JP2004026790A - ピロリジン誘導体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規2−アミノメチルピロリジン誘導体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
毛髪の染色には、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とからなる二剤型の永久染毛剤が広く利用されている。第2剤の酸化剤は、酸化染料中間体のカップリング反応による染毛効果を高め、同時に毛髪中のメラニン顆粒の酸化分解を進行させて、明るい色調を得るために配合されるものである。また、第1剤のアルカリ剤は、染毛効果を高め、また酸化剤の働きを活性化して脱色効果を高めるために配合されるものである。毛髪を本来の色より明るい色調に脱色・染色するためには、十分な脱色力が必要とされるが、本出願人はトリアザシクロノナン誘導体、ピロリジン誘導体などのアミンを添加することにより脱色力が向上することを見出し、先に特許出願した(特願2001−58597号、特願2001−380949号)。トリアザシクロノナン誘導体に関しては多くの誘導体合成法が知られているが(非特許文献1参照)、2−アミノメチルピロリジン誘導体については一部の化合物の合成法しか知られておらず(特許文献1および2参照)、報告されている用途も、医薬品中間体(特許文献1および2参照)や、不斉反応を行う為の光学活性配位子(非特許文献2、3および4参照)として用いられているにすぎない。
【0003】
【非特許文献1】
Progress Inorg. Chem., 1987, 35, 329.
【特許文献1】
特公昭60−59227号公報
【特許文献2】
特公平7−103098
【非特許文献2】
Bull. Chem. Soc. Jpn., 1987, 60, 3697
【非特許文献3】
Tetrahedron, 1990, 46, 4653.
【非特許文献4】
Tetrahedron Asymmetry, 1991, 2, 287
【0004】
本発明の課題は、毛髪脱色力を向上させることのできる新規な2−アミノメチルピロリジン誘導体及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(1):
【0006】
【化8】
【0007】
[式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す]で表される2−アミノメチルピロリジン誘導体を提供するものである。
【0008】
本発明はまた、下記一般式(2):
【0009】
【化9】
【0010】
[式(2)中、R1は、水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す。]で表される2−アミノメチルピロリジン類に、R3COOH(ここで、R3は水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換してもよい炭素数1〜5のアルキル基;水素原子;又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。)で表されるカルボン酸、当該カルボン酸のエステル(ラクトンを含む)、酸無水物、もしくは酸ハライドを反応させて、下記一般式(3):
【0011】
【化10】
【0012】
[式(3)中、R1は及びR3は上記の通りである。]で表されるアミド誘導体とした後、還元剤を用いてアミド基の還元を行うことを特徴とする、一般式(1a):
【0013】
【化11】
【0014】
[式(1a)中、R1は及びR3は前記の通りである。但し、式(3)中、R3が炭素数1〜6のアルコキシ基の場合は、式(1a)中においてR3は水素原子である。]で表される2−アミノメチルピロリジン誘導体の製造方法を提供するものである。
【0015】
本発明は更に、下記一般式(4):
【0016】
【化12】
【0017】
[式(4)中、2つのR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す。]で表されるプロリン誘導体と、下記一般式(5):
【0018】
【化13】
【0019】
[式(5)中、R2は、水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す。]で表される1級アミン化合物とを反応させ、下記一般式(6):
【0020】
【化14】
【0021】
[式(6)中、R1及びR2はそれぞれ、前記の通りである。]で表されるアミド化プロリン誘導体とした後、還元剤を用いてアミド基の還元を行うことを特徴とする、2−アミノメチルピロリジン誘導体の製造方法を提供するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明に係わるアミノメチルピロリジン誘導体(1)において、R1で示される基は、水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換していてもよい炭素数1〜6のアルキル又は炭素数3〜6のシクロアルキル基である。当該置換基は1個又は2個が好ましい。3級アミノ基とは、R(R’)N−(RおよびR’はそれぞれアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示すか、或はR及びR’は該アミノ基の窒素原子と一緒になって複素環、好ましくは5員又は6員の複素環を形成する)で表される基を云う。シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が挙げられる。具体的にはR1として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−iso−プロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、3−(ジメチルアミノ)プロピル基、3−(ジエチルアミノ)プロピル基、3−ピロリジニルプロピル基、3−ピペリジノプロピル基、3−モルホリノプロピル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ヘキシルオキシエチル基、2−メトキシプロピル基、3−メトキシプロピル基等を挙げることができる。中でも、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−メトキシエチル基が好ましく、エチル基、2−ヒドロキシエチル基がより好ましい。
【0023】
R2で示される基としては、水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換していてもよい炭素数1〜6のアルキル又は炭素数3〜6のシクロアルキル基である。当該置換基は1個又は2個が好ましい。3級アミノ基とは、R1における3級アミノ基と同じ意味を有する。シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−iso−プロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、3−(ジメチルアミノ)プロピル基、3−(ジエチルアミノ)プロピル基、3−ピロリジニルプロピル基、3−ピペリジノプロピル基、3−モルホリノプロピル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ヘキシルオキシエチル基、2−メトキシプロピル基、3−メトキシプロピル基等を挙げることができる。中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、4−ヒドロキシブチル基、3−(ジメチルアミノ)プロピル基が好ましく、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、2−ヒドロキシエチル基がより好ましい。
【0024】
また、R1及びR2で示される基のうちの少なくとも1つは、水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換した炭素数1〜6のアルキル基、又は水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換してもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基であるのが好ましい。
【0025】
R3で示される基は、水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換していてもよい炭素数1〜5のアルキル基;水素原子;又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。但し、式(3)中、R3が炭素数1〜6のアルコキシ基の場合は、式(1a)中においてR3は水素原子である。3級アミノ基とは、R1における3級アミノ基と同じ意味を有する。R3で示される基として具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、(ジメチルアミノ)メチル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、2−(ジエチルアミノ)エチル基、2−ピロリジニルエチル基、2−ピペリジノエチル基、2−モルホリノエチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、2−メトキシエチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペントキシ基,n―ヘキシルオキシ基を挙げることができる。中でも、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、ヒドロキシメチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、メトキシ基及びエトキシ基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びヒドロキシメチル基がより好ましい。
【0026】
アミノメチルピロリジン誘導体(1)は少なくとも1つの不斉炭素を有するが、それぞれの不斉炭素は光学活性であってもラセミ体であってもよい。また、任意の比率の混合物でもよい。製造コストの面からはラセミ体もしくは任意の比率のジアステレオマー混合物が好ましい。
