JP2004025203A - 溶鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】浸漬ノズルから溶鋼に通電しながら鋳造し、浸漬ノズルの閉塞を防止できる、操業および設備コストの安価な連続鋳造方法の提供。
【解決手段】浸漬ノズル7の少なくとも内表面を鋼の融点以上の温度で電気伝導性を有する耐火物により構成し、その耐火物から内部を流れる溶鋼流に通電しながら鋳造する溶鋼の連続鋳造方法であって、浸漬ノズルの外周にノズル保持ホルダ9を装着し、浸漬ノズルおよびノズル保持ホルダを、浸漬ノズルをタンディッシュ1に密着保持するためのノズル保持装置20に配置し、ノズル保持ホルダを貫通させて電極11を電気伝導性を有する耐火物に接触させることにより、またはノズル保持ホルダを介して、電気伝導性を有する耐火物に通電する、溶鋼の連続鋳造方法。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋳造操業の安定性および鋳片品質の向上に有効な溶鋼の連続鋳造方法に係り、さらに詳しくは、溶鋼流に通電しながら鋳造することにより安定した操業と鋳片品質の向上を達成できる連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶鋼の連続鋳造においては、タンディッシュから水冷銅鋳型に溶鋼を供給する浸漬ノズルの内面に酸化物や地金などが堆積し、ノズルを閉塞するという問題が発生することがある。このような堆積物が生成するとノズルから鋳型に供給される溶鋼の流動が不安定になり、鋳型内で溶鋼流に片流れが発生して湯面変動が発生したり、パウダーの巻き込みが発生し、これらが鋳片および製品欠陥の原因となる。したがって、この堆積物の生成を防止する技術の開発が必要となる。
上記の点についてさらに詳しく述べる。鋼を高い生産性で連続的に製造できる連続鋳造法は、タンディッシュ内に収容された溶鋼を、その下部に設けられた浸漬ノズルを通して、上下が開放された鋳型の上部に供給して鋳型内で凝固殻を形成させ、その後下部から引き抜いて鋳片を連続的に製造する方法である。
【0003】
このタンディッシュ内に収容された、例えばAl脱酸された溶鋼を鋳型内に供給する際に、溶鋼中のAlの酸化物などが浸漬ノズル内面などの流路内壁に付着しやすく、これにより浸漬ノズル内の溶鋼の流れが阻害される。そのため、スラブの連続鋳造に通常用いられている例えば2つの吐出孔を有する浸漬ノズルの場合は、片方の吐出孔からの吐出流が強くなるなど、2つの吐出孔からの吐出流が均一にならず、鋳型内の溶鋼の流れに偏流が生じていわゆる「片流れ」になりやすい。この片流れが発生すると、鋳型内の溶鋼表面に添加したモールドパウダーが溶鋼中に巻き込まれる。また、浸漬ノズルの内面に付着したAlの酸化物などが剥離した場合には、この剥離したAlの酸化物などが溶鋼中に巻き込まれる。
【0004】
鋳型内の溶鋼中に巻き込まれたモールドパウダーやAlの酸化物などは、鋳型内の凝固殻に捕捉されやすく、これらが鋳片の表層部に欠陥を発生しやすい。これらの鋳片表層部の欠陥は、その鋳片を素材として圧延された製品においても、表面または内部欠陥の原因となる。また、浸漬ノズルの内面に付着したAl酸化物などの付着量が増加して、浸漬ノズルが閉塞された場合は、連続鋳造操業を中断せざるを得なくなる。
【0005】
浸漬ノズルの内面に溶鋼中のAlの酸化物などが付着するのを防ぐために、スライディングノズルおよび上ノズルからArガスを吹き込む方法が知られている(例えば、鉄と鋼、vol.66、S867)。
【0006】
また、特開平4−319055号公報および特開平6−182513号公報には、浸漬ノズル内を通過する溶鋼中に不活性ガスを吹き込む方法が開示されている。特開平4−319055号公報に開示された方法は、浸漬ノズル内を通過する溶鋼量に応じて、溶鋼中に吹き込む不活性ガス量を調整する方法である。  特開平6−182513号公報に開示された方法は、浸漬ノズルの内壁に設けられた気体吹き込み用の多孔質耐火物と溶鋼との間に、交流または直流電流を通電しつつ、溶鋼中にガスを吹き込む方法である。この方法では、不活性ガスを浸漬ノズルの内面から溶鋼中に吹き込むことにより、Alの酸化物などが浸漬ノズルの内面に付着することを防止している。また、気体吹き込み用の多孔質耐火物と溶鋼との間に通電すると溶鋼に電磁力が生じ、この電磁力の大きさによって発生する気泡の直径が決まるので、時間の経過にしたがって多孔質耐火物の孔径が増大しても、吹き込んだ気体により形成される気泡径は増大しない。したがって、鋳型内の凝固殻に捕捉される気泡の大きさも小さく、製品に表面欠陥などが発生しにくいとされている。
【0007】
しかし、浸漬ノズルなどから不活性ガスを吹き込むことを必須としている上記の方法では、不活性ガスの吹き込み量が少な過ぎると、浸漬ノズル内面などへの溶鋼中のAlの酸化物などの付着を防止することができない。また、不活性ガスの吹き込み量が多過ぎると、不活性ガスの気泡が鋳型内の凝固殻に捕捉され、鋳片表層部に気泡性の欠陥が発生し、この鋳片を素材とする製品に表面欠陥が発生する。
