JP2004023904A - タイヤ電源供給装置 - Google Patents

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菊池 正美
Takahisa Shizuku
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Abstract

【課題】タイヤ内圧警報装置等、タイヤ内空部に設けられた内空部機器に電力を供給する装置を提供し、これらの内空部機器を用いたシステムの、電池の早期消耗に起因する問題を解消する。
【解決手段】タイヤ電源供給装置は、車軸の非回転部分に設けられ磁界を形成する固定子と、車軸の回転部分に固定され前記磁界内で回転し起電力を発生する回転子と、回転子で発生した起電力を内空部機器に送電する送電回路部とを具え、固定子には、車軸中心を中心とする円周上に、車軸中心に向かう磁界を形成するN極とS極とが交互に配列され、回転子は、前記固定子に対応する車軸軸方向位置で車軸回転部に一端を固定され前記固定子の半径方向内側近傍に他端を有する高透磁率磁性材料よりなる複数の回転ヨークと、それぞれの回転ヨークを磁気的に連結する連結ヨークと、これらの回転ヨークの回りを車軸半径方向に沿って螺旋状に巻かれ車軸の回転に伴って起電力を発生するそれぞれの回転コイルとを具える。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ内圧警報装置等、タイヤ内空部に設けられた内空部機器に電力を供給する電源供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空気圧の異常を運転者に知らせるため、従来から、車両のリムに取り付けられ、圧力センサでタイヤの空気圧を検出し、空気圧に関する情報を電波により車両側に設けた受信機に送信するタイヤ内圧警報装置は知られている。このタイヤ内圧警報装置は車輪の回転部分に取り付けられているため、車体の非回転部分に電源を設けて、ここから、圧力センサを駆動するための電力や、電波を送信するための電力を供給することは難しいため、電池がタイヤ内圧警報装置に内蔵され、この電池で電力の供給が行われている。
【0003】
このタイヤ内圧警報装置は、タイヤの空気圧をチェックして正常であることを確認するという本来の機能からして、圧力測定や測定結果の送信は、常に所定時間以下の間隔で行う必要があり、その電力消費を抑制することが難しいことに加え、車輪の回転のバランスを崩さないため、タイヤ内圧警報装置は軽量でなければならず、そのため電池の大きさや容量にも限度があり、電池の早期消耗が問題となっている。かといって、電池がその寿命に到達する度に、タイヤとリムとに囲繞されたタイヤ内空部に取り付けられているタイヤ内圧警報装置の電池を交換するために、わざわざ、タイヤをリムから取り外すことは実用的ではない。この問題を解決するため電池の高寿命化、あるいは、タイヤ内圧警報装置の省電力化の開発が進められてきているが、いまだに十分満足するものは得られていない。
【0004】
タイヤ内圧のほかにも、タイヤの状態、例えば、タイヤの各部の温度や変形を監視して、これらに異常もしくは異常の前兆が検知された場合にはこれを運転者に知らせるシステムも種々提案されているが、これらの状態を監視するセンサは回転するタイヤに設けられなければならず、しかもこれらの状態は常に所定時間以下の間隔でチェックされる必要があり、これらのセンサに電力を供給する方法が未解決の問題となっていて未だ実用化されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、タイヤ内圧警報装置等、タイヤ内空部に設けられた内空部機器に電力を供給する装置を提供し、これらの内空部機器を用いたシステムが、電池の早期消耗に起因する前述の問題を解消することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明はなされたものであり、その要旨構成を以下に示す。
【0007】
第一の発明は、リムとこのリムに組み付けられたタイヤとにより囲繞されるタイヤ内空部に設けられた内空部機器に電力を供給するタイヤ電源供給装置であって、
車軸の非回転部分に設けられ磁界を形成する固定子と、車軸の回転部分に固定され前記磁界内で回転し起電力を発生する回転子と、回転子で発生した起電力を内空部機器に送電する送電回路部とを具えてなり、
前記固定子には、車軸中心を中心とする円周上に、車軸中心に向かう磁界を形成するN極とS極とが交互に配列され、
