JP2004025245A - 熱間圧延におけるミルペーシング制御方法 - Google Patents
熱間圧延におけるミルペーシング制御方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】熱延鋼板が加熱炉で抽出されてから巻取完了するまでの間のライン上のあるポイントを通過する時間を自動で正解に予測することができ、短時間で最適抽出ピッチにする熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を提供する。
【解決手段】熱間圧延プラントで圧延された熱延鋼板を最適抽出ピッチで加熱炉から抽出する熱間圧延におけるミルペーシング制御方法において、ライン上の加熱炉からコイラーまでの予め定められた各ポイントにおける熱延鋼板の到達時間を決定する際、粗ゾーンにおいての熱延鋼板の加減速ポイントに関し、計算機により設定計算値を求め、制御を行っているコントローラからの情報により実績値を求め、前記設定計算値を前記実績値と比較し設定計算値の加減速ポイントを修正する。
【選択図】 図1
【解決手段】熱間圧延プラントで圧延された熱延鋼板を最適抽出ピッチで加熱炉から抽出する熱間圧延におけるミルペーシング制御方法において、ライン上の加熱炉からコイラーまでの予め定められた各ポイントにおける熱延鋼板の到達時間を決定する際、粗ゾーンにおいての熱延鋼板の加減速ポイントに関し、計算機により設定計算値を求め、制御を行っているコントローラからの情報により実績値を求め、前記設定計算値を前記実績値と比較し設定計算値の加減速ポイントを修正する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、熱間圧延プラントにおいて、熱延鋼板を最適抽出ピッチで加熱炉から抽出し、製品生産量を最大にする熱間圧延におけるミルペーシング制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術に関して図7、図8を使用して説明する。図7は従来の一般的な熱間圧延におけるミルペーシング制御を説明するための図であり、熱間圧延プラントの構成(b)およびこの熱間圧延プラントでの制御時の熱延鋼板の先尾端の動き(a)を示す。熱間圧延プラントは加熱炉ゾーン(Zone)、粗ゾーン、仕上ゾーン、コイラーゾーンで構成されており、おのおの、加熱炉(F’ce)、R1・R2、F1〜F6で構成されているとする。図8は粗ゾーンの構成(b)および熱延鋼板の先尾端の動き(a)のそれぞれ拡大図である。
【0003】
ミルペーシング制御は、計算機1にて次抽出材と先行材の各イベント(抽出完了、粗第一スタンド噛み込み、等々)における熱延鋼板の先尾端の位置と時間を予測計算し、次抽出材と先行材が干渉しない最短のピッチで次抽出材を抽出するよう、ピッチ計算を計算機1で行い、その後、コントローラ2へ送信し、プラントにピッチを送信する機能である。
【0004】
加熱炉抽出ピッチを決定する際、まず、熱延鋼板の先尾端が加熱炉から抽出されて巻取完了するまでのライン上の各ポイントの到達時間を予測計算する必要がある。それを予測計算するには、ライン上の全加減速ポイントを把握し、それを全て、計算機1の最適抽出ピッチ計算プログラムに展開しなければならず、従来はプログラム製作・修正に非常に長い時間を要した。
【0005】
具体的には図7の(a)のグラフは横軸に加熱炉を基準にしたライン上の距離、縦軸に時間を示し、熱延鋼板の先端と尾端が各々の時間にどこのポイントにいるかを示している。そして、ポイント0〜9が熱延鋼板の先端の加減速ポイントである。
【0006】
例えば、熱延鋼板が加熱炉を抽出されたポイント0から熱延鋼板の先端がポイント1へ一定速度で移動する場合、熱延鋼板長=l(エル)とすると、
熱延鋼板の先端位置計算値(t)=V0×t ・・・(1)
熱延鋼板の尾端位置計算値(t)=V0×t−l ・・・(2)
ポイント1に熱延鋼板先端が到達する時間=L0/V0(抽出開始基準)
・・・(3)
但しL0はポイント0からポイント1までの距離、V0はその時の熱延鋼板速度
【0007】
板先端がポイント2へ到達する時間、熱延鋼板長=l0
熱延鋼板の先端位置計算値(t)=V1×t ・・・(4)
熱延鋼板の尾端位置計算値(t)=V1×t−l0 ・・・(5)
ポイント2に熱延鋼板先端が到達する時間=L1/V1+L0/V0
(抽出開始基準)・・(6)
但しL1はポイント1からポイント2までの距離、V1はその時の熱延鋼板速度
【0008】
このような計算をダウンコイラーオフまで実施し、板先尾端のライン上の各ポイントまでの熱延鋼板の先尾端の到達予測時間を計算する。そして、先行材と次抽出材に関して、上記計算を行い、ライン上の各ポイントの熱延鋼板の先尾端の到達予測時間を計算し、先行材と次抽出材の最短抽出ピッチを計算する。
【0009】
従来は計算式(1)〜(6)までの計算を行う際、L0、L1、V0、V1などの、加減速ポイント、速度、加減速率を全て調査し、それをプログラムに反映させなければならず、プログラム作成、変更に非常に時間を要した。また、例えば特開平8−155513号公報、特開平7−290127号公報には同様の熱間圧延におけるミルペーシング制御が開示されているが、上述のように加減速ポイント、加減速率自動修正機能を持っていないため、それらを修正する場合、マニュアルで修正しなければならず、時間を要した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように従来の熱間圧延におけるミルペーシング制御方法においては、熱間圧延プラントにおいて、熱延鋼板を最適抽出ピッチで加熱炉から抽出するために、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを最小にし、生産量を最大にするために、先行材と次抽出材の搬送スケジュールを決める際、手動で、加減速ポイント、加減速率を修正しており、多大な手間と時間がかかるという課題があった。
【0011】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、計算した板先端の加速度、速度や加減速ポイントと実績値を比較し、計算した板先端の加速度、速度や加減速ポイントを修正することによって、プログラム修正の時間を省略すること、及び、プログラム修正の部分が自動化されることによって、短時間で搬送スケジュール及び抽出ピッチが最適化される熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を提供することを目的とする。
【0012】
すなわちこの発明ではプログラム作成、変更に時間を要する問題を解決すべく、自動で熱延鋼板が加熱炉から抽出されてから、ダウンコイラーに巻き取られるまでの熱延鋼板の先尾端の各ポイントの到達時間実績値から、設定速度、設定加減速ポイント、設定加減速率を自動で修正する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的に鑑み、この発明は、熱間圧延プラントで圧延された熱延鋼板を最適抽出ピッチで加熱炉から抽出する熱間圧延におけるミルペーシング制御方法において、ライン上の加熱炉からコイラーまでの予め定められた各ポイントにおける熱延鋼板の到達時間を決定する際、粗ゾーンにおいての熱延鋼板の加減速ポイントに関し、計算機により設定計算値を求め、制御を行っているコントローラからの情報により実績値を求め、前記設定計算値を前記実績値と比較し設定計算値の加減速ポイントを修正する、ことを特徴とする熱間圧延におけるミルペーシング制御方法にある。
【0014】
また、加減速率についても設定計算値と実績値を求めて比較し加減速率の設定計算値を修正することを特徴とする。
【0015】
さらにライン上の仕上ゾーンにおいて熱延鋼板の加減速ポイントに関し、設定計算値と実績値とを求めて比較し加減速ポイントの設定計算値を修正することを特徴とする。
【0016】
さらにライン上の仕上ゾーンにおいて熱延鋼板の加減速率に関し、設定計算値と実績値とを求めて比較し加減速率の設定計算値を修正することを特徴とする。
【0017】