【0008】
これに対して、本発明者らは、浸漬ノズルやスライディングゲートなどの、付着を防止したい部分に電気伝導性を有する耐火物を使用し、この耐火物から溶鋼に通電しながら鋳造することにより、Alの酸化物などの付着を顕著に抑制できることを見出し、特願2001−387947号として出願した。この方法は、高い付着防止効果を有し、流路内面に付着するアルミナなどの堆積物を著しく減少することを可能とした。しかし、特に流路面へのアルミナなどの付着が最も問題となる浸漬ノズルに適用した場合、ノズル外壁面に電極を直接接続すると、電極が高温にさらされるために接続部分が損傷しやすく、安定して通電することが必ずしも容易でないことが分かった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、浸漬ノズルなどに電気伝導性を有する耐火物を使用し、この耐火物内面から内部の溶鋼に通電しながら鋳造することにより浸漬ノズルの閉塞を防止する連続鋳造方法において、鋳造操業中を通じて安定して通電でき、かつ安価な操業および設備コストを実現できる方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題を達成するために、前記した従来技術の問題点について検討を行った。とくに必要とされる浸漬ノズル内面からの溶鋼への通電を考慮し、浸漬ノズルへの通電方法を試験した結果、以下の(a)〜(c)の知見を得た。
【0011】
(a)浸漬ノズルを保持するためのノズル保持ホルダを貫通させて、電極を電気伝導性を有する耐火物の部分に接触させるか、またはノズル保持ホルダを介して浸漬ノズルに通電することにより、安定した通電が可能となる。また、この通電方法は、施工方法も簡便で、費用も安価である。
(b)本来の通電経路以外への漏電を防止して、電力ロスを低減し、また、感電などの危険も防止するためには、ノズル保持ホルダや浸漬ノズル本体部分とタンディッシュ本体との間に絶縁を施すことが好ましい。
【0012】
(c)複数の鋳片ストランドを有する連続鋳造装置においては、複数のストランド間で通電することにより、タンディッシュ内などに電極を設ける必要がなくなり、かつアルミナなどの付着防止効果も得られ、好ましい。
【0013】
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)〜(3)に示す溶鋼の連続鋳造方法にある。
(1)浸漬ノズルの少なくとも内表面を鋼の融点以上の温度において電気伝導性を有する耐火物により構成し、該電気伝導性を有する耐火物からその内部を流れる溶鋼流に通電しながら鋳造する溶鋼の連続鋳造方法であって、前記浸漬ノズルの外周にノズル保持ホルダを装着し、浸漬ノズルを保持したノズル保持ホルダを、ホルダ支持機構により支承することにより、浸漬ノズルをタンディッシュ下部の流量制御機構に装着するとともに、前記ノズル保持ホルダを貫通させて電極を前記電気伝導性を有する耐火物に接続させることにより、またはノズル保持ホルダを介して、前記電気伝導性を有する耐火物に通電する、溶鋼の連続鋳造方法。
(2)前記(1)に記載の溶鋼の連続鋳造方法において、浸漬ノズルと流量制御機構との間、ならびにノズル保持ホルダおよび電極とタンディッシュとの間を、タンディッシュ内に溶鋼を供給する前の状態で絶縁することが好ましい。
【0014】
(3)前記(1)または(2)に記載の溶鋼の連続鋳造方法において、複数のストランドを有する連続鋳造装置のそれぞれのストランドの浸漬ノズルの少なくとも内表面を鋼の融点以上の温度において電気伝導性を有する耐火物により構成し、前記ストランドに間で電気伝導性を有する耐火物に通電しながら鋳造することが好ましい。
【0015】
本発明において、「浸漬ノズルの少なくとも内表面」とは、浸漬ノズルの内表面を含み、浸漬ノズルの外表面に向かって任意の厚さまでの領域を意味する。もちろん、浸漬ノズルの内表面から外表面までの厚さの全領域をも意味する。内表面とは、浸漬ノズルの内表面の全面、もしくは、長手軸方向または円周方向の一部の内表面の場合のいずれをも含む。
【0016】
「ノズル保持ホルダ」とは、浸漬ノズルを保持し、タンディッシュ下部の流量制御機構に浸漬ノズルを接続させるためのノズル保持機構により、支承される支持装置を意味する。ノズル保持ホルダには、電気伝導性、耐熱性および経済性が要求され、耐熱性については、700〜800℃またはそれ以上の温度範囲における機械的強度が要求され、材質としては、例えば鋼製が好ましい。
【0017】
