JP2004025460A - 積層体及び延伸積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】透視性、接着性に優れた積層体を提供すること、並びに、透視性、延伸後の接着性に優れたこれらの積層体を延伸してなる延伸積層体を提供すること。
【解決手段】下記の樹脂成分(A)10〜99.5重量%、樹脂成分(B)0.5〜30重量%(但し、樹脂成分(A)と樹脂成分(B)の合計量が100重量%)からなる接着性樹脂層(I)と極性ポリマー層(II)を積層してなる積層体。
樹脂成分(A):重合により(a1)成分を生成させ、引き続き(a2)成分を重合により得てなるプロピレン系重合体であり、(a1)成分、(a2)成分が特定の溶解性と組成比からなる。
樹脂成分(B):不飽和カルボン酸又はその無水物の含有量が0.01重量%以上の変性ポリプロピレン。
【選択図】 なし
【解決手段】下記の樹脂成分(A)10〜99.5重量%、樹脂成分(B)0.5〜30重量%(但し、樹脂成分(A)と樹脂成分(B)の合計量が100重量%)からなる接着性樹脂層(I)と極性ポリマー層(II)を積層してなる積層体。
樹脂成分(A):重合により(a1)成分を生成させ、引き続き(a2)成分を重合により得てなるプロピレン系重合体であり、(a1)成分、(a2)成分が特定の溶解性と組成比からなる。
樹脂成分(B):不飽和カルボン酸又はその無水物の含有量が0.01重量%以上の変性ポリプロピレン。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体と不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレンとを特定比率で含有してなる接着性樹脂組成物層と極性ポリマー層を積層してなる透視性、接着性に優れた積層体に関する。更に、これらの積層体を延伸してなる透視性、延伸後の接着性に優れた延伸積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、清涼飲料や果実飲料、ハム・ソーセージ、嗜好食品、食用油、化粧品容器としては、成形性・剛性・耐内容物性に優れたポリオレフィン系樹脂が用いられてきたが、近年、オレフィン系樹脂を両外層としてその中間に変性オレフィン系樹脂等の接着性樹脂層を介してエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層等のガスバリア性樹脂層を設けて酸素バリア性を付与し、内容物の酸化による品質の低下を抑えた多層フィルム、シート、ボトル等からなる容器包装の普及が著しい。
【0003】
これらの中でポリプロピレン系の多層フィルム、シート、ボトル等は、ポリプロピレンが持つ本来の性能を利用して、耐熱性、剛性、透明性等が必要とされる用途に多用されているが、衝撃強度や接着強度が弱く、低温輸送時に製品の一部が割れたり、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層等のガスバリア性樹脂層と接着性樹脂層の界面で剥離が起きるなどの問題が生じている。さらにこれらの積層体は、延伸することにより機械的強度の向上、保香性、ガスバリア性の改良がなされ各種包装材の性能向上が図られているが、延伸処理された製品では剥離の問題が顕著に生じる。
【0004】
これらの対策としてエチレン・プロピレン共重合体エラストマーをブレンドし、衝撃強度、接着強度を改良する等、種々の試みがなされているが、本発明者等の検討によると、何れかの手法を用いて積層し充分に接着している積層体でも、少なくとも1軸方向に面積比で1.5倍〜50倍に延伸処理して得られた延伸積層体は、接着強度が低下し、場合によっては透視性が悪化し、内容物が見にくくなり、使用上問題点が多いことが判明した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる状況に鑑みなされたもので、透視性、接着性が優れた積層体、及び透視性、延伸後の接着性の優れた延伸積層体を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定のプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体と不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレンとを特定比率で含有してなる接着性樹脂組成物からなる層と極性ポリマー層からなる積層体、及び延伸積層体が良好な結果を与えることを見出し本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、下記の樹脂成分(A)10〜99.5重量%、樹脂成分(B)0.5〜30重量%(但し、樹脂成分(A)と樹脂成分(B)の合計量が100重量%)からなる接着性樹脂層(I)と極性ポリマー層(II)とを積層してなる積層体に存している。
樹脂成分(A):下記(a1)成分と(a2)成分とを含み、かつ重合により(a1)成分を生成させた後に(a1)成分の存在下で(a2)成分を重合させることにより得られるプロピレン系重合体。
【0008】
(a1)成分:プロピレンの単独重合体、又はプロピレンと炭素数2〜8の他のα−オレフィンとの共重合体からなり、その室温キシレン可溶分が樹脂成分(A)全体に対して10重量%未満である共重合体であって、樹脂成分(A)全体に対して10〜60重量%である。
(a2)成分:プロピレンとエチレンを必須成分とする、プロピレンと炭素数2〜8の他のα−オレフィンとの共重合体からなり、その室温キシレン可溶分が樹脂成分(A)全体に対して10〜60重量%であって、該室温キシレン可溶分のプロピレン以外のα−オレフィンの含有量が20重量%未満である共重合体であって、樹脂成分(A)全体に対して40〜90重量%である。
【0009】
樹脂成分(B):不飽和カルボン酸又はその無水物(以下「不飽和カルボン酸等」と略記する)の含有量が0.01重量%以上となるように不飽和カルボン酸等により変性されたポリプロピレン(以下「変性PP」と略記する)。
本発明の別の要旨は、上記(a2)成分の室温キシレン不溶分が成分(A)全体に対して20重量%より多く70重量%以下である上記の積層体、又は上記の樹脂成分(A)中の(a1)成分が、(a1)成分全体に対して99〜95重量%のプロピレンと、1〜5重量%の炭素数2〜8の他のα−オレフィンとの共重合体である積層体に存している。
【0010】
本発明の他の要旨は、上記接着性樹脂層(I)の一方の側に極性ポリマー層(II)を、他方の側に基材層(III)を積層してなる積層体に存している。
【0011】
本発明のもう一つの要旨は、上記極性ポリマー層がガスバリア性樹脂層であり、基材層がポリオレフィン樹脂層である積層体に存している。
本発明の別のもう一つの要旨は、上記積層体に延伸倍率が、少なくとも1軸方向に面積比で1.5倍〜50倍の延伸処理を施したものである延伸積層体に存している。
【0012】
【発明の実施の形態】
[1]接着性樹脂層
1)樹脂成分(A)
本発明の積層体に用いられる樹脂成分(A)のプロピレン系重合体は、下記の(a1)成分と(a2)成分とを含み、かつ重合により(a1)成分を生成した後に、(a1)成分の存在下で(a2)成分を重合させることによって得られてなるプロピレン系重合体である。
【0013】
このプロピレン系重合体を構成する一方の(a1)成分は、室温キシレンに不溶性の結晶性成分と室温キシレンに可溶性の非晶性成分とからなり、室温キシレン可溶分が樹脂成分(A)全体に対して10重量%未満のプロピレン系共重合体である。室温キシレン可溶分は、好ましくは、5重量%未満である。室温キシレン可溶分が前記範囲を超えると耐熱性が劣る傾向となる。
ここでプロピレン系共重合体とは、重合体中にプロピレン由来の構成単位が70重量%以上含有されていることを意味する。好ましいプロピレン由来の構成単位の含有割合は、(a1)成分全体に対して99〜95重量%のプロピレンと、1〜5重量%の炭素数2〜8の他のα−オレフィンとの共重合体である。
【0014】
ここでこの重合体においてプロピレン以外に用いることができる単量体として、好ましい単量体はエチレンである。また(a1)成分のアイソタクチックインデックスは90%以上であることが好ましい。ここでアイソタクチックインデックスとは、この重合体中の室温のキシレンに不溶性の結晶性成分の含有割合に実質的に対応する。(a1)成分のアイソタクチックインデックスが90%未満では、得られる組成物の耐熱性が劣る傾向となる。
又、本発明のプロピレン系重合体を構成する一方の(a2)成分は、プロピレンとエチレンとを必須成分とするプロピレンと炭素数2〜8の他のα−オレフィンとの共重合体からなり、ここで他のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられ、中でもエチレンが好ましい。
【0015】
そして、本発明においては、前記(a2)成分の共重合体は、室温キシレンに不溶性の結晶性成分と室温キシレンに可溶性の非晶性成分とからなり、室温キシレン可溶分が樹脂成分(A)全体に対して10〜60重量%であって、該室温キシレン可溶分中のプロピレン以外のα−オレフィンの含有量が20重量%未満であることが必須である。好ましくは、室温キシレン可溶分が組成物全体に対して15〜60重量%であって、該室温キシレン可溶分中のプロピレン以外のα−オレフィンの含有量が10〜18重量%である。
【0016】
