JP2004025815A - 液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動板を変形させるための駆動電圧を印加する電極パッドを、振動板/液室基板の支持基板側に形成することでチップサイズの縮小、実装コストの低減を図る。
【解決手段】第一の基板30上にはノズルプレート10が貼り付けられており、振動板31の動作により吐出室32に圧力が加わるとノズル11からインクが吐出する。補強部材20は、電極パッド42の形成される部分であって、加圧液室32が形成されていない領域を補強するように設けられている。このような構成とすることにより、パッド取り出し部分の強度が確保できるので、第一の基板30を薄くすることができ、同時に、吐出室間の隔壁高さも低くなる。
【選択図】 図2
【解決手段】第一の基板30上にはノズルプレート10が貼り付けられており、振動板31の動作により吐出室32に圧力が加わるとノズル11からインクが吐出する。補強部材20は、電極パッド42の形成される部分であって、加圧液室32が形成されていない領域を補強するように設けられている。このような構成とすることにより、パッド取り出し部分の強度が確保できるので、第一の基板30を薄くすることができ、同時に、吐出室間の隔壁高さも低くなる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出ヘッドおよび該液滴吐出ヘッドを搭載したインクジェットヘッド、より詳細には、振動板を変形させるための駆動電圧を印加する電極パッドの実装に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10は、特開平8−281944号公報に記載のインクジェットプリンタヘッドの一例を示す図で、このインクジェットプリンタヘッドは、隔壁を介して列状に配列されたインク加圧室102を有する加圧室基板101と、この加圧室基板101の片面を覆蓋し、加圧室102の一壁面をなすがごとく配置された圧力発生膜105と、各々の加圧室102の壁面に設けられたインク吐出ノズル104と、インク供給路103からなり、前記圧力発生膜105は、弾性膜105a・下部電極105b・圧電膜105c・上部電極105dの積層膜から構成されており、このような構成とすることにより、簡単な構成で低コストのインクジェットヘッドを実現している。なお、106は支持基板、107はノズルプレート、108は配線基板である。
【0003】
図11は、特開2000−15805号公報に記載のインクジェットプリンタの一例を示す図で、このインクジェットプリンタは、振動板111の表面に電極113を有する突起部112が設けられており、電極113に電圧を印加することによって突起部112間に作用する静電力によって振動板111を変形させ、ノズル114よりインク滴115を吐出するもので、2枚の基板の貼り合わせ部分にギャップを作り込む必要性をなくし、高精度の貼り合わせ技術を不要としている。
【0004】
図12は、特開2000−343693号公報に記載のインクジェットヘッドの一例を示す図で、このインクジェットヘッドは、静電型イングジェットヘッドにおいて、振動板/液室基板121の振動板122側に個別電極123を設け、支持基板124を共通電極とし、電極の取り出しパッド125を、振動板/液室基板121の支持基板124側に形成するようにしている。なお、図12において、126はインク供給口、127は共通液室、128は流体抵抗、129は加圧液室、130はノズル板、131はノズル孔である。
【0005】
図13は、特開2001−113701号公報に記載のインクジェットヘッドの一例を示す図で、このインクジェットヘッドは、振動板122と対向電極133との間にギャップGを形成のためのスペーサ134を介して、液室/振動板基板121と対向電極基板124を接合するようにしたもので、このような構成において、電極取り出しパッド125を、液室/振動板基板121の反液室側に形成し、対向電極133側から配線するような構成とすることにより、チップサイズの縮小、実装コストの低減を図ることを可能としている。
【0006】
前記特開2000−15805号公報(図11)、特開2000−343693号公報(図12)、特開2001−113701号公報(図13)のいずれに記載の構成においても、電極取りだしパッドを振動板/液室基板に形成し、反インク吐出方向に形成することが容易な構成となっている(なお、特開2000−343693号公報、特開2001−113701号公報には、そのような記載が請求項・詳細な説明中にあり、特開平8−281944号公報には、そのような記載はないが、図に反インク吐出方向に電極取りだしパッドを形成した例が示されている(配線基板108参照)。また、特開2000−15805号公報には、パッド取り出しに関する具体的記載はない)。
【0007】
上述のように、反インク吐出面側に電極取りだしパッドを形成することにより、チップ面積が縮小され、チップコストの低減が可能となり、また、パッド取り出しも容易になり、実装コストの低減が可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、駆動電圧を印加するための電極パッドを液室/振動板基板上に形成するためには、液室/振動板基板はある程度厚い方が製造工程上望ましい。具体的には、少なくとも200μm以上、望ましくは、400μm程度あることが望ましい。それ以下の厚みの場合であっても、ウェハハンドリングの工夫や、例えば、図12に示した従来の構成例のように、支持基板側からの貫通孔の形状の工夫(大きな貫通孔を一つ開けるのではなく、小さな貫通孔を多数あけ、その間の隔壁を支柱とする。)によっても製造可能であるが、コストアップにつながる。
【0009】
一方、以下の理由から、液室/振動板基板の厚みが厚いと高密度化のためには不利となる。
(1)振動板が形成される基板をほとんど貫通するように凹部を形成し、吐出室とすることから、吐出室間の隔壁高さは、振動板基板の厚みとほとんど等しい。