さらに粗ゾーンおよび仕上ゾーンでの熱延鋼板の通過時間の比を設定計算値と実績値間で取り、それを学習ゲインにして次抽出材の制御に反映することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の一実施の形態による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための図であり、熱間圧延プラントの特に加熱炉ゾーンおよび粗ゾーン付近の構成と制御時の熱延鋼板の先尾端の動きをまとめて示す。熱間圧延プラントの全体の構成は基本的に図7に示す従来のものと同じである。図1は、熱延鋼板が加熱炉から抽出されてから、粗第1スタンド(R1)に噛み込み、1パスし、2パス目に入るところの熱延鋼板の先尾端位置(横軸)と時間(縦軸)を示している。ここで、1パス目とは、粗スタンドに最初にかみこんで圧延するパスであり、2パス目は、1パス目終了後のリバース圧延のことである。
【0019】
そして、1パス目完了後の熱延鋼板の先尾端位置とその場所まで到達する時間を設定計算値と実績値に関して図示している。この時、1パス完了してから2パス目開始するポイント2が、熱延鋼板先端基準でL2だけ下流側にずれた位置で設定計算したとする。ただし、その他の条件(熱延鋼板の先尾端速度)は設定計算値と実績値は同一とする。
【0020】
すると、1パス目完了し、2パス目に入る時間がΔ=T1’−T1だけ、設定計算値がずれることになる。
【0021】
1パス目完了し、2パス目に入る時間がΔ=T1’−T1だけ、設定計算値がずれていれば、それ以降の、熱延鋼板の先尾端の加減速ポイントが実績値、設定計算値が一致していても最終的に、時間がΔだけ、設定計算値の方が長くなることになり、それが、最終的に求める先行材と次抽出材の間の抽出ピッチに誤差となってあらわれてくることになり好ましくない。
【0022】
ここで、熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントの時間の実績値、設定計算値及びその位置は、当該コイル巻取完了で計算機1に保存される。
【0023】
なお、熱延鋼板の各加減速ポイントや後述する加減速率等に制御に関する実際の実績値は、例えば図1に示すミルペーシング制御を実際に行っているコントローラ2から得て計算機1に取り込む。設定計算値を求めることおよび設定計算値と実績値との比較等について全て計算機1で行う。
【0024】
以下、加減速ポイントの補正方法を示す。まず、同一サイズのコイルの熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントにおける時間の実績値、設定計算値をN本収集する。そして、熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントを通過する時間とそのポイントの平均値を計算し、それらをグラフ化する。
【0025】
<加減速ポイントにおける位置の計算平均値>
j=1〜M(M:総加減速ポイント数、n:サンプリング数)
【0026】
【数1】
【0027】
<加減速ポイントにおける位置の実績平均値>
j=1〜M(M:総加減速ポイント数、n:コイル数)
【0028】
【数2】
【0029】
ここで、ある加減速ポイントKで位置の計算平均値と実績平均値に偏差が生じたとする。
【0030】
【数3】
【0031】
この場合、上記偏差を補正すべく、次抽出材の粗第1スタンド(R1に相当)の1パス目から2パス目になる位置を
【0032】
【数4】
【0033】
と自動で補正する。その後、この補正を熱延鋼板が粗第1スタンドに入り、粗最終スタンドを抜けるまでの区間で行い、次抽出材の先端、尾端の各加減速ポイント毎の位置、時間を計算機1にて計算する。
【0034】
そしてこれに基づき、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、従来方式と比較すると、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上し、従来方式と比較すれば予測抽出ピッチの精度も短時間で向上し、かつ、従来手動にて位置を修正していたがこれが自動化され、プログラム修正の時間が省略される。
【0035】
実施の形態2.
図2はこの発明の別の実施の形態による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための図であり、図3は図2の部分拡大図である。両図は、熱延鋼板が加熱炉から抽出されてから、粗第1スタンド(R1)に噛み込み、1パスし、2パス目に入るところの熱延鋼板の先尾端位置(横軸)と時間(縦軸)を示している。ここで、1パス目とは、粗スタンドに最初にかみこんで圧延するパスであり、2パス目は、1パス目終了後のリバース圧延のことである。
【0036】
そして、1パス目完了後の熱延鋼板の先尾端位置とその場所まで到達する時間を設定計算値と実績値に関して図示している。この時、1パス完了してから2パス目開始するポイント2が、熱延鋼板先端基準でL2だけ下流側にずれた位置で設定計算したとする。そして、その原因はポイント1からの先尾端速度が設定計算値と実績値が異なっていたために発生しているとする。
【0037】
すると、1パス目完了し、2パス目に入る時間がΔ=T1’−T1だけ、設定計算値がずれることになる。
【0038】
1パス目完了し、2パス目に入る時間がΔ=T1’−T1だけ、設定計算値がずれていれば、それ以降の、熱延鋼板の先尾端の加減速ポイントが実績値、設定計算値が一致していても最終的に、時間がΔだけ、設定計算値の方が長くなることになり、それが、最終的に求める先行材と次抽出材の間の抽出ピッチに誤差となってあらわれてくることになり好ましくない。
【0039】
ここで、熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントの時間の実績値、設定計算値及びその位置は、当該コイル巻取完了で計算機1に保存される。
【0040】
以下、加減速ポイントの補正方法を示す。まず、同一サイズのコイルの熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントにおける時間の実績値、設定計算値をN本収集する。そして、熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントを通過する時間とそのポイントの平均値を計算し、それらをグラフ化する。
【0041】
<加減速ポイントにおける位置の計算平均値>
j=1〜M(M:総加減速ポイント数、n:サンプリング数)
【0042】
【数5】
【0043】
<加減速ポイントにおける位置の実績平均値>
j=1〜M(M:総加減速ポイント数、n:コイル数)
【0044】
【数6】
【0045】
ここで、ある加減速ポイントKで位置の計算平均値と実績平均値に偏差が生じたとする。
【0046】
【数7】
【0047】
この場合、上記偏差を補正すべく、次抽出材の粗第1スタンドの1パス目から2パス目になる位置を
【0048】
【数8】
【0049】
と自動で補正する。
【0050】
次に加減速率を設定計算値と実績値で比較を行う。このとき、既に加減速ポイントの補正は完了しているとする。ポイント1からポイント2へ熱延鋼板の先端が移動する場合を考える。
【0051】
ここで、nはコイル数とする。
【0052】
【数9】
【0053】
ここで、計算式(25)、(26)に示すように、設定計算加速度と、実績加速度が異なる。
【0054】
そして、設定計算加速度を実績加速度に補正すれば(加減速率の修正)、設定終速度=実績終速度なので、設定到達時間:T4と実績到達時間:T5は等しくなる。この条件下で計算式(23)(24)の計算を実施すると、設定到達時間:T4=実績到達時間:T5 、設定計算加速度a4=実績加速度a5なので、設定移動距離:L4=実績移動距離:L5となり、設定移動距離は実績移動距離に補正されたことがわかる。
【0055】
また、加減速ポイントの補正は(実施の形態1)と同様の方法で実施する。
【0056】
これらの補正を熱延鋼板が粗第1スタンドに入り、粗最終スタンドを抜けるまでの区間で行い、次抽出材の先端、尾端の各加減速ポイント毎の位置、時間を計算機1にて計算する。
【0057】
そして、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、実施の形態1と比較すると、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上し、実施の形態1と比較すれば予測抽出ピッチの精度も短時間で向上する。
【0058】
実施の形態3.
