JP2004025881A - 感熱色素昇華印刷物用保護薄層 - Google Patents
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Abstract
【課題】スカム形成に耐性を示す、熱膨張性微小球を含有する感熱色素昇華供与体要素用の保護薄層を提供すること。
【解決手段】バインダーおよび分散されている微小球を含み、該微小球の表面の無機微粒子が1.8質量%未満になるように除去されている感熱色素昇華印刷物用保護薄膜。
【選択図】 なし
【解決手段】バインダーおよび分散されている微小球を含み、該微小球の表面の無機微粒子が1.8質量%未満になるように除去されている感熱色素昇華印刷物用保護薄膜。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バインダー、および表面に1.8質量%未満の無機微粒子を有する分散された熱膨張性微小球を含有する、感熱色素昇華印刷物用保護薄層に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カラービデオカメラから電子的に生成された写真から印刷物を得るために熱転写システムが開発されている。このような印刷物を得る一つの方法によれば、最初に電子写真を色フィルターによって色分解する。それぞれの色分解された画像を、それから、電気信号に変換する。それから、これらの信号を操作して、シアン、マゼンタおよびイエロー信号を生成する。それから、これらの信号をサーマルプリンターに伝送する。印刷物を得るために、シアン、マゼンタまたはイエロー色素供与体要素を、色素受容体要素と面と面を向き合わせて置く。それから、その二つをサーマルプリントヘッドと圧盤ローラーの間に挿入する。線型サーマルプリントヘッドを用いて、色素供与体シートの背面から加熱する。サーマルプリントヘッドはたくさんの加熱要素を持っており、シアン、マゼンタおよびイエロー信号の一つに応答して連続的に昇温する。その方法を、それから、他の二色のために繰り返す。スクリーン上に見られた原写真に対応するカラーハードコピーをこのようにして得る。この方法およびそれを遂行するための装置についての更なる詳細が米国特許第4,261,271号明細書に含まれており(特許文献1)、引用することによって、その開示を本明細書の内容とする。
【0003】
感熱印刷物は、隣接表面への色素の再転写および指紋による変色に影響されやすい。これは、色素が印刷物の色素受容体層の表面に存在するためである。これらの色素を、熱ローラーまたはサーマルヘッドによって印刷物を熱融解することにより、更に色素受容体層の中へ運ぶことができる。これは、色素の再転写および指紋感受性の減少の助けになるであろうが、これらの問題を除去することはない。しかし、保護オーバーコートの適用はこれらの問題を実質的に除去するであろう。色素が転写された後、同じような方法で加熱することによって、この保護オーバーコートを受容体要素に適用する。保護オーバーコートは光退色および指紋からの油に対する画像の安定性を改良するであろう。
【0004】
感熱色素転写印刷プロセスでは、画像の質に関して、仕上がった印刷物がカラー写真プリントと好ましくは同等であることが望ましい。最終印刷物の外観はまさに表面の質感と光沢による。一般的に、カラー写真プリントは、非常に滑らかな高光沢から粗い低光沢な艶消しまでの表面仕上げ範囲で入手可能である。
【0005】
艶消し仕上げがサーマルプリントで望まれる場合、これまでは、艶消しスプレイを使用するかまたは後印刷プロセッサーによる艶消し表面適用によって達成さている。けれども、これら両解決法は高価であり、プロセスの複雑さを増す。
【0006】
米国特許第6,346,502号明細書および特開平09−323482号公報は色素供与体要素の転写可能な保護層領域中での膨張性の微小球の使用に関する(特許文献2および3)。けれども、これらの微小球が、色素供与体媒体の製造中に、材料の蓄積、即ち、グラビアシリンダーの彫り込まれていない領域のスカム形成を引き起こすという問題がある。
【0007】
色素供与体の転写可能な保護層は、12℃と49℃(55°Fと120°F)、好ましくは18℃と38℃(65°Fと100°F)の間の温度でグラビア塗布法によって製造される。塗布溶液または溶融物を溶媒可溶性ポリマーおよび熱膨張性微小球から調製し、液状でグラビアシリンダーのエッチングから色素供与体支持体に転写する。シリンダーの彫り込まれていない領域は、色素供与体支持体への液体の不要な転写を避けるように、液状の塗布溶融物のいかなる蓄積も無いようにしなければならない。このような転写は、色素の連続的なパッチを塗布する場合に、色素供与体支持体を好ましくない汚染に導く。
【0008】
製造中の油相小滴の合体および貯蔵中の乾燥微小球体の集塊を防ぐために、製造中、コロイド状シリカを膨張性微小球の表面に添加する。微小球の表面上のコロイド状シリカが塗布溶融物中のポリマーと相互作用し、グラビアシリンダー上にスカム形成を生じると考えられる。上述したような供与体ウェブへの液状塗布溶融物の不要な転写の故に、塗工機がついには止められて、スカムで覆われたシリンダーがきれいなシリンダーに置き換えられなければならない点まで、スカムは時間とともに蓄積する。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第4,621,271号明細書
【特許文献2】
米国特許第6,346,502号明細書
【特許文献3】
特開平09−323482号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
スカム形成に改良された耐性を示す、熱膨張性微小球を含有する感熱色素昇華供与体要素用の保護薄層を提供することが、解決するべき課題である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、バインダーおよび分散されている熱膨張性微小球を含み、該微小球の表面の無機微粒子が1.8質量%未満である感熱色素昇華印刷物用保護薄層を提供する。本発明は、また、微粒子を1.0または0.5%まで除去するためのプロセスを提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
この明細書で用いられる限り、「スカムタイム」とは、最初の好ましくないスカムが観察されるまでの時間である。より高く/より長い値がより優れている。3時間よりも大きな値、好ましくは5.5時間よりも大きな値が達成できる。
【0013】
本発明は上記に要約される。薄層は、無機微粒子、ポリマーバインダーおよび膨張されてない合成熱可塑性ポリマー微小球を含有し、微小球は5〜20μmの非膨張条件下の粒子サイズを有し、熱膨張性微小球体の表面から化学処理によってシリカが除去されている。シリカが除去された微小球は、グラビアシリンダーのスカムまたはヘイズ問題を引き起こさせず、除去されてない微小球に比較して光沢のレベルを有利に低下させる。
【0014】
本発明の使用によって、色素供与体要素が有する転写可能な保護層は、画像に低い光沢または艶消しの表面を与えることが可能で、シリンダースカムによる非稼動時間における重要な改良を伴って該保護層を塗布することができる。
【0015】
本発明の好ましい態様では、表面のシリカが除去された熱膨張性微小球を含有する塗布溶融物を使用して、熱転写可能な被覆保護層を作り、その熱転写可能な被覆保護層はコーティングシリンダーのスカムによる非稼働時間における著しい改良を伴って塗布されたパッチとなることができる。
【0016】
本発明の他の好ましい態様では、色素供与体要素は多色の要素であり、4つ又はそれ以上の繰り返しユニットを具備しており、1つの領域は熱転写可能な層を含む。
【0017】
本発明の別の好ましい態様では、色素供与体要素は単色の要素であって、2つの領域の繰り返しユニットを有しており、第一の領域は1つの画像色素がバインダー中に分散された層を有し、第二の領域は保護層を有している。
【0018】
本発明の更に別の好ましい態様では、色素供与体要素は黒白の要素であって、2つの領域の繰り返しユニットを有しており、第一の領域は無彩色を生成するために画像色素の混合物がバインダー中に分散された層を有し、第二の領域は保護層を有している。