前記(a2)成分における室温キシレン可溶分が前記範囲未満では、接着性、耐低温衝撃性に劣ることとなり、一方、室温キシレン可溶分が前記範囲を超えると、透明性に劣ることとなる。さらに、室温キシレン可溶分中のプロピレン以外のα−オレフィンの含有量が前記範囲以上では、透明性が劣ることとなる。
さらに本発明においては、上記(a2)成分の共重合体は、室温キシレン不溶分が成分(A)全体に対して20重量%より多く70重量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは25〜60重量%である。(a2)成分における室温キシレン不溶分が前記範囲以下では、透明性が劣る傾向となり、一方、室温キシレン不溶分が前記範囲を超えると、接着性、耐低温衝撃性が劣る傾向となる。
【0017】
このような樹脂成分(A)のプロピレン系重合体は、上述の通り重合により(a1)成分を生成した後に、(a1)成分の存在下で(a2)成分を重合させることによって得られてなるものである。このような逐次重合に用いられる触媒は、特に限定されるものではないが、有機アルミニウム化合物と、チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子及び電子供与性化合物を必須とする固体成分とからなるものが好ましい。
【0018】
この逐次重合は、例えば第一段階でプロピレン又はプロピレンと炭素原子数2〜8の他のα−オレフィンを供給して、前記の触媒の存在下に温度50〜150℃、好ましくは50〜100℃、プロピレンの分圧0.5〜4.5MPa、好ましくは1.0〜3.5MPaの条件で、プロピレンを主成分とするα−オレフィンの重合を実施して(a1)成分を生成させ、続いて第二段階でプロピレンとエチレン又はプロピレンとエチレンと炭素原子数4〜8のα−オレフィンとを供給して、前記触媒の存在下に温度50〜150℃、好ましくは50〜100℃、プロピレン及びエチレンの分圧各0.3〜4.5MPa、好ましくは0.5〜3.5MPaの条件で、プロピレン−エチレン共重合又はプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合を実施して(a2)成分を生成させることにより行うことができる。
【0019】
この重合は、回分式、連続式、半回分式のいずれによってもよく、第一段階の重合は気相又は液相中、また第二段階以降の重合も気相又は液相中、特には気相中で実施するのが好ましく、各段階の滞留時間は各々0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間とするのがよい。
この方法において、(a1)成分及び(a2)成分の含有量は、各段階において重合させる単量体の量により、(a1)成分、及び(a2)成分の室温キシレン可溶分は、各重合段階において仕込む単量体の組成や各段階における重合体の生成量、及び例えば水素供給量で調節される分子量により調整することができる。また触媒の種類の選択によっても調整が可能である。また(a1)成分のアイソタクチックインデックスは用いる触媒の種類や重合条件、例えば温度、圧力等や仕込単量体の組成により、それぞれ調整できる。
【0020】
樹脂成分全体中の、樹脂成分(A)の含有量は10〜99.5重量%である。より好ましい含有量は30〜95重量%である。樹脂成分(A)の含有量が10重量%未満では接着性と耐低温衝撃性が劣り、99.5%を超えると接着成分である変性ポリプロピレンの含有量が少なくなり、やはり接着性が劣ることとなる。
【0021】
又、本発明のプロピレン系重合体は、前記(a1)成分が10〜60重量%、前記(a2)成分が40〜90重量%からなり、前記(a1)成分が20〜50重量%、前記(a2)成分が50〜80重量%であるのが、それぞれ好ましい。前記(a1)成分が前記範囲未満で前記(a2)成分が前記範囲を超えると、組成物の耐熱性が劣ることとなり、一方、(a1)成分が前記範囲を超え、前記(a2)成分が前記範囲未満では、接着性と耐低温衝撃性が劣ることとなる。
2)樹脂成分(B)
本発明の接着性樹脂組成物に用いられる樹脂成分(B)である不飽和カルボン酸又はその無水物(不飽和カルボン酸等)の含有量が0.01重量%以上となるように不飽和カルボン酸等で変性されたポリプロピレン(変性PP)の原料となるポリプロピレンとしては、プロピレンの単独重合体、或いはプロピレンを主成分とする、これと、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン、アクリル酸、アクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸及びその誘導体、酢酸ビニル等のビニルエステル、スチレン、メチルスチレン等の不飽和芳香族化合物等との、ランダム共重合体、ブロック共重合体、またはグラフト共重合体を挙げることができる。
【0022】
本発明に用いる変性PPは、このようなポリプロピレンをアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸TM(エンドシス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)等の不飽和カルボン酸により変性することにより得ることができる。
【0023】
中でもマレイン酸、無水マレイン酸で変性したポリプロピレンが好ましい。
ポリプロピレンを不飽和カルボン酸等により変性する方法は特に限定されるものではなく、例えば前記のポリプロピレンを有機溶剤に溶解した溶液に不飽和カルボン酸等及びラジカル発生剤等を加え、通常60〜350℃、好ましくは80〜190℃の温度で、0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させることにより行う溶液変性法や、押出機等を使用して、上記のポリプロピレンと不飽和カルボン酸等とをポリプロピレンの融点以上、例えば170〜280℃で溶融状態として、通常0.5〜10分間程度反応させることにより変性させる溶融変性法を用いることができる。
【0024】
いずれの変性方法を採用するにしても、変性用の不飽和カルボン酸等を効率良く反応させるために、ラジカル発生剤の存在下に反応を行うことが好ましい。
変性PPとしては、不飽和カルボン酸等の含有量が0.01重量%以上のものを用いるが、中でも0.1〜10重量%が好ましく、0.3〜5重量%が特に好ましい。0.01重量%未満では接着性が不十分となり、10重量%を超えると、変性反応の副反応であるポリプロピレンの主鎖切断が著しくなり、溶融粘度が低下するため、やはり接着性が劣る傾向となりやすい。不飽和カルボン酸の含有量は赤外分光光度法により、前もって作成された検量線から求めることができる。
【0025】
本発明の接着性樹脂組成物中においては、樹脂成分全体に含まれる樹脂成分(B)の変性PPの含有量は0.5〜30重量%であるが、中でも1〜10重量%が好ましく、1〜5重量%が特に好ましい。この含有量が0.5重量%未満では接着性が不足する。また、含有量が30重量%を超えると接着性樹脂組成物全体の強度が低下する。
3)樹脂成分(C)およびその他配合材料
本発明の接着性樹脂層(I)には、上記の樹脂成分(A)、(B)に加えて、樹脂成分(C)として、ポリプロピレンを接着性樹脂成分全体の89.5重量%以下の量で含有していてもよい。このポリプロピレンとしては、樹脂成分(B)の原料のところで例示したようなプロピレンの単独重合体やプロピレンと他のコモノマーとの共重合体を用いることができる。本発明においては、その効果を損わない範囲で上記の成分に加えて、樹脂成分(A)〜(C)に該当しないポリオレフィン系エラストマー等を樹脂成分として添加することもできる。また、これらの樹脂成分以外にも、必要に応じて通常ポリプロピレンの組成物に使用される配合剤を、本発明の効果を損なわない範囲で添加しても構わない。このような配合剤としては、例えば熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、中和剤、防錆剤、顔料等を挙げることができる。特に、本発明の接着性樹脂組成物100重量部あたり、フェノール系、硫黄系、又はリン系の酸化防止剤を0.1〜2重量部、ハイドロタルサイト等の中和剤を0.01〜0.2重量部配合すると本発明の効果が更に向上するので好適である。
4)配合方法
樹脂成分(A)、樹脂成分(B)及び樹脂成分(C)、並びに、必要に応じて添加されるその他配合材料を用いて、本発明の接着性樹脂組成物を得るための配合方法は、溶融法、溶液法、懸濁分散法等があり、特に限定されない。実用的には溶融混練法が好ましい。
【0026】
溶融混練のための具体的な方法としては、粉状又は粒状の樹脂成分(A)、樹脂成分(B)及び樹脂成分(C)、並びに、必要に応じて添加されるその他配合材料を、所定の配合割合にて、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等を用いて均一に混合した後、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、一軸又は二軸等の多軸混練押出機等の通常の混練機を用いて混練する方法が例示できる。
【0027】
各成分の溶融混練の温度は、100℃〜300℃の範囲、好ましくは120℃〜280℃の範囲、特に好ましくは150℃〜250℃の範囲である。さらに、各成分の混練順序及び方法は、特に限定されるものではなく、樹脂成分(A)、樹脂成分(B)及び樹脂成分(C)と、その他配合材料とを一括して混練する方法、成分(A)〜成分(C)、及びその他配合材料の内の一部を混練した後、付加的な配合材料を含めた残りの成分を混練する方法でもよい。
