JP2004025564A - 木質系ボードの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】木質系材料に有機樹脂系の接着剤を塗布し、これを熱圧成形する木質系ボードの製造方法において、前記木質系材料に前記接着剤を塗布する前に、シランカップリング剤もしくはその部分加水分解物を予め有機樹脂接着剤に添加しておくか、或いは前記木質系材料に前処理することを特徴とする木質系ボードの製造方法。
【効果】本発明の木質系ボードの製造方法により、従来の木質系ボードと比較して格段に強度を高めることができる。
【選択図】 なし
【効果】本発明の木質系ボードの製造方法により、従来の木質系ボードと比較して格段に強度を高めることができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パーティクルボード、中質繊維板(MDF)、配向性ストランドボード(OSB)等の木質系ボードの製造方法、特に、曲げ強度、荷重強度、衝撃強度等に優れた木質系ボードを製造することができる木質系ボードの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
パーティクルボード、中質繊維板、配向性ストランドボード等の木質系ボードは、通常、破砕小片(チップ)、切削小片(フレーク、ウエハ、ストランド)等の木材小片や木材繊維に接着剤を塗布し、この木材小片や木材繊維を熱圧成形することにより製造される。
【0003】
このような木質系ボードの製造に際しては、尿素樹脂、メラミン樹脂のようなアミノ樹脂系の接着剤やフェノール樹脂系の接着剤或いはイソシアネート系接着剤が、木材小片、木材繊維のバインダとして使用されている。しかし、どの接着剤を用いても、得られる木質系ボードの強度に関しては劣っており、オフィス用途に使用されているセメント板と同等レベルの強度には達していない。
【0004】
そこで、この発明の目的は、どの接着剤を使用した場合にも、製造される木質系ボードの強度、特に、曲げ強度、荷重強度、衝撃強度等に優れた木質系ボードの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、木質系材料に有機樹脂系の接着剤を塗布し、これを熱圧成形する木質系ボードの製造方法において、前記木質系材料に前記接着剤を塗布する前に、シランカップリング剤もしくはその部分加水分解物又はオルガノシランオリゴマーを予め有機樹脂接着剤に添加しておくか、或いは前記木質系材料に前処理すると、そのシランカップリング剤或いはオルガノシランオリゴマーにより、木質系材料と接着剤樹脂との密着性が強固となり、木質系ボード自身の強度が大幅に高まることを見出し、本発明をなすに至った。
【0006】
従って、本発明は、木質系材料に有機樹脂系の接着剤を塗布し、これを熱圧成形する木質系ボードの製造方法において、前記木質系材料に前記接着剤を塗布する前に、シランカップリング剤もしくはその部分加水分解物を予め有機樹脂接着剤に添加しておくか、或いは前記木質系材料に前処理することを特徴とする木質系ボードの製造方法を提供する。
【0007】
また、本発明は、木質系材料に有機樹脂系の接着剤を塗布し、これを熱圧成形する木質系ボードの製造方法において、前記木質系材料に前記接着剤を塗布する前に、非水又は含水有機溶媒系で、オルガノシランオリゴマーを予め有機樹脂接着剤に添加しておくか、或いは前記木質系材料に前処理することを特徴とする木質系ボードの製造方法を提供する。
【0008】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明において、木質系の材料としては、木材片、木材繊維、ウエハ、木毛、ストランド、木質パルプ、木粉などを用いることができ、その形状は例えば片状、繊維状、粉状などがある。好ましくは、木材小片又は木材繊維である。
【0009】
本発明においては、木質系の材料に、有機樹脂系の接着剤を塗布し、木質系ボードを作製する。その有機樹脂系接着剤は、加熱により硬化して、木質材料同士を接着させるものであり、かかる有機樹脂としては、ポリイソシアナート系、フェノール樹脂系、尿素樹脂系、メラミン樹脂系などの熱硬化性樹脂が好適に用いられる。
【0010】
本発明においては、シランカップリング剤もしくはその部分加水分解物又はオルガノシランオリゴマーを上記有機樹脂系接着剤に添加するか、或いは上記木質系材料に前処理を行うことにより、高い強度を持つ木質系ボードが作製可能となる。
【0011】
本発明で使用されるシランカップリング剤は、下記一般式(1)で表されるものであることが好ましい。
YR1 mSi(OR2)3−m (1)
(式中、R1は炭素数1〜8の置換又は非置換の1価炭化水素基、R2は炭素数1〜4のアルキル基、Yは非置換又は置換のエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選ばれる官能基を有する有機基であり、mは0又は1である。)
【0012】
ここで、R1は炭素数1〜8の窒素原子を含まない置換又は非置換の1価炭化水素基であり、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などや、これらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子などで置換した例えばハロゲン化アルキル基などが挙げられる。
【0013】
具体的には、−CH3,−CH2CH3,−CH2CH2CH3,−CH(CH3)2,−CH2CH2CH2CH3,−CH(CH3)CH2CH3,−CH2CH(CH3)CH3,−C(CH3)3,−C6H5,−C6H13などが例示される。
【0014】
また、R2は炭素数1〜4のアルキル基であり、具体的には、−CH3,−CH2CH3,−CH2CH2CH3,−CH(CH3)2,−CH2CH2CH2CH3,−CH(CH3)CH2CH3,−CH2CH(CH3)CH3,−C(CH3)3などが例示されるが、中でも−CH3,−C2H5が好ましい。
【0015】
Yは非置換又は置換のエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選ばれる官能基を有する有機基が挙げられる。具体的には、下記のものが挙げられる。
H2NCH2−,H(CH3)NCH2−,H2NCH2CH2−,H(CH3)NCH2CH2−,H2NCH2CH2CH2−,H(CH3)NCH2CH2CH2−,(CH3)2NCH2CH2CH2−,H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2−,H(CH3)NCH2CH2HNCH2CH2CH2−,(CH3)2NCH2CH2HNCH2CH2CH2−,H2NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2−,H(CH3)NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2−,
【化1】
O=C=N−CH2CH2−,O=C=N−CH2CH2CH2−
【0016】
上記式(1)のシランカップリング剤としては、下記のものを例示することができる。
H2NCH2Si(OCH3)3,H2NCH2Si(OCH2CH3)3,H2NCH2SiCH3(OCH3)2,H2NCH2SiCH3(OCH2CH3)2,H2NCH2CH2Si(OCH3)3,H2NCH2CH2Si(OCH2CH3)3,H2NCH2CH2SiCH3(OCH3)2,H2NCH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2,H2NCH2CH2CH2Si(OCH3)3,H2NCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3,H2NCH2CH2CH2SiCH3(OCH3)2,H2NCH2CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2,H(CH3)NCH2CH2CH2Si(OCH3)3,H(CH3)NCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3,H(CH3)NCH2CH2CH2SiCH3(OCH3)2,H(CH3)NCH2CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2,(CH3)2NCH2CH2CH2Si(OCH3)3,(CH3)2NCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3,H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH3)3,H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3,H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2SiCH3(OCH3)2,H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2,H2NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH3)3,H2NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3,H2NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2SiCH3(OCH3)2,H2NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2,