(2)隔壁の剛性は、隔壁厚みが厚いほど、高さは低いほど高くなる。
(3)吐出室間の隔壁の剛性が不十分だと、吐出室間の圧力差による隔壁撓みが大きく、液滴の吐出特性が隣のチャネルの吐出状態(吐出・非吐出)で変わってしまう “クロストーク” が無視できなくなる。すなわち、クロストークを抑えるために隔壁にはある一定の剛性が必要である。
【0010】
前記(1)、(2)、(3)から、振動板基板の厚みが厚い場合には、必然的に隔壁高さが高くなるため、一定の剛性を確保するために、隔壁厚みを厚くする必要があり、このときの厚みが高密度化の妨げになる。具体的には、例えば、300dpiのノズル密度とする場合、隔壁高さは100μm以下にすることが望ましい。
【0011】
従って、本発明は、吐出室の壁を構成する振動板を電気エネルギーによって振動させることで液に圧力を加え液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、振動板を変形させるための駆動電圧を印加する電極パッドを、振動板/液室基板の支持基板側に形成することでチップサイズの縮小、実装コストの低減を図ると同時に、電極パッド部分の機械的強度を低下させること無く加圧液室間の隔壁高さを低くすることにより隔壁厚みを薄くすることを可能とし、高密度化を実現することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、液滴を吐出するノズル孔と、前記ノズル孔のそれぞれに連通する吐出室と、前記吐出室の少なくとも一つの壁を構成する振動板とを備え、前記振動板を電気エネルギーによって振動させることで液に圧力を加え液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、振動板を変形させるための駆動電圧を印加する電極パッドが、前記吐出室が形成される基板上に設けられているとともに、前記基板の“電極パッドが形成されている部分で吐出室が形成されていない部分” が補強部材で補強されていることを特徴としたものである。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、液に圧力を加え液滴を吐出する液滴吐出圧力の発生手段として、振動板と該振動板に対してギャップを介して対向配置された対向電極とから成り該振動板と対向電極との間に電圧を印加したときに発生する静電力と振動板の反発力により、前記振動板を振動させることを特徴としたものである。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、振動板の両面、または、片方の面に電気的に互いに絶縁分離された少なくとも2つの電極を設け、前記電極間に作用する静電力によって発生する前記振動板に対する曲げモーメントと振動板の剛性とにより前記振動板を振動させることを特徴としたものである。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、振動板が弾性膜・下部駆動電極・圧電膜・上部駆動電極の積層膜から構成されていて、前記下部駆動電極と上部駆動電極との間に電圧印加したときの前記圧電膜の変形により前記振動板を振動させることを特徴としたものである。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、補強部材と基板が一体に形成されていることを特徴としたものである。
【0017】
請求項6の発明は、インク滴を吐出するインクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置において、前記インクジェットヘッドが請求項1乃至5のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴としたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は、本発明の第1の実施例における液滴吐出ヘッドの分解斜視イメージ図で、一部断面図で示してある。図2は、ヘッド断面図で、図2(A)、図2(B)はそれぞれノズルの並びに対して垂直方向・平行方向の断面図である(なお、便宜上1チャネルのみ示してある)。
【0019】
図1、図2に示すように、本液滴吐出ヘッドは、大きくわけて、ノズル板10、補強部材20、第一の基板30、第二の基板40の4枚の構成部材から形成されている。第一の基板には、振動板31、吐出室(加圧液室)32および共通液室33が形成されている。第二の基板40には、対向電極41およびギャップGが形成されている。また、対向電極の電極取りだしパッド42も形成されているが、ギャップスペーサは極めて薄く、その強度は第一の基板30で保たれている。第一の基板30上にはノズルプレート10が貼り付けられており、振動板31の動作により吐出室32に圧力が加わるとノズル11からインクが吐出する。なお34は流体抵抗、44はインク供給口を示す。
【0020】
本実施例では、インク供給は平面図でみると、加圧液室32を挟んで、断面図でみれば、インク吐出方向と反対側から、電極パッド42から供給する様な構成としているが、そのような構成に限らず、従来からある様々な構成とすることができる。また、各構成材料も従来から用いられている様々な材料を用いることができる。
【0021】
以上は、従来と同様な構成であるが、本実施例においては、電極パッド42の形成される部分であって、加圧液室32が形成されていない領域を補強するような補強部材20が設けられている。このような構成とすることにより、第一の基板30を薄くしても補強部材20が設けられていることにより、パッド取り出し部分の強度が確保できるので、第一の基板30を薄くすることができ、同時に、吐出室間の隔壁高さも低くなる。その結果、クロストークの問題なく、隔壁の厚みを薄くできるので、高密度化が可能となる。
【0022】