【0027】
アミノメチルピロリジン誘導体(1)の具体例としては以下の化学構造で表される化合物を挙げることができる。
【0028】
【化15】
【0029】
本発明に係わるアミノメチルピロリジン誘導体(1)の製造方法を、反応図式1、および2に示す。
【0030】
【化16】
【0031】
反応図式1に示す方法では、合成既知(特公昭60−59227号公報、ActaChemica Scandinavica, 1989, 43, 660.、特公平7−103098号公報)の2−アミノメチルピロリジン類を原料に用い、アミド化と還元の2工程を経て製造できる。また、反応図式2に示す方法では、合成既知(特公昭60−59227号公報、Acta Chemica Scandinavica, 1989, 43, 660.)のプロリン誘導体を原料に用い、アミド化と還元の2工程を経て製造できる。以下それぞれの工程について、詳細に説明する。
【0032】
反応図式1:アミド化工程
合成既知の原料である一般式(2)で示される2−アミノメチルピロリジン類(以下、2−アミノメチルピロリジン類(2)と称す)は少なくとも1つの不斉炭素を有するが、それぞれの不斉炭素は光学活性であってもラセミ体であってもよい。また、任意の比率の混合物でもよい。
【0033】
アシル化剤としては、カルボン酸(R3COOH)、当該カルボン酸のエステル(ラクトンを含む)、酸無水物、及び酸ハライドの中から、必要に応じて選択することができる。
アシル化剤としてカルボン酸を用いる場合、縮合剤として1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCCD)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド・塩酸塩(EDC)、カルボニルジイミダゾール、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、トリフェニルホスフィン/四塩化炭素、フェニルホスホン酸ビス(2−ニトロフェニルエステル)、シアノホスホン酸ジエチル、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)などを使用すれば、穏和な反応条件で行うことができる。
アシル化剤としてカルボン酸エステル(ラクトンを含む)を用いる場合、触媒としてナトリウムメトキシド(NaOMe)、ナトリウムエトキシド(NaOEt)、カリウムエトキシド(KOEt)などのアルコラートを添加しても良い。
アシル化剤として酸無水物、もしくはアシルハライドを用いる場合、アルカリ剤の添加が必要である。アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機アルカリ化合物、アンモニア、もしくはピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルモルホリンなどの有機アミン化合物が用いられる。アルカリ剤は予め反応器に仕込んでおいても良いが、反応時に滴下、段階的に添加、もしくは一括添加を行っても良い。アシル化剤として酸無水物を用いる場合は、収率の面でピリジン、トリエチルアミンなどの有機アミン化合物の使用が好ましい。アシル化剤としてアシルハライドを用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機アルカリ化合物、アンモニア、もしくはピリジン、トリエチルアミンなどの有機アミン化合物の使用が好ましいが、特にコストの面からは、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムの使用が好ましい。
【0034】
具体的にアシル化剤を例示すると、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、イソ酪酸、2−メチル酪酸、およびこれらのメチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、ビニルエステル、イソプロピルエステル、イソプロペニルエステル、およびこれらの酸無水物、およびこれらの酸塩化物、酸臭化物などが挙げられる。
【0035】
特にアミノメチルピロリジン誘導体(1)の置換基R2がメチル基の場合、アシル化剤としてクロロギ酸メチル(クロロ炭酸メチル)、クロロギ酸エチル(クロロ炭酸エチル)などのクロロギ酸エステルを用いることができる。
【0036】
ラクトン類としては、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0037】
水酸基含有アシル化剤としては、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、ヒドロキシピバリン酸、およびこれらのメチルエステル、エチルエステルなどが挙げられる。
【0038】
3級アミノ基含有アシル化剤としては、N,N−ジメチルグリシン、N,N−ジエチルグリシン、3−ジメチルアミノプロピオン酸、4−ジメチルアミノ酪酸、およびこれらの塩酸塩、臭化水素酸塩、およびこれらのメチルエステル、エチルエステルなどが挙げられる。
【0039】
エーテル基含有アシル化剤としては、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、ヘキシルオキシ酢酸、3−メトキシプロピオン酸、およびこれらのメチルエステル、エチルエステル、およびこれらの酸塩化物などが挙げられる。
【0040】
アシル化剤の使用量としては、原料の2−アミノメチルピロリジン類(2)に対して、0.5〜10当量の範囲で用いられるが、反応性が低い場合若しくはアシル化剤を反応溶媒として用いる場合を除いて、精製の面から0.8〜2当量の範囲が好ましい。
【0041】
反応溶媒としては、用いるアシル化剤により使い分けられるが、一般に有機合成に用いられる溶剤、例えばメタノール、エタノール、iso−プロパノール、ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル系溶剤、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン等;水;又はこれらの混合物を使用することができる。また、アシル化剤そのものやアルカリ剤(ピリジンなどの有機アミン化合物に限る)を過剰に用いて反応溶媒としても良く、また、場合によっては無溶媒で反応を行うことができる。
【0042】
反応温度としては、−20〜220℃の範囲で行うことができる。特に、アシル化剤にカルボン酸(脱水剤を使用する場合に限る)、酸無水物又はアシルハライドを用いる場合には、比較的穏和な温度で行うことができる。また、反応は通常、常圧下で行われるが、必要な場合には加圧、もしくは減圧条件で行っても良い。
【0043】
反応後の後処理・精製工程としては、ろ過、抽出、乾燥、再結晶、減圧蒸留、カラム精製などを行うことができるが、必要に応じて選択すれば良く、場合によっては精製工程を行うことなく次の工程へ進むことが可能である。
【0044】
反応図式1:還元工程
還元剤としては、水素化試薬を用いることが可能であり、LiAlH4、NaAlH4、NaAlH2(OCH2CH2OCH3)2(Red−Al(登録商標))、LiAlH(OMe)3、LiAlH(OEt)3、Ca[AlH2[O(iso−Bu)]2]2・THF、AlH3、AlH[CH2CH(CH3)2] 2(DIBAL−H)、Al2H3(OCH2CH2OCH3)3、AlH2Cl、NaBH4、LiBH4、Bu4NBH4、NaBH3(OAc)、NaBH3(O2CPh)、NaBH3(O2CCCl3)、NaBH3・NMe2、NaBH3・NH(tert−Bu)、BH3、およびボラン錯体(B2H6、BH3・NH3、BH3・S(CH3)2、BH3・ピリジン、BH3・THF、BH3・P(C4H9)3など)を挙げることができる。
【0045】
水素化試薬の使用量は、一般式(3)で表されるアミド誘導体に対して、0.5〜20当量、好ましくは1〜10当量の範囲である。
【0046】
触媒としてAlCl3、BF3、TiCl4、CoCl2、NiCl2、CH3CO2H、CF3CO2H、CH3SO3H、H2SO4などを添加しても、または添加しなくても良い。
【0047】
これらの還元は不活性溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル系溶剤、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、の中で行われる。NaBH4又はLiBH4を用いる場合は、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶剤、酢酸、もしくはDMSO中で行っても良い。また反応は、−20℃〜還流温度においてなされる。
【0048】
本工程は接触水素処理によっても還元されうる。この際、触媒として亜クロム酸−Cu(Cu−Cr酸化物)、亜クロム酸−Ba/Cu(Ba/Cu−Cr酸化物)、ラネーNi、ラネーCo、Ru/カーボン、酸化レニウム(VII)などを添加し、加熱加圧下において反応を行う。
【0049】
反応後の後処理・精製工程としては、還元剤の加水分解、ろ過、抽出、乾燥、再結晶、減圧蒸留、カラム精製などを行うことができるが、必要に応じて選択すれば良く、場合によっては精製工程を必要としない。
【0050】
式(3)中、R3が炭素数1〜6のアルコキシ基の場合は、還元によりアルコキシ基の結合が切れて、メチル基が残った2−アミノメチルピロリジン誘導体が得られるので、式(1a)中のR3は水素を表す。
【0051】
反応図式2:アミド化工程
合成既知の原料である、一般式(4)で示されるプロリン誘導体(以下プロリン誘導体(4)と称す。)は少なくとも1つの不斉炭素を有するが、それぞれの不斉炭素は光学活性であってもラセミ体であってもよい。また、任意の比率の混合物でもよい。
【0052】
