JP4430312B2 - 医薬製剤 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、エメダスチンまたはその薬学上許容される塩と、サリチル酸系抗炎症薬からなる製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
サリチル酸系抗炎症薬は、解熱、鎮痛、抗炎症などに優れた効果を発揮し解熱鎮痛薬として広く用いられている薬物である。特にアスピリンは、中等度以上の痛みにも効果があること、100年以上の歴史を有し安全性が確立されていて安価であること、効果の高さと比較して副作用が少ないことから世界中で頻用されているうえ、最近では抗血小板剤(血栓予防)や欧米では心臓発作のリスク軽減剤として利用されたり、他の疾病予防効果が期待され一年に千件以上の研究報告が出されている。
このようなサリチル酸系抗炎症薬に対して、解熱・鎮痛効果の増強や胃腸障害などの副作用軽減について様々な検討がなされてきた。例えば、イブプロフェンとサリチル酸系化合物(特許文献1)、β−カロテンとアスピリン(特許文献2)、フルピルチンとアセチルサリチル酸(特許文献3)といった併用剤の報告がなされている。
【0003】
一方、エメダスチンまたはその薬学上許容される塩(以下、「エメダスチンまたはその塩」ということもある。)はベンズイミダゾール系の抗アレルギー剤で、抗ヒスタミン作用、ケミカルメディエーターまたはヒスタミン遊離抑制作用など様々な薬理活性から、アレルギー性鼻炎、じんま疹、湿疹、皮膚掻痒症などに対する内服薬として用いられている。この他に、エメダスチンまたはその塩とアセトアミノフェンまたはイブプロフェンを併用すると、鼻粘膜の炎症抑制効果があることが報告されている(特許文献4)。しかし、エメダスチンまたはその塩の鎮痛効果については、ほとんど検討されていない。
【0004】
【特許文献1】
特公平4−45494号公報
【特許文献2】
特開平5−112448号公報
【特許文献3】
特公平6−23103号公報
【特許文献4】
特開2001−89375号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、鎮痛効果を増強する方法又は鎮痛効果が増強された製剤等を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、エメダスチンまたはその塩とサリチル酸系抗炎症薬を併用すると鎮痛効果が増強することを見出した。このように、サリチル酸系抗炎症薬およびエメダスチンまたはその塩を配合することにより、鎮痛効果に優れ安全性の高い製剤が得られることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、
(1)エメダスチンまたはその薬学上許容される塩、およびアスピリンを含有する、鎮痛効果を要する疾患用の医薬製剤であって、アスピリン100重量部に対して、エメダスチンまたはその薬学上許容される塩が0.1〜10重量部である、医薬製剤、
(2)エメダスチンまたはその薬学上許容される塩、およびアスピリンを組み合わせてなる、鎮痛効果を要する疾患用の医薬製剤であって、アスピリン100重量部に対して、エメダスチンまたはその薬学上許容される塩が0.1〜10重量部である、医薬製剤、
(3)アスピリンの鎮痛効果を増強させた製剤である、前記(1)又は(2)記載の医薬製剤、
(4)鎮痛用、解熱鎮痛用、解熱鎮痛消炎用、又は感冒用の製剤である、前記(1)〜(3)いずれか記載の医薬製剤
に関するものである。
なお、以下本明細書において「製剤」は、医薬製剤及び製剤を包含する意味に用いられる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において、エメダスチンとは公知化合物(1-(2-Ethoxyethyl)-2-(hexahydro-4-methyl-1H-1,4-diazepin-1-yl)-1H-benzimidazole、米国特許4430343号)であって、エメダスチンの薬学上許容される塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、エナント酸塩等を挙げることができ、塩酸塩、フマル酸塩またはエナント酸塩が特に好ましい。なお、水和物であってもよい。
【0009】
