JP2004025936A - 電子キーシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】安心して他人にキーを貸し出すことができる電子キーシステムを提供する。
【解決手段】サブキー11には1つのICチップからなるトランスポンダ33が内蔵され、トランスポンダ33は外部からの駆動電波を駆動源として、識別コードを乗せたトランスポンダ信号Sを発信する。イモビECU38はアンテナ8を介してトランスポンダ信号Sを入力し、サブキー11の識別コードとEEPROM42の識別コードとを照合する。そして、イモビECU38は2つの初号コードが一致すれば、サブキー11が使用中であると判断してサブキー11によるエンジン始動の回数に規制をかけ、所定回数のみエンジン始動を許可する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子キーと車両との間の無線通信により車両の所定動作をキー操作無しで実行する電子キーシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両においてドアの解錠・施錠やエンジン始動時の操作性の向上を目的として、無線通信技術を用いてキー操作無しでこれら動作を実行できるスマートキーシステムが種々提案されている。スマートキーシステムにはユーザ(所有者)がエンジンキー(スマートキー)を携帯してドアに近づけばドアロックが解錠され、遠ざかれば施錠されるキーレスエントリ機能や、キーをシリンダに差し込まなくてもイグニッションスイッチを回せばエンジンが始動するイグニッション機能等がある。
【0003】
詳述すると、スマートキーを持ったユーザが近づくと、車両から出力されたリクエスト信号にスマートキーが反応してIDコードを発信する。そして、車両に搭載されたマイコンがこのIDコードを照合し、IDコードが正しければドアロックを解錠する。このとき、エンジンはエンジン始動が許可された状態となり、キーを使わなくてもイグニッションスイッチを回すだけでエンジン始動が可能な状態となる。一方、マイコンはIDコードを受け付けなくなったとき、ユーザが車両から離れたと認識してドアロックを施錠する。
【0004】
また、車両には盗難防止を目的としてイモビライザーシステムを備えた車種もある。イモビライザーシステムとはエンジンキーに内蔵されたトランスポンダ(ICチップ)が発信するIDコードを車両側のマイコンが照合し、IDコードが正しくないときにはエンジンを掛からなくし、IDコードが正しいときにのみエンジン始動が許可されるシステムである。この場合、合鍵や配線直結等の盗難手口により車両を盗もうとしてもエンジンが掛からず、車両の盗難防止に非常に効果がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば駐車場での車庫入れや車両の修理等の場合にエンジンキーを貸し出してしまえば、そのときにIDコードが盗まれる危険性がある。このため、イモビライザーシステムを搭載して盗難防止効果を高めても、車両の所有者或いは非所有者に拘わらずエンジンが掛けられ、車両が盗難されることも考えられる。このため、信頼関係がないと安心してキーの貸し出しができない問題があった。
【0006】
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、安心して他人にキーを貸し出すことができる電子キーシステムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明では、電子キーと車両との間の無線通信により前記車両の所定動作が実行される電子キーシステムにおいて、前記電子キーに搭載され、前記電子キーが持つコードを送信信号として送信する信号出力手段と、前記無線通信を介して前記送信信号を取り込み、前記コードと予め車両側に登録されたコードとが一致したとき、エンジン始動を制限する制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0008】
この発明によれば、電子キーが持つコードが送信信号として信号出力手段により送信される。そして、制御手段は無線通信を介して送信信号を取り込み、送信信号のコードと予め車両側に登録されたコードとを照合し、これらコードが一致すればエンジン始動を制限する。このため、エンジンはエンジン始動が許可された状態を過ぎるとかからなくなる。従って、他人にキーを貸し出す場合であっても、この電子キーを渡せばエンジン始動に制限がかけられるので、エンジンを自由にかけられらなくなって車両の盗難防止効果が高まり、安心して他人にキーを預けられる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記制御手段は前記コードが一致したとき、前記エンジン始動の制限としてエンジン始動を所定回数のみ許可することを要旨とする。