【化2】
【化3】
O=C=N−CH2CH2Si(OCH3)3,O=C=N−CH2CH2Si(OCH2CH3)3,O=C=N−CH2CH2SiCH3(OCH3)2,O=C=N−CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2,O=C=N−CH2CH2CH2Si(OCH3)3,O=C=N−CH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3,O=C=N−CH2CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2,O=C=N−CH2CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2
【0017】
これらの中で特に好ましくは、
H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH3)3,H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3,
【化4】
O=C=N−CH2CH2CH2Si(OCH3)3,O=C=N−CH2CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2
であり、これらの部分加水分解物を用いてもよい。
【0018】
また、本発明で使用されるオルガノシランオリゴマーは、
(A)下記一般式(2)
(CH3)a(OR2)bSiO(4−a−b)/2 (2)
(式中、R2は炭素数1〜4のアルキル基であり、aは0.75〜1.5、bは0.2〜3で、かつ0.9<a+b≦4を満足する正数である。)
で示される有機ケイ素化合物100重量部と、
(B)下記一般式(3)
R3R4NR5−SiR6 n(OR2)3−n (3)
(式中、R2は上記と同様であり、R3、R4はそれぞれ互いに同一又は異種の水素原子、又は炭素数1〜15のアルキル基又はアミノアルキル基、R5は炭素数1〜18の2価炭化水素基、R6は炭素数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)
で示されるアミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物0.5〜49重量部と
を有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合させたものであることが好ましい。
【0019】
(A)成分は、下記一般式(2)
(CH3)a(OR2)bSiO(4−a−b)/2 (2)
(式中、R2は炭素数1〜4のアルキル基であり、aは0.75〜1.5、bは0.2〜3で、かつ0.9<a+b≦4を満足する正数である。)
で示されるメチルトリアルコキシシラン或いはアルコキシ基含有シロキサンである。
【0020】
上記式(2)のR2は炭素数1〜4のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられ、メチル基、エチル基が好ましい。このような式(2)の有機ケイ素化合物において、a+b=4であるシランの具体例としては、CH3Si(OCH3)3,CH3Si(OC2H5)3,CH3Si(OCH(CH3)2)3などを挙げることができる。
【0021】
このような各種シランを単独で使用しても2種類以上の混合物を使用してもよいし、混合シランの部分加水分解物を使用してもよい。
【0022】
また、(A)成分として当該技術分野において周知であるように、上記シランを部分加水分解縮合したアルコキシ基含有シロキサンを用いることができる(この場合の部分加水分解物のケイ素原子の数は2〜10、特に2〜4であることが好ましい。)。また、水中で炭素数1〜6のアルキルトリクロロシラン単独及び炭素数1〜6のジアルキルジクロロシランとトリアルキルクロロシランとの混合物とメタノール又はエタノールとの反応により得られるものでもよい(この場合もケイ素原子数が2〜6、特に2〜4であることが好ましく、また、25℃で300mm2/s以下の粘度を有しているものが好ましく、特に1〜100mm2/sの粘度を有するものが好適である。)。
【0023】
一方、(B)成分は、下記一般式(3)
R3R4NR5−SiR6 n(OR2)3−n (3)
(式中、R2は上記と同様であり、R3、R4はそれぞれ互いに同一又は異種の水素原子、又は炭素数1〜15のアルキル基又はアミノアルキル基、R5は炭素数1〜18の2価炭化水素基、R6は炭素数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)
で示されるアミノ基含有アルコキシシランである。
【0024】
上記式(3)中のR3、R4としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基等が挙げられる。R5としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基が挙げられる。R6としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
【0025】
このような式(3)のアミノ基含有アルコキシシランの具体例としては、下記のものが挙げられる。
H2N(CH2)2Si(OCH3)3,H2N(CH2)2Si(OCH2CH3)3,H2N(CH2)3Si(OCH3)3,H2N(CH2)3Si(OCH2CH3)3,CH3NH(CH2)3Si(OCH3)3,CH3NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3,CH3NH(CH2)5Si(OCH3)3,CH3NH(CH2)5Si(OCH2CH3)3,H2N(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3,H2N(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3,CH3NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3,CH3NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3,C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3,C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3,H2N(CH2)2SiCH3(OCH3)2,H2N(CH2)2SiCH3(OCH2CH3)2,H2N(CH2)3SiCH3(OCH3)2,H2N(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2,CH3NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2,CH3NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2,CH3NH(CH2)5SiCH3(OCH3)2,CH3NH(CH2)5SiCH3(OCH2CH3)2,H2N(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2,H2N(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2,CH3NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2,CH3NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2,C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2,C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2
