JP2004025116A - 浮上分離における浮上性固体粒子の洗浄方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な操作によって、各種原水中の懸濁粒子を極めて高速度で浮上分離できる革新技術を提供する。
【解決手段】除去対象物質を含む被処理水に凝集フロックを形成せしめ、該凝集フロックを浮上性固体粒子表面に付着させて浮上分離する方法において、浮上性固体粒子表面に付着したフロックを剥離したのち、剥離フロックと浮上性固体粒子の両者を含む流入水を、洗浄カラム内に供給したのち、浮上性固体粒子を別個のカラム内に浮上させ、該カラムの上部の流出口から洗浄浮上性固体粒子を含む流出水を流出させるとともに、浮上性固体粒子浮上カラムに洗浄水を供給し、カラムの下部から剥離フロック含有水を排水する浮上性固体粒子の洗浄方法、及びその装置。
【選択図】 図1
【解決手段】除去対象物質を含む被処理水に凝集フロックを形成せしめ、該凝集フロックを浮上性固体粒子表面に付着させて浮上分離する方法において、浮上性固体粒子表面に付着したフロックを剥離したのち、剥離フロックと浮上性固体粒子の両者を含む流入水を、洗浄カラム内に供給したのち、浮上性固体粒子を別個のカラム内に浮上させ、該カラムの上部の流出口から洗浄浮上性固体粒子を含む流出水を流出させるとともに、浮上性固体粒子浮上カラムに洗浄水を供給し、カラムの下部から剥離フロック含有水を排水する浮上性固体粒子の洗浄方法、及びその装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工場排水、下水、上水原水など懸濁粒子を含有する懸濁水(以下「原水」ともいう)の超高速浮上分離方法及び装置に関し、原水中の懸濁粒子、色度成分、リン酸イオンなどの凝集除去可能物質を従来の凝集沈殿法又は浮上分離法の50倍以上の超高速度で浮上分離できる技術に関する。
なお、本発明は特に有機性の懸濁粒子を含有する合流式下水道の雨天時越流水(CSOと略称される)、又は下水処理施設に流入する下水の超高速固液分離技術として極めて好適な新技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近合流下水道における雨天時越流水(CSO)の公共水域への汚濁負荷が大きな問題になっている。合流式下水道の雨天時越流水(CSO)は、短時間に膨大な水量が発生するので、超高速度で固液分離でき、SSが除去された処理水を公共用水域に放流する必要があるが、従来超高速度で固液分離する優秀な技術がなかった。
【0003】
また下水処理施設に流入する下水は、最初沈殿池で沈殿分離されたのち、活性汚泥処理されるが、最初沈殿池のSSの除去率が悪いため、凝集剤を添加して凝集沈殿処理する例が北欧で普及している。しかし凝集沈殿速度が小さく、大きな沈殿池を必要とする欠点がある。そのためCSO及び下水を超高速度で固液分離できる新技術が待望されている。
また従来より、原水に加圧溶解空気含有水又は微細気泡を吹き込んで、気泡に懸濁粒子を付着させて浮上分離する方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の方法では、浮上分離速度がせいぜい100〜200mm/min程度と小さく、また空気圧縮機、空気溶解設備などの付帯設備が必要という欠点がある。
本発明は、このような実情よりなされたものであり、従来の浮上分離技術の問題点を解決し、簡単な操作によって、各種原水中の懸濁粒子を極めて高速度で浮上分離できる革新技術を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、発泡スチロール粒子などの比重が非常に小さく、水中での浮上速度が極めて大きい浮上性固体粒子を、加圧溶解空気浮上分離法における気泡の代わりに用い、原水に浮上性固体粒子を添加して撹拌分散させながら、原水に有機高分子凝集剤、又は無機凝集剤と有機高分子凝集剤を添加して急速撹拌を行うと、5〜10秒程度後に、原水中の懸濁粒子などの凝集除去対象物質の凝集マイクロフロックが浮上性固体粒子の表面に付着コーティングし、除去対象物質と浮上性固体粒子が一体化した状態が形成され、その後浮上分離部に流入させると、極めて高速度で浮上分離することを見出した技術思想、及びこの方法において浮上性固体粒子に付着したフロックを効果的に系外に排除し、フロックが剥離した浮上性固体粒子(以下洗浄浮上性粒子と呼ぶこともある)を原水に循環し、再び凝集マイクロフロックの付着表面に利用する際の、剥離フロックと洗浄浮上性粒子の効果的な分離、言い換えると浮上性固体粒子の洗浄技術に関する。
【0006】
すなわち、本発明は、次の手段により前記の課題を解決した。
(1)除去対象物質を含む被処理水に凝集フロックを形成せしめ、該凝集フロックを浮上性固体粒子表面に付着させて浮上分離する方法において、浮上性固体粒子表面に付着したフロックを剥離したのち、剥離フロックと浮上性固体粒子の両者を含む流入水を、洗浄カラム内に供給したのち、浮上性固体粒子を別個のカラム内に浮上させ、該カラムの上部の流出口から洗浄浮上性固体粒子を含む流出水を流出させるとともに、浮上性固体粒子浮上カラムに洗浄水を供給し、カラムの下部から剥離フロック含有水を排水することを特徴とする浮上性固体粒子の洗浄方法。
