JP2004025112A - 中空糸膜モジュール及び濾過装置 - Google Patents

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河辺 大輔
Junzo Haji
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Abstract

【課題】濁質成分を含む水を濾過する濾過装置に適用される中空糸膜モジュールであって、耐久性能に一層優れた中空糸膜モジュールを提供するを提供する。また、中空糸膜モジュールが耐久性に優れ、保守管理の一層容易な濾過装置を提供する。
【解決手段】中空糸膜モジュール(3)は、濁質成分を含む水を濾過する濾過装置に適用されるモジュールであり、中空糸(31)がその伸長方向に直交する方向に多数配列されて成る1基以上の中空糸膜エレメント(30)を積層して構成される。そして、各中空糸膜エレメント(30)の中空糸配列面(31s)には、中空糸(31)の揺動を規制する網状体(32)が付設される。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中空糸膜モジュール及び濾過装置に関するものであり、詳しくは、濾過装置に適用される中空糸膜モジュールであって、耐久性能に優れた中空糸膜モジュール及び当該中空糸膜モジュールを使用した濾過装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知の通り、中空糸膜モジュールは、中空糸を多数束ねて構成された膜モジュールであり、例えば、河川水や湖沼水による飲料水、工業用水の製造、工場排水や生活排水の処理において原水の濾過を行う濾過装置に使用される。上記の様な濾過装置は、濾過操作により加圧型、吸引型に区別されるが、何れの方式においても、中空糸膜モジュールの利用により、広い膜面積が得られ、装置構成をコンパクトに纏めることが出来る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の中空糸膜モジュールは、多数の中空糸によって構成されるが、中空糸自体は、樹脂材料を紡糸して成る細管であるため、濾過装置内に配置して長期間使用した場合、流水による多方向からの外圧により、複雑に揺動して変形する結果、中空糸同士が絡み合い或いは損傷すると言う問題がある。特に、濾過装置内でのモジュールの洗浄操作において、洗浄水を吹き付ける場合には、中空糸の絡みや損傷の問題が一層顕著になる。
【0004】
本発明は、上記の実情に鑑みなされたものであり、その目的は、濁質成分を含む水を濾過する濾過装置に適用される中空糸膜モジュールであって、耐久性能に一層優れた中空糸膜モジュールを提供することにある。また、本発明の他の目的は、中空糸膜モジュールを使用した濾過装置であって、中空糸膜モジュールが耐久性に優れ、保守管理の一層容易な濾過装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するため、中空糸膜エレメントを1基以上積層して中空糸膜モジュールを構成すると共に、原水の流通を阻害することない特定の補強部材を各中空糸膜エレメントの表面に設けた。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、濁質成分を含む水を濾過する浸漬膜方式の濾過装置に適用される中空糸膜モジュールであって、中空糸がその伸長方向に直交する方向に多数配列されて成る1基以上の中空糸膜エレメントを積層して構成され、かつ、前記各中空糸膜エレメントの中空糸配列面には、中空糸の揺動を規制する網状体が付設されていることを特徴とする中空糸膜モジュールに存する。
【0007】