[2]極性ポリマー層
本発明において、極性ポリマー層(II)に用いられる樹脂としては、一般に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、尿素結合、シリルエーテル結合、カルボニル結合等を有してなるか、または、アミノ基、ハロゲン原子、イソシアネート基、アルデヒド基、水酸基、カルボキシル基、酸無水基、シラノール基、スルフォン酸基およびエポキシ基等からなる極性基を有するポリマーである。例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリエチレンナフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0028】
これらは、積層体の用途に応じて自由に選択されるが、中でもエチレンービニルアルコール共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂等ガスバリア性樹脂が好適に用いられる。ガスバリア性樹脂としては、エチレンービニルアルコール共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂等が代表的なものとして挙げられる。
【0029】
エチレンービニルアルコール共重合体樹脂は、通常エチレン−酢酸ビニル共重合体を鹸化して得られるものであり、本発明においては、そのエチレン含有量が20〜50モル%で、鹸化度が95%以上のものが好ましい。ポリアミド樹脂としては、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等のラクタムの重合体、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−または1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)等の脂環式ジアミン、m−またはp−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン単位と、アジピン酸、スペリン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸単位との重縮合体、及びこれらの共重合体であって、具体的には、ナイロン6、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロンMXD6、等があり、中でもナイロン6、ナイロンMXD6が好ましい。
【0030】
その飽和ポリエステル樹脂としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等の脂環式ジオール、ビスフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオール等のジオール単位と、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸単位との重縮合体であって、熱可塑性を示す限り、少量のトリオールやトリカンルボン酸等で変性されていても良く、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート共重合体等が挙げられ、中でもポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
[3]基材層
本発明の基材層(III)は、積層体に必要とされる性能に応じて自由に選択することが出来る。基材層によく使用されるものとしては、ポリプロピレンまたはポリエチレンに代表されるポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートに代表されるポリエステル系樹脂、ポリスチレン、スチレン系弾性体(スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体水添物など)、紙、布、アルミシート等の金属箔などがあげられる。これら基材層に使用される材料は単独でも、2種以上の混合体でも積層体でも良く、また、各種共重合体も利用することが出来、このうち、ポリオレフィン樹脂が好適に用いられる。
【0031】
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂は単独重合体でも共重合体でも良い。その単量体としては、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン又は4−メチル−1−ペンテン等の炭素数3〜20のα−オレフィンが挙げられる。また、これらに加えて少量のアクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル等のビニルエステル;スチレン、α−メチルスチレン等の不飽和芳香族化合物などを、共重合成分として用いることもできる。これらのポリオレフィンのうち、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体が好ましく、特にポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体が好ましい。
[4]成形方法
(1)積層体の製造
本発明の積層体は、前述の接着性樹脂層(I)、極性ポリマー層(II)、及び基材層(III)を用い、従来より公知の種々手法で製造することができる。例えば、(共)押出成形法、インフレーション成形法、ブロー成形法、回転成形法、プレス成形法、射出成形法(インサート射出成形法、二色射出成形法、コアバック射出成形法、サンドイッチ射出成形法、インジェクションプレス成形法)等の各種成形法を用いることができる。中でも(共)押出成形法が、本発明の接着性重合体組成物の優れた熱融着性と加工性を活かすことができ、生産性を向上できるので好適である。
【0032】
成形に際しては、乾燥した材料を用いることが重要である。材料を予備乾燥するための温度としては40〜150℃、好ましくは60〜130℃、より好ましくは80〜120℃で、乾燥時間は1〜24時間、好ましくは1〜10時間、より好ましくは2〜6時間で行うのが好適である。さらに、乾燥を減圧下で行うとより効果的であり、これにより乾燥温度を低く、乾燥時間を短くすることが可能である。
【0033】
未乾燥の材料で成形した場合には、成形品表面に肌荒れが生じたり、物性の低下を招くことがある。
(2)延伸積層体の製造
本発明の延伸積層体を製造する方法としては、従来より公知の種々の方法を採用することができる。例えば、上記(1)から得られた未延伸の(多層)積層体を冷却固化後、各成形品をインライン、またはオフラインで60〜160℃の延伸温度まで再加熱し、テンター、プラグおよび圧縮空気等を用い一軸方向、あるいは二軸方向に少なくとも面積比で1.5倍以上延伸を行い、一軸または二軸延伸成形したフィルム、カップ、ボトル等の成形体を得る方法が挙げられる。延伸倍率としては、面積比で通常1.5倍から50倍、好ましくは1.5倍から20倍である。延伸倍率が1.5倍未満では前述した延伸の効果は得られず、50倍を越えると成形時に破断が生じることがあるなど延伸積層体の強度が低下する傾向となる。インフレーションフィルムを製造する場合は、インフレ同時二軸延伸法、Tダイフィルムの場合はテンター同時二軸延伸法、ロールおよびテンターに因る逐次二軸延伸法等、カップの製造の場合は、金型内で圧縮空気等による圧空成形又は真空成形、プラグと圧縮空気を併用するSPPF成形等、ボトル製造の場合は、積層パイプを縦に延伸後、金型内で圧縮空気等で横に延伸するパイプ延伸法、インジェクション成形により試験管状の有底パリソンを成形し、有底パリソンを金型内でロッドにより縦方向に延伸後、圧縮空気等により横方向に延伸する有底パリソン延伸法等が一般的に用いられる。
【0034】
また、本発明の延伸積層体は必要に応じて、延伸後再加熱、すなわちヒートセットを行うことにより更に耐熱性を向上する(収縮性はやや低下する)ことができる。また、本発明の延伸積層体と別途製造されたフィルムを積層して積層体とすることもできる。
【0035】
【実施例】
以下本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限りこれら実施例により限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例で用いるプロピレン系重合体は下記のようにして製造した。
[1]樹脂成分(A)の製造
内容積550リットルの第一段反応器に、温度70℃で加圧下(70℃においては約3.2MPaになる)において、目的とする共重合体の組成割合に応じたプロピレンとエチレンとトリエチルアルミニウム及び、重合体生成速度が20kg/時間となるような量のアルミニウム−マグネシウム−チタン−ケイ素を主成分とする固体触媒とを連続的に供給し、更に分子量調整剤として水素をやはり連続的に供給して液相中で第一段階の重合を実施した。
【0036】
続いてプロピレンパージ槽を経由して、生成重合体を内容積1900リットルの第二段反応器に導入し、温度60℃で、圧力3.0MPaになるように、目的とする共重合体の組成割合に応じたプロピレンとエチレンとを連続的に供給し、更に分子量調整剤として水素を連続的に供給するとともに、活性水素化合物(エタノール)を、第一段階で供給した固体成分触媒中のチタン原子に対して200倍モルで、トリエチルアルミニウムに対して2.5倍モルになるように供給して気相中で重合を実施し、生成重合体を連続的にベッセルに移した後、水分を含んだ窒素ガスを導入して反応を停止させた(第二段階重合)。