図1は、ノズル保持ホルダの一例を示す図であり、(a)は平面図を表し、(b)は側面図を表す。また、図2は、ノズル保持ホルダを浸漬ノズルに装着した状態を示す図である。本例の場合では、ノズル保持ホルダ9を構成する環状のホルダ本体91内に浸漬ノズル7を挿入することにより浸漬ノズルの外周面をノズル保持ホルダにより保持し、その状態で、浸漬ノズルをタンディッシュ下部の流量制御機構に装着するためのノズル保持機構により支承する。このノズル保持機構により、浸漬ノズルの上面を、スライディングゲートなどの流量制御機構の下端面に密着させて、溶鋼が浸漬ノズル内を通過できるようにする。この部分の気密性は重要であり、気密性が不充分な場合には、大気が侵入して溶鋼が汚染されるなどのトラブルの原因となる。
ノズル保持ホルダの形状および大きさは、浸漬ノズルの大きさ、鋳造量、タンディッシュへの固定方法などに応じて決めれば良いが、その肉厚は、10〜30mm程度が好ましい。
タンディッシュ下部へのノズルの装着方法としては、例えば図2に示すようにノズル保持ホルダに設けたトラニオン軸92をタンディッシュ側に設けたノズル保持機構により支承し、スライディングゲートの下端面まで移動させて、油圧やネジ機構により固定すればよい。他にも、ノズル保持ホルダ自体に設けた油圧、ねじ、コッター機構などによりタンディッシュに直接固定する方法もある。
【0018】
「絶縁」とは、浸漬ノズルを保持するためのノズル保持ホルダ、電極および電極に接続された電気伝導性を有する耐火物とタンディッシュ本体との間を、電気的に絶縁することを意味する。絶縁の好ましい程度は、以下のとおりである。
【0019】
一般にタンディッシュの予熱後は、予熱前に比して絶縁が悪化し、また鋳造中の通電状況に影響を及ぼすので、タンディッシュ予熱後の値により規定すればよい。予熱はタンディッシュ内の雰囲気温度、内面の耐火物温度が1100℃以上、より好適には1200℃以上となるように行う。
【0020】
浸漬ノズルから内部の溶鋼に至る通電経路の抵抗は、一般に1Ω未満であるから、漏電を防止し、安全性を確保するためには、タンディッシュ本体との絶縁抵抗が100Ω以上であることが好ましい。さらに、1kΩ以上の抵抗があればより好ましい。
【0021】
また、複数のストランド間で通電する場合には、例えば、浸漬ノズルのノズル保持ホルダ部分に取り付けた電極の間で100Ω以上とするのが好ましく、さらに好ましくは、1kΩ以上とするのがよい。
【0022】
「電気伝導性を有する耐火物」とは、タンディッシュに収容される溶鋼の融点以上の温度において、電気伝導率が1×10S/m以上である耐火物が好ましく、1×10〜1×10S/mである耐火物がさらに好ましいことを意味する。一般的に、アルミナグラファイト、ジルコニアグラファイトおよびマグネシアグラファイトのようなグラファイトを主成分の一つとする耐火物、固体電解質、TiBやZrBなどのようなホウ化物系の材質が該当する。
【0023】
【発明の実施の形態】
スラブなどの連続鋳造では、一般に鋳片幅方向に対称に配置された2孔あるいはそれ以上の吐出孔を有するノイズルを使用しており、ノズル内に渦流や淀みが生じやすく、このような部分では付着物の厚みが増加する。また、スラブの鋳造では、このような付着物に起因して片流れが生じやすく、このために湯面変動が発生したり、パウダーの巻き込みを生じやすくなり、これが製品品質上の問題となりやすい。
【0024】
これに対して、付着物の生成を防止するために流路内へのArガス吹き込みが行われているが、Arを多量に吹き込むとピンホールが発生し、鋼板表面疵の原因となることは前述のとおりである。そこで、Ar吹き込み量を減量したり、あるいは停止してもノズルの閉塞を防止できる技術が必要となる。そのためには、本発明者らが特願2001−387947号に開示したノズルの閉塞防止技術を適用し、浸漬ノズルの内面から溶鋼に通電する方法が有効となる。
【0025】
そこで本発明者らは浸漬ノズルに通電するために種々の方法を試みた。この場合に満足しなければならない条件は、▲1▼電極がノズル内表面の通電部分に電気的に接続していること、▲2▼鋳造中にノズル本体や電極部分が高温になっても安定して通電できること、▲3▼既存の設備を大きく変更することなく適用できること、および、▲4▼施工が容易であり、かつ施工費用が安価であること、である。
【0026】
1)浸漬ノズルへの通電
図3および4に示す方法により試験を行った。
図3は、浸漬ノズル7に直接通電する方法を示す図であり、(a)は、酸化防止剤や断熱材などのノズル外表面の絶縁部を貫通して電極11を埋め込むことにより、(b)は、同様に絶縁部を貫通してねじにより電極11を挿入して装着することにより、そして(c)は、酸化防止剤や断熱材などのノズル外表面の絶縁部を剥離した部分に環状体治具111を備えた電極を取り付けることにより、それぞれ通電する方法を表す。
また、図4は、浸漬ノズル7にノズル保持ホルダ9の部分から通電する方法を示す図であり、(a)は、電極11をノズル保持ホルダおよび酸化防止剤を貫通させてノズルを構成する電気伝導性を有する耐火物71に接触させることにより、(b)は、ノズルの外表面と、電極が装着されたノズル保持ホルダとの接触部分の一部の酸化防止剤を剥離させてノズル保持ホルダとノズルとを直接接触させることにより、それぞれ通電する方法を表す。ここで、同図(a)は、浸漬ノズルの内表面を含む特定厚さの領域が電気伝導性を有する耐火物71により構成されている場合に有効であり、また、同図(b)は、浸漬ノズルの長手方向領域のうちで、少なくとも浸漬ノズルの外表面とノズル保持ホルダとが接触する領域では、浸漬ノズルが厚さ方向の全域にわたって電気伝導性を有する耐火物71により構成されている場合に有効である。