本実施例の液吐出ヘッドの動作は、共通電極である振動板31とノズル孔11を選択するために個別電極としている対向電極41との間に電圧を印加し、この時に発生する静電力により振動板31を対向電極41側に変位させ、その後、印加電圧を切った時に、振動板31の機械的な反発力により振動板31が加圧液室32側に戻り、そのときに発生する圧力によりインク吐出させるものである。このような原理で動作するアクチュエータは、従来から言われているように、消費電力が小さく、また、その結果、ドライバーICや駆動波形発生回路等を小さくすることができるため、低コストの液滴吐出ヘッドを提供することが可能となる。
【0023】
また、補強部材20による段差をノズル板10の貼り付けのガイドとして使用することにより、ノズル貼り付けのアライメントを容易に行うことができ、低コスト化が可能となる。
【0024】
(実施例2)
図3は、本発明の第2の実施例を示す要部断面図で、振動板・電極等主要な部分は実施例1と同様である。実施例1では、補強部材20は第一の基板30とは別体に形成されていないが、この実施例2では補強部材20と第一の基板30が一体に形成されている。具体的には、電極パッド42の形成される部分が吐出室32の形成される部分よりも厚くなるような形状に第一の基板30を加工してやればよい。補強部材20を第一の基板30と一体形成することにより、部品点数が少なくなるとともに、基板と補強部材の張り合わせが不要になり、低コスト化が可能となる。
【0025】
(実施例3)
図4は、本発明の第3の実施例を示す要部断面図で、概略の構成・動作は実施例1と同様であるが、この実施例3では、振動板31側に個別電極を形成して対向電極を共通としたもので、特徴も実施例1と同様であり、どちらを選択することも可能である。
【0026】
(実施例4)
図5は、本発明の第4の実施例における液滴吐出ヘッドの分解斜視イメージ図で、一部断面図で示してある。図6は、図5に示した液滴吐出ヘッドのヘッド断面図で、図6(A)、図6(B)は、それぞれノズル11の並びに対して垂直方向・平行方向の断面図であり、便宜上1チャネルのみ示している。図7は電極面での平面図で、便宜上3つの吐出室分のみ示している。
【0027】
第一の基板30はシリコン基板を用い、その内には底壁を振動板31とする吐出室32と、吐出室にインクを供給するための共通液室33が形成されている。振動板31の下面には複数の電極35が形成されている。図7では便宜上7本の電極を示したが、他の本数でも良い。
【0028】
相隣り合う電極351 ,352同士は電気的に分離されていて、電極一本置きに同電位になるような二組の電極束となっている。それぞれの電極束に異なった電圧を印加すると、それらの間に静電引力が生じ、振動板を動作させる。本実施例では、そのうち一組“第一の電極”と表記した電極束351は、全吐出室共通で接地電位とし、“第二の電極”と表記した電極束352を吐出室ごと個別に駆動電圧を印加する構成にしている。もちろん、第一の電極も個別にして(接地電位以外の)駆動電圧を加えられるようにしても良い。また、本実施例では、電極をスリット状の分離溝で分離したが、例えば、島状に分離しても良い。また、電圧の印加方法も上に挙げた限りではない。また、本実施例では振動板の下面にのみ形成したが、上面または両面に形成してもよい。
【0029】
第一の基板30の下面に接合される第二の基板40は、電極を外部からの摩擦・衝撃や水分・ホコリなどから保護すると同時に、アクチュエータ全体の機械的強度を保つための支持基板となっている。本実施例では安価で加工しやすいシリコン基板を用いた。他に、ガラス、金属、樹脂などを使用することも可能である。この第二の基板40には各振動板31に対応する位置に3μm程度の深さの凹部Gが形成されている。本実施例では各吐出室ごとに凹部を形成したが、吐出室列全体を囲むように凹部を形成しても良い。また、深さも前記の値に限らない。
【0030】
図5〜図7に示した構成は、図11に示した従来技術と同様な構成であるが、本実施例においては、電極パッドの形成される部分であって、加圧液室が形成されていない領域を補強するような補強部材20が設けられている。このような構成とすることにより、第一の基板30を薄くしても補強部材20が設けられていることにより電極パッド36の取り出し部分の強度が確保できるので、第一の基板を薄くすることができ、同時に、吐出室間の隔壁高さも低くできる。その結果、クロストークの問題もなく、隔壁の厚みを薄くできるので、高密度化が可能となる。
【0031】
本実施例の液滴吐出ヘッドの動作は、電極間に電圧を印加したときに発生する静電力により振動板31に曲げモーメントを加えて振動板を撓ませ、また、電圧印加を切ったときに振動板31の反発力により振動板が初期位置に戻るという振動動作を用いて液滴を吐出させるものである。このような構成では、2枚の基板の貼り合わせ部分にギャップを作り込む必要がないので、高精度の貼り合わせが不要となり、低コスト化が可能となる。また、より大きな振動変位を得ることができるのでチップサイズの縮小が可能となる。この構成に関しても、図8の変形実施例に示すように補強部材20と第一の基板30を一体に形成し、部品点数を少なくするとともに、製造工程を短縮させて低コスト化を図ることも可能である。
【0032】
(実施例5)
図9は、本発明の第5の実施例における液滴吐出ヘッドの断面図で、この実施例5では、第一の基板30にシリコン基板を用い、その内には底壁を振動板35とする吐出室32と、該吐出室32にインクを供給するための共通液室33が形成されている。振動板35は、弾性膜35a・下部電極35b・圧電膜35c・上部電極35dの積層膜から構成されている。
【0033】
第一の基板30下面には第二の基板40が貼り付けられている。第二の基板40は、振動板等を外部からの摩擦・衝撃や水分・ホコリなどから保護すると同時に、アクチュエータ全体の機械的強度を保つための支持基板となっている。本実施例では安価で加工しやすいシリコン基板を用いた。他に、ガラス、金属、樹脂などを使用することも可能である。この基板40には各振動板35に対応する位置に3μm程度の深さの凹部が形成されている。本実施例では各吐出室ごとに凹部を形成したが、吐出室列全体を囲むように凹部を形成しても良い。また、深さも前記の値に限らない。