(2)剥離フロックと浮上性固体粒子の両者を含む流入水の水量をQ1とし、洗浄水の水量をQ2とし、洗浄浮上性固体粒子を含む水の水量をQ3とし、剥離フロック含有水の水量をQ4とするとき、水量条件をQ2>Q3、かつQ4=Q1+Q2―Q3を満足するように設定することを特徴とする前記(1)記載の浮上性固体粒子の洗浄方法。
(3) 前記洗浄用水として、浮上分離処理水の一部又は原水の一部を使用することを特徴とする前記(1)又は(2)記載の方法。
【0007】
(4)除去対象物質を含む被処理水に凝集フロックを形成せしめ、該凝集フロックを表面に付着させた浮上性固体粒子を含む被処理水を導入してフロック付着浮上性固体粒子を浮上分離する浮上分離槽と、浮上性固体粒子表面に付着したフロックを剥離する剥離装置とを設けた浮上分離装置において、剥離フロックと浮上性固体粒子の両者を含む流入水を流下させる下降流部と、前記流入水を下降流部の下端で反転させて浮上性固体粒子を含む流入水を上昇させる上昇流部とが隣接し、両部の下方にフロックを沈殿させる分離部が形成され、前記上昇流部の上部から洗浄水を供給して前記浮上性固体粒子を洗浄する構造からなる洗浄槽を有することを特徴とする浮上性固体粒子の洗浄装置。
(5)前記洗浄槽がカラム部を仕切り板により下降流部と上向流部に区画され、下降流部の上部には剥離フロックと浮上性固体粒子の両者を含む流入水入口が、上向流部の頂部には洗浄水の入口が、上向流部の上部には洗浄浮上性固体粒子を含む流出水出口が、洗浄槽の下部には剥離フロック含有排水出口が、洗浄槽の底部には沈殿汚泥の排泥管が設けられていることを特徴とする請求項4記載の浮上性固体粒子の洗浄装置。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は、本発明の高速浮上分離プロセスの一実施態様を示す系統図である。
原水21に凝集剤(高分子凝集剤24単独又は無機凝集剤23と高分子凝集剤24の併用)と、粒径500〜1000μm程度、比重0.05〜0.2程度の浮上性固体粒子25を添加し、撹拌すると浮上性固体粒子25の表面に原水21中の凝集除去対象物質のマイクロフロックが付着した状態になる。これを浮上分離槽28の浮上分離部29に流入させると、極めて高速度で浮上分離され、清澄な処理水31が浮上分離槽28の下部から流出する。なお、本発明の除去対象物質は、SS、コロイド成分、フミン酸、色素などの色度成分、リン酸イオン、COD成分などである。これらの物質は無機凝集剤23を添加すると不溶化し、ポリマ24の添加によって、浮上性固体粒子25の表面に付着する。
【0009】
本発明の「浮上性固体粒子表面に凝集フロックが付着した状態の粒子」の浮上速度は極めて大きく、驚くべきことに、浮上速度は4000〜7000mm/minが得られ、従来の加圧溶解空気泡を利用する浮上分離装置の約40〜70倍も大きい。
本発明に適用するために最適な浮上性固体粒子25を種々検討した結果、発泡スチロールなどの発泡プラスチック微粒子(特に発泡スチロールは比重が小さく、極めて浮上力が大きいこと、また低価格でもあり)が最適であることが認められた。
【0010】
浮上性固体粒子25の添加量として好適な範囲は、少なすぎると浮上速度向上効果が少なくなり、多すぎるとフロックに取り込まれなくなるので、かさ容積で原水1リットル当たり、2〜100ml、より好ましくは5〜50(ml浮上粒子/リットル原水程度)が好適範囲である。
添加容積比が小さすぎると、浮上性固体粒子に付着しないフロックが残留し、添加容積比が過大であると浮上分離物の量が過大になりすぎ、浮上物移送などのハンドリング面で不利になる。
【0011】
無機凝集剤23の添加率は原水21の水質によって変化するが、下水を本発明によって処理する場合は、PACでは100〜150mg/リットル、塩化第2鉄では50〜100mg/リットル程度である。無機凝集剤23の添加は不可欠ではなく、カチオン系ポリマで代替できることが多い。
有機高分子凝集剤(ポリマ)24はアニオン性、ノニオン性、カチオン性、両性ポリマのいずれか、またはこれらを併用する。その注入率は、下水の場合1〜2mg/リットル程度で十分である。
最も効果的な凝集方法を検討した結果、原水21に無機凝集剤23又はカチオンポリマ24を添加して撹拌したのち、アニオンポリマと両性ポリマ24、又はノニオンポリマと両性ポリマ24を添加する方法が、非常に粘着性が大きくフロック強度が強いフロックが形成され、極めて効果的に浮上性固体粒子25に付着する凝集フロックを形成できることを見出した。
【0012】
しかして、フロック付着浮上性固体粒子を浮上分離部29に流入させ高速度で浮上分離する。
次に浮上分離物を排出し、撹拌槽(フロック剥離槽)34で激しく撹拌すると、浮上性固体粒子25相互がもみ洗い状態になり凝集フロックが浮上性固体粒子25から剥離するので、これを図2の剥離フロック排除槽(浮上性固体粒子の洗浄槽36と呼ぶこともある)に供給し、剥離フロックを系外に排除する。