一般式(5)で示される1級アミン(以下1級アミン(5)と称す。)としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、4−アミノシクロヘキサノール、モノエタノールアミン、2−ヒドロキシ−1−プロピルアミン、3−ヒドロキシ−1−プロピルアミン、アラニノール(2−アミノ−1−プロパノール)、2,3−ジヒドロキシ−1−プロピルアミン、セリノール(2−アミノ−1,3−プロパンジオール)、2−ヒドロキシ−1−ブチルアミン、3−ヒドロキシ−1−ブチルアミン、4−ヒドロキシ−1−ブチルアミン、5−ヒドロキシ−1−ペンチルアミン、6−ヒドロキシ−1−ヘキシルアミン、2−(ジメチルアミノ)エチルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3−ピロリジニルプロピルアミン、3−ピペリジノプロピルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、2−ヘキシルオキシエチルアミン、2−メトキシ−1−プロピルアミン、3−メトキシ−1−プロピルアミン等を挙げることができる。原料の入手のし易さからは、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、4−ヒドロキシ−1−ブチルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミンが好ましい。
【0053】
1級アミン(5)の使用量としては、原料のプロリン誘導体(4)に対して、0.5〜20当量の範囲で用いられるが、反応性が低い場合もしくは1級アミン(5)を反応溶媒として用いる場合を除いて、精製の面から0.8〜5当量の範囲が好ましい。
【0054】
触媒として、ナトリウムメトキシド(NaOMe)、ナトリウムエトキシド(NaOEt)、カリウムエトキシド(KOEt)などのアルコラート、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化水素酸などのヨウ素イオン、シアン化ナトリウム、シアン化カリウムなどのシアンイオンを添加しても良い。
【0055】
反応溶媒としては、一般に有機合成に用いられる溶剤、例えばメタノール、エタノール、iso−プロパノール、ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル系溶剤、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、アセトニトリル、DMF、DMSO、N−メチルピロリドンなど;水;又はこれらの混合物を使用することができる。また、1級アミン(5)が分離容易な場合には過剰に用いて反応溶媒としても良く、また、場合によっては無溶媒で反応を行うことができる。通常は、取扱の面から、メタノール、エタノール、トルエン、もしくは無溶媒が好ましい。
【0056】
反応温度としては、0〜220℃の範囲で行うことができる。反応溶媒を用いる場合は、20℃〜溶媒還流温度の範囲が好ましく、無溶媒の場合は、40℃〜200℃の範囲が好ましい。また、反応は通常、常圧下で行われるが、必要な場合には加圧、もしくは減圧条件で行っても良い。
【0057】
反応後の後処理・精製工程としては、ろ過、抽出、乾燥、再結晶、減圧蒸留、カラム精製などを行うことができるが、必要に応じて選択すれば良く、場合によっては精製工程を行うことなく次の工程へ進むことが可能である。
【0058】
反応図式2:還元工程
還元剤としては、水素化試薬を用いることが可能であり、LiAlH4、NaAlH4、NaAlH2(OCH2CH2OCH3)2(Red−Al(登録商標))、LiAlH(OMe)3、LiAlH(OEt)3、Ca[AlH2[O(iso−Bu)]2]2・THF、AlH3、AlH[CH2CH(CH3)2] 2(DIBAL−H)、Al2H3(OCH2CH2OCH3)3、AlH2Cl、NaBH4、LiBH4、Bu4NBH4、NaBH3(OAc)、NaBH3(O2CPh)、NaBH3(O2CCCl3)、NaBH3・NMe2、NaBH3・NH(tert−Bu)、BH3、およびボラン錯体(B2H6、BH3・NH3、BH3・S(CH3)2、BH3・ピリジン、BH3・THF、BH3・P(C4H9)3など)を挙げることができる。
【0059】
水素化試薬の使用量は、一般式(6)で表されるアミド化プロリン誘導体に対して、0.5〜20当量、好ましくは1〜10当量の範囲である。
【0060】
触媒としてAlCl3、BF3、TiCl4、CoCl2、NiCl2、CH3CO2H、CF3CO2H、CH3SO3H、H2SO4などを添加しても、または添加しなくても良い。
【0061】
これらの還元は不活性溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル系溶剤、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、の中で行われる。NaBH4又はLiBH4を用いる場合は、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶剤、酢酸、もしくはDMSO中で行っても良い。また反応は、−20℃〜還流温度においてなされる。
【0062】
本工程は接触水素処理によっても還元されうる。この際、触媒として亜クロム酸−Cu(Cu−Cr酸化物)、亜クロム酸−Ba/Cu(Ba/Cu−Cr酸化物)、ラネーNi、ラネーCo、Ru/カーボン、酸化レニウム(VII)などを添加し、加熱加圧下において反応を行う。
【0063】
反応後の後処理・精製工程としては、還元剤の加水分解、ろ過、抽出、乾燥、再結晶、減圧蒸留、カラム精製などを行うことができるが、必要に応じて選択すれば良く、場合によっては精製工程を必要としない。
【0064】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1:(S)−1−エチル−2−(エチルアミノメチル)ピロリジン
アミド化工程
200ml4つ口フラスコに(S)−2−(アミノメチル)−1−エチルピロリジン10.007g(0.0781mol)、水酸化ナトリウム 3.792g(1.2当量)、蒸留水10g、及びクロロホルム 70gを仕込み、氷冷下で攪拌した。その後、反応液を5℃以下に保ちながらアセチルクロライド6.744g(1.1当量)を1時間かけて滴下し、更に室温下で24時間攪拌した。
水 20mlを添加してクロロホルム層を分取した後、更に水層をクロロホルム(50ml×2回)で抽出した。合わせたクロロホルム層を飽和食塩水(30ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧除去してアセチル化物 18.2559gを薄黄液体として得た。
本品は、更に精製を行うことなく次の還元工程に用いた。
還元工程
100ml枝付きナス・フラスコにLiAlH4 2.7012g (4.0当量)を仕込み、N2雰囲気下で無水THF 20mlを注入した。その後、室温で攪拌しながら前記アミド3.0112g (0.01769mol)/無水THF 20ml溶液を10分間で滴下し、更に環流条件下で17時間反応を行った。
反応液を氷冷し、水 2.8g、15% NaOH水溶液 2.8g、水 8.1gを順番に添加した後、不溶物をろ別した。エバポレーターによりTHFを減圧除去した後、水 10mlを加えてクロロホルム(30ml×3回)で抽出した。合わせたクロロホルム層を飽和食塩水(20ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥して後、溶媒を減圧除去して薄黄液体を得た。得られた液体より、減圧蒸留(14mmHg, 79℃)による精製を行って、無色液体として目的物 1.8468g(全単離収率 92%)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3, ppm) :
δ3.15(1H), 2.85(1H), 2.73(1H), 2.67(2H), 2.54(1H), 2.47(1H), 2.22(1H), 2.14(1H), 1.97−1.88(1H), 1.80−1.69(2H), 1.65−1.56(1H), 1.14−1.08(6H).13C NMR (100MHz, CDCl3, ppm) :
δ64.11, 53.78, 53.77, 49.02, 44.64, 29.40, 22.72, 15.28, 13.93.
得られた化合物のスペクトルチャートを図1に示す。得られる情報より、各スペクトルの帰属を行った。
【0065】
実施例2:ラセミ−1−エチル−2−(エチルアミノメチル)ピロリジン
アミド化工程
500mL4つ口フラスコに2−(アミノメチル)−1−エチルピロリジン 33.68g (0.263mol)、水酸化ナトリウム 12.62g (1.2当量)、蒸留水 35g、クロロホルム 220gを仕込み、氷冷下で激しく攪拌した。その後、反応液を5℃以下に保ちながらアセチルクロライド 22.71g (1.1当量)を1時間かけて滴下し、更に室温下で24時間、激しく攪拌した。
水 20mlを添加してクロロホルム層を分取した後、更に水層をクロロホルム(200ml×2回)で抽出した。合わせたクロロホルム層を飽和食塩水(80ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧除去、乾燥して、薄黄液体としてアセチル化物 44.87g(収率〜100%)を得た。
還元工程
500ml4つ口フラスコに無水THF 90mlを仕込み、氷冷しながらN2雰囲気下でLiAlH4 7.7530g (2.5当量)を添加した。その後、反応液を5℃以下に保ちながら前記アミド13.9220g (0.08177mol)/無水THF 180ml溶液を3時間かけて滴下し、更に環流条件下で16時間反応を行った。
反応液を氷冷し、10℃以下に保ちながら水 39gを添加した後、不溶物をろ別した。エバポレーターによりTHFを減圧除去した後、メタノールを添加して残存している水を減圧除去した。得られた薄黄液体より、減圧蒸留(14mmHg, 79−80℃)による精製を行って、無色液体として目的物 11.5320g(単離収率 90%)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3, ppm) :
δ3.15(1H), 2.85(1H), 2.73(1H), 2.67(2H), 2.54(1H), 2.47(1H), 2.22(1H), 2.13(1H), 1.97−1.88(1H), 1.80−1.69(2H), 1.65−1.56(1H), 1.14−1.08(6H).13C NMR (100MHz, CDCl3, ppm) :
δ64.13, 53.82, 53.78, 49.04, 44.67, 29.42, 22.73, 15.30, 13.96.