【0019】
本発明の好ましい態様では、膨張性微小球は、膨張剤として作用する低沸点で気化可能な物質、例えば液体をカプセル内に入れた熱可塑性の殻からなる無色の球形の中空粒子である。未膨張の微小球が熱せられると、熱可塑性殻は軟らかくなり、カプセル封入された膨張剤は膨張して圧力を高める。この結果、微小球は膨張する。
【0020】
本発明で用いられる膨張性微小球は、例えば塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、メタアクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体または塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体のような熱可塑性樹脂の微小カプセル内にイソペンタン、イソブタンまたは他の如何なる低沸点で気化可能な物質を封入することによって形成することができる。好ましい未膨張サイズは、等価円直径(ECD)が5〜20μm、典型的には6.9μmである。これらの微小球は、エクスパンセル微小球(Expancel(商標) Microspheres)461−20−DU(加重平均粒子径は6〜9μm)[エクスパンセル社(Expancel Inc)]、エクスパンセル微小球(Expancel(商標) Microspheres)461−DU(加重平均粒子径は9〜15μm)[エクスパンセル社(Expancel Inc)]、およびエクスパンセル微小球(Expancel(商標) Microspheres)091−DU(加重平均粒子径は10〜16μm)[エクスパンセル社(Expancel Inc)]として商業的に利用可能である。膨張した時のECDは、10〜120μmの範囲で、5〜25μmの範囲でまたは10〜20μmの範囲で変動できる。
【0021】
本発明は、サーマルヘッドを使用して均一に熱を与えることによって感熱印刷物の上に保護オーバーコート層を設ける。感熱印刷物への転写後、保護層は、光、例えば指紋からの脂肪や油のような通常の化学薬品、およびポリ塩化ビニルから作られたフィルムアルバムのページまたはスリーブからの可塑剤に曝されることによる画像劣化に対して優れた保護を与える。保護層は、一般に、1μmよりも薄い乾燥された層を得るために、少なくとも0.03g/m2〜1.5g/m2の被覆量で適用される。
【0022】
上記したように、転写可能な保護層は、ポリマーバインダー中に分散された微小球を含有する。多くのこのようなポリマーバインダーが、保護層中での使用について既に発表されている。このようなバインダーの具体例は、米国特許第5,332,713号明細書に開示された物質を包含する。引用することによって、この米国特許の開示を本明細書の内容とする。本発明の好ましい態様においては、ポリビニルアセタールを用いる。
【0023】
無機微粒子が本発明の保護層中に存在する。例えば、米国特許第5,387,573号明細書に開示されているようなシリカ、チタニア、アルミナ、酸化アンチモン、粘土類、炭酸カルシウム、タルク等を使用することができる。本発明の好ましい態様では、無機微粒子はシリカである。無機微粒子は、印刷物において非積層部分からの保護層の積層されている部分の分離を改良する。
【0024】
本発明の好ましい態様では、保護層は、無機微粒子を5〜60質量%(微小球上ではない)、ポリマーバインダーを25〜60質量%および未膨張の合成熱可塑性ポリマー微小球を5〜60質量%含有する。
【0025】
使用中、イエロー、マゼンタおよびシアン色素が色素供与体要素から熱転写されて、色素受容シート上に画像を形成する。そして、サーマルヘッドを用いて均一に熱を与えることによって、色素供与体要素上の他の透明なパッチまたは別の供与体要素から画像形成された受容シート上に、透明保護層を転写する。透明保護層は印刷物に粘着し、熱が与えられた領域で供与体支持体から剥離する。
【0026】
熱の作用によって色素受容層に転写可能であれば、如何なる色素でも本発明の色素供与体要素の色素層に使用することができる。特に良い結果が昇華性の色素よって得られる。昇華性の色素の具体例は、例えばスミカロン・バイオレットRS(Sumikaron Violet RS(商標))(住友化学)、ダイアニクス・ファースト・バイオレット3RFS(Dianix Fast Violet 3R FS(商標))(三菱化学工業)、カヤロン・ポリオール・ブリリアント・ブルーNBGM(Kayalon Polyol Brilliant Blue NBGM(商標))(日本化薬)およびKSTブラック146(KST Black 146(商標))(日本化薬)のようなアントラキノン色素類;例えばカヤロン・ポリオール・ブリリアント・ブルーBM(Kayalon Polyol Brilliant Blue BM(商標))、カヤロン・ポリオール・ダーク・ブルー2BM(Kayalon Polyol Dark Blue 2BM(商標))およびKSTブラックKR(KST Black KR(商標))(日本化薬)、スミカロン・ジアゾ・ブラック5G(Sumikaron Diazo Black 5G(商標))(住友化学)、およびミクタゾル・ブラック5GH(Miktazol Black 5GH(商標))(三井東圧化学)のようなアゾ色素;例えばダイレクト・ダーク・グリーンB(Direct Dark Green B(商標))(三菱化学工業)、およびダイレクト・ブラウンM(Direct Brown M(商標))およびダイレクト・ファースト・ブラックD(Direct Fast Black D(商標))(日本化薬)のような直接色素;例えばカヤノール・ミリング・シアニン5R(Kayanol Milling Cyanine 5R(商標))(日本化薬)のような酸性色素;例えばスミアクリル・ブルー6G(Sumiacryl Blue 6G(商標))(住友化学)およびアイゼン・マラカイト・グリーン(Aizen Malachite Green(商標))(保土ヶ谷化学)のような塩基性色素;
【0027】
【化1】
【0028】
【化2】
【0029】
【化3】
【0030】
または米国特許第4,541,830号明細書に開示された如何なる色素をも包含する。引用することによって、この米国特許明細書の開示を本明細書の内容とする。上記色素を、単独でまたは単色を得るために組み合わせて使用することができる。色素は、0.05〜1g/m2の範囲で使用することができ、疎水性が好ましい。
【0031】
本発明の色素供与体要素において、転写された色素の濃度を改良するために、色素遮蔽層を使用してもよい。このような色素遮蔽層材料は、例えば米国特許第4,716,144号明細書に記載され、クレームされているような親水性の材料を含む。
【0032】
色素供与体要素の色素層および保護層を、支持体上に塗布してもよいし、例えばグラビア法のような印刷技法によって印刷してもよい。
【0033】
プリントヘッドが色素供与体要素にくっつくのを防ぐために、滑り層を本発明の色素供与体要素の背面に使用してもよい。このような滑り層は、固体もしくは液体の滑り物質またはそれらの混合物を含んでなり、ポリマーバインダーもしくは界面活性剤を含んでも含まなくてもよい。好ましい滑り物質は、例えばポリステアリン酸ビニル、蜜蝋、パーフルオロ化アルキルエステルポリエーテル類、ポリカプロラクトン、シリコーンオイル、ポリテトラフルオロエチレン、カルボワックス、ポリエチレングリコール、または米国特許第4,717,711号;同第4,717,712号;同第4,737,485号;および同第4,738,950号明細書に開示された物質のいずれかのような100℃より下で溶解する油もしくは半結晶の固体有機物を含む。滑り層に好適なポリマーバインダーは、ポリ(ビニルアルコール−コ−ブチラール)、ポリ(ビニルアルコール−コ−アセタール)、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸セルロースまたはエチルセルロースを包含する。
【0034】