原水21に凝集剤を添加して生成したフロックは、浮上分離によって除去されるが、物質収支から、除去したフロックのSS重量に等しい量を系外に排除することが重要である。さもないと、除去したフロックが浮上分離システム内に蓄積し、その蓄積が限界に達すると処理水6に流出し、処理水SSを悪化させてしまう。
【0013】
このような問題が発生しないように、本発明は次のような解決策を見出した。すなわち、浮上性固体粒子から剥離フロックを洗浄除去する洗浄槽1は、図1のように、カラム2が下降流部5と上向流部6に区画されている。
図2のフロック剥離槽34において浮上性固体粒子から剥離したフロック懸濁水は、図1に示すように、浮上性固体粒子8とともに、流入水7として洗浄槽1に流入(流量Q1)する。その後、下降流部5を流下する。下降流部5の下端から、剥離フロックは落下し、洗浄槽1の底に設けてある剥離フロック排水口から流量調整バルブ14で流量調節されて剥離フロック含有排水12として系外に流出(流量Q4)する。一方、浮上性固体粒子8はカラム2内の隣接する上向流部6を図の点線矢印のように浮上してゆく。
【0014】
浮上性固体粒子8が浮上する上向流部6の上部には、洗浄された浮上性固体粒子を含む流出水11の流出口が設けられ、図2の凝集槽22に流入し、フロック付着粒子として再利用される。
また、浮上性固体粒子8が浮上する上向流部6の上部には洗浄水10の流入部が設置され、洗浄水10が流入する(流量Q2)。洗浄水10の一部を、排水口から剥離フロック含有排水12として流出させ(流量Q4)、他部を流出部から浮上性固体粒子8を含む流出水11として流出させる(流量Q3)。
したがって、洗浄水10の一部は、沈殿部3内を下降流(図の実線矢印)となって流下する。
この結果、剥離フロックは、この下降流によって下方に洗い流され、洗浄槽1の系外に排出される。このような状態における流量条件は、Q2>Q3、かつQ4=Q1+Q2―Q3を満足している。
【0015】
なお、剥離フロック含有排水12は、図2において洗浄排水39として沈殿槽40に導いて、剥離フロックを沈殿分離し、上澄水41は処理水として放流し、沈殿汚泥42だけを下水終末処理場に流入させるか、又は汚泥処理するのが好適である。
また、図1に示すように、洗浄槽1の下部に、剥離フロックが沈殿した沈殿汚泥13を排出する排泥管15を、排水口のほかに設けると、さらに効率的に剥離フロックを系外に排除できるので好ましい。
【0016】
洗浄水10としては、水道水を使用する必要は無く、図1の本発明の浮上分離処理水31の一部又は原水21の一部を利用すればよい。原水21を利用する場合は、無機凝集剤23を添加後の原水21の一部を利用するのが好ましい。このようにすることによって洗浄排水39に高分子凝集剤24を添加混和するだけで、原水21中の汚濁物質と剥離フロックの両者を、図示しない沈殿槽において沈殿分離できる。
【0017】
剥離フロックが凝集付着槽26に戻ってしまうと、剥離フロックが本発明の浮上分離システム内に蓄積し、浮上性固体粒子25の表面に付着しないフロックが出現し、これが処理水31に流出してしまうトラブルを引き起こすが、本発明では、フロック剥離槽34において浮上性固体粒子25から剥離したフロックは、ほぼ完全に系外に排出でき、洗浄された浮上性固体粒子38だけを図2の凝集槽22に循環させることができ、このような問題が起きない。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこの実施例により何等制限されるものではない。
【0019】
実施例1、合流式下水道の雨天時越流水(CSO)の処理試験
CSO(SS 230mg/リットル)に平均粒径600μmの発泡スチロール微粒子を50ml/リットル添加し、強く撹拌して撹拌槽全体に分散させながら、塩化第2鉄を40mg/リットル添加し、30秒間急速撹拌を行いマイクロフロックを形成させた後、ポリマ(アニオン性ポリマ、分子量1500万、銘柄エバグロースA151)を1.5mg/リットル添加し、20秒撹拌した結果、凝集マイクロフロックが発泡スチロール粒子表面にコーティングされた。これを、浮上分離速度4000mm/minの超高速浮上分離速度に設定した浮上分離装置に流入させた。この結果、発泡スチロール粒子表面にフロックが付着した粒子は高速度で浮上し、処理水SSは6mg/リットルとなり、下水中のSSが超高速度で効率よく浮上分離された。
【0020】
浮上分離された「フロック付着発泡スチロール粒子」をスクリュー型撹拌翼を設けた槽にポンプアップし、回転数600rpmで1分撹拌した結果、付着フロックが発泡スチロール粒子から剥離した。
次に図1の洗浄槽1に流量5リットル/分(Q1)で供給し、前記のような方法で剥離フロックを排除した。洗浄槽1の下降流部5の流速は6m/minに設定し、発泡スチロール粒子が浮上せずに流れに乗って流下するようにした。流下時間は3秒である。
【0021】
洗浄水10として浮上分離処理水の一部を用い、流量3リットル/分(Q2)で供給し、洗浄槽10下部の排水口から、流量6リットル/分(Q4)で剥離フロックを含んだ排水12を排出した。