前記回転子は、前記固定子に対応する車軸軸方向位置で車軸回転部に一端を固定され前記固定子の半径方向内側近傍に他端を有する高透磁率磁性材料よりなる複数の回転ヨークと、それぞれの回転ヨークを磁気的に連結する連結ヨークと、これらの回転ヨークの回りを車軸半径方向に沿って螺旋状に巻かれ車軸の回転に伴って起電力を発生するそれぞれの回転コイルとを具えてなるタイヤ電源供給装置である。
【0008】
第二の発明は、第一の発明において、前記送電回路部に、タイヤもしくはリムに取り付けられた変圧器を設けてなり、前記変圧器の一次側を回転コイルに接続し、二次側を内空部機器に直接もしくは間接的に接続するとともに、前記変圧器の一次側コイルをタイヤもしくはリムの大気圧側に配設し、二次側コイルをタイヤ内空部に配設してなるタイヤ電源供給装置である。
【0009】
第三の発明は、第一もしくは第二の発明において、前記送電回路部に、内空圧機器に電力を供給する二次電池と二次電池を充電する充電器とを設けてなるタイヤ電源供給装置である。
【0010】
第四の発明は、第二もしくは第三の発明において、一次側コイルの軸心と二次側コイルの軸心とをほぼ一致させてなるタイヤ電源供給装置である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るタイヤ電源供給装置の実施形態について図1ないし図6に基づいて説明する。図1は、このタイヤ電源供給装置1を車軸10の軸心を通る断面において示す断面図である。車軸10の非回転部分を構成するアクスルケース13には、ハブ12が軸支され、タイヤ2を装着するリム11はハブ12に固定されている。ハブ12の半径方向中心位置には、軸方向に延在する回転シャフト9が取り付けられている。タイヤ2とリム11とによって囲繞されるタイヤ内空部3には、リム11に固定されてタイヤの内圧を検出するタイヤ内圧警報装置4が設けられていて、このタイヤ内圧警報装置4は本発明における内空部機器の一例をなすものである。アクスルケース13の半径方向内側には発電機19が設けられ、発電機19で発電された電力は、配線21、変圧器20、充電器6および二次電池5とを経てタイヤ内圧警報装置4に供給される。配線21、変圧器20、充電器6および二次電池5は送電回路部を構成し、タイヤ電源供給装置1は、発電機19と送電回路部とで構成される。
【0012】
図2は、図1のII−II矢視を示す発電機19の側面図である。発電機19は、アクスルケース13の内周面に取付けら複数の磁石18n、18sよりなる固定子18と、回転シャフト9に固定して設けられた回転子14とよりなり、回転子14は、回転シャフト9の外周面に取り付けられた連結ヨーク15、連結ヨーク15の外周面に一体的に固定され半径方向外側に向かって延在する四本の回転ヨーク16a〜16d、および、これらの回転ヨーク16a〜16dにらせん状に巻かれたそれぞれの回転コイル17a〜17dを具えている。回転ヨーク16a〜16dは鉄などの高透磁率を有する材料で構成されるとともに、互いに周方向に90度ずつ離隔して配置されていて、その半径方向外側端の半径方向位置は、磁石18n、18sの内側近傍となるよう構成されている。また、回転コイル17aの半径方向内側端と回転コイル17bの内側端、回転コイル17bの外側端と回転コイル17cの外側端、回転コイル17cの内側端と回転コイル17dの内側端とがそれぞれ接続されている。
【0013】
図3は、図1の変圧器20の部分を拡大して示す断面図である。変圧器20は、リムウエル部11aの半径方向内側に気密に取り付けられた円筒状の突出隔壁22、突出隔壁22の蓋部22aに取り付けられるとともに突出隔壁22の円筒面22bの内側に配置され高透磁率材料よりなる磁心23、突出隔壁22の円筒面22bの外側にらせん状に巻かれた一次側コイル24および磁心23の外周に巻かれた二次側コイル25を具えている。そして、二次側コイルは、タイヤ内圧警報装置4に直接電力を供給する二次電池5を充電する充電器6に接続されている。
【0014】
回転コイル17aの外側端と回転コイル17dの外側端とは二本の配線21を介して変圧器20の一次側コイル24の両端に接続されている。ハブ12および回転シャフト9の半径方向中心部には、ハブ12の軸方向端に開放する配線主穴26が設けられ、この配線主穴26の開放端と反対側の端付近で配線主穴26に連結する配線副穴27が設けられていて、配線副穴27は回転シャフト9および連結ヨーク15を通過して半径方向外側に開放している。また、ホイールディスク11bには二個の貫通穴28a、28bが設けられそして、配線21は、配線副穴27、配線主穴26および二個の貫通穴28a、28bを通って配設されている。
【0015】