また、本発明の他の要旨は、上記の中空糸膜モジュールを容器内に備えた濾過装置であって、前記容器内の前記中空糸膜モジュールの近傍には、当該中空糸膜モジュールに洗浄水を吹き付ける洗浄水ノズルが配置されていることを特徴とする濾過装置に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る中空糸膜モジュールの構造を一部破断して示す斜視図である。図2は、中空糸膜モジュールの構成要素である中空糸膜エレメントの1つの内部構造を示す長手方向に直交する断面図である。図3は、本発明に係る濾過装置の内部構造を示す側面側から視た縦断面図である。図4は、図3におけるA−A線に沿って破断した縦断面図である。なお、以下の実施形態の説明においては、中空糸膜モジュールを「膜モジュール」と略記する。
【0009】
本発明の膜モジュールは、濁質成分を含む水を濾過する濾過装置に適用されるモジュールであり、図1に符号(3)で示す様に、中空糸(31)がその伸長方向に直交する方向に多数配列されて成る1基以上(図示したモジュールでは3基)の中空糸膜エレメント(30)を例えば上下に積層して構成される。
【0010】
周知の通り、中空糸(31)は、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン等の素材から成り、通常、凝固浴を利用した紡糸法によって製造される。そして、各中空糸膜エレメント(30)は、図1及び図2に示す様に、例えば、中空糸(31)を水平方向に多数配列し且つ上下に複数段積み重ねて構成される。
【0011】
各中空糸膜エレメント(30)において、中空糸(31)の直径、長さ及び本数は、原水の濁度や処理量によって必要とされる濾過面積を考慮して決定されるが、図2に示す様な1つの中空糸膜エレメント(30)は、例えば、外径が0.3〜3mm、長さが600〜2000mmの中空糸(31)を水平方向に5000〜70000本配列し且つ上下方向に1〜10段積層して構成されることにより、総膜面積を2.8〜3770mに設定される。
【0012】
また、図1に示す様に、各中空糸膜エレメント(30)の少なくとも一端(中空糸(31)の伸長方向の一端)には、中空糸(31)に透過させた水(濾過水)を集約する例えば箱状の集水部(33)が設けられる。すなわち、各中空糸膜エレメント(30)において、各中空糸(31)の一端は集水部(33)に接続される。そして、中空糸膜エレメント(30)の他端には、各中空糸(31)の他端を封止するボンディング材から成る封止部(34)が設けられる。なお、中空糸膜エレメント(30)は、集水部(33)を両端に備えていてもよい。
【0013】
更に、図1に示す様に、各中空糸膜エレメント(30)の集水部(33)には共通のヘッダー管(35)が取り付けられ、例えば3基積層された中空糸膜エレメント(30)の各集水部(33)に集約された水(濾過水)はヘッダー管(35)によって一括して取り出される様になされている。
【0014】
本発明の膜モジュール(3)においては、長期間の濾過操作、特に洗浄操作を伴う濾過操作に適用するにあたり、中空糸(31)の絡み及び破損を防止するため、各中空糸膜エレメント(30)の外側の中空糸配列面(中空糸(31)がその伸長方向に直交する方向に多数配列された図1中の符号(31s)で示す面)には、中空糸(31)の揺動を規制する補強用の網状体(32)が付設される。
【0015】
網状体(32)としては、中空糸(31)を支持し得る剛性と中空糸(31)を傷つけることない柔軟な表面とを備えたネット状の部材、典型的には、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂製ネットが使用される。網状体(32)は、その機能からすると、各中空糸膜エレメント(30)の間に介在すればよく、各中空糸膜エレメント(30)の一方の中空糸配列面(31s)だけに付設されてもよい。しかしながら、中空糸膜エレメント(30)の仕様を統一し且つ一層確実に中空糸(31)を保護するため、網状体(32)は、各中空糸膜エレメント(30)の両方の中空糸配列面(31s)(図2参照)に密接した状態に配置されるのが好ましい。
【0016】