本発明におけるエメダスチンまたはその塩の投与量は、通常に用いられる範囲であれば特に制限はなく、例えば経口投与の場合、被投与者の年齢や体重、症状、投与形態等により異なるが通常、成人(15歳以上)一日量でエメダスチン又はその塩が、好ましくは0.05mg以上、より好ましくは0.1mg以上、特に好ましくは0.2mg以上である。また上限については、薬理効果発現や安全性を考慮して、好ましくは10.0mg以下、より好ましくは4.0mg以下、特に好ましくは2.0mg以下であるが、これらに限定されない。また、本発明の製剤中でのエメダスチンまたはその塩の含有量は、本発明の効果及び上記した投与量を考慮し、更に投与形態や投与回数等を勘案して適宜製剤設計することができる。
【0010】
なお、投与量は患者の年令に関連しており、一般的には11歳以上15歳未満では成人の2/3以下、7歳以上11歳未満では成人の1/2以下、3歳以上7歳未満では成人の1/3以下、1歳以上3歳未満では成人の1/4以下、6ヶ月以上1歳未満では成人の1/5以下、3ヶ月以上6ヶ月未満では1/6以下の用量になるよう製剤設計されるが、体重、症状、投与回数、投与方法によっても適宜増減できるため、特に限定されない。
【0011】
本発明においてサリチル酸系抗炎症薬とは、サリチル酸骨格を有する化合物およびその薬学上許容される全ての塩および水和物であって抗炎症作用を有する薬物を意味し、例えば、アスピリン、エテンザミド、サリチル酸ナトリウム、サリチルアミド、サザピリン、アスピリンアルミニウムなどの公知化合物が挙げられ、なかでもアスピリン、アスピリンアルミニウムおよびエテンザミドが好ましい。また、これらのサリチル酸系抗炎症薬は、1種もしくは2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0012】
本発明におけるサリチル酸系抗炎症薬の投与量は、通常に用いられる範囲であれば特に制限はなく例えば経口投与の場合、薬物の種類、被投与者の年齢や体重、症状、投与形態等により異なるが通常、成人(15歳以上)一日量で各薬物量毎に、好ましくは50mg以上、より好ましくは100mg以上、特に好ましくは300mg以上である。また上限については、薬理効果発現や安全性を考慮して、好ましくは5000mg以下、より好ましくは3000mg以下、さらに好ましくは2000mg以下、特に好ましくは1500mg以下であるが、これらに限定されない。本発明の製剤中でのサリチル酸系抗炎症薬の含有量は、本発明の効果及び上記した投与量を考慮し、更に投与形態や投与回数等を勘案して適宜製剤設計することができる。
【0013】
本発明においては、エメダスチンまたはその塩とサリチル酸系抗炎症薬は重量比で、サリチル酸系抗炎症薬100重量部に対してエメダスチンまたはその塩を、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.05〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜6重量部、特に好ましくは0.3〜6重量部の割合となるように含有又は組み合わせて併用するのが好ましい。
【0014】
本発明においては、必要に応じてさらに種々の成分(薬理活性成分や生理活性成分を含む)を併用することができる。このような成分の種類は特に制限されず、例えば、解熱鎮痛薬成分、鎮静催眠薬成分、抗炎症薬成分、抗ヒスタミン薬成分、抗アレルギー薬成分、鎮咳薬成分、気管支拡張薬成分または交感神経興奮薬成分、副交感神経遮断成分、中枢神経興奮成分、去痰薬成分、制酸剤成分、生薬成分、ビタミン類などが例示できる。本発明において好適な成分としては例えば、次のような成分が例示できる。
【0015】
解熱鎮痛薬成分:例えば、アセトアミノフェン、ラクチルフェネチジン、イブプロフェンなど。
鎮静催眠薬成分:例えば、ブロムワレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素など。
抗炎症薬成分:例えば、インドメタシン、ジクロフェナク、プラノプロフェン、ピロキシカム、イプシロン−アミノカプロン酸、ベルベリン、グリチルリチン酸、リゾチーム、アラントイン、アズレンおよび薬理学的に許容される塩(例えば、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、ジクロフェナクナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、塩化リゾチームなど)など。