[2]樹脂成分(A)の組成分析
上記で得た樹脂成分(A)について、以下に示す方法で、樹脂成分(A)中の(a1)成分及び(a2)成分の重合割合、(a1)成分及び(a2)成分に含まれる室温キシレン不溶分、可溶分の樹脂成分(A)中の重量割合、(a1)成分のアイソタクチックインデックス、(a1)成分のα−オレフィン(エチレン)含有量、及び(a2)成分の室温キシレン可溶分中のプロピレン以外のα−オレフィン(エチレン)の含有量をそれぞれ測定した。
【0037】
結果を表1に示す。
(1)(a1)成分及び(a2)成分の樹脂成分(A)中の重量割合
(a2)成分の樹脂成分(A)中の重量割合(これをa2(重量%)とする)を、得られた樹脂成分(A)の重量と、第二段階の重合で供給したプロピレンとエチレンの合計重量から算出した。これより、樹脂成分(A)中の(a1)成分の重量割合(a1(重量%)とする)を、「100−a2」によって算出した。(2)(a1)成分及び(a2)成分中の室温キシレン不溶分、可溶分
第一段階の重合後に生成した重合体をサンプリングし、その試料1gを油浴中のキシレン300ミリリットル中に入れ、キシレンの沸点である140℃で撹拌下に溶解してそのまま1時間撹拌を続ける。続いて撹拌しながら1時間以内で100℃まで降温した後、急冷用油浴に移して撹拌を継続しながら23±2℃まで急冷してポリマーを析出させ、20分間以上放置した。析出物を濾紙で自然濾過し、濾液をエバポレータを用いて蒸発乾固して、120℃で2時間減圧乾燥した後、常温まで放冷してその重量を測定し、(a1)成分中の室温キシレン可溶分を求め、これと当初の試料量と比較することにより、(a1)成分中の室温キシレン可溶分の重量割合(a1cxs(重量%)とする)を算出した。
【0038】
同様にして生成した樹脂成分(A)全体に含まれる室温キシレン可溶分を測定し、その重量割合(As(重量%)とする)を算出した。
これらより、樹脂成分(A)に対する、(a1)成分中の室温キシレン可溶分(a1s(重量%)とする)を、a1s=(a1×a1cxs)/100により、(a1)成分中の室温キシレン不溶分(a1i(重量%)とする)をa1i=a1−a1sにより、また(a2)成分中の室温キシレン可溶分(a2s(重量%)とする)を、a2s=As−a1sにより、それぞれ算出した。
【0039】
また、樹脂成分(A)に対する(a2)成分中の室温キシレン不溶分(a2i(重量%)とする)を、a2i=a2−a2sとして算出した。
(3)(a1)成分のアイソタクチックインデックス
上記(2)と同様にして、第一段階の重合後に生成した重合体((a1)成分)をサンプリングし、そのn−ヘプタンによるソックスレー抽出後の残渣重量を測定し、試料重量に対する重量%として算出した。
【0040】
(4)(a1)成分のエチレン含有量
上記(2)と同様にして、第一段階の重合後に生成した重合体((a1)成分)をサンプリングし、赤外分光光度法により、前もって作成された検量線からエチレン含有量(Ea1(重量%))を算出した。
(5)(a2)成分の室温キシレン可溶分中のエチレン含有量
上記(2)において得られた第一段階の重合後に生成した重合体の室温キシレン可溶分及び樹脂成分(A)全体に含まれる室温キシレン可溶分について、検量線を用いた赤外分光光度法により、そのエチレン含有量(それぞれEa1s(重量%)及びEAs(重量%)とする)を測定し、下式により(a2)成分の室温キシレン可溶分のエチレン含有量(Ea2s(重量%)とする)を算出した。
【0041】
【数1】
Ea2s=(EAs−Ea1s(a1s/As))/(a2s/As)
【0042】
【表1】
【0043】
[3]実施例、及び比較例
(1)実施例1
1)接着性樹脂組成物の調製
上記[1]により得られた樹脂成分(A)95重量部、樹脂成分(B)(無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸含量:2.5重量%)5重量部を配合し、更にこの合計量100重量部あたり、フェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、イルガノックス1010)0.2重量部、リン系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、イルガフォス168)0.1重量部、中和剤(協和化学株式会社製、アルカマイザーDHT−4A)0.03重量部を加えて、スーパーミキサーを用いて1分間混合し、単軸押出機を用いて、温度200℃、スクリュー回転数100rpm、押出量8kg/hで溶融混練して、紐状に押し出し、冷却後ペレット状に切断して接着性樹脂組成物1を得た。
【0044】
2)ポリプロピレン/接着性樹脂組成物1/EVOH多層シート成形
多層シート成形機を用い、鏡面ロール側にエチレン・ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと表す)を、接着層に上記で得た接着性樹脂組成物1を、もう一方の側にポリプロピレンを用い、成形温度220℃、ラインスピード5m/minで、EVOH(70μm)/接着性樹脂(30μm)/ポリプロピレン(250μm)の三層シート1を得た。
【0045】
本成形に用いたポリプロピレンはポリプロピレン単独重合体(日本ポリケム社製EA7A、MFR230℃−21.18N荷重:1.4g/10分)であり、EVOHは「ソアノ−ル」(日本合成化学社製DC3203FB、エチレン含量32wt%、MFR230℃−21.18N荷重:1.3g/10分)であった。
3)ポリプロピレン/接着性樹脂組成物1/EVOH多層シートの延伸成形
上記で得られた三層シート1を、東洋精機製2軸延伸機にて、予熱温度140℃、予熱時間3分、ヒートセット温度140℃、ヒートセット時間1分の条件にて、縦横それそれ2倍延伸し、延伸シート1を得た。
(2)実施例2
実施例1のポリプロピレン/接着性樹脂/EVOH多層シートにおいてEVOHに代えてポリアミド6−66を用いた以外は、実施例1と同様にポリアミド6−66(70μm)/接着性樹脂(30μm)/ポリプロピレン(250μm)の三層シート2を得、実施例1と同様に延伸シート2を得た。ここで用いたポリアミド6−66は「ノバミッド」(商標)三菱エンジニアリングプラスチック社製2030CA2であった。
(3)比較例1
実施例1の接着性樹脂組成物の調製において、上記[1]により得たプロピレン系重合体95重量部の代わりに、プロピレン・エチレンランダム共重合体(三菱化学社製SPX8600LD、MFR230℃−21.18N荷重:3g/10分)75重量部と、プロピレン−エチレン共重合体エラストマー(JSR社製EP01Y、エチレン含量22%、MFR230℃−21.18N荷重:3.6g/10分)20重量部を使用した以外は、実施例1と同様に、接着性樹脂組成物2を得、さらに、その組成物を用い実施例1と同様に、EVOH(70μm)/接着性樹脂(30μm)/ポリプロピレン(250μm)の三層シート3、延伸シート3を得た。
(4)比較例2
比較例1の三層シートの製造の際にEVOHに代えてポリアミド6−66を用いた以外は、比較例1と同様にしてポリアミド6−66(70μm)/接着性樹脂(30μm)/ポリプロピレン(250μm)の三層シート4を得、実施例1と同様に延伸シート4を得た。
[4]評価
(1)接着強度
延伸前シート、延伸後シートそれぞれのEVOH、ポリアミド6−66層と接着性樹脂層との層間接着力(N/cm)を下記の条件で測定した。
【0046】
剥離幅 10mm
剥離状態 Tピール
剥離速度 300mm/min
測定雰囲気温度 23℃
(2)透視性
多層シートより20×30mmのサンプルを切り出し、LSI(Light Scattering Index)計(Evans Electroselenium社製)にて透視性を測定した。
【0047】
これらの評価結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
<結果の評価>
(1)比較例1は、接着性樹脂層(I)の成分(A)が本発明の範囲外であるため、積層体の延伸前、延伸後ともEVOH層との接着強度が劣っており、また、透視性も劣っている。
(2)比較例2は、接着性樹脂層(I)の成分(A)が本発明の範囲外であるため、積層体の延後のポリアミド層との接着強度が劣っており、また、透視性も劣っている。
【0050】
【発明の効果】
本発明の積層体は、特定のプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体と不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレンを特定比率で含有してなる接着性樹脂層と極性ポリマー層からなる積層体であり、優れた透視性、接着性を発現することが出来る。更に、これらの積層体を延伸してなる延伸積層体も、優れた透視性、延伸後の接着性を発現する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体と不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレンとを特定比率で含有してなる接着性樹脂組成物層と極性ポリマー層を積層してなる透視性、接着性に優れた積層体に関する。更に、これらの積層体を延伸してなる透視性、延伸後の接着性に優れた延伸積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、清涼飲料や果実飲料、ハム・ソーセージ、嗜好食品、食用油、化粧品容器としては、成形性・剛性・耐内容物性に優れたポリオレフィン系樹脂が用いられてきたが、近年、オレフィン系樹脂を両外層としてその中間に変性オレフィン系樹脂等の接着性樹脂層を介してエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層等のガスバリア性樹脂層を設けて酸素バリア性を付与し、内容物の酸化による品質の低下を抑えた多層フィルム、シート、ボトル等からなる容器包装の普及が著しい。