図4はこの発明の別の実施の形態による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための図であり、熱間圧延プラントの構成と制御時の熱延鋼板の先尾端の動きをまとめて示す。粗ゾーンの処理は、上述の実施の形態1,2と同様に、加減速ポイント、加減速率を補正する。
【0059】
以下、仕上げゾーンの処理に関して説明する。図4は仕上げ最終スタンド−1(F5)、最終スタンド(F6)に先端が噛み込み、第1加速度:a1、第2加速度:a2で加速する時、板先端の距離を横軸、板先端のあるポイント通過時間を縦軸とする。
【0060】
このとき、板先端が実績は最終スタンドF6噛み込み直後に加速度:a1で加速したのだが、設定計算でF6噛み込み後、ΔT秒後に加速度:a1で加速したとする。すると、F6噛み込み後、加速開始時間がΔTだけ、設定計算値のほうが実績値より遅れることになる。
【0061】
加速開始時間が、ΔTだけ、設定計算値のほうが、実績値より遅れるということは、それ以降の、熱延鋼板の加減速ポイントが実績値、設定計算値が一致していても、最終的に、時間がΔTだけ、設定計算値の方が長くなることになり、それが、最終的に求める先行材と次抽出材の間の抽出ピッチに誤差となってあらわれてくることになり好ましくない。
【0062】
ここで、熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントの時間の実績値、設定計算値及びその位置は、当該コイル巻取完了で計算機1に保存される。
【0063】
以下、加減速ポイントの補正方法を示す。まず、同一サイズのコイルの熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントにおける時間の実績値、設定計算値をN本収集する。そして、熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントを通過する時間とそのポイントの平均値を計算し、それらをグラフ化する。
【0064】
<加減速イベントにおける位置の計算平均値>
j=1〜M(M:総加減速ポイント数、n:コイル数)
【0065】
【数10】
【0066】
<加減速ポイントにおける位置の実績平均値>
j=1〜M(M:総加減速ポイント数、n:コイル数)
【0067】
【数11】
【0068】
ここで、ある加減速ポイントKで位置の計算平均値と実績平均値に偏差が生じたとする。
【0069】
【数12】
【0070】
この場合、上記偏差を補正すべく、次抽出材の熱延鋼板先端が仕上げ最終スタンドを抜けて第1加速になる位置を
【0071】
【数13】
【0072】
と自動で補正する。その後、この補正を熱延鋼板が仕上げ第1スタンドに入り、コイラーオフまでの区間で行い、次抽出材の先端、尾端の各加減速ポイント毎の位置、時間を計算機1にて計算する。
【0073】
そして、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、実施の形態2と比較すると、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上し、実施の形態2と比較すれば予測抽出ピッチの精度も短時間で向上する。
【0074】
実施の形態4.
図5はこの発明の別の実施の形態による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための図であり、熱間圧延プラントの構成と制御時の熱延鋼板の先尾端の動きをまとめて示す。なお、計算機1、コントローラ2の図示は省略されている。粗ゾーンの処理は、実施の形態1,2と同様に、加減速ポイント、加減速率を補正する。
【0075】
以下、仕上げゾーンの処理に関して説明する。図5は仕上げ最終スタンド−1(F5)、最終スタンド(F6)に先端が噛み込み、第1加速度:a1、第2加速度:a2で加速する時(実績値)、板先端の距離を横軸、板先端のあるポイント通過時間を縦軸とする。
【0076】
このとき、板先端が実績は最終スタンドF6噛み込み直後に加速度:a1で加速したのだが、設定計算でF6噛み込み後、ΔT秒後に加速度:a’1、その後、加速度:a’2で加速したとする。
【0077】
すると、F6噛み込み後、加減速/速度が設定/実績値が一致するなら、加速開始時間がΔTだけ、設定計算値のほうが実績値より遅れ、かつ、その後の加速度も実績値と設定計算値が異なってくる。
【0078】
加速開始時間が、ΔTだけ、設定計算値のほうが、実績値より遅れ、かつ、それ以降の加速率が、設定計算値と実績値が異なるということは、それ以降の、熱延鋼板の加減速ポイントが実績値、設定計算値が一致していても、最終的に、各イベント(ex.コイラーオン)時間が実績値、設定計算値で異なり、それが、最終的に求める先行材と次抽出材の間の抽出ピッチに誤差となってあらわれてくることになり好ましくない。
【0079】
ここで、熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントの時間の実績値、設定計算値及びその位置は、当該コイル巻取完了で計算機1に保存される。
【0080】
以下、加減速ポイントの補正方法を示す。まず、同一サイズのコイルの熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントにおける時間の実績値、設定計算値をN本収集する。そして、熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントを通過する時間とそのポイントの平均値を計算し、それらをグラフ化する。
【0081】
<加減速イベントにおける位置の計算平均値>
j=1〜M(M:総加減速ポイント数、n:コイル数)
【0082】
【数14】
【0083】
<加減速ポイントにおける位置の実績平均値>
j=1〜M(M:総加減速ポイント数、n:コイル数)
【0084】
【数15】
【0085】
ここで、ある加減速ポイントKで位置の計算平均値と実績平均値に偏差が生じたとする。
【0086】
【数16】
【0087】
この場合、上記偏差を補正すべく、次抽出材の熱延鋼板先端が仕上げ最終スタンドを抜けて第1加速になる位置を
【0088】
【数17】
【0089】
と自動で補正する。その後、この補正を熱延鋼板が仕上げ第1スタンドに入り、コイラーオフまでの区間で行い、次抽出材の先端、尾端の各加減速ポイント毎の位置、時間を計算機1にて計算する。
【0090】
次に加減速率を設定計算値と実績値で比較を行う。このとき、既に加減速ポイントの補正は完了しているとする。仕上げを熱延鋼板の先端が抜けてから、第1加速開始ポイント1から、第1加速完了ポイント2までを考える。
【0091】
【数18】
【0092】
ここで、計算式(45)、(46)に示すように、設定計算加速度と、実績加速度が異なる。そして、設定計算加速度を実績加速度に補正すれば(加減速率の修正)、設定終速度=実績終速度なので、設定到達時間:T4と実績到達時間:T5は等しくなる。
【0093】
この条件下で計算式(43)(44)の計算を実施すると、設定到達時間:T4=実績到達時間:T5 、設定計算加速度a’1=実績加速度a1なので、設定移動距離=実績移動距離となり、設定移動距離は実績移動距離に補正されたことがわかる。
【0094】
これらの補正を熱延鋼板が仕上げ第1スタンドに入り、コイラーオフするまでの区間で行い、次抽出材の先端、尾端の各加減速ポイント毎の位置、時間を計算機1にて計算する。
【0095】
そして、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、実施の形態3と比較すると、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上する。
【0096】
実施の形態5.