【0026】
これらの中で特に、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどが好適に用いられる。
【0027】
上記(A)及び(B)成分の使用割合は、(A)成分100部(重量部、以下同じ)に対して(B)成分0.5〜49部、好ましくは5〜20部である。(B)成分が0.5部未満だと木質系材料に処理した場合の吸着性が弱くなり、木質系ボードの強度や水溶性が悪くなることがある。また、(B)成分が多すぎると、成形した木質系ボードの黄変が激しくなる場合がある。
【0028】
また、モル換算の場合、(A)成分のSi単位1モルに対し、(B)成分0.01〜0.3モル、より好ましくは0.2〜0.05モルであることが好ましい。(B)成分が0.01モル未満だと木質系材料に処理した場合の吸着性が弱くなり、木質系ボードの強度や水溶性が悪くなることがある。(B)成分が0.3モルを超えると、成形した木質系ボードの黄変が激しくなる場合がある。
【0029】
これら(A)及び(B)成分を用いてオルガノシランオリゴマーを製造するには、有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解させればよい。この場合、最初に(A)成分を有機酸或いは無機酸の存在下で加水分解し、この(A)成分の加水分解物と(B)成分を混合し、有機酸或いは無機酸の存在下、更に加水分解させるのが好ましい。
【0030】
(A)成分を加水分解する際に使用される有機酸及び無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、シュウ酸及びマレイン酸などから選ばれる少なくとも1種の酸が用いられるが、特に好適なのは酢酸、プロピオン酸である。この酸の使用量は、(A)成分100部に対して2〜40部、特に3〜15部が好適である。
【0031】
加水分解の際は適度に溶剤で希釈した状態で行うのが好ましい。溶剤としては、アルコール系溶剤が好適であり、特にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、第三ブチルアルコールが好適である。この溶剤の使用量は、(A)成分100部に対して50〜300部、特に70〜200部が好ましい。溶剤の使用量が50部より少ないと、縮合が進んでしまう場合があり、また、300部を超えると、加水分解に時間がかかり、好ましくない場合がある。
【0032】
また、(A)成分を加水分解させるために加える水量は、(A)成分1モルに対し0.5〜4モル量、特に1〜3モル量が好適である。加える水量が0.5モル量より少ないとアルコキシ基が多く残存してしまう場合があり、4モル量を超えると縮合が進行しすぎるため、好ましくない場合がある。
【0033】
(A)成分を加水分解させる際の反応条件は、反応温度10〜40℃、特に20〜30℃がよく、反応時間は1〜3時間で加水分解反応させるのがよい。
【0034】
以上で得られた(A)成分の加水分解物と(B)成分とを反応させる。なお、反応条件は、反応温度60〜100℃、反応時間1〜3時間が好ましい。反応後、系内のアルコール含有量を30重量%以下となるように留去させる。特に好ましくは、アルコール含有量を10重量%以下にするのが好ましい。この時アルコール含有量が30重量%より多いと、水で希釈した場合、白濁したり、ゲル化が起こったり、保存安定性が悪くなる場合がある。アルコール除去方法は、反応後、溶剤の沸点以上まで温度を上げ、アルコール溶剤を留去させたり、減圧下で留去させる。極力長い時間熱をかけず、短時間でアルコールを留去するのが好ましい。あまり長い時間熱をかけると、粘度が上昇し、作業性が悪くなったり、オルガノシランオリゴマー成分自体の保存安定性が悪くなる場合がある。
【0035】
上記方法で製造できる反応生成物は、25℃の粘度が5〜2,000mm2/s、特に好ましくは50〜500mm2/sが好ましい。この粘度が2,000mm2/sより高いと作業性が悪くなったり、オルガノシランオリゴマー成分自体の保存安定性が悪くなったり、水希釈時、溶解しずらくなる場合が生じる。また、オルガノシランオリゴマー成分の重量平均分子量は、500〜5,000、特に1,000〜2,000の範囲であることが望ましい。
【0036】
次に、上記シランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーで木質系材料を処理する方法について説明する。
【0037】
その方法は、(1)シランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーを予め有機樹脂接着剤に添加する方法、或いは、(2)前記木質系材料にシランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーを前処理する方法がある。但しこの場合、オルガノシランオリゴマーは、非水又は含水有機溶媒系において使用する。
【0038】
まず、(1)の方法については、木質系ボード剤に使用する有機樹脂系接着剤に上記シランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーをインテグラルブレンド法或いはマスターバッチ法により添加する。
【0039】
ここで、インテグラルブレンド法とは、有機材料と他の材料(無機材料など)を混合する際、有機材料にカップリング剤を予め添加する方法のことである。また、マスターバッチ法とは、少量の有機材料にカップリング剤を混合し、マスターバッチとし、これを用いて混合する方法である。本発明においては、どちらの方法を用いてもかまわない。
【0040】
その添加量は、有機樹脂系接着剤100部に対して好ましくは0.01〜30部、より好ましくは0.5〜10部である。添加量が0.01部よりも少ない場合、得られる木質系ボードの強度が高くならない場合がある。また30部よりも多いと経済的に高コストとなるおそれがある。なお、オルガノシランオリゴマーは、有機溶媒又は含水有機溶媒(水の含有量は50重量%以下、特に30重量%以下)溶液として使用する。
【0041】
次に、(2)の方法は、木質系ボード剤に使用する木質系材料にシランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーで前処理した後、ボードに成形する方法である。その前処理方法は、乾式法と湿式法があるが、どちらでもかまわない。
【0042】
乾式法とは、撹拌機等により、高速撹拌している木材小片又は木材繊維等の木質系材料にシランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーを均一に分散させて処理する方法である。この時、シランカップリング剤又はその部分加水分解物の場合は原液をそのまま添加してもよいし、水或いは有機溶媒により希釈した溶液として添加してもよい。オルガノシランオリゴマーを使用する場合は、有機溶媒又は含水有機溶媒(水の含有量は50重量%以下、特に30重量%以下)として用いる。この場合のシランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーの溶液濃度は0.1〜50重量%が好ましい。0.1重量%未満であると処理効率が悪くなる場合がある。また、50重量%を超えると溶液安定性が悪くなり、均一に処理できなかったり、経済的に不利になる場合がある。なお、希釈溶剤としては、シランカップリング剤又はその部分加水分解物の場合は水、アルコール類などが好ましく、オルガノシランオリゴマーの場合は、アルコール、含水アルコールなどが好ましい。なお、アルコールとしては炭素数1〜6、特に1〜4のアルコールが好ましい。
【0043】
処理量については、木質系材料100部に対し、シランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーの処理量が0.01〜30部が好ましく、より好ましくは0.1〜10部である。添加量が0.01部よりも少ない場合、得られる木質系ボードの強度が高くならない場合が生じる。また、30部よりも多いと、経済的に高コストとなるおそれがある。
【0044】
一方、湿式法とは、シランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーの溶液中で木材小片や木材繊維等の木質系材料をスラリー化したり、直接溶液中に浸漬処理したりする方法である。この時、シランカップリング剤又はその部分加水分解物は水或いは有機溶媒により希釈した溶液として処理することが好ましい。オルガノシランオリゴマーを用いる場合は、有機溶媒又は有機溶媒と水との混合溶媒(水の含有量は50重量%以下、特に30重量%以下)に希釈して使用する。この場合のシランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーの溶液濃度は0.1〜50重量%が好ましい。0.1重量%未満であると処理効率が悪くなる場合がある。また、50重量%を超えると溶液安定性が悪くなり、均一に処理できなかったり、経済的に不利になる場合がある。なお、希釈溶剤としては、シランカップリング剤又はその部分加水分解物の場合は水、アルコール類などが好ましく、オルガノシランオリゴマーの場合は、アルコール、含水アルコールなどが好ましい。なお、アルコールとしては炭素数1〜6、特に1〜4のアルコールが好ましい。