【0010】
この発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、エンジン始動の制限としてエンジン始動が所定回数のみ許可されるので、この電子キーを用いた場合には所定回数のみエンジンがかけられ、その所定回数を越えた後ではエンジンがかからなくなって車両盗難防止効果に寄与する。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記電子キーはマスターキーの代わりとして使用されるサブキーであり、前記信号出力手段は前記サブキーに搭載されていることを要旨とする。
【0012】
この発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、サブキーから送信される送信信号に基づきコード照合が行われ、コードが一致したときにはエンジン始動に制限がかけられる。従って、他人にキーを貸し出す場合であっても、サブキーを渡せばエンジン始動に制限がかけられるので、安心して他人にキーを預けられる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、前記マスターキーに搭載され、前記マスターキーが持つコードを第2の送信信号として送信する第2の信号出力手段を備え、前記制御手段は前記第2の送信信号の前記コードと、予め車両側の登録されたコードとが一致したときに、エンジン始動を制限した状態から初期状態に復帰させることを要旨とする。
【0014】
この発明によれば、請求項3に記載の発明の作用に加え、マスターキーに内蔵された第2の信号出力手段は第2の送信信号を出力する。そして、制御手段は第2の送信信号を受け取ってそのコードと予め車両側に登録されたコードとを照合し、これらコードが一致すればエンジン始動を制限した状態から初期状態に復帰させる。従って、エンジンがかからない状態からエンジンが自由に始動可能な状態に復帰するので、マスターキーを使用してエンジン始動を行えば元通りに何度もエンジンがかけられる。また、サブキーによるエンジン始動の制限を再び利用することも可能になり、初期状態に復帰させることで何度でもサブキーによるエンジン始動の規制を行える。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した電子キーシステムの一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
【0016】
図2は、電子キーシステム1の全体構成を示す模式図である。電子キーシステム1はワイヤレスによりキー操作を行うシステムであって、自由に持ち運び可能なキー2と、車両3に搭載されたコントローラ4とからなる。キー2とコントローラ4とは無線通信が可能であり、コントローラ4は車両3に搭載された各アンテナ5〜8を介してキー2と各種信号(電波)のやり取りをしている。
【0017】
これらアンテナ5〜8には左右のドア9に設置されたコイルアンテナ5、運転席に設置されたコイルアンテナ6、受信用のアンテナ7、イモビライザー用のコイルアンテナ8がある。また、アンテナ5は領域E1内、アンテナ6は領域E2内、アンテナ8は領域E3内でキー2と無線通信可能となっている。アンテナ5〜8とコントローラ4とはそれぞれ信号線(通信ケーブル)で接続されている。
【0018】
図3は、キー2を示す斜視図である。キー2にはマスターキー(スマートキー)10と電子キーとしてのサブキー(イグニッションキー)11がある。マスターキー10は車両3の所有者(運転者)が常に携帯するキーであり、サブキー11は他人に貸し出せるキーである。また、これらキー10,11は所定の鍵溝が形成されたキープレート12,13を有し、キープレート12,13をドアロック用シリンダやエンジン始動用シリンダ(ともに図示省略)に差し込んで回すことによりドアロックの解錠・施錠やエンジン始動が機械的に行える。
【0019】
図1は、電子キーシステム1の電気的な構成図である。電子キーシステム1はスマートキーシステム14を備えている。この電子キーシステム1は所有者がマスターキー10を携帯して車両3のドアに近づけばドアロックが自動で開錠され、遠ざかれば自動で施錠されるパッシブドアエントリ機能を有している。また、電子キーシステム1はマスターキー10をエンジン始動用シリンダに差し込まなくてもイグニッションノブ(図示省略)を回せばエンジンが始動するイグニッション機能も有している。
【0020】