次に、上記の膜モジュール(3)を利用した本発明の濾過装置について説明する。濾過装置としては、濾過操作により加圧型、吸引型の装置が挙げられるが、本発明の濾過装置は、上記の膜モジュール(3)を容器内に備えた濾過装置である限り何れの方式でもよい。以下、一例として、濾過効率の高い加圧型の濾過装置について図3及び図4を参照して説明する。
【0017】
本発明の濾過装置は、高濁質の水を多量に濾過するのに適した改良型の装置であり、図3に示す様に、概略、濁質成分を含む原水および凝集剤が供給される密閉型の容器(1)と、当該容器内に配置された上記の膜モジュール(3)とを備え、容器(1)内を加圧状態とすることにより膜モジュール(3)によって原水を濾過する装置である。
【0018】
容器(1)は、図3及び図4に示す様に、必要な部材を効率的に収容し且つ耐圧強度を高めるため、例えば、外形を略直方体に形成され且つ天井部および底部の一部を曲面に形成される。容器(1)の内容積は、処理量を勘案して決定されるが、一般的には1〜200m程度に設計される。容器(1)に供給される原水としては、河川水、湖沼水、工場排水、生活排水などが挙げられ、また、凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、塩化第二鉄などの公知の凝集剤が挙げられる。
【0019】
容器(1)内の底部近傍には、多数の開口(穴)を備えた散水管(2)が配置され、処理すべき原水は、原水供給管(71)及び散水管(2)を通じて容器(1)内に分散供給される様になされている。また、図示しないが、凝集剤は、原水供給管(71)の途中に供給するか、または、別途設けられた混合槽において原水に予め混合するか、あるいは、容器(1)に直接供給する様になされている。
【0020】
上記の膜モジュール(3)は、容器(1)内の上部の同一高さの位置に例えば4台均等配置される。膜モジュール(3)は、中空糸の束が広い膜面積を有しているため、装置をコンパクトに纏めることが出来る点で有利である。そして、図3及び図4に示す様に、膜モジュール(3)で濾過された水を装置外に取り出すため、上記のヘッダー管(35)は濾過水取出管(72)に接続される。
【0021】
本発明の濾過装置においては、図3及び図4に示す様に、上記の膜モジュール(3)が容器(1)内の上部に配置され、容器(1)内の膜モジュール(3)の下方は濁質成分の凝集沈殿領域(4)とされる。すなわち、容器(1)においては、膜モジュール(3)の下方の凝集沈殿領域(4)に濁質成分を沈降させる様になされている。そして、凝集沈殿領域(4)には、凝集濁質成分を容器(1)の底部側へ案内する案内板(5)が設けられる。
【0022】
案内板(5)は、凝集沈殿領域(4)において凝集成分の沈降効果を促進させる機能を有する。案内板(5)は、凝集物の捕捉効果を高めるため、複数枚、例えば5〜15枚程度配置され、しかも、これら案内板(5)は、鉛直方向から例えば10〜60度傾斜した状態で設けられる。容器(1)においては、上記の案内板(5)の設置により、凝集沈殿領域(4)にて凝集した濁質成分を効率的に底部に沈殿させることが出来る。そして、底部近傍に設けられた汚泥排出管(73)によって濁質成分(沈殿物)を排出する様になされている。
【0023】
また、本発明の濾過装置においては、上記の膜モジュール(3)の濾過機能を維持するため、膜モジュール(3)の各中空糸(31)の表面を洗浄する機構として、図3及び図4に示す様に、膜モジュール(3)の近傍には、当該膜モジュールに洗浄水を吹き付ける洗浄ノズル(6)が配置される。更に、膜モジュール(3)に対する洗浄効果を高めるため、上記の洗浄ノズル(6)は、各中空糸膜エレメント(30)の中空糸配列面(30s)に略直交して洗浄水を吹き付ける様に構成されるのが好ましい。
【0024】