図4は、発電機19から、内空部機器4までの配線系統を示す配線系統図である。回転コイル17a〜17d、変圧器20の一次側コイル24および配線21とで第一の閉回路31を構成し、変圧器20の二次側コイル25と充電器6とは第二の閉回路32を構成する。
【0016】
ついで、この実施形態の発電機19により第一の閉回路31に電流を生成する発電原理について説明する。図2に示す状態において、回転ヨーク16a〜16dの半径方向外側端は、磁石18nもしくは磁石18sの真正面に対向していて、この状態においては、磁石18nから磁石18sへの磁路が形成されるよう回転ヨーク16a〜16dの中に磁束が生起され、N極磁石からS極磁石へ向かう方向を磁束の向きとし、磁束の向きをこの向きの矢印で表すと図2に示す通りとなる。すなわち、回転ヨーク16a〜16dに生起される磁束をそれぞれFa〜Fdとすると、回転ヨーク16a、16cはN極の磁石18nに対向するとともに回転ヨーク16b、16dはS極の磁石18sに対向しているので、FaとFcとは半径方向中心へ接近する方向、FbとFdとは半径方向中心から離隔する方向の磁束となる。
【0017】
図5は、図2に示す回転シャフト9を反時計方向周りに30度だけ回転した状態で示す発電機19の側面図である。この状態においては、回転ヨーク16a、16cはS極の磁石18sに対向するとともに回転ヨーク16b、16dはN極の磁石18nに対向しているので、FaとFcとは半径方向中心から離隔する方向、FbとFdとは半径方向中心へ接近する方向の磁束となる。すなわちそれぞれの回転ヨーク16a〜16dに生起される磁束は、図2に示される状態から図5に示される状態に移行する間にその向きを逆転することになり、従ってこの間に変化するそれぞれの回転ヨーク16a〜16dの磁束密度の時間変化率に比例した大きさの起電力がそれぞれの回転コイル17a〜17dに発生する。そして、第一の閉回路31において、互いに接続された回転コイル17a〜17dはこれらの電流の向きが同じとなるよう配線されているので、それぞれの回転コイル17a〜17dに発生した起電力は足し合わされることになる。
【0018】
図6は、図4に示す第一の閉回路31を流れる電流を、横軸に時間t、縦軸に電流値Iをとって示すグラフである。回転シャフト9が30度回転する時間t30の間に一回の電流ピークP1を発生させ、さらに30度回転する次の時間t30の間に電流ピークP2を発生させ、順次、同様にしてP3、P4を発生させることができる。このとき、相前後する電流ピークは正負逆転するものとなることは図2および図5を参照すれば明らかであり、このようにして、第一の閉回路31には図6に示される電流を発生させることができる。
【0019】
以上、発電機19の発電原理について説明したが、一方、変圧器20の変圧原理は、一次側コイル24において、第一の閉回路31に生起された一時側変動電圧によってその時間微分に比例した磁束が磁心23に発生し、そしてこの磁心23に発生した磁束の時間変化によって磁束の時間微分に比例した起電力が二次側コイルに発生し、これによって第二の閉回路32にタイヤ内圧警報装置4の電源となる電圧を生起することができるというものである。ここで、一次側コイル24と二次側コイル25との中心軸を同心とすることにより漏洩磁束を抑制して、変圧効率を高めることができる。
【0020】
以上、タイヤ電源供給装置1の実施形態について説明したが、本発明は、図1〜図4に示される構成のものだけでなく、幾多の実施態様のものも含んでいる。発電機19に関しては、たとえば、回転ヨーク16a〜16dに対向する位置に磁石18n、18sを配置する代りに、この位置に端を有する高透磁率磁性材料よりなる固定ヨークを配設し、この固定ヨークと磁気的に連結する磁石を回転ヨーク16a〜16dから離れた位置に設けることも可能である。また、固定子18上の磁極の数や、回転子の回転ヨークの数を適宜設定することができる。
【0021】
送電回路部に関しても、例えば、内空圧機器がタイヤ内圧警報装置4ではなく車両が停車中の場合は電源を必要としないものである場合は、二次電池5と充電器6とを省略することができる。この場合、内空圧機器が直流電源を必要とする場合、あるいは、安定した電源電圧もしくは安定した電源周波数を必要とする場合にはこれらの要求特性に応じて、電源を変換しあるいは電源を安定化するアダプタをタイヤ電源供給装置の送電回路部に設けるのがよい。
【0022】
【発明の効果】