以下に詳述すると、マスターキー10にはマイコン15、受信回路16及び送信回路17が内蔵され、受信回路16及び送信回路17はマイコン15に接続されている。受信回路16は車両3から出力されるリクエスト信号(電波)をアンテナ18を介して受信し、その信号をマイコン15に出力する。マイコン15はリクエスト信号を入力すると、予め設定されたIDコードに応じたIDコード信号を出力する。送信回路17はIDコード信号を所定の周波数の電波に変調し、アンテナ19を介して外部に送信する。
【0021】
一方、コントローラ4にはスマートECU20、送信回路21及び受信回路22が搭載されている。送信回路21はスマートECU20から出力されるリクエスト信号を所定の周波数の電波に変換し、そのリクエスト信号をアンテナ5又はアンテナ6を介して外部に送信する。また、受信回路22はマスターキー10から発信されるIDコード信号(電波)をアンテナ7を介して受信し、IDコード信号をパルス信号に変調してスマートECU20に出力する。
【0022】
スマートECU20はCPU、ROM、RAM(全て図示省略)等から構成され、送信回路21に対してリクエスト信号を所定間隔で間欠的に出力する。また、スマートECU20はコントローラ4と組みとなったマスターキー10のIDコードを予め記憶しており、マスターキー10からIDコード信号を受け取ったとき、受信したIDコードと記憶したIDコードとのコード照合を実行する。さらに、スマートECU20はIDコード信号に基づき、車両3に搭載されたドアロック駆動装置23、ステアリングロック駆動装置24、エンジン制御装置25を動作させる。
【0023】
車両3には送信回路21のアンテナ切換えを行う信号切換スイッチ26が搭載され、信号切換スイッチ26はスマートECU20に接続されている。信号切換スイッチ26は運転者が車両3に乗り込む前の状態のときにオフ信号を、運転者がドア9を開けて車両3に乗り込みドア9が閉じられたときにオン信号をスマートECU20に出力する。そして、スマートECU20は信号切換スイッチ26からオフ信号を入力したときにはアンテナ5からリクエスト信号を発信させ、信号切換スイッチ26からオン信号を入力したときにはアンテナ6からリクエスト信号を発信させる。
【0024】
ここで、電子キーシステム1は以下のように動作する。まず、ドア9が施錠されている状態では信号切換スイッチ26からオフ信号が出力される。そして、スマートECU20はこのオフ信号に基づきアンテナ5からリクエスト信号を間欠的に発信させる。マスターキー10を所有した運転者が領域E1(図2参照)内に入ると、マスターキー10はアンテナ18によりリクエスト信号を受信し、マイコン15が作動してアンテナ19からIDコード信号を発信する。即ち、マスターキー10はスタンバイモードで待機し、リクエスト信号を受信したときのみIDコードを自動で送り返す。
【0025】
すると、スマートECU20はアンテナ7及び受信回路22を介してIDコード信号を入力し、このIDコードと予め記憶したIDコードとを照合する。そして、スマートECU20は2つのIDコードが一致し、かつ信号切換スイッチ26からオフ信号を入力していれば、ドアロック駆動装置23を作動してドアロックを解錠する。一方、スマートECU20は2つのIDコードが一致しなければドアロックを施錠したままにする。従って、運転者はこのスマートエントリ機能によってキー操作無しでドアロックの解錠が自動で行える。
【0026】
続いて、運転者が運転席に乗り込みドア9が閉じられると、信号切換スイッチ26はオン信号を出力し、スマートECU20はこのオン信号に基づきアンテナ5に代えてアンテナ6からリクエスト信号を間欠的に発信させる。そして、マスターキー10が領域E2(図2参照)内に入るとアンテナ18からのリクエスト信号を受信し、マイコン15が作動してアンテナ19からIDコード信号を発信する。そして、スマートECU20はアンテナ7及び受信回路22を介してIDコード信号を入力し、このIDコードと予め記憶したIDコードとを照合する。
【0027】
このとき、スマートECU20は2つのIDコードが一致し、かつ信号切換スイッチ26からオン信号を入力していればエンジン始動を許可する。即ち、スマートECU20はステアリングロック駆動装置24を駆動してステアリングロック(図示省略)を解錠し、イグニッションオン状態にしてエンジン制御装置25にエンジン始動許可信号を出力する。そして、エンジン制御装置25はエンジン始動許可信号に基づき、イグニッションノブが回されたときにエンジン点火及び燃料噴射を行ってエンジンを始動させる。このため、マスターキー10を所有した運転者はキーを機械操作することなく、このイグニッション機能によりイグニッションノブ(図示省略)を回すだけでエンジン始動が行える。
【0028】