【0034】
図9に示した構成は、図10に示した従来技術とほぼ同様な構成であるが、本実施例においては、電極パッドの形成される部分であって、加圧液室32が形成されていない領域を補強するような補強部材20が設けられている。このような構成とすることにより、第一の基板30を薄くしても補強部材20が設けられていることによりパッド取り出し部分の強度が確保できるので、第一の基板30を薄くすることができ、同時に吐出室間の隔壁高さも低くできる。その結果、クロストークの問題もなく、隔壁の厚みを薄くできるので、高密度化が可能となる。
【0035】
本実施例の液滴吐出ヘッドの動作は、下部電極35bと上部電極間35dに電圧印加すると、圧電体35cが電圧印加と垂直方向(d31方向)に縮もうとするので、弾性体膜35aと積層した場合には弾性体膜35a側に撓む。そのとき、加圧液室32内の圧力が上がり、ノズル11よりインクが吐出される。このような構成のヘッドでは、実施例4と同様、2枚の基板の貼り合わせ部分にギャップを作り込む必要がないので、高精度の貼り合わせが不要である。また、構成も簡単であるので、低コスト化が可能となる。
【0036】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、電極パッドが形成されている部分の基板が補強部材で補強されていることから、電極パッド部分の機械的強度を低下させること無く容易に第一の基板厚みを薄くでき、歩留まり低下を招くことなく加圧液室間の隔壁高さを低くでき、高密度化が可能、すなわち、チップサイズを縮小することが可能となるので、低コストの液滴吐出ヘッドを作成することが可能となる。
【0037】
請求項2の発明によると、液滴吐出圧力発生方法として、振動板と対向電極との間に電圧を印加したときに発生する静電力と振動板の反発力を用いるような構成とすることにより、消費電力が小さく、また、その結果、ドライバーICや駆動波形発生回路等を小さくすることができるので、低コストの液滴吐出ヘッドを作成することが可能となる。
【0038】
請求項3の発明によると、液滴吐出圧力発生方法として、振動板上に形成した電気的に互いに絶縁分離された少なくとも2つの電極を設け、これら電極間に作用する静電力によって発生する前記振動板に対する曲げモーメントと振動板反発力を用いるような構成とすることにより、高精度の貼り合わせが不要となり、低コスト化が可能となる。また、より大きな振動変位を得ることができるので、アクチュエータサイズの縮小が可能となり、低コストの液滴吐出ヘッドを作成することが可能となる。
【0039】
請求項4の発明によると、液滴吐出圧力発生方法として、弾性膜・下部電極・圧電膜・上部電極からなる振動板の上部電極−下部電極間に電圧印加したときの、圧電膜の変形により振動板を撓ませるような構成とすることにより、高精度の貼り合わせが不要となり、また、構成も簡単であることから、低コストの液滴吐出ヘッドを作成することが可能となる。
【0040】
請求項5の発明によると、補強部材と第一の基板を一体で形成することにより、部品点数が少なくなるとともに、基板と補強部材の張り合わせが不要になり、液滴吐出ヘッドを作成することが可能となる。
【0041】
請求項6の発明によると、本発明に係るいずれかの液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドを搭載したので、低コストのインクジェットプリンターを作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における液滴吐出ヘッドの分解斜視イメージ図である。
【図2】図1に示した液滴吐出ヘッドの断面図で、図2(A)、図2(B)はそれぞれノズルの並びに対して垂直方向・平行方向の断面図である。
【図3】本発明の第2の実施例を説明するための要部断面図である。
【図4】本発明の第3の実施例を説明するための要部断面図である。
【図5】本発明の第4の実施例における液滴吐出ヘッドの分解斜視イメージ図である。
【図6】図5に示した液滴吐出ヘッドのヘッド断面図で、図6(A)、図6(B)は、それぞれノズルの並びに対して垂直方向・平行方向の断面図である。
【図7】図6に示した液滴吐出ヘッドにおける電極面での平面図で、便宜上3つの吐出室分のみ示す図である。
【図8】第4の実施例の変形実施例を示す図である。
【図9】本発明の第5の実施例における液滴吐出ヘッド断面図である。
【図10】従来のインクジェットプリンタヘッドの一例を示す図である。
【図11】従来のインクジェットプリンタの他の例を示す図である。
【図12】従来のインクジェットヘッドの他の例を示す図である。
【図13】従来のインクジェットヘッドの更に他の例を示す図である。
【符号の説明】
10…ノズル板、11…ノズル孔、20…補強部材、30…第一の基板、31…振動板、32…加圧液室、33…共通液室、34…流体抵抗、35…電極、36…電極パッド、40…第二の基板、41…対向電極、42…電極パッド、44…インク供給口。
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出ヘッドおよび該液滴吐出ヘッドを搭載したインクジェットヘッド、より詳細には、振動板を変形させるための駆動電圧を印加する電極パッドの実装に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10は、特開平8−281944号公報に記載のインクジェットプリンタヘッドの一例を示す図で、このインクジェットプリンタヘッドは、隔壁を介して列状に配列されたインク加圧室102を有する加圧室基板101と、この加圧室基板101の片面を覆蓋し、加圧室102の一壁面をなすがごとく配置された圧力発生膜105と、各々の加圧室102の壁面に設けられたインク吐出ノズル104と、インク供給路103からなり、前記圧力発生膜105は、弾性膜105a・下部電極105b・圧電膜105c・上部電極105dの積層膜から構成されており、このような構成とすることにより、簡単な構成で低コストのインクジェットヘッドを実現している。なお、106は支持基板、107はノズルプレート、108は配線基板である。