抗ヒスタミン薬成分:例えば、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、イプロヘプチン、イソチペンジル、ジフェテロール、ジフェニルピラリン、トリプロリジン、トリペレナミン、トンジルアミン、プロメタジン、メトジラジン、カルビノキサミン、アリメマジン、プロメタジン、メブヒドロリン、フェネタジン、ケトチフェン、アゼラスチン、オキサトミド、メキタジン、テルフェナジン、エピナスチン、アステミゾール、エバスチン、セチリジン、レボカバスチン、オロパタジンおよびそれらの薬理学的に許容される塩(例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、フマル酸ケトチフェン、フマル酸クレマスチン、塩酸アゼラスチン、塩酸レボカバスチンなど)など。
【0016】
抗アレルギー薬成分:例えば、クロモグリク酸、トラニラスト、アンレキサノクス、イブジラスト、ペミロラスト、タザノラストおよびそれらの薬理学的に許容される塩(例えば、クロモグリク酸ナトリウムなど)など。
鎮咳薬成分:アクロラミド、クロペラスチン、ペントキシベリン(カルベタペンタン)、チペピジン、ジブナート、デキストロメトルファン、コデイン、ジヒドロコデイン、ノスカピンおよびそれらの薬理学的に許容される塩(例えば、塩酸クロペラスチン、ヒベンズ酸チペピジン、臭化水素酸デキストロメトルファン、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸ノスカピンなど)など。
気管支拡張薬成分または交感神経興奮薬成分:エフェドリン、メチルエフェドリン、プソイドエフェドリン(シュードエフェドリン)、およびそれらの薬理学的に許容される塩(例えば、塩酸エフェドリン、塩酸メチルエフェドリン、塩酸プソイドエフェドリン(塩酸シュードエフェドリン)など)など。
副交感神経遮断成分:ダツラエキス、ベラドンナ(総)アルカロイド、ベラドンナエキス、ヨウ化イソプロパミド、ロートエキスなどが例示でき、ダツラエキス、ベラドンナ(総)アルカロイド、ヨウ化イソプロパミドなど。
【0017】
中枢神経興奮成分:カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、ジプロフィリン、プロキシフィリン、ペントキシフィリンまたはその塩や、安息香酸ナトリウムカフェインなど。
去痰薬成分:グアヤコールスルホン酸ナトリウム、グアイフェネシンなど。
制酸剤成分:乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ヒドロタルサイト、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物などのマグネシウム系制酸剤、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、沈降炭酸カルシウム、乳酸カルシウムおよび水酸化カルシウムなどのカルシウム系制酸剤、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等のナトリウム系制酸剤、ポリアミノメチレン樹脂等の陰イオン交換樹脂、ファモチジン、ラニチジンおよびシメチジン等のH2受容体拮抗薬、プロトンポンプ阻害薬、その他、胃ムチン、烏賊骨、石決明、牡蠣、ロートエキスなど。
生薬成分:カンゾウ、キキョウ、ウイキョウ、カミツレ、ケイヒ、葛根湯など。
【0018】
ビタミン類:ビタミンA類としては、例えば、レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピンおよびその薬理学的に許容される塩(例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなど)など、ビタミンB類としては、例えば、チアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、フルスルチアミン、リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキシン、ピリドキサール、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、メチルコバラミン、デオキシアデノコバラミン、葉酸、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチニックアルコール、パントテン酸、パンテノール、ビオチン、コリン、イノシトールまたはその薬理学的に許容されるこれらの塩(例えば、塩酸チアミン、硝酸チアミン、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン、酪酸リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール、リン酸ピリドキサールカルシウム、塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウムなど)など、ビタミンC類としては、例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸、その誘導体またはその薬理学的に許容される塩(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウムなど)など、ビタミンD類としては、例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロールおよびその薬理学的に許容される塩など)など、ビタミンE類としては、例えば、トコフェロールおよびその誘導体、ユビキノン誘導体およびその薬理学的に許容される塩(酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウムなど)など、その他のビタミン類としては、例えば、ヘスペリジン、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロチン酸、ルチン、エリオシトリンおよびその薬理学的に許容される塩(塩化カルニチンなど)など。
【0019】
本発明の製剤は、製剤の形態に応じて、医薬品、医薬部外品などに使用される様々な成分や添加物を任意に選択し製剤することが可能である。例えば、固形製剤では、結合剤(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなど)、賦形剤(ショ糖、乳糖、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸など)、滑沢剤(ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウムなど)、崩壊剤(メチルセルロース、ポリソルベート80、クロスカルメロースナトリウムなど)、発泡剤(炭酸水素ナトリウムなど)などを使用できる。また、半固形剤では、製剤の種類に応じた基剤、例えば、軟膏基剤(例えば、ワセリン、流動パラフィン、ロウなどの炭化水素系基剤、セタノール、高級脂肪酸エステルなど)、ゲル基剤(例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ガム質など)、油性基剤(オリブ油、大豆油、ゴマ油、綿実油などの植物油、プロピレングリコールなど)などが利用できる。さらに、液剤では、基剤としての溶剤または水、油性基剤、溶解補助剤、懸濁化剤または乳化剤、等張化剤、緩衝剤などが使用できる。また、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、甘味剤、酸味剤、着色剤、香料、呈味剤などを添加してもよい。
【0020】
本発明において製剤の剤型は特に限定されず、製剤の種類あるいは用途に応じて、種々の剤型をとることができる。剤型の種類としては、固形剤、半固形剤あるいは液剤等を挙げることができ、好ましくは固形剤である。具体的には、錠剤(口腔内速崩解錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ゼリー状ドロップ剤などを含む)、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、液剤、ゲル剤、リポソーム剤、エキス剤、チンキ剤、レモネード剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、ゼリー剤、懸濁剤等を例示でき、特に好ましくは錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤、液剤、懸濁剤である。これらの製剤は常法(日本薬局方製剤総則等)により調製して得ることができる。
【0021】
本発明の製剤の用途としては、医薬品をあげることができる。具体的には、専ら鎮痛効果を発揮する鎮痛用製剤のみならず、エメダスチン若しくはその塩またはサリチル酸系抗炎症薬が本来有する薬理効果と共に増強された鎮痛効果を発揮する、例えば解熱鎮痛用製剤、解熱鎮痛消炎用製剤、感冒用製剤、皮膚疾患用製剤などが挙げられる。より具体的には本発明の製剤を、例えば解熱鎮痛用製剤又は解熱鎮痛消炎用製剤として用いると悪寒・発熱時の解熱、慢性関節リウマチ・リウマチ熱・変形性関節症・強直性脊椎炎・関節周囲炎・結合織炎(内服)の治療に加えて、これらの症状に伴う痛み・術後疼痛・歯痛・神経痛・関節痛・腰痛・筋肉痛・捻挫痛・打撲痛・痛風による痛み・頭痛・月経痛(生理痛)・肩こり痛・咽喉痛・抜歯後の疼痛・耳痛・骨折痛・外傷痛に優れた鎮痛効果が発揮される。また、感冒用製剤として用いると、風邪の諸症状(のどの痛み・発熱・悪寒・頭痛・関節の痛み・筋肉の痛み・せき・たん・くしゃみ・鼻水・鼻づまりなど)の緩和に加えて、これらの諸症状に伴う関節の痛み等に優れた鎮痛効果が発揮される。