一方、スマートECU20は信号切換スイッチ26からオン信号を入力していても、2つのIDコードが一致していなければ、イモビライザー機能を作動してエンジン始動を許可しない。即ち、スマートECU20はエンジン制御装置25にエンジン始動許可信号を出力せず、エンジン制御装置25はイグニッションノブが回されてもエンジン点火及び燃料噴射を行わずエンジンを始動させない。このため、マスターキー10のIDコードとスマートECU20のIDコードとが一致しなければイグニッション機能が作動しないため、マスターキー10を所有しない第3者によって勝手にエンジンがかけられずに済む。
【0029】
ところで、マスターキー10のマイコン15は電池(図示省略)によって作動しており、マスターキー10は電池が切れるとリクエスト信号を受信してもIDコード信号を発信できなくなる。この場合、マスターキー10のIDコードとスマートECU20のIDコードとの照合ができなくなり、エンジン始動が行えなくなってしまう。本例ではこれに対応するために、電子キーシステム1はマスターキー10に内蔵したトランスポンダ27を用いたイモビライザーシステム28を備えている。
【0030】
以下に詳述すると、マスターキー10には1つのICチップからなる第2の信号出力手段としてのトランスポンダ27が内蔵されている。トランスポンダ27はコイルアンテナ29、電力回路30及びトランスポンダ制御回路31を備え、アンテナ29が電力回路30に、電力回路30がトランスポンダ制御回路31に接続されている。アンテナ29は領域E3(図2参照)内において車両3からの駆動電波(電磁界)を受信し、電力回路30はその駆動電波に基づき電力を生成してトランスポンダ制御回路31に電力を供給する。
【0031】
トランスポンダ制御回路31にはメモリ32が内蔵され、メモリ32にはトランスポンダ用のIDコードとしてトランスポンダコード(本例では識別コードA(例えば8又は16ビット))が記憶されている。そして、トランスポンダ制御回路31は電力回路30からの電力を電源として識別コードAに応じたトランスポンダ信号Sを生成し、そのトランスポンダ信号Sを変調して所定の周波数の電波に変換する。そして、トランスポンダ制御回路31はアンテナ29を介してトランスポンダ信号(電波)Sを外部に発信させる。
【0032】
また、サブキー11にも1つのICチップからなる信号出力手段としてのトランスポンダ33が内蔵され、このトランスポンダ33はコイルアンテナ34、電力回路35及びトランスポンダ制御回路36を備えている。アンテナ34は領域E3内において車両3からの駆動電波(電磁界)を受信し、電力回路35はその駆動電波に基づき電力を生成してトランスポンダ制御回路36に電力を供給する。トランスポンダ制御回路36にはメモリ37が内蔵され、メモリ37にはマスターキー10の識別コードAとは異なるコード値のトランスポンダコード(本例では識別コードB)が記憶されている。
【0033】
そして、トランスポンダ制御回路36は電力回路35からの電力を電源として識別コードBに応じたトランスポンダ信号Sを生成し、そのトランスポンダ信号Sを変調して所定の周波数の電波に変換する。そして、トランスポンダ制御回路36はアンテナ34を介してトランスポンダ信号(電波)Sを外部に発信させる。なお、トランスポンダ信号Sが送信信号、トランスポンダ信号Sが第2の送信信号に相当する。
【0034】
一方、コントローラ4には制御手段としてのイモビECU38、トランスポンダ送受信回路39及び増幅回路40が搭載されている。トランスポンダ送受信回路39はイモビECU38から出力される制御信号に基づきアンテナ8に電磁界を発生させ、アンテナ8は電磁界の発生に伴い駆動電波を外部に発信する。また、トランスポンダ送受信回路39はマスターキー10やサブキー11から発信されるトランスポンダ信号S,Sをアンテナ8を介して受信し、トランスポンダ信号S,Sをパルス信号に復調するとともに増幅回路40により増幅してイモビECU38に出力する。
【0035】
イモビECU38はトランスポンダ送受信回路39に対して制御信号を間欠的に出力し、アンテナ8から駆動電波を間欠的に発信させる。また、イモビECU38はCPU、ROM(ともに図示省略)、RAM41、EEPROM42を内蔵し、EEPROM42には識別コードA,Bが記憶されている。即ち、図4に示すようにEEPROM42の00番地には識別コードAが、01番地には識別コードBが書き込まれている。なお、EEPROM42には空き番地があり、ここに新たに識別コードが登録されてもよい。
【0036】
また、イモビECU38は外部からアンテナ8を介してトランスポンダ信号を受信したとき、受信したトランスポンダ信号の識別コードとEEPROM42の識別コードA(又は識別コードB)とを照合する。そして、イモビECU38は2つの識別コードが不一致のとき、エンジン始動許可信号をエンジン制御装置25に出力しない。一方、イモビECU38は2つの識別コードが一致したとき、暗号化したエンジン始動許可信号をエンジン制御装置25に出力してエンジン制御装置25を動作させる。