【0003】
図11は、特開2000−15805号公報に記載のインクジェットプリンタの一例を示す図で、このインクジェットプリンタは、振動板111の表面に電極113を有する突起部112が設けられており、電極113に電圧を印加することによって突起部112間に作用する静電力によって振動板111を変形させ、ノズル114よりインク滴115を吐出するもので、2枚の基板の貼り合わせ部分にギャップを作り込む必要性をなくし、高精度の貼り合わせ技術を不要としている。
【0004】
図12は、特開2000−343693号公報に記載のインクジェットヘッドの一例を示す図で、このインクジェットヘッドは、静電型イングジェットヘッドにおいて、振動板/液室基板121の振動板122側に個別電極123を設け、支持基板124を共通電極とし、電極の取り出しパッド125を、振動板/液室基板121の支持基板124側に形成するようにしている。なお、図12において、126はインク供給口、127は共通液室、128は流体抵抗、129は加圧液室、130はノズル板、131はノズル孔である。
【0005】
図13は、特開2001−113701号公報に記載のインクジェットヘッドの一例を示す図で、このインクジェットヘッドは、振動板122と対向電極133との間にギャップGを形成のためのスペーサ134を介して、液室/振動板基板121と対向電極基板124を接合するようにしたもので、このような構成において、電極取り出しパッド125を、液室/振動板基板121の反液室側に形成し、対向電極133側から配線するような構成とすることにより、チップサイズの縮小、実装コストの低減を図ることを可能としている。
【0006】
前記特開2000−15805号公報(図11)、特開2000−343693号公報(図12)、特開2001−113701号公報(図13)のいずれに記載の構成においても、電極取りだしパッドを振動板/液室基板に形成し、反インク吐出方向に形成することが容易な構成となっている(なお、特開2000−343693号公報、特開2001−113701号公報には、そのような記載が請求項・詳細な説明中にあり、特開平8−281944号公報には、そのような記載はないが、図に反インク吐出方向に電極取りだしパッドを形成した例が示されている(配線基板108参照)。また、特開2000−15805号公報には、パッド取り出しに関する具体的記載はない)。
【0007】
上述のように、反インク吐出面側に電極取りだしパッドを形成することにより、チップ面積が縮小され、チップコストの低減が可能となり、また、パッド取り出しも容易になり、実装コストの低減が可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、駆動電圧を印加するための電極パッドを液室/振動板基板上に形成するためには、液室/振動板基板はある程度厚い方が製造工程上望ましい。具体的には、少なくとも200μm以上、望ましくは、400μm程度あることが望ましい。それ以下の厚みの場合であっても、ウェハハンドリングの工夫や、例えば、図12に示した従来の構成例のように、支持基板側からの貫通孔の形状の工夫(大きな貫通孔を一つ開けるのではなく、小さな貫通孔を多数あけ、その間の隔壁を支柱とする。)によっても製造可能であるが、コストアップにつながる。
【0009】
一方、以下の理由から、液室/振動板基板の厚みが厚いと高密度化のためには不利となる。
(1)振動板が形成される基板をほとんど貫通するように凹部を形成し、吐出室とすることから、吐出室間の隔壁高さは、振動板基板の厚みとほとんど等しい。
(2)隔壁の剛性は、隔壁厚みが厚いほど、高さは低いほど高くなる。
(3)吐出室間の隔壁の剛性が不十分だと、吐出室間の圧力差による隔壁撓みが大きく、液滴の吐出特性が隣のチャネルの吐出状態(吐出・非吐出)で変わってしまう “クロストーク” が無視できなくなる。すなわち、クロストークを抑えるために隔壁にはある一定の剛性が必要である。
【0010】
前記(1)、(2)、(3)から、振動板基板の厚みが厚い場合には、必然的に隔壁高さが高くなるため、一定の剛性を確保するために、隔壁厚みを厚くする必要があり、このときの厚みが高密度化の妨げになる。具体的には、例えば、300dpiのノズル密度とする場合、隔壁高さは100μm以下にすることが望ましい。
【0011】
従って、本発明は、吐出室の壁を構成する振動板を電気エネルギーによって振動させることで液に圧力を加え液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、振動板を変形させるための駆動電圧を印加する電極パッドを、振動板/液室基板の支持基板側に形成することでチップサイズの縮小、実装コストの低減を図ると同時に、電極パッド部分の機械的強度を低下させること無く加圧液室間の隔壁高さを低くすることにより隔壁厚みを薄くすることを可能とし、高密度化を実現することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、液滴を吐出するノズル孔と、前記ノズル孔のそれぞれに連通する吐出室と、前記吐出室の少なくとも一つの壁を構成する振動板とを備え、前記振動板を電気エネルギーによって振動させることで液に圧力を加え液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、振動板を変形させるための駆動電圧を印加する電極パッドが、前記吐出室が形成される基板上に設けられているとともに、前記基板の“電極パッドが形成されている部分で吐出室が形成されていない部分” が補強部材で補強されていることを特徴としたものである。