JP2004024472A - 脱臭装置および脱臭方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アンモニアを臭気成分として含有する臭気ガスを、長時間に渡って高効率で脱臭することが可能な脱臭装置および脱臭方法を提供することである。
【解決手段】臭気ガス中の臭気成分をオゾンにより酸化分解し脱臭する脱臭装置において、前記臭気成分のうち少なくともアンモニアを選択的に吸着し、吸着された臭気成分をオゾンにより酸化分解する第1吸着分解触媒と、該第1吸着分解触媒の下流側に設置され、第1吸着分解触媒を通過した臭気ガス中に残存する臭気成分を吸着し、オゾンにより酸化分解するとともに、未反応のオゾンを分解する第2吸着分解触媒とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】臭気ガス中の臭気成分をオゾンにより酸化分解し脱臭する脱臭装置において、前記臭気成分のうち少なくともアンモニアを選択的に吸着し、吸着された臭気成分をオゾンにより酸化分解する第1吸着分解触媒と、該第1吸着分解触媒の下流側に設置され、第1吸着分解触媒を通過した臭気ガス中に残存する臭気成分を吸着し、オゾンにより酸化分解するとともに、未反応のオゾンを分解する第2吸着分解触媒とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、臭気ガスをオゾンにより酸化分解して脱臭する脱臭装置、特に、厨芥物処理装置や屎尿処理装置,畜産施設,焼却炉,厨房等から発生する、アンモニアを含有する臭気ガスに適用される脱臭装置および脱臭方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、悪臭に対する関心が高まってきており、生ごみ等の厨芥物を処理する厨芥物処理装置,屎尿処理装置,畜産施設,焼却炉,厨房などから発生する臭気ガスを効率よく脱臭する脱臭装置の開発が望まれている。
【0003】
これらの脱臭装置としては、臭気成分を活性炭等の固体吸着剤により吸着する手段や、臭気ガスを高温で燃焼させて臭気成分を分解する手段、香料等の芳香剤によって臭気成分をマスキングする手段などが従来考えられている。しかし、活性炭等の固体吸着剤により臭気成分を吸着する手段は、初期の脱臭効果は優れているものの持続性が無く、吸着寿命が短い。また、高温で臭気ガスを燃焼する手段は、大量の燃料を必要とするため、ランニングコストが高く経済的でない。また、芳香剤により臭気成分をマスキングする手段は、個人差により、芳香剤と臭気成分との混合ガスを悪臭と感じる場合もあり、根本的な解決にはならない。
【0004】
そこで、近年、臭気ガス中の臭気成分をオゾンガスにより酸化分解し、脱臭する脱臭装置が開発されている。例えば、特開平7‐184805号公報には、処理容器内にオゾンガスを供給するオゾン発生器と、前記処理容器に連通する排気筒に金属酸化物触媒とが設けられた悪臭脱臭装置が開示されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、オゾンを用いた脱臭装置は、メチルメルカプタン,硫化メチル,硫化水素などの硫黄系化合物や、トリメチルアミン、ジメチルアミンなどのアミン類、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、プロピオン酸などの低級脂肪酸類等、多くの臭気成分に対しては、オゾン酸化による分解除去が有効であることが知られている。
【0006】
しかし、数ある臭気成分のうちアンモニアについては、オゾンや通常の金属酸化物触媒を用いても酸化し難く、脱臭効果が小さい。
上記特開平7‐184805号公報の実施例(表1)にも開示されているように、臭気ガスをオゾンと共に金属酸化物触媒上を通過させることにより、臭気ガス中の硫化水素は、測定開始10日後においても濃度0ppmと高い脱臭効果を保持している。しかし、アンモニアについては、測定開始時に1ppmだった濃度が、24時間後には3ppm,10日後には6ppmと段階的に上昇し、脱臭効果が低下している。すなわち、臭気ガス中にアンモニアが含まれる場合は、通常の金属酸化物触媒では、オゾンによる高い脱臭率(酸化分解効率)を長時間保持することが困難であった。
【0007】
また、特に、厨芥物処理装置や屎尿処理装置,畜産施設,焼却炉,厨房などから発生する臭気ガス中にはダスト,油分,水分が多量に含まれており、これらが金属酸化物触媒上に付着すると、触媒の吸着能が低下するため、長時間安定した脱臭効果が得られなかった。
【0008】
本発明は、上述のような課題に鑑み、特にアンモニアを臭気成分として含有する臭気ガスを、長期間に渡って高効率で脱臭することが可能な脱臭装置および脱臭方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る脱臭装置は、臭気ガス中の臭気成分のうち少なくともアンモニアを選択的に吸着し、吸着された臭気成分をオゾンにより酸化分解する第1吸着分解触媒と、該第1吸着分解触媒の下流側に設置され、第1吸着分解触媒を通過した臭気ガス中に残存する臭気成分を吸着し、オゾンにより酸化分解するとともに、未反応のオゾンを分解する第2吸着分解触媒とを有することを特徴とする。
【0010】
臭気ガス中の臭気成分のうち、アンモニアとアンモニア以外の成分とではその物性が大きく異なるため、単一の触媒に全ての臭気成分を効率よく吸着させ、オゾン酸化分解することができない。この問題を解決するため、本発明においては、少なくともアンモニアを選択的に吸着し、オゾンにより酸化分解する機能を有する第1吸着分解触媒と、この第1吸着分解触媒を通過した臭気ガス中に残存するアンモニア以外の臭気成分を吸着し、オゾンにより酸化分解するとともに、未反応のオゾンを分解する機能を有する第2吸着分解触媒とをそれぞれ前後に配置することとした。
【0011】
すなわち、臭気ガス中のアンモニアは、選択的に第1吸着分解触媒に吸着されたのち、オゾンによって酸化され、窒素(N2)へと分解される。仮に、オゾンが存在しない場合は、アンモニアが選択的に第1吸着分解触媒に吸着され続けるため、最終的に吸着飽和状態となり急激に脱臭性能が低下する。しかし、吸着されてゆくアンモニアをオゾンによって酸化することにより、該アンモニアは窒素に分解されるため、第1吸着分解触媒は吸着飽和状態になることはなく、常時酸性点が存在する。よって、長時間安定して高い脱臭性能を保持ことができる。
なお、第1吸着分解触媒には、アンモニア以外の他の臭気成分も吸着され、オゾンにより酸化分解されるが、アンモニアに対する選択性が強いため、その吸着分解量はごく僅かである。
【0012】
上記の作用により第1吸着分解触媒を通過した臭気ガス中には、アンモニア以外の臭気成分が残存している。この残存する臭気成分は、第1吸着分解触媒の下流側に設置した、第1吸着分解触媒とは選択性を異にする第2吸着分解触媒に吸着されたのち、オゾンによって効率的に酸化分解される。この第2吸着分解触媒も、オゾンにより酸化分解反応を用いることにより、上述の第1吸着分解触媒の作用と同様に、長時間安定して高い脱臭性能を保持することができる。
更に、臭気ガス中の臭気成分全量に対し、その反応当量以上のオゾンを本発明に係る脱臭装置へ注入した場合であっても、残留する未反応のオゾンは第2吸着分解触媒において分解されるため、脱臭装置出口においてオゾン臭は生ずることはない。
【0013】
上記第1吸着分解触媒としては、そのイオン交換容量が少なくとも0.5meq/g以上であることが好ましい。イオン交換容量は、触媒の酸性点の大小を示す値であり、イオン交換容量が大きいほど酸性点も多く、アンモニアを効率よく吸着する。つまり、イオン交換容量が少なくとも0.5meq/g以上でないと、第1分解触媒に対するアンモニアの吸着性(選択性)が悪く、アンモニアに対するオゾンによる酸化分解機能(脱臭性能)が低下する。このような第1吸着分解触媒として、シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア,ゼオライト及び活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種以上の組成からなるものが好ましい。また、非常に強い酸性点を有する複合酸化物の形態であることが、更により好ましい。
なお、単位「meq」は、「milligramme equivalent」の略であり、ミリグラム当量を意味する。すなわち、「イオン交換容量が0.5meq/g以上」とは、「(対象イオンと)イオン交換できる量が、単位質量1g当たり0.5ミリグラム当量以上」であることを意味する。
