JP2004025111A - 加圧型浸漬膜濾過装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高濁質の水を多量に処理でき、しかも、濾過システムを構成する場合の装置ユニットの数を低減でき、一層効率的な処理が可能な加圧型浸漬膜濾過装置を提供する。
【解決手段】加圧型浸漬膜濾過装置は、濁質成分を含む原水および凝集剤が供給される密閉型の容器(1)と、当該容器内に配置された浸漬方式の膜モジュール(3)とを備えており、膜モジュール(3)は容器(1)内の上部に配置され、容器(1)内の膜モジュール(3)の下方は濁質成分の凝集沈殿領域(4)とされる。また、凝集沈殿領域(4)には凝集濁質成分を容器(1)の底部側へ案内する案内板(5)が設けられる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加圧型浸漬膜濾過装置に関するものであり、詳しくは、密閉型の容器内に浸漬方式の膜モジュールを配置し、容器内を加圧状態とすることにより、濁質成分が含まれる原水を膜モジュールによって濾過する加圧型浸漬膜濾過装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
河川水や湖沼水による飲料水、工業用水の製造、工場排水や生活排水の処理などには各種の膜濾過装置が使用される。膜濾過装置のうち、加圧型膜濾過装置は、処理すべき原水が供給される密閉型の容器内に膜モジュールを配置し、容器内を加圧状態とすることにより膜モジュールによって原水を濾過する装置であり、容器内に高い圧力を与えて膜に水を透過させるため、膜透過流束が大きく、多量の水処理に適している。一方、吸引型の浸漬膜濾過装置は、容器内に浸漬方式の膜モジュールを配置し、膜モジュールの出口側を減圧することにより原水を濾過する装置であり、濁質成分による膜の閉塞が少ないため、前処理を行うことなく、高濁質の水を処理できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、加圧型膜濾過装置は、大量の処理が可能な反面、濁質成分によって膜が閉塞し易いため、長時間に渡って連続稼働させるには、装置の前段に前処理工程として凝集沈殿等を設置し、出来る限り多くの濁質成分を除去する必要がある。換言すれば、加圧型膜濾過装置を使用した濾過システムにおいては、装置ユニットの数が多くなるため、システム全体の装置構成が複雑化し且つ大きな設置面積を必要とされる。これに対し、浸漬膜濾過装置は、凝集沈殿槽を設置することなく高濁質の水を処理できる反面、膜透過流束が小さく、処理量が少ないと言う問題がある。
【0004】
本発明は、上記の加圧型膜濾過装置と浸漬膜濾過装置の各問題点を解決すべく種々検討の結果なされたものであり、その目的は、高濁質の水を多量に処理でき、しかも、濾過システムを構成する場合の装置ユニットの数を低減でき、一層効率的な処理が可能な加圧型浸漬膜濾過装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するため、加圧型の膜濾過装置において、一つの容器内を2つの領域、すなわち、濁質成分が滞留し且つ沈殿する凝集沈殿領域と濁質成分の少ない領域とに区分することにより、凝集沈殿領域において濁質成分を凝集沈殿させ、そして、濁質成分の少ない領域に膜モジュールを配置することにより、膜モジュールにおける濾過機能の早期低下を防止して効率的な濾過を行う様にした。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、濁質成分を含む原水および凝集剤が供給される密閉型の容器と、当該容器内に配置された浸漬方式の膜モジュールとを備え、前記容器内を加圧状態とすることにより前記膜モジュールによって原水を濾過する加圧型浸漬膜濾過装置であって、前記膜モジュールは前記容器内の上部に配置され、前記容器内の前記膜モジュールの下方は濁質成分の凝集沈殿領域とされていることを特徴とする加圧型浸漬膜濾過装置に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る加圧型浸漬膜濾過装置の内部構造を示す側面側から視た縦断面図である。