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、液に圧力を加え液滴を吐出する液滴吐出圧力の発生手段として、振動板と該振動板に対してギャップを介して対向配置された対向電極とから成り該振動板と対向電極との間に電圧を印加したときに発生する静電力と振動板の反発力により、前記振動板を振動させることを特徴としたものである。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、振動板の両面、または、片方の面に電気的に互いに絶縁分離された少なくとも2つの電極を設け、前記電極間に作用する静電力によって発生する前記振動板に対する曲げモーメントと振動板の剛性とにより前記振動板を振動させることを特徴としたものである。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、振動板が弾性膜・下部駆動電極・圧電膜・上部駆動電極の積層膜から構成されていて、前記下部駆動電極と上部駆動電極との間に電圧印加したときの前記圧電膜の変形により前記振動板を振動させることを特徴としたものである。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、補強部材と基板が一体に形成されていることを特徴としたものである。
【0017】
請求項6の発明は、インク滴を吐出するインクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置において、前記インクジェットヘッドが請求項1乃至5のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴としたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は、本発明の第1の実施例における液滴吐出ヘッドの分解斜視イメージ図で、一部断面図で示してある。図2は、ヘッド断面図で、図2(A)、図2(B)はそれぞれノズルの並びに対して垂直方向・平行方向の断面図である(なお、便宜上1チャネルのみ示してある)。
【0019】
図1、図2に示すように、本液滴吐出ヘッドは、大きくわけて、ノズル板10、補強部材20、第一の基板30、第二の基板40の4枚の構成部材から形成されている。第一の基板には、振動板31、吐出室(加圧液室)32および共通液室33が形成されている。第二の基板40には、対向電極41およびギャップGが形成されている。また、対向電極の電極取りだしパッド42も形成されているが、ギャップスペーサは極めて薄く、その強度は第一の基板30で保たれている。第一の基板30上にはノズルプレート10が貼り付けられており、振動板31の動作により吐出室32に圧力が加わるとノズル11からインクが吐出する。なお34は流体抵抗、44はインク供給口を示す。
【0020】
本実施例では、インク供給は平面図でみると、加圧液室32を挟んで、断面図でみれば、インク吐出方向と反対側から、電極パッド42から供給する様な構成としているが、そのような構成に限らず、従来からある様々な構成とすることができる。また、各構成材料も従来から用いられている様々な材料を用いることができる。
【0021】
以上は、従来と同様な構成であるが、本実施例においては、電極パッド42の形成される部分であって、加圧液室32が形成されていない領域を補強するような補強部材20が設けられている。このような構成とすることにより、第一の基板30を薄くしても補強部材20が設けられていることにより、パッド取り出し部分の強度が確保できるので、第一の基板30を薄くすることができ、同時に、吐出室間の隔壁高さも低くなる。その結果、クロストークの問題なく、隔壁の厚みを薄くできるので、高密度化が可能となる。
【0022】
本実施例の液吐出ヘッドの動作は、共通電極である振動板31とノズル孔11を選択するために個別電極としている対向電極41との間に電圧を印加し、この時に発生する静電力により振動板31を対向電極41側に変位させ、その後、印加電圧を切った時に、振動板31の機械的な反発力により振動板31が加圧液室32側に戻り、そのときに発生する圧力によりインク吐出させるものである。このような原理で動作するアクチュエータは、従来から言われているように、消費電力が小さく、また、その結果、ドライバーICや駆動波形発生回路等を小さくすることができるため、低コストの液滴吐出ヘッドを提供することが可能となる。
【0023】
また、補強部材20による段差をノズル板10の貼り付けのガイドとして使用することにより、ノズル貼り付けのアライメントを容易に行うことができ、低コスト化が可能となる。
【0024】
(実施例2)
図3は、本発明の第2の実施例を示す要部断面図で、振動板・電極等主要な部分は実施例1と同様である。実施例1では、補強部材20は第一の基板30とは別体に形成されていないが、この実施例2では補強部材20と第一の基板30が一体に形成されている。具体的には、電極パッド42の形成される部分が吐出室32の形成される部分よりも厚くなるような形状に第一の基板30を加工してやればよい。補強部材20を第一の基板30と一体形成することにより、部品点数が少なくなるとともに、基板と補強部材の張り合わせが不要になり、低コスト化が可能となる。
【0025】
(実施例3)
図4は、本発明の第3の実施例を示す要部断面図で、概略の構成・動作は実施例1と同様であるが、この実施例3では、振動板31側に個別電極を形成して対向電極を共通としたもので、特徴も実施例1と同様であり、どちらを選択することも可能である。
【0026】
(実施例4)
図5は、本発明の第4の実施例における液滴吐出ヘッドの分解斜視イメージ図で、一部断面図で示してある。図6は、図5に示した液滴吐出ヘッドのヘッド断面図で、図6(A)、図6(B)は、それぞれノズル11の並びに対して垂直方向・平行方向の断面図であり、便宜上1チャネルのみ示している。図7は電極面での平面図で、便宜上3つの吐出室分のみ示している。