滑り層に使用される滑り物質の量は滑り物質の種類に大きく依存するが、通常0.001〜2g/m2である。ポリマーバインダーが用いられる場合、滑り物質は、用いられたポリマーバインダーの0.05〜50質量%、好ましくは0.5〜40質量%の範囲で存在する。
【0035】
寸法的に安定でサーマルプリントヘッドの熱に耐えることができれば、如何なる物質も本発明の色素供与体要素の支持体として用いることができる。このような物質は、例えばポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル類、ポリアミド類、ポリカーボネート類、グラシン紙、コンデンサー紙、例えば酢酸セルロースのようなセルロースエステル類、例えばポリフッ化ビニリデンまたはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体のようなフッ素ポリマー類、例えばポリオキシメチレンのようなポリエーテル類、ポリアセタール類、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはメチルペンテンポリマー類のようなポリオレフィン類、および例えばポリイミドアミド類およびポリエーテルイミド類のようなポリイミド類を含む。支持体の厚さは通常2〜30μmである。
【0036】
本発明の色素供与体要素と共に用いられる色素受容体要素は、通常、上に色素画像受容層を有する支持体を含む。該支持体は例えばポリエーテルスルホン、ポリイミド、例えば酢酸セルロースのようなセロースエステル、ポリ(ビニルアルコール−コ−アセタール)、またはポリエチレンテレフタレートのような透明なフィルムであることができる。色素受容体要素の支持体は、また、例えばバライタ被覆紙、ポリエチレン被覆紙、白色ポリエステル(混入された白色顔料を有するポリエステル)、象牙紙、コンデンサー紙、または例えばデュポン・タイベック(DuPont Tyvec(商標))のような合成紙のような反射性であってもよい。
【0037】
色素画像受容層は、例えば、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカプロラクトンまたはそれらの混合物を含んでなることができる。色素画像受容層は、意図する目的に有効な如何なる量で存在してもよい。一般的に、1〜5g/m2で良い結果が得られる。
【0038】
上記したように、本発明の色素供与体要素は色素転写画像を形成するために用いられる。このようなプロセスは、上述したように色素供与体要素を像様に加熱し、色素画像を色素受容体要素に転写し、色素転写画像を形成することを含んでなる。色素画像を転写した後、保護層を色素画像の表面に転写する。
【0039】
本発明の色素供与体要素は、シート状でまたは連続ロールないしはリボン状で用いることができる。連続ロールまたはリボンが用いられる場合、それは一つの色素のみを有していてもよいし、例えば昇華性のシアンおよび/またはマゼンタおよび/またはイエローおよび/またはブラックもしくは他の色素のように他の異なった色素の交互に変わる領域を有していてもよい。このような色素は米国特許第4,541,830号;同第4,698,651号;同第4,695,287号;同第4,701,439号;同第4,757,046号;同第4,743,582号;同第4,769,360号および同第4,753,992号明細書に開示されており、引用することによって、これらの開示を本明細書の内容とする。このように1色、2色、3色または4色要素(もっと多色も同様に)は本発明の範囲内に含まれる。
【0040】
本発明の好ましい態様では、色素供与体要素は、イエロー、シアンおよびマゼンタ色素ならびに上記保護層の連続的な繰り返し領域を塗布したポリエチレンテレフタレート支持体を含んでなり、上記の各製造工程が各々の色について連続的に行なわれて、最上部に保護層を有する三色の色素転写画像を得る。勿論、その工程を単一の色についてのみ行なえば、単色色素転写画像を得る。
【0041】
本発明の色素供与体要素から色素を転写するために用いることができるサーマルプリントヘッドは、市販されている。例えば、富士通サーマルヘッドFTP−040MCS001、TDKサーマルヘッドLV5416またはロームサーマルヘッドKE2008−F3を用いることができる。
【0042】
本発明の感熱色素転写集成体は、(a)上記のような色素供与体要素、および(b)上記のような色素受容体要素を含んでなり、色素受容体要素は、供与体要素の色素層が受容体要素の色素画像受容層と接触するように、色素供与体要素と重ねられる関係にある。
【0043】
単色画像を得る場合、これら2つの要素を含む上記集成体を一体化ユニットとして予め組み立てておくことができる。これは、その二つの要素を縁部でお互いに一時的に接着することによって成される。転写後、色素転写画像を見せるために、色素受容体要素を剥ぎ離す。
【0044】
三色画像を得る場合、サーマルプリントヘッドで加熱している間に上記集成体が三回形成される。
【0045】
第一の色素を転写した後、その要素を剥ぎ離す。それから、第二の色素供与体要素(または異なった色素領域を有するその供与体要素の他の領域)を色素受容体要素と正確に重ね合わせ、同じ工程が繰り返される。同じ方法で第三の色を得る。最後に、最上部に保護層が適用される。
【0046】
シリカは、11よりも大きなpHの、好ましくは12〜14のアルカリ性溶液を用いて熱膨張性微小球の表面から除去される。例えば水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムのような無機塩基または例えば水酸化テトラエチルアンモニウムのような有機塩基を除去工程に用いることができる。アルカリ性物質の混合物もまた使用することができる。
【0047】
シリカレベルが減少した微小球の塗布溶融液中への再分散を促進するために、微小球自体に悪影響を与えずに安定な分散を達成する如何なる表面処理も使用することができる。微小球自体を攻撃する如何なる表面処理も用いることは好ましくない。微小球を有機溶媒で洗うこともでき、そして/または各種の界面活性剤で処理することもできる。界面活性剤は、溶媒溶解性もしくは水溶性、アニオン性、カチオン性、または非イオン性であることができる。このような化合物は、例えば、炭素数2〜4のアルキレンイミン基類を含んでいてもよく、また、典型的にはポリカルボニルアルキレンオキシ基を含んでいてもよい。このようなポリエチレンイミン類が好都合に用いられ、そして10000〜50000の分子量が、典型的には20000〜30000の分子量が用いられる。このタイプの好ましい表面活性剤はアイシーアイ(ICI)によって供給されているソルスパーセ(SOLSPERSE)24000である。一般的に、炭素数が少なくとも8、好ましくは8〜16のアルキル鎖を含み、1〜4個のグリコシド環を含み、11〜14のHLBを示すアルキルポリグリコシド化合物であるポリグリコシド界面活性剤もまた有用である。このタイプの好ましい例は、APG(商標)325グリコシド(ヘンケル社(Henkel Corp.))のような非イオン性糖誘導体である。溶媒処理は、微小球を攻撃しないどのような有機溶媒とも混合できる。例えばトルエンのような穏やかな溶媒がこの目的には有用である。
【0048】
界面活性剤および/または溶媒処理はシリカ含有量を更に減少させることはないが、微小球を安定して再分散する。
【0049】
【実施例】
シリカが除去された微小球の調整:
(1)本発明例A:市販のエクスパンセル(Expansel(商標))微小球(エクスパンセル社(Expansel,Inc.))からのシリカ除去とその後の溶媒洗浄
マグネティックスターラーを備えた大きなビーカーに、2000gの蒸留水および39gの水酸化ナトリウム粒を入れる。混合物を固体が溶解するまで撹拌し、温度は40℃まで上昇した。次に、2000gのエクスパンセル461−20−DUポリマー微小球(エクスパンセル社、アクゾ・ノーベルの部門(ExpanselInc.,division of Akzo Nobel))をその溶液にゆっくりと添加する。その混合物を2.5時間撹拌する。微小球を濾取し、蒸留水で再びスラリーにし、再び濾過し、そして洗浄する。スラリー化、濾過、および洗浄の各工程を、濾液が中性になるまで繰り返す。湿潤ケークの少量を空気乾燥し、シリカ含有量が0.24%であることを確かめた。比較として、製造者から受け取ったままのエクスパンセル微小球はシリカを1.80%含む。湿ったケークを半分に分ける。ケークの半分を下記発明例Bに用いる。