具体的には、洗浄ノズル(6)としては、スプレーノズル等の噴射ノズルを配管上に複数個一列に配置して成る複数組のノズル、または、複数の配管にそれぞれ複数の開口(小孔)を一列に配置して成る管状ノズルが使用される。そして、上記の様に、中空糸膜エレメント(30)の中空糸配列面(31s)が水平となる様に配置された各膜モジュール(3)に対し、洗浄ノズル(6)は、膜モジュール(3)の下方、すなわち、凝集沈殿領域(4)の上部に略水平に配置され、上方に向けて洗浄水を噴射する様になされている。上記の様に、膜モジュール(3)の中空糸配列面(30s)に略直交して洗浄水を吹き付けた場合には、膜モジュール(3)の中空糸(31)に一層高い流速で洗浄水を接触させることが出来るため、中空糸(31)の表面に付着した濁質成分を強制的に剥ぎ取る効果に優れている。
【0025】
上記の洗浄ノズル(6)には、洗浄水供給配管(74)を通じて洗浄水が供給される様になされている。また、容器(1)の例えば上部には、膜モジュール(3)の逆洗(逆圧水洗浄)及び洗浄ノズル(6)による外部洗浄の際、洗浄水に相当する水を排出するための原水排出管(75)が設けられる。なお、洗浄ノズル(6)による膜モジュール(3)の外部洗浄では、通常、洗浄水として原水が使用される。
【0026】
更に、本発明の濾過装置においては、膜モジュール(3)に対する洗浄効果を高めるため、曝気洗浄が可能に構成されているのが好ましい。曝気洗浄を行う機構としては、洗浄ノズル(6)とは別個に曝気管(曝気用ノズル)を容器(1)に配置することも出来るが、装置構成を簡素化するため、上記の洗浄ノズル(6)を曝気管として共用してもよい。曝気管として洗浄ノズル(6)を共用する場合には、コンプレッサーから伸長された空気配管(図示省略)が洗浄水供給配管(74)に接続され、洗浄ノズル(6)から空気を放出する様に構成される。
【0027】
なお、図示しないが、容器(1)内において、上記の散水管(2)、膜モジュール(3)、案内板(5)、洗浄ノズル(6)等の部材は、容器(1)の内壁に付設された適宜の支持具によって固定される。
【0028】
続いて、本発明の濾過装置の運転方法と共に、本発明の膜モジュール(3)における機能について説明する。本発明の濾過装置は、例えば、処理すべき原水を貯留し且つ比較的大きな濁質成分を沈降分離する原水貯槽の後段に設置され、また、本発明の濾過装置の後段には、得られた濾過水を貯留する濾過水貯槽が設置される。
【0029】
先ず、濾過操作においては、原水供給管(71)、濾過水取出管(72)の各弁を開放し、汚泥排出管(73)、原水排出管(75)、洗浄水供給配管(74)の各弁を閉止する。そして、送液ポンプ(図示省略)を介し、上記の原水貯槽から原水供給管(71)、散水管(2)を通じて加圧状態で原水を供給する。また、その際、例えば、原水供給管(71)を通じて凝集剤を供給することにより、原水中に凝集剤を混合する。なお、原水の加圧供給により、容器(1)内の圧力は例えば0.02〜0.3MPa(ゲージ圧)に設定する。
【0030】
容器(1)内において、凝集沈殿領域(4)に配置された案内板(5)は、散水管(2)から供給される原水の流れに抵抗を与え、原水中の凝集成分を更に成長させ、当該案内板に沿って凝集成分を容器(1)の底部へ沈降させる(図3参照)。一方、容器(1)上部の濁質成分の少ない領域に配置された膜モジュール(3)は、濁質成分の含まれない水だけを水圧により選択的に透過させる。すなわち、各膜モジュール(3)は、中空糸膜エレメント(30)の中空糸(31)によって原水中の水と濁質成分とを分離濾過し、集水部(33)、ヘッダー管(35)を介して濾過水を濾過水取出管(72)に排出する。従って、濁質成分の含まれない水(濾過水)を濾過水取出管(72)から取り出すことが出来る。
【0031】
次いで、一定量の濾過処理を行った後は、膜モジュール(3)の洗浄を行う。膜モジュール(3)の洗浄方法としては、洗浄水による膜モジュール(3)の表面洗浄(フラッシング)、空気を利用した膜モジュール(3)の曝気洗浄(エアレーション)、洗浄水と空気による膜モジュール(3)の表面洗浄、ならびに、膜モジュール(3)に対する逆洗が挙げられる。これらの洗浄方法は、何れを実施してもよく、また、如何なる組み合わせで実施してもよい。
【0032】