洗浄された発泡スチロール粒子を含む流出水11は、浮上性固体粒子浮上部(上向流部)6の上部の流出口から流量2リットル/分(Q3)で図2の凝集付着槽26の前の凝集槽22に流入させた。上記各水量の条件として、Q2>Q3、Q4=Q1+Q2−Q3の条件が形成された。
【0022】
この結果、洗浄槽流入水の発泡スチロール粒子を除いたSSは2200〜2600mg/リットルであったが、流出水11の発泡スチロール粒子を除いたSSは35〜46mg/リットルであり、剥離フロックがほぼすべて系外に排出された。
以上のような運転を12時間継続したところ、浮上分離処理水のSSは安定して、8〜11mg/リットルとなり、原水(CSO)中のSSが高度に除去された。
【0023】
比較例1
比較のために、図1の洗浄槽の仕切板4を除去し、かつ洗浄水を供給せずに運転したところ、処理水SSは運転開始20分後に136mg/リットル、40分後に364mg/リットルと著しく悪化した。
【0024】
参考例1
従来公知の加圧溶解空気を利用する浮上分離装置で試験した。原水は実施例1と同一である。下水(SS 230mg/リットル)に塩化第2鉄を40mg/リットル添加し、30秒間急速撹拌を行った後、アニオン性ポリマ、分子量1500万、銘柄エバグロースA151を1.5mg/リットル添加し、1分急速撹拌したのち、加圧溶解空気を含んだ水を供給し、浮上分離速度200mm/minの浮上分離速度に設定した浮上分離装置に流入させた。この結果、浮上気泡粒子に付着したフロックは緩慢に浮上した。処理水SSは12mg/リットルとなり、下水中のSSが除去された。
しかし浮上速度400mm/minに設定して運転したところ、フロックはほとんど浮上せず、下降流の水流に随伴されて処理水に流出し、処理水SSが193mg/リットルと著しく悪化し処理不可能であった。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の優れた効果が得られる。
(1)本発明の浮上分離速度は、文字通り驚異的であり5〜7m/minが可能であり、従来の浮上分離法の50〜70倍の浮上速度が可能であることにより、従来の気泡による浮上分離法では全く不可能であった、超高速度の浮上分離速度で原水中の懸濁粒子を浮上分離でき、かつ除去したSSが系内に悪循環することがないので、処理水SSを安定して低い値に維持できる。
(2)したがって、合流式下水道の雨天時越流水(CSO)のように、短時間に膨大な水量が発生する原水に極めて好適であり、非常にコンパクトな装置でCSOの懸濁粒子を除去できる。
(3)従来の加圧溶解空気浮上分離法で不可欠であった空気コンプレッサ、空気溶解槽などが不要であり、設備費、動力費が削減できる。
(4)本発明では、洗浄部で、フロック剥離部において浮上性固体粒子から剥離したフロックは、ほぼ完全に系外に排出でき、洗浄された浮上性固体粒子だけを凝集槽に循環させることができるので、剥離フロックが凝集付着槽に戻ってしまい、剥離フロックが本発明の浮上分離システム内に蓄積し、フロックが処理水に流出して、処理水の水質悪化を引き起こすような問題が起きない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の浮上性固体粒子の洗浄槽の構造を説明する断面図である。
【図2】本発明の浮上分離における浮上性固体粒子の洗浄方法の一実施例を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 洗浄槽
2 カラム
3 沈殿部
4 仕切板
5 下降流部
6 上向流部
7 流入水
8 浮上性固体粒子
9 剥離フロック
10 洗浄水
11 流出水
12 剥離フロック含有排水(出口)
13 沈殿汚泥
14 流量調整バルブ
15 排泥管
21 原水
22 凝集槽
23 無機凝集剤
24 高分子凝集剤
25 浮上性固体粒子
26 凝集付着槽
27 フロック含有原水
28 浮上分離槽
29 浮上分離部
30 処理水分離部
31 処理水
32 浮上物
33 ポンプ
34 フロック剥離槽
35 剥離フロック含有水
36 洗浄槽
37 洗浄水
38 洗浄済み浮上性固体粒子
39 洗浄排水
40 沈殿槽
41 上澄水
42 沈殿汚泥
【発明の属する技術分野】
本発明は、工場排水、下水、上水原水など懸濁粒子を含有する懸濁水(以下「原水」ともいう)の超高速浮上分離方法及び装置に関し、原水中の懸濁粒子、色度成分、リン酸イオンなどの凝集除去可能物質を従来の凝集沈殿法又は浮上分離法の50倍以上の超高速度で浮上分離できる技術に関する。
なお、本発明は特に有機性の懸濁粒子を含有する合流式下水道の雨天時越流水(CSOと略称される)、又は下水処理施設に流入する下水の超高速固液分離技術として極めて好適な新技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近合流下水道における雨天時越流水(CSO)の公共水域への汚濁負荷が大きな問題になっている。合流式下水道の雨天時越流水(CSO)は、短時間に膨大な水量が発生するので、超高速度で固液分離でき、SSが除去された処理水を公共用水域に放流する必要があるが、従来超高速度で固液分離する優秀な技術がなかった。