図2は、図1におけるA−A線に沿って破断した縦断面図である。図3は、加圧型浸漬膜濾過装置に適用される膜モジュールの一例としての中空糸膜モジュールを示す斜視図である。図4は、中空糸膜モジュールの構成要素である中空糸膜エレメントの1つの内部構造を示す長手方向に直交する断面図である。なお、以下の実施形態の説明においては、加圧型浸漬膜濾過装置を「濾過装置」と略記する。
【0008】
本発明の濾過装置は、高濁質の水を多量に濾過するのに適した装置であり、図1に示す様に、概略、濁質成分を含む原水および凝集剤が供給される密閉型の容器(1)と、当該容器内に配置された浸漬方式の膜モジュール(3)とを備え、容器(1)内を加圧状態とすることにより膜モジュール(3)によって原水を濾過する加圧型の装置である。
【0009】
容器(1)は、図1及び図2に示す様に、必要な部材を効率的に収容し且つ耐圧強度を高めるため、例えば、外形を略直方体に形成され且つ天井部および底部の一部を曲面に形成される。容器(1)の内容積は、処理量を勘案して決定されるが、一般的には1〜200m程度に設計される。容器(1)に供給される原水としては、河川水、湖沼水、工場排水、生活排水などが挙げられ、また、凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、塩化第二鉄などの公知の凝集剤が挙げられる。
【0010】
容器(1)内の底部近傍には、多数の開口(穴)を備えた散水管(2)が配置され、処理すべき原水は、原水供給管(71)及び散水管(2)を通じて容器(1)内に分散供給される様になされている。また、図示しないが、凝集剤は、原水供給管(71)の途中に供給するか、または、別途設けられた混合槽において原水に予め混合するか、あるいは、容器(1)に直接供給する様になされている。
【0011】
膜モジュール(3)としては、浸漬方式の膜モジュールである限り、平膜型、管型、モノリス型、スパイラル型などの各種の膜モジュールを使用可能であるが、装置構成を簡素化し且つ高い濾過能力を得る観点からは、中空糸を多数束ねて成る中空糸膜モジュールが好適である。周知の通り、中空糸膜モジュールの中空糸は、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン等の素材から成り、通常、凝固浴を利用した紡糸法によって製造される。中空糸は、装置をコンパクトに纏めることが出来且つ広い膜面積が得られる点で有利である。
【0012】
図1及び図2に例示する膜モジュール(3)は中空糸膜モジュールであり、斯かる中空糸膜モジュールは、容器(1)内の上部の同一高さの位置に例えば4台均等配置される(以下の説明においては、適宜、中空糸膜モジュールを符号(3)で示す)。上記の各中空糸膜モジュール(3)は、図3に示す様に、中空糸(31)がその伸長方向に直交する方向に多数配列されて成る1基以上(図示したモジュールでは3基)の中空糸膜エレメント(30)を例えば上下に積層して構成される。
【0013】
各中空糸膜エレメント(30)は、図4に示す様に、例えば、中空糸(31)を水平方向に多数配列し且つ上下に複数段積み重ねて構成される。また、図3に示す様に、各中空糸膜エレメント(30)の少なくとも一端(中空糸(31)の伸長方向の一端)には、中空糸(31)に透過させた水(濾過水)を集約する例えば箱状の集水部(33)が設けられる。すなわち、各中空糸(31)の一端は集水部(33)に接続される。そして、中空糸膜エレメント(30)の他端には、各中空糸(31)の他端を封止するボンディング材から成る封止部(34)が設けられる。なお、中空糸膜エレメントとしては、両端に集水部が設けられたものでもよい。