【0027】
第一の基板30はシリコン基板を用い、その内には底壁を振動板31とする吐出室32と、吐出室にインクを供給するための共通液室33が形成されている。振動板31の下面には複数の電極35が形成されている。図7では便宜上7本の電極を示したが、他の本数でも良い。
【0028】
相隣り合う電極351 ,352同士は電気的に分離されていて、電極一本置きに同電位になるような二組の電極束となっている。それぞれの電極束に異なった電圧を印加すると、それらの間に静電引力が生じ、振動板を動作させる。本実施例では、そのうち一組“第一の電極”と表記した電極束351は、全吐出室共通で接地電位とし、“第二の電極”と表記した電極束352を吐出室ごと個別に駆動電圧を印加する構成にしている。もちろん、第一の電極も個別にして(接地電位以外の)駆動電圧を加えられるようにしても良い。また、本実施例では、電極をスリット状の分離溝で分離したが、例えば、島状に分離しても良い。また、電圧の印加方法も上に挙げた限りではない。また、本実施例では振動板の下面にのみ形成したが、上面または両面に形成してもよい。
【0029】
第一の基板30の下面に接合される第二の基板40は、電極を外部からの摩擦・衝撃や水分・ホコリなどから保護すると同時に、アクチュエータ全体の機械的強度を保つための支持基板となっている。本実施例では安価で加工しやすいシリコン基板を用いた。他に、ガラス、金属、樹脂などを使用することも可能である。この第二の基板40には各振動板31に対応する位置に3μm程度の深さの凹部Gが形成されている。本実施例では各吐出室ごとに凹部を形成したが、吐出室列全体を囲むように凹部を形成しても良い。また、深さも前記の値に限らない。
【0030】
図5〜図7に示した構成は、図11に示した従来技術と同様な構成であるが、本実施例においては、電極パッドの形成される部分であって、加圧液室が形成されていない領域を補強するような補強部材20が設けられている。このような構成とすることにより、第一の基板30を薄くしても補強部材20が設けられていることにより電極パッド36の取り出し部分の強度が確保できるので、第一の基板を薄くすることができ、同時に、吐出室間の隔壁高さも低くできる。その結果、クロストークの問題もなく、隔壁の厚みを薄くできるので、高密度化が可能となる。
【0031】
本実施例の液滴吐出ヘッドの動作は、電極間に電圧を印加したときに発生する静電力により振動板31に曲げモーメントを加えて振動板を撓ませ、また、電圧印加を切ったときに振動板31の反発力により振動板が初期位置に戻るという振動動作を用いて液滴を吐出させるものである。このような構成では、2枚の基板の貼り合わせ部分にギャップを作り込む必要がないので、高精度の貼り合わせが不要となり、低コスト化が可能となる。また、より大きな振動変位を得ることができるのでチップサイズの縮小が可能となる。この構成に関しても、図8の変形実施例に示すように補強部材20と第一の基板30を一体に形成し、部品点数を少なくするとともに、製造工程を短縮させて低コスト化を図ることも可能である。
【0032】
(実施例5)
図9は、本発明の第5の実施例における液滴吐出ヘッドの断面図で、この実施例5では、第一の基板30にシリコン基板を用い、その内には底壁を振動板35とする吐出室32と、該吐出室32にインクを供給するための共通液室33が形成されている。振動板35は、弾性膜35a・下部電極35b・圧電膜35c・上部電極35dの積層膜から構成されている。
【0033】
第一の基板30下面には第二の基板40が貼り付けられている。第二の基板40は、振動板等を外部からの摩擦・衝撃や水分・ホコリなどから保護すると同時に、アクチュエータ全体の機械的強度を保つための支持基板となっている。本実施例では安価で加工しやすいシリコン基板を用いた。他に、ガラス、金属、樹脂などを使用することも可能である。この基板40には各振動板35に対応する位置に3μm程度の深さの凹部が形成されている。本実施例では各吐出室ごとに凹部を形成したが、吐出室列全体を囲むように凹部を形成しても良い。また、深さも前記の値に限らない。
【0034】
図9に示した構成は、図10に示した従来技術とほぼ同様な構成であるが、本実施例においては、電極パッドの形成される部分であって、加圧液室32が形成されていない領域を補強するような補強部材20が設けられている。このような構成とすることにより、第一の基板30を薄くしても補強部材20が設けられていることによりパッド取り出し部分の強度が確保できるので、第一の基板30を薄くすることができ、同時に吐出室間の隔壁高さも低くできる。その結果、クロストークの問題もなく、隔壁の厚みを薄くできるので、高密度化が可能となる。
【0035】
本実施例の液滴吐出ヘッドの動作は、下部電極35bと上部電極間35dに電圧印加すると、圧電体35cが電圧印加と垂直方向(d31方向)に縮もうとするので、弾性体膜35aと積層した場合には弾性体膜35a側に撓む。そのとき、加圧液室32内の圧力が上がり、ノズル11よりインクが吐出される。このような構成のヘッドでは、実施例4と同様、2枚の基板の貼り合わせ部分にギャップを作り込む必要がないので、高精度の貼り合わせが不要である。また、構成も簡単であるので、低コスト化が可能となる。
【0036】
【発明の効果】
請求項1の発明によると、電極パッドが形成されている部分の基板が補強部材で補強されていることから、電極パッド部分の機械的強度を低下させること無く容易に第一の基板厚みを薄くでき、歩留まり低下を招くことなく加圧液室間の隔壁高さを低くでき、高密度化が可能、すなわち、チップサイズを縮小することが可能となるので、低コストの液滴吐出ヘッドを作成することが可能となる。
【0037】
