、d−ボルネオール、dl−ボルネオール、ゲラニオール、ユーカリ油、ベルガモット油、ウイキョウ油、ハッカ油、ケイヒ油、ローズ油、ペパーミント油などの精油や精油成分など。
【0024】
本発明の全ての製剤は、製剤の形態に応じて、医薬品、医薬部外品などに使用される様々な成分や添加物を任意に選択し、常法に従って製剤化される。例えば、固形製剤の場合は、結合剤(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなど)、賦形剤(ショ糖、乳糖、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸など)、滑沢剤(ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウムなど)、崩壊剤(メチルセルロース、ポリソルベート80、クロスカルメロースナトリウムなど)、発泡剤(炭酸水素ナトリウムなど)などを使用できる。また、半固形剤の場合は、製剤の種類に応じた基剤、例えば、軟膏基剤(例えば、ワセリン、流動パラフィン、ロウなどの炭化水素系基剤、セタノール、高級脂肪酸エステルなど)、ゲル基剤(例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ガム質など)、油性基剤(オリブ油、大豆油、ゴマ油、綿実油などの植物油、プロピレングリコールなど)などが利用できる。さらに、液剤の場合は、基剤としての溶剤または水、油性基剤、溶解補助剤、懸濁化剤または乳化剤、等張化剤、緩衝剤などが使用できる。また、これらの組成物には、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、甘味剤、酸味剤、着色剤、香料、呈味剤などを添加してもよい。
【0025】
本発明の組成物は、特定の剤形や使用形態に限定されず、用途または種類に応じて、適宜、種々の剤形あるいは使用形態をとることができる。
【0026】
使用可能な剤形として、固形剤、半固形剤あるいは液剤、好ましくは固形剤あるいは液剤が例示される。具体的には、錠剤(口腔内速崩解錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ゼリー状ドロップ剤などを含む)、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、液剤(内服液剤、点鼻剤、鼻洗浄剤などを含む)、ゲル剤、リポソーム剤、エキス剤、チンキ剤、シロップ剤、ゼリー剤、懸濁剤等を例示でき、特に好ましくは錠剤(口腔内速崩解錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ゼリー状ドロップ剤などを含む)、顆粒剤、硬カプセル剤または軟カプセル剤、液剤(内服液剤、点鼻剤、鼻洗浄剤などを含む)である。これらの製剤は、当該技術分野で既知の方法を用いて製造することができ、その際、上述の成分に加えてその製剤に応じた慣用の添加剤を使用することができる。また、好ましい投与形態としては内服用または点鼻用などを挙げることができ、内服用鼻炎薬、点鼻用鼻炎薬または鼻洗浄剤として用いることができる。
【0027】
本発明組成物の使用形態としては、医薬品、医薬部外品などを挙げることができる。また、医薬品としての用途は鼻炎用が挙げられ、具体的には、花粉・ハウスダストによるアレルギー性鼻炎(通年性鼻炎を含む)、アレルギー反応による副鼻腔炎、すなわち鼻のアレルギー症状などに用いることができる。本発明組成物は、鼻汁分泌過多症状を呈するアレルギー性鼻炎の治療薬として特に効果的に用いることができる。
【0028】
本発明の(a)エメダスチンまたはその薬学上許容される塩および(b)シュードエフェドリンまたはその薬学上許容される塩とを併用することからなる鼻汁分泌抑制方法は、これら成分を適宜製剤化して投与することにより実施される。本発明方法における、エメダスチンおよびシュードエフェドリンは前記組成物で用いたものと同義であり、使用に際する個々の用量や割合も上記に準じる。また、この方法における、エメダスチンおよびシュードエフェドリンを併用する方法については、エメダスチンの形態などに応じて公知あるいは慣用されている方法を用いることができる。