【0022】
本発明の医薬製剤は、エメダスチン又はその塩とサリチル酸系抗炎症薬を単一製剤中に含有する医薬製剤であっても、またエメダスチン又はその塩とサリチル酸系抗炎症薬を、複数製剤中に各別に含有してそれらを併用するよう組み合わせてなる医薬製剤であっても良い。本発明の組み合わせてなる製剤は、併用する複数製剤中の全体として、エメダスチンまたはその塩およびサリチル酸系抗炎症薬を必須成分として含有する。また、この組み合わせてなる製剤は、併用して用いられるのであれば、包装形態は特に制限されず、組み合わせる各々の製剤が単一の包装体中に納められていてもよく、各々の製剤が各別の包装体中に納められていてもよい。本発明において包装体とは、製剤を直接的に包装するもの(ガラス瓶、プラスチック製容器、PTP包装、アルミピロー包装等)や間接的に包装するもの(外箱等)を意味する。
【0023】
また本発明には、エメダスチンまたはその塩とサリチル酸系抗炎症薬を併用することが記載された表示または文書を包装体上または包装体内に有することを特徴とするエメダスチン又はその塩を含有する製剤、及び、エメダスチンまたはその塩とサリチル酸系抗炎症薬を併用することが記載された表示または文書を包装体上または包装体内に有することを特徴とするサリチル酸系抗炎症薬を含有する製剤をも包含する。本発明は、エメダスチン又はその塩とサリチル酸系抗炎症薬がそれぞれ別の製剤であって各別の包装体に納めされていても、これらの製剤を併用することによって本発明の効果を奏することができる。エメダスチンまたはその塩を含有した製剤と、サリチル酸系抗炎症薬を含有する製剤が各別の包装体に納められている場合には、包装体上または包装体内に、エメダスチンまたはその塩およびサリチル酸系抗炎症薬を併用することを示した表示(例えば、医薬品の外箱や容器ラベルに貼付したシールに記載された表示等)を有しているか、またはかかる記載のある文書(例えば、医薬品に添付される添付文書など)を有していることが好ましい。
【0024】
本発明は、エメダスチンまたはその塩とサリチル酸系抗炎症薬を用いた鎮痛増強方法、及び、エメダスチンまたはその薬学上許容される塩とサリチル酸系抗炎症薬を併用することを特徴とする医薬製剤の鎮痛効果を増強する方法をも包含する。本発明の方法では、エメダスチンまたはその塩及びサリチル酸系抗炎症薬を、同時に又は相前後して投与してもよく、患者の症状等に応じて投与間隔などの投与方法を適宜選択することができ、顕著な鎮痛効果が得られる。
【0025】
【実施例】
以下に、試験例、実施例に基づいて本発明をより詳細に示すが、本発明はこれらの試験例、実施例によって限定されるものではない。
試験例 ライジング抑制試験 (鎮痛作用)
18時間絶食させたICR系雄性マウス(体重22〜29g)を1群10匹として、被験薬群には、表1に記載の被験薬を、0.1%カルボキシメチルセルロース水溶液に溶解し0.1ml/30g体重の割合で強制経口投与した。被験薬を投与して30分後に0.6%酢酸水溶液250μlを腹腔内投与し、その5分後から15分間のライジング発生回数を計測した。一方、対照群には0.1%カルボキシメチルセルロースを投与し、被験薬群と同様に酢酸腹腔内投与後のライジング発生回数を計測した。さらに、被験薬群及び対照群のライジング数から、以下の式に従ってライジング数の抑制率を算出した。結果を表1に示す。
抑制率(%)=(対照群の平均ライジング数−各被験薬群の平均ライジング数)×100/対照群の平均ライジング数(%)
【0026】
【表1】
【0027】
表1から明らかなように、フマル酸エメダスチンのみを投与した群(比較例1〜比較例3)では、ライジング数の抑制率が極めて低かった。公知刊行物において、フマル酸エメダスチンはマウスで100mg/kg程度の高用量では鎮痛作用を示すことが報告されてはいる(Arzneim,-Forsch./Drug Res.38,1,66-69(1988))ものの、フマル酸エメダスチン10mg/kg以下の用量においては、鎮痛効果が認められなかった。
一方、フマル酸エメダスチンとアスピリンの両者を組み合わせて投与した群(実施例1〜実施例4)では、実施例1が比較例5よりもアスピリンの投与量が半量にも関わらずライジングの抑制率が高くなっており、顕著な鎮痛効果が認められた。実施例1〜実施例4の抑制率をアスピリンを単独で投与した群(比較例4〜5)における抑制率と比較すると、アスピリン100重量部に対してフマル酸エメダスチンを0.3〜6重量部(実施例1〜4)の範囲で併用することによって、鎮痛効果が相乗的に高められ顕著な鎮痛効果を発揮することが確認された。