【0050】
残り半分の湿ったケークを2250gのイソプロピルアルコール中に再び分散し、撹拌し、そして濾過する。アルコール湿潤ケークを、それから、2250gのトルエンに再び分散し、1時間撹拌し、そして濾過する。それから空気乾燥し、685gの材料を得た。
(2)本発明例B:市販のエクスパンセル微小球からのシリカ除去とその後の界面活性剤処理
上記本発明例Aで調製したシリカが除去された湿ったケークの半分を、C9−C11アルキルポリサッカライドエーテル型の非イオン界面活性剤であるAPG(商標)325グリコシド(ヘンケル社)の3.2質量%溶液中に再びスラリー化し、1.5時間撹拌した。それから、スラリーを濾過し、湿ったケークを空気乾燥し、727gの材料を得た。
【0051】
以下の例では、塗布溶融液を下記処方に従って調製した。
【0052】
【表1】
【0053】
上記塗布溶融液を、きれいなグラビアシリンダーが予め装着されているグラビア塗工機に入れた。グラビアシリンダーを普通の塗布速度で回転し、塗布溶融液で濡らした。最初の好ましくないスカムが観察されるまでの時間を下記の表1に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
本発明例AおよびBの熱膨張性微小球を含む塗布溶融液は、表面にシリカを有する微小球を含むコントロール塗布溶融液よりも非常に長いスカムタイムを示す。
シリカが除去されている膨張性微小球に由来する好ましい低レベルの光沢:
(1)コントロール要素C−2:
保護層供与体要素を次のように調製した。
【0056】
厚さ6μmのポリエチレンテレフタレート支持体の背面に、下記の下塗り層および滑り層を塗布した。
【0057】
1)n−プロピルアセテートおよびn−ブチルアルコールの混合溶媒(85/15)からチタニウムアルコキサイドであるタイザーTBT(Tyzor TBT(商標))(デュポン社(DuPont Corp))(0.13g/m2)の下塗り層、および
2)ジエチルケトン、メタノールおよび蒸留水の混合溶媒(88.7/9.0/2.3)から、アミノプロピル−ジメチル−末端処理されたポリジメチルシロキサンであるPS513(商標)(ユナイテッド・ケミカル・テクノロジーズ(United Chemical Technologies))(0.01g/m2)、ポリビニルアセタールバインダーであるKS−1(積水化学)(0.38g/m2)、p−トルエンスルホン酸(0.0003g/m2)およびカンデリラ蝋(0.02g/m2)を含む滑り層。
【0058】
該要素の前面に、75%3−ペンタノンおよび25%メタノール混合溶媒からポリビニルアセタールKS−1(積水化学)を0.432g/m2のレイダウンで、コロイド状シリカMA−ST−M(日産化学)を0.335g/m2のレイダウンで、エクスパンセル微小球461−20−DU(エクスパンセル社)を0.323g/m2のレイダウンで有する転写可能な被覆層を塗布した。
(2)本発明例A−1:
エクスパンセル微小球を上記本発明例Aで処理されたものと交換した以外はコントロール要素C−2と同じ熱転写保護層。
(3)本発明例B−1:
エクスパンセル微小球を上記本発明例Bで処理されたものと交換した以外はコントロール要素C−2と同じ熱転写保護層。
(4)受容体要素
コダック・エクタサーム(Kodak Ektatherm(商標))受容体要素カタログ#172−5514を用いて以下に概要を述べた印刷法により、光沢測定用の無光沢タイプの画像を作成した。
(5)印刷
コダック・プロフェッショナル・エクタサーム・XLS・エクストラライフ・カラー・リボン(Kodak Professional EKTATHERM XLS XTRALIFE Color Ribbon)(イーストマン・コダック社(Eastman Kodak Co.)カタログNo.807−6135)およびコダック・モデル(Kodak Model)8650サーマルプリンターを用いて、少なくとも2.3の最大濃度を有するステータスA中性濃度画像を上記受容体に印刷した。カラーリボンレシーバー集成体を18mmの圧盤ローラー上に置き、6.35Kgのヘッド負荷を有するTDKサーマルヘッド(No.3K0345)を圧盤ローラーに押し付けた。TDK3K0345サーマルヘッドは分解能300ドット/インチで2560個の独立にアドレス可能なヒーターを有し、3314Ωの平均電気抵抗を有している。プリントヘッドの初期温度が36.4℃になった時に、画像形成電子回路を作動させた。プリントヘッドと圧盤ローラーとの間に16.9mm/秒で集成体を引き出した。同時に、サーマルプリントヘッドの電気抵抗要素を76μ秒毎に58μ秒間パルス化した。最高濃度を印刷するには、5.0ミリ秒のプリント線当り64パルスの接続時間を必要とした。13.6ボルトの電圧を印加した結果、瞬間ピーク電力は約58.18×10−3ワット/ドットであり、最高濃度を印刷するために必要とする最大総エネルギーは0.216ミリジュール/ドットであった。この手順を、イエロー、マゼンタおよびシアンと逐次繰り返し、望みの中性画像を得る。
【0059】
上記の中性濃度画像を含む受容体要素のポリマー受容層側と接触するように前記の各保護層要素を置いた。該印刷手順を用いて、印刷物に転写可能な保護オーバーコートを永久的に密着させるためにサーマルヘッドにより転写可能な保護オーバーコートを一様に熱した。ヘッド電圧と使用可能巾を変化させることにより、印刷エネルギーを変えた。プリンターが加熱サイクルをやり終えたら、画像形成された受容体に密着している熱転写可能な保護オーバーコートを残して、供与体支持体を剥ぎ離した。
(6)光沢
バイクガードナー・トリグロスメーター(Byk−Gardner Tri−gloss meter)を用いて60°グロス値を測定した。印刷物方向に垂直な測定器で読み取りを行い、各値はその試料についてランダムに選ばれた4つの読み取りの平均である。下記の結果が得られた。
【0060】
【表3】
【0061】
表2に示された結果は、熱膨張性微小球の表面からシリカを除去することにより、画像形成された印刷物上の熱転写可能な保護層が好ましい低光沢レベルであることを示している。
【0062】
この明細書で言及された特許および刊行物の全内容は、引用することによって本明細書の内容とする。
【0063】
本発明の態様を以下に示す。
1.バインダーおよび分散されている熱膨張性微小球を含み、該微小球の表面の無機微粒子が1.8質量%未満である感熱色素昇華印刷物用保護薄層。
2.該微小球の表面の珪素が二酸化珪素に換算して1.8質量%未満である上記態様1記載の薄層。
3.珪素が二酸化珪素に換算して0.5質量%未満である上記態様2記載の薄層。
4.未膨張微小球の等価円直径(ECD)が5〜20μmである上記態様1〜3いずれかに記載の薄層。
5.膨張した微小球のECDが10〜120μmである上記態様4記載の薄層。
6.微小球が、35未満の60°グロスを与えるに十分な大きさおよび頻度を有している、上記態様1〜5いずれかに記載の薄層。
7.微小球の表面のシリカ量が、3より大きなスカムタイムを与えるに十分少ない、上記態様1記載の保護薄層。
8.微小球の未膨張サイズが5〜20μmであり、膨張サイズは20〜120μmとなることができる上記態様1〜7いずれかに記載の保護薄層を含んでなる感熱色素供与体要素。
9.膨張性微小球の表面のシリカ量を減少させることを含んでなる、減少されたスカム形成特性を有する、表面にシリカを含有する膨張性微小球を提供する方法。
10.微小球の表面を微小球に悪影響を与えないアルカリ性物質と接触させることによりシリカ量を減少させることを含んでなる上記態様9記載の態様。
11.微小球を、微小球間の引力を減少させることができる試薬と接触させる追加の連続工程を含んでなる上記態様9記載の態様。
【0064】
【発明の効果】