【0003】
これらの中でポリプロピレン系の多層フィルム、シート、ボトル等は、ポリプロピレンが持つ本来の性能を利用して、耐熱性、剛性、透明性等が必要とされる用途に多用されているが、衝撃強度や接着強度が弱く、低温輸送時に製品の一部が割れたり、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層等のガスバリア性樹脂層と接着性樹脂層の界面で剥離が起きるなどの問題が生じている。さらにこれらの積層体は、延伸することにより機械的強度の向上、保香性、ガスバリア性の改良がなされ各種包装材の性能向上が図られているが、延伸処理された製品では剥離の問題が顕著に生じる。
【0004】
これらの対策としてエチレン・プロピレン共重合体エラストマーをブレンドし、衝撃強度、接着強度を改良する等、種々の試みがなされているが、本発明者等の検討によると、何れかの手法を用いて積層し充分に接着している積層体でも、少なくとも1軸方向に面積比で1.5倍〜50倍に延伸処理して得られた延伸積層体は、接着強度が低下し、場合によっては透視性が悪化し、内容物が見にくくなり、使用上問題点が多いことが判明した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる状況に鑑みなされたもので、透視性、接着性が優れた積層体、及び透視性、延伸後の接着性の優れた延伸積層体を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定のプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体と不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレンとを特定比率で含有してなる接着性樹脂組成物からなる層と極性ポリマー層からなる積層体、及び延伸積層体が良好な結果を与えることを見出し本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、下記の樹脂成分(A)10〜99.5重量%、樹脂成分(B)0.5〜30重量%(但し、樹脂成分(A)と樹脂成分(B)の合計量が100重量%)からなる接着性樹脂層(I)と極性ポリマー層(II)とを積層してなる積層体に存している。
樹脂成分(A):下記(a1)成分と(a2)成分とを含み、かつ重合により(a1)成分を生成させた後に(a1)成分の存在下で(a2)成分を重合させることにより得られるプロピレン系重合体。
【0008】
(a1)成分:プロピレンの単独重合体、又はプロピレンと炭素数2〜8の他のα−オレフィンとの共重合体からなり、その室温キシレン可溶分が樹脂成分(A)全体に対して10重量%未満である共重合体であって、樹脂成分(A)全体に対して10〜60重量%である。
(a2)成分:プロピレンとエチレンを必須成分とする、プロピレンと炭素数2〜8の他のα−オレフィンとの共重合体からなり、その室温キシレン可溶分が樹脂成分(A)全体に対して10〜60重量%であって、該室温キシレン可溶分のプロピレン以外のα−オレフィンの含有量が20重量%未満である共重合体であって、樹脂成分(A)全体に対して40〜90重量%である。
【0009】
樹脂成分(B):不飽和カルボン酸又はその無水物(以下「不飽和カルボン酸等」と略記する)の含有量が0.01重量%以上となるように不飽和カルボン酸等により変性されたポリプロピレン(以下「変性PP」と略記する)。
本発明の別の要旨は、上記(a2)成分の室温キシレン不溶分が成分(A)全体に対して20重量%より多く70重量%以下である上記の積層体、又は上記の樹脂成分(A)中の(a1)成分が、(a1)成分全体に対して99〜95重量%のプロピレンと、1〜5重量%の炭素数2〜8の他のα−オレフィンとの共重合体である積層体に存している。
【0010】
本発明の他の要旨は、上記接着性樹脂層(I)の一方の側に極性ポリマー層(II)を、他方の側に基材層(III)を積層してなる積層体に存している。
【0011】
本発明のもう一つの要旨は、上記極性ポリマー層がガスバリア性樹脂層であり、基材層がポリオレフィン樹脂層である積層体に存している。
本発明の別のもう一つの要旨は、上記積層体に延伸倍率が、少なくとも1軸方向に面積比で1.5倍〜50倍の延伸処理を施したものである延伸積層体に存している。
【0012】
【発明の実施の形態】
[1]接着性樹脂層
1)樹脂成分(A)
本発明の積層体に用いられる樹脂成分(A)のプロピレン系重合体は、下記の(a1)成分と(a2)成分とを含み、かつ重合により(a1)成分を生成した後に、(a1)成分の存在下で(a2)成分を重合させることによって得られてなるプロピレン系重合体である。
【0013】
このプロピレン系重合体を構成する一方の(a1)成分は、室温キシレンに不溶性の結晶性成分と室温キシレンに可溶性の非晶性成分とからなり、室温キシレン可溶分が樹脂成分(A)全体に対して10重量%未満のプロピレン系共重合体である。室温キシレン可溶分は、好ましくは、5重量%未満である。室温キシレン可溶分が前記範囲を超えると耐熱性が劣る傾向となる。
ここでプロピレン系共重合体とは、重合体中にプロピレン由来の構成単位が70重量%以上含有されていることを意味する。好ましいプロピレン由来の構成単位の含有割合は、(a1)成分全体に対して99〜95重量%のプロピレンと、1〜5重量%の炭素数2〜8の他のα−オレフィンとの共重合体である。
【0014】
ここでこの重合体においてプロピレン以外に用いることができる単量体として、好ましい単量体はエチレンである。また(a1)成分のアイソタクチックインデックスは90%以上であることが好ましい。ここでアイソタクチックインデックスとは、この重合体中の室温のキシレンに不溶性の結晶性成分の含有割合に実質的に対応する。(a1)成分のアイソタクチックインデックスが90%未満では、得られる組成物の耐熱性が劣る傾向となる。
又、本発明のプロピレン系重合体を構成する一方の(a2)成分は、プロピレンとエチレンとを必須成分とするプロピレンと炭素数2〜8の他のα−オレフィンとの共重合体からなり、ここで他のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられ、中でもエチレンが好ましい。
【0015】
そして、本発明においては、前記(a2)成分の共重合体は、室温キシレンに不溶性の結晶性成分と室温キシレンに可溶性の非晶性成分とからなり、室温キシレン可溶分が樹脂成分(A)全体に対して10〜60重量%であって、該室温キシレン可溶分中のプロピレン以外のα−オレフィンの含有量が20重量%未満であることが必須である。好ましくは、室温キシレン可溶分が組成物全体に対して15〜60重量%であって、該室温キシレン可溶分中のプロピレン以外のα−オレフィンの含有量が10〜18重量%である。
【0016】
前記(a2)成分における室温キシレン可溶分が前記範囲未満では、接着性、耐低温衝撃性に劣ることとなり、一方、室温キシレン可溶分が前記範囲を超えると、透明性に劣ることとなる。さらに、室温キシレン可溶分中のプロピレン以外のα−オレフィンの含有量が前記範囲以上では、透明性が劣ることとなる。
さらに本発明においては、上記(a2)成分の共重合体は、室温キシレン不溶分が成分(A)全体に対して20重量%より多く70重量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは25〜60重量%である。(a2)成分における室温キシレン不溶分が前記範囲以下では、透明性が劣る傾向となり、一方、室温キシレン不溶分が前記範囲を超えると、接着性、耐低温衝撃性が劣る傾向となる。
【0017】
このような樹脂成分(A)のプロピレン系重合体は、上述の通り重合により(a1)成分を生成した後に、(a1)成分の存在下で(a2)成分を重合させることによって得られてなるものである。このような逐次重合に用いられる触媒は、特に限定されるものではないが、有機アルミニウム化合物と、チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子及び電子供与性化合物を必須とする固体成分とからなるものが好ましい。
【0018】
この逐次重合は、例えば第一段階でプロピレン又はプロピレンと炭素原子数2〜8の他のα−オレフィンを供給して、前記の触媒の存在下に温度50〜150℃、好ましくは50〜100℃、プロピレンの分圧0.5〜4.5MPa、好ましくは1.0〜3.5MPaの条件で、プロピレンを主成分とするα−オレフィンの重合を実施して(a1)成分を生成させ、続いて第二段階でプロピレンとエチレン又はプロピレンとエチレンと炭素原子数4〜8のα−オレフィンとを供給して、前記触媒の存在下に温度50〜150℃、好ましくは50〜100℃、プロピレン及びエチレンの分圧各0.3〜4.5MPa、好ましくは0.5〜3.5MPaの条件で、プロピレン−エチレン共重合又はプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合を実施して(a2)成分を生成させることにより行うことができる。