【0027】
図3に示される通電形式のいくつかの試験においては、鋳造前の浸漬ノズルの予熱過程や鋳造中に、ノズルに取り付けた電極が高温にさらされることにより、電極およびノズルの熱膨張率の差に基づく破損が生じたり、電極材とノズル材との反応が進行し、安定して通電することが困難になるなどの問題が発生した。安定して通電できなくなると、電流や電圧が変動し、十分な付着防止効果が得られなくなるだけでなく、電極取り付け部などでスパークが発生し、装置の損傷につながる。他方、安定した通電を行うために過度に強固な電極あるいは電極取り付け構造とすることは、作業性、施工性を損なうことになる。
【0028】
上記試験の結果、図4(a)および(b)に示されるように、ノズル保持ホルダを貫通させて電極を電気伝導性を有する耐火物に接続させる形式、またはノズル保持ホルダを介して浸漬ノズルに通電する方法が、最も通電を安定させ、また施工面においても安価かつ簡便であることが判明した。
【0029】
浸漬ノズルの表面には、通常、全面に酸化防止剤が塗布されている。また、断熱材として鉱物質の繊維などが貼り付けられている場合もある。したがって、通電経路に存在する断熱材は、剥がしておく必要がある。また、酸化防止剤は、鋳造中に高温のため溶融するので、通電は可能となるが、安定した通電を確保するためには、電極やノズル保持ホルダとの接触部分の酸化防止剤は、予め剥がしておくことが好ましい。
【0030】
鋳造開始前のタンディッシュや浸漬ノズルなどの予熱時に、浸漬ノズルの損耗を防止するために、浸漬ノズルの外面のみならず内面部分にも予め酸化防止剤を塗布する。この酸化防止剤は、溶鋼流により流失するので、浸漬ノズルの内面から溶鋼への通電は阻害されない。また、酸化防止剤は通常使用される種類のものを用いればよい。
【0031】
電極の材質および大きさは、使用温度および電気抵抗を考慮して適切な条件のものを選定すればよい。電極と浸漬ノズルとが直接接触する面積は、0.5cm 程度以上であれば良いが、局所的な過電流を防止するためには、1cm 以上とすることが好ましい。電極と浸漬ノズルの電気伝導性を有する耐火物の部分とは、何らかの方法で接触していればよいが、高温において導電性を有する接着剤などを使用することもできる。
【0032】
本発明の方法は、極低炭素鋼から高炭素鋼まで、鋼種を問わず、ノズル閉塞が問題となる鋼種に適用することが可能であることはいうまでもない。またアルミキルド鋼のみならず、Ti、Zr、希土類金属元素を添加した鋼種など、ノズル内面の付着物が問題となる鋼種全般に適用が可推である。
2)絶縁
このようにノズル保持ホルダを貫通させた電極により、またはノズル保持ホルダを介して通電する場合であっても、一般にノズル保持ホルダをタンディッシュに固定する治具は鋼製であることが多く、このため、電流の一部はタンディッシュ本体などに漏電してしまう。ノズル保持ホルダの固定治具やノズル保持ホルダの表面は、塗装や酸化のために接触抵抗がありそのために電力ロスを生じる。漏電量は大きくはないが、本来の通電経路以外の通電経路が形成されると、さらに電力ロスが生じるばかりでなく、諸計器類の誤動作や感電などの危険が発生する。したがって、ノズル保持ホルダや浸漬ノズル本体部分とタンディッシュ本体の間を絶縁ておくことが好ましい。
【0033】
浸漬ノズルから内部の溶鋼に至る通電経路の抵抗は、一般に1Ω未満であるから、漏電を防止し、安全性を確保するためには、タンディッシュ本体との絶縁抵抗が100Ω以上であることが好ましい。さらに、1kΩ以上の抵抗があればより好ましい。
【0034】
また、複数のストランド間で通電する場合には、例えば、浸漬ノズルのノズル保持ホルダ部分に取り付けた電極の間で100Ω以上とするのが好ましく、さらに好ましくは、1kΩ以上とするのがよい。
3)印加電圧および電流
印加電圧は、0.5〜100V程度が好ましい。印加電圧が100Vを超えると、感電の危険性が生じるとともに、他の計測器に対してノイズなどの悪影響を及ぼす可能性が生じる。印加電圧が0.5V未満となると、電流も低減し、付着物の付着防止効果が低減する。印加電圧のさらに好ましい範囲は1〜60Vである。
【0035】
印可する電流は、直流であっても交流であってもかまわない。さらには、適当なタイミングで正負の極性が切り替わるパルス波形ないしは矩形波形の電流を通電してもよい。付着物の付着防止効果を得るための最適な条件を見出し、それを適用すればよい。
4)複数ストランド間での通電