【0014】
更に、図3に示す様に、各中空糸膜エレメント(30)の集水部(33)には共通のヘッダー管(35)が取り付けられ、中空糸膜エレメント(30)が3基積層された1つの中空糸膜モジュール(3)においては各集水部(33)に集約された水(濾過水)をヘッダー管(35)によって一括して取り出す様になされている。そして、図1及び図2に示す様に、中空糸膜モジュール(3)で濾過された水を装置外に取り出すため、上記のヘッダー管(35)は濾過水取出管(72)に接続される。
【0015】
なお、各中空糸膜モジュール(3)において、各中空糸膜エレメント(30)の中空糸(31)の直径、長さ及び本数は、原水の濁度や処理量によって必要とされる濾過面積を考慮して決定されるが、例えば、1つの中空糸膜エレメント(30)は、外径が0.3〜3mm、長さが600〜2000mmの中空糸(31)を5000〜20000本束ねて構成され、1つの中空糸膜エレメント(30)の膜面積は2.8〜377mに設定される。
【0016】
また、本発明の濾過装置においては、洗浄水によって中空糸膜モジュール(3)を洗浄するにあたり、中空糸(31)の絡み及び破損を防止するため、各中空糸膜エレメント(30)の外側の中空糸配列面(中空糸(31)がその伸長方向に直交する方向に多数配列された図3中の符号(31s)で示す面)には、中空糸(31)の揺動を規制する補強用の網状体(32)が付設される。
【0017】
網状体(32)としては、中空糸(31)を支持し得る剛性と中空糸(31)を傷つけることない柔軟な表面とを備えたネット状の部材、典型的には、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂製ネットが使用される。網状体(32)は、その機能からすると、各中空糸膜エレメント(30)の間に介在すればよく、各中空糸膜エレメント(30)の一方の中空糸配列面(31s)だけに付設されてもよい。しかしながら、中空糸膜エレメント(30)の規格を統一し且つ一層確実に中空糸(31)を保護するため、網状体(32)は、各中空糸膜エレメント(30)の両方の中空糸配列面(31s)(図4参照)に密接した状態に配置されるのが好ましい。
【0018】
本発明の濾過装置においては、図1及び図2に示す様に、上記の中空糸膜モジュールの様な膜モジュール(3)が容器(1)内の上部に配置され、容器(1)内の膜モジュール(3)の下方は濁質成分の凝集沈殿領域(4)とされる。すなわち、容器(1)においては、膜モジュール(3)の下方の凝集沈殿領域(4)に濁質成分を沈降させる様になされている。そして、凝集沈殿領域(4)には、凝集濁質成分を容器(1)の底部側へ案内する案内板(5)が設けられる。
【0019】
案内板(5)は、凝集沈殿領域(4)において凝集成分の沈降効果を促進させる機能を有する。案内板(5)は、凝集物の捕捉効果を高めるため、複数枚、例えば5〜15枚程度配置され、しかも、これら案内板(5)は、鉛直方向から例えば10〜60度傾斜した状態で設けられる。容器(1)においては、上記の案内板(5)の設置により、凝集沈殿領域(4)にて凝集した濁質成分を効率的に底部に沈殿させることが出来る。そして、底部近傍に設けられた汚泥排出管(73)によって濁質成分(沈殿物)を排出する様になされている。
【0020】
また、本発明の濾過装置においては、上記の様な中空糸膜モジュール(3)の濾過機能を維持するため、中空糸膜モジュール(3)の各中空糸(31)の表面を洗浄する機構として、図1及び図2に示す様に、中空糸膜モジュール(3)の近傍には、各中空糸膜エレメント(30)の中空糸配列面(31s)に略直交して洗浄水を吹き付ける洗浄ノズル(6)が配置される。
【0021】