【0003】
また下水処理施設に流入する下水は、最初沈殿池で沈殿分離されたのち、活性汚泥処理されるが、最初沈殿池のSSの除去率が悪いため、凝集剤を添加して凝集沈殿処理する例が北欧で普及している。しかし凝集沈殿速度が小さく、大きな沈殿池を必要とする欠点がある。そのためCSO及び下水を超高速度で固液分離できる新技術が待望されている。
また従来より、原水に加圧溶解空気含有水又は微細気泡を吹き込んで、気泡に懸濁粒子を付着させて浮上分離する方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の方法では、浮上分離速度がせいぜい100〜200mm/min程度と小さく、また空気圧縮機、空気溶解設備などの付帯設備が必要という欠点がある。
本発明は、このような実情よりなされたものであり、従来の浮上分離技術の問題点を解決し、簡単な操作によって、各種原水中の懸濁粒子を極めて高速度で浮上分離できる革新技術を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、発泡スチロール粒子などの比重が非常に小さく、水中での浮上速度が極めて大きい浮上性固体粒子を、加圧溶解空気浮上分離法における気泡の代わりに用い、原水に浮上性固体粒子を添加して撹拌分散させながら、原水に有機高分子凝集剤、又は無機凝集剤と有機高分子凝集剤を添加して急速撹拌を行うと、5〜10秒程度後に、原水中の懸濁粒子などの凝集除去対象物質の凝集マイクロフロックが浮上性固体粒子の表面に付着コーティングし、除去対象物質と浮上性固体粒子が一体化した状態が形成され、その後浮上分離部に流入させると、極めて高速度で浮上分離することを見出した技術思想、及びこの方法において浮上性固体粒子に付着したフロックを効果的に系外に排除し、フロックが剥離した浮上性固体粒子(以下洗浄浮上性粒子と呼ぶこともある)を原水に循環し、再び凝集マイクロフロックの付着表面に利用する際の、剥離フロックと洗浄浮上性粒子の効果的な分離、言い換えると浮上性固体粒子の洗浄技術に関する。
【0006】
すなわち、本発明は、次の手段により前記の課題を解決した。
(1)除去対象物質を含む被処理水に凝集フロックを形成せしめ、該凝集フロックを浮上性固体粒子表面に付着させて浮上分離する方法において、浮上性固体粒子表面に付着したフロックを剥離したのち、剥離フロックと浮上性固体粒子の両者を含む流入水を、洗浄カラム内に供給したのち、浮上性固体粒子を別個のカラム内に浮上させ、該カラムの上部の流出口から洗浄浮上性固体粒子を含む流出水を流出させるとともに、浮上性固体粒子浮上カラムに洗浄水を供給し、カラムの下部から剥離フロック含有水を排水することを特徴とする浮上性固体粒子の洗浄方法。
(2)剥離フロックと浮上性固体粒子の両者を含む流入水の水量をQ1とし、洗浄水の水量をQ2とし、洗浄浮上性固体粒子を含む水の水量をQ3とし、剥離フロック含有水の水量をQ4とするとき、水量条件をQ2>Q3、かつQ4=Q1+Q2―Q3を満足するように設定することを特徴とする前記(1)記載の浮上性固体粒子の洗浄方法。
(3) 前記洗浄用水として、浮上分離処理水の一部又は原水の一部を使用することを特徴とする前記(1)又は(2)記載の方法。
【0007】
(4)除去対象物質を含む被処理水に凝集フロックを形成せしめ、該凝集フロックを表面に付着させた浮上性固体粒子を含む被処理水を導入してフロック付着浮上性固体粒子を浮上分離する浮上分離槽と、浮上性固体粒子表面に付着したフロックを剥離する剥離装置とを設けた浮上分離装置において、剥離フロックと浮上性固体粒子の両者を含む流入水を流下させる下降流部と、前記流入水を下降流部の下端で反転させて浮上性固体粒子を含む流入水を上昇させる上昇流部とが隣接し、両部の下方にフロックを沈殿させる分離部が形成され、前記上昇流部の上部から洗浄水を供給して前記浮上性固体粒子を洗浄する構造からなる洗浄槽を有することを特徴とする浮上性固体粒子の洗浄装置。
(5)前記洗浄槽がカラム部を仕切り板により下降流部と上向流部に区画され、下降流部の上部には剥離フロックと浮上性固体粒子の両者を含む流入水入口が、上向流部の頂部には洗浄水の入口が、上向流部の上部には洗浄浮上性固体粒子を含む流出水出口が、洗浄槽の下部には剥離フロック含有排水出口が、洗浄槽の底部には沈殿汚泥の排泥管が設けられていることを特徴とする請求項4記載の浮上性固体粒子の洗浄装置。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は、本発明の高速浮上分離プロセスの一実施態様を示す系統図である。
原水21に凝集剤(高分子凝集剤24単独又は無機凝集剤23と高分子凝集剤24の併用)と、粒径500〜1000μm程度、比重0.05〜0.2程度の浮上性固体粒子25を添加し、撹拌すると浮上性固体粒子25の表面に原水21中の凝集除去対象物質のマイクロフロックが付着した状態になる。これを浮上分離槽28の浮上分離部29に流入させると、極めて高速度で浮上分離され、清澄な処理水31が浮上分離槽28の下部から流出する。なお、本発明の除去対象物質は、SS、コロイド成分、フミン酸、色素などの色度成分、リン酸イオン、COD成分などである。これらの物質は無機凝集剤23を添加すると不溶化し、ポリマ24の添加によって、浮上性固体粒子25の表面に付着する。