MS (EI, 70eV) :
m/z(%rel. int.) 28(3), 43(4), 56(4), 70(16), 82(3), 98(100), 112(0.8), 127(0.3), 156(M, 0.4).
【0066】
実施例3:(S)−1−エチル−2−(ヒドロキシエチルアミノメチル)ピロリジン
アミド化工程
100ml4つ口フラスコにエチル (S)−1−エチル−2−ピロリジンカルボキシレート 8.56g (50mmol)、モノエタノールアミン 6.11g (2当量)、KI 0.83g (0.1当量)、メタノール 30mlを仕込み、50℃で98時間攪拌した。
溶媒を減圧除去した後、残留物をクロロホルム 100mlに出来るだけ溶解させた。不溶分をろ別した後に溶媒を減圧除去し、更に減圧下で乾燥することによって未反応のモノエタノールアミンを除去して、アミド化物 9.15g (収率98%)を黄オイルとして得た。
還元工程
100ml4つ口フラスコにLiAlH4 4.08g (5.0当量)を仕込み、N2雰囲気下で無水THF 35mlを注入した。その後、氷冷下で攪拌しながら前記アミド4.00g (21.5mmol)/無水THF 25ml溶液を10分間で滴下し、更に環流条件下で18時間反応を行った。
反応液を氷冷し、発泡がなくなるまでイオン交換水を少しづつ添加した。不溶物をろ別した後、エバポレーターによりTHFを減圧除去した。得られた淡黄色液体より、減圧蒸留(0.3mmHg, 73−74℃)による精製を行って、目的物 1.98g(収率 54%)を無色オイルとして得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3, ppm) :
δ3.63(2H), 3.15(1H), 2.85(1H), 2.78(2H), 2.72(1H), 2.59(1H), 2.48(1H), 2.22(1H), 2.14(1H), 1.96−1.86(1H), 1.80−1.70(2H), 1.70−1.61(1H), 1.11(3H).
13C NMR (100MHz, CDCl3, ppm) :
δ64.16, 60.54, 53.70, 52.60, 51.55, 49.05, 28.98, 22.79, 13.80.
【0067】
実施例4:ラセミ−1−エチル−2−(ヒドロキシエチルアミノメチル)ピロリジン
アミド化工程
300ml4つ口フラスコにエチル 1−エチル−2−ピロリジンカルボキシレート 33.51g (196mmol)、モノエタノールアミン 23.94g (2当量)、KI 3.25g (0.1当量)、メタノール 120mlを仕込み、50℃で67時間攪拌した。
溶媒を減圧除去した後、残留物をジクロロメタン 200mlに出来るだけ溶解させた。不溶分をろ別した後に溶媒を減圧除去し、更に減圧下で乾燥することによって未反応のモノエタノールアミンを除去して、アミド化物 33.12g (収率91%)をオレンジ色オイルとして得た。
還元工程
300ml4つ口フラスコにLiAlH4 4.08g (4.0当量)を仕込み、N2雰囲気下で無水THF 40mlを注入した。その後、氷冷下で攪拌しながら前記アミド5.00g (26.8mmol)/無水THF 50ml溶液を1時間で滴下し、更に環流条件下で12時間反応を行った。
反応液を氷冷し、発泡がなくなるまでイオン交換水を少しづつ添加した。不溶物をろ別した後、エバポレーターによりTHFを減圧除去した。得られた淡黄色液体より、減圧蒸留(0.2mmHg, 65−72℃)による精製を行って、目的物 3.61g(収率 78%)を無色オイルとして得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3, ppm) :
δ3.63(2H), 3.15(1H), 2.85(1H), 2.78(2H), 2.72(1H), 2.59(1H), 2.48(1H), 2.22(1H), 2.14(1H), 1.96−1.86(1H), 1.80−1.70(2H), 1.70−1.61(1H), 1.11(3H).
13C NMR (100MHz, CDCl3, ppm) :
δ64.16, 60.54, 53.70, 52.60, 51.55, 49.05, 28.98, 22.79, 13.80.
得られた化合物のスペクトルチャートを図2に示す。得られる情報より、各スペクトルの帰属を行った。
【0068】
実施例5:(S)−2−(N,N−ジメチルアミノプロピルアミノメチル)−1−エチルピロリジン
アミド化工程
100ml4つ口フラスコにエチル (S)−1−エチル−2−ピロリジンカルボキシレート 8.56g (50mmol)、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン 10.22g (2当量)、KI 0.83g (0.1当量)、メタノール 30mlを仕込み、50℃で87時間攪拌した。
溶媒を減圧除去した後、水 20mlを添加し水層をジクロロメタン(200ml×3回)で抽出した。合わせたジクロロメタン層をNa2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧除去して黄オイルを得た。得られたオイルを減圧蒸留(0.2mmHg, 120℃)により精製してアミド化物 4.69g (収率41%)を透明液体として得た。
還元工程
100ml4つ口フラスコにLiAlH4 3.25g (5.0当量)を仕込み、N2雰囲気下で無水THF 25mlを注入した。その後、氷冷下で攪拌しながら前記アミド3.54g (13.2mmol)/無水THF 25ml溶液を30分間で滴下し、更に環流条件下で38時間反応を行った。
反応液を氷冷し、発泡がなくなるまでイオン交換水を少しづつ添加した。不溶物をろ別した後、エバポレーターによりTHFを減圧除去した。得られた淡黄色オイルをアルミナ・カラム(CHCl3:MeOH=100:1)により精製を行って、目的物 2.24g(収率 62%)を淡黄色液体として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3, ppm) :
δ3.15(1H), 2.85(1H), 2.72(1H), 2.66(2H), 2.53(1H), 2.47(1H), 2.30(2H), 2.22(6H), 2.13(2H), 1.97−1.87(1H), 1.80−1.56(5H), 1.10(3H).
13C NMR (100MHz, CDCl3, ppm) :
δ64.04, 58.00, 53.92, 53.78, 49.00, 48.88, 45.52, 29.35, 28.09, 22.71, 13.94.
【0069】
【発明の効果】
簡便な方法で新規2−アミノメチルピロリジン誘導体が合成できる。また、本発明の2−アミノメチルピロリジン誘導体は染毛剤添加剤として有用であり、これを配合した染毛剤組成物は、優れた脱色力を有し、毛髪の色調を明るく良好な色合いに染め上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた化合物の、それぞれ(A)1H NMRスペクトル、(B)13C NMRスペクトル、(C)H−H COSYスペクトル、および(D)C−H COSYスペクトルのスペクトルチャートである。
【図2】実施例4で得られた化合物の、それぞれ(A)1H NMRスペクトル、(B)13C NMRスペクトル、(C)H−H COSYスペクトル、および(D)C−H COSYスペクトルのスペクトルチャートである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規2−アミノメチルピロリジン誘導体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
毛髪の染色には、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とからなる二剤型の永久染毛剤が広く利用されている。第2剤の酸化剤は、酸化染料中間体のカップリング反応による染毛効果を高め、同時に毛髪中のメラニン顆粒の酸化分解を進行させて、明るい色調を得るために配合されるものである。また、第1剤のアルカリ剤は、染毛効果を高め、また酸化剤の働きを活性化して脱色効果を高めるために配合されるものである。毛髪を本来の色より明るい色調に脱色・染色するためには、十分な脱色力が必要とされるが、本出願人はトリアザシクロノナン誘導体、ピロリジン誘導体などのアミンを添加することにより脱色力が向上することを見出し、先に特許出願した(特願2001−58597号、特願2001−380949号)。トリアザシクロノナン誘導体に関しては多くの誘導体合成法が知られているが(非特許文献1参照)、2−アミノメチルピロリジン誘導体については一部の化合物の合成法しか知られておらず(特許文献1および2参照)、報告されている用途も、医薬品中間体(特許文献1および2参照)や、不斉反応を行う為の光学活性配位子(非特許文献2、3および4参照)として用いられているにすぎない。
【0003】
【非特許文献1】
Progress Inorg. Chem., 1987, 35, 329.