【0014】
上記第2吸着分解触媒としては、シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア,ゼオライト及び活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種の担体に、Mn,Ag,Fe,Co,Zn,Ni,Pt,Pd,Rhからなる群から選ばれた酸化物又は金属の少なくとも1種以上を担持したものが好ましい。
【0015】
また、上記第1吸着分解触媒および/または上記第2吸着分解触媒の上流側に、臭気ガス中の少なくともダストまたは油分を吸着するフィルターを設けることが好ましい。
厨芥物処理装置や厨房等から発生する臭気ガス中に特に多量含まれるダストや油分を、上記フィルターによって第1吸着分解触媒,第2吸着分解触媒の上流側で吸着することにより、各々の触媒の表面上にダストや油分が付着することによる腐臭成分の吸着能力(脱臭性能)の低下を、長期間安定して防止することができる。
【0016】
また、上記第1吸着分解触媒および/または上記第2吸着分解触媒の上流側に、臭気ガスを加熱する加熱手段を設けることが好ましい。臭気ガス中に水分が多量に含まれる場合、臭気ガス温度が低下すると、第1吸着分解触媒や第2吸着分解触媒上で前記水分が結露し、触媒の臭気成分に対する吸着能力が著しく低下する。
そこで、第1吸着分解触媒,第2吸着分解触媒の上流側において、上記加熱手段により臭気ガスを加熱し、臭気ガス温度を数℃上昇させることにより、触媒上への水分結露を防止でき、長期間安定して吸着能力(脱臭性能)を保持することができる。
【0017】
上記第1吸着分解触媒および/または上記第2吸着分解触媒は、ハニカム形状を成していることが好ましい。ハニカム形状とすることにより、臭気ガス中にダスト等が含まれていても、上記各触媒でのダスト等の目詰まりが少なく、長期間安定した脱臭運転ができる。更に、ハニカム形状の場合、触媒を通過する際の臭気ガスの圧力損失が少ないので、小型の排気ファンで脱臭処理後の臭気ガスを効率よく排出でき、経済的なメリットも大きい。
【0018】
また、第1吸着分解触媒および/または第2吸着分解触媒がハニカム形状をなしている場合、第1吸着分解触媒の上流側にオゾン発生器を設けるとともに、このオゾン発生器の更に上流側に、第1吸着分解触媒,第2吸着分解触媒のハニカム形状よりも、単位面積当りのセル数が多い又は同等のハニカム形状を成したハニカム構造体を設けることが好ましい。
単位面積あたりのセル数が第1,第2吸着分解触媒の各ハニカム形状よりも多い又は同等のハニカム構造体を、第1吸着分解触媒及びオゾン発生器よりも上流側に設けることにより、厨芥物処理装置や厨房等からの臭気ガス中に特に多量含まれるダストや油分は、第1吸着分解触媒の上流側で前記ハニカム構造体へ非常に高効率で吸着されることとなる。従って、各第1,第2吸着分解触媒の表面上にダストや油分が付着することによって、腐臭成分の吸着能力(脱臭性能)が低下することを、長期間安定して防止することができる。
【0019】
ハニカム構造体は、触媒のように高価な貴金属を用いる必要がないため、経済的にも有利であり、また、たとえハニカム構造体がダストにより目詰まりしたとしても、ハニカム構造体を一式交換すればよく、触媒を交換するのに比べ、作業効率的にも有利である。交換した使用済みのハニカム構造体は、エアーブローなどの清掃作業により、容易に目詰まりを解消することができるため、再使用することも可能である。また、ハニカム構造体の、臭気ガスの流れ方向の長さについては、臭気ガス中のダスト等の含有状況や、ガス流量等によって、適宜設計することができる。
【0020】
更に、上記ハニカム構造体と上記オゾン発生器との間には、ハニカム構造体を通過した臭気ガスを加熱するためのヒータを設けることが好ましい。
臭気ガスがハニカム構造体を通過することによりそのガス温度は低下する傾向にあるため、臭気ガス中に水分が多量に含まれる場合、下流側に位置する第1吸着分解触媒や第2吸着分解触媒上で水分が結露し、触媒の臭気成分に対する吸着性能が著しく低下してしまう。
そこで、臭気ガスがハニカム構造体を通過した直後(ハニカム構造体の下流側)において、ヒータにより臭気ガスを加熱し、そのガス温度を数℃上昇させることにより、第1,第2吸着分解触媒上での水分結露を防止でき、長時間安定した高脱臭性能を保持することができる。
【0021】
また、本発明は、別の側面において、臭気ガス中の臭気成分をオゾンにより酸化分解し脱臭する脱臭方法であり、第1吸着分解触媒に臭気ガスを接触させて、前記臭気成分のうち少なくともアンモニアを選択的に吸着し、吸着した臭気成分をオゾンにより酸化分解し、次いで、前記第1吸着分解触媒に接触した後の臭気ガスを第2吸着分解触媒へ接触させて、残存する臭気成分を吸着し、吸着した残存臭気成分をオゾンにより酸化分解するとともに、未反応のオゾンを分解することを特徴とする。
【0022】
その際、上記第1吸着分解触媒としては、そのイオン交換容量が少なくとも0.5meq/g以上であることが好ましい。このような第1吸着分解触媒として、シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア,ゼオライト及び活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種以上の組成からなるものが好ましい。また、非常に強い酸性点を有する複合酸化物の形態であることが、更により好ましい
また、上記第2吸着分解触媒としては、シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア,ゼオライト及び活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種の担体に、Mn,Ag,Fe,Co,Zn,Ni,Pt,Pd,Rhからなる群から選ばれた酸化物又は金属の少なくとも1種以上を担持したものが好ましい。
【0023】
また、上記第1吸着分解触媒および/または上記第2吸着分解触媒の上流側に、臭気ガス中の少なくともダストまたは油分を吸着するフィルターを設けることが好ましい。
また、上記第1吸着分解触媒および/または上記第2吸着分解触媒の上流側に、臭気ガスを加熱する加熱手段を設けることが好ましい。
また、上記第1吸着分解触媒および/または上記第2吸着分解触媒は、ハニカム形状を成していることが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る脱臭装置と脱臭方法を、その実施の形態等についてさらに詳細に説明する。
本発明に係る脱臭装置は、臭気ガス中の臭気成分のうち少なくともアンモニアを選択的に吸着し、吸着された臭気成分をオゾンにより酸化分解する第1吸着分解触媒と、該第1吸着分解触媒の下流側に設置され、第1吸着分解触媒を通過した臭気ガス中に残存する臭気成分を吸着し、オゾンにより酸化分解するとともに、未反応のオゾンを分解する第2吸着分解触媒とを有することを特徴とする。
【0025】
上記第1吸着分解触媒としては、そのイオン交換容量が少なくとも0.5meq/g以上のものを用いることができる。このような第1吸着分解触媒としては、シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア,ゼオライト及び活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種以上の組成からなるものが好ましい。特に、複合酸化物の形態であれば、更により好ましい。複合酸化物を形成する場合、主に共沈法などによって調整される。複合酸化物の例として、シリカ・アルミナ,シリカ・チタニア,チタニア・アルミナ,アルミナ・ジルコニア等がある。
【0026】
上記第2吸着分解触媒としては、シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア,ゼオライト及び活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種の担体に、Mn,Ag,Fe,Co,Zn,Ni,Pt,Pd,Rhからなる群から選ばれた酸化物又は金属の少なくとも1種以上を担持したものが好ましい。上記酸化物又は金属は、含浸法やイオン交換法などの通常の手法によって担体に担持できる。
【0027】