【0045】
処理量は、木質系材料100部に対し、シランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーの処理量が0.01〜30部が好ましく、より好ましくは0.1〜10部である。添加量が0.01部よりも少ない場合、得られる木質系ボードの強度が高くならない場合があり、また30部よりも多いと経済的に高コストとなる場合がある。
【0046】
このように(1)又は(2)法で得られた接着剤或いは処理木質系材料を用いて、この技術分野で一般に行われている方法、条件により熱圧成形することにより、強度を大幅に高めた木質系ボードを得ることができる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の実施例と比較例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0048】
[合成例1]
冷却管、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの四つ口フラスコにメチルトリメトキシシランのオリゴマー85g(ダイマー換算で0.37モル)、メタノール154g及び酢酸5.1gを入れ、撹拌しているところに水6.8g(0.37モル)を投入し、25℃で2時間撹拌した。そこに、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン8.9g(0.04モル)を滴下した。その後、メタノールの還流温度まで加熱して1時間反応後、エステルアダプターにて、内温が110℃になるまでメタノールを留去し、粘度71mm2/sの薄黄色透明溶液81gを得た(重量平均分子量1,100)。このものの系内のメタノール残存量は5重量%であった(オルガノシランオリゴマー1)。
【0049】
[合成例2]
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを3−アミノプロピルトリエトキシシラン17.7g(0.08モル)とした以外は、合成例1と同様に反応を行い、粘度220mm2/sの薄黄色透明溶液90gを得た(重量平均分子量1,300)。このもののメタノール残存量は5重量%であった(オルガノシランオリゴマー2)。
【0050】
[調製例1]
絶乾木材チップ100重量部をミキサーに仕込み、撹拌している中に3−アミノプロピルトリエトキシシランの20重量%水溶液を10重量部添加し、3時間室温下撹拌反応させた。得られた処理木材チップを105℃で24時間乾燥させ、処理木材チップ1とした。
【0051】
[調製例2]
絶乾木材チップ100重量部をミキサーに仕込み、撹拌している中に2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシランの20重量%水溶液を10重量部添加し、3時間室温下撹拌反応させた。得られた処理木材チップを105℃で24時間乾燥させ、処理木材チップ2とした。
【0052】
[調製例3]
絶乾木材チップ100重量部をミキサーに仕込み、撹拌している中に合成例1のオルガノシランオリゴマー1の10重量%含水エタノール溶液(水10重量%含有)を20重量部添加し、3時間室温下撹拌反応させた。得られた処理木材チップを105℃で24時間乾燥させ、処理木材チップ3とした。
【0053】
[調製例4]
絶乾木材チップ100重量部をミキサーに仕込み、撹拌している中に合成例2のオルガノシランオリゴマー2の10重量%含水エタノール溶液(水10重量%含有)を20重量部添加し、3時間室温下撹拌反応させた。得られた処理木材チップを105℃で24時間乾燥させ、処理木材チップ4とした。
【0054】
[調製例5]
合成例2のオルガノシランオリゴマー2の5重量%含水エタノール溶液(水5重量%含有)1,000重量部中に絶乾木材チップ100重量部を入れ、室温で1時間撹拌反応させた。その後濾過し、得られた湿潤チップを105℃で24時間乾燥させ、処理木材チップ5とした。
【0055】
[調製例6]
絶乾木材チップ100重量部をミキサーに仕込み、撹拌している中にイオン交換水を10重量部添加し、3時間室温下撹拌反応させた。得られた処理木材チップを105℃で24時間乾燥させ、処理木材チップ6とした。
【0056】
[調製例7]
イオン交換水1,000重量部中に絶乾木材チップ100重量部を入れ、室温で1時間撹拌反応させた。その後濾過し、得られた湿潤チップを105℃で24時間乾燥させ、処理木材チップ7とした。
【0057】
[実施例1]
フェノール樹脂100重量部に対して3−アミノプロピルトリエトキシシラン2重量部を添加、撹拌することにより、表層用接着剤を調製した。この表層用接着剤を絶乾木材チップ100重量部に対して、固形分比で11重量部塗布して表層用チップとした。
また、フェノール樹脂100重量部に対して3−アミノプロピルトリメトキシシランを2重量部撹拌することにより、内層用接着剤を調整した。この内層用接着剤を絶乾木材チップ100重量部に対して、固形分比で7重量部塗布して内層用チップとした。
このようにして得られた表層用チップと内層用チップとを交互に3層に積層した状態で、これをホットプレスによって、170℃、25kgf/cm2で5分間熱圧し、厚さ30mm、比重0.70のパーティクルボードを製造した。
【0058】
[実施例2〜7、比較例1]
実施例1と同様な操作により、表1に示すような各種接着剤、各種カップリング剤或いはオルガノシランオリゴマーを使用してパーティクルボードを作製した。
【0059】
[実施例8]
表層用接着剤としてフェノール樹脂を使用し、調製例1の処理木材チップ1の100重量部に対して、固形分比で11重量部塗布して表層用チップとした。
また、この内層用接着剤としてフェノール樹脂を使用し、調製例1の処理木材チップ1の100重量部に対して、固形分比で7重量部塗布して内層用チップとした。
このようにして得られた表層用チップと内層用チップとを交互に3層に積層した状態で、これをホットプレスによって、170℃、25kgf/cm2で5分間熱圧し、厚さ30mm、比重0.70のパーティクルボードを製造した。
【0060】
[実施例9〜13、比較例2,3]
実施例8と同様な操作により、表2に示すような各種接着剤、各種処理木材チップを使用してパーティクルボードを作製した。
【0061】
上述した実施例1〜13及び比較例1〜3で得られたそれぞれのパーティクルボードの曲げ強度、積載荷重試験及び衝撃試験を測定した。それぞれの結果を表3に示す。
この場合、パーティクルボードの曲げ強度はJIS A5905に準じた。また、積載荷重試験は面積1m2に10kgの砂袋を30個均一になるように積載し、そのタワミを観測した。衝撃試験は30kgの砂袋を50cmの高さから自由落下させ、ボードの端の方に当てて割れるかどうかを測定した。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【発明の効果】
本発明の木質系ボードの製造方法により、従来の木質系ボードと比較して格段に強度を高めることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、パーティクルボード、中質繊維板(MDF)、配向性ストランドボード(OSB)等の木質系ボードの製造方法、特に、曲げ強度、荷重強度、衝撃強度等に優れた木質系ボードを製造することができる木質系ボードの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
パーティクルボード、中質繊維板、配向性ストランドボード等の木質系ボードは、通常、破砕小片(チップ)、切削小片(フレーク、ウエハ、ストランド)等の木材小片や木材繊維に接着剤を塗布し、この木材小片や木材繊維を熱圧成形することにより製造される。
【0003】
このような木質系ボードの製造に際しては、尿素樹脂、メラミン樹脂のようなアミノ樹脂系の接着剤やフェノール樹脂系の接着剤或いはイソシアネート系接着剤が、木材小片、木材繊維のバインダとして使用されている。しかし、どの接着剤を用いても、得られる木質系ボードの強度に関しては劣っており、オフィス用途に使用されているセメント板と同等レベルの強度には達していない。
【0004】