以上述べたところから明らかなように、第一の発明によれば、車軸の非回転部分に設けられた固定子8の半径方向内側に配置され、車軸の回転部分である回転シャフト14に固定して設けられた回転子14が車両の走行に伴って回転するとき、回転コイル17a〜17dに起電力を発生させることができるので、タイヤを含む回転部分内で発電して内空圧機器に電力を供給することができ、電源を車両の非回転部分に設けようとした場合には問題となる、非回転部分から回転部分への配線の敷設方法が困難であるという点を解消することができ、また、電源を車軸の回転部分に設けた電池とした場合に懸念される電池の早期消耗という問題も回避することができる。
【0023】
第二の発明によれば、タイヤもしくはリムに固定して設けられた変圧器を具えているので、前述の効果に加えて、大気圧下で送電される起電力を、内圧が充填されたタイヤ内空部に導入するに際し、大気圧側からタイヤ内空部に配線で接続することなく磁気誘導の原理に基づいて電力を送電することができ、タイヤもしくはリムを貫通して配設された配線により伝送した場合に懸念される貫通穴からの内圧漏洩の問題を解消させることができる。
【0024】
第三の発明によれば、送電回路部に、内空圧機器に電力を供給する二次電池と二次電池を充電する充電器とを設けているので、上述の効果に加えて、車両が停止して車軸の回転が止まっても内空圧機器には二次電池から電力を供給して続けて、その機能が停止することを防止することができ、しかも、二次電池の容量が低下すると充電器によりこれを充電して、電池寿命の懸念を解消することができる。
【0025】
第四の発明によれば、変圧器の一次側コイルの軸心と二次側コイルの軸心とをほぼ一致させたので、上述の効果に加えて、一次側から二次側への変換効率を増大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るタイヤ電源供給装置を示す断面図である。
【図2】発電機の側面図である。
【図3】図に示された発電機を拡大して示すの側面図である。
【図4】発電機から内空部機器4までの配線系統を示す配線系統図である。
【図5】別の状態における発電機を図2に対応して示す側面図である。
【図6】第一の閉回路31を流れる電流の時間変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 タイヤ電源供給装置
2 タイヤ
3 タイヤ内空部
4 タイヤ内圧警報装置
5 二次電池
6 充電器
4 タイヤ内圧警報装置
9 回転シャフト
10 車軸
11 リム
11a リムウエル部
11b ホイールディスク
12 ハブ
13 アクスルケース
14 回転子
15 連結ヨーク
16a、16b、16c、16d 回転ヨーク
17a、17b、17c、17d 回転コイル
18 固定子
18n、18s 磁石
19 発電機
20 変圧器
21 配線
22 突出隔壁
22a 蓋部
22b 円筒面
23 磁心
24 一次側コイル
25 二次側コイル
26 配線主穴
27 配線副穴
28a、28b 貫通穴
31 第一の閉回路
32 第二の閉回路
Fa、Fb、Fc、Fd 磁束

Claims (4)

  1. リムとこのリムに組み付けられたタイヤとにより囲繞されるタイヤ内空部に設けられた内空部機器に電力を供給するタイヤ電源供給装置であって、
    車軸の非回転部分に設けられ磁界を形成する固定子と、車軸の回転部分に固定され前記磁界内で回転し起電力を発生する回転子と、回転子で発生した起電力を内空部機器に送電する送電回路部とを具えてなり、
    前記固定子には、車軸中心を中心とする円周上に、車軸中心に向かう磁界を形成するN極とS極とが交互に配列され、
    前記回転子は、前記固定子に対応する車軸軸方向位置で車軸回転部に一端を固定され前記固定子の半径方向内側近傍に他端を有する高透磁率磁性材料よりなる複数の回転ヨークと、それぞれの回転ヨークを磁気的に連結する連結ヨークと、これらの回転ヨークの回りを車軸半径方向に沿って螺旋状に巻かれ車軸の回転に伴って起電力を発生するそれぞれの回転コイルとを具えてなるタイヤ電源供給装置。
  2. 前記送電回路部に、タイヤもしくはリムに取り付けられた変圧器を設けてなり、前記変圧器の一次側を回転コイルに接続し、二次側を内空部機器に直接もしくは間接的に接続するとともに、前記変圧器の一次側コイルをタイヤもしくはリムの大気圧側に配設し、二次側コイルをタイヤ内空部に配設してなる請求項1に記載のタイヤ電源供給装置。
  3. 前記送電回路部に、内空圧機器に電力を供給する二次電池と二次電池を充電する充電器とを設けてなる請求項1もしくは請求項2に記載のタイヤ電源供給装置。
  4. 一次側コイルの軸心と二次側コイルの軸心とをほぼ一致させてなる請求項2〜3のいずれかに記載のタイヤ電源供給装置。
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