【0037】
ここで、マスターキー10の電池が切れた場合、マスターキー10によるイモビライザーシステム28は以下のように動作する。まず、車外にいる運転者はマスターキー10のキープレート12をドアロック用シリンダに差し込んで、機械操作によりドアロックを解錠する。そして、運転者が運転席に乗り込み、マスターキー10が領域E3(図2参照)内に入るとトランスポンダ27はアンテナ29により駆動電波を受信し、トランスポンダ制御回路31を作動させてアンテナ29からトランスポンダ信号Sを自動で発信する。
【0038】
すると、イモビECU38はアンテナ8、トランスポンダ送受信回路39及び増幅回路40を介してトランスポンダ信号Sを入力し、この識別コードとEEPROM42内の識別コードとを照合する。イモビECU38は2つの識別コードが不一致であればエンジン始動を許可せず、エンジン始動許可信号をエンジン制御装置25に出力しない。このため、エンジン制御装置25はエンジン始動許可信号の不入力により、キーが操作されてもエンジン点火や燃料噴射を強制的にカットしてエンジンを始動させない。従って、合鍵や配線直結に対応した盗難防止効果が非常に高いものとなる。
【0039】
一方、イモビECU38は2つの識別コードが識別コードA同士で一致すればエンジン始動を許可し、エンジン始動許可信号をエンジン制御装置25に出力する。そして、エンジン制御装置25はエンジン始動許可信号に基づきエンジン始動が許可された状態となり、キー操作がなされればその度にエンジン点火を行ってエンジンを始動させる。このため、マスターキー10を用いた場合には、マスターキー10から出力されるIDコードや識別コードが車両3側と一致すればエンジンが何度でもかけられる。なお、ステアリングロック駆動装置24はハンドル横のエンジン始動用シリンダにマスターキー10を挿し込んだ際に、マスターキー10の鍵溝がシリンダ側と一致したときに解錠される。
【0040】
次に、イモビライザーシステム28はサブキー11を用いた場合、以下のように動作する。マスターキー10の場合と同様に、サブキー11を所有した運転者が領域E3(図2参照)内に入るとトランスポンダ33はアンテナ34により駆動電波を受信し、トランスポンダ制御回路36を作動させてアンテナ34からトランスポンダ信号Sを発信する。すると、イモビECU38はアンテナ8、トランスポンダ送受信回路39及び増幅回路40を介してトランスポンダ信号Sを入力し、この識別コードとEEPROM42内の識別コードとを照合する。
【0041】
そして、イモビECU38は2つの識別コードが識別コードB同士で一致すれば、サブキー11が使用中であると判断してサブキー11によるエンジン始動の回数に制限をかけ、所定回数(本例では1回)のみエンジン始動を許可する。このため、イモビECU38はイグニッションノブの操作が1回目であれば、エンジン始動許可信号をエンジン制御装置25に出力する。そして、エンジン制御装置25は1回目のイグニッションノブやキー操作のときにのみ、エンジン点火を行ってエンジンを始動させる。このとき、ステアリングロック駆動装置24はハンドル横のエンジン始動用シリンダに挿し込んだサブキー11を回すことにより手動で解錠される。
【0042】
1回目のエンジン始動の後にエンジンが停止されると、イモビECU38はRAM41に禁止フラグを立てて、これ以降をエンジン始動不可能状態としてエンジン始動インターロックのままとする。このため、イモビECU38はエンジンが1回始動されて停止した後、サブキー11を用いて再びエンジンをかけようとしても禁止フラグにより始動を許可せず、エンジン制御装置25にエンジン始動許可信号を出力しない。そして、エンジン制御装置25はエンジンを1回始動して停止した後、イグニッションノブやキーが何度操作されてもエンジン点火や燃料噴射を強制的にカットしてエンジンを始動させない。
【0043】
ところで、駐車場の車庫入れや車両3の修理のとき等に他人にキーを貸し出す場合、マスターキー10を預けるとマスターキー10のIDコード(識別コード)が盗まれることも考えられ、車両3がイモビライザー機能を有していても車両盗難の危険性が増してしまう。しかし、本例ではサブキー11を受け取った人は1回のみしかエンジンを始動できず、何度もエンジンをかけられない。このため、サブキー11を渡せばエンジン始動回数(本例では1回)に制限がかけらるので、車両盗難の危険性が低くなり、車両3を他人に運転させる場合に安心して他人にキーを預けられる。
【0044】