そこで、この発明の目的は、どの接着剤を使用した場合にも、製造される木質系ボードの強度、特に、曲げ強度、荷重強度、衝撃強度等に優れた木質系ボードの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、木質系材料に有機樹脂系の接着剤を塗布し、これを熱圧成形する木質系ボードの製造方法において、前記木質系材料に前記接着剤を塗布する前に、シランカップリング剤もしくはその部分加水分解物又はオルガノシランオリゴマーを予め有機樹脂接着剤に添加しておくか、或いは前記木質系材料に前処理すると、そのシランカップリング剤或いはオルガノシランオリゴマーにより、木質系材料と接着剤樹脂との密着性が強固となり、木質系ボード自身の強度が大幅に高まることを見出し、本発明をなすに至った。
【0006】
従って、本発明は、木質系材料に有機樹脂系の接着剤を塗布し、これを熱圧成形する木質系ボードの製造方法において、前記木質系材料に前記接着剤を塗布する前に、シランカップリング剤もしくはその部分加水分解物を予め有機樹脂接着剤に添加しておくか、或いは前記木質系材料に前処理することを特徴とする木質系ボードの製造方法を提供する。
【0007】
また、本発明は、木質系材料に有機樹脂系の接着剤を塗布し、これを熱圧成形する木質系ボードの製造方法において、前記木質系材料に前記接着剤を塗布する前に、非水又は含水有機溶媒系で、オルガノシランオリゴマーを予め有機樹脂接着剤に添加しておくか、或いは前記木質系材料に前処理することを特徴とする木質系ボードの製造方法を提供する。
【0008】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明において、木質系の材料としては、木材片、木材繊維、ウエハ、木毛、ストランド、木質パルプ、木粉などを用いることができ、その形状は例えば片状、繊維状、粉状などがある。好ましくは、木材小片又は木材繊維である。
【0009】
本発明においては、木質系の材料に、有機樹脂系の接着剤を塗布し、木質系ボードを作製する。その有機樹脂系接着剤は、加熱により硬化して、木質材料同士を接着させるものであり、かかる有機樹脂としては、ポリイソシアナート系、フェノール樹脂系、尿素樹脂系、メラミン樹脂系などの熱硬化性樹脂が好適に用いられる。
【0010】
本発明においては、シランカップリング剤もしくはその部分加水分解物又はオルガノシランオリゴマーを上記有機樹脂系接着剤に添加するか、或いは上記木質系材料に前処理を行うことにより、高い強度を持つ木質系ボードが作製可能となる。
【0011】
本発明で使用されるシランカップリング剤は、下記一般式(1)で表されるものであることが好ましい。
YR1 mSi(OR2)3−m (1)
(式中、R1は炭素数1〜8の置換又は非置換の1価炭化水素基、R2は炭素数1〜4のアルキル基、Yは非置換又は置換のエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選ばれる官能基を有する有機基であり、mは0又は1である。)
【0012】
ここで、R1は炭素数1〜8の窒素原子を含まない置換又は非置換の1価炭化水素基であり、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などや、これらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子などで置換した例えばハロゲン化アルキル基などが挙げられる。
【0013】
具体的には、−CH3,−CH2CH3,−CH2CH2CH3,−CH(CH3)2,−CH2CH2CH2CH3,−CH(CH3)CH2CH3,−CH2CH(CH3)CH3,−C(CH3)3,−C6H5,−C6H13などが例示される。
【0014】
また、R2は炭素数1〜4のアルキル基であり、具体的には、−CH3,−CH2CH3,−CH2CH2CH3,−CH(CH3)2,−CH2CH2CH2CH3,−CH(CH3)CH2CH3,−CH2CH(CH3)CH3,−C(CH3)3などが例示されるが、中でも−CH3,−C2H5が好ましい。
【0015】
Yは非置換又は置換のエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選ばれる官能基を有する有機基が挙げられる。具体的には、下記のものが挙げられる。
H2NCH2−,H(CH3)NCH2−,H2NCH2CH2−,H(CH3)NCH2CH2−,H2NCH2CH2CH2−,H(CH3)NCH2CH2CH2−,(CH3)2NCH2CH2CH2−,H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2−,H(CH3)NCH2CH2HNCH2CH2CH2−,(CH3)2NCH2CH2HNCH2CH2CH2−,H2NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2−,H(CH3)NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2−,
【化1】
O=C=N−CH2CH2−,O=C=N−CH2CH2CH2−
【0016】
上記式(1)のシランカップリング剤としては、下記のものを例示することができる。
H2NCH2Si(OCH3)3,H2NCH2Si(OCH2CH3)3,H2NCH2SiCH3(OCH3)2,H2NCH2SiCH3(OCH2CH3)2,H2NCH2CH2Si(OCH3)3,H2NCH2CH2Si(OCH2CH3)3,H2NCH2CH2SiCH3(OCH3)2,H2NCH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2,H2NCH2CH2CH2Si(OCH3)3,H2NCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3,H2NCH2CH2CH2SiCH3(OCH3)2,H2NCH2CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2,H(CH3)NCH2CH2CH2Si(OCH3)3,H(CH3)NCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3,H(CH3)NCH2CH2CH2SiCH3(OCH3)2,H(CH3)NCH2CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2,(CH3)2NCH2CH2CH2Si(OCH3)3,(CH3)2NCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3,H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH3)3,H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3,H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2SiCH3(OCH3)2,H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2,H2NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH3)3,H2NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3,H2NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2SiCH3(OCH3)2,H2NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2,
【化2】
【化3】
O=C=N−CH2CH2Si(OCH3)3,O=C=N−CH2CH2Si(OCH2CH3)3,O=C=N−CH2CH2SiCH3(OCH3)2,O=C=N−CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2,O=C=N−CH2CH2CH2Si(OCH3)3,O=C=N−CH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3,O=C=N−CH2CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2,O=C=N−CH2CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2
【0017】
これらの中で特に好ましくは、
H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH3)3,H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3,
【化4】
O=C=N−CH2CH2CH2Si(OCH3)3,O=C=N−CH2CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2