【0028】
以下に製剤実施例を挙げる。
【0029】
実施例5(錠剤)
上記成分を各々秤量し混合し打錠して1錠400mgの錠剤を製造し、1日量を6錠(1回2錠1日3回)として服用した。
【0030】
実施例6
上記成分を各々秤量し混合し打錠して1錠400mgの錠剤Aを製造し、アルミ袋に3錠/袋となるようにつめてシールした。
上記成分を各々秤量し混合し打錠して1錠125mgの錠剤Bを製造し、アルミ袋に1錠/袋となるようにつめてシールした。錠剤Aを3錠と錠剤Bを1錠を服用直前に各々のアルミ袋から取り出して、4錠を同時に服用することとして、1日2回服用した。
【0031】
実施例7(錠剤)
上記成分を各々秤量し混合し打錠して1錠400mgの錠剤を製造し、1日量を6錠(1回2錠1日3回)として服用した。
【0032】
実施例8(錠剤)
上記成分を各々秤量し混合し打錠して1錠400mgの錠剤を製造し、1日量を6錠(1回2錠1日3回)として服用した。
【0033】
実施例9(散剤)
上記成分を各々秤量し混合し造粒し乾燥後整粒して、1包1400mgの散剤を製造し、1日量を3包(1回1包1日3回)として服用した。
【0034】
実施例10(散剤)
上記成分を各々秤量し混合し造粒し乾燥後整粒して、1包1750mgの散剤を製造し、1日量を2包(1回1包1日2回)として服用した。
【0035】
実施例11(顆粒剤)
上記成分を各々秤量し混合し造粒し乾燥後整粒して、1包1200mgの顆粒剤を製造し、1日量を3包(1回1包1日3回)として服用した。
【0036】
実施例12(硬カプセル剤)
上記成分を各々秤量し混合し整粒した後、1カプセル内に400mgとなるように外皮内に充填して硬カプセル剤を製造し、1日量を6カプセル(1回3カプセル1日2回)として服用した。
【0037】
実施例13(硬カプセル剤)
上記成分を各々秤量し混合し整粒した後、1カプセル内に350mgとなるように外皮内に充填して硬カプセル剤を製造し、1日量を6カプセル(1回2カプセル1日3回)として服用した。
【0038】
実施例14(チュアブル錠)
上記成分を各々秤量し混合し打錠して1錠700mgの錠剤を製造し、1日量を6錠(1回2錠1日3回)として服用した。
【0039】
実施例15(チュアブル錠)
上記成分を各々秤量し混合し打錠して1錠600mgの錠剤を製造し、1日量を6錠(1回3錠1日2回)として服用した。
【0040】
実施例16(ドライシロップ剤)
上記成分を各々秤量し混合し造粒し乾燥後整粒して、1包15000mgのドライシロップ剤を製造し、1日量を3包(1回1包1日3回)として服用時溶解して服用した。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、エメダスチンまたはその塩およびサリチル酸系抗炎症薬を併用することで、鎮痛作用が顕著に増強され顕著な鎮痛効果を有し安全性が高い製剤が提供される。また、エメダスチンまたはその塩およびサリチル酸系抗炎症薬を併用することによって鎮痛効果を増強する方法が提供される。本発明によれば、高い鎮痛効果を得るためにサリチル酸系抗炎症薬を増量することなく鎮痛効果を増強することができ、アスピリンの投与量を減じることも可能となるから、従来から問題となっているアスピリンによる胃腸障害の軽減にも寄与することとなり、副作用の低減され安全性の高い製剤、又は鎮痛効果を増強する方法を提供できる。また、本発明の医薬製剤は、エメダスチンまたはその塩が本来有する抗ヒスタミン作用によって風邪や鼻炎の諸症状の緩和や、サリチル酸系抗炎症薬が本来有する抗炎症作用によって解熱効果などをも得られる医薬製剤である。
Claims (4)
- エメダスチンまたはその薬学上許容される塩、およびアスピリンを含有する、鎮痛効果を要する疾患用の医薬製剤であって、アスピリン100重量部に対して、エメダスチンまたはその薬学上許容される塩が0.1〜10重量部である、医薬製剤。
- エメダスチンまたはその薬学上許容される塩、およびアスピリンを組み合わせてなる、鎮痛効果を要する疾患用の医薬製剤であって、アスピリン100重量部に対して、エメダスチンまたはその薬学上許容される塩が0.1〜10重量部である、医薬製剤。
- アスピリンの鎮痛効果を増強させた製剤である、請求項1又は2記載の医薬製剤。
- 鎮痛用、解熱鎮痛用、解熱鎮痛消炎用、又は感冒用の製剤である、請求項1〜3いずれか記載の医薬製剤。
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