図6はこの発明の別の実施の形態による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための図である。図6を用いて、実施の形態5を説明する。粗ゾーン、仕上げゾーンの処理は、実施の形態1〜4と同様に、加減速ポイント、加減速率を補正する。
【0097】
以下、粗ゾーンと仕上げゾーンでの熱延鋼板の通過時間の比を取り、それを学習ゲインにして次抽出材反映する機能に関して説明する。
【0098】
図6のグラフは横軸に時間、縦軸に速度を示しており、それぞれ上段に設定計算値、下段に実績値を示しかつ、(a)の列は粗第1スタンドの1パス目、熱延鋼板メタルイン(Metal In)から熱延鋼板メタルアウト(Metal Out)の時間に対する速度の変化、(b)の列は粗第2スタンドの1パス目、熱延鋼板メタルインから熱延鋼板メタルアウトの時間に対する速度の変化、(c)の列は仕上第1スタンドのメタルインから仕上最終スタンドのメタルアウトまでの時間に対する速度の変化を示している。
【0099】
まず、設定計算値と実績値の
(1) 粗第1スタンド 1パス メタルイン〜メタルアウト時間
(2) 粗第2スタンド 1パス メタルイン〜メタルアウト時間
(3) 仕上第1スタンド メタルイン〜メタルアウト時間
を示す。
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
次に(1)〜(3)の区間の学習係数を計算する。
(1)粗第1スタンド 1パス メタルイン〜メタルアウト時間
(学習係数) L1=ΔTAR1/ΔTSR1 ・・・(56)
(2)粗第2スタンド 1パス メタルイン〜メタルアウト時間
(学習係数) L2=ΔTAR2/ΔTSR2 ・・・(57)
(3)仕上第1スタンド メタルイン〜メタルアウト時間
(学習係数) L3=ΔTAF/ΔTSF ・・・(58)
【0104】
そして、学習係数L1〜L3計算後に次抽出材の
(1) 粗第1スタンド 1パス メタルイン〜メタルアウト計算時間
(2) 粗第2スタンド 1パス メタルイン〜メタルアウト計算時間
(3) 仕上第1スタンド メタルイン〜メタルアウト計算時間
が、それぞれ、
(1) ΔTSR1N、 (2) ΔTSR2N、 (3) ΔTSFN
とすると、(1)〜(3)に学習係数をかけて補正すれば、実績時間に近い値になる。すなわち、
【0105】
(1) ΔTSR1N=(ΔTAR1/ΔTSR1)・ΔTSR1N=L1・ΔTSR1N・・・(59)
(2) ΔTSR2N=(ΔTAR2/ΔTSR2)・ΔTSR2N=L2・ΔTSR2N・・・(60)
(3) ΔTSFN=(ΔTAF/ΔTSF)・ΔTSFN=L3・ΔTSFN・・・(60)
【0106】
計算式(59)〜(61)のように次抽出材の、ある区間を補正し、その後、その補正した時間を用いて、抽出開始から巻き取り完了までの時間計算する。
【0107】
そして、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、実施の形態4と比較すると、ある区間の実績値で機械的要因のように、設定計算では加味できない要因で発生する時間遅れが発生する場合、それを補償することができ、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上する。
【0108】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、熱間圧延プラントで圧延された熱延鋼板を最適抽出ピッチで加熱炉から抽出する熱間圧延におけるミルペーシング制御方法において、ライン上の加熱炉からコイラーまでの予め定められた各ポイントにおける熱延鋼板の到達時間を決定する際、粗ゾーンにおいての熱延鋼板の加減速ポイントに関し、計算機により設定計算値を求め、ミルペーシング制御を行っているコントローラからの情報により実績値を求め、前記設定計算値を前記実績値と比較し設定計算値の加減速ポイントを修正する、ことを特徴とする熱間圧延におけるミルペーシング制御方法とした。これにより、先行材と次抽出材に関して、ライン上の各ポイントのオン・オフ時間を精度良く計算できる。またこれに基づき、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、従来方式と比較すると、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上し、従来方式と比較すれば予測抽出ピッチの精度も短時間で向上し、かつ、従来手動にて位置を修正していたがこれが自動化され、プログラム修正の時間が省略される。
【0109】
また、加減速率についても設定計算値と実績値を求めて比較し加減速率の設定計算値を修正することを特徴とする。従ってこれに基づき、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、さらに、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上し、予測抽出ピッチの精度も短時間で向上する。
【0110】
また、さらにライン上の仕上ゾーンにおいて熱延鋼板の加減速ポイントに関し、設定計算値と実績値とを求めて比較し加減速ポイントの設定計算値を修正することを特徴とする。従ってこれに基づき、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、さらに、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上し、予測抽出ピッチの精度も短時間で向上する。
【0111】
また、さらにライン上の仕上ゾーンにおいて熱延鋼板の加減速率に関し、設定計算値と実績値とを求めて比較し加減速率の設定計算値を修正することを特徴とする。従ってこれに基づき、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、さらに、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上する。
【0112】
また、さらに粗ゾーンおよび仕上ゾーンでの熱延鋼板の通過時間の比を設定計算値と実績値間で取り、それを学習ゲインにして次抽出材の制御に反映することを特徴とする。従ってこれに基づき、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、さらに、ある区間の実績値で機械的要因のように、設定計算では加味できない要因で発生する時間遅れが発生する場合、それを補償することができ、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための熱間圧延プラントの部分的構成およびそこでの制御時の熱延鋼板の先尾端の動きを示す図である。
【図2】この発明の実施の形態2による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】この発明の実施の形態3による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための図である。
【図5】この発明の実施の形態4による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための図である。
【図6】この発明の実施の形態5による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための図である。
【図7】図7は従来の一般的な熱間圧延におけるミルペーシング制御を説明するための熱間圧延プラントの構成(b)およびこの熱間圧延プラントでの制御時の熱延鋼板の先尾端の動き(a)を示す図である。