洗浄水による膜モジュール(3)の表面洗浄においては、原水供給管(71)、濾過水取出管(72)、汚泥排出管(73)の各弁を閉止し、洗浄水供給配管(74)、原水排出管(75)の各弁を開放する。そして、洗浄水供給配管(74)を通じ、上記の原水貯槽の原水(原水供給管(71)から分岐して供給される原水)を洗浄ノズル(6)に供給し、洗浄ノズル(6)から洗浄水としての原水を膜モジュール(3)に吹き付ける。
【0033】
その際、洗浄ノズル(6)が中空糸膜エレメント(30)の中空糸配列面(31s)に略直交して各膜モジュール(3)に洗浄水を吹き付ける様に配置されている場合には、各中空糸(31)に対してより大きな衝撃を与えることが出来るため、中空糸(31)の表面に強固に付着した濁質成分をより効果的に除去できる。
【0034】
そして、各中空糸膜エレメント(30)の中空糸配列面(31s)に付設された網状体(32)は、上記の様に洗浄水による表面洗浄を行った際、中空糸(31)の揺動を規制するため、本発明の膜モジュール(3)においては、高い圧力で洗浄水を吹き付けた場合でも中空糸(31)の変形を防止でき、中空糸(31)の絡みや損傷を防止できる。
【0035】
また、膜モジュール(3)の曝気洗浄においては、原水供給管(71)、濾過水取出管(72)、汚泥排出管(73)の各弁を閉止し、洗浄水供給配管(74)、原水排出管(75)の各弁を開放する。そして、コンプレッサーから洗浄水供給配管(74)に空気を供給し、洗浄ノズル(6)から空気を放出する。斯かる曝気洗浄により、膜モジュール(3)の表面に付着した比較的大きな濁質成分を除去すると共に、強固に付着した濁質成分の付着力を低下させることが出来る。
【0036】
更に、洗浄水と空気を使用した膜モジュール(3)の表面洗浄においては、原水供給管(71)、濾過水取出管(72)、汚泥排出管(73)の各弁を閉止し、洗浄水供給配管(74)、原水排出管(75)の各弁を開放する。そして、洗浄水供給配管(74)を通じ、上記の原水貯槽の原水(原水供給管(71)から分岐して供給される原水)を洗浄ノズル(6)に供給すると共に、コンプレッサーから洗浄水供給配管(74)に空気を供給し、洗浄ノズル(6)から洗浄水としての原水と空気とを同時に噴射して膜モジュール(3)に吹き付ける。上記の様な洗浄水と空気による洗浄では、気泡による曝気効果と洗浄水による洗い流し効果とを同時に発揮させることが出来る。
【0037】
また、膜モジュール(3)の逆洗においては、原水供給管(71)、汚泥排出管(73)、洗浄水供給配管(74)の各弁を閉止し、濾過水取出管(72)、原水排出管(75)の各弁を開放する。そして、送液ポンプ(図示省略)を介し、上記の濾過水貯槽に貯留された水(濾過水)を濾過水取出管(72)から膜モジュール(3)へ逆に供給し、例えば上記の様な中空糸(31)の内部から外部へ清水(濾過水)を透過させる。斯かる操作により、微細な濁質成分で閉塞した膜を再生することが出来る。
【0038】
他方、容器(1)の底部に沈殿した濁質成分(凝集物)は、容器(1)底部近傍の汚泥排出管(73)の弁を開放することにより、凝集沈殿領域(4)に滞留する濁質成分を多く含む原水と共に排出することが出来る。容器(1)内の濁質成分の排出は、容器(1)の底部への堆積状態などに応じて適宜のタイミングで行うことが出来るが、容器(1)内での濁質成分の拡散および膜モジュール(3)への付着をなくすため、上記の様な洗浄操作の直前に行うのが好ましい。
【0039】
上記の様に、本発明の膜モジュール(3)は、各中空糸膜エレメント(30)の外側の中空糸配列面(31s)に網状体(32)が付設されており、中空糸(31)の揺動を規制できるため、長期間に渡って濾過、洗浄を繰り返しても、中空糸(31)の絡みや損傷なく、その結果、より優れた耐久性を発揮することが出来る。
【0040】