であり、これらの部分加水分解物を用いてもよい。
【0018】
また、本発明で使用されるオルガノシランオリゴマーは、
(A)下記一般式(2)
(CH3)a(OR2)bSiO(4−a−b)/2 (2)
(式中、R2は炭素数1〜4のアルキル基であり、aは0.75〜1.5、bは0.2〜3で、かつ0.9<a+b≦4を満足する正数である。)
で示される有機ケイ素化合物100重量部と、
(B)下記一般式(3)
R3R4NR5−SiR6 n(OR2)3−n (3)
(式中、R2は上記と同様であり、R3、R4はそれぞれ互いに同一又は異種の水素原子、又は炭素数1〜15のアルキル基又はアミノアルキル基、R5は炭素数1〜18の2価炭化水素基、R6は炭素数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)
で示されるアミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物0.5〜49重量部と
を有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合させたものであることが好ましい。
【0019】
(A)成分は、下記一般式(2)
(CH3)a(OR2)bSiO(4−a−b)/2 (2)
(式中、R2は炭素数1〜4のアルキル基であり、aは0.75〜1.5、bは0.2〜3で、かつ0.9<a+b≦4を満足する正数である。)
で示されるメチルトリアルコキシシラン或いはアルコキシ基含有シロキサンである。
【0020】
上記式(2)のR2は炭素数1〜4のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられ、メチル基、エチル基が好ましい。このような式(2)の有機ケイ素化合物において、a+b=4であるシランの具体例としては、CH3Si(OCH3)3,CH3Si(OC2H5)3,CH3Si(OCH(CH3)2)3などを挙げることができる。
【0021】
このような各種シランを単独で使用しても2種類以上の混合物を使用してもよいし、混合シランの部分加水分解物を使用してもよい。
【0022】
また、(A)成分として当該技術分野において周知であるように、上記シランを部分加水分解縮合したアルコキシ基含有シロキサンを用いることができる(この場合の部分加水分解物のケイ素原子の数は2〜10、特に2〜4であることが好ましい。)。また、水中で炭素数1〜6のアルキルトリクロロシラン単独及び炭素数1〜6のジアルキルジクロロシランとトリアルキルクロロシランとの混合物とメタノール又はエタノールとの反応により得られるものでもよい(この場合もケイ素原子数が2〜6、特に2〜4であることが好ましく、また、25℃で300mm2/s以下の粘度を有しているものが好ましく、特に1〜100mm2/sの粘度を有するものが好適である。)。
【0023】
一方、(B)成分は、下記一般式(3)
R3R4NR5−SiR6 n(OR2)3−n (3)
(式中、R2は上記と同様であり、R3、R4はそれぞれ互いに同一又は異種の水素原子、又は炭素数1〜15のアルキル基又はアミノアルキル基、R5は炭素数1〜18の2価炭化水素基、R6は炭素数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)
で示されるアミノ基含有アルコキシシランである。
【0024】
上記式(3)中のR3、R4としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基等が挙げられる。R5としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基が挙げられる。R6としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
【0025】
このような式(3)のアミノ基含有アルコキシシランの具体例としては、下記のものが挙げられる。
H2N(CH2)2Si(OCH3)3,H2N(CH2)2Si(OCH2CH3)3,H2N(CH2)3Si(OCH3)3,H2N(CH2)3Si(OCH2CH3)3,CH3NH(CH2)3Si(OCH3)3,CH3NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3,CH3NH(CH2)5Si(OCH3)3,CH3NH(CH2)5Si(OCH2CH3)3,H2N(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3,H2N(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3,CH3NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3,CH3NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3,C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3,C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3,H2N(CH2)2SiCH3(OCH3)2,H2N(CH2)2SiCH3(OCH2CH3)2,H2N(CH2)3SiCH3(OCH3)2,H2N(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2,CH3NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2,CH3NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2,CH3NH(CH2)5SiCH3(OCH3)2,CH3NH(CH2)5SiCH3(OCH2CH3)2,H2N(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2,H2N(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2,CH3NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2,CH3NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2,C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2,C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2
【0026】
これらの中で特に、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどが好適に用いられる。
【0027】
上記(A)及び(B)成分の使用割合は、(A)成分100部(重量部、以下同じ)に対して(B)成分0.5〜49部、好ましくは5〜20部である。(B)成分が0.5部未満だと木質系材料に処理した場合の吸着性が弱くなり、木質系ボードの強度や水溶性が悪くなることがある。また、(B)成分が多すぎると、成形した木質系ボードの黄変が激しくなる場合がある。
【0028】
また、モル換算の場合、(A)成分のSi単位1モルに対し、(B)成分0.01〜0.3モル、より好ましくは0.2〜0.05モルであることが好ましい。(B)成分が0.01モル未満だと木質系材料に処理した場合の吸着性が弱くなり、木質系ボードの強度や水溶性が悪くなることがある。(B)成分が0.3モルを超えると、成形した木質系ボードの黄変が激しくなる場合がある。
【0029】
これら(A)及び(B)成分を用いてオルガノシランオリゴマーを製造するには、有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解させればよい。この場合、最初に(A)成分を有機酸或いは無機酸の存在下で加水分解し、この(A)成分の加水分解物と(B)成分を混合し、有機酸或いは無機酸の存在下、更に加水分解させるのが好ましい。
【0030】
(A)成分を加水分解する際に使用される有機酸及び無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、シュウ酸及びマレイン酸などから選ばれる少なくとも1種の酸が用いられるが、特に好適なのは酢酸、プロピオン酸である。この酸の使用量は、(A)成分100部に対して2〜40部、特に3〜15部が好適である。
【0031】