【図8】従来の粗ゾーンの構成(b)およびそこでの熱延鋼板の先尾端の動き(a)を示す拡大図である。
【符号の説明】
1 計算機、2 コントローラ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、熱間圧延プラントにおいて、熱延鋼板を最適抽出ピッチで加熱炉から抽出し、製品生産量を最大にする熱間圧延におけるミルペーシング制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術に関して図7、図8を使用して説明する。図7は従来の一般的な熱間圧延におけるミルペーシング制御を説明するための図であり、熱間圧延プラントの構成(b)およびこの熱間圧延プラントでの制御時の熱延鋼板の先尾端の動き(a)を示す。熱間圧延プラントは加熱炉ゾーン(Zone)、粗ゾーン、仕上ゾーン、コイラーゾーンで構成されており、おのおの、加熱炉(F’ce)、R1・R2、F1〜F6で構成されているとする。図8は粗ゾーンの構成(b)および熱延鋼板の先尾端の動き(a)のそれぞれ拡大図である。
【0003】
ミルペーシング制御は、計算機1にて次抽出材と先行材の各イベント(抽出完了、粗第一スタンド噛み込み、等々)における熱延鋼板の先尾端の位置と時間を予測計算し、次抽出材と先行材が干渉しない最短のピッチで次抽出材を抽出するよう、ピッチ計算を計算機1で行い、その後、コントローラ2へ送信し、プラントにピッチを送信する機能である。
【0004】
加熱炉抽出ピッチを決定する際、まず、熱延鋼板の先尾端が加熱炉から抽出されて巻取完了するまでのライン上の各ポイントの到達時間を予測計算する必要がある。それを予測計算するには、ライン上の全加減速ポイントを把握し、それを全て、計算機1の最適抽出ピッチ計算プログラムに展開しなければならず、従来はプログラム製作・修正に非常に長い時間を要した。
【0005】
具体的には図7の(a)のグラフは横軸に加熱炉を基準にしたライン上の距離、縦軸に時間を示し、熱延鋼板の先端と尾端が各々の時間にどこのポイントにいるかを示している。そして、ポイント0〜9が熱延鋼板の先端の加減速ポイントである。
【0006】
例えば、熱延鋼板が加熱炉を抽出されたポイント0から熱延鋼板の先端がポイント1へ一定速度で移動する場合、熱延鋼板長=l(エル)とすると、
熱延鋼板の先端位置計算値(t)=V0×t ・・・(1)
熱延鋼板の尾端位置計算値(t)=V0×t−l ・・・(2)
ポイント1に熱延鋼板先端が到達する時間=L0/V0(抽出開始基準)
・・・(3)
但しL0はポイント0からポイント1までの距離、V0はその時の熱延鋼板速度
【0007】
板先端がポイント2へ到達する時間、熱延鋼板長=l0
熱延鋼板の先端位置計算値(t)=V1×t ・・・(4)
熱延鋼板の尾端位置計算値(t)=V1×t−l0 ・・・(5)
ポイント2に熱延鋼板先端が到達する時間=L1/V1+L0/V0
(抽出開始基準)・・(6)
但しL1はポイント1からポイント2までの距離、V1はその時の熱延鋼板速度
【0008】
このような計算をダウンコイラーオフまで実施し、板先尾端のライン上の各ポイントまでの熱延鋼板の先尾端の到達予測時間を計算する。そして、先行材と次抽出材に関して、上記計算を行い、ライン上の各ポイントの熱延鋼板の先尾端の到達予測時間を計算し、先行材と次抽出材の最短抽出ピッチを計算する。
【0009】
従来は計算式(1)〜(6)までの計算を行う際、L0、L1、V0、V1などの、加減速ポイント、速度、加減速率を全て調査し、それをプログラムに反映させなければならず、プログラム作成、変更に非常に時間を要した。また、例えば特開平8−155513号公報、特開平7−290127号公報には同様の熱間圧延におけるミルペーシング制御が開示されているが、上述のように加減速ポイント、加減速率自動修正機能を持っていないため、それらを修正する場合、マニュアルで修正しなければならず、時間を要した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように従来の熱間圧延におけるミルペーシング制御方法においては、熱間圧延プラントにおいて、熱延鋼板を最適抽出ピッチで加熱炉から抽出するために、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを最小にし、生産量を最大にするために、先行材と次抽出材の搬送スケジュールを決める際、手動で、加減速ポイント、加減速率を修正しており、多大な手間と時間がかかるという課題があった。
【0011】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、計算した板先端の加速度、速度や加減速ポイントと実績値を比較し、計算した板先端の加速度、速度や加減速ポイントを修正することによって、プログラム修正の時間を省略すること、及び、プログラム修正の部分が自動化されることによって、短時間で搬送スケジュール及び抽出ピッチが最適化される熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を提供することを目的とする。
【0012】
すなわちこの発明ではプログラム作成、変更に時間を要する問題を解決すべく、自動で熱延鋼板が加熱炉から抽出されてから、ダウンコイラーに巻き取られるまでの熱延鋼板の先尾端の各ポイントの到達時間実績値から、設定速度、設定加減速ポイント、設定加減速率を自動で修正する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的に鑑み、この発明は、熱間圧延プラントで圧延された熱延鋼板を最適抽出ピッチで加熱炉から抽出する熱間圧延におけるミルペーシング制御方法において、ライン上の加熱炉からコイラーまでの予め定められた各ポイントにおける熱延鋼板の到達時間を決定する際、粗ゾーンにおいての熱延鋼板の加減速ポイントに関し、計算機により設定計算値を求め、制御を行っているコントローラからの情報により実績値を求め、前記設定計算値を前記実績値と比較し設定計算値の加減速ポイントを修正する、ことを特徴とする熱間圧延におけるミルペーシング制御方法にある。
【0014】
また、加減速率についても設定計算値と実績値を求めて比較し加減速率の設定計算値を修正することを特徴とする。
【0015】
さらにライン上の仕上ゾーンにおいて熱延鋼板の加減速ポイントに関し、設定計算値と実績値とを求めて比較し加減速ポイントの設定計算値を修正することを特徴とする。
【0016】
さらにライン上の仕上ゾーンにおいて熱延鋼板の加減速率に関し、設定計算値と実績値とを求めて比較し加減速率の設定計算値を修正することを特徴とする。
【0017】
さらに粗ゾーンおよび仕上ゾーンでの熱延鋼板の通過時間の比を設定計算値と実績値間で取り、それを学習ゲインにして次抽出材の制御に反映することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の一実施の形態による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための図であり、熱間圧延プラントの特に加熱炉ゾーンおよび粗ゾーン付近の構成と制御時の熱延鋼板の先尾端の動きをまとめて示す。熱間圧延プラントの全体の構成は基本的に図7に示す従来のものと同じである。図1は、熱延鋼板が加熱炉から抽出されてから、粗第1スタンド(R1)に噛み込み、1パスし、2パス目に入るところの熱延鋼板の先尾端位置(横軸)と時間(縦軸)を示している。ここで、1パス目とは、粗スタンドに最初にかみこんで圧延するパスであり、2パス目は、1パス目終了後のリバース圧延のことである。
【0019】