上記第1吸着分解触媒および上記第2吸着分解触媒は、ハニカム形状を成していることが好ましい。このハニカム形状は、基材に触媒をコーティングするコート式のものでも、触媒のみを一体成形してハニカム形状に成形する一体成形式のものでもよい。また、ハニカム形状の各セルの形も特に限定するものではなく、格子状,三角形状,六角形状,コルゲート状などいずれの形状でもよい。
しかし、ハニカム形状に限定されるものではなく、ダストの目詰まりや圧力損失の問題がなければ、例えば、粒子状のものであってもよい。
【0028】
また、上記第1吸着分解触媒および/または上記第2吸着分解触媒の上流側には、臭気ガス中の少なくともダストまたは油分を吸着するフィルターを設けることが好ましい。フィルターとしては、ハニカム形状,短繊維の充填物,焼結体,フィルム状等いずれの形式のものでもよく、特に限定されるものではない。
【0029】
しかし、第1吸着分解触媒,第2吸着分解触媒がハニカム形状を成している場合は、第1吸着分解触媒の上流側にオゾン発生器を設けるとともに、このオゾン発生器の更に上流側に、第1吸着分解触媒,第2吸着分解触媒のそれぞれのハニカム形状よりも、単位面積当りのセル数が多い又は同等のハニカム形状を成したハニカム構造体を上記フィルターとして設けることがより好ましい。
通常、第1吸着分解触媒及び第2吸着分解触媒のハニカム形状は、250〜550セル/10cm2のものが適用されるため、上記ハニカム構造体は、250〜550セル/10cm2より多いか又は同等のハニカム形状とするのがよい。このハニカム構造体としては、シリカ,アルミナ,チタニア,ジルコニアなどの素材を用いるのが、触媒の担体として流通量が多いため入手容易性の観点から好適であるが、特にこれに限定されるものではない。
【0030】
また、上記第1吸着分解触媒および/または上記第2吸着分解触媒の上流側には、臭気ガスを加熱する加熱手段を設けることが好ましい。また、上記フィルターを設ける場合、この加熱手段は、フィルターの直後に設けるのが加熱手段へのダストの付着防止の観点から良いが、第1吸着分解触媒および/又は第2吸着分解触媒の上流側に設けるのであれば、その位置は特に限定されるものではない。このような加熱手段としては、配管を流れる臭気ガス中に直接ヒーターを投入してもよく、又、臭気ガスが流れる配管の外部からスチームにより加熱してもよく、特に限定しない。
【0031】
なお、オゾンを発生させるオゾン発生器としては、無声放電方式や回転電極式,プレート式,沿面放電式、ガラスチューブ管式,紫外線ランプ式などが挙げられるが、特に限定するものではない。また、発生させるオゾンの濃度は数ppm〜数百ppmが好ましいが、臭気ガス中の臭気成分濃度に応じて適宜調整することができる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1において、符号1は厨芥物処理装置,符号2は厨芥物処理装置1から排出された、アンモニアを臭気成分として含有する臭気ガスである。また、符号3は、脱臭装置11に設けられた無声放電方式のオゾン発生器で、符号4はオゾン発生器3から発生するオゾンガスである。また、脱臭装置11内には脱臭処理容器6が設けられ、その内部には上流側(図の左側)に第1吸着分解触媒7が、下流側(図の右側)に第2吸着分解触媒8が配置されている。
【0033】
第1吸着分解触媒7は、寸法15cm×15cm×5cmL,単位面積当りのセル数が550セル/10cm2の格子状のセルからなるハニカム形状を有する、イオン交換容量0.8meq/gのゼオライトである。
第2吸着分解触媒8は、寸法15cm×15cm×5cmL,単位面積当りのセル数が550セル/10cm2の格子状のセルからなるハニカム形状を有する、ジルコニア担体にMnの酸化物が担持された金属酸化物触媒である。
【0034】
符号10は、脱臭処理容器6において脱臭処理(オゾン酸化分解処理)された処理済ガス9を大気へ排出するファンであり、脱臭装置11に設けられている。
【0035】
上述した構成により、脱臭装置11は以下のように作用する。
厨芥物処理装置1から排出された臭気ガス2は、オゾン発生器3により発生したオゾンガス4と混合されてオゾン・臭気混合ガス5となり、脱臭処理容器6内に導入される。なお、このときのオゾン・臭気混合ガス5は、以下の組成を示す。
【0036】
脱臭処理容器6内に導入されたオゾン・臭気混合ガス5は、第1吸着分解触媒7と接触し、オゾン・臭気混合ガス5中の少なくともアンモニアを含む臭気成分が、第1吸着分解触媒7の表面に選択的に吸着される。特に、アンモニアは第1吸着分解触媒7に吸着されると、オゾン・臭気混合ガス5中に含まれるオゾンによって酸化され、窒素へと分解される。一方、アンモニア以外の臭気成分(硫黄系化合物,アミン類,アルデヒド類,低級脂肪酸類など)はその一部(微量)のみが第1吸着分解触媒7に吸着され、オゾンにより酸化分解される。
【0037】
第1吸着分解触媒を通過したオゾン・臭気混合ガス5は、オゾンによる上述の酸化分解作用により、アンモニアはその殆どが窒素へと分解されるため、残存する臭気成分の殆どはアンモニア以外の組成となっている。そして、オゾン・臭気混合ガス5は第2吸着分解触媒8と接触すると、残存する臭気成分は第2吸着分解触媒8の表面に吸着され、オゾン・臭気混合ガス5中に含まれるオゾンによって同様に酸化分解される。
こうして、オゾン・臭気混合ガス5に含まれる全ての臭気成分は、脱臭処理容器6内においてオゾンによって酸化分解処理(脱臭処理)され、処理済ガス9としてファン10により大気中に放出される。
なお、臭気ガス2に含まれる臭気成分全量に対し、反応当量以上のオゾンガス4を混合することにより、未反応のオゾンが発生した場合であっても、第2吸着分解触媒の吸着分解作用により、未反応オゾンは全て酸素へと分解される。
【0038】
本実施例に係る脱臭装置11の、脱臭処理容器6から排出された処理済ガス9中の臭気成分濃度を測定した結果を表1に示す。なお、比較例として、第1吸着分解触媒7を装填しない場合の処理済ガス9中の臭気成分を表1に併せて示す。
【0039】
上記表1からわかるように、第1吸着分解触媒7を装填した場合と装填しない場合とでは、残存アンモニアの濃度が大きく異なる。すなわち、本発明に係る脱臭装置のように、第1吸着分解触媒7を装填した場合はアンモニア濃度が0.1ppm以下と酸化分解が十分に促進され、高い脱臭性能を有することが確認された。
なお、アンモニア以外の臭気成分については、第1吸着分解触媒7を装填した場合(本発明)も装填しない場合(比較例)も、いずれも高い脱臭性能を示した。また、臭気成分の酸化分解のために用いるオゾンについても、残留することなく完全に分解された。
【0040】
本実施例では、第1吸着分解触媒7としてゼオライトからなる触媒を使用したが、シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア及び活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種以上の組成を含む触媒であっても、そのイオン交換容量が0.5meq/g以上であれば、処理済ガス9中の残存アンモニア濃度は0.1ppm以下となり、高い脱臭性能を示すことを確認した。逆に、イオン交換容量が0.5meq/g以下であれば、処理済ガス9中の残存アンモニア濃度は0.1ppm以上となり、脱臭性能は低下した。
【0041】
(実施例2)
図2において、符号14は厨房,符号2は厨房14から排出された、アンモニアを臭気成分として含有するとともに、油分,水分,ダストを大量に含む臭気ガスである。また、符号3は、脱臭装置15に設けられた無声放電方式のオゾン発生器で、符号4はオゾン発生器3から発生するオゾンガスである。また、脱臭装置15内には脱臭処理容器16が設けられ、その内部には、上流側(図の左側)から順に、ハニカム構造体(フィルター)12,ヒータ(加熱手段)13,第1吸着分解触媒7,第2吸着分解触媒8が配置されている。また、オゾンガス4は、ヒータ13と第1吸着分解触媒7との間に導入されるよう、脱臭処理容器16内へ配管されている。
【0042】
第1吸着分解触媒7は、寸法15cm×15cm×5cmL,単位面積当りのセル数が550セル/10cm2の格子状のセルからなるハニカム形状を有する、イオン交換容量1.1meq/gのゼオライトである。
第2吸着分解触媒8は、寸法15cm×15cm×5cmL,単位面積当りのセル数が550セル/10cm2の格子状のセルからなるハニカム形状を有する、チタニア担体にZnの酸化物が担持された金属酸化物触媒である。