【0009】
本発明の「浮上性固体粒子表面に凝集フロックが付着した状態の粒子」の浮上速度は極めて大きく、驚くべきことに、浮上速度は4000〜7000mm/minが得られ、従来の加圧溶解空気泡を利用する浮上分離装置の約40〜70倍も大きい。
本発明に適用するために最適な浮上性固体粒子25を種々検討した結果、発泡スチロールなどの発泡プラスチック微粒子(特に発泡スチロールは比重が小さく、極めて浮上力が大きいこと、また低価格でもあり)が最適であることが認められた。
【0010】
浮上性固体粒子25の添加量として好適な範囲は、少なすぎると浮上速度向上効果が少なくなり、多すぎるとフロックに取り込まれなくなるので、かさ容積で原水1リットル当たり、2〜100ml、より好ましくは5〜50(ml浮上粒子/リットル原水程度)が好適範囲である。
添加容積比が小さすぎると、浮上性固体粒子に付着しないフロックが残留し、添加容積比が過大であると浮上分離物の量が過大になりすぎ、浮上物移送などのハンドリング面で不利になる。
【0011】
無機凝集剤23の添加率は原水21の水質によって変化するが、下水を本発明によって処理する場合は、PACでは100〜150mg/リットル、塩化第2鉄では50〜100mg/リットル程度である。無機凝集剤23の添加は不可欠ではなく、カチオン系ポリマで代替できることが多い。
有機高分子凝集剤(ポリマ)24はアニオン性、ノニオン性、カチオン性、両性ポリマのいずれか、またはこれらを併用する。その注入率は、下水の場合1〜2mg/リットル程度で十分である。
最も効果的な凝集方法を検討した結果、原水21に無機凝集剤23又はカチオンポリマ24を添加して撹拌したのち、アニオンポリマと両性ポリマ24、又はノニオンポリマと両性ポリマ24を添加する方法が、非常に粘着性が大きくフロック強度が強いフロックが形成され、極めて効果的に浮上性固体粒子25に付着する凝集フロックを形成できることを見出した。
【0012】
しかして、フロック付着浮上性固体粒子を浮上分離部29に流入させ高速度で浮上分離する。
次に浮上分離物を排出し、撹拌槽(フロック剥離槽)34で激しく撹拌すると、浮上性固体粒子25相互がもみ洗い状態になり凝集フロックが浮上性固体粒子25から剥離するので、これを図2の剥離フロック排除槽(浮上性固体粒子の洗浄槽36と呼ぶこともある)に供給し、剥離フロックを系外に排除する。
原水21に凝集剤を添加して生成したフロックは、浮上分離によって除去されるが、物質収支から、除去したフロックのSS重量に等しい量を系外に排除することが重要である。さもないと、除去したフロックが浮上分離システム内に蓄積し、その蓄積が限界に達すると処理水6に流出し、処理水SSを悪化させてしまう。
【0013】
このような問題が発生しないように、本発明は次のような解決策を見出した。すなわち、浮上性固体粒子から剥離フロックを洗浄除去する洗浄槽1は、図1のように、カラム2が下降流部5と上向流部6に区画されている。
図2のフロック剥離槽34において浮上性固体粒子から剥離したフロック懸濁水は、図1に示すように、浮上性固体粒子8とともに、流入水7として洗浄槽1に流入(流量Q1)する。その後、下降流部5を流下する。下降流部5の下端から、剥離フロックは落下し、洗浄槽1の底に設けてある剥離フロック排水口から流量調整バルブ14で流量調節されて剥離フロック含有排水12として系外に流出(流量Q4)する。一方、浮上性固体粒子8はカラム2内の隣接する上向流部6を図の点線矢印のように浮上してゆく。
【0014】
浮上性固体粒子8が浮上する上向流部6の上部には、洗浄された浮上性固体粒子を含む流出水11の流出口が設けられ、図2の凝集槽22に流入し、フロック付着粒子として再利用される。
また、浮上性固体粒子8が浮上する上向流部6の上部には洗浄水10の流入部が設置され、洗浄水10が流入する(流量Q2)。洗浄水10の一部を、排水口から剥離フロック含有排水12として流出させ(流量Q4)、他部を流出部から浮上性固体粒子8を含む流出水11として流出させる(流量Q3)。
したがって、洗浄水10の一部は、沈殿部3内を下降流(図の実線矢印)となって流下する。
この結果、剥離フロックは、この下降流によって下方に洗い流され、洗浄槽1の系外に排出される。このような状態における流量条件は、Q2>Q3、かつQ4=Q1+Q2―Q3を満足している。
【0015】
なお、剥離フロック含有排水12は、図2において洗浄排水39として沈殿槽40に導いて、剥離フロックを沈殿分離し、上澄水41は処理水として放流し、沈殿汚泥42だけを下水終末処理場に流入させるか、又は汚泥処理するのが好適である。
また、図1に示すように、洗浄槽1の下部に、剥離フロックが沈殿した沈殿汚泥13を排出する排泥管15を、排水口のほかに設けると、さらに効率的に剥離フロックを系外に排除できるので好ましい。
【0016】