【特許文献1】
特公昭60−59227号公報
【特許文献2】
特公平7−103098
【非特許文献2】
Bull. Chem. Soc. Jpn., 1987, 60, 3697
【非特許文献3】
Tetrahedron, 1990, 46, 4653.
【非特許文献4】
Tetrahedron Asymmetry, 1991, 2, 287
【0004】
本発明の課題は、毛髪脱色力を向上させることのできる新規な2−アミノメチルピロリジン誘導体及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(1):
【0006】
【化8】
【0007】
[式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す]で表される2−アミノメチルピロリジン誘導体を提供するものである。
【0008】
本発明はまた、下記一般式(2):
【0009】
【化9】
【0010】
[式(2)中、R1は、水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す。]で表される2−アミノメチルピロリジン類に、R3COOH(ここで、R3は水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換してもよい炭素数1〜5のアルキル基;水素原子;又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。)で表されるカルボン酸、当該カルボン酸のエステル(ラクトンを含む)、酸無水物、もしくは酸ハライドを反応させて、下記一般式(3):
【0011】
【化10】
【0012】
[式(3)中、R1は及びR3は上記の通りである。]で表されるアミド誘導体とした後、還元剤を用いてアミド基の還元を行うことを特徴とする、一般式(1a):
【0013】
【化11】
【0014】
[式(1a)中、R1は及びR3は前記の通りである。但し、式(3)中、R3が炭素数1〜6のアルコキシ基の場合は、式(1a)中においてR3は水素原子である。]で表される2−アミノメチルピロリジン誘導体の製造方法を提供するものである。
【0015】
本発明は更に、下記一般式(4):
【0016】
【化12】
【0017】
[式(4)中、2つのR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す。]で表されるプロリン誘導体と、下記一般式(5):
【0018】
【化13】
【0019】
[式(5)中、R2は、水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す。]で表される1級アミン化合物とを反応させ、下記一般式(6):
【0020】
【化14】
【0021】
[式(6)中、R1及びR2はそれぞれ、前記の通りである。]で表されるアミド化プロリン誘導体とした後、還元剤を用いてアミド基の還元を行うことを特徴とする、2−アミノメチルピロリジン誘導体の製造方法を提供するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明に係わるアミノメチルピロリジン誘導体(1)において、R1で示される基は、水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換していてもよい炭素数1〜6のアルキル又は炭素数3〜6のシクロアルキル基である。当該置換基は1個又は2個が好ましい。3級アミノ基とは、R(R’)N−(RおよびR’はそれぞれアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示すか、或はR及びR’は該アミノ基の窒素原子と一緒になって複素環、好ましくは5員又は6員の複素環を形成する)で表される基を云う。シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が挙げられる。具体的にはR1として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−iso−プロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、3−(ジメチルアミノ)プロピル基、3−(ジエチルアミノ)プロピル基、3−ピロリジニルプロピル基、3−ピペリジノプロピル基、3−モルホリノプロピル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ヘキシルオキシエチル基、2−メトキシプロピル基、3−メトキシプロピル基等を挙げることができる。中でも、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−メトキシエチル基が好ましく、エチル基、2−ヒドロキシエチル基がより好ましい。
【0023】
R2で示される基としては、水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換していてもよい炭素数1〜6のアルキル又は炭素数3〜6のシクロアルキル基である。当該置換基は1個又は2個が好ましい。3級アミノ基とは、R1における3級アミノ基と同じ意味を有する。シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−iso−プロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、3−(ジメチルアミノ)プロピル基、3−(ジエチルアミノ)プロピル基、3−ピロリジニルプロピル基、3−ピペリジノプロピル基、3−モルホリノプロピル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ヘキシルオキシエチル基、2−メトキシプロピル基、3−メトキシプロピル基等を挙げることができる。中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、4−ヒドロキシブチル基、3−(ジメチルアミノ)プロピル基が好ましく、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、2−ヒドロキシエチル基がより好ましい。
【0024】
また、R1及びR2で示される基のうちの少なくとも1つは、水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換した炭素数1〜6のアルキル基、又は水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換してもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基であるのが好ましい。
【0025】
R3で示される基は、水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換していてもよい炭素数1〜5のアルキル基;水素原子;又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す。但し、式(3)中、R3が炭素数1〜6のアルコキシ基の場合は、式(1a)中においてR3は水素原子である。3級アミノ基とは、R1における3級アミノ基と同じ意味を有する。R3で示される基として具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、(ジメチルアミノ)メチル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、2−(ジエチルアミノ)エチル基、2−ピロリジニルエチル基、2−ピペリジノエチル基、2−モルホリノエチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、2−メトキシエチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペントキシ基,n―ヘキシルオキシ基を挙げることができる。中でも、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、ヒドロキシメチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、メトキシ基及びエトキシ基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びヒドロキシメチル基がより好ましい。
【0026】
アミノメチルピロリジン誘導体(1)は少なくとも1つの不斉炭素を有するが、それぞれの不斉炭素は光学活性であってもラセミ体であってもよい。また、任意の比率の混合物でもよい。製造コストの面からはラセミ体もしくは任意の比率のジアステレオマー混合物が好ましい。
【0027】
アミノメチルピロリジン誘導体(1)の具体例としては以下の化学構造で表される化合物を挙げることができる。
【0028】
【化15】
【0029】
本発明に係わるアミノメチルピロリジン誘導体(1)の製造方法を、反応図式1、および2に示す。
【0030】
【化16】
【0031】
反応図式1に示す方法では、合成既知(特公昭60−59227号公報、ActaChemica Scandinavica, 1989, 43, 660.、特公平7−103098号公報)の2−アミノメチルピロリジン類を原料に用い、アミド化と還元の2工程を経て製造できる。また、反応図式2に示す方法では、合成既知(特公昭60−59227号公報、Acta Chemica Scandinavica, 1989, 43, 660.)のプロリン誘導体を原料に用い、アミド化と還元の2工程を経て製造できる。以下それぞれの工程について、詳細に説明する。
【0032】
反応図式1:アミド化工程