【0029】
【実施例】
以下に、試験例、実施例に基づいて本発明をより詳細に示すが、本発明はこれらの試験例、実施例によってなんら限定されるものではない。
試験例1 アルブミン感作モルモットによる鼻汁分泌抑制試験
(モルモット感作方法)
ハートレイ系雄性モルモット(250〜350g)に、卵白アルブミン10μgおよび水酸化アルミニウムゲル20mgを含む生理食塩液1mlを腹腔内に投与して感作を開始し、感作7日後および14日後に卵白アルブミン10μgを含む生理食塩液1mlを腹腔内に投与した。感作20日後に0.1%、22日後に0.25%、24日後に0.5%の卵白アルブミン−生理食塩液20μlをモルモットの両鼻腔内に点鼻することにより能動感作モルモットを作製した。
【0030】
(鼻汁抑制試験)
感作28日後、表1に示す被験薬(比較例1、2、3および実施例1,2,3)を0.1%カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液に溶解したものを経口投与し、その1時間後に2.5%の卵白アルブミン−生理食塩液20μlを右鼻腔内に点鼻することによりアレルギー反応を惹起した。惹起10分後より右鼻腔からキャピラリーにて10分間鼻汁を麻酔下にて回収して鼻汁分泌量を計測し、下記式に基づいて鼻汁分泌抑制率を算出した。結果を表1に示す。
鼻汁分泌抑制率(%)=(1−鼻汁分泌量/比較例1の鼻汁分泌量)×100
【0031】
【表1】
*:フマル酸エメタ゛スチン0.05mgはエメダスチン0.03mgに対応する。
【0032】
比較例2、3は比較例1と同程度の鼻汁分泌量であり、本試験におけるフマル酸エメダスチン(0.05mg/kg)および塩酸シュードエフェドリン(60mg/kg)の単独投与では、ほとんど鼻汁分泌抑制効果がないことが確認された。一方、実施例1〜3では、比較例2(塩酸シュードエフェドリン60mg/kg)や比較例3(フマル酸エメダスチン0.05mg/kg)と比べて、明らかに優れた鼻汁分泌抑制効果が認められる。具体的には、実施例1の鼻汁分泌抑制率は、比較例2,3の約9倍以上に達する。また実施例2の場合は約8倍以上であり、実施例3の場合は塩酸シュードエフェドリンの投与量がわずか1mg/kgであるにもかかわらず、約3倍以上である。上記の結果は、シュードエフェドリンの存在下では、フマル酸エメダスチンの鼻汁抑制効果がより高く発揮されることを示している。
【0033】
上記の結果はまた、エメダスチン単独で十分な効果を得られていた場合には、本発明の組成物を用いることで、より低用量のエメダスチンでも同様の鼻汁分泌抑制効果を得ることができるため、副作用が低減され安全性を向上させることができることを示すものである。
【0034】
以下の実施例により本発明組成物の製剤例を示す。
上記成分を日本薬局方製剤総則「錠剤」に準じて製し、1錠あたり125mgの錠剤6000個を得た。なおこの製剤は、成人1日量として6錠を服用する。
【0035】
上記成分を日本薬局方製剤総則「錠剤」に準じて製し、1錠あたり160mgの錠剤6000個を得た。なおこの製剤は、成人1日量として6錠を服用する。
【0036】
上記成分を日本薬局方製剤総則「顆粒剤」に準じて製し、1包あたり1.4gの顆粒剤2000包を得た。なおこの製剤は、成人1日量として2包を服用する。
【0037】
上記成分を内容物とし、プロピレングリコール45%、メチルセルロース40%、アセチルクエン酸トリエチルエステル15%を外皮として、日本薬局方製剤総則「カプセル剤」に準じて製し、内容物225mgの硬カプセル剤6000個を得た。なおこの製剤は、成人1日量として6カプセルを服用する。
【0038】
上記成分を日本薬局方製剤総則「錠剤」に準じて製し、1錠あたり125mgの錠剤6000個を得た。なおこの製剤は、成人1日量として6錠を服用する。
【0039】
上記成分を日本薬局方製剤総則「錠剤」に準じて製し、1錠あたり200mgの錠剤6000個を得た。なおこの製剤は、成人1日量として6錠を服用する。
【0040】
上記成分を日本薬局方製剤総則「錠剤」に準じて製し、1錠あたり250mgの錠剤6000個を得た。なおこの製剤は、成人1日量として6錠を服用する。
【0041】
上記成分を日本薬局方製剤総則「散剤」に準じて製し、1包あたり1.4gの散剤2000包を得た。なおこの製剤は、成人1日量として2包を服用する。
【0042】
上記成分を日本薬局方製剤総則「錠剤」に準じて製し、1錠あたり450mgのチュアブル錠6000個を得た。なおこの製剤は、成人1日量として6錠を服用する。
【0043】
上記成分を内容物として日本薬局方製剤総則「カプセル剤」に準じて製し、内容物130mgの軟カプセル6000個を得た。なおこの製剤は、成人1日量として6錠を服用する。
【0044】
実施例14(点鼻剤:100ml中)
フマル酸エメダスチン 0.025g
塩酸シュードエフェドリン 0.1 g
塩化ベンゼトニウム 0.02 g
リドカイン 0.5 g
グリチルリチン酸二カリウム 0.3 g
乳酸亜鉛 0.125g
l−メントール 0.01 g
クロロブタノール 0.1 g
ポリソルベート80 0.1 g
pH調整剤 適量
滅菌精製水 適量
上記成分を秤量し均一に混合した後、慣用の方法で調製し、pH=5.5の点鼻剤を得た。なおこの製剤は、成人に対して一回1〜2滴または1〜2噴霧、3時間以上の間隔をおいて1日6回まで使用できる。
【0045】
実施例15(点鼻剤:100ml中)
フマル酸エメダスチン 0.05 g
硫酸シュードエフェドリン 0.2 g
塩化ベンザルコニウム 0.01 g
グリチルリチン酸二カリウム 0.2 g
d−カンフル 0.001g
エデト酸ナトリウム 0.03 g
ポリソルベート80 0.1 g
pH調整剤 適量
滅菌精製水 適量
上記成分を秤量し均一に混合した後、慣用の方法で調製し、pH=6.0の点鼻剤を得た。なおこの製剤は、成人に対して一回1〜2滴または1〜2噴霧、3時間以上の間隔をおいて1日6回まで使用できる。
【0046】
実施例16(点鼻剤:100ml中)
フマル酸エメダスチン 0.015 g
塩酸シュードエフェドリン 0.50 g
塩化ベンゼトニウム 0.02 g
l−メントール 0.003 g
無水カフェイン 1.0 g
ポリソルベート80 0.2 g
リン酸水素カリウム 0.2 g
リン酸二水素カリウム 0.05 g
pH調整剤 適量
滅菌精製水 適量
上記成分を秤量し均一に混合した後、慣用の方法で調製し、pH=7.0の点鼻剤を得た。なおこの製剤は、成人に対して一回1〜2滴または1〜2噴霧、3時間以上の間隔をおいて1日6回まで使用できる。
【0047】
実施例17(点鼻剤:100ml中)
フマル酸エメダスチン 0.01 g
硫酸シュードエフェドリン 0.50 g
塩化ベンザルコニウム 0.01 g
塩酸リドカイン 0.3 g
サリチル酸メチル 0.05 g
l−メントール 0.005g
クロロブタノール 0.1 g
ポリソルベート80 0.2 g
pH調整剤 適量
滅菌精製水 適量
上記成分を秤量し均一に混合した後、慣用の方法で調製し、pH=6.5の点鼻剤を得た。なおこの製剤は、成人に対して一回1〜2滴または1〜2噴霧、3時間以上の間隔をおいて1日6回まで使用できる。
【0048】
実施例18(鼻洗浄剤:100ml中)
フマル酸エメダスチン 0.001 g
塩酸シュードエフェドリン 0.035 g
カンフル 0.003 g
プロピレングリコール 0.3 g
塩化ナトリウム 0.9 g
pH調整剤 適量
滅菌精製水 適量
上記成分を秤量し均一に混合した後、慣用の方法で調製し、pH=4.8の鼻洗浄剤を得た。なおこの製剤は、成人に対して一回1〜2滴または1〜2噴霧して使用できる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、エメダスチンおよびシュードエフェドリンを配合することで、鼻汁分泌に対する抑制作用が顕著に優れているため、治療効果の高い鼻炎用組成物が提供される。
Claims (2)
- (a)エメダスチンまたはその薬学上許容される塩および(b)シュードエフェドリンまたはその薬学上許容される塩を含有する鼻炎用組成物。
- アレルギー性鼻炎用組成物である請求項1に記載の鼻炎用組成物。
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