ハニカム構造体12は、寸法15cm×15cm×3cmL,単位面積当りのセル数が750セル/10cm2の格子状のセルからなるハニカム形状を有する、シリカからなる構造体である。
【0043】
符号10は、脱臭処理容器16において脱臭処理(オゾン酸化分解処理)された処理済ガス9を大気へ排出するファンであり、脱臭装置15に設けられている。
【0044】
上述した構成により、脱臭装置15は以下のように作用する。
厨房14から排出された臭気ガス2は、脱臭処理容器6内に直接導入される。
なお、このときの臭気ガス2は次の条件であった。
臭気濃度:230(総理府令の告示で定められた基準値で、「人間の臭覚で臭気が感じられなくなるまで、気体または水を希釈した時の希釈倍数」を示す。)
ガス流量:50Nm3/h
ガス温度:25℃
【0045】
脱臭処理容器16内に導入された臭気ガス2は、ハニカム構造体12を通過することにより、臭気ガス2中に含まれる油分をハニカム構造体12に付着させる。次いで、ヒータ13により臭気ガス2を加熱し、ガス温度が30℃になるよう昇温する。そして、加熱された臭気ガス2に、オゾン濃度が15ppmとなるようオゾンガス4を注入し、混合する。
【0046】
オゾンガス4と臭気ガス2との混合ガスは、第1吸着分解触媒7と接触し、混合ガス中の少なくともアンモニアを含む臭気成分が、第1吸着分解触媒7の表面に選択的に吸着される。特に、アンモニアは第1吸着分解触媒7に吸着されると、混合ガス中のオゾンによって酸化され、窒素へと分解される。一方、アンモニア以外の臭気成分(硫黄系化合物,アミン類,アルデヒド類,低級脂肪酸類など)はその一部(微量)のみが第1吸着分解触媒7に吸着され、オゾンにより酸化分解される。
【0047】
第1吸着分解触媒を通過した前記混合ガスは、オゾンによる上述の酸化分解作用により、アンモニアはその殆どが窒素へと分解されるため、残存する臭気成分の殆どはアンモニア以外の組成となっている。そして、前記混合ガスは第2吸着分解触媒8と接触すると、残存する臭気成分は第2吸着分解触媒8の表面に吸着し、混合ガス中に含まれるオゾンによって酸化分解される。
こうして、臭気ガス2に含まれる全ての臭気成分は、脱臭処理容器6内においてオゾンによって酸化分解処理(脱臭処理)され、処理済ガス9としてファン10により大気中に放出される。
なお、臭気ガス2に含まれる臭気成分全量に対し、反応当量以上のオゾンガス4を混合することにより、未反応のオゾンが発生した場合であっても、第2吸着分解触媒の吸着分解作用により、未反応オゾンは全て酸素へと分解される。
【0048】
本実施例に係る脱臭装置15の、脱臭処理容器16から排出された処理済ガス9の臭気濃度を、運転開始直後及び運転開始から6ヶ月後にそれぞれ測定したところ、いずれも「臭気濃度13」と低い値を示し、装置の運転開始から6ヶ月経過後においても経時変化は見られなかった。
【0049】
すなわち、実施例2に係る脱臭装置15においては、実施例1の脱臭装置11の構成に加えて、ハニカム構造体12を第1吸着分解触媒7(および第2吸着触媒8)の上流側に配置したため、臭気ガス2中の油分は全てハニカム構造体12に付着することとなる。従って、臭気成分に対しオゾン酸化分解反応を促進する機能を有する第1吸着分解触媒7,第2吸着分解触媒8に油分が付着せず、触媒機能の低下を抑制することができた。
【0050】
更に、ハニカム構造体12の単位面積当りのセル数(750セル/10cm2)は、第1,第2吸着分解触媒のそれ(550セル/10cm2)よりも多いため、ハニカム構造体12は臭気成分2に含まれるダスト類を除塵する効果も併せ持つ。よって、ダスト類が第1吸着分解触媒7,第2吸着分解触媒8に付着することも防止でき、6ヶ月間という長期間に渡って、触媒性能の低下を抑制し、安定した脱臭効果を奏することができた。
【0051】
一方、ハニカム構造体12を配置しなかった場合は、臭気ガス2中に含まれる油分,ダストが、即座に第1,第2吸着分解触媒の表面に付着するため、約1ヶ月という短期間で触媒の吸着分解性能が低下した。従って、高価な触媒(第1,第2吸着分解触媒)を頻繁に交換する必要が生じ、経済的にも不利である。
【0052】
なお、ハニカム構造体12にダストや油分が多量に詰まり、ハニカム構造体12通過前後における臭気ガス2の圧力損失が増加した場合は、ハニカム構造体12を取り外して、洗浄又はエアブロー等で詰まりを取り除くことにより、再利用が可能となる。従って、本実施例は経済的にも有効である。
【0053】
更に、本実施例においては、水分を多量に含む臭気ガス2が第1吸着分解触媒7へ導入される前に、ヒータ13により前記臭気ガス2を加熱し、そのガス温度を5℃上昇(25℃→30℃)させている。従って、本実験例でのガス組成/温度条件では、第1吸着分解触媒7上で臭気ガス2中の水分が結露することがなく、第1吸着分解触媒の触媒機能を長期間安定して保持することができた。また、種々の実験の結果から、厨房などの臭気ガス発生源から発生する臭気ガスは、そのガス温度を5℃以上、好ましくは10℃以上上昇させることにより、水蒸気飽和温度以上となり、結露しないことが確認されている。
なお、本実施例2の場合は、ヒータ13により加熱しない場合に比べて、6倍以上の触媒の長寿命化を図ることができた。
【0054】
【発明の効果】
上記したところから明らかなように、本発明によれば、従来のオゾン脱臭装置では十分に脱臭(酸化分解)できなかった臭気成分であるアンモニアについてもても、効率的に脱臭することがが可能となる。従って、アンモニアを含有する臭気ガスに対しても高い脱硝効果を得ることが可能となる。
また、ダスト,油分,水分を多量に含有する臭気ガスに対しても、オゾン酸化分解触媒上へのダストや油分の付着を抑制し、更に、水分の結露を防止することが可能となるため、長期間安定した脱臭効果が得られ、経済的にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る脱臭装置の系統図である。
【図2】本発明の実施例2に係る脱臭装置の系統図である。
【符号の説明】
1 厨芥物処理装置
2 臭気ガス
3 オゾン発生器
4 オゾンガス
6 脱臭処理容器
7 第1吸着分解触媒
8 第2吸着分解触媒
9 処理済ガス
12 ハニカム構造体
13 ヒーター
【発明の属する技術分野】
本発明は、臭気ガスをオゾンにより酸化分解して脱臭する脱臭装置、特に、厨芥物処理装置や屎尿処理装置,畜産施設,焼却炉,厨房等から発生する、アンモニアを含有する臭気ガスに適用される脱臭装置および脱臭方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、悪臭に対する関心が高まってきており、生ごみ等の厨芥物を処理する厨芥物処理装置,屎尿処理装置,畜産施設,焼却炉,厨房などから発生する臭気ガスを効率よく脱臭する脱臭装置の開発が望まれている。
【0003】
これらの脱臭装置としては、臭気成分を活性炭等の固体吸着剤により吸着する手段や、臭気ガスを高温で燃焼させて臭気成分を分解する手段、香料等の芳香剤によって臭気成分をマスキングする手段などが従来考えられている。しかし、活性炭等の固体吸着剤により臭気成分を吸着する手段は、初期の脱臭効果は優れているものの持続性が無く、吸着寿命が短い。また、高温で臭気ガスを燃焼する手段は、大量の燃料を必要とするため、ランニングコストが高く経済的でない。また、芳香剤により臭気成分をマスキングする手段は、個人差により、芳香剤と臭気成分との混合ガスを悪臭と感じる場合もあり、根本的な解決にはならない。
【0004】
そこで、近年、臭気ガス中の臭気成分をオゾンガスにより酸化分解し、脱臭する脱臭装置が開発されている。例えば、特開平7‐184805号公報には、処理容器内にオゾンガスを供給するオゾン発生器と、前記処理容器に連通する排気筒に金属酸化物触媒とが設けられた悪臭脱臭装置が開示されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、オゾンを用いた脱臭装置は、メチルメルカプタン,硫化メチル,硫化水素などの硫黄系化合物や、トリメチルアミン、ジメチルアミンなどのアミン類、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、プロピオン酸などの低級脂肪酸類等、多くの臭気成分に対しては、オゾン酸化による分解除去が有効であることが知られている。
【0006】
しかし、数ある臭気成分のうちアンモニアについては、オゾンや通常の金属酸化物触媒を用いても酸化し難く、脱臭効果が小さい。