具体的には、洗浄ノズル(6)としては、スプレーノズル等の噴射ノズルを配管上に複数個一列に配置して成る複数組のノズル、または、複数の配管にそれぞれ複数の開口(小孔)を一列に配置して成る管状ノズルが使用される。そして、上記の様に、中空糸膜エレメント(30)の中空糸配列面(31s)が水平となる様に配置された各中空糸膜モジュール(3)に対し、洗浄ノズル(6)は、中空糸膜モジュール(3)の下方、すなわち、容器(1)の中間部(凝集沈殿領域(4)の上部)に略水平に配置される。洗浄ノズル(6)は、一層高い流速で洗浄水を接触させることが出来るため、中空糸(31)の表面に付着した濁質成分を強制的に剥ぎ取る効果に優れている。
【0022】
上記の洗浄ノズル(6)には、洗浄水供給配管(74)を通じて洗浄水が供給される様になされている。また、容器(1)の例えば上部には、中空糸膜モジュール(3)の逆洗(逆圧水洗浄)及び洗浄ノズル(6)による外部洗浄の際、洗浄水に相当する水を排出するための原水排出管(75)が設けられる。なお、洗浄ノズル(6)による膜モジュール(3)の外部洗浄では、通常、洗浄水として原水が使用される。
【0023】
更に、本発明の濾過装置においては、中空糸膜モジュール(3)に対する洗浄効果を高めるため、曝気洗浄が可能に構成されているのが好ましい。曝気洗浄を行う機構としては、洗浄ノズル(6)とは別個に曝気管(曝気用ノズル)を容器(1)に配置することも出来るが、装置構成を簡素化するため、上記の洗浄ノズル(6)を曝気管として共用してもよい。曝気管として洗浄ノズル(6)を共用する場合には、コンプレッサーから伸長された空気配管(図示省略)が洗浄水供給配管(74)に接続され、洗浄ノズル(6)から空気を放出する様に構成される。
【0024】
なお、図示しないが、容器(1)内において、上記の散水管(2)、膜モジュール(3)、案内板(5)、洗浄ノズル(6)等の部材は、容器(1)の内壁に付設された適宜の支持具によって固定される。
【0025】
次に、本発明の濾過装置の運転方法および機能について説明する。本発明の濾過装置は、例えば、処理すべき原水を貯留し且つ比較的大きな濁質成分を沈降分離する原水貯槽の後段に設置され、また、本発明の濾過装置の後段には、得られた濾過水を貯留する濾過水貯槽が設置される。
【0026】
先ず、濾過操作について説明する。濾過操作においては、原水供給管(71)、濾過水取出管(72)の各弁を開放し、汚泥排出管(73)、原水排出管(75)、洗浄水供給配管(74)の各弁を閉止する。そして、送液ポンプ(図示省略)を介し、上記の原水貯槽から原水供給管(71)、散水管(2)を通じて加圧状態で原水を供給する。また、その際、例えば、原水供給管(71)を通じて凝集剤を供給することにより、原水中に凝集剤を混合する。なお、原水の加圧供給により、容器(1)内の圧力は例えば0.02〜0.3MPa(ゲージ圧)に設定する。
【0027】
容器(1)内において、凝集沈殿領域(4)に配置された案内板(5)は、凝集成分の沈降効果を促進し、当該案内板に沿って凝集成分を容器(1)の底部へ沈降させる(図1参照)。一方、容器(1)の上部、すなわち、濁質成分の少ない領域に配置された膜モジュール(3)は、濁質成分の含まれない水だけを水圧により選択的に透過させる。その結果、膜モジュール(3)によって原水を濾過し、濁質成分の含まれない水(濾過水)を濾過水取出管(72)から取り出すことが出来る。
【0028】
なお、膜モジュール(3)として中空糸膜モジュールを使用した場合には、各モジュールは、中空糸膜エレメント(30)の中空糸(31)によって原水中の水と濁質成分とを分離濾過し、集水部(33)、ヘッダー管(35)を介して濾過水を濾過水取出管(72)に排出する。
【0029】