本発明の感熱色素昇華印刷物用保護薄層はより一層製造し易く(汚れ形成に改良された耐性を示し)、より多くの艶消し仕上げを与える改良された光沢、即ち、より低レベルの光沢を有する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、バインダー、および表面に1.8質量%未満の無機微粒子を有する分散された熱膨張性微小球を含有する、感熱色素昇華印刷物用保護薄層に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カラービデオカメラから電子的に生成された写真から印刷物を得るために熱転写システムが開発されている。このような印刷物を得る一つの方法によれば、最初に電子写真を色フィルターによって色分解する。それぞれの色分解された画像を、それから、電気信号に変換する。それから、これらの信号を操作して、シアン、マゼンタおよびイエロー信号を生成する。それから、これらの信号をサーマルプリンターに伝送する。印刷物を得るために、シアン、マゼンタまたはイエロー色素供与体要素を、色素受容体要素と面と面を向き合わせて置く。それから、その二つをサーマルプリントヘッドと圧盤ローラーの間に挿入する。線型サーマルプリントヘッドを用いて、色素供与体シートの背面から加熱する。サーマルプリントヘッドはたくさんの加熱要素を持っており、シアン、マゼンタおよびイエロー信号の一つに応答して連続的に昇温する。その方法を、それから、他の二色のために繰り返す。スクリーン上に見られた原写真に対応するカラーハードコピーをこのようにして得る。この方法およびそれを遂行するための装置についての更なる詳細が米国特許第4,261,271号明細書に含まれており(特許文献1)、引用することによって、その開示を本明細書の内容とする。
【0003】
感熱印刷物は、隣接表面への色素の再転写および指紋による変色に影響されやすい。これは、色素が印刷物の色素受容体層の表面に存在するためである。これらの色素を、熱ローラーまたはサーマルヘッドによって印刷物を熱融解することにより、更に色素受容体層の中へ運ぶことができる。これは、色素の再転写および指紋感受性の減少の助けになるであろうが、これらの問題を除去することはない。しかし、保護オーバーコートの適用はこれらの問題を実質的に除去するであろう。色素が転写された後、同じような方法で加熱することによって、この保護オーバーコートを受容体要素に適用する。保護オーバーコートは光退色および指紋からの油に対する画像の安定性を改良するであろう。
【0004】
感熱色素転写印刷プロセスでは、画像の質に関して、仕上がった印刷物がカラー写真プリントと好ましくは同等であることが望ましい。最終印刷物の外観はまさに表面の質感と光沢による。一般的に、カラー写真プリントは、非常に滑らかな高光沢から粗い低光沢な艶消しまでの表面仕上げ範囲で入手可能である。
【0005】
艶消し仕上げがサーマルプリントで望まれる場合、これまでは、艶消しスプレイを使用するかまたは後印刷プロセッサーによる艶消し表面適用によって達成さている。けれども、これら両解決法は高価であり、プロセスの複雑さを増す。
【0006】
米国特許第6,346,502号明細書および特開平09−323482号公報は色素供与体要素の転写可能な保護層領域中での膨張性の微小球の使用に関する(特許文献2および3)。けれども、これらの微小球が、色素供与体媒体の製造中に、材料の蓄積、即ち、グラビアシリンダーの彫り込まれていない領域のスカム形成を引き起こすという問題がある。
【0007】
色素供与体の転写可能な保護層は、12℃と49℃(55°Fと120°F)、好ましくは18℃と38℃(65°Fと100°F)の間の温度でグラビア塗布法によって製造される。塗布溶液または溶融物を溶媒可溶性ポリマーおよび熱膨張性微小球から調製し、液状でグラビアシリンダーのエッチングから色素供与体支持体に転写する。シリンダーの彫り込まれていない領域は、色素供与体支持体への液体の不要な転写を避けるように、液状の塗布溶融物のいかなる蓄積も無いようにしなければならない。このような転写は、色素の連続的なパッチを塗布する場合に、色素供与体支持体を好ましくない汚染に導く。
【0008】
製造中の油相小滴の合体および貯蔵中の乾燥微小球体の集塊を防ぐために、製造中、コロイド状シリカを膨張性微小球の表面に添加する。微小球の表面上のコロイド状シリカが塗布溶融物中のポリマーと相互作用し、グラビアシリンダー上にスカム形成を生じると考えられる。上述したような供与体ウェブへの液状塗布溶融物の不要な転写の故に、塗工機がついには止められて、スカムで覆われたシリンダーがきれいなシリンダーに置き換えられなければならない点まで、スカムは時間とともに蓄積する。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第4,621,271号明細書
【特許文献2】
米国特許第6,346,502号明細書
【特許文献3】
特開平09−323482号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
スカム形成に改良された耐性を示す、熱膨張性微小球を含有する感熱色素昇華供与体要素用の保護薄層を提供することが、解決するべき課題である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、バインダーおよび分散されている熱膨張性微小球を含み、該微小球の表面の無機微粒子が1.8質量%未満である感熱色素昇華印刷物用保護薄層を提供する。本発明は、また、微粒子を1.0または0.5%まで除去するためのプロセスを提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
この明細書で用いられる限り、「スカムタイム」とは、最初の好ましくないスカムが観察されるまでの時間である。より高く/より長い値がより優れている。3時間よりも大きな値、好ましくは5.5時間よりも大きな値が達成できる。
【0013】
本発明は上記に要約される。薄層は、無機微粒子、ポリマーバインダーおよび膨張されてない合成熱可塑性ポリマー微小球を含有し、微小球は5〜20μmの非膨張条件下の粒子サイズを有し、熱膨張性微小球体の表面から化学処理によってシリカが除去されている。シリカが除去された微小球は、グラビアシリンダーのスカムまたはヘイズ問題を引き起こさせず、除去されてない微小球に比較して光沢のレベルを有利に低下させる。
【0014】
本発明の使用によって、色素供与体要素が有する転写可能な保護層は、画像に低い光沢または艶消しの表面を与えることが可能で、シリンダースカムによる非稼動時間における重要な改良を伴って該保護層を塗布することができる。
【0015】
本発明の好ましい態様では、表面のシリカが除去された熱膨張性微小球を含有する塗布溶融物を使用して、熱転写可能な被覆保護層を作り、その熱転写可能な被覆保護層はコーティングシリンダーのスカムによる非稼働時間における著しい改良を伴って塗布されたパッチとなることができる。
【0016】
本発明の他の好ましい態様では、色素供与体要素は多色の要素であり、4つ又はそれ以上の繰り返しユニットを具備しており、1つの領域は熱転写可能な層を含む。
【0017】
本発明の別の好ましい態様では、色素供与体要素は単色の要素であって、2つの領域の繰り返しユニットを有しており、第一の領域は1つの画像色素がバインダー中に分散された層を有し、第二の領域は保護層を有している。
【0018】
本発明の更に別の好ましい態様では、色素供与体要素は黒白の要素であって、2つの領域の繰り返しユニットを有しており、第一の領域は無彩色を生成するために画像色素の混合物がバインダー中に分散された層を有し、第二の領域は保護層を有している。
【0019】
本発明の好ましい態様では、膨張性微小球は、膨張剤として作用する低沸点で気化可能な物質、例えば液体をカプセル内に入れた熱可塑性の殻からなる無色の球形の中空粒子である。未膨張の微小球が熱せられると、熱可塑性殻は軟らかくなり、カプセル封入された膨張剤は膨張して圧力を高める。この結果、微小球は膨張する。
【0020】