また、上記の膜モジュール(3)を使用した本発明の濾過装置は、洗浄ノズル(6)によって膜モジュール(3)を洗浄でき、しかも、膜モジュール(3)が上記の様に優れた耐久性を発揮できるため、膜モジュール(3)に要する保守管理を軽減でき、運転コストを一層低減することが出来る。そして、洗浄ノズル(6)が各中空糸膜エレメント(30)の中空糸配列面(31s)に略直交して膜モジュール(3)に洗浄水を吹き付ける様に構成されていることにより、中空糸(31)の表面に付着した濁質成分をより効果的に除去できるため、膜モジュール(3)の高い濾過性能を常に維持することが出来る。
【0041】
更に、上述の本発明の濾過装置においては、容器(1)内において膜モジュール(3)の下方の領域を凝集沈殿領域(4)とされ、そして、膜モジュール(3)の配置領域を濁質成分の少ない領域に構成されている。従って、本発明の濾過装置においては、凝集沈殿領域(4)にて濁質成分の除去機能を発揮させることが出来、しかも、膜モジュール(3)における濾過機能の早期低下を防止でき且つ濾過効率を一層高めることが出来る。更に、濁質成分の沈降を促進する案内板(5)が凝集沈殿領域(4)に配置されているため、凝集沈殿領域(4)において濁質成分を多く滞留させ且つ効率的に凝集沈殿させることが出来る。
【0042】
換言すれば、上記の濾過装置によれば、濁質成分の沈殿除去と濾過とを同時に行うことが出来、かつ、加圧方式で大きな膜透過流束を得ることが出来るため、高濁質の水を多量に処理することが出来、しかも、従来の凝集沈殿槽を設置する必要がなく、システム全体の装置構成をより簡素化でき、設置面積も低減することが出来、一層効率的な処理が可能である。
【0043】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明の中空糸膜モジュールによれば、各中空糸膜エレメントの中空糸配列面に網状体が付設されており、中空糸の揺動を規制できるため、長期間に渡って濾過、洗浄を繰り返しても、中空糸の絡みや損傷なく、その結果、より優れた耐久性を発揮することが出来る。
【0044】
また、本発明の濾過装置によれば、洗浄ノズルによって中空糸膜モジュールを洗浄でき、しかも、中空糸膜モジュールが上記の様に優れた耐久性を発揮できるため、中空糸膜モジュールに要する保守管理を軽減でき、運転コストを一層低減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る中空糸膜モジュールの構造を一部破断して示す斜視図である。
【図2】中空糸膜モジュールの構成要素である中空糸膜エレメントの1つの内部構造を示す長手方向に直交する断面図である。
【図3】本発明に係る濾過装置の内部構造を示す側面側から視た縦断面図である。
【図4】図3におけるA−A線に沿って破断した縦断面図である。
【符号の説明】
1  :容器
2  :散水管
3  :中空糸膜モジュール
30 :中空糸膜エレメント
31 :中空糸
31s:中空糸配列面
32 :網状体
33 :集水部
34 :封止部
35 :ヘッダー管
4  :凝集沈殿領域
5  :案内板
6  :洗浄ノズル
71 :原水供給管
72 :濾過水取出管
73 :汚泥排出管
74 :洗浄水供給配管
75 :原水排出管

Claims (3)

  1. 濁質成分を含む水を濾過する浸漬膜方式の濾過装置に適用される中空糸膜モジュールであって、中空糸がその伸長方向に直交する方向に多数配列されて成る1基以上の中空糸膜エレメントを積層して構成され、かつ、前記各中空糸膜エレメントの中空糸配列面には、中空糸の揺動を規制する網状体が付設されていることを特徴とする中空糸膜モジュール。
  2. 請求項1に記載の中空糸膜モジュールを容器内に備えた濾過装置であって、前記容器内の前記中空糸膜モジュールの近傍には、当該中空糸膜モジュールに洗浄水を吹き付ける洗浄水ノズルが配置されていることを特徴とする濾過装置。
  3. 洗浄水ノズルは、各中空糸膜エレメントの中空糸配列面に略直交して洗浄水を吹き付ける様に構成されている請求項2に記載の濾過装置。
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