前記の特願2001−387947号に開示した閉塞防止技術を複数の鋳片ストランドを有する連続鋳造装置において適用する方法について試験を行った。その結果、前記のとおり、複数のストランド間で通電することにより、タンディッシュ内などに他方の電極を設置する必要がなくなり、かつアルミナなどの付着防止効果も得られることが判明した。
【0036】
電極の接続方法には種々の方法がある。連続鋳造機のストランド数が奇数の場合は、電源の正極に接続するストランド数と負極に接続するストランド数が異なってもかまわない。ストランド数が3ストランド以上ある場合は、異なるストランドに異なる系統の電源を接続することも可能である。接続方法の例を図8に示す。
【0037】
図8は、複数のストランド間で通電する方法を模式的に示す図である。同図(a)は、4ストランドのうちの2ストランドを電源の一方の極に接続し、他の2ストランドを他方の極に接続して、第1および第2ストランドと、第3および第4ストランドとの間で通電回路を構成する方法である。(b)は、1ストランドを一方の極に接続し、他の3ストランドを他方の極に接続して、第1ストランドと、第2、第3および第4ストランドとの間で通電回路を構成する方法である。また、(c)は、第1の電源により2ストランド間に通電し、第2の電源により他の2ストランド間に通電する方法であり、独立した2系統の通電回路を構成する方法である。
【0038】
【実施例】
連続鋳造装置を使用して種々の方法により浸漬ノズルに通電しながら連続鋳造試験を行った。
図5は、浸漬ノズルから内部の溶鋼流に通電しながら連続鋳造を行った本発明の方法の一例を模式的に示す縦断面図である。本連続鋳造装置は、鋳片厚さが270mm、鋳片幅が1100〜1600mmの垂直曲げ型の2ストランド型である。
【0039】
本装置を使用して、270tonの低炭素鋼および極低炭素鋼を4〜8連鋳する試験を行った。鋳造時間は3〜5.5時間程度である。他方の電極としてアルミナグラファイト製の丸棒をタンディッシュ内の溶鋼に浸漬するように設置した。
【0040】
鉄皮2の内側を内張耐火物3で内張りしたタンディッシュ1内に装入された溶鋼16は、上ノズル4、タンディッシュ下部にカセットホルダ6により固定されたスライディングゲート5、およびスライディングゲートの下部に取り付けられた浸漬ノズル7を通して吐出孔8から鋳型14に鋳込まれる。鋳込まれた溶鋼16は凝固殻17を形成しながら鋳片を形成し、下部に引き抜かれる。
【0041】
溶鋼への通電は、電源10から、ノズル保持ホルダ9に設けられた一方の電極11、および、タンディッシュ内の溶鋼中に浸漬された他方の電極12に、それぞれケーブル線を接続し、電力を供給することにより行った。
【0042】
浸漬ノズル7は、ノズル保持ホルダ9によりその上部部分を保持されている。このノズル保持ホルダのトラニオン軸92をホルダ支持機構20により支承することにより、浸漬ノズルは、スライディングゲート下部に密着保持される。
なお、符号13は絶縁材であり、符号15はモールドパウダである。
【0043】
1)電極設置試験(試験番号1〜7)
通電方法は、直流電源を使用した電流一定制御とし、アルミナグラファイト製の浸漬ノズルにノズル1本当たり10〜100Aの通電を行い、電極の耐久性などを評価した。
【0044】
浸漬ノズルへの通電方法は、前記の図3および図4に示したとおりである。各通電方法の評価を表1にまとめて示す。
【0045】
【表1】
Figure 2004025203
【0046】
ここで、試験番号1〜5は、比較例の試験であり、試験番号6および7は、本発明例の試験である。また、試験結果の評価は、作業工数面、安定通電およびコスト面で良好な場合を○印により、操業面および安定通電には問題がない場合を△印により、そして操業面および/または安定通電に問題がある場合を×印により、それぞれ表示した。
試験番号1は、浸漬ノズル製造段階で浸漬ノズル本体に予め電極となる鋼などの金属材質の丸棒を埋め込んだ場合である。直径の大きい鋼棒を使用すると、耐火物と丸棒の熱膨張率の相違により浸漬ノズルに亀裂が発生する場合があり、鋳造中に浸漬ノズルが折損あるいは損傷する恐れがあることが判明した。また、浸漬ノズル耐火物と鋼棒とは接着しておらず、成形段階で緩みが発生する場合もあった。
【0047】
試験番号2は、電極としてグラファイト質の丸棒を浸漬ノズルに埋め込んだ場合である。グラファイト質の丸棒を使用した場合には、浸漬ノズルとの接着強度および耐久性は十分であったが、電極棒と導線との接続方法に問題が発生した。すなわち、接続部分が高温になるために、電気的導通が不安定になる場合があった。また、浸漬ノズルをタンディッシュに取り付ける際に、環状のノズル保持ホルダに浸漬ノズルを挿入する必要があるため、浸漬ノズル本体に予め大きな突起を設けられないという制約がある。この問題を解決するためにはノズル保持ホルダの構造を改良する必要があり、多額の設備改造コストを要する。
【0048】
試験番号3では、浸漬ノズルに予め丸孔をあけ、ここに鋼製のボルト部を有する電極をねじ込み挿入した。長時間にわたる鋳造中に浸漬ノズル表面温度は高温になり、浸漬ノズルを構成するグラファイトと電極の鋼とが反応して電極が浸炭により軟化し、このため電極が脱落する場合があった。