合成既知の原料である一般式(2)で示される2−アミノメチルピロリジン類(以下、2−アミノメチルピロリジン類(2)と称す)は少なくとも1つの不斉炭素を有するが、それぞれの不斉炭素は光学活性であってもラセミ体であってもよい。また、任意の比率の混合物でもよい。
【0033】
アシル化剤としては、カルボン酸(R3COOH)、当該カルボン酸のエステル(ラクトンを含む)、酸無水物、及び酸ハライドの中から、必要に応じて選択することができる。
アシル化剤としてカルボン酸を用いる場合、縮合剤として1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCCD)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド・塩酸塩(EDC)、カルボニルジイミダゾール、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、トリフェニルホスフィン/四塩化炭素、フェニルホスホン酸ビス(2−ニトロフェニルエステル)、シアノホスホン酸ジエチル、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)などを使用すれば、穏和な反応条件で行うことができる。
アシル化剤としてカルボン酸エステル(ラクトンを含む)を用いる場合、触媒としてナトリウムメトキシド(NaOMe)、ナトリウムエトキシド(NaOEt)、カリウムエトキシド(KOEt)などのアルコラートを添加しても良い。
アシル化剤として酸無水物、もしくはアシルハライドを用いる場合、アルカリ剤の添加が必要である。アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機アルカリ化合物、アンモニア、もしくはピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルモルホリンなどの有機アミン化合物が用いられる。アルカリ剤は予め反応器に仕込んでおいても良いが、反応時に滴下、段階的に添加、もしくは一括添加を行っても良い。アシル化剤として酸無水物を用いる場合は、収率の面でピリジン、トリエチルアミンなどの有機アミン化合物の使用が好ましい。アシル化剤としてアシルハライドを用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機アルカリ化合物、アンモニア、もしくはピリジン、トリエチルアミンなどの有機アミン化合物の使用が好ましいが、特にコストの面からは、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムの使用が好ましい。
【0034】
具体的にアシル化剤を例示すると、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、イソ酪酸、2−メチル酪酸、およびこれらのメチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、ビニルエステル、イソプロピルエステル、イソプロペニルエステル、およびこれらの酸無水物、およびこれらの酸塩化物、酸臭化物などが挙げられる。
【0035】
特にアミノメチルピロリジン誘導体(1)の置換基R2がメチル基の場合、アシル化剤としてクロロギ酸メチル(クロロ炭酸メチル)、クロロギ酸エチル(クロロ炭酸エチル)などのクロロギ酸エステルを用いることができる。
【0036】
ラクトン類としては、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0037】
水酸基含有アシル化剤としては、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、ヒドロキシピバリン酸、およびこれらのメチルエステル、エチルエステルなどが挙げられる。
【0038】
3級アミノ基含有アシル化剤としては、N,N−ジメチルグリシン、N,N−ジエチルグリシン、3−ジメチルアミノプロピオン酸、4−ジメチルアミノ酪酸、およびこれらの塩酸塩、臭化水素酸塩、およびこれらのメチルエステル、エチルエステルなどが挙げられる。
【0039】
エーテル基含有アシル化剤としては、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、ヘキシルオキシ酢酸、3−メトキシプロピオン酸、およびこれらのメチルエステル、エチルエステル、およびこれらの酸塩化物などが挙げられる。
【0040】
アシル化剤の使用量としては、原料の2−アミノメチルピロリジン類(2)に対して、0.5〜10当量の範囲で用いられるが、反応性が低い場合若しくはアシル化剤を反応溶媒として用いる場合を除いて、精製の面から0.8〜2当量の範囲が好ましい。
【0041】
反応溶媒としては、用いるアシル化剤により使い分けられるが、一般に有機合成に用いられる溶剤、例えばメタノール、エタノール、iso−プロパノール、ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル系溶剤、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン等;水;又はこれらの混合物を使用することができる。また、アシル化剤そのものやアルカリ剤(ピリジンなどの有機アミン化合物に限る)を過剰に用いて反応溶媒としても良く、また、場合によっては無溶媒で反応を行うことができる。
【0042】
反応温度としては、−20〜220℃の範囲で行うことができる。特に、アシル化剤にカルボン酸(脱水剤を使用する場合に限る)、酸無水物又はアシルハライドを用いる場合には、比較的穏和な温度で行うことができる。また、反応は通常、常圧下で行われるが、必要な場合には加圧、もしくは減圧条件で行っても良い。
【0043】
反応後の後処理・精製工程としては、ろ過、抽出、乾燥、再結晶、減圧蒸留、カラム精製などを行うことができるが、必要に応じて選択すれば良く、場合によっては精製工程を行うことなく次の工程へ進むことが可能である。
【0044】
反応図式1:還元工程
還元剤としては、水素化試薬を用いることが可能であり、LiAlH4、NaAlH4、NaAlH2(OCH2CH2OCH3)2(Red−Al(登録商標))、LiAlH(OMe)3、LiAlH(OEt)3、Ca[AlH2[O(iso−Bu)]2]2・THF、AlH3、AlH[CH2CH(CH3)2] 2(DIBAL−H)、Al2H3(OCH2CH2OCH3)3、AlH2Cl、NaBH4、LiBH4、Bu4NBH4、NaBH3(OAc)、NaBH3(O2CPh)、NaBH3(O2CCCl3)、NaBH3・NMe2、NaBH3・NH(tert−Bu)、BH3、およびボラン錯体(B2H6、BH3・NH3、BH3・S(CH3)2、BH3・ピリジン、BH3・THF、BH3・P(C4H9)3など)を挙げることができる。
【0045】
水素化試薬の使用量は、一般式(3)で表されるアミド誘導体に対して、0.5〜20当量、好ましくは1〜10当量の範囲である。
【0046】
触媒としてAlCl3、BF3、TiCl4、CoCl2、NiCl2、CH3CO2H、CF3CO2H、CH3SO3H、H2SO4などを添加しても、または添加しなくても良い。
【0047】
これらの還元は不活性溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル系溶剤、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、の中で行われる。NaBH4又はLiBH4を用いる場合は、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶剤、酢酸、もしくはDMSO中で行っても良い。また反応は、−20℃〜還流温度においてなされる。
【0048】
本工程は接触水素処理によっても還元されうる。この際、触媒として亜クロム酸−Cu(Cu−Cr酸化物)、亜クロム酸−Ba/Cu(Ba/Cu−Cr酸化物)、ラネーNi、ラネーCo、Ru/カーボン、酸化レニウム(VII)などを添加し、加熱加圧下において反応を行う。
【0049】
反応後の後処理・精製工程としては、還元剤の加水分解、ろ過、抽出、乾燥、再結晶、減圧蒸留、カラム精製などを行うことができるが、必要に応じて選択すれば良く、場合によっては精製工程を必要としない。
【0050】
式(3)中、R3が炭素数1〜6のアルコキシ基の場合は、還元によりアルコキシ基の結合が切れて、メチル基が残った2−アミノメチルピロリジン誘導体が得られるので、式(1a)中のR3は水素を表す。
【0051】
反応図式2:アミド化工程
合成既知の原料である、一般式(4)で示されるプロリン誘導体(以下プロリン誘導体(4)と称す。)は少なくとも1つの不斉炭素を有するが、それぞれの不斉炭素は光学活性であってもラセミ体であってもよい。また、任意の比率の混合物でもよい。
【0052】
一般式(5)で示される1級アミン(以下1級アミン(5)と称す。)としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、4−アミノシクロヘキサノール、モノエタノールアミン、2−ヒドロキシ−1−プロピルアミン、3−ヒドロキシ−1−プロピルアミン、アラニノール(2−アミノ−1−プロパノール)、2,3−ジヒドロキシ−1−プロピルアミン、セリノール(2−アミノ−1,3−プロパンジオール)、2−ヒドロキシ−1−ブチルアミン、3−ヒドロキシ−1−ブチルアミン、4−ヒドロキシ−1−ブチルアミン、5−ヒドロキシ−1−ペンチルアミン、6−ヒドロキシ−1−ヘキシルアミン、2−(ジメチルアミノ)エチルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3−ピロリジニルプロピルアミン、3−ピペリジノプロピルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、2−メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、2−ヘキシルオキシエチルアミン、2−メトキシ−1−プロピルアミン、3−メトキシ−1−プロピルアミン等を挙げることができる。原料の入手のし易さからは、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、4−ヒドロキシ−1−ブチルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミンが好ましい。