洗浄水10としては、水道水を使用する必要は無く、図1の本発明の浮上分離処理水31の一部又は原水21の一部を利用すればよい。原水21を利用する場合は、無機凝集剤23を添加後の原水21の一部を利用するのが好ましい。このようにすることによって洗浄排水39に高分子凝集剤24を添加混和するだけで、原水21中の汚濁物質と剥離フロックの両者を、図示しない沈殿槽において沈殿分離できる。
【0017】
剥離フロックが凝集付着槽26に戻ってしまうと、剥離フロックが本発明の浮上分離システム内に蓄積し、浮上性固体粒子25の表面に付着しないフロックが出現し、これが処理水31に流出してしまうトラブルを引き起こすが、本発明では、フロック剥離槽34において浮上性固体粒子25から剥離したフロックは、ほぼ完全に系外に排出でき、洗浄された浮上性固体粒子38だけを図2の凝集槽22に循環させることができ、このような問題が起きない。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこの実施例により何等制限されるものではない。
【0019】
実施例1、合流式下水道の雨天時越流水(CSO)の処理試験
CSO(SS 230mg/リットル)に平均粒径600μmの発泡スチロール微粒子を50ml/リットル添加し、強く撹拌して撹拌槽全体に分散させながら、塩化第2鉄を40mg/リットル添加し、30秒間急速撹拌を行いマイクロフロックを形成させた後、ポリマ(アニオン性ポリマ、分子量1500万、銘柄エバグロースA151)を1.5mg/リットル添加し、20秒撹拌した結果、凝集マイクロフロックが発泡スチロール粒子表面にコーティングされた。これを、浮上分離速度4000mm/minの超高速浮上分離速度に設定した浮上分離装置に流入させた。この結果、発泡スチロール粒子表面にフロックが付着した粒子は高速度で浮上し、処理水SSは6mg/リットルとなり、下水中のSSが超高速度で効率よく浮上分離された。
【0020】
浮上分離された「フロック付着発泡スチロール粒子」をスクリュー型撹拌翼を設けた槽にポンプアップし、回転数600rpmで1分撹拌した結果、付着フロックが発泡スチロール粒子から剥離した。
次に図1の洗浄槽1に流量5リットル/分(Q1)で供給し、前記のような方法で剥離フロックを排除した。洗浄槽1の下降流部5の流速は6m/minに設定し、発泡スチロール粒子が浮上せずに流れに乗って流下するようにした。流下時間は3秒である。
【0021】
洗浄水10として浮上分離処理水の一部を用い、流量3リットル/分(Q2)で供給し、洗浄槽10下部の排水口から、流量6リットル/分(Q4)で剥離フロックを含んだ排水12を排出した。
洗浄された発泡スチロール粒子を含む流出水11は、浮上性固体粒子浮上部(上向流部)6の上部の流出口から流量2リットル/分(Q3)で図2の凝集付着槽26の前の凝集槽22に流入させた。上記各水量の条件として、Q2>Q3、Q4=Q1+Q2−Q3の条件が形成された。
【0022】
この結果、洗浄槽流入水の発泡スチロール粒子を除いたSSは2200〜2600mg/リットルであったが、流出水11の発泡スチロール粒子を除いたSSは35〜46mg/リットルであり、剥離フロックがほぼすべて系外に排出された。
以上のような運転を12時間継続したところ、浮上分離処理水のSSは安定して、8〜11mg/リットルとなり、原水(CSO)中のSSが高度に除去された。
【0023】
比較例1
比較のために、図1の洗浄槽の仕切板4を除去し、かつ洗浄水を供給せずに運転したところ、処理水SSは運転開始20分後に136mg/リットル、40分後に364mg/リットルと著しく悪化した。
【0024】
参考例1
従来公知の加圧溶解空気を利用する浮上分離装置で試験した。原水は実施例1と同一である。下水(SS 230mg/リットル)に塩化第2鉄を40mg/リットル添加し、30秒間急速撹拌を行った後、アニオン性ポリマ、分子量1500万、銘柄エバグロースA151を1.5mg/リットル添加し、1分急速撹拌したのち、加圧溶解空気を含んだ水を供給し、浮上分離速度200mm/minの浮上分離速度に設定した浮上分離装置に流入させた。この結果、浮上気泡粒子に付着したフロックは緩慢に浮上した。処理水SSは12mg/リットルとなり、下水中のSSが除去された。
しかし浮上速度400mm/minに設定して運転したところ、フロックはほとんど浮上せず、下降流の水流に随伴されて処理水に流出し、処理水SSが193mg/リットルと著しく悪化し処理不可能であった。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の優れた効果が得られる。
(1)本発明の浮上分離速度は、文字通り驚異的であり5〜7m/minが可能であり、従来の浮上分離法の50〜70倍の浮上速度が可能であることにより、従来の気泡による浮上分離法では全く不可能であった、超高速度の浮上分離速度で原水中の懸濁粒子を浮上分離でき、かつ除去したSSが系内に悪循環することがないので、処理水SSを安定して低い値に維持できる。
(2)したがって、合流式下水道の雨天時越流水(CSO)のように、短時間に膨大な水量が発生する原水に極めて好適であり、非常にコンパクトな装置でCSOの懸濁粒子を除去できる。