【0019】
この重合は、回分式、連続式、半回分式のいずれによってもよく、第一段階の重合は気相又は液相中、また第二段階以降の重合も気相又は液相中、特には気相中で実施するのが好ましく、各段階の滞留時間は各々0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間とするのがよい。
この方法において、(a1)成分及び(a2)成分の含有量は、各段階において重合させる単量体の量により、(a1)成分、及び(a2)成分の室温キシレン可溶分は、各重合段階において仕込む単量体の組成や各段階における重合体の生成量、及び例えば水素供給量で調節される分子量により調整することができる。また触媒の種類の選択によっても調整が可能である。また(a1)成分のアイソタクチックインデックスは用いる触媒の種類や重合条件、例えば温度、圧力等や仕込単量体の組成により、それぞれ調整できる。
【0020】
樹脂成分全体中の、樹脂成分(A)の含有量は10〜99.5重量%である。より好ましい含有量は30〜95重量%である。樹脂成分(A)の含有量が10重量%未満では接着性と耐低温衝撃性が劣り、99.5%を超えると接着成分である変性ポリプロピレンの含有量が少なくなり、やはり接着性が劣ることとなる。
【0021】
又、本発明のプロピレン系重合体は、前記(a1)成分が10〜60重量%、前記(a2)成分が40〜90重量%からなり、前記(a1)成分が20〜50重量%、前記(a2)成分が50〜80重量%であるのが、それぞれ好ましい。前記(a1)成分が前記範囲未満で前記(a2)成分が前記範囲を超えると、組成物の耐熱性が劣ることとなり、一方、(a1)成分が前記範囲を超え、前記(a2)成分が前記範囲未満では、接着性と耐低温衝撃性が劣ることとなる。
2)樹脂成分(B)
本発明の接着性樹脂組成物に用いられる樹脂成分(B)である不飽和カルボン酸又はその無水物(不飽和カルボン酸等)の含有量が0.01重量%以上となるように不飽和カルボン酸等で変性されたポリプロピレン(変性PP)の原料となるポリプロピレンとしては、プロピレンの単独重合体、或いはプロピレンを主成分とする、これと、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン、アクリル酸、アクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸及びその誘導体、酢酸ビニル等のビニルエステル、スチレン、メチルスチレン等の不飽和芳香族化合物等との、ランダム共重合体、ブロック共重合体、またはグラフト共重合体を挙げることができる。
【0022】
本発明に用いる変性PPは、このようなポリプロピレンをアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸TM(エンドシス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)等の不飽和カルボン酸により変性することにより得ることができる。
【0023】
中でもマレイン酸、無水マレイン酸で変性したポリプロピレンが好ましい。
ポリプロピレンを不飽和カルボン酸等により変性する方法は特に限定されるものではなく、例えば前記のポリプロピレンを有機溶剤に溶解した溶液に不飽和カルボン酸等及びラジカル発生剤等を加え、通常60〜350℃、好ましくは80〜190℃の温度で、0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させることにより行う溶液変性法や、押出機等を使用して、上記のポリプロピレンと不飽和カルボン酸等とをポリプロピレンの融点以上、例えば170〜280℃で溶融状態として、通常0.5〜10分間程度反応させることにより変性させる溶融変性法を用いることができる。
【0024】
いずれの変性方法を採用するにしても、変性用の不飽和カルボン酸等を効率良く反応させるために、ラジカル発生剤の存在下に反応を行うことが好ましい。
変性PPとしては、不飽和カルボン酸等の含有量が0.01重量%以上のものを用いるが、中でも0.1〜10重量%が好ましく、0.3〜5重量%が特に好ましい。0.01重量%未満では接着性が不十分となり、10重量%を超えると、変性反応の副反応であるポリプロピレンの主鎖切断が著しくなり、溶融粘度が低下するため、やはり接着性が劣る傾向となりやすい。不飽和カルボン酸の含有量は赤外分光光度法により、前もって作成された検量線から求めることができる。
【0025】
本発明の接着性樹脂組成物中においては、樹脂成分全体に含まれる樹脂成分(B)の変性PPの含有量は0.5〜30重量%であるが、中でも1〜10重量%が好ましく、1〜5重量%が特に好ましい。この含有量が0.5重量%未満では接着性が不足する。また、含有量が30重量%を超えると接着性樹脂組成物全体の強度が低下する。
3)樹脂成分(C)およびその他配合材料
本発明の接着性樹脂層(I)には、上記の樹脂成分(A)、(B)に加えて、樹脂成分(C)として、ポリプロピレンを接着性樹脂成分全体の89.5重量%以下の量で含有していてもよい。このポリプロピレンとしては、樹脂成分(B)の原料のところで例示したようなプロピレンの単独重合体やプロピレンと他のコモノマーとの共重合体を用いることができる。本発明においては、その効果を損わない範囲で上記の成分に加えて、樹脂成分(A)〜(C)に該当しないポリオレフィン系エラストマー等を樹脂成分として添加することもできる。また、これらの樹脂成分以外にも、必要に応じて通常ポリプロピレンの組成物に使用される配合剤を、本発明の効果を損なわない範囲で添加しても構わない。このような配合剤としては、例えば熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、中和剤、防錆剤、顔料等を挙げることができる。特に、本発明の接着性樹脂組成物100重量部あたり、フェノール系、硫黄系、又はリン系の酸化防止剤を0.1〜2重量部、ハイドロタルサイト等の中和剤を0.01〜0.2重量部配合すると本発明の効果が更に向上するので好適である。
4)配合方法
樹脂成分(A)、樹脂成分(B)及び樹脂成分(C)、並びに、必要に応じて添加されるその他配合材料を用いて、本発明の接着性樹脂組成物を得るための配合方法は、溶融法、溶液法、懸濁分散法等があり、特に限定されない。実用的には溶融混練法が好ましい。
【0026】
溶融混練のための具体的な方法としては、粉状又は粒状の樹脂成分(A)、樹脂成分(B)及び樹脂成分(C)、並びに、必要に応じて添加されるその他配合材料を、所定の配合割合にて、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等を用いて均一に混合した後、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、一軸又は二軸等の多軸混練押出機等の通常の混練機を用いて混練する方法が例示できる。
【0027】
各成分の溶融混練の温度は、100℃〜300℃の範囲、好ましくは120℃〜280℃の範囲、特に好ましくは150℃〜250℃の範囲である。さらに、各成分の混練順序及び方法は、特に限定されるものではなく、樹脂成分(A)、樹脂成分(B)及び樹脂成分(C)と、その他配合材料とを一括して混練する方法、成分(A)〜成分(C)、及びその他配合材料の内の一部を混練した後、付加的な配合材料を含めた残りの成分を混練する方法でもよい。
[2]極性ポリマー層
本発明において、極性ポリマー層(II)に用いられる樹脂としては、一般に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、尿素結合、シリルエーテル結合、カルボニル結合等を有してなるか、または、アミノ基、ハロゲン原子、イソシアネート基、アルデヒド基、水酸基、カルボキシル基、酸無水基、シラノール基、スルフォン酸基およびエポキシ基等からなる極性基を有するポリマーである。例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリエチレンナフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0028】
これらは、積層体の用途に応じて自由に選択されるが、中でもエチレンービニルアルコール共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂等ガスバリア性樹脂が好適に用いられる。ガスバリア性樹脂としては、エチレンービニルアルコール共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂等が代表的なものとして挙げられる。
【0029】