【0049】
試験番号4は、浸漬ノズルの成形段階で、その壁面にナットを埋め込み、このナットを通して鋼製ボルト部を有する電極をねじ込み挿入した場合である。しかし、この場合にも、試験番号3と同様の問題が発生した。これらの問題は、電流を80A以上に増加したときに顕著となった。この原因としては、浸漬ノズルからの伝熱のみならず、通電による接続部分でのジュール熱の発生による温度上昇も関与していると考えられる。電極を取り付けた後、針金や鋼製ベルトにより保持する方法も試みたが、針金などによる支持程度では鋳造中に軟化して保持の効果が損なわれ、また、強固な支持治具を使用すると、取り付け工数が増大し、設備コストも増加するという問題が発生した。
【0050】
以上、試験番号1〜4は、操業面または安定通電の面で問題を有することが明らかとなった。
【0051】
試験番号5では、浸漬ノズルの外径に合わせて作成した鋼板製の環状体治具により浸漬ノズル表面に電極を取り付けた。この方法は、鋳造過程で十分な耐久性を示し、安定して通電できたが、浸漬ノズルを取り付けた後に電極を設置する工数が増大するとともに、鋳造中、長時間高温にさらされることから、環状体治具は一回限りの消耗品とならざるを得ず、設備コストも増加するという問題がある。また、試験番号1〜5のいずれの方法においても、浸漬ノズルを予熱用ポット中で予熱する場合に、電極を保護するための特別の工夫が必要である。
試験番号6および7では、ノズル保持ホルダを使用して電極を装着した。
【0052】
試験番号6では、ノズル保持ホルダに雌ねじを切り、鋼製ボルト部を有する電極をねじ込んで貫通させ、電極を取り付けた。また、試験番号7は、試験番号6と同様に、ノズル保持ホルダに雌ねじを切り、鋼製ボルト部を有する電極をこれにねじ止め固定し、このノズル保持ホルダを、内表面から外表面まで厚さ方向の全域にわたって電気伝導性を有する耐火物で構成された浸漬ノズルに装着した。したがって、ノズル保持ホルダを介して通電することになる。なお、この場合は、浸漬ノズルの外表面とノズル保持ホルダとが接触する部分の一部の酸化防止剤を予め除去しておいた。
【0053】
試験番号6および7のいずれの場合も、鋳造操業中、安定した通電を行うことができた。これらの場合は、ノズル保持ホルダおよび電極は鋼製であり、導線の接続も容易である利点を有する。また、ノズル保持ホルダの耐久性を損なうこともなく、設備コストの増加もわずかであることが判明した。
【0054】
上述の試験番号1〜7による試験の結果、浸漬ノズルを保持するためのノズル保持ホルダを使用して通電する方法が最も安定して通電でき、作業工数面およびコスト面においても有利であることが明らかとなった。
2)絶縁試験(試験番号8、9)
次に、上記1)の試験に用いたのと同一の連続鋳造装置を使用して、タンディッシュ本体と浸漬ノズルとの間の絶縁方法について試験を行った。
【0055】
通電方法は、試験番号7の場合と同様であり、ノズル保持ホルダに設置された電極11と、タンディッシュ内の溶鋼に浸漬されたアルミナグラファイト棒製の電極12との間に40Aの電流を流しながら鋳造試験を行った。
【0056】
試験番号9は、絶縁を施した試験であり、絶縁方法は下記のとおりである。
図6は、ノズル保持ホルダを介して浸漬ノズルに通電する場合の絶縁方法を示す模式図である。ノズル保持ホルダ9により浸漬ノズル7の上部を保持し、ノズル保持ホルダのトラニオン軸92を、ガラス繊維で絶縁Bを施したホルダ支持機構(ホルダ支持アーム)により支承して、スライディングゲートの下固定盤51に密着保持させた。また、浸漬ノズルの上面とスライディングゲートの下固定盤51との間にはアルミナを主成分とするパッキンを介在させることにより絶縁Aを施した。これにより、浸漬ノズルおよびノズル保持ホルダは、タンディッシュ本体から電気的に絶縁された。
【0057】
また、タンディッシュ内の溶鋼に浸漬した他方の電極とタンディッシュ本体との間の絶縁は、下記の方法によった。
図7は、タンディッシュ内溶鋼に浸漬する電極の絶縁方法を示す模式図である。アルミナグラファイト製の他方の電極12と、タンディッシュ蓋31に設けた電極支持治具32との間に鉱物質繊維および耐火物により絶縁Dを施し、ナット33により固定することにより、電極を設置した。
【0058】
これに対して、試験番号8は、上記のような絶縁を施さなかった試験である。
【0059】
試験条件および試験結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
Figure 2004025203
【0061】
ここで、電気抵抗とは、ノズル保持ホルダに設けた一方の電極と、タンディッシュ内溶鋼に浸漬する他方の電極との間で測定した電気抵抗を表す。