本発明で用いられる膨張性微小球は、例えば塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、メタアクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体または塩化ビニリデン−アクリル酸エステル共重合体のような熱可塑性樹脂の微小カプセル内にイソペンタン、イソブタンまたは他の如何なる低沸点で気化可能な物質を封入することによって形成することができる。好ましい未膨張サイズは、等価円直径(ECD)が5〜20μm、典型的には6.9μmである。これらの微小球は、エクスパンセル微小球(Expancel(商標) Microspheres)461−20−DU(加重平均粒子径は6〜9μm)[エクスパンセル社(Expancel Inc)]、エクスパンセル微小球(Expancel(商標) Microspheres)461−DU(加重平均粒子径は9〜15μm)[エクスパンセル社(Expancel Inc)]、およびエクスパンセル微小球(Expancel(商標) Microspheres)091−DU(加重平均粒子径は10〜16μm)[エクスパンセル社(Expancel Inc)]として商業的に利用可能である。膨張した時のECDは、10〜120μmの範囲で、5〜25μmの範囲でまたは10〜20μmの範囲で変動できる。
【0021】
本発明は、サーマルヘッドを使用して均一に熱を与えることによって感熱印刷物の上に保護オーバーコート層を設ける。感熱印刷物への転写後、保護層は、光、例えば指紋からの脂肪や油のような通常の化学薬品、およびポリ塩化ビニルから作られたフィルムアルバムのページまたはスリーブからの可塑剤に曝されることによる画像劣化に対して優れた保護を与える。保護層は、一般に、1μmよりも薄い乾燥された層を得るために、少なくとも0.03g/m2〜1.5g/m2の被覆量で適用される。
【0022】
上記したように、転写可能な保護層は、ポリマーバインダー中に分散された微小球を含有する。多くのこのようなポリマーバインダーが、保護層中での使用について既に発表されている。このようなバインダーの具体例は、米国特許第5,332,713号明細書に開示された物質を包含する。引用することによって、この米国特許の開示を本明細書の内容とする。本発明の好ましい態様においては、ポリビニルアセタールを用いる。
【0023】
無機微粒子が本発明の保護層中に存在する。例えば、米国特許第5,387,573号明細書に開示されているようなシリカ、チタニア、アルミナ、酸化アンチモン、粘土類、炭酸カルシウム、タルク等を使用することができる。本発明の好ましい態様では、無機微粒子はシリカである。無機微粒子は、印刷物において非積層部分からの保護層の積層されている部分の分離を改良する。
【0024】
本発明の好ましい態様では、保護層は、無機微粒子を5〜60質量%(微小球上ではない)、ポリマーバインダーを25〜60質量%および未膨張の合成熱可塑性ポリマー微小球を5〜60質量%含有する。
【0025】
使用中、イエロー、マゼンタおよびシアン色素が色素供与体要素から熱転写されて、色素受容シート上に画像を形成する。そして、サーマルヘッドを用いて均一に熱を与えることによって、色素供与体要素上の他の透明なパッチまたは別の供与体要素から画像形成された受容シート上に、透明保護層を転写する。透明保護層は印刷物に粘着し、熱が与えられた領域で供与体支持体から剥離する。
【0026】
熱の作用によって色素受容層に転写可能であれば、如何なる色素でも本発明の色素供与体要素の色素層に使用することができる。特に良い結果が昇華性の色素よって得られる。昇華性の色素の具体例は、例えばスミカロン・バイオレットRS(Sumikaron Violet RS(商標))(住友化学)、ダイアニクス・ファースト・バイオレット3RFS(Dianix Fast Violet 3R FS(商標))(三菱化学工業)、カヤロン・ポリオール・ブリリアント・ブルーNBGM(Kayalon Polyol Brilliant Blue NBGM(商標))(日本化薬)およびKSTブラック146(KST Black 146(商標))(日本化薬)のようなアントラキノン色素類;例えばカヤロン・ポリオール・ブリリアント・ブルーBM(Kayalon Polyol Brilliant Blue BM(商標))、カヤロン・ポリオール・ダーク・ブルー2BM(Kayalon Polyol Dark Blue 2BM(商標))およびKSTブラックKR(KST Black KR(商標))(日本化薬)、スミカロン・ジアゾ・ブラック5G(Sumikaron Diazo Black 5G(商標))(住友化学)、およびミクタゾル・ブラック5GH(Miktazol Black 5GH(商標))(三井東圧化学)のようなアゾ色素;例えばダイレクト・ダーク・グリーンB(Direct Dark Green B(商標))(三菱化学工業)、およびダイレクト・ブラウンM(Direct Brown M(商標))およびダイレクト・ファースト・ブラックD(Direct Fast Black D(商標))(日本化薬)のような直接色素;例えばカヤノール・ミリング・シアニン5R(Kayanol Milling Cyanine 5R(商標))(日本化薬)のような酸性色素;例えばスミアクリル・ブルー6G(Sumiacryl Blue 6G(商標))(住友化学)およびアイゼン・マラカイト・グリーン(Aizen Malachite Green(商標))(保土ヶ谷化学)のような塩基性色素;
【0027】
【化1】
【0028】
【化2】
【0029】
【化3】
【0030】
または米国特許第4,541,830号明細書に開示された如何なる色素をも包含する。引用することによって、この米国特許明細書の開示を本明細書の内容とする。上記色素を、単独でまたは単色を得るために組み合わせて使用することができる。色素は、0.05〜1g/m2の範囲で使用することができ、疎水性が好ましい。
【0031】
本発明の色素供与体要素において、転写された色素の濃度を改良するために、色素遮蔽層を使用してもよい。このような色素遮蔽層材料は、例えば米国特許第4,716,144号明細書に記載され、クレームされているような親水性の材料を含む。
【0032】
色素供与体要素の色素層および保護層を、支持体上に塗布してもよいし、例えばグラビア法のような印刷技法によって印刷してもよい。
【0033】
プリントヘッドが色素供与体要素にくっつくのを防ぐために、滑り層を本発明の色素供与体要素の背面に使用してもよい。このような滑り層は、固体もしくは液体の滑り物質またはそれらの混合物を含んでなり、ポリマーバインダーもしくは界面活性剤を含んでも含まなくてもよい。好ましい滑り物質は、例えばポリステアリン酸ビニル、蜜蝋、パーフルオロ化アルキルエステルポリエーテル類、ポリカプロラクトン、シリコーンオイル、ポリテトラフルオロエチレン、カルボワックス、ポリエチレングリコール、または米国特許第4,717,711号;同第4,717,712号;同第4,737,485号;および同第4,738,950号明細書に開示された物質のいずれかのような100℃より下で溶解する油もしくは半結晶の固体有機物を含む。滑り層に好適なポリマーバインダーは、ポリ(ビニルアルコール−コ−ブチラール)、ポリ(ビニルアルコール−コ−アセタール)、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸セルロースまたはエチルセルロースを包含する。
【0034】
滑り層に使用される滑り物質の量は滑り物質の種類に大きく依存するが、通常0.001〜2g/m2である。ポリマーバインダーが用いられる場合、滑り物質は、用いられたポリマーバインダーの0.05〜50質量%、好ましくは0.5〜40質量%の範囲で存在する。
【0035】
寸法的に安定でサーマルプリントヘッドの熱に耐えることができれば、如何なる物質も本発明の色素供与体要素の支持体として用いることができる。このような物質は、例えばポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル類、ポリアミド類、ポリカーボネート類、グラシン紙、コンデンサー紙、例えば酢酸セルロースのようなセルロースエステル類、例えばポリフッ化ビニリデンまたはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体のようなフッ素ポリマー類、例えばポリオキシメチレンのようなポリエーテル類、ポリアセタール類、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはメチルペンテンポリマー類のようなポリオレフィン類、および例えばポリイミドアミド類およびポリエーテルイミド類のようなポリイミド類を含む。支持体の厚さは通常2〜30μmである。