上記特開平7‐184805号公報の実施例(表1)にも開示されているように、臭気ガスをオゾンと共に金属酸化物触媒上を通過させることにより、臭気ガス中の硫化水素は、測定開始10日後においても濃度0ppmと高い脱臭効果を保持している。しかし、アンモニアについては、測定開始時に1ppmだった濃度が、24時間後には3ppm,10日後には6ppmと段階的に上昇し、脱臭効果が低下している。すなわち、臭気ガス中にアンモニアが含まれる場合は、通常の金属酸化物触媒では、オゾンによる高い脱臭率(酸化分解効率)を長時間保持することが困難であった。
【0007】
また、特に、厨芥物処理装置や屎尿処理装置,畜産施設,焼却炉,厨房などから発生する臭気ガス中にはダスト,油分,水分が多量に含まれており、これらが金属酸化物触媒上に付着すると、触媒の吸着能が低下するため、長時間安定した脱臭効果が得られなかった。
【0008】
本発明は、上述のような課題に鑑み、特にアンモニアを臭気成分として含有する臭気ガスを、長期間に渡って高効率で脱臭することが可能な脱臭装置および脱臭方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る脱臭装置は、臭気ガス中の臭気成分のうち少なくともアンモニアを選択的に吸着し、吸着された臭気成分をオゾンにより酸化分解する第1吸着分解触媒と、該第1吸着分解触媒の下流側に設置され、第1吸着分解触媒を通過した臭気ガス中に残存する臭気成分を吸着し、オゾンにより酸化分解するとともに、未反応のオゾンを分解する第2吸着分解触媒とを有することを特徴とする。
【0010】
臭気ガス中の臭気成分のうち、アンモニアとアンモニア以外の成分とではその物性が大きく異なるため、単一の触媒に全ての臭気成分を効率よく吸着させ、オゾン酸化分解することができない。この問題を解決するため、本発明においては、少なくともアンモニアを選択的に吸着し、オゾンにより酸化分解する機能を有する第1吸着分解触媒と、この第1吸着分解触媒を通過した臭気ガス中に残存するアンモニア以外の臭気成分を吸着し、オゾンにより酸化分解するとともに、未反応のオゾンを分解する機能を有する第2吸着分解触媒とをそれぞれ前後に配置することとした。
【0011】
すなわち、臭気ガス中のアンモニアは、選択的に第1吸着分解触媒に吸着されたのち、オゾンによって酸化され、窒素(N2)へと分解される。仮に、オゾンが存在しない場合は、アンモニアが選択的に第1吸着分解触媒に吸着され続けるため、最終的に吸着飽和状態となり急激に脱臭性能が低下する。しかし、吸着されてゆくアンモニアをオゾンによって酸化することにより、該アンモニアは窒素に分解されるため、第1吸着分解触媒は吸着飽和状態になることはなく、常時酸性点が存在する。よって、長時間安定して高い脱臭性能を保持ことができる。
なお、第1吸着分解触媒には、アンモニア以外の他の臭気成分も吸着され、オゾンにより酸化分解されるが、アンモニアに対する選択性が強いため、その吸着分解量はごく僅かである。
【0012】
上記の作用により第1吸着分解触媒を通過した臭気ガス中には、アンモニア以外の臭気成分が残存している。この残存する臭気成分は、第1吸着分解触媒の下流側に設置した、第1吸着分解触媒とは選択性を異にする第2吸着分解触媒に吸着されたのち、オゾンによって効率的に酸化分解される。この第2吸着分解触媒も、オゾンにより酸化分解反応を用いることにより、上述の第1吸着分解触媒の作用と同様に、長時間安定して高い脱臭性能を保持することができる。
更に、臭気ガス中の臭気成分全量に対し、その反応当量以上のオゾンを本発明に係る脱臭装置へ注入した場合であっても、残留する未反応のオゾンは第2吸着分解触媒において分解されるため、脱臭装置出口においてオゾン臭は生ずることはない。
【0013】
上記第1吸着分解触媒としては、そのイオン交換容量が少なくとも0.5meq/g以上であることが好ましい。イオン交換容量は、触媒の酸性点の大小を示す値であり、イオン交換容量が大きいほど酸性点も多く、アンモニアを効率よく吸着する。つまり、イオン交換容量が少なくとも0.5meq/g以上でないと、第1分解触媒に対するアンモニアの吸着性(選択性)が悪く、アンモニアに対するオゾンによる酸化分解機能(脱臭性能)が低下する。このような第1吸着分解触媒として、シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア,ゼオライト及び活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種以上の組成からなるものが好ましい。また、非常に強い酸性点を有する複合酸化物の形態であることが、更により好ましい。
なお、単位「meq」は、「milligramme equivalent」の略であり、ミリグラム当量を意味する。すなわち、「イオン交換容量が0.5meq/g以上」とは、「(対象イオンと)イオン交換できる量が、単位質量1g当たり0.5ミリグラム当量以上」であることを意味する。
【0014】
上記第2吸着分解触媒としては、シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア,ゼオライト及び活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種の担体に、Mn,Ag,Fe,Co,Zn,Ni,Pt,Pd,Rhからなる群から選ばれた酸化物又は金属の少なくとも1種以上を担持したものが好ましい。
【0015】
また、上記第1吸着分解触媒および/または上記第2吸着分解触媒の上流側に、臭気ガス中の少なくともダストまたは油分を吸着するフィルターを設けることが好ましい。
厨芥物処理装置や厨房等から発生する臭気ガス中に特に多量含まれるダストや油分を、上記フィルターによって第1吸着分解触媒,第2吸着分解触媒の上流側で吸着することにより、各々の触媒の表面上にダストや油分が付着することによる腐臭成分の吸着能力(脱臭性能)の低下を、長期間安定して防止することができる。
【0016】
また、上記第1吸着分解触媒および/または上記第2吸着分解触媒の上流側に、臭気ガスを加熱する加熱手段を設けることが好ましい。臭気ガス中に水分が多量に含まれる場合、臭気ガス温度が低下すると、第1吸着分解触媒や第2吸着分解触媒上で前記水分が結露し、触媒の臭気成分に対する吸着能力が著しく低下する。
そこで、第1吸着分解触媒,第2吸着分解触媒の上流側において、上記加熱手段により臭気ガスを加熱し、臭気ガス温度を数℃上昇させることにより、触媒上への水分結露を防止でき、長期間安定して吸着能力(脱臭性能)を保持することができる。
【0017】
上記第1吸着分解触媒および/または上記第2吸着分解触媒は、ハニカム形状を成していることが好ましい。ハニカム形状とすることにより、臭気ガス中にダスト等が含まれていても、上記各触媒でのダスト等の目詰まりが少なく、長期間安定した脱臭運転ができる。更に、ハニカム形状の場合、触媒を通過する際の臭気ガスの圧力損失が少ないので、小型の排気ファンで脱臭処理後の臭気ガスを効率よく排出でき、経済的なメリットも大きい。
【0018】
また、第1吸着分解触媒および/または第2吸着分解触媒がハニカム形状をなしている場合、第1吸着分解触媒の上流側にオゾン発生器を設けるとともに、このオゾン発生器の更に上流側に、第1吸着分解触媒,第2吸着分解触媒のハニカム形状よりも、単位面積当りのセル数が多い又は同等のハニカム形状を成したハニカム構造体を設けることが好ましい。
単位面積あたりのセル数が第1,第2吸着分解触媒の各ハニカム形状よりも多い又は同等のハニカム構造体を、第1吸着分解触媒及びオゾン発生器よりも上流側に設けることにより、厨芥物処理装置や厨房等からの臭気ガス中に特に多量含まれるダストや油分は、第1吸着分解触媒の上流側で前記ハニカム構造体へ非常に高効率で吸着されることとなる。従って、各第1,第2吸着分解触媒の表面上にダストや油分が付着することによって、腐臭成分の吸着能力(脱臭性能)が低下することを、長期間安定して防止することができる。
【0019】
ハニカム構造体は、触媒のように高価な貴金属を用いる必要がないため、経済的にも有利であり、また、たとえハニカム構造体がダストにより目詰まりしたとしても、ハニカム構造体を一式交換すればよく、触媒を交換するのに比べ、作業効率的にも有利である。交換した使用済みのハニカム構造体は、エアーブローなどの清掃作業により、容易に目詰まりを解消することができるため、再使用することも可能である。また、ハニカム構造体の、臭気ガスの流れ方向の長さについては、臭気ガス中のダスト等の含有状況や、ガス流量等によって、適宜設計することができる。
【0020】