(3)従来の加圧溶解空気浮上分離法で不可欠であった空気コンプレッサ、空気溶解槽などが不要であり、設備費、動力費が削減できる。
(4)本発明では、洗浄部で、フロック剥離部において浮上性固体粒子から剥離したフロックは、ほぼ完全に系外に排出でき、洗浄された浮上性固体粒子だけを凝集槽に循環させることができるので、剥離フロックが凝集付着槽に戻ってしまい、剥離フロックが本発明の浮上分離システム内に蓄積し、フロックが処理水に流出して、処理水の水質悪化を引き起こすような問題が起きない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の浮上性固体粒子の洗浄槽の構造を説明する断面図である。
【図2】本発明の浮上分離における浮上性固体粒子の洗浄方法の一実施例を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 洗浄槽
2 カラム
3 沈殿部
4 仕切板
5 下降流部
6 上向流部
7 流入水
8 浮上性固体粒子
9 剥離フロック
10 洗浄水
11 流出水
12 剥離フロック含有排水(出口)
13 沈殿汚泥
14 流量調整バルブ
15 排泥管
21 原水
22 凝集槽
23 無機凝集剤
24 高分子凝集剤
25 浮上性固体粒子
26 凝集付着槽
27 フロック含有原水
28 浮上分離槽
29 浮上分離部
30 処理水分離部
31 処理水
32 浮上物
33 ポンプ
34 フロック剥離槽
35 剥離フロック含有水
36 洗浄槽
37 洗浄水
38 洗浄済み浮上性固体粒子
39 洗浄排水
40 沈殿槽
41 上澄水
42 沈殿汚泥
Claims (5)
- 除去対象物質を含む被処理水に凝集フロックを形成せしめ、該凝集フロックを浮上性固体粒子表面に付着させて浮上分離する方法において、浮上性固体粒子表面に付着したフロックを剥離したのち、剥離フロックと浮上性固体粒子の両者を含む流入水を、洗浄カラム内に供給したのち、浮上性固体粒子を別個のカラム内に浮上させ、該カラムの上部の流出口から洗浄浮上性固体粒子を含む流出水を流出させるとともに、浮上性固体粒子浮上カラムに洗浄水を供給し、カラムの下部から剥離フロック含有水を排水することを特徴とする浮上性固体粒子の洗浄方法。
- 剥離フロックと浮上性固体粒子の両者を含む流入水の水量をQ1とし、洗浄水の水量をQ2とし、洗浄浮上性固体粒子を含む水の水量をQ3とし、剥離フロック含有水の水量をQ4とするとき、水量条件をQ2>Q3、かつQ4=Q1+Q2―Q3を満足するように設定することを特徴とする請求項1記載の浮上性固体粒子の洗浄方法。
- 前記洗浄水として、浮上分離処理水の一部又は被処理水の一部を使用することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の洗浄方法。
- 除去対象物質を含む被処理水に凝集フロックを形成せしめ、該凝集フロックを表面に付着させた浮上性固体粒子を含む被処理水を導入してフロック付着浮上性固体粒子を浮上分離する浮上分離槽と、浮上性固体粒子表面に付着したフロックを剥離する剥離装置とを設けた浮上分離装置において、剥離フロックと浮上性固体粒子の両者を含む流入水を流下させる下降流部と、前記流入水を下降流部の下端で反転させて浮上性固体粒子を含む流入水を上昇させる上昇流部とが隣接し、両部の下方にフロックを沈殿させる分離部が形成され、前記上昇流部の上部から洗浄水を供給して前記浮上性固体粒子を洗浄する構造からなる洗浄槽を有することを特徴とする浮上性固体粒子の洗浄装置。
- 前記洗浄槽がカラム部を仕切り板により下降流部と上向流部に区画され、下降流部の上部には剥離フロックと浮上性固体粒子の両者を含む流入水入口が、上向流部の頂部には洗浄水の入口が、上向流部の上部には洗浄浮上性固体粒子を含む流出水出口が、洗浄槽の下部には剥離フロック含有排水出口が、洗浄槽の底部には沈殿汚泥の排泥管が設けられていることを特徴とする請求項4記載の浮上性固体粒子の洗浄装置。
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JP2002188268A JP2004025116A (ja) | 2002-06-27 | 2002-06-27 | 浮上分離における浮上性固体粒子の洗浄方法及び装置 |
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JP2015017816A (ja) * | 2013-07-09 | 2015-01-29 | 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 | 水中浮遊物回収装置及び水中浮遊物回収方法 |
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2002
- 2002-06-27 JP JP2002188268A patent/JP2004025116A/ja active Pending
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