また、イモビECU38はエンジン始動不可能状態にあるときに、マスターキー10のトランスポンダ信号Sをアンテナ8を介して受信して識別コードAを入力すれば、RAM41の禁止フラグを下げてエンジン始動不可能状態を解除して初期状態に復帰する。このため、これ以降ではエンジン始動インターロックが解除可能となり、マスターキー10を用いて識別コードがA同士で一致していれば何度でもエンジンがかけられる。一方、再びサブキー11を用いてエンジンをかける場合には、エンジン始動回数に制限がかけられてサブキー11によるエンジンの連続エントリーが防止される。
【0045】
EEPROM42内のサブキー11用の識別コードは、車両の所有者(運転者)が自分で登録するようにしてもよい。まず、車両3内のモニタ(図示省略)に識別コード設定用の画面を表示させ、その状態でアンテナ8に新たなサブキー11を近づける。すると、識別コード設定用の画面に設定待機状態の旨が表示され、モニタ上の実行ボタンを選択するとその識別コードがEEPROM42に登録される。このため、新たなサブキー11の識別コードをエンジン始動を規制するキーの識別コードとして登録すれば、新たなサブキー11によりエンジン始動の制限が行える。
【0046】
従って、この実施の形態では以下のような効果を得ることができる。
(1)アンテナ8を介してサブキー11のトランスポンダ信号Sを入力したとき、コントローラ4のイモビECU38はエンジン始動を所定回数(本例では1回)のみ許可する。このため、サブキー11を用いてエンジンを始動してその後に停止し、その状態から再びエンジンをかけようとしても、エンジン始動の回数が2回目以上であれば、サブキー11でエンジン始動を行う限りエンジンがかけられない。従って、他人にキーを貸し出す場合であっても、このサブキー11を渡せばエンジン始動に制限がかけられるので、エンジンを自由にかけられずに車両の盗難防止効果が高まって、安心して他人にキーを預けることができる。
【0047】
(2)エンジン始動に規制をかける識別コードはサブキー11のトランスポンダ33から発信されるので、他人にキーを預ける場合にはサブキー11を渡せば他人にエンジンを勝手に何度もかけられずに済む。
【0048】
(3)エンジン始動不可能状態のときに、イモビECU38がマスターキー10からトランスポンダ信号Sを入力して識別コードA同士で一致すれば、エンジン始動不可状態を解除してエンジン始動インターロックが解除可能な初期状態に復帰する。従って、マスターキー10を用いてエンジン始動不可能状態をリセットすれば、その後にサブキー11によるエンジン始動回数の制限を再び利用することができ、何度でもサブキー11によるエンジン始動回数の規制を行うことができる。
【0049】
(4)サブキー11によるエンジン始動を本例のように1回のみ許可すれば、車両3の所有者はサブキー11を他人に貸し出したとき、他人に対して1回のみエンジンをかけさせることができる。
【0050】
なお、実施形態は前記に限定されず、以下の態様に変更してもよい。
・ サブキー11を用いたときのエンジン始動の制限はエンジン始動の回数に限らず、例えば所定の期間(時間)でもよい。例えば、イモビECU38はトランスポンダ信号Sを入力して識別コードがB同士で一致したとき、内蔵したタイマ(図示省略)により時間を計測して、エンジン始動を例えば数分、数時間、半日、1日間、数日間許可してもよい。この場合、設定された期間の間のみエンジン始動を許可できる。
【0051】
・ サブキー11を用いたエンジン始動の制限を所定の期間(時間)のみ許可する場合、その期間の計測開始は識別コードの一致を開始点とすることに限定されない。例えば、マスターキー10によりかけられたエンジンが停止したときや、サブキー11によりエンジンがかけられたときを開始点とし、その計測範囲内のみサブキー11によるエンジン始動を許可してもよい。
【0052】
・ エンジン始動の制限は回数と期間とを組み合わせてもよい。例えば、マスターキー10によるエンジン停止から所定期間の間で、1回のみエンジン始動を許可するようにしてもよい。
【0053】
・ エンジン始動の規制をエンジン始動回数で制限する場合、その回数は1回に限定されず、例えば2回、3回、10回など、仕様に応じて適宜変更してもよい。
【0054】
・ サブキー11から識別コードBを発信させる方法は、トランスポンダ33を用いた方法に限定されない。例えば、マスターキー10に搭載されたマイコン15、受信回路16、送信回路17からなる回路と同様のものを採用し、送信回路17からのIDコード信号に識別コードを乗せて発信してもよい。
【0055】
・ サブキー11によりエンジン始動に制限がかけられたエンジン始動不可能状態は、マスターキー10からのトランスポンダ信号Sに反応して、その識別コードがA同士で一致したときに実行されることに限定されない。例えば、マスターキー10からのIDコード信号に反応して、スマートECU20がIDコードが一致したと判断したときに、エンジン始動不可能状態を解除してエンジン始動インターロックを解除可能としてもよい。