更に、上記ハニカム構造体と上記オゾン発生器との間には、ハニカム構造体を通過した臭気ガスを加熱するためのヒータを設けることが好ましい。
臭気ガスがハニカム構造体を通過することによりそのガス温度は低下する傾向にあるため、臭気ガス中に水分が多量に含まれる場合、下流側に位置する第1吸着分解触媒や第2吸着分解触媒上で水分が結露し、触媒の臭気成分に対する吸着性能が著しく低下してしまう。
そこで、臭気ガスがハニカム構造体を通過した直後(ハニカム構造体の下流側)において、ヒータにより臭気ガスを加熱し、そのガス温度を数℃上昇させることにより、第1,第2吸着分解触媒上での水分結露を防止でき、長時間安定した高脱臭性能を保持することができる。
【0021】
また、本発明は、別の側面において、臭気ガス中の臭気成分をオゾンにより酸化分解し脱臭する脱臭方法であり、第1吸着分解触媒に臭気ガスを接触させて、前記臭気成分のうち少なくともアンモニアを選択的に吸着し、吸着した臭気成分をオゾンにより酸化分解し、次いで、前記第1吸着分解触媒に接触した後の臭気ガスを第2吸着分解触媒へ接触させて、残存する臭気成分を吸着し、吸着した残存臭気成分をオゾンにより酸化分解するとともに、未反応のオゾンを分解することを特徴とする。
【0022】
その際、上記第1吸着分解触媒としては、そのイオン交換容量が少なくとも0.5meq/g以上であることが好ましい。このような第1吸着分解触媒として、シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア,ゼオライト及び活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種以上の組成からなるものが好ましい。また、非常に強い酸性点を有する複合酸化物の形態であることが、更により好ましい
また、上記第2吸着分解触媒としては、シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア,ゼオライト及び活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種の担体に、Mn,Ag,Fe,Co,Zn,Ni,Pt,Pd,Rhからなる群から選ばれた酸化物又は金属の少なくとも1種以上を担持したものが好ましい。
【0023】
また、上記第1吸着分解触媒および/または上記第2吸着分解触媒の上流側に、臭気ガス中の少なくともダストまたは油分を吸着するフィルターを設けることが好ましい。
また、上記第1吸着分解触媒および/または上記第2吸着分解触媒の上流側に、臭気ガスを加熱する加熱手段を設けることが好ましい。
また、上記第1吸着分解触媒および/または上記第2吸着分解触媒は、ハニカム形状を成していることが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る脱臭装置と脱臭方法を、その実施の形態等についてさらに詳細に説明する。
本発明に係る脱臭装置は、臭気ガス中の臭気成分のうち少なくともアンモニアを選択的に吸着し、吸着された臭気成分をオゾンにより酸化分解する第1吸着分解触媒と、該第1吸着分解触媒の下流側に設置され、第1吸着分解触媒を通過した臭気ガス中に残存する臭気成分を吸着し、オゾンにより酸化分解するとともに、未反応のオゾンを分解する第2吸着分解触媒とを有することを特徴とする。
【0025】
上記第1吸着分解触媒としては、そのイオン交換容量が少なくとも0.5meq/g以上のものを用いることができる。このような第1吸着分解触媒としては、シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア,ゼオライト及び活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種以上の組成からなるものが好ましい。特に、複合酸化物の形態であれば、更により好ましい。複合酸化物を形成する場合、主に共沈法などによって調整される。複合酸化物の例として、シリカ・アルミナ,シリカ・チタニア,チタニア・アルミナ,アルミナ・ジルコニア等がある。
【0026】
上記第2吸着分解触媒としては、シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア,ゼオライト及び活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種の担体に、Mn,Ag,Fe,Co,Zn,Ni,Pt,Pd,Rhからなる群から選ばれた酸化物又は金属の少なくとも1種以上を担持したものが好ましい。上記酸化物又は金属は、含浸法やイオン交換法などの通常の手法によって担体に担持できる。
【0027】
上記第1吸着分解触媒および上記第2吸着分解触媒は、ハニカム形状を成していることが好ましい。このハニカム形状は、基材に触媒をコーティングするコート式のものでも、触媒のみを一体成形してハニカム形状に成形する一体成形式のものでもよい。また、ハニカム形状の各セルの形も特に限定するものではなく、格子状,三角形状,六角形状,コルゲート状などいずれの形状でもよい。
しかし、ハニカム形状に限定されるものではなく、ダストの目詰まりや圧力損失の問題がなければ、例えば、粒子状のものであってもよい。
【0028】
また、上記第1吸着分解触媒および/または上記第2吸着分解触媒の上流側には、臭気ガス中の少なくともダストまたは油分を吸着するフィルターを設けることが好ましい。フィルターとしては、ハニカム形状,短繊維の充填物,焼結体,フィルム状等いずれの形式のものでもよく、特に限定されるものではない。
【0029】
しかし、第1吸着分解触媒,第2吸着分解触媒がハニカム形状を成している場合は、第1吸着分解触媒の上流側にオゾン発生器を設けるとともに、このオゾン発生器の更に上流側に、第1吸着分解触媒,第2吸着分解触媒のそれぞれのハニカム形状よりも、単位面積当りのセル数が多い又は同等のハニカム形状を成したハニカム構造体を上記フィルターとして設けることがより好ましい。
通常、第1吸着分解触媒及び第2吸着分解触媒のハニカム形状は、250〜550セル/10cm2のものが適用されるため、上記ハニカム構造体は、250〜550セル/10cm2より多いか又は同等のハニカム形状とするのがよい。このハニカム構造体としては、シリカ,アルミナ,チタニア,ジルコニアなどの素材を用いるのが、触媒の担体として流通量が多いため入手容易性の観点から好適であるが、特にこれに限定されるものではない。
【0030】
また、上記第1吸着分解触媒および/または上記第2吸着分解触媒の上流側には、臭気ガスを加熱する加熱手段を設けることが好ましい。また、上記フィルターを設ける場合、この加熱手段は、フィルターの直後に設けるのが加熱手段へのダストの付着防止の観点から良いが、第1吸着分解触媒および/又は第2吸着分解触媒の上流側に設けるのであれば、その位置は特に限定されるものではない。このような加熱手段としては、配管を流れる臭気ガス中に直接ヒーターを投入してもよく、又、臭気ガスが流れる配管の外部からスチームにより加熱してもよく、特に限定しない。
【0031】
なお、オゾンを発生させるオゾン発生器としては、無声放電方式や回転電極式,プレート式,沿面放電式、ガラスチューブ管式,紫外線ランプ式などが挙げられるが、特に限定するものではない。また、発生させるオゾンの濃度は数ppm〜数百ppmが好ましいが、臭気ガス中の臭気成分濃度に応じて適宜調整することができる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1において、符号1は厨芥物処理装置,符号2は厨芥物処理装置1から排出された、アンモニアを臭気成分として含有する臭気ガスである。また、符号3は、脱臭装置11に設けられた無声放電方式のオゾン発生器で、符号4はオゾン発生器3から発生するオゾンガスである。また、脱臭装置11内には脱臭処理容器6が設けられ、その内部には上流側(図の左側)に第1吸着分解触媒7が、下流側(図の右側)に第2吸着分解触媒8が配置されている。
【0033】
第1吸着分解触媒7は、寸法15cm×15cm×5cmL,単位面積当りのセル数が550セル/10cm2の格子状のセルからなるハニカム形状を有する、イオン交換容量0.8meq/gのゼオライトである。
第2吸着分解触媒8は、寸法15cm×15cm×5cmL,単位面積当りのセル数が550セル/10cm2の格子状のセルからなるハニカム形状を有する、ジルコニア担体にMnの酸化物が担持された金属酸化物触媒である。
【0034】