【0036】
本発明の色素供与体要素と共に用いられる色素受容体要素は、通常、上に色素画像受容層を有する支持体を含む。該支持体は例えばポリエーテルスルホン、ポリイミド、例えば酢酸セルロースのようなセロースエステル、ポリ(ビニルアルコール−コ−アセタール)、またはポリエチレンテレフタレートのような透明なフィルムであることができる。色素受容体要素の支持体は、また、例えばバライタ被覆紙、ポリエチレン被覆紙、白色ポリエステル(混入された白色顔料を有するポリエステル)、象牙紙、コンデンサー紙、または例えばデュポン・タイベック(DuPont Tyvec(商標))のような合成紙のような反射性であってもよい。
【0037】
色素画像受容層は、例えば、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカプロラクトンまたはそれらの混合物を含んでなることができる。色素画像受容層は、意図する目的に有効な如何なる量で存在してもよい。一般的に、1〜5g/m2で良い結果が得られる。
【0038】
上記したように、本発明の色素供与体要素は色素転写画像を形成するために用いられる。このようなプロセスは、上述したように色素供与体要素を像様に加熱し、色素画像を色素受容体要素に転写し、色素転写画像を形成することを含んでなる。色素画像を転写した後、保護層を色素画像の表面に転写する。
【0039】
本発明の色素供与体要素は、シート状でまたは連続ロールないしはリボン状で用いることができる。連続ロールまたはリボンが用いられる場合、それは一つの色素のみを有していてもよいし、例えば昇華性のシアンおよび/またはマゼンタおよび/またはイエローおよび/またはブラックもしくは他の色素のように他の異なった色素の交互に変わる領域を有していてもよい。このような色素は米国特許第4,541,830号;同第4,698,651号;同第4,695,287号;同第4,701,439号;同第4,757,046号;同第4,743,582号;同第4,769,360号および同第4,753,992号明細書に開示されており、引用することによって、これらの開示を本明細書の内容とする。このように1色、2色、3色または4色要素(もっと多色も同様に)は本発明の範囲内に含まれる。
【0040】
本発明の好ましい態様では、色素供与体要素は、イエロー、シアンおよびマゼンタ色素ならびに上記保護層の連続的な繰り返し領域を塗布したポリエチレンテレフタレート支持体を含んでなり、上記の各製造工程が各々の色について連続的に行なわれて、最上部に保護層を有する三色の色素転写画像を得る。勿論、その工程を単一の色についてのみ行なえば、単色色素転写画像を得る。
【0041】
本発明の色素供与体要素から色素を転写するために用いることができるサーマルプリントヘッドは、市販されている。例えば、富士通サーマルヘッドFTP−040MCS001、TDKサーマルヘッドLV5416またはロームサーマルヘッドKE2008−F3を用いることができる。
【0042】
本発明の感熱色素転写集成体は、(a)上記のような色素供与体要素、および(b)上記のような色素受容体要素を含んでなり、色素受容体要素は、供与体要素の色素層が受容体要素の色素画像受容層と接触するように、色素供与体要素と重ねられる関係にある。
【0043】
単色画像を得る場合、これら2つの要素を含む上記集成体を一体化ユニットとして予め組み立てておくことができる。これは、その二つの要素を縁部でお互いに一時的に接着することによって成される。転写後、色素転写画像を見せるために、色素受容体要素を剥ぎ離す。
【0044】
三色画像を得る場合、サーマルプリントヘッドで加熱している間に上記集成体が三回形成される。
【0045】
第一の色素を転写した後、その要素を剥ぎ離す。それから、第二の色素供与体要素(または異なった色素領域を有するその供与体要素の他の領域)を色素受容体要素と正確に重ね合わせ、同じ工程が繰り返される。同じ方法で第三の色を得る。最後に、最上部に保護層が適用される。
【0046】
シリカは、11よりも大きなpHの、好ましくは12〜14のアルカリ性溶液を用いて熱膨張性微小球の表面から除去される。例えば水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムのような無機塩基または例えば水酸化テトラエチルアンモニウムのような有機塩基を除去工程に用いることができる。アルカリ性物質の混合物もまた使用することができる。
【0047】
シリカレベルが減少した微小球の塗布溶融液中への再分散を促進するために、微小球自体に悪影響を与えずに安定な分散を達成する如何なる表面処理も使用することができる。微小球自体を攻撃する如何なる表面処理も用いることは好ましくない。微小球を有機溶媒で洗うこともでき、そして/または各種の界面活性剤で処理することもできる。界面活性剤は、溶媒溶解性もしくは水溶性、アニオン性、カチオン性、または非イオン性であることができる。このような化合物は、例えば、炭素数2〜4のアルキレンイミン基類を含んでいてもよく、また、典型的にはポリカルボニルアルキレンオキシ基を含んでいてもよい。このようなポリエチレンイミン類が好都合に用いられ、そして10000〜50000の分子量が、典型的には20000〜30000の分子量が用いられる。このタイプの好ましい表面活性剤はアイシーアイ(ICI)によって供給されているソルスパーセ(SOLSPERSE)24000である。一般的に、炭素数が少なくとも8、好ましくは8〜16のアルキル鎖を含み、1〜4個のグリコシド環を含み、11〜14のHLBを示すアルキルポリグリコシド化合物であるポリグリコシド界面活性剤もまた有用である。このタイプの好ましい例は、APG(商標)325グリコシド(ヘンケル社(Henkel Corp.))のような非イオン性糖誘導体である。溶媒処理は、微小球を攻撃しないどのような有機溶媒とも混合できる。例えばトルエンのような穏やかな溶媒がこの目的には有用である。
【0048】
界面活性剤および/または溶媒処理はシリカ含有量を更に減少させることはないが、微小球を安定して再分散する。
【0049】
【実施例】
シリカが除去された微小球の調整:
(1)本発明例A:市販のエクスパンセル(Expansel(商標))微小球(エクスパンセル社(Expansel,Inc.))からのシリカ除去とその後の溶媒洗浄
マグネティックスターラーを備えた大きなビーカーに、2000gの蒸留水および39gの水酸化ナトリウム粒を入れる。混合物を固体が溶解するまで撹拌し、温度は40℃まで上昇した。次に、2000gのエクスパンセル461−20−DUポリマー微小球(エクスパンセル社、アクゾ・ノーベルの部門(ExpanselInc.,division of Akzo Nobel))をその溶液にゆっくりと添加する。その混合物を2.5時間撹拌する。微小球を濾取し、蒸留水で再びスラリーにし、再び濾過し、そして洗浄する。スラリー化、濾過、および洗浄の各工程を、濾液が中性になるまで繰り返す。湿潤ケークの少量を空気乾燥し、シリカ含有量が0.24%であることを確かめた。比較として、製造者から受け取ったままのエクスパンセル微小球はシリカを1.80%含む。湿ったケークを半分に分ける。ケークの半分を下記発明例Bに用いる。
【0050】
残り半分の湿ったケークを2250gのイソプロピルアルコール中に再び分散し、撹拌し、そして濾過する。アルコール湿潤ケークを、それから、2250gのトルエンに再び分散し、1時間撹拌し、そして濾過する。それから空気乾燥し、685gの材料を得た。
(2)本発明例B:市販のエクスパンセル微小球からのシリカ除去とその後の界面活性剤処理
上記本発明例Aで調製したシリカが除去された湿ったケークの半分を、C9−C11アルキルポリサッカライドエーテル型の非イオン界面活性剤であるAPG(商標)325グリコシド(ヘンケル社)の3.2質量%溶液中に再びスラリー化し、1.5時間撹拌した。それから、スラリーを濾過し、湿ったケークを空気乾燥し、727gの材料を得た。