【0053】
1級アミン(5)の使用量としては、原料のプロリン誘導体(4)に対して、0.5〜20当量の範囲で用いられるが、反応性が低い場合もしくは1級アミン(5)を反応溶媒として用いる場合を除いて、精製の面から0.8〜5当量の範囲が好ましい。
【0054】
触媒として、ナトリウムメトキシド(NaOMe)、ナトリウムエトキシド(NaOEt)、カリウムエトキシド(KOEt)などのアルコラート、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化水素酸などのヨウ素イオン、シアン化ナトリウム、シアン化カリウムなどのシアンイオンを添加しても良い。
【0055】
反応溶媒としては、一般に有機合成に用いられる溶剤、例えばメタノール、エタノール、iso−プロパノール、ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル系溶剤、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、アセトニトリル、DMF、DMSO、N−メチルピロリドンなど;水;又はこれらの混合物を使用することができる。また、1級アミン(5)が分離容易な場合には過剰に用いて反応溶媒としても良く、また、場合によっては無溶媒で反応を行うことができる。通常は、取扱の面から、メタノール、エタノール、トルエン、もしくは無溶媒が好ましい。
【0056】
反応温度としては、0〜220℃の範囲で行うことができる。反応溶媒を用いる場合は、20℃〜溶媒還流温度の範囲が好ましく、無溶媒の場合は、40℃〜200℃の範囲が好ましい。また、反応は通常、常圧下で行われるが、必要な場合には加圧、もしくは減圧条件で行っても良い。
【0057】
反応後の後処理・精製工程としては、ろ過、抽出、乾燥、再結晶、減圧蒸留、カラム精製などを行うことができるが、必要に応じて選択すれば良く、場合によっては精製工程を行うことなく次の工程へ進むことが可能である。
【0058】
反応図式2:還元工程
還元剤としては、水素化試薬を用いることが可能であり、LiAlH4、NaAlH4、NaAlH2(OCH2CH2OCH3)2(Red−Al(登録商標))、LiAlH(OMe)3、LiAlH(OEt)3、Ca[AlH2[O(iso−Bu)]2]2・THF、AlH3、AlH[CH2CH(CH3)2] 2(DIBAL−H)、Al2H3(OCH2CH2OCH3)3、AlH2Cl、NaBH4、LiBH4、Bu4NBH4、NaBH3(OAc)、NaBH3(O2CPh)、NaBH3(O2CCCl3)、NaBH3・NMe2、NaBH3・NH(tert−Bu)、BH3、およびボラン錯体(B2H6、BH3・NH3、BH3・S(CH3)2、BH3・ピリジン、BH3・THF、BH3・P(C4H9)3など)を挙げることができる。
【0059】
水素化試薬の使用量は、一般式(6)で表されるアミド化プロリン誘導体に対して、0.5〜20当量、好ましくは1〜10当量の範囲である。
【0060】
触媒としてAlCl3、BF3、TiCl4、CoCl2、NiCl2、CH3CO2H、CF3CO2H、CH3SO3H、H2SO4などを添加しても、または添加しなくても良い。
【0061】
これらの還元は不活性溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル系溶剤、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、の中で行われる。NaBH4又はLiBH4を用いる場合は、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶剤、酢酸、もしくはDMSO中で行っても良い。また反応は、−20℃〜還流温度においてなされる。
【0062】
本工程は接触水素処理によっても還元されうる。この際、触媒として亜クロム酸−Cu(Cu−Cr酸化物)、亜クロム酸−Ba/Cu(Ba/Cu−Cr酸化物)、ラネーNi、ラネーCo、Ru/カーボン、酸化レニウム(VII)などを添加し、加熱加圧下において反応を行う。
【0063】
反応後の後処理・精製工程としては、還元剤の加水分解、ろ過、抽出、乾燥、再結晶、減圧蒸留、カラム精製などを行うことができるが、必要に応じて選択すれば良く、場合によっては精製工程を必要としない。
【0064】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1:(S)−1−エチル−2−(エチルアミノメチル)ピロリジン
アミド化工程
200ml4つ口フラスコに(S)−2−(アミノメチル)−1−エチルピロリジン10.007g(0.0781mol)、水酸化ナトリウム 3.792g(1.2当量)、蒸留水10g、及びクロロホルム 70gを仕込み、氷冷下で攪拌した。その後、反応液を5℃以下に保ちながらアセチルクロライド6.744g(1.1当量)を1時間かけて滴下し、更に室温下で24時間攪拌した。
水 20mlを添加してクロロホルム層を分取した後、更に水層をクロロホルム(50ml×2回)で抽出した。合わせたクロロホルム層を飽和食塩水(30ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧除去してアセチル化物 18.2559gを薄黄液体として得た。
本品は、更に精製を行うことなく次の還元工程に用いた。
還元工程
100ml枝付きナス・フラスコにLiAlH4 2.7012g (4.0当量)を仕込み、N2雰囲気下で無水THF 20mlを注入した。その後、室温で攪拌しながら前記アミド3.0112g (0.01769mol)/無水THF 20ml溶液を10分間で滴下し、更に環流条件下で17時間反応を行った。
反応液を氷冷し、水 2.8g、15% NaOH水溶液 2.8g、水 8.1gを順番に添加した後、不溶物をろ別した。エバポレーターによりTHFを減圧除去した後、水 10mlを加えてクロロホルム(30ml×3回)で抽出した。合わせたクロロホルム層を飽和食塩水(20ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥して後、溶媒を減圧除去して薄黄液体を得た。得られた液体より、減圧蒸留(14mmHg, 79℃)による精製を行って、無色液体として目的物 1.8468g(全単離収率 92%)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3, ppm) :
δ3.15(1H), 2.85(1H), 2.73(1H), 2.67(2H), 2.54(1H), 2.47(1H), 2.22(1H), 2.14(1H), 1.97−1.88(1H), 1.80−1.69(2H), 1.65−1.56(1H), 1.14−1.08(6H).13C NMR (100MHz, CDCl3, ppm) :
δ64.11, 53.78, 53.77, 49.02, 44.64, 29.40, 22.72, 15.28, 13.93.
得られた化合物のスペクトルチャートを図1に示す。得られる情報より、各スペクトルの帰属を行った。
【0065】
実施例2:ラセミ−1−エチル−2−(エチルアミノメチル)ピロリジン
アミド化工程
500mL4つ口フラスコに2−(アミノメチル)−1−エチルピロリジン 33.68g (0.263mol)、水酸化ナトリウム 12.62g (1.2当量)、蒸留水 35g、クロロホルム 220gを仕込み、氷冷下で激しく攪拌した。その後、反応液を5℃以下に保ちながらアセチルクロライド 22.71g (1.1当量)を1時間かけて滴下し、更に室温下で24時間、激しく攪拌した。
水 20mlを添加してクロロホルム層を分取した後、更に水層をクロロホルム(200ml×2回)で抽出した。合わせたクロロホルム層を飽和食塩水(80ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧除去、乾燥して、薄黄液体としてアセチル化物 44.87g(収率〜100%)を得た。
還元工程
500ml4つ口フラスコに無水THF 90mlを仕込み、氷冷しながらN2雰囲気下でLiAlH4 7.7530g (2.5当量)を添加した。その後、反応液を5℃以下に保ちながら前記アミド13.9220g (0.08177mol)/無水THF 180ml溶液を3時間かけて滴下し、更に環流条件下で16時間反応を行った。
反応液を氷冷し、10℃以下に保ちながら水 39gを添加した後、不溶物をろ別した。エバポレーターによりTHFを減圧除去した後、メタノールを添加して残存している水を減圧除去した。得られた薄黄液体より、減圧蒸留(14mmHg, 79−80℃)による精製を行って、無色液体として目的物 11.5320g(単離収率 90%)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3, ppm) :
δ3.15(1H), 2.85(1H), 2.73(1H), 2.67(2H), 2.54(1H), 2.47(1H), 2.22(1H), 2.13(1H), 1.97−1.88(1H), 1.80−1.69(2H), 1.65−1.56(1H), 1.14−1.08(6H).13C NMR (100MHz, CDCl3, ppm) :
δ64.13, 53.82, 53.78, 49.04, 44.67, 29.42, 22.73, 15.30, 13.96.