符号10は、脱臭処理容器6において脱臭処理(オゾン酸化分解処理)された処理済ガス9を大気へ排出するファンであり、脱臭装置11に設けられている。
【0035】
上述した構成により、脱臭装置11は以下のように作用する。
厨芥物処理装置1から排出された臭気ガス2は、オゾン発生器3により発生したオゾンガス4と混合されてオゾン・臭気混合ガス5となり、脱臭処理容器6内に導入される。なお、このときのオゾン・臭気混合ガス5は、以下の組成を示す。
【0036】
脱臭処理容器6内に導入されたオゾン・臭気混合ガス5は、第1吸着分解触媒7と接触し、オゾン・臭気混合ガス5中の少なくともアンモニアを含む臭気成分が、第1吸着分解触媒7の表面に選択的に吸着される。特に、アンモニアは第1吸着分解触媒7に吸着されると、オゾン・臭気混合ガス5中に含まれるオゾンによって酸化され、窒素へと分解される。一方、アンモニア以外の臭気成分(硫黄系化合物,アミン類,アルデヒド類,低級脂肪酸類など)はその一部(微量)のみが第1吸着分解触媒7に吸着され、オゾンにより酸化分解される。
【0037】
第1吸着分解触媒を通過したオゾン・臭気混合ガス5は、オゾンによる上述の酸化分解作用により、アンモニアはその殆どが窒素へと分解されるため、残存する臭気成分の殆どはアンモニア以外の組成となっている。そして、オゾン・臭気混合ガス5は第2吸着分解触媒8と接触すると、残存する臭気成分は第2吸着分解触媒8の表面に吸着され、オゾン・臭気混合ガス5中に含まれるオゾンによって同様に酸化分解される。
こうして、オゾン・臭気混合ガス5に含まれる全ての臭気成分は、脱臭処理容器6内においてオゾンによって酸化分解処理(脱臭処理)され、処理済ガス9としてファン10により大気中に放出される。
なお、臭気ガス2に含まれる臭気成分全量に対し、反応当量以上のオゾンガス4を混合することにより、未反応のオゾンが発生した場合であっても、第2吸着分解触媒の吸着分解作用により、未反応オゾンは全て酸素へと分解される。
【0038】
本実施例に係る脱臭装置11の、脱臭処理容器6から排出された処理済ガス9中の臭気成分濃度を測定した結果を表1に示す。なお、比較例として、第1吸着分解触媒7を装填しない場合の処理済ガス9中の臭気成分を表1に併せて示す。
【0039】
上記表1からわかるように、第1吸着分解触媒7を装填した場合と装填しない場合とでは、残存アンモニアの濃度が大きく異なる。すなわち、本発明に係る脱臭装置のように、第1吸着分解触媒7を装填した場合はアンモニア濃度が0.1ppm以下と酸化分解が十分に促進され、高い脱臭性能を有することが確認された。
なお、アンモニア以外の臭気成分については、第1吸着分解触媒7を装填した場合(本発明)も装填しない場合(比較例)も、いずれも高い脱臭性能を示した。また、臭気成分の酸化分解のために用いるオゾンについても、残留することなく完全に分解された。
【0040】
本実施例では、第1吸着分解触媒7としてゼオライトからなる触媒を使用したが、シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア及び活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種以上の組成を含む触媒であっても、そのイオン交換容量が0.5meq/g以上であれば、処理済ガス9中の残存アンモニア濃度は0.1ppm以下となり、高い脱臭性能を示すことを確認した。逆に、イオン交換容量が0.5meq/g以下であれば、処理済ガス9中の残存アンモニア濃度は0.1ppm以上となり、脱臭性能は低下した。
【0041】
(実施例2)
図2において、符号14は厨房,符号2は厨房14から排出された、アンモニアを臭気成分として含有するとともに、油分,水分,ダストを大量に含む臭気ガスである。また、符号3は、脱臭装置15に設けられた無声放電方式のオゾン発生器で、符号4はオゾン発生器3から発生するオゾンガスである。また、脱臭装置15内には脱臭処理容器16が設けられ、その内部には、上流側(図の左側)から順に、ハニカム構造体(フィルター)12,ヒータ(加熱手段)13,第1吸着分解触媒7,第2吸着分解触媒8が配置されている。また、オゾンガス4は、ヒータ13と第1吸着分解触媒7との間に導入されるよう、脱臭処理容器16内へ配管されている。
【0042】
第1吸着分解触媒7は、寸法15cm×15cm×5cmL,単位面積当りのセル数が550セル/10cm2の格子状のセルからなるハニカム形状を有する、イオン交換容量1.1meq/gのゼオライトである。
第2吸着分解触媒8は、寸法15cm×15cm×5cmL,単位面積当りのセル数が550セル/10cm2の格子状のセルからなるハニカム形状を有する、チタニア担体にZnの酸化物が担持された金属酸化物触媒である。
ハニカム構造体12は、寸法15cm×15cm×3cmL,単位面積当りのセル数が750セル/10cm2の格子状のセルからなるハニカム形状を有する、シリカからなる構造体である。
【0043】
符号10は、脱臭処理容器16において脱臭処理(オゾン酸化分解処理)された処理済ガス9を大気へ排出するファンであり、脱臭装置15に設けられている。
【0044】
上述した構成により、脱臭装置15は以下のように作用する。
厨房14から排出された臭気ガス2は、脱臭処理容器6内に直接導入される。
なお、このときの臭気ガス2は次の条件であった。
臭気濃度:230(総理府令の告示で定められた基準値で、「人間の臭覚で臭気が感じられなくなるまで、気体または水を希釈した時の希釈倍数」を示す。)
ガス流量:50Nm3/h
ガス温度:25℃
【0045】
脱臭処理容器16内に導入された臭気ガス2は、ハニカム構造体12を通過することにより、臭気ガス2中に含まれる油分をハニカム構造体12に付着させる。次いで、ヒータ13により臭気ガス2を加熱し、ガス温度が30℃になるよう昇温する。そして、加熱された臭気ガス2に、オゾン濃度が15ppmとなるようオゾンガス4を注入し、混合する。
【0046】
オゾンガス4と臭気ガス2との混合ガスは、第1吸着分解触媒7と接触し、混合ガス中の少なくともアンモニアを含む臭気成分が、第1吸着分解触媒7の表面に選択的に吸着される。特に、アンモニアは第1吸着分解触媒7に吸着されると、混合ガス中のオゾンによって酸化され、窒素へと分解される。一方、アンモニア以外の臭気成分(硫黄系化合物,アミン類,アルデヒド類,低級脂肪酸類など)はその一部(微量)のみが第1吸着分解触媒7に吸着され、オゾンにより酸化分解される。
【0047】
第1吸着分解触媒を通過した前記混合ガスは、オゾンによる上述の酸化分解作用により、アンモニアはその殆どが窒素へと分解されるため、残存する臭気成分の殆どはアンモニア以外の組成となっている。そして、前記混合ガスは第2吸着分解触媒8と接触すると、残存する臭気成分は第2吸着分解触媒8の表面に吸着し、混合ガス中に含まれるオゾンによって酸化分解される。
こうして、臭気ガス2に含まれる全ての臭気成分は、脱臭処理容器6内においてオゾンによって酸化分解処理(脱臭処理)され、処理済ガス9としてファン10により大気中に放出される。
なお、臭気ガス2に含まれる臭気成分全量に対し、反応当量以上のオゾンガス4を混合することにより、未反応のオゾンが発生した場合であっても、第2吸着分解触媒の吸着分解作用により、未反応オゾンは全て酸素へと分解される。
【0048】
本実施例に係る脱臭装置15の、脱臭処理容器16から排出された処理済ガス9の臭気濃度を、運転開始直後及び運転開始から6ヶ月後にそれぞれ測定したところ、いずれも「臭気濃度13」と低い値を示し、装置の運転開始から6ヶ月経過後においても経時変化は見られなかった。
【0049】
すなわち、実施例2に係る脱臭装置15においては、実施例1の脱臭装置11の構成に加えて、ハニカム構造体12を第1吸着分解触媒7(および第2吸着触媒8)の上流側に配置したため、臭気ガス2中の油分は全てハニカム構造体12に付着することとなる。従って、臭気成分に対しオゾン酸化分解反応を促進する機能を有する第1吸着分解触媒7,第2吸着分解触媒8に油分が付着せず、触媒機能の低下を抑制することができた。
【0050】
更に、ハニカム構造体12の単位面積当りのセル数(750セル/10cm2)は、第1,第2吸着分解触媒のそれ(550セル/10cm2)よりも多いため、ハニカム構造体12は臭気成分2に含まれるダスト類を除塵する効果も併せ持つ。よって、ダスト類が第1吸着分解触媒7,第2吸着分解触媒8に付着することも防止でき、6ヶ月間という長期間に渡って、触媒性能の低下を抑制し、安定した脱臭効果を奏することができた。
【0051】