【0051】
以下の例では、塗布溶融液を下記処方に従って調製した。
【0052】
【表1】
【0053】
上記塗布溶融液を、きれいなグラビアシリンダーが予め装着されているグラビア塗工機に入れた。グラビアシリンダーを普通の塗布速度で回転し、塗布溶融液で濡らした。最初の好ましくないスカムが観察されるまでの時間を下記の表1に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
本発明例AおよびBの熱膨張性微小球を含む塗布溶融液は、表面にシリカを有する微小球を含むコントロール塗布溶融液よりも非常に長いスカムタイムを示す。
シリカが除去されている膨張性微小球に由来する好ましい低レベルの光沢:
(1)コントロール要素C−2:
保護層供与体要素を次のように調製した。
【0056】
厚さ6μmのポリエチレンテレフタレート支持体の背面に、下記の下塗り層および滑り層を塗布した。
【0057】
1)n−プロピルアセテートおよびn−ブチルアルコールの混合溶媒(85/15)からチタニウムアルコキサイドであるタイザーTBT(Tyzor TBT(商標))(デュポン社(DuPont Corp))(0.13g/m2)の下塗り層、および
2)ジエチルケトン、メタノールおよび蒸留水の混合溶媒(88.7/9.0/2.3)から、アミノプロピル−ジメチル−末端処理されたポリジメチルシロキサンであるPS513(商標)(ユナイテッド・ケミカル・テクノロジーズ(United Chemical Technologies))(0.01g/m2)、ポリビニルアセタールバインダーであるKS−1(積水化学)(0.38g/m2)、p−トルエンスルホン酸(0.0003g/m2)およびカンデリラ蝋(0.02g/m2)を含む滑り層。
【0058】
該要素の前面に、75%3−ペンタノンおよび25%メタノール混合溶媒からポリビニルアセタールKS−1(積水化学)を0.432g/m2のレイダウンで、コロイド状シリカMA−ST−M(日産化学)を0.335g/m2のレイダウンで、エクスパンセル微小球461−20−DU(エクスパンセル社)を0.323g/m2のレイダウンで有する転写可能な被覆層を塗布した。
(2)本発明例A−1:
エクスパンセル微小球を上記本発明例Aで処理されたものと交換した以外はコントロール要素C−2と同じ熱転写保護層。
(3)本発明例B−1:
エクスパンセル微小球を上記本発明例Bで処理されたものと交換した以外はコントロール要素C−2と同じ熱転写保護層。
(4)受容体要素
コダック・エクタサーム(Kodak Ektatherm(商標))受容体要素カタログ#172−5514を用いて以下に概要を述べた印刷法により、光沢測定用の無光沢タイプの画像を作成した。
(5)印刷
コダック・プロフェッショナル・エクタサーム・XLS・エクストラライフ・カラー・リボン(Kodak Professional EKTATHERM XLS XTRALIFE Color Ribbon)(イーストマン・コダック社(Eastman Kodak Co.)カタログNo.807−6135)およびコダック・モデル(Kodak Model)8650サーマルプリンターを用いて、少なくとも2.3の最大濃度を有するステータスA中性濃度画像を上記受容体に印刷した。カラーリボンレシーバー集成体を18mmの圧盤ローラー上に置き、6.35Kgのヘッド負荷を有するTDKサーマルヘッド(No.3K0345)を圧盤ローラーに押し付けた。TDK3K0345サーマルヘッドは分解能300ドット/インチで2560個の独立にアドレス可能なヒーターを有し、3314Ωの平均電気抵抗を有している。プリントヘッドの初期温度が36.4℃になった時に、画像形成電子回路を作動させた。プリントヘッドと圧盤ローラーとの間に16.9mm/秒で集成体を引き出した。同時に、サーマルプリントヘッドの電気抵抗要素を76μ秒毎に58μ秒間パルス化した。最高濃度を印刷するには、5.0ミリ秒のプリント線当り64パルスの接続時間を必要とした。13.6ボルトの電圧を印加した結果、瞬間ピーク電力は約58.18×10−3ワット/ドットであり、最高濃度を印刷するために必要とする最大総エネルギーは0.216ミリジュール/ドットであった。この手順を、イエロー、マゼンタおよびシアンと逐次繰り返し、望みの中性画像を得る。
【0059】
上記の中性濃度画像を含む受容体要素のポリマー受容層側と接触するように前記の各保護層要素を置いた。該印刷手順を用いて、印刷物に転写可能な保護オーバーコートを永久的に密着させるためにサーマルヘッドにより転写可能な保護オーバーコートを一様に熱した。ヘッド電圧と使用可能巾を変化させることにより、印刷エネルギーを変えた。プリンターが加熱サイクルをやり終えたら、画像形成された受容体に密着している熱転写可能な保護オーバーコートを残して、供与体支持体を剥ぎ離した。
(6)光沢
バイクガードナー・トリグロスメーター(Byk−Gardner Tri−gloss meter)を用いて60°グロス値を測定した。印刷物方向に垂直な測定器で読み取りを行い、各値はその試料についてランダムに選ばれた4つの読み取りの平均である。下記の結果が得られた。
【0060】
【表3】
【0061】
表2に示された結果は、熱膨張性微小球の表面からシリカを除去することにより、画像形成された印刷物上の熱転写可能な保護層が好ましい低光沢レベルであることを示している。
【0062】
この明細書で言及された特許および刊行物の全内容は、引用することによって本明細書の内容とする。
【0063】
本発明の態様を以下に示す。
1.バインダーおよび分散されている熱膨張性微小球を含み、該微小球の表面の無機微粒子が1.8質量%未満である感熱色素昇華印刷物用保護薄層。
2.該微小球の表面の珪素が二酸化珪素に換算して1.8質量%未満である上記態様1記載の薄層。
3.珪素が二酸化珪素に換算して0.5質量%未満である上記態様2記載の薄層。
4.未膨張微小球の等価円直径(ECD)が5〜20μmである上記態様1〜3いずれかに記載の薄層。
5.膨張した微小球のECDが10〜120μmである上記態様4記載の薄層。
6.微小球が、35未満の60°グロスを与えるに十分な大きさおよび頻度を有している、上記態様1〜5いずれかに記載の薄層。
7.微小球の表面のシリカ量が、3より大きなスカムタイムを与えるに十分少ない、上記態様1記載の保護薄層。
8.微小球の未膨張サイズが5〜20μmであり、膨張サイズは20〜120μmとなることができる上記態様1〜7いずれかに記載の保護薄層を含んでなる感熱色素供与体要素。
9.膨張性微小球の表面のシリカ量を減少させることを含んでなる、減少されたスカム形成特性を有する、表面にシリカを含有する膨張性微小球を提供する方法。
10.微小球の表面を微小球に悪影響を与えないアルカリ性物質と接触させることによりシリカ量を減少させることを含んでなる上記態様9記載の態様。
11.微小球を、微小球間の引力を減少させることができる試薬と接触させる追加の連続工程を含んでなる上記態様9記載の態様。
【0064】
【発明の効果】
本発明の感熱色素昇華印刷物用保護薄層はより一層製造し易く(汚れ形成に改良された耐性を示し)、より多くの艶消し仕上げを与える改良された光沢、即ち、より低レベルの光沢を有する。
Claims (6)
- バインダーおよび分散されている熱膨張性微小球を含み、該微小球の表面の無機微粒子が1.8質量%未満である感熱色素昇華印刷物用保護薄層。
- 該微小球の表面の珪素が二酸化珪素に換算して1.8質量%未満である請求項1記載の薄層。
- 未膨張微小球の等価円直径(ECD)が5〜20μmである請求項1または2に記載の薄層。
- 微小球が、35未満の60°グロスを与えるに十分な大きさおよび頻度を有している、請求項1〜3いずれか一項に記載の薄層。
- 微小球の表面のシリカ量が、3より大きなスカムタイムを与えるに十分少ない、請求項1記載の保護薄層。
- 膨張性微小球の表面のシリカ量を減少させることを含んでなる、減少されたスカム形成特性を有する、表面にシリカを含有する膨張性微小球を提供する方法。
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