次に、膜モジュール(3)の洗浄操作について説明する。膜モジュール(3)の洗浄方法としては、洗浄水による膜モジュール(3)の表面洗浄(フラッシング)、空気を利用した膜モジュール(3)の曝気洗浄(エアレーション)、洗浄水と空気による膜モジュール(3)の表面洗浄、ならびに、膜モジュール(3)に対する逆洗が挙げられる。これらの洗浄方法は、上記の濾過操作を繰り返す間に何れを実施してもよく、また、如何なる組み合わせで実施してもよい。
【0030】
洗浄水による膜モジュール(3)の表面洗浄においては、原水供給管(71)、濾過水取出管(72)、汚泥排出管(73)の各弁を閉止し、洗浄水供給配管(74)、原水排出管(75)の各弁を開放する。そして、洗浄水供給配管(74)を通じ、上記の原水貯槽の原水(原水供給管(71)から分岐して供給される原水)を洗浄ノズル(6)に供給し、洗浄ノズル(6)から洗浄水としての原水を膜モジュール(3)に吹き付ける。
【0031】
その際、膜モジュール(3)が中空糸膜モジュールであって、洗浄ノズル(6)が各中空糸膜エレメント(30)の中空糸配列面(31s)に略直交して洗浄水を吹き付ける様に配置されている場合には、各中空糸(31)に対してより大きな衝撃を与えることが出来るため、中空糸(31)の表面に強固に付着した濁質成分をより効果的に除去できる。
【0032】
そして、各中空糸膜エレメント(30)の中空糸配列面(31s)に網状体(32)が付設されている場合には、上記の様に洗浄水による表面洗浄を行った際、中空糸(31)の揺動を規制することが出来るため、中空糸(31)の絡み及び損傷を防止でき、中空糸膜モジュール(3)の耐久性を高めることが出来る。
【0033】
また、膜モジュール(3)の曝気洗浄においては、原水供給管(71)、濾過水取出管(72)、汚泥排出管(73)の各弁を閉止し、洗浄水供給配管(74)、原水排出管(75)の各弁を開放する。そして、コンプレッサーから洗浄水供給配管(74)に空気を供給し、洗浄ノズル(6)から空気を放出する。斯かる曝気洗浄により、膜モジュール(3)の表面に付着した比較的大きな濁質成分を除去すると共に、強固に付着した濁質成分の付着力を低下させることが出来る。
【0034】
更に、洗浄水と空気を使用した膜モジュール(3)の表面洗浄においては、原水供給管(71)、濾過水取出管(72)、汚泥排出管(73)の各弁を閉止し、洗浄水供給配管(74)、原水排出管(75)の各弁を開放する。そして、洗浄水供給配管(74)を通じ、上記の原水貯槽の原水(原水供給管(71)から分岐して供給される原水)を洗浄ノズル(6)に供給すると共に、コンプレッサーから洗浄水供給配管(74)に空気を供給し、洗浄ノズル(6)から洗浄水としての原水と空気とを同時に噴射して膜モジュール(3)に吹き付ける。上記の様な洗浄水と空気による洗浄では、気泡による曝気効果と洗浄水による洗い流し効果とを同時に発揮させることが出来る。
【0035】
また、膜モジュール(3)の逆洗においては、原水供給管(71)、汚泥排出管(73)、洗浄水供給配管(74)の各弁を閉止し、濾過水取出管(72)、原水排出管(75)の各弁を開放する。そして、送液ポンプ(図示省略)を介し、上記の濾過水貯槽に貯留された水(濾過水)を濾過水取出管(72)から膜モジュール(3)へ逆に供給し、例えば上記の様な中空糸(31)の内部から外部へ清水(濾過水)を透過させる。斯かる操作により、微細な濁質成分で閉塞した膜を再生することが出来る。
【0036】
他方、容器(1)の底部に沈殿した濁質成分(凝集物)は、容器(1)底部近傍の汚泥排出管(73)の弁を開放することにより、凝集沈殿領域(4)に滞留する濁質成分を多く含む原水と共に排出することが出来る。容器(1)内の濁質成分の排出は、容器(1)の底部への堆積状態などに応じて適宜のタイミングで行うことが出来るが、容器(1)内での濁質成分の拡散および膜モジュール(3)への付着をなくすため、上記の様な洗浄操作の直前に行うのが好ましい。
【0037】