一方、ハニカム構造体12を配置しなかった場合は、臭気ガス2中に含まれる油分,ダストが、即座に第1,第2吸着分解触媒の表面に付着するため、約1ヶ月という短期間で触媒の吸着分解性能が低下した。従って、高価な触媒(第1,第2吸着分解触媒)を頻繁に交換する必要が生じ、経済的にも不利である。
【0052】
なお、ハニカム構造体12にダストや油分が多量に詰まり、ハニカム構造体12通過前後における臭気ガス2の圧力損失が増加した場合は、ハニカム構造体12を取り外して、洗浄又はエアブロー等で詰まりを取り除くことにより、再利用が可能となる。従って、本実施例は経済的にも有効である。
【0053】
更に、本実施例においては、水分を多量に含む臭気ガス2が第1吸着分解触媒7へ導入される前に、ヒータ13により前記臭気ガス2を加熱し、そのガス温度を5℃上昇(25℃→30℃)させている。従って、本実験例でのガス組成/温度条件では、第1吸着分解触媒7上で臭気ガス2中の水分が結露することがなく、第1吸着分解触媒の触媒機能を長期間安定して保持することができた。また、種々の実験の結果から、厨房などの臭気ガス発生源から発生する臭気ガスは、そのガス温度を5℃以上、好ましくは10℃以上上昇させることにより、水蒸気飽和温度以上となり、結露しないことが確認されている。
なお、本実施例2の場合は、ヒータ13により加熱しない場合に比べて、6倍以上の触媒の長寿命化を図ることができた。
【0054】
【発明の効果】
上記したところから明らかなように、本発明によれば、従来のオゾン脱臭装置では十分に脱臭(酸化分解)できなかった臭気成分であるアンモニアについてもても、効率的に脱臭することがが可能となる。従って、アンモニアを含有する臭気ガスに対しても高い脱硝効果を得ることが可能となる。
また、ダスト,油分,水分を多量に含有する臭気ガスに対しても、オゾン酸化分解触媒上へのダストや油分の付着を抑制し、更に、水分の結露を防止することが可能となるため、長期間安定した脱臭効果が得られ、経済的にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る脱臭装置の系統図である。
【図2】本発明の実施例2に係る脱臭装置の系統図である。
【符号の説明】
1 厨芥物処理装置
2 臭気ガス
3 オゾン発生器
4 オゾンガス
6 脱臭処理容器
7 第1吸着分解触媒
8 第2吸着分解触媒
9 処理済ガス
12 ハニカム構造体
13 ヒーター
Claims (16)
- 臭気ガス中の臭気成分をオゾンにより酸化分解し脱臭する脱臭装置において、
前記臭気成分のうち少なくともアンモニアを選択的に吸着し、吸着された臭気成分をオゾンにより酸化分解する第1吸着分解触媒と、
該第1吸着分解触媒の下流側に設置され、第1吸着分解触媒を通過した臭気ガス中に残存する臭気成分を吸着し、オゾンにより酸化分解するとともに、未反応のオゾンを分解する第2吸着分解触媒と、
を有することを特徴とする脱臭装置。 - 前記第1吸着分解触媒は、少なくとも0.5meq/g以上のイオン交換容量を有すること、
を特徴とする請求項1に記載の脱臭装置。 - 前記第1吸着分解触媒は、シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア,ゼオライト類及び活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種以上の組成からなること、
を特徴とする請求項2に記載の脱臭装置。 - 前記第2吸着分解触媒は、シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア,ゼオライト及び活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種の担体に、Mn,Ag,Fe,Co,Zn,Ni,Pt,Pd,Rhの酸化物又は金属の少なくとも1種以上を担持した吸着分解触媒であること、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の脱臭装置。 - 前記第1吸着分解触媒および/または前記第2吸着分解触媒の上流側に、前記臭気ガス中の少なくともダストまたは油分を吸着するフィルターを有すること、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の脱臭装置。 - 前記第1吸着分解触媒および/または前記第2吸着分解触媒の上流側に、前記臭気ガスを加熱する加熱手段を有すること、
を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の脱臭装置。 - 前記第1吸着分解触媒および/または前記第2吸着分解触媒は、ハニカム形状を成していること、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の脱臭装置。 - 前記第1吸着分解触媒の上流側に、前記オゾンを発生させるオゾン発生器が設けられるとともに、
該オゾン発生器の上流側に、前記第1吸着分解触媒及び前記第2吸着分解触媒のハニカム形状よりも、単位面積当りのセル数が多いハニカム形状を成したハニカム構造体が設けられていること、
を特徴とする請求項7に記載の脱臭装置。 - 前記ハニカム構造体と前記オゾン発生器との間に、前記ハニカム構造体を通過した臭気ガスを加熱するヒータが備えられていること、
を特徴とする請求項8に記載の脱臭装置。 - 臭気ガス中の臭気成分をオゾンにより酸化分解し脱臭する脱臭方法において、
第1吸着分解触媒に臭気ガスを接触させて、前記臭気成分のうち少なくともアンモニアを選択的に吸着し、吸着した臭気成分をオゾンにより酸化分解し、
次いで、前記第1吸着分解触媒に接触した後の臭気ガスを第2吸着分解触媒へ接触させて、残存する臭気成分を吸着し、吸着した残存臭気成分をオゾンにより酸化分解するとともに、未反応のオゾンを分解すること、
を特徴とする脱臭方法。 - 前記第1吸着分解触媒は、少なくとも0.5meq/g以上のイオン交換容量を有すること、
を特徴とする請求項10に記載の脱臭方法。 - 前記第1吸着分解触媒は、シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア,ゼオライト類及び活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種以上の組成からなること、
を特徴とする請求項11に記載の脱臭方法。 - 前記第2吸着分解触媒は、シリカ,アルミナ,ジルコニア,チタニア,ゼオライト及び活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種の担体に、Mn,Ag,Fe,Co,Zn,Ni,Pt,Pd,Rhからなる群から選ばれた酸化物又は金属の少なくとも1種以上を担持した吸着分解触媒であること、
を特徴とする請求項10ないし請求項12のいずれかに記載の脱臭方法。 - 前記第1吸着分解触媒および/または前記第2吸着分解触媒の上流側に、前記臭気ガス中の少なくともダストまたは油分を吸着するフィルターを有すること、
を特徴とする請求項10ないし請求項13のいずれかに記載の脱臭方法。 - 前記第1吸着分解触媒および/または前記第2吸着分解触媒の上流側に、前記臭気ガスを加熱する加熱手段を有すること、
を特徴とする請求項10ないし請求項14のいずれかに記載の脱臭方法。 - 前記第1吸着分解触媒および/または前記第2吸着分解触媒は、ハニカム形状を成していること、
を特徴とする請求項10ないし請求項15のいずれかに記載の脱臭方法。
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GB2485546A (en) * | 2010-11-17 | 2012-05-23 | Steritrox Ltd | Catalyst for use in a sterilisation and/or decontamination process |
CN106362761A (zh) * | 2016-08-05 | 2017-02-01 | 安徽元琛环保科技股份有限公司 | 一种脱硝催化剂的制备方法 |
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2002
- 2002-06-25 JP JP2002184110A patent/JP2004024472A/ja not_active Withdrawn
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