そして、1パス目完了後の熱延鋼板の先尾端位置とその場所まで到達する時間を設定計算値と実績値に関して図示している。この時、1パス完了してから2パス目開始するポイント2が、熱延鋼板先端基準でL2だけ下流側にずれた位置で設定計算したとする。ただし、その他の条件(熱延鋼板の先尾端速度)は設定計算値と実績値は同一とする。
【0020】
すると、1パス目完了し、2パス目に入る時間がΔ=T1’−T1だけ、設定計算値がずれることになる。
【0021】
1パス目完了し、2パス目に入る時間がΔ=T1’−T1だけ、設定計算値がずれていれば、それ以降の、熱延鋼板の先尾端の加減速ポイントが実績値、設定計算値が一致していても最終的に、時間がΔだけ、設定計算値の方が長くなることになり、それが、最終的に求める先行材と次抽出材の間の抽出ピッチに誤差となってあらわれてくることになり好ましくない。
【0022】
ここで、熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントの時間の実績値、設定計算値及びその位置は、当該コイル巻取完了で計算機1に保存される。
【0023】
なお、熱延鋼板の各加減速ポイントや後述する加減速率等に制御に関する実際の実績値は、例えば図1に示すミルペーシング制御を実際に行っているコントローラ2から得て計算機1に取り込む。設定計算値を求めることおよび設定計算値と実績値との比較等について全て計算機1で行う。
【0024】
以下、加減速ポイントの補正方法を示す。まず、同一サイズのコイルの熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントにおける時間の実績値、設定計算値をN本収集する。そして、熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントを通過する時間とそのポイントの平均値を計算し、それらをグラフ化する。
【0025】
<加減速ポイントにおける位置の計算平均値>
j=1〜M(M:総加減速ポイント数、n:サンプリング数)
【0026】
【数1】
【0027】
<加減速ポイントにおける位置の実績平均値>
j=1〜M(M:総加減速ポイント数、n:コイル数)
【0028】
【数2】
【0029】
ここで、ある加減速ポイントKで位置の計算平均値と実績平均値に偏差が生じたとする。
【0030】
【数3】
【0031】
この場合、上記偏差を補正すべく、次抽出材の粗第1スタンド(R1に相当)の1パス目から2パス目になる位置を
【0032】
【数4】
【0033】
と自動で補正する。その後、この補正を熱延鋼板が粗第1スタンドに入り、粗最終スタンドを抜けるまでの区間で行い、次抽出材の先端、尾端の各加減速ポイント毎の位置、時間を計算機1にて計算する。
【0034】
そしてこれに基づき、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、従来方式と比較すると、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上し、従来方式と比較すれば予測抽出ピッチの精度も短時間で向上し、かつ、従来手動にて位置を修正していたがこれが自動化され、プログラム修正の時間が省略される。
【0035】
実施の形態2.
図2はこの発明の別の実施の形態による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための図であり、図3は図2の部分拡大図である。両図は、熱延鋼板が加熱炉から抽出されてから、粗第1スタンド(R1)に噛み込み、1パスし、2パス目に入るところの熱延鋼板の先尾端位置(横軸)と時間(縦軸)を示している。ここで、1パス目とは、粗スタンドに最初にかみこんで圧延するパスであり、2パス目は、1パス目終了後のリバース圧延のことである。
【0036】
そして、1パス目完了後の熱延鋼板の先尾端位置とその場所まで到達する時間を設定計算値と実績値に関して図示している。この時、1パス完了してから2パス目開始するポイント2が、熱延鋼板先端基準でL2だけ下流側にずれた位置で設定計算したとする。そして、その原因はポイント1からの先尾端速度が設定計算値と実績値が異なっていたために発生しているとする。
【0037】
すると、1パス目完了し、2パス目に入る時間がΔ=T1’−T1だけ、設定計算値がずれることになる。
【0038】
1パス目完了し、2パス目に入る時間がΔ=T1’−T1だけ、設定計算値がずれていれば、それ以降の、熱延鋼板の先尾端の加減速ポイントが実績値、設定計算値が一致していても最終的に、時間がΔだけ、設定計算値の方が長くなることになり、それが、最終的に求める先行材と次抽出材の間の抽出ピッチに誤差となってあらわれてくることになり好ましくない。
【0039】
ここで、熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントの時間の実績値、設定計算値及びその位置は、当該コイル巻取完了で計算機1に保存される。
【0040】
以下、加減速ポイントの補正方法を示す。まず、同一サイズのコイルの熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントにおける時間の実績値、設定計算値をN本収集する。そして、熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントを通過する時間とそのポイントの平均値を計算し、それらをグラフ化する。
【0041】
<加減速ポイントにおける位置の計算平均値>
j=1〜M(M:総加減速ポイント数、n:サンプリング数)
【0042】
【数5】
【0043】
<加減速ポイントにおける位置の実績平均値>
j=1〜M(M:総加減速ポイント数、n:コイル数)
【0044】
【数6】
【0045】
ここで、ある加減速ポイントKで位置の計算平均値と実績平均値に偏差が生じたとする。
【0046】
【数7】
【0047】
この場合、上記偏差を補正すべく、次抽出材の粗第1スタンドの1パス目から2パス目になる位置を
【0048】
【数8】
【0049】
と自動で補正する。
【0050】
次に加減速率を設定計算値と実績値で比較を行う。このとき、既に加減速ポイントの補正は完了しているとする。ポイント1からポイント2へ熱延鋼板の先端が移動する場合を考える。
【0051】
ここで、nはコイル数とする。
【0052】
【数9】
【0053】
ここで、計算式(25)、(26)に示すように、設定計算加速度と、実績加速度が異なる。
【0054】
そして、設定計算加速度を実績加速度に補正すれば(加減速率の修正)、設定終速度=実績終速度なので、設定到達時間:T4と実績到達時間:T5は等しくなる。この条件下で計算式(23)(24)の計算を実施すると、設定到達時間:T4=実績到達時間:T5 、設定計算加速度a4=実績加速度a5なので、設定移動距離:L4=実績移動距離:L5となり、設定移動距離は実績移動距離に補正されたことがわかる。
【0055】
また、加減速ポイントの補正は(実施の形態1)と同様の方法で実施する。
【0056】
これらの補正を熱延鋼板が粗第1スタンドに入り、粗最終スタンドを抜けるまでの区間で行い、次抽出材の先端、尾端の各加減速ポイント毎の位置、時間を計算機1にて計算する。
【0057】
そして、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、実施の形態1と比較すると、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上し、実施の形態1と比較すれば予測抽出ピッチの精度も短時間で向上する。
【0058】
実施の形態3.