エチレンービニルアルコール共重合体樹脂は、通常エチレン−酢酸ビニル共重合体を鹸化して得られるものであり、本発明においては、そのエチレン含有量が20〜50モル%で、鹸化度が95%以上のものが好ましい。ポリアミド樹脂としては、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等のラクタムの重合体、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−または1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)等の脂環式ジアミン、m−またはp−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン単位と、アジピン酸、スペリン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸単位との重縮合体、及びこれらの共重合体であって、具体的には、ナイロン6、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロンMXD6、等があり、中でもナイロン6、ナイロンMXD6が好ましい。
【0030】
その飽和ポリエステル樹脂としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等の脂環式ジオール、ビスフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオール等のジオール単位と、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸単位との重縮合体であって、熱可塑性を示す限り、少量のトリオールやトリカンルボン酸等で変性されていても良く、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート共重合体等が挙げられ、中でもポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
[3]基材層
本発明の基材層(III)は、積層体に必要とされる性能に応じて自由に選択することが出来る。基材層によく使用されるものとしては、ポリプロピレンまたはポリエチレンに代表されるポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートに代表されるポリエステル系樹脂、ポリスチレン、スチレン系弾性体(スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体水添物など)、紙、布、アルミシート等の金属箔などがあげられる。これら基材層に使用される材料は単独でも、2種以上の混合体でも積層体でも良く、また、各種共重合体も利用することが出来、このうち、ポリオレフィン樹脂が好適に用いられる。
【0031】
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂は単独重合体でも共重合体でも良い。その単量体としては、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン又は4−メチル−1−ペンテン等の炭素数3〜20のα−オレフィンが挙げられる。また、これらに加えて少量のアクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル等のビニルエステル;スチレン、α−メチルスチレン等の不飽和芳香族化合物などを、共重合成分として用いることもできる。これらのポリオレフィンのうち、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体が好ましく、特にポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体が好ましい。
[4]成形方法
(1)積層体の製造
本発明の積層体は、前述の接着性樹脂層(I)、極性ポリマー層(II)、及び基材層(III)を用い、従来より公知の種々手法で製造することができる。例えば、(共)押出成形法、インフレーション成形法、ブロー成形法、回転成形法、プレス成形法、射出成形法(インサート射出成形法、二色射出成形法、コアバック射出成形法、サンドイッチ射出成形法、インジェクションプレス成形法)等の各種成形法を用いることができる。中でも(共)押出成形法が、本発明の接着性重合体組成物の優れた熱融着性と加工性を活かすことができ、生産性を向上できるので好適である。
【0032】
成形に際しては、乾燥した材料を用いることが重要である。材料を予備乾燥するための温度としては40〜150℃、好ましくは60〜130℃、より好ましくは80〜120℃で、乾燥時間は1〜24時間、好ましくは1〜10時間、より好ましくは2〜6時間で行うのが好適である。さらに、乾燥を減圧下で行うとより効果的であり、これにより乾燥温度を低く、乾燥時間を短くすることが可能である。
【0033】
未乾燥の材料で成形した場合には、成形品表面に肌荒れが生じたり、物性の低下を招くことがある。
(2)延伸積層体の製造
本発明の延伸積層体を製造する方法としては、従来より公知の種々の方法を採用することができる。例えば、上記(1)から得られた未延伸の(多層)積層体を冷却固化後、各成形品をインライン、またはオフラインで60〜160℃の延伸温度まで再加熱し、テンター、プラグおよび圧縮空気等を用い一軸方向、あるいは二軸方向に少なくとも面積比で1.5倍以上延伸を行い、一軸または二軸延伸成形したフィルム、カップ、ボトル等の成形体を得る方法が挙げられる。延伸倍率としては、面積比で通常1.5倍から50倍、好ましくは1.5倍から20倍である。延伸倍率が1.5倍未満では前述した延伸の効果は得られず、50倍を越えると成形時に破断が生じることがあるなど延伸積層体の強度が低下する傾向となる。インフレーションフィルムを製造する場合は、インフレ同時二軸延伸法、Tダイフィルムの場合はテンター同時二軸延伸法、ロールおよびテンターに因る逐次二軸延伸法等、カップの製造の場合は、金型内で圧縮空気等による圧空成形又は真空成形、プラグと圧縮空気を併用するSPPF成形等、ボトル製造の場合は、積層パイプを縦に延伸後、金型内で圧縮空気等で横に延伸するパイプ延伸法、インジェクション成形により試験管状の有底パリソンを成形し、有底パリソンを金型内でロッドにより縦方向に延伸後、圧縮空気等により横方向に延伸する有底パリソン延伸法等が一般的に用いられる。
【0034】
また、本発明の延伸積層体は必要に応じて、延伸後再加熱、すなわちヒートセットを行うことにより更に耐熱性を向上する(収縮性はやや低下する)ことができる。また、本発明の延伸積層体と別途製造されたフィルムを積層して積層体とすることもできる。
【0035】
【実施例】
以下本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限りこれら実施例により限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例で用いるプロピレン系重合体は下記のようにして製造した。
[1]樹脂成分(A)の製造
内容積550リットルの第一段反応器に、温度70℃で加圧下(70℃においては約3.2MPaになる)において、目的とする共重合体の組成割合に応じたプロピレンとエチレンとトリエチルアルミニウム及び、重合体生成速度が20kg/時間となるような量のアルミニウム−マグネシウム−チタン−ケイ素を主成分とする固体触媒とを連続的に供給し、更に分子量調整剤として水素をやはり連続的に供給して液相中で第一段階の重合を実施した。
【0036】
続いてプロピレンパージ槽を経由して、生成重合体を内容積1900リットルの第二段反応器に導入し、温度60℃で、圧力3.0MPaになるように、目的とする共重合体の組成割合に応じたプロピレンとエチレンとを連続的に供給し、更に分子量調整剤として水素を連続的に供給するとともに、活性水素化合物(エタノール)を、第一段階で供給した固体成分触媒中のチタン原子に対して200倍モルで、トリエチルアルミニウムに対して2.5倍モルになるように供給して気相中で重合を実施し、生成重合体を連続的にベッセルに移した後、水分を含んだ窒素ガスを導入して反応を停止させた(第二段階重合)。
[2]樹脂成分(A)の組成分析
上記で得た樹脂成分(A)について、以下に示す方法で、樹脂成分(A)中の(a1)成分及び(a2)成分の重合割合、(a1)成分及び(a2)成分に含まれる室温キシレン不溶分、可溶分の樹脂成分(A)中の重量割合、(a1)成分のアイソタクチックインデックス、(a1)成分のα−オレフィン(エチレン)含有量、及び(a2)成分の室温キシレン可溶分中のプロピレン以外のα−オレフィン(エチレン)の含有量をそれぞれ測定した。
【0037】
結果を表1に示す。
(1)(a1)成分及び(a2)成分の樹脂成分(A)中の重量割合
(a2)成分の樹脂成分(A)中の重量割合(これをa2(重量%)とする)を、得られた樹脂成分(A)の重量と、第二段階の重合で供給したプロピレンとエチレンの合計重量から算出した。これより、樹脂成分(A)中の(a1)成分の重量割合(a1(重量%)とする)を、「100−a2」によって算出した。(2)(a1)成分及び(a2)成分中の室温キシレン不溶分、可溶分
第一段階の重合後に生成した重合体をサンプリングし、その試料1gを油浴中のキシレン300ミリリットル中に入れ、キシレンの沸点である140℃で撹拌下に溶解してそのまま1時間撹拌を続ける。続いて撹拌しながら1時間以内で100℃まで降温した後、急冷用油浴に移して撹拌を継続しながら23±2℃まで急冷してポリマーを析出させ、20分間以上放置した。析出物を濾紙で自然濾過し、濾液をエバポレータを用いて蒸発乾固して、120℃で2時間減圧乾燥した後、常温まで放冷してその重量を測定し、(a1)成分中の室温キシレン可溶分を求め、これと当初の試料量と比較することにより、(a1)成分中の室温キシレン可溶分の重量割合(a1cxs(重量%)とする)を算出した。
【0038】
同様にして生成した樹脂成分(A)全体に含まれる室温キシレン可溶分を測定し、その重量割合(As(重量%)とする)を算出した。