上記の様に、本発明の濾過装置は、容器(1)内において膜モジュール(3)の下方の領域を凝集沈殿領域(4)とされ、そして、膜モジュール(3)の配置領域を濁質成分の少ない領域に構成されている。従って、本発明の濾過装置においては、凝集沈殿領域(4)にて濁質成分の除去機能を発揮させることが出来、しかも、膜モジュール(3)における濾過機能の早期低下を防止でき且つ濾過効率を一層高めることが出来る。更に、濁質成分の沈降を促進する案内板(5)が凝集沈殿領域(4)に配置されているため、凝集沈殿領域(4)において濁質成分を多く滞留させ且つ効率的に凝集沈殿させることが出来る。
【0038】
換言すれば、本発明によれば、濁質成分の沈殿除去と濾過とを同時に行うことが出来、かつ、加圧方式で大きな膜透過流束を得ることが出来るため、高濁質の水を多量に処理することが出来、しかも、従来の凝集沈殿槽を設置する必要がなく、システム全体の装置構成をより簡素化でき、設置面積も低減することが出来、一層効率的な処理が可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明の加圧型浸漬膜濾過装置によれば、濁質成分の沈殿除去と濾過とを同時に行うことが出来、かつ、加圧方式で大きな膜透過流束を得ることが出来るため、高濁質の水を多量に処理することが出来、しかも、凝集沈殿槽を設置する必要がなく、システム全体の装置構成をより簡素化でき、設置面積も低減することが出来、一層効率的な処理が可能である。また、案内板が凝集沈殿領域に配置されることにより、凝集沈殿領域において濁質成分を多く滞留させ且つ効率的に凝集沈殿させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る加圧型浸漬膜濾過装置の内部構造を示す側面側から視た縦断面図である。
【図2】図1におけるA−A線に沿って破断した縦断面図である。
【図3】加圧型浸漬膜濾過装置に適用される膜モジュールの一例としての中空糸膜モジュールを示す斜視図である。
【図4】中空糸膜モジュールの構成要素である中空糸膜エレメントの1つの内部構造を示す長手方向に直交する断面図である。
【符号の説明】
1  :容器
2  :散水管
3  :膜モジュール(中空糸膜モジュール)
30 :中空糸膜エレメント
31 :中空糸
31s:中空糸配列面
32 :網状体
4  :凝集沈殿領域
5  :案内板
6  :洗浄ノズル
71 :原水供給管
72 :濾過水取出管
73 :汚泥排出管
74 :洗浄水供給配管
75 :原水排出管

Claims (6)

  1. 濁質成分を含む原水および凝集剤が供給される密閉型の容器と、当該容器内に配置された浸漬方式の膜モジュールとを備え、前記容器内を加圧状態とすることにより前記膜モジュールによって原水を濾過する加圧型浸漬膜濾過装置であって、前記膜モジュールは前記容器内の上部に配置され、前記容器内の前記膜モジュールの下方は濁質成分の凝集沈殿領域とされていることを特徴とする加圧型浸漬膜濾過装置。
  2. 凝集沈殿領域には、凝集濁質成分を前記容器の底部側へ案内する案内板が設けられている請求項1に記載の加圧型浸漬膜濾過装置。
  3. 案内板が鉛直方向に対して傾斜した状態で設けられている請求項2に記載の加圧型浸漬膜濾過装置。
  4. 膜モジュールは、中空糸がその伸長方向に直交する方向に多数配列された中空糸膜エレメントを複数基積層して成る中空糸膜モジュールである請求項1〜3の何れかに記載の加圧型浸漬膜濾過装置。
  5. 各中空糸膜エレメントの中空糸配列面には、中空糸の揺動を規制する網状体が付設されている請求項4に記載の加圧型浸漬膜濾過装置。
  6. 膜モジュールの近傍には、各中空糸膜エレメントの中空糸配列面に略直交して洗浄水を吹き付ける洗浄水ノズルが配置されている請求項5に記載の加圧型浸漬膜濾過装置。
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