図4はこの発明の別の実施の形態による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための図であり、熱間圧延プラントの構成と制御時の熱延鋼板の先尾端の動きをまとめて示す。粗ゾーンの処理は、上述の実施の形態1,2と同様に、加減速ポイント、加減速率を補正する。
【0059】
以下、仕上げゾーンの処理に関して説明する。図4は仕上げ最終スタンド−1(F5)、最終スタンド(F6)に先端が噛み込み、第1加速度:a1、第2加速度:a2で加速する時、板先端の距離を横軸、板先端のあるポイント通過時間を縦軸とする。
【0060】
このとき、板先端が実績は最終スタンドF6噛み込み直後に加速度:a1で加速したのだが、設定計算でF6噛み込み後、ΔT秒後に加速度:a1で加速したとする。すると、F6噛み込み後、加速開始時間がΔTだけ、設定計算値のほうが実績値より遅れることになる。
【0061】
加速開始時間が、ΔTだけ、設定計算値のほうが、実績値より遅れるということは、それ以降の、熱延鋼板の加減速ポイントが実績値、設定計算値が一致していても、最終的に、時間がΔTだけ、設定計算値の方が長くなることになり、それが、最終的に求める先行材と次抽出材の間の抽出ピッチに誤差となってあらわれてくることになり好ましくない。
【0062】
ここで、熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントの時間の実績値、設定計算値及びその位置は、当該コイル巻取完了で計算機1に保存される。
【0063】
以下、加減速ポイントの補正方法を示す。まず、同一サイズのコイルの熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントにおける時間の実績値、設定計算値をN本収集する。そして、熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントを通過する時間とそのポイントの平均値を計算し、それらをグラフ化する。
【0064】
<加減速イベントにおける位置の計算平均値>
j=1〜M(M:総加減速ポイント数、n:コイル数)
【0065】
【数10】
【0066】
<加減速ポイントにおける位置の実績平均値>
j=1〜M(M:総加減速ポイント数、n:コイル数)
【0067】
【数11】
【0068】
ここで、ある加減速ポイントKで位置の計算平均値と実績平均値に偏差が生じたとする。
【0069】
【数12】
【0070】
この場合、上記偏差を補正すべく、次抽出材の熱延鋼板先端が仕上げ最終スタンドを抜けて第1加速になる位置を
【0071】
【数13】
【0072】
と自動で補正する。その後、この補正を熱延鋼板が仕上げ第1スタンドに入り、コイラーオフまでの区間で行い、次抽出材の先端、尾端の各加減速ポイント毎の位置、時間を計算機1にて計算する。
【0073】
そして、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、実施の形態2と比較すると、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上し、実施の形態2と比較すれば予測抽出ピッチの精度も短時間で向上する。
【0074】
実施の形態4.
図5はこの発明の別の実施の形態による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための図であり、熱間圧延プラントの構成と制御時の熱延鋼板の先尾端の動きをまとめて示す。なお、計算機1、コントローラ2の図示は省略されている。粗ゾーンの処理は、実施の形態1,2と同様に、加減速ポイント、加減速率を補正する。
【0075】
以下、仕上げゾーンの処理に関して説明する。図5は仕上げ最終スタンド−1(F5)、最終スタンド(F6)に先端が噛み込み、第1加速度:a1、第2加速度:a2で加速する時(実績値)、板先端の距離を横軸、板先端のあるポイント通過時間を縦軸とする。
【0076】
このとき、板先端が実績は最終スタンドF6噛み込み直後に加速度:a1で加速したのだが、設定計算でF6噛み込み後、ΔT秒後に加速度:a’1、その後、加速度:a’2で加速したとする。
【0077】
すると、F6噛み込み後、加減速/速度が設定/実績値が一致するなら、加速開始時間がΔTだけ、設定計算値のほうが実績値より遅れ、かつ、その後の加速度も実績値と設定計算値が異なってくる。
【0078】
加速開始時間が、ΔTだけ、設定計算値のほうが、実績値より遅れ、かつ、それ以降の加速率が、設定計算値と実績値が異なるということは、それ以降の、熱延鋼板の加減速ポイントが実績値、設定計算値が一致していても、最終的に、各イベント(ex.コイラーオン)時間が実績値、設定計算値で異なり、それが、最終的に求める先行材と次抽出材の間の抽出ピッチに誤差となってあらわれてくることになり好ましくない。
【0079】
ここで、熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントの時間の実績値、設定計算値及びその位置は、当該コイル巻取完了で計算機1に保存される。
【0080】
以下、加減速ポイントの補正方法を示す。まず、同一サイズのコイルの熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントにおける時間の実績値、設定計算値をN本収集する。そして、熱延鋼板の先尾端のある加減速ポイントを通過する時間とそのポイントの平均値を計算し、それらをグラフ化する。
【0081】
<加減速イベントにおける位置の計算平均値>
j=1〜M(M:総加減速ポイント数、n:コイル数)
【0082】
【数14】
【0083】
<加減速ポイントにおける位置の実績平均値>
j=1〜M(M:総加減速ポイント数、n:コイル数)
【0084】
【数15】
【0085】
ここで、ある加減速ポイントKで位置の計算平均値と実績平均値に偏差が生じたとする。
【0086】
【数16】
【0087】
この場合、上記偏差を補正すべく、次抽出材の熱延鋼板先端が仕上げ最終スタンドを抜けて第1加速になる位置を
【0088】
【数17】
【0089】
と自動で補正する。その後、この補正を熱延鋼板が仕上げ第1スタンドに入り、コイラーオフまでの区間で行い、次抽出材の先端、尾端の各加減速ポイント毎の位置、時間を計算機1にて計算する。
【0090】
次に加減速率を設定計算値と実績値で比較を行う。このとき、既に加減速ポイントの補正は完了しているとする。仕上げを熱延鋼板の先端が抜けてから、第1加速開始ポイント1から、第1加速完了ポイント2までを考える。
【0091】
【数18】
【0092】
ここで、計算式(45)、(46)に示すように、設定計算加速度と、実績加速度が異なる。そして、設定計算加速度を実績加速度に補正すれば(加減速率の修正)、設定終速度=実績終速度なので、設定到達時間:T4と実績到達時間:T5は等しくなる。
【0093】
この条件下で計算式(43)(44)の計算を実施すると、設定到達時間:T4=実績到達時間:T5 、設定計算加速度a’1=実績加速度a1なので、設定移動距離=実績移動距離となり、設定移動距離は実績移動距離に補正されたことがわかる。
【0094】
これらの補正を熱延鋼板が仕上げ第1スタンドに入り、コイラーオフするまでの区間で行い、次抽出材の先端、尾端の各加減速ポイント毎の位置、時間を計算機1にて計算する。
【0095】
そして、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、実施の形態3と比較すると、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上する。
【0096】
実施の形態5.