これらより、樹脂成分(A)に対する、(a1)成分中の室温キシレン可溶分(a1s(重量%)とする)を、a1s=(a1×a1cxs)/100により、(a1)成分中の室温キシレン不溶分(a1i(重量%)とする)をa1i=a1−a1sにより、また(a2)成分中の室温キシレン可溶分(a2s(重量%)とする)を、a2s=As−a1sにより、それぞれ算出した。
【0039】
また、樹脂成分(A)に対する(a2)成分中の室温キシレン不溶分(a2i(重量%)とする)を、a2i=a2−a2sとして算出した。
(3)(a1)成分のアイソタクチックインデックス
上記(2)と同様にして、第一段階の重合後に生成した重合体((a1)成分)をサンプリングし、そのn−ヘプタンによるソックスレー抽出後の残渣重量を測定し、試料重量に対する重量%として算出した。
【0040】
(4)(a1)成分のエチレン含有量
上記(2)と同様にして、第一段階の重合後に生成した重合体((a1)成分)をサンプリングし、赤外分光光度法により、前もって作成された検量線からエチレン含有量(Ea1(重量%))を算出した。
(5)(a2)成分の室温キシレン可溶分中のエチレン含有量
上記(2)において得られた第一段階の重合後に生成した重合体の室温キシレン可溶分及び樹脂成分(A)全体に含まれる室温キシレン可溶分について、検量線を用いた赤外分光光度法により、そのエチレン含有量(それぞれEa1s(重量%)及びEAs(重量%)とする)を測定し、下式により(a2)成分の室温キシレン可溶分のエチレン含有量(Ea2s(重量%)とする)を算出した。
【0041】
【数1】
Ea2s=(EAs−Ea1s(a1s/As))/(a2s/As)
【0042】
【表1】
【0043】
[3]実施例、及び比較例
(1)実施例1
1)接着性樹脂組成物の調製
上記[1]により得られた樹脂成分(A)95重量部、樹脂成分(B)(無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸含量:2.5重量%)5重量部を配合し、更にこの合計量100重量部あたり、フェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、イルガノックス1010)0.2重量部、リン系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、イルガフォス168)0.1重量部、中和剤(協和化学株式会社製、アルカマイザーDHT−4A)0.03重量部を加えて、スーパーミキサーを用いて1分間混合し、単軸押出機を用いて、温度200℃、スクリュー回転数100rpm、押出量8kg/hで溶融混練して、紐状に押し出し、冷却後ペレット状に切断して接着性樹脂組成物1を得た。
【0044】
2)ポリプロピレン/接着性樹脂組成物1/EVOH多層シート成形
多層シート成形機を用い、鏡面ロール側にエチレン・ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと表す)を、接着層に上記で得た接着性樹脂組成物1を、もう一方の側にポリプロピレンを用い、成形温度220℃、ラインスピード5m/minで、EVOH(70μm)/接着性樹脂(30μm)/ポリプロピレン(250μm)の三層シート1を得た。
【0045】
本成形に用いたポリプロピレンはポリプロピレン単独重合体(日本ポリケム社製EA7A、MFR230℃−21.18N荷重:1.4g/10分)であり、EVOHは「ソアノ−ル」(日本合成化学社製DC3203FB、エチレン含量32wt%、MFR230℃−21.18N荷重:1.3g/10分)であった。
3)ポリプロピレン/接着性樹脂組成物1/EVOH多層シートの延伸成形
上記で得られた三層シート1を、東洋精機製2軸延伸機にて、予熱温度140℃、予熱時間3分、ヒートセット温度140℃、ヒートセット時間1分の条件にて、縦横それそれ2倍延伸し、延伸シート1を得た。
(2)実施例2
実施例1のポリプロピレン/接着性樹脂/EVOH多層シートにおいてEVOHに代えてポリアミド6−66を用いた以外は、実施例1と同様にポリアミド6−66(70μm)/接着性樹脂(30μm)/ポリプロピレン(250μm)の三層シート2を得、実施例1と同様に延伸シート2を得た。ここで用いたポリアミド6−66は「ノバミッド」(商標)三菱エンジニアリングプラスチック社製2030CA2であった。
(3)比較例1
実施例1の接着性樹脂組成物の調製において、上記[1]により得たプロピレン系重合体95重量部の代わりに、プロピレン・エチレンランダム共重合体(三菱化学社製SPX8600LD、MFR230℃−21.18N荷重:3g/10分)75重量部と、プロピレン−エチレン共重合体エラストマー(JSR社製EP01Y、エチレン含量22%、MFR230℃−21.18N荷重:3.6g/10分)20重量部を使用した以外は、実施例1と同様に、接着性樹脂組成物2を得、さらに、その組成物を用い実施例1と同様に、EVOH(70μm)/接着性樹脂(30μm)/ポリプロピレン(250μm)の三層シート3、延伸シート3を得た。
(4)比較例2
比較例1の三層シートの製造の際にEVOHに代えてポリアミド6−66を用いた以外は、比較例1と同様にしてポリアミド6−66(70μm)/接着性樹脂(30μm)/ポリプロピレン(250μm)の三層シート4を得、実施例1と同様に延伸シート4を得た。
[4]評価
(1)接着強度
延伸前シート、延伸後シートそれぞれのEVOH、ポリアミド6−66層と接着性樹脂層との層間接着力(N/cm)を下記の条件で測定した。
【0046】
剥離幅 10mm
剥離状態 Tピール
剥離速度 300mm/min
測定雰囲気温度 23℃
(2)透視性
多層シートより20×30mmのサンプルを切り出し、LSI(Light Scattering Index)計(Evans Electroselenium社製)にて透視性を測定した。
【0047】
これらの評価結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
<結果の評価>
(1)比較例1は、接着性樹脂層(I)の成分(A)が本発明の範囲外であるため、積層体の延伸前、延伸後ともEVOH層との接着強度が劣っており、また、透視性も劣っている。
(2)比較例2は、接着性樹脂層(I)の成分(A)が本発明の範囲外であるため、積層体の延後のポリアミド層との接着強度が劣っており、また、透視性も劣っている。
【0050】
【発明の効果】
本発明の積層体は、特定のプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体と不飽和カルボン酸で変性されたポリプロピレンを特定比率で含有してなる接着性樹脂層と極性ポリマー層からなる積層体であり、優れた透視性、接着性を発現することが出来る。更に、これらの積層体を延伸してなる延伸積層体も、優れた透視性、延伸後の接着性を発現する。
Claims (7)
- 下記の樹脂成分(A)10〜99.5重量%、樹脂成分(B)0.5〜30重量%(但し、樹脂成分(A)と樹脂成分(B)の合計量が100重量%)からなる接着性樹脂層(I)と極性ポリマー層(II)とを積層してなる積層体。
樹脂成分(A):下記(a1)成分と(a2)成分とを含み、かつ重合により(a1)成分を生成させた後に(a1)成分の存在下で(a2)成分を重合により得てなるプロピレン系重合体。
(a1)成分:プロピレンの単独重合体、又はプロピレンと炭素数2〜8の他のα−オレフィンとの共重合体からなり、その室温キシレン可溶分が、樹脂成分(A)全体に対して10重量%未満である共重合体であって、樹脂成分(A)全体に対して10〜60重量%である。
(a2)成分:プロピレンとエチレンを必須成分とする、プロピレンと炭素数2〜8の他のα−オレフィンとの共重合体からなり、その室温キシレン可溶分が樹脂成分(A)全体に対して10〜60重量%であって、該室温キシレン可溶分のプロピレン以外のα−オレフィンの含有量が20重量%未満である共重合体であって、樹脂成分(A)全体に対して40〜90重量%である。
樹脂成分(B):不飽和カルボン酸又はその無水物の含有量が0.01重量%以上となるように不飽和カルボン酸又はその無水物により変性されたポリプロピレン。 - 上記(a2)成分の室温キシレン不溶分が成分(A)全体に対して20重量%より多く70重量%以下である請求項1に記載の積層体。
- 上記樹脂成分(A)中の(a1)成分が、(a1)成分全体に対して99〜95重量%のプロピレンと、1〜5重量%の炭素数2〜8の他のα−オレフィンとの共重合体である請求項1または2に記載の積層体。
- 上記極性ポリマー層がガスバリア性樹脂層である請求項1ないし3の何れか1項に記載の積層体。
- 上記接着性樹脂層(I)の一方の側に極性ポリマー層(II)を他方の側に基材層(III)を積層してなる請求項1ないし4の何れか1項に記載の積層体。
- 上記基材層(III)が、ポリオレフィン樹脂層である請求項1ないし5の何れか1項に記載の積層体。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の積層体に延伸倍率が、少なくとも一軸方向に面積比で1.5倍〜50倍の延伸処理を施した延伸積層体。
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-
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