加水分解の際は適度に溶剤で希釈した状態で行うのが好ましい。溶剤としては、アルコール系溶剤が好適であり、特にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、第三ブチルアルコールが好適である。この溶剤の使用量は、(A)成分100部に対して50〜300部、特に70〜200部が好ましい。溶剤の使用量が50部より少ないと、縮合が進んでしまう場合があり、また、300部を超えると、加水分解に時間がかかり、好ましくない場合がある。
【0032】
また、(A)成分を加水分解させるために加える水量は、(A)成分1モルに対し0.5〜4モル量、特に1〜3モル量が好適である。加える水量が0.5モル量より少ないとアルコキシ基が多く残存してしまう場合があり、4モル量を超えると縮合が進行しすぎるため、好ましくない場合がある。
【0033】
(A)成分を加水分解させる際の反応条件は、反応温度10〜40℃、特に20〜30℃がよく、反応時間は1〜3時間で加水分解反応させるのがよい。
【0034】
以上で得られた(A)成分の加水分解物と(B)成分とを反応させる。なお、反応条件は、反応温度60〜100℃、反応時間1〜3時間が好ましい。反応後、系内のアルコール含有量を30重量%以下となるように留去させる。特に好ましくは、アルコール含有量を10重量%以下にするのが好ましい。この時アルコール含有量が30重量%より多いと、水で希釈した場合、白濁したり、ゲル化が起こったり、保存安定性が悪くなる場合がある。アルコール除去方法は、反応後、溶剤の沸点以上まで温度を上げ、アルコール溶剤を留去させたり、減圧下で留去させる。極力長い時間熱をかけず、短時間でアルコールを留去するのが好ましい。あまり長い時間熱をかけると、粘度が上昇し、作業性が悪くなったり、オルガノシランオリゴマー成分自体の保存安定性が悪くなる場合がある。
【0035】
上記方法で製造できる反応生成物は、25℃の粘度が5〜2,000mm2/s、特に好ましくは50〜500mm2/sが好ましい。この粘度が2,000mm2/sより高いと作業性が悪くなったり、オルガノシランオリゴマー成分自体の保存安定性が悪くなったり、水希釈時、溶解しずらくなる場合が生じる。また、オルガノシランオリゴマー成分の重量平均分子量は、500〜5,000、特に1,000〜2,000の範囲であることが望ましい。
【0036】
次に、上記シランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーで木質系材料を処理する方法について説明する。
【0037】
その方法は、(1)シランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーを予め有機樹脂接着剤に添加する方法、或いは、(2)前記木質系材料にシランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーを前処理する方法がある。但しこの場合、オルガノシランオリゴマーは、非水又は含水有機溶媒系において使用する。
【0038】
まず、(1)の方法については、木質系ボード剤に使用する有機樹脂系接着剤に上記シランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーをインテグラルブレンド法或いはマスターバッチ法により添加する。
【0039】
ここで、インテグラルブレンド法とは、有機材料と他の材料(無機材料など)を混合する際、有機材料にカップリング剤を予め添加する方法のことである。また、マスターバッチ法とは、少量の有機材料にカップリング剤を混合し、マスターバッチとし、これを用いて混合する方法である。本発明においては、どちらの方法を用いてもかまわない。
【0040】
その添加量は、有機樹脂系接着剤100部に対して好ましくは0.01〜30部、より好ましくは0.5〜10部である。添加量が0.01部よりも少ない場合、得られる木質系ボードの強度が高くならない場合がある。また30部よりも多いと経済的に高コストとなるおそれがある。なお、オルガノシランオリゴマーは、有機溶媒又は含水有機溶媒(水の含有量は50重量%以下、特に30重量%以下)溶液として使用する。
【0041】
次に、(2)の方法は、木質系ボード剤に使用する木質系材料にシランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーで前処理した後、ボードに成形する方法である。その前処理方法は、乾式法と湿式法があるが、どちらでもかまわない。
【0042】
乾式法とは、撹拌機等により、高速撹拌している木材小片又は木材繊維等の木質系材料にシランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーを均一に分散させて処理する方法である。この時、シランカップリング剤又はその部分加水分解物の場合は原液をそのまま添加してもよいし、水或いは有機溶媒により希釈した溶液として添加してもよい。オルガノシランオリゴマーを使用する場合は、有機溶媒又は含水有機溶媒(水の含有量は50重量%以下、特に30重量%以下)として用いる。この場合のシランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーの溶液濃度は0.1〜50重量%が好ましい。0.1重量%未満であると処理効率が悪くなる場合がある。また、50重量%を超えると溶液安定性が悪くなり、均一に処理できなかったり、経済的に不利になる場合がある。なお、希釈溶剤としては、シランカップリング剤又はその部分加水分解物の場合は水、アルコール類などが好ましく、オルガノシランオリゴマーの場合は、アルコール、含水アルコールなどが好ましい。なお、アルコールとしては炭素数1〜6、特に1〜4のアルコールが好ましい。
【0043】
処理量については、木質系材料100部に対し、シランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーの処理量が0.01〜30部が好ましく、より好ましくは0.1〜10部である。添加量が0.01部よりも少ない場合、得られる木質系ボードの強度が高くならない場合が生じる。また、30部よりも多いと、経済的に高コストとなるおそれがある。
【0044】
一方、湿式法とは、シランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーの溶液中で木材小片や木材繊維等の木質系材料をスラリー化したり、直接溶液中に浸漬処理したりする方法である。この時、シランカップリング剤又はその部分加水分解物は水或いは有機溶媒により希釈した溶液として処理することが好ましい。オルガノシランオリゴマーを用いる場合は、有機溶媒又は有機溶媒と水との混合溶媒(水の含有量は50重量%以下、特に30重量%以下)に希釈して使用する。この場合のシランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーの溶液濃度は0.1〜50重量%が好ましい。0.1重量%未満であると処理効率が悪くなる場合がある。また、50重量%を超えると溶液安定性が悪くなり、均一に処理できなかったり、経済的に不利になる場合がある。なお、希釈溶剤としては、シランカップリング剤又はその部分加水分解物の場合は水、アルコール類などが好ましく、オルガノシランオリゴマーの場合は、アルコール、含水アルコールなどが好ましい。なお、アルコールとしては炭素数1〜6、特に1〜4のアルコールが好ましい。
【0045】
処理量は、木質系材料100部に対し、シランカップリング剤又はその部分加水分解物或いはオルガノシランオリゴマーの処理量が0.01〜30部が好ましく、より好ましくは0.1〜10部である。添加量が0.01部よりも少ない場合、得られる木質系ボードの強度が高くならない場合があり、また30部よりも多いと経済的に高コストとなる場合がある。
【0046】
このように(1)又は(2)法で得られた接着剤或いは処理木質系材料を用いて、この技術分野で一般に行われている方法、条件により熱圧成形することにより、強度を大幅に高めた木質系ボードを得ることができる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の実施例と比較例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0048】
[合成例1]
冷却管、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの四つ口フラスコにメチルトリメトキシシランのオリゴマー85g(ダイマー換算で0.37モル)、メタノール154g及び酢酸5.1gを入れ、撹拌しているところに水6.8g(0.37モル)を投入し、25℃で2時間撹拌した。そこに、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン8.9g(0.04モル)を滴下した。その後、メタノールの還流温度まで加熱して1時間反応後、エステルアダプターにて、内温が110℃になるまでメタノールを留去し、粘度71mm2/sの薄黄色透明溶液81gを得た(重量平均分子量1,100)。このものの系内のメタノール残存量は5重量%であった(オルガノシランオリゴマー1)。