請求項2の発明によると、液滴吐出圧力発生方法として、振動板と対向電極との間に電圧を印加したときに発生する静電力と振動板の反発力を用いるような構成とすることにより、消費電力が小さく、また、その結果、ドライバーICや駆動波形発生回路等を小さくすることができるので、低コストの液滴吐出ヘッドを作成することが可能となる。
【0038】
請求項3の発明によると、液滴吐出圧力発生方法として、振動板上に形成した電気的に互いに絶縁分離された少なくとも2つの電極を設け、これら電極間に作用する静電力によって発生する前記振動板に対する曲げモーメントと振動板反発力を用いるような構成とすることにより、高精度の貼り合わせが不要となり、低コスト化が可能となる。また、より大きな振動変位を得ることができるので、アクチュエータサイズの縮小が可能となり、低コストの液滴吐出ヘッドを作成することが可能となる。
【0039】
請求項4の発明によると、液滴吐出圧力発生方法として、弾性膜・下部電極・圧電膜・上部電極からなる振動板の上部電極−下部電極間に電圧印加したときの、圧電膜の変形により振動板を撓ませるような構成とすることにより、高精度の貼り合わせが不要となり、また、構成も簡単であることから、低コストの液滴吐出ヘッドを作成することが可能となる。
【0040】
請求項5の発明によると、補強部材と第一の基板を一体で形成することにより、部品点数が少なくなるとともに、基板と補強部材の張り合わせが不要になり、液滴吐出ヘッドを作成することが可能となる。
【0041】
請求項6の発明によると、本発明に係るいずれかの液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドを搭載したので、低コストのインクジェットプリンターを作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における液滴吐出ヘッドの分解斜視イメージ図である。
【図2】図1に示した液滴吐出ヘッドの断面図で、図2(A)、図2(B)はそれぞれノズルの並びに対して垂直方向・平行方向の断面図である。
【図3】本発明の第2の実施例を説明するための要部断面図である。
【図4】本発明の第3の実施例を説明するための要部断面図である。
【図5】本発明の第4の実施例における液滴吐出ヘッドの分解斜視イメージ図である。
【図6】図5に示した液滴吐出ヘッドのヘッド断面図で、図6(A)、図6(B)は、それぞれノズルの並びに対して垂直方向・平行方向の断面図である。
【図7】図6に示した液滴吐出ヘッドにおける電極面での平面図で、便宜上3つの吐出室分のみ示す図である。
【図8】第4の実施例の変形実施例を示す図である。
【図9】本発明の第5の実施例における液滴吐出ヘッド断面図である。
【図10】従来のインクジェットプリンタヘッドの一例を示す図である。
【図11】従来のインクジェットプリンタの他の例を示す図である。
【図12】従来のインクジェットヘッドの他の例を示す図である。
【図13】従来のインクジェットヘッドの更に他の例を示す図である。
【符号の説明】
10…ノズル板、11…ノズル孔、20…補強部材、30…第一の基板、31…振動板、32…加圧液室、33…共通液室、34…流体抵抗、35…電極、36…電極パッド、40…第二の基板、41…対向電極、42…電極パッド、44…インク供給口。
Claims (6)
- 液滴を吐出するノズル孔と、該ノズル孔のそれぞれに連通する吐出室と、該吐出室の少なくとも一つの壁を構成する振動板とを備え、該振動板を電気エネルギーによって振動させることで液に圧力を加え、前記ノズル孔より液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板を振動させるための駆動電圧を印加する電極パッドが、前記吐出室が形成される基板に設けられているとともに、前記基板の前記電極パッドが形成されている部分でかつ前記吐出室が形成されていない部分が補強部材で補強されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1の液滴吐出ヘッドにおいて、液に圧力を加えて液滴を吐出する液滴吐出圧力の発生手段は、前記振動板と該振動板に対してギャップを介して対向配置された対向電極とから成り、該振動板と前記対向電極との間に電圧を印加したときに発生する静電力と振動板の反発力により、前記振動板を振動させることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1の液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板の両面、または、片方の面に電気的に互いに絶縁分離された少なくとも2つの電極を有し、これら電極間に作用する静電力によって発生する前記振動板に対する曲げモーメントと振動板の剛性とにより前記振動板を振動させることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1の液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板が弾性膜・下部駆動電極・圧電膜・上部駆動電極の積層膜から構成されていて、前記下部駆動電極と上部駆動電極との間に電圧印加したときの前記圧電膜の変形により前記振動板を振動させることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項1の液滴吐出ヘッドにおいて、前記補強部材と前記基板が一体に形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- インク滴を吐出するインクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置において、前記インクジェットヘッドが請求項1乃至5のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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