【0056】
・ マスターキー10は必ずしもトランスポンダ27を内蔵している必要はなく、トランスポンダ27を省略してもよい。また、マスターキー10のマイコン15、受信回路16及び送信回路17を省略して、電子キーシステム1からスマートキーシステム14をなくしてもよい。
【0057】
・ マスターキー10は所有者が1つのみ所有することに限らず、複数存在してもよい。この場合、イモビECU38のEEPROM42には各マスターキー10に応じた識別コードが書き込まれる。また、サブキー11も所有者が1つのみ所有することに限らず複数存在してもよい。この場合も、イモビECU38のEEPROM42には各サブキー11に応じた識別コードが書き込まれる。
【0058】
・ イモビECU38のEEPROM42に書き込まれた識別コードは、自由に変更してもよい。即ち、識別コードを新たに書き込んだり、上書きしたりして設定変更してもよい。この場合、ユーザが自分で登録する場合や、車両整備者(例えばディーラー)が登録装置を用いて登録する場合などがある。
【0059】
前記実施形態及び別例から把握できる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(1)請求項1〜4において、前記制御手段は前記コードが一致したとき、前記エンジン始動の制限としてエンジン始動を所定期間のみ許可する。
【0060】
(2)請求項1〜4において、前記制御手段は前記コードが一致したときに、予め設定された所定範囲の間であれば前記エンジン始動を制限する。
(3)前記技術的思想(2)において、前記所定範囲はマスターキーによるエンジン停止時を開始点としている。
【0061】
(4)前記技術的思想(2)において、前記所定範囲はサブキーによるエンジン始動時を開始点としている。
(5)請求項1〜4において、前記制御手段は前記エンジン始動後に停止させたときに、その後の許可された範囲を超えていれば前記エンジン始動を許可しない。
【0062】
(6)請求項1〜4において、前記信号出力手段は外部からの電磁界に応答して前記電磁界によって起電力を誘起し、前記起電力を電源に前記送信信号としてトランスポンダ信号を出力し、前記制御手段は前記トランスポンダ信号のコードと、予め登録された前記コードとを照合する。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、送信信号のコードと予め車両側に登録されたコードとが一致したときにエンジン始動が制限されるので、エンジンはエンジン始動が許可された状態を過ぎるとかからなくなり、安心して他人にキーを貸し出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態における電子キーシステムの電気的な構成図。
【図2】電子キーシステムの全体構成を示す模式図。
【図3】電子キーを示す斜視図。
【図4】EEPROMのメモリ構造。
【符号の説明】
1…電子キーシステム、3…車両、10…マスターキー、11…電子キーとしてのサブキー、27…第2の信号出力手段としてのトランスポンダ、33…信号出力手段としてのトランスポンダ、38…制御手段としてのイモビECU、S…第2の送信信号としてのトランスポンダ信号、S…送信信号としてのトランスポンダ信号。

Claims (4)

  1. 電子キーと車両との間の無線通信により前記車両の所定動作が実行される電子キーシステムにおいて、
    前記電子キーに搭載され、前記電子キーが持つコードを送信信号として送信する信号出力手段と、
    前記無線通信を介して前記送信信号を取り込み、前記コードと予め車両側に登録されたコードとが一致したとき、エンジン始動を制限する制御手段と
    を備えたことを特徴とする電子キーシステム。
  2. 前記制御手段は前記コードが一致したとき、前記エンジン始動の制限としてエンジン始動を所定回数のみ許可することを特徴とする請求項1に記載の電子キーシステム。
  3. 前記電子キーはマスターキーの代わりとして使用されるサブキーであり、前記信号出力手段は前記サブキーに搭載されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子キーシステム。
  4. 前記マスターキーに搭載され、前記マスターキーが持つコードを第2の送信信号として送信する第2の信号出力手段を備え、
    前記制御手段は前記第2の送信信号の前記コードと、予め車両側の登録されたコードとが一致したときに、エンジン始動を制限した状態から初期状態に復帰させることを特徴とする請求項3に記載の電子キーシステム。
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