また、漏電割合は、下記のようにして求めた。絶縁部分の両側、例えばタンディッシュ本体とノズル保持ホルダにそれぞれリード線を接続し、この間の電位差を測定し、電位差が生じていれば、絶縁は有効と判断できる。絶縁が有効であれば、通電経路上の他の部分の抵抗などにより影響はあるものの、印加電圧の5%以上で印加電圧以下の電位差が生じる。そこで、具体的には、以下の方法により、漏電割合を求めた。
【0062】
通電経路の全電流のうちで、本来の経路以外を流れる割合を漏電割合と定義する。本来の経路を流れる電流をI、他の経路を流れる電流をIとすると、
漏電割合=(I/(I+I))×100(%)・・・(1)
である。
【0063】
ところで、本来の経路の電気抵抗をR、他の経路の電気抵抗をR、全抵抗をR、全電流をIとすると、通電経路の電位差Vとの間には、下記の関係が成立する。
V=I×R  ・・・・・・・・・(2)
V=I×R  ・・・・・・・・・(3)
I=I+I  ・・・・・・・・・(4)
1/R=1/R+1/R  ・・・(5)
鋳造中にIとIとを分離して求めることは困難であるため、鋳造開始前の抵抗Rと鋳造開始後の全抵抗Rとから、上記(2)〜(5)式により他の経路を流れる電流Iを求め、(1)式により漏電割合を求めた。
【0064】
予熱中、すなわち鋳造開始前における電気抵抗は、絶縁を施した試験番号9では230Ωであり、一方、絶縁を施さなかった試験番号8では35Ωであった。また、鋳造中の電気抵抗は、双方の試験とも0.24Ωであった。
【0065】
これらの結果に基づき、上記(1)式により求めた漏電割合は、試験番号9では0%、試験番号8では0.7%であった。
ノズル保持ホルダとホルダ保持機構との間の接触抵抗や浸漬ノズルとタンディッシュ本体との間の接触抵抗があることから、漏電量は大きな値ではないが、本来の通電経路以外に電流経路が形成されると、電力ロスとなるばかりでなく、計器の誤動作や感電などの危険が発生する。電気抵抗は0.24Ωであり大きな値ではないが、例えば100Aを通電した場合には電位差は24Vに達することから、上記のような絶縁を施すことが好ましい。
絶縁箇所は、煩雑な工事などをともなわずにその機能を達成できる箇所を選択することが好ましい。ノズル保持ホルダおよびこれに設置した電極を使用して通電する本発明においては、ノズル保持ホルダとホルダ支持機構との間、および浸漬ノズル上面とタンディッシュ下部の流量制御機構例えばスライディングゲートとの間で絶縁を施すのが好ましい。
【0066】
3)複数ストランド間通電試験(試験番号10〜12)
2ストランドの連続鋳造装置を使用し、直流電流を通電しながら、鋳造試験を行った。通電方法および絶縁方法は、前記の試験番号9の場合と同様である。いずれの試験についても、極低炭素鋼を6連鋳する連続鋳造試験を行った。浸漬ノズル内には、上ノズルから約10NL/minのArガスを吹き込んだ。
【0067】
なお、一部の試験では、タンディッシュ内の溶鋼に他方の電極を浸漬した。他方の電極を構成する材料としては、アルミナグラファイトなどのグラファイトを主成分とする耐火物、TiBやZrBなどの導電性耐火物、耐熱性の保護管に挿入した鋼などを使用することができる。
【0068】
鋳造試験後、浸漬ノズルを回収して、鋳型内メニスカス高さ位置で切断し、横断面内部の全周平均付着物厚さを測定した。
【0069】
試験条件および試験結果を表3に示す。
【0070】
【表3】
Figure 2004025203
【0071】
試験番号10では、タンディッシュ内の溶鋼にアルミナグイラファイト製の丸棒からなる他方の電極(正極)を浸漬し、ストランドNo.1の浸漬ノズルおよびノズル保持ホルダに設置された一方の電極(負極)との間に60Aの電流を通電した。通電していないストランドNo.2の浸漬ノズルでは厚い付着物が生成していたのに対して、通電したストランドNo.1の浸漬ノズルでは付着物の生成はほとんどなく、明らかに付着物生成抑制効果が確認された。
【0072】
試験番号11では、同様に、タンディッシュ内の溶鋼にアルミナグラファイト製の他方の電極を浸漬し、ストランドNo.1およびNo.2に設置された一方の電極との間で並列回路を構成し、全体で60Aの電流を通電した。全電流は試験番号10の場合と同一の60Aであるが、両ストランドに電極を設置したため、各ストランドにおける電流値は、そのほぼ1/2の値となっている。なお、通電経路の電気抵抗を両ストランドで同一とすることは事実上困難であり、電流値に多少のアンバランスは発生する。鋳造後の浸漬ノズル内面の付着物は極わずかであり、付着物生成抑制効果が確認された。
【0073】
試験番号12では、タンディッシュ内の溶鋼に他方の電極を浸漬せずに、ストランドNo.1に設置された電極(負極)と、ストランドNo.2に設置された電極(正極)との間で60Aの電流を通電した。全電流は試験番号11の場合と同一の60Aであるが、両ストランド間で通電することにより、両ストランドの浸漬ノズルを通じて絶対値では同一の電流が流れている。鋳造試験後の浸漬ノズルの内面は、負極側ではほとんど付着物は認められず、正極側ではわずかに付着物の生成が見られた。この理由は、負極に接続された浸漬ノズルでは、C→C4++4eなる反応が抑制され、アルミナ生成の原因となるCOの生成反応が抑制されたためと推察される。いずれにしても、通電による付着物生成抑制効果を有することは明らかである。