【0049】
[合成例2]
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを3−アミノプロピルトリエトキシシラン17.7g(0.08モル)とした以外は、合成例1と同様に反応を行い、粘度220mm2/sの薄黄色透明溶液90gを得た(重量平均分子量1,300)。このもののメタノール残存量は5重量%であった(オルガノシランオリゴマー2)。
【0050】
[調製例1]
絶乾木材チップ100重量部をミキサーに仕込み、撹拌している中に3−アミノプロピルトリエトキシシランの20重量%水溶液を10重量部添加し、3時間室温下撹拌反応させた。得られた処理木材チップを105℃で24時間乾燥させ、処理木材チップ1とした。
【0051】
[調製例2]
絶乾木材チップ100重量部をミキサーに仕込み、撹拌している中に2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシランの20重量%水溶液を10重量部添加し、3時間室温下撹拌反応させた。得られた処理木材チップを105℃で24時間乾燥させ、処理木材チップ2とした。
【0052】
[調製例3]
絶乾木材チップ100重量部をミキサーに仕込み、撹拌している中に合成例1のオルガノシランオリゴマー1の10重量%含水エタノール溶液(水10重量%含有)を20重量部添加し、3時間室温下撹拌反応させた。得られた処理木材チップを105℃で24時間乾燥させ、処理木材チップ3とした。
【0053】
[調製例4]
絶乾木材チップ100重量部をミキサーに仕込み、撹拌している中に合成例2のオルガノシランオリゴマー2の10重量%含水エタノール溶液(水10重量%含有)を20重量部添加し、3時間室温下撹拌反応させた。得られた処理木材チップを105℃で24時間乾燥させ、処理木材チップ4とした。
【0054】
[調製例5]
合成例2のオルガノシランオリゴマー2の5重量%含水エタノール溶液(水5重量%含有)1,000重量部中に絶乾木材チップ100重量部を入れ、室温で1時間撹拌反応させた。その後濾過し、得られた湿潤チップを105℃で24時間乾燥させ、処理木材チップ5とした。
【0055】
[調製例6]
絶乾木材チップ100重量部をミキサーに仕込み、撹拌している中にイオン交換水を10重量部添加し、3時間室温下撹拌反応させた。得られた処理木材チップを105℃で24時間乾燥させ、処理木材チップ6とした。
【0056】
[調製例7]
イオン交換水1,000重量部中に絶乾木材チップ100重量部を入れ、室温で1時間撹拌反応させた。その後濾過し、得られた湿潤チップを105℃で24時間乾燥させ、処理木材チップ7とした。
【0057】
[実施例1]
フェノール樹脂100重量部に対して3−アミノプロピルトリエトキシシラン2重量部を添加、撹拌することにより、表層用接着剤を調製した。この表層用接着剤を絶乾木材チップ100重量部に対して、固形分比で11重量部塗布して表層用チップとした。
また、フェノール樹脂100重量部に対して3−アミノプロピルトリメトキシシランを2重量部撹拌することにより、内層用接着剤を調整した。この内層用接着剤を絶乾木材チップ100重量部に対して、固形分比で7重量部塗布して内層用チップとした。
このようにして得られた表層用チップと内層用チップとを交互に3層に積層した状態で、これをホットプレスによって、170℃、25kgf/cm2で5分間熱圧し、厚さ30mm、比重0.70のパーティクルボードを製造した。
【0058】
[実施例2〜7、比較例1]
実施例1と同様な操作により、表1に示すような各種接着剤、各種カップリング剤或いはオルガノシランオリゴマーを使用してパーティクルボードを作製した。
【0059】
[実施例8]
表層用接着剤としてフェノール樹脂を使用し、調製例1の処理木材チップ1の100重量部に対して、固形分比で11重量部塗布して表層用チップとした。
また、この内層用接着剤としてフェノール樹脂を使用し、調製例1の処理木材チップ1の100重量部に対して、固形分比で7重量部塗布して内層用チップとした。
このようにして得られた表層用チップと内層用チップとを交互に3層に積層した状態で、これをホットプレスによって、170℃、25kgf/cm2で5分間熱圧し、厚さ30mm、比重0.70のパーティクルボードを製造した。
【0060】
[実施例9〜13、比較例2,3]
実施例8と同様な操作により、表2に示すような各種接着剤、各種処理木材チップを使用してパーティクルボードを作製した。
【0061】
上述した実施例1〜13及び比較例1〜3で得られたそれぞれのパーティクルボードの曲げ強度、積載荷重試験及び衝撃試験を測定した。それぞれの結果を表3に示す。
この場合、パーティクルボードの曲げ強度はJIS A5905に準じた。また、積載荷重試験は面積1m2に10kgの砂袋を30個均一になるように積載し、そのタワミを観測した。衝撃試験は30kgの砂袋を50cmの高さから自由落下させ、ボードの端の方に当てて割れるかどうかを測定した。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【発明の効果】
本発明の木質系ボードの製造方法により、従来の木質系ボードと比較して格段に強度を高めることができる。
Claims (8)
- 木質系材料に有機樹脂系の接着剤を塗布し、これを熱圧成形する木質系ボードの製造方法において、前記木質系材料に前記接着剤を塗布する前に、シランカップリング剤もしくはその部分加水分解物を予め有機樹脂接着剤に添加しておくか、或いは前記木質系材料に前処理することを特徴とする木質系ボードの製造方法。
- 前記接着剤の固形分100重量部に対してシランカップリング剤もしくはその部分加水分解物が0.01〜30重量部の範囲内で接着剤中に添加されていることを特徴とする請求項1に記載の木質系ボードの製造方法。
- シランカップリング剤もしくはその部分加水分解物を前記木質系材料100重量部に対して0.01〜30重量部の範囲内で用いて前処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の木質系ボードの製造方法。
- 木質系材料に有機樹脂系の接着剤を塗布し、これを熱圧成形する木質系ボードの製造方法において、前記木質系材料に前記接着剤を塗布する前に、非水又は含水有機溶媒系で、オルガノシランオリゴマーを予め有機樹脂接着剤に添加しておくか、或いは前記木質系材料に前処理することを特徴とする木質系ボードの製造方法。
- 前記接着剤の固形分100重量部に対してオルガノシランオリゴマーが0.01〜30重量部の範囲内で接着剤中に添加されていることを特徴とする請求項5に記載の木質系ボードの製造方法。
- オルガノシランオリゴマーを前記木質系材料100重量部に対して0.01〜30重量部の範囲内で用いて前処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の木質系ボードの製造方法。
- オルガノシランオリゴマーが、
(A)下記一般式(2)
(式中、R2は炭素数1〜4のアルキル基であり、aは0.75〜1.5、bは0.2〜3で、かつ0.9<a+b≦4を満足する正数である。)
で示される有機ケイ素化合物100重量部と、
(B)下記一般式(3)
(式中、R2は上記と同様であり、R3、R4はそれぞれ互いに同一又は異種の水素原子、又は炭素数1〜15のアルキル基又はアミノアルキル基、R5は炭素数1〜18の2価炭化水素基、R6は炭素数1〜4のアルキル基である。nは0又は1である。)
で示されるアミノ基含有アルコキシシラン又はその部分加水分解物0.5〜49重量部と
を有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合させたものであることを特徴する請求項5乃至7のいずれか1項記載の木質系ボードの製造方法。
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JP2002183758A JP2004025564A (ja) | 2002-06-25 | 2002-06-25 | 木質系ボードの製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1332793C (zh) * | 2005-01-07 | 2007-08-22 | 浙江林学院 | 一种密闭式热压工艺制造无胶纤维板的方法 |
CN112895048A (zh) * | 2021-01-18 | 2021-06-04 | 浙江农林大学 | 一种霉腐竹木材再利用的方法 |
-
2002
- 2002-06-25 JP JP2002183758A patent/JP2004025564A/ja active Pending
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