図6はこの発明の別の実施の形態による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための図である。図6を用いて、実施の形態5を説明する。粗ゾーン、仕上げゾーンの処理は、実施の形態1〜4と同様に、加減速ポイント、加減速率を補正する。
【0097】
以下、粗ゾーンと仕上げゾーンでの熱延鋼板の通過時間の比を取り、それを学習ゲインにして次抽出材反映する機能に関して説明する。
【0098】
図6のグラフは横軸に時間、縦軸に速度を示しており、それぞれ上段に設定計算値、下段に実績値を示しかつ、(a)の列は粗第1スタンドの1パス目、熱延鋼板メタルイン(Metal In)から熱延鋼板メタルアウト(Metal Out)の時間に対する速度の変化、(b)の列は粗第2スタンドの1パス目、熱延鋼板メタルインから熱延鋼板メタルアウトの時間に対する速度の変化、(c)の列は仕上第1スタンドのメタルインから仕上最終スタンドのメタルアウトまでの時間に対する速度の変化を示している。
【0099】
まず、設定計算値と実績値の
(1) 粗第1スタンド 1パス メタルイン〜メタルアウト時間
(2) 粗第2スタンド 1パス メタルイン〜メタルアウト時間
(3) 仕上第1スタンド メタルイン〜メタルアウト時間
を示す。
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
次に(1)〜(3)の区間の学習係数を計算する。
(1)粗第1スタンド 1パス メタルイン〜メタルアウト時間
(学習係数) L1=ΔTAR1/ΔTSR1 ・・・(56)
(2)粗第2スタンド 1パス メタルイン〜メタルアウト時間
(学習係数) L2=ΔTAR2/ΔTSR2 ・・・(57)
(3)仕上第1スタンド メタルイン〜メタルアウト時間
(学習係数) L3=ΔTAF/ΔTSF ・・・(58)
【0104】
そして、学習係数L1〜L3計算後に次抽出材の
(1) 粗第1スタンド 1パス メタルイン〜メタルアウト計算時間
(2) 粗第2スタンド 1パス メタルイン〜メタルアウト計算時間
(3) 仕上第1スタンド メタルイン〜メタルアウト計算時間
が、それぞれ、
(1) ΔTSR1N、 (2) ΔTSR2N、 (3) ΔTSFN
とすると、(1)〜(3)に学習係数をかけて補正すれば、実績時間に近い値になる。すなわち、
【0105】
(1) ΔTSR1N=(ΔTAR1/ΔTSR1)・ΔTSR1N=L1・ΔTSR1N・・・(59)
(2) ΔTSR2N=(ΔTAR2/ΔTSR2)・ΔTSR2N=L2・ΔTSR2N・・・(60)
(3) ΔTSFN=(ΔTAF/ΔTSF)・ΔTSFN=L3・ΔTSFN・・・(60)
【0106】
計算式(59)〜(61)のように次抽出材の、ある区間を補正し、その後、その補正した時間を用いて、抽出開始から巻き取り完了までの時間計算する。
【0107】
そして、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、実施の形態4と比較すると、ある区間の実績値で機械的要因のように、設定計算では加味できない要因で発生する時間遅れが発生する場合、それを補償することができ、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上する。
【0108】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、熱間圧延プラントで圧延された熱延鋼板を最適抽出ピッチで加熱炉から抽出する熱間圧延におけるミルペーシング制御方法において、ライン上の加熱炉からコイラーまでの予め定められた各ポイントにおける熱延鋼板の到達時間を決定する際、粗ゾーンにおいての熱延鋼板の加減速ポイントに関し、計算機により設定計算値を求め、ミルペーシング制御を行っているコントローラからの情報により実績値を求め、前記設定計算値を前記実績値と比較し設定計算値の加減速ポイントを修正する、ことを特徴とする熱間圧延におけるミルペーシング制御方法とした。これにより、先行材と次抽出材に関して、ライン上の各ポイントのオン・オフ時間を精度良く計算できる。またこれに基づき、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、従来方式と比較すると、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上し、従来方式と比較すれば予測抽出ピッチの精度も短時間で向上し、かつ、従来手動にて位置を修正していたがこれが自動化され、プログラム修正の時間が省略される。
【0109】
また、加減速率についても設定計算値と実績値を求めて比較し加減速率の設定計算値を修正することを特徴とする。従ってこれに基づき、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、さらに、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上し、予測抽出ピッチの精度も短時間で向上する。
【0110】
また、さらにライン上の仕上ゾーンにおいて熱延鋼板の加減速ポイントに関し、設定計算値と実績値とを求めて比較し加減速ポイントの設定計算値を修正することを特徴とする。従ってこれに基づき、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、さらに、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上し、予測抽出ピッチの精度も短時間で向上する。
【0111】
また、さらにライン上の仕上ゾーンにおいて熱延鋼板の加減速率に関し、設定計算値と実績値とを求めて比較し加減速率の設定計算値を修正することを特徴とする。従ってこれに基づき、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、さらに、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上する。
【0112】
また、さらに粗ゾーンおよび仕上ゾーンでの熱延鋼板の通過時間の比を設定計算値と実績値間で取り、それを学習ゲインにして次抽出材の制御に反映することを特徴とする。従ってこれに基づき、先行材と次抽出材の間の抽出ピッチを計算すれば、さらに、ある区間の実績値で機械的要因のように、設定計算では加味できない要因で発生する時間遅れが発生する場合、それを補償することができ、当該材と次抽出材の全加減速ポイントにおける位置と時間の予測精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための熱間圧延プラントの部分的構成およびそこでの制御時の熱延鋼板の先尾端の動きを示す図である。
【図2】この発明の実施の形態2による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】この発明の実施の形態3による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための図である。
【図5】この発明の実施の形態4による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための図である。
【図6】この発明の実施の形態5による熱間圧延におけるミルペーシング制御方法を説明するための図である。
【図7】図7は従来の一般的な熱間圧延におけるミルペーシング制御を説明するための熱間圧延プラントの構成(b)およびこの熱間圧延プラントでの制御時の熱延鋼板の先尾端の動き(a)を示す図である。
【図8】従来の粗ゾーンの構成(b)およびそこでの熱延鋼板の先尾端の動き(a)を示す拡大図である。
【符号の説明】
1 計算機、2 コントローラ。
Claims (5)
- 熱間圧延プラントで圧延された熱延鋼板を最適抽出ピッチで加熱炉から抽出する熱間圧延におけるミルペーシング制御方法において、ライン上の加熱炉からコイラーまでの予め定められた各ポイントにおける熱延鋼板の到達時間を決定する際、粗ゾーンにおいての熱延鋼板の加減速ポイントに関し、計算機により設定計算値を求め、制御を行っているコントローラからの情報により実績値を求め、前記設定計算値を前記実績値と比較し設定計算値の加減速ポイントを修正する、ことを特徴とする熱間圧延におけるミルペーシング制御方法。
- 加減速率についても設定計算値と実績値を求めて比較し加減速率の設定計算値を修正することを特徴とする請求項1に記載の熱間圧延におけるミルペーシング制御方法。
- さらにライン上の仕上ゾーンにおいて熱延鋼板の加減速ポイントに関し、設定計算値と実績値とを求めて比較し加減速ポイントの設定計算値を修正することを特徴とする請求項2に記載の熱間圧延におけるミルペーシング制御方法。
- さらにライン上の仕上ゾーンにおいて熱延鋼板の加減速率に関し、設定計算値と実績値とを求めて比較し加減速率の設定計算値を修正することを特徴とする請求項3に記載の熱間圧延におけるミルペーシング制御方法。
- さらに粗ゾーンおよび仕上ゾーンでの熱延鋼板の通過時間の比を設定計算値と実績値間で取り、それを学習ゲインにして次抽出材の制御に反映することを特徴とする請求項4に記載の熱間圧延におけるミルペーシング制御方法。
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- 2002-06-26 JP JP2002185803A patent/JP2004025245A/ja active Pending
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