このように、複数ストランドを有する連続鋳造装置においては、それらのストランド間で通電することにより、タンディッシュ内溶鋼に浸漬する他方の電極の設置を省略できる。したがって、本方法は、上記の他方の電極の設置工数および設備コストを削減できる利点を有する。
【0074】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、浸漬ノズルなどに電気伝導性を有する耐火物を使用し、この耐火物内面から内部の溶鋼に通電しながら鋳造することにより浸漬ノズルの閉塞を防止する連続鋳造方法において、鋳造操業中を通じて安定して通電でき、かつ安価な操業コストおよび設備コストを達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ノズル保持ホルダの一例を示す図であり、(a)は平面図を表し、(b)は側面図を表す。
【図2】ノズル保持ホルダを浸漬ノズルに装着した状態を示す図である。
【図3】浸漬ノズルに直接通電する方法を示す図であり、(a)は、酸化防止剤や断熱材などのノズル外表面の絶縁部を貫通して電極を埋め込むことにより、(b)は、同様に絶縁部を貫通してねじにより電極を挿入して装着することにより、(c)は、酸化防止剤や断熱材などのノズル外表面の絶縁部を剥離した部分に環状体治具を備えた電極を取り付けることにより、それぞれ通電する方法を表す。
【図4】浸漬ノズルにノズル保持ホルダの部分から通電する方法を示す図であり、(a)は、電極をノズル保持ホルダおよび酸化防止剤を貫通させてノズルを構成する電気伝導性を有する耐火物に接触させることにより、(b)は、ノズルの外表面と、電極が装着されたノズル保持ホルダとの接触部分の一部の酸化防止剤を剥離させてノズル保持ホルダとノズルとを直接接触させることにより、それぞれ通電する方法を表す。
【図5】浸漬ノズルから内部の溶鋼流に通電しながら連続鋳造を行う本発明の方法の一例を模式的に示す縦断面図である。
【図6】ノズル保持ホルダを介して浸漬ノズルに通電する場合の絶縁方法の一例を示す模式図である。
【図7】タンディッシュ内溶鋼に浸漬する電極の絶縁方法の一例を示す模式図である。
【図8】複数のストランド間で通電する方法を模式的に示す図であり、(a)は、4ストランドのうちの2ストランドを電源の一方の極(ノズル保持ホルダ)に接続し、他の2ストランドを他方の極(タンディッシュ内溶鋼)に接続する方法、(b)は、1ストランドを一方の極に接続し、他の3ストランドを他方の極に接続する方法、(c)は、第1の電源により2ストランド間で通電し、第2の電源により他の2ストランド間で通電する方法を、それぞれ表す。
【符号の説明】
1:タンディッシュ、
2:タンディッシュの鉄皮、
3:タンディッシュの内張耐火物、
31:タンディッシュの蓋、
32:電極支持治具、
33:ナット、
4:上ノズル、
5:スライディングゲート、
51:スライディングゲートの下固定盤、
6:カセットホルダー、
7:浸漬ノズル、
71:電気伝導性を有する耐火物、
8:吐出孔、
9:ノズル保持ホルダ、
91:ホルダ本体、
92:トラニオン軸、
10:電源、
11:一方の電極、
111:環状体治具、
12:他方の電極、
13:絶縁材、
14:鋳型、
15:モールドパウダ、
16:溶鋼、
17:凝固殻、
20:ホルダ支持機構、ホルダ支持アーム、

Claims (3)

  1. 浸漬ノズルの少なくとも内表面を鋼の融点以上の温度において電気伝導性を有する耐火物により構成し、該電気伝導性を有する耐火物からその内部を流れる溶鋼流に通電しながら鋳造する溶鋼の連続鋳造方法であって、前記浸漬ノズルの外周にノズル保持ホルダを装着し、浸漬ノズルを保持したノズル保持ホルダを、ホルダ支持機構により支承することにより、浸漬ノズルをタンディッシュ下部の流量制御機構に装着するとともに、前記ノズル保持ホルダを貫通させて電極を前記電気伝導性を有する耐火物に接続させることにより、またはノズル保持ホルダを介して、前記電気伝導性を有する耐火物に通電することを特徴とする溶鋼の連続鋳造方法。
  2. 浸漬ノズルと流量制御機構との間、ならびにノズル保持ホルダおよび電極とタンディッシュとの間を、タンディッシュ内に溶鋼を供給する前の状態で絶縁することを特徴とする請求項1に記載の溶鋼の連続鋳造方法。
  3. 複数のストランドを有する連続鋳造装置において、それぞれのストランドの浸漬ノズルの少なくとも内表面を鋼の融点以上の温度において電気伝導性を有する耐火物により構成し、前記ストランド間で電気伝導性を有する耐火物に通電しながら鋳造することを特徴とする請求項1または2に記載の溶鋼の連続鋳造方法。
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