MS (EI, 70eV) :
m/z(%rel. int.) 28(3), 43(4), 56(4), 70(16), 82(3), 98(100), 112(0.8), 127(0.3), 156(M, 0.4).
【0066】
実施例3:(S)−1−エチル−2−(ヒドロキシエチルアミノメチル)ピロリジン
アミド化工程
100ml4つ口フラスコにエチル (S)−1−エチル−2−ピロリジンカルボキシレート 8.56g (50mmol)、モノエタノールアミン 6.11g (2当量)、KI 0.83g (0.1当量)、メタノール 30mlを仕込み、50℃で98時間攪拌した。
溶媒を減圧除去した後、残留物をクロロホルム 100mlに出来るだけ溶解させた。不溶分をろ別した後に溶媒を減圧除去し、更に減圧下で乾燥することによって未反応のモノエタノールアミンを除去して、アミド化物 9.15g (収率98%)を黄オイルとして得た。
還元工程
100ml4つ口フラスコにLiAlH4 4.08g (5.0当量)を仕込み、N2雰囲気下で無水THF 35mlを注入した。その後、氷冷下で攪拌しながら前記アミド4.00g (21.5mmol)/無水THF 25ml溶液を10分間で滴下し、更に環流条件下で18時間反応を行った。
反応液を氷冷し、発泡がなくなるまでイオン交換水を少しづつ添加した。不溶物をろ別した後、エバポレーターによりTHFを減圧除去した。得られた淡黄色液体より、減圧蒸留(0.3mmHg, 73−74℃)による精製を行って、目的物 1.98g(収率 54%)を無色オイルとして得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3, ppm) :
δ3.63(2H), 3.15(1H), 2.85(1H), 2.78(2H), 2.72(1H), 2.59(1H), 2.48(1H), 2.22(1H), 2.14(1H), 1.96−1.86(1H), 1.80−1.70(2H), 1.70−1.61(1H), 1.11(3H).
13C NMR (100MHz, CDCl3, ppm) :
δ64.16, 60.54, 53.70, 52.60, 51.55, 49.05, 28.98, 22.79, 13.80.
【0067】
実施例4:ラセミ−1−エチル−2−(ヒドロキシエチルアミノメチル)ピロリジン
アミド化工程
300ml4つ口フラスコにエチル 1−エチル−2−ピロリジンカルボキシレート 33.51g (196mmol)、モノエタノールアミン 23.94g (2当量)、KI 3.25g (0.1当量)、メタノール 120mlを仕込み、50℃で67時間攪拌した。
溶媒を減圧除去した後、残留物をジクロロメタン 200mlに出来るだけ溶解させた。不溶分をろ別した後に溶媒を減圧除去し、更に減圧下で乾燥することによって未反応のモノエタノールアミンを除去して、アミド化物 33.12g (収率91%)をオレンジ色オイルとして得た。
還元工程
300ml4つ口フラスコにLiAlH4 4.08g (4.0当量)を仕込み、N2雰囲気下で無水THF 40mlを注入した。その後、氷冷下で攪拌しながら前記アミド5.00g (26.8mmol)/無水THF 50ml溶液を1時間で滴下し、更に環流条件下で12時間反応を行った。
反応液を氷冷し、発泡がなくなるまでイオン交換水を少しづつ添加した。不溶物をろ別した後、エバポレーターによりTHFを減圧除去した。得られた淡黄色液体より、減圧蒸留(0.2mmHg, 65−72℃)による精製を行って、目的物 3.61g(収率 78%)を無色オイルとして得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3, ppm) :
δ3.63(2H), 3.15(1H), 2.85(1H), 2.78(2H), 2.72(1H), 2.59(1H), 2.48(1H), 2.22(1H), 2.14(1H), 1.96−1.86(1H), 1.80−1.70(2H), 1.70−1.61(1H), 1.11(3H).
13C NMR (100MHz, CDCl3, ppm) :
δ64.16, 60.54, 53.70, 52.60, 51.55, 49.05, 28.98, 22.79, 13.80.
得られた化合物のスペクトルチャートを図2に示す。得られる情報より、各スペクトルの帰属を行った。
【0068】
実施例5:(S)−2−(N,N−ジメチルアミノプロピルアミノメチル)−1−エチルピロリジン
アミド化工程
100ml4つ口フラスコにエチル (S)−1−エチル−2−ピロリジンカルボキシレート 8.56g (50mmol)、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン 10.22g (2当量)、KI 0.83g (0.1当量)、メタノール 30mlを仕込み、50℃で87時間攪拌した。
溶媒を減圧除去した後、水 20mlを添加し水層をジクロロメタン(200ml×3回)で抽出した。合わせたジクロロメタン層をNa2SO4で乾燥した後、溶媒を減圧除去して黄オイルを得た。得られたオイルを減圧蒸留(0.2mmHg, 120℃)により精製してアミド化物 4.69g (収率41%)を透明液体として得た。
還元工程
100ml4つ口フラスコにLiAlH4 3.25g (5.0当量)を仕込み、N2雰囲気下で無水THF 25mlを注入した。その後、氷冷下で攪拌しながら前記アミド3.54g (13.2mmol)/無水THF 25ml溶液を30分間で滴下し、更に環流条件下で38時間反応を行った。
反応液を氷冷し、発泡がなくなるまでイオン交換水を少しづつ添加した。不溶物をろ別した後、エバポレーターによりTHFを減圧除去した。得られた淡黄色オイルをアルミナ・カラム(CHCl3:MeOH=100:1)により精製を行って、目的物 2.24g(収率 62%)を淡黄色液体として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3, ppm) :
δ3.15(1H), 2.85(1H), 2.72(1H), 2.66(2H), 2.53(1H), 2.47(1H), 2.30(2H), 2.22(6H), 2.13(2H), 1.97−1.87(1H), 1.80−1.56(5H), 1.10(3H).
13C NMR (100MHz, CDCl3, ppm) :
δ64.04, 58.00, 53.92, 53.78, 49.00, 48.88, 45.52, 29.35, 28.09, 22.71, 13.94.
【0069】
【発明の効果】
簡便な方法で新規2−アミノメチルピロリジン誘導体が合成できる。また、本発明の2−アミノメチルピロリジン誘導体は染毛剤添加剤として有用であり、これを配合した染毛剤組成物は、優れた脱色力を有し、毛髪の色調を明るく良好な色合いに染め上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた化合物の、それぞれ(A)1H NMRスペクトル、(B)13C NMRスペクトル、(C)H−H COSYスペクトル、および(D)C−H COSYスペクトルのスペクトルチャートである。
【図2】実施例4で得られた化合物の、それぞれ(A)1H NMRスペクトル、(B)13C NMRスペクトル、(C)H−H COSYスペクトル、および(D)C−H COSYスペクトルのスペクトルチャートである。
Claims (6)
- 一般式(1)において、R1及びR2で示される基のうちの少なくとも1つが水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換した炭素数1〜6のアルキル基、又は水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上が置換してもよい炭素数3〜6のシクロアルキル基である請求項1に記載の2−アミノメチルピロリジン誘導体。
- 一般式(1)において、R1がメチル基、エチル基、又はヒドロキシエチル基であり、R2が水酸基及び3級アミノ基から選ばれた1個以上が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル基である、請求項1に記載の2−アミノメチルピロリジン誘導体。
- 下記一般式(2):
- 下記一般式(4):
- アミド基の還元に用いる還元剤がLiAlH4である、請求項4又は5記載の2−アミノメチルピロリジン誘導体の製造方法。
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-
2002
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